(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】撮像装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/68 20230101AFI20240508BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20240508BHJP
G03B 5/00 20210101ALI20240508BHJP
H04N 23/695 20230101ALI20240508BHJP
H04N 23/65 20230101ALI20240508BHJP
【FI】
H04N23/68
G03B17/56 A
G03B5/00 H
H04N23/695
H04N23/65
(21)【出願番号】P 2020012121
(22)【出願日】2020-01-29
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】馬庭 順一
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-006340(JP,A)
【文献】特開2019-095590(JP,A)
【文献】特開平05-014801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/68
G03B 17/56
G03B 5/00-5/08
H04N 23/695
H04N 23/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段を第1の方向に回転駆動する第1の駆動及び前記撮像手段を第2の方向に回転駆動する第2の駆動が実行可能な駆動手段と、
前記撮像手段を用いて得られた撮像画像を画像処理により補正する画像補正手段と、
前記撮像手段に加わる振れによ
る撮像画像
の像ブレを、前記駆動手段を制御して前記第1の駆動及び前記第2の駆動の少なくとも一方の実行により補正する第1の制御、及び、前記画像補正手段を制御して補正する第2の制御の少なくとも一方を実行する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、撮像装置の状態に応じて、前記第1の制御で実行する駆動を選択し、前記選択されなかった駆動に対応する方向の前記像ブレを、前記第2の制御により補正する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記撮像装置のバッテリーの残量に応じて、前記第1の制御で実行する駆動を選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像装置のバッテリーの残量が、第1の閾値より高い場合は、前記第1の制御で実行する駆動として前記第1の駆動と前記第2の駆動とを選択し、
前記バッテリーの残量が、第1の閾値以下であって第2の閾値より高い場合は、前記第1の駆動と前記第2の駆動のうちのいずれかを前記第1の制御で実行する駆動として選択し、
前記バッテリーの残量が、前記第2の閾値以下である場合は、前記第1の駆動と前記第2の駆動のいずれも前記第1の制御で実行する駆動として選択せず、前記撮像手段に加わる振れにより前記撮像画像に生じる像ブレを、前記第2の制御により補正する
ことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記撮像手段に加わる振れの大きさに応じて、前記第1の駆動と前記第2の駆動のうちのいずれかを前記第1の制御で実行する駆動として選択する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記撮像手段に加わる前記第1の方向の振れと前記第2の方向の振れのうち、大きいほうの振れに係る方向に対応する駆動を前記第1の制御で実行する駆動として選択する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第1の駆動と前記第2の駆動に係る駆動負荷に応じて、前記第1の駆動と前記第2の駆動のうちのいずれかを前記第1の制御で実行する駆動として選択する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第1の駆動と前記第2の駆動のうち、駆動負荷が小さいほうの駆動を前記第1の制御で実行する駆動として選択する
ことを特徴とする請求項
6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記撮像手段の前記第2の方向に関する位置が所定の範囲を超えている場合は、前記第1の制御で実行する駆動として前記第2の駆動を選択し、前記撮像手段の前記第2の方向に関する位置が所定の範囲を超えていない場合は、前記第1の制御で実行する駆動として前記第1の駆動を選択する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記制御手段は、
前記駆動手段を制御して、被写体を追尾する追尾制御を実行し、
前記第1の駆動と前記第2の駆動のうち、前記追尾制御で実行している駆動を、前記第1の制御で実行する駆動として選択する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記制御手段は、
前記第1の駆動と前記第2の駆動によって前記追尾制御を実行している場合は、前記第1の駆動と前記第2の駆動とを前記第1の制御で実行する駆動として選択し、
前記第1の駆動と前記第2の駆動のうちのいずれかによって前記追尾制御を実行しており、かつ前記撮像装置の前記バッテリーの残量が第1の閾値以下である場合は、前記第1の駆動と前記第2の駆動のうち、前記追尾制御で実行している駆動を、前記第1の制御で実行する駆動として選択し、
前記第1の駆動と前記第2の駆動のいずれによっても前記追尾制御を実行していない場合、
前記撮像装置の前記バッテリーの残量が第1の閾値以下であって第2の閾値より高いときには、前記撮像手段に加わる振れの大きさ、前記第1の駆動と前記第2の駆動に係る駆動負荷、または前記撮像手段の前記第2の方向に関する位置のいずれかに基づいて、前記第1の駆動と前記第2の駆動のうちのいずれかを前記第1の制御で実行する駆動として選択し、
前記バッテリーの残量が、前記第2の閾値以下であるときは、前記第1の制御を実行せず、前記撮像手段に加わる振れにより前記撮像画像に生じる像ブレを、前記第2の制御により補正する
ことを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記撮像装置の状態に応じて、前記第1の駆動または前記第2の駆動による像ブレの補正から前記第2の制御による像ブレの補正に切り替えることを決定した場合、前記撮像装置に加わる振れの大きさが前記第2の制御による像ブレの補正範囲内であるときに、前記第2の制御による像ブレの補正への切り替えを実行する
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
被写体を撮像する撮像手段と、前記撮像手段を第1の方向に回転駆動する第1の駆動及び前記撮像手段を第2の方向に回転駆動する第2の駆動が実行可能な駆動手段と、
前記撮像手段を用いて得られた撮像画像を画像処理により補正する画像補正手段とを有する撮像装置の制御方法であって、
前記撮像手段に加わる振れによ
る撮像画像
の像ブレを、前記駆動手段を制御して前記第1の駆動及び前記第2の駆動の少なくとも一方の実行により補正する第1の制御、及び、前記画像補正手段を制御して補正する第2の制御の少なくとも一方を実行する制御工程と、を有し、
前記制御工程では、撮像装置の状態に応じて、前記第1の制御で実行する駆動を選択し、前記選択されなかった駆動に対応する方向の前記像ブレを、前記第2の制御により補正する
ことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像部の撮像方向を水平方向および垂直方向に回転駆動させるパンチルト機構を有する撮像装置が提案されている。パンチルト機構を有する撮像装置(以下、「パンチルトカメラ」と記述)が小型化され、その使用形態が監視カメラのように固定して使用する形態から、ウェアラブルカメラのように身に着けて使用する形態にまで広がっている。パンチルトカメラをウェアラブルカメラとして使用する場合、撮像装置に加わる振れによって撮像画像に生じるブレ(像ブレ)を補正する必要が生じる。特許文献1は、パンチルト機構を用いて像ブレを補正する撮像装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パンチルト機構を用いて像ブレを補正する場合、撮像装置の振れ方によっては、パンニング駆動とチルティング駆動とが同時に行われ、パンチルト機構での消費電力が大きくなってしまう。ウェアラブルな小型パンチルトカメラでは、搭載できるバッテリーの容量が制限されるため、パンチルト機構で消費する電力が大きくなると、パンチルトカメラの使用可能時間が短くなってしまう。本発明は、撮像手段を複数の方向に駆動する機能を有し、像ブレの補正に係る消費電力を抑制することが可能な撮像装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態の撮像装置は、被写体を撮像する撮像手段と、前記撮像手段を第1の方向に回転駆動する第1の駆動及び前記撮像手段を第2の方向に回転駆動する第2の駆動が実行可能な駆動手段と、前記撮像手段を用いて得られた撮像画像を画像処理により補正する画像補正手段と、前記撮像手段に加わる振れによる撮像画像の像ブレを、前記駆動手段を制御して前記第1の駆動及び前記第2の駆動の少なくとも一方の実行により補正する第1の制御、及び、前記画像補正手段を制御して補正する第2の制御の少なくとも一方を実行する制御手段と、を有し、前記制御手段は、撮像装置の状態に応じて、前記第1の制御で実行する駆動を選択し、前記選択されなかった駆動に対応する方向の前記像ブレを、前記第2の制御により補正する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、撮像手段を複数の方向に駆動する機能を有し、像ブレの補正に係る消費電力を抑制することが可能な撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】パンチルト制御部とカメラコントローラの機能ブロック図の一例である。
【
図3】像ブレ補正制御の一例を説明するフローチャートである。
【
図4】パンチルト制御部による光学防振制御の一例を説明する図である。
【
図5】防振手段の選択処理を説明するフローチャートである。
【
図6】防振手段の選択処理を説明するフローチャートである。
【
図7】防振手段の選択処理を説明するフローチャートである。
【
図8】防振手段の選択処理を説明するフローチャートである。
【
図9】電子防振制御を説明するフローチャートである。
【
図10】防振手段の切り替え処理の例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施例1)
図1は、本実施形態の撮像装置の構成を示す図である。
撮像装置100は、撮像部101と、雲台部102とを有する。撮像部101は、被写体を撮像する撮像手段として機能し、被写体光を光電変換して撮像画像に係る信号を出力する。撮像部101は、レンズユニット103、撮像素子104、撮像処理部105を有する。レンズユニット103は、撮像光学系として機能し、光軸方向に移動可能な変倍レンズおよびフォーカスレンズ、絞りなどを有する。レンズユニット103は、撮像素子104の撮像面に被写体像を形成する。撮像素子104は、複数の画素が2次元配列されたCCDまたはCMOSイメージセンサであり、被写体像を各画素の光電変換部で得られるアナログ電気信号群からなるアナログ画像信号に変換する。CCDは、Charge Coupled Deviceの略称である。また、CMOSは、Complementary Metal Oxide Semiconductorの略称である。
【0009】
撮像処理部105は、撮像素子104が出力するアナログ画像信号に対してノイズ低減、AD変換、ホワイトバランス調整、色補間などの処理を適用して、撮像画像に係る画像データを生成する。画像データは、カメラコントローラ116に供給される。なお、動画撮影時、撮像部101は、所定のフレームレートで撮像および画像データの生成を行い、各フレームの画像データをカメラコントローラ116に供給する。
【0010】
雲台部102は、撮像部101を第1の方向に回転駆動する第1の駆動、または撮像部101を第2の方向に回転駆動する第2の駆動を行うパンチルト機構として機能する。具体的には、雲台部102のカメラコントローラ116が、パンチルト制御部114を制御して、第1の駆動として、パンニング駆動(以下、「パン駆動」と記述)を行い、第2の駆動として、チルティング駆動(以下、「チルト駆動」と記述)を行う。パン駆動は、撮像部101を水平(左右)方向に旋回する駆動である。パン駆動による撮像部101の旋回方向をパン方向とも記述する。チルト駆動は、撮像部101を垂直方向(上下)に旋回する駆動である。チルト駆動による撮像部101の旋回方向をチルト方向とも記述する。
【0011】
撮像装置100は、撮像部101に加わる振れにより生じる撮像画像のブレ(像ブレ)を、雲台部102によるパン駆動またはチルト駆動によって補正することができる。以下の説明では、チルティングを単にチルトとも記述し、パンニングを単にパンとも記述する。
【0012】
また、雲台部102は、被写体を追尾する追尾制御を実行する被写体追尾機構としても機能する。具体的には、雲台部102のカメラコントローラ116が、パンチルト制御部114を制御して、以下のように追尾制御を実行する。カメラコントローラ116は、外部機器200により通信部117を介して指定された被写体が画像の所定位置に一定の大きさで撮影されるように、パン駆動またはチルト駆動を行って、撮像部101の方向(撮像方向)を調整し、ズーム機構で画角を調整する。
【0013】
次に、雲台部102の構成について説明する。パン駆動用モータ106は、パン駆動に用いられるアクチュエータであり、撮像部101を、パン軸118を中心軸として水平(左右)方向に旋回する。「水平方向」とは、パン軸が鉛直方向の場合の旋回方向である。パン駆動用モータ106は、パンチルト制御部114の制御に基づいてパン駆動回路107が出力する駆動信号により動作する。
【0014】
角速度センサ115は、撮像装置100に加わる振れを検出し、検出した振れに係る振れ信号を出力する。角速度センサ115は、例えばジャイロセンサである。パン位置検出部108は、電気信号として検出したパン軸118の位置変化(回転量)に基づいて、現在の撮像部101のパン方向に関する位置であるパン位置を検出する。パン位置は、パン軸118と直行する面内の光軸方向成分であり、パン角によって規定される。パン速度検出部109は、パン位置検出部108で検出されるパン位置の単位時間当たりの変化に基づいて、パン速度を算出する。
【0015】
チルト駆動用モータ110は、チルト駆動に用いられるアクチュエータであり、撮像部101を、チルト軸119を中心軸として垂直(上下)方向に旋回する。「垂直方向」とは、チルト軸119が水平方向の場合の旋回方向である。チルト駆動用モータ110は、パンチルト制御部114の制御に基づいてチルト駆動回路111が出力する駆動信号により動作する。
【0016】
チルト位置検出部112は、電気信号として検出したチルト軸119の位置変化(回転量)に基づいて、現在の撮像部101のチルト方向に関する位置であるチルト位置を検出する。チルト位置は、チルト軸119と直行する面内の光軸方向成分であり、チルト角によって規定される。チルト速度検出部113は、チルト位置検出部112で検出されるチルト位置の単位時間当たりの変化に基づいて、チルト速度を算出する。
【0017】
パンチルト制御部114は、カメラコントローラ部116からの指示に従い、設定された被写体が画像の所定位置に撮影されるように、被写体追尾のためのパン駆動量またはチルト駆動量を算出する。また、パンチルト制御部114は、角速度センサ115が出力する振れ信号に基づいて撮像装置100に加わる振れの量を検出し、当該振れを打ち消して像ブレを補正するためのパン駆動量またはチルト駆動量を算出する。そして、パンチルト制御部114は、算出したパン駆動量またはチルト駆動量に基づいて、パン目標位置またはチルト目標位置を決定し、目標位置に駆動するための駆動信号を生成する。パンチルト制御部114は、パン駆動信号をパン駆動回路107に供給し、チルト駆動信号をチルト駆動回路111に供給する。パン駆動回路107は、パン駆動信号に基づいて、パン駆動用モータ106を駆動する。また、チルト駆動回路111は、チルト駆動信号に基づいて、チルト駆動用モータ110を駆動する。
【0018】
パンチルト制御部114は、例えばCPUのようなプログラマブルプロセッサと、ROMと、RAMとを有する。CPUは、Central Processing Unitの略称である。ROMは、Read Only Mrmoryの略称である。RAMは、Random Access Memoryの略称である。パンチルト制御部114は、ROMに記憶された、プログラマブルプロセッサで実行可能なプログラムをRAMに展開し、プログラマブルプロセッサで実行することにより、上述した機能を実現する。なお、パンチルト制御部114は、FPGA、ASIC、ASSPなどのハードウェアで実現されてもよい。FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略称である。ASSPは、Application Specific Standard Produceの略称である。
【0019】
カメラコントローラ116は、例えばCPUのようなプログラマブルプロセッサの1つ以上と、ROMと、RAMとを有する。カメラコントローラ116は、ROMに記憶された、プログラマブルプロセッサで実行可能なプログラムをRAMに展開し、プログラマブルプロセッサで実行することにより、撮像装置100の各部を制御し、撮像装置100の各種機能を実現する。ROMには設定値やGUIデータなども記憶されている。GUIは、Graphical User Interfaceの略称である。
【0020】
通信部117は、外部機器200との間での通信を実行し、有線通信または無線通信をサポートする通信インタフェースである。例えば、通信部117は、外部機器200から、撮像画像内の被写体または被写体領域を指定する情報と、指定された被写体または被写体領域の目標位置の情報とを受信し、カメラコントローラ116に供給する。カメラコントローラ116は、被写体または被写体領域が目標位置を維持し続けるように、目標位置と実際の被写体または被写体領域の位置との差に基づいて、パン目標位置またはチルト目標位置を決定して、被写体追尾機能を実現する。なお、カメラコントローラ116は、レンズユニットの画角(ズーム倍率)を制御することもできる。電源部120は、撮像装置100の電源を制御する。また、電源部120は、撮像装置100のバッテリー(不図示)の残量の検出も行い、バッテリーの残量の検出結果をカメラコントローラ116に渡す。
【0021】
図2は、パンチルト制御部とカメラコントローラの機能ブロック図の一例である。
カメラコントローラ116は、第1の駆動量算出部1161乃至減算部1164を有する。また、パンチルト制御部114は、振れ補正量算出部1141乃至加算部1144を有する。
【0022】
カメラコントローラ116が有する減算部1164は、通信部117から受信した被写体の目標位置と、実際の被写体の位置との差分をとる。第1の駆動量算出部1161は、減算部1164が出力する差分を打ち消すためのパン駆動量またはチルト駆動量を算出し、パンチルト制御部114に対して通知する。
【0023】
パンチルト制御部114が有する振れ補正量算出部1141は、以下の処理を実行する。振れ補正量算出部1141は、角速度センサ115が出力する振れ信号と、防振手段選択部1162からの通知内容とに基づいて、振れ信号が示す振れを打ち消して像ブレを補正するためのパン駆動量またはチルト駆動量を振れ補正量として算出する。パンチルト制御部114が有する加算部1144は、カメラコントローラ116から通知されるパン駆動量またはチルト駆動量と、振れ補正量算出部1141が出力する振れ補正量とを加算する。
【0024】
第2の駆動量算出部1142は、加算部1144の出力に基づいて、被写体追尾と像ブレ補正を実現するためのパン駆動量またはチルト駆動量を算出する。補償器1143は、パン位置検出部108が検出するパン位置またはチルト位置検出部112が検出するチルト位置と、駆動量算出部1142が算出したパン駆動量またはチルト駆動量とに基づいて、駆動の目標位置を算出する。そして、補償器1143は、パン位置またはチルト位置が当該目標位置となるように、例えばPID制御演算によって、パン駆動信号またはチルト駆動信号を生成して出力する。
【0025】
電子防振制御部1163は、画像補正手段として機能し、撮像画像を画像処理により補正することで、撮像部101に加わる振れによる像ブレを補正する。電子防振制御部1163は、角速度センサ115が出力する振れ信号、または撮像部101が出力する画像データから検出した動きベクトルに基づき、撮像部101が出力する画像データから撮像画像を切り出す位置を変更することで、像ブレを補正する。本実施形態では、パン駆動またはチルト駆動の実行によって像ブレを補正する制御を光学防振制御(第1の制御)という。また、電子防振制御部1163が、カメラコントローラ116の制御にしたがって、画像処理で像ブレを補正する制御を電子防振制御(第2の制御)という。
【0026】
ここで、角速度センサ115から出力される振れ信号の成分によっては、像ブレ補正のためのパン駆動とチルト駆動とが同時に行われる状態となり、消費電力が大きくなってしまうことが考えられる。したがって、カメラコントローラ116は、撮像装置100の状態に応じて、光学防振制御で実行する駆動を選択し、選択されなかった駆動に対応する方向の振れによる像ブレを電子防振制御により補正する。これにより、撮像装置100の状態によっては、像ブレを補正するためのパン駆動とチルト駆動とが同時には行われないようになり、消費電力が削減される。撮像装置100の状態は、例えば、角速度センサ115が出力する振れ信号の大きさ、電源部120が検出するバッテリーの残量、パン駆動またはチルト駆動の状態、またはチルト位置等を含む。また、パン駆動またはチルト駆動の状態は、パン駆動またはチルト駆動の駆動負荷、またはパン駆動またはチルト駆動によって被写体を追尾制御しているか否かを含む。
【0027】
防振手段選択部1162は、上述した撮像装置100の状態に基づいて、像ブレ補正制御(防振制御)に用いる防振手段を選択する。防振手段選択部1162は、防振手段として、光学防振制御で実行するパン駆動またはチルト駆動、または電子防振制御を選択する。防振手段選択部1162は、選択結果を振れ補正量算出部1141と電子防振制御部1163に通知する。
【0028】
振れ補正量算出部1141は、防振手段選択部1162からの通知内容が、防振手段としてパン駆動が選択されることを示す場合には、パン駆動量を算出するとともに、チルト駆動量を0とする。振れ補正量算出部1141は、防振手段選択部1162からの通知内容が、防振手段としてチルト駆動が選択されることを示す場合には、チルト駆動量を算出するとともに、パン駆動量を0とする。振れ補正量算出部1141は、防振手段選択部1162からの通知内容が、防振手段としてパン駆動もチルト駆動も選択されないことを示す場合には、パン駆動量とチルト駆動量を0とする。
【0029】
また、電子防振制御部1163は、防振手段選択部1162による防振手段の選択結果に応じた電子防振制御を実行する。防振手段としてパン駆動が選択されてチルト駆動が選択されなかった場合には、チルト駆動に対応する方向(チルト方向)の振れによる像ブレが、電子防振制御によって補正される。また、防振手段としてチルト駆動が選択されてパン駆動が選択されなかった場合には、パン駆動に対応する方向(パン方向)の振れによる像ブレが、電子防振制御によって補正される。また、防振手段としてパン駆動もチルト駆動も選択されなかった場合には、パン方向の振れとチルト方向の振れによる像ブレが、電子防振制御によって補正される。
【0030】
図3は、カメラコントローラによる像ブレ補正制御の一例を説明するフローチャートである。
図3に示すフローチャートにしたがう処理は、撮像装置100が電源ONの状態で実行される。
図3中のSは、各処理に対応するステップ番号である。
【0031】
S301において、カメラコントローラ116の防振手段選択部1162が、撮像装置100の状態に応じて、像ブレ補正制御に用いる防振手段を選択する。防振手段選択部1162は、防振手段として、光学防振制御で実行するパン駆動またはチルト駆動、または電子防振制御を選択する。
【0032】
次に、S302において、防振手段選択部1162が、S301で選択した防振手段をパンチルト制御部114と電子防振制御部1163とに通知する。続いて、S303において、電子防振制御部1163が、S302での防振手段選択部1162からの通知内容に基づいて、電子防振制御を実行する。続いて、S304において、カメラコントローラ116が、防振動作つまり像ブレ補正制御を継続するかを判断する。像ブレ補正制御を継続する場合は、処理がS301に戻る。像ブレ補正制御を継続しない場合は、処理を終了する。
【0033】
図4は、パンチルト制御部による光学防振制御の一例を説明するフローチャートである。
図4に示すフローチャートにしたがう処理は、撮像装置100が電源ONの状態で実行される。
図4中のSは、各処理に対応するステップ番号である。
S401において、パンチルト制御部114の振れ補正量算出部1141が、
図3のS302での防振手段選択部1162からの通知内容に基づいて、振れ補正量としてパン駆動量またはチルト駆動量を算出する。振れ補正量算出部1141は、パン駆動とチルト駆動のうち、実行しない駆動に係る駆動量を0とする。
【0034】
次に、S402において、パンチルト制御部114が、S401で算出された振れ補正量と、カメラコントローラ116から供給されるパン駆動量またはチルト駆動量とに基づいて、パン駆動またはチルト駆動の目標位置を決定する。続いて、S403において、パンチルト制御部114が、S402で決定された目標位置に基づいて、パン駆動信号またはチルト駆動信号を算出する。
次に、S404において、パンチルト制御部114が、パン駆動回路107またはチルト駆動回路111に、S403で算出した駆動信号を供給する。これにより、駆動信号に対応するパン駆動またはチルト駆動が開始する。続いて、S405において、パンチルト制御部114が、パン駆動またはチルト駆動による光学防振制御を継続するかを判断する。光学防振制御を継続する場合は、処理がS401に戻る。光学防振制御を継続しない場合は、処理を終了する。
【0035】
図5は、実施例1における防振手段の選択処理を説明するフローチャートである。
図5に示すフローチャートにしたがう処理は、
図3のS301の処理に対応する。
図5中のSは、各処理に対応するステップ番号である。
S501において、カメラコントローラ116の防振手段選択部1162が、電源部120により検出されたバッテリーの残量が高いかを判断する。具体的には、防振手段選択部1162は、バッテリーの残量が第1の閾値より高いかを判断する。バッテリーの残量が第1の閾値より高い場合、防振手段選択部1162は、バッテリーの残量が高いと判断して、処理がS502に進む。バッテリーの残量が第1の閾値以下である場合、防振手段選択部1162は、バッテリーの残量が高くないと判断して、処理がS503に進む。
【0036】
S502において、防振手段選択部1162が、防振手段としてパン駆動およびチルト駆動を選択する。そして、処理を終了する。これにより、バッテリーの残量が十分に高い場合は、撮像装置100は、消費電力よりも防振性能を優先し、パン駆動およびチルト駆動による光学防振制御を実行して、像ブレを補正する。
【0037】
S503において、防振手段選択部1162が、バッテリーの残量が中程度であるかを判断する。具体的には、防振手段選択部1162は、バッテリーの残量が第2の閾値より高いかを判断する。第2の閾値は、第1の閾値より低い値に予め設定されている。バッテリーの残量が第2の閾値より高い場合、防振手段選択部1162は、バッテリーの残量が中程度であると判断して、処理がS504に進む。バッテリーの残量が第2の閾値以下である場合、防振手段選択部1162は、バッテリーの残量が中程度でない(低い)と判断して、処理がS507に進む。
【0038】
次に、S504乃至S506の処理により、防振手段選択部1162は、角速度センサ115から出力される振れ信号に係る振れの大きさに応じて、光学防振制御で実行する防振手段として、パン駆動とチルト駆動のうちのいずれかを選択する。S504において、防振手段選択部1162が、パン方向の振れの成分がチルト方向の振れの成分より大きいかを判断する。パン方向の振れの成分がチルト方向の振れの成分より大きい場合は、処理がS505に進む。パン方向の振れの成分がチルト方向の振れの成分より大きくない場合は、処理がS506に進む。
【0039】
S505において、防振手段選択部1162が、防振手段として、パン駆動と、チルト方向の振れに対応する電子防振制御を選択して処理を終了する。また、S505において、防振手段選択部1162が、防振手段として、チルト駆動と、パン方向の振れに対応する電子防振制御を選択して処理を終了する。これにより、バッテリーの残量が十分ではない場合は、パン駆動とチルト駆動を同時に行わないようにして消費電力が抑えられる。また、パン方向の振れとチルト方向の振れのうち、大きいほうの振れに係る方向に対応する駆動(パン駆動またはチルト駆動)が光学防振制御で実行する駆動として選択される。以上の処理により、消費電力の抑制と防振性能の維持を両立した防振手段の選択をすることができる。
【0040】
また、S507において、防振手段選択部1162が、防振手段として電子防振制御を選択し、処理を終了する。バッテリーの残量が低い場合は、消費電力の抑制を優先した防振手段の選択がされ、パン駆動またはチルト駆動による光学防振制御は行われない。
【0041】
図9は、
図3のS303における電子防振制御を説明するフローチャートである。
S901において、カメラコントローラ116が、防振手段としてパン駆動とチルト駆動の双方が選択されているかを判断する。防振手段としてパン駆動とチルト駆動の双方が選択されている場合、カメラコントローラ116の電子防振制御部1163が、電子防振制御による像ブレの補正を行わず、処理を終了する。防振手段としてパン駆動とチルト駆動のいずれか一方だけ選択されているか、パン駆動とチルト駆動のいずれも選択されていない場合は、処理がS902に進む。
【0042】
S902において、カメラコントローラ116が、防振手段としてパン駆動が選択されているかを判断する。防振手段としてパン駆動が選択されている場合は、処理がS903に進む。防振手段としてパン駆動が選択されていない場合は、処理がS904に進む。
【0043】
S903において、電子防振制御部1163が、チルト方向の振れに対応する電子防振制御を実行する。電子防振制御部1163は、角速度センサ115から出力される振れ信号に係る振れのチルト方向の成分に基づいて、撮像部101から供給された画像データから撮像画像を切り出す位置を変更することによって、チルト方向の振れによる像ブレを補正する。電子防振制御部1163が、撮像部101から供給された画像データから検出されるチルト方向の動きベクトルに基づいて、撮像画像を切り出す位置を変更することによって、チルト方向の振れによる像ブレを補正してもよい。
【0044】
S904において、カメラコントローラ116が、防振手段としてチルト駆動が選択されているかを判断する。防振手段としてチルト駆動が選択されている場合は、処理がS905に進む。防振手段としてチルト駆動が選択されていない場合は、パン駆動とチルト駆動のいずれも防振手段として選択されず、光学防振制御は実行されないことになる。したがって、この場合は処理がS906に進む。
【0045】
S905において、電子防振制御部1163が、パン方向の振れに対応する電子防振制御を実行する。電子防振制御部1163は、角速度センサ115から出力される振れ信号に係る振れのパン方向の成分に基づいて、撮像部101から供給された画像データから撮像画像を切り出す位置を変更することによって、パン方向の振れによる像ブレを補正する。電子防振制御部1163が、撮像部101から供給された画像データから検出されるパン方向の動きベクトルに基づいて、撮像画像を切り出す位置を変更することによって、パン方向の振れによる像ブレを補正してもよい。
【0046】
S906において、電子防振制御部1163が、全方向の振れによる像ブレを補正する電子防振制御を行う。電子防振制御部1163は、角速度センサ115から出力される振れ信号に係る振れの成分に基づいて、撮像部101から供給された画像データから撮像画像を切り出す位置を変更する。これにより、撮像装置100に加わる振れにより撮像画像に生じる像ブレが補正される。電子防振制御部1163が、撮像部101から供給された画像データから検出される動きベクトルに基づいて、撮像画像を切り出す位置を変更することによって、像ブレを補正してもよい。
【0047】
(実施例2)
実施例2の撮像装置は、パン駆動とチルト駆動の駆動負荷に応じて防振手段の選択を実行する。具体的には、撮像装置100は、パン駆動とチルト駆動のうち、駆動負荷が小さいほうの駆動を光学防振制御で実行する駆動として選択する。実施例2について、実施例1との差異を中心に説明する。
【0048】
図6は、実施例2における防振手段の選択処理を説明するフローチャートである。
図6に示すフローチャートにしたがう処理は、
図3のS301の処理に対応する。
図6中のSは、各処理に対応するステップ番号である。S601乃至S603は、
図5のS501乃至S503と同様であるので、説明を省略する。
【0049】
S604において、防振手段選択部1162が、パン駆動のほうがチルト駆動よりも駆動負荷が小さいかを判断する。S604の判断処理で用いられる駆動負荷は、例えば、駆動電力である。パン駆動のほうがチルト駆動よりも駆動負荷が小さい場合は、処理がS605に進む。パン駆動のほうがチルト駆動よりも駆動負荷が小さくない場合(例えば、チルト駆動のほうがパン駆動よりも駆動負荷が小さい場合)は、処理がS606に進む。S605乃至S607は、
図5のS505乃至S507の処理と同様であるので、説明を省略する。
【0050】
図6を参照して説明した例では、撮像装置100は、パン駆動とチルト駆動のうち、駆動負荷が小さいほうを防振手段として選択する。これにより消費電力を抑制することができる。他の例では、撮像装置100が、防振性能の維持を優先して、S604乃至S606において、パン駆動とチルト駆動のうち、駆動負荷が大きいほうを防振手段として選択するようにしてもよい。
【0051】
(実施例3)
実施例3の撮像装置は、チルト位置に応じて、防振手段を選択する。チルト位置に応じてパン駆動による像ブレ補正の効果(防振効果)が変化するからである。パン軸118の方向が鉛直方向の場合、チルト角が水平となるチルト位置でパン駆動による防振効果が最大となり、チルト角が鉛直方向に近づくに従い、パン駆動による防振効果が減少する。したがって、撮像装置100は、チルト位置が所定範囲を超えた場合は、光学防振制御で実行する駆動としてチルト駆動を選択する。実施例3について、実施例1との差異を中心に説明する。
【0052】
図7は、実施例3における防振手段の選択処理を説明するフローチャートである。
図7に示すフローチャートにしたがう処理は、
図3のS301の処理に対応する。
図7中のSは、各処理に対応するステップ番号である。S701乃至S703は、
図5のS501乃至S503と同様であるので、説明を省略する。
【0053】
S704において、防振手段選択部1162が、チルト位置が所定範囲を超えていないかを判断する。チルト位置が所定範囲を超えていない場合は、処理がS702に進む。チルト位置が所定範囲を超えている場合は、処理がS706に進む。S705乃至S707は、
図5のS505乃至S507と同様であるので、説明を省略する。
【0054】
実施例3の撮像装置は、パン駆動による防振効果が低下するチルト位置では、パン駆動を防振手段として選択しないようにする。これにより、防振性能と消費電力の抑制とを両立させることができる。
【0055】
(実施例4)
実施例4の撮像装置は、パン駆動とチルト駆動のうち、被写体の追尾制御で実行しているほうの駆動を防振手段として選択する。実施例4について、実施例1との差異を中心に説明する。
【0056】
図8は、実施例4における防振手段の選択処理を説明するフローチャートである。
図8に示すフローチャートにしたがう処理は、
図3のS301の処理に対応する。
図8中のSは、各処理に対応するステップ番号である。
S801において、カメラコントローラ116の防振手段選択部1162が、パン駆動およびチルト駆動で被写体の追尾制御を実行しているかを判断する。パン駆動およびチルト駆動で被写体の追尾制御を実行している場合は、処理がS802に進む。そして、S802において、防振手段選択部1162が、パン駆動およびチルト駆動を防振手段として選択して、処理を終了する。被写体の追尾制御でパン駆動とチルト駆動のいずれか一方だけ実行されているか、または被写体の追尾制御でパン駆動とチルト駆動のいずれも実行されていない場合は、処理がS803に進む。
【0057】
S803において、防振手段選択部1162が、撮像装置100のバッテリーの残量が高いかを判断する。具体的には、防振手段選択部1162は、バッテリーの残量が第1の閾値より高いかを判断する。バッテリーの残量が第1の閾値より高い場合、防振手段選択部1162は、バッテリーの残量が高いと判断して、処理がS802に進む。バッテリーの残量が第1の閾値以下である場合、防振手段選択部1162は、バッテリーの残量が高くないと判断して、処理がS804に進む。
【0058】
S804において、防振手段選択部1162が、パン駆動で被写体の追尾制御を実行しているかを判断する。パン駆動で被写体の追尾制御を実行している場合は、処理がS805に進む。そして、S805において、防振手段選択部1162が、防振手段として、パン駆動と、チルト方向の振れに対応する電子防振制御を選択して処理を終了する。パン駆動で被写体の追尾制御を実行していない場合は、処理がS806に進む。
【0059】
S806において、防振手段選択部1162が、チルト駆動で被写体の追尾制御を実行しているかを判断する。チルト駆動で被写体の追尾制御を実行している場合は、処理がS807に進む。そして、S807において、防振手段選択部1162が、防振手段として、チルト駆動と、パン方向の振れに対応する電子防振制御を選択して処理を終了する。チルト駆動で被写体の追尾制御を実行してない場合は、被写体の追尾制御でパン駆動とチルト駆動のいずれも実行されていないことになる。したがって、この場合は、処理がS808に進む。
【0060】
S808において、防振手段選択部1162が、バッテリーの残量が中程度であるかを判断する。具体的には、防振手段選択部1162は、バッテリーの残量が第2の閾値より高いかを判断する。第2の閾値は、第1の閾値より低い値に予め設定されている。バッテリーの残量が第2の閾値より高い場合、防振手段選択部1162は、バッテリーの残量が中程度であると判断して、処理がS809に進む。バッテリーの残量が第2の閾値以下である場合、防振手段選択部1162は、バッテリーの残量が中程度でない(低い)と判断して、処理がS810に進む。
【0061】
次に、S809の処理により、防振手段選択部1162は、撮像部101に加わる振れの大きさ、パン駆動とチルト駆動に係る駆動負荷、または撮像部101のチルト位置のいずれかに基づいて、光学防振制御で実行する防振手段を選択する。S809において、防振手段選択部1162が、例えば、
図5のS504乃至S506の処理を実行して、パン駆動とチルト駆動のうちのいずれかを防振手段として選択してもよい。また、S809において、防振手段選択部1162が、
図6のS604乃至S606の処理を実行してもよいし、
図7のS704乃至S706の処理を実行してもよい。S810において、防振手段選択部1162が、防振手段として電子防振制御を選択し、処理を終了する。
【0062】
(防振手段の切り替え処理の例)
撮像装置100が、撮像装置100の状態に応じて防振手段を選択し、実行する防振手段を当該選択された防振手段に切り替えることを決定する場合がある。パン駆動またはチルト駆動による光学防振制御と、電子防振制御とでは、像ブレの補正範囲が異なるので、防振手段を切り替える際の撮像画像のブレ残りを防止することが望ましい。したがって、撮像装置100は、光学防振制御から電子防振制御に切り替えることを決定した場合、撮像装置100に加わる振れの大きさが電子防振制御による像ブレの補正範囲内であるときに、電子防振制御への切り替えを実行する。以下に説明する防振手段の切り替え処理は、前述した実施例1乃至4のいずれにも適用可能である。
【0063】
図10は、防振手段の切り替え処理の例を説明するフローチャートである。
S1001において、防振手段選択部1162が、
図3のS301と同様に、撮像装置100の状態に応じて、防振手段を選択する。続いて、防振手段選択部1162が、実行する防振手段を選択された防振手段に切り替えるかを判断する。例えば、選択された防振手段が実行対象とされても、実行する防振手段に変更がない場合、防振手段選択部1162は、実行する防振手段を選択された防振手段に切り替えないと判断(決定)する。そして、処理がS1004に進む。S1004において、防振手段選択部1162が、選択された防振手段を振れ補正量算出部1141へ通知する。
【0064】
また、例えば、選択された防振手段が実行対象とされることによって、実行する防振手段に変更がある場合、防振手段選択部1162は、実行する防振手段を選択された防振手段に切り替えると判断(決定)する。そして、処理がS1003に進む。S1003において、防振手段選択部1162が、防振手段を切り替えることが可能であるかを判断する。
図10に示す例では、防振手段をパン駆動またはチルト駆動から電子防振制御に切り替えることが決定されたものとする。したがって、防振手段選択部1162は、角速度センサ115が出力する振れ信号に係る振れ、つまり撮像部101に加わる振れの大きさが、電子防振制御による像ブレの補正範囲内であるかを判断する。撮像部101に加わる振れの大きさが、電子防振制御による像ブレの補正範囲内でない場合、防振手段選択部1162は、防振手段を切り替えることが可能でないと判断する。そして、処理がS1005に進む。
【0065】
撮像部101に加わる振れの大きさが、電子防振制御による像ブレの補正範囲内である場合、防振手段選択部1162は、防振手段を切り替えることが可能であると判断する。そして、処理がS1004に進む。S1004において、選択された防振手段が振れ補正量算出部1141へ通知されることで、実行対象の防振手段が、当該通知された防振手段に切り替わり、当該切り替わった後の防振手段による像ブレの補正が行われる。
【0066】
また、S1005において、防振手段選択部1162が、防振手段の切り替えを保留して切り替え前の防振手段のままとする。そして、処理がS1006に進む。S1006において、電子防振制御部1163が、
図9を参照して説明した電子防振制御を実行する。S1007は、
図3のS304と同様である。
図10を参照して説明した処理により、パン駆動またはチルト駆動による像ブレ補正から電子防振制御による像ブレ補正に切り替える際の撮像画像のブレ残りを防止することができる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態の撮像装置は、撮像装置の状態に応じて、パンおよび/またはチルト駆動により像ブレを補正するか、電子防振制御により像ブレを補正するかを決定する。これにより、像ブレを補正するためにパン駆動とチルト駆動とを同時に行わないようにして、消費電力を抑制することができる。本発明は、上述した特定の実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の複数の実施例を適宜組み合わせてもよい。
【0068】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0069】
100 撮像装置
114 パンチルト制御部
116 カメラコントローラ