(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】燃料供給装置、固体燃料粉砕装置及びボイラシステム並びに燃料供給装置の運転方法
(51)【国際特許分類】
B65G 43/04 20060101AFI20240508BHJP
F23G 5/033 20060101ALI20240508BHJP
F23B 99/00 20060101ALI20240508BHJP
B02C 15/04 20060101ALN20240508BHJP
【FI】
B65G43/04
F23G5/033 A
F23B99/00
B02C15/04 ZAB
(21)【出願番号】P 2020028656
(22)【出願日】2020-02-21
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】岩田 隆
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-151818(JP,U)
【文献】中国実用新案第208485232(CN,U)
【文献】特開2017-028947(JP,A)
【文献】特開平01-288348(JP,A)
【文献】特開2016-102621(JP,A)
【文献】特開2012-093007(JP,A)
【文献】実開昭63-099235(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/04
F23G 5/033
F23B 99/00
B02C 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体燃料を供給する燃料供給装置であって、
前記固体燃料を搬送するベルトと、
前記ベルトの移動とともに回転する複数のベルトローラを有し、前記ベルト上の前記固体燃料の重量を計測する計量装置と、
前記計量装置に含まれる複数の前記ベルトローラのうち、少なくとも1つの前記ベルトローラの回転数を検出する回転検出部と、
前記回転検出部が検出した回転数に基づいて、前記ベルトが移動しているか否かを判断する移動判断部と、を備え
、
前記ベルトローラと前記ベルトとの接触位置は、電動モータからの駆動力によって回転する駆動ローラ及び前記ベルトの移動に伴って回転するテイクアップローラと前記ベルトとの接触位置よりも上方に位置している燃料供給装置。
【請求項2】
前記回転検出部が回転数を検出する前記ベルトローラには、前記ベルトにかかる荷重を支持する前記ベルトローラが含まれる請求項1に記載の燃料供給装置。
【請求項3】
前記回転検出部が回転数を検出する前記ベルトローラには、前記ベルトに張力を付与する前記ベルトローラが含まれる請求項1または請求項2に記載の燃料供給装置。
【請求項4】
前記ベルトを移動させる
前記電動モータと、
前記電動モータの電流値を検出する電流値検出部と、を備え、
前記移動判断部は、前記回転検出部が検出した回転数と、前記電流値検出部が検出した電流値とに基づいて、前記ベルトが移動しているか否かを判断する請求項1から請求項3のいずれかに記載の燃料供給装置。
【請求項5】
前記移動判断部は、前記回転検出部が検出する前記ベルトローラの回転数が所定の回転数以下であって、かつ、前記電流値検出部が検出した電流値が所定の電流値以下である場合に、前記ベルトが移動していないと判断する請求項4に記載の燃料供給装置。
【請求項6】
前記ベルトが移動していないと前記移動判断部が判断した場合に、燃料供給装置を停止させる停止部を有する請求項1から請求項5のいずれかに記載の燃料供給装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の燃料供給装置と、
前記燃料供給装置から前記固体燃料を供給されて、前記固体燃料を粉砕する粉砕機と、
前記粉砕機の運転状態を検出する運転状態検出部と、
前記運転状態検出部が検出した前記粉砕機の運転状態に基づいて前記燃料供給装置から前記粉砕機へ前記固体燃料が供給されているか否かを判断する供給判断部と、
前記ベルトが移動していないと前記移動判断部が判断した場合に、前記供給判断部によって前記固体燃料が供給されているか否かを判断し、前記固体燃料が供給されていると前記供給判断部が判断した場合には、前記燃料供給装置及び前記粉砕機の運転を継続し、前記固体燃料が供給されていないと前記供給判断部が判断した場合に前記燃料供給装置及び前記粉砕機を停止させる制御部と、を備える固体燃料粉砕装置。
【請求項8】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の燃料供給装置と、
前記燃料供給装置から前記固体燃料を供給されて、前記固体燃料を粉砕する粉砕機と、
前記燃料供給装置の内部の圧力と前記粉砕機の内部の圧力との差圧を検出する差圧検出部と、
前記差圧検出部が検出した差圧に基づいて前記燃料供給装置から前記粉砕機へ前記固体燃料が供給されているか否かを判断する供給判断部と、
前記ベルトが移動していないと前記移動判断部が判断した場合に、前記供給判断部によって前記固体燃料が供給されているか否かを判断し、前記固体燃料が供給されていると前記供給判断部が判断した場合には、前記燃料供給装置及び前記粉砕機の運転を継続し、前記固体燃料が供給されていないと前記供給判断部が判断した場合に前記燃料供給装置及び前記粉砕機を停止させる制御部と、を備える固体燃料粉砕装置。
【請求項9】
請求項6に記載の燃料供給装置と、
前記燃料供給装置から固体燃料を供給されて、前記固体燃料を粉砕する粉砕機と、を備える固体燃料粉砕装置。
【請求項10】
請求項7から請求項9のいずれかに記載の固体燃料粉砕装置と、
前記固体燃料粉砕装置で粉砕した前記固体燃料を燃焼して蒸気を生成するボイラと、を備えるボイラシステム。
【請求項11】
固体燃料を供給する燃料供給装置の運転方法であって、
前記固体燃料を搬送するベルトの移動とともに回転するとともに前記ベルト上の前記固体燃料の重量を計測する計量装置に含まれる複数のベルトローラのうち、少なくとも1つの前記ベルトローラの回転数を検出する回転数検出ステップと、
前記回転数検出ステップで検出した回転数に基づいて、前記ベルトが移動しているか否かを判断する移動判断ステップと、を備え
、
前記ベルトローラと前記ベルトとの接触位置は、電動モータからの駆動力によって回転する駆動ローラ及び前記ベルトの移動に伴って回転するテイクアップローラと前記ベルトとの接触位置よりも上方に位置している燃料供給装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料供給装置、固体燃料粉砕装置及びボイラシステム並びに燃料供給装置の運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、石炭やバイオマス燃料等の固体燃料(炭素含有固体燃料)は、粉砕機(ミル)で所定粒径範囲内の微粉状に粉砕して、燃焼装置へ供給される。粉砕機は、回転テーブルへ投入された石炭やバイオマス燃料等の固体燃料を、回転テーブルとローラの間で噛み砕くことで粉砕し、回転テーブルの外周から供給される搬送用ガスによって、粉砕されて微粉状となった燃料を分級機で所定粒径範囲内の微粉燃料を選別し、ボイラへ搬送して燃焼装置で燃焼させている。火力発電プラントでは、ボイラで燃焼して生成された燃焼ガスとの熱交換により蒸気を発生させ、該蒸気により蒸気タービンを回転駆動して、蒸気タービンに接続した発電機を回転駆動することで発電が行われる。
【0003】
粉砕機は、固体燃料供給装置によって、固体燃料が供給される。固体燃料供給装置は、固体燃料を貯留するバンカと粉砕機との間に配置される。固体燃料供給装置は、バンカから供給された固体燃料をコンベヤベルトの移動速度を制御して搬送量を計量しながら搬送することで、粉砕機内へ安定して固体燃料を供給する。このように、固体燃料供給装置には、コンベヤベルトを用いる場合があり、例えば、特許文献1のように、固体燃料の安定した信頼性の高い供給のためにコンベヤベルトの異常を検知するものが知られている。
【0004】
特許文献1には、コンベヤベルトを駆動する駆動モータの主回路の電流値を検出し、駆動モータ電流値が所定の値を下回ったことが判明した後に、駆動モータ電流値が所定の時間を経過しても同様の状態を継続していることが確認されたら、コンベヤベルトのスリップが発生したと判定して、コンベヤベルトの動作を停止する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のコンベヤベルトは、駆動モータの電流値に基づいて、コンベヤベルトの異常(ローラとコンベヤベルト間のスリップ)を判定している。このような判定は、コンベヤベルトの移動の有無を直接検知しているわけではない。したがって、例えばコンベヤベルトの異常以外の理由によって駆動モータの電流値が変動した場合等に、コンベヤベルトの異常を正確に検知することができない場合があった。また、粉砕機へ固体燃料を供給する固体燃料供給装置において、コンベヤベルトの異常(コンベヤベルトの移動の有無)を正確に検知できないと、実際には粉砕機に固体燃料が供給されていないにもかかわらず、コンベヤベルトによって粉砕機に固体燃料が供給されていると誤判断してしまう可能性がある。このような誤判断がされると、粉砕機への固体燃料の供給が停止された状況で、粉砕機の運転が継続されることとなる。固体燃料が供給されない状態で粉砕機の運転が継続されると、粉砕された固体燃料(微粉燃料)の供給先であるボイラにおいて、燃焼バーナに供給される微粉燃料の供給量と空気の供給量との関係にアンバランスが発生し、燃焼バーナにおける燃焼が不安定となり、例えば、ボイラから排出されるNOxの濃度が増加するなど、ボイラの所定性能が得られない場合があった。
このような事情から、ベルトが移動しているか否かを正確に判断し、粉砕機に固体燃料が供給されているか否かを正確に判断することができる固体燃料供給装置が望まれていた。
【0007】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ベルトが移動しているか否かを正確に判断し、粉砕機に固体燃料が供給されているか否かを正確に判断することができる燃料供給装置、固体燃料粉砕装置及びボイラシステム並びに燃料供給装置の運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示の燃料供給装置、固体燃料粉砕装置及びボイラシステム並びに燃料供給装置の運転方法は以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係る燃料供給装置は、固体燃料を供給する燃料供給装置であって、前記固体燃料を前記粉砕機へ搬送するベルトと、前記ベルトの移動とともに回転するベルトローラと、前記ベルトローラの回転を検出する回転検出部と、前記回転検出部が検出した回転数に基づいて、前記ベルトが移動しているか否かを判断する移動判断部と、を備える。
【0009】
本開示の一態様に係る燃料供給装置の運転方法は、固体燃料を供給する燃料供給装置の運転方法であって、前記固体燃料を搬送するベルトの移動とともに回転するベルトローラの回転数を検出する回転数検出ステップと、前記回転数検出ステップで検出した回転数に基づいて、前記ベルトが移動しているか否かを判断する移動判断ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ベルトが移動しているか否かを正確に判断し、粉砕機に固体燃料が供給されているか否かを正確に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の第1実施形態に係るボイラシステムの概略構成図である。
【
図2】
図1のボイラシステムに設けられた固体燃料供給装置の模式的な縦断面図である。
【
図3】
図2の固体燃料供給装置の模式的な側面図である。
【
図4】
図2の固体燃料供給装置に設けられた回転検出部を示す図である。
【
図5】
図2の固体燃料供給装置に設けられた計量スパンローラ及び回転検出部を示す図である。
【
図6】
図1のダウンスパウトを示す模式的な縦断面図である。
【
図8】
図2の固体燃料供給装置に設けられたパドルスイッチを示す模式的な縦断面図である。
【
図9】回転検出部の回転検知設定時間とパルス間隔との関係を示すグラフである。
【
図10】本開示の第1実施形態に係るボイラシステムに設けられた制御装置を示すブロック構成図である。
【
図11】
図10の制御装置が行う処理を示すフローチャートである。
【
図12】本開示の第2実施形態に係るボイラシステムに設けられた制御装置を示すブロック構成図である。
【
図13】
図12の制御装置が行う処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示に係る燃料供給装置、固体燃料粉砕装置及びボイラシステム並びに燃料供給装置の運転方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
以下、本開示の第1実施形態について、
図1を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るボイラシステム1は、固体燃料粉砕装置100とボイラ200とを備えている。
【0013】
本実施形態の固体燃料粉砕装置100は、一例として石炭やバイオマス燃料等の固体燃料(炭素含有固体燃料)を粉砕し、微粉燃料を生成してボイラ200のバーナ部(燃焼装置)220へ供給する装置である。
図1に示す固体燃料粉砕装置100とボイラ200とを含むボイラシステム1は、1台の固体燃料粉砕装置100を備えるものであるが、1台のボイラ200の複数のバーナ部220のそれぞれに対応する複数台の固体燃料粉砕装置100を備えるシステムとしてもよい。
【0014】
本実施形態の固体燃料粉砕装置100は、ミル(粉砕機)10と、給炭機(燃料供給装置)20と、送風部30と、状態検出部40と、制御装置50とを備えている。
なお、本実施形態では、上方とは鉛直上側の方向を、上部や上面などの“上”とは鉛直上側の部分を示している。また同様に“下”とは鉛直下側の部分を示すものであり、鉛直方向は厳密ではなく誤差を含むものである。
【0015】
ボイラ200に供給する石炭やバイオマス燃料等の固体燃料を微粉状の固体燃料である微粉燃料へと粉砕するミル10は、石炭のみを粉砕する形式であっても良いし、バイオマス燃料のみを粉砕する形式であっても良いし、石炭とともにバイオマス燃料を粉砕する形式であってもよい。
ここで、バイオマス燃料とは、再生可能な生物由来の有機性資源であり、例えば、間伐材、廃材木、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ及びこれらを原料としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)などであり、ここに提示したものに限定されることはない。バイオマス燃料は、バイオマスの成育過程において二酸化炭素を取り込むことから、地球温暖化ガスとなる二酸化炭素を排出しないカーボンニュートラルとされるため、その利用が種々検討されている。
【0016】
ミル10は、ハウジング11と、回転テーブル12と、ローラ13と、駆動部14と、回転式分級機16と、燃料供給部17(以下では、「給炭管29」とも称する。)と、回転式分級機16を回転駆動させる分級機モータ18とを備えている。
ハウジング11は、鉛直方向に延びる筒状に形成されるとともに、回転テーブル12とローラ13と回転式分級機16と、燃料供給部17とを収容する筐体60である。
ハウジング11のミル天井部42の中央部には、燃料供給部17が取り付けられている。この燃料供給部17は、バンカ21から導かれた固体燃料をハウジング11内に供給するものであり、ハウジング11の中心位置に上下方向に沿って配置され、下端部がハウジング11内部まで延設されている。
【0017】
ハウジング11の底面部41付近には駆動部14が設置され、この駆動部14から伝達される駆動力により回転する回転テーブル12が回転自在に配置されている。
回転テーブル12は、平面視円形の部材であり、燃料供給部17の下端部が対向するように配置されている。回転テーブル12の上面は、例えば、中心部が低く、外側に向けて高くなるような傾斜形状をなし、外周部が上方に曲折した形状をなしていてもよい。燃料供給部17は、固体燃料(本実施形態では例えば石炭やバイオマス燃料)を上方から下方の回転テーブル12に向けて供給し、回転テーブル12は供給された固体燃料をローラ13との間で粉砕するもので、粉砕テーブルとも呼ばれる。
【0018】
固体燃料が燃料供給部17から回転テーブル12の略中央領域へ向けて投入されると、回転テーブル12の回転による遠心力によって固体燃料は回転テーブル12の外周側へと導かれ、ローラ13との間に挟み込まれて粉砕される。粉砕された固体燃料である粉砕後燃料は、搬送用ガス流路(以降は、一次空気流路と記載する)100aから導かれた搬送用ガス(以降は、一次空気と記載する)によって上方へと吹き上げられ、回転式分級機16へと導かれる。すなわち、回転テーブル12の外周には、一次空気流路100aから流入する一次空気をハウジング11内の回転テーブル12の上方の空間に流出させる吹出口(図示省略)が設けられている。吹出口にはベーン(図示省略)が設置されており、吹出口から吹き出した一次空気に旋回力を与える。ベーンにより旋回力が与えられた一次空気は、旋回する速度成分を有する気流となって、回転テーブル12上で粉砕後燃料をハウジング11内の上方の回転式分級機16へと導く。なお、一次空気に混合した粉砕後燃料の粉砕物のうち、所定粒径より大きいものは回転式分級機16により分級されて、または、回転式分級機16まで到達することなく、落下して回転テーブル12に戻されて、再びローラ13との間で粉砕される。
【0019】
ミル10のローラ13は、燃料供給部17から回転テーブル12に供給された固体燃料を粉砕する回転体である。ローラ13は、回転テーブル12の上面に押圧されて回転テーブル12と協働して固体燃料を粉砕する。
図1では、ローラ13が代表して1つのみ示されているが、回転テーブル12の上面を押圧するように、周方向に一定の間隔を空けて、複数のローラ13が対向して配置される。例えば、外周部上に120°の角度間隔を空けて、3つのローラ13が周方向に均等な間隔で配置される。この場合、3つのローラ13が回転テーブル12の上面と接する部分(押圧する部分)は、回転テーブル12の回転中心軸からの距離が等距離となる。
【0020】
ローラ13は、ジャーナルヘッド45によって、上下に揺動可能となっており、回転テーブル12の上面に対して接近離間自在に支持されている。ローラ13は、外周面が回転テーブル12の上面の固定燃料に接触した状態で、回転テーブル12が回転すると、回転テーブル12から回転力を受けて連れ回りするようになっている。燃料供給部17から固体燃料が供給されると、ローラ13と回転テーブル12との間で固体燃料が押圧されて粉砕されて、粉砕後燃料となる。
【0021】
ジャーナルヘッド45の支持アーム47は、中間部が水平方向に沿った支持軸48によって、ハウジング11の側面部に支持軸48を中心としてミル10のローラ13を上下方向に揺動可能に支持されている。また、支持アーム47の鉛直上側にある上端部には、押圧装置49が設けられている。押圧装置49は、ハウジング11に固定され、ローラ13の外周面を回転テーブル12に押し付けるように、支持アーム47等を介してローラ13に荷重を付与する。
【0022】
駆動部14は、回転テーブル12に駆動力を伝達し、回転テーブル12を中心軸回りに回転させる装置である。駆動部14は、回転テーブル12を回転させる駆動力を発生する。
【0023】
回転式分級機16は、ハウジング11の上部に設けられ中空状の略逆円錐形状の外形を有している。回転式分級機16は、その外周位置に上下方向に延在する複数のブレード16aを備えている。各ブレード16aは、回転式分級機16の中心軸線周りに所定の間隔(均等間隔)で設けられている。また、回転式分級機16は、ローラ13により粉砕された固体燃料である粉砕後燃料を所定粒径(例えば、石炭では70~100μm)より大きいもの(以下、所定粒径を超える粉砕された固体燃料を「粗粉燃料」という。)と所定粒径以下のもの(以下、所定粒径以下の粉砕された固体燃料を「微粉燃料」という。)に分級する装置である。回転により分級する回転式分級機16は、ロータリセパレータとも呼ばれ、制御装置50によって制御される分級機モータ18により回転駆動力を与えられ、ハウジング11の上下方向に延在する円筒軸(図示省略)を中心に燃料供給部17の周りを回転する。
【0024】
回転式分級機16に到達した粉砕された粉砕後燃料は、ブレード16aの回転により生じる遠心力と、一次空気の気流による向心力との相対的なバランスにより、大きな径の粗粉燃料は、ブレード16aによって叩き落とされ、回転テーブル12へと戻されて再び粉砕され、微粉燃料はハウジング11のミル天井部42にある出口19に導かれる。
回転式分級機16によって分級された微粉燃料は、出口19から供給流路100bへ排出され、一次空気とともに後工程へと搬送される。供給流路100bへ流出した微粉燃料は、ボイラ200のバーナ部220へ供給される。
【0025】
燃料供給部17は、ハウジング11の上端を貫通するように上下方向に沿って下端部がハウジング11内部まで延設されて取り付けられ、燃料供給部17の上部から投入される固体燃料を回転テーブル12の略中央領域に供給する。燃料供給部17は、給炭機20から固体燃料が供給される。
【0026】
給炭機20は、搬送部22と、電動モータ23とを備える。搬送部22は、電動モータ23から与えられる駆動力によってバンカ21の直下にあるダウンスパウト24の下端部から排出される固体燃料を、ミル10の燃料供給部17に搬送する。なお、
図1では、電動モータ23を給炭機20の上方に図示しているが、電動モータ23は、例えば
図3に示すように、給炭機20の側方に配置されてもよい。
通常、ミル10の内部には、粉砕した固体燃料である微粉燃料を搬送するための一次空気が供給されて、圧力が高くなっている。バンカ21の直下にある上下方向に延在する管であるダウンスパウト24には内部に燃料が積層状態で保持されていて、ダウンスパウト24内に積層された固体燃料層により、ミル10側の一次空気と微粉燃料が逆流入しないようなシール性を確保している。
ミル10へ供給する固体燃料の供給量は、搬送部22のベルト25の移動速度により調整される。
なお、給炭機20の詳細については、後述する。
【0027】
送風部30は、ローラ13により粉砕された固体燃料を乾燥させるとともに回転式分級機16へ供給するための一次空気をハウジング11の内部へ送風する装置である。
送風部30は、ハウジング11へ送風される一次空気を適切な温度に調整するために、本実施形態では、一次空気通風機(PAF:Primary Air Fan)31と、熱ガス流路30aと、冷ガス流路30bと、熱ガスダンパ30cと、冷ガスダンパ30dとを備えている。
【0028】
本実施形態では、熱ガス流路30aは、一次空気通風機31から送出された空気(外気)の一部を、例えば空気予熱器などの熱交換器(加熱器)34を通過して加熱された熱ガスとして供給する。熱ガス流路30aの下流側には熱ガスダンパ30c(第1送風部)が設けられている。熱ガスダンパ30cの開度は制御装置50によって制御される。熱ガスダンパ30cの開度によって熱ガス流路30aから供給する熱ガスの流量が決定する。
【0029】
冷ガス流路30bは、一次空気通風機31から送出された空気の一部を常温の冷ガスとして供給する。冷ガス流路30bの下流側には冷ガスダンパ(第2送風部)30dが設けられている。冷ガスダンパ30dの開度は制御装置50によって制御される。冷ガスダンパ30dの開度によって冷ガス流路30bから供給する冷ガスの流量が決定する。
【0030】
一次空気の流量は、本実施形態では、熱ガス流路30aから供給する熱ガスの流量と冷ガス流路30bから供給する冷ガスの流量の合計の流量となり、一次空気の温度は、熱ガス流路30aから供給する熱ガスと冷ガス流路30bから供給する冷ガスの混合比率で決まり、例えば、ミル10へ供給される固体燃料の供給量に応じて、制御装置50によって制御される。
また、熱ガス流路30aから供給する熱ガスに、図示しないガス再循環通風機を介してボイラ200から排出された燃焼ガスの一部を導き、混合気とすることで、一次空気流路100aから流入する一次空気の酸素濃度を調整してもよい。
【0031】
本実施形態では、ミル10の状態検出部40により、計測または検出したデータを制御装置50に送信する。本実施形態の状態検出部40は、例えば、差圧計測手段であり、一次空気流路100aからミル10内部へ一次空気が流入する部分及びミル10内部から供給流路100bへ一次空気及び微粉燃料が排出する出口19との差圧をミル10内の差圧として計測する。例えば、回転式分級機16の分級性能により、ミル10内部を回転式分級機16付近と回転テーブル12付近の間で循環する粉砕された固体燃料の循環量の増減とこれに対するミル10内の差圧の上昇低減が変化する。すなわち、ミル10の内部に供給する固体燃料に対して、出口19から排出させる微粉燃料を調整して管理することができるので、微粉燃料の粒度がバーナ部220の燃焼性に影響しない範囲で、ミル10へ投入された固体燃料の供給量に対応した量の微粉燃料をボイラ200に設けられたバーナ部220に安定して供給することができる。
また、本実施形態の状態検出部40は、例えば、温度計測手段であり、ミル10のローラ13により粉砕された固体燃料を回転式分級機16へ吹き上げるためにハウジング11の内部に供給する一次空気の温度と、ハウジング11の内部において出口19までの一次空気の温度を検出して、上限温度を超えないように送風部30を制御する。なお、一次空気は、ハウジング11内において、粉砕物を乾燥しながら搬送することによって冷却されるので、ハウジング11の上部空間から出口19での温度は、例えば約60~90度程度となる。
【0032】
制御装置50は、固体燃料粉砕装置100の各部を制御する装置である。制御装置50は、例えば、駆動部14に駆動指示を伝達することによりミル10の運転に対する回転テーブル12の回転速度を制御してもよい。制御装置50は、例えば回転式分級機16の分級機モータ18へ駆動指示を伝達して回転速度を制御することで、分級性能を調整することにより、ミル10内の差圧を所定の範囲に適正化して微粉燃料の供給を安定化させることができる。また、制御装置50は、例えば給炭機20の電動モータ23へ駆動指示を伝達することにより、搬送部22が固体燃料を搬送して燃料供給部17へ供給する固体燃料の供給量(給炭量)を調整することができる。また、制御装置50は、開度指示を送風部30に伝達することにより、熱ガスダンパ30cおよび冷ガスダンパ30dの開度を制御して一次空気の流量と温度を制御することができる。具体的には、制御装置50は、搬送ガスの流量と出口温度が、固体燃料種別毎に給炭量に対して設定された所定値となるように、熱ガスダンパ30cおよび冷ガスダンパ30dを制御する。
【0033】
制御装置50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0034】
次に、固体燃料粉砕装置100から供給される微粉燃料を用いて燃焼を行って蒸気を発生させるボイラ200について説明する。
ボイラ200は、火炉210とバーナ部220とを備えている。
【0035】
バーナ部220は、供給流路100bから供給される微粉燃料を含む一次空気と、押込気通風機(FDF:Feed Draft Fan)32から送出される空気(外気)を熱交換器34で加熱して供給される二次空気とを用いて微粉燃料を燃焼させて火炎を形成する装置である。微粉燃料の燃焼は火炉210内で行われ、高温の燃焼ガスは、蒸発器,過熱器,節炭器などの熱交換器(図示省略)を通過した後にボイラ200の外部に排出される。
【0036】
ボイラ200から排出された燃焼ガスは、環境装置(脱硝装置、電気集塵機などで図示省略)で所定の処理を行うとともに、例えば空気予熱器などの熱交換器34で一次空気通風機31から送出される空気と押込気通風機32から送出される空気との熱交換が行われ、誘引通風機(IDF:Induced Draft Fan)33を介して煙突(図示省略)へと導かれて外気へと放出される。熱交換器34において燃焼ガスにより加熱された一次空気通風機31から送出される空気は、前述した熱ガス流路30aに供給される。
ボイラ200の各熱交換器への給水は、節炭器(図示省略)において加熱された後に、蒸発器(図示省略)および過熱器(図示省略)によって更に加熱されて高温高圧の蒸気が生成され、発電部である蒸気タービン(図示省略)へと送られて蒸気タービンを回転駆動し、蒸気タービンに接続した発電機(図示省略)を回転駆動して発電が行われ、ボイラシステム1を構成する。
【0037】
次に、給炭機20の詳細について、
図2から
図11を用いて説明する。
図2及び
図3に示すように、給炭機20は、外殻を為す筐体60と、筐体60の内部に配置される搬送部22と、搬送部22へ駆動力を供給する電動モータ23と、を備えている。
【0038】
筐体60は、内部に空間を形成している筒状の部材である。筐体60は、内部に形成された空間の上端を規定する天井部61と、空間の下端を規定する底面部62と、空間の側方を規定する側壁部63と、を有している。なお、筐体60は、内部圧力に対する耐圧容器として円筒状であるが、内部圧力に応じて耐久性が確保できれば箱状の形態であってもよい。筐体60は、天井部61にダウンスパウト24の下端が接続している。また、筐体60は、底面部62に給炭管29の上端が接続している。給炭管29は、鉛直方向に沿って延びる部材であって、下端がミル10の内部に位置している(
図1参照)。給炭機20から排出された固体燃料は、給炭管29の内部を流通し、ミル10へ供給される。
【0039】
搬送部22は、ダウンスパウト24の下端と筐体60の天井部61との接続部分の鉛直下方に配置される。搬送部22は、いわゆるベルト式の搬送装置(ベルトコンベヤ)であって、ベルト25の移動とともに回転する複数のベルトローラを備えている。本実施形態では、このベルトローラには、ベルト25に対して所定の張力を付与している駆動ローラ(駆動プーリ)26及びテイクアップローラ(テイクアッププーリ)27と、ベルト25へ付与する張力を増加する図示しないスナブローラ(スナブプーリ)と、ベルト25にかかる荷重を支持する計量スパンローラ71及び計量ローラ72と、を含んでいる。搬送部22は、電動モータ23からの駆動力によって回転する駆動ローラ26と、駆動ローラ26の回転に伴って移動するベルト25と、ベルト25の移動に伴って回転するテイクアップローラ(テイクアッププーリ)27と、を備えている。駆動ローラ26とテイクアップローラ27とは、所定方向(搬送部22の長手方向)に離間して配置されている。詳細には、駆動ローラ26は、搬送部22の長手方向の一端部に配置され、テイクアップローラ27は、搬送部22の長手方向の他端部に配置されている。ベルト25は、無端状であって、駆動ローラ26及びテイクアップローラ27によって走行方向が折り返されている。駆動ローラ26とテイクアップローラ27は、所定距離だけ離間して配置されることでベルト25を支持するとともに、ベルト25に対して所定の張力を付与している。ベルト25へ付与する張力を増加するために、無端状のベルト25が規定する空間(ベルト25の上面と下面の間)の外部側で、ベルト25を押し付けるように配置され、駆動ローラ26及び/またはテイクアップローラ27に対するベルト25の巻き付け角を増加させるための図示しないスナブローラ(スナブプーリ)を設けてもよい。なお、
図3では、図示の関係上、ベルト25を省略して図示している。
電動モータ23は、駆動ローラ26を回転させるときの電動モータ23の電流値を制御装置50の電流値検出部51へ送信する。
【0040】
駆動ローラ26は、
図3に示すように、ベルト25と当接する円柱状の駆動ローラ本体部26aと、駆動ローラ本体部26aの長手方向の両端に設けられ水平方向に延在する駆動ローラ軸部26bを備える。駆動ローラ本体部26aと駆動ローラ軸部26bとは中心軸線が同軸となるように配置されている。各駆動ローラ軸部26bは、筐体60の側壁部63を貫通し、筐体60の外部に突出している。2つの駆動ローラ軸部26bのうちの1つは、筐体60の外部に配置される電動モータ23に連結されている。各駆動ローラ軸部26bと側壁部63との間には、駆動ローラ軸部26bを回転可能に支持する軸受26cが設けられている。駆動ローラ26は、電動モータ23からの駆動力によって、駆動ローラ本体部26a及び駆動ローラ軸部26bの中心軸線を中心に回転する。駆動ローラ26の回転にともなって、駆動ローラ本体部26aと接触するベルト25が移動する。駆動ローラ26は、給炭管29の上端と筐体60の底面部62との接続部分の鉛直上方に配置されている。
【0041】
テイクアップローラ27は、ベルト25と当接する円柱状のテイクアップローラ本体部27aと、テイクアップローラ本体部27aの長手方向の両端に設けられ水平方向に延在するテイクアップローラ軸部27bを備える。テイクアップローラ本体部27aとテイクアップローラ軸部27bとは中心軸線が同軸となるように配置されている。各テイクアップローラ軸部27bは、軸受を介して筐体60に対して回転可能に支持されている。テイクアップローラ27は、ベルト25の移動に伴って、水平方向に沿って延びる中心軸線を中心に回転する。テイクアップローラ27は、ダウンスパウト24の下端と筐体60の天井部61との接続部分の鉛直下方に配置されている。
【0042】
また、給炭機20には、ベルト25上の固体燃料の重量を計測する計量装置70が設けられている。計量装置70は、2つの計量スパンローラ71と、1つの計量ローラ72と、2つ(一対)のロードセル73と、を備えている。
【0043】
2つの計量スパンローラ71は、駆動ローラ26とテイクアップローラ27との間の領域に設けられている。また、2つの計量スパンローラ71のスパンローラ軸部71bは、搬送部22の長手方向に所定距離(計量スパンL)だけ離間して配置されている。また、2つの計量スパンローラ71は、無端状のベルト25が規定する空間(ベルト25の上面と下面の間)に配置されており、ベルト25の上面(固体燃料が積載される面)をベルト25の下方側から支持している。
【0044】
計量ローラ72は、駆動ローラ26とテイクアップローラ27との間に設けられている。詳細には、2つの計量スパンローラ71同士の離間した所定距離(計量スパンL)の略中央に設けられている。計量ローラ72は、無端状のベルト25が規定する空間(ベルト25の上面と下面の間)に配置されており、ベルト25の上面(固体燃料が積載される面)をベルト25の下方側から支持している。
【0045】
2つの計量スパンローラ71及び計量ローラ72とベルト25との接触位置(計量スパンローラ71及び計量ローラ72の長手方向に直交する断面では円周上端点)は、駆動ローラ26及びテイクアップローラ27とベルト25との接触位置(駆動ローラ26及びテイクアップローラ27の長手方向に直交する断面では円周上端点)よりも、わずかに上方に位置している。さらに、計量ローラ72のベルト25との接触位置(長手方向に直交する断面では円周上端点)は、2つの計量スパンローラ71のベルト25との接触位置(長手方向に直交する断面では円周上端点)よりも、わずかに上方に(例えば2mm~10mm)位置している。これにより、2つの計量スパンローラ71とその間に設けた計量ローラ72は、計量スパンLの所定距離間のベルト25の重量と、計量スパンLの所定距離間のベルト25の所定領域内に積載されている固体燃料の重量とを合計した荷重を支持していて、この荷重値は後述するように計量ローラ72を介したロードセル73での計測値となる。また、2つの計量スパンローラ71とその間に設けた計量ローラ72はベルト25と確実に接触していることから、ベルト25の移動に伴い、計量スパンローラ71と計量ローラ72は確実に回転することになる。
なお、ベルト25の上面(固体燃料が積載される面)に対して、駆動ローラ26及びテイクアップローラ27と計量スパンローラ71及び計量ローラ72以外にベルト25を支持する部材(以下、「他の部材」と称する。)がある場合には、他の部材がベルト25を支持する部分よりも、計量スパンローラ71のベルト25を支持する部分(ベルト25と接触する位置であり、長手方向に直交する断面では円周上端点)の方が、わずかに上方に位置するように計量スパンローラ71及び計量ローラ72を配置してもよい。
【0046】
ロードセル73は、
図2に示すように、上部は筐体60の天井部61から懸架されており、下部は計量ローラ72を回転可能に支持する軸受を介して連結されている。各ロードセル73は、搬送部22の長手方向と直交する方向に、ベルト25の両幅側に配置されており、一対となって、筐体60の天井部61から計量ローラ72を懸架している。これにより、ロードセル73は、計量ローラ72を介して、計量スパンL間の所定領域内のベルト25に積載されている固体燃料の重量を計測することができる。具体的には、ベルト25上に固体燃料が積載されていない場合のロードセル出力を、積載重量のゼロ点(風袋重量)として設定することで、ベルト25上に固体燃料が積載されていない場合のロードセル出力から、計量スパンL間の所定領域内のベルト25上に積載されている固体燃料の重量を計測することができる。これにより給炭機20及びミル10への固体燃料の供給量を管理することができる。
【0047】
各計量スパンローラ71は、
図5に示すように、ベルト25と当接する円柱状のスパンローラ本体部71aと、スパンローラ本体部71aの長手方向の両端に設けられ水平方向に延在するスパンローラ軸部71bを有する。スパンローラ本体部71aとスパンローラ軸部71bとは中心軸線が同軸となるように配置されている。各スパンローラ軸部71bは、筐体60の側壁部63を貫通し、筐体60の外部に突出している。各スパンローラ軸部71bと側壁部63との間には、スパンローラ軸部71bを回転可能に支持する軸受71cが設けられている。各計量スパンローラ71はベルト25に確実に接触することから、ベルト25の移動に伴って、水平方向に沿って延びる中心軸線を中心に確実に回転する。
【0048】
本実施形態では、給炭機20及びミル10への固体燃料の供給量を管理のために設置してあるロードセル73、計量スパンローラ71、計量ローラ72を用いて、ベルト25の移動に伴い、確実に回転する計量スパンローラ71と計量ローラ72の回転を利用してベルト25の移動を監視する。すなわち、2つの計量スパンローラ71のうちの1つ(本実施形態では、一例として固体燃料流れにおける下流側に配置される計量スパンローラ71)には、回転検出部80が設けられている。回転検出部80は、1つの計量スパンローラ71の2つのスパンローラ軸部71bのうちの1つのスパンローラ軸部71bに対して設けられている。回転検出部80は、筐体60の外部に配置されている。回転検出部80は、ベルト25の移動に伴って確実に回転する計量スパンローラ71の回転の有無を検出する。
回転検出部80は、
図4及び
図5に示すように、ケーシング81と、ケーシング81の内部に配置される歯車82と、検出方向における歯車82の歯の存在の有無を検出する歯車検出部83と、を有している。なお、回転検出部80は筐体60の内部に配置されていてもよい。
【0049】
ケーシング81は、回転検出部80の外殻を為し、内部に歯車82及び歯車検出部83を収容している。
歯車82は、中心部(基部82a)が計量スパンローラ71のスパンローラ軸部71bに固定されている。歯車82は、計量スパンローラ71の回転に伴って、計量スパンローラ71と同軸に回転する。すなわち、歯車82は水平方向に延びる中心軸線を中心として回転する。
歯車82は、スパンローラ軸部71bに固定される基部82aと、基部82aの外周部から歯車82の径方向に突出する複数(本実施形態では一例として3つ)の歯部82bを有している。3つの歯部82bは、基部82aの周方向に一定の間隔で配置されている。すなわち、本実施形態の例での3つの歯車82は、120度間隔で配置されている。歯車82は、スパンローラ軸部71bに固定されているため、計量スパンローラ71の回転に伴って回転する。計量スパンローラ71の回転数と歯車82の回転数とは、同じ回転数となる。
【0050】
歯車検出部83は、歯車82を覆う円環部83aと、円環部83aの内周面に固定され歯車82の外周面(歯部82bの外周側)と対向するセンサ部83bとを有する。センサ部83bは、回転する歯車82のうち歯部82bのみを検出する。すなわち、センサ部83bは、基部82aを検出しない。センサ部83bは、歯車82の径方向の外側であって、本実施形態では例えば、上方に配置される。また、センサ部83bは、歯部82bがセンサ部83bに最も近づいた状態でわずかに歯部82bから離間するように配置される。センサ部83bと歯部82bとの離間する距離は、0.5mmから2mm程度が好適であるが、この値に限定されない。離間する距離は、センサ部83bの検出性能に依存しており、歯部82bを検出することができる距離であればよい。センサ部83bとして、例えば、反射型光電センサを用いることができる。センサ部83b付近を通過する歯部82bの外周側に向けて光を照射する光源を設けてもよい。なお、センサ部83bは反射型光電センサに限定されず、歯部82bを検出することができるセンサであれば、静電ギャップセンサなどいずれのセンサであってもよい。また、歯車検出部83は、歯車82に対して、計量スパンローラ71の軸方向外側に配置され、センサ部83bが歯部82bを計量スパンローラ71の軸方向外側から検出するようにしてもよい。
歯車82が回転することで、歯車82の複数の歯部82bが順番にセンサ部83bと対向するようにセンサ部83bの下方を通過する。センサ部83bは、通過する各歯部82bを検出する。また、センサ部83bは、歯部82bを検出すると、制御装置50へ情報を送信する。制御装置50は、センサ部83bからの情報に基づいて、歯部82bの検出間隔Δt(1つの歯部82bを検出してから、次の歯部82bを検出するまでの間隔)を導出する。また、制御装置50は、歯部82bの検出間隔に基づいて、歯車82の回転数(回転速度)を算出する。
【0051】
なお、歯車82の歯部82bの数は、3つに限定されない。歯車82の数は、以下の考え方から決定される。歯部82bの数を多く設けた場合、歯車82の回転数を測定する精度が向上する。特に、特に回転数が低い場合に、測定精度が向上する。一方で、歯部82bの数を多く設けた場合、歯車82が回転しているか否かの検出については、検出精度が低下する傾向がある。また、歯部82bの数を少なくした場合には、歯車82が回転しているか否かの検出は、歯部82bの有無に対する検出精度が高く確実な検出が可能となるが、一方で、センサの不感時間が長くなるため、好ましくない。以上を考慮すると、歯部82bの数は、2から6つが好適であり、特に3つから4つがより好適である。
【0052】
また、
図6に示すように、ダウンスパウト24には、フローモニタ90が設けられている。フローモニタ90は、ダウンスパウト24の長手方向に、所定の間隔で並んで複数配置されていてもよい。フローモニタ90の検出部は、ダウンスパウト24の内周面から径方向の中心に向かって突出している。フローモニタ90は、
図7に示すように、ダウンスパウト24内を通過する固体燃料がフローモニタ90の検出部に接触した際に発生する擦過音を検出することで、固体燃料の流れが有る状態(以下、「ON状態」と称する。)であることを検知する。
【0053】
また、給炭機20には、
図2に示すように、ベルト25上に固体燃料が積載されているか否かを検出するパドルスイッチ91が設けられている。パドルスイッチ91は、ベルト25の上方に設けられている。パドルスイッチ91は、板状の部材であって、上端が回動可能に固定されている。また、パドルスイッチ91は、下端がベルト25の上面から所定の距離離間するように配置されている。
図8に示すように、ベルト25上の固体燃料がパドルスイッチ91の下端を押し上げることで、ベルト25上に固体燃料が積載されている状態(以下、「ON状態」と称する。)であることを検知する。
【0054】
制御装置(制御部)50は、
図10に示すように、電動モータ23の電流値を検出する電流値検出部51と、ベルト25が移動しているか否かを判断する移動判断部52と、記憶部53と、移動判断部52の判断に基づいて給炭機20及びミル10を停止する停止部54と、を備えている。
【0055】
電流値検出部51は、電動モータ23から送信される情報に基づいて、駆動ローラ26を回転させるときの電動モータ23の電流値を検出する。
【0056】
移動判断部52は、回転検出部80が検出した計量スパンローラ71の回転数と、電流値検出部51が検出した電動モータ23の電流値とに基づいて、給炭機20のベルト25が確実に移動しているか否かを判断する。具体的には、移動判断部52は、計量スパンローラ71の回転数が所定の回転数以下であって、かつ、電動モータ23の電流値が所定の電流値以下の場合に、ベルト25が移動していないと判断する。すなわち、移動判断部52は、計量スパンローラ71の回転数が所定の回転数よりも多い場合、及び/または、電動モータ23の電流値が所定の電流値よりも大きい場合には、ベルト25が移動していると判断する。移動判断部52は、回転検出部80が歯部82bの通過を検出する検出間隔Δtが、所定の設定時間Tよりも大きい場合に、計量スパンローラ71の回転速度(回転数)が所定の回転数以下であると判定する。すなわち、センサが1つの歯部82bを検出した後に、所定の設定時間Tを超えても次の歯部82bを検出しない場合には、計量スパンローラ71が回転していない(もしくは、計量スパンローラ71の回転速度が著しく低下している)と考えられる。このため、このような場合にあって、かつ、電動モータ23の電流値が所定の電流値以下の場合には、計量スパンローラ71に回転力を付与するベルト25が移動していないと、移動判断部52が判断する。
【0057】
記憶部53は、移動判断部52が判断を行う際に用いる所定の設定時間T及び電動モータ23の所定の電流値を記憶している。
所定の設定時間Tは、以下の考え方から決定される。
図9に示すように、設定時間Tは、ベルト25移動時の歯車検出部83の検出パルス間隔以上とする。また、設定時間Tは、パルス間隔の3倍以下とする。
例えば、ベルト25の移動速度が1000mm/分であって、計量スパンローラ71の回転数が5回転/分であって、計量スパンローラ71が1回転あたり3パルス(歯部82bの数が3)出力する場合には、検出パルス数は15パルス/分となる。このため、パルス間隔は4秒となる。よって、この場合の設定時間Tは、4秒以上が好適である。また、設定時間Tは、パルス間隔の3倍以下程度とするのが好適であるので、12秒以下が好適である。以上から、この例では、設定時間Tは4秒以上であって、12秒以下が好適である。このように設定時間Tを設定することで、好適にベルト25の移動の有無を検出することができる。すなわち、ベルト25の移動感度を100mmとすると、ベルト25が移動感度である100mm移動するのに要する時間は、100mm/(1000mm/60)から6秒となる。よって、設定時間Tを4秒以上で12秒以下に設定すれば、移動感度を100mm単位(移動速度の1/10単位)でのベルト25の移動の有無の監視を行うことができる。
【0058】
また、所定の電流値は、以下の考え方から決定される。
電動モータ23の電流値は、給炭機20のベルト25を取り外した状態(以下、「ベルトなし状態」と称する)における電動モータ23の電流値よりも、ベルト25を取り付けた状態であってベルト25上に固体燃料が載っていない状態(以下、「無負荷状態」と称する。)の電流値の方が大きくなる。また、電動モータ23の電流値は、無負荷状態よりも、ベルト25上に固体燃料が載っている状態の方が大きくなる。本実施形態では、無負荷状態における電流値を所定の電流値として設定している。電動モータ23の電流値が所定の電流値以下では、ベルト25上に固体燃料が載っていない無負荷状態として判断して、ベルト25上に固体燃料の有無の監視を行うことができる。
【0059】
停止部54は、計量スパンローラ71の回転速度(回転数)が所定の回転数以下であると判定し、かつ、電動モータ23の電流値が所定の電流値以下で無負荷状態として判断した場合に、ベルト25が移動していないと移動判断部52が判断した場合に、ミル10への固体燃料の供給がなされていないと判断し、移動停止警報を発信して、給炭機20及びミル10を停止させる。
【0060】
なお、本実施形態では、移動判断部52が、計量スパンローラ71の回転数及び電動モータ23の電流値に基づいてベルト25が移動しているか否かを判断しているが、本開示はこれに限定されない。例えば、
図10の破線で示すように、フローモニタ90及びパドルスイッチ91からの情報を取得し、計量スパンローラ71の回転数及び電動モータ23の電流値によるベルト25の移動の有無の判断だけでなく、フローモニタ90及びパドルスイッチ91からの情報を加えて、ミル10への固体燃料の供給の有無を判断してもよい。この場合は、ベルト25の移動の有(計量スパンローラ71が所定の回転数を超える、または、電動モータ23の電流値が所定の電流値を超える)で、かつ、フローモニタ90がON状態(固体燃料の流れあり)で、かつ、パドルスイッチ91がON状態(ベルト25上の固体燃料積載あり)の場合に、ミル10への固体燃料の供給がなされていると判断する。
【0061】
次に、本実施形態の制御装置50が行う処理について
図11のフローチャートを用いて説明する。
まず、制御装置50は、ステップS1で、回転検出部80から計量スパンローラ71の回転数を取得するとともに、計量スパンローラ71の回転数が所定の回転数以下か否かを判断する。所定の回転数以下の場合には、ステップS2に進む。所定の回転数以下ではない場合には、ステップS1を繰り返す。
ステップS2では、制御装置50は、電動モータ23の電流値が所定の電流値以下か否かを判断する。所定の電流値以下の場合には、ステップS3に進む。所定の電流値以下ではない場合には、ステップS1に戻る。
ステップS3では、制御装置50は、移動停止警報を発信する。移動停止警報は、ベルト25の移動が停止していることを通知する警報である。移動停止警報を発信すると制御装置50はステップS4に進む。ステップS4では、制御装置50は、給炭機20を停止させる。給炭機20を停止すると制御装置50はステップS5に進む。ステップS5では、制御装置50は、ミル10を停止させる。ミル10を停止すると、制御装置50は本処理を終了する。
なお、給炭機20の停止及びミル10の停止は、移動停止警報が発信されたことに基づき、例えば運転員等が手動で行ってもよい。また、給炭機20及びミル10の停止後に、ボイラ200の性能への影響の有無を確認し、例えば、ボイラ出口における燃焼排ガス中の窒素酸化物(NOx)濃度の増加傾向が継続しており、その増加分の処理対応が困難と判断される場合には、脱硝装置に供給される脱硝反応剤(例えば、アンモニア)の量を一時的に増加させることで、脱硝装置で除去されるNOx量を増加させ、脱硝装置出口における燃焼排ガス中のNOx濃度の増加を抑制してもよい。
【0062】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、移動判断部52が、計量スパンローラ71の回転数及び電動モータ23の電流値に基づいて、固体燃料を搬送するベルト25が移動しているか否かを判断している。ベルト25が移動している場合には、ベルト25が固体燃料を搬送するため、ミル10に固体燃料が供給されている状態となる。一方、ベルト25が移動していない場合には、ベルト25が固体燃料を搬送しないため、ミル10に固体燃料が供給されていない状態となる。したがって、ベルト25が移動している否かを判断することで、ミル10に固体燃料が供給されているか否かを判断することができる。
【0063】
なお、ミル10に固体燃料が供給されているか否かを判断する方法として、以下のような方法も考えられる。例えば、フローモニタ90とパドルスイッチ91との両方が、ON状態でなくなった場合(すなわち、どちらも固体燃料の流れがあると検知しないOFF状態となった場合)に、固体燃料が供給されていないと判断することも考えられる。
しかしながら、このような方法では、以下のような問題が生じる場合がある。固体燃料は、バンカ上流に設けられた選別機(図示省略)により異物(例えば、鉄破片)が除去されるが、選別機で固体燃料に混在する異物を全て除去することは困難である。このため、固体燃料と共に異物が給炭機20へ供給される等の要因で、固体燃料以外の荷重負荷がベルト25に掛かることがある。このような想定されていない荷重負荷がベルト25に掛かることで、駆動ローラ26の駆動ローラ軸部26bへの負荷応力が増加して、駆動ローラ軸部26bが損傷する可能性がある。仮に、駆動ローラ軸部26bが損傷した場合には、ベルト25の移動が停止することから、給炭機20とバンカ間のダウンスパウト内の固体燃料の移動が停止する。固体燃料の移動が停止すると、固体燃料がフローモニタ90を通過する際の擦過音が発生しないため、フローモニタ90がOFF状態となる。一方で、停止したベルト25上には固体燃料が残留しているので、残留した固体燃料により、スイッチパドルは押し上げられた状態のままとなる。すなわち、パドルスイッチ91はON状態となる。このように、駆動ローラ軸部26bが損傷した場合には、パドルスイッチ91はOFF状態とならず、固体燃料が供給されていないと判断することができない。したがって、実際にはミル10に固体燃料が供給されていないにも関わらず、固体燃料がミル内へ供給されていると誤判断される場合がある。このように、フローモニタ90とパドルスイッチ91だけでは、ミル10に固体燃料が供給されているか否かを判断する検出精度が十分でない場合がある。
【0064】
一方で、本実施形態では、ベルト25の移動とともに回転する計量スパンローラ71によって、ベルト25の移動の有無を判断している。このように、ベルト25と密接な連動状態にある部位の動作状態に基づいてベルト25の移動の有無を判断しているので、より直接的にベルト25が移動しているか否かを判断することができる。したがって、移動判断部52が行う判断の確実性を向上させることができる。よって、ミル10に固体燃料が供給されているか否かを、より正確に判断することができる。
【0065】
また、計量スパンローラ71のベルト25との接触位置は、駆動ローラ26及びテイクアップローラ27のベルト25の接触位置よりも上方に位置しており、ベルト25にかかる荷重を支持している。すなわち、ベルト25は重力により計量スパンローラ71に押し付けられている。これにより、計量スパンローラ71は、ベルト25と離間し難い。したがって、ベルト25が移動しているにもかかわらず計量スパンローラ71が回転しない状態(以下、「スリップ状態」と称する。)になり難く、ベルト25が移動により計量スパンローラ71が確実に回転する。本実施形態では、このように、スリップ状態となり難い計量スパンローラ71の回転数に基づいて、ベルト25の移動の有無を判断している。よって、より確実にベルト25が移動しているか否かを判断することができる。計量ローラ72の回転数に基づいて、ベルト25の移動の有無を判断してもよい。また、計量スパンローラ71と計量ローラ72の複数の回転に対して各々回転検出部80を設けて、複数で計測した全て回転数が所定の回転数以下であるかでベルト25の移動の有無を判断してもよい。
【0066】
また、給炭機20に既設されている計量スパンローラ71に回転検出部80を設けている。これにより、回転検出部80を設けるために、別途ベルトローラを設ける場合と比較して、部品点数を低減することができる。したがって、ベルト25の移動の有無を検知するための設備コストを低減することができる。
【0067】
また、本実施形態では、移動判断部52が、回転検出部80が検出した回転数と電流値検出部51が検出した電流値とに基づいて、ベルト25が移動しているか否かを判断している。このように、2つのパラメータに基づいてベルト25の移動の有無を判断することで、より正確にベルト25が移動しているか否かを判断することができる。
【0068】
また、本実施形態では、移動判断部52が、計量スパンローラ71の回転数が所定の回転数以下であって、かつ、電動モータ23の電流値が所定の電流値以下である場合に、ベルト25が移動していないと判断する。すなわち、計量スパンローラ71の回転数と、電動モータ23の電流値とのいずれか一方が、所定の値よりも大きい場合には、ベルト25が移動していると判断する。例えば、計量スパンローラ71の回転数のみに基づいてベルト25の移動の有無を判断する場合、計量スパンローラ71が仮にスリップ状態となった際に、実際にはベルト25が移動しているにもかかわらず、計量スパンローラ71の回転数が低減し、ベルト25が移動していないと判断してしまう可能性がある。本実施形態では、電動モータ23の電流値によってもベルト25の移動の有無を判断している。電流値は、計量スパンローラ71が仮にスリップ状態となった場合でも、低減し難いので、所定の電流値以下とならない。したがって、計量スパンローラ71が仮にスリップ状態となった場合であっても、移動判断部52は、ベルト25が移動していると判断することができる。このように、本実施形態では、より正確にベルト25が移動しているか否かを判断することができる。
【0069】
本実施形態では、停止部54が、ベルト25が移動していないと移動判断部52が判断した場合に、給炭機20及びミル10を停止させる。これにより、実際に固体燃料がミル10に供給されていないにもかかわらず、給炭機20及びミル10の運転が継続され、ボイラの性能に影響を与えることを抑制することができる。
【0070】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について、
図12及び
図13を用いて説明する。
本実施形態に係るボイラシステムは、ミル10の運転状態を検出する運転状態検出部92、給炭機20の内部の圧力とミル10の内部の圧力との差圧を検出する第1差圧検出部93、バーナ部220が形成する火炎を検知する火炎検知器94、ミル10の内部の圧力とボイラ200の火炉210内の圧力との差圧を検出する第2差圧検出部95、及びボイラ200の運転状態を検出するボイラ状態検出部96を備えている点で、第1実施形態と異なる。また、制御装置150が行う処理が第1実施形態と異なっている。他の構成については、第1実施形態と同様であるので、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0071】
本実施形態に係るボイラシステムは、
図12に示すように、ミル10の運転状態を検出する運転状態検出部92と、給炭機20の内部の圧力とミル10の内部の圧力との差圧を検出する第1差圧検出部(差圧検出部)93と、ボイラ200に設けられたバーナ部220が形成する火炎を検知する火炎検知器94と、ミル10の内部の圧力とボイラ200の火炉210内の圧力との差圧を検出する第2差圧検出部95と、ボイラ200の運転状態を検出するボイラ状態検出部96と、を備えている。ミル10の運転状態とは、例えば、ミル10のローラ13のリフト量(回転テーブル12の表面とミル10のローラ13の粉砕面との離間距離)や、回転テーブル12の上方と下方との間の差圧や、ミル10入口における搬送用ガスの温度等が挙げられる。
【0072】
また、本実施形態に係る制御装置150は、供給判断部55を有する。供給判断部55は、運転状態検出部92、第1差圧検出部93、火炎検知器94、第2差圧検出部95及びボイラ状態検出部96からの情報に基づいて、給炭機20からミル10へ固体燃料が供給されているか否かを判断する。具体的には、供給判断部55は、運転状態検出部92、第1差圧検出部93、火炎検知器94、第2差圧検出部95及びボイラ状態検出部96からの情報が、記憶部53に記憶されている通常運転時の情報と異なる場合に、給炭機20からミル10へ固体燃料が供給されていないと判断する。詳細には、例えば、第1差圧検出部93が検出する差圧や、第2差圧検出部95が検出する差圧が、通常運転時の差圧よりも低い場合に、給炭機20からミル10へ固体燃料が供給されていないと判断する。
なお、ミル10へ固体燃料が供給されている状態とは、固体燃料がミル10に常時供給されている状態に限らず、ミル10及びミル10から固体燃料が供給されるボイラ200において、通常の能力を発揮することができる程度にミル10内の固体燃料の量が維持されるように、固体燃料が供給されている状態も含む。
【0073】
また、本実施形態に係る停止部54は、ベルト25が移動していないと移動判断部52が判断し、かつ、固定燃料がミル10に供給されていないと供給判断部55が判断した場合に給炭機20及びミル10を停止させる。
【0074】
次に、本実施形態の制御装置150が行う処理について
図13のフローチャートを用いて説明する。
まず、制御装置150は、ステップS11で、回転検出部80から計量スパンローラ71の回転数を取得するとともに、計量スパンローラ71の回転数が所定の回転数以下か否かを判断する。所定の回転数以下の場合には、ステップS12に進む。所定の回転数以下ではない場合には、ステップS11を繰り返す。
ステップS12では、制御装置150は、電動モータ23の電流値が所定の電流値以下か否かを判断する。所定の電流値以下の場合には、ステップS13に進む。所定の電流値以下ではない場合には、ステップS11に戻る。
ステップS13では、制御装置150は、移動停止警報を発信する。第1実施形態では制御装置50は、移動停止警報を発信した後に、給炭機20を停止させるステップに進んでいたが、本実施形態ではステップS14の判断に進める。
移動停止警報を発信すると制御装置150はステップS14に進む。ステップS14では、制御装置150は、給炭機20からミル10へ固体燃料が供給されているかを判断する。供給されていないと判断した場合には、ステップS15へ進む。供給されていると判断した場合には、ステップS11に戻る。
ステップS15では、制御装置150は、給炭機20を停止させる。給炭機20を停止すると制御装置150はステップS16に進む。ステップS16では、制御装置150は、ミル10を停止させる。ミル10を停止すると、制御装置150は本処理を終了する。
なお、給炭機20の停止及びミル10の停止は、移動停止警報が発信されたことに基づき、例えば運転員等が手動で行ってもよい。また、給炭機20及びミル10の停止後に、ボイラ200の性能への影響の有無を確認し、例えば、ボイラ出口における燃焼排ガス中の窒素酸化物(NOx)濃度の増加傾向が継続しており、その増加分の処理対応が困難と判断される場合には、脱硝装置に供給される脱硝反応剤(例えばアンモニア)の量を一時的に増加させることで、脱硝装置で除去されるNOx量を増加させ、脱硝装置出口における燃焼排ガス中のNOxの増加を抑制してもよい。
【0075】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
給炭機20及びミル10を停止させると、停止期間中は固体燃料を粉砕した微粉燃料をボイラ200に供給することができない。また、給炭機20及びミル10の再起動には所定の時間を要するため、再起動期間中も固体燃料を粉砕した微粉燃料をボイラ200に供給することができない。したがって、ボイラシステム1の出力(発電量)の低下やボイラシステム1の稼働率の低下が発生してしまう可能性があった。
本実施形態では、ベルト25が移動していないと移動判断部52が判断した場合に、すぐに、給炭機20及びミル10を停止させずに、ミル10の運転状態や燃料供給装置の内部の圧力と粉砕機の内部の圧力との差圧等に基づいてミル10に固体燃料が供給されているか否かを判断する。そして、ミル10へ固体燃料が供給されていると判断した場合には、給炭機20及びミル10の運転を継続している。これにより、例えば誤検知による給炭機20及びミル10の停止を抑制することができる。
【0076】
また、例えば、ベルト25が新品であり移動動作に際して各ベルトローラと馴染んでいない場合などに、駆動ローラ26とベルト25との接触抵抗が低下して、駆動ローラ26の駆動力がベルト25に伝達されない状態(以下、「スリップ状態」と称する。)が初期に一時的に発生する場合がある。スリップ状態が発生すると、一時的にベルト25の移動が停止し、計量スパンローラ71が回転しない場合がある。スリップ状態となると、計量スパンローラ71の回転数が低減し、所定の回転数以下となる場合がある。また、ベルト25の接触抵抗が低下して駆動ローラ26が一時的に空回りすることにより、電動モータ23の電流値が、所定の電流値以下となる場合がある。したがって、移動判断部52が、ベルト25が移動していないと判断する可能性がある。
【0077】
初期に一時的に発生する可能性のあるスリップ状態は、運転を継続することで、ベルト25が馴染み、短時間(固体燃料の供給停止がミル10及びボイラ200へ影響がおよばない時間以内)で自動的に解消する可能性がある。よって、移動判断部52の判断のみで給炭機20及びミル10を停止する場合には、短時間のうちに自動的にスリップ状態が解消し、その後のスリップ状態を繰り返さない一過性の事象として解決する可能性があるにも関わらず、給炭機20及びミル10を停止させてしまう可能性があった。すなわち、実際には給炭機20に、駆動ローラ軸部26bの損傷等の自動的に解消し得ない異常により給炭機20を停止する必要な事態が発生していない場合であっても、給炭機20及びミル10を停止させて、給炭機20及びミル10の再起動には所定の時間を要してしまう可能性があった。
【0078】
本実施形態では、ベルト25が移動していないと移動判断部52が判断した場合に、すぐに、給炭機20及びミル10を停止させずに、ミル10に固体燃料が供給されているか否かを判断する。したがって、ミル10に固体燃料が供給されている状態(ミル10及びボイラ200において、通常の能力を発揮することができる程度にミル10内の固体燃料の量が維持されている状態)であるうちに、例えばスリップ状態などのベルト25の移動の一時的な停止が自動的に解消した場合には、給炭機20及びミル10を停止させずに済む。したがって、ボイラシステム1の出力(発電量)の低下やボイラシステム1の稼働率の低下を抑制することができる。
【0079】
なお、本開示は上記各実施形態の構成のみに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更や改良を加えることができ、このように変更や改良を加えた実施形態も本開示の権利範囲に含まれるものとする。
例えば、上記各実施形態では、計量スパンローラ71に回転検出部80を設ける例について説明したが、本開示はこれに限定されない。回転検出部80は、ベルト25の移動によって回転する部材であればよく、例えば、ベルト25の移動を検出するための専用のベルトローラ(以下、「専用ローラ」と称する。)を設け、専用ローラに回転検出部を設けてもよい。また、計量ローラ72、駆動ローラ26、テイクアップローラ27もしくはその他のベルトローラに回転検出部80を設けてもよい。
また、移動判断部52は、回転検出部80のみの情報に基づいて、ベルト25が移動しているか否かを判断してもよい。
さらに、上記各実施形態では、燃料供給装置を重量計量式の給炭機とした場合の例について説明したが、本開示はこれに限定されない。燃料供給装置は、容積計量式の給炭機やその他のベルト式のコンベア装置であってもよい。
【0080】
以上説明した各実施形態に記載の燃料供給装置、固体燃料粉砕装置及びボイラシステム並びに燃料供給装置の運転方法は例えば以下のように把握される。
本開示の一態様に係る燃料供給装置(20)は、固体燃料を供給する燃料供給装置(20)であって、前記固体燃料を搬送するベルト(25)と、前記ベルト(25)の移動とともに回転する複数のベルトローラ(71、72、26、27)と、複数の前記ベルトローラのうち、少なくとも1つの前記ベルトローラの回転数を検出する回転検出部(80)と、前記回転検出部(80)が検出した回転数に基づいて、前記ベルト(25)が移動しているか否かを判断する移動判断部(52)と、を備える。
【0081】
上記構成では、ベルトの移動とともに回転するベルトローラの回転数に基づいて、移動判断部が、固体燃料を運搬するベルトが移動しているか否かを判断することができる。ベルトが移動している場合には、ベルトが固体燃料を運搬するため、粉砕機に固体燃料が供給されている状態となる。一方、ベルトが移動していない場合には、ベルトが固体燃料を運搬しないため、粉砕機に固体燃料が供給されない状態となる。したがって、ベルトが移動している否かを判断することで、粉砕機に固体燃料が供給されているか否かを判断することができる。
また、上記構成では、ベルトの移動とともに確実に回転するベルトローラによって、ベルトの移動の有無を判断している。このように、ベルトと密接な連動状態にある部位の確実な動作状態に基づいてベルトの移動の有無を判断しているので、より直接的にベルトが移動しているか否かを判断することができる。したがって、移動判断部が行う判断の確実性を向上させることができる。よって、粉砕機に固体燃料が供給されているか否かを、より正確に判断することができる。
【0082】
また、本開示の一態様に係る燃料供給装置(20)は、前記回転検出部が回転数を検出する前記ベルトローラには、前記ベルトにかかる荷重を支持する前記ベルトローラが含まれる。
【0083】
上記構成では、ベルトローラはベルトにかかる荷重を支持している。すなわち、ベルトは重力によりベルトローラに押し付けられている。これにより、ベルトローラは、ベルトと離間し難い。したがって、ベルトが移動しているにもかかわらずベルトローラが回転しない状態(以下、「スリップ状態」と称する。)になり難い。上記構成では、このように、スリップ状態となり難く、ベルトの移動で確実に回転するベルトローラの回転数に基づいて、ベルトの移動の有無を判断している。よって、より確実にベルトが移動しているか否かを判断することができる。
なお、ベルトにかかる荷重張力を支持するベルトローラの例としては、他のベルトを支持する部材よりもわずかに上方の位置でベルトを支持するベルトローラが挙げられる。具体的な例としては、計量スパンローラ及び計量ローラが挙げられる。
また、例えば、燃料供給装置に既設のベルトローラに回転検出部を設ける場合には、別途ベルトローラを設ける場合と比較して、部品点数を低減することができる。したがって、設備コストを低減することができる。
【0084】
また、本開示の一態様に係る燃料供給装置(20)は、前記回転検出部が回転数を検出する前記ベルトローラには、前記ベルトに張力を付与する前記ベルトローラが含まれる。
【0085】
上記構成では、ベルトローラはベルトに張力を付与しているものである。すなわち、ベルトは張力によりベルトローラに押し付けられている。これにより、ベルトローラは、ベルトと離間し難い。したがって、ベルトが移動しているにもかかわらずベルトローラが回転しないスリップ状態になり難く、ベルトの移動で確実に回転する。上記構成では、このように、スリップ状態となり難いベルトローラの回転数に基づいて、ベルトの移動の有無を判断している。よって、より確実にベルトが移動しているか否かを判断することができる。
なお、ベルトに張力を付与するベルトローラの例としては、搬送方向の両端に配置される駆動ローラとテイクアップローラや、搬送方向の両端に配置される駆動ローラとテイクアップローラへのベルトの巻き付け角を増加させるスナブローラが挙げられる。
【0086】
また、本開示の一態様に係る燃料供給装置(20)は、前記ベルト(25)を移動させる電動モータ(23)と、前記電動モータ(23)の電流値を検出する電流値検出部(51)と、を備え、前記移動判断部(52)は、前記回転検出部(80)が検出した回転数と、前記電流値検出部(51)が検出した電流値とに基づいて、前記ベルト(25)が移動しているか否かを判断する。
【0087】
上記構成では、移動判断部が、回転検出部が検出した回転数と電流値検出部が検出した電流値とに基づいて、ベルトが移動しているか否かを判断している。このように、2つのパラメータに基づいてベルトの移動の有無を判断することで、より正確にベルトが移動しているか否かを判断することができる。
【0088】
また、本開示の一態様に係る燃料供給装置(20)は、前記移動判断部(52)は、前記回転検出部(80)が検出する前記ベルトローラ(71)の回転数が所定の回転数以下であって、かつ、前記電流値検出部(51)が検出した電流値が所定の電流値以下である場合に、前記ベルト(25)が移動していないと判断する。
【0089】
上記構成では、移動判断部が、ベルトローラの回転数が所定の回転数以下であって、かつ、電動モータの電流値が所定の電流値以下である場合に、ベルトが移動していないと判断する。すなわち、ベルトローラの回転数と、電動モータの電流値とのいずれか一方が、所定の値よりも大きい場合には、ベルトが移動していると判断する。例えば、ベルトローラの回転数のみに基づいてベルトの移動の有無を判断する場合、ベルトローラが仮にスリップ状態となった際に、実際にはベルトが移動しているにもかかわらず、ベルトローラの所定の回転数以下に低下し、ベルトが移動していないと判断してしまう可能性がある。上記構成では、電動モータの電流値によってもベルトの移動の有無を判断している。電流値は、仮にベルトローラがスリップ状態となった場合でも、低減し難いので、所定の電流値以下とならない。したがって、ベルトローラが仮にスリップ状態となった場合であっても、移動判断部は、ベルトが移動していると判断することができる。このように、上記構成では、より正確にベルトが移動しているか否かを判断することができる。
【0090】
また、本開示の一態様に係る燃料供給装置(20)は、前記ベルト(25)が移動していないと前記移動判断部(52)が判断した場合に、燃料供給装置(20)を停止させる停止部(54)を有する。
【0091】
上記構成では、停止部が、ベルトが移動していないと移動判断部が判断した場合に、燃料供給装置を停止させる。これにより、実際に固体燃料が粉砕機に供給されていないにもかかわらず、燃料供給装置が駆動している状態の発生を抑制することができる。
【0092】
また、本開示の一態様に係る固体燃料粉砕装置(100)は、上記のいずれかに記載の燃料供給装置(20)と、前記燃料供給装置(20)から前記固体燃料を供給されて、前記固体燃料を粉砕する粉砕機(10)と、前記粉砕機(10)の運転状態を検出する運転状態検出部(92)と、前記運転状態検出部(92)が検出した前記粉砕機(10)の運転状態に基づいて前記燃料供給装置(20)から前記粉砕機(10)へ前記固体燃料が供給されているか否かを判断する供給判断部(55)と、前記ベルト(25)が移動していないと前記移動判断部(52)が判断した場合に、前記供給判断部(55)によって前記固体燃料が供給されているか否かを判断し、前記固体燃料が供給されていると前記供給判断部(55)が判断した場合には、前記燃料供給装置(20)及び前記粉砕機(10)の運転を継続し、前記固体燃料が供給されていないと前記供給判断部(55)が判断した場合に前記燃料供給装置(20)及び前記粉砕機(10)を停止させる制御部と、を備える。
【0093】
燃料供給装置及び粉砕機を停止させると、停止期間中は固定燃料を粉砕することができない。また、燃料供給装置及び粉砕機の再起動に時間を要するため、再起動期間中も固体燃料を粉砕することができない。したがって、ボイラシステム1の出力(発電量)やボイラシステム1の稼働率が低下してしまう可能性があった。
上記構成では、ベルトが移動していないと移動判断部が判断した場合に、すぐに燃料供給装置及び粉砕機を停止させずに、粉砕機の運転状態に基づいて粉砕機に固体燃料が供給されているか否かを判断し、固体燃料が供給されていると判断した場合には、燃料供給装置及び粉砕機の運転を継続している。これにより、例えば誤検知による燃料供給装置及び粉砕機の停止を低減することができる。
【0094】
また、本開示の一態様に係る固体燃料粉砕装置(100)は、上記のいずれかに記載の燃料供給装置(20)と、前記燃料供給装置(20)から前記固体燃料を供給されて、前記固体燃料を粉砕する粉砕機(10)と、前記燃料供給装置(20)の内部の圧力と前記粉砕機(10)の内部の圧力との差圧を検出する差圧検出部(93)と、前記差圧検出部(93)が検出した差圧に基づいて前記燃料供給装置(20)から前記粉砕機(10)へ前記固体燃料が供給されているか否かを判断する供給判断部(55)と、前記ベルト(25)が移動していないと前記移動判断部(52)が判断した場合に、前記供給判断部(55)によって前記固体燃料が供給されているか否かを判断し、前記固体燃料が供給されていると前記供給判断部(55)が判断した場合には、前記燃料供給装置(20)及び前記粉砕機(10)の運転を継続し、前記固体燃料が供給されていないと前記供給判断部(55)が判断した場合に前記燃料供給装置(20)及び前記粉砕機(10)を停止させる制御部(50)と、を備える。
【0095】
上記構成では、ベルトが移動していないと移動判断部が判断した場合に、すぐに燃料供給装置及び粉砕機を停止させずに、燃料供給装置の内部の圧力と粉砕機の内部の圧力との差圧に基づいて粉砕機に固体燃料が供給されているか否かを判断し、固体燃料が供給されていると判断した場合には、燃料供給装置及び粉砕機の運転を継続している。これにより、例えば誤検知による燃料供給装置及び粉砕機の停止を低減することができる。
なお、供給判断部は、差圧が所定の差圧以下となった場合に、燃料供給装置から粉砕機へ固体燃料が供給されていないと判断してもよい。
【0096】
また、本開示の一態様に係る固体燃料粉砕装置(100)は、上記のいずれかに記載の燃料供給装置(20)と、前記燃料供給装置(20)から固体燃料を供給されて、前記固体燃料を粉砕する粉砕機(10)と、を備える。
【0097】
また、本開示の一態様に係るボイラシステム(1)は、上記のいずれかに記載の固体燃料粉砕装置(100)と、前記固体燃料粉砕装置(100)で粉砕した前記固体燃料を燃焼して蒸気を生成するボイラと、を備える。
【0098】
また、燃料供給装置(20)の運転方法は、固体燃料を供給する燃料供給装置(20)の運転方法であって、前記固体燃料を搬送するベルト(25)の移動とともに回転する複数のベルトローラ(71)のうち、少なくとも1つの前記ベルトローラの回転数を検出する回転数検出ステップと、前記回転数検出ステップで検出した回転数に基づいて、前記ベルト(25)が移動しているか否かを判断する移動判断ステップと、を備える。
【符号の説明】
【0099】
1 :ボイラシステム
10 :ミル(粉砕機)
11 :ハウジング
12 :回転テーブル
13 :ローラ
14 :駆動部
16 :回転式分級機
16a :ブレード
17 :燃料供給部
18 :分級機モータ
19 :出口
20 :給炭機(燃料供給装置)
21 :バンカ
22 :搬送部
23 :電動モータ
24 :ダウンスパウト
25 :ベルト
26 :駆動ローラ(ベルトローラ)
26a :駆動ローラ本体部
26b :駆動ローラ軸部
26c :軸受
27 :テイクアップローラ(ベルトローラ)
29 :給炭管
30 :送風部
30a :熱ガス流路
30b :冷ガス流路
30c :熱ガスダンパ
30d :冷ガスダンパ
31 :一次空気通風機
32 :押込気通風機
34 :熱交換器
40 :状態検出部
45 :ジャーナルヘッド
47 :支持アーム
48 :支持軸
49 :押圧装置
50 :制御装置(制御部)
51 :電流値検出部
52 :移動判断部
53 :記憶部
54 :停止部
55 :供給判断部
60 :筐体
61 :天井部
62 :底面部
63 :側壁部
70 :計量装置
71 :計量スパンローラ(ベルトローラ)
71a :スパンローラ本体部
71b :スパンローラ軸部
71c :軸受
72 :計量ローラ(ベルトローラ)
73 :ロードセル
80 :回転検出部
81 :ケーシング
82 :歯車
82a :基部
82b :歯部
83 :歯車検出部
83a :円環部
83b :センサ部
90 :フローモニタ
91 :パドルスイッチ
92 :運転状態検出部
93 :第1差圧検出部
94 :火炎検知器
95 :第2差圧検出部
96 :ボイラ状態検出部
100 :固体燃料粉砕装置
100a :一次空気流路
100b :供給流路
150 :制御装置
200 :ボイラ
210 :火炉
220 :バーナ部