(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】作動血塊回収カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3207 20060101AFI20240508BHJP
A61B 17/22 20060101ALI20240508BHJP
A61B 17/221 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
A61B17/3207
A61B17/22 528
A61B17/221
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020035529
(22)【出願日】2020-03-03
【審査請求日】2023-03-02
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515248931
【氏名又は名称】ニューラヴィ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・ケリー
(72)【発明者】
【氏名】カール・キーティング
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0264132(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0054918(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0236533(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0235743(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0009785(US,A1)
【文献】特開2014-198262(JP,A)
【文献】特開2012-196463(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0172554(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0030933(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管(30)内の閉塞物を回収するためのシステム(100)であって、
カテーテル(102)と、
第1の導電性ワイヤ(116、401)と、
前記第1の導電性ワイヤ(116、401)に第1の電流を提供する、電子回路(112)と、
前記第1の導電性ワイヤ(116、401)と電気的に連通し、形状記憶材料を含む、フレーム(110)であって、前記フレーム(110)の少なくとも第1の部分が、前記第1の電流によって加熱されると、折り畳まれた構成から拡張された構成に拡張可能であ
り、
前記フレーム(110)は第2の部分をさらに備える、フレーム(110)と、を備え、
絶縁接合部(304)が前記フレームの前記第1の部分を前記フレームの前記第2の部分に接続し、前記第1の電流が前記絶縁接合部(304)の一方の側から他方の側へと通過しない、システム。
【請求項2】
前記形状記憶材料が
、37℃を上回る遷移温度を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記形状記憶材料が
、45℃~55℃の遷移温度を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記フレーム(110)と電気的に連通する熱電冷却回路(123)を更に備え、前記フレーム(110)
の少なくとも
前記第1の部分は、前記熱電冷却回路(123)により熱が除去されると、前記拡張された構成から前記折り畳まれた構成に折り畳み可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記フレーム(110)の少なくとも
前記第2の部分が、加熱されると、開放構成から折り畳まれた構成に折り畳み可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記フレーム(110)の前記第2の部分と電気的に連通する第2の導電性ワイヤ(116、401)を更に備え、前記第2の導電性ワイヤ(116、401)が、前記電子回路(112)から第2の電流を受信する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記フレーム(110)の周囲に配設された膜カバーを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記フレーム(110)が、前記カテーテル(102)の内側管腔(302)内に配設されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記フレーム(110)と電気的に連通する熱電対(122、1502)を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記形状記憶材料は、前記フレーム(110)
の少なくとも
前記第1の部分が前記折り畳まれた構成にあるとき、マルテンサイト相にあり、
前記形状記憶材料は、前記フレーム(110)
の少なくとも
前記第1の部分が前記拡張された構成にあるとき、オーステナイト相にある、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、以下に完全に記載されるように、参照により本明細書に組み込まれる、2019年3月4日に出願された、米国仮特許出願第62/813,723号に対する、米国特許法第119条(e)における優先権及び利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、血管内医療処置中に血管から急性閉塞を除去するための装置及び方法に関する。より具体的には、本開示は、作動血塊回収カテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
血塊回収カテーテル及び装置は、多くの場合、患者が急性虚血性脳卒中(acute ischemic stroke、AIS)、心筋梗塞(myocardial infarction、MI)、及び肺塞栓症(pulmonary embolism、PE)などの状態に罹患している場合に、血管内介入のための機械的血栓除去に使用される。標的血管が挿入部位に対して小径で、距離があり、ひどく入り組んでいる際、神経血管床などの遠隔領域にアクセスすることは、従来の技術では困難である。
【0004】
血塊自体は、血管の形状を採る単純な管状構造から、一度に複数の血管にまたがり得る長いストランド状の配置にまで及ぶ、多数の複雑な形態及び一貫性を採ることにより、処置を複雑化し得る。血塊の年齢もまた、その伸展性に影響を及ぼし得、より古い血塊が、新鮮な血塊よりも圧縮性が低い傾向にある。フィブリンに富む血塊はまた、効果的に把持されるのではなく、機械的血栓除去装置の外側表面に沿って、血塊を回転させ得る粘着性の性質を有することにおける課題も提示する。軟らかい血塊領域と堅固な血塊領域との組み合わせはまた、遠位塞栓につながる断片化を伴って、吸引中に分離し得、これは、現在利用可能な装置で到達することができない血管内で生じ得る。加えて、脆弱血管を損傷することなく、血塊を血管壁に接着する結合部を破壊することは、著しく困難な課題である。
【0005】
従来の血塊回収カテーテル、特に神経血管内で動作するためのカテーテルは、多数の欠点に悩まされ得る。最初に、カテーテル自体の直径は、脈管構造に前進させるために十分小さくなければならず、これは神経血管系との関連において非常に小さい。カテーテルはまた、経路に沿って滑らかな前進を提供するために軸方向の剛性も有しながら、脈管構造をナビゲートし、かつ高歪みに耐えるために十分に可撓性でなければならない。一旦標的部位に達すると、本体から回収される典型的な物体は、カテーテル先端部よりも実質的により大きいサイズであり得、先端部に物体を回収することがより困難になる。例えば、フィブリンに富む血塊は、多くの場合、従来の固定口カテーテルの先端部内に詰まってしまう可能性があるため、抽出することが困難であり得る。この詰まりは、血塊のより軟らかい部分を堅固な領域から剪断させて、遠位の塞栓をもたらす場合がある。
【0006】
小径かつ固定された先端部サイズはまた、処置中に血液及び血栓材料を除去するのに必要な吸引を方向付ける際に、より効率性に劣り得る。吸引は、機械的血栓除去装置又は他の方法を使用することによって生じるいかなる断片化も、少なくとも静止して保持され得、その結果、断片が遠位血管を移動及び閉塞することができないように、十分に強力でなければならない。しかしながら、従来の固定口カテーテルで吸引するとき、吸引流のかなりの部分は、血塊が存在しないカテーテルの先端部の近位の血管流体から来ることになる。これは、吸引効率を大幅に低減し、血塊除去の成功率を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
開示される設計は、上記の欠陥に対処する改善された吸引回収カテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に提示される例としては、血管内医療処置中に血管から急性閉塞を除去するための装置及び方法が挙げられる。より具体的には、本開示は、作動血塊回収カテーテルシステムに関する。血管内の閉塞物を回収するための例示的なシステムは、カテーテルと、第1の導電性ワイヤと、電子回路と、を含むことができる。電子回路は、第1の導電性ワイヤに第1の電流を提供することができる。フレームは、カテーテルの遠位端部の近くに位置することができ、第1の導電性ワイヤと電気的に連通することができる。フレームは、材料のオーステナイト終了温度を上回るまで加熱されたとき、フレーム又はフレームの一部分をマルテンサイト相からオーステナイト相に遷移することを可能にする形状記憶材料を含むことができる。フレームの少なくとも第1の部分は、第1の電流によって加熱されると、折り畳まれた構成から拡張された構成に拡張可能であり得る。
【0009】
形状記憶材料は、およそ37℃を上回る遷移温度を有することができる。いくつかの実施例では、形状記憶材料は、およそ45℃~55℃の遷移温度を有し得る。
【0010】
システムは、フレームと電気的に連通する熱電冷却回路を含むことができる。フレームの少なくとも第1の部分は、熱電冷却回路によって熱を除去すると、拡張された構成から折り畳まれた構成に折り畳み可能であり得る。
【0011】
フレームの少なくとも第2の部分は、加熱されると、開放構成から折り畳まれた構成に折り畳み可能であり得る。
【0012】
システムは、フレームの第2の部分と電気的に連通する第2の導電性ワイヤを含むことができる。第2の導電性ワイヤは、電子回路から第2の電流を受信することができる。
【0013】
システムは、フレームの周囲に配設された膜カバーを含むことができる。
【0014】
フレームは、カテーテルの内側管腔内に位置することができる。他の実施例では、フレームは、閉塞物を捕捉するために、遠位端部から、例えば漏斗状のように延在する。
【0015】
システムは、フレームと電気的に連通する熱電対を含むことができる。熱電対は、フレームの少なくとも一部分から熱を除去することに役立ち得る。
【0016】
形状記憶材料は、フレームの少なくとも第1の部分が折り畳まれた構成にあるとき、マルテンサイト相にあり得る。形状記憶材料は、フレームの少なくとも第1の部分が拡張された構成にあるとき、オーステナイト相にあり得る。
【0017】
患者の血管から閉塞性血栓を回収する例示的な方法は、標的部位にフレームを含むカテーテルを送達することを含み得る。フレームは、形状記憶材料を含むことができる。方法は、フレームに第1の電流を送達することを含み得る。フレームを通って流れる電流は、フレームを加熱して、フレームの少なくとも第1の部分を、折り畳まれた構成から拡張された構成に変化させることができる。本方法は、閉塞性血栓をフレーム内に吸引することを含み得る。カテーテルは、閉塞性血栓を患者から引き出すことができる。
【0018】
フレームの形状記憶材料は、およそ45℃~55℃の遷移温度を有し得る。
【0019】
本方法は、第1の電流を停止することを含み得る。第1の電流を停止することによって、フレームの少なくとも第1の部分は冷却されて、フレームの少なくとも第1の部分を閉塞性血栓上で折り畳ませることができる。
【0020】
本方法は、フレームの少なくとも第1の部分を熱電冷却回路で冷却して、フレームの少なくとも第1の部分を閉塞性血栓上で折り畳ませることを含み得る。熱電冷却回路は、ペルチェチップ、熱電ワイヤ等を含むことができる。
【0021】
本方法は、第2の電流を、フレームの少なくとも第2の部分に送達することを含むことができる。第2の電流は、形状記憶材料の抵抗を通して熱を生成することができ、これにより、フレームの少なくとも第2の部分を、拡張された構成から折り畳まれた構成に、かつ閉塞性血栓の上で変化させる。
【0022】
本方法は、フレームと連通する熱電対を用いてフレームの温度を監視することを含み得る。本方法は、温度が第1の温度を上回るとき、第1の電流を停止することを含み得る。これにより、過剰な熱によって血管が損傷しないことを確実とすることができる。
【0023】
フレームは、カテーテルの内側管腔内に位置することができる。これらの実施例では、フレームの少なくとも第1の部分を折り畳まれた構成から拡張された構成に拡張させることにより、カテーテルの内径を増加させることができる。
【0024】
作動血塊回収システムを製造する例示的な方法は、第1の形状記憶材料を、拡張された構成を有する第1のフレームに熱硬化させることを含み得る。本方法は、第1の形状記憶材料を冷却することと、第1のフレームを折り畳まれた構成に折り畳ませることと、を含み得る。本方法は、カテーテルのカテーテル壁内に配設された第1の導電性ワイヤの第1の端部に第1のフレームを接続することを含み得る。本方法は、第1の導電性ワイヤの第2の端部を電子回路に接続することを含み得る。本方法は、膜を第1のフレーム及びカテーテルの遠位端部に適用することを含み得る。
【0025】
本方法は、第2の形状記憶材料を、折り畳まれた構成を有する第2のフレームに熱硬化させることを含み得る。本方法は、第2のフレームを、カテーテル壁内に配設された第2の導電性ワイヤの第1の端部に接続することを含み得る。本方法は、第2の導電性ワイヤの第2の端部を電子回路に接続することを含み得る。本方法は、膜を第2のフレームに適用することを含み得る。
【0026】
第1の形状記憶材料及び第2の形状記憶材料は、異なる合金であり得、第1のフレーム及び第2のフレームは、同軸であり、カテーテルの遠位端部に接続され得る。換言すれば、第2のフレームは、第2のフレームが第1のフレーム上で閉じることができるように、第2のフレーム上に円周方向に位置決めすることができる。
【0027】
第1の形状記憶材料及び第2の形状記憶材料は、同じ合金を含むことができ、第1の形状記憶材料及び第2の形状記憶材料は、異なるオーステナイト終了温度を有することができる。
【0028】
本方法は、第1のカテーテル層を提供することと、第1のカテーテル層上に第1の導電性ワイヤを配設することと、を含み得る。本方法は、第1の導電性ワイヤ及び第1のフレームの第1のアンカー支柱上に第2のカテーテル層を適用することを含み得る。第1のフレームを第1の導電性ワイヤの第1の端部に接続することは、第2のカテーテル層を適用する前に、第1のアンカー支柱を第1の導電性ワイヤに接続することを含み得る。
【0029】
本方法は、第1のフレームを、折り畳まれた構成に保持するためのリングで、第1のフレームを包被することを含み得る。膜を第1のフレームに適用することは、第1のフレーム及びリングを膜材料に浸漬することと、膜材料を冷却することと、を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本開示の上記及び更なる態様は、添付の図面の以下の説明で更に考察され、様々な図面において、同様の数字は、同様の構造要素及び特徴を示す。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、本開示の原理を例示することに主眼が置かれている。図は、限定としてではなく単なる例示として、本発明の装置の1つ又は2つ以上の実装形態を描写している。当業者は、ユーザの要望により良好に適合させるために、複数の図から要素を考案し、組み合わせ得ることが想定される。
【
図1A】本開示の態様による、例示的な作動血塊回収システムの側面図である。
【
図1B】本開示の態様による、例示的な作動血塊回収システムの側面図である。
【
図1C】本開示の態様による、血管内の標的部位に例示的な作動血塊回収システムを送達する方法を示す。
【
図1D】本開示の態様による、血管内の標的部位に例示的な作動血塊回収システムを送達する方法を示す。
【
図2】本開示の態様による、血管内の例示的なフレームの断面図である。
【
図3A】本開示の態様による、フレームに電流を供給するための例示的な設計の図である。
【
図3B】本開示の態様による、フレームに電流を供給するための例示的な設計の図である。
【
図3C】本開示の態様による、フレームに電流を供給するための例示的な設計の図である。
【
図4A】本開示の態様による、例示的なフレーム設計の側面図である。
【
図4B】本開示の態様による、例示的なフレーム設計の側面図である。
【
図4C】本開示の態様による、例示的なフレーム設計の側面図である。
【
図4D】本開示の態様による、例示的なフレーム設計の側面図である。
【
図4E】本開示の態様による、例示的なフレーム設計の側面図である。
【
図4F】本開示の態様による、例示的なフレーム設計の側面図である。
【
図5A】本開示の態様による、対向する漏斗を有する例示的なフレームの図である。
【
図5B】本開示の態様による、対向する漏斗を有する例示的なフレームの図である。
【
図6】本開示の態様による、例示的なバルーン形状フレームの断面図である。
【
図7】本開示の態様による、伸縮可能なフレームを有する例示的な作動血塊回収システムの側面図である。
【
図8A】本開示の態様による、カテーテルのボアサイズを拡大するための例示的な設計の断面図である。
【
図8B】本開示の態様による、カテーテルのボアサイズを拡大するための例示的な設計の断面図である。
【
図9A】本開示の態様による、アンカー支柱を形状記憶材料に接続するための例示的な取り付けの図である。
【
図9B】本開示の態様による、アンカー支柱を形状記憶材料に接続するための例示的な取り付けの図である。
【
図9C】本開示の態様による、アンカー支柱を形状記憶材料に接続するための例示的な取り付けの図である。
【
図9D】本開示の態様による、アンカー支柱を形状記憶材料に接続するための例示的な取り付けの図である。
【
図9E】本開示の態様による、アンカー支柱を形状記憶材料に接続するための例示的な取り付けの図である。
【
図9F】本開示の態様による、アンカー支柱を形状記憶材料に接続するための例示的な取り付けの図である。
【
図10】本開示の態様による、グローブ形状のフレームを有する例示的な作動血塊回収システムの図である。
【
図11】本発明の態様による、例示的なフレーム設計の側面図である。
【
図12】本発明の態様による、伸縮可能な遠位ばねを有する例示的なフレームの図である。
【
図13A】本開示の態様による、一定の断面積を有する支柱を有するフレームを描写する。
【
図13B】本開示の態様による、一定の断面積を有する支柱を有するフレームを描写する。
【
図14A】本開示の態様による、熱/電気抵抗の均一な流れのためにV形状に分割された支柱を有するフレームを描写する。
【
図14B】本開示の態様による、熱/電気抵抗の均一な流れのためにV形状に分割された支柱を有するフレームを描写する。
【
図15】本開示の態様による、放散支柱に接続された熱電対ワイヤを有する例示的なフレームの斜視図である。
【
図16】本開示の態様による、フレームの例示的な設計を描写する。
【
図17A】本開示の態様による、フレームの例示的な設計を描写する。
【
図17B】本開示の態様による、フレームの例示的な設計を描写する。
【
図18A】本開示の態様による、フレームの例示的な設計を描写する。
【
図18B】本開示の態様による、フレームの例示的な設計を描写する。
【
図19】本開示の態様による、患者の血管から閉塞性血栓を回収する方法を示すフロー図である。
【
図20】本開示の態様による、例示的な作動血塊回収システムの製造方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書に開示される解決策は、モジュール式遠位フレームを介して局所的な流動制限/停止を提供することができる血塊回収カテーテルに関する。流動制限及び大型の先端部付き設計は、実質的により大きい吸引効率を提供する。かかる利点はまた、脳卒中の介入処置の場合において特に有益であり得、神経血管床内の血管は、特に小さく、かつ回路的であり、その結果、調整された軸方向及び曲げ剛性プロファイルは、もつれ及び結合を阻止することができる。カテーテルはまた、比較的低プロファイルのアクセスシース及び外側カテーテルと適合可能であり得、そのため患者の鼠径部(大腿骨アクセスの場合)に巻かれた穿刺が、容易かつ確実に閉鎖され得る。カテーテルはまた、内部及び/又は外部低摩擦ライナー、並びに支持構造体の周囲に配設された外側ポリマージャケット又は膜を特徴とすることができる。膜は、フレームを封入するエラストマ材料であってもよく、又はフレーム上に嵌合され、そのためフレームは、膜とは独立して移動することができる。膜は、緊密又は緩い嵌合であり得る。緩い嵌合のエラストマ膜は、緊密な嵌合の膜よりも開放されやすくなる。膜は、袋状であり得、非エラストマ材料で作製することができ、そのため膜を開放する力は、緊密な嵌合のエラストマ膜の力と比較して低い。膜は、フレームの径方向外向きに近位方向に延在するように戻る前に、フレームの径方向内向きの近位場所から遠位方向に延在するように反転されることができ、膜の内側層及び外側層は、近位場所又は膜の全長上に、共に結合又はリフローされる。膜は、内側管及び外側管を備えることができ、内側管及び外側管の近位端部並びに遠位端部は、2つの管がフレームの周囲に靴下状のものを形成し、フレームが靴下状のもの内で自由に移動/拡張するように、共に結合され又はリフローされている。
【0032】
これらの改善は、閉塞を除去し、処置時間を短縮するために、カテーテル及び他の装置の複雑な領域への安全かつより迅速なアクセスにつなげることができる。本明細書は、多くの場合、機械的血栓除去処置に関連しているが、システム及び方法は、他の処置及び他の身体通路にも同様に適合させることができる。
【0033】
血管系内の様々な血管にアクセスすることは、それらが冠状動脈、肺、又は脳であるかどうかに関わらず、周知の手順工程及び多数の従来の市販のアクセサリ製品の使用を伴う。血管造影材料、回転止血弁、及びガイドワイヤなどのこれらの製品は、研究室及び医療処置において広く使用されている。これらの製品が以下の説明におけるシステム及び方法と併せて用いられるとき、それらの機能及び正確な構成は、関連技術において既知ではない。
【0034】
本システム及び方法は、形状記憶材料の特性を用いて、血塊回収装置の遠位寸法をカスタマイズする。形状記憶材料は、冷却されるときに変形され得、次いで加熱されるとき所定の形状に拡張することができる合金などの材料である。熱が材料から除去されると、材料は、折り畳まれた、柔軟な形状に戻ることができる。これは、形状記憶材料を、オーステナイト終了(AF)温度を超えて加熱することによって達成することができる。AF温度を下回ると、形状材料は、高弾性、柔軟性、及び可撓性によって特徴付けられる、そのマルテンサイト相を出る。AF温度を上回ると、形状材料は、より剛性の状態によって特徴付けられる、そのオーステナイト相中に存在する。形状記憶材料は、そのAF温度を上回ると、所定の形状に熱硬化させることができ、そのため材料がAF温度に再加熱されると、材料はその所定の形状に戻る。
【0035】
本明細書に記載される様々な実施形態は、拡張されると、脈管構造上に径方向の力を及ぼすことができる漏斗シースに類似し得るフレームを含むことができる。流体は、拡張された漏斗内に吸引され、次いでカテーテル内に吸引されて、漏斗内に血栓を捕捉することができる。フレームは、吸引物をカテーテルに方向付ける膜被覆を含むことができる。他の実施例では、フレームは、カテーテルの内側管腔内に配設され得る。フレームが拡張して折り畳まれると、カテーテルの内径が増加及び減少されて、カテーテルへの流量を調節することができる。
【0036】
本開示は、フレームをそのAF温度に加熱して、フレームをそのオーステナイト相に遷移させるための機構を提供する。1つ又は2つ以上の導電性リードワイヤは、フレームに電流を提供することができる。次いで、形状記憶材料の自然な電気抵抗は、フレームを、AF温度を上回って加熱させることができる。熱電対はまた、周囲の脈管構造への外傷を引き起こさないように、フレームの温度を監視するために提供され得る。いくつかの実施例では、ペルチェチップなどの熱電冷却回路を提供して、フレームをそのマルテンサイト相に遷移させることができる。本開示は、フレームの様々な例示的な設計を提供する。
【0037】
様々な装置及び方法が、作動血塊回収カテーテルを提供するために開示され、装置及び方法の実施例が、添付の図面を参照して説明されることになる。
図1A及び
図1Bは、例示的な血塊回収システム100の例示を提供する。システム100は、回路ハウジング106に近位の近位端部104及び遠位端部108を有するカテーテル102を含むことができる。カテーテル102は、カテーテル102を、アクセスシースなどの外側カテーテルを通して前進させるために、十分に小さい外径を有し得る。システム100は、カテーテル102の遠位端部108に近接するフレーム110を含むことができる。フレーム110は、
図1A及び
図1Bに示されるように、カテーテルの遠位端部108を越えて延在し得る。いくつかの実施例では、フレーム110は、以下により詳細に記載されるように、カテーテル102の内側管腔内に配設され得る。別の実施例では、フレーム110は、
図6を参照して以下で説明するように、カテーテル102の長さに沿って位置することができ、そのためフレーム110は、閉じた「バルーン」として機能することができる。
【0038】
フレーム110は、反転膜、二重層封止膜、又はオーバーモールド若しくは浸漬膜内に封入することができる。フレーム110が内側膜層及び外側膜層内に収容されている場合、フレームは、妨害されていない動きを有することができる。オーバーモールドされた膜が供給される場合、膜材料のより分離した領域を伸張するためにフレーム110が必要とされ得るため、より多くの抵抗が存在し得る。電流がフレーム110を通過すると、電流を収容するために絶縁され得ることが理解される。膜材料は、フレーム110を絶縁する働きをすることができる。抵抗器として作用するフレーム110は、それによって、電流負荷下で熱を発生させることができる。
【0039】
フレーム110は、拡張された構成及び折り畳まれた構成を有し得る。
図1Aは、拡張された構成において漏斗形状のフレーム110を示し、一方、
図1Bは、折り畳まれた構成の同じフレーム110を示す。フレーム110は、形状記憶材料を含むことができ、加熱されると、フレーム110が折り畳まれた構成から拡張された構成に、又はその逆に遷移し、冷却するときに、その前の構成に戻ることを可能にする。フレーム110の形状記憶材料は、材料がマルテンサイト相からオーステナイト相に遷移することができるような形状記憶効果を有する合金を含むことができる。これらの材料としては、限定されるものではないが、Ni-Ti(ニチノール)合金、Ni-Al合金、In-Ti合金、Ag-Cd合金、Au-Cd合金、Cu-Al-Ni合金、Cu-Sn合金、Cu-Zn合金、Mn-Cu合金、及び同様の合金を含むことができる。
【0040】
形状記憶材料は、AF温度を上回って加熱されると、装置が所定の形状に予め設定され得るように、装置を製造することを可能にする。
図1A及び
図1Bの例示的な漏斗形状のフレーム110を考慮すると、フレーム110は、折り畳まれた構成で提供することができる(
図1B)。次いで、フレーム110は、形状記憶材料のAF温度を上回って加熱され得、次いでその最終構成に成形され得る(
図1A)。この段階で、フレーム110は、オーステナイト相にある。フレーム110が材料のAF温度を下回るまで再度冷却されると、フレーム110は、その非設定形状に戻ることができる。この段階で、フレーム110は、フレーム110の低熱容量に起因してそのマルテンサイト相にあり、冷却することは、ワイヤ及び/又は熱電対ワイヤとの伝導、並びにそれに続くカテーテル102ジャケット材料及び/若しくは膜材料を通して、容易に達成することができる。
【0041】
図1C及び
図1Dは、形状記憶材料の遷移特性を使用して、血塊回収システム100を作動させる例示的な方法を提供する。カテーテル102及びフレーム110を含む、作動血塊回収システム100は、血塊40を含有する血管30内の標的部位20まで前進させることができる。これは、図に示されるように、システム100を、外側カテーテル10を通して前進させることによって完了し得る。しかしながら、以下に説明されるように、カテーテル102及びフレーム110は、外側カテーテル10を必要とせずに、標的部位10まで前進させることができる。カテーテル102及びフレーム110が標的部位20に到達すると、フレーム110は、材料の高弾性、柔軟性、及び可撓性を特徴とする、そのマルテンサイト相にあり得る。これにより、フレーム110が容易に曲がりくねった血管30を通って前進することを可能にし得る。フレーム110が標的部位20にあると、フレーム110を加熱して、以下でより詳細に説明されるが、フレーム110をマルテンサイト相からオーステナイト相に遷移することを可能にし得る。
図1Dに示される実施例では、フレーム110をそのオーステナイト相中の漏斗状シースに熱硬化し、そのため、加熱されると、フレーム110は、漏斗状に拡張して、血管30上に力を及ぼす。血塊40は、次いで、フレーム110内に吸引され、標的部位20から除去され得る。いくつかの例では、フレーム110は、フレーム110は、そのマルテンサイト相に折り畳まれて、血塊40を捕捉するように能動的に冷却することができる。代替的に、フレーム110は、フレーム110の低熱容量に起因して自動的に冷却することができる。
【0042】
再び
図1A及び
図1Bを参照すると、上述の合金を含む、様々な形状記憶材料が、異なるAF温度を有し、システム100が特定の処置のためにカスタマイズされることを可能にする。更に、特定のAF温度で処理された材料は、AF温度を所望の範囲にリセットするために、熱処理を伴う後続のプロセスを通じて再処理することができる。形状記憶材料は、AF温度がヒト血液を上回る(例えば、37℃を上回る)ように選択又は処理することができ、そのため、フレーム110は、血管内の意図された起動場所に到達する前に不注意に起動されない。AF温度は、35℃~200℃(例えば、37℃~65℃、40℃~60℃など)であり得る。理想的には、AF温度は、45~55℃の範囲であり得る。これは、拡張及び剛性特性のためにフレーム110を加熱するために必要とされるエネルギーを最小限に抑えながら、高度に可撓性の送達構成のためのマルテンサイト特性を角汁とする助けとなり得る。
【0043】
本明細書で使用する場合、任意の数値又は数値の範囲についての「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の一部又は構成要素の集合が、意図された目的に沿って機能させるような好適な寸法の許容範囲を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、挙げられた値の±10%の値の範囲を指していてもよく、例えば、「約50℃」は、45.001℃~54.999℃の値の範囲を指していてもよい。
【0044】
フレーム110は、フレーム110に電流を供給することによって加熱することができる。形状記憶材料、例えば、ニチノールの高い電気抵抗は、フレーム110を、電流及び熱に応答して加熱させ、次いでマルテンサイト相からオーステナイト相への遷移を引き起こすことができる。システム100は、必要な電流をフレーム110に提供するための電子回路112を含むことができる。電子回路112は、回路ハウジング106内に配設することができる。電子回路112は、スイッチ114で起動することができる。電子回路112は、例えば、およそ3~12V、より好ましくはおよそ5~9Vの範囲の電力供給を使用して、およそ300mA~およそ1500mA(例えば、およそ500mA~およそ1000mA)をフレーム110に供給することができる。電流は、1~1000ミリ秒、より好ましくは1~100ミリ秒の電流内のブレーキを伴い、1~1000ミリ秒、より好ましくは100~500ミリ秒でパルス化することができる。パルス化は、フレームの温度を、設定温度範囲の間に維持させ、パルスヒーティングのオンセグメント及びパルスのオフセグメントは、温度が範囲間に保たれるように、フレームを冷却する。温度は、温度が範囲外になる場合にパルスが変化することができるように、熱電対によって監視され得る、例えば、電流の連続的な供給は、温度を急速に上昇させるために使用することができ、パルスは、フレームの温度を上部範囲下に保ち低くすることができる。
【0045】
1つ又は2つ以上の導電性ワイヤ116(例えば、正のリード線118及び負のリード線120)は、電子回路112とフレーム110との間に延在して、フレーム110を加熱するための電流を提供することができる。
図1Aの切り取り部Aは、フレーム110に取り付けられた正リード線118及び負のリード線120を示す。導電性ワイヤ116は、ワイヤがカテーテル102の外側表面又は内側表面上に露出しないように、カテーテル102の層内に埋め込むことができる。これにより、ワイヤが外側カテーテルを通るカテーテル102の移動を制限することなく、システム100が外側カテーテルに前進することを可能にし得る。導電性ワイヤ116は、フレーム110に電流を供給するのに好適な、銅又は任意の他の材料を含み得る。
【0046】
システム100は、フレーム110に接続された熱電対122を含んで、フレーム110の温度を監視することができる。フレーム110が特定の温度を超えて加熱される場合、フレーム110は、周囲の脈管構造を燃焼させることができる。この目的のために、熱電対122は、電流によって加熱されると、フレーム110の温度を監視することができる。フレーム110が特定の温度、例えば50℃を超える場合、熱電対122は、この情報を電子回路112に伝達して、フレーム110に供給されている電流を停止することができる。熱電対122は、フレーム110(例えば、アンカー支柱206で)と導電性ワイヤ116との間で溶接することができる白金又はステンレス鋼ワイヤを備え、ここで電子回路112が、形状記憶材料と熱電対ワイヤとの間の抵抗率の差を測定して、フレーム110の温度を判定する。これは、較正され得、線形温度関係を有することができる。
【0047】
システム100は、フレーム110と電気的に連通する熱電冷却回路123を含むことができる。熱電冷却回路123は、例えば、フレーム110に近接して配設された、ペルチェチップを含むことができる。上述のように、フレーム110がAF温度を下回って冷却されるとき、フレームの形状記憶材料は、柔軟な、可撓性マルテンサイト相に戻って遷移することができる。これは、フレーム110内の血塊40を捕捉して、完了することができる。形状記憶材料を自然に冷却する代わりに、熱電冷却回路123は、フレーム110からの熱をポンプ送圧して、フレーム110をより急速に冷却することができる。
【0048】
フレーム110は、クローズドセル126、ループ、又は波状パターンを形成し得る、複数の支柱124によって特徴付けることができる。複数の遠位フープ又はクラウン支柱(以下に記載される)は、フレーム開口部128の外周を形成することができる。フレーム110は、薄型の丸みのある先端部、示されるような開いた口の漏斗、又は本明細書に記載される他の形状を含む、様々な形状を有することができる。複数の支柱124は、膜130内に封入され得る。膜130は、流体吸引をフレーム110に、かつカテーテル102に方向付ける手段を提供することができる。膜130はまた、フレーム110が折り畳まれた構成にあるとき、支柱124の位置を維持することができる。好適な膜130材料としては、良好な引裂抵抗性を伴い高弾性及び絶縁性を有する、Chronoprene、Chronosil、Chronoflex、並びに他のケイ素及びウレタンポリマーなどの弾性ポリウレタンを挙げることができる。膜130は、フレーム110が拡張したとき、膜130が伸張することを可能にするように低硬度を有することができる。例えば、膜130は、典型的に00範囲のショア高度、及びショアA0.1~ショアA100(例えば、ショアA40~ショアA80)を有し得る。膜130は、拡張することが意図され得るフレーム110を封入するため、膜130はまた、例えば、200~2200%(例えば、400~800%)の拡張度を有することができる。
【0049】
支柱124は、例えば、フレーム110が膜130によって完全に封入又は封止されていない場合、導体である血液から支柱を絶縁するために、パリレンなどの高い誘電強度を有する材料のフィルムでコーティングすることができる。
【0050】
再び
図1C及び
図1Dを参照すると、システム100は、吸引源50と組み合わせて使用することができる。多くの場合、拡張されたフレーム110は、血管30の壁と封止して、カテーテル102の遠位端部108に吸引を方向付けることができる。換言すれば、拡張されたフレーム110はまた、流れを阻止し、フレーム110の近位の血液の不必要な吸引を防止することができる。
【0051】
図1C及び
図1Dは、フレーム110用のカテーテル102が、外側カテーテル10を通って挿入されるシステム100を描写する。しかしながら、いくつかの実施例では、外側カテーテル10は、必須ではない。代わりに、フレーム110用のカテーテル102は、ガイドカテーテル(
図1C又は
図1Dには示されていないガイドカテーテル)から前進させるために必要な唯一のカテーテルであり得る。カテーテル102及びフレーム110は、例えば、システムが高度に可撓性かつ自己作動性であるため、ガイドカテーテルから更に遠くに移動することができる(すなわち、フレーム110は、閉鎖構成から開放構成へと変化するためにカテーテルから外装される必要はない)。したがって、ガイドカテーテルは、例えば、内部頚動脈内に存在することができ、カテーテル102及びフレーム110は、完全にM1又はM2血管まで延在することができる。
【0052】
図2は、拡張された構成にある例示的な漏斗形状のフレーム110の断面図である。フレーム110の長さは、示されるものよりも長くても短くてもよい。長さは、例えば、血管壁35とのより多くの表面積接触を提供するか、又はフレーム110内の血塊の受容空間を増加させるために増加され得る。フレーム110は、フレーム110の外周の周囲に複数の環状クラウン202を含むことができる。環状クラウン202は、フレーム110の遠位先端部412を形成することができ、及び/又はフレーム110の長さに沿った任意の他の場所に放射状の支持部を提供することができる。フレーム110は、環状クラウン202の頂点を接続することができる、1つ又は2つ以上の長手方向支柱204を含むことができる。環状クラウン202及び長手方向支柱204は、セル126又は開口部を形成することができる。セル126は、フレーム110及び膜130の更なる拡張を促進するように離間され得る。
【0053】
いくつかの実施例では、フレーム110は、長手方向支柱204を含まないが、その代わりに、複数の環状クラウン202は、セル126がダイヤモンド形状の格子構造を形成するように各頂点で接続され得る。ダイヤモンド形状セル126の均一な間隔はまた、フレーム110及び膜130の均一な拡張を促進することができる。更に他の実施例では、フレーム110は、長手方向支柱204を含まず、複数の環状クラウン202は、頂点で接続されない。これらの実施例では、環状クラウン202は、代わりに、膜130によって定位置に保持され得る。
【0054】
本明細書に記載されるフレーム110の形状及び構成は、設計を管にレーザ切断することによって作製することができる。設計をレーザ切断した後、フレーム110は、フレーム110をその所望の構成に位置決めされ得、かつ熱硬化され得、そのためフレーム110は、処置中に加熱されたとき、その所望の構成に戻ることができる。
【0055】
フレーム110は、近位に延在する1つ又は2つ以上のアンカー支柱206を含むことができる。導電性ワイヤ116は、1つ又は2つ以上のアンカー支柱206に接続されて、フレーム110に電流を提供することができる。
図2に示されるように、膜130は、カテーテル102の遠位端部108の少なくとも一部分を封入することができる。
【0056】
フレーム110は、電流のための最小の移動経路(支柱124の長さ及び断面、長い長さ及び大きい断面は最大の抵抗を有する)を維持することができ、そのため、フレーム110のバスケットが急速に熱を上げて拡張することができるように、抵抗が最小に保たれる。
【0057】
図3A~
図3Cは、フレーム110に電流を提供するための例示的な設計を描写する。上述のように、フレーム110の構造を画定する支柱124のうちの1つ又は2つ以上は、フレーム110を加熱するための電流を受信するために、正のリード線118又は負のリード線120に接続するアンカー支柱206であり得る。正のリード線118及び/又は負のリード線120は、カテーテル102の構造層を通って延在し、構造層内のアンカー支柱206と接続することができる。カテーテル102内にこの電気的接続を埋め込むことにより、フレーム110からのワイヤの分離を防止し、血液などの導電性媒体から絶縁することができる。他の実施例では、正のリード線118、負のリード線120、及び/又はアンカー支柱206は、カテーテル102の外側表面の周りに、又はカテーテル102の内側管腔302内に巻かれてもよい。正のリード線118及び/又は負のリード線120は、カテーテル102の長さに沿って、又は所望に応じてカテーテル102の剛性若しくは可撓性を改善するために使用され得る、らせん状、曲がりくねって、編んで、若しくは他のパターンに沿って長手方向に延在することができる。ワイヤのプロファイルは、微調整剛性/可撓性に長手方向に変化させることができる。いくつかの実施例では、アンカー支柱206は、カテーテル102の壁内に形成された開口部を通って押出され得る。
【0058】
支柱124間の特定の接合部は、絶縁接合部304と接続することができ、そのため電流は、絶縁接合部304の一方の側から他方の側に通過しない。これにより、制御されたパターンで熱がフレームに適用されることが可能になる。フレーム110の異なる領域に適用される熱を制御することにより、フレームの特定の部分が、オーステナイト相に遷移する一方で、他の部分は遷移しないことを可能にする。いくつかの実施例では、上述のように、フレーム110の特定の部分を絶縁することがまた、フレーム110が別個の起動シーケンスを有することも可能にする。フレーム110の第1の部分は、電流を受信すると拡張するように構成することができ、フレームの第2の部分は、電流を受信すると折り畳むように構成することができる。これにより、ユーザが、形状記憶材料が冷めるのを待つ代わりに、フレーム110の1つの部分に電流を適用することによって、フレーム110を折り畳むことを可能にし得る。電流は、負のリード線120を通ってフレーム110の一方の側に流れ、フレーム110の他方の側に更なる電気抵抗経路で流れることができ、正のリード線118を通って戻る。例えば、フレーム110のアンカー支柱206がフレーム110のv形状の拡張支柱に接続される場合、アンカー支柱206は、v形状の拡張支柱を形成する、各支柱124の断面積のおよそ2倍であり得る。これにより、支柱間の抵抗の均一な流れが可能になるであろう。拡張フレームのセグメントは、絶縁体によって分割することができ、異なるセグメントは、各々独立した組の正及び負のリードワイヤを有することができる。
【0059】
図4A~
図4Fは、フレーム110の例示的な設計を描写する。
図4Aは、4つのアンカー支柱(すなわち、アンカー支柱206A、206B、206C、206D)を有するフレーム110を示す。上述のように、アンカー支柱206A、206B、206C、206Dは、カテーテル102(
図4Aには示されていないカテーテル)の構造層内に埋め込むことができる。個々のアンカー支柱206A、206B、206C、206Dは、システム100の異なる構成要素への電気的接続401を有し得る。換言すれば、アンカー支柱206A、206B、206C、206Dに接続された電気的接続401は、正のリード線118、負のリード線120、熱電対122、熱電冷却回路123、又はこれらの任意の組み合わせへの接続であり得る。例えば、アンカー支柱206A、206B、206C、206Dのうちの2つは、正のリード線118及び負のリード線120に接続されて、フレーム110を加熱するための電流を提供することができ、及び/又はアンカー支柱206A、206B、206C、206Dのうちの1つは、熱電対122に接続することができ、及び/又はアンカー支柱206A、206B、206C、206Dのうちの1つは、熱電冷却回路123に接続することができ、及び/又は2つのアンカー支柱が正のリード線118に並びに2つのアンカー支柱206が負のリード線120に接続することができ、及び/又はこれらの任意の組み合わせに接続することができる。いくつかの実施例では、2つのアンカー支柱は、2つの負の戻りリード線を有するフレーム110を通る電流の、よりバランスのとれた流れのために、正のリード線118に接続され得る。
【0060】
いくつかの実施例では、アンカー支柱のうちの2つ(例えば、アンカー支柱206A及び206C)は、フレーム110の第1の部分(例えば、第1の部分111A)のための正のリード線118及び負のリード線120に接続することができ、アンカー支柱のうちの2つ(例えば、アンカー支柱206B及び206D)は、フレーム110の第2の部分(例えば、第2の部分111B)のための正のリード線118及び負のリード線120に接続することができる。これにより、フレーム110の第1の部分111Aは、フレーム110の第2の部分111Bとは異なる起動特性を有することを可能にし得る。フレーム110の第1の部分111Aは、拡張された構成に熱硬化させることができる。電流を提供すること、このため抵抗を通して熱を生成することによって、第1の部分111Aは、処置中に拡張することができる。フレーム110の第2の部分111Bは、折り畳まれた構成に熱硬化させることができる。電流を提供すること、このため抵抗を通して熱を生成することによって、第2の部分111Bは、処置中に折り畳むことができる。これにより、システムのユーザは、システム100を標的部位20に前進させ、第1の電流を第1の部分111Aに方向付けて、フレーム110を拡張し、血塊40をフレーム110内に吸引することが可能となる。次いで、ユーザは、第2の電流を第2の部分111Bに方向付けて、フレーム110を折り畳み、血塊40を捕捉することができる。上述のように、個々のアンカー支柱206A、206B、206C、206Dは、システム100の異なる構成要素への電気的接続401を有することができる。例えば、第1の部分111A及び第2の部分111Bを有する場合、これは、電気的接続401のうちの2つが、第2の正のリードワイヤ及び第2の負のリードワイヤをそれぞれ含んで、他方から独立してフレーム部分のうちの1つを加熱することができ、各回路が他方から絶縁されていることを意味する。
【0061】
フレーム110の第1の部分111A及び第2の部分111Bは、同じ形状記憶材料を含むことができ、各材料は、同じAF温度を有することができる。他の実施例では、2つの部分は、同じ材料を含むが、異なるAF温度を有することができる。第1の部分111A及び第2の部分111Bは、異なる形状記憶材料を含むことができ、これはまた、必要に応じて、部分が異なるAF温度を有することを可能にし得る。異なるAF温度を伴う2つの部分を有する実施例では、1つの部分は、標的部位20に送達されると拡張し、かつ血液と接触するように、ヒト血液のAF温度を下回る(例えば、37℃を下回る)AF温度を有することができ、他の部分は、電流によって加熱されると折り畳まれるのみのように、37℃を上回るAF温度を有することができる。反対に、1つの部分は、血液によって加熱される際に折り畳むように、ヒト血液のAF温度を下回るAF温度を有することができる。
【0062】
第1の部分111A及び第2の部分111Bは、フレームのセル126を形成するように相互接続され得る。フレーム110の第1の部分111A及び第2の部分111Bが異なる起動特性を有することが意図されるとき、
図3Cに示されるような絶縁接合部304を使用することにより、1つの部分からの熱は、他の部分から遮蔽することができる。第1の部分111A及び第2の部分111Bがフレーム110の異なる部位での場所である代わりに、第1の部分111A及び第2の部分111Bは、互いに相互接続されていない2つの別個の同軸フレームを含むことができる。例えば、
図2に示される例示的なフレーム110は、内側フレームの周りで円周方向に巻き付けることができる、図に示されるフレームの上に配設された第2のフレームを有することができる。外側フレーム(すなわち、外側部分)は、折り畳まれた構成に熱硬化させることができ、内側フレーム(すなわち、内側部分)は、拡張された構成に熱硬化させることができる。内側フレームは、血塊40を受容するように拡張され得、外側フレームは、内側フレームを閉鎖、かつ圧縮し、血塊40を捕捉するように起動され得る。これらの実施例では、内側フレーム及び外側フレームは、互いに対して作用するであろう。いくつかの実施例では、特定の環状クラウン202は、他の環状クラウン202とは異なる起動特性を有することができ、いくつかは、加熱されたときに拡張し、他のものは、加熱されたときに折り畳む。
【0063】
図4Bは、分割カラー402を有するフレーム110を示す。分割カラー402の第1の側面404は、正のリード線118と電気的に連通することができ、一方で分割カラー402の第2の側面406は、負のリード線120と電気的に連通することができる。分割カラー402は、カテーテル102(カテーテルは
図4Bに示されていない)のための表面を提供して、フレーム110と係止することができる。例えば、分割カラー402は、カテーテル102の構造層内に配設することができる。他の実施例では、分割カラー402は、カテーテル102の外側表面上に載置することができ、正のリード線118及び/又は負のリード線120は、カテーテル102壁内の穴を通って延在して、分割カラー402に接続することができる。分割カラー402はまた、カテーテル102の内側管腔302内に配設することができる。他の実施例では、フレーム110は、分割カラー402と同様であり得る、
図4Cに示されるような中実カラー408を含むことができる。中実カラー408の場合、正のリード線118及び/又は負のリード線120は、支柱124に直接接続され得、そのため電流は、中実カラー408によって過度に抵抗されず、拡張フレームのゆっくりとした加熱につながる。
【0064】
図4Dは、コイル状カラー410を有するフレーム110を示す。コイル状カラー410は、カテーテル102の中間層内、カテーテル102の外側表面上、又はカテーテル102の内側管腔302内に配設され得る点で、上記の分割カラー402及び/又は中実カラー408と同様であり得る。コイル状カラー410は、カテーテル102の遠位端部108に必要とされる壁厚を最小限に抑えるために、構造の複雑さを低減しながら、押出し性及び可撓性を提供することができる。コイル状カラー410は、リードワイヤ116によって形成され得るか、又はフレーム110と一体であってもよい。高導電性材料(銅など)の絶縁リードワイヤは、カテーテル構造の良好な押出し性を提供するために編組され得る。リードワイヤにはステンレス鋼を使用することもできる。銅よりも低い導電率を有しながら、鋼は、より良好な剛性特性を提供することができ、より大きな直径のワイヤが、より低い導電率を相殺する一方で、同時により高い剛性を提供する両方のために使用することができる。
【0065】
図4Eは、フレーム110の例示的な支柱124構成を示す。漏斗形状のフレーム110によって提供される軸方向の力は、支柱124(例えば、クラウン頂点416)間の角度414を変化させることによってカスタマイズすることができる。鋭角は、より小さい半径方向の力を提供し、膜130に対してより小さい破断点伸び率を必要とし、一方で鈍角は、より大きい半径方向の力を提供し、膜130に対してより大きい破断点伸び率を必要とする。鋭角は、支柱124を延ばすこと、及び/又は環状クラウン202当たりのクラウン頂点416の数を増加させることによって達成することができる。加えて、クラウン頂点416は、フレーム110が拡張する際の、マイクロクラック及び表面荒れに対する抵抗を改善するために、拡大する(すなわち、丸みを帯びた)ことができる。別の実施例では、クラウン頂点416は、隣接する支柱124の近位端部から実質的に半円に延在する大きい円形曲線を形成することができる。かかる大きい丸形の半円形プロファイルは、血管に非外傷性である。
【0066】
図4A~
図4Dに示されるように、フレーム110の遠位先端部412は、径方向内向きに先細り又は湾曲して、血管壁35への外傷を減少させることができる。他の実施例では、遠位先端部412は、径方向外向きに張り出して、血管壁35への付着を改善することができる。いくつかの実施例では、フレーム110は、
図4Fに示されるように、フレーム110上で近位に延在するウィング418を含むことができる。近位に延在することにより、フレーム110が標的部位20に向かって遠位に前進する場合、ウィング418は、血管壁35を穿刺する可能性が低い。ウィング418は、フレーム110の他の支柱124を越えて外向きに延在し、血管壁35の径方向の力を更に増加させることができる。この構成はまた、遠位先端部412が、内向きに張り出して、血管壁35への外傷の可能性を減少させることを可能とし、同時にまたウィング418が拡張して、血管壁35に接触し、血管30内に流体密封封止を作成することも可能にする。別の実施例では、ウィング418のクラウンは、
図5A及び
図5Bを参照して以下に説明されるように、近位の支柱に接続することができる。
【0067】
図5A及び
図5Bは、遠位部分502及び近位部分504を有する例示的なフレーム110を描写する。フレーム110の遠位部分502は、本明細書に記載されるフレーム110のいずれかと同様であり得る。近位部分504は、遠位部分502に対向することができ、カテーテルハブ(カテーテルハブは
図5A又は
図5Bには示されていない)に向かって方向付けられ得る。近位部分504は、上述のフレーム110の実施形態のうちのいずれかについて説明した構成と同様に、拡張された構成及び開放構成を有することができる。折り畳まれた構成では、近位部分504は、カテーテル102の遠位端部108の上に、又はそれに隣接して載置することができる。拡張された構成に開放されると、近位部分504は、血圧/血流を相殺するための近位側に面する漏斗を形成し、フレーム110の近位の血液の望ましくない吸引を防止することができる。近位部分504及び/又は遠位部分502は、膜130を含むことができる。近位部分504及び遠位部分502は、本明細書に記載される中実カラー408又は他のカラーのいずれかと接続され得る。いくつかの実施例では、近位部分504及び遠位部分502は、異なる導電性ワイヤに接続することができ、そのため、上述のように、1つの部分は第1の電流で開放又は閉鎖することができ、1つの部分は、第2の電流で開放又は閉鎖することができる。別の実施例では、支柱124は、近位部分の近位クラウンから、中実カラー408の近位に位置決めされた第2のカラーまで近位に延在することができる。いずれか又は両方のカラーが、分割され得る。近位部分の近位頂点を近位カラーに接続することは、近位方向に伸縮する際、外側ガイドシース又は血管側枝上にフレームが引っ掛かる可能性を低減するのを助けることができる。
【0068】
図6は、フレーム110が閉鎖バルーンとして機能することを可能にするシステム100の設計を示す。フレーム110は、カテーテル102の遠位端部108に近接したカテーテル102の長さに沿って位置決めすることができる。本明細書に記載される設計の多くとは異なり、フレーム110は、本実施例において、カテーテル102の遠位端部108を越えて延在しない。フレーム110は、一端部における固定カラー602と、他方の端部における浮動カラー604と、を含むことができる。固定カラー602は、外側表面に接続することができ、又はカテーテル102の構成層内に埋め込むことができ、そのためカテーテル102の長さに沿って摺動せず、反対に、浮動カラー604は、カテーテル102の長さに沿って摺動することができる。複数の支柱124は、カラー602、604の両方に接続され、2つの間に延在することができる。いくつかの例では、支柱124は、(
図6に示されるように)一体型支柱であってもよく、他の実施例では、支柱は、重なり合う(例えば、織りパターン)ことができる。フレーム110に電流が適用されるとき、フレーム110は、拡張することができ、浮動カラー604は固定カラー602に向かって収縮することができる。浮動カラー604が収縮すると、支柱124が、拡張し、膜130バルーンを外向きに拡張させて、血管壁35に対して封止を作成する。形状記憶材料が冷却されると、次いで、フレーム110は、拡張されたエラストマバルーンによって加えられる圧縮力の下で折り畳むことができる。フレーム110は、バルーン材料の内部に浮くことができ、又はフレーム110は、バルーン材料内に封入され得る。いくつかの実施例では、膜130は、膜130の端部において第1の封止部606及び第2の封止部608を含み得る。第1の封止部606及び/又は第2の封止部608は、膜130とカテーテル102との間に液密接合を作成することができる。第1の封止部606及び/又は第2の封止部608は、カテーテル102に恒久的に固定することができ、膜130は、支柱124が拡張するにつれて伸張することができる。他の実施例では、第1の封止部606及び/又は第2の封止部608のうちの1つは、浮動カラー604と共に収縮することができる。これらの場合、第1の封止部606及び/又は第2の封止部608は、Oリングのようなガスケットであってもよく、これがカテーテル102の外側表面に沿って摺動することができる。
【0069】
図7は、アンカー支柱206がばねとして拡張又は収縮することを可能にし、それによって、カテーテル102に沿ってフレーム110の位置を移動させるシステム100のための設計を示す。フレーム110の近位のカテーテル102の端部は、狭い区分702を含むことができる。フレーム110から延在するアンカー支柱206は、狭い区分702の周囲にコイル状に巻くことができる。アンカー支柱206は、一方の端部で、狭い区分702の長さに沿って移動することができる浮動カラー604に接続することができる。アンカー支柱206の反対の端部は、導電性ワイヤ116(例えば、正のリード線118又は負のリード120)に接続することができる。アンカー支柱206は、折り畳まれた構成で熱硬化させることができ、そのため、アンカー支柱206が加熱されると、それが収縮して、フレーム110をカテーテル102に沿って近位に引張る。カテーテル102の遠位端部108は、浮動カラー604の内径よりも大きい外径を有するカテーテル先端部704を含むことができる。カテーテル先端部704は、フレーム110が、カテーテル102から遠位に摺動することを防止することができる。この機構は、アンカー支柱206が完全に収縮したとき、フレーム110の遠位先端部412が、カテーテル102の遠位端部108と位置合わせされることを可能にする。いくつかの実施例では、アンカー支柱206は、収縮させることができ、流体がカテーテル102内に吸引されている間に、フレーム110が拡張され得る。血塊がカテーテル102の遠位端部108の近位に引張られると、アンカー支柱206は、拡張された構成に戻ることができ、同時に、フレーム110は、血管から除去するために血塊の周囲で折り畳むことができる。アンカー支柱206及びフレーム110は、同じ電流によって(すなわち、同じ正のリード線118及び負のリード線120によって)加熱することができ、又はアンカー支柱206及びフレーム110は、それらが独立して加熱され得るように、別個の電気的接続を含むことができる。遠位端部412は、直線移動アクチュエータとして作用する、アンカー支柱206の起動を通じて、折り畳まれた構成で前進することができ、そのため先端部412は、血塊により近くなり、先端部412は、吸引の前に血管を封止するように作動され得る。
【0070】
代替的な実施形態では、カテーテル102自体の遠位端部108は、代わりにばね機構によって作動され得る。例えば、カテーテル102は、その中に配設された形状記憶材料を含む可撓性部分を含むことができる。カテーテル102内の形状記憶材料が熱と共に拡張すると、カテーテル102の遠位端部108は、フレーム110によって形成された漏斗を通って、血塊に向かって延在することができる。
【0071】
図8A~
図8Bは、フレーム110がカテーテル102のボアサイズを調節することを可能にするシステム100の設計を示す。フレーム110は、カテーテル102の遠位端部108(カテーテルは図には示されていない)から延在して、カテーテル102の最遠位部分を形成することができる。カテーテル102が血塊40に達するとき、フレーム110は、拡張して、カテーテル102のボアサイズを増加させ、このためカテーテル102への流れを増加させることができる。これは、より大きい又はより堅固な血塊に対して特に有益であり得る。例えば、カテーテル102が血塊を吸引する際、血塊がカテーテルに引張られることに抵抗する場合、操作者は、電流をフレーム110に供給して、カテーテル102への流れを増加させることができる。フレーム110は、レーザカット格子設計、形状設定ワイヤ設計、ワイヤ編組設計などであってもよい。フレーム110は、上述のように、膜130でカバーされ得る。フレーム110はまた、カテーテル102の全長にわたって拡張するように設計され得る。
【0072】
いくつかの実施例では、カテーテル102から延在する代わりに、フレーム110は、カテーテル102の内側管腔302内に位置決めされ得る。同様に、フレーム110が内側管腔302の内側で拡張するにつれて、カテーテル102のボアサイズは、流れを調節するために増加させることができる。
【0073】
図9A~
図9Fは、導電性ワイヤ116をフレーム110のアンカー支柱206に取り付けるための例示的な設計を描写する。導電性ワイヤ116は、様々な機械的手段によって、アンカー支柱206に接続することができる。
図9Aは、一方の端部に「T」接続部、他方の端部にフックを含む機械的コネクタ802を描写し、フックが、「T」接続部を掴み、かつ保持する。
図9Bは、コイル状コネクタ804を描写する。第3の材料は、導電性ワイヤ116及びアンカー支柱206の上にコイル状に巻かれて、電気的接続を形成することができる。
図9Cは、機械的圧着端子806を描写する。圧着端子806は、一方の端部で導電性ワイヤ116を圧着し、他方の端部でアンカー支柱206を圧着する、第3の材料を含むことができる。
図9Dは、二股圧着端子808を描写する。導電性ワイヤ116又はアンカー支柱206のいずれかの1つの端部は、接続部の他方の端部に圧着することができる二股を含むことができる。
図9Eは、二股間の材料の把持を支援することができる、歯812を含む、代替的な二股圧着端子810である。
図9Fは、導電性ワイヤ116とアンカー支柱206とを接合する熱収縮方法を描写する。導電性ワイヤ116をアンカー支柱206に接続するための他の実施例としては、限定されるものではないが、2つの構成要素をオーバーモールド、はんだ付け、接着、又は溶接することが挙げられる。導電性ワイヤ116を形状記憶材料に接着するための接着剤は、シアノアクリレート及びエポキシを含むことができる。導電性ワイヤ116を形状記憶材料に接合するための溶接方法としては、例えば、レーザ、溶接、プラズマ溶接、タングステン不活性ガス(tungsten inert gas、TIG)溶接等が挙げられる。
【0074】
図10は、グローブのように開放するフレーム110を有する例示的なシステム100を描写する。見て分かるように、フレームが、複数のセル126を備えることは必須ではない。フレーム110は、代わりに、加熱されたときにグローブのように開放することができる支柱124の単純なループを含むことができる。
図10はまた、いくつかの実施例において、リード線118、120及び/又はアンカー支柱206が、切り取りBで示されるように、カテーテル102の構造層内で螺旋状になり得ることを示す。アンカー支柱206を螺旋状にすることは、形状記憶材料の長さ、ひいては形状記憶材料の電気抵抗を増加させることができ、これはフレーム110に供給される熱を増加させることができる。別の実施例では、エネルギーを節約するために、アンカー支柱206は、短く保たれ得、リード線は、コイルからのインダクタンスの影響を低減するように直線的に構成することができる。別の実施形態では、フレーム110は、単一のリード線対から、又は1組のリード線対から独立して各々が加熱される、多数の単一ループとして供給することができる。
【0075】
図11は、拡張された構成において、わずかに内側に回転した遠位先端部412を有するフレーム110を描写する。遠位先端部412を径方向内向きに回転させることは、非外傷性プロファイルを作成し、使用中にユーザが意図せずに装置を遠位に押出すべきである。特徴はまた、血管30からの安全な抽出のためにフィブリンに富む血塊40を把持するのに役立ち得る。
【0076】
図12は、遠位ばね1202を有するフレーム110を描写する。遠位ばね1202は、加熱時に収縮することができる。収縮する遠位ばねは、遠位カラー膜1204を変形させることができ、遠位カラー膜1204は、漏斗形状を形成するために、反転を通して外向きに拡張する。遠位カラー膜1204は、遠位カラー膜1204が、遠位ばね1202と収縮したときに径方向に拡張することができるように、上記の他の膜130よりも剛性の高い材料を含むことができる。遠位カラー1204は、編組、膜又は編組、及び微細織りメッシュとの複合体であってもよく、編組は、反転を促進する補強材として作用する。
【0077】
図13A及び
図13Bは、一定の断面積1302を伴う支柱124を有するフレーム110を描写する。一定の断面積1302は、フレーム110全体にわたる電流の均一な移転を可能にし得る。
図13Bに示されるように、例示的な設計はまた、フレーム110が閉鎖構成から開放構成に遷移するにつれて、フレーム110が、わずかに長さを減少させることを可能にする。閉鎖構成では、フレーム110は、第1の長さ1304を有することができ、電流が提供されると、熱が抵抗を通して作成され、フレーム110は、より短い第2の長さ1306を有する漏斗状に開放することができる。
【0078】
図14A及び
図14Bは、熱/電気抵抗の均一な流れのためにV形状に分割された支柱124を有するフレーム110を描写する。フレーム110はまた、(例えば、支柱124を冷却するために)支柱124から熱を除去することができ、また膜130カバーのための支持を提供することができるクラウン頂点416に位置決めされた消散支柱1402も含むことができる。また、
図13A及び
図13Bを参照して上述したように、設計はまた、フレーム110が閉鎖構成から開放構成に遷移するにつれて、フレーム110がわずかに長さを減少させることを可能にし得る。
【0079】
図15は、消散支柱1402に接続されたワイヤである熱電対122を有する例示的なフレーム110の斜視図である。熱電対122のワイヤは、取り付け具1502でフレーム110に取り付けることができるプラチナ又はステンレス鋼などの材料を含むことができる。取り付け具1502は、溶接又は接着剤を含むことができる。熱電対122のワイヤは、電子回路112と電気的に連通することができ、電子回路112は、フレーム110の材料と熱電対122との間の抵抗率の差を測定して、フレーム110の温度を判定することができる。これは、較正され得、かつ線形温度関係を有し得る。
【0080】
図16~
図18Bは、フレーム110の例示的な設計を描写する。
図16は、カラーを有しない(例えば、分割カラー402及び中実カラー408のいずれもない)例示的なフレーム110を描写する。第1のアンカー支柱206A及び第2のアンカー支柱206Bは、単一の環状クラウン202を有するフレーム110から延在することができる。単一の環状クラウン202は、膜130(
図16には示されない)によって定位置に保持することができる。
【0081】
図17A及び
図17Bは、分割カラー402を有する例示的なフレーム110を描写する。フレーム110の遠位先端部412は、
図17Bの端部面図に示されるように、4つの別個の点(例えば、点1702、1704、1706、1708)に開放することができる。フレーム110は、フレーム110の遠位先端部412を封入し、点1702、1704、1706、1708を、丸みを帯びた漏斗形状に接続するための膜130を含むことができる。
【0082】
図18A及び
図18Bは、複数の遠位点1802を有する例示的なフレーム110を描写する。フレーム110は、
図18Bの端部面図に示されるように、フレーム110の遠位先端部412を封入し、複数の遠位点1802を、丸みを帯びた漏斗形状に接続するための膜130を含むことができる。
【0083】
図19は、患者の血管から閉塞性血栓を回収する方法を示すフロー図である。
図19の方法工程は、理解されるように、本明細書に記載される例示的手段のいずれかによって、又は同様の手段によって実施することができる。
図19に概説される方法1900を参照すると、工程1905で、カテーテルは、標的部位に送達することができる。カテーテルは、例えば、外側カテーテル又はアクセスシースを通じて前進することができる。カテーテルは、形状記憶材料から製造されたフレームを備えることができる。フレームは、漏斗形状を有し得、カテーテルの内側管腔内に配設することができ、カテーテルの長さに沿って配設することができ、又は本明細書に記載される他の形状のいずれかを有することができる。
【0084】
工程1910において、方法1900は、フレームに第1の電流を送達することを含み得る。第1の電流は、フレームを電子回路に接続する導電ワイヤを通じて送達することができる。ユーザは、患者の外部の電子回路を起動することができる。
【0085】
工程1915において、方法1900は、フレームの少なくとも第1の部分を、折り畳まれた構成から拡張された構成に変化させるためにフレームを加熱することを含み得る。フレームの加熱は、電流がフレームを通って流れる際の形状記憶材料の電気抵抗によって引き起こされる。フレームの少なくとも第1の部分は、フレーム全体を拡張することができるが、必ずしもフレーム全体が拡張する必要はないということを意味する。上述のように、フレームは、異なる変換特性を有する複数の部分を有することができる。例えば、フレームの第1の部分は、第2の部分が加熱されていない間に加熱されて、拡張することができる。第2の部分は、例えば、血栓を捕捉するために後の工程で加熱することができる。形状記憶漏斗フレームは、電気的に作動された部材による拡張を制限することができ、電流を除去することにより、拘束部材が解放され、形状記憶材料が血液の熱から拡張する。
【0086】
工程1920において、方法1900は、閉塞性血栓をフレーム内に吸引することを含み得る。吸引は、流体を方向付ける膜被覆を含み得るフレームによって、カテーテルに方向付けることができる。
【0087】
工程1920において、方法1900は、患者から閉塞性血栓を有するカテーテルを引き抜くことを含み得る。血栓がフレーム内に捕捉された状態で、血栓は、不十分な捕捉に起因して、血栓がカテーテルから外れる心配をすることなく、患者の血管から引張ることができる。
【0088】
方法1900は、工程1925の後に終了し得る。他の実施形態では、上述の実施例による付加的な工程を実行することができる。例えば、方法1900は、フレームの少なくとも第1の部分を冷却するために第1の電流を停止することを含み得る。形状記憶材料を冷却することにより、少なくとも第1の部分を閉塞性血栓上で折り畳ませて、除去のための血栓の捕捉を改善することができる。
【0089】
いくつかの実施例では、方法1900は、第2の電流を、フレームの少なくとも第2の部分に送達することを含み得る。第2の部分は、第1の部分とは異なる変換特性を有することができる。例えば、第2の部分は、そのオーステナイト相において折り畳まれた構成に予め設定することができ、これは、加熱されると、第2の部分が血栓上で折り畳むことができることを意味する。したがって、方法1900は、第2の電流を介して、フレームの第2の部分を加熱して、フレームの第2の部分を拡張された構成から折り畳まれた構成に、かつ閉塞性血栓の上で変化させることを含み得る。
【0090】
方法1900はまた、フレームの少なくとも第1の部分を熱電冷却回路で冷却して、フレームの少なくとも第1の部分を閉塞性血栓上で折り畳ませることを含み得る。ペルチェチップなどの熱電冷却回路は、システムから熱をポンプ圧送することができる。この効果を使用して、熱電冷却回路は、フレームの少なくとも第1の部分を冷却し、閉塞性血栓の周囲でより急速に折り畳ませることができる。
【0091】
方法1900は、定常フレーム温度を維持するために一連のパルスで電流を送達することを含むことができ、電子回路は、温度を監視し、それに応じてパルス持続時間及び/又は長さを調節することができる。
【0092】
方法1900はまた、熱電対を用いてフレームの温度を監視することを含み得る。いくつかの実施例では、熱電対は、フレームが特定の温度、例えば50℃を超えるかどうかを判定し、フレームが温度を超える場合に第1の電流を停止させるために監視することができる。
【0093】
図20は、例示的な作動血塊回収システムの製造方法を示すフロー図である。
図20の方法工程は、理解されるように、本明細書に記載される例示的手段のいずれかによって、又は同様の手段によって実施することができる。
図20に概説される方法2000を参照すると、工程2005において、第1の形状記憶材料は、拡張された構成を有する第1のフレームに熱硬化させることができる。本開示全体をとおして記載されるように、形状記憶材料を熱硬化させることは、フレームをそのAF温度を上回って加熱することと、フレームを所望の形状に形成することと、次いでフレームを冷却することと、を含むことができる。
【0094】
工程2010では、方法2000は、第1の形状記憶材料を冷却し、フレームを折り畳まれた構成に折り畳ませることを含み得る。一度冷却されると、フレームは、そのマルテンサイト相にある際、より可撓性となり、かつ柔軟である。折り畳まれたフレームは、フレームを、AF温度を上回って再度加熱することによって、その所定の形状に戻ることができる。
【0095】
工程2015では、方法2000は、第1のフレームを、カテーテルの壁(例えば、
図3のカテーテル壁306)内に配設された第1の導電性ワイヤの第1の端部に接続することを含み得る。フレームは、例えば、正のリード線及び負のリード線への電気的接続を有して、フレームを加熱するための電流を提供することができる。この電気的接続は、カテーテル自体の構造層内で作製することができ、それによって、不注意による分離から接続を保護することができる。電気的接続は、第1のカテーテル層(例えば、
図3の第1の層308)を提供し、次いで第1のカテーテル層上に第1の導電性ワイヤを配設することによって、構造層内で作製することができる。この時点で、フレームは、例えば、導電性ワイヤをフレームのアンカー支柱に取り付けることによって、導電性ワイヤに取り付けることができる。第2のカテーテル層(例えば、
図3の第2の層310)は、第1の導電性ワイヤ及び第1のアンカー支柱の上に適用して、カテーテルの構造層内の接続を封入することができる。
【0096】
工程2020では、方法2000は、第1の導電性ワイヤの第2の端部を電子回路に接続することを含み得る。電子回路は、フレームの遠位に位置決めすることができる。電子回路は、電流を起動するためのスイッチを含むハウジング内に配設することができる。
【0097】
工程2025では、方法2000は、膜を第1のフレーム及びカテーテルの遠位端部に適用することを含み得る。膜は、様々な方法で適用され得る。1つの方法は、材料の薄いベース層を、カテーテルを所定の位置に有する浸漬マンドレルに適用し、続いて、折り畳まれたフレームが外側成形型によって定位置に保持された中間層を射出成型し、最終的な上層は、第2の外側成形型を使用して、又は最終浸漬コーティングプロセスを通して適用することができる。いくつかの実施例では、封入膜との結合を形成しない材料の予め形成されたリングが、フレームを折り畳まれた位置に保持するために使用することができる。十分な材料が浸漬又は成形プロセスを通してフレームに封入された後、予め成形されたリングを、最終的な浸漬又は成形プロセスの前に除去して、リングによって残された空隙を埋めることができる。代替的に、同じ材料の予め形成されたリングを使用して、リングを除去する必要性を回避することができる。
【0098】
方法2000は、工程2025の後に終了し得る。他の実施形態では、上述の実施例による付加的な工程を実行することができる。例えば、方法2000は、第2の形状記憶材料を、折り畳まれた構成を有する第2のフレームに熱硬化させることを含み得る。第2のフレームは、第1のフレームについて上述されたものと同様の様式で熱硬化させることができる。第2のフレームは、折り畳まれた構成に熱硬化させることができ、そのため一度加熱されると、第2のフレームは、(例えば、血塊を捕捉するために)折り畳まれた構成に戻ることができる。方法2000は、第2の形状記憶材料を冷却し、次いで、第2のフレームをカテーテル壁内に配設された第2の導電性ワイヤの第1の端部に接続することを含み得る。方法2000は、第2の導電性ワイヤの第2の端部を電子回路に接続することを含み得、そのため第2のフレームは、電流を受容することができる。膜は、第1のフレームについて記載された方法と同様の様式で、第2のフレームに適用することができる。第1の形状記憶材料及び第2の形状記憶材料は、同じ合金であってもよく、又は異なる合金であってもよい。異なる合金を提供することにより、2つのフレームが異なる変換特性を有することが可能になり得る(例えば、それらは、異なる温度でマルテンサイトからオーステナイト相に変換することができる)。第1のフレーム及び第2のフレームは、同軸であり、カテーテルの遠位端部に接続され得る。このようにして、加熱されたとき、第1のフレームは、拡張し得、第2のフレームは、加熱されたとき、血塊を捕捉するために、第1のフレーム上で折り畳むことができる。
【0099】
本明細書に含まれる記述は、本開示の実施形態の例であり、本開示の範囲を何ら制限するものではない。本明細書に記載されるように、本開示は、代替的な構造要素の幾何学的形状を使用することと、様々な例示的実施形態からの形状及び構造要素を組み合わせることと、代替材料などを使用することと、を含む、吸引装置の多くの変形及び修正を企図する。これらの修正は、本開示が関連する当業者には明らかであり、以下の特許請求の範囲内であることが意図される。
【0100】
〔実施の態様〕
(1) 血管(30)内の閉塞物を回収するためのシステム(100)であって、
カテーテル(102)と、
第1の導電性ワイヤ(116、401)と、
前記第1の導電性ワイヤ(116、401)に第1の電流を提供する、電子回路(112)と、
前記第1の導電性ワイヤ(116、401)と電気的に連通し、形状記憶材料を含む、フレーム(110)であって、前記フレーム(110)の少なくとも第1の部分が、前記第1の電流によって加熱されると、折り畳まれた構成から拡張された構成に拡張可能である、フレーム(110)と、を備える、システム。
(2) 前記形状記憶材料が、およそ37℃を上回る遷移温度を有する、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記形状記憶材料が、およそ45℃~55℃の遷移温度を有する、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記フレーム(110)と電気的に連通する熱電冷却回路(123)を更に備え、前記フレーム(110)の前記少なくとも第1の部分は、前記熱電冷却回路(123)により熱が除去されると、前記拡張された構成から前記折り畳まれた構成に折り畳み可能である、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記フレーム(110)の少なくとも第2の部分が、加熱されると、開放構成から折り畳まれた構成に折り畳み可能である、実施態様1に記載のシステム。
【0101】
(6) 前記フレーム(110)の前記第2の部分と電気的に連通する第2の導電性ワイヤ(116、401)を更に備え、前記第2の導電性ワイヤ(116、401)が、前記電子回路(112)から第2の電流を受信する、実施態様5に記載のシステム。
(7) 前記フレーム(110)の周囲に配設された膜カバーを更に備える、実施態様1に記載のシステム。
(8) 前記フレーム(110)が、前記カテーテル(102)の内側管腔(302)内に配設されている、実施態様1に記載のシステム。
(9) 前記フレーム(110)と電気的に連通する熱電対(122、1502)を更に備える、実施態様1に記載のシステム。
(10) 前記形状記憶材料は、前記フレーム(110)の前記少なくとも第1の部分が前記折り畳まれた構成にあるとき、マルテンサイト相にあり、
前記形状記憶材料は、前記フレーム(110)の前記少なくとも第1の部分が前記拡張された構成にあるとき、オーステナイト相にある、実施態様1に記載のシステム。
【0102】
(11) 患者の血管(30)から閉塞性血栓を回収する方法であって、
フレーム(110)を備えるカテーテル(102)を標的部位(20)に送達することであって、前記フレーム(110)が、形状記憶材料を含む、送達すること(1905)と、
前記フレーム(110)に第1の電流を送達すること(1910)と、
前記第1の電流を介して、前記フレーム(110)を加熱して、前記フレーム(110)の少なくとも第1の部分を、折り畳まれた構成から拡張された構成に変化させること(1915)と、
前記閉塞性血栓を前記フレーム(110)内に吸引すること(1920)と、
前記閉塞性血栓を有する前記カテーテル(102)を前記患者から引き抜くこと(1925)と、を含む、方法。
(12) 前記形状記憶材料が、およそ45℃~55℃の遷移温度を有する、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記第1の電流を停止することと、
前記第1の電流の前記停止を介して、前記フレーム(110)の前記少なくとも第1の部分を冷却して、前記フレーム(110)の前記少なくとも第1の部分を前記閉塞性血栓上で折り畳ませることと、を更に含む、実施態様11に記載の方法。
(14) 前記フレーム(110)の前記少なくとも第1の部分を、熱電冷却回路(123)で冷却して、前記フレーム(110)の前記少なくとも第1の部分を前記閉塞性血栓上で折り畳ませることを更に含む、実施態様11に記載の方法。
(15) 前記フレーム(110)の少なくとも第2の部分に第2の電流を送達することと、
前記第2の電流を介して、前記フレーム(110)の前記少なくとも第2の部分を加熱して、前記フレーム(110)の前記少なくとも第2の部分を、拡張された構成から折り畳まれた構成に、かつ前記閉塞性血栓上で変化させることと、を更に含む、実施態様11に記載の方法。
【0103】
(16) 前記フレーム(110)と連通する熱電対(122、1502)で、前記フレーム(110)の温度を監視することと、
前記温度が第1の温度を上回るとき、前記第1の電流を停止することと、を更に含む、実施態様11に記載の方法。
(17) 前記フレーム(110)が、前記カテーテル(102)の内側管腔(302)内に配設されており、
前記フレーム(110)の前記少なくとも第1の部分を折り畳まれた構成から拡張された構成に拡張させることが、前記カテーテル(102)の内径を増加させる、実施態様11に記載の方法。
(18) 作動血塊回収システム(100)を製造する方法であって、
第1の形状記憶材料を、拡張された構成を有する第1のフレーム(110、111A)に熱硬化させること(2005)と、
前記第1の形状記憶材料を冷却して、前記第1のフレーム(110、111A)を折り畳まれた構成に折り畳ませること(2010)と、
前記第1のフレーム(110、111A)を、カテーテル(102)のカテーテル壁(306)内に配設されている第1の導電性ワイヤ(116、401)の第1の端部に接続すること(2015)と、
前記第1の導電性ワイヤ(116、401)の第2の端部を電子回路(112)に接続すること(2020)と、
前記第1のフレーム(110、111A)及び前記カテーテルの遠位端部に、膜を適用すること(2025)と、を含む、方法。
(19) 第2の形状記憶材料を、折り畳まれた構成を有する第2のフレーム(110、111B)に熱硬化させることと、
前記第2の形状記憶材料を冷却することと、
前記第2のフレーム(110、111B)を、前記カテーテル壁(306)内に配設されている第2の導電性ワイヤ(116、401)の第1の端部に接続することと、
前記第2の導電性ワイヤ(116、401)の第2の端部を、前記電子回路(112)に接続することと、
前記膜を、前記第2のフレーム(110、111B)に適用することと、を更に含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記第1の形状記憶材料及び前記第2の形状記憶材料が、異なる合金であり、
前記第1のフレーム(110、111A)及び前記第2のフレーム(110、111B)が、同軸であり、かつ前記カテーテルの前記遠位端部に接続されている、実施態様19に記載の方法。
【0104】
(21) 前記第1の形状記憶材料及び前記第2の形状記憶材料が、同じ合金を含み、
前記第1の形状記憶材料及び前記第2の形状記憶材料が、異なるオーステナイト終了温度を有する、実施態様19に記載の方法。
(22) 第1のカテーテル層(308)を提供することと、
前記第1のカテーテル層(308)上に、前記第1の導電性ワイヤ(116、401)を配設することと、
前記第1の導電性ワイヤ(116、401)及び前記第1のフレーム(110、111A)の第1のアンカー支柱上に、第2のカテーテル層(310)を適用することと、を更に含み、
前記第1のフレーム(110、111A)を前記第1の導電性ワイヤ(116、401)の前記第1の端部に接続することが、前記第2のカテーテル層(310)を適用する前に、前記第1のアンカー支柱を前記第1の導電性ワイヤ(116、401)に接続することを含む、実施態様18に記載の方法。
(23) 前記第1のフレーム(110、111A)を前記折り畳まれた構成に保持するためのリングで、前記第1のフレーム(110、111A)を包被することを更に含み、
前記膜を前記第1のフレーム(110、111A)に適用することが、
前記第1のフレーム(110、111A)及び前記リングを膜材料に浸漬することと、
前記膜材料を冷却することと、を含む、実施態様18に記載の方法。