(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】燃料電池車両の熱管理システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20240508BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20240508BHJP
H01M 8/04701 20160101ALI20240508BHJP
H01M 8/04302 20160101ALI20240508BHJP
H01M 8/04225 20160101ALI20240508BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20240508BHJP
H01M 8/04313 20160101ALI20240508BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20240508BHJP
H01M 8/04029 20160101ALI20240508BHJP
B60L 50/75 20190101ALI20240508BHJP
B60L 50/72 20190101ALI20240508BHJP
B60L 58/33 20190101ALI20240508BHJP
B60L 58/34 20190101ALI20240508BHJP
B60L 58/40 20190101ALI20240508BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20240508BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/04 J
H01M8/04746
H01M8/04701
H01M8/04302
H01M8/04225
H01M8/04537
H01M8/04313
H01M8/00 Z
H01M8/04029
B60L50/75
B60L50/72
B60L58/33
B60L58/34
B60L58/40
B60L58/12
(21)【出願番号】P 2020044216
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】10-2019-0150658
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジンフン
(72)【発明者】
【氏名】キム、テグン
(72)【発明者】
【氏名】ジ、ヒョンジュ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ウクイル
(72)【発明者】
【氏名】クォン、オタク
(72)【発明者】
【氏名】パク、フンウ
(72)【発明者】
【氏名】パク、チョルワン
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-182175(JP,A)
【文献】特開2013-099081(JP,A)
【文献】特開2010-140658(JP,A)
【文献】国際公開第2014/109239(WO,A1)
【文献】特開2016-096070(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0141647(US,A1)
【文献】特開2010-267471(JP,A)
【文献】特表2018-536128(JP,A)
【文献】特開2012-195263(JP,A)
【文献】特開2017-137044(JP,A)
【文献】特開2017-082668(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0181476(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-3/12
7/00-13/00
15/00-58/40
F16K 11/00-11/24
H01M 8/00-8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタックと、
燃料電池スタックで生産される電力を用いるヒーターと、
冷却水を冷却するラジエーターと、
前記冷却水を循環させるポンプと、
前記燃料電池スタック、前記ヒーター及び前記ラジエーターのうち少なくとも一つから前記ポンプに供給される前記冷却水の流量を調節して前記冷却水の温度を制御するバルブとを含
み、
前記バルブは、五方向バルブを含み、
前記五方向バルブの各出入口の開度を制御する制御機をさらに含み、
前記制御機は、前記燃料電池スタックで発生する熱エネルギーが前記ラジエーターの放熱限界を超過する場合、イオンフィルターと連結される前記バルブの第5出入口の開度を制御して前記イオンフィルターに流入される冷却水の流量を減少させるか遮断する、燃料電池車両の熱管理システム。
【請求項2】
前記バルブは、
前記ラジエーターと前記ポンプとの間に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池車両の熱管理システム。
【請求項3】
前記制御機は、前記バルブ内に搭載されることを特徴とする、請求項
1に記載の燃料電池車両の熱管理システム。
【請求項4】
前記制御機は、前記ラジエーターの出口端に連結される前記バルブの第1出入口の開度と、前記燃料電池スタックの出口端に連結される前記バルブの第2出入口の開度とを選択的に制御し、前記冷却水の温度を調節することを特徴とする、請求項
1に記載の燃料電池車両の熱管理システム。
【請求項5】
前記制御機は、バッテリー完全充電の状態で回生制動によって発生する電気エネルギーを前記ヒーターに供給して消尽し、前記ヒーターと連結される前記バルブの第3出入口の開度を調節して前記ヒーターを通過する流量を調節することを特徴とする、請求項
1に記載の燃料電池車両の熱管理システム。
【請求項6】
前記制御機は、冷間始動時に前記燃料電池スタックの出口端に連結される前記バルブの第2出入口の開度を制御し、前記ラジエーターの出口端に連結される前記バルブの第1出入口の開度を閉鎖して前記燃料電池スタック及び前記ヒーターに供給される前記冷却水の流量を制御することを特徴とする、請求項
1に記載の燃料電池車両の熱管理システム。
【請求項7】
前記ポンプの出口端と前記バルブとの間に位置し、前記冷却水のイオンを除去するイオンフィルターをさらに含むことを特徴とする、請求項
1に記載の燃料電池車両の熱管理システム。
【請求項8】
前記ポンプの出口端と前記バルブとの間に配置され、前記冷却水の熱エネルギーで車両の室内温度を調節する暖房ヒーターをさらに含むことを特徴とする、請求項
1に記載の燃料電池車両の熱管理システム。
【請求項9】
前記バルブは、前記燃料電池スタックと前記ラジエーターとの間に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池車両の熱管理システム。
【請求項10】
前記バルブは、前記バルブの五方向出入口の開度を制御する制御機をさらに含むことを特徴とする、請求項
9に記載の燃料電池車両の熱管理システム。
【請求項11】
前記制御機は、前記ポンプの入口端に連結される前記バルブの第1出入口の開度と、前記ラジエーターの入口端に連結される前記バルブの第2出入口の開度とを選択的に制御し、前記冷却水の温度を調節することを特徴とする、請求項
10に記載の燃料電池車両の熱管理システム。
【請求項12】
前記制御機は、バッテリー完全充電の状態で回生制動によって発生する電気エネルギーを前記ヒーターに供給して消尽し、前記ヒーターと連結される前記バルブの第4出入口の開度を調節して前記ヒーターを通過する流量を調節することを特徴とする、請求項
10に記載の燃料電池車両の熱管理システム。
【請求項13】
前記制御機は、冷間始動時に前記ラジエーターの入口端に連結される前記バルブの第2出入口の開度を閉鎖し、前記燃料電池スタックの出口端に連結される前記バルブの第3出入口の開度及び前記ヒーターの出口端に連結される前記バルブの第4出入口の開度を制御することで、前記燃料電池スタック及び前記ヒーターに供給される前記冷却水の流量を制御することを特徴とする、請求項
10に記載の燃料電池車両の熱管理システム。
【請求項14】
前記制御機は、前記燃料電池スタックで発生する熱エネルギーが前記ラジエーターの放熱限界を超過する場合、イオンフィルターと連結される前記バルブの第5出入口の開度を制御して前記イオンフィルターに流入される冷却水の流量を減少させるか遮断することを特徴とする、請求項
10に記載の燃料電池車両の熱管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池車両の熱管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池車両は、燃料電池を動力源として用いる車両をいう。このような燃料電池車両に搭載される燃料電池システムは、燃料電池スタック、水素供給システム、空気供給システム、及び熱管理システム等で構成される。このうち熱管理システムは、燃料電池発電システムの中で熱平衡を維持するために熱を遮断して冷却し、過剰熱を回収するか車両始動時に発電機の予熱を補助する役割をする。熱管理システムは、二つのバルブ、すなわち、三方バルブ及び四方バルブを用いて温度制御(normal operation)、冷間始動(cold start)時の発電機の予熱、シャットダウン(shut down)時の残余酸素消尽(又は、衝突時のスタック内部電力消尽)、長鋼板走行時のバッテリー完全充電による回生制動エネルギー消尽、及びイオンフィルターの高温露出防止等の機能を行っている。このような従来の熱管理システムは、二つのバルブを用いるため、システム材料費が過多に発生する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、一つのバルブを用いて冷却水の温度及び流れを制御する燃料電池車両の熱管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記の課題を解決するために、本発明の一実施形態による燃料電池車両の熱管理システムは、燃料電池スタックと、燃料電池スタックから生産される電力を用いるヒーターと、冷却水を冷却するラジエーターと、前記冷却水を循環させるポンプと、前記燃料電池スタック、前記ヒーター及び前記ラジエーターのうち、少なくとも一つから前記ポンプに供給される前記冷却水の流量を調節して前記冷却水の温度を制御するバルブとを含む。
【0005】
前記バルブは、前記ラジエーターと前記ポンプとの間に配置されることを特徴とする。
【0006】
前記バルブは、五方向バルブを含むことを特徴とする。
【0007】
前記五方向バルブの各出入口の開度を制御する制御機をさらに含むことを特徴とする。
【0008】
前記制御機は、前記バルブ内に搭載されることを特徴とする。
【0009】
前記制御機は、前記ラジエーターの出口端に連結される前記バルブの第1出入口の開度と、前記燃料電池スタックの出口端に連結される前記バルブの第2出入口の開度とを選択的に制御し、前記冷却水の温度を調節することを特徴とする。
【0010】
前記制御機は、バッテリー完全充電の状態で回生制動によって発生する電気エネルギーを前記ヒーターに供給して消尽し、前記ヒーターと連結される前記バルブの第3出入口の開度を調節して前記ヒーターを通過する流量を調節することを特徴とする。
【0011】
前記制御機は、冷間始動時に前記燃料電池スタックの出口端に連結される前記バルブの第2出入口の開度を制御し、前記ラジエーターの出口端に連結される前記バルブの第1出入口の開度を閉鎖して前記燃料電池スタック及び前記ヒーターに供給される前記冷却水の流量を制御することを特徴とする。
【0012】
前記制御機は、前記燃料電池スタックで発生する熱エネルギーが前記ラジエーターの放熱限界を超過する場合、イオンフィルターと連結される前記バルブの第5出入口の開度を制御して前記イオンフィルターに流入される冷却水の流量を減少させるか遮断することを特徴とする。
【0013】
前記ポンプの出口端と前記バルブとの間に位置し、前記冷却水のイオンを除去するイオンフィルターをさらに含むことを特徴とする。
【0014】
前記ポンプの出口端と前記バルブとの間に配置され、前記冷却水の熱エネルギーで車両の室内温度を調節する暖房ヒーターをさらに含むことを特徴とする。
【0015】
前記バルブは、前記燃料電池スタックと前記ラジエーターとの間に配置されることを特徴とする。
【0016】
前記バルブは、前記バルブの五方向出入口の開度を制御する制御機をさらに含むことを特徴とする。
【0017】
前記制御機は、前記ポンプの入口端に連結される前記バルブの第1出入口の開度と、前記ラジエーターの出口端に連結される前記バルブの第2出入口の開度を選択的に制御し、前記冷却水の温度を調節することを特徴とする。
【0018】
前記制御機は、バッテリー完全充電の状態で回生制動によって発生する電気エネルギーを前記ヒーターに供給して消尽し、前記ヒーターと連結される前記バルブの第4出入口の開度を調節して前記ヒーターを通過する流量を調節することを特徴とする。
【0019】
前記制御機は、冷間始動時に前記ラジエーターの入口端に連結される前記バルブの第2出入口の開度を閉鎖し、前記燃料電池スタックの出口端に連結される前記バルブの第3出入口の開度及び前記ヒーターの出口端に連結される前記バルブの第4出入口の開度を制御することで、前記燃料電池スタック及び前記ヒーターに供給される前記冷却水の流量を制御することを特徴とする。
【0020】
前記制御機は、前記燃料電池スタックで発生する熱エネルギーが前記ラジエーターの放熱限界を超過する場合、イオンフィルターと連結される前記バルブの第5出入口の開度を制御して前記イオンフィルターに流入される冷却水の流量を減少させるか遮断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、一つのマルチバルブを用いて冷却水の温度及び流れを制御するため、原価を節減できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態による熱管理システムを示した構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態による熱管理システムのバルブ制御による冷却水の流れを示した図である。
【
図3】本発明の一実施形態による熱管理システムのバルブ制御による冷却水の流れを示した図である。
【
図4】本発明の一実施形態による熱管理システムのバルブ制御による冷却水の流れを示した図である。
【
図5】本発明の他の実施形態による熱管理システムを示した構成図である。
【
図6】本発明の他の実施形態による熱管理システムのバルブ制御による冷却水の流れを示した図である。
【
図7】本発明の他の実施形態による熱管理システムのバルブ制御による冷却水の流れを示した図である。
【
図8】本発明の他の実施形態による熱管理システムのバルブ制御による冷却水の流れを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一部実施形態を例示的な図面を介して詳しく説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加することにおいて、同一の構成要素に対してはたとえ他の図面上に表示されるとしても、出来る限り同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施形態を説明することにおいて、関連する公知構成又は機能に対する具体的な説明が本発明の実施形態に対する理解を邪魔すると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0024】
本発明の実施形態の構成要素を説明することにおいて、第1、第2、A、B、(a)、(b)等の用語を用いてよい。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためだけのものであり、その用語によって当該構成要素の本質や順番又は順序等が限定されない。また、異なるように定義されない限り、技術的又は科学的な用語を含め、ここで用いられる全ての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。一般的に用いられる辞書に定義されているもののような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有したものと解釈されなければならず、本出願において明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味に解釈されない。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態による熱管理システムを示した構成図である。
【0026】
図1を参照すれば、熱管理システム100は、冷却水(coolant)の温度を制御して冷却水を燃料電池スタック110に供給するものであって、燃料電池スタック(fuel cell stack)110、ヒーター120、ポンプ130、イオンフィルター140、ラジエーター150、バルブ160及び制御機170を含む。
【0027】
燃料電池スタック110は、水素と酸素の電気化学反応によって電気エネルギーを生産する。燃料電池スタック110は、二つの触媒電極、すなわち、アノード(anode、正極)とカソード(cathode、負極)を含む。水素(hydrogen)と酸素(oxygen)がアノードとカソードにそれぞれ供給されれば、アノードは、水素を陽子(protons)、すなわち、水素イオンと電子(electrons)に分離する。水素イオンは、電解質層を経てカソードに移動し、カソードで水素イオンが酸素と結合して水を生成する。電子は、外部回路を経て電流を発生させる。すなわち、アノードとカソードの電位差によって電気エネルギーが生産される。燃料電池スタック110で発生する電気エネルギーは、電気モーター(図示省略)又はヒーター120の駆動エネルギーとして用いられてよい。燃料電池スタック110は、内部に流入される冷却水を介して水素と酸素の電気化学反応時に発生する熱エネルギーを放出する。
【0028】
ヒーター120は、燃料電池スタック110の耐久性向上及び冷始動性改善のために冷却水を加熱して冷却水の温度を上昇させる役割をする。ヒーター120は、COD(Cathode Oxygen Depletion)ヒーター(CHT)で具現されてよい。
【0029】
ヒーター120は、車両のシャットダウン(shut down)時又は車両衝突時に、燃料電池スタック110内に残留する酸素と水素を除去して燃料電池スタック110の劣化を防止する。ヒーター120は、長鋼板走行中にバッテリーが完全充電されれば、回生制動で生産される電気エネルギーの供給を受けて冷却水加熱に消尽する。ヒーター120は、冷間始動(cold start)時に燃料電池スタック110で生産される電気エネルギー又はバッテリー(高電圧バッテリー)から供給される電気エネルギーを用いて冷却水を加熱し、冷却水温を上昇させる。
【0030】
ポンプ130は、圧力作用を用いて冷却水を冷却水流路(ライン)に沿って循環するようにする。ポンプ130は、電動式水ポンプ(Electric Water Pump、EWP)で具現されてよい。ポンプ130は、燃料電池スタック110及び/又はヒーター120に冷却水を供給する。ポンプ130は、イオンフィルター140に冷却水を供給してもよい。
【0031】
イオンフィルター(Ion Filter)140は、ポンプ130の出口端とバルブ160との間に位置する。イオンフィルター140は、ポンプ130によって循環される冷却水内のイオンを除去し、冷却水の電気伝導度を一定に維持させる。ポンプ130の出口端とバルブ160との間にイオンフィルター140の代わりに熱交換器が位置してもよい。熱交換器(heater core)は、冷却水の熱で車両の室内温度を調節する暖房ヒーターであって、キャビン(cabin)ヒーターで具現されてよい。
【0032】
ラジエーター(Radiator、RAD)150は、燃料電池スタック110で発生する熱エネルギーによって昇温された冷却水を冷却させる役割をする。ラジエーター150では、冷却水と外部空気(ambient air)との熱交換により冷却水の温度が下がるようになる。ラジエーター150は、熱交換効率を高めるために、外部空気をラジエーター150に供給して冷却水を冷却させる冷却ファン(cooling fan)を含んでよい。
【0033】
バルブ160は、ポンプ130とラジエーター150との間に配置され、冷却水温度によって流路を決定する役割をする。バルブ160は、燃料電池スタック110の出口端、ヒーター120の出口端、イオンフィルター140の出口端及びラジエーター150の出口端のうち、少なくとも一つから流入される冷却水の流量を調節してポンプ130に供給する。バルブ160は、五方向バルブ(5way valve、五方バルブ)例えば、電動式サーモスタット(Thermostat)で具現されてよい。すなわち、バルブ160は、ラジエーター150の出口端に連結される第1出入口161、燃料電池スタック110の出口端に連結される第2出入口162、ヒーター120の出口端に連結される第3出入口163、ポンプ130の入口端(流入口)に連結される第4出入口164、及びイオンフィルター140の出口端に連結される第5出入口165を含む。
【0034】
制御機170は、熱管理システム100の動作モードによってバルブ160の開閉及び/又は開度を制御することで、冷却水の流れを制御する。制御機170は、車両に搭載されたセンサ及び/又は電子制御装置(ECU)等を介して収集するデータに基づき、熱管理システム100の動作モードを決定してよい。ここで、センサは、温度センサ、衝突センサ及び/又はジャイロセンサ等を含んでよい。電子制御装置は、燃料電池管理装置、バッテリー管理装置、車体制御装置及び/又はシャシー制御装置等を含んでよい。
【0035】
このような制御機170は、図面に示していないが、通信モジュール、プロセッサ及びメモリーを含んでよい。通信モジュールは、制御機170が車両ネットワーク、例えば、CAN(Controller Area Network)等を介して連結される電子制御装置とデータを送受信できるようにする。プロセッサは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、PLD(Programmable Logic Devices)、FPGAs(Field Programmable Gate Arrays)、CPU(Central Processing unit)、マイクロコントローラー(microcontrollers)及びマイクロプロセッサ(microprocessors)のうち少なくとも一つで具現されてよい。メモリーは、プロセッサが定まった動作を行うようにプログラミングされたソフトウェアを保存できる。また、メモリーは、プロセッサの動作による入力データ及び/又は出力データを保存できる。メモリーは、ラム(Random Access Memory、RAM)、SRAM(Static Random Access Memory)、ロム(Read Only Memory、ROM)、PROM(Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)、EPROM(Erasable and Programmable ROM)及びレジスター等の保存媒体(記録媒体)のうち少なくとも一つで具現されてよい。
【0036】
本実施形態では、制御機170がバルブ160と別途構成されることを例に挙げて説明しているが、これに限定されずに制御機170がバルブ160内に搭載されるように具現されてもよい。
【0037】
以下では、
図2から
図4を参照し、制御機170の動作をより具体的に説明する。
【0038】
図2から
図4は、本発明の一実施形態による熱管理システムのバルブ制御による冷却水の流れを示した図である。
【0039】
第一に、
図2を参照し、冷却水の温度制御時の冷却水の流れ制御を説明する。
【0040】
燃料電池スタック110の温度(システム温度)が運転温度範囲から外れると、制御機170は燃料電池管理装置(図示省略)を介してこれを感知し、バルブ160の第1出入口161及び第2出入口162の開度量(開度)を制御することで、冷却水の温度が目標温度を維持するように制御する。このとき、第1出入口161の開度量はxであり、第2出入口162の開度量は1-xに設定されてよい。
【0041】
冷却水の温度が目標温度より高い場合、制御機170は、第1出入口161の開度量を増加させて(すなわち、第2出入口162の開度量を減少させて)ラジエーター150からポンプ130に供給される冷却水の流量を増加させる。一方、冷却水の温度が目標温度より低い場合、制御機170は、第2出入口162の開度量を増加させて(すなわち、第1出入口161の開度量を減少させて)燃料電池スタック110からバイパス(bypass)され、ポンプ130に供給される冷却水の流量を増加させる。これにより、制御機170は、冷却水の温度を目標温度に維持できる。ここで、冷却水の温度は燃料電池スタック110に供給される冷却水温を意味する。
【0042】
制御機170は、第5出入口165の開度(開度量)を制御することで、イオンフィルター140を通過する冷却水の流量を制御する。
【0043】
制御機170は、第3出入口163の開度を選択的に制御することで、ヒーター120によって加熱された冷却水がポンプ130に供給される流量を調節できる。例えば、冷却水の冷却が必要な場合、制御機170は、第3出入口163を閉鎖(closed)してヒーター120により加熱された冷却水が供給されることを遮断し、第1出入口161及び第2出入口162の開度を制御して冷却水温を制御する。一方、冷却水の昇温が必要な場合、制御機170は、ヒーター120に電力を供給して冷却水を加熱させ、第1出入口161、第2出入口162及び第3出入口163の開度を制御して燃料電池スタック110及びヒーター120に熱管理システム100が必要とする流量の冷却水を供給する。
【0044】
第二に、
図2を参照し、燃料電池スタック110内部の残余エネルギー及び余剰エネルギー(過剰エネルギー)の消耗必要時の冷却水の流れ制御を説明する。
【0045】
制御機170は、車両始動オフ(OFF)、すなわち、車両シャットダウン又は車両衝突を感知すると、燃料電池スタック110内部の残余エネルギーを消耗するために、ヒーター120を強制的に作動させる。言い換えれば、制御機170は、燃料電池スタック110内部に残存する酸素と水素を消尽するために、ヒーター120に電気エネルギー(電力)を供給して作動させる。
【0046】
一方、制御機170は、長鋼板走行中にバッテリー完全充電を感知すれば、回生制動によって発生する電気エネルギー(余剰エネルギー)をヒーター120に供給して消尽し、ヒーター120の過熱防止のために、第1出入口161、第2出入口162及び第3出入口163の開度を制御して燃料電池スタック110及びヒーター120に必要な程の冷却水を供給する。
【0047】
第三に、
図3を参照し、熱管理システムの冷間始動(cold start)時又は燃料電池スタック110内部の残余エネルギー及び余剰エネルギー(過剰エネルギー)の消耗必要時の冷却水の流れ制御を説明する。
【0048】
制御機170は、冷間始動時に燃料電池スタック110の昇温を誘導するために、燃料電池スタック110で発電される電気エネルギーをヒーター120に供給して消尽する。このとき、制御機170は、ヒーター120の焼損防止のために、第3出入口163の開度を制御してヒーター120に供給される冷却水の流量を制御する。
【0049】
また、制御機170は、燃料電池スタック110の劣化を防止するために、第2出入口162の開度を制御して第1出入口161の開度を閉鎖する。すなわち、制御機170は、ラジエーター150によって温度が下がった冷却水が供給されることを遮断する。
【0050】
また、制御機170は、第5出入口165の開度を制御することで、冷間始動中にイオンフィルター140に供給される流量を制御できる。
【0051】
第四に、
図4を参照し、イオンフィルターの高温露出防止時の冷却水の流れ制御を説明する。
【0052】
ラジエーター150の放熱限界量を超える熱エネルギーが燃料電池システムで発生する場合、冷却水の温度が上昇するようになり、これは、イオンフィルター140内のイオン交換樹脂の耐久劣化を加速する。これを防止するために、制御機170は、高温(高発熱)状況時に第5出入口165の開度を制御してイオンフィルター140に流入される流量を減少させるか、又は第5出入口165の開度を閉鎖して冷却水の供給を中断できる。
【0053】
図5は、本発明の他の実施形態による熱管理システムを示した構成図である。本実施形態の説明において、
図1に示された熱管理システムと異なっている構成を重点的に説明する。
【0054】
図5を参照すれば、熱管理システム100は、燃料電池スタック110、ヒーター120、ポンプ130、イオンフィルター140、ラジエーター150、バルブ160及び制御機170を含む。
【0055】
燃料電池スタック110は、水素と酸素の電気化学反応によって電気エネルギーを生産する。燃料電池スタック110で発生する電気エネルギーは、電気モーター(図示省略)又はヒーター120に供給する。電気化学反応時に発生する熱によって燃料電池スタック110の温度が上昇することを防止するために、燃料電池スタック110に冷却水が流入されるようにする。
【0056】
ヒーター120は、冷却水を加熱して冷却水の温度を上昇させる。また、ヒーター120は、車両シャットダウン時又は車両衝突時に燃料電池スタック110内に残留する酸素と水素を除去する。ヒーター120は、長鋼板走行中、バッテリー完全充電時に回生制動で生産される電気エネルギーの供給を受けて消尽する。ヒーター120は、冷間始動時に燃料電池スタック110で生産される電気エネルギーの供給を受けて消尽する。ヒーター120は、冷却水の昇温時にバッテリー(高電圧バッテリー)から電気エネルギーの供給を受けて冷却水を加熱できる。
【0057】
ポンプ130は、冷却水を循環させる役割をする。ポンプ130は、燃料電池スタック110、ヒーター120及び/又はイオンフィルター140に冷却水を供給できる。
【0058】
イオンフィルター140は、ポンプ130の出口端とバルブ160との間に位置する。イオンフィルター140は、ポンプ130によって循環される冷却水内のイオンを除去し、冷却水の電気伝導度を一定に維持する。ポンプ130の出口端とバルブ160との間にイオンフィルター140の代わりに熱交換器が位置してもよい。
【0059】
ラジエーター150は、冷却水と外部空気との熱交換を介して冷却水の温度を下げる。ラジエーター150は、燃料電池スタック110、ヒーター120及びイオンフィルター140のうち少なくとも一つから供給される昇温した冷却水を冷却させる。
【0060】
バルブ160は、燃料電池スタック110の出口端とラジエーター150の入口端との間に配置され、冷却水温度によって流路を決定する役割をする。バルブ160は、燃料電池スタック110の出口端、ヒーター120の出口端及びイオンフィルター140の出口端のうち少なくとも一つから流入される冷却水の流量を調節する。
【0061】
バルブ160は、五方向バルブ(五方バルブ)で具現されてよい。五方向バルブは、ポンプ130の入口端に連結される第1出入口161、ラジエーター150の入口端に連結される第2出入口162、燃料電池スタック110の出口端に連結される第3出入口163、ヒーター120の出口端に連結される第4出入口164、及びイオンフィルター140の出口端に連結される第5出入口165を含む。
【0062】
制御機170は、熱管理システム100の動作モードによってバルブ160の開閉及び/又は開度を制御することで、燃料電池スタック110に供給される冷却水の温度及び流れを制御する。制御機170は、車両に搭載されたセンサ及び/又は電子制御装置(ECU)等を介して収集するデータに基づき、熱管理システム100の動作モードを決定できる。
【0063】
以下では、
図6から
図8を参照し、制御機170の動作をより具体的に説明する。
【0064】
図6から
図8は、本発明の他の実施形態による熱管理システムのバルブ制御による冷却水の流れを示した図である。
【0065】
第一に、
図6を参照し、燃料電池スタック110の温度制御時の冷却水の流れ制御を説明する。
【0066】
燃料電池スタック110の温度(システム温度)が運転温度範囲から外れると、制御機170は、燃料電池管理装置(図示省略)を介してこれを感知し、バルブ160の第1出入口161及び第2出入口162の開度量を制御することで、燃料電池スタック110の温度が目標温度を維持するように制御する。ここで、第1出入口161の開度量はxであり、第2出入口162の開度量は1-xに設定されてよい。
【0067】
冷却水の温度が目標温度より高い場合、制御機170は、第2出入口162の開度量を増加させて(すなわち、第1出入口161の開度量を減少させて)ラジエーター150に供給される冷却水の流量を増加させる。一方、冷却水の温度が目標温度より低い場合、制御機170は、第1出入口161の開度量を増加させて(すなわち、第2出入口162の開度量を減少させて)燃料電池スタック110からバイパス(bypass)され、ポンプ130に供給される冷却水の流量を増加させる。これにより、制御機170は、冷却水の温度を目標温度に維持できる。
【0068】
制御機170は、第5出入口165の開度(開度量)を制御することで、イオンフィルター140を通過する冷却水の流量を制御する。
【0069】
制御機170は、第4出入口164を選択的に制御することで、ヒーター120によって加熱された冷却水がポンプ130に供給される流量を調節できる。制御機170は、第3出入口163と第4出入口164を制御することで、燃料電池スタック110とヒーター120の流量を選別的に制御できる。
【0070】
例えば、冷却水の冷却が必要な場合、制御機170は、第4出入口164を閉鎖し、ヒーター120によって加熱された冷却水が供給されることを遮断する。一方、冷却水の昇温が必要な場合、制御機170は、ヒーター120に電力を供給して冷却水の昇温を誘導し、第3出入口163及び第4出入口164の開度を制御して燃料電池スタック110及びヒーター120に熱管理システム100が必要とする流量の冷却水を供給する。
【0071】
第二に、
図6を参照し、燃料電池スタック110内部の残余エネルギー及び余剰エネルギーの消耗必要時の冷却水の流れ制御を説明する。
【0072】
制御機170は、車両始動オフ(OFF)、すなわち、車両シャットダウン又は車両衝突を感知すると、燃料電池スタック110内部の残余エネルギーを消耗するために、ヒーター120を強制的に作動させることができる。
【0073】
一方、制御機170は、長鋼板走行中にバッテリー完全充電を感知すると、回生制動によって発生する電気エネルギー、すなわち、余剰エネルギーをヒーター120に供給して消尽し、ヒーター120の過熱防止のために、第1出入口161から第4出入口164の開度を制御して燃料電池スタック110及びヒーター120に必要な程の冷却水を供給する。
【0074】
第三に、
図7を参照し、熱管理システムの冷間始動時の冷却水の流れ制御を説明する。
【0075】
制御機170は、冷間始動時に第2出入口162の開度を閉鎖し、ラジエーター150に供給される冷却水を遮断する。制御機170は、第3出入口163と第4出入口164の開度を制御することで、燃料電池スタック110とヒーター120に供給される冷却水の流量を制御する。
【0076】
また、制御機170は、第5出入口165の開度を制御することで、冷間始動中にイオンフィルター140に供給される流量を制御できる。
【0077】
第四に、
図8を参照し、イオンフィルターの高温露出防止時の冷却水の流れ制御を説明する。
【0078】
ラジエーター150の放熱限界量を超える熱エネルギーが燃料電池システムで発生する場合、冷却水温が上昇するようになり、これは、イオンフィルター140内のイオン交換樹脂の耐久劣化を加速することがある。これを防止するために、制御機170は、高温の熱エネルギーが発生する場合、第5出入口165の開度を制御してイオンフィルター140に流れる冷却水の流量を減少させるか、又は第5出入口165の開度を閉鎖し、冷却水の供給を中断できる。このとき、第4出入口164の開度は閉鎖状態を維持し、第3出入口163の開度は開放状態を維持する。
【0079】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したことに過ぎないものであって、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から外れない範囲で多様な修正及び変形が可能なはずである。したがって、本発明に開示された実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施形態によって本発明の技術思想の範囲が限定されるのではない。本発明の保護範囲は、以下の特許請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されなければならない。