(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】穿孔防止装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/34 20060101AFI20240508BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20240508BHJP
A61B 17/42 20060101ALI20240508BHJP
A61B 1/303 20060101ALI20240508BHJP
A61B 1/018 20060101ALI20240508BHJP
A61B 8/12 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
A61B17/34 510
A61B34/20
A61B17/42
A61B1/303
A61B1/018 515
A61B8/12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020058276
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2022-12-26
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ケスター・ジェイ・バッチェラー
(72)【発明者】
【氏名】ニキル・エム・ムルデシュワル
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04674503(US,A)
【文献】特表2005-509488(JP,A)
【文献】特開平05-337127(JP,A)
【文献】特表2012-531276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/34
A61B 34/20
A61B 17/42
A61B 1/303
A61B 1/018
A61B 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の管腔内に延在するように構成された第1の部分と、前記管腔の外側に位置決めされるように構成された第2の部分と、を有する手術針であって、前記手術針が、
a. センサと、
b. 前記センサが位置決めされている遠位先端部と、
c.
格納位置と展開位置との間で移動することができる針であって、前記展開位置では、前記針が前記遠位先端部から延在する、針と、
d. 挿入深さを変更するように調整可能な針送り出し機構
であって、前記針送り出し機構が、前記針を移動させるように動作可能な針アクチュエータと、前記針アクチュエータが始動されたときに前記針の移動を制限するように動作可能な停止部と、を含み、前記停止部が、前記針が前記遠位先端部から対象の形体の中に穿通する挿入深さを制御するように移動することができる、針送り出し機構と、
e. 前記針送り出し機構と通信する制御ユニットと、
を備え、
前記センサが、
前記対象の形体の厚さに関する信号を前記制御ユニットに提供
するように構成され、前記制御ユニットは、前記センサからの前記信号に基づいて前記対象の形体への前記挿入深さが変動するように前記挿入深さを制御する
ように構成され、または前記制御ユニットは、前記針送り出し機構が
始動するのを防止
し、
前記針送り出し機構が、前記遠位先端部に配置される、
手術針。
【請求項2】
前記センサが、軟部組織厚さセンサである、請求項1に記載の手術針。
【請求項3】
前記センサが、超音波センサ、光反射センサ、導電性材料厚さ測定センサ、静電容量センサ、またはそれらの組合せである、請求項1に記載の手術針。
【請求項4】
前記針送り出し機構が、前記針を前記遠位先端部から外に移動させるためのソレノイド、ばね、空気圧系、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の手術針。
【請求項5】
前記針送り出し機構が、前記停止部に接触して前記針を移動させ
るように構成され、前記停止部の位置は、前記針が前記対象の形体内に穿通する深さを決定する、請求項
1に記載の手術針。
【請求項6】
前記針送り出し機構が、前記停止部に接続し、前記針送り出し機構は、前記針が対象の形体内に穿通する深さを決定する前記停止部の場所を制御する
ように構成される、請求項
1に記載の手術針。
【請求項7】
前記対象の形体が、死角になった空間、別の形体、またはその両方に隣接して位置決めされ
、前記針の穿通する深さは、前記針が前記死角になった空間、前記別の形体、またはその両方に接触する前に制限される、請求項1に記載の手術針。
【請求項8】
a.
請求項1から7のいずれか一項に記載の手術針であって、
前記第1の部分が組織の第1の側と接触するように構成される、手術針、
b.
前記組織の反対側の第2の側に隣接して患者の第2の管腔内に挿入されるように構成された組織マーカ
、
および
c.
前記組織マーカ上に位置決めさ
れる信号源
を備え、
前記針送り出し機構は、前記組織マーカと前記手術針の前記遠位先端部との間の関係に基づいて、前記挿入深さが前記組織マーカと前記手術針の前記遠位先端部との間の距離未満になるように
前記針の前記挿入深さを制御
するように構成され、または前記針送り出し機構は、送り出しが防止される、
手術システム。
【請求項9】
前記針送り出し機構は、前記挿入深さが前記組織マーカと前記センサとの間の距離を超える場合、作動が防止される
ように構成される、請求項
8に記載の手術システム。
【請求項10】
前記組織マーカおよび前記センサが、機械的に分離し、電気的に分離し、またはその両方である、請求項
8に記載の手術システム。
【請求項11】
前記距離が、前記信号源によって生成される信号をモニターする前記センサによって決定される、請求項
8に記載の手術システム。
【請求項12】
a.
制御ユニットが、針送り出し機構を
始動させるステップ
であって、前記針送り出し機構が、針を移動させるように動作可能な針アクチュエータと、前記針アクチュエータが始動されたときに前記針の移動を制限するように動作可能な停止部と、を含み、前記停止部が、前記針が対象の形体の中に穿通する挿入深さを制御するように移動することができる、ステップと、
b. センサ
が、管腔の厚さをモニターするステップと、
c.
前記制御ユニットが、前記センサによるモニタリングに基づくフィードバックを受信するステップと、
d.
前記制御ユニットが、前記センサからの前記フィードバックに基づいて、前記針送り出し機構の挿入深さを制御する、または前記針送り出し機構の移動を防止するステップと、
を含む方法。
【請求項13】
前記フィードバックが、触覚信号、視覚信号、音響信号、針のロックアウト、またはそれらの組合せである、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記フィードバックは
、針が前記モニターされた厚さ以下だけが送り出されるように、前記針送り出し機構による
前記針の挿入深さを制御する、請求項
12に記載の方法。
【請求項15】
前記針送り出し機構が、針を送り出す、請求項
12に記載の方法。
【請求項16】
信号源が、
前記対象の形体に対して、前記センサの反対側に位置決めされている、請求項
12に記載の方法。
【請求項17】
信号源が、第2の管腔内に挿入される、請求項
12に記載の方法。
【請求項18】
前記管腔が膣管であり、前記第2の管腔が直腸である、請求項
17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、手術装置に関し、この手術装置は、手術装置の穿通深さを制御するための制御ユニット、詳細には、対象の形体の測定結果に基づいて、手術装置の穿通深さを制御する、または対象の形体内への手術装置の移動を防止するセンサ、制御ユニット、あるいはその両方を備える。
【背景技術】
【0002】
いくつかの手術手技の間、対象の部位は、敏感なエリアに近接して位置し、または直接、当接している。たとえば、腸構造が、対象の壁に近接して位置していることがある。敏感なエリア(たとえば、腸)は、対象の形体の背後に見えないように隠れていることがあり、手術装置が対象の壁を穿通した場合、この手術装置が敏感なエリアに接触する場合がある。敏感なエリアに接触すると、敏感なエリアに対する外傷が生じ、または敏感なエリアの内容物が手術部位内に拡散する可能性があり得る。手術装置および穿刺用ツールの例は、特許文献1~3に見出すことができ、また装置については、非特許文献1~3に論じられており、それらはすべて、すべての目的でその全体が参照によって本明細書に組み込まれている。したがって、敏感なエリアを保護するための試みが行われてきており、多くの場合、より侵襲的手術手技を用いて、敏感なエリアに対する外傷の可能性を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2014/066042号パンフレット
【文献】国際公開第2015/138708号パンフレット
【文献】欧州特許出願公開第3162294号明細書
【非特許文献】
【0004】
【文献】https://en.wikipedia.org/wiki/Veress_needle
【文献】https://en.wikipedia.org/wiki/Epidural_needle
【文献】https://en.wikipedia.org/wiki/Epidural_administration
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
対象の形体の厚さを感知し、次いで、対象の形体の測定された厚さよりもさらに深く手術装置が穿通するのを防止する、または装置が始動するのを防止するセンサを備える手術装置を有することは魅力的になる。手術装置の針が対象の形体の厚さを超える距離だけ展開するように設定された場合、針の展開を防止する手術装置が必要である。針の先端部と器官との間の距離を決定し、先端部が針の先端部に達するのを防止するセンサを有することは魅力的になる。手術装置の深さを制御する、または手術装置の使用を防止する1つまたは複数のセンサ、制御ユニット、あるいはその両方が必要である。第1の管腔と第2の管腔との間の距離を伝えるセンサおよび信号源を有することは魅力的になる。死角になった管腔または死角になった管腔の背後の形体の穿孔を防止する装置および方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、手術針を提供することによって必要事項のうちの1つまたは複数を満たし、この手術針は、(a)センサと、(b)センサが位置決めされている遠位先端部と、(c)挿入深さを変更するように調整可能な針送り出し機構と、(d)針送り出し機構と通信する制御ユニットと、を備え、センサは、対象の形体の厚さに関する信号を制御ユニットに提供し、制御ユニットは、センサからの信号に基づいて対象の形体への挿入深さが変動するように挿入深さを制御し、または制御ユニットは、針送り出し機構が始動するのを防止する。
【0007】
本教示は、手術システムを提供し、この手術システムは、(a)手術針であって、(i)遠位先端部と、(ii)挿入深さを調整可能に制御する針送り出し機構と、を備える手術針、(b)組織マーカ、(c)組織マーカ上または手術針の遠位先端部上に位置決めされるセンサ、および(d)センサが手術針の遠位先端部上に位置決めされる場合、組織マーカ上に位置決めされ、センサが組織マーカ上に位置決めされる場合、手術針の遠位先端部上に位置決めされる信号源を備え、針送り出し機構は、組織マーカと手術針の遠位先端部との間の関係に基づいて、挿入深さが組織マーカと手術針の遠位先端部との間の距離未満になるように挿入深さを制御し、または針送り出し機構は、送り出しが防止される。
【0008】
本教示は、(a)手術針のすべてまたは一部分を管腔内に挿入するステップと、(b)針送り出し機構を始動するステップと、(c)センサにより管腔の厚さをモニターするステップと、(d)センサによるモニタリングに基づくフィードバックを受信するステップと、(e)センサからのフィードバックに基づいて、針送り出し機構の挿入深さを制御する、または針送り出し機構の移動を防止するステップと、を含む方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本教示は、対象の形体の厚さを感知し、次いで、対象の形体の測定された厚さよりもさらに深く手術装置が穿通するのを防止する、または装置が始動するのを防止するセンサを備える手術装置を提供する。本教示は、手術装置の針が対象の形体の厚さを超える距離だけ展開するように設定された場合、針の展開を防止する手術装置を提供する。本教示は、針の先端部と器官との間の距離を決定し、先端部が針の先端部に達するのを防止するセンサを提供する。本教示は、手術装置の深さを制御する、または手術装置の使用を防止する1つまたは複数のセンサ、制御ユニット、あるいはその両方を提供する。本教示は、第1の管腔と第2の管腔との間の距離を伝えるセンサおよび信号源を提供する。本教示は、死角になった管腔または死角になった管腔の背後の形体の穿孔を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】患者の中に位置決めされている手術システムの平面図である。
【
図2A】針が格納位置および設定された停止位置にある針送り出し機構の図である。
【
図2B】針が展開位置にある針送り出し機構の図である。
【
図3】針が空いている空間内に送り出されている手術システムの平面図である。
【
図4】センサが第1の管腔内に位置決めされ、信号源44が第2の管腔内にある手術システムの平面図である。
【
図5A】針が部分的に出て組織内にある状態を示す図である。
【
図5B】針が組織を通って空いている空間内に送り出されている状態を示す図である。
【
図6】組織86内にカニューレ14を挿入して、組織86を通って管腔80から空いている空間84内に、ただし第2の管腔82の手前に空間を作った後、管腔80内に挿入される第2の手術装置4’を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に提示される説明および図示は、本教示、その原理、およびその実際の適用例を当業者に伝えるように意図されている。当業者は、具体的な使用の要件に最良に適することができるように、本教示をその多数の形態に適合および適用させることができる。したがって、記載されている本教示の具体的な実施形態は、本教示について包括的または限定的であると意図するものではない。そのため、本教示の範囲は、上記の説明を参照して決定するのではなく、むしろ添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲の権利が与えられる均等形態の全範囲とともに決定すべきである。特許出願および公報を含むすべての論文ならびに参考文献の開示は、すべての目的で参照によって組み込まれている。他の組合せもまた、次の特許請求の範囲から得られるように可能であり、それらもまた、本明細書に参照によって組み込まれている。
【0012】
本教示は、手術システムに関する。この手術システムは、管腔、管腔に近接する領域、死角になった管腔、またはそれらの組合せにおいて動作するように機能する。手術システムは、1つまたは複数のカニューレ、1つまたは複数の針、あるいはその両方を含むことができる。手術システムは、組織の背後の領域が露出し得るように、組織を穿刺または穿通することができる。手術システムは、組織または対象の形体に生検を行うことができる。手術システムは、手術装置、穿孔防止装置、またはその両方を含むことができる。
【0013】
本教示は、手術装置に関する。この手術装置は、非電気装置であってもよい(すなわち、機械的な切断または把持などの機械的な機能しか提供することができない)。手術装置は、電気手術装置であってもよい。手術装置は、切断する、穿刺する、開く、またはそれらの組合せを行うことができる。手術装置は、管腔内に挿入され得る。好ましくは、手術装置は、自然管腔(natural lumen)内に挿入され得る。手術装置は、膣、膣腔、直腸、またはそれらの組合せの中に挿入され得る。手術装置は、内視鏡であってもよい。手術装置は、内視鏡を介して挿入されても、または内視鏡のアクティブな一部であってもよい。手術装置は、挿管装置、手術針、針、マーカ、もしくはそれらの組合せであっても、またはそれらを含んでいてもよい。手術装置は、内視鏡から外に延出し、次いで、内視鏡内に戻して格納することができる。手術装置は、組織を穿刺して、試料を取ること、または開口部を作ることができる。手術装置は、1つまたは複数の穿孔防止装置、1つまたは複数の挿管装置、またはその両方であっても、あるいはそれらを含んでいてもよい。
【0014】
挿管装置は、カニューレ、針、穿刺用装置、またはそれらの組合せを展開するのをアシストするように機能することができる。挿管装置は、管腔内に延びて、生検を取る、組織を穿刺する、またはその両方を行うことができる。挿管装置は、1つまたは複数のカニューレ、手術針、針送り出し機構、針アクチュエータ、あるいはそれらの組合せを含むことができる。挿管装置は、1つまたは複数のカニューレ、針、あるいはその両方を収容し、カニューレ、針、またはその両方を組織内、対象の形体内、またはその両方の中に挿入するのをアシストすることができる。挿管装置は、針を送り出す、カニューレを送り出す、またはその両方を行うことができる。挿管装置は部分的に管腔に入ることができる。挿管装置は全体が管腔に入ることができる。挿管装置は、1つまたは複数の穿孔防止装置、1つまたは複数の停止部、1つまたは複数のセンサ、1つまたは複数の信号センサ、あるいはそれらの組合せを含むことができる。挿管装置は、針、手術針、カニューレ、針、またはそれらの組合せを組織、対象の形体、またはその両方の中に挿入するように機能することができる。挿管装置は、組織内に、組織を通って、対象の形体を通って、解剖学的形体内に、解剖学的形体を通って、またはそれらの組合せでカニューレを挿入することができる。
【0015】
1つまたは複数のカニューレは、空いている空間を作る、または空いている空間を維持するように機能することができる。1つまたは複数のカニューレは、1つまたは複数の手術装置が貫入することができる、組織、解剖学的形体、またはその両方を通る経路を作ることができる。1つまたは複数のカニューレは、組織、解剖学的形体、またはその両方の中に開口部を開いた状態に保持することができる。1つまたは複数のカニューレは、組織を除去する、組織を穿刺する、またはその両方を行うことができる。1つまたは複数のカニューレは、組織または解剖学的形体から除去可能とすることができる。1つまたは複数のカニューレは、組織または解剖学的形体内に一時的に位置決めされ得る。カニューレは、先端部が丸くてよい。カニューレは、組織、解剖学的形体、またはその両方を突き刺すことができなくてもよい。針をカニューレの代わりにまたはカニューレに加えて使用することができる。針は、カニューレ内に位置決めされ、カニューレから外に延出することができる。
【0016】
針は、手術針、カニューレ、またはその両方の中に位置決めされ得る。針は、組織、解剖学的形体、またはその両方を突き刺すように機能することができる。針は、先端部が鋭くてよい。針は、先端部に角度が付けられていてよい。針は組織、解剖学的形体、またはその両方を穿通することができる。針は、1回または複数回、往復運動し得る。針は、組織、解剖学的形体、またはその両方を複数回、穿通することができ、それにより、生検または試料を取ることが可能になる。針は、カニューレが挿入され得る開口部を作ることができる。針は、組織、解剖学的形体、またはその両方を穿刺または穿通することができ、カニューレは、針によって作られた開口部内に進むことができ、それにより、カニューレは、針が除去されるときに保持され得る。針、カニューレ、またはその両方は、手術針の一部とすることができる。
【0017】
手術針は、針、カニューレ、またはその両方を組織、解剖学的形体、またはその両方の中に挿入するまたは留置するのをアシストする装置とすることができる。手術針は、管腔内に延びる部分および管腔の外側に位置決めされる部分を有することができ、それにより、使用者は手術針を制御することができる。手術針は、針により組織を突き刺して、穴を開ける、カニューレを挿入する、またはその両方を行うことができる。手術針は、挿管装置のタイプとすることができる。手術針は、ベレス針(Veress needle)、トロッカー針(trocar needle)、もしくはその両方を含み、または展開することができる。手術針は、1つまたは複数の針送り出し機構、1つまたは複数の針アクチュエータ、あるいはその両方を含むことができる。手術針は、カニューレ、針、もしくはその両方のすべて、または一部分を収容することができる。手術針は、管腔内に延びる部分を有することができる。手術針は、管腔内に延びて、針、カニューレ、またはその両方を展開する部分を有することができる。手術針は、手で把持される部分を有することができる。手術針は、針送り出し機構、針、カニューレ、またはそれらの組合せを含むことができる。手術針は、遠位先端部を有する。
【0018】
手術針の遠位先端部は、組織を通って展開される、解剖学的形体を通って展開される、またはそれらの組合せで展開される、管腔内に最も深く位置決めされる手術針の一部分とすることができる。好ましくは、手術針の遠位先端部は、針、カニューレ、またはその両方を収容する。遠位先端部は、針、カニューレ、またはその両方が組織を通って移動することができるように、組織に近接して、または組織に接触して移動することができる。手術針の遠位先端部は、針、カニューレ、手術器具、またはそれらの組合せが通過する開口部を含むことができる。センサ、信号源、またはその両方は、手術針の遠位端部上に、または遠位端部に位置決めされ得る。手術針は、手術装置、針、カニューレ、またはそれらの組合せを展開して、手術手順を行う装置とすることができる。カニューレ、針、またはその両方は、遠位先端部を有することができる。カニューレおよび針の遠位先端部は、同一平面上にあってよい。針の遠位先端部は、カニューレの遠位先端部を越えて延びることができる。カニューレの遠位先端部は、カニューレの遠位先端部を越えて延びることができる。針の遠位先端部は、カニューレの遠位先端部を越えて延びることができ、それにより、針の挿入中、針は、組織を穿通し、次いで、カニューレは、開口部を作るように針にわたって摺動する。針送り出し機構は、針、カニューレ、またはその両方を送り出すことができ、それにより、遠位先端部は、組織、解剖学的形体、またはその両方を通って延びるが、保護された領域の手前で停止する。
【0019】
針送り出し機構は、組織、対象の形体、またはその両方を通って、針、カニューレ、またはその両方を延ばすように機能する。針送り出し機構は、手術針内に位置決めされ得、または手術針と通信することができる。針送り出し機構は、針、カニューレ、またはその両方を手術針の遠位先端部から外に展開することができる。針送り出し機構は、組織マーカと針またはカニューレの遠位先端部との間の関係に基づいて、針またはカニューレの挿入深さを制御するように機能する。針送り出し機構は、組織マーカとカニューレまたは針の遠位端部との間の距離未満である距離だけ針またはカニューレを挿入することができる。針送り出し機構は、組織マーカとセンサとの間の距離を超える距離の作動を防止され得る。針送り出し機構は、針、カニューレ、またはその両方の遠位先端部を、空いている空間内に延ばすことができる。針送り出し機構は、針、カニューレ、またはその両方の遠位先端部を隣接する構造、第2の管腔、保護された領域、またはそれらの組合せの手前の場所まで延ばすことができる。針送り出し機構は、針、カニューレ、またはその両方を膣または子宮の壁を通ってダグラス窩内に延ばすことができるが、針、カニューレ、またはその両方の遠位端部は、直腸に接触する前に停止することになる。針送り出し機構は、ボタンを押圧すると、針、カニューレ、またはその両方を展開することができる。針送り出し機構は、針を所定の距離だけ送り出すことができる。針送り出し機構が針を移動させる距離は、調整、変動、変更、またはそれらの組合せが可能である。針送り出し機構は、組織または対象の形体と接触して留置される遠位先端部を有することができ、次いで、針送り出し機構に接触している組織または対象の形体を通って針またはカニューレが送り出される。針送り出し機構は、針、カニューレ、もしくはその両方のすべて、または一部分を収容することができる。針送り出し機構は、1つまたは複数の針アクチュエータ、制御ユニット、センサ、停止部、あるいはそれらの組合せを含むことができる。
【0020】
1つまたは複数の針アクチュエータは、1つまたは複数の針、1つまたは複数のカニューレを一定の距離だけ移動させるように機能することができる。1つまたは複数の針アクチュエータは、針、カニューレ、またはその両方を所定の距離だけ移動させることができる。1つまたは複数の針アクチュエータは、組織、対象の形体、またはその両方を穿刺することができる。1つまたは複数の針アクチュエータは、針、カニューレ、またはその両方を軸方向に移動させる。1つまたは複数の針アクチュエータは、針、カニューレ、またはその両方を組織、対象の形体、またはその両方に対して一定の角度で移動させることができる。1つまたは複数の針アクチュエータは、針、カニューレ、またはその両方を組織、対象の形体、またはその両方を穿刺するのに十分な量の力により移動させることができる。1つまたは複数の針アクチュエータは、変動可能とすることができる。1つまたは複数の針アクチュエータは、針、カニューレ、またはその両方を約1mm以上、約2mm以上、約3mm以上、約4mm以上、約5mm以上、約1cm以上、または約1.5cm以上の距離だけ移動させることができる。1つまたは複数の針アクチュエータは、針、カニューレ、またはその両方を約10cm以下、約7cm以下、約5cm以下、または約3cm以下の距離だけ移動させることができる。1つまたは複数の針アクチュエータは、1つまたは複数の付勢部材、1つまたは複数の空気圧系、1つまたは複数の液圧系、あるいはそれらの組合せを含むことができる。1つまたは複数の付勢部材は、ばね、圧縮可能な部材、ゴム部材、エラストマー部材、引張部材、ソレノイド、空気圧系、またはそれらの組合せとすることができる。1つまたは複数の針アクチュエータは、管腔内に挿入される前にあらかじめ装填され得る。1つまたは複数の針アクチュエータは、管腔内にある間に調整され得る。1つまたは複数の針アクチュエータは、管腔内で、管腔の外側の場所から、またはその両方で、設定、再設定、調整、またはそれらの組合せが可能である。1つまたは複数の針アクチュエータは、1つまたは複数の穿孔防止装置を含んでいても、あるいはそれに接続されていてもよい。
【0021】
1つまたは複数の穿孔防止装置は、保護された組織、保護されたエリア、またはそれらの組合せ(本明細書においては以降、保護された組織と呼ぶ)を保護するように機能する。1つまたは複数の穿孔防止装置は、1つまたは複数の針アクチュエータの作動を防止することができる。1つまたは複数の穿孔防止装置は、針、カニューレ、またはその両方の作動深さを自動的に制御することができる。1つまたは複数の穿孔防止装置は、モニターされた厚さが設定された距離未満である場合、針、カニューレ、またはその両方の作動を防止することができる。1つまたは複数の穿孔防止装置は、モニターされた距離に基づいて、モニタリングからのフィードバックに基づいて、またはその両方に基づいて、設定された距離を変更することができる。1つまたは複数の穿孔防止装置は、針、カニューレ、またはその両方が移動する距離を制御することができる。1つまたは複数の穿孔防止装置は、フィードバックを提供し、制御ユニットと通信し、停止部を移動させ、またはそれらの組合せを行うことができる。1つまたは複数の穿孔防止装置は、針またはカニューレをロックし、音を発し、触覚信号を生成し、視覚信号を生成し、またはそれらの組合せを行うことができる。1つまたは複数の穿孔防止装置は、1つまたは複数のセンサ、1つまたは複数の制御ユニット、1つまたは複数の組織マーカ、あるいはそれらの組合せを含むことができる。
【0022】
1つまたは複数の制御ユニットは、針、カニューレ、またはその両方が、保護された組織に接触するのを防止するように機能する。1つまたは複数の制御ユニットは、停止部を移動させ、針の作動を防止し、カニューレの作動を防止し、針が移動する距離を調整し、カニューレが移動する距離を調整し、またはそれらの組合せを行うことができる。1つまたは複数の制御ユニットは、1つまたは複数のセンサ、1つまたは複数の信号源、1つまたは複数の検出装置、あるいはそれらの組合せと通信することができる。1つまたは複数の制御ユニットは、針送り出し機構と通信することができる。1つまたは複数の制御ユニットは、センサ、信号源、検出装置、停止部、1つまたは複数の針送り出し装置、あるいはそれらの組合せと通信することができる。1つまたは複数の制御ユニットは、センサ、信号源、検出装置、停止部、針送り出し装置、またはそれらの組合せと有線通信または無線通信することができる。1つまたは複数の制御ユニットは、針送り出し装置の作動を制御することができる。たとえば、制御ユニットは、深さを決定し、または深さが提供され得、制御ユニットは、作動距離を決定し、次いで、針送り出し装置を作動させ、距離を変更し、または作動を防止することができる。制御ユニットは、1つまたは複数の距離をモニターすることができる。制御ユニットは、2つの管腔間の距離をモニターすることができる。制御ユニットは、空いている空間の厚さをモニターすることができる。制御ユニットは、センサおよび信号源と通信し、それらの間の距離を決定することができる。制御ユニットは、センサのみと通信して、厚さを決定することができる。たとえば、センサが膣管に挿入され、信号源が直腸内に挿入される場合、制御ユニットは、センサと信号源との間の距離をモニターすることができ、それにより、針は、結腸内に延びず、結腸の手前で停止し、ダグラス窩などの空いている空間において停止し、またはそれらの組合せのようになる。制御ユニットは、針、カニューレ、またはその両方が延びることができる距離を計算することができる。制御ユニットは、一旦、距離が計算されると、停止部を設定することができる。
【0023】
1つまたは複数の停止部は、針、カニューレ、またはその両方の移動を所定の距離、計算された距離、測定された距離、またはそれらの組合せ(たとえば、距離)に制限するように機能することができる。1つまたは複数の停止部は、針アクチュエータをあらかじめ加圧し、針アクチュエータを調整し、またはその両方を行うことができる。1つまたは複数の停止部は、針アクチュエータの加圧を解除することができる。1つまたは複数の停止部は、一旦、針が距離を移動すると、針、または針アクチュエータに接触することができる。1つまたは複数の停止部は、対象の形体内へと針が出る、または穿通する距離あるいは深さを制御するように、前方または後方に移動することができる。停止部は、針送り出し機構の内側に位置決めされ得る。停止部は、針アクチュエータに接続されていても、またはその一部であってもよい。停止部は、針送り出し機構の外部に、ただし、針、またはカニューレと通信して位置決めされ得る。針送り出し機構、針アクチュエータ、またはその両方は、針、カニューレ、またはその両方を移動させることができ、停止部は、針が対象の形体内に穿通する距離を決定することができる。停止部は、軸方向に可動とすることができる。停止部は、針送り出し機構に接続され得、針送り出し機構により管腔内に挿入され得る。停止部は、電気的に制御され得る。停止部は、電気的に移動し得る。停止部は、管腔の外側の場所から移動することができる。停止部は、制御ユニットによって移動し得る。停止部は、組織マーカ、センサ、信号源、もしくはそれらの組合せと同じ、またはそれらとは異なる管腔内に位置決めされ得る。
【0024】
1つまたは複数の組織マーカは、保護された組織にマーク付けするように機能することができる。1つまたは複数の組織マーカは、保護された組織に接続していても、または保護された組織の近くに位置決めされていてもよい。1つまたは複数の組織マーカは、第1の管腔、第2の管腔、またはその両方にマーク付けすることができる。1つまたは複数の組織マーカは、第2の管腔内に挿入され得る。1つまたは複数の組織マーカは、保護された組織を位置特定し、それにより、手術装置が動作に当たっているとき、保護された組織に接触しないように、または損傷を与えないようにすることができる。1つまたは複数の組織マーカは、管腔内に挿入され、手術装置の一部とすることができる。1つまたは複数の組織マーカは、センサ、信号源、またはその両方を含むことができる。1つまたは複数の組織マーカは、手術装置の一部とすることができる。1つまたは複数の組織マーカは、手術針、カニューレ、またはその両方の遠位先端部において位置決めされ得る。1つまたは複数の組織マーカは、好ましくは、針とは異なる管腔内または針とは異なる手術装置内に位置決めされ得る。組織マーカは、組織に接続していても、組織内に位置決めされていても、またはその両方であってもよい。1つまたは複数の組織マーカは、保護された組織を示すことができ、それにより、組織マーカに対する距離が決定可能になる。組織マーカは、保護された組織、または管腔内で伸張可能とすることができる。組織マーカは、組織または管腔に接続していてよい。組織マーカは、管腔内に除去可能に挿入され得る。好ましくは、組織マーカは、手術装置または外科医の指に接続され、組織マーカは、管腔内に位置決めされる。たとえば、組織マーカは、手術装置または外科医の指によって直腸内に挿入され、次いで、手技が完了したとき、除去することができる。組織マーカは、1つまたは複数のセンサを含むことができる。
【0025】
1つまたは複数のセンサは、保護された組織と手術装置との間の距離を測定するように機能することができる。1つまたは複数のセンサは、他のセンサがなくても働くことができる。センサは、2つの場所間の距離を感知することができる。センサは、一の組織と第2の組織との間の距離、または2つの組織(たとえば、対象の組織と保護された組織)間の空いている空間を決定することができる。センサは、軟部組織厚さセンサ、超音波センサ、光反射センサ、導電性材料厚さセンサ、静電容量センサ、またはそれらの組合せとすることができる。センサは、手術装置の遠位先端部に接続されていても、または遠位先端部に近接して位置決めされていてもよい。好ましくは、センサは、針、カニューレ、もしくはその両方の遠位先端部に、または遠位先端部上に位置決めされている。センサは、針、またはカニューレが、安全に出ることができる深さを決定することができる。センサは、空いている空間の距離または長さを決定することができる。センサは、保護された組織が遠位先端部から離れている距離を決定することができる。センサは、手術装置に直接的にまたは間接的に接続され得る。好ましくは、センサは、手術装置の遠位先端部に直接的に接続されている。センサは、信号源なしで働くことができる。センサは、信号源と協働して働くことができる。センサおよび信号源は、機械的に分離していても、電気的に分離していても、またはその両方であってもよい。
【0026】
信号源は、保護された組織にマーク付けするように働くことができる。信号源は、センサと通信することができる。信号源は、センサが距離を決定するためにモニターする信号をセンサに送信することができる。信号源は、センサとは異なる管腔内に位置決めされ得る。信号源は、組織、空いている空間、器官、またはそれらの組合せを通って信号を送信することができ、その信号はセンサによって拾い上げられる。信号源およびセンサは、遠位先端部と保護された組織との間の距離を決定することができる。信号源は、超音波式、音響式、ドップラー超音波式、振動式、またはそれらの組合せとすることができる。信号源およびセンサは、2つの場所間の距離を決定するのに必要なたった2つの装置とすることができる。信号源が組織マーカ上に位置決めされる場合には、センサは、カニューレ上、針上、またはその両方上に位置決めされる。信号源が針上、カニューレ上、またはその両方上に位置決めされる場合には、センサは、組織マーカ上に位置決めされる。検出装置が、センサと信号源との間の距離をモニターすることができる。
【0027】
検出装置は、センサと信号源との間の信号を検出するように機能して、信号源から送信され、センサによって受信され、またはその両方である信号に基づいて、距離を計算することができる。検出装置は、制御ユニット、センサ、またはその両方の一部とすることができる。検出装置は、センサの一部とすることができる。検出装置は、距離を計算することができる。検出装置は、停止部、挿入深さ、またはその両方を制御することができる。検出装置のすべて、または一部分が、管腔内に延びていても、または管腔の外側に位置決めされていてもよい。
【0028】
管腔は、手術装置が内部に延びることができる任意の開口部とすることができる。好ましくは、管腔は、自然管腔である。管腔は、膣管、直腸、尿道、口、耳、鼻、または眼窩などとすることができる。管腔は、第2の管腔、空いている空間、またはその両方に近接して位置決めされ得る。
【0029】
第2の管腔は、本明細書に論じている管腔のいずれであってもよい。管腔、第2の管腔、またはその両方は、センサ、信号源、手術装置の一部分、針の遠位先端部、カニューレの遠位先端部、針送り出し機構、穿孔防止装置、またはそれらの組合せを受け入れることができる。好ましくは、1つの管腔のみが施術されている場合、1つのセンサのみが適用される。より好ましくは、2つの管腔が施術されている、または2つの管腔間の所定の場所が施術されている場合、一方の管腔にセンサが留置され、第2の管腔に信号源が留置される。第1の管腔は、膣管とすることができ、手術装置およびセンサの一部分を受け入れることができ、第2の管腔は、直腸とすることができ、組織マーカ、信号源、もしくはその両方のすべて、または一部分を受け入れることができる。第1の管腔、第2の管腔、もしくはその両方に近接している、またはそれらの間に位置決めされている空いている空間が、モニターされ得る。
【0030】
空いている空間は、管腔に損傷を与えない、または管腔を汚染しないことができる、針または管腔が挿入され得る任意の空間とすることができる。空いている空間は、針送り出し機構が針またはカニューレを送り出すと、針またはカニューレを受け入れることができる。空いている空間は、管腔に近接して位置決めされている対象の形体へのアクセスを可能にすることができる。空いている空間は、ダグラス窩とすることができる。空いている空間は、腹部、副鼻腔、腹膜腔、またはそれらの組合せの中に位置し得る。空いている空間は、体液、空気で満たされている、空いている、またはそれらの組合せとすることができる。空いている空間は、距離を有することができる。空いている空間は、手術中にアクセス可能であり、本明細書に教示される方法によってモニターされ得る。
【0031】
本明細書に教示される本装置および本システムは、対象の1つまたは複数の形体を保護するための方法において使用され得る。この装置およびシステムは、1つまたは複数の穿孔防止装置を含むことができる。方法は、保護された組織を保護するステップを含むことができる。手術装置、センサ、手術針、穿孔防止装置、針送り出し機構、またはそれらの組合せは、第1の管腔、第2の管腔、またはその両方の中に挿入され得る。第1の管腔(たとえば、膣管)内にセンサが挿入され得る。第2の管腔(たとえば、直腸)内に信号源が挿入され得る。センサは、管腔の厚さ、遠位先端部と保護された組織との間の距離、空いている空間、またはそれらの組合せを測定することができる。センサは、他の装置がなくても測定することができる。センサは、信号源と通信することができる。センサは、信号を受信することができる。信号源は、1つまたは複数の信号をセンサに送信することができる。センサ、検出装置、またはその両方は、距離を決定することができる。針深さは、検出装置、制御ユニット、またはその両方からのフィードバックに基づいて調整され得る。針突刺し深さまたは挿入の深さは、停止部を移動させることによって変動し得る。挿入深さまたは突刺し深さは、針送り出し機構、針アクチュエータ、またはその両方の1つあるいは複数のパラメータを調整することによって変動し得る。組織マーカは留置され得る。手術装置は挿入され得る。針アクチュエータは始動され得る。針、カニューレ、またはその両方は、一定の深さだけ挿入され得る。針、カニューレ、またはその両方を作動させること、送り出すこと、挿入すること、またはその両方が防止され得る。センサ、検出装置、制御ユニット、またはそれらの組合せからのフィードバックがモニターされ得る。距離が計算され得る。距離は、フィードバックとして提供され得る。センサ、信号源、またはその両方は、管腔、第2の管腔、またはその両方から除去することができる。針、カニューレ、またはその両方の挿入深さを調整することにより、制御ユニットと針送り出し機構との間のフィードバックが、停止部、針アクチュエータ、またはその両方に提供される。
【0032】
図1は、患者の管腔80内の手術システム2の平面図である。手術システム2は、穿孔防止装置6と、遠位先端部16を有する手術針10と、を含む。示されている手術針10はまた、手術装置4および挿管装置8である。手術針10の遠位先端部16は、(たとえば、腹膜壁として示されている)組織86の厚さを測定するセンサ12を含む。センサ12は、針が展開したとき、結腸として示されている第2の管腔82に針が接触しないように組織の厚さを測定する。管腔80および第2の管腔82は、空いている空間84によって分離されている。センサ12は、組織の厚さ、管腔80と第2の管腔82との間の距離を測定する際、手術針を制御する際、またはそれらの組合せを行う際にアシストする制御ユニット30に接続されている。
【0033】
図2Aは、針アクチュエータ22を備える針送り出し機構20を有する手術装置の遠位先端部16を示している。図示の針送り出し機構20は、格納位置90にある。針送り出し機構20は、針アクチュエータ22が
始動されているとき、針(図示せず)の移動を制限する停止部32を含む。停止部32は、針の作動距離(X)を設定する。
【0034】
図2Bは、針送り出し機構20の遠位先端部16から延出する展開位置92の針18を示している。針18は、停止部32が針18の移動を制限するので、距離(X)だけ延びる。
【0035】
図3は、第2の管腔82に接触することなく、針18が管腔80から組織86を通って空いている空間84内に延びる挿管装置8を示している。
【0036】
図4は、手術装置4および穿孔防止装置6を備える手術システム2を示している。手術装置4は、挿管装置8、センサ12、または検出装置52(検出装置は、管腔および/または手術装置の外側に位置決めされていてもよい)を有する手術針10である。穿孔防止装置6はまた、組織マーカ40を含み、組織マーカ40は、図示されているように、信号源44を含む(ただし、センサ42を含むことができる)。手術針10は、管腔80内に延び、組織86の第1の側に接触し、組織マーカ40は、第2の管腔82内に挿入される。信号が、組織マーカ40内の信号源44から手術針10の遠位先端部16内のセンサ12に送信されて、管腔80と第2の管腔82との間の距離を決定し、空いている空間84が十分に大きい場合には、針(図示せず)は、第2の管腔82に接触せずに展開し得る。距離が不十分である場合、制御ユニット(図示せず)は、針(図示せず)の展開を防止することができる。
【0037】
図5Aは、組織86を部分的に穿刺し、空いている空間84および組織マーカ40に向かって延びる針18を示している。
【0038】
図5Bは、遠位先端部16を越えて完全に展開した位置へと延び、遠位先端部16と組織マーカ40との間の測定された距離により管腔80と第2の管腔82との間の空いている空間84内で停止している針18を示している。
【0039】
図6は、組織86内にカニューレ14を挿入して、組織86を通って管腔80から空いている空間84内に、ただし第2の管腔82の手前に空間を作った後、管腔80内に挿入される第2の手術装置4’を示している。カニューレ14は、手術手技を行うために、空いている空間84への一時的なアクセスを可能にする。
【0040】
本明細書に挙げる任意の数値は、より低い任意の値とより高い任意の値との間に少なくとも2つの単位の分離が存在することを前提として、1つの単位ずつ、より低い値からより高い値まですべての値を含む。一例として、構成部品の量、またはたとえば、温度、圧力、および時間などのプロセス変数の値が、たとえば、1~90、好ましくは、20~80、より好ましくは30~70であることを述べる場合、15~85、22~68、43~51、30~32などの値は、本明細書において明示的に列挙されていることが意図される。1未満の値の場合、1つの単位は、適宜、0.0001、0.001、0.01、または0.1であると見なされる。これらは、具体的に意図されていることのほんの例にすぎず、列挙されている最低値と最高値との間の数値のすべての可能な組合せは、同様の形で本出願に明示的に挙げられていると見なすべきである。
【0041】
別段述べていない限り、すべての範囲は、両方の終点および終点間のすべての数字を含む。別段述べていない限り、数量との組合せで「約(about)」、または「およそ(approximately)」という用語による教示は、列挙された量の教示、ならびにその列挙された量の近似を包含する。例として、「約100(about 100)」という教示は、100+/-15の範囲内の教示を包含する。
【0042】
特許出願および公開を含むすべての論文ならびに参考文献の開示は、すべての目的で参照によって組み込まれている。組合せについて説明する「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という用語は、特定される要素、構成要素、構成部品、またはステップ、および組合せの基本的な新規な特徴に実質的に影響を与えないそのような他の要素、構成要素、構成部品、またはステップを含むものとする。本明細書における要素、構成要素、構成部品、またはステップの組合せについて説明するために「備える(comprising)」または「含む(including)」という用語の使用は、要素、構成要素、構成部品、またはステップから本質的になる実施形態も企図する。本明細書における「得る(may)」という用語を使用することによって、「得る(may)」が含まれている任意の説明された属性がオプションであることが意図されている。
【0043】
複数の要素、構成要素、構成部品、またはステップは、単一の統合された要素、構成要素、構成部品、またはステップによって提供され得る。代替として、単一の統合された要素、構成要素、構成部品、またはステップが、別個の複数の要素、構成要素、構成部品、またはステップに分割されることもあり得る。要素、構成要素、構成部品、またはステップについて説明する「a」、または「one」の開示は、追加の要素、構成要素、構成部品、またはステップを排除するように意図していない。
【0044】
上記の説明は、例示であり、限定的でないように意図されていることが理解される。提供される例以外の多くの実施形態ならびに多くの適用例は、上記の説明を読むと、当業者には明らかになろう。そのため、本教示の範囲は、上記の説明を参照して決定するのではなく、むしろ添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲の権利が与えられる均等形態の全範囲とともに決定すべきである。特許出願および公報を含むすべての論文ならびに参考文献の開示は、すべての目的で参照によって組み込まれている。本明細書に開示される主題の任意の態様の次の特許請求の範囲における省略は、そのような主題を放棄するものでも、本発明者が、そのような主題について、開示した本発明の主題の一部であると見なしていないと考えるべきでもない。
【符号の説明】
【0045】
2 手術システム
4 手術装置
6 穿孔防止装置
8 挿管装置
10 手術針
12 センサ
14 カニューレ
16 (カニューレの)遠位先端部
18 針
20 針送り出し機構
22 針アクチュエータ(ソレノイド、ばね、空気圧系)
30 制御ユニット
32 停止部
40 組織マーカ
42 センサ
44 信号源
50 検出装置
80 管腔(死角になった管腔)
82 第2の管腔
84 空いている空間
86 組織
90 格納位置
92 展開位置