特許 7483473 車両用灯具

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-05-07

(45)【発行日】2024-05-15

(54)【発明の名称】車両用灯具

(51)【国際特許分類】

   F21S 43/241 20180101AFI20240508BHJP

   F21S 43/14 20180101ALI20240508BHJP

   F21S 43/237 20180101ALI20240508BHJP

   F21S 43/245 20180101ALI20240508BHJP

   F21V 8/00 20060101ALI20240508BHJP

   F21W 103/00 20180101ALN20240508BHJP

   F21W 103/10 20180101ALN20240508BHJP

   F21W 103/20 20180101ALN20240508BHJP

   F21W 103/55 20180101ALN20240508BHJP

   F21W 103/35 20180101ALN20240508BHJP

   F21W 103/45 20180101ALN20240508BHJP

   F21Y 115/10 20160101ALN20240508BHJP

【ＦＩ】

F21S43/241

F21S43/14

F21S43/237

F21S43/245

F21V8/00 310

F21W103:00

F21W103:10

F21W103:20

F21W103:55

F21W103:35

F21W103:45

F21Y115:10

【請求項の数】 7

(21)【出願番号】P 2020072415

(22)【出願日】2020-04-14

(65)【公開番号】P2021170444

(43)【公開日】2021-10-28

【審査請求日】2023-03-07

(73)【特許権者】

【識別番号】000002303

【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100106909

【弁理士】

【氏名又は名称】棚井 澄雄

(74)【代理人】

【識別番号】100149548

【弁理士】

【氏名又は名称】松沼 泰史

(74)【代理人】

【識別番号】100179833

【弁理士】

【氏名又は名称】松本 将尚

(74)【代理人】

【識別番号】100175824

【弁理士】

【氏名又は名称】小林 淳一

(72)【発明者】

【氏名】松下 和照

【審査官】山崎 晶

(56)【参考文献】

【文献】特開２００４－０１４１２２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００７－３３５４１０（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１５－０５６２５１（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｆ２１Ｓ ４３／２４１

Ｆ２１Ｓ ４３／１４

Ｆ２１Ｓ ４３／２３７

Ｆ２１Ｓ ４３／２４５

Ｆ２１Ｖ ８／００

Ｆ２１Ｗ １０３／００

Ｆ２１Ｗ １０３／１０

Ｆ２１Ｗ １０３／２０

Ｆ２１Ｗ １０３／５５

Ｆ２１Ｗ １０３／３５

Ｆ２１Ｗ １０３／４５

Ｆ２１Ｙ １１５／１０

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

光源と、
前記光源から出射された光を導光させる導光レンズとを備え、
前記導光レンズは、第１の導光部と、前記第１の導光部と接続部を介して接続されたリング状の第２の導光部とを有し、
前記第１の導光部は、前記光源と対向する側に位置する入射部を含み、
前記第２の導光部は、前記導光レンズの背面側に位置する複数の反射カットと、前記導光レンズの正面側に位置する発光部とを含み、
前記導光レンズを正面視したときに、前記第２の導光部の内側に前記第１の導光部が位置し、
前記第１の導光部は、前記第２の導光部よりも前記導光レンズの背面側に位置して、前記導光レンズの背面側から前記接続部に向かって湾曲しながら前記第２の導光部の内側と前記接続部を介して接続されており、
前記入射部から前記第１の導光部の内部に入射した光を前記接続部に向けて導光させると共に、前記接続部から前記第２の導光部の内部に入射した光を前記第２の導光部の周方向に導光させながら、前記複数の反射カットで反射された光を前記導光レンズの正面側から前記第２の導光部の外部へと出射することによって、前記発光部をリング状に発光させることを特徴とする車両用灯具。

【請求項2】

前記導光レンズを正面視したときに、前記接続部を挟んで湾曲する前記第２の導光部の湾曲部分における一方側又は他方側から前記接続部に向かって、前記第１の導光部が湾曲しながら前記第２の導光部の内側と前記接続部を介して接続されていることを特徴とする請求項１に記載の車両用灯具。

【請求項3】

前記導光レンズを正面視したときに、前記接続部を挟んで湾曲する前記第２の導光部の湾曲部分の曲率よりも、前記接続部に向かって湾曲する前記第１の導光部の湾曲部分の曲率が大きいことを特徴とする請求項２に記載の車両用灯具。

【請求項4】

前記導光レンズを正面視したときに、前記第２の導光部の湾曲部分における幅が前記接続部に向かって漸次大きくなっていることを特徴とする請求項２又は３に記載の車両用灯具。

【請求項5】

前記光源及び前記第１の導光部が複数設けられていることを特徴とする請求項１～４の何れか一項に記載の車両用灯具。

【請求項6】

前記複数の第１の導光部のうち、互いに共通する前記接続部を介して前記第２の導光部と接続された一方の第１の導光部及び他方の第１の導光部を含むことを特徴とする請求項５に記載の車両用灯具。

【請求項7】

前記一方の第１の導光部は、前記導光レンズを正面視したときに、前記接続部を挟んで湾曲する前記第２の導光部の周方向における一方側から前記接続部に向かって湾曲しながら、前記第２の導光部の内側と前記接続部を介して接続されると共に、
前記他方の第１の導光部は、前記導光レンズを正面視したときに、前記接続部を挟んで湾曲する前記第２の導光部の周方向における他方側から前記接続部に向かって湾曲しながら、前記第２の導光部の内側と前記接続部を介して接続されていることを特徴とする請求項６に記載の車両用灯具。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、車両用灯具に関する。

【背景技術】

【0002】

従来より、車両に搭載される車両用灯具として、発光ダイオード（ＬＥＤ）などの光源と、長尺の導光レンズ（導光体）とを組み合わせたものが知られている（例えば、下記特許文献１を参照。）。

【0003】

このような車両用灯具では、光源から出射された光を導光レンズの基端側に設けられた入射部から導光レンズの内部へと入射し、導光レンズの内部で反射を繰り返しながら、導光レンズの先端側に向けて光を導光させる。また、導光レンズの背面側に設けられた複数の反射カットで反射された光を導光レンズの正面側から導光レンズの外部へと出射する。これにより、導光レンズの正面側を発光部としてライン状に発光させることが可能となっている。

【0004】

このような車両用灯具は、例えば、昼間点灯ランプ（ＤＲＬ：Daytime Running Lamps）（以下、ＤＲＬという。）やテールランプなどに用いられている。

【0005】

また、下記特許文献１に記載の車両用灯具では、上述したライン状に発光する導光体をリング状に形成し、光源からの光を入射させる光入射要素を、導光体のコーナー部における２つの方向から接続している。これにより、導光体をリング状に発光させることが可能となっている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0006】

【文献】特開２０１５－０５６２５１号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0007】

ところで、上述した特許文献１に記載の車両用灯具では、２つの光入射要素のうち、一方の光入射要素から導光体の内部へと入射した光が、導光体の周方向に導光された後、他方の光入射要素へと入射する。

【0008】

この場合、導光体の２つの光入射要素が接続されるコーナー部に光が集中してしまうため、このコーナー部において輝度ムラが発生し易くなってしまう。

【0009】

本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、リング状の導光レンズをより均一に発光させることを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0010】

上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔１〕 光源と、
前記光源から出射された光を導光させる導光レンズとを備え、
前記導光レンズは、第１の導光部と、前記第１の導光部と接続部を介して接続されたリング状の第２の導光部とを有し、
前記第１の導光部は、前記光源と対向する側に位置する入射部を含み、
前記第２の導光部は、前記導光レンズの背面側に位置する複数の反射カットと、前記導光レンズの正面側に位置する発光部とを含み、
前記導光レンズを正面視したときに、前記第２の導光部の内側に前記第１の導光部が位置し、
前記第１の導光部は、前記第２の導光部よりも前記導光レンズの背面側に位置して、前記導光レンズの背面側から前記接続部に向かって湾曲しながら前記第２の導光部の内側と前記接続部を介して接続されており、
前記入射部から前記第１の導光部の内部に入射した光を前記接続部に向けて導光させると共に、前記接続部から前記第２の導光部の内部に入射した光を前記第２の導光部の周方向に導光させながら、前記複数の反射カットで反射された光を前記導光レンズの正面側から前記第２の導光部の外部へと出射することによって、前記発光部をリング状に発光させることを特徴とする車両用灯具。
〔２〕 前記導光レンズを正面視したときに、前記接続部を挟んで湾曲する前記第２の導光部の湾曲部分における一方側又は他方側から前記接続部に向かって、前記第１の導光部が湾曲しながら前記第２の導光部の内側と前記接続部を介して接続されていることを特徴とする前記〔１〕に記載の車両用灯具。
〔３〕 前記導光レンズを正面視したときに、前記接続部を挟んで湾曲する前記第２の導光部の湾曲部分の曲率よりも、前記接続部に向かって湾曲する前記第１の導光部の湾曲部分の曲率が大きいことを特徴とする前記〔２〕に記載の車両用灯具。
〔４〕 前記導光レンズを正面視したときに、前記第２の導光部の湾曲部分における幅が前記接続部に向かって漸次大きくなっていることを特徴とする前記〔２〕又は〔３〕に記載の車両用灯具。
〔５〕 前記光源及び前記第１の導光部が複数設けられていることを特徴とする前記〔１〕～〔４〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔６〕 前記複数の第１の導光部のうち、互いに共通する前記接続部を介して前記第２の導光部と接続された一方の第１の導光部及び他方の第１の導光部を含むことを特徴とする前記〔５〕に記載の車両用灯具。
〔７〕 前記一方の第１の導光部は、前記導光レンズを正面視したときに、前記接続部を挟んで湾曲する前記第２の導光部の周方向における一方側から前記接続部に向かって湾曲しながら、前記第２の導光部の内側と前記接続部を介して接続されると共に、
前記他方の第１の導光部は、前記導光レンズを正面視したときに、前記接続部を挟んで湾曲する前記第２の導光部の周方向における他方側から前記接続部に向かって湾曲しながら、前記第２の導光部の内側と前記接続部を介して接続されていることを特徴とする前記〔６〕に記載の車両用灯具。

【発明の効果】

【0011】

以上のように、本発明によれば、リング状の導光レンズをより均一に発光させることを可能とした車両用灯具を提供することが可能である。

【図面の簡単な説明】

【0012】

【図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯具の構成を示す正面図である。

【図2】図１に示す車両用灯具が備える光源及び導光レンズの配置を示す上面図である。

【図3】図２に示す導光レンズの構成を示す正面図である。

【図4】図３中に示す線分Ａ－Ａによる導光レンズの断面図である。

【図5】図３中に示す線分Ｂ－Ｂによる導光レンズの断面図である。

【図6】図３中に示す線分Ｃ－Ｃによる導光レンズの断面図である。

【図7】導光レンズの別の構成例を示す正面図である。

【発明を実施するための形態】

【0013】

以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。

【0014】

本発明の一実施形態として、例えば図１～図６に示す車両用灯具１について説明する。
なお、図１は、車両用灯具１の構成を示す正面図である。図２は、車両用灯具１が備える光源２ａ，２ｂ及び導光レンズ３の配置を示す上面図である。図３は、導光レンズ３の構成を示す正面図である。図４は、図３中に示す線分Ａ－Ａによる導光レンズ３の断面図である。図５は、図３中に示す線分Ｂ－Ｂによる導光レンズ３の断面図である。図６は、図３中に示す線分Ｃ－Ｃによる導光レンズ３の断面図である。

【0015】

また、以下に示す図面では、ＸＹＺ直交座標系を設定し、Ｘ軸方向を車両用灯具の前後方向（長さ方向）、Ｙ軸方向を車両用灯具の左右方向（幅方向）、Ｚ軸方向を車両用灯具の上下方向（高さ方向）として、それぞれ示すものとする。

【0016】

本実施形態の車両用灯具１は、図１に示すように、車両（図示せず。）の後端側の両コーナー部に搭載されるリアコンビネーションランプＲＣＬのうち、赤色発光するテールランプＴＬＬに本発明を適用したものである。

【0017】

なお、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、車両用灯具１を正面（車両後方）から見たときのそれぞれの方向を意味するものとする。したがって、車両を正面（車両前方）から見たときのそれぞれの方向とは、前後左右を逆にした方向となっている。

【0018】

具体的に、この車両用灯具１は、図１に示す灯体Ｈの内部に、図２に示すような複数（本実施形態では２つ）の光源２ａ，２ｂと、導光レンズ３とを備えている。

【0019】

なお、灯体Ｈは、正面が開口したハウジングと、このハウジングの開口を覆う透明なレンズカバー（アウターレンズ）とにより構成される。なお、灯体Ｈの形状については、車両のデザイン等に合わせて、適宜変更することが可能である。

【0020】

複数の光源２ａ，２ｂは、例えば赤色光（以下、単に光という。）Ｌを発するＬＥＤからなる。複数の光源２ａ，２ｂは、ＬＥＤを駆動する駆動回路（図示せず。）が設けられた回路基板４の正面側（＋Ｘ軸側）に実装されて、前方（＋Ｘ軸側）に向けて光Ｌを放射状に出射する。すなわち、これら複数の光源２ａ，２ｂは、同じ回路基板４の同一面上に設けられて、互いに同一方向に向けて光Ｌを放射状に出射する構成となっている。

【0021】

本実施形態の車両用灯具１では、複数の光源２ａ，２ｂのうち、この車両用灯具１の上下方向（Ｚ軸方向）において、上側に配置された第１の光源２ａと、下部側に配置された第２の光源２ｂとを有している。

【0022】

なお、本実施形態では、上述した複数の光源２ａ，２ｂを構成するＬＥＤと、これら複数のＬＥＤを駆動する駆動回路とが回路基板４上に実装された構成となっているが、複数のＬＥＤが実装された実装基板と、これら複数のＬＥＤを駆動する駆動回路が設けられた回路基板とを別々に配置し、実装基板と回路基板との間をハーネスと呼ばれる配線コードを介して電気的に接続し、複数のＬＥＤが発する熱から駆動回路を保護する構成としてもよい。

【0023】

導光レンズ３は、図２～図６に示すように、例えばポリカーボネイトやアクリル等の透明樹脂やガラスなど、空気よりも屈折率の高い光透過性部材からなる。導光レンズ３は、複数（本実施形態では２つ）の第１の導光部５ａ，５ｂと、これら複数の第１の導光部５ａ，５ｂと接続部６を介して接続されたリング状の第２の導光部７とを有している。

【0024】

導光レンズ３は、断面略円形状の第１の導光部５ａ，５ｂ及び第２の導光部７を有して、全体として長尺に形成されている。なお、導光レンズ３は、このような断面形状に限らず、例えば断面略矩形状などであってもよい。

【0025】

複数の第１の導光部５ａ，５ｂは、図３に示すように、導光レンズ３を正面視したときに、第２の導光部７の内側に位置している。複数の第１の導光部５ａ，５ｂは、図２に示すように、第２の導光部７よりも導光レンズ３の背面側に位置して、この導光レンズ３の背面側から接続部６に向かって湾曲しながら第２の導光部７の内側と接続部６を介して接続されている。

【0026】

複数の第１の導光部５ａ，５ｂのうち、一方の第１の導光部５ａと他方の第１の導光部５ｂとは、互いに共通する接続部６を介して第２の導光部７と接続されている。

【0027】

具体的に、一方の第１の導光部５ａは、図３に示すように、導光レンズ３を正面視したときに、接続部６よりも上方側に位置して、この接続部６を挟んで湾曲する第２の導光部７の周方向おける一方側（本実施形態では上方側）から接続部６に向かって湾曲しながら、第２の導光部７の内側と接続部６を介して接続されている。

【0028】

これに対して、他方の第１の導光部５ｂは、図３に示すように、導光レンズ３を正面視したときに、接続部６よりも下方側に位置して、この接続部６を挟んで湾曲する第２の導光部７の周方向おける他方側（本実施形態では下方側）から接続部６に向かって湾曲しながら、第２の導光部７の内側と接続部６を介して接続されている。

【0029】

一方の第１の導光部５ａは、一方の光源２ａと対向する基端側の端部に位置して、一方の光源２ａから出射された光Ｌが入射する一方の入射部８ａを有している。他方の第１の導光部５ｂは、他方の光源２ｂと対向する基端側の端部に位置して、他方の光源２ｂから出射された光Ｌが入射する他方の入射部８ｂを有している。

【0030】

一方の入射部８ａ及び他方の入射部８ｂは、図２に示すように、それぞれの光源２ａ，２ｂと対向する平面（入射面）により構成されている。また、入射部８ａ，８ｂは、上述した平面に限らず、それぞれの光源２ａ，２ｂから放射状に出射された光Ｌを平行化又は集光しながら、第１の導光部５ａ，５ｂの内部へと入射する形状としてもよい。

【0031】

例えば、入射部８ａ，８ｂは、光源２ａ，２ｂと対向する部分の中央に位置して、光源２ａ，２ｂから出射された光Ｌの一部が入射する凸面状の第１の集光入射面と、第１の集光入射面の周囲を囲む位置から光源２ａ，２ｂ側に突出した部分の内周側に位置して、光源２ａ，２ｂから出射された光Ｌの一部が入射する略円筒状の第２の集光入射面と、突出した部分の外周側に位置して、第２の集光入射面から入射した光Ｌを反射する截頭円錐状の集光反射面とを有して、第１の集光入射面から入射した光Ｌを光軸寄りに集光させ、第２の集光入射面から入射した光Ｌを集光反射面で反射させることによって光軸寄りに集光させる構成としてもよい。

【0032】

第２の導光部７は、図３に示すように、導光レンズ３を正面視したときに、その上下両側で互いに平行となる直線部分７ａ，７ｂと、その左右両側で互いに外側に向かって湾曲した湾曲部分７ｃ，７ｄとを有して、全体としてリング状に形成されている。接続部６は、右側の湾曲部分７ｄの中央部に設けられている。

【0033】

第２の導光部７は、図３～図６に示すように、導光レンズ３の背面側に位置する複数の反射カット９と、導光レンズ３の正面側に位置する発光部１０とを有している。

【0034】

複数の反射カット９は、第２の導光部７の背面側に入射した光Ｌを導光レンズ３の正面側から第２の導光部７の外部へと出射（透過）する角度で反射させるものであればよく、その形状や大きさ、数等について、特に限定されるものではない。

【0035】

本実施形態では、例えば、反射カット９となる溝部が第２の導光部７の幅方向に延在し且つ第２の導光部７の軸線方向に並ぶことによって構成されている。また、反射カット９では、第２の導光部７の周方向における一方側に向けて導光される光と、他方側に向けて導光される光とをそれぞれ第２の導光部７の外部へと出射（透過）するように、溝部を形成する傾斜面（反射面）の角度が調整されている。

【0036】

発光部１０は、複数の反射カット９で反射された光Ｌを第２の導光部７の正面側から外部へと出射する出射面１０ａを有している。発光部１０は、出射面１０ａが略円弧状の凸面形状を有することから、この出射面１０ａに入射した光Ｌを拡散しながら第２の導光部７の外部へと出射する。

【0037】

以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具１では、一方の光源２ａから出射された光Ｌが一方の入射部８ａから一方の第１の導光部５ａの内部に入射した後、この光Ｌが接続部６に向けて導光されると共に、接続部６から第２の導光部７の内部に入射した光Ｌが第２の導光部７の周方向における一方側に向けて導光される。

【0038】

また、本実施形態の車両用灯具１では、他方の光源２ｂから出射された光Ｌが他方の入射部８ｂから他方の第１の導光部５ｂの内部に入射した後、この光Ｌが接続部６に向けて導光されると共に、接続部６から第２の導光部７の内部に入射した光Ｌが第２の導光部７の周方向における他方側に向けて導光される。

【0039】

本実施形態の車両用灯具１では、第２の導光部７の内部で周方向に導光される光Ｌが複数の反射カット９で反射されることによって、これら複数の反射カット９で反射された光Ｌが出射面１１ａから第２の導光部７の外部へと出射される。これにより、発光部１０をリング状に発光させることが可能である。

【0040】

したがって、この車両用灯具１では、発光部１０をリング状に発光させることによって、上述した図１に示すリアコンビネーションランプＲＣＬのうち、テールランプＴＬＬを赤色発光させることが可能である。

【0041】

本実施形態の車両用灯具１では、図３に示すように、上述した導光レンズ３を正面視したときに、第２の導光部７の内側に一方の第１の導光部５ａと他方の第１の導光部５ｂとが位置している。また、接続部６を挟んで湾曲する第２の導光部７の周方向における一方側と他方側とからそれぞれ接続部６に向かって、一方の第１の導光部５ａと他方の第１の導光部５ｂとが湾曲しながら第２の導光部７の内側と接続部６を介して接続されている。

【0042】

これにより、本実施形態の車両用灯具１では、一方の第１の導光部５ａと他方の第１の導光部５ｂとから接続部６を介して第２の導光部７に入射した光Ｌを第２の導光部７の周方向に導光させると共に、この第２の導光部７の内部で周方向に導光される光Ｌが接続部６から一方の第１の導光部５ａ及び他方の第１の導光部５ｂに入射することを防ぎつつ、第２の導光部７の内部で周回させることが可能である。

【0043】

したがって、本実施形態の車両用灯具１では、導光レンズ３の内部で導光される光Ｌが接続部６に集中することがなく、このリング状の導光レンズ３をより均一に発光させることが可能である。

【0044】

特に、本実施形態の車両用灯具１では、図３に示すように、導光レンズ３を正面視したときに、接続部６を挟んで湾曲する第２の導光部７の湾曲部分の曲率よりも、接続部６に向かって湾曲する第１の導光部５ａ，５ｂの湾曲部分の曲率が大きくなっている。

【0045】

これにより、第２の導光部７の内部で周方向に導光される光Ｌが接続部６から一方の第１の導光部５ａ及び他方の第１の導光部５ｂに入射することをより一層防ぐことが可能である。

【0046】

また、本実施形態の車両用灯具１では、図３示すように、導光レンズ３を正面視したときに、第２の導光部７の湾曲部分７ｄにおける幅が接続部６に向かって漸次大きくなっている。

【0047】

これにより、第２の導光部７の内部で周方向に導光される光Ｌが接続部６から一方の第１の導光部５ａ及び他方の第１の導光部５ｂに入射することをより一層防ぐことが可能である。

【0048】

また、本実施形態の車両用灯具１では、図２示すように、上述した第２の導光部７よりも導光レンズ３の背面側に位置して、この導光レンズ３の背面側から接続部６に向かって、第１の導光部５ａ，５ｂが湾曲しながら第２の導光部７の内側と接続部６を介して接続されている。

【0049】

この場合、第２の導光部７の湾曲部分７ｄにおいて、接続部６から第２の導光部７に入射した光Ｌの一部が出射面１０ａから外部へと出射される。接続部６には反射カット９が設けられておらず、暗部が発生し易いものの、上述した構成によって、発光部１０の接続部６付近で暗部が発生することを防ぐことが可能である。

【0050】

なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
具体的に、上記車両用灯具１では、上述した導光レンズ３を備えた構成となっているが、このような構成に限らず、例えば図７（Ａ）～（Ｃ）に示すような導光レンズ３Ａ～３Ｃを備えた構成としてもよい。

【0051】

このうち、図７（Ａ）に示す導光レンズ３Ａは、上記導光レンズ３の構成のうち、一方の第１の導光部５ａを省略した構成となっている。これに合わせて、一方の光源２ａも省略されている。すなわち、本発明では、上述した接続部に２つ（一対）の第１の導光部が接続された構成に限らず、接続部に１つの第１の導光部が接続された構成であってもよい。

【0052】

一方、図７（Ｂ）に示す導光レンズ３Ｂは、上記導光レンズ３の構成に加えて、一方の第１の導光部５ａ及び他方の第１の導光部５ａが左側の湾曲部分７ｃの中央部に設けられた接続部６を介して第２の導光部７と接続された構成となっている。これに合わせて、光源２ａ，２ｂが追加されている。すなわち、本発明では、上述した１つの接続部を介して第１の導光部が接続された構成に限らず、複数の接続部を介して第１の導光部が接続された構成であってもよい。

【0053】

一方、図７（Ｃ）に示す導光レンズ３Ｃは、一方の第１の導光部５ａが左側の湾曲部分７ｃの中央部に設けられた接続部６を介して第２の導光部７と接続され、他方の第１の導光部５ｂが右側の湾曲部分７ｃの中央部に設けられた接続部６を介して第２の導光部７と接続された構成となっている。すなわち、本発明では、上述した導光レンズ３Ａ，３Ｂの構成を組み合わせたものであってもよい。

【0054】

なお、上記実施形態では、上記車両用灯具１を上記リアコンビネーションランプＲＣＬが備えるテールランプＴＬＬに適用した場合を例示しているが、本発明が適用される車両用灯具については、上述したテールランプのようなリア側の車両用灯具に限らず、フロント側の車両用灯具に本発明を適用することも可能である。

【0055】

すなわち、本発明が適用される車両用灯具については、上述したテールランプ以外にも、例えば、ブレーキランプやバックランプ、昼間点灯ランプ（ＤＲＬ）、車幅灯（ポジションランプ）、方向指示器（ターンランプ）などの車両用灯具に対して、本発明を幅広く適用することが可能である。また、光源が発する光の色については、上述した赤色光に限らず、白色光や橙色光など、その車両用灯具の用途に応じて適宜変更することが可能である。

【0056】

さらに、本発明が適用される車両用灯具については、赤色発光するテールランプと、橙色発光で点滅するターンランプとを組み合わせたものや、白色発光するポジションランプ又はＤＲＬと、橙色発光で点滅するターンランプとを組み合わせたものであってもよい。この場合、一方の光源と他方の光源とがそれぞれ異なる色の光を出射する構成とすればよい。

【符号の説明】

【0057】

１…車両用灯具 ２ａ…一方の光源 ２ｂ…他方の光源 ３…導光レンズ ４…回路基板 ５ａ…一方の第１の導光部 ５ｂ…他方の第１の導光部 ６…接続部 ７…第２の導光部 ８ａ…一方の入射部 ８ｂ…他方の入射部 ９…反射カット １０…発光部 １０ａ…出射面 ＲＣＬ…リアコンビネーションランプ ＴＬＬ…テールランプ Ｌ…光

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】