(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G06F 1/28 20060101AFI20240508BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240508BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20240508BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
G06F1/28
G03G21/00 398
G03G21/00 510
G03G21/00 386
G03G21/14
G03G15/20 555
(21)【出願番号】P 2020102094
(22)【出願日】2020-06-12
【審査請求日】2023-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【氏名又は名称】梶 俊和
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【氏名又は名称】中村 英子
(72)【発明者】
【氏名】室伏 光英
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-089399(JP,A)
【文献】特開2019-164211(JP,A)
【文献】特開2018-087719(JP,A)
【文献】特開2012-252405(JP,A)
【文献】特開昭60-248942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/28
G03G 21/00
G03G 21/14
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧から直流電圧を生成し負荷に供給する電源装置を備え、記録材に画像形成を行う画像形成装置であって、
前記画像形成装置は、記録材の画像形成を制御する第1の制御手段を備え、
前記電源装置は、
交流電源から入力される前記交流電圧から前記直流電圧を生成する電圧生成部と、
入力される前記交流電圧に応じた電圧情報を含む電圧検知信号を出力する第2の制御手段と、
入力される前記交流電圧に応じて前記交流電圧のゼロクロスタイミングを検知し、ゼロクロス信号を出力するゼロクロス検知手段と、
前記第2の制御手段から出力された前記電圧検知信号と前記ゼロクロス検知手段から出力された前記ゼロクロス信号とを合成した合成信号を前記第1の制御手段に伝達する伝達手段と、
前記交流電圧を整流し、平滑する整流平滑手段と、
発光ダイオードを導通状態又は非導通状態に設定する第1のスイッチング素子と、
を有し、
前記第2の制御手段は、前記整流平滑手段から出力される直流電圧に応じた電圧を示す前記電圧検知信号を出力し、前記電圧検知信号を前記ゼロクロス信号の周期よりも短い周期で出力し、
前記伝達手段は、一次側に前記発光ダイオード、二次側にフォトトランジスタを有するフォトカプラであり、
前記ゼロクロス検知手段は、前記発光ダイオードと並列に接続され、前記交流電圧に応じてオン状態又はオフ状態に設定される第2のスイッチング素子を有し、
前記第2のスイッチング素子は、前記交流電圧が前記第2のスイッチング素子の閾値電圧よりも低い場合にはオフ状態に設定され、前記交流電圧が前記第2のスイッチング素子の閾値電圧以上の場合にはオン状態に設定され、
前記発光ダイオードは、前記第2のスイッチング素子がオフ状態の場合には導通状態となり、前記第2のスイッチング素子がオン状態の場合には非導通状態となり、前記電圧検知信号に応じて、前記第1のスイッチング素子がオン状態又はオフ状態に設定されることにより、前記電圧検知信号を前記ゼロクロス信号に重畳し、
前記電圧検知信号は、前記第2のスイッチング素子がオフ状態の場合には前記ゼロクロス信号に重畳され、前記第2のスイッチング素子がオン状態の場合には前記ゼロクロス信号に重畳されず、
前記第1の制御手段は、前記電源装置から出力された前記合成信号を取得し、前記合成信号から前記電圧検知信号、及び前記ゼロクロス信号を抽出することを特徴とす
る画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の制御手段は、取得した前記合成信号において、前記電圧検知信号が前記ゼロクロス信号に重畳されることにより前記合成信号が変化する期間と、前記電圧検知信号が前記ゼロクロス信号に重畳されないことにより前記合成信号が変化しない期間とに基づいて、前記合成信号から前記ゼロクロス信号を抽出することを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の制御手段は、前記合成信号が変化する期間における前記合成信号の変化に基づいて、前記合成信号から前記電圧検知信号を抽出することを特徴とする請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の制御手段は、入力される前記合成信号から重畳された前記電圧検知信号及び前記ゼロクロス信号を抽出する分離部を有し、
前記分離部は、前記合成信号から前記電圧検知信号を抽出するフィルタ回路と、前記合成信号から前記ゼロクロス信号を抽出するフィルタ回路と、を有することを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
交流電圧が供給されるヒータを有し、記録材上に形成された画像を前記ヒータで加熱し記録材に定着させる加熱定着部を備え、
前記第1の制御手段は、抽出された前記ゼロクロス信号が示すゼロクロスタイミングに基づいて、前記交流電源から前記ヒータへの前記交流電圧の供給を制御することを特徴とする請求項
1から請求項
4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1の制御手段は、前記電圧検知信号に基づいて前記交流電源から入力される前記交流電圧を算出し、算出された前記交流電圧が正常範囲から外れた電圧値の場合には、前記交流電圧の異常を報知することを特徴とする請求項
1から請求項
4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やファクシミリ、プリンタ等の電子写真プロセスを用いた画像形成装置は、記録材上に転写された未定着トナー画像を、ヒータ等で記録材上に熱定着させる加熱定着装置を備えている。そして、加熱定着装置は、ハロゲンヒータを熱源とする加熱ローラ式や、セラミックヒータを熱源とするフィルム加熱式を用いたものが、一般的に知られている。加熱定着装置を備える画像形成装置では、商用交流電源からの入力電圧がゼロとなるタイミング(以下、ゼロクロスタイミングという)を検知して、ゼロクロスタイミングに同期させて、商用交流電源からヒータ等への電力供給を制御している。また、画像形成装置は、商用交流電源から入力される交流電圧から所定の直流電圧を生成する電源装置を備えている。電源装置は、交流電圧が入力される一次側の回路で検知したゼロクロスタイミングを二次側に伝達し、二次側に設けられたコントローラがヒータ等に供給する電力を制御する方式が採用されている。
【0003】
近年は、ユーザビリティの向上や省エネルギー化等への要求が高まっており、ユーザへの的確な情報提示や、ヒータ等への無駄な電力投入を防ぐために供給電力の正確な制御等が求められている。そのため、電源装置では、ゼロクロスタイミング情報だけでなく、ヒータ等の電力制御に必要な情報を、二次側のコントローラに伝達することが必要となっている。例えば特許文献1には、一次側の電力供給状態をゼロクロス検知信号によって二次側に伝達し、正常状態か否かを判断する実施例が記載されている。具体的には、特許文献1では、ゼロクロス検知信号の電圧値を電力供給状態に応じて変化させることにより商用交流電源からの電力供給が正常な状態か否かを二次側に伝達している。そして、二次側では、ゼロクロス検知信号の電圧値に基づいて、電力供給が正常な状態かどうかを判断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、ヒータ等への供給電力をより正確に制御するためには、電源装置は、ゼロクロスタイミング情報だけでなく、一次側で得られる情報を二次側のコントローラに伝達することが必要になる。また、二次側のコントローラは、電源装置から受信した情報を、ヒータ等への電力供給制御に活用することが益々必要になってきている。更に、電源装置の一次側で発生した異常、例えば商用交流電源から入力される交流電圧の瞬断や電圧異常、電源装置内の素子の故障や異常等が発生した場合には、二次側コントローラは異常検知情報を適切にユーザへ報知する必要がある。そしてこれらにより、ユーザビリティの向上を図ることが求められている。
【0006】
このように、電源装置の一次側から二次側に伝達するべき情報が増加する一方、一次側の情報を二次側に伝達するためには、例えばフォトカプラや絶縁トランスといった、一次-二次間を絶縁する部品が必要となる。情報量の増加による部品の増加、更にこれら部品を制御するための周辺回路まで考慮すると、コストアップや電源装置の大型化といった課題が生じる。
【0007】
また、上述した特許文献1に示された構成では、一次側から二次側へ伝達できる情報量に制約があり、一次側から二次側に伝達する情報量を更に増やすためには、一次-二次間を絶縁する部品を更に増やす必要がある。そのため、更なるコストアップや電源装置の大型化を招いてしまうことになる。
【0008】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、簡易な構成で、一次側の情報を二次側に伝達することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明では、以下の構成を備える。
【0010】
(1)交流電圧から直流電圧を生成し負荷に供給する電源装置を備え、記録材に画像形成を行う画像形成装置であって、前記画像形成装置は、記録材の画像形成を制御する第1の制御手段を備え、前記電源装置は、交流電源から入力される前記交流電圧から前記直流電圧を生成する電圧生成部と、入力される前記交流電圧に応じた電圧情報を含む電圧検知信号を出力する第2の制御手段と、入力される前記交流電圧に応じて前記交流電圧のゼロクロスタイミングを検知し、ゼロクロス信号を出力するゼロクロス検知手段と、前記第2の制御手段から出力された前記電圧検知信号と前記ゼロクロス検知手段から出力された前記ゼロクロス信号とを合成した合成信号を前記第1の制御手段に伝達する伝達手段と、前記交流電圧を整流し、平滑する整流平滑手段と、発光ダイオードを導通状態又は非導通状態に設定する第1のスイッチング素子と、を有し、前記第2の制御手段は、前記整流平滑手段から出力される直流電圧に応じた電圧を示す前記電圧検知信号を出力し、前記電圧検知信号を前記ゼロクロス信号の周期よりも短い周期で出力し、前記伝達手段は、一次側に前記発光ダイオード、二次側にフォトトランジスタを有するフォトカプラであり、前記ゼロクロス検知手段は、前記発光ダイオードと並列に接続され、前記交流電圧に応じてオン状態又はオフ状態に設定される第2のスイッチング素子を有し、前記第2のスイッチング素子は、前記交流電圧が前記第2のスイッチング素子の閾値電圧よりも低い場合にはオフ状態に設定され、前記交流電圧が前記第2のスイッチング素子の閾値電圧以上の場合にはオン状態に設定され、前記発光ダイオードは、前記第2のスイッチング素子がオフ状態の場合には導通状態となり、前記第2のスイッチング素子がオン状態の場合には非導通状態となり、前記電圧検知信号に応じて、前記第1のスイッチング素子がオン状態又はオフ状態に設定されることにより、前記電圧検知信号を前記ゼロクロス信号に重畳し、前記電圧検知信号は、前記第2のスイッチング素子がオフ状態の場合には前記ゼロクロス信号に重畳され、前記第2のスイッチング素子がオン状態の場合には前記ゼロクロス信号に重畳されず、前記第1の制御手段は、前記電源装置から出力された前記合成信号を取得し、前記合成信号から前記電圧検知信号、及び前記ゼロクロス信号を抽出することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡易な構成で、一次側の情報を二次側に伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例1、2の画像形成装置の構成を示す概略断面図
【
図2】実施例1の電源ユニットの回路構成を示す回路図
【
図3】実施例1の電源ユニットの各部の電圧波形を示すグラフ
【
図4】実施例1の制御シーケンスを示すフローチャート
【
図5】実施例2の電源ユニット等の回路構成を示す回路図
【
図6】実施例2の電源ユニット等の各部の電圧波形を示すグラフ
【
図7】実施例2の制御シーケンスを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
[画像形成装置の構成]
図1は、電子写真プロセスを用いた画像形成装置の概略構成を示す断面図である。なお、本実施例では、画像形成装置の一例としてレーザビームプリンタの構成について説明するが、複写機やファクシミリ、複合機等の画像形成装置であっても構わない。
【0015】
図1に示すレーザビームプリンタ101(以下、プリンタ101という)は、記録媒体である記録材Sを収納する給紙カセット104を有している。また、プリンタ101は、給紙カセット104から記録材Sを給送する給送ローラ141、搬送ローラ対142、そして搬送路下流側には、記録材Sの先端を検出するトップセンサ143、記録材Sを転写ローラ145に搬送するレジストローラ対144を有する。そして、プリンタ101は、レジストローラ対144の搬送路の下流側に、レーザスキャナ106から照射されるレーザ光に応じて、記録材S上にトナー像を形成するカートリッジユニット105を有する。カートリッジユニット105は、公知の電子写真プロセスに必要な像担持体である感光ドラム148、帯電ローラ147、現像ローラ146を有している。帯電ローラ147は、感光ドラム148の表面を一様な電位に帯電する。帯電ローラ147により一様な電位に帯電された感光ドラム148の表面には、レーザスキャナ106から画像情報に基づいて照射されるレーザ光に応じて、静電潜像が形成される。感光ドラム148上に形成された静電潜像は、現像ローラ146によりトナーが付着され、トナー像が形成される。そして、感光ドラム148上に形成されたトナー像は、転写ローラ145により、給紙カセット104から搬送された記録材S上に転写される。
【0016】
そして、プリンタ101は、転写ローラ145の搬送路下流側に、記録材S上に転写されたトナー像を記録材Sに熱定着するための加熱定着部である加熱定着器103を有している。加熱定着器103は、定着フィルム149、定着フィルム149に当接し、記録材S上のトナー像を記録材S上に加圧する加圧ローラ150、定着フィルム149内部に配置され、記録材S上のトナーを溶融するヒータ102を有している。更に、加熱定着器103は、ヒータ102近傍に配置され、ヒータ102の温度を検出する温度検出手段であるサーミスタ109を有している。そして、プリンタ101は、加熱定着器103の搬送路下流側に排紙ローラ対151を有し、トナー像が熱定着された記録材Sを排出する。
【0017】
第1の制御手段であるエンジンコントローラ123は、プリンタ101の制御部であり、モータやクラッチ等の駆動ユニット(不図示)を制御して各ローラを駆動させ、記録材Sの搬送を制御する。更に、エンジンコントローラ123は、レーザスキャナ106、カートリッジユニット105、加熱定着器103等を制御して、記録材Sへの画像形成制御を行う。また、コントローラ131は、汎用の外部インターフェース134(例えばUSB端子等)を介して、パーソナルコンピュータ等の外部装置132と接続されている。コントローラ131は、外部インターフェース134を介して、外部装置132から印刷情報(印刷枚数や各種設定等)及び印刷用データ(画像情報)を含んだ印刷指令を受信する。すると、コントローラ131は、印刷用データを実際に画像形成が可能な画像データに展開し、その後、コントローラ131から、画像形成が可能な画像データをレーザスキャナ106へ送信する。また、コントローラ131は、外部装置132から印刷指令を受信すると、エンジンインターフェース133を介して、エンジンコントローラ123に画像形成指示を送信する。そして、エンジンコントローラ123は、上述した画像形成動作を開始する。
【0018】
電源ユニット120は、内部に電圧生成部121を有し、商用交流電源から入力される交流電圧から直流電圧3.3V、24Vを生成し、プリンタ101内の各装置(負荷)に供給する。直流電圧3.3Vは、エンジンコントローラ123やコントローラ131、レーザスキャナ106のレーザ発光部(不図示)、トップセンサ143等を含む制御系の回路に供給される。一方、直流電圧24Vは、上述した駆動ユニット、カートリッジユニット105に高電圧を供給する高圧電源、レーザスキャナ106のレーザ光を偏向する回転多面鏡を駆動する駆動部(不図示)等に供給される。また、電源ユニット120は、ゼロクロスタイミング情報等を含んだゼロクロス信号(詳細は後述する)をエンジンコントローラ123に出力する。エンジンコントローラ123は、電源ユニット120からのゼロクロス信号のゼロクロスタイミング情報に基づいて、商用交流電源201からの交流電圧をヒータ102に供給する。また、このとき、エンジンコントローラ123は、ヒータ102が所定の温度となるように、ゼロクロスタイミングに同期して所望の位相角、又は波数のデューティ比となるようにヒータスイッチング手段を適宜制御する。
【0019】
[電源ユニットの構成]
図2は、
図1に示した電源ユニット120の回路構成を示す回路図である。また、
図3は、
図2に示す電源ユニット120における各部の電圧波形やdata信号、合成信号の波形を示すグラフである。
図3(a)は、商用交流電源201から入力される交流電圧Vacの電圧波形を示している。なお、交流電圧Vacのピーク電圧は、例えば100Vの交流電圧の場合には、√2倍の約141ボルトとなる。
図3(b)は、
図2中に矢印で示した電圧Veの電圧波形(詳細は後述する)を示している。
図3(c)は、後述する情報検知部232から出力されるdata信号の波形を示している。
図3(d)は、電源ユニット120からエンジンコントローラ123に出力される合成信号の波形を示している。なお、
図3の横軸は時間を示している。
【0020】
図2において、商用交流電源201は、交流電圧Vac(
図3(a))をホットライン(
図2ではHotと表示)及びニュートラルライン(
図2ではNeutralと表示)の2ラインに出力し、電源ユニット120に供給する。商用交流電源201から入力された交流電圧Vacは、整流平滑手段であるブリッジダイオード203で整流され、コンデンサ204によって平滑化される。平滑化された電圧は、DCLを基準とした直流電圧Vdc(以下、電圧Vdcという)となる。電圧Vdc(DCH/DCLライン)は、電圧生成部121、及び情報検知部232に入力される。
【0021】
(電圧生成部)
電圧生成部121はスイッチング電源であり、内部に不図示のCPU、ROM、RAMを有し、電圧Vdcからプリンタ101内で必要な各種電源電圧を生成する。CPUは、スイッチング素子(不図示)のスイッチング動作を制御して、電圧変換用のスイッチングトランス(不図示)に電圧Vdcを印加し、二次側に直流電圧3.3V、24Vを出力する。更に、電圧生成部121では、後述するゼロクロス検知回路216を動作させるための電源電圧として、DCLを基準とした比較的低い一定の電圧である直流電圧Vcc(以下、電圧Vccという)が生成される。そして、電圧Vccは電圧生成部121内だけでなく、電源ユニット120の一次側のその他の制御回路にも供給される。
【0022】
後述するゼロクロス検知回路216は、第1のスイッチング素子であるトランジスタ215を介して、電圧Vccが供給される。トランジスタ215は、エミッタ端子が電圧Vccに接続されると共に、コレクタ端子がゼロクロス検知回路216に接続されている。そして、トランジスタ215のベース端子は、抵抗214を介して電圧Vccにプルアップされると共に、抵抗213を介して情報検知部232に接続されている。
【0023】
なお、電圧生成部121は、電源制御用のICによってスイッチング動作を制御する構成であってもよい。また、電圧生成部121は、不図示の同一のCPU、ROM、RAMによる構成であってもよい。
【0024】
(情報検知部)
第2の制御手段である情報検知部232には、電圧Vdcを分圧抵抗230、231によって分圧した入力電圧情報である電圧Vsnsが、DCLラインを基準とする電圧として入力される。情報検知部232は、内部に不図示のCPU、ROM、RAMを有している。CPUは、入力された電圧VsnsのA/D変換(アナログ・デジタル変換)を行い、電圧Vsnsに応じた電圧検知信号であるdata信号(
図3(c))を、抵抗213を介してトランジスタ215のベース端子に出力する。また、情報検知部232のCPUは、電圧生成部121の動作状態や異常情報等を取得するため、電圧生成部121のCPUとの通信を行うための通信路を有している。
【0025】
情報検知部232からロー(L)レベルのdata信号が出力されると、トランジスタ215がオンし、その結果、トランジスタ215を介して、電圧Vccがゼロクロス検知回路216に供給される。一方、情報検知部232からハイ(H)レベルのdata信号が出力されると、トランジスタ215がオフし、その結果、ゼロクロス検知回路216への電圧Vccの供給が停止される。このように、トランジスタ215は、ゼロクロス検知回路216への電圧供給、供給停止を行う。なお、情報検知部232は、不図示の同一のCPU、ROM、RAMによる構成であってもよい。
【0026】
(ゼロクロス検知回路)
ゼロクロス検知回路216は、情報検知部232から出力されるdata信号と、交流電圧Vacがほぼゼロとなるゼロクロスタイミング情報を含むゼロクロス信号とを合成した合成信号を、二次側のエンジンコントローラ123に伝達する。
【0027】
図2に示すゼロクロス検知回路216では、抵抗220、221は、ニュートラルラインとDCLラインとの間に直列に接続されており、DCLラインの電圧を基準としてニュートラルラインから入力される電圧を分圧している。また、コンデンサ222は抵抗221と並列に接続され、一端は抵抗220と抵抗221との接続点と接続され、他端はDCLラインと接続されている。第2のスイッチング素子であるトランジスタ219のベース端子は、抵抗220と抵抗221との接続点、及びコンデンサ222の一端と接続されている。トランジスタ219のコレクタ端子、及び伝達手段であるフォトカプラ218の一次側LED(発光ダイオード)のアノード端子は、抵抗217を介して、トランジスタ215のコレクタ端子と接続されている。一方、トランジスタ219のエミッタ端子、及びフォトカプラ218の一次側LEDのカソード端子は、DCLラインと接続されている。フォトカプラ218の二次側フォトトランジスタは、コレクタ端子が電圧3.3Vにプルアップ接続されており、エミッタ端子は、抵抗233を介してグランド(以下、GNDという)に接続(接地)されている。なお、フォトカプラ218の二次側フォトトランジスタのエミッタ端子は、エンジンコントローラ123と接続され、エミッタ端子の電圧は合成信号(
図3(d))として、エンジンコントローラ123に出力される。
【0028】
抵抗220、221により分圧された電圧Ve(
図3(b))は、コンデンサ222によって不要なノイズが除去された後、トランジスタ219のベース端子に入力され、電圧Veに応じて、トランジスタ219はオン、又はオフする。電圧Veがトランジスタ219の閾値電圧以上の場合にはトランジスタ219はオンし、ベース端子に入力される電圧Veは、トランジスタ219のベース-エミッタ間電圧(閾値電圧)によりクランプされる。そのため、電圧Veの電圧波形は、
図3(b)に示すように、トランジスタ219のベース-エミッタ間電圧によりクランプされた電圧波形となる。
【0029】
トランジスタ215がオンすると、トランジスタ215を介してゼロクロス検知回路216に電圧Vccが供給される。電圧Vccが供給されているときに、電圧Veがトランジスタ219の閾値電圧を超えるとトランジスタ219はオンする。これにより、フォトカプラ218の一次側LEDは非導通状態となって消灯し、二次側フォトトランジスタもオフする。その結果、合成信号はローレベルとなる(
図3(d))。一方、電圧Vccが供給されているときに、トランジスタ219のベース端子に入力される電圧Veがトランジスタ219の閾値電圧を下回ると、トランジスタ219はオフする。これにより、フォトカプラ218の一次側LEDは導通状態となって点灯し、二次側フォトトランジスタもオンする。その結果、合成信号はハイレベルとなる(
図3(d))。このように、トランジスタ215がオン状態のときには、合成信号は、交流電圧Vacのゼロクロスタイミングでハイレベルからローレベル、又はローレベルからハイレベルへの切替えを繰り返すゼロクロス信号となる(
図3(d))。
【0030】
(data信号)
また、トランジスタ215がオン状態で電圧Vccが供給されている場合には、トランジスタ219がオフ状態の期間は、フォトカプラ218の一次側LEDが導通状態で点灯しているため、合成信号はハイレベルとなる(
図3(b)、(d))。一方、トランジスタ219がオフ状態の期間でトランジスタ215がオフ状態の場合には、トランジスタ215を介して供給されていた電圧Vccの供給が停止されるため、フォトカプラ218の一次側LEDが非導通状態となって消灯する。その結果、合成信号はローレベルとなる。このように、トランジスタ219がオフ状態の期間に、情報検知部232がdata信号の出力をハイレベル又はローレベルに設定することにより(
図3(c))、二次側の合成信号をローレベル又はハイレベルに変化させることができる(
図3(d))。すなわち、情報検知部232は、トランジスタ219がオフ状態の期間だけ、data信号を合成信号に重畳させて、エンジンコントローラ123へ伝達することができる(
図3(c)、(d))。
【0031】
しかしながら、
図2に示すように、情報検知部232は交流電圧Vacの状態を検知するための回路を有していない。そのため、情報検知部232は、トランジスタ219のオン・オフ状態を検知できないので、本実施例では、一次側の電圧Vdcに応じた電圧Vsnsの情報を示すdata信号を逐次出力する構成としている。その結果、トランジスタ219がオフ状態で、合成信号がハイレベルとなっている期間に、情報検知部232からdata信号が出力された場合のみ、電圧Vsnsの情報を合成信号に重畳させることができる。例えば、情報検知部232がdata信号を出力するタイミングがゼロクロスタイミングをまたぐタイミングの場合には、data信号に含まれるデータの一部が欠けてしまうことになる。また、トランジスタ219がオン状態の場合には、合成信号はローレベルとなり、data信号が重畳されない状態となる(
図3(b)、(c)、(d))。
【0032】
このように、1回のゼロクロス検知周期では、data信号を正しく重畳することができない場合があるため、本実施例では、data信号を出力するサイクル(周期)を、商用交流電源201の電源周波数に比して充分に早くしている。これにより、data信号を出力するサイクル(周期)が、合成信号がハイレベルの期間(すなわち、トランジスタ219がオフ状態の期間)に終了するようになり、なるべくデータ欠けが生じない構成になっている。
【0033】
情報検知部232は、例えば電圧Vsnsの情報を出力する際に、data信号の周波数を変化させたり、data信号のハイレベル又はローレベル期間の時間幅をそれぞれ変化させたりする。これにより、二次側のエンジンコントローラ123は、合成信号のハイレベル/ローレベル状態を検知し、抽出した一次側の情報であるdata信号に基づいて、一次側の交流電圧Vacの情報を把握することができる。また、二次側のエンジンコントローラ123は、合成信号のハイレベル/ローレベルの変化がある期間とない期間とを判別することで、トランジスタ219がオン状態の期間とオフ状態の期間とを判別することができる。これにより、エンジンコントローラ123は、ゼロクロス信号を検知し、交流電圧Vacのゼロクロスタイミングを把握することができる。すなわち、エンジンコントローラ123は、フォトカプラ218を経由して二次側に伝達された合成信号から、一次側の情報である電圧Vsnsの情報と、ゼロクロスタイミングを通知するゼロクロス信号とに分離することができる。
【0034】
エンジンコントローラ123は、変換テーブルを用いて、電圧Vsnsの情報を電圧Vsnsの対応する交流電圧Vacの情報に変換するためのテーブルを有している。また、エンジンコントローラ123は、受信したdata信号中の電圧Vsnsの情報を変換して得られた、商用交流電源201の交流電圧Vacの電圧値データを保持するためのメモリを内部に有している。そして、エンジンコントローラ123は、合成信号に重畳されたdata信号に含まれる電圧Vsnsの情報を正常に受信する毎に、メモリ内の交流電圧Vacの電圧値データを更新する。また、エンジンコントローラ123は、上述したデータ欠けや、ノイズ等による突発的な信号変化によりdata信号が正常に受信できない場合は、メモリに保持された直近の交流電圧Vacの電圧値データを用いて制御を行う。そして、エンジンコントローラ123は、メモリ内部に保持する一次側の交流電圧Vacの情報に基づいて、加熱定着器103のヒータ102への投入電力の制御を行う。
【0035】
以上、トランジスタ219がオフ状態で、合成信号がハイレベルの期間にのみ、data信号のエンジンコントローラ123への伝達が可能となる構成について説明した。本実施例では、合成信号がハイレベルの期間のみ、data信号の伝達が可能であるが、例えば、合成信号がローレベルの期間にのみ、data信号の伝達が可能となるような回路構成にしてもよい。更に、合成信号のハイレベル、ローレベルに関係なく、エンジンコントローラ123へdata信号の伝達が可能となる回路構成にしてもよい。
【0036】
本実施例では、情報検知部232がトランジスタ219のオン・オフ状態を検知できない構成について説明した。例えば、情報検知部232がトランジスタ219のオン・オフ状態を検知可能な回路構成にして、トランジスタ219がオフ状態の期間のみ、情報検知部232がdata信号を出力するようにしてもよい。これにより、上述したdata信号を合成信号に重畳した際のデータ欠けの発生を回避することができる。
【0037】
また、情報検知部232が二次側のエンジンコントローラ123へ伝達する情報は、商用交流電源201からの入力電圧情報に限ったものではない。例えば、情報検知部232は、ホットライン/ニュートラルラインの交流電圧Vacを検知する構成を有することで、商用交流電源201の周波数情報や商用交流電源201の一時的な停電(瞬断)や電圧低下といった電源の異常を二次側に伝達することができる。また、情報検知部232は、電圧生成部121から情報を取得することにより、電圧生成部121の動作状態や異常、故障の発生有無といった一次側の情報を二次側に伝達することができる。
【0038】
また、本実施例では、一次側から二次側へ信号を伝達する手段として、フォトカプラ218を使用しているが、フォトカプラに限定されるものではなく、例えば絶縁トランスのような、一次と二次との間を絶縁し信号伝達可能な素子であればよい。更に、本実施例では、一次側の制御手段として、情報検知部232のCPUを用いた例について説明したが、制御手段はCPUに限定されるものではなく、例えばDSPのようなデジタル処理を行う制御素子でもよい。
【0039】
[交流電圧情報の処理シーケンス]
次に、
図4を用いて、エンジンコントローラ123が、電源ユニット120の情報検知部232で検知された電圧Vsnsの情報を取得し、取得した電圧Vsnsに基づいて交流電圧Vacの状態を判断する処理について説明する。
図4は、情報検知部232が検知した電圧Vsnsをdata信号として出力し、エンジンコントローラ123が取得した合成信号から抽出した電圧Vsnsの情報に基づいて、交流電圧Vacの状態を判断する制御シーケンスを示すフローチャートである。
図4に示す処理は、プリンタ101の電源がオンされると起動され、電源ユニット120、及びエンジンコントローラ123により実行される。
【0040】
ステップ(以下、Sとする)101では、電源ユニット120が起動され、電源ユニット120の電圧生成部121から電圧3.3V、24Vが供給されることにより、二次側のエンジンコントローラ123が起動される。S102では、電源ユニット120の情報検知部232は、交流電圧Vacに応じて生成される電圧Vdcを分圧した電圧Vsnsを検知し、電圧Vsnsの情報をdata信号として出力する。フォトカプラ218は、情報検知部232から出力されたdata信号と、ゼロクロス検知回路216で検知したゼロクロスタイミング情報を含むゼロクロス信号と、を重畳させた合成信号をエンジンコントローラ123に出力する。
【0041】
S103では、エンジンコントローラ123は、電源ユニット120から出力された合成信号を取得する。S104では、エンジンコントローラ123は、取得した合成信号から電圧Vsnsの情報を含むdata信号と、ゼロクロスタイミング情報を含むゼロクロス信号を分離する。すなわち、エンジンコントローラ123は、取得した合成信号のハイレベル/ローレベルの変化がある期間とない期間とを判別し、交流電圧Vacのゼロクロスタイミングを検知する。また、エンジンコントローラ123は、取得した合成信号のハイレベル/ローレベルの変化がある期間における、ハイレベル/ローレベルの変化に基づいて、情報検知部232から出力された電圧Vsnsの情報を示すdata信号を抽出する。
【0042】
S105では、エンジンコントローラ123は、電圧Vsnsと電圧Vsnsと対応する交流電圧Vacとを対応づけた変換テーブルを用いて、data信号が示す電圧Vsnsに対応する交流電圧Vacを算出する。エンジンコントローラ123は、算出した交流電圧Vacの情報を用いて、エンジンコントローラ123のメモリに保存された交流電圧Vacの電圧値データを更新する。
【0043】
S106では、エンジンコントローラ123は、算出した交流電圧Vacの電圧値が、正常範囲内かどうか(
図4では、交流電圧Vacは正常?と表示)判断する。エンジンコントローラ123は、算出した交流電圧Vacの電圧値が正常範囲内であると判断した場合には処理をS102に戻し、算出した交流電圧Vacの電圧値が正常範囲内ではない(正常範囲外である)と判断した場合には処理をS107に進める。
【0044】
S107では、エンジンコントローラ123は、交流電圧Vac異常時の処理を実行し、処理をS102に戻す。エンジンコントローラ123は、交流電圧Vac異常時の処理として、例えば、印刷動作中の場合には画像形成動作を中止し、プリンタ101のパネル等の表示装置(不図示)に商用交流電源201の異常が発生したことを表示し、ユーザへの報知を行う。
【0045】
以上説明したように、本実施例によれば、簡易な構成で、一次側の情報を二次側に伝達することができる。
【実施例2】
【0046】
実施例1では、二次側のエンジンコントローラ123が、電源ユニット120から出力された合成信号を検知し、交流電圧Vacに応じた電圧Vsnsの情報を示すdata信号、及びゼロクロスタイミング情報を示すゼロクロス信号に分離する例を説明した。実施例2では、二次側のエンジンコントローラ123に情報分離部を設け、情報分離部で合成信号を分離する例について説明する。なお、プリンタ101や電源ユニット120の構成は、実施例1と同様であり、同じ回路には同じ符号を付すことで、ここでの説明は省略する。
【0047】
[情報分離部の構成]
図5は、本実施例の電源ユニット120、及びエンジンコントローラ123の情報分離部240の回路構成を示す回路図である。また、
図6は、
図5に示す電源ユニット120、及び情報分離部240における各部の電圧波形やdata信号、合成信号の波形を示すグラフである。
図6(a)は、商用交流電源201から入力される交流電圧Vacの電圧波形を示している。なお、交流電圧Vacのピーク電圧は、例えば100Vの交流電圧の場合には、√2倍の約141ボルトとなる。
図6(b)は、
図5中に矢印で示した電圧Veの電圧波形を示している。
図6(c)は、情報検知部232から出力されるdata信号の波形を示している。
図6(d)は、電源ユニット120からエンジンコントローラ123に出力される合成信号の波形を示している。また、
図6(e)は、情報分離部240から出力された一次側情報である入力電圧情報Vdetを示す電圧の波形を示している。
図6(f)は、ゼロクロス検知回路216で検知されたゼロクロスタイミングを示すゼロクロス信号の波形を示している。なお、
図6の横軸は時間を示している。
【0048】
図5は、実施例1の
図2に示す電源ユニット120の回路図に、本実施例のエンジンコントローラ123内に設けられた情報分離部240の回路構成を加えた回路図である。
図5において、電源ユニット120の回路構成は、実施例1と同様であり、ここでの説明は省略する。
【0049】
情報分離部240には、電源ユニット120から出力された合成信号が入力される。情報分離部240は、合成信号から一次側情報であるdata信号を抽出するフィルタ回路と、合成信号からゼロクロスタイミングを示すゼロクロス信号を抽出するフィルタ回路と、を有している。
【0050】
data信号を抽出する回路は、ダイオード241、抵抗242、244、及びコンデンサ243を有している。ダイオード241のアノード端子には合成信号が入力され、カソード端子は、抵抗242の一端に接続されている。抵抗242の他端は、コンデンサ243の一端、及び抵抗244の一端と接続されている。コンデンサ243の他端、及び抵抗244の他端は、GNDに接続(地絡)されている。
【0051】
ダイオード241は、合成信号(
図6(d))から、電源ユニット120の情報検知部232から出力された交流電圧Vacに応じた電圧Vsnsの情報を分離する。ダイオード241を介して入力された合成信号の電圧は、抵抗242及びコンデンサ243で構成される積分回路によりコンデンサ243に充電される。これにより、合成信号のハイ(H)レベル、ロー(L)レベルのパルス波形から、入力電圧情報Vdet(
図6(e))を示す電圧に変換される。合成信号(
図6(d))においてローレベルが継続する期間であるゼロクロス信号のローレベルの期間では、コンデンサ243の充電電圧である入力電圧情報Vdetは抵抗244によって放電され、低下する。
【0052】
一方、ゼロクロス信号を抽出する回路は、ダイオード245、抵抗246、248、249、251、コンデンサ247、トランジスタ250を有している。ダイオード245のアノード端子には合成信号が入力され、カソード端子は、抵抗246の一端に接続されている。抵抗246の他端は、コンデンサ247の一端、及び抵抗248、249の一端と接続されている。コンデンサ247の他端、及び抵抗248の他端は、GNDに接続(地絡)されている。抵抗249の他端は、トランジスタ250のベース端子に接続されている。トランジスタ250は、ゼロクロス信号を出力するコレクタ端子が抵抗251を介して電圧3.3Vにプルアップ接続され、エミッタ端子はGNDに接続されている。
【0053】
ダイオード245は、合成信号(
図6(d))から、交流電圧Vacのゼロクロスタイミングを示すゼロクロス信号を分離する。ダイオード245を介して入力された合成信号は、抵抗246及びコンデンサ247で構成された積分回路によりコンデンサ247に充電される。コンデンサ247に充電された電圧が抵抗249を介して、トランジスタ250のベース端子に印加される。トランジスタ250のベース端子に印加される電圧が閾値電圧以上、すなわち合成信号がハイレベルの場合(
図6(d))には、トランジスタ250はオンし、コレクタ端子からローレベルのゼロクロス信号が出力される(
図6(f))。一方、トランジスタ250のベース端子に印加される電圧が閾値電圧未満、すなわち合成信号がローレベルの場合(
図6(d))には、トランジスタ250はオフし、ハイレベルのゼロクロス信号が出力される(
図6(f))。
【0054】
上述した実施例では、情報検知部232は、検知した一次側情報である電圧Vsnsの情報をdata信号として出力し、合成信号に重畳されて、二次側のエンジンコントローラ123に伝達されていた。例えば、電圧生成部121のCPUが電圧生成部121内の一次側の素子(不図示)の温度を検知し、検知した温度を情報検知部232に通知する構成を有していた場合には、data信号として、電圧生成部121部内の温度情報を出力することができる。情報分離部240が入力された合成信号を、電圧生成部121の一次側の素子の温度情報とゼロクロス信号とに分離することにより、二次側のエンジンコントローラ123は、電圧生成部121の温度状態を検知することができる。これにより、電圧生成部121が異常状態となり、一次側の素子が発熱した際に、二次側のエンジンコントローラが電圧生成部121の異常を検知することが可能となる。
【0055】
[交流電圧情報の処理シーケンス]
次に、
図7を用いて、エンジンコントローラ123が、情報分離部240から電源ユニット120の情報検知部232で検知された電圧Vsnsの情報を取得し、取得した電圧Vsnsに基づいて交流電圧Vacの状態を判断する処理について説明する。
図7は、情報検知部232が検知した電圧Vsnsをdata信号として出力し、情報分離部240が合成信号から抽出した入力電圧情報に基づいて、エンジンコントローラ123が交流電圧Vacの状態を判断する制御シーケンスを示すフローチャートである。
図7に示す処理は、プリンタ101の電源がオンされると起動され、電源ユニット120、及びエンジンコントローラ123により実行される。なお、エンジンコントローラ123は、入力電圧情報Vdetと、入力電圧情報Vdetに対応する交流電圧Vacとを対応づけた変換テーブルを有しているものとする。
【0056】
S201、S202の処理は、実施例1の
図4に示すS101、S102と同様の処理であり、ここでの説明を省略する。電源ユニット120から出力された合成信号は、エンジンコントローラ123の情報分離部240に入力される。情報分離部240は、入力された合成信号を2つの信号に分離する。1つの信号は、情報検知部232から出力されたdata信号に対応して、電圧Vsnsの情報に対応する入力電圧情報Vdetである。もう1つの信号は、ゼロクロス検知回路216から出力されたゼロクロスタイミング情報を示すゼロクロス信号である。
【0057】
S203では、エンジンコントローラ123は、情報分離部240により分離された入力電圧情報Vdetと、ゼロクロス信号とを取得する。S204では、エンジンコントローラ123は、入力電圧情報Vdetと入力電圧情報Vdetに対応する交流電圧Vacとを対応づけた変換テーブルを用いて、入力電圧情報Vdetに対応する交流電圧Vacを算出する。エンジンコントローラ123は、算出した交流電圧Vacの情報を用いて、エンジンコントローラ123のメモリに保存された交流電圧Vacの電圧値データを更新する。S205、S206の処理は、実施例1の
図4に示すS106、S107と同様の処理であり、ここでの説明を省略する。
【0058】
また、上述したように、情報検知部232が電圧生成部121の1次側の素子(不図示)の温度を検知してdata信号として出力した場合には、エンジンコントローラ123は、次のような処理を行う。すなわち、エンジンコントローラ123は、情報分離部240で分離された入力電圧情報Vdetに準じた、一次側の素子の温度情報を取得し、取得した温度情報に基づいて電圧生成部121の状態が正常かどうか判断する。そして、エンジンコントローラ123は、電圧生成部121の異常発熱状態と判断した場合には、次のような異常時の処理を行う。エンジンコントローラ123は、例えば、印刷動作中の場合には画像形成動作を中止し、プリンタ101のパネル等の表示装置(不図示)に商用交流電源201の異常が発生したことを表示し、ユーザへの報知を行う等の異常時の処理を行う。
【0059】
以上説明したように、本実施例によれば、簡易な構成で、一次側の情報を二次側に伝達することができる。
【符号の説明】
【0060】
120 電源ユニット
121 電圧生成部
123 エンジンコントローラ
216 ゼロクロス検知回路
218 フォトカプラ
232 情報検知部