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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】下枠カバーおよび引違いサッシ
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/70 20060101AFI20240508BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20240508BHJP
   E06B 7/14 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
E06B1/70 A
E06B3/46
E06B7/14
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020117157
(22)【出願日】2020-07-07
(65)【公開番号】P2022014675
(43)【公開日】2022-01-20
【審査請求日】2023-04-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年4月10日、4月15日、5月25日、6月15日、6月25日、6月29日に代理店およびショールームに製品を出荷
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 美穂子
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-332283(JP,A)
【文献】特開平8-151861(JP,A)
【文献】特開2005-139682(JP,A)
【文献】特開2006-124950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/70
E06B 3/46
E06B 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引違いサッシの下枠に取り付けられる下枠カバーであって、
前記下枠に設けられる外レールおよび内レールの一方のレールを覆う上面部と、
前記上面部から下方に延長されて前記外レールおよび前記内レール間の前記下枠の上面に当接する支持片部と、
前記支持片部の上下方向の中間部から前記外レールおよび前記内レールの他方のレール側に延出された延出片部と、
前記延出片部から下方に突出して前記下枠の上面に当接する当接片部とを備え、
前記当接片部には、前記当接片部で区画される2つの空間のうちの一方の空間から他方の空間に水を排水可能な排水部が設けられている
ことを特徴とする下枠カバー。
【請求項2】
請求項1に記載の下枠カバーにおいて、
前記当接片部は、
前記延出片部に連続する垂下片部と、
前記垂下片部に連続して設けられて、前記他方のレールの側面に形成された突条部に係合する係合部と、
前記係合部に連続して設けられて前記下枠の上面に当接する接地部とを備え、
前記排水部は、前記垂下片部において前記係合部よりも上方の位置から前記接地部の下端縁まで切り欠かれた切欠部で構成されている
ことを特徴とする下枠カバー。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の下枠カバーにおいて、
前記上面部から下方に突出して、前記一方のレールの上部に当接するレール当接片部と、
前記上面部から下方に突出して、前記一方のレールの側面に形成された突条部に係合する係合部を備える係合片部とを有し、
前記係合片部には、前記係合片部で区画される2つの空間のうちの一方の空間から他方の空間に水を排水可能な第2排水部が設けられている
ことを特徴とする下枠カバー。
【請求項4】
請求項3に記載の下枠カバーにおいて、
前記第2排水部は、前記係合片部において前記係合部よりも上方の位置から前記係合片部の下端縁まで切り欠かれた第2切欠部で構成されている
ことを特徴とする下枠カバー。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の下枠カバーにおいて、
前記支持片部には、前記支持片部で区画される2つの空間のうちの一方の空間から他方の空間に水を排水可能な第3排水部が設けられている
ことを特徴とする下枠カバー。
【請求項6】
窓枠と、障子と、請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の下枠カバーとを備える引違いサッシであって、
前記窓枠は、上枠、下枠および左右の縦枠を備え、
前記上枠および前記下枠は、外レールおよび内レールを備え、
前記障子は、前記外レールに案内される外障子と、前記内レールに案内される内障子とを備え、
前記下枠カバーは、前記外障子および前記縦枠間、または、前記内障子および前記縦枠間に配置されて、前記下枠に取り付けられている
ことを特徴とする引違いサッシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下枠カバーおよびこの下枠カバーを取り付けた引違いサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
室内から室外のテラスに出入り可能なテラスタイプの引違いサッシにおいて、アタッチメントを設けて車椅子も移動できるようにバリアフリー化したものが知られている(例えば特許文献1参照)。
前記アタッチメントは、アルミニウム合金の押出形材からなり、引違いサッシの下枠の内レールまたは外レールを跨ぐように設けられる。例えば、外レールに跨がって設けられる外レールアタッチメントは、外レールの上部を覆う平坦部と、平坦部の縁部から下枠の上面に向けて延びる一対の側壁部とを有する。平坦部の上面は、建築物の床材の面とほぼ同じ高さ位置になっている。これにより、外レールと内レールとの間の溝のほぼ半分の幅が平坦面によって覆われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-146675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記アタッチメントは、下枠上面に設けられて前記内外のレール間の溝のほぼ半分の幅を覆うため、排水性能が低下する。すなわち、アタッチメントは、押出形材で構成された長尺部材であり、アタッチメント上に流れこんだ水は、アタッチメントの端部に設けられる端部部品の部分で排水するため、排水性能が制約される。このため、アタッチメントを取り付ける前に比べて、引違いサッシの水密性能が低下する。
本発明の目的は、水密性能の低下を防止できる下枠カバーおよび引違いサッシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の下枠カバーは、引違いサッシの下枠に取り付けられる下枠カバーであって、前記下枠に設けられる外レールおよび内レールの一方のレールを覆う上面部と、前記上面部から下方に延長されて前記外レールおよび前記内レール間の前記下枠の上面に当接する支持片部と、前記支持片部の上下方向の中間部から前記外レールおよび前記内レールの他方のレール側に延出された延出片部と、前記延出片部から下方に突出して前記下枠の上面に当接する当接片部とを備え、前記当接片部には、前記当接片部で区画される2つの空間のうちの一方の空間から他方の空間に水を排水可能な排水部が設けられていることを特徴とする。
【0006】
本発明の下枠カバーは、引違いサッシの下枠に取り付けられる下枠カバーであって、前記下枠に設けられる外レールおよび内レールの一方のレールを覆う上面部と、前記下枠の上面に当接する複数の当接片部と、を備え、前記複数の当接片部の少なくとも1つの当接片部には、前記当接片部で区画される2つの空間のうちの一方の空間から他方の空間に水を排水可能な排水部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明の引違いサッシは、窓枠と、障子と、前記下枠カバーとを備える引違いサッシであって、前記窓枠は、上枠、下枠および左右の縦枠を備え、前記上枠および前記下枠は、外レールおよび内レールを備え、前記障子は、前記外レールに案内される外障子と、前記内レールに案内される内障子とを備え、前記下枠カバーは、前記外障子および前記縦枠間、または、前記内障子および前記縦枠間に配置されて、前記下枠に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の下枠カバーおよび引違いサッシによれば、水密性能の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る引違いサッシの外観姿図である。
図2】外障子固定タイプの引違いサッシを示す横断面図である。
図3】外障子固定タイプの引違いサッシの要部を示す縦断面図である。
図4】外障子固定タイプの引違いサッシの下枠および下枠カバーを示す拡大縦断面図である。
図5】前記下枠カバーを示す斜視図である。
図6】前記下枠カバーを示す断面図である。
図7】内障子固定タイプの引違いサッシを示す横断面図である。
図8】内障子固定タイプの引違いサッシの要部を示す縦断面図である。
図9】内障子固定タイプの引違いサッシの下枠および下枠カバーを示す拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態の引違いサッシ1は、図1、2に示すように、窓枠2と、外障子3および内障子4とを備えて構成され、室外のテラスに出入り可能な引違いテラス戸である。図2に示すように、外障子3の室外側には網戸5が設けられている。
窓枠2は、上枠10、下枠20および左右の縦枠30,40を備えて構成される。窓枠2は、建物の開口部に配置されて建物の躯体に固定されている。
なお、以下の説明において、引違いサッシ1の室内外方向を見込み方向とし、図1における引違いサッシ1の左右方向(外障子3、内障子4の移動方向)を、上枠10、下枠20の長手方向とする。
【0011】
上枠10、下枠20、縦枠30、40は、合成樹脂製の押出形材で構成された樹脂枠である。
下枠20の縦枠30側の端部には、外障子3が縦枠30に衝突することを防止する障子ストッパー6Aが取り付けられ、下枠20の縦枠40側の端部には、内障子4が縦枠40に衝突することを防止する障子ストッパー6Bが取り付けられている。
下枠20において、外障子3の下部摺動片と障子ストッパー6Aとの間には、下枠カバー50が取り付けられている。また、下枠20の長手方向の中央には図示略の下枠風止板が取り付けられ、下枠風止板と障子ストッパー6Bとの間には、レール間カバー70が取り付けられている。
なお、外障子3、内障子4は、合成樹脂製の框材を枠組みして複層ガラスを保持した公知の障子であるため、説明を省略する。
【0012】
[下枠]
次に、本発明の特徴である下枠カバー50が取り付けられる下枠20について、図3および下枠20を拡大した図4をも参照して説明する。なお、図2、3では、断面部分を示すハッチングを省略し、拡大図である図4では断面部分をハッチングで示している。
下枠20は、外障子3を案内する外レール21と、内障子4を案内する内レール22とを備える。なお、図示を省略するが、上枠10にも、外障子3を案内する外レールと、内障子4を案内する内レールとが形成されている。
【0013】
下枠20は、図4に拡大して示すように、外レール21および内レール22に加えて、上面部23と、下面部24と、室外見付け面部25と、室内見付け面部26と、仕切片部27とを備えて構成されている。
仕切片部27は、上面部23、下面部24、室外見付け面部25、室内見付け面部26で囲まれた中空部を複数の中空部に仕切るものであり、本実施形態の下枠20では、室外側から室内側に向かって5つの仕切片部27A~27Eが設けられている。このため、下枠20の上面部23および下面部24間には、6個の中空部28A~28Fが形成されている。
【0014】
外レール21、内レール22は、上面部23から上方に突設されており、それぞれの上端部には上面側が開口する溝部211、221が形成され、この溝部211、221には、金属製のレール部材215、225が嵌合されている。なお、レール部材215、225は、戸車を案内する頭部215A、225Aと、ヒレ部215B、225Bとを備える。ヒレ部215B、225Bは、頭部215A、225Aの基端部から室外側および室内側に突出して設けられ、外レール21、内レール22に載置される。
【0015】
外レール21の室外面および室内面には、それぞれ突条部212、213が形成されている。同じく、内レール22の室外面および室内面には、それぞれ突条部222、223が形成されている。
突条部212、222は、室外側に向かって突設し、突条部213、223は、室内側に向かって突設している。
これらの突条部212、213、222、223は、下枠20の長手方向に沿って連続して形成されており、その断面形状は、上面および下面が斜め下方に向かって形成されて、先端に向かうに従って先細りになるテーパー状に形成されている。
【0016】
上面部23よりも上方の位置において、室外見付け面部25の室内側には、室外見付け面部25を補強する補強片部251が設けられている。これにより、室外見付け面部25の上端を網戸レール252として利用できるように構成されている。
上面部23よりも上方の位置において、室内見付け面部26の室外側には、室内見付け面部26を補強する補強片部261が設けられている。補強片部261には、室外側に向かって突設した突条部262が形成されている。
なお、内レール22と、補強片部261との間には、突条部223、262に係合するカバー材80が配置されている。
【0017】
[下枠の固定構造]
下枠20は、下面部24から下方に突出したヒレ部241と、室内見付け面部26の下端部から室内側に突出したヒレ部263と、室内見付け面部26の上端部から室内側に演出したヒレ部264とを建物躯体側にネジ止めすることで固定されている。
また、下枠20は、断面略L字状に形成された金属製の長尺部材である下枠用ブラケット6で支持されている。
【0018】
[下枠の排水経路]
下枠20には、下枠20上に流入した水を排水するための排水経路が設けられている。具体的には、図2における下枠20の左半分における外レール21、内レール22間の領域、つまり外障子3および内障子4を閉めた状態で外障子3の室内側の領域には、排水穴281、282、283、284、285が形成されている。
排水穴281は、下枠20の長手方向においては、障子ストッパー6Bの下側に形成され、下枠20の見込み方向においては、中空部28Dに連通する位置に形成されている。
排水穴282は、下枠20の長手方向においては、下枠20の長手方向中央から縦枠40側に所定寸法離れた位置に形成され、下枠20の見込み方向においては、排水穴281と同じく、中空部28Dに連通する位置に形成されている。
排水穴283は、下枠20の長手方向においては、排水穴282と同じ位置に形成され、下枠20の見込み方向においては、中空部28Cに連通する位置に形成されている。
【0019】
排水穴284、285は、下枠20の長手方向の寸法が所定寸法、例えば2m以上の場合に形成される。排水穴284、285は、下枠20の長手方向においては、排水穴281、282の間に形成され、下枠20の見込み方向においては、排水穴284は、排水穴281、282と同じく中空部28Dに連通する位置に形成され、排水穴285は、排水穴283と同じく中空部28Cに連通する位置に形成されている。
【0020】
排水穴282、283、284、285は、それぞれレール間カバー70で覆われて外部に露出しないようにされている。
なお、排水穴281~285の数、形状、長手方向の形成位置は本実施形態の例に限定されない。
また、図2において下枠20の右半分における外レール21、内レール22間の領域、つまり外障子3および内障子4を閉めた状態で内障子4の室外側の領域では、上面部23に排水穴は形成されていないが、外レール21の縦枠30側の端部に排水用の切欠が形成されている。
【0021】
図4に示すように、仕切片部27A、27B、27Cには、各仕切片部27A、27B、27Cで仕切られた中空部28A~28Dを連通する排水穴291、292、293が形成されている。
室外見付け面部25には、中空部28Aに流入した水を排水するための排水穴294が形成されている。
室外見付け面部25および補強片部251には、室外見付け面部25および外レール21間の溝部に流入した水を排水するための排水穴295、296が形成されている。
室外見付け面部25には、排水穴294、295を塞ぐ排水キャップ71、72が取り付けられている。
これらの排水穴291~296および排水キャップ71、72は、下枠20の長手方向の両端近傍にそれぞれ1か所ずつ設けられている。
【0022】
[下枠カバー]
下枠カバー50は、図2図4に示すように、外レール21を覆う位置に配置される場合と、図7~9に示すように、内レール22を覆う位置に配置される場合とを選択できる。すなわち、本実施形態の下枠カバー50は、外レール21の被覆用および内レール22の被覆用に兼用できるようになっている。
以下、下枠カバー50の構成を、外レール21を覆う位置に配置して外障子3を開閉できないように固定した外障子固定タイプを示す図2図4と、下枠カバー50を示す図5図6を参照して説明する。
【0023】
下枠カバー50は、図5、6に示すように、カバー本体51と、端部キャップ61とを備えている。カバー本体51は、アルミニウム等の金属製の押出形材で構成された長尺部材である。端部キャップ61は、合成樹脂製の射出成形品などで構成され、カバー本体51の長手方向の両端部に嵌め込まれている。
このカバー本体51および端部キャップ61を有する下枠カバー50は、図2に示すように、外障子3の下部摺動片と、縦枠30側の障子ストッパー6Aとの間に配置されている。なお、合成樹脂製の下枠20と、金属製のカバー本体51とは、熱膨張率が相違し、その相違により熱伸び量も相違する。このため、下枠カバー50の寸法を設定して、外障子3の下部摺動片および障子ストッパー6Aと、各端部キャップ61との間に、熱伸び量を吸収するための隙間を設けている。
【0024】
本実施形態の下枠カバー50は、図3および図4に示すように、下枠20の外レール21を覆うように配置されている。下枠カバー50のカバー本体51は、図6にも示すように、外レール21を覆う上面部52と、上面部52から下方に突出して外レール21の上部に当接するレール当接片部53と、上面部52から下方に突出して外レール21および内レール22間の下枠20の上面部23に当接する支持片部54と、支持片部54の上下方向の中間部から内レール22側に延出された延出片部55と、延出片部55から下方に突出して下枠20の上面部23に当接する当接片部56とを備える。
さらに、カバー本体51は、上面部52から下方に突出する係合片部57と、上面部52から下方に突出し、さらに折曲された折返し片部58とを備える。
【0025】
上面部52は、フラットな水平面とされた平坦部521と、平坦部521の室外側端縁から斜め下方に傾斜された傾斜面部522と、平坦部521の室内側端縁から斜め下方に傾斜された傾斜面部523とを備える。
レール当接片部53は、平坦部521の下面から下方に突出されている。このレール当接片部53は、レール部材215を挟んで一対設けられている。レール当接片部53の下端は、レール部材215のヒレ部215Bに当接している。
【0026】
支持片部54は、上面部52の傾斜面部523の端部から下方に延出されている。支持片部54の上下方向の中間部の内面(レール当接片部53側の面)には、突片541が突設されている。
【0027】
延出片部55は、支持片部54の上下方向の中間部の外面から内レール22側に延出されている。なお、延出片部55は、図3に示すように、内障子4の下方に配置可能な高さ位置に設けられている。また、延出片部55は、支持片部54に連結された基端部から先端部に向かう延出方向に沿って低くなるように傾斜されている。
【0028】
当接片部56は、図6に示すように、延出片部55の先端から下方に突出している。当接片部56は、延出片部55に連続する垂下片部561と、垂下片部561に連続して設けられた係合部562と、係合部562に連続して設けられた接地部563とを備えて構成されている。
垂下片部561は、延出片部55の先端から略鉛直方向下側に向かって延出されている。係合部562は、垂下片部561の下端部から表面側つまり内レール22側に突出されている。接地部563は、係合部562に接続する上端側よりも上面部23に当接する下端側が係合部562の突出方向とは反対側、つまり支持片部54側に位置するように傾斜して設けられている。
図5にも示すように、当接片部56の長手方向の両端から所定寸法の範囲は、垂下片部561の部分、つまり係合部562よりも上方の位置から切り欠かれて排水部566とされている。
【0029】
係合片部57は、レール当接片部53と支持片部54との間の上面部52から下方に延出して設けられている。係合片部57は、上面部52の平坦部521から下方に延出された上片部571と、上片部571の下端から室外側に延出された水平片部572と、水平片部572の先端から下方に延出された下片部573と、下片部573の下端部から外レール21側に突出された係合部574と、係合部574から斜め下方に延長された接地部575とを備える。
接地部575は、係合部574に接続する上端側よりも上面部23に当接する下端側が支持片部54側に位置するように傾斜して設けられている。
係合片部57の長手方向の両端から所定寸法の範囲は、図5、6に示すように、下片部573の部分、つまり係合部574よりも上方の位置から切り欠かれて第2排水部576とされている。
折返し片部58は、傾斜面部522の室外側端部から下方に延長された垂下片部581と、垂下片部581の下端部から室内側つまり係合片部57側に延長された水平片部582とを備える。
【0030】
カバー本体51では、カバー本体51上を車椅子などが移動した際に加わる荷重は、主に上面部52からレール当接片部53および支持片部54を介して下枠20に伝えている。このため、上面部52、レール当接片部53、支持片部54は、前記荷重を伝達できる厚さ寸法に設定されている。
一方、延出片部55、当接片部56、係合片部57は、係合部562、574が外レール21、内レール22の突条部213、222に弾性変形して係合できるように、上面部52、レール当接片部53、支持片部54に比べて小さな厚さ寸法に設定されている。
【0031】
下枠カバー50は、図3、4に示すように、外レール21の突条部213と、内レール22の突条部222とに、係合片部57の係合部574と、当接片部56の係合部562とを係合することで、下枠20に着脱可能に取り付けられる。
下枠カバー50を取り付けることで、下枠20上を通って室内から室外のテラスに車椅子でスムーズに移動することができる。すなわち、下枠20のヒレ部264の上面と、下枠カバー50の上面部52との高さ方向の段差は6mm程度と小さな寸法であり、車椅子での移動を妨げない。また、下枠20の溝部、具体的には、補強片部261および内レール22間、内レール22および支持片部54間、折返し片部58および網戸レール252間の室内外方向(見込み方向)の寸法(幅寸法)は、それぞれ15.5mm、15.5mm、9.4mmに設定されている。これらの幅寸法は、車椅子のタイヤ幅(例えば22.25mm)よりも小さいため、タイヤが溝に嵌まることがなく、下枠カバー50を取り付けた下枠20上を車椅子でスムーズに移動できる。
また、図3に示すように、内障子4の室外面と下枠カバー50の支持片部54との見込み方向の隙間は3mmに設定され、子供の指が入らない小さな隙間に設定されているので、内障子4および下枠カバー50間に指が挟まることも防止できる。
【0032】
このような下枠カバー50を取り付けた下枠20では、図4に示すように、室外見付け面部25および外レール21間の溝部に流れ込んだ水は、排水穴296、295を介して排水キャップ72から室外に排水される。
一方で、下枠カバー50の支持片部54および内レール22間の溝部に流れ込んだ水は、排水部566と突条部222との隙間から延出片部55の下方の空間51Aに溜めることができる。なお、端部キャップ61の下面の高さ位置は、支持片部54の下端よりも上方であり、端部キャップ61の下面と下枠20の上面部23との間には隙間が確保されている。このため、空間51Aに入った水は、端部キャップ61の下側の隙間を介して空間51Bにも溜めることができる。
また、係合片部57および外レール21間の隙間部分の空間51Cに浸入した水は、第2排水部576と突条部213との隙間から係合片部57および支持片部54間の空間51Bに溜めることができる。
これらの空間51A、51Bに溜められた水は、下枠カバー50の端部キャップの下面と上面部23との隙間から排出され、外レール21に形成された切欠から室外見付け面部25および外レール21間の溝部に流れ、排水穴296、295を介して排水キャップ72から室外に排水される。
【0033】
[内障子固定タイプ]
次に、下枠カバー50を、内レール22を覆う位置に配置して内障子4を開閉できないように固定した例を図7図9を参照して説明する。なお、下枠カバー50自体は、外障子固定タイプと同一のものが利用できる。
【0034】
図7に示すように、下枠カバー50は、内障子4の下部摺動片および縦枠40側の障子ストッパー6Bとの間に配置されている。なお、外障子固定タイプと同様に、内障子4の下部摺動片および障子ストッパー6Bと、各端部キャップ61との間には熱伸び用の隙間が設けられている。
この下枠カバー50は、図8および図9に示すように、当接片部56が室外側に配置され、折返し片部58が室内側に配置される向き、つまり外障子固定タイプとは室内外方向に逆向きに配置されている。
すなわち、下枠カバー50のレール当接片部53を、内レール22のレール部材225のヒレ部225Bに当接させ、当接片部56の係合部562を外レール21の突条部213に係合し、係合片部57の係合部574を内レール22の突条部222に係合することで、内レール22を覆う位置に下枠カバー50を取り付けている。
この際、折返し片部58は、カバー材80の上方に位置してカバー材80に干渉しないように、水平片部582の高さ位置が設定されている。
【0035】
内レール22を覆う位置に下枠カバー50を取り付けた場合も、下枠20上を通って室内から室外のテラスに車椅子でスムーズに移動することができる。すなわち、下枠20のヒレ部264の上面と、下枠カバー50の上面との高さ方向の段差は6mm程度と小さな寸法であり、車椅子での移動を妨げない。さらに、段差部分には傾斜面部522も設けられているので、車椅子をスムーズに移動できる。
また、下枠20の溝部、具体的には、補強片部261および垂下片部581間、外レール21および支持片部54間、外レール21および網戸レール252間の室内外方向(見込み方向)の寸法(幅寸法)は、3.0mm、15.5mm、21.9mmに設定されている。これらの幅寸法は、車椅子のタイヤ幅よりも小さいため、タイヤが溝に嵌まることがなく、下枠20上を車椅子でスムーズに移動できる。
また、外障子3と下枠カバー50の支持片部54との見込み方向の隙間は3mmに設定され、子供の指が入らない小さな隙間に設定されているので、外障子3および下枠カバー50間に指が挟まることも防止できる。
【0036】
このような下枠カバー50を取り付けた下枠20では、図9に示すように、室外見付け面部25および外レール21間の溝部に流れ込んだ水は、排水穴296、295を介して排水キャップ72から室外に排水される。
また、下枠カバー50の支持片部54および外レール21間の溝部に流れ込んだ水は、排水部566と突条部213との隙間から延出片部55の下方の空間51Aに流れ、排水穴283、285から中空部28Cに流れ込む。また、空間51Aに入った水は、端部キャップ61の下側の隙間を介して空間51Bにも溜めることができる。
さらに、係合片部57および内レール22の隙間部分の空間51Cに浸入した水は、第2排水部576と突条部222との隙間から係合片部57および支持片部54間の空間51Bに流れる。空間51Bに入った水は、排水穴281、282、284から中空部28Dに流れ込む。
【0037】
中空部28Dに流れ込んだ水は、排水穴293から中空部28Cに流れ、排水穴283、285から中空部28Cに流れ込んだ水とともに、排水穴292、中空部28B、排水穴291、中空部28A、排水穴294を介して排水キャップ71から排水される。
【0038】
[実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、下枠カバー50の当接片部56に排水部566を設けたので、排水部566を介して延出片部55の下方の空間51Aに水を流して溜めることができる。このため、当接片部56に排水部566が形成されていないために、空間51Aに水が溜まる速度が遅くて排水性が悪い場合に比べて、排水性能を向上できる。
また、排水部566の大きさ、具体的には排水部566の長手方向の寸法によって排水部566を介して流す水の量つまり排水性能をコントロールできるので、下枠カバー50を取り付ける前と同程度の水密性能を維持できる。
【0039】
当接片部56の排水部566の上端は、内レール22の突条部222や、外レール21の突条部213よりも上方となるように形成され、各突条部213、222との間に隙間を形成しているので、延出片部55の上面に流れ込んだ水を前記隙間から排水することができる。
このため、カバー本体51の当接片部56の係合部562を、外レール21や内レール22の突条部213、222に係合させることができ、かつ、係合部562が突条部213、222に係合している箇所から十分に排水できなくても、排水部566から排水できるので、排水部566のサイズを適切に設定することで、十分な排水性能を確保できる。
【0040】
排水部566は、延出片部55から下方に延長された当接片部56に形成されているので、下枠20に取り付けた下枠カバー50を上方から視認しても、排水部566が露出して視認されることがない。このため、排水部566を形成しても、下枠カバー50の意匠性が低下することを防止できる。
また、排水部566は、垂下片部561から接地部563の下端まで切り欠いた切欠部で構成しているので、容易に加工できる。
【0041】
下枠カバー50の係合片部57に第2排水部576を設けたので、空間51Cから第2排水部576を介して空間51Bに水を流して溜めることができる。このため、係合片部57に第2排水部576が形成されていないために、空間51Bに水が溜まる速度が遅くて排水性が悪い場合に比べて、排水性能を向上できる。
また、第2排水部576の大きさ、具体的には第2排水部576の長手方向の寸法によって第2排水部576を介して流す水の量つまり排水性能をコントロールできるので、下枠カバー50を取り付ける前と同程度の水密性能を維持できる。
【0042】
係合片部57の第2排水部576の上端は、内レール22の突条部222や、外レール21の突条部213よりも上方となるように形成され、各突条部213、222との間に隙間を形成しているので、空間51Cにおいて、各突条部213、222よりも上方まで水が溜まった場合でも、前記隙間から排水できる。このため、第2排水部576のサイズを適切に設定することで、十分な排水性能を確保できる。
【0043】
下枠カバー50は、外レール21を覆う位置に配置される外障子3の固定タイプと、内レール22を覆う位置に配置される内障子4の固定タイプとで兼用できるので、施工現場で下枠カバー50の配置位置を選択できて施工の自由度を向上できる。
さらに、下枠カバー50は、レール当接片部53をレール部材215、225のヒレ部215B、225Bに当接させ、当接片部56および係合片部57の係合部562、574を、外レール21および内レール22間に嵌合させることで取り付けられる。このため、下枠カバー50を容易に脱着できるので、外障子3および内障子4の両方を移動できる引違いタイプと、外障子3を固定して内障子4のみ移動できる内障子使いの片引きタイプと、内障子4を固定して外障子3のみ移動できる外障子使いの片引きタイプとを、ライフスタイルの変化等に応じて使い分けることができる。
また、下枠カバー50は兼用できるので、カバー本体51を製造するための金型数も最低限にできるため、コストも低減できる。
【0044】
下枠カバー50は、上面部52に加わる荷重を、主にレール当接片部53および支持片部54で支持できるため、当接片部56や係合片部57に排水部566、576を形成しても、十分な踏みつけ強度を担保できる。このため、介護者などを車椅子に乗せたまま、下枠カバー50を介して室内外をスムーズに移動できる。
さらに、当接片部56、係合片部57は、支持片部54等に比べて厚さ寸法を小さくできるので、係合部562、574を突条部213、222に係合させる際に、当接片部56、係合片部57を容易に変形させることができ、下枠カバー50を外レール21、内レール22間に容易に取り付けることができる。
この際、接地部563、575は、下端側が互いに近接する方向に傾斜されており、突条部213、222の上面も先端が下方に傾斜した傾斜面とされているので、下枠カバー50を押し込むことで、突条部213、222の上面によって当接片部56、係合片部57を互いに近づく方向に変形させることができる。このため、下枠カバー50を簡単に取り付けることができる。
【0045】
[変形例]
本発明は、以上の各実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は、本発明に含まれる。
下枠カバー50のカバー本体51の形状は、前記実施形態に限定されない。例えば、前記実施形態では、外レール21、内レール22に突条部213、222を形成し、下枠カバー50の係合部562、574を係合させていたが、外レール21、内レール22に凹溝部を形成し、下枠カバー50に前記凹溝部に係合する突条部を形成し、突条部を凹溝部に係合させてもよい。さらに、外レール21、内レール22や下枠カバー50に凹凸部を形成せずに、下枠カバー50を外レール21、内レール22に両面テープなどで接着して取り付けてもよい。
【0046】
前記実施形態では、支持片部54には排水部を形成していないが、支持片部54に第3排水部を形成してもよい。支持片部54に第3排水部を形成すれば、支持片部54で区画される空間51A、51B間で水を流すことができ、空間51Aおよび空間51Bを一体の貯水空間として利用できるので、排水性能をより向上できる。
また、支持片部54に形成される排水部は、下枠カバー50の踏みつけ強度に影響を与えないサイズで形成することで、人や車椅子が室内外を出入りする際に下枠カバー50上を通過しても、下枠カバー50の強度を担保できる。
【0047】
前記実施形態では、係合片部57に第2排水部576を設けていたが、係合片部57の第2排水部576は必ずしも設けなくてもよい。ただし、第2排水部576を形成すれば、前述したように、空間51Cを空間51Bにつなげて一体の貯水空間とすることができて排水に役立てることができる。
【0048】
排水部566、576は、当接片部56や係合片部57の下端部まで切欠いた切欠部で構成していたが、切欠部ではなく長手方向に沿った長穴や、複数の丸穴、角穴等で構成してもよい。
【0049】
前記実施形態では、外レール21を覆う下枠カバー50と、内レール22を覆う下枠カバー50とは共通のものを利用していたが、それぞれ専用の下枠カバーを用いてもよい。
例えば、外レール21を覆う専用の下枠カバーであれば、係合片部57を外レール21の室外側に設け、係合部574を外レール21の室外面の突条部212に係合させてもよい。
また、外レール21を覆う専用の下枠カバーであれば、折返し片部58の代わりに、支持片部54と同様に下枠20の上面部23に当接する第2支持片部を設けてもよい。さらに、上面部52に加わる荷重を、支持片部54および第2支持片部で支持するように構成し、レール当接片部53を無くしてもよい。
さらに、前記実施形態では、支持片部54を上面部23に当接させて空間51Aおよび空間51Bを区画していたが、支持片部54の延出片部55よりも下側を無くして空間51Aおよび空間51Bが一体の空間となったカバー本体を用いてもよい。この場合、上面部23に当接する係合片部57を肉厚にするなどして、下枠カバー50に加わる荷重をレール当接片部53および係合片部57で支持するように構成してもよい。この際、係合片部57は、荷重支持を重視して第2排水部576を加工しない、あるいは加工する場合でも第2排水部576の幅寸法を小さくして荷重支持に影響しないように構成すればよい。
また、下枠カバー50の上面部52は車椅子などがスムーズに移動できるようにフラットな平坦部521を備えているが、バリアフリーを目的とせず、外障子3や内障子4の移動を規制する等の他の目的で下枠カバーを設ける場合、上面部52はフラットな面にする必要が無い。このため、カバー本体51の断面形状は、デザイン性などを考慮して自由に設定してもよい。
すなわち、下枠カバーは、レールを覆う上面部と、下枠の上面に当接する複数の当接片部とを備え、複数の当接片部の少なくとも1つの当接片部には、当接片部で区画される2つの空間のうちの一方の空間から他方の空間に水を排水可能な排水部が設けられていればよい。このため、前記実施形態の下枠カバー50では、支持片部54、当接片部56、係合片部57が複数の当接片部を構成している。
【0050】
下枠カバーは、前記実施形態の2枚建の引違いサッシに取り付けるものに限定されず、4枚建の引違いサッシの外障子間に取り付けてもよい。
【0051】
[発明のまとめ]
本発明は、引違いサッシの下枠に取り付けられる下枠カバーであって、前記下枠に設けられる外レールおよび内レールの一方のレールを覆う上面部と、前記上面部から下方に延長されて前記外レールおよび前記内レール間の前記下枠の上面に当接する支持片部と、前記支持片部の上下方向の中間部から前記外レールおよび前記内レールの他方のレール側に延出された延出片部と、前記延出片部から下方に突出して前記下枠の上面に当接する当接片部とを備え、前記当接片部には、前記当接片部で区画される2つの空間のうちの一方の空間から他方の空間に水を排水可能な排水部が設けられていることを特徴とする。
本発明の下枠カバーによれば、当接片部に排水部を設けたので、当接片部で区画される2つの空間のうち、一方の空間から他方の空間に水を排水することができる。このため、これらの2つの空間を一体の貯水空間とすることができ、排水性能を向上できて水密性能の低下を防止できる。
また、一方のレールを覆う上面部を備えているので、他方のレールと上面部との間の溝部の室内外方向の幅寸法を小さくでき、車椅子のタイヤがはまることも防止できる。このため、下枠の上面を車椅子でも容易に移動できるようにフラット化すれば、バリアフリー化も容易に実現できる。
さらに、延出片部を支持片部の上下方向中間部から他方のレール側に延出しているので、他方のレールに案内される障子の下側に延出片部を配置して他方のレールまでの下枠上面を覆うことができる。このため、下枠カバーによって、内外のレール間の下枠上面を覆うこともでき、下枠カバーの下側の貯水空間に水が溜まった場合でも貯水空間を隠すことができ、意匠性を向上できる。その上、排水部は、延出片部から下方に延長された当接片部に形成しているので、下枠に取り付けた下枠カバーを上方から視認しても、排水部が露出して視認されることがなく、意匠性を向上できる。
【0052】
本発明の下枠カバーにおいて、前記当接片部は、前記延出片部に連続する垂下片部と、前記垂下片部に連続して設けられて、前記他方のレールの側面に形成された突条部に係合する係合部と、前記係合部に連続して設けられて前記下枠の上面に当接する接地部とを備え、前記排水部は、前記垂下片部において前記係合部よりも上方の位置から前記接地部の下端縁まで切り欠かれた切欠部で構成されていることが好ましい。
本発明によれば、当接片部に係合部を設け、レールの側面に突条部を形成しているので、下枠カバーを他方のレールに容易に係合させることができる。排水部を、係合部よりも上方の位置から接地部の下端縁まで切り欠いた切欠部で構成しているので、係合部の上部に排水部の開口を設けることができ、この開口からスムーズに排水することができる。
【0053】
本発明の下枠カバーにおいて、前記上面部から下方に突出して、前記一方のレールの上部に当接するレール当接片部と、前記上面部から下方に突出して、前記一方のレールの側面に形成された突条部に係合する係合部を備える係合片部とを有し、前記係合片部には、前記係合片部で区画される2つの空間のうちの一方の空間から他方の空間に水を排水可能な第2排水部が設けられていることが好ましい。
本発明によれば、係合片部に第2排水部を設けたので、係合片部で区画される2つの空間のうち、一方の空間から他方の空間に水を排水することができる。このため、これらの2つの空間を一体の貯水空間とすることができ、排水性能をさらに向上できる。
また、係合片部に係合部を設け、一方のレールの側面に突条部を形成しているので、下枠カバーを一方のレールにも容易に係合させることができる。
さらに、下枠カバーは、一方のレール上部に当接するレール当接片部を備えているので、上面部が踏みつけられたり、車椅子の移動によって上面部に荷重が加わった際に、その荷重を十分に支持することができる。
【0054】
本発明の下枠カバーにおいて、前記第2排水部は、前記係合片部において前記係合部よりも上方の位置から前記係合片部の下端縁まで切り欠かれた第2切欠部で構成されていることが好ましい。
本発明によれば、第2排水部を、係合部よりも上方の位置から係合片部の下端縁まで切り欠いた第2切欠部で構成しているので、係合部の上部に第2排水部の開口を設けることができ、この開口からスムーズに排水することができる。
【0055】
本発明の下枠カバーにおいて、前記支持片部には、前記支持片部で区画される2つの空間のうちの一方の空間から他方の空間に水を排水可能な第3排水部が設けられていることが好ましい。
本発明によれば、支持片部に第3排水部を設けたので、支持片部で区画される2つの空間のうち、一方の空間から他方の空間に水を排水することができる。このため、これらの2つの空間を一体の貯水空間とすることができ、排水性能をさらに向上できる。
【0056】
本発明は、引違いサッシの下枠に取り付けられる下枠カバーであって、前記下枠に設けられる外レールおよび内レールの一方のレールを覆う上面部と、前記下枠の上面に当接する複数の当接片部と、を備え、前記複数の当接片部の少なくとも1つの当接片部には、前記当接片部で区画される2つの空間のうちの一方の空間から他方の空間に水を排水可能な排水部が設けられていることを特徴とする。
本発明の下枠カバーによれば、少なくとも1つの当接片部に排水部を設けたので、この当接片部で区画される2つの空間のうち、一方の空間から他方の空間に水を排水することができる。このため、これらの2つの空間を一体の貯水空間とすることができ、排水性能を向上できて水密性能の低下を防止できる。
また、一方のレールを覆う上面部を備えているので、他方のレールと上面部との間の溝部の室内外方向の幅寸法を小さくでき、車椅子のタイヤがはまることも防止できる。このため、下枠の上面を車椅子でも容易に移動できるようにフラット化することで、バリアフリー化も容易に実現できる。
【0057】
本発明は、窓枠と、障子と、前記下枠カバーとを備える引違いサッシであって、前記窓枠は、上枠、下枠および左右の縦枠を備え、前記上枠および前記下枠は、外レールおよび内レールを備え、前記障子は、前記外レールに案内される外障子と、前記内レールに案内される内障子とを備え、前記下枠カバーは、前記外障子および前記縦枠間、または、前記内障子および前記縦枠間に配置されて、前記下枠に取り付けられていることを特徴とする。
本発明の引違いサッシによれば、前記下枠カバーを備えるため、排水性能を向上できて水密性能の低下を防止でき、バリアフリー化も容易に実現できる。
【符号の説明】
【0058】
1…引違いサッシ、2…窓枠、3…外障子、4…内障子、5…網戸、6…下枠用ブラケット、6A、6B…障子ストッパー、10…上枠、20…下枠、21…外レール、211…溝部、212、213…突条部、215…レール部材、215A…頭部、215B…ヒレ部、22…内レール、221…溝部、222、223…突条部、225…レール部材、225A…頭部、225B…ヒレ部、23…上面部、24…下面部、241…ヒレ部、25…室外見付け面部、251…補強片部、252…網戸レール、26…室内見付け面部、261…補強片部、262…突条部、263、264…ヒレ部、27、27A、27B、27C、27D、27E…仕切片部、281、282、283、284、285…排水穴、28A、28B、28C、28D、28E、28F…中空部、291、292、293、294、295、296…排水穴、30…縦枠、40…縦枠、50…下枠カバー、51…カバー本体、51A、51B、51C…空間、52…上面部、521…平坦部、522、523…傾斜面部、53…レール当接片部、54…支持片部、541…突片、55…延出片部、56…当接片部、561…垂下片部、562…係合部、563…接地部、566…排水部、57…係合片部、571…上片部、572…水平片部、573…下片部、574…係合部、575…接地部、576…第2排水部、58…折返し片部、581…垂下片部、582…水平片部、61…端部キャップ、70…レール間カバー、71、72…排水キャップ、80…カバー材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9