(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】光源モジュールユニットを備えた照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240508BHJP
F21S 8/00 20060101ALI20240508BHJP
F21V 21/02 20060101ALI20240508BHJP
F21Y 105/10 20160101ALN20240508BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240508BHJP
【FI】
F21S2/00 481
F21S8/00 100
F21S2/00 482
F21V21/02 300
F21Y105:10
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020120820
(22)【出願日】2020-07-14
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005005
【氏名又は名称】不二サッシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100194205
【氏名又は名称】河内 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100173657
【氏名又は名称】瀬沼 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】福井 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】清水 國孝
(72)【発明者】
【氏名】下沖 祐太
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-053157(JP,A)
【文献】特開2019-011593(JP,A)
【文献】特開平04-216769(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0244944(US,A1)
【文献】中国実用新案第205782411(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21S 8/00
F21V 19/00
F21V 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源モジュールを有する光源モジュールユニットと、
前記光源モジュールユニットに対向する光拡散部材と、
前記光源モジュールが固定される固定枠と、を備え
、
前記光源モジュールには、前記光源モジュールを前記固定枠に取り付ける取付具が挿入される貫通孔が形成されており、
前記固定枠は、前記光源モジュールの下端が載置される受け部を有しており、
前記貫通孔の前記光源モジュールの端部からの寸法は、前記固定枠の前記光源モジュールが固定される固定部から前記受け部までの寸法と同じであり、
前記固定部に溝部が形成されている照明装置。
【請求項2】
前記固定枠は、前記光源モジュールの下端が載置される受け部を有している請求項
1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記固定枠には、前記光源モジュールの上端を収容する抑え溝部が形成されている請求項1~
2のいずれかに記載の照明装置。
【請求項4】
前記固定枠には、前記光源モジュールの上端を収容する抑え溝部が形成されており、
前記抑え溝部は、前記受け部により一部が構成されている請求項
2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記光源モジュールは、複数のLEDが2次元的に配置されている請求項1~
4のいずれかに記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源モジュールユニットを備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
看板、標識、交通案内板等に使用される面発光型の照明装置としては、表示板の裏面側に光源を複数配置した直下方式の照明装置と、表示板の裏面側に導光板を配置し、この導光板の側面に光源を配置したエッジライト方式の照明装置等が知られている。
【0003】
近年、建築物の意匠効果をより高めるべく、これらの面発光型の照明装置における発光面の大型化が要求されている。このような大型化の要求を満たしたものとして、特開2020-53157号公報に記載の本願出願人が開発した面発光型の照明装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の面発光型の照明装置では、輝度の均一性を十分に確保することで、厚みを薄くした照明装置においても、近年要求されている大型化を可能としている。特許文献1のように厚みを薄くした照明装置の設計においては、この輝度の十分な均一性の確保のために、各部材の寸法・間隔や光源の出力等の事項を考慮して、各部材の位置・寸法等が決定されている。
【0006】
出願人はこの面発光型の照明装置のさらなる実用化を図るべく、壁面、床、天井等の建築物への適用例についても、その研究、開発を進めている。かかる開発過程において、本願の発明者は、複数の光源モジュールを有する照明装置の現実の建築物への適用においては、複数の光源モジュールを設計どおりに設けることが難しく、また、複数の光源モジュールが設計どおりの位置にない場合には、輝度の十分な均一性の確保ができない場合が生じることを見いだした。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決すべくなされたものであり、厚みが薄く、かつ、大型化が可能であり、しかも現実の建築物への適用においても、輝度の十分な均一性を容易に確保すると共に、施工性を向上させることができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の照明装置は、複数の光源モジュールを有する光源モジュールユニットと、前記光源モジュールユニットに対向する光拡散部材と、前記光源モジュールが固定される固定枠と、を備え、
前記光源モジュールには、前記光源モジュールを前記固定枠に取り付ける取付具が挿入される貫通孔が形成されており、
前記固定枠は、前記光源モジュールの下端が載置される受け部を有しており、
前記貫通孔の前記光源モジュールの端部からの寸法は、前記固定枠の前記光源モジュールが固定される固定部から前記受け部までの寸法と同じであり、
前記固定部に溝部が形成されている。
【0010】
本発明の照明装置においては、前記固定枠は、前記光源モジュールの下端が載置される受け部を有していることが好ましい。
【0013】
本発明の照明装置においては、前記固定枠には、前記光源モジュールの上端を収容する抑え溝部が形成されていることが好ましい。
【0014】
本発明の照明装置においては、前記抑え溝部は、前記受け部により一部が構成されていることが好ましい。
【0015】
本発明の照明装置においては、前記光源モジュールは、複数のLEDが2次元的に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、厚みが薄く、かつ、大型化が可能であり、しかも現実の建築物への適用においても、輝度の十分な均一性を容易に確保すると共に、施工性を向上させることができる照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第一の実施形態にかかる照明装置の中央縦断面図
【
図3】光源モジュールが固定された状態を示す固定枠の側面図
【
図7】(A)~(E)は固定枠及びLEDモジュールの固定の手順を示す図
【
図8】第二の実施形態にかかる照明装置の中央縦断面図
【
図10】第三の実施形態にかかる照明装置の中央縦断面図
【
図12】第三の実施形態にかかる照明装置を3つ並べて構成した照明装置の正面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に例示説明する。なお、本明細書においては、共通する構成には、共通する用語を用いると共に、各図において略同一に図示して詳細な説明は省略し、必要に応じて同一の符号で示すこととする。
【0019】
本発明の照明装置は、複数の光源モジュールを有する光源モジュールユニットと、光源モジュールユニットに対向する光拡散部材と、複数の光源モジュールが固定される固定枠と、を備えるものである。
【0020】
図1及び
図2には、建築物の壁面に実装して光壁とする場合における本発明の照明装置の第一の実施形態が示されている。なお、
図1及び
図2においてはそれぞれ、上下方向及び左右方向の中間の一部が省略されている。
図1及び
図2に示す本実施形態の照明装置1は、上枠2、下枠3、右枠4、左枠5、固定枠6、複数の光源モジュール7を有する光源モジュールユニット8及び光拡散部材9を備えている。本実施形態では、照明装置1の上枠2、下枠3、右枠4及び左枠5がそれぞれ建築物の壁面に固定される。なお、以下の説明は、別途の説明がない限り、照明装置1を建築物の壁面に実装した状態に基づくものである。
【0021】
上枠2は、例えば長尺状のアルミニウムの成形品とすることができる。本実施形態の上枠2は、照明装置1の光の放射方向側に位置する放射側平面部21と、照明装置1の光の放射方向と反対側に位置する躯体側平面部22と、放射側平面部21及び躯体側平面部22の間に位置する中間平面部23と、放射側平面部21、躯体側平面部22及び中間平面部23の上端に接続される接続平面部24とを備えている。上枠2は、躯体側平面部22と照明装置1が実装される建築物の躯体とを固定ねじ16によりねじ止めすることにより、建築物の躯体に固定されている。
【0022】
放射側平面部21の下端には、中間平面部23に向かって突出する突出部21aが形成されている。中間平面部23の下端には、放射側平面部21に向かって突出してから接続平面部24に向かう折り返し部23aが形成されている。中間平面部23にはまた、上端と下端との間に、放射側平面部21に向かって突出する突出部23bが形成されている。接続平面部24には、放射側平面部21と中間平面部23との間、及び、中間平面部23と躯体側平面部22との間にそれぞれ、タッピングホール24aが形成されている。タッピングホール24aは、右枠4及び左枠5と接続するための組立ねじ18を緊結するために使用される。
【0023】
本実施形態の上枠2では、放射側平面部21、中間平面部23及び接続平面部24により囲まれる空間により、光拡散部材9の上端を収容する収容部が構成されている。
【0024】
下枠3は、例えば長尺状のアルミニウムの成形品とすることができる。本実施形態の下枠3は、照明装置1の光の放射方向側に位置する放射側平面部31と、照明装置1の光の放射方向と反対側に位置する躯体側平面部32と、放射側平面部31及び躯体側平面部32の間に位置する中間平面部33と、放射側平面部31、躯体側平面部32及び中間平面部33の下端に接続される接続平面部34とを備えている。下枠3は、躯体側平面部32と照明装置1が実装される建築物の躯体とを固定ねじ16によりねじ止めすることにより、建築物の躯体に固定されている。
【0025】
放射側平面部31の上端には、中間平面部33に向かって突出する突出部31aが形成されている。中間平面部33の上端には、放射側平面部31に向かって突出してから接続平面部34に向かう折り返し部33aが形成されている。中間平面部33にはまた、上端と下端との間に、放射側平面部31に向かって突出する突出部33bが形成されている。接続平面部34には、放射側平面部31と中間平面部33との間、及び、中間平面部33と躯体側平面部32との間にそれぞれ、タッピングホール34aが形成されている。タッピングホール34aは、右枠4及び左枠5と接続するための組立ねじ18を緊結するために使用される。
【0026】
特に本実施形態の下枠3では、接続平面部34の下側の面に、断面L字型の延長部35及び36が形成されている。延長部35は、放射側平面部31と中間平面部33との間に、形成されており、延長部36は、接続平面部34の、照明装置1の光の放射方向と反対側の端(躯体側平面部32の下方)に形成されている。また、放射側平面部31、接続平面部34、及び延長部35により放射側平面部31から躯体側にセットバックした段部37が形成されている。この段部37は、床仕上げ材の先端を差し込む事が可能であり、仕上がりの美感や施工性を向上させている。
【0027】
本実施形態の下枠3では、放射側平面部31、中間平面部33及び接続平面部34により囲まれる空間により、光拡散部材9の下端を収容する収容部が構成されている。
【0028】
右枠4及び左枠5は、略同一に構成されているので、右枠4の構成例について説明し、左枠5の構成例の説明を省略する。本実施形態では、右枠4は、
図2に示すように、例えば長尺状のアルミニウムの成形品とすることができ、その断面形状が略矩形状に形成されている。本実施形態の右枠4では、左枠5と対向する光拡散部材側面4aと反対側の躯体側面4bに、5つの溝部4c、4d、4e、4f及び4gが形成されている。これらの溝部のうち、溝部4c及び4gには、上枠2及び下枠3と接続するための組立ねじ18が緊結される。また溝部4eには、右枠4を、照明装置1が実装される建築物の躯体に固定する固定ねじ16がねじ止めされる。なお、5つの溝部4c、4d、4e、4f及び4gは、組立ねじ18の頭部が、躯体側にはみ出さない深さを有している。
【0029】
図3は、光源モジュール7が固定された状態を示す固定枠6の側面図であり、
図4は、
図3において円により囲まれた部分の拡大図である。固定枠6は、例えば長尺状のアルミニウムの成形品とすることができる。本実施形態の固定枠6は、取付面部61と、取付面部61の上方に形成された固定部62と、取付面部61の下方に接続部63を介して形成された受け部64と、受け部64の下方に形成された抑え溝部65とを備えている。固定枠6は、取付面部61と照明装置1が実装される建築物の躯体とを固定ねじ16によりねじ止めすることにより、建築物の躯体に取り付けられる。
【0030】
固定部62には、光源モジュール7が取付具である取付ねじ17により固定される。本実施形態の固定部62には、光源モジュール7をねじ止め可能な溝部が形成されている。
【0031】
接続部63は、具体的には一端が取付面部61の下端に接続されており、他端は固定部62の先端と面一となるように構成されている。本実施形態では、接続部63の下面の他端近傍に、受け部64が接続されている。
【0032】
本実施形態の受け部64は、取付面部61と平行に延びる第1の部分64aと、照明装置1の光の放射方向に向かって延びる第2の部分64bとを備えたL字形状を有している。第2の部分64bの上面には、固定部62に固定された光源モジュール7の下端が載置される。
【0033】
抑え溝部65は、光源モジュール7の上端を収容可能に構成されており、固定部62に固定された光源モジュール7の下側に固定される別の光源モジュール7の上端を収容する。なお、固定部62に固定された光源モジュール7が最下層である場合には、抑え溝部65には光源モジュール7の上端は収容されない。
【0034】
本実施形態の抑え溝部65は、受け部64の第1の部分64aに連続して取付面部61と平行に延びる第1の部分65aと、第1の部分65aの下端から照明装置1の光の放射方向に向かって延びる第2の部分65bと、受け部64の第2の部分64bの照明装置1の光の放射方向側端部から取付面部61と平行に延びる第3の部分65cとを備えている。特に本実施形態の抑え溝部65は、第1の部分65aと、第2の部分65bと、第3の部分65cと、受け部64の第2の部分64bとにより構成されている。このように本実施形態では、抑え溝部65は、受け部64により一部が構成されている。しかしながら、抑え溝部65は、受け部64と全く別個に構成してもよい。
【0035】
抑え溝部65の第2の部分65bの先端は、固定部62の先端及び接続部63の他端と面一となるように構成されている。
【0036】
図5は本実施形態において光源モジュール7として用いられる複数のLEDが2次元的に配置されているLEDモジュール7Aの正面図であり、
図6は端数調整用LEDモジュール7Bの正面図である。光源モジュールユニット8は、これらのLEDモジュール7A及び端数調整用LEDモジュール7Bを複数組み合わせて構成することができる。本実施形態では、LEDモジュール7Aを上下方向に2つ、左右方向に2つ配置して光源モジュールユニット8が構成されている。左右方向におけるLEDモジュール7A同士の間隔(クリアランス)は、固定枠6の受け部64の第2の部分64bの上下方向の寸法t(本実施形態では板厚)と同じとしている。
【0037】
本実施形態のLEDモジュール7Aでは、約290mm×290mmの略矩形形状の基板71の表面71a上に、一対のLED72が互いに均等な間隔となるように、縦方向に8列・横方向に7列の格子状に配置されている。LEDモジュール7Aは、電気ケーブル等の公知の給電構造により電気が供給される。
【0038】
図5に示すように、本実施形態のLEDモジュール7Aの基板71には、表面71aの矩形の対角線に沿った位置に、裏面71bに貫通する貫通孔73が複数設けられている。本実施形態の貫通孔73の芯は、LEDモジュール7Aの基板71の端部、即ち矩形状の基板71の辺からの寸法Aが、固定枠6の固定部62の芯(取付ねじ17の芯)から受け部64の第2の部分64b(上面)までの寸法Aと同じとなるように設けられている。特に本実施形態の貫通孔73の芯は、LEDモジュール7Aの基板71の隣接する2辺からの間隔が、固定枠6の固定部62の芯から受け部64の第2の部分64b(上面)までの寸法Aと同じとなるように設けられている。基板71にはさらに、複数のコネクタ74がそれぞれ設けられている。
【0039】
端数調整用LEDモジュール7Bは、約290mm×290mmの略矩形形状の基板71の表面71a上に、一対のLED72が互いに均等な間隔となるように、縦方向に8列・横方向に7列の格子状に配置したものを、4等分に分割可能にしたものであり、端数調整用LEDモジュール7B1~7B4には、LED72がそれぞれ縦方向に2列・横方向に7列配置されている。なお、
図6においては、4等分に分割する前のモジュール7Bが示されており、分割される部分にカットラインが設けられている。端数調整用LEDモジュール7Bもまた、電気ケーブル等の公知の給電構造により電気が供給される。
【0040】
図6に示すように、本実施形態の端数調整用LEDモジュール7B1~7B4の基板71には、裏面71bに貫通する貫通孔73がそれぞれ2つ設けられている。本実施形態の貫通孔73の芯は、端数調整用LEDモジュール7B1~7B4のそれぞれの基板71の端部、即ち矩形状の基板71の辺からの寸法Aが、固定枠6の固定部62の芯から受け部64の第2の部分64b(上面)までの寸法Aと同じとなるように設けられている。特に本実施形態の貫通孔73の芯は、端数調整用LEDモジュール7B1~7B4のそれぞれの基板71の隣接する2辺からの寸法が、固定枠6の固定部62の芯から受け部64の第2の部分64bまでの寸法Aと同じとなるように設けられている。基板71にはさらに、2つのコネクタ74がそれぞれ設けられている。
【0041】
本実施形態では、光拡散部材9は、中間膜を乳白色とした合わせガラスからなるガラス板により構成されている。本発明においては、光源モジュールユニット8のLED等の光源が配置された面と、光拡散部材9の光源モジュールユニット8と対向する面(内側面)及び/又は光拡散部材9の光源モジュールユニット8と対向する面と反対側の面(外側面)とが、平行であることが好ましい。
【0042】
図1に示すように本実施形態では、下枠上に設けられたセッティングブロック10に載置することにより光拡散部材9の上下方向の位置決めを行っている。この光拡散部材9の上端及び下端は、公知のFIX窓と同様に先付けビード11及び後付けビード12に挟まれた状態で、上枠2及び下枠3の収容部にそれぞれ収容される。
【0043】
先付けビード11は、軟質塩化ビニルにより構成されており、上枠2の中間平面部23の折り返し部23aと突出部23bとの間、及び、下枠3の中間平面部33の折り返し部33aと突出部33bとの間に一部が挿入されることにより、中間平面部23及び中間平面部33に保持される形状を有している。
【0044】
後付けビード12は、軟質塩化ビニルにより構成されており、上枠2の放射側平面部21の突出部21aと光拡散部材9の外側面との間、及び、下枠3の放射側平面部31の突出部31aと光拡散部材9の外側面との間に嵌合(差し込み)することにより、放射側平面部21及び放射側平面部31に保持される形状を有している。
【0045】
図2に示すように本実施形態では、右枠4及び左枠5と、光拡散部材9との間には、シリコン製の目地材13が設けられている。この目地材13は、照明装置1が2以上の光拡散部材9を有する場合には、光拡散部材9同士の間にも設けられるものである。
【0046】
次に
図7を用いて本実施形態における固定枠及びLEDモジュールの固定の手順を説明する。まず、
図7(A)に示すように、最下層の光源モジュール7が固定される固定枠6を、建築物の躯体(具体的には下地材)の所望の位置に固定ねじ16によりねじ止めすることにより、取付ける。本実施形態では、
図1に示すように、最下層の光源モジュール7が固定される固定枠6の取付面部61の下端(接続部63の下面)を、下枠3の躯体側平面部32の上端に当接させることで、最下層の光源モジュール7が固定される固定枠6の上下方向及び横方向(長手方向)の位置決めを行っている。
【0047】
次に、
図7(B)と
図7(C)に示すように、固定枠6の受け部64の上方から光源モジュール7の下端を固定枠6の受け部64の第2の部分64bに当接させる。このとき固定枠6の固定部62の先端及び接続部63の先端が光源モジュール7の裏面71bに接触することで、光源モジュール7の基板71と固定枠6の取付面部61とを平行にすることができる。特に本実施形態では、光源モジュール7の貫通孔73は、光源モジュール7の端部からの寸法Aが、固定枠6の固定部62の芯から受け部64の第2の部分64bまでの寸法Aと同一となる位置に形成されているため、光源モジュール7を固定枠6の受け部64の第2の部分64bに当接して載置させるだけで、貫通孔73と固定部62との位置を合わせることができる。
【0048】
次に、
図7(C)に示すように、溝部が形成された固定部62と光源モジュール7とを、取付ねじ17により固定する。
【0049】
次に、
図7(D)に示すように、固定部62に固定された光源モジュール7の上端を、別の固定枠6の抑え溝部65にはめ込む。このとき抑え溝部65の第2の部分65bの先端が光源モジュール7の裏面71bに接触することで、光源モジュール7の基板71と別の固定枠6の取付面部61との平行関係が維持される。特に本実施形態では、光源モジュール7の上端が抑え溝部65にはめ込まれた別の固定枠6は、光源モジュール7の上端により上下方向における取付位置がガイドされており、上下方向における位置決めを容易に行うことができる。
【0050】
次に、
図7(E)に示すように、抑え溝部65に光源モジュール7の上端をはめ込んだ状態で、
図7(A)と同じように、別の固定枠6を、建築物の躯体に固定ねじ16によりねじ止めすることにより、取付ける。上下方向に積み重ねる光源モジュール7の数に応じて、
図7(A)~(E)の作業を繰り返すことにより、所望の数の光源モジュール7を上下方向に積み重ねることができる。
【0051】
上記実施形態の照明装置では、光源モジュールユニット8を構成する光源モジュール7を、固定枠6に固定している。このような照明装置1では、固定枠6に光源モジュール7を固定するだけで、複数の光源モジュール7を設計どおりに設けることができる。そのため、厚みが薄く、かつ、大型化が可能な照明装置を現実の建築物に適用する場合においても、輝度の十分な均一性を容易に確保すると共に、施工性を向上させることが可能である。
【0052】
上記実施形態の照明装置1では、光源モジュール7に、光源モジュール7を固定枠6に取り付ける取付具である取付ねじ17が挿入される貫通孔73を形成している。そのため、光源モジュール7の固定枠6への取り付けを容易に行うことが可能である。
【0053】
上記実施形態の照明装置1では、固定枠6は、光源モジュール7の下端が載置される受け部64を有している。そのため、固定枠6に対する光源モジュール7の位置決め及び取り付けを容易に行うことができる。
【0054】
上記実施形態の照明装置1では、貫通孔73の芯の光源モジュール7の端部からの寸法Aは、固定枠6の光源モジュール7が固定される固定部62の芯から受け部64の第2の部分64bまでの寸法Aと同じである。そのため、光源モジュール7を固定枠6の受け部64に当接して載置させるだけで、貫通孔73と固定部62との位置を合わせることができる。
【0055】
上記実施形態の照明装置1では、固定部62に溝部が形成されている。そのため、光源モジュール7を固定枠6へ取り付ける際のねじ止めを容易に行うことができる。また、固定部62に、ねじ止め用の下孔を加工する必要がない。
【0056】
上記実施形態の照明装置1では、固定枠6には、光源モジュール7の上端を収容する抑え溝部65が形成されている。そのため、光源モジュール7の上端を収容した固定枠6は、光源モジュール7の上端により上下方向における取付位置がガイドされており、上下方向における位置決めを容易に行うことができる。
【0057】
また上記実施形態の照明装置1では、抑え溝部65は、受け部64により一部が構成されている。そのため、上下方向に隣接する光源モジュール7同士の間隔(クリアランス)が固定枠6の受け部64の第2の部分64bの上下方向の寸法tと同じとなるので、上下の光源モジュール7同士の間隔(クリアランス)を容易に制御することができる。
【0058】
また上記実施形態の照明装置1では、最下層の光源モジュール7が固定される固定枠6の取付面部61の下端(接続部63の下面)を、下枠3の躯体側平面部32の上端に当接させている。そのため、最下層の光源モジュール7が固定される固定枠6の上下方向及び横方向(長手方向)における位置決めを特に容易に行うことができる。
【0059】
図1に示す第一の実施形態においては、照明装置1の上下方向において、上枠2の躯体側平面部22の下端から、下枠3の躯体側平面部32の上端まで、光源モジュールユニット8が延在している。しかしながら、建築物の壁面の寸法(照明装置1の設置寸法)によっては、上枠2の躯体側平面部22の下端と下枠3の躯体側平面部32の上端との間隔が、光源モジュールユニット8の上端から下枠3の躯体側平面部32の上端までの寸法よりも大きくなる場合が生じうる。
【0060】
この場合には、光源モジュールユニット8の上下方向における光源モジュール7の数を増やして対応できる場合がある。しかしながら、照明装置1の上下方向において、上枠2の接続平面部24の下面から光源モジュールユニット8の上端までの寸法が、光源モジュール7の上下方向の寸法よりも短く、光源モジュールユニット8の上下方向における光源モジュール7の数を増やすことができない場合がある。
【0061】
このような場合には、本発明の照明装置は、
図8に示す第二の実施形態のように構成することができる。
図8の実施形態においては、LEDモジュール7Aを上下方向に1つ、左右方向に4つ配置して光源モジュールユニット8が構成されている。左右方向におけるLEDモジュール7A同士の間隔(クリアランス)は、固定枠6の受け部64の第2の部分64bの上下方向の寸法tと同じとしている。また
図8に示す第二の実施形態では、照明装置1の左右方向において、2つの上枠2がジョイント金具14にネジ止めすることにより連結されている。同様に、照明装置1の左右方向において、2つの下枠3がジョイント金具14にネジ止めすることにより連結されている。さらに、
図8に示す第二の実施形態では、下枠3は上枠2と同じ形状を有している。
【0062】
第二の実施形態においては、LEDモジュール7Aが固定される固定枠6は、取付面部61の下端を下枠3の躯体側平面部32の上端に当接させることなく建築物の躯体に取り付けられている。このような構成を採用する場合には、光源モジュールユニット8と光拡散部材9との間隔B(LEDモジュール7Aの表面71aと光拡散部材9の内側面との間隔)が、照明装置1の上下方向における光源モジュールユニット8の下端(受け部64の第2の部分64bの上面)と下枠3の躯体側平面部32の上端との間隔Cよりも大きいことが好ましい。このような関係とすることにより、照明装置1の下部が暗くなることが抑制されて、輝度の十分な均一性を容易に確保することができる。
【0063】
第二の実施形態においては、照明装置1の上下方向において、光源モジュールユニット8の上端は、上枠2の躯体側平面部22の下端まで延在していない。このような構成を採用する場合には、光源モジュールユニット8と光拡散部材9との間隔Bが、照明装置1の上下方向における光源モジュールユニット8の上端と上枠2の躯体側平面部22の下端との間隔Dよりも大きいことが好ましい。このような関係とすることにより、照明装置1の上部が暗くなることが抑制されて、輝度の十分な均一性を容易に確保することができる。
【0064】
第二の実施形態においては、照明装置1の上下方向における光源モジュールユニット8の下端と下枠3の躯体側平面部32の上端との間隔Cと、光源モジュールユニット8の上端と上枠2の躯体側平面部22の下端との間隔Dとを同じとしている。しかしながら、照明装置1の上下方向における光源モジュールユニット8の下端と下枠3の躯体側平面部32の上端との間隔Cと、光源モジュールユニット8の上端と上枠2の躯体側平面部22の下端との間隔Dとは異なっていてもよい。また、照明装置1の上下方向において、光源モジュールユニット8の下端と下枠3の躯体側平面部32の上端との間、及び、光源モジュールユニット8の上端と上枠2の躯体側平面部22の下端との間の、一方のみに間隔C又は間隔Dが形成されていてもよい。
【0065】
また、
図2に示す第一の実施形態においては、照明装置1の左右方向において、光拡散部材9の全体にわたって光源モジュールユニット8が延在している。しかしながら、建築物の壁面の寸法(照明装置1の設置寸法)によっては、照明装置1の左右方向における光源モジュールユニット8の寸法が、光拡散部材9の左右方向の寸法よりも小さくなる場合が生じうる。
【0066】
この場合には、光源モジュールユニット8の左右方向におけるLEDモジュール7Aの数を増やして対応できる場合がある。しかしながら、照明装置1の左右方向において、右枠4と左枠5との間の内法寸法と、光源モジュールユニット8の外法寸法との差が、LEDモジュール7Aの左右方向の寸法よりも短く、光源モジュールユニット8の左右方向におけるLEDモジュール7Aの数を増やすことができない場合がある。
【0067】
このような場合には、本発明の照明装置は、
図9に示す第二の実施形態の横断面図のように構成することができる。
図9の実施形態においては、照明装置1の左右方向において、光源モジュールユニット8の両端が、光拡散部材9の両端まで延在していなくともよい。このような構成を採用する場合には、光源モジュールユニット8と光拡散部材9との間隔Bが、照明装置1の左右方向における光源モジュールユニット8の両端と光拡散部材9の両端との左右それぞれの間隔E、Fよりも大きいことが好ましい。このような関係とすることにより、照明装置1の左右方向の端部が暗くなることが抑制されて、輝度の十分な均一性を容易に確保することができる。なお、本実施形態では、光拡散部材9の左右方向の寸法と固定枠6の左右方向の寸法とを同じとしている。
【0068】
第二の実施形態においては、照明装置1の左右方向における光源モジュールユニット8の左枠側の端部と光拡散部材9の左枠側の端部との間隔Eと、光源モジュールユニット8の右枠側の端部と光拡散部材9の右枠側の端部との間隔Fとを同じとしている。しかしながら、照明装置1の左右方向における光源モジュールユニット8の左枠側の端部と光拡散部材9の左枠側の端部との間隔Eと、光源モジュールユニット8の右枠側の端部と光拡散部材9の右枠側の端部との間隔Fとは異なっていてもよい。また、照明装置1の左右方向において、光源モジュールユニット8の左枠側の端部と光拡散部材9の左枠側の端部との間、及び、源モジュールユニット8の右枠側の端部と光拡散部材9の右枠側の端部との間の、一方のみに間隔E又は間隔Fが形成されていてもよい。
【0069】
図10は、第三の実施形態にかかる照明装置の中央縦断面図であり、
図11は同横断面図であり、
図12は第三の実施形態にかかる照明装置を3つ並べて構成した照明装置の正面図である。
【0070】
第三の実施形態においては、一つの照明装置1にあたりLEDモジュール7Aを上下方向に6つ、左右方向に9つ配置している。左右方向におけるLEDモジュール7A同士の間隔(クリアランス)は、固定枠6の受け部64の第2の部分64bの上下方向の寸法tと同じとしている。この第三の実施形態では、第一の実施形態の上枠及び下枠の左右方向の寸法を長くしたものを、上枠2及び下枠3として用いている。
【0071】
第三の実施形態においては、第一の実施形態と同様に、最下層のLEDモジュール7Aが固定される固定枠6の取付面部61の下端を、下枠3の躯体側平面部32の上端に当接させることで、最下層のLEDモジュール7Aが固定される固定枠6の上下方向及び横方向(長手方向)の位置決めを行っている。
【0072】
第三の実施形態においては、後付けビード12に代えて湿式のシール材15を用いている。また第三の実施形態では、一つの照明装置1にあたり光拡散部材9は3つのガラス板を左右方向に並べて構成されている。また、左右方向におけるガラス板同士の間、ガラス板と右枠4及びガラス板と左枠5との間にも、シール材15が設けられている。
【0073】
第三の実施形態においては、照明装置1の上下方向において、最上層のLEDモジュール7Aの上端は、上枠2の躯体側平面部22の下端まで延在していない。また、LEDモジュール7Aと光拡散部材9との間隔Bが、照明装置1の上下方向における最上層のLEDモジュール7Aの上端と上枠2の躯体側平面部22の下端との間隔Dよりも小さい。そこで、第三の実施形態においては、LEDモジュール7Aの最上層に、端数調整用LEDモジュール7Bを加えて光源モジュールユニット8を構成している。本実施形態では、端数調整用LEDモジュール7B1~7B3(モジュール7B4を切り離し)を、最上層のLEDモジュール7Aの上部に固定枠6を介して取り付けている。このような構成によっても、建築物の壁面の寸法への対応が可能である。
【0074】
上記実施形態においては、建築物の壁面に実装して光壁とする態様について説明したが、本発明の照明装置は、建築物の天井又は床に実装することもでき、或いは看板用の照明装置とすることもできる。
【0075】
上記実施形態においては、光拡散部材9がガラス板の場合について説明したが、光拡散部材9は、紙、布、樹脂等の透光性または半透光性を有する任意の材質により構成できるものである。
【0076】
上記実施形態においては、端数調整用LEDモジュール7BをLEDモジュール7Aの最上層に取り付ける場合について説明したが、端数調整用LEDモジュール7Bは、照明装置1の左右方向の端部に取り付けることもできる。
【0077】
本発明は、本発明の照明装置を備える壁面及び建築物として把握することができる。また本発明は、本発明の照明装置における光源モジュールユニットと固定枠とを備える光源装置として把握することができる。
【0078】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において、通常の知識を有する者により可能である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明によれば、厚みが薄く、かつ、大型化が可能であり、しかも現実の建築物への適用においても、輝度の十分な均一性を容易に確保すると共に、施工性を向上させる照明装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0080】
1:照明装置
2:上枠
21:放射側平面部
21a:突出部
22:躯体側平面部
23:中間平面部
23a:折り返し部 23b:突出部
24:接続平面部
24a:タッピングホール
3:下枠
31:放射側平面部
31a:突出部
32:躯体側平面部
33:中間平面部
33a:折り返し部 33b:突出部
34:接続平面部
34a:タッピングホール
37:段部
4:右枠
4a:光拡散部材側面 4b:躯体側面 4c:溝部 4d:溝部
4e:溝部 4f:溝部 4g:溝部
5:左枠
6:固定枠
61:取付面部 62:固定部 63:接続部
64:受け部
64a:第1の部分 64b:第2の部分
65:抑え溝部
65a:第1の部分 65b:第2の部分 65c:第3の部分
7:光源モジュール
7A:LEDモジュール 7B:端数調整用LEDモジュール
71:基板 72:LED 73:貫通孔 74:コネクタ
8:光源モジュールユニット
9:光拡散部材
10:セッティングブロック
11:先付けビード
12:後付けビード
13:目地材
14:ジョイント金具
15:シール材
16:固定ねじ
17:取付ねじ
18:組立ねじ