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特許7483564ローダ装置及びこれを用いた加工物のチャッキング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】ローダ装置及びこれを用いた加工物のチャッキング方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 7/04 20060101AFI20240508BHJP
   B23B 15/00 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B23Q7/04 L
B23B15/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020149604
(22)【出願日】2020-09-07
(65)【公開番号】P2022044132
(43)【公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】591014835
【氏名又は名称】高松機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】松森 快
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 健司
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-091268(JP,A)
【文献】実開平04-106102(JP,U)
【文献】実開昭55-138010(JP,U)
【文献】特開平01-011701(JP,A)
【文献】特開平07-237077(JP,A)
【文献】特開昭59-088201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 7/04
B23B 15/00
B23B 31/10、12、20
B25J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローダ移動機構によって移動されるローダ保持ユニットを具備し、前記ローダ保持ユニットは、加工物を保持するための第1及び第2ローダチャック手段を備えたローダ装置において、
前記第1ローダチャック手段は、開閉自在に装着された複数の第1ローダ保持部材を備え、前記ローダ保持ユニットの第1取付部に取り付けられており、また前記第2ローダチャック手段は、開閉自在に装着された複数の第2ローダ保持部材を備え、前記ローダ保持ユニットの第2取付部に取り付けられており、
更に、前記第1及び第2ローダチャック手段のいずれか一方又は双方には、前記加工物を前記第1及び第2ローダチャック手段のいずれか一方又は双方から前方側に押し出すための押出手段が設けられ、前記押出手段は、前記加工物を斜め上方又は斜め下方に向けて押し出す傾斜押出部を有していることを特徴とするローダ装置。
【請求項2】
前記加工物の一端側は、外形が円筒状の円筒状部を有し、前記第1ローダチャック手段の前記複数の第1ローダ保持部材及び前記第2ローダチャック手段の前記複数の第2ローダ保持部材は、前記加工物の前記円筒状部をチャック保持するように構成され、前記押出手段は、前記加工物を前記前方側に押し出す押出部材を備え、前記押出手段の前記傾斜押出部は、前記押出部材に設けられたV字状傾斜溝から構成され、前記V字状傾斜溝が前記前方に向けて斜め下方又は斜め上方に延び、前記V字状傾斜溝が前記加工物の前記円筒状部に作用することを特徴とする請求項1に記載のローダ装置。
【請求項3】
前記加工物の他端側は、外形が矩形状の矩形状部を有し、前記加工物の前記矩形状部が主軸チャック手段にチャッキングされるように構成され、前記主軸チャック手段は、周方向に間隔をおいて配設された4つの主軸チャック保持部を有し、前記4つの主軸チャック保持部が前記加工物の前記矩形状部の4角部をチャッキングするように構成され、前記押出部材の前記V字状傾斜溝は、前記加工物に作用して前記前方に向けて斜め上方又は斜め下方に押し出し、これによって、前記加工物の前記矩形状部は、前記前方側に押し出されて前記主軸チャック手段の上側の一対の主軸チャック保持部又は下側の一対の主軸チャック部に押し付けられることを特徴とする請求項2に記載のローダ装置。
【請求項4】
加工物を搬送するローダ装置から加工装置の主軸チャック手段に加工物を受け渡しする加工物のチャッキング方法において、
前記ローダ装置は、ローダ移動機構によって移動されるローダ保持ユニットを備え、前記ローダ保持ユニットは、前記加工物の一端側の円筒状部を保持するためのローダチャック手段と、前記加工物を前記ローダチャック手段から前方側に押し出すための押出手段とを備え、前記押出手段は、前記加工物を斜め上方又は斜め下方に向けて押し出す傾斜押出部を有しており、
前記加工装置の前記主軸チャック手段は、周方向に間隔をおいて配設された4つの主軸チャック保持部を有し、前記4つの主軸チャック保持部は、前記加工物の他端側の矩形状部の4角部を保持するように構成されており、
前記ローダ装置の前記ローダチャック手段から前記加工装置の前記主軸チャック手段に前記加工物を受け渡すときには、前記加工物を保持した前記ローダチャック手段が前記主軸チャック手段に対向する位置に位置付けられ、次いで、前記ローダチャック手段が開状態になるとともに、前記押出手段が前記前方側に移動され、これによって、前記ローダチャック手段保持された前記加工物は、前記前方側に向けて斜め上方又は斜め下方に押し出され、開状態の前記主軸チャック手段の上側の一対の主軸チャック保持部又は下側の一対の主軸チャック保持部に押し付けられ、次に前記主軸チャック手段が所定方向に幾分回動され、これによって、前記加工物は前記上側の一対の主軸チャック保持部又は前記下側の一対の主軸チャック保持部に位置決めされた状態で前記主軸チャック手段の横側の一対の主軸チャック保持部に押し付けられ、その後、前記主軸チャック手段が閉状態となって前記4つの主軸チャック保持部が前記加工物の前記矩形状部をチャッキングすることを特徴とする加工物のチャッキング方法。
【請求項5】
前記押出手段は、前記加工物を前記前方側に押し出す押出部材を備え、前記押出手段の前記傾斜押出部は、前記押出部材に設けられたV字状傾斜溝から構成され、前記V字状傾斜溝が前記前方に向けて斜め下方又は斜め上方に延び、前記V字状傾斜溝が前記加工物の前記円筒状部に作用することを特徴とする請求項4に記載の加工物のチャッキング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工物を加工装置の加工域に搬送するローダ装置及びこれを用いた加工物のチャッキング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加工物を加工装置(例えば、NC旋盤など)に搬送する装置として、ローダ装置が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。このローダ装置は、加工物を保持して搬送するローダ保持ユニットと、このローダ保持ユニットを所要の通りに移動させるためのローダ移動機構とを備え、ローダ保持ユニットには、加工物を着脱自在に保持する第1及び第2ローダチャック手段が設けられている。第1ローダチャック手段は、例えば加工すべき未加工の加工物(以下、「未加工物」とも称する。)を加工装置に搬送するのに用いられ、保持した未加工の加工物を加工装置の主軸チャック手段に受け渡し、第2ローダチャック手段は、例えば加工装置にて加工された加工済の加工物(以下、「済加工物」とも称する。)を取出すのに用いられ、加工装置の主軸チャック手段に保持された加工済加工物を受け取って搬送する。
【0003】
このローダ装置を用いた場合、上述したように、加工装置の主軸チャック手段に保持されて加工された加工物(加工済の加工物)を例えば第2ローダチャック手段との間で受け渡しをして取り出し、その後、例えば第1ローダチャック手段に保持された加工すべき加工物を加工装置の主軸チャック手段に受け渡して取り付けることができ、これにより、加工物を加工装置に自動的に取り付けて加工することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-178831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のローダ装置は、加工物の形状が一般的な形状のもの、例えば外形が円筒状の部材(即ち、断面形状が円形状の部材)、例えば円筒状部材、円筒状軸部材、円板状部材などを対象とし、特殊な形状の加工物については取扱いが難しいという問題がある。
【0006】
例えば、一端側に円筒状部を有し且つその他端側に矩形状部を有する加工物をローダ装置で搬送して自動加工する場合、加工装置の主軸チャック手段に加工物の矩形状部を保持した状態にてその円筒状部を加工するようになり、このような加工物の自動加工においては、この加工物の矩形状部を高精度に位置決めしてチャック保持することができず、このことに起因して、加工物の円筒状部を高精度に加工することが難しいという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、加工装置の主軸チャック手段に加工物を高精度に位置決めして取り付けることが可能となるローダ装置を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、加工装置の主軸チャック手段に加工物の矩形状部を高精度に位置決めしてチャック保持することができる加工物のチャッキング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のローダ装置は、ローダ移動機構によって移動されるローダ保持ユニットを具備し、前記ローダ保持ユニットは、加工物を保持するための第1及び第2ローダチャック手段を備えたローダ装置において、
前記第1ローダチャック手段は、開閉自在に装着された複数の第1ローダ保持部材を備え、前記ローダ保持ユニットの第1取付部に取り付けられており、また前記第2ローダチャック手段は、開閉自在に装着された複数の第2ローダ保持部材を備え、前記ローダ保持ユニットの第2取付部に取り付けられており、
更に、前記第1及び第2ローダチャック手段のいずれか一方又は双方には、前記加工物を前記第1及び第2ローダチャック手段のいずれか一方又は双方から前方側に押し出すための押出手段が設けられ、前記押出手段は、前記加工物を斜め上方又は斜め下方に向けて押し出す傾斜押出部を有していることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の加工物のチャッキング方法は、加工物を搬送するローダ装置から加工装置の主軸チャック手段に加工物を受け渡しする加工物のチャッキング方法において、
前記ローダ装置は、ローダ移動機構によって移動されるローダ保持ユニットを備え、前記ローダ保持ユニットは、前記加工物の一端側の円筒状部を保持するためのローダチャック手段と、前記加工物を前記ローダチャック手段から前方側に押し出すための押出手段とを備え、前記押出手段は、前記加工物を斜め上方又は斜め下方に向けて押し出す傾斜押出部を有しており、
前記加工装置の前記主軸チャック手段は、周方向に間隔をおいて配設された4つの主軸チャック保持部を有し、前記4つの主軸チャック保持部は、前記加工物の他端側の矩形状部の4角部を保持するように構成されており、
前記ローダ装置の前記ローダチャック手段から前記加工装置の前記主軸チャック手段に前記加工物を受け渡すときには、前記加工物を保持した前記ローダチャック手段が前記主軸チャック手段に対向する位置に位置付けられ、次いで、前記ローダチャック手段が開状態になるとともに、前記押出手段が前記前方側に移動され、これによって、前記ローダチャック手段保持された前記加工物は、前記前方側に向けて斜め上方又は斜め下方に押し出され、開状態の前記主軸チャック手段の上側の一対の主軸チャック保持部又は下側の一対の主軸チャック保持部に押し付けられ、次に前記主軸チャック手段が所定方向に幾分回動され、これによって、前記加工物は前記上側の一対の主軸チャック保持部又は前記下側の一対の主軸チャック保持部に位置決めされた状態で前記主軸チャック手段の横側の一対の主軸チャック保持部に押し付けられ、その後、前記主軸チャック手段が閉状態となって前記4つの主軸チャック保持部が前記加工物の前記矩形状部をチャッキングすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のローダ装置によれば、ローダ保持ユニットの第1及び第2ローダチャック手段のいずれか一方又は双方に押出手段が設けられ、この押出手段は、加工物を斜め上方(又は斜め下方)に向けて押し出す傾斜押出部を有しているので、押出手段が設けられたローダチャック手段から加工装置側の主軸チャック手段に加工物を受け渡すときには、押出手段が前方側に移動されて加工物が主軸チャック手段に向けて押し出される。このとき、押出手段の傾斜押出部が加工物に作用して斜め上方(又は斜め下方)に向けて押し出し、これによって、加工物は主軸チャック手段のチャック受部の上端部(又は下端部)に当接するように位置付けられる。従って、このようなローダ装置を用いることによって、加工物を主軸チャック手段のチャック受部に正確に位置付けることができ、その結果、加工装置にて加工すべき加工物を主軸チャック手段に高精度にチャッキング保持することが可能となる。
【0012】
また、本発明の加工物のチャッキング方法によれば、ローダ装置のローダ保持ユニットは、加工物の一端側の円筒状部を保持するためのローダチャック手段と、加工物を前方側に押し出すための押出手段とを備え、この押出手段は、加工物を斜め上方(又は斜め下方)に向けて押し出す傾斜押出部を有しており、また加工装置の主軸チャック手段は4つの主軸チャック保持部を有し、4つの主軸チャック保持部は、加工物の他端側の矩形状部の4角部を保持するように構成されている。
【0013】
この加工物をローダ装置から加工装置側に受け渡すときには、ローダチャック手段が開状態になるとともに、押出手段が前方側に移動され、これによって、加工物は前方側に向けて斜め上方(又は斜め下方)に押し出され、開状態の主軸チャック手段の上側の一対の主軸チャック保持部、即ち主軸チャック受部の上端部(又は下側の一対の主軸チャック部、即ち主軸チャック受部の下端部)に押し付けられる。その後、主軸チャック手段が所定方向に幾分回動され、これによって、加工物は上側の一対の主軸チャック保持部(又は下側の一対の主軸チャック保持部)に位置決めされた状態で主軸チャック手段の横側の対角に位置する一対の主軸チャック保持部に押し付けられ、このように位置決めされた後に主軸チャック手段が閉状態となるので、加工装置側の4つの主軸チャック保持部でもって、加工物の矩形状部を高精度でチャッキング保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のローダ装置の一部と加工装置側の主軸チャック手段を示す断面図。
図2図1の加工装置側の主軸チャック手段及びそれに関連する構成を簡略的に示す断面図。
図3図1のローダ装置のローダ保持ユニットを示す斜視図。
図4図3のローダ保持ユニットの第1ローダチャック手段及びそれに関連する構成を示す断面図。
図5図5(a)は、ローダ装置側の第1ローダチャック手段から加工装置側の主軸チャック手段に加工物を受け渡す前の状態を示す簡略説明図、図5(b)は、第1ローダチャック手段から主軸チャック手段側に加工物を押し出した状態を示す簡略説明図。
図6図6(a)は、第1ローダチャック手段から主軸チャック手段側に加工物を押し出したときの4つの主軸チャック保持部と加工物との位置関係を示す簡略説明図、図6(b)は、図6(a)に示す状態から更に主軸チャック手段を所定方向に幾分回動させた状態を示す簡略説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明に従うローダ装置(及び加工物のチャッキング方法)の一実施形態について説明する。
【0016】
図1図3において、図示のローダ装置2(図1及び図3参照)は、未加工の加工物P(未加工物)を加工物供給域(図示せず)から加工装置4(例えば、NC旋盤)(図1及び図2参照)の加工域に搬送するとともに、加工済の加工物P(済加工物)を加工装置4から取り出して加工物排出域(図示せず)に搬送するものである。この実施形態では、後の説明から理解される如く、ローダ装置2は第1及び第2ローダチャック手段6,8を備え、例えば第1ローダチャック手段6が未加工の加工物Pを加工装置2側の主軸チャック手段10に搬送するのに用いられ、例えば第2ローダチャック手段8が加工済の加工物Pを主軸チャック手段10から取り出して搬送するのに用いられている。
【0017】
図1及び図2を参照して、加工装置4(例えば、NC旋盤)側の主軸チャック手段10及びこれに関連する構成について説明する。加工装置4は主軸ハウジング部12を備え、この主軸ハウジング部12に主軸14が回転自在に支持され、主軸14は、例えば電動モータから構成される主軸用駆動源(図示せず)に駆動連結されている。この主軸14の一端部にはフランジ部材16が取り付けられ、このフランジ部材16の一端部に補助フランジ部材18が取り付けられており、フランジ部材16及び補助フランジ部材18はこの主軸14と一体的に回動する。
【0018】
主軸14,フランジ部材16及び補助フランジ部材18を貫通して収容空間20が規定され、この収容空間20内に主軸チャック手段10及びそれに関連する部材が収容されている。この実施形態では、主軸チャック手段10はコレットチャック22から構成され、このコレットチャック22がフランジ部材16及び補助フランジ部材18にわたって収容されている。コレットチャック22の一端側(先端側)には周方向に間隔をおいて4つのスリット24(図6参照)が形成され、これら4つのスリット24によって主軸チャック保持部26が設けられている。これら主軸チャック保持部26については後述する。
【0019】
コレットチャック22の一端部(先端部)の外周面には、一端(先端)(図1及び図2において右方)に向けて外径がテーパ状に拡がる外テーパ部28が設けられ、また補助フランジ部材18の内周面には、コレットチャック22の外テーパ部28に対応して、先端側に向けて内径がテーパ状に拡がる内テーパ部30が設けられている。このように構成されているので、コレットチャック22の外テーパ部28が補助フランジ部材18の内テーパ部30に圧接することによって、4つの主軸チャック保持部26は径方向内側に弾性変形して閉状態になり、またコレットチャック22の外テーパ部28が補助フランジ部材18の内テーパ部30から離れることによって、4つの主軸チャック保持部26は径方向外側に復帰して開状態になる。
【0020】
また、主軸14の収容空間20内にはスリーブ部材32が収容され、このスリーブ部材32の一端部とコレットチャック22の他端部(後端部)とが連結スリーブ34を介して連結されており、従って、スリーブ部材32、連結スリーブ34及びコレットチャック22は一体的に回動するとともに、主軸14の軸方向(図1及び図2において左右方向)に一体的に移動する。また、具体的に図示していないが、主軸14とスリーブ部材32とは一体的に回動するが、主軸14(及びフランジ部材16及び補助フランジ部材18)に対してスリーブ部材32,連結スリーブ34及びコレットチャック22が主軸14の軸方向(図1及び図2において左右方向)に相対的に移動するように構成されている。
【0021】
このコレットチャック22に関連して開閉駆動手段(図示せず)が設けられ、この開閉駆動手段によって、スリーブ部材32,連結スリーブ34及びコレットチャック22が矢印36で示す開方向及び矢印38で示す閉方向に移動される。
【0022】
次に、図1図3及び図4を参照して、ローダ装置2の構成について説明する。このローダ装置2は、ローダ移動機構(図示せず)により所要の通りに移動されるローダ保持ユニット42を備えている。ローダ移動機構は、ローダ保持ユニット42を加工装置4の主軸14の軸方向(図1において左右方向)に移動させるための横移動機構(図示せず)と、このローダ保持ユニット42を加工装置4の前後方向に移動させるための前後移動機構(図示せず)と、このローダ保持ユニット42を上下方向(図1において上下方向)に昇降動させるための昇降移動機構(図示せず)を含んでおり、横移動機構、前後移動機構及び昇降移動機構を含むローダ移動機構は、それ自体周知の構造のものでよい。
【0023】
図示のローダ保持ユニット42はユニット本体44を備え、このユニット本体44が取付本体46に取り付けられ、この取付本体46がローダ移動機構(図示せず)によって所要の通りに移動される。このユニット本体44の第1取付部48には第1ローダチャック手段6が取り付けられ、その第2取付部50には第2ローダチャック手段8が取り付けられている。第1ローダチャック手段6及び第2ローダチャック手段8は、実質上同一の構成であり、以下第1ローダチャック手段6(第2ローダチャック手段8)について説明する。
【0024】
第1ローダチャック手段6(第2ローダチャック手段8)は第1支持本体部52(第2支持本体部54)を備え、この第1支持本体部52(第2支持本体部54)が第1取付部48(第2取付部50)の第1取付面56(第2取付面58)に取り付けられている。第1支持本体部52(第2支持本体部54)には、周方向に間隔をおいて複数(具体例では、3つ)の第1ローダ保持部材60(第2ローダ保持部材62)が装着され、これら第1ローダ保持部材60(第2ローダ保持部材62)は、第1開閉駆動源(第2開閉駆動源)としての例えば第1開閉シリンダ機構(第2開閉シリンダ機構)(図示せず)により径方向に移動される。複数の第1ローダ保持部材60(第2ローダ保持部材62)の先端部には径方向内側に突出する第1保持爪64(第2保持爪66)が取り付けられ、これら第1保持爪64(第2保持爪66)は、後述する如くして加工物Pを挟持保持する。
【0025】
このように構成されているので、例えば、第1開閉シリンダ機構(第2開閉シリンダ機構)(図示せず)の開側ポートに圧力流体(例えば、圧縮空気)が送給されると、第1ローダチャック手段6(第2ローダチャック手段8)の第1ローダ保持部材60(第2ローダ保持部材62)は径方向外方に移動され、この第1ローダチャック手段6(第2ローダチャック手段8)は開状態となり、加工物Pの挟持保持を解除する。また、第1開閉シリンダ機構(第2開閉シリンダ機構)の閉側ポートに圧力流体が送給されると、第1ローダ保持部材60(第2ローダ保持部材62)は径方向内方に移動され、この第1ローダチャック手段6(第2ローダチャック手段8)は閉状態となり、加工物Pを挟持保持する。
【0026】
この実施形態では、ローダ保持ユニット42に関連して、更に、次のように構成されている。ユニット本体44の第1取付部48の第1取付面56と第2取付部50の第2取付面58とは直角となるように構成されている。また、取付本体46のベース取付面は、水平方向に対して45度傾斜して拡がっており、このベース取付面に対して垂直に延びる旋回軸線(即ち、水平方向に対して斜め下方45度に延びる軸線)を中心として旋回自在にユニット本体44が取付本体46に取り付けられている。更に、ユニット本体44に関連して、これを旋回させるためのユニット旋回駆動源としての旋回シリンダ機構(図示せず)が設けられている。
【0027】
この旋回シリンダ機構の片方のポートに圧力流体(例えば、圧縮空気)が供給されると、ユニット本体44が所定方向に180度旋回されて図1及び図3に示す第1旋回状態となり、第1ローダチャック手段6は加工装置4の主軸チャック手段10に対向し、第2ローダチャック手段8は下方に向くようになる(尚、図1においては、第2ローダチャック手段8を省略して示している)。また、この旋回シリンダ機構の他方のポートに圧力流体が供給されると、ユニット本体44が所定方向と反対方向に180度旋回されて第2旋回状態となり、図示していないが、第2ローダチャック手段8は加工装置4の主軸チャック手段10に対向し、第1ローダチャック手段6は下方に向くようになる。
【0028】
このローダ装置2では、更に、第1ローダチャック手段6に関連して、加工物Pを押し出すための押出手段67が設けられている。図示の押出手段67は、突出作用部69を有する押出部材70から構成され、この突出作用部69の上部にV字状傾斜溝71が設けられている。このV字状傾斜溝71は、前方側(即ち、主軸チャック手段10側)に向けて下方に直線状に傾斜して延び、V字状傾斜溝71の幅及び深さは、前方側ほど大きくなっている(図3図5参照)。このV字状傾斜溝71は、後述する記載から理解される如く、加工物Pを押し出す傾斜押出部として機能する。
【0029】
この押出手段67は、更に、押出部材70を移動させるための押出駆動源としての押出シリンダ機構72(例えば、空圧シリンダ機構)を備え、この押出シリンダ機構72の出力部74が連結取付部76を介して押出部材70に取り付けられている。押出シリンダ機構72の収縮側ポートに圧力流体(例えば、圧縮空気)が送給されると、その出力部74が収縮して押出部材70は矢印78(図5(a)参照)で示す方向に後退し、図3及び図4に示す後退位置に位置付けられる。この後退位置においては、図5(a)に示すように、押出部材70の突出作用部69は、第1ローダ保持部材60の第1保持爪64の後側に位置し、第1ローダチャック手段6の複数の第1保持爪64間に挟持された加工物Pに作用することはない。
【0030】
また、押出シリンダ機構72の伸張側ポートに圧力流体が送給されると、その出力部74が伸張して押出部材70は矢印80(図5(b)参照)で示す方向に前進し、図1に示す押出位置に位置付けられる。この押出位置においては、図5(b)に示すように、押出部材70の突出作用部69(V字状傾斜溝71)は、第1ローダ保持部材60の第1保持爪64に保持されていた加工物Pに作用し、この加工物Pを加工装置4側のコレットチャック22側に向けて押し出す。
【0031】
この実施形態に用いる加工物Pにおいては、図1及び図3図6に示すように、その一端側に円筒状部82が設けられ、その外形が円筒状に形成されており、第1ローダチャック手段6の複数の第1ローダ保持部材60(第1保持爪64)及び第2ローダチャック手段8の複数の第2ローダ保持部材62(第2保持爪66)は、加工物Pのこの円筒状部82を挟持保持するようになる。また、加工物Pの他端側に矩形状部84が設けられ、その外形が矩形状に形成されており、加工装置4側のコレットチャック22の複数の主軸チャック保持部26は、加工物Pのこの矩形状部84を挟持保持するようになる。
【0032】
加工物Pの矩形状部84に対応して、コレットチャック22の先端部は、次のように構成されている。この実施形態では、4つの主軸チャック保持部26(26a~26d)の径方向内側にチャック受部86が設けられ、このチャック受部86は、加工物Pの矩形状部84の外形形状に対応して、矩形状に構成されている。図6(a)及び(b)に示すように、各主軸チャック保持部26(26a~26d)の径方向内側部には、加工物Pの矩形状部84の角部を保持するための直角受部88(88a~88d)が設けられており、例えば上側の一対の主軸チャック保持部26a,26bの直角受部88a,88bによって、加工物Pの矩形状部84の上面側を挟持し、例えば下側の一対の主軸チャック保持部26c,26dの直角受部88c,88dによって、この矩形状部84の下面側を挟持し、例えば左側の一対の主軸チャック保持部26a,26dの直角受部88a,88dによって、この矩形状部84の左面側を挟持し、また例えば右側の一対の主軸チャック保持部26b,26cの直角受部88b,88cによって、この矩形状部84の右面側を挟持する。
【0033】
この実施形態では、加工物Pの矩形状部84がコレットチャック22のチャック受部86に過剰に入り込まないようにストッパ部材90が取り付けられている(図2及び図5参照)。この実施形態では、ストッパ部材90は、補助フランジ部材18の前面に取り付けられ、コレットチャック22のスリット24(一対の主軸チャック保持部26a,26b間のスリット24及び一対の主軸チャック保持部26c,26d間のスリット24)及びチャック受部86を通して上下方向に延びている。
【0034】
このストッパ部材90の長手方向の中間部92は略矩形凹状に形成され、この中間部92がコレットチャック22のチャック受部86内に位置し、この中間部92の前面がストッパ面として機能する。従って、加工物Pを後述する如くしてコレットチャック22に受け渡しするときには、加工物Pの他端面(矩形状部84の表面)は、このストッパ部材90のストッパ面に当接し、これによって、加工物Pが更にチャック受部86内に挿入されるのを阻止する。
【0035】
次に、主として図1図5及び図6を参照して、例えば、ローダ装置2側の第1ローダチャック手段6に保持された加工物Pの加工装置4側への受渡しについて説明する。ローダ保持ユニット42が加工装置4のコレットチャック22に向けて搬送されるときには、例えば、第1ローダチャック手段6に未加工の加工物Pが保持されているが、第2ローダチャック手段8は空の状態になっている。このローダ保持ユニット42が加工装置4の加工域まで移動されると、まず、加工装置4のコレットチャック22に保持された加工済の加工物Pの第2ローダチャック手段8への受渡しを行う。
【0036】
このときには、ローダ保持ユニット42が第2旋回状態に保持され、空の第2ローダチャック手段8が加工装置4側のコレットチャック22に対向する位置に位置付けられる。そして、かかる状態において、第2ローダチャック手段8の第2ローダ保持部材62が閉状態となって加工済の加工物Pを挟持し、その後、コレットチャック22の主軸チャック保持部26が開状態となって加工物Pの保持を解除し、このようにして加工済の加工物Pの加工装置4側のコレットチャック22からローダ装置2側の第2ローダチャック手段8への受渡しが行われる。
【0037】
尚、コレットチャック22による加工物Pの保持を解除するときには、スリーブ部材32が矢印36で示す方向に移動される。かく移動すると、連結スリーブ34を介してコレットチャック22が前側(図1及び図2において右側)に移動され、これによって、補助フランジ部材18の内テーパ部30とコレットチャック22の外テーパ部28との圧接状態が解除される。このように圧接状態が解除されると、コレットチャック22の複数の主軸チャック保持部26は径方向外方に幾分移動して元の状態に戻り、このようにしてコレットチャック22が開状態となり、複数の主軸チャック保持部26による加工物Pの挟持保持が解除される。
【0038】
加工物Pを取り外したコレットチャック22に未加工の加工物Pを取り付けるには、図1及び図3に示すように、ローダ保持ユニット42を第1旋回状態に保持し、未加工の加工物Pを保持する第1ローダチャック手段6を加工装置4側のコレットチャック22に対向する位置に位置付け、かかる状態において、加工物Pの第1ローダチャック手段6からコレットチャック22への受渡しを行う。
【0039】
加工物Pのこの受渡しは、まず、ローダ保持ユニット42を図5(a)に示す状態から前側(図1図3及び図5において左側)に移動させ、第1ローダチャック手段22を図5(b)に示すクランプ位置(受渡し位置)に位置付ける。そして、図5(b)に示すように、第1ローダチャック手段6を開状態にするとともに、押出手段67の押出部材70を矢印80で示す方向に前進させて加工物Pを加工装置4側のコレットチャック22に向けて押し出す。
【0040】
このとき、第1開閉シリンダ機構(図示せず)の開側ポートに圧力流体が送給され、この第1開閉シリンダ機構により第1ローダチャック手段6の第1ローダ保持部材60が径方向外方に移動され、これによって、第1ローダチャック手段6が開状態となって加工物Pの挟持保持が解除される。また、押出シリンダ機構72の伸張側ポートに圧力流体が送給され、この押出シリンダ機構72の出力部74が伸張し、これによって、押出部材70は矢印80で示す方向に前進される。
【0041】
このように押出部材70が前進されると、押出部材70の突出作用部69のV字状傾斜溝71が加工物Pの円筒状部82の下部に作用して前方側にコレットチャック22に向けて押し出し、押し出された加工物Pの矩形状部84はコレットチャック22のチャック受部86に挿入され、挿入された矩形状部84の表面(加工物Pの他端面)がストッパ部材90の中間部92のストッパ面に当接し、このように当接することによって、加工物Pのコレットチャック22のチャック受部86への更なる挿入が阻止される。
【0042】
このとき、図5(b)及び図6(a)から理解される如く、押出部材70のV字状傾斜溝71は、前方に向けて下方に傾斜して延びている(この実施形態では、図5(a)及び(b)で示すように、その溝深さが前方側ほど深くなるように構成されている)ので、押出部材70が前進するに従い、その突出作用部69のV字状傾斜溝71は、加工物Pの円筒状部82を斜め上方に押し上げるように作用する。従って、押出部材70を前進させて加工物Pをコレットチャック22のチャック受部86に所要の通りに挿入した状態では、図6(a)に示すように、その矩形状部84の上面がコレットチャック22の一対の上側の主軸チャック保持部26a,26bの直角受部88a,88bの内側上面に当接し、これによって、加工物Pの矩形状部84は、コレットチャック22に対する上下方向の位置決めがされ、この挿入位置に正確に位置付けられる。
【0043】
その後、押出部材70を前進させた状態にて、図6(b)に示すように、主軸チャック手段10(コレットチャック22)を矢印96で示す方向に幾分(例えば、15~30度程度)回動させる。このようにすると、押出部材70のV字状傾斜溝71が加工物Pの円筒状部82を斜め上方に押し上げている状態にて、コレットチャック22がこの加工物Pに対して相対的に矢印96で示す方向に回動されるようになる。かくすると、加工物Pの矩形状部84に、コレットチャック22のチャック受部86の横側の対角する部位、即ち対角に位置する一対の主軸チャック保持部26a,26c側に押し付ける力が作用し、この矩形状部84の左側面がコレットチャック22の左側の主軸チャック保持部26aの直角受部88aの内側左面に、またこの矩形状部84の右側面がその右側の主軸チャック保持部26cの直角受部88cの内側右面に当接するようになり、これによって、加工物Pの矩形状部84は、コレットチャック22に対する上下方向の位置決めに加えて、横方向の位置決めも行われ、この加工物Pは所定の挿入位置に正確に位置付けられる。
【0044】
しかる後、コレットチャック22を閉状態にしてその4つの主軸チャック保持部26でもって加工物Pの矩形状部84を挟持保持し、その後、押出し部材70を後退させ、このようにして加工物Pをローダ装置2側の第1ローダチャック手段6から加工装置4側の主軸チャック手段10(コレットチャック22)に受け渡しすることができる。
【0045】
スリーブ部材32が後側(図1において左側)に移動すると、連結スリーブ34を介してコレットチャック22が後側に移動され、コレットチャック22の外テーパ部28が補助フランジ部材18の内テーパ部30に圧接される。かくすると、コレットチャック22の主軸チャック保持部26が径方向内側に幾分弾性変形して加工物Pの矩形状部84を挟持保持する。また、押出シリンダ機構72の収縮側ポートに圧力流体が送給されると、この押出シリンダ機構72の出力部74が収縮し、これによって、押出部材70は矢印78で示す方向に後退する(図5(a)参照)。
【0046】
この実施形態では、加工物Pの矩形状部84の上面をコレットチャック22のチャック受部86の内側上面(一対の主軸チャック保持部26a,26bの直角受部88a,88bの内側上面)に当接させ、その後この矩形状部84の左上側面及び右下側面をチャック受部86の内側左上面及び内側右下面(一対の主軸チャック保持部26a,26cの直角受部88a,88cの内側左面及び内側右面)に当接するように位置付け、このような状態にて、コレットチャック22(主軸チャック手段10)を閉状態にしているので、この加工物Pの矩形状部84を高精度にチャック保持することができ、その結果、この加工装置4による加工物Pに対する加工を高精度に行うことが可能となる。
【0047】
以上、本発明に従うローダ装置(加工物のチャッキング方法)の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【0048】
例えば、上述した実施形態では、押出手段67の傾斜押出部をV字状傾斜溝71から構成しているが、このようなV字状傾斜溝71に限定されず、例えば加工物P(例えば、円筒状部82)に作用する傾斜面などから構成することもできる。
【0049】
また、例えば、上述した実施形態では、押出手段67の傾斜押出部(例えば、V字状傾斜部71)を前方に向けて斜め下方に傾斜させているが、これとは反対に、前方に向けて斜め上方に傾斜させるようにしてもよい。
【0050】
この場合、押出手段67の傾斜押圧部が前進して加工物Pの円筒状部82に作用すると、この傾斜押出部は、加工物Pの円筒状部82を斜め下方に押し下げるように作用し、従って、加工物Pをコレットチャック22のチャック受部86に所要の通りに挿入した状態では、その矩形状部84の下面がコレットチャック22の一対の下側の主軸チャック保持部26c,26dの直角受部88c,88dの内側下面に当接するようになる。また、この当接状態から主軸チャック手段10(コレットチャック22)を所定方向に幾分回動させると、押出部材70の傾斜押出部(V字状傾斜溝71)が加工物Pの円筒状部82を斜め下方に押し下げている状態で回動されるので、この場合においても、加工物Pの矩形状部84に、コレットチャック22のチャック受部86の横側の対角する部位、即ち対角に位置する一対の主軸チャック保持部26a,26c側に押し付ける力が作用し、この矩形状部84の左側面がコレットチャック22の左側の主軸チャック保持部26aの直角受部88aの内側左面に、またこの矩形状部84の右側面がその右側の主軸チャック保持部26cの直角受部88cの内側右面に当接するようになり、このようにしても、加工物Pの矩形状部84は、コレットチャック22に対する上下方向の位置決め及び横方向の位置決めが行われ、この加工物Pを所定の挿入位置に正確に位置付けることができ、その結果、コレットチャック22によって加工物Pを高精度にチャッキング保持することができる。
【0051】
また、例えば、上述した実施形態では、ローダ保持ユニット42の第1ローダチャック手段6に関連して押出手段67を設けているが、第1ローダチャック手段6に代えて、第2ローダチャック手段8に関連して押出手段67を設けるようにしてもよい。この場合、この第2ローダチャック手段8を用いて加工物Pを加工装置4側の主軸チャック手段10(例えば、コレットチャック22)に受け渡すようになる。また、これらに代えて、第1及び第2ローダチャック手段6,8の双方に関連して押出手段67を設けるようにしてもよく、この場合、加工物Pの受渡しは第1及び第2ローダチャック手段6,8のどちらでも行うことが可能となる。
【0052】
また、例えば、上述した実施形態では、ローダ保持ユニット42に2つのローダチャック手段(即ち、第1及び第2ローダチャック手段6,8)を設けているが、このような形態のものに限定されず、このローダ保持ユニット42に1つのローダチャック手段を設け、このローダチャック手段により加工物Pを加工装置の主軸チャック手段10に受け渡しするようにしてもよく、本発明の加工物のチャッキング方法は、このようなローダ装置にも同様に適用することができる。
【0053】
また、例えば、上述した実施形態では、図6(b)に示すように、主軸チャック手段10(コレットチャック22)を矢印96で示す方向(図6(b)において時計方向)に幾分回動させているが、この方向とは反対に図6(b)において反時計方向に回動させるようにしてもよい。この場合、押出部材70のV字状傾斜溝71が加工物Pの円筒状部82を斜め上方に押し上げている状態にて、コレットチャック22がこの加工物Pに対して相対的に図6(b)において反時計方向に回動され、加工物Pの矩形状部84に、コレットチャック22のチャック受部86の横側の対角する部位、即ち対角に位置する一対の主軸チャック保持部26b,26d側に押し付ける力が作用し、この矩形状部84の右側面がコレットチャック22の右側の主軸チャック保持部26bの直角受部88bの内側右面に、またこの矩形状部84の左側面がその左側の主軸チャック保持部26dの直角受部88dの内側左面に当接するようになる。
【符号の説明】
【0054】
2 ローダ装置
4 加工装置
6,8 ローダチャック手段
10 主軸チャック手段
14 主軸
22 コレットチャック
26,26a~26d 主軸チャック保持部材
42 ローダ保持ユニット
44 ユニット本体
60,62 ローダ保持部材
67 押出手段
68 プレート状本体部
69 突出作用部
70 押出部材
71 V字状傾斜溝
82 円筒状部
84 矩形状部
86 チャック受部
88,88a~88d 直角受部
90 ストッパ部材
P 加工物







図1
図2
図3
図4
図5
図6