(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】配管ユニット
(51)【国際特許分類】
A47K 17/00 20060101AFI20240508BHJP
E03D 11/00 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
A47K17/00
E03D11/00 Z
(21)【出願番号】P 2020149626
(22)【出願日】2020-09-07
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 守
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋介
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-155443(JP,A)
【文献】特開2011-208406(JP,A)
【文献】国際公開第2007/043872(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0085206(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 17/00
E03D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面の前側に配管空間を形成する配管ユニットであって、
横方向に延びる横フレーム部を上端に有するフレームと、
前記フレームの前側に配置される前板と、
前記前板に固定されるとともに、前記横フレーム部に取り付けられる固定部材と、
を備えて
おり、
前記固定部材は、前記前板を前記横フレーム部に対して位置調整可能に前記固定部材を固定する第1固定部を有している配管ユニット。
【請求項2】
前記第1固定部は、前記横フレーム部の後ろ側から前記横フレーム部に係止して前記固定部材を固定する
請求項1に記載の配管ユニット。
【請求項3】
前記固定部材は、前記前板との位置を調整する第2固定部を有している請求項1
及び請求項2のいずれか一項に記載の配管ユニット。
【請求項4】
前記固定部材は、前記前板の後面に接触して固定される前面部と、前記前面部の上端から後方に延びて前記横フレーム部の上面に載置される上面部と、前記上面部から下方に延びる後面部と、を有しており、
前記フレームの上側に配置される天板を更に備えており、
前記天板は、前記上面部の上側に載置される請求項1から
請求項3のいずれか一項に記載の配管ユニット。
【請求項5】
前記天板を前記横フレーム部の上面に取り付ける取付部材を更に備えており、
前記取付部材の上下方向の寸法は、前記上面部の上下方向の寸法よりも大きい
請求項4に記載の配管ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は配管ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の配管ユニットを開示している。この配管ユニットは、配管空間を形成するフレームと、このフレームの前側に配置される前パネルと、前パネルをフレームに固定するための固定金具とを備えている。固定金具は、前パネルに固定されるとともにフレームの横骨に引っ掛けられることによって、前パネルをフレームに固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、フレームは上下複数の横骨を備えている。これら複数の横骨のうち、固定金具が引っ掛けられる横骨は、フレームの上下方向の中間部に位置している。このため、例えば、配管ユニットの施工時やメンテナンス時等において、フレーム前側から配管空間内にアクセスする場合に横骨が邪魔になってしまい、作業の障害になっていた。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、作業性の向上を図ることができる配管ユニットを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の配管ユニットは、壁面の前側に配管空間を形成する配管ユニットであって、横方向に延びる横フレーム部を上端に有するフレームと、前記フレームの前側に配置される前板と、前記前板に固定されるとともに、前記横フレーム部に取り付けられる固定部材と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1に係る配管ユニットを示す正面図である。
【
図2】実施形態1に係る配管ユニットを示す側面図であって、側板を取り外した状態を示す。
【
図3】実施形態1に係る配管ユニットを示す平面図である。
【
図4】
図3のIV-IV線相当断面における要部拡大図である。
【
図5】実施形態1に係る固定部材が前板に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図6】実施形態1に係る上前板を示す斜視図である。
【
図7】実施形態1に係る配管ユニットの作用を説明するための図(その1)である。
【
図8】実施形態1に係る配管ユニットの作用を説明するための図(その2)である。
【
図9】実施形態1に係る配管ユニットの作用を説明するための図(その3)である。
【
図10】実施形態1に係る配管ユニットを示す部分拡大正面図であって、前板を取り外した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の配管ユニットを具体化した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、
図1から
図3に示すように、汚物排出装置1に備えられた配管ユニット10を例示する。以下の説明において、上下方向とは、汚物排出装置1を設置した状態における鉛直方向である。前後方向は、汚物排出装置1を使用する使用者と向かい合う側を前方、その反対側を後方とする。左右方向は、上下方向及び前後方向のそれぞれに直交する方向であり、汚物排出装置1を前側から見た場合の左手側が左方、右手側が右方である。
【0009】
<実施形態1>
実施形態1に係る配管ユニット10を備えた汚物排出装置1は、公共施設の多目的トイレや病院、介護施設等に設置される。汚物排出装置1は、オストメイトや医療、介護従事者等が排泄物を排出したり、排泄物を貯留する器具や容器等を洗浄したりする目的で使用される。
図1から
図3に示すように、汚物排出装置1は、配管ユニット10、流し部50、洗浄タンク60、水栓ユニット70、電気温水器80等を備えて構成されている。配管ユニット10は、設置空間における鉛直方向に立ち上がる壁面Wの前側に配管空間を形成する。配管ユニット10は、汚物排出装置1の給排水用の配管や設備等を収納する。配管ユニット10は略直方体形状をなしている。配管ユニット10は、設置空間の壁面W及び床面Fに後面及び下面を接触させて壁面Wの前側に配置されている。配管ユニット10内の空間には、第1給水配管P1、第2給水配管P2、及び排水配管P3の3系統の各種配管が床面Fから立ち上がっている。これらの配管P1、P2、P3は、配管ユニット10内の空間の左右方向の一方寄り(
図1では、左寄り)の位置に設けられている。
【0010】
本実施形態の場合、第1給水配管P1は電気温水器80を経由して水栓ユニット70に上水を供給する上水配管であり、第2給水配管P2は洗浄タンク60に中水を供給する中水配管である。本開示においては、洗浄タンクに供給する水は上水であってもよい。例えば、第2給水配管として上水配管を設けて洗浄タンクに上水を供給してもよいし、1つの上水配管から水栓ユニット及び洗浄タンクのそれぞれに分岐させて上水を供給してもよい。
【0011】
流し部50は陶器製である。
図1から
図3に示すように、流し部50は、配管ユニット10の前側に取り付けられている。流し部50は、汚物を投入するための開口50Aを上面に形成している。流し部50の下端は床面Fから浮いた状態とされている。流し部50の後面には、排水配管P3と、洗浄タンク60からの洗浄水を導入するための後述する洗浄管61とが接続されている。流し部50は洗い落とし式であり、洗浄タンク60からの洗浄水を上部後方の洗浄管61から導入し、下部の排水トラップ(図示せず)を経由して排水配管P3に排出する。
【0012】
洗浄タンク60は、流し部50を洗浄する洗浄水を貯留する。
図1から
図3に示すように、洗浄タンク60は、左右方向を長手方向とする立体物である。洗浄タンク60は、配管ユニット10の上部に収納されている。洗浄タンク60は流し部50よりも上方に配置されている。洗浄タンク60は後述するタンク固定部材25に固定されている。洗浄タンク60には第2給水配管P2及び洗浄管61が接続されている。第2給水配管P2は洗浄タンク60の左側面に接続されている。洗浄管61は洗浄タンク60の下面に接続されている。洗浄タンク60は、第2給水配管P2から洗浄水としての中水が供給され、洗浄管61を経由して流し部50に洗浄水を吐出する。
【0013】
図3に示すように、汚物排出装置1において、洗浄タンク60は、配管ユニット10の上部の空間における配管ユニット10の左右方向の中心から左側にずれた位置に配置されている。このように洗浄タンク60の左右方向の中心を配管ユニット10の左右方向の中心から左方にオフセットして配置したことによって、洗浄タンク60の右側に後述するバキュームブレーカ74を配置する空間を形成している。
【0014】
図3に示すように、汚物排出装置1において、洗浄タンク60は、配管ユニット10の上部の空間における配管ユニット10の後側に寄せた位置に配置するようにしている。このように洗浄タンク60を後方に寄せて配置したことによって、洗浄タンク60の前側に後述するホース71Aを配置する空間を形成している。ホース71Aはホースガイド76等によってガイドされつつ配置されている。
【0015】
洗浄管61は、洗浄タンク60の下面の左右方向中央部に接続されて下方に直線状に延びるとともに、3次元状に湾曲した湾曲部を経て前方に直線状に延びて形成されている。上流側の上下の直線状の部分と、下流側の前後の直線状の部分とは互いにねじれの位置にある。これによって、洗浄管61は、配管ユニット10の左右方向の中心に合わせて取り付けられる流し部50と、左右方向にオフセット配置された洗浄タンク60との位置ずれを吸収し、流し部50及び洗浄タンク60のそれぞれに好適に接続される。
【0016】
水栓ユニット70は、洗浄タンク60とは別の系統で流し部50に洗浄水を吐出するためのユニットである。
図3に示すように、水栓ユニット70は、吐水管71、吐水操作部72、水栓本体73、及びバキュームブレーカ74を有している。吐水管71及び吐水操作部72は、流し部50の開口50Aの上方において配管ユニット10の前側に突出して設けられる。吐水管71は、吐水操作部72の操作に応じて洗浄水を吐出する。吐水管71にはホース71Aが接続されている。ホース71Aはフレキシブル金属ホースである。吐水管71は、ホース71Aを伴って配管ユニット10から引き出し自在に設けられている。これによって、吐水管71は、所望の位置及び向きで、流し部50内に洗浄水を吐出できる。
【0017】
吐水操作部72は、水栓本体73を操作するための操作レバーである。水栓本体73は、吐水操作部72の操作に応じて、電気温水器80から供給される温水及び常温水を混合する。混合された水は、バキュームブレーカ74を経由して吐水管71に供給される。バキュームブレーカ74は、配管ユニット10内上部における洗浄タンク60の右側に配置されている。バキュームブレーカ74は後側(壁面W側)に寄せて配置されている。バキュームブレーカ74の前方には何も配置されておらず、施工時やメンテナンス時等において手を差し入れ可能な空間を確保している。バキュームブレーカ74にはホース71Aの上流端が接続されている。
【0018】
図1に示すように、電気温水器80は、配管ユニット10の下部の空間において、図示しないベースプレートを介して床面F上に載置される。本実施形態の場合、電気温水器80は、配管ユニット10の下部右寄りの空間に収納されている。電気温水器80は、上述の各配管P1,P2,P3の立ち上がり位置等の周辺状況に応じて、配管ユニット10の下部の空間における左右いずれの位置にも配置を変更可能とされている。電気温水器80には第1給水配管P1が接続されている。電気温水器80は、第1給水配管P1から供給される常温の上水と、上水を加温した温水と、の2系統の水を水栓本体73に供給する。
【0019】
配管ユニット10について詳細に説明する。
図1から
図3に示すように、配管ユニット10は、フレーム20、前板30、天板35、側板37等を有して構成されている。配管ユニット10は、フレーム20の前面、上面、及び側面のそれぞれに前板30、天板35、及び側板37が取り付けられて構成される。
【0020】
フレーム20は壁面Wの前側に配置される。フレーム20は構造材を組み合わせて形成されている。具体的には、フレーム20は、横フレーム部材21(横フレーム部として例示する)、縦フレーム部材22、アーム部材23等の部材を組み合わせて構成されている。横フレーム部材21、縦フレーム部材22、及びアーム部材23は、断面長方形状の角パイプを採用している。横フレーム部材21は、フレーム20の上端において横方向(左右方向)に略水平に延びて設けられている。横フレーム部材21は、後述する前板30の上前板31を着脱自在に取り付ける。縦フレーム部材22は、横フレーム部材21の左右両端から下方に延びて設けられている。左右の縦フレーム部材22の下端部は、それぞれ床面Fに固定されている。アーム部材23は、横フレーム部材21の左右両端から後方に伸びている。左右のアーム部材23の後端は、後述するタンク固定部材25に固定されている。
【0021】
図2に示すように、フレーム20は、床固定部材24、タンク固定部材25、及び壁固定部材26によって固定される。床固定部材24は、略L字状のブラケットである。床固定部材24は、左右の縦フレーム部材22の下端内側にそれぞれ配置されて床面F及び縦フレーム部材22のそれぞれにねじ止め固定される。
【0022】
図2に示すように、タンク固定部材25は側面視略J字状をなしている。タンク固定部材25は、金属の薄板を折り曲げて形成されている。タンク固定部材25は、壁面Wにねじ止め固定されるとともに、左右のアーム部材23の後端下面に溶接固定されている。タンク固定部材25は、前後方向中間部に洗浄タンク60を載置して固定する。タンク固定部材25には、洗浄タンク60以外に、後述するバキュームブレーカ74、ガイド部材75、ホースガイド76等の他の部材も固定されている。これらバキュームブレーカ74、ガイド部材75、及びホースガイド76は、水栓ユニット70に関連する部材である。これらの部材のうち、バキュームブレーカ74は洗浄タンク60の右方においてタンク固定部材25に取り付けられており、ガイド部材75及びホースガイド76は洗浄タンク60前方においてタンク固定部材25に取り付けられている。
【0023】
図2に示すように、壁固定部材26はフレーム20の上下方向中間部に設けられている。壁固定部材26は側面視略逆L字状をなしている。壁固定部材26は、逆L字状をなす後面において壁面Wに固定される。壁固定部材26は、左右両端の上面において、前後方向に延びる第2アーム部材23Aの後端に連結されている。左右の第2アーム部材23Aの前端は、それぞれ縦フレーム部材22の上下方向中間部に連結されている。
【0024】
図1及び
図2に示すように、フレーム20は、前面下端部材27及び側面下端部材28を有している。前面下端部材27及び側面下端部材28は、設置状態のフレーム20において、フレーム20の前面及び側面にそれぞれ固定される。前面下端部材27は、フレーム20の前面下端部に着脱自在に取り付けられている。前面下端部材27には、前板30の後述する下前板33が固定される。
【0025】
図1及び
図2に示すように、前板30は、フレーム20の前側に配置されている。前板30は、上下方向に3つの部材に分割されている。具体的には、前板30は、上から上前板31、中前板32、及び下前板33の順に上下に3分割されている。上前板31は最も上部に配置される部材である。上前板31は、フレーム20内に配置された洗浄タンク60の前方に位置する。上前板31は、後述する固定部材40によってフレーム20に着脱自在に取り付けられる。中前板32は、上前板31の下端に連続して上前板31の下方に配置される。中前板32の前面には、流し部50、吐水管71、吐水操作部72等が取り付けられる。下前板33は、中前板32の下端に連続して中前板32の下方に配置される。下前板33は、フレーム20内に配置された電気温水器80の前方に位置する。
【0026】
図4に示すように、固定部材40は、上前板31に固定されるとともに、フレーム20の横フレーム部材21に取り付けられる。固定部材40は金属の薄板を折り曲げて形成されている。
図4及び
図5に示すように、固定部材40は、前面部41、上面部42、及び後面部43を有した側面視逆J字状をなしている。前面部41、上面部42、及び後面部43は、横フレーム部材21に取り付けられた状態において、横フレーム部材21の前面、上面、及び後面のそれぞれに対向する。前面部41は上下方向に延びて形成されている。前面部41は、上前板31の後面上端部に取り付けられる。固定部材40は、この前面部41において上前板31に固定される。上面部42は前面部41の上端から後方に延びて形成されている。後面部43は、上面部42の後端から下方に延びて形成されている。後面部43の下端部は後方に斜めに延びている。本実施形態の場合、固定部材40は2つ設けられている。固定部材40は、上面部42を横フレーム部材21の上に載置し、前面部41及び後面部43を横フレーム部材21の前後に配置して、横フレーム部材21に取り付けられる。
【0027】
図4及び
図5に示すように、固定部材40は、第1固定部40A及び第2固定部40Bを有している。第1固定部40Aは、固定部材40を横フレーム部材21に固定するための固定部である。第1固定部40Aは、上前板31を横フレーム部材21に対して位置調整可能に固定部材40を固定する。本実施形態の場合、第1固定部40Aは後面部43に設けられている。具体的には、第1固定部40Aは、後面部43を前後方向に貫通するめねじ部43Aと、このめねじ部43Aに後方から螺合する止めねじ43Bとを有して構成されている。第1固定部40Aは、止めねじ43Bを締め込んで止めねじ43Bの先端を横フレーム部材21に圧接させることによって、横フレーム部材21に係止される。すなわち、第1固定部40Aは、横フレーム部材21の後ろ側から横フレーム部材21に係止して固定部材40を固定する。止めねじ43Bを緩めた状態では、固定部材40は横フレーム部材21の延伸方向にスライド自在である。したがって、第1固定部40Aは、上前板31を横フレーム部材21に対して左右方向に位置調整可能である。止めねじ43Bは手回し可能なつまみ付きねじを採用している。このため、第1固定部40Aを用いた上前板31の位置調整は極めて簡易に行うことができる。
【0028】
第2固定部40Bは固定部材40を上前板31に固定するための固定部である。第2固定部40Bは、固定部材40と上前板31との位置を調整可能に設けられている。本実施形態の場合、第2固定部40Bは前面部41に設けられている。具体的には、
図4及び
図5に示すように、第2固定部40Bは、前面部41を前後方向に貫通する長孔41Aと、この長孔41Aに挿通されて上前板31の後面に螺合するビス41Bとを有して構成されている。長孔41Aは、上下方向を長手方向として形成されている。長孔41Aは、左右に並んで2つ形成されている。固定部材40は、長孔41Aの上下方向の長さの範囲で、上前板31に対して位置を調整可能である。すなわち、第2固定部40Bは、上前板31を横フレーム部材21に対して上下方向に位置調整可能である。ビス41Bは、プラス溝が形成されたトラスねじを採用している。このように、第2固定部40Bは工具を用いて固定する方法を採用しているため、固定部材40を上前板31に強固に固定できる。
【0029】
図6に示すように、本実施形態の場合、上前板31は下側固定部31Aを有している。下側固定部31Aは、上前板31の下端部において下方に延びて形成されている。上前板31は、化粧板31B、プラスターボード31C、及び裏板31Dを前後に重ねた3層構造をなしている。具体的には、上前板31は、金属の薄板を板金加工して扁平な箱状に形成した化粧板31Bの後面にプラスターボード31Cを貼り付けるとともに、プラスターボード31Cの後面に金属薄板である裏板31Dを貼り付けて形成されている。下側固定部31Aは、裏板31Dの左右両端部を化粧板31B及びプラスターボード31Cの下端よりも下方に突出させた形態である。下側固定部31Aは、中前板32の上端部後方に差し込まれ、中前板32の後面に重ねられる。
【0030】
図6に示すように、上前板31の後面には第2ホースガイド76Aが取り付けられている。第2ホースガイド76Aは、ホース71Aにおけるホースガイド76によってガイドされる部分よりも上流側(バキュームブレーカ74側)の部分において、ホース71Aをガイドする。ホース71Aは、洗浄タンク60の前側及び前板30の後側の間の空間において、ガイド部材75、ホースガイド76、及び第2ホースガイド76Aによってガイドされつつ移動可能に配置されて吐水管71からバキュームブレーカ74まで延びている。
【0031】
図1及び
図2に示すように、中前板32は、上前板31の下端に連続して上前板31の下方に配置される。中前板32の前面には流し部50が取り付けられる。流し部50は、中前板32を挟み込む形態で、フレーム20側に直接的に固定される。
図1に示すように、流し部50は、中前板32の左右方向の中心に配置される。流し部50の下端は、中前板32の下端よりも下方に位置している。中前板32における流し部50の上方には、吐水管71及び吐水操作部72が取り付けられている。
図1及び
図3に示すように、吐水管71及び吐水操作部72は、流し部50の左右方向の両端の間に配置されている。吐水管71は、流し部50の左右中央における上方に配置されている。
【0032】
図1及び
図2に示すように、下前板33は、中前板32の下端に連続して中前板32の下方に配置される。下前板33は、上部において中前板32の後面に係止され、下部において前面下端部材27にねじ止め固定されている。フレーム20に取り付けられた状態において、下前板33の上端は流し部50の下端よりも上方に位置している。フレーム20に取り付けられた状態において、下前板33の下端は、床面Fから浮いた状態とされている。フレーム20に取り付けられた状態における下前板33の下端から床面Fまでの高さは、下前板33の上端から流し部50の下端までの高さよりも大きく設定されている。下前板33の厚さは中前板32の厚さよりも小さく設定されている。このため、下前板33を取り外す際、前面と流し部50の後面との干渉が回避される。
【0033】
前板30をフレーム20に取り付けるには、まず、下前板33、中前板32の順に下側から位置決めを行いつつ取り付ける。次に、
図7に示すように、上前板31に取り付けた固定部材40を横フレーム部材21の上に載置するとともに、下側固定部31Aを中前板32の後面側に差し込みつつ、上前板31を中前板32の上に載置する。このとき、中前板32との間に隙間がある場合には、第2固定部40Bにおいて調整を行う。具体的には、第2固定部40Bのビス41Bを緩め、長孔41Aの範囲で固定部材40の上下方向の位置を調整する。すなわち、上前板31の下端を中前板32の上端に接触させて隙間がない状態にするとともに、固定部材40の上面部42を横フレーム部材21の上面に接触させて隙間がない状態にする。これによって、上前板31の上下方向の位置が調整される。
【0034】
その後、上前板31の左右方向の位置を調整する。具体的には、固定部材40を横フレーム部材21に載置した状態で、横フレーム部材21に対して上前板31を左右方向にスライドさせて調整する。最後に、第1固定部40Aにおいて固定部材40を横フレーム部材21に固定する。具体的には、
図8に示すように、止めねじ43Bをめねじ部43Aに螺合して締め込み、横フレーム部材21の後ろ側から横フレーム部材21に係止させる。これによって上前板31が横フレーム部材21に対して固定される。このように、上前板31は、第1固定部40Aによって横フレーム部材21に対して位置調整可能に固定される。
【0035】
天板35はフレーム20の上側に配置される。
図3及び
図4に示すように、天板35は、後述する複数の取付部材36によってフレーム20の上面に取り付けられている。天板35の前後方向の大きさは、フレーム20の前後方向の大きさよりも大きい。具体的には、天板35の後端部35Aは、フレーム20に取り付けられた状態において壁面Wに接触している。天板35の前端部35Bは、フレーム20に取り付けられた状態において、前板30の前面よりも前方の位置で下方に垂下し、前板30の上部前面に重なっている。
【0036】
本実施形態の場合、複数の取付部材36は面ファスナーを採用している。天板35は、面ファスナーである取付部材36は、天板35をフレーム20の上面に着脱自在に取り付ける。
図9に示すように、面ファスナーである取付部材36は、一方の取付片36Aが天板35の下面に貼付され、もう一方の取付片36Bがフレーム20の上端面に貼付される。複数の取付部材36は、天板35がフレーム20に取り付けられた状態において各取付片36A,36Bがそれぞれ係合して一体化され、天板35が取り外された状態において各取付片36A,36Bが分離する。各取付片36A,36Bが係合した状態の取付部材36の上下方向(鉛直方向)の寸法は、上述した上前板31の固定部材40のうちの横フレーム部材21に載置される部分である上面部42の上下方向の寸法よりも大きい(
図4参照)。
【0037】
天板35は、取り外すことで配管ユニット10内の空間に上方からアクセスすることができるようにされている。天板35は、上前板31を取り外す際にも取り外される。具体的には、上前板31を取り外す際には、
図9に示すように、各取付部材36における取付片36A,36Bの係合を解除して天板35を取り外し、配管ユニット10内の空間に上方から手を差し入れて止めねじ43Bを緩めて第1固定部40Aの係止を解除する。この状態で上前板31を上方に引き抜く。これによって、中前板32を取り外すことなく上前板31を取り外すことができる。
【0038】
上記構成の配管ユニット10の作用及び効果について説明する。配管ユニット10は、壁面Wの前側に配管空間を形成するユニットである。配管ユニット10は、フレーム20、前板としての上前板31、及び固定部材40を備えている。フレーム20は、横方向に延びる横フレーム部材21を上端に有している。上前板31は、フレーム20の前側に配置される。固定部材40は、上前板31に固定されるとともに、横フレーム部材21の上に載置されて取り付けられる。このように、配管ユニット10は、前板としての上前板31がフレーム20の上端に設けられた横フレーム部材21に固定部材40を介して取り付けられる。このため、従来のような上下方向中間部の前板固定用のフレーム部材のない構成を採用できる。
【0039】
すなわち、
図10に示すように上前板31を取り外した状態において、配管ユニット10の前側には、上部の横フレーム部材21、左右側部の縦フレーム部材22、及び下部の中前板32をそれぞれ縁部とする開口Aが現れる。この開口Aにおいて、横フレーム部材21の下端から中前板32の上端までの間には他のフレーム部材が存在せず、その開口の大きさは、取り外した上前板31の大きさの大半を占める大きさである。このため、この開口Aから手を差し入れて作業を行うことで、洗浄タンク60やバキュームブレーカ74、ホース71A等の組み立てやメンテナンス等を容易に行うことができる。したがって、配管ユニット10は、作業性の向上を図ることができる
【0040】
配管ユニット10において、固定部材40は、上前板31を横フレーム部材21に対して位置調整可能に固定部材40を固定する第1固定部40Aを有している。このため、第1固定部40Aにて固定することで上前板31の横フレーム部材21に対するガタつきを防止できる。第1固定部40Aは手回し可能な止めねじ43Bを有して構成されている。このため、上前板31の位置決めを簡易に行うことができる。
【0041】
配管ユニット10において、第1固定部40Aは、横フレーム部材21の後ろ側から横フレーム部材21に係止して固定部材40を固定する。このため、従来のように固定部材を固定するための固定部材上方の空間が不要であるので、空間効率の向上を図ることができる。
【0042】
配管ユニット10において、固定部材40は、上前板31との位置を調整する第2固定部40Bを有している。このため、横フレーム部材21に対する上前板31の位置を、固定部材40を介して容易に行うことができる。
【0043】
配管ユニット10において、固定部材40は、前面部41、上面部42、及び後面部43を有している。前面部41は上前板31の後面に接触して固定される。上面部42は、前面部41の上端から後方に延びて横フレームの上面に載置される。後面部43は、上面部42から下方に延びている。配管ユニット10はフレーム20の上側に配置される天板35を備えており、この天板35は、固定部材40の上面部42の上側に載置される。このため、天板35と固定部材40との上下方向の間隔を最小限に抑えることができ、空間効率の向上を図ることができる。
【0044】
配管ユニット10は、天板35を横フレーム部材21の上面に着脱自在に取り付ける取付部材36を備えている。このため、天板35を取り外すことで、配管ユニット10内の配管空間に容易にアクセスすることができる。この取付部材36の上下方向の寸法は、上面部42の上下方向の寸法よりも大きい。このため、天板35の下面を上面部42の上面と干渉させることなく、天板35を安定して取り付けることができる。
【0045】
配管ユニット10において、天板35を取り付ける取付部材36は面ファスナーを採用している。このため、天板35の取り付け、取り外しを極めて容易に行うことができる。
【0046】
配管ユニット10は汚物排出装置1に備えられており、この汚物排出装置1は、配管ユニット10内の上部の空間であって上前板31の後方の空間に配置される洗浄タンク60、バキュームブレーカ74、ホース71A等の立体構造物を備えている。このため、これら構造物の取り付け、取り外しやメンテナンス等の作業を行う際には、上前板31を取り外すことでフレーム20の前方からフレーム20内の空間に手を差し入れて行う作業が容易にできる。
【0047】
配管ユニット10において、上前板31は、上前板31の下端部において下方に延びて形成されて中前板32の後方に差し込まれる下側固定部31Aを有している。このため、配管ユニット10は、下側固定部31Aと固定部材40とによる上前板31の確実な固定を実現できる。
【0048】
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態の開示に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も含まれる。
【0049】
(1)前板は、例えば、2つや4つ以上の複数に分割されていてもよいし、分割されていなくてもよい。前板が分割されている場合、固定部材は、最も上部に配置される前板に取り付けられる。
【0050】
(2)固定部材の構成は上記実施形態の構成に限定されない。固定部材は、1つのみ設けられていてもよいし、3つ以上設けられていてもよい。
【0051】
(3)洗浄タンクの左右方向の中心が流し部の中心からずれて配置される場合、その方向は右方であってもよい。
【0052】
(4)配管ユニットが流し部を備えた汚物排出装置に備えられている場合、流し部としては、オストメイト等に利用される汚物流し用の流し部に限らず、一般的な水洗式大便器、水洗式小便器等の他の目的の流し部であってもよい。
【0053】
(5)配管ユニットは、フレームの左右の側面の少なくとも一方に側板が取り付けられてもよいし、フレームの左右の側面の少なくとも一方が壁面に隣接していてもよい。
【0054】
(6)第1固定部及び第2固定部による位置調整の方向は、上記実施形態の方向に限定されない。例えば、第1固定部が上前板を横フレーム部材に対して上下方向に位置調整してもよいし、第2固定部が上前板を横フレーム部材に対して左右方向に位置調整してもよい。第1固定部及び第2固定部は、上前板を横フレーム部材に対して、上下方向、左右方向、及び前後方向の少なくとも1つの方向に位置調整するものであればよい。
【符号の説明】
【0055】
10…配管ユニット、20…フレーム、21…横フレーム部材(横フレーム部)、31…上前板(前板)、35…天板、36…取付部材、40…固定部材、40A…第1固定部、40B…第2固定部、41…前面部、42…上面部、43…後面部、W…壁面