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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】汚物排出装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 17/00 20060101AFI20240508BHJP
   E03D 11/00 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
A47K17/00
E03D11/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020149630
(22)【出願日】2020-09-07
(65)【公開番号】P2022044148
(43)【公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 守
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-190191(JP,A)
【文献】特開2020-128665(JP,A)
【文献】実開昭60-100481(JP,U)
【文献】特開2018-174971(JP,A)
【文献】特開2017-066673(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0144890(US,A1)
【文献】中国実用新案第207260266(CN,U)
【文献】特開2016-077594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 17/00
E03D 11/00
E03D 11/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚物を排出するための流し部と、
壁面の前側に配置されるフレームと、
前記フレーム内に配置され、前記流し部を洗浄する洗浄水を貯留する洗浄タンクと、
前記洗浄タンクを固定する第1固定部、及び前記フレーム内に配置される前記洗浄タンク以外の部材を固定する第2固定部を有する固定部材と、
を備えており、
前記固定部材は、前記フレームに連結される背面部と、前記背面部から前方に延びて形成されており、前記第1固定部が設けられた受け部と、を有している汚物排出装置。
【請求項2】
前記洗浄タンク以外の部材は、前記洗浄タンクからの給水系統とは異なる系統で前記流し部に吐水する水栓ユニットに関連する部材である請求項1に記載の汚物排出装置。
【請求項3】
前記第2固定部は、前記第1固定部に固定された状態の前記洗浄タンクよりも前側に設けられている請求項1及び請求項2のいずれか一項に記載の汚物排出装置。
【請求項4】
前記第2固定部は、前記背面部に設けられている請求項1に記載の汚物排出装置。
【請求項5】
前記フレームの前側に配置される前板を更に備えており、
前記前板は、上下方向に複数に分割されており、
前記前板の各部のうち前記洗浄タンクの前方に位置する部分は前記フレームに着脱自在に取り付けられている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の汚物排出装置。
【請求項6】
前記洗浄タンクの左右方向の中心は、前記流し部の左右方向の中心から左右方向にずれた位置に配置されている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の汚物排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は汚物排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の汚物排出装置を開示している。この汚物排出装置は、フレームと、ボウル部と、洗浄水タンクと、立体物支持部とを備えている。フレームは壁面の前側に配置される。ボウル部はフレームの前側に取り付けられている。洗浄水タンクは、フレーム内に配置され、ボウル部を洗浄する洗浄水を貯留する。立体物支持部は、上面に洗浄水タンクを載置して洗浄水タンクを固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-77594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、フレーム内には、ホースガイド等、洗浄水タンク以外の他の部材も配置されている。これら他の部材は、それぞれ個別の固定部材によって固定されている。この場合、フレーム内にそれぞれの固定部材を配置するための空間が必要となってしまう。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、空間効率を向上させることができる汚物排出装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の汚物排出装置は、汚物を排出するための流し部と、壁面の前側に配置されるフレームと、前記フレーム内に配置され、前記流し部を洗浄する洗浄水を貯留する洗浄タンクと、前記洗浄タンクを固定する第1固定部、及び前記フレーム内に配置される前記洗浄タンク以外の部材を固定する第2固定部を有する固定部材と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係る汚物排出装置を示す正面図である。
図2】実施形態1に係る汚物排出装置を示す側面図であって、側板を取り外した状態を示す。
図3】実施形態1に係る汚物排出装置を示す平面図である。
図4図3のIV-IV線相当断面における要部拡大図である。
図5】実施形態1に係る洗浄タンク及びタンク固定部材を示す斜視図である。
図6】実施形態1に係るタンク固定部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の汚物排出装置を具体化した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、上下方向とは、汚物排出装置1を設置した状態における鉛直方向である。前後方向は、汚物排出装置1を使用する使用者と向かい合う側を前方、その反対側を後方とする。左右方向は、上下方向及び前後方向のそれぞれに直交する方向であり、汚物排出装置1を前側から見た場合の左手側が左方、右手側が右方である。
【0009】
<実施形態1>
実施形態1に係る汚物排出装置1は、公共施設の多目的トイレや病院、介護施設等に設置される。汚物排出装置1は、オストメイトや医療、介護従事者等が排泄物を排出したり、排泄物を貯留する器具や容器等を洗浄したりする目的で使用される。図1から図3に示すように、汚物排出装置1は、配管ユニット10、流し部50、洗浄タンク60、水栓ユニット70、電気温水器80等を備えて構成されている。配管ユニット10は、設置空間における鉛直方向に立ち上がる壁面Wの前側に配管空間を形成する。配管ユニット10は、汚物排出装置1の給排水用の配管や設備等を収納する。配管ユニット10は略直方体形状をなしている。配管ユニット10は、設置空間の壁面W及び床面Fに後面及び下面を接触させて壁面Wの前側に配置されている。配管ユニット10内の空間には、第1給水配管P1、第2給水配管P2、及び排水配管P3の3系統の各種配管が床面Fから立ち上がっている。これらの配管P1、P2、P3は、配管ユニット10内の空間の左右方向の一方寄り(図1では、左寄り)の位置に設けられている。
【0010】
本実施形態の場合、第1給水配管P1は電気温水器80を経由して水栓ユニット70に上水を供給する上水配管であり、第2給水配管P2は洗浄タンク60に中水を供給する中水配管である。本開示においては、洗浄タンクに供給する水は上水であってもよい。例えば、第2給水配管として上水配管を設けて洗浄タンクに上水を供給してもよいし、1つの上水配管から水栓ユニット及び洗浄タンクのそれぞれに分岐させて上水を供給してもよい。
【0011】
流し部50は陶器製である。図1から図3に示すように、流し部50は、配管ユニット10の前側に取り付けられている。流し部50は、汚物を投入するための開口50Aを上面に形成している。流し部50の下端は床面Fから浮いた状態とされている。流し部50の後面には、排水配管P3と、洗浄タンク60からの洗浄水を導入するための後述する洗浄管61とが接続されている。流し部50は洗い落とし式であり、洗浄タンク60からの洗浄水を上部後方の洗浄管61から導入し、下部の排水トラップ(図示せず)を経由して排水配管P3に排出する。
【0012】
洗浄タンク60は、流し部50を洗浄する洗浄水を貯留する。図1から図3に示すように、洗浄タンク60は、左右方向を長手方向とする立体物である。洗浄タンク60は、配管ユニット10の上部の空間Sに収納されている。洗浄タンク60は流し部50よりも上方に配置されている。洗浄タンク60は後述するタンク固定部材25に固定されている。洗浄タンク60には第2給水配管P2及び洗浄管61が接続されている。第2給水配管P2は洗浄タンク60の左側面に接続されている。洗浄管61は洗浄タンク60の下面に接続されている。洗浄タンク60は、第2給水配管P2から洗浄水としての中水が供給され、洗浄管61を経由して流し部50に洗浄水を吐出する。
【0013】
図1に示すように、汚物排出装置1において、洗浄タンク60は、配管ユニット10の上部の空間Sにおける配管ユニット10の左右方向の中心から左側にずれた位置に配置されている。このように洗浄タンク60の左右方向の中心を配管ユニット10の左右方向の中心から左方にオフセットして配置したことによって、洗浄タンク60の右側には、他の部材を配置するための空間S1が形成されている。本実施形態の場合、他の部材とは、後述するバキュームブレーカ74である。
【0014】
図4に示すように、洗浄タンク60は、配管ユニット10の上部の空間Sにおいて、配管ユニット10の後側に寄せた位置に配置するようにしている。このように洗浄タンク60を後方に寄せて配置したことによって、洗浄タンク60の前側には、他の部材を配置するための空間S2が形成されている。本実施形態の場合、他の部材とは、後述するホース71Aである。
【0015】
図4に示すように、洗浄管61は、洗浄タンク60の下面の左右方向中央部に接続されて下方に直線状に延びる上流部61Aと、流し部50の後面の左右方向中央部に接続されて後方に直線状に延びる下流部61Bと、上流部61Aの下端及び下流部61Bの後端を接続する湾曲状の中間部61Cと、を有して構成されている。上流部61Aの中心軸と下流部61Bの中心軸は互いにねじれの位置にある。これら上流部61Aの下端及び下流部61Bの後端を接続する中間部61Cは、中心軸が3次元状に湾曲した形態である。
【0016】
水栓ユニット70は、洗浄タンク60とは別の系統で流し部50に吐水するためのユニットである。図1から図4に示すように、水栓ユニット70は、吐水管71、吐水操作部72、水栓本体73、及びバキュームブレーカ74を有している。吐水管71及び吐水操作部72は、流し部50の開口50Aの上方において配管ユニット10の前側に突出して設けられる。吐水管71は、吐水操作部72の操作に応じて洗浄水を吐出する。吐水管71にはホース71Aが接続されている。ホース71Aはフレキシブル金属ホースである。吐水管71は、ホース71Aを伴って配管ユニット10から引き出し自在に設けられている。これによって、吐水管71は、所望の位置及び向きで、流し部50内に洗浄水を吐出できる。
【0017】
吐水操作部72は、水栓ユニット70における水栓本体73を操作するための操作レバーである。図4に示すように、水栓本体73は吐水操作部72の後方に配置されている。水栓本体73は、吐水操作部72の操作に応じて、電気温水器80から供給される温水及び常温水を混合する。混合された水は、バキュームブレーカ74を経由して吐水管71に供給される。バキュームブレーカ74は、配管ユニット10上部の空間Sにおける洗浄タンク60の右側の空間S1に配置されている。バキュームブレーカ74は、空間S1における後寄り(壁面W寄り)の位置に配置されている。空間S1のうち、バキュームブレーカ74の前方の空間には何も配置されない空間が確保されており、施工時やメンテナンス時に手を差し入れるのに好適である。バキュームブレーカ74にはホース71Aの上流端が接続されている。
【0018】
図1に示すように、電気温水器80は、配管ユニット10の下部の空間において、図示しないベースプレートを介して床面F上に載置される。本実施形態の場合、電気温水器80は、配管ユニット10の下部右寄りの空間に収納されている。電気温水器80は、上述の各配管P1,P2,P3の立ち上がり位置等の周辺状況に応じて、配管ユニット10の下部の空間における左右いずれの位置にも配置を変更可能とされている。電気温水器80には第1給水配管P1が接続されている。電気温水器80は、第1給水配管P1から供給される常温の上水と、上水を加温した温水と、の2系統の水を水栓本体73に供給する。
【0019】
配管ユニット10について詳細に説明する。図1から図3に示すように、配管ユニット10は、フレーム20、前板30等を有して構成されている。フレーム20は壁面Wの前側に配置される。フレーム20は構造材を組み合わせて形成されている。具体的には、フレーム20は、横フレーム部材21、縦フレーム部材22、アーム部材23等の部材を組み合わせて構成されている。横フレーム部材21は、フレーム20の上端において横方向に延びて設けられている。横フレーム部材21は、後述する前板30の上前板31を着脱自在に取り付ける。縦フレーム部材22は、横フレーム部材21の左右両端から下方に延びて設けられている。左右の縦フレーム部材22の下端部は、それぞれ床面Fに固定されている。アーム部材23は、横フレーム部材21の左右両端から後方に伸びている。左右のアーム部材23の後端は、後述するタンク固定部材25に固定されている。
【0020】
図2に示すように、フレーム20は、床固定部材24、タンク固定部材25(固定部材として例示する)、及び壁固定部材26によって固定される。床固定部材24は、略L字状のブラケットである。床固定部材24は、左右の縦フレーム部材22の下端内側にそれぞれ配置されて床面F及び縦フレーム部材22のそれぞれにねじ止め固定される。
【0021】
図4から図6に示すように、タンク固定部材25は、背面部25A、受け部25B、及び前面部25Cを有する側面視略J字状をなしている。タンク固定部材25は、金属の薄板を折り曲げて形成されている。タンク固定部材25は、左右のアーム部材23の後端に溶接固定されている。背面部25Aは、上端において左右のアーム部材23の下面に連結されている。背面部25Aの下部は、上部よりも左右方向に幅狭に形成されている。具体的には、背面部25Aは、下部よりも上部が幅広な正面視略T字状をなしている。背面部25Aは、上部側において洗浄タンク60の左右幅よりも大きく、下部側において洗浄タンク60の左右幅よりも小さく形成されている。背面部25Aは、壁面Wに接触してねじ止め固定される。すなわち、タンク固定部材25は、フレーム20に対して洗浄タンク60を固定するのみならず、フレーム20を壁面Wに固定するための部材としても機能する。
【0022】
背面部25Aの上部右寄りの部分には、バキュームブレーカ74を固定するためのバキュームブレーカ固定部25D(第2固定部として例示する)が設けられている。図4から図6に示すように、バキュームブレーカ固定部25Dは、金属の薄板を側面視クランク状に折り曲げて形成されている。バキュームブレーカ固定部25Dは上部において背面部25Aに溶接固定され、下部において背面部25Aの前面から前方に離れた位置で下方に延びている。バキュームブレーカ固定部25Dは、下部においてバキュームブレーカ74のブラケット74Aがねじ止め固定される。
【0023】
図4から図6に示すように、受け部25Bは、背面部25Aの下端から前方に延びて形成されている。受け部25Bの後部側は、背面部25Aの下部の左右幅と同等の幅で形成されている。受け部25Bの前部は、後部よりも左右方向に幅広に形成されている。受け部25Bの前部の左右幅は、洗浄タンク60の左右幅よりも小さい。すなわち、受け部25Bは、全体として洗浄タンク60の左右幅よりも小さい左右幅で形成されている。受け部25Bの前端は、後方に凹状に切欠かれて形成されている。
【0024】
受け部25Bは、洗浄タンク60を固定する第1固定部として機能する。受け部25Bは、上面に洗浄タンク60を載置して固定する。具体的には、図6に示すように、受け部25Bは、上下方向に貫通する3つの貫通孔25E,25F,25Gを形成している。貫通孔25E,25F,25Gは、左右方向に並んで形成されている。中央の貫通孔25Eには洗浄タンク60から流し部50に洗浄水を供給する洗浄管61か挿通される。左右一対の貫通孔25F,25Gは、洗浄タンク60を固定するための固定ボルト62(図4参照)が挿通される。各貫通孔25E,25F,25Gは、左右方向を長手方向とする長孔状に形成されており、洗浄タンク60の左右方向の固定位置を調整可能である。
【0025】
図4から図6に示すように、前面部25Cは、受け部25Bの前部の左右方向の寸法と同等の寸法で、受け部25Bの前端から上方に立ち上がって形成されている。前面部25Cは、受け部25Bと同様、全体の左右幅が洗浄タンク60の左右幅よりも小さい。図4に示すように、前面部25Cは、受け部25Bに載置された状態の洗浄タンク60よりも前方に位置している。洗浄タンク60は、タンク固定部材25の受け部25Bに取り付けられた状態において、背面部25Aと前面部25Cとの間に配置される。図6に示すように、前面部25Cは、全体として上下方向に偏平な正面視門型形状をなしている。具体的には、前面部25Cは、下部において受け部25B前端の切欠き幅と同等の幅で切欠かれ、上部において左右方向全幅に渡って帯状に延びている。
【0026】
図4から図6に示すように、前面部25Cには、ガイド部材固定部25H、及びホースガイド固定部25J(それぞれ第2固定部として例示する)が設けられている。これらガイド部材固定部25H及びホースガイド固定部25Jは、前面部25Cに設けられていることから、正面視における洗浄タンク60の左右端部よりも内側に設けられていると言える。ガイド部材固定部25Hはガイド部材75を固定する。ホースガイド固定部25Jはホースガイド76を固定する。詳細には、ガイド部材固定部25Hは、吐水管71の後方においてガイド部材75を固定する。ガイド部材75は、吐水管71に伴って引き出されたホース71Aが押し戻される際に下方の水受けトレイ77(図4参照)に戻るようにガイドする部材である。ホースガイド固定部25Jは、ガイド部材75の左方においてホースガイド76を固定する。ホースガイド76は、ホース71Aのバキュームブレーカ74から吐水管71までの間における屈曲状態の変化を規制する部材である。これらガイド部材75及びホースガイド76は、それぞれ水栓ユニット70に関連する部材である。
【0027】
図2に示すように、壁固定部材26はフレーム20の上下方向中間部に設けられている。壁固定部材26は側面視略逆L字状をなしている。壁固定部材26は、逆L字状をなす後面において壁面Wに固定される。壁固定部材26は、左右両端の上面において、前後方向に延びる第2アーム部材23Aの後端に連結されている。左右の第2アーム部材23Aの前端は、それぞれ縦フレーム部材22の上下方向中間部に連結されている。
【0028】
図1及び図2に示すように、フレーム20は、前面下端部材27及び側面下端部材28を有している。前面下端部材27及び側面下端部材28は、設置状態のフレーム20において、フレーム20の前面及び側面にそれぞれ固定される。前面下端部材27は、フレーム20の前面下端部に着脱自在に取り付けられている。前面下端部材27には、前板30の後述する下前板33が固定される。
【0029】
図1及び図2に示すように、前板30は、フレーム20の前側に配置されている。前板30は、上下方向に3つの部材に分割されている。具体的には、前板30は、上前板31、中前板32、及び下前板33を有して構成されている。上前板31は最も上部に配置される部材である。上前板31は、フレーム20内に洗浄タンク60が配置された状態において、洗浄タンク60の前方に位置する。上前板31は、フック状の固定部材31Aを横フレーム部材21の上方から引っ掛けることによって、フレーム20に着脱自在に取り付けられている。汚物排出装置1は、上前板31を取り外すことによって、前方から配管ユニット10の上部の空間Sにアクセス可能にされている。前板30は、中前板32及び下前板33を取り外すことなく、上前板31のみを取り外すことができる。
【0030】
図4に示すように、上前板31の後面には第2ホースガイド76Aが取り付けられている。第2ホースガイド76Aは、ホース71Aにおけるホースガイド76によってガイドされる部分よりも上流側(バキュームブレーカ74側)の部分において、ホース71Aをガイドする(図1参照)。ホース71Aは、洗浄タンク60の前側の空間S2において、すなわち洗浄タンク60と前板30との間の空間において、ガイド部材75、ホースガイド76、及び第2ホースガイド76Aによってガイドされつつ移動可能に配置されて吐水管71からバキュームブレーカ74まで延びている。
【0031】
図1及び図2に示すように、中前板32は、上前板31の下端に連続して上前板31の下方に配置される。中前板32の前面には流し部50が取り付けられる。流し部50は、中前板32を挟み込む形態で、フレーム20側に直接的に固定される。図1に示すように、流し部50は、中前板32の左右方向の中心に配置される。流し部50の下端は、中前板32の下端よりも下方に位置している。中前板32の上端部前面には、吐水管71及び吐水操作部72が前方に突出して取り付けられている。図1及び図3に示すように、吐水管71及び吐水操作部72は、流し部50の左右方向の両端の間に配置されている。吐水管71は、流し部50の左右中央における上方に配置されている。
【0032】
図1及び図2に示すように、下前板33は、中前板32の下端に連続して中前板32の下方に配置される。下前板33は、上部において中前板32の後面に係止され、下部において前面下端部材27にねじ止め固定されている。フレーム20に取り付けられた状態において、下前板33の上端は流し部50の下端よりも上方に位置している。フレーム20に取り付けられた状態において、下前板33の下端は、床面Fから浮いた状態とされている。フレーム20に取り付けられた状態における下前板33の下端から床面Fまでの高さは、下前板33の上端から流し部50の下端までの高さよりも大きく設定されている。下前板33の厚さは中前板32の厚さよりも小さく設定されている。このため、下前板33を取り外す際、前面と流し部50の後面との干渉が回避される。
【0033】
下前板33は、上前板31及び中前板32を取り外すことなく単独で取り外すことができる。下前板33を取り外す際には、2つの止めねじ33Cを取り外し、下前板33の上端が流し部50の下端よりも下方に下がるまで下前板33を下方に移動させる。これによって、下前板33は、流し部50を取り外すことなく取り外すことができる。上述のように、下前板33の後方におけるフレーム20内の空間には、第1給水配管P1、第2給水配管P2、及び排水配管P3が床面Fから立ち上がっている。これら配管P1,P2,P3の右方の空間には、電気温水器80が設置されている。前板30は、上下方向に3つに分割されたうちの下前板33のみを取り外すことができるので、電気温水器80や配管P1,P2,P3のメンテナンス等を容易に行うことができる。
【0034】
配管ユニット10は天板35を有している。天板35は、複数の取付部材36によってフレーム20の上面に着脱自在に取り付けられている。本実施形態の場合、複数の取付部材36は面ファスナーを採用している。天板35は、取り外すことで配管ユニット10内の空間Sに上方からアクセスすることができるようにされている。天板35の前後方向の大きさは、フレーム20の前後方向の大きさよりも大きい。具体的には、天板35の後端部35Aは、フレーム20に取り付けられた状態において壁面Wに接触している。このフレーム20に取り付けられた状態において、天板35の前端部35Bは、前板30の前面よりも前方の位置で下方に垂下し、前板30の上部前面に重なっている。
【0035】
フレーム20の右側面には側板37が取り付けられている。フレーム20の左側面は、壁面Wに直交する他の壁面に隣接している。本開示に係る汚物排出装置における配管ユニットは、フレームの左右の側面の少なくとも一方に側板が取り付けられてもよいし、フレームの左右の側面の少なくとも一方が壁面に隣接していてもよい。
【0036】
上記構成の汚物排出装置1の作用及び効果について説明する。汚物排出装置1は、フレーム20と、流し部50と、洗浄タンク60と、固定部材としてのタンク固定部材25と、を備えている。洗浄タンク60は、フレーム20内に配置されて流し部50を洗浄する洗浄水を貯留する。タンク固定部材25は、洗浄タンク60を固定する第1固定部としての受け部25Bと、第2固定部としてのバキュームブレーカ固定部25D、ガイド部材固定部25H、及びホースガイド固定部25Jと、を有している。
【0037】
このように、汚物排出装置1は、洗浄タンク60を固定するためのタンク固定部材25に洗浄タンク60以外の部材を固定するようにしている。このため、汚物排出装置1は、洗浄タンク60以外の部材を固定するための固定部材を別途用意する必要がない。したがって、汚物排出装置1は、構造を簡素化できる。汚物排出装置1は、洗浄タンク60以外の部材を固定するための固定部材を別途用意する必要がないので、そのような固定部材の配置スペースや取り付け作業を行うためのスペースも不要である。このため、装置全体を小型化したり、空いたスペースに更なる他の部材を配置したり等、空間効率の向上を図ることができる。
【0038】
汚物排出装置1は、タンク固定部材25に、洗浄タンク60以外の部材を固定するための上記各固定部25D,25H,25Jを設けている。このため、汚物排出装置1は、洗浄タンク60周りに他の部材が集約して配置され、空間効率の更なる向上を図ることができる。
【0039】
汚物排出装置1において、タンク固定部材25に固定される洗浄タンク60以外の部材とは、水栓ユニット70に関連する部材である。具体的には、バキュームブレーカ固定部25D、ガイド部材固定部25H、及びホースガイド固定部25Jは、それぞれバキュームブレーカ74、ガイド部材75、及びホースガイド76を固定するための固定部である。このように、タンク固定部材25は、洗浄タンク60を固定するためのタンク固定部材25は、洗浄タンク60からの給水系統とは異なる系統で流し部50に洗浄水を吐出する水栓ユニット70に関連する部材を固定するので、空間効率の更なる向上を図ることができる。
【0040】
汚物排出装置1において、固定部材としてのタンク固定部材25は、フレーム20に連結される背面部25Aと、背面部25Aから前方に延びて形成されており、洗浄タンク60を上面に載置して固定する第1固定部としての受け部25Bと、を有している。このため、洗浄タンク60を確実且つ好適に固定することができる。
【0041】
汚物排出装置1において、第2固定部であるガイド部材固定部25H及びホースガイド固定部25Jは、受け部25Bに固定された状態の洗浄タンク60よりも前側に設けられている。このため、配管ユニット10の上部の空間Sのうち、洗浄タンク60の前側の空間S2を有効利用できる。具体的には、ガイド部材固定部25H及びホースガイド固定部25Jは、水栓ユニット70のホース71Aに関連する部材であるガイド部材75及びホースガイド76をそれぞれ固定する。このため洗浄タンク60の前側の空間S2においてホース71Aを好適に取り回すことができる。
【0042】
汚物排出装置1において、第2固定部であるバキュームブレーカ固定部25Dは、背面部25Aに設けられている。このため、バキュームブレーカ固定部25Dの前側においてバキュームブレーカ74を好適に配置することができる。
【0043】
汚物排出装置1は、フレーム20の前側に配置される前板30を備えている。前板30は上下方向に複数に分割されている。前板30の各部のうち洗浄タンク60の前方に位置する部分である上前板31は、フレーム20に着脱自在に取り付けられている。このため、上前板31を取り外すことで、流し部50や中前板32等を取り外すことなく、上前板31の後方における配管ユニット10の上部の空間Sに容易にアクセスすることができる。その結果、上前板31の後方における洗浄タンク60のメンテナンスや、バキュームブレーカ74、ホース71A等の水栓ユニット70のメンテナンス等の作業を容易に行うことができる。
【0044】
汚物排出装置1において、洗浄タンク60の左右方向の中心は、流し部50の左右方向の中心から左方にずれた位置に配置されている。このため、洗浄タンク60の右方にバキュームブレーカ74を配置するための空間である空間S1を好適に確保できる。
【0045】
汚物排出装置1において、上前板31は着脱自在に設けられており、バキュームブレーカ74の前側には何も配置されない空間が確保されている。このため、上前板31を取り外すことでバキュームブレーカ74の前側の空間から洗浄タンク60の左側や下側に手を差し入れることができる。その結果、洗浄タンク60の施工やメンテナンス等の作業を容易に行うことができる。
【0046】
汚物排出装置1において、洗浄タンク60は、後方の壁面W側に寄せて配置されている。このため、洗浄タンク60の前方にホース71Aの取り回しのための空間S2を好適に確保できる。
【0047】
汚物排出装置1において、タンク固定部材25は、第2固定部としてのバキュームブレーカ固定部25D、ガイド部材固定部25H、及びホースガイド固定部25J用の各固定部25D,25H,25Jと、第1固定部としての受け部25Bと、を一体に形成している。このため、洗浄タンク以外の部材用の各固定部が取り付け後に脱落したり、取り付けを忘れられてしまったりすることがない。その結果、従来のように固定部材を別々に設ける場合と比較して、取り付け作業を簡易且つ確実に行うことができる。
【0048】
汚物排出装置1において、天板35は着脱自在に設けられている。このため、
天板35を取り外すことで、洗浄タンク60やバキュームブレーカ74、ホース71A等のメンテナンス作業を配管ユニット10の上方から容易に行うことができる。
【0049】
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態の開示に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も含まれる。
【0050】
(1)洗浄タンクを固定する固定部材の構成、形状、形成方法、固定方法等は、上記実施形態に限定されない。固定部材は、金属製に限らず、例えば、樹脂成形等によって形成されたものであってもよい。固定部材は板状でなくてもよい。固定部材は、溶接等によってフレームに一体に設けられるものに限らず、フレームとは別体であってフレームに着脱自在に設けられていてもよい。固定部材のフレームへの固定方法は、溶接に限らず、ねじ止め等の他の方法であってもよい。
【0051】
(2)固定部材が洗浄タンク以外の部材を取り付ける第2固定部を有する場合、第2固定部に取り付けられる部材としては、バキュームブレーカ、ガイド部等の水栓ユニットに関連する部材に限定されない。固定部材が受け部を有して構成されている場合、第2固定部は、受け部に設けられていてもよい。
【0052】
(3)洗浄タンクの左右方向の中心が流し部の中心からずれて配置される場合、その方向は右方であってもよい。
【0053】
(4)前板は、例えば、2つや4つ以上の複数に分割されていてもよいし、分割されていなくてもよい。
【0054】
(5)流し部は、オストメイト等に利用される汚物流し用の流し部に限らず、一般的な水洗式大便器、水洗式小便器等の他の目的の流し部であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…汚物排出装置、20…フレーム、25…タンク固定部材(固定部材)、25A…背面部、25B…受け部(第1固定部)、25D…バキュームブレーカ固定部(第2固定部)、25H…ガイド部材固定部(第2固定部)、25J…ホースガイド固定部(第2固定部)、30…前板、50…流し部、60…洗浄タンク、70…水栓ユニット、74…バキュームブレーカ(洗浄タンク以外の部材)、75…ガイド部材(洗浄タンク以外の部材)、76…ホースガイド(洗浄タンク以外の部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6