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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】管接続具
(51)【国際特許分類】
   F16L 5/00 20060101AFI20240508BHJP
   F16L 5/02 20060101ALI20240508BHJP
   H02G 1/06 20060101ALI20240508BHJP
   H02G 3/06 20060101ALI20240508BHJP
   H02G 9/06 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
F16L5/00 A
F16L5/02 J
H02G1/06
H02G3/06
H02G9/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020179911
(22)【出願日】2020-10-27
(65)【公開番号】P2022070700
(43)【公開日】2022-05-13
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】北村 祐介
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-052022(JP,A)
【文献】特許第6144394(JP,B1)
【文献】特開2005-282310(JP,A)
【文献】実開平06-044334(JP,U)
【文献】特開2017-225298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 1/00 - 7/02
H02G 1/00 - 1/10
H02G 3/06
H02G 9/00 - 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋波付き管が接続される管接続具であって、
前記螺旋波付き管の端部を受け入れるように筒状に形成され、かつ、内面に前記螺旋波付き管の外面の螺旋状の凹部に入り込む突出部を有して、一端側から前記螺旋波付き管の端部に螺旋状に回動して取り付けられる、接続アダプターと、本体とを備え、
前記本体は、前記接続アダプターが取り付けられた前記螺旋波付き管の端部が、前記接続アダプターとともに挿入される、筒状の接続部を有し、
前記接続部には、その接続部からの前記螺旋波付き管および前記接続アダプターの抜け出しを防止する、抜け出し防止部が設けられ、
前記接続アダプターは、その軸心方向に延びる分断面を有する縦割り形状の複数の分割体と、それら分割体を相互に組み付ける組付け部とを有し、
前記組付け部は、前記一端側に片寄った位置にのみ設けられて、前記複数の分割体は、前記一端側とは反対の他端側が互いに離間可能となっている、管接続具。
【請求項2】
前記複数の分割体には、互いに係合して前記軸心方向への相対移動を規制する移動規制部が設けられる、請求項1に記載の管接続具。
【請求項3】
前記移動規制部は、前記分断面の、前記突出部の存する部分に設けられる、請求項2に記載の管接続具。
【請求項4】
前記接続アダプターと前記螺旋波付き管とに挟まれるように、前記接続アダプターの内面の前記他端側に片寄った位置に、内面側水膨潤性シートが設けられる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の管接続具。
【請求項5】
前記接続アダプターと前記接続部とに挟まれるように、前記接続アダプターの外面に、外面側水膨潤性シートが設けられ、
前記外面側水膨潤性シートは、前記接続アダプターの周方向に伸張可能であって、少なくとも隣接する前記分割体に跨って設けられる、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の管接続具。
【請求項6】
隣接する前記分割体に挟まれるように、互いに対向する前記分断面の少なくとも一方の面に、分断面間水膨潤性シートが設けられる、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の管接続具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、螺旋波付き管が接続される管接続具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ハンドホール等の地中箱の壁部に対し、螺旋波付き管を接続する管体接続部構造が知られていた(例えば、特許文献1参照)。図19に示すように、この管体接続部構造23は、壁部21の貫通孔21aに挿入される受け継手24と、受け継手24を壁部21に固定するための締め付け部材25およびベルマウス26と、螺旋波付き管22に螺合させたのち受け継手24に差し込まれる差込み継手27と、差込み継手27を抜け止めする抜け止め部材28とを備えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-014455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来の管体接続部構造23においては、差込み継手27(接続アダプター)を螺旋波付き管22に螺合させる際に、螺旋波付き管22に巻き癖が残っていると、差込み継手27の内部で巻き癖を矯正しつつ螺進させる必要があったり、巻き癖で螺旋波付き管22と差込み継手27との摩擦が大きかったりして、螺旋波付き管22への差込み継手27の取付作業がやっかいであった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、接続アダプターを螺旋波付き管の端部に容易に取り付けることができる、管接続具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る管接続具は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る管接続具は、螺旋波付き管が接続される管接続具であって、前記螺旋波付き管の端部を受け入れるように筒状に形成され、かつ、内面に前記螺旋波付き管の外面の螺旋状の凹部に入り込む突出部を有して、一端側から前記螺旋波付き管の端部に螺旋状に回動して取り付けられる、接続アダプターと、本体とを備える。前記本体は、前記接続アダプターが取り付けられた前記螺旋波付き管の端部が、前記接続アダプターとともに挿入される、筒状の接続部を有する。そして、前記接続部には、その接続部からの前記螺旋波付き管および前記接続アダプターの抜け出しを防止する、抜け出し防止部が設けられる。ここで、前記接続アダプターは、その軸心方向に延びる分断面を有する縦割り形状の複数の分割体と、それら分割体を相互に組み付ける組付け部とを有する。そして、前記組付け部は、前記一端側に片寄った位置にのみ設けられて、前記複数の分割体は、前記一端側とは反対の他端側が互いに離間可能となっている。
【0007】
この管接続具によると、管接続具は、接続アダプターと、接続部を有する本体とを備えている。そこで、接続アダプターを、その一端側から螺旋波付き管の外周に嵌めるように、接続アダプターの内面の突出部を螺旋波付き管の外面の螺旋状の凹部に入れつつ、その接続アダプターを回動することで、接続アダプターが螺旋波付き管の端部に取り付けられる。そして、本体の接続部に、螺旋波付き管の端部を、接続アダプターとともに挿入すると、接続部に設けられた抜け出し防止部により、その接続部からの螺旋波付き管および接続アダプターの抜け出しが防止されて、螺旋波付き管は、接続部、ひいては管接続具に接続される。ここにおいて、接続アダプターは、縦割り形状の複数の分割体が、前記一端側に片寄った位置にある組付け部により相互に組み付けられて、他端側が互いに離間可能となっている。このため、接続アダプターを螺旋波付き管の端部に取り付ける際、螺旋波付き管に巻き癖があったりして、螺旋波付き管と接続アダプターとの摩擦が大きくても、複数の分割体が互いに離間することで、その摩擦を低減して、取り付けの抵抗を小さくすることができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る管接続具は、請求項1に記載の管接続具において、前記複数の分割体には、互いに係合して前記軸心方向への相対移動を規制する移動規制部が設けられる。組付け部の他に移動規制部が設けられることで、組付け部の構造を簡単にすることができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る管接続具は、請求項2に記載の管接続具において、前記移動規制部は、前記分断面の、前記突出部の存する部分に設けられる。移動規制部が分断面に設けられることで、その移動規制部を互いの分割体で保護することができ、また、移動規制部が、分断面の、突出部の存する部分に設けられることで、その移動規制部を容易に形成することができる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る管接続具は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の管接続具において、前記接続アダプターと前記螺旋波付き管とに挟まれるように、前記接続アダプターの内面の前記他端側に片寄った位置に、内面側水膨潤性シートが設けられる。内面側水膨潤性シートが設けられることで、接続アダプター内面と螺旋波付き管外面との間の止水がなされる。そして、この内面側水膨潤性シートが、複数の分割体が互いに離間可能となる他端側に片寄った位置に設けられることで、接続アダプターを螺旋波付き管の端部に取り付ける際に、複数の分割体の他端側が互いに離間して、螺旋波付き管と内面側水膨潤性シートとの摩擦を低減し、取り付けの抵抗を小さくすることができる。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る管接続具は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の管接続具において、前記接続アダプターと前記接続部とに挟まれるように、前記接続アダプターの外面に、外面側水膨潤性シートが設けられる。そして、前記外面側水膨潤性シートは、前記接続アダプターの周方向に伸張可能であって、少なくとも隣接する前記分割体に跨って設けられる。外面側水膨潤性シートが設けられることで、接続アダプター外面と接続部内面との間の止水がなされる。そして、この外面側水膨潤性シートが、隣接する分割体に跨って設けられ、伸張可能であることから、分割体の他端側の開きを許容するとともに、開き過ぎによる組付け部の破損を防止することができる。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係る管接続具は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の管接続具において、隣接する前記分割体に挟まれるように、互いに対向する前記分断面の少なくとも一方の面に、分断面間水膨潤性シートが設けられる。分断面間水膨潤性シートが設けられることで、隣接する分割体における分断面間の止水がなされる。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る管接続具によれば、複数の分割体が互いに離間することで、取り付けの抵抗を小さくして、接続アダプターを、螺旋波付き管の端部に容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の一実施の形態の、縦断面図である。
図2】同じく、正面図である。
図3】同じく、管接続具の分解斜視図である。
図4】同じく、接続アダプターを取り付けた螺旋波付き管を、本体の接続部に挿入する直前の状態を示す、縦断面図である。
図5】同じく、接続アダプターの斜視図である。
図6】同じく、接続アダプターを逆向きにした斜視図である。
図7】同じく、接続アダプターの正面図である。
図8】同じく、接続アダプターの縦断面図である。
図9】同じく、図7におけるA-A線による断面図である。
図10】同じく、図7におけるB-B線による断面図である。
図11】同じく、接続アダプターの分解斜視図である。
図12】同じく、接続アダプターを逆向きにした分解斜視図である。
図13】同じく、接続アダプターを螺旋波付き管に取り付けて、分割体が互いに離間しなかったときの図であって、(a)は、縦断面図、(b)は、正面図である。
図14】同じく、接続アダプターを螺旋波付き管に取り付ける過程において、分割体が互いに離間したときの図であって、(a)は、縦断面図、(b)は、正面図である。
図15】この発明の他の実施の形態の、水膨潤性シート付の接続アダプターを示す、縦断面図である。
図16】同じく、正面図である。
図17】同じく、図16におけるC-C線による断面図である。
図18】同じく、水膨潤性シート付きの接続アダプターを取り付けた螺旋波付き管を、本体の接続部に挿入した状態を示す、要部縦断面図である。
図19】従来の管体接続部構造を示す、上半分を破断した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明に係る管接続具を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1図14は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、地中埋設箱等の壁を示す。2は、周壁が螺旋状に波打って形成された螺旋波付き管を示す。3は、前記螺旋波付き管2が接続される管接続具を示す。
【0017】
管接続具3は、接続アダプター4と本体5とを備える。接続アダプター4は、螺旋波付き管2の端部を受け入れるように筒状に形成され、かつ、内面に螺旋波付き管2の外面の螺旋状の凹部2aに入り込む突出部4aを有して、一端4b側から螺旋波付き管2の端部に螺旋状に回動して取り付けられる。この接続アダプター4は、接続アダプター4の軸心方向4cに延びる分断面4dを有する縦割り形状の複数(図示実施の形態においては、二つ)の分割体4e、4eと、それら分割体4e、4eを相互に組み付ける組付け部4fとを有する。この組付け部4fは、前記一端4b側に片寄った位置(すなわち、接続アダプター4の軸心方向4cにおける中心より一端4b側にずれた位置、好ましくは、図示実施の形態に示されるように、一端4bの傍らの位置)にのみ設けられて、複数の分割体4e、4eは、前記一端4b側とは反対の他端4g側が互いに離間可能となっている。そして、複数の分割体4e、4eには、互いに係合して前記軸心方向4cへの相対移動を規制する移動規制部4hが設けられている。
【0018】
本体5は、接続部5aを有し、その接続部5aには、接続アダプター4が取り付けられた螺旋波付き管2の端部が、接続アダプター4とともに挿入される。そして、接続部5aには、その接続部5aからの螺旋波付き管2および接続アダプター4の抜け出しを防止する、抜け出し防止部5bが設けられている。
【0019】
具体的には、螺旋波付き管2は、例えば保護管であって、その保護管内に、電気ケーブル等の線材とか、通水管等の管材とかが通される。
【0020】
本体5は、接続具本体6と、ナット部材7と、前記接続部5aを有する接続体8と、前記抜け出し防止部5bを有する抜け出し防止体9とを備える。さらに、本体5は、止水部材としての第1および第2パッキン10、11を備える。
【0021】
接続具本体6は、筒状に形成され、先端に、外方に突出する鍔部6aが設けられている。そして、接続具本体6の外面には、雄ねじ6bが形成されている。
【0022】
接続体8は、第1筒部8aと、その第1筒部8aの内側に間隔をあけて設けられた第2筒部8bと、それら第1筒部8aと第2筒部8bとを後端で繋ぐ繋ぎ部8cと、筒状の前記接続部5aとを備える。そこで、接続部5aは、前記第1筒部8aから後方に延びており、その接続部5aの底部分に、前記繋ぎ部8cが設けられる。また、第1筒部8aの内面には、雌ねじ8dが形成され、その雌ねじ8dが接続具本体6の雄ねじ6bと螺合することで、接続体8は、接続具本体6(詳しくは、接続具本体6の後端部分)に取り付けられる。また、接続部5aには、その内面に、抜け出し防止体9を収容する収容凹部8eが設けられている。
【0023】
抜け出し防止体9は、抜け出し防止部5bとしての係止部9aを有し、その係止部9aが接続アダプター4(詳しくは、後述する被係止部4i)を係止することで、係止部9a(抜け出し防止部5b)は、接続部5aからの螺旋波付き管2および接続アダプター4の抜け出しを防止することとなる。詳細には、抜け出し防止体9は、リング状に形成されて周方向の一カ所で分断されたリング部9bと、前記係止部9aとを有する。詳細には、係止部9aは、リング部9bの周方向に並ぶようにして複数設けられる。係止部9aは、リング部9bから延びて折り返されるように湾曲して形成され、その係止部9aの先端に、被係止部4iに掛かる爪9cが設けられる。
【0024】
第1パッキン10と第2パッキン11とは、リング状に形成され、接続具本体6の外周に嵌められる。そして、第1パッキン10は、接続具本体6の鍔部6aと壁1との間にあり、第2パッキン11は、ナット部材7と壁1との間にあって、それら第1および第2パッキン10、11を介して、鍔部6aとナット部材7とで壁1を挟み込むことで、接続具本体6、ひいては本体5は、壁1に取り付けられる。なお、図中符号1aは、壁1にあけられた貫通孔であって、接続具本体6は、その貫通孔1aに挿入される。
【0025】
接続アダプター4は、前述したように、筒状に形成されるが、その外面から突出するようにして、被係止部4iが設けられる。接続アダプター4の前記突出部4aは、螺旋状に形成され、螺旋波付き管2の外面の螺旋に螺合する雌ねじとなっている。また、接続アダプター4には、前記他端4g側の端部に、内側に突出(詳しくは、環状に突出)して螺旋波付き管2の先端に当接可能な内側リブ4jが設けられている。そこで、この内側リブ4jにより、接続アダプター4内への螺旋波付き管2の進入が制限されて。螺旋波付き管2の先端は、接続アダプター4内に留まることになる。そして、この内側リブ4jの先端は、フラットではなく、丸みを有している。
【0026】
この接続アダプター4は、筒を縦に半割にした(つまり、均等に分割した)二つの分割体4e、4eからなる(図11図12参照)。前記組付け部4fは、一方の分割体4eに設けられた被係合部4kと、もう一方の分割体4eに設けられた係合部4mとからなり、係合部4mが被係合部4kに係合することで、組付け部4f(つまり、被係合部4kと係合部4m)がある接続アダプター4の一端4b側において、二つの分割体4e、4eは、互いの離間が抑えられ、対する他端4g側が、互いに離間可能となる。詳細には、組付け部4fは、接続アダプター4の外側に設けられ、被係合部4kと係合部4mとは、分断面4d付近にあって、分割体4eの外面から突出して形成される。より詳細には、図6および図10図12に示すように、被係合部4kは、分断面4dを越えるように周方向に突出する凸部4nを有する。そして、係合部4mは、分断面4dから控えた位置から突出して分断面4dを越えるように周方向に延びており、分断面4dから控えた係合部4mの内側が、凹部4pとなっている。そして、係合部4mは、その延びた先端に内側を向く掛け部4qを有する。そこで、互いの分割体4e、4eの組み付けにあたっては、係合部4mで被係合部4kを覆うようにして、凹部4pと凸部4nとを嵌合し、掛け部4qを、被係合部4kの凸部4nとは反対側の端面に掛ける。
【0027】
また、接続アダプター4の前記移動規制部4hとして、一側の分割体4eに、第1移動規制部4rが設けられ、他側の分割体4eに、第2移動規制部4sが設けられる。そして、移動規制部4h、つまり第1移動規制部4rと第2移動規制部4sは、分断面4dの、前記突出部4aの存する部分に設けられる。詳細には、第1移動規制部4rは、穴からなり、第2移動規制部4sは、その穴に嵌まる突起からなる。
【0028】
次に、以上の構成からなる管接続具3の作用効果について説明する。この管接続具3によると、管接続具3は、接続アダプター4と、接続部5aを有する本体5とを備えている。そこで、接続アダプター4を、その一端4b側から螺旋波付き管2の外周に嵌めるように、接続アダプター4の内面の突出部4aを螺旋波付き管2の外面の螺旋状の凹部2aに入れつつ、その接続アダプター4を回動することで、接続アダプター4が螺旋波付き管2の端部に取り付けられる。そして、本体5の接続部5aに、螺旋波付き管2の端部を、接続アダプター4とともに挿入すると、接続部5aに設けられた抜け出し防止部5bにより、その接続部5aからの螺旋波付き管2および接続アダプター4の抜け出しが防止されて、螺旋波付き管2は、接続部5a、ひいては管接続具3に接続される。
【0029】
ここにおいて、接続アダプター4は、縦割り形状の複数の分割体4e、4eが、前記一端4b側に片寄った位置にある組付け部4fにより相互に組み付けられて、他端4g側が互いに離間可能となっている。このため、接続アダプター4を螺旋波付き管2の端部に取り付ける際、螺旋波付き管2に巻き癖があったりして、螺旋波付き管2と接続アダプター4との摩擦が大きくても、複数の分割体4e、4e(詳しくは、複数の分割体4e、4eの前記他端4g側)が互いに離間することで、その摩擦を低減して、取り付けの抵抗を小さくすることができる(図14参照)。すなわち、この管接続具3によれば、複数の分割体4e、4e(詳しくは、複数の分割体4e、4eの前記他端4g側)が互いに離間することで、取り付けの抵抗を小さくして、接続アダプター4を、螺旋波付き管2の端部に容易に取り付けることができる。
【0030】
また、図示実施の形態においては、本体5は、接続具本体6とナット部材7とを備えている。そこで、接続具本体6の鍔部6aとナット部材7とで壁1を挟み込むことで、本体5は、壁1に取り付けられる(図4参照)。すなわち、予め、本体5を壁1に取り付けておき、その後に、前述したように、本体5の接続部5aに対し、接続アダプター4が取り付けられた螺旋波付き管2を接続することで、その螺旋波付き管2を、接続対象となる壁1に接続することができる(図4図1参照)。
【0031】
また、接続アダプター4には、組付け部4fの他に、軸心方向4cへの分割体4e、4eの相対移動を規制する移動規制部4hが設けられている。このため、組付け部4fからこの移動規制部4hの機能を省略することができ、組付け部4fの構造を簡単にすることができる。さらに、移動規制部4hが分断面4dに設けられることで、その移動規制部4hを互いの分割体4eで保護することができ、また、移動規制部4hが、分断面4dの、突出部4aの存する部分に設けられることで、その移動規制部4hは、容易に形成される。
【0032】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、抜け出し防止部5bは、接続アダプター4を係止することで、接続部5aからの螺旋波付き管2および接続アダプター4の抜け出しを防止するが、その他に、抜け出し防止部5bが、螺旋波付き管2(詳しくは、螺旋波付き管2の外面の螺旋部)を係止することで、接続部5aからの螺旋波付き管2および接続アダプター4の抜け出しを防止するようにしてもよい。
【0033】
また、接続アダプター4は、三つ以上の分割体4e、4eから構成されてもよい。
【0034】
また、図15図18に示すように、接続アダプター4には、内面側水膨潤性シート12が設けられたり、外面側水膨潤性シート13が設けられたり、分断面間水膨潤性シート14が設けられてもよい。ここで、水膨潤性シート12、13、14とは、水を吸って膨張する性質を有するシートであって、例えば、不織布によって形成される。
【0035】
内面側水膨潤性シート12は、接続アダプター4と螺旋波付き管2とに挟まれるように、接続アダプター4の内面に設けられ、詳細には、接続アダプター4の内面の前記他端4g側に片寄った位置(すなわち、接続アダプター4の軸心方向4cにおける中心より他端4g側にずれた位置)に設けられる。外面側水膨潤性シート13は、接続アダプター4と接続部5aとに挟まれるように、接続アダプター4の外面に設けられる。この外面側水膨潤性シート13は、接続アダプター4の周方向に伸張可能であって、少なくとも隣接する分割体4e、4eに跨って設けられる。そして、分断面間水膨潤性シート14は、隣接する分割体4e、4eに挟まれるように、互いに対向する分断面4d、4dの少なくとも一方の面(図示実施の形態においては、両方の面)に設けられる。
【0036】
詳細には、内面側水膨潤性シート12は、各分割体4eに設けられる。より詳細には、内面側水膨潤性シート12は、内周全長に渡って分割体4eを覆い、加えて、分断面間水膨潤性シート14を兼ねるように、両端部分が折れ曲がって分断面4dを覆い、さらに、両端が分割体4eの外面側に折り返されている。外面側水膨潤性シート13は、接続アダプター4の外周全長に渡って設けられる。この外面側水膨潤性シート13は、接続アダプター4の外面の前記他端4g側に設けられる。そして、各水膨潤性シート12、13、14は、分割体4e(接続アダプター4)に、接着されたり熱溶着されたりして、貼り付けられる。
【0037】
もっとも、内面側水膨潤性シート12が、分断面間水膨潤性シート14を兼ねなくても、内面側水膨潤性シート12と分断面間水膨潤性シート14とが別個に設けられてもよい。また、外面側水膨潤性シート13は、必ずしも接続アダプター4の外周全長に渡って設けられる必要はない。また、分断面間水膨潤性シート14は、互いに対向する分断面4d、4dの両方の面に設けられなくても、片方の面にのみ設けられてもよい。
【0038】
内面側水膨潤性シート12が設けられることで、接続アダプター4内面と螺旋波付き管2外面との間の止水がなされる。そして、この内面側水膨潤性シート12が、複数の分割体4e、4eが互いに離間可能となる他端4g側に片寄った位置に設けられることで、接続アダプター4を螺旋波付き管2の端部に取り付ける際に、複数の分割体4e、4eの他端4g側が互いに離間して、螺旋波付き管2と内面側水膨潤性シート12との摩擦を低減し、取り付けの抵抗を小さくすることができる。すなわち、従来の管体接続部構造において、差込み継手の内面に止水のための不織布を設けると、その不織布をしっかりと螺旋波付き管の外面に密着するように、螺旋波付き管が不織布を圧縮するようにしながら、差込み継手を螺進させるため、摩擦が非常に大きく、取付作業が大変やっかいとなる虞があった。そこで、複数の分割体4e、4eの他端4g側が互いに離間することで、取り付けの抵抗を小さくすることができ、取付作業を容易に行うことができる。
【0039】
また、この内面側水膨潤性シート12は、接続アダプター4において組付け部4fが設けられた箇所よりも前記他端4g側の内面に設けられている。このため、接続アダプター4における内部空間の大きさの変動がほとんどない組付け部4fの箇所の内側に、内面側水膨潤性シート12が存在せず、これによっても、螺旋波付き管2への接続アダプター4の取り付けの抵抗を小さくすることができ、取付作業を容易に行うことができる。
【0040】
また、外面側水膨潤性シート13が設けられることで、接続アダプター4外面と接続部5a内面との間の止水がなされる。そして、この外面側水膨潤性シート13が、隣接する分割体4e、4eに跨って設けられ、伸張可能であることから、分割体4e、4eの他端4g側の開きを許容するとともに、開き過ぎによる組付け部4fの破損を防止することができる。
【0041】
また、分断面間水膨潤性シート14が設けられることで、隣接する分割体4e、4eにおける分断面4d、4d間の止水がなされる。
【符号の説明】
【0042】
2 螺旋波付き管
2a 凹部
3 管接続具
4 接続アダプター
4a 突出部
4b 一端
4c 軸心方向
4d 分断面
4e 分割体
4f 組付け部
4g 他端
4h 移動規制部
5 本体
5a 接続部
5b 抜け出し防止部
12 内面側水膨潤性シート
13 外面側水膨潤性シート
14 分断面間水膨潤性シート
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