(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】駆動機構シリーズ
(51)【国際特許分類】
F16H 57/033 20120101AFI20240508BHJP
F16H 1/06 20060101ALI20240508BHJP
F16H 1/12 20060101ALI20240508BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
F16H57/033
F16H1/06
F16H1/12
H02K7/116
(21)【出願番号】P 2020182570
(22)【出願日】2020-10-30
【審査請求日】2023-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000103792
【氏名又は名称】オリエンタルモーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】小野 圭太
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 洋史
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-200605(JP,A)
【文献】特開2005-348501(JP,A)
【文献】特開2013-160328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/033
F16H 1/06
F16H 1/12
H02K 7/116
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1穴部が形成されたモータハウジングと、前記第1穴部を通じて前記モータハウジングの内部から外部へと突出したモータ出力軸とを備えるモータと、
第2穴部と第3穴部とが形成された減速機ハウジングと減速機出力軸とを有し、前記第2穴部を通じて前記モータ出力軸が前記減速機ハウジングの内部に挿入され、前記第3穴部を通じて前記減速機ハウジングの内部から外部へと前記減速機出力軸が突出している、平行軸歯車減速機と、
第4穴部が形成された駆動機構ユニットハウジングと、前記駆動機構ユニットハウジングの内部に配置された中空状入力軸とを備え、前記第4穴部を通じて前記減速機出力軸が前記中空状入力軸に挿入され、前記減速機出力軸と前記中空状入力軸と
が連結される、駆動機構ユニットと
を備え、
前記平行軸歯車減速機と前記駆動機構ユニットとは、互いの取付面にインローが設けられておらず、前記減速機出力軸と前記中空状入力軸との連結により軸基準で組み合わせられ、
前記駆動機構ユニットにつき、前記モータが複数の種類のモータからなるグループから選択され、前記平行軸歯車減速機が、選択された前記モータのモータ出力軸に設けられたピニオンと噛み合う入力歯車を備え、かつ減速比の異なる複数の平行軸歯車減速機からなるグループから選択される、
駆動機構シリーズ。
【請求項2】
前記モータと前記平行軸歯車減速機とは、取付角寸法が互いに同程度であり、
前記モータと前記平行軸歯車減速機との動力接続は、前記モータ出力軸に設けられたピニオンと前記減速機ハウジングの内部に設けられた歯車との噛合いによるものであり、
前記モータ出力軸と前記減速機出力軸とがオフセットしている、
請求項1に記載の駆動機構シリーズ。
【請求項3】
前記駆動機構ユニットが直交軸駆動機構ユニットである、請求項1又は2に記載の駆動機構シリーズ。
【請求項4】
前記駆動機構ユニットが直動駆動機構ユニットである、請求項1又は2に記載の駆動機構シリーズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動機構シリーズに関する。
【背景技術】
【0002】
モータは一般的に、減速して使われる場合が多い。モータと組み合わせることが可能な減速機として、平行軸歯車減速機が挙げられる。特に、インダクションモータのような一定速回転のモータに対応して、低減速比から高減速比までの複数の平行軸歯車減速機が用意されている。モータと平行軸歯車減速機との組み合わせ、交換が容易に行えるように、モータの出力軸にピニオン歯切りを施し、このピニオン歯切り部分と平行軸歯車減速機の入力歯車とが噛み合うようになっている。
【0003】
平行軸歯車減速機以外の、モータと組み合わせられる機構として、ウォーム減速機、ねじ歯車減速機、ハイポイド歯車減速機などの直交軸歯車減速機や、ラックピニオンなどの直動機構が挙げられる。特許文献1~3のように、各機構の入力側に平行軸歯車減速機を組み合せることで、平行軸歯車減速機と組み合わせ可能な、出力軸にピニオン歯切りが施されたモータと平行軸歯車減速機以外の機構とを、平行軸歯車減速機を介して組み合わせることができる。また、直交軸歯車減速機や直動機構の部分は同じ設計にしておき、平行軸歯車減速機の減速比を変えることにより、低減速比から高減速比の機構を構成することができる。
【0004】
しかし、モータの出力軸のピニオン歯切りは、モータの種類などによって、ヘリカル歯切りや直歯歯切りなどの異なるピニオン歯切りとなっているものがある。また、低騒音化など、より性能を向上させるために、ピニオン歯切りの設計変更を行う場合がある。その際、それぞれのモータ出力軸のピニオン歯切りと組み合わせる平行軸歯車減速機の他に、直交軸歯車減速機や直動機構などについても、すべてのモータ出力軸のピニオン歯切りと組み合わせ可能なものを用意する必要がある。
また、減速比の種類を増やす場合、平行軸歯車減速機の部分の減速比を変えた、専用のウォーム減速機などの機構を減速比毎に準備しなくてはならない。
【0005】
特許文献4には、直交型モータ付きヘリカルウォーム減速機が記載されている。この直交型モータ付きヘリカルウォーム減速機は、ウォーム軸が突出したウォームギヤユニットと、出力軸が突出したモータ付き多段ヘリカルギヤユニットが、前記軸同士の一方を他方に挿入することにより連結されるとともに、互いのケースがインロー結合されることを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実用新案登録第2588381号公報
【文献】特開平10-299840号公報
【文献】特開2007-162799号公報
【文献】特開2006-200605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献4に記載の直交型モータ付きヘリカルウォーム減速機にあっては、ウォーム軸が突出したウォームギヤユニットと、出力軸が突出したモータ付き多段ヘリカルギヤユニットが、前記軸同士の一方を他方に挿入することにより連結されるとともに、互いのケースがインロー結合される。
【0008】
一般に、モータ付き平行軸歯車減速機においては、モータの出力軸(平行軸歯車減速機の入力部)と、平行軸歯車減速機の出力軸とが、オフセットした状態(同軸ではない状態)にある。モータと平行軸歯車減速機とで取付角寸法を同一とした場合、平行軸歯車減速機の出力軸は、取付角の中心とはならない。また、平行軸歯車減速機には、出力軸を支えるベアリングやオイルシールを固定するボス部が設けてある場合がある。このため、モータと組み合わせることのできる安価な平行軸歯車減速機は、インローを設けていないものが一般的である。
【0009】
したがって、従来のモータ付き多段ヘリカルギヤユニットとして、上述した一般的な平行軸歯車減速機とモータとの組み合わせをそのまま使用することは困難であり、モータの取付角寸法よりも大きな取付部を備えた専用の設計のものが必要となる。
【0010】
本発明は、このような従来技術に鑑み、直交軸駆動機構ユニット、直動駆動機構ユニットなどの駆動機構ユニットに対して、モータと平行軸歯車減速機とを組み合わせる際の自由度の高い駆動機構シリーズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一形態に係る駆動機構シリーズは、第1穴部が形成されたモータハウジングと、前記第1穴部を通じて前記モータハウジングの内部から外部へと突出したモータ出力軸とを備えるモータと、第2穴部と第3穴部とが形成された減速機ハウジングと減速機出力軸とを有し、前記第2穴部を通じて前記モータ出力軸が前記減速機ハウジングの内部に挿入され、前記第3穴部を通じて前記減速機ハウジングの内部から外部へと前記減速機出力軸が突出している、平行軸歯車減速機と、第4穴部が形成された駆動機構ユニットハウジングと、前記駆動機構ユニットハウジングの内部に配置された中空状入力軸とを備え、前記第4穴部を通じて前記減速機出力軸が前記中空状入力軸に挿入され、前記減速機出力軸と前記中空状入力軸とが連結される、駆動機構ユニットとを備え、前記平行軸歯車減速機と前記駆動機構ユニットとは、互いの取付面にインローが設けられておらず、前記減速機出力軸と前記中空状入力軸との連結により軸基準で組み合わせられ、前記駆動機構ユニットにつき、前記モータが複数の種類のモータからなるグループから選択され、前記平行軸歯車減速機が、選択された前記モータのモータ出力軸に設けられたピニオンと噛み合う入力歯車を備え、かつ減速比の異なる複数の平行軸歯車減速機からなるグループから選択される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、直交軸駆動機構ユニット、直動駆動機構ユニットなどの駆動機構ユニットに対して、モータと平行軸歯車減速機とを組み合わせる際の自由度の高い駆動機構シリーズが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】モータ付き平行軸歯車減速機及び直交軸駆動機構の一例を示す斜視図である。
【
図2】モータ付き平行軸歯車減速機の断面図である。
【
図3】モータ付き平行軸歯車減速機及び直動駆動機構の一例を示す斜視図である。
【
図4】モータと平行軸歯車減速機と駆動機構ユニットとの組み合わせに関する体系図である。
【
図5】モータ付き平行軸歯車減速機及び直交軸駆動機構の別の例を示す斜視図である。
【
図6】モータ付き平行軸歯車減速機及び直動駆動機構の別の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施の形態によって限定されるものではない。
【0015】
[直交軸駆動機構]
図1に示すように、直交軸駆動機構1は、直交軸駆動機構ユニット10とモータ付き平行軸歯車減速機20とが組み合わされたものである。
【0016】
図2に示すように、モータ付き平行軸歯車減速機20は、モータ21と平行軸歯車減速機22とが組み合わされたものである。モータ21は、穴部21dが形成されたモータハウジング21cと、穴部21dを通じてモータハウジング21cの内部から外部へと突出したモータ出力軸21aとを備えている。モータ出力軸21aの先端部には、ピニオン歯切り部21bが形成されている。
【0017】
平行軸歯車減速機22は、減速機ハウジング22cを備えている。減速機ハウジング22cには穴部22dが形成されており、この穴部22dを通じてモータ出力軸21aが減速機ハウジング22cの内部に挿入されている。平行軸歯車減速機22はさらに、減速機ハウジング22cの内部に挿入されているモータ出力軸21aのピニオン歯切り部21bと噛み合う入力歯車25と、丸シャフトの減速機出力軸23と、入力歯車25と出力軸23とを接続する数段の歯車(不図示)とを備えている。さらに、減速機ハウジング22cの、直交軸駆動機構ユニット10への取付面22c1には、減速機出力軸23を支えるベアリングやオイルシールを固定するボス部24が設けられている。ボス部24には穴部22eが形成され、この穴部22eを通じて減速機ハウジング22cの内部から外部へと減速機出力軸23が突出している。
【0018】
図1に戻ると、平行軸歯車減速機22の減速機出力軸23にはキー溝が形成されており、キー23aが挿入されている。直交軸駆動機構ユニット10は、穴部11bが形成されたハウジング11を備えている。キー23a付きの減速機出力軸23は、穴部11bを通じてハウジング11の内部に挿入され、直交軸駆動機構ユニット10の中空状入力軸12の、キー溝13aが設けられた中空部13と嵌合する。これにより、直交軸駆動機構ユニット10とモータ付き平行軸歯車減速機20とが、軸基準で組み合わせられる。直交軸駆動機構ユニット10のハウジング11に設けられたフランジ11aと、平行軸歯車減速機22とは、ボルト及びナットにより締結される。直交軸駆動機構ユニット10の入力軸12には、ウォームギヤのようなピニオン(あるいは歯切り加工部)14が設けられている。
【0019】
上述したように、直交軸駆動機構ユニット10とモータ付き平行軸歯車減速機20とは、キー23a及びキー溝13aにより、軸基準で組み合わせられる。直交軸駆動機構ユニット10及びモータ付き平行軸歯車減速機20の互いの取付面にインローは設けられていない。
【0020】
直交軸駆動機構ユニット10はさらに、ウォームホイールのような、ピニオン14と噛み合うギヤ16が設けられ、中空部を有する出力軸15を備えている。平行軸歯車減速機22の出力軸23と、直交軸駆動機構ユニット10の入力軸12とは同軸であり、斯かる出力軸23及び入力軸12に直交する軸と平行になるように、直交軸駆動機構ユニット10の出力軸15が配置されている。
【0021】
モータ21に対し、図示しない駆動装置等から電力が供給されることで、モータ21の出力軸21aが回転する。これに応じて、モータ21と組み合されている平行軸歯車減速機22の入力歯車25が回転し、さらに上記数段の歯車により減速された回転速度で出力軸23が回転する。
【0022】
平行軸歯車減速機22の出力軸23が回転すると、出力軸23に嵌合している直交軸駆動機構ユニット10の入力軸12が回転する。入力軸12と一体にピニオン14が回転し、ピニオン14と噛み合っているギヤ16も回転する。ギヤ16と一体に出力軸15も回転する。
【0023】
なお、
図1において、直交軸駆動機構ユニット10の出力軸15は中空部を有しているが、中実軸であっても良い。また、ギヤ16としては、ウォームホイールの他、ねじギヤ、ハイポイドギヤ、ベベルギヤ、フェースギヤなどであっても良い。
【0024】
続いて
図4を参照しながら説明する。直交軸駆動機構ユニット10と、後述する直動駆動機構ユニット30とを含む駆動機構ユニットのグループを、符号G2として示す。グループG2内の直交軸駆動機構ユニット10に対して、モータ付き平行軸歯車減速機20、20-1及び20-2のいずれかが組み付けられる。この組付けは、上述したように、インローによらず、平行軸歯車減速機のキーが挿入された減速機出力軸と、直交軸駆動機構ユニット10のキー溝13aが設けられた中空部13との嵌合によりなされる。モータ付き平行軸歯車減速機20、20-1、及び20-2を含むモータ付き平行軸歯車減速機のグループを、符号G1として示す。
【0025】
モータ付き平行軸歯車減速機20は、AC電源で駆動されるインダクションモータであるモータ21と、インダクションモータ用の平行軸歯車減速機22とを組み合わせたものである。インダクションモータ用の平行軸歯車減速機22は、比較的安価である。
モータ付き平行軸歯車減速機20-1は、ブラシレスモータ21-1と、ブラシレスモータ用の平行軸歯車減速機22-1とを組み合わせたものである。ブラシレスモータ用の平行軸歯車減速機22-1は、低速から高速までスムーズに回転可能である。
モータ付き平行軸歯車減速機20-2は、ステッピングモータ21-2と、ステッピングモータ用の平行軸歯車減速機22-2とを組み合わせたものである。ステッピングモータ用の平行軸歯車減速機22-2は、バックラッシが少なく、正確な位置決めが可能である。
【0026】
インダクションモータ21、ブラシレスモータ21-1及びステッピングモータ21-2のそれぞれの特性を生かすために、モータ出力軸に設けられるピニオンの歯切りは、これらの3つのモータによって異なる。インダクションモータ21の出力軸のピニオンと噛み合うように、インダクションモータ用平行軸歯車減速機22の入力歯車が形成されている。同様に、ブラシレスモータ21-1の出力軸のピニオンと噛み合うように、ブラシレスモータ用平行軸歯車減速機22-1の入力歯車が形成され、ステッピングモータ21-2の出力軸のピニオンと噛み合うように、ステッピングモータ用平行軸歯車減速機22-2の入力歯車が形成されている。
【0027】
インダクションモータ付き平行軸歯車減速機20において、インダクションモータ用平行軸歯車減速機22を、入力歯車の形状及び出力軸の形状が共通であって減速比の異なる別のインダクションモータ用平行軸歯車減速機(不図示)に置き換えることが可能である。
また、ブラシレスモータ付き平行軸歯車減速機20-1において、ブラシレスモータ用平行軸歯車減速機22-1を、入力歯車の形状及び出力軸の形状が共通であって減速比の異なる別のブラシレスモータ用平行軸歯車減速機(不図示)に置き換えることが可能である。
さらに、ステッピングモータ付き平行軸歯車減速機20-2において、ステッピングモータ用平行軸歯車減速機22-2を、入力歯車の形状及び出力軸の形状が共通であって減速比の異なる別のステッピングモータ用平行軸歯車減速機(不図示)に置き換えることが可能である。
【0028】
このように、用途に応じ、直交軸駆動機構ユニット10に対して組み合わせられるモータ付き平行軸歯車減速機を、モータ付き平行軸歯車減速機20、20-1及び20-2から選択することができる。さらに、選択されたモータ付き平行軸歯車減速機においては、所望の減速比を有する平行軸歯車減速機を選択することができる。直交軸駆動機構ユニット10についての減速比のバリエーションは、一つのみで十分である。平行軸歯車減速機の減速比が多様にあるという特徴を利用することができる。
さらに、キーが挿入された減速機出力軸及びキー溝が設けられた中空部により、直交軸駆動機構ユニット10とモータ付き平行軸歯車減速機との締結を容易に行うことができる。また、減速機と駆動機構ユニットとが一体化されモータの種類によって組み合わせることができる減速機の選択の幅が限定されるという従来の制約から解放される。
【0029】
[直動駆動機構シリーズ]
図3に示すように、直動駆動機構2は、直動駆動機構ユニット30とモータ付き平行軸歯車減速機20とが組み合わされたものである。モータ付き平行軸歯車減速機20は、
図1及び
図2に示したものと同様であり、詳細な説明は省略する。
【0030】
平行軸歯車減速機22の、キー23a付きの出力軸23は、直動駆動機構ユニット30の入力軸32の、キー溝33aが設けられた中空部33と、直動駆動機構ユニット30のハウジング31に設けられた穴部31bを通じて嵌合する。これにより、直動駆動機構ユニット30とモータ付き平行軸歯車減速機20とが、軸基準で組み合わせられる。ハウジング31に設けられたフランジ31aと、平行軸歯車減速機22とは、ボルト及びナットにより締結される。直動駆動機構ユニット30の入力軸32には、ピニオン(不図示)が設けられている。
【0031】
直動駆動機構ユニット30はさらに、入力軸32のピニオン(不図示)と噛み合うラックの歯35aが設けられたラック35を備えている。平行軸歯車減速機22の出力軸23と、直動駆動機構ユニット30の入力軸32とは同軸であり、斯かる出力軸23及び入力軸32に直交するように、直動駆動機構ユニット30のラック35が配置されている。
【0032】
モータ付き平行軸歯車減速機20の出力軸23が回転すると、直動駆動機構ユニット30の入力軸32と入力軸32のピニオンとが回転する。上述のとおり、このピニオンは、ラック35のラックの歯35aと噛み合っていることから、入力軸32のピニオンの回転に応じてラック35が直動(すなわち軸方向に沿って直線運動)する。
【0033】
図4に示すように、用途に応じ、直動駆動機構ユニット30に対して組み合わせられるモータ付き平行軸歯車減速機を、モータ付き平行軸歯車減速機20、20-1及び20-2から選択することができる。
【0034】
図4の駆動機構のシリーズSにおいて、グループG2内の各駆動機構ユニットにつき、複数の種類のモータ21、21-1及び21-2を含むモータのグループからモータが選択される。そして、選択されたモータのモータ出力軸に設けられたピニオンと噛み合う入力歯車を備え、かつ減速比の異なる複数の平行軸歯車減速機からなるグループから、平行軸歯車減速機が選択される。
【0035】
これまで説明してきたように、上記実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)各駆動機構ユニットにつき、用途に応じてモータを選択し、選択されたモータと組み合わせ可能であって減速比の異なる平行軸歯車減速機のグループから平行軸歯車減速機を選択することができる。駆動機構ユニットについては、直交軸駆動機構ユニット、直動駆動機構ユニット、回転テーブル機構ユニットなどの各種の駆動機構ユニットにつき、所定の減速比のものを一つ用意するだけで、多くの減速比に対応することができる。
(2)平行軸歯車減速機の取付角寸法と出力軸の寸法を統一することで、モータと平行軸歯車減速機の様々な組み合わせに対して、同一の駆動機構ユニットを組み合わせることができる。
(3)モータのピニオンや平行軸歯車減速機の設計変更をした場合でも、平行軸歯車減速機の取付角寸法と出力軸の寸法を統一しておくことで、駆動機構ユニットについては設計変更せずにそのまま、モータ付き平行軸歯車減速機と組み合わせることができる。
(4)駆動機構ユニットのギヤは、ウォームホイールに限られず、ねじギヤ、ハイポイドギヤ、ベベルギヤ、フェースギヤなど、各種のギヤを用いることができる。
(5)ボス部24が設けられている関係でインローを設けることが困難なモータ付き平行軸歯車減速機であっても、キー及びキー溝により軸基準で駆動機構ユニットと組み付けることができる。
【0036】
[その他]
これまで、モータ付き平行軸歯車減速機と組み合わせられる駆動機構ユニットの例として、直交軸駆動機構ユニット及び直動駆動機構ユニットについて説明したが、これらに限られない。回転テーブル機構ユニットなどの駆動機構ユニットを、モータ付き平行軸歯車減速機と組み合わせてもよい。
【0037】
なお、直交軸駆動機構ユニット10や直動駆動機構ユニット30に、ちょう度が大きく軟らかいグリースを採用した場合、グリース漏れが生じることがある。このグリース漏れを防ぐために、
図5に示すように、モータ付き平行軸歯車減速機20と直交軸駆動機構ユニット10との取付部に、Oリング40あるいはシートパッキンを設けることができる。同様に、
図6に示すように、モータ付き平行軸歯車減速機20と直動駆動機構ユニット30との取付部に、Oリング40あるいはシートパッキンを設けることができる。
【0038】
これまでに説明した実施形態に関し、以下の付記を開示する。
[付記1]
第1穴部が形成されたモータハウジングと、前記第1穴部を通じて前記モータハウジングの内部から外部へと突出したモータ出力軸とを備えるモータと、
第2穴部と第3穴部とが形成された減速機ハウジングと減速機出力軸とを有し、前記第2穴部を通じて前記モータ出力軸が前記減速機ハウジングの内部に挿入され、前記第3穴部を通じて前記減速機ハウジングの内部から外部へと前記減速機出力軸が突出している、平行軸歯車減速機と、
第4穴部が形成された駆動機構ユニットハウジングと、前記駆動機構ユニットハウジングの内部に配置された中空状入力軸とを備え、前記第4穴部を通じて前記減速機出力軸が前記中空状入力軸に挿入され、前記減速機出力軸と前記中空状入力軸とがキー及びキー溝により連結される、駆動機構ユニットと
を備え、
前記駆動機構ユニットにつき、前記モータが複数の種類のモータからなるグループから選択され、前記平行軸歯車減速機が、選択された前記モータのモータ出力軸に設けられたピニオンと噛み合う入力歯車を備え、かつ減速比の異なる複数の平行軸歯車減速機からなるグループから選択される、駆動機構シリーズ。
[付記2]
前記モータと前記平行軸歯車減速機とは、取付角寸法が互いに同程度であり、
前記モータと前記平行軸歯車減速機との動力接続は、前記モータ出力軸に設けられたピニオンと前記減速機ハウジングの内部に設けられた歯車との噛合いによるものであり、
前記モータ出力軸と前記減速機出力軸とがオフセットしている、
付記1に記載の駆動機構シリーズ。
[付記3]
前記駆動機構ユニットが直交軸駆動機構ユニットである、付記1又は2に記載の駆動機構シリーズ。
[付記4]
前記駆動機構ユニットが直動駆動機構ユニットである、付記1又は2に記載の駆動機構シリーズ。
【0039】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 直交軸駆動機構
10 直交軸駆動機構ユニット
12 入力軸
13 中空部
14 ピニオン
15 出力軸
16 ギヤ
20 モータ付き平行軸歯車減速機
21 モータ
21a 出力軸
21b ピニオン歯切り部
22 平行軸歯車減速機
23 出力軸
2 直動駆動機構
30 直動駆動機構ユニット
32 入力軸
33 中空部
33a キー溝
35 ラック
35a ラックの歯