(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】触覚システムにおける不要な応答の最小化
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20240508BHJP
H04R 1/40 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
H04R3/00 330
H04R1/40 330
(21)【出願番号】P 2020534353
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(86)【国際出願番号】 GB2018053739
(87)【国際公開番号】W WO2019122916
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-10
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517084885
【氏名又は名称】ウルトラハプティクス アイピー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ULTRAHAPTICS IP LTD
【住所又は居所原語表記】The West Wing Glass Wharf Bristol BS2 0EL (GB)
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【氏名又は名称】中尾 洋之
(72)【発明者】
【氏名】カップス,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ロング,ベンジャミン ジョン オリバー
【審査官】菊池 智紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/194510(WO,A1)
【文献】特開2015-028766(JP,A)
【文献】国際公開第2016/132144(WO,A1)
【文献】星貴之,"空中超音波触覚ディスプレイにおける刺激点移動時の騒音抑制法",日本バーチャルリアリティ学会論文誌,2017年09月30日,Vol.22, No.3,pp.293-300
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/40,3/00
G06F 3/01
G10K 11/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既知の相対的な位置および配向を有するトランスデューサアレイから音響場を生成するステップと、
前記トランスデューサアレイに対して既知の空間的関係を有する焦点を画定するステップと、
少なくとも第1の経路ディメンションと第2の経路ディメンションを有し、および、前記焦点が移動する、前記トランスデューサアレイに対して
時間の関数としての既知の空間的
位置関係を有する経路を画定するステップと、
不要なパラメトリックオーディオを低減するように、
直接位相平滑化を使用してトランスデューサについての位相関数を生成するように選択された方法で、前記焦点
が前記経路をトレースするように動かすステップと、を含み、
高周波成分を低減するために曲線当てはめ技術を使用した近似関数によって、前記経路が近似され、
前記近似関数は、前記第1の経路ディメンションと前記第2ディメンションの経路で個別にフィルタリングする、
超音波を用いて空中における触覚フィードバック生成ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
トランスデューサについての低減された高周波成分を伴う位相関数を生成するように、前記焦点が前記経路
をトレースするように移動する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
直接位相平滑化を使用して、トランスデューサから、時間に対し
て位相を生成するように、前記焦点が前記経路
をトレースするように移動する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記経路が、複数の焦点へ分割される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
直接位相平滑化を使用して、トランスデューサについて
の位相関数を生成するように、前記複数の焦点が、前記経路に沿って分布される請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
直接位相平滑化を使用して、トランスデューサについての低減された高周波成分を伴う時間に対す
る距離を与える経路パラメータ化を選択することによって、位相関数を生成するように、前記複数の焦点が、前記経路に沿って分布される請求項
4に記載の方法。
【請求項7】
直接位相平滑化を使用して、トランスデューサから、時間に対し
て位相を生成するように、前記複数の焦点が、前記経路に沿って分布される請求項
4に記載の方法。
【請求項8】
高周波成分を除去するように、前記複数の焦点の空間的位置がフィルタリングされる請求項
4に記載の方法。
【請求項9】
前記経路は、第3の経路ディメンションをさらに有し、前記近似関数は、前記第1の経路ディメンション、前記第2の経路ディメンションおよび前記第3の経路ディメンションで個別にフィルタリングする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記近似関数は、無限インパルス応答フィルタを使用する請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記近似関数は、有限インパルス応答フィルタを使用する請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記経路は、第3の経路ディメンションをさらに有し、前記近似関数は、前記第1の経路ディメンション、前記第2の経路ディメンションおよび前記第3の経路ディメンションで個別にフィルタリングする、請求項
4に記載の方法。
【請求項13】
前記近似関数は、無限インパルス応答フィルタを使用する請求項
4に記載の方法。
【請求項14】
前記近似関数は、有限インパルス応答フィルタを使用する請求項
4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2つの米国仮特許出願の利益を主張し、それらのすべては、全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
1)No.62/609,429、出願日:2017年12月22日
【0003】
2)No.62/777,770、出願日:2018年12月11日
【0004】
本開示は、一般に、触覚フィードバックシステムにおける不要な応答を最小化するための改善された技術に関する。
【背景技術】
【0005】
「音響場(acoustic field)」という音エネルギーの連続分布は、空中における触覚フィードバック(haptic feedback)を含む幅広い用途に使用することができる。
【0006】
触覚曲線再現(haptic curve reproduction)は、触覚感覚を生成するために、超音波フェーズドアレイ構成における焦点の迅速な移動を伴う。人の皮膚は、超音波周波数のみに感度が良いわけではないが、低周波数(~100Hz)信号によって超音波を変調することにより、刺激される。圧力振幅における変調(従来のアプローチ)の代替は、時空間変調(spatiotemporal modulation)であり、反復可能な経路に沿って焦点を動かすことは、その経路に沿った任意の1つの点において、単純な振幅変調のものと同様の変調された圧力を生成する。この圧力プロファイルは、皮膚上に感覚を生成し、したがって、触覚フィードバックに使用することができる。これを使用して、形状、ボリューム(volumes)、および他の触覚効果を生成することができる。
【0007】
超音波からの触覚は、大きな圧力振幅を必要とするため、パラメトリックオーディオ(parametric audio)の発生の影響を受けやすい。これは、空気中の音波の非線形性が可聴音を生成することができる結果である。このミキシングは、差音(相互変調歪み(intermodulation distortion))の形をとる。例えば、40kHzおよび41kHzの音波が、十分な振幅で同じトランスデューサから生成される場合、41-40=1kHzの音が、空気中で生成され、知覚可能である。これは、従来の振幅変調で特に容易に行うことができる。例えば、40,000kHzを200Hzで変調すると、次の方程式になる。
【0008】
変調は、40kHzの搬送波を39.8kHzと40.2kHzの2つの側波帯(side-bands)に分割する。得られた周波数を混合して、200Hzおよび400Hzを形成することができる。
【0009】
時空間変調は、大きな間隔を伴う多くの側波帯をもたらし、これにより、多くの周波数で相互変調歪みをもたらす。空間内で焦点を動かすことは、各トランスデューサに、その出力を位相において急速にシフトさせることを要求する。これは、以下の方程式によって記述することができる。
ここで、ω
cは、超音波搬送波の周波数(前の例では2×pi×40kHz)であり、f(t)は、位相角を表す。曲線の振幅は一定のままであるが、時間的に位相を変化させると純音(pure tone)からはずれることになる。これは、以下の関数を拡張することによってもたらされる。
【0010】
この形では、位相を変調することが、位相関数の複数のべき乗に関連する側波帯へラップ(wrap)することができることは、明らかである。
図1は、cos(ω
ct+2πcos(2π200t))の周波数パワースペクトルを示す位相変調関数として純粋なコサインを用いた例のグラフ100である。x軸110は、周波数(kHz)である。y軸120は、デシベル(dB)である。プロット130は、得られたパワースペクトルを示し、これは、階乗の分母からの減少した大きさを伴う指数におけるべき乗の増加によって生成される複数の周波数の相互作用である。バンディング(banding)は、200Hz(変調周波数)の間隔であり、40kHzの搬送波の2kHz内に主に含まれる。側波帯はもちろん無限に続くが、このシミュレーションの精度を超え、それらの振幅では重要でない。
【0011】
ここで示した位相関数は、トランスデューサへの駆動信号として実施することができるが、物理的変位として実施することもできることに留意されたい。トランスデューサが、経路に向かって、または経路から離れて、他の搬送波波長に対して1つの搬送波波長だけを動かす場合、それは、2π位相シフトを表し、その間で補間することができる。ここで示した平滑化法は、この変位によって生成される位相関数にも同様に適用できる。
【0012】
さらに、高Q共振システム(high-Q resonant systems)は、狭い周波数応答を有するが、その結果、長いインパルス応答を有する。エネルギーは、システムを離れるまでに多くのサイクルを要し、いかなる特定の瞬間においても、最新状態(current state)は、駆動履歴に大きく依拠する。この問題に対する典型的なソリューションは、駆動振幅(またはパルス幅変調(PWM)の場合には幅)を使用することを含み、これにより、正しい定常状態の結果をもたらす。所望の出力は、呼出時間(ring up time)に関連して十分なサイクルが経過した後にのみ生成される。これにより、完全な振幅が望ましい場合に理想的なソリューションが得られるが、必要なものが完全な振幅未満の場合には、駆動回路のヘッドルームは使用されない。
【0013】
例えば、95%の定常状態値に達するのに5サイクルを要する線形システムを考える。それは定常状態に指数関数的に近づき、1サイクルで最終値の約45%に達することができ、追加のサイクルごとにリターンが減少する。所望の最終出力が、システムが可能な最大出力である場合、5サイクルで到達することが最適である。しかしながら、所望の出力が最大値の45%のみである場合、異なるソリューションは、1サイクルについて、フルスケールでそれを駆動し、次いで、最大値の45%の定常状態の結果をもたらすものに駆動を戻すことである。その結果、システムは5サイクルではなく1サイクルで所望の出力に達する。本発明では、システムを特徴付け、必要な駆動条件を予測して、定常状態の駆動条件で可能なものよりも速い出力へシステムを強制する方法を提示する。
【発明の概要】
【0014】
触覚曲線は、フェーズドアレイからの音響焦点を用いてトレースされるべき時間の関数としての位置として表されなければならない。不要なパラメトリックオーディオを最小化する各トランスデューサについての平滑な位相関数を得るために、所与のパラメータ化された曲線を操作する方法が開示される。
【0015】
さらに、システムのインパルス応答は、時間の経過に伴うシステムの動作を記述し、その入力に対する応答をシミュレートするために、所与の入力と畳み込むことができる。特定の応答を生成するために、入力を生成するように、インパルス応答との逆畳み込み(deconvolution)が必要である。高共振システムでは、インパルス応答は、共振周波数でのフーリエ成分に単純化され、これは、逆畳み込みを代数にする。これにより、線形代数を介して、所望の出力のためのフィードフォワード入力の生成が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
添付の図面では、同様の参照番号が、以下の詳細な説明とともに、各図面を通して同一または機能的に同様のエレメントを指す。図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなし、特許請求の範囲の発明を含む概念の実施形態をさらに例示し、それらの実施形態の様々な原理および利点を説明するのに役立つ。
【0017】
【
図1】
図1は、位相変調関数としての純粋なコサインのグラフを示す。
【0018】
【
図2】
図2は、高周波成分を伴う位相変調関数のグラフを示す。
【0019】
【
図3】
図3は、トランスデューサの位相関数のグラフを示す。
【0020】
【
図4】
図4は、
図3に示す位相関数から得られる周波数パワースペクトルのグラフを示す。
【0021】
【
図5】
図5は、任意のTPS曲線および位相平滑化(TPS curve and radius smoothing)のための幾何学形状の概略図を示す。
【0022】
【
図6】
図6は、直接位相平滑化(direct radius smoothing)を適用するグラフを示す。
【0023】
【0024】
【
図8】
図8は、
図6の周波数パワースペクトルのグラフを示す。
【0025】
【
図9】
図9は、一時的に平滑な点分布(temporally smooth points distributions)を適用するグラフを示す。
【0026】
【0027】
【0028】
【
図12】
図12は、二次バターワースフィルタ(2
nd-order Butterworth filter)でフィルタリングされた正方形曲線のグラフを示す。
【0029】
【0030】
【0031】
【
図15】
図15は、フーリエ級数展開の次数が増加する正方形の例のグラフを示す。
【0032】
【0033】
【0034】
【
図18】
図18は、通常およびフィードフォワード駆動を使用した振幅変調入力の振幅および位相精度のグラフを示す。
【0035】
【
図19】
図19は、通常およびフィードフォワード駆動を使用した位相変調入力の振幅および位相精度のグラフを示す。
【0036】
【0037】
【0038】
【
図22】
図22は、非線形応答のシミュレーションのグラフを示す。
【0039】
【0040】
当業者は、図中のエレメントが簡潔性および明瞭性のために示されており、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことを理解するであろう。例えば、図中のいくつかのエレメントの寸法は、本発明の実施形態の理解を促進するために、他のエレメントに対して誇張されている場合がある。
【0041】
装置および方法のコンポーネントは、適切な場合には、図面において従来の記号により表されている。そして、本明細書の説明の利益を有する当業者には容易に明らかになる詳細によって本開示を不明瞭にしないように、本発明の実施形態を理解することに関係する特定の詳細のみを示す。
【詳細な説明】
【0042】
(1) 空中触覚曲線におけるオーディオ低減のための方法
【0043】
時空間変調でトレースされるべき所与の曲線は、固有の位相関数(f(t))解を定義しない。例えば、線をトレースする時、線の片方に、もう一方よりも多くの時間を費やす可能性がある。等時間線(equal-time line)と比較して、これは異なる位相関数を生成するが、両方の場合において線全体がトレースされる。これに加えて、所与の曲線(特定の周波数で繰り返される)は、固有の触覚体験を画定しない。所与の搬送波周波数に対して、回折はフォーカス分解能(focusing resolution)を制限し、従って、焦点位置の若干の小さなずれが、所与の曲線に対して作られ、識別可能な効果を作り出すことができない。本開示の目的は、最小のパラメトリックオーディオを生成するように、トレースされるべき曲線と、その曲線をトレースするための位相関数とを調整することによって、要求された時空間触覚効果を生成するための方法を提示することである。
【0044】
図2は、高周波成分を伴う位相変調関数の一例のグラフ200である。それは、cos(ω
ct+2πtriangle(2π200t))の周波数パワースペクトルである。x軸220は、周波数(kHz)である。y軸210は、デシベル(dB)である。プロット230に示されるように、三角波を使用することによって、より周波数の高い高調波(harmonics)が変調関数のすべてのパワーに含まれ、高周波間隔で多くの側波帯を生じさせる。次に、これらは、より高い周波数のオーディオを作るために混合される。+/-800Hz付近の2つの小さなクラスタのところを除いて、バンディングの間隔が200Hzではなく400Hzであることに注意することは興味深い。これは、完全な三角波を使用する場合に、様々な項の偶然の相殺に起因するものである。
【0045】
位相変調関数における鋭い特徴は、アレイによってトレースされる曲線における鋭い特徴から生じる。これには、空間における鋭い特徴(鋭い角度、方向の変化)だけでなく、時間における鋭い特徴(突然の停止または開始)も含まれる。例えば、空中触覚における一般的な経路は、固定された高さでアレイに平行な線である。アレイは、感度を最大にするように選択された周波数で、線を一端から他端までトレースし、再び戻る。
【0046】
図3は、この場合には長さが3cmである線の一端の直下にあるトランスデューサについて得られた位相関数のグラフ300を示す。x軸310は、時間(秒)である。y軸320は、位相値である。プロット330は、125Hzで動作する開始点の直下に置かれたエミッタについて、高さ20cmおよび長さ3cmの固定速度水平線(fixed-velocity horizontal line)に対する位相対時間のものである。
【0047】
位相関数の値は、トランスデューサまでの焦点の距離に関連している。線の一端(最も近い点)では、距離対時間も平滑であるため、位相関数は平滑である。線がこの点を越えて延長される場合、トランスデューサまでの距離は再び延長し始める。この最小距離が、平滑な変曲点を生じさせる。しかしながら、遠い点は、位相関数の急激な停止および逆転を表す。
【0048】
その結果もたらされる曲線における「ねじれ(kink)」は、多くの高調波およびノイズを生じさせる。これは、
図4に示されており、
図3に示される位相関数から生じる周波数パワースペクトルを示すプロット430のグラフ400である。x軸410は、周波数(kHz)である。y軸420は、デシベル(dB)である。
【0049】
以下に示す方法の目的は、不要なパラメトリックオーディオを低減するために、平滑な位相関数を用いて任意の触覚曲線を作るフレームワークを提供することである。これらは、全てのソリューションを表すものではなく、それがどのように行われ得るかについてのいくつかの特定の例を単に与えるものである。ソリューションは、入力曲線を離散点(discrete points)に細分化することを含むことができるが、これは、すべての方法に必要ではない。連続解を提供する任意のソリューションをサンプリングして、離散解(discrete solution)を生成することもできる。
【0050】
I. 方法1: 直接位相平滑化
【0051】
所与のトランスデューサについての位相関数は、トランスデューサの焦点からの距離に正比例する。したがって、所与のトランスデューサからの時間に対する平滑な距離を与える経路パラメータ化(path parameterization)を選択することによって、この関数を直接平滑にすることができる。
【0052】
図5は、任意のTPS曲線および位相平滑化のための幾何学形状の概略
図500を示す。
図5は、トランスデューサ510と、原点520と、触覚曲線530とを含む。
【0053】
図5に示された幾何学形状を使用して、触覚経路は以下のようにパラメータ化される。
【0054】
そして、位相関数(radius function)は、次の方程式である。
【0055】
目的は、位相関数を平滑化するマッピング関数g(t)を生成することである。単一周波数の平滑化関数を使用すると、マッピング関数g(t)は、次の方程式となる。
【0056】
分析解は常に存在するわけではないが、単純な解法(solver)は、ほとんどの場合に有効であるよう十分に近くなるはずである。この特定の位相平滑化関数は、RfがR0より大きいことを期待しており、そのため、任意の曲線が、単調に増加するセクションまたは単調に減少するセクションへ分割される必要がある。増加するセクションについては、通常通り解く。減少するセクションについては、最後の点から最初の点まで解いて、次に、逆の順序で読み取る必要がある。
【0057】
そうすると、新しい曲線は、次の方程式となる。
選択されたトランスデューサを座標の中心として使用する、または単に原点から、
を使用する。
【0058】
このマッピング関数を使用して、1つのトランスデューサ
510は、完全な単一周波数の位相関数を有する。他のトランスデューサは、解を得たトランスデューサからの距離が増加するにつれて、ますます完全ではなくなるであろう。この方法は、解法用の完全なトランスデューサが、触覚相互作用から最も遠いものである場合に良好に機能する。
【0059】
図6は、アレイの中心から延びるx軸において8cmから11cmに延びる線に対する平滑化に、方法1を適用した結果のグラフ600を示す。x軸610は、時間(秒)である。y軸620は、x値(cm)である。プロットは、固定速度線630および平滑な位相線640を示す。固定速度線630は、開始時にすでに時空間最小(spatiotemporal minimum)にあるため、影響を受けない。固定速度線630の遠端は、調整の大部分を受け取る。
【0060】
図7には、
図6において与えられた線の一端の直下にあるトランスデューサについての位相関数のグラフ700が示されており、x軸710は、時間(秒)である。y軸720は、位相値である。プロットは、固定速度線740および平滑な位相線730を示す。
【0061】
図8には、
図6に示された2つの曲線についての周波数パワースペクトルのグラフ700が示されており、x軸810は、周波数(kHz)である。y軸820はデシベル(dB)である。プロットは、固定速度線830および平滑な位相線840を示す。
【0062】
側波帯が非常に少ない場合、平滑化された曲線は、より少ないパラメトリックオーディオを生成する。
【0063】
最適な実施は、所望の経路の予知(foreknowledge)を伴うが、この方法は、点がブロックに再分布(redistributed)され、曲線を増加距離と減少距離とに分割するサンプルバッファを用いてリアルタイムで実施することができる。空間を別個のセクションに分割するのに十分な点を常に含むように、十分に大きなバッファが必要とされる。これは、更新レートおよび可能な相互作用領域のサイズの関数である。
【0064】
II. 方法2:一時的に平滑な点分布(Temporally Smooth Points Distributions)
【0065】
先の方法の近似は、ノイズを引き起こす可能性のある鋭い点で最小速度を有するように、経路上のトラバーサルレート(traversal rate)を操作することによって達成されてもよい。
が、ハードな位置(線等)で開始および停止する固定速度のパラメータ化されたTPS曲線を表す場合、最小速度曲線は、以下の方程式となる。
ここで、t
fは、曲線の終了を表す時間である。曲線の開始に戻るために、位相関数を逆に実行することができる。これにより、低拡散のパワースペクトルが得られる。
【0066】
図9は、アレイの中心から延在するx軸において8cmから11cmに延在する線に対して平滑化する当該方法の適用を示すグラフ900である。x軸910は、時間(秒)である。y軸920は、x値(cm)である。プロットは、固定速度線930および一時的な位相線640を示す。
【0067】
当該方法は、曲線の開始がすでに時空間最小であることを知らないので、両端を平滑化する。その提示されたトランスデューサについては完全ではないが、アレイ内の全てのトランスデューサにわたる最終的な結果は、提示された他の方法と全体的に非常に類似する。
【0068】
図10には、
図6において与えられた線の一端の直下にあるトランスデューサについての位相関数のグラフ1000が示される。x軸1010は、時間(秒)である。y軸1020は、位相値である。プロットは、固定速度線1030および一時的に平滑な線730を示す。
【0069】
図11には、
図6に示される2つの曲線に対する周波数パワースペクトルのグラフ1100が示される。x軸1110は、周波数(kHz)である。y軸1120は、デシベル(dB)である。プロットは、固定速度線1130および平滑な位相線1140を示す。
【0070】
これは、サンプルバッファまたはサブサンプリングを用いてリアルタイムで実施することができる。サンプルバッファは、最初に加速して空間を進み、次にそれらの点に減速するように、鋭い移行を先に探し、再分布しなければならない。サブサンプリングは、各点自体が、「鋭い」移行であり、分布が、直接線経路(direct-line path)上の間において、(上記のように)平滑な関数に従うと仮定することによって行われる。これは、許容ポイントレートが400Hz以下で、更新レートが40kHz以上の場合に特に効果的である。
【0071】
III. 方法3:空間フィルタリング
【0072】
任意の触覚経路の位相関数は、次の方程式で与えられる。
この方程式から、高周波成分を伴う空間関数(f
x(t)等)は、R(t)において、高周波成分へ直接変換されることが明らかである。空間関数を直接フィルタリングする場合、R(t)、したがって曲線の位相関数は、最小の高周波成分を有することになる。
【0073】
これは、前処理およびリアルタイムの両方とも、任意の数の標準周波数フィルタリング手法で達成することができる。連続曲線の処理は、アナログフィルタ実装(analogue filter implementations)を用いて行うことができる。一連の点に分割された曲線は、無限インパルス応答(IIR)や有限インパルス応答(FIR)のフィルタのような従来のデジタル方法を用いてフィルタリングされる。各ディメンションは、一度に、個別にフィルタリングされなければならない。
【0074】
周波数フィルタリングアプローチは、無限インパルス応答(IIR)と呼ばれるフィードバック/フィードフォワードを含むものと、有限インパルス応答(FIR)と呼ばれるフィードバック無しのものと、の2つに分類される。IIRフィルタリングでは、バッファリングおよび計算コストは少なくて済むが、位相遅延が生じることが多い。FIRフィルタリングでは、位相は完全であるが、低周波数フィルタリングのために大きくなり得る係数のサイズに等しいバッファを必要とする。
【0075】
図12は、400Hz(200Hz)でサンプリングされた二次バターワース(IIR)フィルタによってフィルタリングされた3cm、200点の正方形曲線1230のグラフ1200を示す。x軸1210は、x(cm)である。y軸1220は、y(cm)である。定常状態応答の1つのループが示されている。得られた曲線1240は、入力曲線と同一ではないが、フォーカス分解能に起因して、40kHzの超音波を使用して、大部分で区別できない。
【0076】
図13は、
図12に示される2つの曲線についての周波数パワースペクトルのグラフ1300を示す。x軸1310は、周波数(kHz)である。y軸1320は、デシベル(dB)である。プロットは、完全な正方形1330およびフィルタリングされた正方形1340を示す。これは、16×16アレイにおいて1cmピッチで配置された256個の個々のトランスデューサの出力の絶対和(absolute sum)である。この場合、提示されたデータは、16×16の正方形アレイにおいて1cmピッチで配置された全てのトランスデューサの合計を表す。
【0077】
図14は、
図12の原点付近に位置するトランスデューサについての位相関数のグラフ1400を示す。x軸1410は、時間(秒)である。y軸1420は、位相値(dB)である。プロットは、完全な正方形1430およびフィルタリングされた正方形1440を示す。正方形の1つの角の下に位置するトランスデューサについての位相関数の平滑化が、
図14に示される。
【0078】
フィルタリングは、経路再現精度とオーディオ低減との間の所望のバランスを達成するように調整することができる。
【0079】
IV. 方法4: 空間近似(フーリエ、スプライン、多項式等)
【0080】
経路を表す一連の点または入力経路は、曲線当てはめ技術(curve fitting techniques)を使用して、平滑な経路で近似することができる。
【0081】
例えば、触覚経路は、触覚感覚を生成するために、数回繰り返されることがよくある。完全なループは、事前にバッファリングされる場合、これは、反復シーケンス(repetitive sequence)をうまく包含し、フーリエ級数として表すことができる。周波数領域に直接関係するので、近似の次数を増加させることは、精度と不要なオーディオとの間のトレードオフに直接関係する。フーリエ級数近似は、以下の方程式によって与えられる。
ここで、a
0とa
nとb
nは、以下の通りである。
ここで、積分は、1周期にわたって行われる。各ディメンションは、別々に近似される必要がある。
【0082】
図15は、フーリエ級数展開の次数の増加に伴う3cmの正方形の例を示すグラフ1500である。x軸1510は、x(cm)である。y軸1520は、y(cm)である。プロット1530、1540、1550、1560、1570は、それぞれ、完全、1、3、5および7の各展開に含まれる最大次数を表す。
【0083】
図16は、
図15に示される曲線についての周波数パワースペクトルのグラフ1600を示す。これは、16×16アレイにおいて1cmピッチで位置する256個の個々のトランスデューサの出力の絶対和である。x軸1610は、周波数(kHz)である。y軸1620は、デシベル(dB)である。得られたパワースペクトル1630、1640、1650、1660、1670は、近似の次数(それぞれ完全、7、5、3、1)を増加させると、より良い経路再現の結果として、より多くの側波帯と、より多くのオーディオとがどのように得られるかを示している。近似は、触覚ループが更新されるたびに更新される必要がある。これらの間の移行は、高周波数のジャンプ(high-frequency jumps)を避けるために、本明細書で議論した別の方法を必要とする。
【0084】
多項式当てはめ(Polynomial fits)は、入力点のセットへ容易に当てはめることができる平滑な関数の別のクラスである。臨界点は、事前に、またはバッファリングされた信号もしくはサブサンプリングされた信号において、選択することができ、最小二乗等の当てはめルーチン(fitting routine)を使用して、低次多項式を当てはめることができる。急な停止または高い曲率を有する臨界点を選択することは、おそらく最も効果的であろう。使用される次数が高いほど、曲線は入力点に対してより正確になるが、曲率が高いほど、より高い周波数成分が可能になる。本質的に非振動(ENO)多項式を使用し、代表的であるが不要な高周波成分を最小化する高次多項式補間の重み付けされた選択を介して、これをカウンターしてもよい。必要に応じて、臨界点の数は、それらの点を正確に含めるために、多項式当てはめの次数に関連付けることができる(決定システム)。リアルタイムで実施される場合、新しい臨界点が決定されるにつれて、その当てはめは、スムーズに更新される必要がある。
【0085】
スプラインは、平滑さおよび低曲率を強調できるさらに別の曲線近似システムを提供する。他の方法と同様に、入力は、サブサンプリングされたシステムからの臨界点であってもよいし、入力バッファからアルゴリズム的に選択されてもよい。
【0086】
V. 追加開示
【0087】
知られている限り、不要なオーディオを改善するために曲線パラメータ化(点の間隔/位置)を調整する試みはこれまでなされていない。ここでのアイデアは、空間スペクトル成分とパラメトリックオーディオとの間の直接的な関係を認識することである。
【0088】
これらの技術は、ファームウェアレベルでの直接フィルタリングに比較して、ソフトウェアレベルでの実施がはるかに容易である。これらの技術は、オーディオ対精度の調整がより容易である。
【0089】
追加開示は以下の通りである。
(1) 既知の相対的な位置および配向を有するトランスデューサアレイから音響場を生成するステップと、
トランスデューサアレイに対して既知の空間的関係を有する焦点を画定するステップと、
焦点が移動する、トランスデューサアレイに対して既知の空間的関係を有する経路を画定するステップと、
可聴音をほとんど生成させないように、経路の付近で焦点を動かすステップと、
を含む超音波を用いる触覚フィードバック生成ステップを含むことを特徴とする方法。
(2) トランスデューサについての平滑な位相関数を生成するように選択された方法において、経路の付近で焦点を動かすステップをさらに含む上記(1)に記載の方法。
(3) トランスデューサについての低減された高周波成分を伴う位相関数を生成するように、焦点が経路の付近で移動する上記(1)に記載の方法。
(4) トランスデューサから、時間に対して平滑な位相(smooth radius)を生成するように、焦点が経路の付近で移動する上記(1)に記載の方法。
(5) 低曲率の曲線または端点の位置付近でより多くの時間を費やすように、焦点が移動する上記(1)に記載の方法。
(6) 高周波の空間成分を低減するように、経路がフィルタリングされる上記(1)に記載の方法。
(7) 低減された高周波成分を伴う第2の経路を使用し、近似関数によって、経路が近似される上記(1)に記載の方法。
(8) 経路が、複数の焦点へ分割される上記(1)に記載の方法。
(9) トランスデューサについての平滑な位相関数を生成するように、複数の焦点が経路に沿って分布される上記(8)に記載の方法。
(10) トランスデューサについての低減された高周波成分を伴う位相関数を生成するように、複数の焦点が、経路に沿って分布される上記(8)に記載の方法。
(11) トランスデューサから、時間に対して平滑な位相を生成するように、複数の焦点が、経路に沿って分布される上記(8)に記載の方法。
(12) 複数の焦点が低曲率または端点の位置でより密接に分布されるように、複数の焦点は、経路に沿って分布される上記(8)に記載の方法。
(13) 高周波成分を除去するように、複数の焦点の空間的位置がフィルタリングされる上記(8)に記載の方法。
(14) 低減された高周波成分を伴う関数を使用し、近似関数によって、経路が近似される上記(8)に記載の方法。
「ドケット81」
(2) 触覚フィードバックのためのユーザ位置情報に基づく動的トランスデューサのアクティベーション
【0090】
I. 線形代数を介した所望の出力についてのフィードフォワード入力生成
【0091】
システムのインパルス応答は、以下の畳み込み(convolution)を使用することによって、所与の駆動に対するその出力を予測するように、使用することができる。
ここで、V
out(t)はシステムの出力であり、V
in(t)は駆動信号であり、h(t)はシステムのインパルス応答であり、*は畳み込み演算子である。システムを構造化する1つの方法は、システムの過去を複数のセグメント(それぞれが一定の時間間隔Tを有する)に分割することである。過去の駆動信号は、等時間セグメント(equal-time segments)にグループ化され、それらが表す過去の周期の数によって指定される。これらの信号がD
nで、nが過去の周期の数を表す場合、次のようになる。
ここで、V
0とD
0は、生成される次のサイクルの出力と駆動を表し、他のすべての項は、システムの履歴を包含する。時間オフセットは、これをインデックス
として書くことによって、先行されてもよい。表記法は、ベクトル
および
を示すことによって、単純化することができる。ここで、ベクトル内の各成分(entry)は、それぞれ、駆動およびインパルス応答の時系列データである。次に、畳み込み演算子は、最初に畳み込みを行い、次にベクトル積として加算する。方程式1は、次のように書くことができる。
解こうとしている逆問題(inverse problem)を以下に示す。
*
-1は、逆畳み込み演算子である。
【0092】
このソリューションは、別のエレメントが駆動された時の1つのエレメントのインパルス応答を測定することによって、結合システムのアレイに拡張することができる。例えば、2つのエレメントAとエレメントBを考える。Bが駆動される時のAのインパルス応答は、h
BAとして定義され、逆の場合のAが駆動される時のBの応答は、h
ABとして定義される。この表記法における従来のインパルス応答は、それぞれh
AAとh
BBである。上記の分析は、次の2つの方程式のシステムになる。
【0093】
0の添え字は、様々なパラメータについての次のサイクルを表し、DaおよびDBは、上記Dに類似した時系列駆動データのベクトルであり、VA0とVB0は、それぞれのエレメントの出力である。VA0とVB0が特定されると、解を近似できる不確定システム(indeterminate system)になる。この技術は、任意のサイズのエレメントのアレイへ拡張することができる。これは、本発明の最も一般的な形態である。この数式は、D*hに含まれる駆動の履歴を基に、所望の出力(V0)に対する必要な駆動(D0)を計算する。以下に、特定の条件下での逆畳み込みプロセスを単純化するための方法を提示する。
【0094】
畳み込み計算は簡単であるが、逆問題は困難であることが多い。逆畳み込みアルゴリズムは、計算的に困難な場合があり、振動的または不安定な動作を生じさせる可能性がある。畳み込み定理を用いることにより、高Q共振システムを扱う場合に、大幅な単純化を行うことができる。これは、2つの畳み込み信号のフーリエ変換が、それらの個々のフーリエ変換の乗算であることを示している。共振システムでは、インパルス応答のフーリエ変換は、共振周波数での成分に支配される。駆動信号が主に単色(monochromatic)に保たれると、システムは、主に、代数になる。上記の表記法では、これは次の形をとる。
ここで、Fは、フーリエ変換を示し、Aは、エレメントの共振周波数での複素フーリエ成分を返す演算子である。共振周波数の複素フーリエ成分(A(V
0))に関して所望の出力を特定することによって、右側の各項は単に複素数値であり、システムは代数的である。この表記法における単一エレメントの制御関数は、以下のようになる。
【0095】
この場合、出力(V0)、駆動(D0)、および第1周期のインパルス応答(h0)は、共振周波数でのフーリエ成分を表す複素数である。Dおよびhは、時間シフトされたインパルス応答と駆動フーリエ成分をそれぞれ含むベクトルである。任意の1つのタイムステップに含めるべき履歴のデータポイントの数は、駆動の所望の精度および利用可能な計算能力に依拠する。複素出力は、実際に実現するのは比較的容易であり、以下で説明する。
【0096】
結合エレメントのアレイも同様に単純化することができる。m個のエレメントを有するアレイを仮定すると、方程式3は、次のように書くことができる。
ここで、nは、所与の周期遅延オフセット(period delay offset)を指す。インパルス応答の番号付きインデックスは、(上述のように)駆動された第1の数を伴う第2の数のインパルスである。h
0
-1は、第1のサイクルのインパルス応答行列の逆数である。これの出力は、方程式2と同様に、Vにおける所望のm個の出力を仮定した場合のm個のトランスデューサについての複素駆動係数(complex driving coefficients)のアレイである。
【0097】
上記方法の別の単純化は、インパルス応答関数の再帰的定義によって達成することができる。多くのシステムでは、インパルス応答関数は、純粋に指数関数的減衰によって近似できる。この場合、前のアクティベーションからの全寄与(the total contribution from the previous activations)は、以下のように近似することができる。
αは、実験的に導出された定数である。各サイクルにおいて、前の寄与は、αによって乗算され、新しいサイクルと合計される。このように、各サイクルにおいて、完了した履歴の寄与(complete historical contribution)を計算するために、1回の乗算のみが必要である。この単純化は、減衰調和振動子(damped harmonic oscillator)によって適切に記述されるシステムに対して非常にうまく働く。これは、アレイシステムに対してエレメントごとに適用することができる。しかし、この再帰フィルタの一次特性(first-order nature of this recursive filter)がリンギング(ringing)を通過しないので、交差結合(cross-coupling)が最小である場合にのみ良好に機能する傾向がある。ハイブリッド再帰フィルタは、前述した明示的方法を使用して固定数のサイクルを含め、次に、剰余を再帰項にまとめることによって作成することができる。リンギング動作の大部分が、明示的に計算される固定サイクルにおいて捕捉される場合、剰余は、再帰的アプローチによって適切に記述されるべきである。
【0098】
共振システムは、共振周波数付近で非線形動作を表示できる。これは、振幅応答における非線形性として現れる。その結果、インパルス応答関数は、最新駆動レベル(current drive level)の関数として変化する。これは、前の寄与(Dh)の推定を、高い駆動レベルで不正確にする可能性がある。これを補うために、インパルス応答行列は、駆動レベルの関数にならなければならない。各エレメントについて、インパルス応答は、所定の振幅h(A)について測定される。この表記法を使用すると、駆動アクティベーション係数(driving activation coefficients)は、以下の方程式を用いて計算することができる。
ここで、h
0
-1は、小振幅インパルス応答である。次の周期について、hを変更するために使用される振幅は、導出されたばかりのD
0を使用して推定することができる。
ここで、A
nは、(既に2において計算されており、再利用することができる)前のタイムステップから計算される。この表記法では、D
nおよびA
nは、過去のn周期における駆動および振幅であり、h
nは、その振幅についての時間シフトされたインパルス応答である。我々の表記法では、次のタイムステップについて、これは、A
1にインクリメントされ、上の式5の履歴項(historical term)内で使用される。
【0099】
上述の方法は、正確なインパルス応答に依拠する。実際のシステムでは、これは、温度、高度、期間(age)、および他の多くを含む様々な環境条件下で変化し得る。方法の精度は、最も重要な要因を追跡し、それに応じてインパルス応答を調整することに依拠する。これは、外部のセンサまたはクロックに基づいてアクセスされる記録されたインパルス応答の大型のストアを使用して実施することができる。あるいは、システムの共振周波数が変化しても、ほとんどの減衰メカニズムおよびクロストークメカニズムは、ほぼ同じままであるため、インパルス応答に対する精度を回復することができる異なる共振駆動周波数を使用することができる。別の構成では、インパルス応答における変化の数学モデルをシステムに実装して、保存されたインパルス応答を時間および関数にわたって変化させることができる。さらに別の構成では、デバイスは、内部テーブルを再調整するために、最小出力の周期中に、または始動等の所定の時点で、インパルス応答を測定するようにセットアップされる。これは、インピーダンス掃引または他の何らかの電気的測定方法を介して電気的に達成することができる。あるいは、外部の測定デバイス(超音波トランスデューサシステム用のマイクロフォン等)からのフィードバックを使用して、テーブルを更新することもできる。
【0100】
フィードフォワード制御方式は、所定の用途(例えば、高出力の空中超音波)において有害となり得る高周波成分を駆動部に導入し得る。この場合、フィードフォワードの正確な制御を維持しながら、高周波成分を制限するための可能ないくつかのソリューションが存在する。1つの単純な方法は、方程式1の出力駆動係数にIIRローパスフィルタを単純に適用することである(実数成分と虚数成分のそれぞれに1つ)。各サイクルについて、前のサイクルの出力は、フィルタの出力であり、次いで、新しい駆動項が方程式1で計算され、それがフィルタリングされ、以下同様である。別の選択肢は、あるサイクルから次のサイクルへのDの変化の単純な比較であり、これを所定の大きさ(点毎)に制限し、この制限されたDは、次のサイクルにおける履歴項(history term)への入力である。これは、実質的に、低次のローパスフィルタである。
【0101】
フィルタまたは振幅リミッタ(magnitude limiter)は、入力の帯域幅を分析し、その値に基づいて減衰を開始するフィルタを適用することによって、入力に適合することができる。振幅変化フィルタ(magnitude-change filter)の単純なケースでは、前のn個の入力サンプルからの運転最大変化(running max change)を記憶することができ、これを制限変化として使用することができる。このようにして、入力が高周波数変化(high-frequency changes)を要求している場合には、高周波数変化はパスするが、入力が低速かつ平滑である場合には、出力係数の変化率も制限される。別の実施において、入力信号は、入力周波数分析に基づいて各駆動項(driving term)に適用される調整可能なIIRフィルタ、および周波数成分(例えば、一連の帯域フィルタを用いる)について、分析され得る。フィルタリングされた出力と入力の成分の正確な関係を調整して、精度(すべての周波数を通過させること)対ノイズ(大幅にフィルタリングすること)を最適化することができる。
【0102】
図に示す例は、係数出力方程式1の2レベルPWM解釈(2-level PWM interpretation)を使用して生成される。これは、パルスの位相と幅を調整して、PWMのフーリエ成分を所望の出力に一致させることによって、単に行われる。要求された振幅が、駆動部によって可能なものを超える時、振幅が最大デューティサイクル(50%)に維持されることによって、位相は依然として維持される。この振幅のクリッピングは、方法を妨げるものではなく、上記のシミュレーションで実施される。これは、示された唯一のタイプのシミュレーションであるにも関わらず、ここで提示された発明は、2レベルPWM駆動に限定されない。いずれの駆動システムも、PWMからアナログまで機能する。唯一の要件は、各共振周波数周期についての駆動が、方程式1からの出力において一致するその周波数でのフーリエ成分を有することである。周波数の観点から駆動部がクリーンであるほど、システムは良好に機能する。これは、サイクルあたり何回も切り替えるか、利用可能な多くの異なる電圧レベル、または完全な高帯域幅のアナログ駆動によって実現できる。
【0103】
外部ピックアップからのフィードバックも組み込むことができる。
【0104】
フィードフォワード駆動は、共振システムの正確な制御を可能にする。
【0105】
可能な用途には以下が含まれる。
【0106】
1. パラメトリックオーディオについて、共振超音波トランスデューサのアレイを制御すること。各エレメントをより正確に制御することによって、再現の品質が向上し、超音波フィールドをより慎重に操作および制御することができる。
【0107】
2. 触覚フィードバックについて、共振超音波トランスデューサのアレイを制御すること。振幅と位相のより良い制御は、より良い焦点制御(より小さな焦点、よりクリーンな変調)、および不要なオーディオの低減を可能にする。
【0108】
3. 測距について、超音波トランスデューサのアレイを制御すること。距離推定は、振幅または位相のいずれかの上に、「キー(key)」を超音波出力にエンコードすることを含む。最も単純な用途では、これは、単に、オンとオフを切り替える「パルス」である。トランスデューサが連続的に出力を生成する他の用途では、キーは、意図的な位相シフトである。キーが時間的に鋭いほど、受信時の距離計算はより正確になる。提示された方法は、標準的な制御で可能なものよりも鋭い移行を可能にする。
【0109】
4. 共振動作を有するモータのPWM制御
【0110】
5. 共振ラウドスピーカーの制御
【0111】
図17Aおよび
図17Bは、基本的な駆動対フィードフォワード制御(本発明)の単純なモデル実証である、一対のグラフ1700、1750を示す。x軸1710、1760は、単位のないスケール値である。y軸1720、1770は、単位のないスケール値である。曲線のプロット線1740、1790は、システムのモーションを表し、直線のプロット線1730、1780は、駆動である。垂直線は、モデルシステムの共振周期を示す。システムは、約5サイクルの立ち上がり時間を有する。曲線の上の数字は、入力の振幅と位相であり、下の数字は、得られた出力の振幅と位相である。
図17Aでは、駆動は入力にのみ関連し、直線のプロット線1730はサイクル毎に同一である。
図17Bでは、駆動部は、トランスデューサ駆動の履歴に関する情報を使用し、より強い駆動(開始時)と、モーションを弱めるような駆動(終了時)との両方を行うように駆動する。この結果、制御周期における全ての点で、入力により近い出力が得られる。
【0112】
図18は、実世界の40kHzトランスデューサモデルに適用される通常およびフィードフォワード駆動を使用する振幅変調入力の振幅および位相精度を示している一対のグラフ1800、1850を示す。x軸1810、1860は、40kHz周期数である。第1のグラフ1800のy軸1820は、出力-入力の振幅(magnitude)である。第2のグラフ1850のy軸1870は、出力-入力の位相である。プロットは、通常1830、1880およびフィードフォワード1840、1890の駆動を示す。ここで示したすべてのシミュレーションにおけるフィードフォワードシステムは、インパルス応答において60項(60 terms)を使用する。望ましい振幅変調は、200Hzかつ完全な変調振幅である。入力係数は、周期あたり100ステップのPWM信号に変換され、実世界のデジタル駆動をシミュレートする。第1のグラフ1800は、800周期にわたる入力に対する出力の差を示す。第2のグラフ1850は、出力と入力の間の位相の差を示す。フィードフォワード制御1890は、振幅ゼロ付近を除いて、0.1ラジアン未満、および2%よりも良好な振幅精度にシステムを保持することができる。比較すると、従来の駆動1880は、10%を超える振幅誤差を有し、振幅がゼロでないところでも、ターゲットから最大0.3ラジアンずれている。
【0113】
図19は、実世界の40kHzトランスデューサモデルに適用される通常およびフィードフォワード駆動を使用する、位相変調入力の振幅および位相精度のグラフ1900、1950を示す。x軸1910、1960は、40kHz周期数である。第1のグラフ1900のy軸1920は、出力-入力の振幅である。第2のグラフ1950のy軸1970は、出力-入力の位相である。プロットは、通常1930、1980、およびフィードフォワード1940、1990の駆動を示す。入力駆動は、200Hzで0.7*pi振幅、および90%振幅である。この場合、どちらのシステムも、要求された入力の振幅および位相の両方を完全に一致させることができないので、トランスデューサは、要求された位相シフトに追従することが物理的にできない。2つを比較すると、要求が物理的に可能である時(周期100、300、500、700付近)、フィードフォワードシステムは、わずか数パーセントの誤差で位相と振幅の両方を保持することができることが明らかである。システムが逸脱し、誤差が大きい場合、フィードフォワードシステムは、より速く回復することができ、振幅が低下した場合であっても、従来の駆動システムと比較して、位相を要求により近い状態に保つことができる。
【0114】
図20Aは、通常駆動を使用するグラフ2000、2020であり、
図20Bは、フィードフォワード駆動を使用するグラフ2040、2060である。x軸2005、2025、2045、2065は、40kHz周期数である。振幅誤差グラフ2000、2040についてのy軸2010、2050は、出力-入力の振幅である。位相誤差グラフ2020、2060についてのy軸2030、2070は、出力-入力の位相である。プロットは、トランスデューサ1の2015、2035、2055、2075、およびトランスデューサ2の2018、2038、2058、2078についての結果を示す。
【0115】
これらのグラフは、トランスデューサ1と位相が90度ずれたトランスデューサ2を有する2つの強結合位相変調トランスデューサの振幅および位相精度を示すクロストーク性能の例である。数学モデルは、追加された結合損失スプリング(added coupling losses spring)を伴う前の図と同じ実世界の40kHzトランスデューサモデルを使用する。入力係数は、周期あたり100ステップのPWM信号に変換され、実世界のデジタル駆動をエミュレートする。入力駆動は、トランスデューサ1と位相が90度ずれたトランスデューサ2を用いて、200Hzで0.5*piラジアンの変調、および80%振幅である。グラフ2000、2020は、15%の振幅低下を伴う結合によって導入される大きな誤差を示す。グラフ2040、2060は、2%ほどの振幅および位相精度を伴うフィードフォワード結合制御によって可能な制御を示す。
【0116】
図21Aは、通常駆動を使用するグラフ2100、2120であり、
図20Bは、フィードフォワード駆動を使用するグラフ2140、2160である。x軸2105、2125、2145、2165は、40kHz周期数である。振幅誤差グラフ2100、2140についてのy軸2110、2150は、出力-入力の振幅である。位相誤差グラフ2120、2160についてのy軸2130、2170は、出力-入力の位相である。プロットは、トランスデューサ1の2115、2135、2155、2175、およびトランスデューサ2の2118、2138、2158、2178についての結果を示す。
【0117】
数学モデルは、追加された結合損失スプリングを伴う前の図と同じ実世界の40kHzトランスデューサモデルを使用する。入力係数は、周期あたり100ステップのPWM信号に変換され、実世界のデジタル駆動をシミュレートする。入力駆動は、トランスデューサ1と位相が90度ずれたトランスデューサ2を用いて、200Hzで50%振幅深度である。グラフ2100、2120は、結合によって導入される大きな誤差を示し、振幅は、グラフ2100の駆動入力と位相がずれており、グラフ2120に大きな位相誤差を引き起こす。グラフ2150、2170は、フィードフォワード結合制御によって可能な制御を示し、グラフ2140では振幅精度が1%より良好であり、グラフ2160では出力ゼロ付近を除いて、タイトな制御での位相である。
【0118】
図22は、非線形減衰項を有する減衰調和振動子および標準減衰振動子(standard damped oscillator)のインパルス応答振幅についての非線形応答のシミュレーションのグラフ2200を示す。x軸2210はnである。y軸2220は振幅である。プロット2230、2240は、曲線の開始で与えられる振幅(x軸2210の値1)で始まる共振システムの振幅減衰を表す。スケーリングされた小インパルスプロット2230は、減衰が指数関数的(単に振幅に比例する)であり、したがって、単純な減衰振動子から期待される半対数プロット上の直線である応答を示す。この場合、インパルス応答は、開始値によって簡単にスケーリングすることができる。実応答プロット2240は、非線形システムの応答を示し、ここでは、振幅の減衰が、より高い振幅でより強く、したがって、駆動が高い場合に、単純なシステムからより大きく逸脱する。方程式2に示される方法は、異なる開始振幅によって生成されるインパルス応答曲線の全範囲を使用して、正しい履歴項を処理し、システムをより正確に駆動する。
【0119】
図23は、非線形減衰項を含む実世界40kHzトランスデューサモデルに適用される、通常およびフィードフォワード駆動を使用する振幅変調入力の振幅および位相精度のグラフ2300、2350を示す。x軸2310、2360は、40kHz周期数である。第1のグラフ2300のy軸2320は、出力-入力の振幅である。第2のグラフ2350のy軸2370は、出力-入力の位相である。プロットは、通常2330、2380およびフィードフォワード2340、2390の駆動を示す。望ましい振幅変調は、200Hzかつ完全な変調振幅である。入力係数は、周期あたり100ステップのPWM信号に変換され、実世界のデジタル駆動をシミュレートする。通常駆動の場合、入力振幅は、定常状態の非線形応答曲線に一致するように調整され、この補正された応答は、出力からの差を計算するために使用されるものである。フィードフォワード制御の場合、入力信号は、1の入力がトランスデューサモデルが生成可能な最大値(この場合、~0.77)に対応するようにスケーリングされた。非線形性の形状に関する情報は、インパルス応答関数に含まれ、曲線形状を自動的に整える。線形システムと同様に、フィードフォワード制御は、従来の方法よりも良好な精度でシステムを制御することができる。
【0120】
II. 追加開示
【0121】
フィードフォワード方法を現状(定常状態)方法と比較するのに、かなり多くのテキストが費やされている。
【0122】
フィードバック制御設計は、システムでのサンプリングを必要とし、コストおよび複雑さを増大させる。
【0123】
1つの進歩性は、高共振システムについてのインパルス応答が、共振周波数でのフーリエ成分によって近似されることの認識にある(方程式2)。この重要な単純化は、逆畳み込み演算子を行列代数にする。これを超えて、駆動振幅の関数となるようにインパルス応答を操作し、振幅の非線形性を補うことは新規である。また、これを結合共振システムアレイに適合させ、行列反転として必要な駆動を解くことも新規である。
【0124】
追加開示は、以下の通りである。
(15) 共振システムの駆動振幅および駆動位相を生成し、所望の駆動振幅および駆動位相を実質的に実現するステップと、ここで、共振システムは、共振システムのインパルス応答、駆動位相と駆動振幅の履歴、および所望の出力を含み、
共振システムの共振周波数でのフーリエ成分に対するインパルス応答を低減し、低減された形式のインパルス応答を生成するステップと、
低減された形式のインパルス応答、および駆動位相と駆動振幅の履歴を用いて、共振システムの予測最新状態(predicted current state)を生成するステップと、
低減された形式のインパルス応答、共振システムの予測最新状態、および所望の出力を用いて、最終駆動振幅および最終駆動位相を生成するするステップと、
を含むことを特徴とする方法。
(16) 使用されるインパルス応答は、履歴駆動データ、予測駆動データ、温度、期間、高度、外部センサおよびシミュレーションの少なくとも1つに応答して変化する上記(15)に記載の方法。
(17) 低減された形式のインパルス応答、共振システムの予測最新状態、および所望の出力を用いて、最終駆動振幅および最終駆動位相を生成するステップは、次の方程式を用いる上記(15)に記載の方法。
ここで、V
0は、所望の出力を表し、D
0は、計算された最終駆動振幅および最終駆動位相を表し、h
0は、第1周期インパルス応答のフーリエ成分を表し、Dは、時間シフトされた履歴駆動値を含むベクトルであり、hは、時間シフトされたインパルス応答のフーリエ成分を含む第2のベクトルである。
(18) オーディオ生成を低減するように、所望の駆動振幅および駆動位相はフィルタリングされる上記(15)に記載の方法。
(19) 最終駆動振幅および最終駆動位相は、デジタル信号として実現される上記(15)に記載の方法。
(20) 最終駆動振幅および最終駆動位相は、アナログ信号として実現される上記(15)に記載の方法。
(21) インパルス応答は、制限を受けて、再帰的に計算される上記(15)に記載の方法。
(22) 記憶された値を時々調整するように、共振システムは、インパルス応答を測定する上記(15)に記載の方法。
(23) 前記共振システムは、個別に処理される複数のサブエレメントを含む上記(15)に記載の方法。
(24) 共振システムは、結合されたサブエレメントのインパルス応答で構成されるアレイを含み、
駆動位相および駆動振幅の履歴は、結合されたサブエレメントのそれぞれに対する履歴駆動信号のリストであり、
所望の出力は、結合されたサブエレメントのそれぞれに対する所望の出力のリストであり、
所望の駆動振幅および駆動位相は、サブエレメントのそれぞれに対する出力のリストである上記(23)に記載の方法。
(25) 前記低減された形式のインパルス応答のフーリエ成分のアレイ、各サブエレメントの前記予測最新状態の第1のリスト、および各サブエレメントの前記所望の出力の第2のリストは、次の方程式を用いて、前記計算された駆動振幅および駆動位相の第3のリストを生成する上記(24)に記載の方法。
ここで、nは、所定の周期遅延オフセットを表し、
上記h
nにおいて番号付けされたインデックスは、第1の数によって表されるサブエレメントが駆動される時に第2の数によって特定されるサブエレメントのインパルス応答のフーリエ成分であり、h
0
-1は、インパルス応答アレイの第1のサイクル行列の逆であり、D
nは、m個のサブエレメントのそれぞれについての時間シフトされた履歴駆動値であり、方程式(D
0)の出力は、Vにおいて所望のm個の出力を仮定した場合のm個のサブエレメントについての駆動係数のリストである上記(24)に記載の方法。
【0125】
III. 結論
【0126】
前述の説明は特定の値を開示しているが、同様の結果を達成するために、任意の他の特定の値を使用することができる。さらに、前述の実施形態の様々な特徴は、改善された触覚システムの多数の変形を生成するように選択され、組み合わされてもよい。
【0127】
前述の明細書では、特定の実施形態が記載されている。しかし、当業者であれば、請求項に記載される本発明の範囲から逸脱することなく種々の修正および変更を行えることが理解できるであろう。したがって、本明細書および図面は限定的な意味ではなく例示的なものとみなされるべきであり、すべてのそのような修正は、本教示の範囲内に含まれることが意図される。
【0128】
さらに、この明細書では第1および第2、上および下等の関係用語は1つのエンティティまたはアクションを別のエンティティまたはアクションから区別するためだけに使用されてもよく、必ずしも、そのようなエンティティまたはアクション間のそのような実際の関係または順番の必要性を要求ないし暗示するものではない。「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、「備える」、「備えている」、「含有する」、「含有している」またはそれらの任意の他の変形は、非排他的な包含を含むように意図されている。その結果、エレメントのリストを含む(有する、備えるまたは含有する)プロセス、方法、物品または装置は、それらのエレメントのみを含むのではなく、明示的にリストされていないか、またはそのようなプロセス、方法、物品または装置に固有の他のエレメントを含み得る。「comprises…a」、「has…a」、「includes…a」、「contains…a」で始まるエレメントは、そのエレメントを含む(有する、備えるまたは含有する)プロセス、方法、物品または装置において、制約無しで、追加的な同一のエレメントの存在を排除しない。「a」および「an」は本明細書で特に明記しない限り、1つまたは複数として定義される。「実質的に」、「本質的に」、「ほぼ」、「約」またはその任意の他のバージョンは、当業者によって理解されるものに近いものとして定義される。本明細書で使用される「結合される」という用語は、必ずしも直接的または機械的である必要はなく、接続されると定義される。所定の方法で「構成される」デバイスまたは構造は、少なくともそのように構成されるが、列挙されていない方法で構成されてもよい。
【0129】
開示の要約は、読み手が技術的開示の性質を迅速に確認することを可能にするために提供される。要約は、請求項の範囲または意味を解釈または制限するために使用されないという理解の下に提出される。さらに、前述の詳細な説明では、開示を合理化する目的で、様々な特徴が様々な実施形態において一緒にグループ化されることが分かる。この開示方法は、特許請求の範囲の実施形態が、各請求項において明示的に規定されるものよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、特許請求の範囲に示すように、発明の主題は、単一の開示される実施形態の全ての特徴より少ない特徴にある。したがって、以下の特許請求の範囲は、これにより詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別個に請求される主題としてそれ自体で成立する。