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▶ ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

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  • 特許-タービン用の制御されたフローガイド 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】タービン用の制御されたフローガイド
(51)【国際特許分類】
   F01D 9/02 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
F01D9/02 101
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020535073
(86)(22)【出願日】2018-11-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-25
(86)【国際出願番号】 US2018063072
(87)【国際公開番号】W WO2019135838
(87)【国際公開日】2019-07-11
【審査請求日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】15/859,823
(32)【優先日】2018-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】ハラー、ブライアン・ロバート
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-104986(JP,A)
【文献】米国特許第05292230(US,A)
【文献】特開2006-307843(JP,A)
【文献】特開平03-138404(JP,A)
【文献】特開2002-339703(JP,A)
【文献】国際公開第2016/135832(WO,A1)
【文献】特開2013-032772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 9/02
F01D 5/14- 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気タービン(100)であって、
複数のフローランナー(150、220)と、
複数のフローガイド(140、210)と、を含み、
前記複数のフローガイド(140、210)は、0.4~0.7の上流流路比(Wup/W)を含み、
前記複数のフローガイド(140、210)の各々の断面を平面直交座標系の第三象限のみに配置した場合であって、
前記平面直交座標系のX軸が前記蒸気タービン(100)の軸方向に沿って延び、
前記平面直交座標系のY軸が前記蒸気タービン(100)の円周方向に沿って延び、
前記フローガイド(140、210)の後縁が前記X軸と前記Y軸に接し、
前記フローガイド(140、210)の負圧側表面の曲線が前記フローガイド(140、210)の正圧側表面の曲線よりも上に延びる場合において、
前記フローガイド(140、210)の負圧側表面の曲線の曲率は、前記フローガイド(140、210)の背面偏向角(180)が25度を超えて38度までとなるように後縁から前縁に向かうに従って減少することなく次第に増大し、
前記上流流路比(Wup/W)は、
前記フローガイド(140、210)の前縁の最もX座標値が小さい最小X値点のX座標値の絶対値に対する前記最小X値点における所定のX軸方向の幅により定義され、
前記所定のX軸方向の幅は、前記最小X値点を通り、前記X軸に平行な直線と前記負圧側表面の曲線との交点と前記最小X値点との距離で定義され
前記背面偏向角(180)は、前記平面直交座標系において、前記フローガイド(140、210)の負圧面スロートポイントにおけるスロートに垂直な方向と、前記負圧面スロートポイントから前記フローガイド(140、210)の負圧面後縁ブレンドポイントに向かう方向との間の角度として定義され、
前記スロート(170)は、前記平面直交座標系において、前記フローガイド(140、210)と、前記フローガイド(140、210)の負圧側に隣接するフローガイド(140)の表面との間の最短距離として定義され、
前記スロート(170)は、前記平面直交座標系において、前記負圧面スロートポイントと前記隣接するフローガイド(140)の後縁との間に延びる、
蒸気タービン(100)。
【請求項2】
前記上流流路比(Wup/W)は0.6である、請求項1に記載の蒸気タービン(100)。
【請求項3】
前記複数のフローガイド(140、210)は、1.9を超えるピッチ/幅値を含む、請求項1または2に記載の蒸気タービン(100)。
【請求項4】
前記複数のフローガイド(140、210)は、複数の第1段のフローガイド(140)または第2段のフローガイド(210)を含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の蒸気タービン(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願および結果として得られる特許は、一般に、任意のタイプの軸流タービンに関し、より具体的には、制御流2次世代(CF2NG)ガイドなどの蒸気タービン用の制御されたフローガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に説明すると、蒸気タービンなどは、蒸気入口、タービンセクション、および蒸気出口を含む画定された蒸気経路を有することができる。より高い圧力の領域からより低い圧力の領域へと蒸気経路から流れ出し、あるいは蒸気経路へと流れ込む蒸気の漏れが、蒸気タービンの運転効率に悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、回転シャフトと周囲を囲むタービンケーシングとの間の蒸気タービン内の蒸気経路の漏れが、蒸気タービンの全体としての効率を低下させる可能性がある。
【0003】
蒸気は一般に、通常、ガイドおよびランナー(またはノズルおよびバケット)などの第1段のブレードを通して直列に配置された多数のタービン段を通って流れ、その後、タービンの後段のガイドおよびランナーを通って流れることができる。このようにして、ガイドは蒸気をそれぞれのランナーに向かって導き、ランナーを回転させ、発電機などの負荷を駆動させることができる。蒸気は、ランナーを囲む円周方向シュラウドによって封じ込めることができ、これはまた、蒸気または燃焼ガスを経路に沿って導くのに役立ち得る。このようにして、タービンガイド、ランナー、およびシュラウドは、蒸気に起因する高温にさらされる可能性があり、その結果、これらの構成要素にホットスポットが形成され、高い熱応力が生じる可能性がある。蒸気タービンの効率はその動作温度に依存するため、蒸気または高温ガス経路に沿って配置された構成要素が、故障や耐用年数の低下なしに、より高い温度に耐えられるように継続的な要求がある。
【0004】
特定のタービンブレードは、翼形形状で形成されてもよい。ブレードは、先端部と根元部に取り付けることができ、根元部は、ブレードをディスクまたはドラムに結合するために使用される。タービンブレードの形状と寸法により、特定のプロファイル損失、二次損失、漏れ損失、混合損失などが生じ、蒸気タービンの効率および/または性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
場合によっては、例えば、加圧水型原子炉からの飽和ラインでの蒸気供給では、タービンは湿り蒸気流で動作することがある。そのような流れは、蒸気の非平衡膨張(微細な霧を生成する)と、その結果としての粗い水の損失により、さらなる湿り損失を引き起こす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2016/0146013号明細書
【発明の概要】
【0007】
本願およびその結果得られる特許は、蒸気タービンを提供する。蒸気タービンは、いくつかの制御されたフローランナーおよびいくつかの制御されたフローガイドを含むことができる。制御されたフローガイドは、0.4~0.7の上流流路比(Wup/W)を含むことができる。
【0008】
本願および結果として得られる特許のこれらの特徴および改良ならびに他の特徴および改良が、以下の詳細な説明を、いくつかの図面および添付の特許請求の範囲と併せて検討することによって、当業者にとって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】蒸気タービンの概略図である。
図2】いくつかのタービン段を示す蒸気タービンの一部の概略図である。
図3図2の蒸気タービンで使用され得るいくつかの制御されたフローガイドおよび制御されたフローランナーの平面図である。
図4】本明細書に記載され、公知の制御されたフローガイドと比較したいくつかの制御されたフローガイドの平面図である。
図5】マッハ数分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで図面を参照すると、いくつかの図を通して類似の符号は類似の要素を指しており、図1は蒸気タービン10の一例の概略図を示している。一般的に説明すると、蒸気タービン10は、高圧セクション15および中圧セクション20を含むことができる。他のセクションにおける他の圧力も、本明細書において使用可能である。外側シェルまたはケーシング25は、軸方向に上半分セクション30および下半分セクション35に分割することができる。ケーシング25の中央セクション40は、高圧蒸気入口45および中圧蒸気入口50を含むことができる。ケーシング25内で、高圧セクション15および中圧セクション20は、ロータまたはディスク55の周りに配置されてもよい。ディスク55はいくつかのベアリング60によって支持されてもよい。蒸気シールユニット65を、各々のベアリング60の内側に配置することができる。環状のセクション仕切り70は、中央セクション40からディスクに向かって半径方向内側に延在してもよい。仕切り70は、いくつかのパッキングケーシング75を含むことができる。他の構成要素および他の構成も、使用することが可能である。
【0011】
動作時に、高圧蒸気入口45は、蒸気源から高い圧力および蒸気を受け取る。蒸気は、ディスク55の回転によって蒸気から仕事が抽出されるように、高圧セクション15を通って導かれる。蒸気は、高圧セクション15を出て、その後、再加熱のために蒸気源に戻されてもよい。次いで、再加熱された蒸気を、中圧セクションの入口50に経路変更することができる。蒸気は、高圧セクション15に入る蒸気と比較して低い圧力であるが高圧セクション15に入る蒸気の温度にほぼ等しい温度で中圧セクション20に戻すことができる。したがって、高圧セクション15における動作圧力が中圧セクション20における動作圧力よりも高くなる可能性があるため、高圧セクション15内の蒸気は、高圧セクション15と中圧セクション20との間に生じ得る漏れ経路を通って、中圧セクション20に向かって流れる傾向がある。そのような漏れ経路の1つは、ディスクシャフト55の周りでパッキングケーシング75を貫通して延在する可能性がある。他の漏れが、蒸気シールユニット65および他の場所において生じる可能性がある。
【0012】
図2および図3は、蒸気または高温ガス経路120内に配置されたいくつかの段110を含む蒸気タービン100の一部の概略図を示す。第1段130は、いくつかの円周方向に離間された第1段の制御されたフローガイド140およびいくつかの円周方向に離間された第1段の制御されたフローランナー150を含むことができる。制御されたフローガイド140および制御されたフローランナー150は、ピッチ160、スロート170、および背面偏向角180を有することができ、ピッチ160は、隣接するガイド140および隣接するランナー150上の対応する点の間の円周方向の距離として定義され、スロート170は、隣接するガイド140の表面と隣接するランナー150の表面との間の最短距離として定義され、背面偏向角(BSD)180は、「カバーされない転回」、すなわち、負圧面スロートポイントと負圧面後縁ブレンドポイントとの間の角度の変化として定義される。
【0013】
第1段130は、円周方向に延在し、かつ第1段の制御されたフローランナー150を取り囲む第1段のシュラウド190を含むことができる。第1段のシュラウド190は、環状配置で互いに隣接して配置されたいくつかのシュラウドセグメントを含むことができる。同様に、第2段200は、いくつかの第2段の制御されたフローガイド210、いくつかの第2段の制御されたフローランナー220、および第2段の制御されたフローランナー220を囲む第2段のシュラウド230を含むことができる。制御されたフローガイド140は、インパルス技術ブレーディング(ITB)ガイド設計を有することができる。制御されたフローガイド140は、元の機器または改造品であってもよい。任意の数の段と、対応するガイドおよびランナーと、を含めることができる。他の実施形態は異なる構成を有してもよい。
【0014】
図4を参照すると、本明細書で説明され得るような制御されたフローガイド140が、それとの比較のために、その上に公知のガイド240が破線で重ねられて示されている。分かるように、制御されたフローガイド140は、公知のガイド240と比較して約30パーセント以上の幅の減少が与えられた場合、非常に高いピッチ対幅比を有することができる。面積の減少は、約25パーセントから約50パーセント程度になり得る。ピッチ対幅比は、約1.9を超える場合がある。そのような比は、全体的なプロファイル損失を減らすことができる。背面偏向角180は、約25度を超えて約38度までとすることができるが、約30度が好ましい。高い前方前縁スイープにより、端壁セクションの負荷が軽減され、二次流れと損失が減少する。上流流路比(Wup/W)250は、約0.4から0.7程度の範囲で比較的短くてもよいが、約0.6が好ましい。
【0015】
この設計は、非常に高い負圧側加速率を提供する。図5に示すように、負圧側加速率(dp/ds)260は、-0.05~-0.25バール/mm程度の範囲であってもよいが、約-0.2バール/mmが好ましい。負圧側加速260は、スロート170の上流でマッハ数分布(M/M)の驚くべき非直感的な上流「バンプ」270を有することができ、その分布は約1.01から約1.2の範囲の分布であるが、1.07が好ましい。
【0016】
したがって、負圧面でのこの非常に高い初期加速により、液滴サイズが小さくなり、熱力学的湿り損失が減少し、結果として生じる湿り損失が減少する。従来の設計と比較して、乾燥した段の効率の向上は約0.2%で、湿り損失を約20%低減することができる。全体的な設計は、従来の境界層の形状係数などに安全に近づくか、またはそれをいくらか超える場合さえある。
【0017】
上記は、本願および結果として得られる特許の特定の実施形態のみに関するものであることは明らかである。当業者であれば、以下の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される本発明の一般的な趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書において数多くの変更および修正を行うことができる。
【符号の説明】
【0018】
10 蒸気タービン
15 高圧セクション
20 中圧セクション
25 ケーシング
30 上半分セクション
35 下半分セクション
40 中央セクション
45 高圧蒸気入口
50 中圧蒸気入口、中圧セクションの入口
55 ディスク、ディスクシャフト
60 ベアリング
65 蒸気シールユニット
70 環状のセクション仕切り
75 パッキングケーシング
100 蒸気タービン
110 段
120 高温ガス経路
130 第1段
140 第1段の制御されたフローガイド
150 第1段の制御されたフローランナー
160 ピッチ
170 スロート
180 背面偏向角
190 第1段のシュラウド
200 第2段
210 第2段の制御されたフローガイド
220 第2段の制御されたフローランナー
230 第2段のシュラウド
240 公知のガイド
260 負圧側加速率、負圧側加速
図1
図2
図3
図4
図5