(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】プラズマアプリケータ
(51)【国際特許分類】
H05H 1/24 20060101AFI20240508BHJP
B01J 19/08 20060101ALI20240508BHJP
A61L 2/14 20060101ALI20240508BHJP
A61N 1/44 20060101ALN20240508BHJP
【FI】
H05H1/24
B01J19/08 E
A61L2/14
A61N1/44
(21)【出願番号】P 2021500352
(86)(22)【出願日】2019-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2019057338
(87)【国際公開番号】W WO2019180257
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-03-22
(31)【優先権主張番号】102018107049.7
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102018121978.4
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102018122309.9
(32)【優先日】2018-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520365104
【氏名又は名称】コールドプラズマテック ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】COLDPLASMATECH GmbH
【住所又は居所原語表記】Bahnhofstrasse 31/32, 17489 Greifswald, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ポーラク
(72)【発明者】
【氏名】ローベルト バナシク
(72)【発明者】
【氏名】アクセル キューレ
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ギューラ
(72)【発明者】
【氏名】カーステン マーレンホルツ
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-076518(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0271225(US,A1)
【文献】国際公開第2011/108410(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0133642(KR,A)
【文献】特表2017-533060(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0331989(US,A1)
【文献】英国特許出願公開第02551890(GB,A)
【文献】国際公開第2018/127255(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102017116305(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00-1/54
B01J 19/08
A61L 2/14
A61N 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間及び/又は動物、及び/又は技術的表面を処置する冷大気圧又は低圧プラズマを生成する電子技術コアを備える電源ユニットおよびプラズマアプリケータであって、前記電子技術コアは、前記処置表面に面する側と、前記処置表面から離れる方に向いた側とを有し、前記処置表面に面する表面から始まってそれぞれの上に配置される以下の層、すなわち、
第1の絶縁層と、
第1の電極構造であって、前記第1の電極構造と前記電源ユニットとの間に電気接触を確立する第1の接点が設けられ、動作中、接地される、第1の電極構造と、
前記第1の電極構造と第2の電極構造とを互いからガルバニック絶縁するように構成される第2の絶縁層と、
第2の電極構造であって、前記第2の電極構造と前記電源ユニットとの間に電気接触を確立する第2の接点が設けられ、動作中、前記電源ユニットにより供給され、プラズマを点火させるのに十分な電圧信号により駆動される、第2の電極構造と、
前記第2の電極構造と第3の電極構造とを互いからガルバニック絶縁するように構成される第3の絶縁層と、
第3の電極構造であって、動作中、前記第3の電極構造を接地させるために第3の接点が設けられた、第3の電極構造と、
を備え、
前記プラズマアプリケータが、前記プラズマアプリケータの使用の結果として、前記プラズマアプリケータがもはや使用できないように特徴が変化する、前記プラズマアプリケータの1回使用を保証することができる少なくとも一つの手段を有し、
前記プラズマアプリケータは、読み取ることができるメモリを有し、前記メモリ上に特別なコード又はハッシュ値を記憶するように構成されており、
前記電源ユニットが、読み取られたプラズマアプリケータが既に使用済みであるか否か、又は特定のプラズマ処置に適しているか否かをチェックするように構成されており、
読み/書きデバイスが、プラズマ処置の後に、前記コードまたはハッシュ値を有する前記メモリを破壊するか、又は新しい値を前記メモリに書き込むように構成されている、
電源ユニットおよびプラズマアプリケータ。
【請求項2】
プラグイン装置を備え、前記第1の接点及び前記第2の接点は前記プラグイン装置の第1の導体トラック及び第2の導体トラックをそれぞれ形成し、前記導体トラックはそれぞれ、対応する前記
第1の電極構造
及び前記第2の電極構造のそれぞれの長手方向側から前記電子技術コアの同じ長手方向側において突出し、前記プラグイン装置は絶縁タブを更に備え、前記絶縁タブは対応して前記第2の絶縁層に接続され、前記第1の導体トラック及び前記第2の導体トラックは、前記絶縁タブにより互いからガルバニック絶縁される、請求項1に記載の電源ユニットおよびプラズマアプリケータ。
【請求項3】
1回使用を保証する前記手段は、前記プラズマアプリケータに内蔵されたRFIDトランスポンダを有し、前記RFIDトランスポンダは、接続された前記電源ユニットが、動作中、接続された前記プラズマアプリケータへの電力出力を阻止するように促す情報を提供するように構成されている、請求項1または2に記載の電源ユニットおよびプラズマアプリケータ。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載され
た電源ユニットおよびプラズマアプリケータであって、前記電子技術コアは、電子技術コアがポケットに挿入され、次に少なくとも部分的にエンクロージャにより囲まれるように構成される前記ポケットを有する前記エンクロージャを更に備える、電源ユニットおよびプラズマアプリケータ。
【請求項5】
前記エンクロージャは、生体適合性材料により形成される、請求項4に記載の電源ユニットおよびプラズマアプリケータ。
【請求項6】
前記エンクロージャは、医療用シリコーン、ラッカー、接着剤、薄膜、織物、圧縮織物、又は有機材料により形成される、請求項4に記載の電源ユニットおよびプラズマアプリケータ。
【請求項7】
前記エンクロージャは、ガーゼ、セルロース、又は綿により形成される、請求項4に記載の電源ユニットおよびプラズマアプリケータ。
【請求項8】
前記エンクロージャは、液体吸収材料、及び/又は液体除去材料、及び/又は液体分配材料を有する少なくとも1つの層を備える、請求項4から7までのいずれか1項に記載の電源ユニットおよびプラズマアプリケータ。
【請求項9】
前記エンクロージャは、前記処置表面から離れる方に面する前記プラズマアプリケータの側に配置された挿入スロットを備え、前記挿入スロットは、前記挿入スロットに対して相補的に電源ユニットを前記挿入スロットに挿入し、次に前記電子技術コアの前記接点に電気的に接続することができるように構成される、請求項4から8までのいずれか1項に記載の電源ユニットおよびプラズマアプリケータ。
【請求項10】
前記プラズマアプリケータはアクセスポートを備え、前記アクセスポートは、プラズマ処置中、前記電子技術コアと前記処置表面との間に前記エンクロージャにより形成される封止されたガス空間に流体媒体を供給することができ、又は前記封止されたガス空間から流体媒体を除去することができるように配置され及び構成される、請求項4から9までのいずれか1項に記載の電源ユニットおよびプラズマアプリケータ。
【請求項11】
前記プラズマアプリケータは、処置表面に面する前記プラズマアプリケータの側に面ファスナーの返しがついたフック占有部を備える、請求項1から10までのいずれか1項に記載の電源ユニットおよびプラズマアプリケータ。
【請求項12】
前記プラズマアプリケータは、動作中、前記第2の電極構造にプラズマを点火するのに十分な電圧信号を送信するために、前記電子技術コアの前記接点に電気的に接続されるエネルギー貯蔵器を備えた統合電源ユニットを備える、請求項1から11までのいずれか1項に記載の電源ユニットおよびプラズマアプリケータ。
【請求項13】
前記統合電源ユニットは、前記エネルギー貯蔵器により提供される電圧をプラズマの点火に十分な電圧信号に変換し、前記電圧信号を前記第2の電極構造の前記接点に送信するように構成される電気回路を備える、請求項12に記載の電源ユニットおよびプラズマアプリケータ。
【請求項14】
前記プラズマアプリケータは、前記第2の電極構造の少なくとも前記接点に電気的に接続される受電装置を備え、前記受電装置は1つ又は複数の受信コイル装置をそれぞれ含み、電磁誘導により配電装置の送信コイル装置から前記プラズマアプリケータにおける前記受信コイル装置に電気エネルギーを伝達することができる、請求項12又は13に記載の電源ユニットおよびプラズマアプリケータ。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項に記載のプラズマアプリケータの、電源ユニットと併せた使用であって、前記電源ユニットが、読み取られたプラズマアプリケータが既に使用済みであるか否か、又は特定のプラズマ処置に適しているか否かをチェックすることを特徴とする、プラズマアプリケータの、電源ユニットと併せた使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間若しくは動物、又は技術的表面を処置する冷プラズマを生成するプラズマアプリケータに関する。本発明は更に、プラズマアプリケータ用の電子技術コアに関する。
【背景技術】
【0002】
動作のために、プラズマアプリケータは通常、ケーブルを介して電源ユニット、例えば高電圧生成器に接続され、電源ユニット、例えば高電圧生成器は、物理的プラズマの点火に十分な電圧信号を提供する。電源ユニットは、例えば、電流、電圧、又は処置時間を制御するコントローラを備えることができる。
【0003】
プラズマアプリケータは通常、電子技術コアを備える。電子技術コアは層厚方向において、以下の層を連続して含む多層システムを備える:第1の絶縁層、第1の電極構造、第2の絶縁層、特に誘電層、第2の電極構造。そのような電子技術コアを有するプラズマアプリケータが、処置表面に配置される場合、第1の絶縁層は、最下層として、処置表面にあてがわれる。通常、第2の電極構造は通常、電圧信号により能動的に駆動され、多くの場合、表面電極として実施される。一般に、第1の電極構造は対電極を形成し、接地電位である。
【0004】
電圧は、変調され得、通常、変調され、動作中、第2の電極構造と対電極との間に印加され、対電極は、処置表面により形成されることがある。
【0005】
対電極の電位は、接地電位又は接地電位からずれた電位であることができる。本明細書では、電圧信号は、正弦、三角、又は矩形変調され得る印加電圧を指す。更に、電圧信号は個々のパルスで構成することもできる。
【0006】
簡潔にするために、この説明では何度も「被駆動」電極構造を参照する。電圧-すなわち、電圧信号-は常に、被駆動電極構造と対電極との間に印加される。対電極は通常-しかし必ずそうであるわけではないが-接地電位であるため、簡易化された表現「電圧信号は被駆動電極構造に印加される」が、印加された電圧が被駆動電極構造と対電極との間で作用することを記述するために使用される。
【0007】
一般に、電子技術コアは、第1の電極構造に導電的に接続される接地コネクタと、第2の電極構造に導電的に接続される高電圧コネクタとを備える。第1及び第2の電極構造は通常、接地コネクタ及び高電圧コネクタにおけるケーブルを介して電源ユニットに接続され、上記電源ユニットは、動作中、プラズマを点火するのに十分な電圧信号を提供し、第2の電極構造に送信する。
【0008】
第2の絶縁層は通常、第1の電極構造と第2の電極構造との間に配置され、第1及び第2の電極構造を互いから電気的に絶縁する。したがって、第2の絶縁層は、ガルバニック絶縁により第1の電極構造と第2の電極構造との間の短絡回路を阻止する。電圧信号の形態で第2の電極構造に印加される電圧により、空気等の供給されたガス又はガス混合物はイオン化され、プラズマアプリケータと処置表面との間に形成された封止ガス空間において反応状態に変換される。したがって、物理的プラズマが生成される。プラズマは封止ガス空間において均一に分散し、処置表面と相互作用する。
【0009】
第2の電極構造及び第2の絶縁層のみを含む電子技術コアも既知である。その場合、第2の絶縁層は、動作中、処置表面に面する側に配置される。第1の電極構造は、特に、そのような電子技術コアでは提供されず、その代わり、接地電極の機能は、動作中、人間若しくは動物の体又は処置表面自体により実現される。例として、そのような電子技術コアは独国特許出願公開第10 2017 100 161 A1号明細書に記載されている。この場合、処置表面は対電極を形成する。
【0010】
固体、液体、及び気体という物質の3つの状態に加えて、プラズマは物質の第4の状態と呼ばれる。例えば電気エネルギーの形態の十分な量のエネルギーがガス又はガス混合物に供給される場合、ガス中の原子の幾つかはイオン化され、すなわち、電子は電子殻から出て自由粒子として移動し、正帯電原子から離れる。ガスが十分に高い割合の遊離イオン及び遊離電子からなる場合、物質の状態は物理的プラズマと呼ばれる。したがって、物理的プラズマは、構成物質の幾つかが、自由電荷キャリアとして移動する帯電成分、イオン、及び電子である物質である。
【0011】
衝突プロセスは、イオン化ガス又はガス混合物の幾つかの原子を励起可能状態にさせる。脱励起すると、これらの原子はエネルギーを電磁放射の形態で放出し、そのスペクトルは、UV範囲から可視スペクトル範囲を介してIR範囲まで及ぶ。更に、励起原子及びイオンは化学的に相互作用し、結合して新しい分子を形成することができる。
【0012】
プラズマを生成するために、プラズマジェット、トーチ、コロナ放電、及び誘電バリア放電(DBD)が既知である。誘電バリア放電(DBD)の場合、プラズマは通常、熱平衡から遠く、大気圧で生成される。AC電圧が印加されると、各周期で小さな放電チャネルが形成される。放電チャネルは放電電圧全体の一部のみを構成し、放電の持続時間は容量結合により著しく制約されるため、放電における平均ガス温度は室温近くのままである。したがって、誘電バリア放電(DBD)により大気圧又は低圧での冷プラズマを生成することができる。大気圧プラズマは、プラズマ中のガス圧が周囲大気のガス圧に概ね対応する物理的プラズマの特殊事例-いわゆる常圧-と呼ばれる。プラズマ中のガス圧が大気圧よりも低い場合、これは低圧プラズマと呼ばれる。冷プラズマは、40℃未満の温度を有し、現在、プラズマ医学での適用について調べられており、既にその最初の用途を見出している。
【0013】
プラズマ医学の主な目標は、プラズマの治療的使用にあり、すなわち、物理的プラズマは人間又は動物の体に直接適用されるべきである。ここでの主な標的は、バイオ関連表面のプラズマ支援改変、プラズマベースの生物学的浄化/滅菌、及び創傷治癒を促す治療的直接使用である。
【0014】
可能な適用は、まず、抗菌作用の分野にあり、次に、哺乳類細胞及び組織の標的化された制御可能な改変の分野にある。医療プラズマ適用は、特に慢性創傷の治療、感染皮膚疾患の治療、及び炎症性皮膚疾患(皮膚炎)の治療にフォーカスして、特に治癒プロセスのサポートの状況で考察される。
【0015】
現状の研究によれば、冷プラズマの主活性成分は、反応性窒素種、反応性酸素種、UV放射線、帯電粒子、及び電場である。反応性窒素種及び反応性酸素種は、それ自体は生物学的に有効ではないガス(アルゴン、ヘリウム、窒素、酸素、空気、及びそれらの混合物)に電気エネルギーを結合し、続けて隣接媒体(大気、液体、表面)と相互作用することにより短期局所的に形成される。それにより、電場及び電場により生じる電気信号は、体に本来備わっている治癒プロセスの調整において重要な役割を果たす。損傷の場合、これらの信号は、体が上記損傷周囲で受けとる第1の信号の幾つかである。したがって、例えば、創傷の電気刺激は、標的化の方法で体に本来備わっている生理学的修復プロセスを活性化及び維持する、認識されている治療法である。
【0016】
ここでは、冷大気圧プラズマを使用して人間及び/又は動物の表面、特に創傷を完全且つ均一に処置できるようにする平坦プラズマ適用が特に医療的に興味深い。
【0017】
独国特許出願公開第10 2014 220 488 A1号明細書には、人間及び/又は動物の表面を治療するために冷大気圧プラズマを生成する装置が記載されている。この装置は、処置表面に面する側と、処置表面から離れる方に向いた側とを有する可撓性平坦多層システムを含む。多層システムは、電子技術コアを形成し、以下の層を含む:
-多層システムの背く側(averted side)における第1の電極層、
-多層システムの面する側における第2の電極層であって、この電極層は複数の切り欠き、グリッド様、又は蛇行実施形態を有する、第2の電極層、
-第1の電極層と第2の電極層との間に配置される誘電層、及び
-多層システムの面する側に第2の電極層に隣接して配置されるスペーサ層であって、動作中、処置表面と下部に配置された第2の電極層との間の距離を保証する、スペーサ層。
【0018】
記載される装置は、特に200cm2超の創傷の大面積創傷治療を促進するはずである。
【0019】
冷大気圧プラズマを生成するために、独国特許出願公開第10 2014 220 488 A1号明細書に記載される装置は通常、高電圧を第1の電極層に伝達するために、ケーブルを介して高電圧生成器に接続される。通常、高電圧を伝達するケーブルは、高電圧に適したプラグイン装置により、独国特許出願公開第10 2014 220 488 A1号明細書に記載される装置の電極層に接続することができる。
【0020】
独国特許出願公開第10 2015 101 391 B4号明細書には、電極キャリア、第1の電極、及び第2の電極を備えたプラズマ生成デバイスが記載されている。第1の電極は電極キャリア上又は電極キャリア内に配置される。更に、第1の電極は、電極の少なくとも1つに電気接触する高電圧に適したプラグ接触接続を備える。プラグ接触接続は、プラグと、プラグを受けるプラグインソケットとを備える。プラグインソケットは、電極キャリア上又は電極キャリア内に固定して配置され、電極の1つに導電接続される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、改善されたプラズマアプリケータを促進することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
第1の態様によれば、目的は、人間及び/又は動物、及び/又は技術的表面を処置する冷大気圧又は低圧プラズマを生成する電子技術コアにより達成される。
【0023】
電子技術コアは、処置表面に面する側と、処置表面から離れる方に向いた側とを有し、処置表面に面する表面から始まって互いの上に配置される以下の層を備える:
-第1の絶縁層、
-第1の電極構造であって、第1の電極構造と電源ユニットとの間に電気接触を確立する第1の接点が設けられ、動作中、接地される、第1の電極構造、
-第1の電極構造と第2の電極構造とを互いからガルバニック絶縁するように実施される第2の絶縁層、
-第2の電極構造であって、第2の電極構造と電源ユニットとの間に電気接触を確立する第2の接点が設けられ、動作中、電源ユニットにより供給され、プラズマを点火させるのに十分な電圧信号により駆動される、第2の電極構造、
-第2の電極構造と第3の電極構造とを互いからガルバニック絶縁するように実施される第3の絶縁層、並びに
-第3の電極構造であって、動作中、第3の電極構造を接地させるために第3の接点が設けられた、第3の電極構造。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、電子技術コアがそれ自体触れることが安全なように設計される場合、従来のプラズマアプリケータの垂直集積を低減することができるという発見に基づく。電子技術コア自体が既に接触保護を提供する場合、製造が複雑である、触れるのが安全なエンクロージャを省くことが可能であり、1つの射出成形された層のみを含み、それ自体は接触保護を保証しない、代替のエンクロージャを使用することが可能である。
【0025】
それ自体に触れることが既に安全な電子技術コアを、独立したモジュールとして使用することができることを本発明者らは認識した。すなわち、そのような電子技術コアは、接触保護に関していかなる特別な要件もエンクロージャに課すことなく、種々のエンクロージャに挿入することができ、又は種々のエンクロージャに配置することができる。
【0026】
電子技術コアが、処置表面から離れる方に向いた側に、接地電極の機能を満たす第3の電極構造を備える場合、接触保護及びEMCシールドを特に容易に保証することができることを本発明者らは更に認識した。その場合、第3の絶縁層は第2の電極構造と第3の電極構造との間に配置され、第2及び第3の電極構造を互いから電気的に絶縁する。したがって、第3の絶縁層は、ガルバニック絶縁により、動作中、電圧が印加される第2の電極構造とシールドする第3の電極構造との間の短絡回路を阻止する。
【0027】
第1の態様による電子技術コアの好ましい実施形態
第3の電極構造は、好ましくは、シールド効果を有するように実施される。第3の電極構造は、好ましくは、比較的大きなギャップのない表面電極として実施される。これとは対照的に、第1の電極構造は、好ましくは、特別なジオメトリを有し、適宜高い電場強度が、好ましくは第2の電極構造から離れる方に向いた側で電極セクションに形成され、それにより、生成されたプラズマが、第1の電極構造の体に面する側で表面プラズマとして分布するように実施される。これは、例えば、第1の電極構造の電極セクション間の適切な距離により形成することができる、対応して大きなギャップを有する第1の電極構造により達成することができる。第1の電極構造は、使用中、処置表面の最も近くに配置される電極構造である。動作中、プラズマは第1の電極構造において直接、すなわち、体と第1の電極構造との間に形成される。これは、第1の電極構造が、力線が電子技術コアから出てくることができる-「力線」概念が考慮される場合-切り欠きを有する場合、上手くいく。
【0028】
第1の絶縁層は、好ましくは、生体適合性材料(biokompatiblen Material)により形成される。
【0029】
第2の電極構造も同様に、特別なジオメトリを有することができ、特にその場合、第1の電極構造との定義された重複を有して配置することができる。
【0030】
電子技術コアは、可撓性実施形態が、プラズマ処置のために、処置表面の形状に対するその形状に関して適合することができるような可撓性実施形態を有することができる。
【0031】
電子技術コアはまた、既に、例えば特定の体部位又は特定の技術的表面のプラズマ処置に特に適し得る指定された形状で剛的に実施することもできる。
【0032】
例として、電子技術コアの基本形は、角のある形状、円形、又は任意の多角形であることができる。
【0033】
一実施形態では、電子技術コアはプラグイン装置(Steckvorrichtung)を備え、第1及び第2の電極構造の第1及び第2の接点はそれぞれ、したがって、プラグイン装置の第1及び第2の導体トラックを形成する。導体トラックはそれぞれ、好ましくは、対応する電極構造のそれぞれの長手方向側から電子技術コアの同じ長手方向側において突出する。プラグイン装置は、好ましくは、タブを更に備え、タブはしたがって第2の絶縁層に接続される。好ましくは、第1及び第2の導体トラックは、タブにより互いからガルバニック絶縁される。
【0034】
一実施形態では、電子技術コアはスペーサ構造(Distanzstruktur)を更に備え、プラズマ処置中、スペーサ構造は、スペーサ構造が処置表面と第1の絶縁層との間に配置されるように、処置表面に面する電子技術コアの側において第1の絶縁層に隣接して配置される。
【0035】
スペーサ構造は、生体適合性材料により形成することができる。例として、スペーサ構造は蜂の巣形又はX字形、O字形、Z字形、M字形、E字形、又はW字形を有することができる。
【0036】
電子技術コアの接点又は電極構造は、初回使用の結果として、第2の電極構造に対してプラズマを点火するのに十分な電圧信号を送信することがもはやできないように変わる少なくとも1つの特徴を有することもできる。これは、電子技術コアの1回使用を保証することができる。例として、そのような特徴は、電極構造の電極セクションのテーパであることができ、テーパは、初回使用の終了直前、そのポイントに提供される高電流パルスにより破壊される。1回使用の態様についてより詳細に後述する。
【0037】
更なる態様
何れの場合でもそれ自体で且つ他の更なる態様から独立して、改善されたプラズマアプリケータに寄与することができる更なる態様について以下に説明する。
【0038】
更なる態様は、使用の結果として、電子技術コアにプラズマを点火するのに十分な電圧信号を送信することがもはやできないように変わる特徴に関する。この特徴は、本明細書における残りの態様と組み合わせて又は本明細書の態様から独立して、様々なプラズマアプリケータで、特に、プラズマアプリケータの様々な電子技術コア又はプラグイン装置で実現することができる。
【0039】
この態様は、それ自体、改善されたプラズマアプリケータに寄与することができ、使用の結果として、電子技術コアにプラズマを点火するのに十分な電圧信号を送信することがもはやできないように変わる少なくとも1つの特徴を有する接点又は電極構造からなる。使用の結果として、電子技術コアにプラズマを点火するのに十分な電圧信号を送信することがもはやできないように変わる特徴は、プラズマ適用が1回のみ使用されることを保証するように機能する。
【0040】
この態様は、好ましくは、本明細書に記載されるタイプの電子技術コアで、特に第1の態様による電子技術コアで実現することができるが、他のプラズマアプリケータで実現することもできる。特に、別のプラズマアプリケータは、適用中、処置表面により対電極が実現されるように、第2の電極構造及び第2の絶縁層のみを有する電子技術コアを備えることができる。別のプラズマアプリケータはまた、第1の絶縁層、第1の電極構造、第2の絶縁層、及び第2の電極構造を有する電子技術コアを備えることもできる。電子技術コアでの1回使用を保証する特徴は、好ましくは、動作中、電圧信号が印加される電極構造の構成部品として実現される。
【0041】
この態様の一実施形態変形では、特徴は、電極構造の接点又は電極セクションのテーパにより形成され、テーパは、初回使用の終了直前、そのポイントに提供される高電流パルスにより破壊される。
【0042】
代替又は追加として、例えば、例えばメモリチップの形態でメモリを提供することができ、初回の使用及び読み出し後、各適用前、メモリの中味は変更される。
【0043】
1回使用を保証する特徴を有するプラズマアプリケータはまた、ワイヤメッシュ、ワイヤクロス、又はワイヤネットにより形成される電子技術コアを備えることもできる。
【0044】
任意選択的に、1回使用を保証する特徴を有するプラズマアプリケータはそれぞれ、エンクロージャ、及び/又は距離構造、及び/又はガス空間への及びガス空間からの流体媒体の供給及び除去を行うためのアクセスポートを備えることができる。任意選択的に、1回使用を保証する特徴を有するプラズマアプリケータは、統合電源ユニットを備えることもできる。
【0045】
プラズマアプリケータが1回のみ使用可能であることを保証するように機能する少なくとも1つの特徴を有するプラズマアプリケータは、少なくとも1つのセンサを備えることもでき、少なくとも1つのセンサは、動作中、プラズマ処置及び/又は創傷治癒に関連する測定変数、特に、使用中、プラズマアプリケータにより覆われる体部位の生理学的測定変数及び/又は物理的測定変数を捕捉し出力するように実施される。
【0046】
それ自体及び本明細書に記載される残りの態様から独立して又はそれらと組み合わせて、改善されたプラズマアプリケータに寄与することができる更なる態様は、パケットを有するエンクロージャに関し、電子技術コアは着脱可能に配置することができる。ポケットを有するエンクロージャは、異なるプラズマアプリケータの構成部品として実現することができ、とりわけ、1回使用に関連する態様と組み合わせることもできる。
【0047】
この態様によれば、目的は、電子技術コアと、ポケットを有するエンクロージャとを有するプラズマアプリケータにより達成される。ポケットは、好ましくは、電子技術コアを上記ポケットに挿入し、次に、エンクロージャにより少なくとも部分的に囲むことができるように実施される。ポケットに挿入することができる電子技術コアは、好ましくは、記載した第1の態様の実施形態の少なくとも1つに従って実施される。しかしながら、ポケットに挿入することができる電子技術コアは、第1の態様からずれた設計を有する電子技術コアであることもできる。例として、そのような電子技術コアは、第2の電極構造及び第2の絶縁層のみを備えた電子技術コアであることができる。ポケットに挿入することができ、第1の絶縁層、第1の電極構造、第2の絶縁層、及び第2の電極構造のみを備えた電子技術コアを考えることも可能である。ポケットを有するエンクロージャを備えたプラズマアプリケータは、ワイヤメッシュ、ワイヤクロス、又はワイヤネットにより形成され、ポケットに挿入される電子技術コアを備えることもできる。任意選択的に、ポケットを有するエンクロージャを備えたプラズマアプリケータは、スペーサ構造及び/又は流体媒体のアクセスポートを備えることができる。任意選択的に、ポケットを有するエンクロージャを備えたプラズマアプリケータは、統合電源ユニットを備えることもできる。ポケットを有するエンクロージャを備えたプラズマアプリケータは、使用の結果として、第2の電極構造にプラズマを点火するのに十分な電圧信号を送信することがもはやできないように変わる少なくとも1つの特徴を有する接点又は電極構造を備えることもできる。エンクロージャは、好ましくは、生体適合性材料により形成される。特に、第1の態様による電子技術コア等の電子技術コア自体が接触保護を保証する場合、エンクロージャは単層実施形態を有することができ、接触保護を提供しない。エンクロージャは、シリコーン、及び/又はラッカー、及び/又はパリレンコーティングを備えることができる。エンクロージャはまた、返しがあるフックにより占有された領域を有することもでき、そこで、プラズマアプリケータを織物、例えばバンデージに留めることができる。プラズマアプリケータはまた、片面に接着層を備え、他面は返しがあるフックで占有された別個の層を備えることもできる。接着層が配置される側面を用いて、この層をプラズマアプリケータに留めることができ、次に、プラズマアプリケータを、返しがあるフックで占有された側面で織物の層に留めることができる。原理上、片面に接着層を有し、返しがあるフックで占有された他面を有するそのような層はまた、織物に解放可能に留められるべきである、本明細書に記載されるプラズマアプリケータの任意の他の1つとの併用にも適する。
【0048】
電子技術コアと、ポケットを有するエンクロージャとを有するプラズマアプリケータはまた、少なくとも1つのセンサを備えることもでき、少なくとも1つのセンサは、動作中、プラズマ処置及び/又は創傷治癒に関連する測定変数、特に、使用中、プラズマアプリケータにより覆われる体部位の生理学的測定変数及び/又は物理的測定変数を捕捉し出力するように実施される。
【0049】
それ自体及び本明細書に記載される残りの態様から独立してか、又はそれらの態様の1つ若しくは複数と組み合わせての両方で、改善されたプラズマアプリケータに寄与することができる更なる態様は、バッグに配置されたプラズマアプリケータに関する。プラズマアプリケータは、種々の変形で実現することができ、例えば、ポケットを有するエンクロージャ及び/又は1回使用を保証する特徴を備えることもできる。追加又は代替として、プラズマアプリケータは、第1の態様による電子技術コアを備えることもできる。
【0050】
したがって、この態様は、電子技術コア及びエンクロージャを備え、特定の体部位、例えば足を囲むように提供されたバッグに固定され、したがって、封止されたガス空間(abgeschlossenen Gasraum)を形成するプラズマアプリケータに関する。バッグは薄い膜により形成することができる。プラズマ処置のために、処置する足はバッグに押しこまれ得る。次に、バッグは例えば、例えばゴムバンド又はストラップにより足首の上に固定されて、封止ガス空間を形成することができる。バッグは少なくとも1つの穴を有することができ、好ましくは、穴は直径1cm~8cmを有する。プラズマアプリケータは、プラズマアプリケータが穴を覆うように配置される。プラズマアプリケータは、好ましくは、電子技術コアが穴に隣接するように穴の上に配置される。穴に面する側で、少なくとも1つの穴を囲むようにプラズマアプリケータをプラズマアプリケータの外縁部においてバッグに固定することができる。使用中、点火されたプラズマは穴を通してバッグに入ることができ、処置表面と相互作用することができる。したがって、これは、例えば、足又は少なくとも足の下側の大面積処置を促進する。
【0051】
それ自体及び本明細書に記載される残りの態様から独立して又は個々の態様若しくは複数のこれらの態様と組み合わせて、改善されたプラズマアプリケータに寄与することができる更なる態様は、アクセスポートに関する。アクセスポートは、種々のプラズマアプリケータの構成部品として実現することができる。例として、この態様によるアクセスポートを備えたプラズマアプリケータは、第1の態様に従って実施される電子技術コア、及び/又はポケットを有するエンクロージャ、及び/又は1回使用を保証する特徴を備えることができる。
【0052】
したがって、この態様によれば、プラズマアプリケータはアクセスポートを備え、アクセスポートは、プラズマ処置前、プラズマ処置中、及び/又はプラズマ処置後、電子技術コアと処置表面との間にエンクロージャにより形成された封止ガス空間に対して流体媒体の供給又は除去を行えるように配置され実施される。流体媒体は気体媒体、及び/又は液体媒体、及び/又は例えば、可溶性マイクロ粒子及び/又は不溶性マイクロ粒子の形態の固体構成物質が追加された液体媒体である。アクセスポートを有するプラズマアプリケータは、様々な設計を有することができ、特に、種々の電子技術コアを有して実現することができる。アクセスポートを有するこのプラズマアプリケータの電子技術コアは、好ましくは、可撓性実施形態を有し、様々な基本形状、例えば円又は四辺形で実現することができる。アクセスポートを有するプラズマアプリケータの電子技術コアの電極構造は、特定のジオメトリを有することができる。電子技術コアが、特定のジオメトリを有する少なくとも2つの電極構造を備える場合、2つの電極構造の電極セクションは、例えば、互いに定義された重複がある状態で配置することができる。特に、アクセスポートを有するプラズマアプリケータの電子技術コアは、第2の電極構造及び第2の絶縁層のみの、若しくは第1の絶縁層、第1の電極構造、第2の絶縁層、及び第2の電極構造のみの電極構造を備えることができ、又は上述した第1の態様に従って実施することができる。アクセスポートを有するプラズマアプリケータの電子技術コアはまた、ワイヤメッシュ、ワイヤクロス、又はワイヤネットにより形成することもできる。例として、適した電子技術コアは、電極構造の片面又は両面にそれぞれプリントされた、絶縁層を表す電極キャリアにより生産することができる。これは、ロータリースクリーンプリント法を使用して実行することができる。更に、アクセスポートは弁及び/又はソケット若しくはソケットの嵌め合いねじを備えることができる。
【0053】
アクセスポートを有するプラズマアプリケータはまた、使用の結果として、第2の電極構造にプラズマを点火するのに十分な電圧信号を送信することがもはやできないように変わる少なくとも1つの特徴を有する接点又は電極構造を備えることもできる。
【0054】
好ましくは、アクセスポートを有するプラズマアプリケータのエンクロージャは、電子技術コアを少なくとも部分的に囲むことができる。アクセスポートを有するプラズマアプリケータはまたポケットを有するエンクロージャを備えることもでき、ポケットに電子技術コアを挿入することができる。好ましくは、アクセスポートを有するプラズマアプリケータのエンクロージャは、生体適合性材料により形成される。例として、エンクロージャはシリコーン、ラッカー、織物、及び/又はパリレンコーティングを備えることができる。エンクロージャはまた、VAC薄膜を備えることもできる。電子技術コア自体が既に、接触するのが安全な実施形態を有する場合、エンクロージャは、単層実施形態を有することができ、エンクロージャ自体が接触保護を保証する必要がないように設計することができる。エンクロージャはまたアクセスポートを備えることもでき、アクセスポートにより、流体媒体を封止ガス空間から排出することができる。アクセスポートを有するプラズマアプリケータはまた、統合電源ユニットを備えることもできる。アクセスポートを有するプラズマアプリケータはまた、スペーサ構造を備えることもできる。スペーサ構造は、好ましくは、生体適合性材料により形成される。例として、スペーサ構造はVAC発泡体により形成することができる。アクセスポートを有するプラズマアプリケータはまた接着層を備えることもでき、接着層は、好ましくは、処置表面に面するプラズマアプリケータの側の最後の層として配置され、処置表面にプラズマアプリケータを固定するように実施される。アクセスポートを有するプラズマアプリケータはまた、電子技術コアにしっかりと接続することができるプラグイン装置を備えることもできる。プラグイン装置は、好ましくは、タグ形実施形態を有する。アクセスポートを有するプラズマアプリケータはまた、使用中、測定変数を捕捉し出力するように実施される少なくとも1つのセンサを備えることもでき、上記測定変数は、プラズマ処置及び/又は創傷治癒、特に、使用中、プラズマアプリケータにより覆われる体部位の生理学的測定変数及び/又は物理的測定変数に関連する。
【0055】
アクセスポートを有するプラズマアプリケータはまた、処置目的で、比較的長期間にわたり、特に創傷の治癒に必要な時間期間にわたり、処置表面に留まるように実施することもできる。アクセスポートを有するそのようなプラズマアプリケータは、処置表面を封止するように実施することができる。アクセスポートを有する、封止用に提供されるそのようなプラズマアプリケータの場合、接着層は、好ましくは、シリコーン又はPU接着剤により形成され、エンクロージャは空気不透過性材料により形成される。特に、接着層は、UV光露出又はアルコールとの接触により接着性を失う接着剤を含むことができる。
【0056】
それ自体及び本明細書に記載される残りの態様から独立して又は個々の態様若しくは複数のこれらの態様と組み合わせて、改善されたプラズマアプリケータに寄与することができる更なる態様は、統合電源ユニットに関する。この態様による電源ユニットは、種々のプラズマアプリケータに統合することができる。例として、電源ユニットは、第1の態様により実施されるアクセスポート及び/又は電子技術コア、及び/又はポケットを有するエンクロージャ、及び/又は1回使用を保証する特徴を備えたプラズマアプリケータに統合することができる。
【0057】
この態様は、統合電源ユニットを有するプラズマアプリケータにより実現することができ、統合電源ユニットは、プラズマアプリケータの電子技術コアに電気的に接続され、動作中、電子技術コアの電極構造へのプラズマの点火に十分な電圧信号を送信するように実施されるエネルギー貯蔵器を備える。例として、エネルギー貯蔵器は蓄積器、電池、又はキャパシタであることができる。プラズマアプリケータに統合されるこのタイプの電源ユニットは、種々のタイプのプラズマアプリケータと組み合わせて実施することができる。特に、この態様のプラズマアプリケータの電子技術コアは、第2の電極構造及び第2の絶縁層のみを、若しくは第1の絶縁層、第1の電極構造、第2の絶縁層、及び第2の電極構造のみを備えることができ、又は上述した第1の態様に従って実施することができる。ロータリースクリーンプリント法を使用して適した電子技術コアを生産することができ、この方法では、各電極構造は電極キャリアの片面又は両面にプリントされる。その場合、2つの電極構造間の絶縁層が電極キャリアにより実現される。統合電源ユニットを有するプラズマアプリケータの電子技術コアはまた、ワイヤメッシュ、ワイヤクロス、又はワイヤネットにより形成することもできる。処置表面に面するプラズマアプリケータの側に配置された絶縁層は、好ましくは、生体適合性材料により形成される。好ましくは、統合電源ユニットを有するプラズマアプリケータの電子技術コアは、プラズマアプリケータが処置表面の形状へのその形状に関して適合することができるような可撓性実施形態を有する。統合電源ユニットを有するプラズマアプリケータの電子技術コアは、特定のジオメトリを有する少なくとも1つの電極構造を備えることができる。電子技術コアの複数の電極構造が特定のジオメトリを有する場合、これらは、各電極構造の電極セクションが互いと定義された重複を有するように互いに関して配置することができる。
【0058】
統合電源ユニットを有するプラズマアプリケータはまた、使用の結果として、第2の電極構造へのプラズマの点火に十分な電圧信号を送信することがもはやできないように変わる少なくとも1つの特徴を有する接点又は電極構造を備えることもできる。統合電源ユニットを有するプラズマアプリケータはまた、ポケットを有するエンクロージャを備えることもでき、ポケットに電子技術コアを挿入することができる。
【0059】
好ましくは、統合電源ユニットを有するプラズマアプリケータは、電子技術コアを少なくとも部分的に又は完全に囲むエンクロージャを有する。特に、電子技術コアがエンクロージャにより完全に囲まれる、統合電源ユニットを有するプラズマアプリケータは、プラズマ処置用に人間又は動物の体に移植されるのに適する。統合電源ユニットを有するプラズマアプリケータのエンクロージャは、好ましくは、生体適合性材料により形成される。統合電源ユニットを有するプラズマアプリケータのエンクロージャは、シリコーン、ラッカー、織物、及び/又はパリレンコーティングを備えることができる。統合電源ユニットを有するプラズマアプリケータの電子技術コア自体が、接触するのが安全な実施形態を有する場合、エンクロージャは単層実施形態を有することができ、それ自体、接触保護を保証する必要はない。統合電源ユニットを有するプラズマアプリケータはまた、スペーサ構造を備えることもでき、スペーサ構造は、好ましくは、生体適合性材料で形成され、プラズマアプリケータと処置表面との間に、プラズマを点火することができる定義された距離を生み出すことが意図される。
【0060】
統合電源ユニットを有するプラズマアプリケータはまたアクセスポートを備えることもでき、プラズマ処置前、プラズマ処置中、又はプラズマ処置後、アクセスポートを通して封止ガス空間に流体媒体を供給し、又は封止ガス空間から流体媒体を除去することができる。
【0061】
統合電源ユニットを有するプラズマアプリケータは、電気回路を備えることができ、電気回路は、好ましくは、統合電源ユニットと電子技術コアとの間に接続され、動作中、電源ユニットにより提供された電圧信号をプラズマの点火に十分な電圧信号に変換し、変換された電圧信号を電子技術コアに送信するように実施される。次に、電気回路は、上記プラズマアプリケータの構成要素としてプラズマアプリケータに統合される。電気回路はまた、動作中、電源ユニットがプラズマの点火に十分な電圧信号を提供するように実施されるよう、電源ユニットの構成部品として実現することもできる。統合電源ユニットはまた、エネルギー貯蔵器に電気的に接続された受信コイル装置を備えることもでき、送信コイル装置によりプラズマアプリケータにおいて上記送信コイル装置から受信コイル装置に電気エネルギーが誘導伝達されることにより、エネルギー貯蔵器を充電することができるように実施することができる。受信コイル装置を有する電源ユニットは、移植が意図されるプラズマアプリケータに特に適する。特に、統合電源ユニットを有するプラズマアプリケータが、体内移植を意図されない場合、上記プラズマアプリケータは、統合電源ユニットに導電的に接続され、統合電源ユニットのエネルギー貯蔵器に充電するために、外部電源ユニットに接続されることを意図されるプラグイン装置を備えることができる。
【0062】
統合電源ユニットを有するプラズマアプリケータはまた少なくとも1つのセンサを備えることもでき、少なくとも1つのセンサは、使用中、測定変数を捕捉し出力するように実施され、上記測定変数は、プラズマ処置及び/又は創傷治癒、特に、使用中、プラズマアプリケータにより覆われる体部位の生理学的測定変数及び/又は物理的測定変数に関連する。特に統合電源ユニットを有するプラズマアプリケータが人間又は動物の体内への移植を意図する場合、上記プラズマアプリケータが少なくとも1つのセンサを備えることが有利であり得る。その場合、プラズマアプリケータは、特に創傷が治癒するまでの時間を含むが、数ヶ月又は数年を含むこともできる比較的長期間にわたり体内に移植されたままであることができる。この時間期間中、プラズマアプリケータの少なくとも1つのセンサは、プラズマ処置及び/又は創傷治癒に関連する測定変数を捕捉し出力することができる。次に、これらの出力された測定変数に基づいて創傷の状態及び/又は創傷治癒の進み具合を評価することができる。特にプラズマアプリケータが移植を意図する場合、センサにより捕捉された測定変数を無線で転送且つ/又は読み取り可能なことが好ましい。例として、プラズマアプリケータはRFIDトランスポンダを備えることができ、RFIDトランスポンダは、メモリチップに記憶された、捕捉された測定変数を表すデータにアクセスすることができ、リーダが対応する要求をトランスポンダに対して行った場合、上記データをリーダに転送することができる。
【0063】
統合電源ユニットを有するプラズマアプリケータが移植を意図せず、使用中、処置表面に外部から適用又は固定される場合であっても、上記プラズマアプリケータが比較的長期間にわたり、特に創傷が治癒するまでの時間、例えば数週間又は数ヶ月にわたり、プラズマ処置後に処置表面の創傷上に留まることが有利であり得る。好ましくは、統合電源ユニットを有するプラズマアプリケータは、処置表面をプラズマアプリケータで封止することができるように実施される。統合電源ユニットを有する、封止に向けて提供されるそのようなプラズマアプリケータの場合、接着層は、好ましくは、シリコーン又はPU接着剤により形成され、エンクロージャは空気不透過性材料により形成される。特に、接着層は、UV光露出又はアルコールとの接触により接着性を失う接着剤を含むことができる。封止を意図する、統合電源ユニットを有するプラズマアプリケータが少なくとも1つのセンサを備える場合、このセンサは、適用中、処置表面がプラズマアプリケータにより封止されているとき、測定変数を出力し捕捉することができ、上記測定変数はプラズマ処置及び/又は創傷治癒に関連する。
【0064】
それ自体及び本明細書に記載される残りの態様から独立して又はそれらと組み合わせて、改善されたプラズマアプリケータに寄与することができる更なる態様は、自律式モバイル電源ユニットに関する。この態様による電源ユニットは、電圧信号を異なるプラズマアプリケータに提供するのに使用することができる。例として、そのような異なるプラズマアプリケータは、第1の態様により実施される統合電源ユニット、及び/又はアクセスポート、及び/又は電子技術コア、及び/又はポケットを有するエンクロージャ及び/又は1回使用を保証する特徴を備えることができる。
【0065】
この態様によれば、最初に記載された目的は、プラズマアプリケータのプラグイン装置に接続するための、挿入装置と、挿入装置と一緒に差し込まれたプラグイン装置へのプラズマの点火に十分な電圧信号を提供する、エネルギー貯蔵器とを有する、自律式モバイル電源ユニットにより達成される。電源ユニットは、好ましくは、電気回路を備え、電気回路は、エネルギー貯蔵器により提供された電圧をプラズマの点火に十分な電圧信号に変換し、上記電圧信号を挿入装置に送信するように実施される。そのような電源ユニットは、好ましくは、数立方cmのみの大きさであり、プラズマアプリケータに機械的且つ電気的に接続され、例えば、プラズマアプリケータと一緒に患者に留めることができる自律ユニットとして実施される。プラズマアプリケータに統合される電源ユニットとは対照的に、この態様による自律式モバイル電源ユニットは、プラズマアプリケータに交換可能に接続される。この態様による挿入装置は、種々のプラズマアプリケータと組み合わせて実施することができ、例えば、第2の電極構造及び第2の絶縁層のみ若しくは第1の絶縁層、第1の電極構造、第2の絶縁層、及び第2の電極構造のみを有する電子技術コアを備えたプラズマアプリケータ又は上述した第1の態様に従って実施されたプラズマアプリケータに接続することができる。この態様による挿入装置は、ワイヤメッシュ、ワイヤクロス、又はワイヤネットにより形成される電子技術コアを備えたプラズマアプリケータに接続することができる。この態様による挿入装置は、使用の結果として、プラズマアプリケータへのプラズマの点火に十分な電圧信号を送信することがもはやできないように変わる少なくとも1つの特徴を有するプラズマアプリケータに接続することができる。この態様による挿入装置はまた、プラグイン装置又はプラズマアプリケータのアクセスポートに接続することができるか、又はアクセスポートと一緒に差し込むことができる管を備えることもできる。
【0066】
それ自体及び本明細書に記載される残りの態様から独立して又はこれらの態様の1つ若しくは複数と組み合わせて、改善されたプラズマアプリケータに寄与することができる更なる態様は、少なくとも1つの絶縁された導体ワイヤを備えた電子技術コアに関する。この態様による電子技術コアは、種々のプラズマアプリケータの構成部品として実施することができる。例として、統合電源ユニット、及び/又はアクセスポート、及び/又はポケットを有するエンクロージャ、及び/又は1回使用を保証する特徴を備えたプラズマアプリケータで実施することができる。
【0067】
したがって、この態様は、動作中、電圧信号により駆動される、少なくとも1つの絶縁された導体ワイヤを備えた電子技術コアに関し、その場合、対電極は、好ましくは、更なる絶縁された導体ワイヤ又は処置表面自体により実現される。好ましくは、可能な限り最良に封止されたガス空間が形成されるように、処置表面において少なくとも1つの絶縁された導体ワイヤを囲むために、エンクロージャが提供され、プラズマ処置中、ガス空間内でプラズマを点火することができる。エンクロージャはポケットを備えることもでき、導体ワイヤにより形成された電子技術コアはポケットに挿入することができる。例として、そのような電子技術コアは、1つ又は複数の絶縁された導体ワイヤにより形成されるワイヤメッシュ、ワイヤクロス、又はワイヤネットであることができる。特に、適用中、駆動され、1つ又は複数の絶縁された導体ワイヤにより形成される電極構造及び1つ又は複数の絶縁された導体ワイヤにより同様に形成され、動作中、対電極を実現する更なる電極構造は一緒に、例えば2つの電極構造の対応する絶縁ワイヤが織り合わされることにより、ワイヤメッシュ、ワイヤ織物、又はワイヤネットを形成することができる。使用中、被駆動電極構造を形成する導体ワイヤ及び動作中、対電極を実現する更なるワイヤが、ケーブル外装に一緒に配置されるが、互いからガルバニック絶縁されることを考えることもできる。単純な絶縁された導体ワイヤが、織物又はメッシュ等の比較的複雑な構造に配置されるワイヤのない単純な電極構造を形成することを考えることもできる。その場合、使用中、対電極は、好ましくは、処置表面により実現される。絶縁ワイヤの形態の電子技術コアを有するプラズマアプリケータに、本明細書に記載されたタイプのプラグイン装置を設けることもできる。そのようなプラグイン装置は、プラズマアプリケータの1回使用を保証する特徴を有することもできる。導電体をモバイル電源ユニットに接続することもでき、モバイル電源ユニットは、動作中、切り替え接点を切り替えることにより、絶縁された導体ワイヤへのプラズマの点火に十分な電圧信号を送信する。少なくとも1つの絶縁された導体ワイヤを備えた電子技術コアを有するプラズマアプリケータは少なくとも1つのセンサを備えることもでき、少なくとも1つのセンサは、動作中、プラズマ処置及び/又は創傷治癒に関連する測定変数、特に、使用中、プラズマアプリケータにより覆われた体部位の生理学的測定変数及び/又は物理的測定変数を捕捉し出力するように実施される。
【0068】
それ自体及び本明細書に記載される残りの態様から独立して又はこれらの態様の1つ若しくは複数と組み合わせて、改善されたプラズマアプリケータに寄与することができる更なる態様は、電子技術コア、エンクロージャ、スペーサ構造、接着層、及びプラグイン装置を有するプラズマアプリケータに関する。この態様によるプラズマアプリケータはまた、統合電源ユニット、及び/又はアクセスポート、及び/又はポケットを有するエンクロージャ、及び/又は1回使用を保証する特徴、及び/又は少なくとも1つの絶縁された導体ワイヤを備えた電子技術コア又は第1の態様により実施される電子技術コアを備えることもできる。プラズマを点火するために、この態様によるプラズマアプリケータは、モバイル電源ユニットに接続することもできる。
【0069】
この態様によれば、プラズマアプリケータは、電子技術コア、エンクロージャ、スペーサ構造、接着層、及びプラグイン装置を備える。電子技術コアは、好ましくは、可撓性実施形態を有する。電子技術コアは、異なる基本形、例えば、円又は多角形基本形、特に四辺形基本形を有して実現することができる。好ましくは、電子技術コアは第1の態様による電子技術コアであり、すなわち、6つの層を有する実施形態を有し、動作中、それ自体、接触が安全である。しかしながら、この態様によるプラズマアプリケータは、種々の異なる電子技術コアを有して実施することもできる。電子技術コアの少なくとも1つの電極構造は特定のジオメトリを有することができる。電子技術コアの少なくとも2つの電極構造が特定のジオメトリを有する場合、これらの電極の電極セクションは、好ましくは、互いに対して定義された重複を有して配置される。電子技術コアが複数の電極構造を有する場合、絶縁層は、好ましくは、各事例で2つの電極構造間に配置されて、対応する電極構造を互いからガルバニック絶縁する。好ましくは、少なくとも1つの更なる絶縁層が、処置表面に面するプラズマアプリケータの側に配置され、好ましくは、生体適合性材料により形成される。好ましくは、エンクロージャは電子技術コアを少なくとも部分的に囲む。このエンクロージャは、動作中、電子技術コアと処置表面との間に封止ガス空間を形成するように実施することができる。好ましくは、エンクロージャは生体適合性材料により形成される。特に電子技術コア自体が既に、接触が安全な実施形態を有する場合、エンクロージャは単層実施形態を有することができ、それ自体、接触保護を保証する必要はない。例として、エンクロージャはシリコーン、ラッカー、又はパリレンコーティングを備えることができる。スペーサ構造は、好ましくは、生体適合性材料により形成される。スペーサ構造は、好ましくは、処置表面に面するプラズマアプリケータの側に、処置表面に面するプラズマアプリケータの電極構造に隣接して配置され、電子技術コアと処置表面との間に定義された距離、ひいては定義されたガス容積を生み出すように実施され、そこに、生成されたプラズマを分配することができる。例として、スペーサ構造は蜂の巣形又はX字形、O字形、Z字形、M字形、E字形、若しくはW字形を有することができる。接着層は、処置表面にプラズマアプリケータを固定するように実施され、好ましくは、処置表面に面するプラズマアプリケータの側の最後の層として配置される。例として、接着層は、処置表面に面するプラズマアプリケータの側で枠のようにプラズマアプリケータの周縁部に沿って配置することができる。しかしながら、接着層は、処置表面に面するプラズマアプリケータの側の全域に配置することができる。プラグイン装置は、好ましくは、電子技術コアにしっかりと接続され、動作中、電子技術コアの被駆動電極構造に電圧信号を送信するように実施される。そのようなプラグイン装置について以下に詳述する。プラグイン装置は、好ましくは、タブ形実施形態を有する。タブ形プラグイン装置は、電子技術コアの電極構造及び絶縁層がこのタブ上に延びることにより形成することができる。プラグイン装置のサイズは、好ましくは、沿面距離の長さに応じて、動作中、一緒に差し込まれたプラグイン装置及び挿入装置内で部分放電が生じないような寸法である。
【0070】
それ自体及び本明細書に記載される残りの態様から独立して又は個々の態様若しくは複数のこれらの態様と組み合わせての両方で、改善されたプラズマアプリケータに寄与することができる更なる態様は、スペーサ構造の機能を同時に満たすように実施される、プラズマアプリケータの接着層に関する。特に、この態様による接着層は、専用製品を表し、異なるように実施されたプラズマアプリケータと一緒にモジュールとして使用することができる。例として、そのようなプラズマアプリケータは、統合電源ユニット、及び/又はアクセスポート、及び/又はポケットを有するエンクロージャ、及び/又は1回使用を保証する特徴、及び/又は少なくとも1つの絶縁された導体ワイヤを備えた電子技術コア又は第1の態様により実施される電子技術コアを備えることができる。
【0071】
この態様は、スペーサ構造の機能を同時に満たすように実施される、プラズマアプリケータの接着層に関する。この態様による接着層は、動作中、プラズマアプリケータを処置表面に固定するのに使用することができ、次に、生じたプラズマを処置表面にわたり分配できるように、プラズマアプリケータの電子技術コアと処置表面との間に定義された距離を確立できるようにするよう実施される。例として、そのような接着層は、接着剤、特にシリコーン又はポリウレタン(PU)接着剤により形成することができる。例として、接着層を形成する接着剤は、特定のジオメトリ、例えば、蜂の巣パターン又はX字形、O字形、Z字形、M字形、E字形、若しくはW字形を有することができ、処置表面に面するプラズマアプリケータの側に適用することができる。プラズマ処置の場合、接着層が適用されたプラズマアプリケータは、処置表面に配置され、接着層により処置表面に固定される。処置表面に接触すると、接着層を形成する接着剤は、生成されたプラズマを分配することができる定義されたガス容積が接着剤のない各領域に生み出されるように、特定のジオメトリで処置表面に接着する。代替的には、プラズマ処置のために、接着層は処置表面に、好ましくは処置する創傷の周囲に適用することができ、プラズマアプリケータの創傷に面する側は続けて、定義されたガス容積が接着剤のない各領域に生み出され、そこに生成されたプラズマを分配することができるように、処置表面に固定された接着層の創傷から離れた側に固定することができる。
【0072】
それ自体及び本明細書に記載される残りの態様から独立して又はこれらの態様の少なくとも1つと組み合わせて、改善されたプラズマアプリケータに寄与することができる更なる態様は、電源ユニット又は挿入装置を挿入することができる挿入スロットを有するエンクロージャに関する。この態様によるエンクロージャは、例えば、統合電源ユニット、及び/又はアクセスポート、及び/又はポケットを有するエンクロージャ、及び/又は1回使用を保証する特徴、及び/又は少なくとも1つの絶縁された導体ワイヤを備えた電子技術コア又は第1の態様により実施された電子技術コアを備える種々のプラズマアプリケータに関して実現することができる。挿入スロットに挿入することができる電源ユニットは、特に、自律式モバイル電源ユニットであることができる。挿入スロットに挿入することができる挿入装置は、特に、ケーブルにより静止して使用される傾向が高い電源ユニットに接続することができる。
【0073】
この態様によれば、電子技術コアを有するプラズマアプリケータは、挿入スロットを有するエンクロージャを備える。電子技術コアは、本明細書に記載される実施形態変形の何れか1つによる電子技術コアであることができる。電子技術コアは、好ましくは、可撓性実施形態を有する。電子技術コアは、任意の基本形で設計することができる。しかしながら、四辺形又は円の基本形が好ましい。好ましくは、電子技術コアは、第1の態様により、それ自体が既に、接触が安全な実施形態を有する6層電子技術コアである。電子技術コアの少なくとも1つの電極構造は、特定のジオメトリを有することができる。しかしながら、電子技術コアは4層を有することもでき、したがって、接触が安全ではない。電子技術コアは、特定のジオメトリを有する複数の電極構造を備えることもできる。電子技術コアが特定のジオメトリを有する複数の電極構造を備える場合、各電極構造の電極構造は、互いに関して定義された重複を有して配置することができる。電子技術コアが複数の電極構造を備える場合、少なくとも1つの絶縁層が、好ましくは、各事例で2つの隣接する電極構造間に配置されて、対応する2つの電極構造を互いからガルバニック絶縁する。例として、各電極構造が電極キャリアの片面又は両面にプリントされることにより、ロータリースクリーンプリント法を使用して適した電子技術コアを生産することができる。好ましくは、電子技術コアは、処置表面に面するプラズマアプリケータの側に配置される更なる絶縁層を備える。この更なる絶縁層は、好ましくは、生体適合性材料により形成される。エンクロージャは、電子技術コアを完全に囲むように設計することができる。例として、エンクロージャはシリコーン、ラッカー、又はパリレンコーティングを備えることができる。好ましくは、エンクロージャは挿入スロットを備え、挿入スロットは、処置表面から離れる方に面するプラズマアプリケータの側に配置され、挿入スロットに対して相補的(komplementaere)な電源ユニット又は挿入装置を挿入スロットに挿入することができ、次に、電子技術コアの接点に接続されるように実施される。
【0074】
それ自体及び本明細書に記載される残りの態様から独立して又はそれらの態様の少なくとも1つと組み合わせて、改善されたプラズマアプリケータに寄与することができる更なる態様は、吸収特性を有するエンクロージャに関する。更に、エンクロージャは、電子技術コアを挿入することができるポケット及び/又は電源ユニット又は挿入装置を挿入することができる挿入スロットを有することができる。この態様によるエンクロージャは、例えば、統合電源ユニット、及び/又はアクセスポート、及び/又は1回使用を保証する特徴、及び/又は少なくとも1つの絶縁された導体ワイヤを備えた電子技術コア又は第1の態様により実施される電子技術コアを備える種々のプラズマアプリケータに対して実現することができる。
【0075】
この態様によれば、プラズマアプリケータは、電子技術コアと、吸収特性を有するエンクロージャと、接着層と、スペーサ構造と、プラグイン装置とを備えることができる。好ましくは、電子技術コアは、本明細書に記載される電子技術コアの変形の1つに従って実施される。例として、電子技術コアは、第1の態様の電子技術コアに従って実施することができ、それ自体、既に接触保護を保証することができる。ロータリースクリーンプリント法を使用して、適した電子技術コアを生産することができる。この方法では、各電極構造は電極キャリアの片面又は両面にプリントされる。好ましくは、電子技術コアは可撓性実施形態を有する。電子技術コアは種々の基本形で実施することができる。電子技術コアは、例えば、円又は多角形、好ましくは四辺形である基本形を有することができる。電子技術コアの少なくとも1つの電極構造は特定のジオメトリを有することができる。電子技術コアの複数の電極構造が特定のジオメトリを有する場合、特に、これらの電極構造は、各電極構造の電極セクションが互いと定義された重複を有するように互いに対して配置することができる。電子技術コアが複数の電極構造を備える場合、それぞれ隣接した電極構造は、好ましくは、絶縁層により互いからガルバニック絶縁される。好ましくは、更なる絶縁層が、処置表面に面する側に配置され、使用中、処置表面と、使用中に処置表面から最小距離にある電極構造との間に配置される。電子技術コアが1つの電極構造のみを備える場合であっても、好ましくは、絶縁層は、処置表面に面するプラズマアプリケータの側でこの電極構造に隣接して配置される。処置表面に面するプラズマアプリケータの側に配置される絶縁層は、好ましくは、生体適合性材料により形成される。
【0076】
エンクロージャは、好ましくは、電子技術コアを完全に囲み、少なくとも1つの一部分において吸収特性を有する。エンクロージャはポケットを有することができ、ポケットにおいて電子技術コアは着脱可能に配置される。吸収特性を有するエンクロージャは、好ましくは、例えば、織物、ガーゼ、PU発泡体、分配層、創傷接触層、スペーサ構造等の液体吸収材料、及び/又は液体除去材料、及び/又は液体分配材料(fluessigkeitsabsorbierenden und/oder fluessigkeitsabfuehrenden und/oder fluessigkeitsverteilenden Materialien)の少なくとも1つの層からなる。スペーサ構造は、好ましくは、生態適合性材料により形成され、エンクロージャ自体により実現することができる。好ましくは、スペーサ構造は空気透過性材料により形成される。スペーサ構造は、ガーゼ、吸収材、織物、セルロース、又はPE発泡体を含むこともできる。接着層は、好ましくは、処置表面に面するプラズマアプリケータの側の最後の層として全エリアに配置され、処置表面にプラズマアプリケータを固定するように実施される。接着層はまた、より大きな切り欠き及び/又はより小さな切り欠きを有することもできる。プラグイン装置は、電子技術コアにしっかりと接続することができ、好ましくは、タブ形実施形態を有する。タブ形プラグイン装置は、電子技術コアの電極構造及び絶縁層がタブ形に延びることにより実現することができる。プラグイン装置のサイズは、好ましくは、沿面距離の長さに応じて、動作中、一緒に差し込まれたプラグイン装置及び挿入装置内で部分放電が生じないような寸法である。
【0077】
それ自体及び本明細書に記載される残りの態様から独立して又はこれらの態様の少なくとも1つと組み合わせて、改善されたプラズマアプリケータに寄与することができる更なる態様は、比較的長期間にわたり処置表面に残ることが意図されるプラズマアプリケータに関する。この態様によるプラズマアプリケータは、統合電源ユニット、及び/又はアクセスポート、及び/又は1回使用を保証する特徴、及び/又は少なくとも1つの絶縁された導体ワイヤを備えた電子技術コア又は第1の態様により実施される電子技術コア、並びに/或いは吸収特性、及び/又はポケット、及び/又は挿入スロットを有するエンクロージャを備えることもできる。
【0078】
したがって、この態様は、比較的長期間にわたり処置表面に留まることが意図されるプラズマアプリケータに関し、プラズマアプリケータは、電子技術コア、エンクロージャ、接着層、スペーサ構造、プラグイン装置、及び少なくとも1つのセンサを備える。プラズマアプリケータは、種々の電子技術コアを用いて実現することができる。しかしながら、電子技術コアは、好ましくは、第1の態様による電子技術コアであり、すなわち、接触がそれ自体で安全な6つの層を有する実施形態を有する。好ましくは、電子技術コアは、処置表面の形状に対してその形状に関して適合することができるような可撓性実施形態を有する。例として、電子技術コアは、円基本形状、四辺形基本形状、又は任意の他の多角形基本形状を有することができる。電子技術コアの少なくとも1つの電極構造は、特定のジオメトリを有することができる。電子技術コアの複数の電極構造が特定のジオメトリを有する場合、これらの電極構造は、特に、各電極構造の電極セクションが互いと定義された重複を有するように互いに関して配置することができる。電子技術コアが複数の電極構造を備える場合、それぞれ隣接する電極構造は、好ましくは、絶縁層により互いからガルバニック絶縁される。好ましくは、更なる絶縁層が処置表面に面する側に配置され、使用中、処置表面と、使用中に処置表面から最短距離に配置される電極構造との間に配置される。電子技術コアが1つのみの電極構造を備える場合であっても、好ましくは、絶縁層が、処置表面に面するプラズマアプリケータの側でこの電極構造に隣接して配置される。処置表面に面したプラズマアプリケータの側に配置される絶縁層は、好ましくは、生体適合性材料により形成される。
【0079】
エンクロージャは、少なくとも部分的に電子技術コアを囲む。好ましくは、エンクロージャは生体適合性材料により形成される。例として、エンクロージャは、シリコーン、ラッカー、又はパリレンコーティングを備えることができる。特に、プラズマアプリケータの電子技術コア自体が既に、接触するのが安全な実施形態を有する場合、エンクロージャは、単層実施形態を有することができ、それ自体、接触保護を保証する必要はない。スペーサ構造は、好ましくは、処置表面に面するプラズマアプリケータの側で電子技術コアに隣接して配置される。スペーサ構造は、好ましくは、生体適合性材料により形成される。接着層は、好ましくは、処置表面に面するプラズマアプリケータの側の最後の層として配置される。例として、接着層は、処置表面に面するプラズマアプリケータの側でフレームのようなプラズマアプリケータの周縁部に沿って案内されることができ、したがって、接着性縁部を形成することができる。
【0080】
プラグイン装置は電子技術コアにしっかりと接続することができる。プラグイン装置は、好ましくは、電子技術コアの電極構造及び絶縁層がタブ形に延びることによりタブ形実施形態を有する。少なくとも1つのセンサは、好ましくは、使用中、測定変数を捕捉、出力するように実施され、上記測定変数は、プラズマ処置及び/又は創傷治癒に関連し、特に、使用中、プラズマアプリケータにより覆われる体部位の生理学的測定変数及び/又は物理的測定変数に関連する。特に、創傷が治癒するまでにかかる時間を含み得る比較的長期間にわたり表面を処置するために、プラズマアプリケータは、使用中、処置表面がプラズマアプリケータにより封止されるように実施することができる。その場合、好ましくは、接着層がシリコーン又はPU接着剤により形成され、エンクロージャは空気不透過性材料により形成される。特に、接着層は、UV光露出又はアルコールとの接触により接着性を失う接着剤を含むことができ、それにより、比較的長い処置後、プラズマアプリケータを処置表面から取り外すことができる。長期処置の持続時間中、例えば、遠隔監視又はホームモニタリングの範囲内の少なくとも1つのセンサにより出力された測定変数を評価することができ、それに基づいて創傷治癒の進み具合を評価することができる。
【0081】
それ自体及び本明細書に記載される残りの態様から独立して又はこれらの態様の少なくとも1つと組み合わせて、改善されたプラズマアプリケータに寄与することができる更なる態様は、プラズマアプリケータのそれ自体プラズマ源であるスペーサ構造に関する。この態様によるスペーサ構造は、独立した製品を表し、別様に実施されたプラズマアプリケータと一緒にモジュールとして使用することができる。例として、そのようなプラズマアプリケータは、統合電源ユニット、及び/又はアクセスポート、及び/又は1回使用を保証する特徴、及び/又は少なくとも1つの絶縁された導体ワイヤを備えた電子技術コア又は第1の態様により実施された電子技術コア、並びに/或いは吸収特性、及び/又はポケット、及び/又は挿入スロットを有するエンクロージャを備えることができる。
【0082】
この態様は、プラズマアプリケータのそれ自体プラズマ源であるスペーサ構造に関する。したがって、スペーサ構造は、スペーサ構造の機能及びプラズマ源の機能の両方を満たす。そのようなスペーサ構造は、少なくとも1つの電極構造を有し、好ましくは、特定のジオメトリで設計される。特に、スペーサ構造は幾つかのキャビティ又は通路を有することができ、これらは、適用中に生成されたプラズマが処置表面と相互作用することができるように設計される。スペーサ構造が1つの電極構造のみを備える場合、電圧信号は、プラズマ点火を目的として、使用中、電極構造に印加される。その場合、好ましくは、対電極は処置表面自体により実現される。スペーサ構造は、使用中駆動される電極構造と、対電極とを有することもできる。例として、スペーサ構造は、同時にプラズマ源であるリボンケーブルにより形成することができる。リボンケーブルは、二芯リボンケーブルであることもできる。リボンケーブルの絶縁は、好ましくは、5μm~数百μm、好ましくは100μm未満、好ましくは40μm~60μm、好ましくは50μmの厚さを有する。
【0083】
少なくとも、使用中、処置表面に接触するスペーサ構造の領域は、好ましくは、生体適合性材料により形成される。
【0084】
スペーサ構造はプラグイン装置に接続することができる。プラグイン装置を有するスペーサ構造の場合、特にスペーサ構造の少なくとも1つの電極構造は、プラグイン装置が例えばケーブルを介して電源ユニット接続される場合、使用中、プラズマの点火に十分な電圧信号を少なくとも1つの電極構造に送信することができるように、プラグイン装置の導体トラックに導電的に接続される。
【0085】
使用中、スペーサ構造は接着層により処置表面に固定することができる。しかしながら、プラズマ処置用のスペーサ構造が、薄膜、特に片面に接着性を有する薄膜により処置表面に固定されることが好ましい。その場合、薄膜は、スペーサ構造が薄膜により処置表面に固定されるようにスペーサ構造及び処置表面上に引っ張り寄せられる。好ましくは、適用された薄膜により封止されたガス空間が形成され、使用中、ガス空間内でプラズマを生成することができ、上記プラズマは処置表面と相互作用することができる。接着性を有する表面がない薄膜を利用することもできる。そのような薄膜は、それ自体、処置表面に接着せず、接着層により処置表面に固定することができる。更に、そのような薄膜は、封止されたガス空間内に真空を生成することにより処置表面に固定することができる。また、この薄膜のセクションが一緒になると、上記セクション間に接着接触が生じる薄膜を利用することもできる。そのような薄膜は、例えば患者の体部位にわたり重複がある状態で見出すことができ、それにより、スペーサ構造を処置表面に固定し、封止されたガス空間を形成する。
【0086】
それ自体及び本明細書に記載される残りの態様から独立して又はこれらの態様の少なくとも1つと組み合わせて、改善されたプラズマアプリケータに寄与することができる更なる態様は、特定の三次元形状で処置表面に適用されることが意図されるプラズマアプリケータに関する。この態様によるプラズマアプリケータは、統合電源ユニット、及び/又はアクセスポート、及び/又は1回使用を保証する特徴、及び/又は少なくとも1つの絶縁された導体ワイヤを備えた電子技術コア又は第1の態様により実施された電子技術コア、並びに/或いは吸収特性、及び/又はポケット、及び/又は挿入スロットを有するエンクロージャを備えることもできる。
【0087】
更なる態様は、プラズマ処置に向けて特定の形態、例えばテント又は円錐体の形態で処置表面に適用されるように実施されるプラズマアプリケータに関する。この態様によるプラズマアプリケータは、電子技術コア、エンクロージャ、接着層、及びプラグイン装置を備える。プラズマアプリケータは、種々の電子技術コアを用いて実現することができる。しかしながら、電子技術コアは、好ましくは、第1の態様による電子技術コアであり、すなわち、接触がそれ自体で安全である。適した電子技術コアは、例えば、ロータリースクリーンプリント法を使用して生成することができ、各電極構造は電極キャリアの片面又は両面にプリントされる。プラズマアプリケータの基本形は、特に、プラズマアプリケータをプラズマ処置に向けてなるべき三次元形状から生じることができる。例として、プラズマアプリケータがプラズマ処置に向けて円錐形にされることが意図される場合、プラズマアプリケータの基本形は円錐体の圧延開放側面(rolled-open lateral face)に対応することができる。そのようなプラズマアプリケータは、好ましくは、可撓性形状を有する。プラズマ処置の場合、可撓性プラズマアプリケータは、例えば、既に構築された処置する体へのアクセスをプラズマ処置のために取り外す必要なく、患者への既存のアクセスの管又はケーブルの周囲に配置することができる。
【0088】
しかしながら、プラズマアプリケータは剛性形状を有することもでき、例えば、既に円錐形を有することができる。特に、剛性形状を有するそのようなプラズマアプリケータは穴又はスロットを有することができ、穴又はスロットを通して、管又はケーブルを案内することができる。例として、そのような穴又はそのようなスロットは、円錐形プラズマアプリケータの円錐体の先端部又は側面に見出すことができる。
【0089】
電子技術コアの少なくとも1つの電極構造は、特定のジオメトリを有することができる。電子技術コアの複数の電極構造が特定のジオメトリを有する場合、各電極構造の電極セクションは、好ましくは、定義された重複をもって互いに配置される。好ましくは、絶縁層が隣接する電極構造間に配置され、上記絶縁層は、2つの隣接する電極構造を互いからガルバニック絶縁するように実施される。処置表面に面する側で、プラズマアプリケータは、好ましくは、更なる絶縁層を備え、更なる絶縁層は、好ましくは、生体適合性材料により形成される。
【0090】
エンクロージャは、電子技術コアを部分的に又は完全に囲むことができる。エンクロージャは、好ましくは、生体適合性材料により形成される。電子技術コア自体が既に、接触が安全な実施形態を有する場合、エンクロージャを一層のみで形成し、接触保護をそれ自体で保証しないことで十分であり得る。例として、エンクロージャはシリコーン、ラッカー、織物、及び/又はパリレンコーティングを備えることができる。接着層は、好ましくは、処置表面へのプラズマ処置のために提供される形状でプラズマアプリケータを固定することができるように配置される。例として、プラズマアプリケータが円錐形態で処置表面に適用されることが意図される場合、接着層は、好ましくは、処置表面に面する側面の側に配置される。
【0091】
それ自体及び本明細書に記載される残りの態様から独立して又はこれらの態様の少なくとも1つと組み合わせて、改善されたプラズマアプリケータに寄与することができる更なる態様は、特に、数(some)平方デシメートル及び/又は数(several)平方デシメートルの面積を有する大面積創傷(例えば火傷、特に広域火傷)を処置するのに適したプラズマアプリケータに関する。例として、そのようなプラズマアプリケータは、統合電源ユニット、及び/又はアクセスポート、及び/又は1回使用を保証する特徴、及び/又は少なくとも1つの絶縁された導体ワイヤを備えた電子技術コア又は第1の態様により実施された電子技術コア、並びに/或いは吸収特性、及び/又はポケット、及び/又は挿入スロットを有するエンクロージャを備えることもできる。
【0092】
更なる態様は、特に大面積創傷(例えば、広域火傷)の処置に適したプラズマアプリケータに関する。プラズマアプリケータは、処置表面から離れる方に向いた側でキャリア材料に留められ、このキャリア材料と一緒に使用されるのに適する。例として、キャリア材料は、スペースブランケット、包帯、又は大型薄膜であることができる。この態様によるプラズマアプリケータは、電子技術コア、エンクロージャ、及び接着層を備える。好ましくは、プラズマアプリケータは、統合電源ユニットを更に備える。プラズマアプリケータは、種々の電子技術コアを用いて実現することができる。例として、適した電子技術コアは、ロータリースクリーンプリント法を使用して生産することができる。電子技術コアは、複数の独立した電極構造が配置され、電気的に相互接続されず、それぞれが電気的に独立した処置領域を形成する少なくとも1つの層を有することもできる。層内の複数の電極構造は、時間オフセットで、すなわち、カスケード式に駆動することができる。しかしながら、電子技術コアは、好ましくは、第1の態様による電子技術コアであり、それ自体、接触が安全である。電子技術コアは、種々の基本形で実施することもできる。電子技術コアの少なくとも1つの電極構造は、特定のジオメトリを有することができる。電子技術コアの複数の電極構造が特定のジオメトリを有する場合、特にこれらの電極構造は、各電極構造の電極セクションが互いと定義された重複を有するように互いに対して配置することができる。電子技術コアが複数の電極構造を備える場合、それぞれ隣接する電極構造は、好ましくは、絶縁層により互いからガルバニック絶縁される。好ましくは、少なくとも1つの更なる絶縁層が、処置表面に面するプラズマアプリケータの側に配置され、好ましくは、生体適合性材料により形成される。エンクロージャは、電子技術コアを少なくとも部分的に囲み、好ましくは、生体適合性材料により形成される。電子技術コア自体が既に、接触が安全な実施形態を有する場合、エンクロージャは、単層実施形態を有することができ、それ自体、接触保護を保証する必要はない。例として、エンクロージャはシリコーン、ラッカー、織物、及び/又はパリレンコーティングを備えることができる。
【0093】
好ましくは、接着層は、処置表面から離れる方に面するプラズマアプリケータの側の最後の層として配置される。接着層は、好ましくは、処置表面から離れる方に向いた側でプラズマアプリケータをキャリア材料、例えばスペースブランケット又は薄膜に留めるように実施される。
【0094】
プラズマアプリケータはプラグイン装置を有することもでき、プラグイン装置は、好ましくは、タブ形実施形態を有する。プラグイン装置は、電子技術コアにしっかりと接続することができる。
【0095】
プラズマアプリケータに任意選択的に統合される電源ユニットはエネルギー源を備え、エネルギー源は蓄積器、電池、又はキャパシタであることができる。電源ユニットは、好ましくは、電子技術コアの電極構造に接続され、プラズマの点火に十分な電圧信号を提供するように実施される。電源ユニットは電気回路を備えることができ、電気回路は、電圧信号をプラズマの点火に十分な電圧信号に変換するように実施される。統合電源ユニットは、エネルギー貯蔵器に電気的に接続された受信コイル装置を備えることもでき、電気エネルギーが、送信コイル装置により上記送信コイル装置からプラズマアプリケータの受信コイル装置に誘導的に伝達されることによりエネルギー貯蔵器を充電することができるように実施することができる。プラズマアプリケータがプラグイン装置を備える場合、プラグイン装置は、好ましくは、プラグイン装置を外部電源に接続することにより電源ユニットの電源、特に蓄積器又はキャパシタを充電することができるように、電源ユニットに導電的に接続される。
【0096】
プラズマアプリケータの好ましい実施形態変形
プラズマアプリケータがエンクロージャを備える実施形態変形では、エンクロージャは、医療用シリコーン、ラッカー、接着剤、薄膜、織物、圧縮織物、又はガーゼ、セルロース、若しくは綿等の有機材料等の生体適合性材料により形成することができる。
【0097】
プラズマアプリケータがエンクロージャを備える実施形態変形では、プラズマアプリケータの上記エンクロージャは、液体吸収材料、及び/又は液体除去材料、及び/又は液体分配材料を有する少なくとも1つの層を備えることができる。
【0098】
プラズマアプリケータがアクセスポートを備える実施形態変形では、上記アクセスポートは、プラズマ処置中、電子技術コアと処置表面との間にエンクロージャにより形成される封止されたガス空間に流体媒体を供給し、又は封止されたガス空間から流体媒体を除去することができるように配置され実施される。流体媒体は気体媒体又は液体媒体である。
【0099】
プラズマアプリケータがエンクロージャを備える実施形態変形では、プラズマアプリケータのエンクロージャは、処置表面から離れる方に面するプラズマアプリケータの側に配置され、次に、電子技術コアの接点に電気的に接続されるために、挿入スロットに対して相補的な電源ユニット又は挿入装置を挿入スロットに挿入することができるように実施される挿入スロットを備えることができる。
【0100】
本明細書に記載されるようなプラズマアプリケータ又は別のプラズマアプリケータは、処置表面に面するプラズマアプリケータの側に面ファスナー(hook-and-loop closure)の返しがついたフック占有部(Wiederhaken besetzen Teil eines Klettverschlusses)を備えることができる。
【0101】
プラズマアプリケータが統合電源ユニットを備える実施形態変形では、上記統合電源ユニットは、電子技術コアの接点に電気的に接続されて、動作中、プラズマの点火に十分な電圧信号を第2の電極構造に送信する蓄電器を備えることができる。
【0102】
プラズマアプリケータが統合電源ユニットを備える実施形態変形では、統合電源ユニットは電気回路を備えることができ、電気回路は、エネルギー貯蔵器により提供された電圧をプラズマの点火に十分な電圧信号に変換し、上記電圧信号を第2の電極構造の接点に送信するように実施される。
【0103】
プラズマアプリケータが、第2の電極構造の少なくとも接点に電気的に接続される受電装置(Energieaufnahmevorrichtung)を備える実施形態変形では、受電装置はそれぞれ、1つ又は複数の受信コイル装置を含むことができる。電気エネルギーは、電磁誘導により配電装置(Energieabgabevorrichtung)の送信コイル装置からプラズマアプリケータにおける受信コイル装置に伝達されることができる。
【0104】
プラズマ処置
プラズマアプリケータを用いたプラズマ処置は、特定の処置時間にわたり実行される。この処置時間は通常、1分~10分、好ましくは2分である。プラズマが、プラズマ処置中、パルスで提供される場合、プラズマ処置中、プラズマが実際に点火される合算持続時間は、プラズマ処置の全体持続時間の比較的小さな部分、例えば10%に対応する。したがって、プラズマ処置の全体持続時間が例えば2分であり、プラズマオフに対するプラズマオンのデューティサイクルが1~9に等しい場合、プラズマは、累積持続時間12秒中のみ点火される。プラズマアプリケータの使用は通常、プラズマ処置の終了と共に終わる。プラズマアプリケータの使用はプラズマ処置の時間期間に制限されるにもかかわらず、プラズマアプリケータ自体は、プラズマ処置前後の両方で処置表面に適用することができる。例として、プラズマ処置後であっても特定の時間量にわたりプラズマアプリケータが創傷の上方に適用される場合、処置の成功に有利であることができる。例として、持続時間1分のプラズマ処置後、プラズマアプリケータは更に5分間、創傷の上方に留まることができ、それにより、処置成功を改善する。プラズマアプリケータを比較的長期にわたり装着することは、プラズマアプリケータが処置表面を覆い、外部微生物によるコロニー再形成から創傷エリアを封止するため、有利であることがある。プラズマアプリケータが比較的長期にわたり、例えば数日又は数週間にわたり創傷に適用されて装着される場合、プラズマアプリケータが、プラズマアプリケータを用いてプラズマ処置を複数回実行することができるように実施されることが有利である。
【0105】
プラズマアプリケータの初回使用は、プラズマアプリケータを用いて実行される最初のプラズマ処置に関連する。
【0106】
プラズマアプリケータ
プラズマアプリケータは基本的に、人間又は動物の表面を処置するように機能する。プラズマアプリケータは特に、慢性創傷及び/又は術後創傷等の創傷の処置に適する。更に、プラズマアプリケータは、火傷、擦り傷等の処置にも適する。消毒、しわ処置、傷跡の低減、及び/又は他の美容処置への使用も考えることができる。技術的表面のプラズマ処置の分野での適用も同様に可能である。例として、技術的表面はプラズマ処置により改善することができる。この場合、プラズマ活性化、プラズマ支援化学蒸着、及び物理的蒸着は一次活性成分(primary active principle)として言及されるべきである。
【0107】
人間の表面、動物の表面、又は技術的表面のプラズマ処置の場合、プラズマアプリケータは、好ましくは、電子技術コアが、処置される人間の表面、動物の表面、又は技術的表面若しくはその近傍に配置されるように取り付けられる。
【0108】
プラズマアプリケータの更に好ましい実施形態変形
プラズマアプリケータは、電子技術コア及びプラグイン装置、エンクロージャ、並びに接着層を備えることができる。その場合、プラグイン装置は、好ましくは、電子技術コアの少なくとも1つの電極構造に電気的に接続され、好ましくは数百ボルト~最大で10kVの範囲の振幅を有する電圧信号の送信に適する。
【0109】
プラズマアプリケータは、少なくとも1つの電極構造を有する平坦な電子技術コアを有することができる。好ましくは、そのようなプラズマアプリケータは、少なくとも1つの電極構造に導電的に接続されて、電圧信号を少なくともこの電極構造に送信するプラグイン装置を備える。
【0110】
プラズマアプリケータは、特にインターロック様式で任意の湾曲面に可撓的に適合するように実施することができ、その結果として、例えば、足等の処置が難しい皮膚のエリアを処置するプラズマ処置に使用することもできる。そのような実施形態変形では、プラズマアプリケータは、可撓的に適切な形状になることができる電子技術コアを備える。
【0111】
代替的には、プラズマアプリケータは、可撓的で柔軟な形態で実施されず、指定された形状の剛性形態で実施することができる。この場合、電子技術コアは、可撓性がなく、プラズマアプリケータの剛性形状を予め決める少なくとも1つの層又は構造を備えることができる。所定の形状は、有利なことには、特定の形状の表面又は特定の体部位へのプラズマアプリケータの使用に適合される。剛性形状を有するプラズマアプリケータは、例えば、軟組織又は柔らかい創傷構造への固定に有利であることができる。
【0112】
プラズマアプリケータはまた、管又はケーブルの周囲に円錐形態で取り付けられるように実施することもできる。この場合、プラズマアプリケータは、好ましくは、プラズマアプリケータの下に円錐形を有する封止されたガス空間が生じるように管又はケーブルの周囲に置かれ、ここで処置表面は円錐体の下に配置され、使用中、プラズマは円錐体内部と処置表面との間の封止されたガス空間内で点火される。有利なことには、その場合、処置する体へのアクセスにおいてプラズマアプリケータを用いて処置を実行するために、処置する体への既に構築されたアクセスを除去する必要がない。アクセスが構築される前に、プラズマアプリケータを用いた処置が行われるべきであることが分かっている場合、プラズマアプリケータが、例えば円錐体先端部に穴又はスロットを有することが有利であり得、穴又はスロットを通して、ケーブル又は管を案内することができる。その結果、アクセスをまず構築することができ、後に、アクセスを除去する必要なくプラズマ処置を行うことができる。
【0113】
プラズマアプリケータの創傷包帯エリア又はプラズマアプリケータ自体がスケーラブルな実施形態を有する場合、有利であり得る。スケーラブルなプラズマアプリケータは、例えば、多角形、円形、8字形(バタフライ)、又は特定の体構造、例えば胸又は踵の下の領域に適合した形状等の多くの形状を有することができる。特に、プラズマアプリケータの創傷包帯エリアは、数cm~数十cmの範囲でスケーラブルであることができる。ここでは、概ね20cm×20cm超の面積を有するプラズマアプリケータが矩形又は円形の実施形態を有することが好ましい。より小さな面積を有するプラズマアプリケータは特に、特定の体構造に適合された形状を有するのに適する。
【0114】
電子技術コア
この説明の範囲内で、動作中、プラズマを生成する、隣り合った電極構造及び絶縁層で作られた多層システムは電子技術コアと呼ばれる。そのような電子技術コアでの構造及び層の構成は、異なる電子技術コアで異なることができる。電子技術コアの種々の変形では、個々の構造及び層は、閉曲面又は特定のジオメトリで実施することができる。
【0115】
電子技術コアの種々の好ましい実施形態について以下に説明し、これらは、本明細書に記載のプラズマアプリケータ及び/又は任意の他のプラズマアプリケータの電子技術コアに適する。電子技術コアは通常、隣り合った層が積み重ねられて配置された一連の絶縁層及び電極構造を有し、結果として多層システムを形成する。
【0116】
一実施形態では、電子技術コアは平坦な実施形態を有し、好ましくは、動作中、電圧信号により駆動される少なくとも1つの電極構造と、使用中、被駆動電極構造と処置表面との間に配置される少なくとも1つの絶縁層とを備える。したがって、使用中、被駆動電極構造は、処置表面から離れる方に面する電子技術コアの側に配置される。
【0117】
一般に、電子技術コアは矩形を有する。種々の変形では、電子技術コアは、円形態、楕円形態、六角形態、又は任意の他の多角形態を有する。種々の更なる変形では、電子技術コアは三次元形状、例えば、円柱体又は直方体の形状を有する。更なる変形では、電子技術コアは、特定の体部位(例えば、踵、指、胸部)に特に適合した形状を有する。
【0118】
一実施形態では、電子技術コアは、少なくとも第1及び第2の電極構造を備え、第1及び第2の電極構造は、各事例で接地電位から外れた異なる各電位を有する(浮遊電極)。
【0119】
一実施形態では、電子技術コアは、処置表面に面する側から始まって、好ましくは生体適合性を有し、したがって、人間又は動物の表面の処置に特に適した第1の絶縁層を備える。絶縁層上に、通常、接地電位である第1の電極構造が配置される。第1の電極構造の後に第2の絶縁層が続き、第2の絶縁層は誘電層であり、第1の電極構造を第2の絶縁層に配置された第2の電極構造からガルバニック絶縁するように精密に機能する。使用中、第2の電極構造は通常、プラズマを点火する電圧信号を用いて駆動される。
【0120】
一実施形態では、電子技術コアは、動作中、好ましくは、電圧信号により駆動される第2の電極構造及び使用中、第2の電極構造と処置表面との間に配置される第2の絶縁層のみを備える。電子技術コアの動作中、対電極が、人間の体、動物の体、若しくは技術的本体、又は処置表面自体により、特にプラズマアプリケータの構成部品として実現される。
【0121】
有利なことには、電子技術コアの全ての層及び/又は構造は、含有空気、異物、又は異物材料なしで、少なくとも接着剤によりインターロック様式で互いに接続される。
【0122】
電子技術コアには一部に穴若しくは通路を設けることができ、又はこれらは上記電子技術コアの全域にわたり分布することができる。穴又は通路は、媒体が処置表面に面する側から電子技術コアを通って処置表面から離れる方に面するプラズマアプリケータの側に、又は逆方向に処置表面から離れる方に向いた側から処置表面に面するプラズマアプリケータの側に輸送するのを促進することができる。
【0123】
電子技術コアが一部分に穴若しくは通路を有するか、又は上記電子技術コアの全域にわたり分布した穴若しくは通路を有する一実施形態変形では、穴又は通路は1mm~10mmの範囲の直径を有する。
【0124】
電子技術コアが一部分に穴若しくは通路を有するか、又は上記電子技術コアの全域にわたり分布した穴若しくは通路を有する一実施形態変形では、穴又は通路は、電極構造がない領域に配置される。その場合、穴を開けるか又は打ち抜く際、電極構造は破損されない。
【0125】
好ましくは、穴又は通路を有する電子技術コアにおいて穴又は通路を配置し、それらの直径を設計する際、処置表面に面した電子技術コアの側での均一なプラズマ形成を促進するために、沿面距離を考慮に入れる。
【0126】
この説明の範囲内で開示される電子技術コアは、例えば、ディスペンス法、3Dプリント、スクリーンプリント、又はロータリースクリーンプリントにより生産することができる。ここで、1つ又は複数の電極構造は複数のプロセスステップ内で段階的に構築される。電極構造は絶縁層で隔てられる。ディスペンス又はプリントは、導体材料及び電気絶縁材料を用いて交互に実行することができる。好ましくは、この説明の範囲内で開示される電子技術コアは、ロータリースクリーンプリントを使用して生産される。好ましくは、電子技術コアの少なくとも1つの絶縁層は薄膜により形成され、薄膜上に、電子技術コアの更なる層、すなわち、ラッカー及び/又は薄膜により形成された電極構造及び/又は絶縁層が、ロータリースクリーンプリント法を使用して互いの上にプリントされる。薄膜及び/又はラッカーにより形成された、電子技術コアのこれらの絶縁層は、好ましくは、10μm~500μmの範囲の厚さを有する。好ましくは、絶縁層の厚さは、使用中、薄膜又はラッカーの各側にプリントされた電極構造間に電気的破断がないように選ばれる。適した厚さを決定するために、適用中、薄膜にプリントされた電極構造間に印加される電圧の大きさとして、特に、この絶縁層を形成するラッカー又は薄膜の破断強度を考慮することが可能である。薄膜により形成された絶縁層は、好ましくは、ピンホールとも呼ばれる孔を有さない。
【0127】
側方の広がりに関して、電子技術コアは上記電子技術コアの電極構造よりも大きい広がりを有することができる。例として、電子技術コアは20cm×20cm又は30cm×30cm、又は更に大きな面積を有することができ、一方、電子技術コアの電極構造の面積は僅か10cm×10cmである。
【0128】
電子技術コアの電極構造よりも大きな面積を有する電子技術コアは、プラズマ処置に望ましいサイズに切断することができる。しかしながら、最小サイズは電極構造の面積によって決まる。特に面積が電子技術コアの電極構造よりも大きな電子技術コアの場合、電極構造は、面積内で電極コアの面積に関連して任意の所望の方法で配置することができる。
【0129】
電極構造
電極構造の好ましい実施形態について以下に説明し、これらは、本明細書に記載の電子技術コア及び/又は任意の他の電子技術コアの電極構造に適する。ここで説明される電極構造は通常、導体構造により形成される。その場合、導体構造は電極構造を表す。
【0130】
電子技術コアの1つの電極構造又は複数の電極構造の場合には電子技術コアの複数の電極構造は、好ましくは、平坦な実施形態を有し、電子技術コアの層を形成する。電極構造は電極キャリア上又は電極キャリア内に配置することができる。電極構造は、導体材料、特に、例えば薄い金属層、金属薄膜、金属メッシュ、及び/又は伝導性ポリマー層の形態の金属で形成することができる。例として、電極キャリアは非プリント薄膜であることができる。その場合、例えば銀伝導性ワニスを使用して1つ又は複数の電極構造を非プリント薄膜又は代替の電極キャリアにプリントすることができる。
【0131】
一実施形態では、厚さ10μmであり、例えば銀伝導性ワニスで作られた電極構造が、誘電層自体が電極キャリアであるように、絶縁層、特に誘電層の2つの面のうち片面に直接プリントされる。
【0132】
電子技術コアの電極構造は、織物に織られた導電性糸により形成することもできる。この場合、電極キャリアは織物により実現され、電極構造は電極キャリアに配置される。伝導性プラスチック、伝導性粒子で富化された材料、金属薄膜、又はグラファイト等の伝導性の好ましくは可撓性材料から電子技術コアの少なくとも1つの電極構造を形成することが有利なこともある。一般に、こうして実施される電極構造は、追加の電極キャリアを必要としない。例として、こうして実施される電極構造は、ディスペンス法により生産することができる。
【0133】
電子技術コアは、好ましくは、少なくとも2つの電極構造、特に第1及び第2の電極構造を備え、第2の電極構造は、使用中、基準電位に関して印加される電圧信号の形態の電圧により駆動される。第1の電極構造は通常、接地される。電子技術コアが第1及び第2の電極構造を有する場合、第1の電極構造は通常、使用中、処置表面に面する。第1の電極構造と第2の電極構造との間の距離は、好ましくは、1mm未満、特に200μm未満、好ましくは100μm未満である。有利なことには、距離が短いことの結果として、プラズマの点火に必要な電圧信号は低くなる。
【0134】
電子技術コアの電極構造は、電子技術コアのエリアに完全に又は部分的にのみ広がる閉面積を有する層として実施することができる。特に第2及び第3の電極構造は、好ましくはそのような表面電極として実施され、その理由は、プラズマ処置中、プラズマを生成する電場の力線がこれらの電極構造を通るべきだからである。処置表面に面する電子技術コアの側に配置される電極構造、特に第1の電極構造は、特定のジオメトリを有することもでき、層内に配置することができる。特定のジオメトリを有する電極構造は、例えば、蛇行形態、螺旋形態を有することができ、穴を有するエリアにより形成することができ、正方形態、U字形、E字形、M字形、L字形、C字形、X字形、又はO字形を有することができ、プラズマアプリケータの電子技術コアの層内に側方に延びることができる。特定のジオメトリを有する電極構造は、好ましくは、規則正しく配置された電極セクションにより形成され、電極セクションは、好ましくは、規則正しいパターンを形成する。
【0135】
複数の電極構造を有する電子技術コアの一実施形態では、特に第1及び第2の電極構造は、同じ特定のジオメトリを有し、それらの電極セクションは、互いに関して定義された重複がある状態で、オフセットを有して電子技術コアの異なる層に配置される。特に、例えば薄膜、接着剤、又はラッカーの形態の少なくとも1つの絶縁層が2つの電極構造間に配置される。電子技術コアの複数の電極構造が異なるジオメトリを有する場合、有利であることもある。
【0136】
電極セクションの重複は、動作中、電子技術コアのキャパシタンス及び電子技術コアにより生成される電場強度の大きさに大きな影響を及ぼすことができる。第1及び第2の電極構造の電極セクションが、電極セクションが完全に重複するように互いに一致して配置される場合、場強度は通常、小さく、キャパシタンスは最大である。通常当てはまるのは、電極セクションが完全に重複する場合、キャパシタンスは最大であり、一方、キャパシタンスは電極セクションの重複の低減に伴って低減する。一般に、2つの電極構造間の距離が短い状態での高電場強度が、プラズマの点火に有利である。距離が増大するにつれて、プラズマの点火に必要な電圧信号の振幅も増大する。しかしながら、比較的小さなキャパシタンスが有利であり、その理由は、容量成分が小さいことから電子技術コアがより高速で応答し、電圧信号の歪みが弱いためである。
【0137】
プラズマアプリケータの電子技術コアでは、複数の電極構造を上記電子技術コアの層内に配置することもできる。各電極構造は、側方の広がりに関して、電子技術コアのエリアの一部にのみ広がるそれ自体の個々の電極構造を表す。好ましくは、この層における複数の電極構造は、電子技術コアのエリアにわたり、すなわち創傷包帯のエリアにわたり均一に分散する。層内の複数の電極構造は全て、電気的に相互接続することができる。電気的に相互接続された電極構造のグループが形成されるように、層内の特定の個々の電極構造のみが電気的に相互接続されることを考えることもできる。更に、層内の電極構造が電気的に相互接続されず、それぞれが電気的に独立した処置領域を形成する場合、有利なことがある。層内の複数の電極構造は、時間オフセットをもって、すなわち、カスケード式に駆動することができる。有利なことには、カスケード式駆動は、時間間隔当たりの消費電力の低下及び/又は処置時間の短縮に繋がることができる。
【0138】
プラズマアプリケータの電子技術コアの層内の複数の電極構造は、上記電極構造に関連して先に指定した上述した材料から上述した形状で形成することができる。
【0139】
本明細書に記載される電極構造は、好ましくは、数μm~最大で数百μmの厚さを有する。
【0140】
電極構造が全域に形成されない、すなわち、表面電極として形成されず、代わりに上記特定のジオメトリの1つとして形成される場合、特定のジオメトリの1つを有する電極構造の電極セクションの厚さ及び幅は、好ましくは、プラズマアプリケータの動作中、電極構造が熱負荷により破壊されないように又は動作中、プラズマアプリケータが40℃の温度を超えないように選ばれる。当然ながら、電子技術コアの1回使用を保証すべき場合を除く。
【0141】
この場合で決定的な材料特性は電気抵抗又はインピーダンスであり、電気抵抗又はインピーダンスは、材料及びジオメトリに応じて、一般に数オームである特定の値を超えるべきではない。利用される材料及びそのコンダクタンスに応じて、そのような電極構造の電極セクションは、有利なことには、適宜選ばれた断面を有する。幅5mm及び厚さ14μmを有する電極セクションが有利であることが分かった。しかしながら、種々の変形では、これらの値は指定された値から外れることができ、それにもかかわらず、特定の用途に有利な材料特性に繋がることができる。例として、電極構造の電極セクションが幅1mm及び厚さ70μmを有する場合、ある種の用途に有利であることがある。例として、電極構造の電極セクションが幅10mm及び厚さ7μmを有する場合、他の用途に有利であることがある。
【0142】
一実施形態では、電極構造は長ポリマースネーク(polymer snake)から形成される。そうして生成されたポリマースネークの内部は、好ましくは、炭素又はカーボンナノチューブ等の伝導性粒子が富化されたシリコーン等の伝導性ポリマーを含む。好ましくは、生体適合性材料(例えばシリコーン)が電極構造の周囲にプリント又は分配される。有利なことには、そうして生産された電極構造は多数の異なる形状を有することができ、必ずしも平坦である必要はない。
【0143】
一実施形態では、電極構造はワイヤメッシュ、ワイヤファブリック、又はワイヤネットにより形成される。そのようなワイヤメッシュ、ワイヤファブリック、又はワイヤネットは、1本又は複数の絶縁ワイヤにより形成することができる。ワイヤが絶縁される場合、ワイヤが実施される別個の絶縁層は用いられない。したがって、対応するワイヤメッシュ、ワイヤファブリック、又はワイヤネットは既に、比較的単純な電子技術コアを表す。したがって、ワイヤメッシュ、ワイヤファブリック、又はワイヤネットにより比較的単純なプラズマ源を実現することができる。ワイヤメッシュ、ワイヤファブリック、又はワイヤネットが1本のワイヤにより形成される場合、使用中、対電極は処置表面自体により実現される。ワイヤメッシュ、ワイヤファブリック、又はワイヤネットが複数のワイヤにより形成される場合、使用中、電圧信号により少なくとも1本のワイヤを駆動することができ、少なくとも1本の更なるワイヤを接地することができ、その場合、接地された少なくとも1本の更なるワイヤは対電極を表す。
【0144】
ワイヤメッシュ、ワイヤファブリック、又はワイヤネットのワイヤは比較的単純な導電体を表す。ワイヤメッシュ、ワイヤファブリック、又はワイヤネットは、少なくとも1つのリボンケーブルの形態の単純な導電体により形成することもできる。この意味内のリボンケーブルは、正方形又は矩形の断面を有することができる。単純な導電体は、好ましくは、絶縁外装を有する。
【0145】
プラズマ源が、絶縁導電体をファブリック又はメッシュ等の比較的複雑な構造に配置することなく、1つの絶縁導電体、例えば絶縁ワイヤにより形成されることを考えることもできる。導電体、例えば絶縁ワイヤが処置表面の上に配置され、電流がそこに印加される場合、処置表面は対電極として機能することができ、処置表面と絶縁ワイヤとの間でプラズマを点火することができる。したがって、この場合、絶縁ワイヤは、例えばループとして又は一次元において、処置表面にわたり又は処置表面上に配置される。
【0146】
絶縁層
絶縁層の好ましい実施形態について以下に説明し、この説明の範囲内で、上記絶縁層は誘電層とも呼ばれ、本明細書に記載の電子技術コア及び/又は任意の他の電子技術コアの構成部品として適する。本明細書に記載の絶縁層は、電気絶縁構造により形成することができる。その場合、電気絶縁構造は絶縁層を表す。
【0147】
使用中に駆動される電極構造と接地電位にある生じ得る更なる電極構造との間で電流が流れるのを阻止するために、少なくとも1つの絶縁層が、好ましくは、電子技術コアの、各電極構造又は動作中に電圧信号により駆動される少なくとも1つの電極構造と処置される人間の表面、動物の表面、又は技術的表面との間に配置される。
【0148】
絶縁層は、例えばプラスチック、セラミック、又はこれら両方からなることができる。絶縁層は、好ましくは、数μm~数百μmの厚さを有する。電極構造の場合のように、絶縁層の厚さ選択は、電気材料定数、特に誘電定数及び破断強度に依存する。
【0149】
絶縁層の厚さが比較的薄い、例えば50μmの領域にあるように選ばれることが有利なことがある。一般に、薄い厚さはプラズマの点火に必要な電圧信号の振幅の低下に繋がる。更に、薄い厚さはプラズマアプリケータの高可撓性の保証に有利であることができる。
【0150】
使用に応じて、例えば、剛性形態を有するプラズマアプリケータの場合において、200μm以上の厚さが有利であることがある。特に任意の薄さに生産することができないセラミック等の非可撓性材料を使用する場合、少なくとも200μmの厚さが有利であることがある。
【0151】
好ましくは、絶縁層は厚さ1mm未満、特に厚さ200μm未満、好ましくは厚さ100μm未満を有する。
【0152】
好ましくは、絶縁層は全域層として実施される。
【0153】
好ましくは、絶縁層は孔を有さず、すなわち、存在する孔若しくはキャビティはないか、又はあったとしてもごく少数であり、したがって、絶縁層を通して放電チャネルが形成されない。好ましくは、絶縁層はmm厚当たり少なくとも5kVの絶縁耐力を有する。更に、絶縁層の側方広がりが、電子技術コア内の電極構造の寸法に、そこを超えて突出する縁部を加えたものに対応することが好ましく、縁部は、好ましくは、沿面距離の長さを少なくとも覆うような寸法である。
【0154】
一実施形態では、絶縁層の側方広がりは、使用中に駆動される第2の電極構造と基準電位である第1及び/又は第3の電極構造又は処置表面との間にアーク放電がないように選ばれる。
【0155】
有利なことには、沿面距離は、電子技術コアをエンクロージャで少なくとも部分的に囲むことにより下げることができる。電子技術コアがエンクロージャにより少なくとも部分的に囲まれた一実施形態では、絶縁層の側方広がりは、電極構造を超えて突出する絶縁層の縁部が、それ自体プラズマの点火に必要な電圧信号の振幅を指定する沿面距離よりも小さくなるような寸法であるように、利用されるエンクロージャに基づく寸法であることができる。
【0156】
使用中、処置表面に直接面する第1の絶縁層は、好ましくは、ラッカー、シリコーン、PU、又はコーティング等の生体適合性材料を含む。コーティングは、例えば、湿式化学プロセス、プラズマ支援化学蒸着(PACVD)、化学蒸着(CVD)、陽極酸化プロセス、又は電子めっきを使用して塗布することができる。
【0157】
プラグイン装置
プラグイン装置の好ましい実施形態について以下に説明する。本明細書に記載のプラグイン装置は、本明細書に記載のプラズマアプリケータ及び/又は任意の他のプラズマアプリケータの構成部品であることができ、相補的な実施形態を有する挿入装置への接続を確立することによりプラズマアプリケータの電子技術コアを特に電源ユニットに接続するように機能する。プラグイン装置はプラズマアプリケータの構成部品であるため、アプリケータプラグイン接触装置を表す。
【0158】
プラグイン装置は、好ましくは、電子技術コア、特に使用中に駆動される第2の電極構造及び電子技術コアの接地された電極構造-存在する場合-にしっかりと接続される。好ましくは、プラグイン装置は、kV範囲、特に数百ボルト~10kVの範囲の電圧信号を第2の電極構造に送信するのに適する。
【0159】
プラグイン装置は、好ましくは、少なくとも1つの導体トラックを有し、トラックは、導電性導体構造であり、少なくとも1つの電極構造に繋がる。したがって、導体トラックは、好ましくは、対応する電極構造の長手側において電極構造と導電接触して配置され、好ましくは、電極構造と共通する平面において対応する電極構造の長手側に関連して垂直に延びる。電子技術コアが複数の電極構造を備える場合、一般に、少なくとも1つの導体トラックは各電極構造に配置される。導体トラックを互いから電気絶縁するために、少なくとも1つの絶縁タブが各事例の導体トラック間に配置される。好ましくは、絶縁層にしっかりと接続され、絶縁層と同じ電気絶縁材料により形成される。特に、タブは各絶縁層の一体型構成部品であることができる。
【0160】
プラグイン装置は、例えば、積層、ラミネート加工、接着剤、はんだ、又は代替の材料接続方法により電子技術コアにしっかりと接続することができる。プラグイン装置の導体トラックは、好ましくは、対応する電子技術コアの電極構造と同等の厚さを有し、好ましくは、同様に1つ又は複数の同じ材料からなり、好ましくは、この電極構造と同等の桁のコンダクタンスを有する。
【0161】
好ましくは、電子技術コア及びプラグイン装置は共通の製造プロセスで生産される。次に、例えば、導体トラック及び上記導体トラックに電気的に接続された電極構造は、同時に直接、製造ステップにおいて導体トラックを有する電極構造として共同生産される。次に、例えば、絶縁層及びタブが同時に直接、更なる製造ステップにおいて一体型タブを有する絶縁層として生産され、これらは一緒に、導体トラックを有する電極構造に適用される。したがって、プラグイン装置を有する電子技術コアは、そのような製造プロセスにおいて共通の製品として生産される。次に、導体トラックを有する電極構造は、同じ材料からなり、均一な厚さを有する。同様に、一体形成されたタブを有する絶縁層は、1つの材料からなり、どこでも同じ厚さを有する。その場合、有利なことには、電子技術コア及びプラグイン装置は、別個の製造プロセスで生産されて、続けて互いに接続される必要がない。
【0162】
したがって、プラグイン装置を有するそのような電子技術コアは、例えば、タブ形プラグイン装置により基本形が補足される限りは、プラグイン装置なしの電子技術コアの上述した基本形から外れる。ここでは、電子技術コアの電極構造及び絶縁層は、好ましくは、このタブまで延びる。
【0163】
電子技術コアとプラグイン装置との間の、プラグイン装置から電子技術コアへの遷移部又はプラグイン装置が電子技術コアに接続される位置に穿孔を提供することができる。穿孔の機能は、プラグイン装置と電子技術コアとの間の強度低減にある。穿孔は、意図される破断点を表す。プラズマ処置後、プラグイン装置を、この穿孔において電子技術コアから剥ぎ取るか、又は取り外すことができる。その結果、もはや必要ないプラグイン装置を取り外すことができるため、プラズマアプリケータは、電源ユニットから独立して数日から数週間という比較的長期にわたり処置表面に留まることができる。
【0164】
プラグイン装置は、好ましくは、チップカードの形態、すなわち、長さ概ね5cm~16cm、幅1cm~3cm、及び高さ概ね0.2mm~1mmを有する。プラグイン装置の寸法は、指定された値から外れることもでき、プラズマを点火する電圧信号の振幅に応じて、沿面距離の長さに基づいて寸法決定される。有利なことには、プラグイン装置の側方広がりは、使用中に駆動される第2の電極構造と基準電位である更なる電極構造、例えば第1若しくは第3の電極構造又は処置表面との間にアーク放電がないように選ばれる。
【0165】
好ましい構成では、プラグイン装置又は挿入装置は、高さ0.2mm~1.5cm、長さ5cm~20cm、及び幅1cm~3cmを有する補強を有するプラグイン装置として実施される。対応する挿入装置は、プラグを受ける目的で、相補的な実施形態を有する。チップカードのような形態、すなわち、低い高さ及び比較的長い長さのプラグイン装置の結果として、特に、一緒に差し込まれたプラグイン装置及び挿入装置内で部分放電が生じないように沿面距離を維持することが可能である。長さ、幅、及び高さの指定された寸法はまた、有利なことには、沿面距離が引き続き維持されるように、互いから独立して実現することもできる。更に、挿入装置が、沿面距離を考慮に入れて、発せられる電磁波を低減する絶縁外装を備えることが好ましい。指定された寸法を使用して、特に、印加された導体トラック間に複数センチメートルの沿面距離を実現することが可能である。ここでの決定的要因は、プラズマを生成するために印加される電圧である。通常、プラズマを生成する目的で印加が意図される電圧が高いほど、存在しなければならない沿面距離も同様に大きくなる。利用される材料の特性、特に誘電特性及び利用される材料の汚染の程度も決定的である。利用される材料の表面が汚染されている場合であっても、沿面距離は通常、比較的大きく設計されなければならない。
【0166】
チップカード形態の補強を有するプラグイン装置は、好ましくは、例えば、積層、接着接合、はんだにより、又はタブの形態の電子技術コアの直接延長部として実現可能な、電子技術コアへの永続的な接続を有する。プラグイン装置は、好ましくは、例えばシリコーンでオーバーモールドされることによりプラズマアプリケータのエンクロージャの材料により部分的に囲まれる。更に、プラグイン装置は、プリントされた、蒸着した、又はエッチングされた導体トラックを備えることができる。プラグイン装置は補強を更に備えることができ、補強は、好ましくは、タブの上及び/又は下に適用され、プラグイン装置を機械的に強化する。導体トラックは、ワイヤの絶縁外装を有するコイルワイヤとして実施することもできる。任意選択的に、プラグイン装置は、例えば、導体トラックとして又はリボンケーブルとしてのデータ線を有することもできる。例として、プラズマアプリケータの使用についてのデータを収集するために、メモリをプラズマアプリケータ、対応する結合部、又は電源ユニットに設置することが有利であり得る。
【0167】
結合部に適切なデータケーブルを使用して、1回使用を保証するために、例えばプラグイン装置に配置された、RFIDトランスポンダ又は不揮発性電子メモリチップは、相補的な実施形態を有する挿入装置に統合されたリーダにより読み取ることもできる。
【0168】
有利なことには、プラズマアプリケータ自体に関するデータは、適切なメモリチップに記憶することができる。メモリチップを有するプラズマアプリケータが、適切なデータケーブルを介して電源ユニットに接続される場合、電源ユニットは、記憶されたデータを読み取ることが可能であり、特定の電圧、特定のパルスパターン、特定の処置時間、又は特定のプラズマアプリケータを動作させる更なる処置パラメータを自動的に提供することが可能である。
【0169】
好ましくは、利用されるパラメータは、様々なプラズマアプリケータ形状及びサイズ又はプラズマアプリケータの電子技術コアの具体的なセットアップについて標的化する方法で電源ユニットに記憶され、接続されたプラズマアプリケータに従って電源ユニットにより検索され使用される。
【0170】
好ましくは、プラグイン装置は、電子技術コアの長手側に取り付けられ、電子技術コアの少なくとも1つの電極構造に電気的に接続される。挿入スロットの形態のプラグイン装置を電子技術コアの上側、すなわち、処置側から離れる方に面する電子技術コアの側に適用し、少なくとも1つの電極構造に接続することを考えることもできる。
【0171】
好ましくは、プラグイン装置は、高さ0.5mm~1.5cm、長さ5cm~20cm、及び幅1cm~3cmを有する補強を有するプラグイン装置として実施され、プラグイン装置と相補的な対応する挿入装置は、プラグイン装置を受ける受けソケットとして実施される。
【0172】
例として、電源ユニットにより電圧信号を第2の電極構造に送信するために、例えば、プラグイン装置と相補的な挿入装置をプラグイン装置に接続することができる。挿入装置は、主に静止した電源ユニットに接続されたケーブルに接続することができる。例として、対応する電源ユニットは、制御ユニットを有する高電圧生成器であることができる。
【0173】
1回使用
電子技術コア、特にプラズマアプリケータの1回使用を保証することができる種々の手段及び特徴について以下に説明する。好ましくは、1回使用を保証する手段及び特徴は、プラズマアプリケータの構成部品として、特に本明細書に記載されるプラグイン装置及び/若しくは任意の他のプラグイン装置の構成部品として、又は本明細書に記載される電子技術コア及び/若しくは任意の他の電子技術コアの構成部品として実現される。
【0174】
プラズマアプリケータの一実施形態では、電子技術コアは、初回使用の結果として、使用中に駆動される電極構造と接地電極構造との間にプラズマを点火するのに十分に強い電場を形成することがもはや可能ではないように変わる少なくとも1つの特徴を有する。その結果、有利なことに、プラズマアプリケータの1回使用が保証される。プラズマアプリケータの1回使用を保証する電子技術コアの特徴は、例えば、電気ヒューズ等の自己破壊式装置であることができる。例として、そのような電気ヒューズは、電子技術コアにおける電極構造の電極セクションのテーパにより提供することができ、テーパは、電極構造の残りの部分よりも高い抵抗を有し、したがって、より素早く熱くなるため、そのポイントに提供される高電流パルスにより処置終了時に破壊される。好ましくは、そのようなテーパは、使用中に駆動される電極構造に配置される。
【0175】
プラグイン装置に関連して説明される、プラズマアプリケータの1回使用を保証する以下の手段及び特徴は、電極構造の特徴として、特に電子技術コアの電極構造の電極セクションの構成部品として実現することもできる。好ましくは、動作中、電圧信号により駆動される電極構造は、電子技術コアの1回使用を保証するために、特にプラズマアプリケータの構成部品として、プラグイン装置に関連して説明したような少なくとも1つの特徴又は手段を有する。
【0176】
プラズマアプリケータの一実施形態では、プラグイン装置は、初回使用の結果として、プラグイン装置が電子技術コアの電極構造にプラズマを点火するのに十分な電圧信号をもはやこれ以上送信することができないように、又は電子技術コアがプラズマを点火するのに十分に強い電場をもはや形成することができないように変わる少なくとも1つの特徴を有する。その結果、有利なことに、プラズマアプリケータの1回使用が保証される。プラズマアプリケータの1回使用を保証するプラグイン装置の特徴は、例えば、電気ヒューズ等の自己破壊式装置であることができる。例として、そのような電気ヒューズは導体トラックのテーパにより提供することができ、テーパは、導体トラックの残りの部分よりも高い抵抗を有し、したがって、より素早く熱くなるため、そのポイントに提供される高電流パルスにより処置終了時に破壊される。
【0177】
一実施形態では、人間の表面、動物の表面、又は技術的表面を処置する冷プラズマを生成するプラズマアプリケータは、少なくとも1つの電極構造と、絶縁層とを有する平坦な電子技術コアを備える。プラズマアプリケータは、少なくとも1つの電極構造に導電的に接続されて、電圧信号を少なくともこの電極構造に送信するプラグイン装置を更に備える。プラグイン装置は、好ましくは、プラズマアプリケータの初回使用の結果として、プラグイン装置が、初回使用後、少なくとも1つの電極構造にプラズマを点火するのに十分な電圧信号をもはや送信することができないように技術特性を変えるように設計された少なくとも1つの機械的構成要素及び/又は電気的構成要素を有するプラグイン装置により、プラズマアプリケータの1回使用を保証するように実施される。
【0178】
したがって、1回使用の保証は、例えば、初回使用の結果として、電流のために電気構成要素が破壊されることにより又はプラグイン装置が相補的な挿入装置から機械的に分離される場合、機械的構成要素若しくは電気的構成要素が破壊されることにより実現することができる。
【0179】
プラズマアプリケータの初回使用の結果として、初回使用後、プラグイン装置が、少なくとも1つの電極構造にプラズマを点火するのに十分な電圧信号をもはや送信することができないように構造を変える機械的構成要素及び/又は電気的構成要素は、プラズマアプリケータが1回のみ使用可能であることを保証する。有利なことには、これは、初回使用の結果として衛生に関して特定の要件をもはや満たさない既に使用されたプラズマアプリケータの複数回の使用を阻止することができる。したがって、創傷が未使用のプラズマアプリケータによってのみ処置されることが保証される。
【0180】
プラズマアプリケータの使用は、実行されるプラズマ処置に関する。すなわち、電圧信号はまず、電源ユニットを用いて提供され、上記電圧信号は、プラズマ点火を目的として電極構造に送信される。
【0181】
1回使用の対応する特徴は、大気酸素若しくは窒素との化学反応、又はプラズマ処置中に印加される電圧信号により誘導される電気化学反応により実現することもできる。例として、印加された電圧信号は、プラグイン装置の、例えば銀伝導性ワニスからなる導体トラックにおいて電気化学反応をトリガーすることができ、電気化学反応は、導体トラックの酸化を特に露出した接触面において加速させ、したがって、このポイントでの抵抗を増大させる。プラズマアプリケータを動作させる電圧信号は、抵抗の増大又は低減の結果として大きく変化する。この変化は電源ユニットにおいて検出することができ、したがって、電圧信号の放出を阻止することができる。したがって、一般に、例えば、空気中での導体トラックの酸化又は窒化がその伝導性を低下させ、それにより、伝導性の低下が、例えば振幅、周波数、及び/又は信号プロファイルに関して(例えば、純粋な正弦波振動がもはや存在しないことの結果として)電源ユニットにより故障信号として検出することができ、電源ユニットにより出力されるエネルギーの自動停止に繋がるように電圧信号を変えることを考えることができる。更なる選択肢は、プラグイン装置の導体トラックを変える、電圧信号により誘導される電気化学反応を利用することからなり、導体トラックの変化は、例えば振幅、周波数、及び/又は信号プロファイルに関して(例えば、純粋な正弦波振動がもはや存在しないことの結果として)電源ユニットにより故障信号として検出することができ、電源ユニットにより出力されるエネルギーの自動停止に繋がるように電圧信号を変えることに繋がる。
【0182】
プラグイン装置は、好ましくは、プラグイン装置に相補的な実施形態を有する挿入装置に導電的且つ機械的に接続することができるように実施される。プラグイン装置の機械的構成要素は、挿入装置からのプラグイン装置の機械的分離中、分離に続き、高電圧を伝達させるためにプラグイン装置を挿入装置に導電的に接続することがもはやできないよう構造を変えるように実施することができる。
【0183】
そのような機械的変更は、クランプ接点の端子又はロック要素の破断及び/又はプラグイン装置の導体構造のスクラッチ及び/又は切断を含むことができる。
【0184】
プラグイン装置は、プラグイン装置が上記挿入装置に接続される場合、挿入装置とロックし、プラグイン装置が挿入装置から分離される場合、不可逆的に使用不可能になるように実施、構成される少なくとも1つのロック要素を備えることができる。
【0185】
人による能動的な力の印加によってしか再び分離することができない機械的に安定した接続が、好ましくは、挿入装置をプラグイン装置に接続することにより確立される。このために必要な力は通常、5N~50N、好ましくは10N~30Nである。したがって、プラグイン装置の機械的構成要素が、プラズマアプリケータの初回使用の結果として、電子技術コアがプラズマの点火に十分に強い電場をもはや形成することができないように構造を変えるように、例えば、プラグイン装置のロック要素を破断又は破壊する措置をとることができる。したがって、プラグイン装置と挿入装置との間で安定した機械的接続をもはや確立することができない。その結果、分離に続き、すなわち初回使用の結果として、プラグイン装置に接続された電子技術コアは、プラズマの点火に十分に強い電場をもはや形成することができない。
【0186】
プラズマアプリケータの一実施形態では、プラグイン装置又は電子技術コアは、プラズマアプリケータの初回使用の結果として、初回使用後、プラグイン装置又は電子技術コアがプラズマの点火に十分な電場をもはや生成することができないように構造を変える電気構成要素を備える。例として、プラグイン装置は、電圧信号を電極構造に送信することが意図され、プラズマアプリケータの初回使用終了時に高電流パルスにより破壊される導体トラックを備えることができる。その後、プラグイン装置は、プラズマの点火に十分な電圧信号を電極構造にもはや送信することができない。
【0187】
プラズマアプリケータの一実施形態では、電子技術コアの第2の電極構造は、プラズマアプリケータの初回使用終了時、高電流パルスにより破壊される領域を備える。その後、電子技術コアは、プラズマの点火に十分に強い電場をもはや形成することができない。
【0188】
一実施形態では、プラズマアプリケータは、プラグイン装置に相補的な実施形態を有する挿入装置に導電的且つ機械的に接続することができるプラグイン装置を備え、プラグイン装置の機械的構成要素は、挿入装置からのプラグイン装置の機械的分離中、分離に続き、プラズマの点火に十分な電圧信号を送信するためにプラグイン装置及び挿入装置を導電的に一緒にすることがもはやできないようにその技術特性を変える。機械的構成要素の技術特性の変更は、好ましくは、クランプ接点の端子の破断、スクラッチ、又は切断を含む。
【0189】
好ましくは、プラズマアプリケータのプラグイン装置又は電子技術コアは、初回使用の終了時、電流が流れることの結果として、初回使用後、プラグイン装置が、プラズマの点火に十分な電圧信号を電子技術コアの電極構造に送信することがもはやできないよう変わるように設計される。
【0190】
電源ユニットは、プラズマ処置の終了時、高電流パルスを提供するように実施することができ、電流パルスは、電源が新しく接続されたとき、プラズマの点火に十分な電圧信号を電子技術コア内の少なくとも1つの電極構造に送信することがもはやできないように、プラグイン装置における導体トラックの部分を変更又は破壊する。好ましくは、プラズマアプリケータと組み合わせられた電源ユニットは、プラズマ処置の終了時、好ましくは1秒よりもはるかに短い時間、好ましくはミリ秒又はマイクロ秒範囲の時間にわたり、過度の電流パルスを自動的に発する。プラグイン装置内の導体トラックの対応する部分が破壊されることを保証するために、提供される電流パルスの電流強度は、好ましくは、プラグイン装置の導体トラックの溶融点を大幅に超え、導体トラックが破壊されるように選ばれる。有利なことには、これはプラズマアプリケータの1回使用を保証する。
【0191】
好ましくは、プラグイン装置は、プラグイン装置における接触面から少なくとも1つの電極構造に繋がる導体トラックを有し、この導体トラックは、プラズマを生成する動作中に生じる電流強度よりも高い電流強度を有する電流により少なくとも1つのポイントで破壊することができる。少なくとも1つのポイントは、好ましくは、導体トラックの残りの部分よりも高い電気抵抗を有し、且つ/又は少なくとも1つのポイントは、導体トラックの残りの部分よりも低い熱安定性を有し、且つ/又は少なくとも1つのポイントは、導体トラックの残りの部分よりも小さな導体トラック断面のテーパを有する。対応する導体トラックは、好ましくは、例えば、銀伝導性ワニス、金属、金属薄膜、伝導性粒子で富化されたポリマー、又は伝導性ポリマーからなる。
【0192】
特に、少なくとも1つのポイントは、導体トラックの残りの部分よりも高い電気抵抗を有する。代替又は追加として、少なくとも1つのポイントは、導体トラックの残りの部分よりも低い熱安定性を有することもできる。更なる代替又は追加として、少なくとも1つのポイントは、導体トラックの残りの部分よりも小さい断面のテーパを有することもできる。導体トラックの残りの部分よりも高い電気抵抗を有する導体トラックのポイントにおいて、電流強度を上げると、導体トラックは強く熱せられ、結果として、導体トラックは破壊される。これは、プラズマアプリケータが1回しか使用できないことを保証する。
【0193】
対応する導体トラックを有するプラグイン装置を有するプラズマアプリケータの1回使用は、導体トラックの残りの部分と同じ抵抗を有するが、より低い熱安定性を有する導体トラックのポイントにより実現することもできる。電流強度を上げた電流パルスが、好ましくはプラズマ処置の終了時に、約1秒よりもはるかに短い持続時間で提供される場合、導体トラックへの熱負荷は増大する。熱安定性がより低いポイントは、電流パルスが提供された結果として溶融するように実施することができ、その結果、プラズマアプリケータの1回使用が保証される。
【0194】
プラズマアプリケータの1回使用は、対応する導体トラックのテーパにより保証することもできる。テーパの結果として、このポイントにおける抵抗は、処置終了時に高電流強度が提供されると、このポイントにおいて導体トラックが溶融するように増大する。したがって、過電圧は、テーパを有するポイントにおいて温度上昇を生じさせ、その結果、導体トラックの溶融を生じさせる。例として、導体トラックの寸法は、定義された時間期間にわたる特定の電流を所与として、材料が、好ましくは導体トラックがこのポイントで溶融するような材料の溶融点のかなり上の温度まで上昇するように、利用される材料に従って計算することができる。
【0195】
好ましくは、導体トラックは、高さ0.8mm未満、幅1cm未満を有する。そのような導体トラックは、例えば、伝導性材料を用いたスクリーンプリント、導体トラック又はプリントされた導体トラック(例えば、プリント電子回路)の標的化エッチングにより実現することができる。
【0196】
プラグイン装置は、挿入装置及びプラグイン装置が相互接続された場合、挿入装置の対応する接点により読み取ることができる不揮発性電子メモリチップを有することができ、不揮発性電子メモリチップは、接続された電源ユニットが、動作中、接続されたプラズマアプリケータへの電力出力を阻止するように促す情報を提供する。
【0197】
プラグイン装置は、一実施形態では、RFIDトランスポンダを備える。RFIDトランスポンダは、対応する挿入装置及びプラグイン装置が相互接続された場合、挿入装置と一体化されたリーダにより読み取ることができるように実施される。
【0198】
RFIDトランスポンダは、好ましくは、電源ユニットによる高電圧の放出を阻止する情報を提供する。挿入装置に一体化されたリーダにより読み取ることができる識別情報をプラズマアプリケータに割り当てることを考えることができる。例として、電源ユニットのコントローラに、電源ユニットに接続された各プラズマアプリケータの一意の個々の識別子を記憶することができる。したがって、リーダは、プラズマアプリケータが既に使用されたか否かを識別することができる。代替又は追加として、プラズマアプリケータが使用されたことを示す、RFIDトランスポンダに記憶された値-例えばフラグ-を変更又は設定するために、読み/書きデバイスを提供することもできる。
【0199】
一実施形態では、プラズマアプリケータは、特別なコード又はハッシュ値をメモリに記憶するように実施される。好ましくは、電源ユニットは、読み取られたコード又はハッシュ値に基づいて特定の値を処置パラメータに設定し、動作中、電源ユニットに接続されたプラズマアプリケータに適切な電圧信号を出力するように実施される。好ましくは、電源ユニットは、プラズマアプリケータのサイズについての処置パラメータの値を読み取り、又は接続されたプラズマアプリケータにより処置すべき疾病のタイプに関連して、電源ユニットに記憶されたリストから処置パラメータの値を読み取るように実施される。好ましくは、電源ユニットは、読み取られたプラズマアプリケータが既に使用済みであるか否か、又は特定のプラズマ処置に適しているか否かをチェックするように実施される。プラズマ処置に続き、読み/書きデバイスは、好ましくは、値を有するチップを破壊するか、又は新しい値をメモリに書き込むように実施される。新しい値は、無効な数が使用された場合、接続された電源ユニットが好ましくは電圧信号の放出を拒絶するように実施されるため、特定のプラズマアプリケータがプラズマ処置にもはや使用することができないように、例えばゼロのみを含む。
【0200】
RFIDトランスポンダは、プラグイン装置ではなく、残りのプラズマアプリケータの部分に一体化することもできる。
【0201】
一構成では、プラグイン装置は、挿入装置及びプラグイン装置が相互接続された場合、挿入装置の対応する接点により読み取ることができる不揮発性電子メモリチップ、例えばEPROM(消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ)を有する。RFIDトランスポンダの場合と同様に、初回使用時に値を不揮発性電子メモリチップに書き込むことができ、上記値は、続く読み出し中、プラズマアプリケータが既に使用済みであることを示す。初回使用後、電源ユニットによる高電圧の放出はもはや実施することができない。対応するコントローラと併せて、これは複数回の使用を阻止することができる。
【0202】
不揮発性電子メモリチップは、プラグイン装置ではなく、残りのプラズマアプリケータの部分に一体化することもできる。
【0203】
挿入装置
挿入装置の実施形態について以下に説明する。挿入装置は、プラグイン装置に相補的なユニットを表し、プラグイン装置との安全な機械的及び電気的接続を確立するように実施される。
【0204】
したがって、挿入装置は、プラグイン装置に相補的な実施形態を有する相補的なプラグイン接触装置を表す。したがって、挿入装置はプラグイン装置の相手方を表す。挿入装置は、好ましくは、ケーブルの端部に配置され、又は電源ユニットの部分であることができる。
【0205】
好ましくは、電子技術コア、特にプラズマアプリケータの挿入装置と一緒に差し込まれたプラグイン装置に電圧信号を送信するように実施される挿入装置が提供される。
【0206】
挿入装置は、好ましくは、相補的なプラグイン装置に導電的に接続することができるように実施される。プラグイン装置及び挿入装置を一緒にすることにより、電気的接続及び機械的接続が同時に確立される。ここで、挿入装置及びプラグイン装置の導体トラックは、一緒になった状態で外部から電気的に絶縁される。
【0207】
挿入装置はケーブルに接続することができる。ケーブルにより、対応する挿入装置に接続されたプラズマアプリケータは、主に静止した電源ユニットに接続することができる。主に静止した電源ユニットはコントローラを備えることもできる。挿入装置は、随時、プラグイン装置から分離することができ、したがって、プラズマアプリケータと一緒に、上記プラズマアプリケータのユーザは、電源ユニット及び挿入装置から独立して移動することができる。プラグイン装置がプラグの形態、特にチップカードの形態で実施される場合、挿入装置は、プラグイン装置を受ける対応する結合器として実施される。
【0208】
挿入装置は、モバイル電源ユニットの部分として実施することもでき、モバイル電源ユニットは、好ましくは、エネルギー貯蔵器、例えば電池、蓄積器、又はキャパシタを含む。その場合、挿入装置は通常、エネルギー貯蔵器により提供された電力を電子技術コアに提供する-上記挿入装置がプラグイン装置に接続された場合-ために、エネルギー貯蔵器に電気的に接続される。有利なことには、その場合、挿入装置を主に静止した電源ユニットに接続するために、挿入装置を比較的長いケーブルに接続する必要がない。
【0209】
プラズマアプリケータに電圧信号を供給するために、モバイル電源ユニットの挿入装置はプラグイン装置に接続することができ、プラズマ処置に続き、プラグイン装置から分離することができる。一緒になった状態において、エネルギー貯蔵器により提供されたDC電圧は次に、モバイル電源ユニットと一体化された電気回路により、プラズマの点火に十分な電圧信号に変換され、上記十分な電圧信号は挿入装置を介してプラグイン装置に転送される。
【0210】
電池又は蓄積器は通常、数ボルトのDC電圧を提供するため、プラズマアプリケータ又はモバイル電源ユニットに電気回路を提供することができ、上記電気回路は、コンパクトなモバイル電源ユニットの電池又は蓄積器により提供されたDC電圧をプラズマの点火に十分な電圧信号に変換し、十分な電圧信号は、プラズマを点火するために、少なくとも1つの電極構造に転送される。有利なことには、モバイル電源ユニットはプラズマアプリケータと比べて小型且つコンパクトなユニットを形成し、上記小型且つコンパクトなユニットは、プラズマアプリケータに接続されている場合であっても、長距離且つ数週間という比較的長期にわたり持ち運ぶことが可能である。
【0211】
したがって、一緒になった状態において、プラズマアプリケータ及びプラズマアプリケータと比べて比較的小さいモバイル電源ユニットは、プラズマ処置中、患者が容易に携帯することができるユニットを形成する。したがって、モバイル電源ユニットは、電圧信号を少なくとも1つの電極構造に送信し、プラズマを点火するために、ケーブル及び挿入装置を介して高電圧生成器等の主に静止して使用される電源ユニットをプラズマアプリケータに接続する必要がない、自律式電源ユニットを表す。
【0212】
これは、高電圧生成器等の局所電源に接続され、通常、短距離でしか、例えば病院内でしか運ばれない、モバイル電源ユニットと比べて大きな主に静止して使用される電源ユニットからの独立をモバイル電源ユニットのユーザに与える。特に、モバイル電源ユニットのユーザは、プラズマ処置をいつどこで実行したいかについて自分自身で判断することができる。したがって、モバイル電源ユニットのユーザは、電力網及び利用可能な電源ソケット等の局所基盤から独立する。これは特に、ユーザが数週間という比較的長期にわたり、最も近い病院が遠く離れているエリアにおり、更に、殆ど荷物を持ち運ぶことができない場合又は一般に、ホームケアセクタの場合、すなわち、クリニック外での適用若しくは非臨床設定の場合、有利である。
【0213】
モバイル電源ユニットにより提供される電圧信号は、例えばガルバニック結合を確立することにより挿入装置からプラグイン装置に転送することができる。
【0214】
更なる実施形態では、プラズマアプリケータはプラグイン装置を有さず、したがって、挿入装置により主に静止した電源ユニット又はモバイル電源ユニットに接続することができない。電圧信号を提供するために、エネルギー貯蔵器、例えば電池又は蓄積器をプラズマアプリケータ自体に統合することができ、プラズマの点火に十分な電圧を生成するために、適した電気回路、例えばブロッキング発振回路により電子技術コアの少なくとも1つの電極構造に電気的に接続することができる。
【0215】
蓄積器又はキャパシタがプラグイン装置を有するプラズマアプリケータに統合される場合、蓄積器又はキャパシタは、プラグイン装置を電源に接続することにより充電することができる。ここでも、蓄積器又はキャパシタは、プラズマの点火に十分な電圧を生成するために、適した電気回路、例えばブロッキング発振回路を介して電子技術コアの少なくとも1つの電極構造に電気的に接続される。その場合、開閉接点を切り替えることにより、後に、蓄積器又はキャパシタに貯蔵されたエネルギーを少なくとも1つの電極構造に出力することができる。
【0216】
誘導エネルギー伝達
一実施形態では、プラズマアプリケータはプラグイン装置を備えず、受電装置を備え、受電装置は各事例で1つ又は複数の受信コイル装置を含む。1つ又は複数の送信コイル装置を含むモバイル電源ユニットにより、電磁誘導により電気エネルギーをモバイル電源ユニット内の送信コイル装置からプラズマアプリケータ内の受信コイル装置に伝達することができる。同様に、送信コイル装置を配電装置に含めることを考えることもできる。配電装置は、好ましくは、ケーブルに接続され、静止電源ユニットに接続することができる。静止電源ユニットにより提供された電気エネルギーは、電磁誘導により配電装置内の送信コイル装置からプラズマアプリケータ内の受信コイル装置に伝達することができる。有利なことには、エネルギー分配装置は、この実施形態では、例えばシリコーン又はラッカーにより完全に囲むことができ、エネルギー分配装置及びプラズマアプリケータ両方の内部及び表面上における自由にアクセス可能な電気接点を省くことが可能である。そうして構成されたプラズマアプリケータ及びエネルギー分配装置は、比較的容易に清掃、消毒、及び滅菌、又はオートクレーブ処理することができる。
【0217】
挿入装置と一緒にすることができるプラグイン装置を有するプラズマアプリケータの上述した変形とは対照的に、ここで説明されるプラズマアプリケータの変形におけるエネルギー伝達は、ガルバニック結合ではなく電磁誘導により実施される。好ましくは、プラズマの点火に十分な電圧信号を生成するように実施された電気回路が、プラズマアプリケータ、モバイル電源ユニット、又は両方に提供される。例として、蓄積器及び/又は電池により通常提供されるような数ボルトのDC電圧を誘導伝達に適したAC電圧信号に変換する電気回路をモバイル電源ユニットに提供することができる。その場合、プラズマアプリケータに含まれる受信コイル装置において誘導された電圧信号をプラズマの点火に十分な電圧信号に変換する電気回路はプラズマアプリケータに統合することができる。
【0218】
更なる実施形態では、プラズマアプリケータはプラグイン装置を備えず、統合エネルギー貯蔵器、例えば蓄積器又はキャパシタと、蓄積器又はキャパシタを充電する統合コイル装置とを備える。この実施形態では、プラズマアプリケータ内のコイル装置において誘導された電流を蓄積器又はキャパシタの充電に十分な電流電圧信号に変換する電気回路を追加としてプラズマアプリケータに統合することができる。対応するプラズマアプリケータは、プラグイン装置を必要とせず、自由にアクセス可能な電気接点なしで実施することができる。このように実施されたプラズマアプリケータは、比較的容易に清掃、消毒、及び滅菌、又はオートクレーブ処理することができる。更に、そのようなプラズマアプリケータは、例えば、人間又は動物の体内に移植することができる。一実施形態では、プラズマアプリケータは、個々の分子、凝集体、若しくはタブレットの形態で薬理学及び/又は非薬理学的に有効な1つ若しくは複数の有効成分(例えば、モルヒネ、凝固剤、サイトカイン、親水コロイド)でコーティングされ、又は有効な1つ若しくは複数の有効成分を含む。
【0219】
プラグイン装置のないプラズマアプリケータの実施形態では、電子技術コアは、上述した特徴、特に電極構造及び絶縁層に関連して指定した特徴を用いて実施することができる。プラグイン装置のないこれらの実施形態であっても、電気的又は機械的構成要素を変えることによりプラズマアプリケータの1回使用を保証することが可能である。例として、プラズマの点火に十分な電圧信号を少なくとも1つの電極構造に送信することが意図される電気構成要素は、初回使用の結果として、初回使用に続き、プラズマの点火に十分な電圧信号を電極構造にもはや送信することができないように変更することができる。
【0220】
エンクロージャ
好ましくは、人間又は動物の表面を処置するプラズマアプリケータは、特に医療用シリコーン、ラッカー、接着剤、薄膜、織物、圧縮織物、又はガーゼ、セルロース、若しくは綿等の有機材料等の生体適合性材料で作られたエンクロージャを備える。上述した材料の組合せを含むエンクロージャはまた、幾つかの用途に有利であることもできる。特に、プラズマアプリケータの電子技術コアは、エンクロージャにより全体的に又は少なくとも部分的に囲まれることができる。
【0221】
通常、エンクロージャは複数のオーバーモールドシリコーンカプセル化を含む。処置する側に面する側で、第1のオーバーモールドシリコーンカプセル化が提供され、これは電気絶縁の機能を満たす。処置する側から離れる方に向いた側で、第1のオーバーモールドシリコーンカプセル化は第2のオーバーモールドシリコーンカプセル化が続き、これは導電性シリコーンを含む。この第2のオーバーモールドシリコーンカプセル化は、接地電位であり、電子技術コアと外側に直接印加される基準電位又は処置表面の形態の仮想基準電位との間に電気的破断が生じることなくプラズマアプリケータに触れることができるような接触保護の機能を満たす。電気絶縁シリコーンで作られた第3のオーバーモールドシリコーンカプセル化が第2のオーバーモールドシリコーンカプセル化に適用される。そのようなエンクロージャの生産には比較的高い垂直集積が必要とされる。
【0222】
エンクロージャは、例えば、射出成形法、浸漬法、又はペイント法を使用して形成することができる。プラズマコーティング又はパリレンコーティング等の他のコーティング法の使用を考えることもできる。エンクロージャは完全に又は部分的にのみ実施することができる。例として、創傷に面する側が囲まれず、又は部分的にのみ囲まれ、創傷から離れる方に向いた側が完全に囲まれる場合、有利であることができる。
【0223】
好ましい実施形態では、電子技術コアは、第1の絶縁層と、動作中、接地される第1の電極構造と、第1の電極構造を第2の電極構造からガルバニック絶縁するように実施される第2の絶縁層と、電源ユニットにより提供され、プラズマの点火に十分な電圧信号により、動作中、駆動される第2の電極構造と、第2の電極構造を第3の電極構造からガルバニック絶縁するように実施される第3の絶縁層と、動作中、接地される第3の電極構造とを備える。そのような電子技術コアはそれ自体、接触保護を既に提供する。したがって、続けてエンクロージャの適用により接触保護を保証する必要はない。この好ましい実施形態による電子技術コアは、好ましくは、単に1つのシリコーン層の形態のエンクロージャにより実現することができ、1つのシリコーン層の形態のエンクロージャは、有利なことには、比較的薄く、したがって可撓性があるように実施することができる。特に、接触保護の機能は第1及び第3の電極構造により満たされるため、エンクロージャは接触保護を保証する必要がもはやない。したがって、そのようなエンクロージャは比較的単純であり、1つだけの生産ステップで適用することができる。これは、通常、エンクロージャが各電子技術コアに別個に適用されなければならないため、上述したような従来のエンクロージャを有するプラズマアプリケータと比べて、プラズマアプリケータの生産中、垂直集積を大幅に低減する。逆に、本明細書に記載されるように実施される電子技術コアは、積層機の使用及びそれに続く打ち抜きにより比較的容易に多数で生産することができる。
【0224】
この好ましい実施形態による電子技術コアは、使用されるエンクロージャに特定の要件を課す必要なく、モジュールのように種々のエンクロージャに統合することができる。例として、考えられるエンクロージャは、電子技術コアが統合されるオーバーモールドなしで、従来の絆創膏により実現することができる。考えられるエンクロージャは、電子技術コアが統合される吸収パッドにより実現することもできる。考えられるエンクロージャは圧迫下着により実現することもできる。電子技術コアは、ポケットに縫い付けることもでき、裏面をブランケット、布、熱フィルム等に接着接合することもでき、又は真空支援創傷閉鎖治療システム(VAC:vacuum-assisted wound closure therapy system)に統合することもできる。
【0225】
エンクロージャは、例えばメッシュの形態、菱形、又は切り欠きを有する構造化実施形態を有することができる。そのような構造化実施形態は特に、例えば接着性シリコーン(非完全硫化シリコーン)又は例えばアクリレートベース又はポリウレタンベースの任意の他の接着剤を有する電子技術コアの体面側に実施される場合、有利である。更に、エンクロージャは、エンクロージャが電子技術コアの周囲の特定の領域に存在し(形態は、例えば、円形、多角形、L字形、M字形、E字形、X字形、又はO字形であることができる)、他の領域にエンクロージャが存在しないように実施することができる。
【0226】
エンクロージャは、プラズマが生成される領域外で、少なくとも破断強度、ひいては接触安全性が、使用中、電圧信号により駆動される少なくとも1つの電極構造と、潜在的に逆側に直接ある基準電位又は処置表面の形態の仮想基準電位との間に保証されるように実施することもできる。これを保証するために、エンクロージャ材料の電気特性及び厚さを電子技術コアに存在する電位に合わせる必要がある。有利なことには、追加の安全要因が考慮に入れられる。例として、医療等級シリコーンは通常、破断強度約20kV/mmを有する。医療等級シリコーンで作られた対応するエンクロージャが厚さ1mmを有する場合、例えば、材料破損又は破断が生じることなく、20kVの電圧を印加することが可能である。しかしながら、破断強度は材料毎に異なる。医療等級シリコーンよりもはるかに高い破断強度を有する特殊なラッカーがある。少なくとも1つの電極構造の駆動に使用される電圧信号が5kVの振幅、すなわち、10kVピークツーピークを有すると考える。その場合、厚さ250μmのシリコーン層の破断強度は、材料の破断を阻止するのに十分である。安全係数は通常、2倍とされる。エンクロージャが医療等級シリコーンで作られ、電極構造の駆動に使用される電圧信号の振幅が5kVである場合、それに従ってエンクロージャは少なくとも500μmの厚さを有さなければならない。例えば、ラッカー及び/又はポリウレタン等の異なる材料で作られたエンクロージャの場合、厚さをエンクロージャに使用される材料の材料特性に合わせることが有利である。
【0227】
エンクロージャは、例えばポケットの形態の織物により形成することもできる。電子技術コアは、上記ポケットに押し込まれ、又は縫い付けられ/エンボス加工されることができる。電子技術コアが挿入され、又は縫い付けられ/エンボス加工されたそのようなポケットは、処置表面に直接留めることができる。
【0228】
電子技術コアが挿入され、又は縫い付けられ/エンボス加工されたポケットは、他の織物の部分であることもできる。ポケットは、しっかりと縫い付けられ、リベットで留められ、又は例えば、接着剤、面ファスナー、若しくは接着テープにより他の織物に留めることができる。
【0229】
電子技術コアのエンクロージャは、吸収特性を有するように実施することもできる。吸収特性を有するエンクロージャは、好ましくは、例えば織物、ガーゼ、PU発泡体、分配層、創傷接触層、スペーサ構造等の液体吸収材料、液体除去材料、及び/又は液体分配材料の少なくとも1つの層からなる。好ましくは、吸収特性を有するそのようなエンクロージャは、プラズマアプリケータの体面側に配置される。
【0230】
エンクロージャは、上述した材料(例えば、織物、シリコーン、ラッカー、接着剤、パリレンコーティング、プラズマコーティング、ガーゼ、パッド)の組合せにより形成することもできる。この組合せは、材料の混合物(例えば、複合材マトリックスとしての織物及びシリコーン)と、積層形態(例えば、シリコーン、ガーゼ、PU発泡体、分配層、創傷接触層上に層になった異なる織物)又は互いに並べて若しくは異なる側との両方であることができる。例として、エンクロージャは、患者から離れる方に向いた側に薄い膜により形成することができ、一方、患者に面する側のエンクロージャは、織物及び/又は1つ又は複数の吸収材の1つ又は複数の層からなる。使用に応じて、電子技術コアは、包帯の形態のエンクロージャにより処置表面に留めることもできる。この場合、電子技術コアは処置表面に配置され、処置表面に配置された電子技術コア及び上記処置表面の周囲に複数回巻かれた固定包帯により固定される。
【0231】
エンクロージャの上述した織物は、有機材料及び無機材料の両方及び両材料の混合物からなることができる。
【0232】
プラズマアプリケータがプラグイン装置を備える場合、プラグイン装置及び電子技術コアのエンクロージャは、好ましくは、含有空気なしでインターロックする。エンクロージャが織物又は吸収特性を有する材料により形成される場合、含有空気なしのインターロックエンクロージャは必要ない。プラグイン装置のエンクロージャは、有利なことには、対応する挿入装置及びそれらの間の結合のタイプを考慮に入れて設計される。例として、ガルバニック結合がプラグイン装置と挿入装置との間に提供される場合、プラグイン装置の少なくとも電気接触面は、挿入装置の電気接触面に自由にアクセス可能であるべきである。しかしながら、電磁誘導による電磁結合が提供される場合、プラズマアプリケータはエンクロージャにより完全に囲むこともできる。
【0233】
プラズマアプリケータがプラグイン装置を有さず、エネルギー貯蔵器がプラズマアプリケータに直接統合される場合、プラズマアプリケータも同様に、エンクロージャにより完全に覆うことができる。
【0234】
プラズマアプリケータのエンクロージャは、個々の分子、凝集体、若しくはタブレットの形態で薬理学又は非薬理学的に有効な1つ若しくは複数の有効成分(例えば、モルヒネ、凝固剤、サイトカイン、親水コロイド)で富化され、且つ/又はコーティングすることができる。薬理学的に有効な成分による富化は特に、プラズマアプリケータを人間又は動物の体内に統合する場合、有利であることができる。
【0235】
プラズマアプリケータは、純粋なガーゼ、セルロース、又は同等の材料により囲むことができる。対応する実施形態では、プラズマアプリケータは、シリコーン等の生体適合性材料により囲まれず、代わりに、プラズマアプリケータの電子技術コアは、ガーゼ包帯、医療用枕、又はセルロースに織り込まれ、又は縫い付けられ/エンボス加工される。ここで、電子技術コア自体が、例えば、動作中に駆動される電極構造(第2の電極構造)が間に配置される2つの接地電極構造(第1及び第3の電極構造)を備えることにより接触保護を有する場合、特に有利である。
【0236】
プラズマアプリケータが、電子技術コアの一部に配置され、又は電子技術コアの全域にわたり分布するように配置された孔又は通路を有する電子技術コアを備える一実施形態変形では、エンクロージャは、エンクロージャが電子技術コアを通して処置表面に面するプラズマアプリケータの片側から処置表面から離れる方に面するプラズマアプリケータの側に媒体を移送できるように、又はそれ自体が移送を促進するように設計することができる。例として、適したエンクロージャは、媒体移送材料により形成することができるか、又は同様に孔及び通路を有することができる。
【0237】
プラグイン装置を穿孔において電子技術コアから分離することができる一実施形態変形では、穿孔はエンクロージャの部分として実施することができる。穿孔の機能は、このポイントでのエンクロージャの強度の低下にあり、所定の破断点を表すべきである。処置に続き、プラグイン装置はこの穿孔において剥ぎ取られるか、又は取り外すことができる。その結果、プラズマアプリケータは、例えば、数日から数週間を含み得る比較的長期にわたり処置表面に留まることができ、もはや必要ないプラグイン装置は取り外すことができる。
【0238】
側方広がりに関して、エンクロージャは電子技術コアの電極構造よりもはるかに大きい大きさであることができる。例として、エンクロージャは20cm×20cm、30cm×30cm、又は更に大きな面積を有することができ、一方、電極構造の面積は10cm×10cmである。
【0239】
プラズマアプリケータのエンクロージャが電子技術コアの電極構造よりも大きな面積を有する一実施形態変形では、ユーザは、プラズマ処置前、所望のサイズにプラズマアプリケータを切断することができ、例えば、上記サイズは創傷の面積に対応することが可能であり、最小サイズは電極構造のサイズによって指定される。
【0240】
接着層
プラズマアプリケータが、プラズマアプリケータを処置エリア上又は処置エリアを覆って固定し、プラズマアプリケータと処置表面との間に封止されたガス空間を生み出すために、処置表面に面する側の最後の層として接着層を有する場合、有利であり得る。接着層は、好ましくは、シリコーン又はアクリレートベースの接着剤等の生体適合性材料からなり、好ましくは数μm~数百μmの厚さを有する。接着層の接着力は、接着層の厚さにより直接設定することができる。好ましくは、接着層の厚さは150μm未満、特に60μm未満、特に20μm未満である。
【0241】
好ましくは、接着層は、追加の補助手段又は留め付け材料なしでプラズマアプリケータを処置表面に接着させるのに十分な接着力を有する。特に、接着層が、処置表面とプラズマアプリケータとの間に数日、又は数週間にわたって続く接着接触を確立する場合、有利であることができる。
【0242】
接着層は、光活性を有する材料により形成することもでき、又は光活性を有する材料を含むこともできる。これに関して、光活性は、光子が材料の接着力に影響を及ぼすことができることを意味する。照射に先立ち、接着材料は、別の表面との接着接触を確立するのに適する。特定の波長の光子での照射に続き、接着材料はその接着力を失い、接着接触の確立にもはや適さない。光活性接着層を有するプラズマアプリケータは、特に、数日から数週間の比較的長期にわたる使用に適する。
【0243】
例として、接着層は、スクリーンプリント法又は射出成形法を使用して適用することができる。例えば、接着剤転写テープ又は両面接着テープにより巻物として実現されることを考えることもできる。接着剤転写テープ又は両面接着テープは、弾性、ひいては可撓性設計を有することができ、したがって、対応するプラズマアプリケータは、種々の表面に可撓的に適合され取り付けられることができる。
【0244】
例として、接着層は、処置表面とプラズマアプリケータとの接着接触がプラズマアプリケータのエンクロージャの縁部でのみ確立されるように上記縁部を覆うことができる。接着層は、平坦な接着接触がプラズマアプリケータと処置表面との間の接着面全体にわたり確立されるように、処置表面に面するプラズマアプリケータの全側面を覆うこともできる。
【0245】
接着層は、例えば円形又は他の幾何学的形状の形態の孔又はより大きな切り欠きを含むこともできる。有利なことには、プラズマは、孔又は比較的大きな切り欠きを有して表面全体を覆って実施される接着層の孔又は切り欠きにおいて点火することができる。同時に、孔及び切り欠きは、プラズマの活性成分が拡散可能なことを表す。更に、接着力は、孔又は切り欠きの数及びサイズにより更に設定することができる。
【0246】
複数の電極構造が層内に配置される場合、接着層は、この層における電極構造の分布のネガ像として形成することができる。その結果、プラズマが拡散することができるガス空間を可能な限り大きく保つことができる。
【0247】
接着層がファブリック若しくは織物を有するか、又は接着層がファブリック若しくは織物に適用されることが有利であることができる。
【0248】
更なる実施形態では、接着層は、処置表面から離れる方に面するプラズマアプリケータの側に適用される。これは特に、例えばスリップを回避するために、プラズマアプリケータが処置表面から離れる方に向いた側、ブランケット、布、又は応急処置でのサーマルブランケットに固定されるべき場合、有利である。この場合、動作中、プラズマが点火する封止されたガス空間が、ブランケット、布、又はサーマルブランケットと処置表面との間に生じる。
【0249】
更なる好ましい実施形態では、返しがついたフックを有する面ファスナーの能動的接着部分が、処置表面に面するプラズマアプリケータの側に留められる(例えば接着接合される、縫い付けられる)。面ファスナーの返しがついたフックは織物に付着し、したがって、創傷にわたるプラズマアプリケータの固定を促進するため、面ファスナーのそのような能動的接着部分は、プラズマアプリケータを織物(例えば、布地、創傷包帯、固定包帯、圧迫衣服)に接続された又は織物で覆われた表面又に適用するのに特に有利に使用することができる。
【0250】
スペーサ構造
本明細書に記載されるプラズマアプリケータが処置表面に面する側にスペーサ構造を備える場合、有利であることができる。スペーサ構造は、プラズマアプリケータと処置表面との間に定義された距離を生み出し、したがって、プラズマを点火することができる定義されたガス容積を生み出す機能を有する。
【0251】
スペーサ構造は、プラズマアプリケータに永続的及び非永続的の両方で接続することができる。例として、永続的な接続は、接着接合及び/又は成形により実現することができる。非永続的接続の場合、プラズマアプリケータとスペーサ構造との間に機械的及び/又は化学的な永続的接続はない。
【0252】
プラズマ処置中、スペーサ構造は創傷に触接接触するため、スペーサ構造は、好ましくは、生体適合性材料(例えば、シリコーン、織物/シリコーン複合材マトリックス、ガーゼ、吸収材、セルロース、創傷ガーゼ、PU発泡体)及び/又は上述した材料の組合せからなる。
【0253】
好ましくは、スペーサ構造は全域を覆って実施されない。好ましくは、スペーサ構造の側方広がりは、電子技術コアの電極構造の側方広がりと同等である。
【0254】
スペーサ構造を有するプラズマアプリケータの実施形態では、スペーサ構造は、プラズマを点火することができる切り欠きを有することができる。例として、そのような切り欠きは蜂の巣形を有することができ、異なるサイズを有する穴により形成することができ、又はメッシュ構造により形成することができる。更なる好ましい実施形態では、スペーサ構造はX字形、O字形、Z字形、M字形、E字形、又はW字形構造により形成される。
【0255】
スペーサ構造を有するプラズマアプリケータの一実施形態では、スペーサ構造は、幅数百μmから最大で数mm及び高さ数百μmから最大で数mmを有する薄いウェブ又はビーズにより形成することもできる。
【0256】
スペーサ構造は、好ましくは、プラズマが比較的広いエリアにわたり拡散して点火するよう、処置表面に面するプラズマアプリケータの側面の比較的小さな部分のみを覆うように実施される。
【0257】
プラズマアプリケータに脱着可能に配置することができるスペーサ構造は、プラズマアプリケータから独立して、別個の構成要素として実施することができる。
【0258】
プラズマアプリケータに脱着可能に配置することができるスペーサ構造は、1つ又は複数の接着パッドにより実現することができる。これらの接着パッドは通常、接着材料が提供される平らな側又は平面側を有する。この接着材料は、処置表面に面するプラズマアプリケータの側に適用することができ、その結果、接着パッドはプラズマアプリケータに接着する。
【0259】
接着パッドは異なる形状及びサイズを有することができる。したがって、形状は、半球、直方体、ピラミッド、L字形、O字形、M字形、E字形、X字形、又は典型的な三次元幾何学的形状の組合せを表すことができる。接着パッドの直径は、好ましくは、1mm~6cmである。接着パッドの高さは、好ましくは、100μm~8mmである。
【0260】
接着パッドは、シリコーン、フェルト、ガーゼ、硬化ポリマー発泡体、織物、PE、PP、PET、又は同等の材料及び材料の組合せにより形成することができる。
【0261】
接着パッドは、好ましくは、生体適合性材料により形成される。
【0262】
接着パッドはフレーム形実施形態を有することもできる。ここでは、フレームの内径は、電子技術コアの電極構造の側方広がりのオーダであることができる。例として、電極構造が10cm×10cmの面積に広がる場合、フレームの内径も同様にcm範囲にあることができる。しかしながら、好ましくは、内径は電極構造の長手側よりも大きく、この場合はすなわち10cmよりも大きい。フレームのウェブ幅は、好ましくは、3mm~6cmである。フレームの高さは、好ましくは、100μm~8mmである。
【0263】
フレーム形態の接着パッドとして実施されるスペーサ構造は、好ましくは、電極構造がスペーサ構造により覆われず、プラズマアプリケータにおけるプラズマ形成が、適用されたスペーサ構造により妨げられないように実施される。
【0264】
フレーム形態の接着パッドとして実施されるスペーサ構造は、好ましくは、処置側に面するスペーサ構造の側及び処置側から離れる方に面するスペーサ構造の側の両方において接着材料で湿潤する。プラズマ処置の場合、スペーサ構造は、処置側に面するスペーサ構造の側を用いて処置表面に適用されることができ、プラズマアプリケータは、処置側から離れる方に面するスペーサ構造の側でスペーサ構造に配置することができる。スペーサ構造は、接着材料自体を含むこともでき、又は接着材料により形成されることもできる。接着層又は接着性を有するスペーサ構造は、プラズマアプリケータから独立し、種々のプラズマアプリケータに配置することができ、プラズマ処置に向けて種々のプラズマアプリケータと併用することができる製品を形成することができる。
【0265】
スペーサ構造を有するプラズマアプリケータの実施形態では、スペーサ構造は、薬理学的に及び/又は非薬理学的に有効な1つ若しくは複数の有効成分(例えば、モルヒネ、凝固剤、サイトカイン、親水コロイド)を装備し、且つ/又は有効成分で富化することができる。この意味内での装備は、例えば、有効成分でスペーサ構造の表面をコーティングすることにより且つ/又はスペーサ構造の材料に有効成分を蓄積させることにより実施することができる。1つ又は複数の薬理学的又は非薬理学的な有効成分を装備し、且つ/又は有効成分でスペーサ構造の材料を富化するために、追加の材料及び/又は手段がコーティング及び/又は蓄積において混ぜられる場合、有利であることができる。その結果、薬理学的又は非薬理学的な有効成分の有効期間及び/又は放出動態を遅延(減速)又は加速させることができる。
【0266】
スペーサ構造を有するプラズマアプリケータの一実施形態では、スペーサ構造はプラズマ源として実施することができる。その場合、有利なことには、使用中、プラズマの点火に十分な電圧信号が印加される少なくとも1つの電極構造は、スペーサ構造内に配置される。スペーサ構造の構成部品として電極構造を有するこの構成では、処置表面は、動作中、対電極を表す。
【0267】
スペーサ構造を有するプラズマアプリケータの一実施形態では、スペーサ構造は、電極構造として同時に実施することができる。したがって、そのような電極構造はスペーサ構造の機能を更に満たす。適した電極構造は、円形又は楕円形の断面を有するワイヤにより形成された単純な導電体であることができる。単純な導電体はリボンケーブルにより形成することもできる。この意味内のリボンケーブルは正方形又は矩形の断面を有することができる。この場合、スペーサ構造は同時にプラズマ源である。この実施形態の場合でも、動作中の対電極は、好ましくは、処置表面自体により実現される。
【0268】
一実施形態では、電極構造を備えるか、又はそれ実施形態が電極構造であり、構造を点火する目的で電圧信号により影響を受けるプラズマ源として実施されるスペーサ構造を有するプラズマアプリケータは、更なる電極構造を備える。例として、更なる電極構造は、スペーサ構造と残りのプラズマアプリケータとの間に全域電極として配置することができる。そのように形成された更なる電極構造は、プラズマをプラズマ源として実施されるスペーサ構造と更なる電極との間で点火することができるように、好ましくは接地される。この実施形態の一変形では、更なる電極構造は全域にわたって実施されず、代わりに、例えば蜂の巣の形態、異なるサイズの孔、又は多角形形態の切り欠きを有する。
【0269】
スペーサ構造を有するプラズマアプリケータの一実施形態では、スペーサ構造は少なくとも2つの電極構造を備えることができる。電極構造の好ましい構成は、処置表面に関連して互いに上下に重ねられた層の形態である。好ましくは、電極構造の1つは基準電位であり、電極構造の少なくとも更なる1つは、動作中、プラズマの点火に十分な電圧信号が印加される。好ましくは、接地された電極構造は、動作中に駆動される電極構造よりも処置表面の近くに配置される。動作中、プラズマの点火に十分な電圧信号による影響を受ける電極構造と処置表面との間の距離は、好ましくは、接地される電極と処置表面との間の距離よりも大きい。動作中、プラズマは好ましくは、実質的にスペーサ構造の2つの対向する長手側で点火する。
【0270】
プラズマ源として実施されるスペーサ構造と、スペーサ構造内及び/又はスペーサ構造と残りのプラズマアプリケータとの間の更なる電極構造とを有するプラズマアプリケータの好ましい実施形態では、プラズマ源として実施されるスペーサ構造によりプラズマ源が既に実現されているため、プラズマアプリケータは多層システムとして実施される電子技術コアを備えない。この場合、プラズマアプリケータは、例えば、エンクロージャと、プラズマ源として実施されるスペーサ構造とを備える。
【0271】
好ましい実施形態では、プラズマ源として実施されるスペーサ構造はプラグイン装置を有する。プラグイン装置は挿入装置にガルバニック接続することができ、それにより、スペーサ構造の電極構造にプラズマの点火に十分な電圧信号を得送信する。プラズマ源として実施されるスペーサ構造は、スペーサ構造内の第1の電極構造と、スペーサ構造内若しくは外部にある第2の電極構造とを備えることができ、又はスペーサ構造内に1つのみの電極構造を備えることができる。
【0272】
好ましい実施形態では、プラズマ源として実施されるスペーサ構造は、プラズマアプリケータの更なる構成部品なしで独立して実施される。その場合、プラズマ処置では、プラズマが点火されるべき封止されたガス空間は、例えば、薄膜をスペーサ構造の上に配置又は接着接合することにより実現することができる。その結果、スペーサ構造は、処置表面の上に留めることができる。プラズマ源として実施されるスペーサ構造は、スペーサ構造内の第1の電極構造及びスペーサ構造内若しくは外の第2の電極構造を備えることができ、又はスペーサ構造内の1つのみの電極構造を備えることができる。電極構造の少なくとも1つはプラグイン装置にガルバニック接続することができる。
【0273】
アクセスポート
本明細書に記載されるプラズマアプリケータは、例えば、吸引装置用のアクセスポートを更に有することができる。その場合、アクセスポートは、好ましくは、このプラズマアプリケータに統合される。アクセスポートは複数の機能に使用することができる:
・プラズマアプリケータが処置表面に適用されている間、創傷を濯ぎ、
・プラズマアプリケータが処置表面に適用されている間、創傷により恐らくは滲出した滲出液を吸引し、
・プラズマアプリケータが処置表面に適用されている間、VAC治療を実行し、
・プラズマ処置前、プラズマ処置後、及び/又はプラズマ処置中、上述した機能の組合せ。
【0274】
アクセスポートは、好ましくは、管を接続することができるようなスパウト又はニップルとして実施され、管は、例えば真空ポンプに、正確に言えば、管を介して、真空ポンプにより生成された負圧をプラズマアプリケータにおけるニップル又はスパウトに案内し、その結果として、上述した機能(濯ぎ、吸引、VAC治療、及びプラズマ処置前、プラズマ処置後、及び/又はプラズマ処置中、それらの中の個々の機能の組合せ)をプラズマアプリケータと処置表面との間の封止されたガス空間において満たすことができるように接続される。
【0275】
スパウト又はニップルは、好ましくは、管形であり、中空内部を有する。好ましくは、この管形装置の一端部は、プラズマアプリケータと処置表面との間の封止されたガス空間にあり、他端部は、プラズマアプリケータが処置表面に配置されているとき、管形スパウトを通して1つ又は複数の媒体を封止されたガス空間に追加し、又は封止されたガス空間から移送できるように、プラズマアプリケータ外部にある。
【0276】
スパウト又はニップルは、円形、楕円形、矩形、又は多角形の断面を有することができる。
【0277】
好ましい実施形態では、スパウト又はニップルの内径及び外径は、管を押しつけることができ、スパウトに留めることができるように選ばれる。
【0278】
一実施形態では、管形スパウトは、管形スパウトにおけるねじ接続による、封止されたガス空間への媒体の追加及び/又は封止されたガス空間からの媒体の除去を目的として、相補的なねじを有する管を留めるためにオスねじ又はメスソケットを備える。この実施形態の変形では、この管形スパウトは電子技術コアを通して案内される。特にこのために孔又は切り欠きを電子技術コアに提供することができ、孔又は切り欠きは直径に関して管形スパウトの外径に対応する。一変形では、この管形スパウトはエンクロージャを通して案内される。特にこのために孔又は切り欠きはエンクロージャに提供することができ、孔又は切り欠きは直径に関して管形スパウトの外径に対応する。
【0279】
好ましい実施形態では、スパウト又はニップルはプラグイン装置に統合される。その場合、スパウトの相手方は、好ましくは、プラグイン装置及び挿入装置が一緒に差し込まれた状態で、挿入装置の相手方がプラグイン装置のスパウトとの水密且つ気密の接続を確立するように相補的な挿入装置に配置される。
【0280】
好ましい実施形態では、管形スパウト又は管形ニップルは、管形スパウトを通る1つ又は複数の媒体の流れを上記弁により調整、停止することができるような集積弁を備える。そのような弁は、手動制御可能、機械制御可能、又は電子的に制御可能であることができる。
【0281】
センサシステムを有するプラズマアプリケータ
後述するようなセンサ及び任意選択的に対応するセンサシステムは、本明細書に記載されるようなものであるか、それとも従来のものであるかに関係なく、全てのプラズマアプリケータに提供することができる。純粋に例示的に、1つのセンサ又は複数の、特に異なるセンサを有するプラズマアプリケータの2、3の好ましい実施形態について以下に説明する。
【0282】
一実施形態では、プラズマアプリケータは、プラズマ源として実施される電子技術コアと、処置する体部位とプラズマアプリケータとの間に封止されたガス空間を確立できるようにするエンクロージャと、プラズマ処置及び/又は創傷治癒に関連する測定変数、特にプラズマアプリケータによる使用中に覆われる体部位の生理学的測定変数を捕捉、出力するように実施される少なくとも1つのセンサとを備える。
【0283】
センサを有するプラズマアプリケータは、特にプラズマアプリケータが、処置する体部位を外部影響から封止するために、比較的長期、例えば数日から最長で数週間にわたり、処置する体部位に留まることが意図される場合、特に有利に使用することができる。例として、プラズマ処置が創傷処置の開始時に実行される場合、プラズマアプリケータが対応する体部位に永続的に取り付けられ、通常数日から最長で数週間という比較的長期にわたり、例えば対応する創傷が治癒するまで創傷を封止する場合、創傷治癒に有利であり得、その結果、有利なことには、創傷の再汚染を回避することができる。プラズマ処置に続き、少なくとも1つのセンサにより、封止されたガス空間及び/又は処置する創傷についての特に特徴的な測定変数を捕捉し、読み取ることができる。捕捉することは、測定変数を測定し、測定変数を表すデータ信号に測定変数を変換することを含む。その結果、創傷の処置プロファイルを読み出された測定変数に基づいて、治癒過程中に処置する体部位からプラズマアプリケータをこのために取り外す必要なく、追跡することができる。したがって、治癒過程中、創傷は永続的に封止されたままであることができる。
【0284】
少なくとも1つのセンサは、好ましくは、測定変数、例えばガス圧、温度、血中酸素飽和度(SpO2値)、創傷分泌物のコンダクタンス、細菌コロニー形成、pH値、創傷サイズ等を捕捉するように実施される。次に、捕捉された測定変数は、例えば、測定変数を表すデータとして、少なくとも1つのセンサを有するセンサシステムのメモリチップに記憶することができる。次に、データは、後に外部リーダにより読み出すことができる。例として、少なくとも1つのセンサを含むセンサシステムはRFID(無線周波数識別)トランスポンダを含むことができ、RFIDトランスポンダは、対応する要求がリーダからトランスポンダに対して行われた場合、メモリチップに記憶されたデータにアクセスし、データをリーダに送信することが可能である。
【0285】
測定変数を表すデータ信号は、好ましくは無線でセンサシステムの送信ユニットからポータブル又は静止データ処理デバイスの相補的な受信ユニットに直接、好ましくは無線で送信することもできる。
【0286】
センサにより捕捉された測定変数を読み取ることにより、特に有利なことに、プラズマ処置の処置成功及び/又は創傷治癒の進み具合を、このために処置する体部位に配置されたプラズマアプリケータを処置する上記体部位から取り外す必要なく、評価することが可能である。これは特に、プラズマアプリケータが処置する体部位に比較的長期にわたり適用されたままであるべき場合、有利である。比較的長期は、好ましくは、数日又は数週間という期間である。要約すると、数日という期間は数週間という期間に対応することもできる。好ましくは、比較的長期は、創傷が少なくとも大方治癒する期間を含む。この期間中、処置する創傷は周囲大気から大方遮断される。したがって、この期間中、創傷は永続的に封止される。
【0287】
有利なことには、捕捉された測定変数は、例えば医師又は病院スタッフにより直接、読み取られ解釈することができる。読み出された測定変数から進んで、例えば、プラズマ処置を新しくする必要性を評価し、又はプラズマアプリケータを取り外すのに適したときを判断することが可能である。
【0288】
捕捉された測定変数が患者自身により読み取られる場合、有利であることもある。例として、患者は、測定変数を表すデータを家で読み取り、医師が患者を対面診察せずに処置の成功を評価することができるようにネットワークを介してこれらを医師に提供することができる。したがって、少なくとも1つのセンサを有するプラズマアプリケータは、特に有利に、医師による患者の、ホームモニタリングと呼ばれることもあるテレモニタリングを促進する。
【0289】
1つのセンサ又は複数のセンサ、特に複数の異なるセンサにより捕捉された測定変数に基づいて、プラズマの点火に十分な電圧信号の振幅を調整することを考えることもできる。このために、例えば、測定変数を表すデータ又は測定変数を表すデータ信号は、提供すべき電圧信号の振幅をそれに従って変調することができるように電源ユニットの対応するインターフェースに好ましくは無線で又はケーブルにより送信することができる。一実施形態では、プラズマアプリケータは、少なくとも1つの捕捉された測定変数に基づいて、プラズマを点火するのに提供される電圧信号、特に電圧信号の振幅を変調する電気回路を備える。
【0290】
少なくとも1つの捕捉された測定変数に基づいて、プラズマを点火するのに提供される電圧信号、特に電圧信号の振幅を変調するように実施される電気回路は、電源ユニットに統合することもできる。その場合、電源ユニットは、例えば、プラズマアプリケータの1つ若しくは複数のセンサから直接又は捕捉された測定変数を表すデータが記憶されたデータ処理デバイスからケーブルを介して又は無線で、捕捉された測定変数を表すデータ信号を受信、処理し、対応する出力信号を電気回路に送信するように実施することができる。
【0291】
したがって、電源ユニットが提供され、電源ユニットは、プラズマの点火に十分な電圧信号を提供するように実施され、捕捉された測定変数を表すデータ信号を受信するインターフェースと、電気回路とを備え、電気回路は、受信したデータ信号に基づいてプラズマを点火するのに提供される電圧信号、特に電圧信号の振幅を変調するように実施される。
【0292】
例として、センサは、封止されたガス空間内のガス圧を測定するように実施され且つ構成されたガス圧センサ、圧迫包帯の圧力を測定するように実施され且つ構成された圧力センサ、特に封止されたガス空間内の温度を測定するように実施され且つ構成された温度センサ、特に創傷のpH値を測定するように実施され且つ構成されたpH値センサ、創傷環境中の湿度を測定するように実施され且つ構成された湿度センサ、又は特に創傷治癒に特徴的な代謝産物を測定するように実施され且つ構成された代謝産物センサであることができる。例として、そのような代謝産物はフィブリン等のタンパク質又は乳酸であることができる。創傷治癒に特徴的な代謝産物は、創傷の細菌膜にわたり細菌により発せられる代謝産物であることもできる。
【0293】
センサシステムは、複数のセンサ、特に複数の異なるセンサを備え、例えば微細電子機械システム(MEMS)として実施することもできる。そのような微細電子機械システムは、プラズマアプリケータへの統合が特に有利であることができるコンパクトユニットを表す。
【0294】
一実施形態では、プラズマアプリケータは、複数のセンサ、特に複数の異なるセンサを含むセンサシステムを備える。センサは、好ましくは、使用中、プラズマアプリケータにより覆われた体部位の異なる生理学的測定変数のそれぞれを捕捉、出力するように実施される。センサシステムの複数のセンサは、好ましくは、プラズマアプリケータの異なるポイントに配置される。好ましくは、複数のセンサのうち1つのセンサは、対応する測定変数の捕捉に特に適したポイントに配置される。ガス圧の測定に提供されるセンサは、好ましくは、プラズマアプリケータにおいて創傷から、ガス空間にアクセス可能な距離に配置される。創傷分泌物のコンダクタンスの測定に提供される温度センサは、好ましくは、使用中、処置する創傷に接触するように配置される。
【0295】
複数のセンサ、特に複数の異なるセンサを含むセンサシステムは、例えば、創傷の細菌膜又は血中若しくは創傷分泌物中の病原体のタイプ及び濃度を捕捉するように実施し得る、ラボオンチップシステムとも呼ばれるマイクロ流体システムとして実施することもできる。一実施形態では、プラズマアプリケータは、マイクロ流体システムとして実施されるセンサシステムを備え、センサシステムは、例えば、創傷分泌物又は血液を採取、分析するために、使用中、処置する創傷に接触するようにプラズマアプリケータに配置される。
【0296】
センサは、好ましくは、プラズマ処置及び/又は創傷治癒に関連する変数、特に生理学的測定変数をセンサにより捕捉することができるように、関与するプラズマに配置される。一実施形態では、センサは、プラズマ処置中、処置する体部位から離れて封止されたガス空間内に配置されるように配置される。このように配置されたセンサは、温度又はガス圧等の封止されたガス空間に固有の測定変数を特に有利に測定することができる。一実施形態では、センサは、プラズマ処置中、処置する体部位に直接接触するように配置される。このように配置されたセンサは、細菌膜又は創傷の酸素飽和度等の処置する体部位に固有の測定変数を測定するのに特に有利であることができる。電子技術コアに特徴的な測定変数を捕捉することが可能なようにセンサを配置することが有利であることもある。
【0297】
一実施形態では、プラズマアプリケータは、電子技術コアと、ポケットを有するエンクロージャであって、電子技術コアはポケット内に挿入され、ポケットから取り出すことができる、エンクロージャと、プラズマ処置及び/又は創傷治癒に関連する測定変数、特に生理学的測定変数を捕捉、出力するように実施される少なくとも1つのセンサとを備える。好ましくは、エンクロージャは、プラズマアプリケータが処理する体部位、すなわち、処置する創傷にわたり適用されているとき、人が創傷の状態を視覚的に評価することができる程度まで、少なくとも部分的にシースルー又は光学的に透明である。その場合、まず、プラズマ処置を実行することができる。プラズマ処置に続き、エンクロージャを通した創傷までの見通しが促進されるように、電子技術コアをポケットから取り外すことができる。プラズマ処置を再び実行すべき場合、電子技術コアをモジュールとして、エンクロージャのポケット内に再び挿入することができる。その結果、センサシステムにより捕捉された測定変数の解釈に加えて、創傷治癒の進み具合を視覚的に評価することもできる。一実施形態では、プラズマアプリケータは、ポケットを有するエンクロージャを備え、ポケット内に電子技術コアが取り外し可能に配置される。エンクロージャは、電子技術コアが取り外され、プラズマアプリケータが上記処置する体部位に配置されたとき、エンクロージャを通して体部位が認識可能なように実施される。
【0298】
適用されたプラズマアプリケータの下に配置された創傷の視覚的評価は、ビューウィンドウを通して処置する創傷の状態を、人が、このためにプラズマアプリケータを取り外す必要なく評価できるようにする、エンクロージャの領域に配置されたビューウィンドウを備えたプラズマアプリケータのエンクロージャにより促進することもできる。したがって、エンクロージャは、プラズマアプリケータの一実施形態においてビューウィンドウを有し、上記ビューウィンドウは、プラズマアプリケータが体部位に配置されているとき、ビューウィンドウを通して上記体部位が認識可能であるように配置される。
【0299】
一実施形態では、プラズマアプリケータは、電子技術コアと、ビューウィンドウを有するエンクロージャであって、ビューウィンドウは、ビューウィンドウを通して、プラズマアプリケータが適用される体部位を視覚的に評価することができるように配置される、エンクロージャと、プラズマ処置及び/又は創傷治癒に関連する測定変数、特に生理学的測定変数を捕捉及び出力するように実施される少なくとも1つのセンサとを備える。ビューウィンドウは、好ましくは、創傷のビューが電子技術コアにより遮られないようにエンクロージャに配置される。このために、電子技術コアが中心に通路を備え、その上にビューウィンドウが配置される場合、有利であることがある。
【0300】
一実施形態では、プラズマアプリケータは、電子技術コアと、エンクロージャと、少なくとも1つのセンサと、ゲル層とを備え、ゲル層は、処置する体部位に面するプラズマアプリケータの側に配置される。プラズマアプリケータが処置する体部位に配置されるとき、ゲル層は、好ましくは、処置する体部位に対してプラズマアプリケータにより及ばれる接触圧を処置する体部位の面積にわたり均一に分散させる。これは、プラズマアプリケータが比較的長期にわたり体部位に留まるべき場合、特に有利である。
【0301】
一実施形態では、プラズマアプリケータは、電子技術コアと、エンクロージャと、少なくとも1つのセンサと、エアクッションとを備え、エアクッションは処置する体部位に面するプラズマアプリケータの側に配置される。エアクッションは、好ましくは、リング形実施形態を有し、空気が充填される。ここで、リング形エアクッションは、リング形エアクッションにおける開口部の直径に対応する内径と、エアクッションの全体範囲の直径に対応する外径とを有する。内径は、好ましくは、電子技術コアの電極構造の少なくとも1つの側方広がりに対応する。外径は、好ましくは、プラズマアプリケータの外寸に対応する。プラズマアプリケータが処置する体部位に配置されたとき、エアクッションは、好ましくは、処置する体部位に対してプラズマアプリケータにより及ぼされる接触圧を均一に分散させる。これは、プラズマアプリケータが比較的長期にわたり体部位に留まるべき場合、特に有利である。
【0302】
一実施形態では、プラズマアプリケータは、電子技術コアと、エンクロージャと、少なくとも1つのセンサと、薬理学的及び/又は非薬理学的に有効な有効成分が富化又はコーティングされ、プラズマ処置中、処置する体部位に直接配置される層とを備える。そのような層は、スペーサ構造により特に有利に実現することができる。特に創傷が比較的長期にわたり、好ましくは創傷が治癒するまで封止される場合、有効成分は、創傷治癒を支援し、特定及び/又は追加の適応症を治療するために、この長期間中、処置する創傷に放出することができる。
【0303】
一実施形態では、プラズマアプリケータは、電子技術コアと、エンクロージャと、少なくとも1つのセンサと、接着層とを備え、接着層は、数日という期間にわたり、特に創傷が首尾良く治癒するまで、残りのプラズマアプリケータの部分と処置表面との間の接着接触を保証するように実施される。そのような期間は、特定の状況下で数週間を含むこともできる。好ましくは、接着層は自己接着実施形態を有する。例として、自己接着性接着層は適した接着剤、例えばシリコーンにより形成することができる。好ましくは、接着層は、プラズマアプリケータと処置する体部位との間の安全な接着接触を保証する。好ましくは、接着層は、好ましくは数日という特定の期間にわたり劣化し、又は溶剤、例えばアルコールの添加の結果として溶解するように実施される。
【0304】
一実施形態では、プラズマアプリケータは、電子技術コアと、エンクロージャと、少なくとも1つのセンサと、アクセスポートを備え、アクセスポートは、プラズマアプリケータ処置する体部位に配置されているとき、流体媒体を封止されたガス空間に供給し、又は封止されたガス空間から除去することができるように配置される。プラズマアプリケータが比較的長期にわたり処置する体部位に留まる場合、アクセスポートにより、創傷治癒の種々の段階で標的化して流体媒体を供給又は除去することができ、したがって創傷治癒を支援する。有利なことには、アクセスポートはVAC治療を実行できるようにする。例として、VAC治療は液体センサにより制御することができる。プラズマアプリケータがアクセスポートを備える場合、有利なことに、処置する体部位が封止されているにもかかわらず、ガス空間から浸出液を移送することができる。アクセスポートは、有利なことに、ガス空間において好気性又は嫌気性大気環境を確立できるようにする。
【0305】
一実施形態では、プラズマアプリケータは、電子技術コアと、エンクロージャと、少なくとも1つのセンサとを備え、エンクロージャは疎水性材料により形成され、又は疎水性コーティングでコーティングされる。これは、有利なことに、プラズマアプリケータが数日にわたり処理する体部位に配置されている間、ガス空間への液体の進入を阻止する。
【0306】
プラズマアプリケータを用いて創傷を永続的に創傷封止する方法であって、プラズマアプリケータはエンクロージャと、電子技術コアと、少なくとも1つのセンサとを備え、方法は、少なくとも以下のステップを含む:
-閉じられたガス空間がプラズマアプリケータと処置する体部位との間に形成されるように、プラズマアプリケータを処置する体部位に適用するステップと、
-プラズマ処置を実行するステップであって、これは、プラズマの点火に適した電圧を電子技術コアの電極構造に印加することを含む、プラズマ処置を実行するステップと、
-封止されたガス空間がプラズマ処置を超えて残るように、プラズマアプリケータを処置する体部位に残すステップと、
-プラズマアプリケータが処置する体部位に残されている間、少なくとも1つのセンサにより、プラズマアプリケータで覆われた体部位の生理学的測定変数を捕捉及び出力するステップ。
【0307】
残すステップは、好ましくは、処置する創傷が治癒するのにかかる期間に対応する期間に及ぶ。したがって、このステップの持続時間は数週間に及び得る。次に、創傷治癒に関連する生理学的測定変数は、この期間中、センサにより捕捉、出力される。好ましくは、方法の個々のステップは、残すステップ中、複数回実行される。したがって、例えば、残すステップ中、プラズマ処置が複数回実行される場合、有利であり得る。
【0308】
センサもセンサシステムも備えないプラズマアプリケータを、体部位、特に損傷の封止に使用することもできる。そのような方法は、以下のステップを含む:
-閉じられたガス空間がプラズマアプリケータと処置する体部位との間に形成されるように、電子技術コア及びエンクロージャを備えたプラズマアプリケータを処置する体部位に適用するステップと、
-プラズマ処置を実行するステップであって、これは、プラズマの点火に適した電圧を電子技術コアの電極構造に印加することを含む、プラズマ処置を実行するステップと、
-封止されたガス空間が数日にわたりプラズマ処置を超えて残るように、プラズマアプリケータを処置する体部位に残すステップ。
【0309】
そのような方法は、この説明の範囲内で記載されたプラズマアプリケータを使用して及び他の従来のプラズマアプリケータを使用して実行することができる。プラズマアプリケータを処置する体部位に残すことにより、処置する体部位は封止され、したがって、外部影響から遮断される。数日という期間にわたり残すステップは、特に、創傷が大方治癒する期間に及ぶ。好ましくは、プラズマアプリケータは処置する体部位に配置され、プラズマ処置が実行され、創傷が治癒するまでプラズマアプリケータは処置する体部位に残される。そのような期間は通常、数日を含み、合算されると、数週間という期間になることもある。
【0310】
プラズマの点火
プラズマを点火するために、プラズマの点火に十分な電圧信号が、電源ユニットにより電子技術コアの少なくとも1つの電極構造に提供される。
【0311】
好ましくは、電源ユニットは、矩形波電圧、鋸波電圧、又は正弦波電圧としてプラズマの点火に十分な電圧信号を提供するように実施される。好ましくは、電源ユニットは個々の反復パルスを提供するように実施され、例として、AC電圧をパルスで提供することができる。
【0312】
プラズマ処置の場合、毎秒当たり5回(5Hz)、20μsオン、180μsオフでパルスされる9kVピークツーピークを有する正弦波電圧が提供されることが有利であり得る。有利なことには、これにより、点火されたプラズマの温度を低く保つことができる。有利なことには、プラズマは、処置時間の約10%という全体時間中、点火される。
【0313】
代替の変形では、数百Vから5kVピークツーピークの電圧信号の使用を提供することができる。更なる変形では、別のパルスパターンの提供を提供することができる。例として、活性種の対応する濃縮を達成し、一連の短パルスに続き数秒間、もはやプラズマを点火しないために、幾つかの短パルスを使用することが有利であり得る。そのようなプラズマ処置は、特定の臨床像の場合、処置結果の改善に繋がることができる。同時に、消費電力は、パルスの持続時間及びパルス間の休止により標的化されて設定することができる。モバイル電源を用いての動作の場合、特に、比較的長いパルスを用いたプラズマの短い点火が有利であり、その理由は、その結果としてエネルギーの必要性が大幅に下がり、比較的小さなエネルギー貯蔵を用いたより長い処置持続時間が促進されるためである。
【0314】
第1の電極構造が電子技術コアに提供される場合、第1の電極構造は、好ましくは、基準電位又は接地電位であり、したがって、電圧信号により駆動される第2の電極構造の電気対極を形成する。次に、電場が2つの電極構造間又は少なくとも第2の電極構造図書値表面との間に印加され、電極構造間の短絡は、電極構造間に配置される絶縁層により回避又は抑制される。代わりに、広域誘電バリア放電プラズマが形成される。プラズマ特性は、接地電極構造と処置表面、特に人間又は動物の表面との間のガス空間の厚さ、特にガス容積に強く依存するため、常に同じ効果を有するプラズマを生成するために、プラズマアプリケータと処置表面との間の封止されたガス空間に十分な量のガスを確実且つ再現可能に提供できるようにするスペーサ構造を提供することができる。ここでは、イオン化すべきガス又はガス混合物は、供給された作動ガス及び/又は周囲空気又は外部空気である。
【0315】
本発明の例示的な実施形態について図に基づいて以下に説明する。その意図は、これらが必ずしも縮尺に忠実ではない例示的な実施形態を表し、むしろ、図が概略的且つ/又は僅かに歪んだ形態で実施されていることである。説明、図、及び特許請求の範囲で開示される特徴は、個々及び任意の組合せの両方で本発明の実現にとって重要であり得る。ここでは、同一又は同様の機能を有する同一の特徴及び/又は同様の特徴には、目的に適う場合は常に、同じ参照符号が提供されている。本発明の更なる利点、特徴、及び詳細が、以下の好ましい例示的な実施形態の説明から、図に基づいて現れる。
【図面の簡単な説明】
【0316】
【
図1】挿入装置と一緒になったプラグイン装置を有するプラズマアプリケータを示す。
【
図2A】挿入装置と一緒になったプラグイン装置を通る、幅に沿った断面の側面図を示す。
【
図2B】挿入装置と一緒になったプラグイン装置を通る、高さに沿った断面の側面図を示す。
【
図3】電極構造に電気的に接続された、プラグの形態のプラグイン装置の幅に沿った断面の側面図を示す。
【
図4】プラグイン装置と挿入装置とを安全に接続する機構を示す。
【
図5A】電子技術コアと、挿入装置と一緒になったプラグイン装置とを有するプラズマアプリケータを示す。
【
図5B】挿入装置と一緒になったプラグイン装置を通る、幅に沿った断面の側面図を示す。
【
図6】導体トラックのテーパを有するチップカード形態のプラグイン装置を示す。
【
図7】表面を処置する大気圧冷プラズマを生成する既知の装置の分解組立図を示す。
【
図8A】挿入装置を有するモバイル電源ユニットと一緒になったプラズマアプリケータを示す。
【
図8B】一体化されたモバイル電源ユニットと、プラグイン装置とを有するプラズマアプリケータを示す。
【
図8C】プラグイン装置のない、一体化されたモバイル電源ユニットを有するプラズマアプリケータを示す。
【
図8D】モバイル電源ユニットの挿入スロットを有するプラズマアプリケータを示す。
【
図8E】一体化された受信コイル装置と、送信コイル装置を有するモバイル電源ユニットを挿入することができる挿入スロットとを有するプラズマアプリケータを示す。
【
図8F】蓄積器を有する一体化された電源ユニットを有するプラズマアプリケータを示し、電源ユニットは、同様に一体化された充電装置により誘導的に充電することができる。
【
図9】スケーラブルな処置エリアを有するプラズマアプリケータを示す。
【
図10A】誘電バリア放電(DBD)を生成するプラズマ源としても同時に実施されるスペーサ構造を示す。
【
図12】電子技術コアの患者に面する側の平面図を示す。
【
図13】
図12に示されるような電子技術コアの患者から離れる方に向いた側の平面図を示す。
【
図14】
図13に示されるような電子技術コアの患者から離れる方に向いた側の平面図を示す。
【
図15】電圧コネクタ及び接地コネクタを有する挿入装置を示す。
【
図16】スナップイン要素により示される機械的に安全なシートをプラグイン装置と挿入装置との間にいかに確立することができるかを示す。
【
図17】吸収パッドに挿入された電子技術コアを示す。
【
図18】既に存在する包帯におけるタブに挿入された電子技術コアを示す。
【
図19】各事例で、3つの電極構造及び3つの絶縁層を有する電子技術コアを有するプラズマアプリケータを通る断面を示す。
【
図20】プラズマ処置中、処置表面から離れる方に面する電子技術コアの側の平面図を示す。
【
図21】プラズマ処置中、処置表面から離れる方に面する電子技術コアの側の平面図を示し、特に第3の絶縁層を見ることができる。
【
図22】プラズマ処置中、処置表面から離れる方に面する電子技術コアの側の平面図を示し、特に第3の電極構造を見ることができる。
【
図23】プラズマ処置中、処置表面から離れる方に面する電子技術コアの側の平面図を示し、電子技術コアは第3の電極構造及び補強を備える。
【
図24】挿入装置と一緒になったプラグイン装置を示す。
【
図25】電子技術コア、エンクロージャ、及びアクセスポートを有するプラズマアプリケータを示す。
【
図26】アクセスポートを有するプラグイン装置と、プラグイン装置の実施形態と相補的な実施形態を有する挿入装置とを示す。
【
図27】アクセスポートを有するプラグイン装置と、プラグイン装置の実施形態と相補的な実施形態を有する挿入装置とを示す。
【
図28】エンクロージャと、電子技術コアと、アクセスポートを有するプラグイン装置とを有するプラズマアプリケータを示す。
【
図29】センサシステムを有するプラズマアプリケータを示す。
【
図30】
図30Aは、エリアにわたり分散した幾つかの通路を有する電子技術コアを有するプラズマアプリケータを示し、
図30Bは、
図30Aに示されるプラズマアプリケータの、拡大して示された一部を示す。
【
図31】電子技術コア及びプラグイン装置を有するプラズマアプリケータを示し、穿孔が電子技術コアからプラグイン装置への遷移部に形成される。
【
図32】バッグに留められたプラズマアプリケータを示す。
【
図33】プラズマアプリケータがバッグの穴の上に配置された、バッグに留められたプラズマアプリケータを示す。
【0317】
図1は、電子技術コア50と、チップカードのようなプラグとして実施されたプラグイン装置70とを有するプラズマアプリケータ100の好ましい実施形態を示す。プラグイン装置70は、相補的な受けソケットとして実施された挿入装置60と一緒になる。挿入装置60及びプラグイン装置70は導電性導体トラックを有し、導電性導体トラックは結合された状態において対応する接触面でガルバニック結合される。特に、プラグイン装置70の導体トラックは、プラグイン装置から少なくとも1つの電極構造10に繋がる導体を有する。
【0318】
電極構造10は電子技術コア50の部分であり、示される実施形態では、電子技術コア50は絶縁層20を更に備える。絶縁層20の縁部は、適用に典型的な電圧における沿面距離の長さだけ側方方向において電極構造10を超えて突出する。
【0319】
示される実施形態では、電極構造10は、櫛形実施形態を有する銀伝導性ワニスからなる。示される実施形態の異なる変形では、電極構造は、薄膜金属層、金属薄膜、金属メッシュの形態で且つ/又は伝導性ポリマー層を用いて形成することもできる。対応する電子技術コアの電極構造が、織物に織られた導電性糸により形成される変形を考えることもできる。更なる変形では、対応する電子技術コアの電極構造は、伝導性プラスチック、伝導性粒子が富化された材料、金属薄膜、又はグラファイト等の伝導性のある可撓性材料で作られた導体構造として形成される。
【0320】
示される実施形態の電極構造10は、プラグイン装置70の導体トラックに電気的に接続される。挿入装置60はケーブル80に接続される。ケーブル80の他端部において、ケーブル80は通常、高電圧生成器等の主に静止して使用される電源ユニット(図示せず)に接続される。電源ユニット(図示せず)は、プラズマの点火に十分な電圧信号を提供し、コントローラと、デジタルデータのリーダとを備えることができる。動作のために、プラズマアプリケータ100のプラグイン装置70は挿入装置60と一緒にされる。電源ユニット(図示せず)により提供された電圧信号は、プラズマアプリケータ100の動作中、プラズマを点火するために、ケーブル80及び挿入装置60と一緒になったプラグイン装置70を介して電極構造10に転送される。
【0321】
示される電子技術コアの電極構造10は、電圧信号により駆動される電極構造の機能を有し、好ましくは、可撓性実施形態を有する。通常、接地電極の機能を有する更なる電極構造が必要である。示される実施形態では、電子技術コア50は1つのみの電極構造10を備え、プラズマアプリケータが人間又は動物の表面で又は表面上に適用される場合、対電極は人間若しくは動物の体又は技術的表面自体により実現される。示される例示的な実施形態の一変形では、更なる電極構造としての対電極は、可撓性平坦電子技術コアの構成部品であり、処置表面に面する側に配置される。この変形では、被駆動電極構造及び接地される電極構造は、同じ材料からなり、同じ特定のジオメトリを有する。しかしながら、被駆動電極構造及び接地される電極構造の電極セクションは、定義された重複を有して互いからオフセットされて配置される。対応する電極構造の電極セクションは、示される実施形態及び説明される変形では、好ましくは、幅5mm及び厚さ14μmを有する。
【0322】
電極構造の電極セクションの断面形態は、関係変数であることが分かった。伝導率は、電極構造の電極セクションの断面形態と併せて、好ましくは、各電極セクションを形成する導体トラックが一桁オーム範囲の抵抗を有するように評価される。そこから現れることは、電極構造の導体トラックの始まりと終わりとの間で電圧が数ボルトしか降下せず、したがって、電極構造の全域にわたり均一な放電を提供できるようにすることである。合計で2オームの電極構造の抵抗が現在、好ましい。例えば最高で50オームまでのより高い抵抗値を考えることもできる。しかしながら、抵抗が高い場所ほど大きな電圧降下を観測し得、電極構造はかなり熱くなる。
【0323】
しかしながら、用途によっては、電子技術コアの電極構造の電極セクションが幅1mm及び厚さ70μmを有する場合、有利であることもある。更なる用途では、電子技術コアの電極構造の電極セクションが幅10mm及び厚さ7μmを有する場合、有利であることもある。
【0324】
平坦なプラズマ、特に冷プラズマを生成するには、被駆動電極構造10と処置表面との間に配置された絶縁層20が電子技術コア50に配置される。
【0325】
示される実施形態では、絶縁層20は非導電性プラスチックからなる。しかしながら、絶縁層20は、セラミック、プラスチック-セラミック混合物、天然繊維組成物、又は他の天然材料からなることもできる。絶縁層20は、好ましくは、数μmから数100μmの範囲の厚さを有する。絶縁層20は、好ましくは、無孔であり、すなわち、孔又はキャビティがないか、又はあったとしてもごく僅かである。更に、絶縁層20は、mm厚当たり少なくとも5kVの絶縁耐力を有する。絶縁層20の側方広がりは、電子技術コア50内の電極構造10の寸法に、そこを超えて突出する縁部を加えたものに対応し、縁部は、プラズマを点火するのに印加される典型的な電圧値の場合、少なくとも沿面距離の覆うような寸法である。
【0326】
ここに示される実施形態の示されていない一変形では、絶縁層の側方広がりは、使用中に駆動される電極構造と基準電位である更なる電極構造又は処置表面との間にアーク放電がないように選ばれる。通常、沿面距離は、故障を生じさせずに特定の絶縁機構(例えばオーバーモールド)の使用により短縮することができる。したがって、電子技術コアのエンクロージャに応じて、絶縁層の側方広がりは、電極構造を超えて突出する絶縁層の縁部の効果が、プラズマの点火に必要な、沿面距離として電圧信号の振幅により規定されるものよりも小さいように設計することもできる。
【0327】
電子技術コアが第1及び第2の電極構造を備える、示される実施形態の示されていない更なる変形では、電子技術コアは、好ましくは、更なる絶縁層を備え、更なる絶縁層は接地電極と処置表面との間に配置される。更なる絶縁層は、好ましくは、例えば、ラッカー、シリコーン、ポリウレタン、又はコーティング等の生体適合性材料からなる。コーティングは、プラズマ支援化学蒸着(PACVD)、化学蒸着(CVD)、陽極酸化プロセス、又は電子めっきを使用して塗布することができる。
【0328】
示される例示的な実施形態では、プラズマアプリケータ100は、例えば、医療等級シリコーン又はラッカー等の生体適合性材料45により部分的に囲まれる。ここで、電子技術コア50の下側、すなわち、処置表面に面する側は囲まれず、電子技術コア50の上側、すなわち、処置表面から離れる方に向いた側は完全に囲まれる。エンクロージャは、少なくとも絶縁耐力が被駆動電極構造10と、逆側に直接印加される基準電位との間で保証されるように実施される。
【0329】
プラグイン装置70も同様に部分的に囲まれる。特に、プラグイン装置70のエンクロージャ及び電子技術コア50のエンクロージャは含有空気なしでインターロックする。プラグイン装置70と挿入装置60との間のガルバニック結合を促進するために、プラグイン装置70の電気接触面は、挿入装置60の電気接触面に自由にアクセス可能であり、すなわち、電気接触面は囲まれない。
【0330】
示される実施形態では、接着層40が、処置表面に面する側でエンクロージャ45の縁部に沿って適用されている。接着層40は、プラズマアプリケータ100を処置する人間若しくは動物の表面又は技術的表面に固定できるようにする。接着層40は、好ましくは、例えばシリコーン又はアクリレートベースの接着剤等の生体適合性材料からなり、好ましくは、厚さ数μm~数百μmを有する。プラズマアプリケータが接着層により処置表面に取り付けられると、接着層は、処置表面への追加の助けなしでプラズマアプリケータを接着できるようにするのに十分な接着力を生成する。例として、接着層はスクリーンプリント法又は射出成形法を使用して適用することができる。接着層が接着剤転写テープ又は両面接着テープにより実現されることを考えることもできる。接着剤転写テープ又は両面接着テープは弾性、ひいては可撓性設計を有することができ、したがって、対応するプラズマアプリケータは、種々の表面に可撓的に適合し、種々の表面に可撓的に適合され取り付けられることができる。
【0331】
電圧信号は、プラズマを点火する目的で電子技術コアの被駆動電極構造に印加される。更なる電極構造が電子技術コアに提供される場合、更なる電極構造は接地又は接地電位であり、したがって、電圧信号による動作中に駆動される電極構造の対電極を形成する。次に、電場が2つの電極構造間か、又は動作中に駆動される電極構造と処置表面との間に印加され、電極構造間の短絡は、2つの電極構造間の絶縁層により回避又は抑制される。代わりに、広域誘電バリア放電プラズマが形成される。
【0332】
ここに示されていない実施形態では、電子技術コアは、動作中に駆動される電極構造と、対電極とを備え、対電極は、動作中、対電極に印加されたDC電圧により電圧オフセットを生成し、プラズマから創傷に向けて荷電粒子を加速させるように実施される。ここに示されていない実施形態では、対電極は、DC電圧により電圧オフセットを生成するように実施される。この場合、対電極は、対応する電圧源に接続されるように実施される。
【0333】
プラズマアプリケータ100は-使用中、表面に適用された場合-、プラズマが生成される封止された空間である処置領域30を画定する。処置領域30は、好ましくは、気密封止される。好ましくは、処置領域30は、冷プラズマが人間若しくは動物の表面又は技術的表面の上のエリアにわたり分散するように、処置表面から数mmの距離に配置される。ここで、プラズマ処置は、数分という典型的な持続時間を有する。
【0334】
図2Aは、プラグとして実施され、受けソケットとして実施される挿入装置60と一緒になるプラグイン装置70の好ましい実施形態を示す。示される図は、挿入装置と一緒になったプラグイン装置を通る、幅に沿った断面の側面図を示す。
【0335】
挿入装置60は30mmの幅B1を有する。ケーブル80がコネクタを介して挿入装置60に接続される。電源ユニット(図示せず)はケーブル80の他端部に接続することができ、上記電源ユニットは、動作中、プラズマを点火する電圧信号を提供する。コネクタ65はポリエチレンで作られた絶縁構造を有し、外側に電磁シールド(EMCシールド)が提供される。シールドは、例えば病院において、他の電気デバイスに潜在的に干渉するおそれがある干渉波の放射増大を抑制することができる。更に、このシールドは、他のビーム源からの外部干渉からの影響の受けやすさを最小に抑えることができる。
【0336】
しかしながら、異なる変形では、絶縁構造は、他の可撓性無孔絶縁体(例えば、プラスチック又はセラミック)からなることもできる。ケーブル80はシリコーンスパウトで被覆される。挿入装置60は、筐体を絶縁体(例えばエポキシ又はシリコーン)で完全に充填するのに提供される封止プラグ66を更に備える。ここで、第1の封止プラグ66はエポキシ又はシリコーンの入口として提供され、第2の封止プラグ66は、充填中、筐体から空気が逃げることができるような空気出口として提供される。
【0337】
更に、インダクタ67が提供され、これらは特定の干渉周波数のフィルタとして機能する。挿入装置60の筐体68は、比較的良好なEMCシールドのために金属化される。筐体68の全体は、好ましくは、導電性材料からなる。代替的には、筐体68は、例えば、内側を金属化又はメッシュでシールドすることもできる。両変形において、筐体68のシールドはPEに置かれ、したがって、筐体68は電気的にシールドされる(ファラデー箱)。
【0338】
挿入装置60の内部69は、絶縁耐力を保証し、部分放電を回避するために、シリコーン又は高い破断強度を有する別の材料(例えばエポキシ樹脂)でカプセル化される。更なる利点は、挿入装置内の機械的構成要素及び電気的構成要素が小型且つコンパクトな構造を有することができることである。更に、例えば蒸気滅菌中の湿度の進入が回避される。
【0339】
示される挿入装置60は、高電圧コネクタ(HVコネクタ)71及び接地コネクタ(GNDコネクタ)72を備える。ここに示される変形では、プラグイン装置の幅B2は24mmである。ここに示される変形では、プラグイン装置70が挿入装置60内で完全に受けられる場合、2つの一緒になった装置のシステムの長さL2は124mmである。ここで、プラグイン装置70は、ここに示される変形では、挿入装置60から36mmの長さL3だけ突出する。挿入装置から突出するプラグイン装置70の部分は、好ましくは、例えばシリコーンで作られたエンクロージャで囲まれることができ、その場合、プラグイン装置70を電子技術コア(図示せず)に留めるように機能する。
【0340】
ここに示されていない実施形態では、プラグイン装置は円形を有する。他のプラグ形状を考えることもでき、部分放電の回避、一般にシールドを考慮に入れるべきである。
【0341】
プラグイン装置及び挿入装置からなる適したサイズ及び形状が通常、動作に提供される電圧信号の振幅に依存することに留意されたい。動作中、プラズマを点火するために1kVの電圧信号が電源ユニットにより提供される場合、
図2Aに関連して説明したサイズ仕様ははるかに小型の仕様であることができ、したがって、対応するプラグイン装置もより小型且つよりコンパクトな設計を有する。
【0342】
プラグイン装置はラッチ装置64を有し、ラッチ装置64は、一緒になった状態では、相補的な実施形態を有する挿入装置により受けられる。その結果、プラグイン装置及び挿入装置は機械的に相互接続される。
【0343】
図2Bは、挿入装置と一緒になった
図2Aに示されたプラグイン装置を通る、高さに沿った断面の側面図を示す。挿入装置60は、片側でケーブル80に接続され、14mmの高さH1を有する。逆側では、挿入装置60は、プラグイン装置70を受ける開口部を有する。プラグイン装置70は6.8mmの最大高さH2を有する。プラグイン装置70が挿入装置60内で完全に受けられる場合、患者側の最小沿面距離は85mmの長さL1を有する。一緒になった状態では、プラグイン装置70及び挿入装置60は、ラッチ装置64により機械的に接続される。
【0344】
図3は、プラグイン装置70の好ましい実施形態を示す。ここに示される図は、プラグイン装置70の幅に沿った断面の平面図を示す。プラグ装置70は、少なくとも1つの導体トラック71により電極構造10に導電的に接続され、導体トラック71は電圧コネクタ(HVコネクタ)77の接触面から電極構造10に繋がる。示される実施形態では、プラグイン装置70の最大幅B3は21mmである。示される実施形態では、プラグイン装置70は任意選択的な補強75を有し、補強75は、例えば、ポリエチレン(PE)薄膜からなり得、例えば、高さ0.2mm~1mmを有し得る。示される例示的な実施形態では、補強は弾性係数を増大させる機能を有する。これは、機械的外力の作用の結果としての曲げ又は形状変化を低減し、プラグ装置は、厄介な問題なしで挿入装置に容易に押し込むことができる。
【0345】
更に、プラグイン装置70は、ラッチ機能を有するボア76を有し、ボア76は、プラグイン装置をここに示されていない挿入装置と機械的にロックするように実施される。電極構造10から離れる方に向いた側で、プラグイン装置70は、58mmの長さL4にわたりプラグイン装置70の最大幅B3よりも狭い幅を有する。記載される形状は、ケーブルを介して電源ユニットに接続され、プラグイン装置が挿入されていないとき、電圧が印加される結合分におけるアーク放電がないように、特に沿面距離及び部分放電の回避を考慮して選ばれる。電極構造10から離れた方に向いた側で、プラグイン装置70は、プラグイン装置70をここに示されていないHVコネクタに接続するために、接触面77を有する。示されるプラグイン装置70の図では、HVコネクタ(図示せず)とGNDコネクタ(図示せず)との間の最小沿面距離K1は53mmであり、プラグイン装置70の全長L5は119mmである。
【0346】
チップカードのような形態のプラグイン装置の結果として、すなわち、高さが低く、長さが比較的長いことの結果として、特に、一緒に差し込まれたプラグイン装置及び挿入装置内で部分放電が生じないように沿面距離を維持することが可能である。長さ、幅、及び高さの指定された寸法はまた、有利には、プラズマの生成に必要な電圧振幅の沿面距離を維持し続けることができるように、互いから独立して実現することもできる。したがって、長さ、幅、及び高さは、記載される実施形態の変形において指定される値から外れることができる。
【0347】
図4は、プラグイン装置70に配置されたクランプ接点78によりプラグイン装置70と挿入装置60との間を安全に接続する機構を示す。プラグイン装置70及び挿入装置60を一緒に差し込むことにより、挿入装置70において、ロック要素として機能するクランプのラッチにより安全なプラグイン接続が確立される。ここに示されていない例示的な実施形態では、プラグイン装置と挿入装置との間の安全な接続は、ロック要素として機能するプラグイン装置における膨張タングにより保証することができる。
【0348】
1回使用を保証するために、プラグイン装置は、好ましくは、挿入装置からの機械的分離中、初回使用の結果として、十分に安全な機械的接続がもはや可能ではないため、挿入デバイスへの新しい電気接続がもはや可能ではないよう変更されるように設計される。異なる変形では、プラグイン装置の1回使用は、挿入装置からの機械的分離中のクランプの破断、ラッチ要素の破断、ロック要素が使用不可能になること、プラグイン装置の導体トラックがスクラッチ若しくは切断されることにより実現することができる。
【0349】
ここに示されていない更なる例示的な実施形態では、プラグイン装置と挿入装置との間の十分な引張強度を有する接続が、磁気接点により保証することができる。この場合、プラグイン装置及び挿入装置のそれぞれに少なくとも1つの磁石がある。有利なことには、プラグイン装置における磁石は挿入装置における磁石とは逆の極性を有する。
【0350】
好ましくは、プラグイン装置と挿入装置との間のプラグイン接続は、ケーブルに接続された挿入装置が複数回使用可能なように実施される。ここに示されていない実施形態では、挿入装置とケーブルとの間にキンク保護が提供される。
【0351】
図5Aは、電子技術コア50と、プラグイン装置70とを有するプラズマアプリケータ100を示す。電子技術コア50は、第2の電極構造10及び第1の電極構造10’を備える。第2の電極構造10は、好ましくは、動作中、印加電圧信号により駆動され、第1の電極構造10’は、好ましくは、接地される。第2の電極構造10及び第1の電極構造10’の電極セクションは、定義された重複を有して互いに上下に配置される。有利なことには、接地電極構造及び動作中に駆動される電極構造の電極セクションは、プラズマ点火に有利な電場が形成されるような互いからのオフセットを有して配置される。好ましくは、対応する電極構造の電極セクションはそれぞれ、比較的小さい領域で重複する。すなわち、更なる電極構造の電極セクションと重複しない電極セクションの残りの各領域は、重複する領域と比べてはるかに大きい。電極構造間の比較的小さな重複により実質的に均一に分布するプラズマが生成される。
【0352】
プラグイン装置70は電子技術コア50にしっかりと接続され、第1の導体トラック79’及び第2の導体トラック79を備える。第1の導体トラック79’は、第1の電極構造10’に導電的に接続され、第2の導体トラック79は、第2の電極構造10に導電的に接続される。例として、第1及び第2の導体トラックは単純な導体として実施することができる。第1及び第2の導体トラックは、好ましくは、電極構造と同じ材料からなる。プラグイン装置70は、好ましくは、幅3cm、高さ1mm、及び長さ10cmを有する。示される図では、プラグイン装置70は挿入装置60と一緒になっている。挿入装置60は、ケーブル80を介して、主に静止して使用され、ここに示されていない、高電圧生成器等の電源ユニットに接続される。ケーブル80は、挿入装置60に面する側にキンク保護81を備える。
図5Bは、挿入装置を通る、高さに沿った断面の側面図を示す。
【0353】
図6は、動作中に駆動される電極構造(図示せず)に電気的に接続された第2の導体トラック79と、接地電極構造(図示せず)に電気的に接続された第1の導体トラック79’とを有するプラグイン装置70を示す。第2の導体トラック79は一点においてテーパ63を有する。テーパ63における導体トラックのより小さな直径は、導体トラック79の残りの部分よりも高い電気抵抗をもたらす。原理上、示されるテーパ63はプラグイン装置70及び電子技術コア50の両方に統合することができる。プラズマアプリケータ100の1回使用を保証するために、処置終了時、電流パルスを導体トラック79に印加することができる、その電流強度は、導体トラック79が、テーパ63が溶融するまでこのテーパ63において熱くなるように評価される。例として、プラズマアプリケータと一緒になった電源ユニットは、プラズマ処置の終了時、1秒よりもはるかに短い時間にわたり対応する電流強度を有する過度の電流パルスを自動的に発することができる。
【0354】
図7は、多層システム2を有する、処置表面に大気圧冷プラズマを生成する既知の装置1の分解組立図を示す。多層システム2はプラズマアプリケータを形成し、特に以下の層状構造を備える(下から開始):
-第1の絶縁構造11、
-第1の電極構造12、
-誘電層13、
-第2の電極構造14、
-第2の絶縁構造15、
-スペーサ構造16、及び
-接着層17。
【0355】
第1の絶縁構造11、第1の電極構造12、誘電層13、第2の電極構造14、及び第2の絶縁構造15はそれぞれ、プラズマアプリケータの電子技術コアの層を形成する。ここで、第1の絶縁構造11は、処置表面から離れる方に面する多層システム2の側4に配置され、高さ0.5mm~2.5mm、好ましくは高さ2mmを有する。第1の絶縁構造11は実質的に、第1の電極構造12を絶縁するように機能し、第1の電極構造12は、好ましくは、高電圧層、すなわち、高電圧が印加される電極構造として実施される。
【0356】
誘電層13は第1の電極構造12と第2の電極構造14との間に配置され、第2の電極構造14は、好ましくは、接地電極層として実施される。ここで、誘電層13は実質的に、第1の電極構造と第2の電極構造との間の特にアークの形態の短絡を阻止する。
【0357】
更に、厚さ50μm~300μmを有する第2の絶縁構造15は、好ましい構成で第2の電極構造14に配置される。
【0358】
次に、プラズマを点火させる十分なガス容積の提供を保証するスペーサ構造16は、第2の電極構造14又は第2の絶縁構造15の上、すなわち、処置表面に面する多層システム2の側3に配置される。
【0359】
最後に、処置表面に直接接触する、厚さ100μm~300μm、好ましくは厚さ200μmを有する接着層17が、処置表面に面する多層システム2の側3に、且つスペーサ構造16の上に配置される。次に、好ましくは、接着層17は、皮膚及び/又は創傷適合性材料を用いて、好ましくは殺菌性及び/又は非外傷性をもって形成される。
【0360】
本事例では、
図7に示されるように、第2の電極構造14は、特にメッシュのように複数の切り欠きをもって形成される。しかしながら、更なる実施形態では、切り欠きは穴、ストライプ、蛇行、蜂の巣、円、及び/又は正方形の形態で実施することもできる。
【0361】
更に、スペーサ構造16は蜂の巣形を有することもでき、ここで、スペーサ構造16は突起又はウェブにより実現することもできる。スペーサ構造16の可能な材料には、ポリマー、エラストマー、及び/又はシリコーン等がある。原理上、無機又は有機材料、特に熱可塑性プラスチック、熱硬化性プラスチック、及び/又はエラストマー等の天然材料及び/又は合成材料等の多数の可能な材料が使用可能である。可能な更なる材料に関しては、Karl Oberbach及びHansjuergen Saechtling著の書籍「Kunststoff-Taschenbuch」(第28版)も例示的に参照される。
図7に示される装置の好ましい構成では、スペーサ構造は、高さ0.5mm~5mmを有する突起及び/又はウェブを用いて形成される。
【0362】
全体として、
図7に示される多層システムは厚さ2mm~4mmを有する。ここで、処置表面に直接接触し、耐熱性、生体適合性、及び耐薬品性を有するプラスチックにより形成される層が提供される。
【0363】
図8A、
図8B、及び
図8Cは、プラズマアプリケータに関連して比較的小さな電源ユニットにより保証されるモバイル電源を有するプラズマアプリケータを示す。モバイル電源ユニットを理由として、プラズマの点火に十分な電圧信号を電極構造に送信し、プラズマを点火するために、ケーブルを介して高電圧生成器等の主に静止して使用される電源ユニットをプラズマアプリケータに接続する必要がない。プラズマの点火に必要な電力は、モバイル電源ユニットに含まれたエネルギー貯蔵器により提供される。例として、そのようなエネルギー貯蔵器は電池、蓄積器、又はキャパシタであることができる。
【0364】
図8A~
図8Fに示されるプラズマアプリケータは、少なくとも第1の電極構造及び第2の電極構造を備える。少なくとも1つの絶縁層が各事例で電極構造間に配置される。例として、絶縁層は誘電性を有するポリマーであることができる。電極構造間の距離は、好ましくは、1mm未満である。有利なことには、距離が小さいことを理由として、プラズマの点火に必要な電圧信号の振幅は小さくなる。第1の電極構造及び第2の電極構造の示される蛇行形の代わりに、電極構造は螺旋形を有することもでき、連続することもでき、又は穴を有することもできる。示される実施形態では、電極構造は金属からなる。示される実施形態の異なる変形では、伝導性プラスチック又は伝導性ワイヤを有する織物から作られた電極構造が提供される。処置表面に面する側で、示されるプラズマアプリケータは、保護層として、好ましくは生体適合性材料から形成されるポリマーで作られた絶縁層を有する。
【0365】
任意選択的に、示されるプラズマアプリケータはスペーサ構造を備えることもできる。対応するスペーサ構造は、例えば、ポリマーで、織物で、ヒドロゲルで、でんぷんに基づいて、例えばコーンパフとして、標準創傷フリース又はガーゼで、及び吸収材で作ることができ、電気絶縁性、特に生体適合性を有することができる。スペーサ構造は、上述した材料の組合せにより形成することもできる。スペーサ構造は、プラズマを点火するリボンケーブルの形態で実施することもできる。特に、スペーサ構造は、同時にプラズマ源であるリボンケーブルとして実施することができる。
【0366】
任意選択的に、示されるプラズマアプリケータは、処置表面から離れる方に向いた側で保護層として少なくとも1つの絶縁層を有する。
【0367】
処置表面に面する側で、示されるプラズマアプリケータは、プラズマアプリケータを処置表面にわたり又は処置表面上に固定する接着層又は粘着剤を有することができる。
【0368】
示される矩形形態に加えて、プラズマアプリケータの電子技術コアは代替のジオメトリを有することもできる。異なる変形では、プラズマアプリケータの電子技術コアは円形、特定の体の部分(例えば、足)に特に適合された形状、又は円筒形の形状を有する。一変形では、プラズマアプリケータは、管又はケーブルの周囲に円錐形態で取り付けられて提供される。この場合、プラズマアプリケータは、円錐形を有するプラズマアプリケータの下に封止されたガス空間が生み出されるように、管又はケーブルの周囲に置かれる。有利なことには、そのようにして構築されたアクセスは、プラズマアプリケータを用いての処置を促進するために取り外す必要がない。アクセス構築の前に、プラズマアプリケータを用いての処置を実行すべきことが分かっている場合、プラズマアプリケータが、ケーブル又は管を案内することができる穴及びスロットを有することが有利であり得る。その結果、アクセスをまず構築することができ、プラズマ処置を後に、アクセスを取り外す必要なく行うことができる。
【0369】
図8A~
図8Fを参照して後述するプラズマアプリケータのモバイル電源の変形又はプラズマアプリケータの1回使用を保証すべき特徴の変形は、上述した任意のジオメトリ又は他のジオメトリの電子技術コアを組み合わせられて、プラズマアプリケータの異なる変形を形成することができる。特に、電子技術コアは第1の絶縁層を備え、その後、第1の接地電極構造、その後、第2の絶縁層、その後、動作中に駆動される第2の電極構造、その後、第3の絶縁層、その後第3の接地電極構造を備えることができ、したがってそれ自体、接触保護を保証することができる。
【0370】
図8Aは、モバイル電源ユニット110の挿入装置60と一緒になったプラグイン装置70を有するプラズマアプリケータを示す。比較的小さなモバイル電源ユニット110は、エネルギー貯蔵器及び挿入装置を備える。
図1、
図2、
図3、及び
図5に関して説明した挿入装置の変形とは対照的に、モバイル電源の挿入装置は、主に静止して使用される電圧生成器等の電源ユニットに接続するために提供される比較的長いケーブルの端部に配置される必要がない。モバイル電源ユニット110は、挿入装置60によりプラズマアプリケータのプラグイン装置70に機械的且つ電気的に接続することができる。示されるプラグイン装置70及び/又は電子技術コア50は、例えば、
図4及び
図6に関連して説明したように、1回使用を保証する特徴の変形を有することができる。接続された状態において、プラズマアプリケータ及びモバイル電源ユニットは、動作中であっても患者により容易に携帯することができるコンパクトなユニットを形成する。
【0371】
モバイル電源ユニット110のエネルギー貯蔵器は通常、kV範囲の電圧信号を供給せず、数ボルト、例えば5ボルト~20ボルトの電圧信号を供給する。提供される電圧信号は、市販の電池により提供される電圧のオーダ、例えば9Vブロックの9Vであることができる。しかしながら、一般に、数百ボルトから最高で10kVの振幅を有する電圧信号がプラズマの点火に必要であるため、モバイル電源のエネルギー貯蔵器により供給される電圧信号は、数百ボルトから最高で10kVの電圧信号に変換されなければならない。
【0372】
このために、ここで説明される実施形態のプラズマアプリケータは、モバイル電源ユニット110により提供された電圧信号を、好ましくは数百V~10kVの電圧範囲の(パルス)AC電圧に変換する電子回路(図示せず)を更に備える。このために実施される電気回路は、例えば、電圧変圧器並びに例えば1秒「オン」及び9秒「オフ」のパルスデューティサイクルを有するパルサーと組み合わせてインバータ又はVDC-VACインバータを備える。使用に応じて、ここに示されていないプラズマアプリケータは、他のパルスデューティサイクルを有することができる。電気回路は、プラズマアプリケータの少なくとも1つの電極構造に電気的に接続され、電極構造にプラズマを点火するのに十分に高い電圧信号の振幅を供給するのに適する。
【0373】
代替的には、5~20Vを有する電圧信号を数百V~10kVの振幅を有する電圧信号に変換する電気回路は、エネルギー貯蔵器及び挿入装置と一緒にモバイル電源ユニットに統合することもできる。モバイル電源ユニットのエネルギー貯蔵器は電圧信号を供給し、電圧信号は、電源ユニットに統合された対応する電気回路により、プラズマの点火に十分な対応する振幅を有する電圧信号に変換される。モバイル電源ユニットの挿入装置がプラズマアプリケータのプラグイン装置に接続される場合、電圧信号は、プラグイン装置の導体トラックを介して、プラズマを点火する少なくとも1つの電極構造に送信することができる。その場合、プラズマアプリケータ自体は、電圧信号を、kV範囲の振幅を有する電圧信号に変換する電気回路を必要としない。
【0374】
ここに示されていない実施形態では、電気回路は各モバイル電源ユニット及びプラズマアプリケータに統合される。プラズマアプリケータのプラグイン装置が、モバイル電源ユニットの挿入装置と一緒に差し込まれ、電気的且つ機械的接続が確立された場合、2つの電気回路は回路システムを形成する。その場合、回路システムは、モバイル電源ユニットのエネルギー貯蔵器のDC電圧をプラズマの点火に十分な電圧信号に変換し、電圧信号を電子技術コア内の少なくとも1つの電極構造に案内する。
【0375】
モバイル電源ユニット110におけるエネルギー貯蔵器が蓄積器である場合、蓄積器が、可能な限り平らな実施形態を有し、例えば、長さ9cm、幅9cm、及び高さ0.2cmを有することが好ましい。対応する蓄積器は、好ましくは、高キャパシティ、好ましくは4000mAh超を有し、及び500mA超、特に1A~2Aの高電流出力を有する。代替的には、幾つかのより小さな蓄積器を並列接続することができ、それにより、十分に高い電流を生成することが可能である。
【0376】
DC電圧をプラズマの点火に十分な電圧信号に変換する場合、電圧は通常、100倍以上に上げられる。そして、これは、変圧器の二次コイルに送られる電流が1/100に低減することを意味する。並列接続された複数の蓄積器により形成されたエネルギー貯蔵器を使用して、プロセスでエネルギー貯蔵器が熱くなりすぎずに、短時間にわたり比較的高い電流を出力することが可能であり得る。プロセスで熱くなりすぎずに短時間内で高電流を出力することができるそのようなエネルギー貯蔵器を使用することは、プラズマ放電中、ミリアンペア範囲から最高でアンペア範囲の電流が短く生じ得るため、有利であり得る。
【0377】
モバイル電源ユニット110のエネルギー貯蔵器はキャパシタであることもできる。ここでは、特に、使用されるキャパシタのサイズ又は重量及びキャパシタンスは決定的である。好ましくは、使用されるキャパシタは数グラムの重量、数cm範囲のコンパクトサイズ、μF~mFの範囲のキャパシタンス、及び実質的に数秒という放電半減期を有する。キャパシタは、電源、例えば充電デバイスとの接続によりモバイル電源ユニットの挿入装置を介して充電することができる。挿入装置がプラグイン装置に接続されると、キャパシタに蓄えられたエネルギーは、プラズマの点火に十分な電圧信号の形態で、挿入装置又はプラグイン装置に統合された電気回路によりプラグイン装置の導体トラックを介してプラズマアプリケータの電極構造に送出することができる。有利なことには、少なくとも1つの電気構成要素、好ましくは電気抵抗器が、キャパシタとプラグイン装置の導体トラックとの間に直列又は並列に接続されて、キャパシタからの放電電流を制限する。
【0378】
モバイル電源ユニットをプラズマアプリケータに接続し、その結果としてのプラズマアプリケータの少なくとも1つの電極構造への電圧移送により、患者は、プラズマアプリケータが創傷の上に適用された後、随時どこでもプラズマを点火することが可能である。したがって、患者は、主に静止して使用され局所電流源に依存する電源から独立し、モバイル電源ユニットを用いて、プラズマ処置にプラズマアプリケータをどこでも使用することができる。
【0379】
有利なことには、
図8Aに示されるようなモバイル電源ユニット110は再使用可能である。特に、これは、プラズマアプリケータ自体が1回しか使用できない場合であっても当てはまる。
【0380】
図8Bは、統合電源ユニット110’及びプラグイン装置70を有するプラズマアプリケータを示す。したがって、示される実施形態では、モバイル電源ユニット110’はプラズマアプリケータに統合される。プラズマアプリケータの電子技術コア50は、接点112により統合電源ユニット110’に電気的に接続される。更に、プラズマアプリケータはプラグイン装置70を備える。モバイル電源ユニットが蓄積器又はキャパシタを含む場合、蓄積器又はキャパシタはプラグイン装置を経由してモバイル又は静止電源に接続され、充電することができる。蓄積器又はキャパシタが十分に充電されると、電源への接続を切断することが可能である。その場合、患者は静止した電源から独立して移動することができ、静止した電源から独立して後の時間にどこででもプラズマを点火することができる。
【0381】
示されるプラズマアプリケータの1回使用は、例えば
図4及び
図6に関連して説明したように、1回使用を保証する特徴の変形を有するプラグ装置又は電子技術コアにより保証することができる。電子技術コアは、特に、第1の絶縁層、続けて第1の接地電極構造、続けて第2の絶縁層、続けて動作中に駆動される第2の電極構造、続けて第3の絶縁層、続けて第3の接地電極構造を備えることができ、したがって、それ自体、接触保護を既に保証することができる。
【0382】
図8Cは、統合電源ユニット120’を有し、プラグイン装置を有さないプラズマアプリケータを示す。統合電源ユニット120’は、プラズマアプリケータの電子技術コア50に電気的に接続される。示されるプラズマアプリケータは、エネルギー貯蔵器を有するプラズマアプリケータに統合されたモバイル電源ユニット120’を備える。
図8A及び
図8Bに示される実施形態とは対照的に、示されるプラズマアプリケータはプラグイン装置を有さない。
【0383】
例として、エネルギー貯蔵器は、0.5V~20Ahの容量を有する電池、例えば市販の9Vブロックであることができる。エネルギー貯蔵器により提供されるDC電圧は、プラズマアプリケータに統合された電気回路に転送され、そこで、好ましくはkV範囲の振幅を有する電圧信号に変換される。プラズマを点火するために、数百ボルトの振幅を有する電圧信号で十分であることもある。次に、変換された電圧信号は、プラズマを点火するために、少なくとも1つの電極構造に送信される。
【0384】
プラズマアプリケータの1回使用は同様に、プラズマアプリケータに統合され、再充電することができない限られた充電を有するエネルギー貯蔵器を有する電源ユニットにより保証することができる。
【0385】
統合電源ユニット120’を有する、示されるプラズマアプリケータの1回使用は、例えば
図6に関連して説明したように、テーパを有する電極構造へのプラズマを点火するのに十分な電圧信号を送信する導体トラックにより保証することができる。テーパ領域において、導体トラックは導体トラックの残りの部分よりも高い電気抵抗を有する。処置終了時、電源ユニットは電流パルスを提供することができ、その電流強度は、導体トラックが、テーパ領域において溶融するような程度までテーパにおいて熱くなるように評価される。
【0386】
統合電源ユニットのエネルギー貯蔵器、例えば電池に貯蔵されたエネルギーも、1回の処置に十分であるだけである程度まで精密に評価することができる。1回の処置は通常、数分の持続時間を有する。
【0387】
示されるプラズマアプリケータはスペーサ構造122も備える。
【0388】
図8Dは、モバイル電源ユニット110’の挿入スロット130を有するプラズマアプリケータを示す。示される実施形態では、プラズマアプリケータは上側、すなわち、創傷から離れた方に向いた側に挿入スロット130を有し、挿入スロット130によりモバイル電源ユニット110’をプラズマアプリケータに留めることができる。プラズマアプリケータは接点112を備え、接点112は電子技術コア50の電極構造をプラズマアプリケータの上側に接続する。特に、表面における接点112は露出した接点エリアを有し、それにより、モバイル電源ユニット110’がプラズマアプリケータの挿入スロット130に挿入された場合、モバイル電源ユニット110’のエネルギー貯蔵器とのガルバニック結合を確立することが可能である。
【0389】
示される実施形態では、モバイル電源ユニットのエネルギー貯蔵器は蓄積器である。有利なことには、空の蓄積器を充電することにより、モバイル電源ユニットをプラズマアプリケータへの給電に複数回使用することができる。更に、モバイル電源ユニットは、蓄積器により提供されたDC電圧をプラズマの点火に十分な電圧信号に変換するように実施される電気回路を備える。示される実施形態では、モバイル電源ユニットは挿入装置を備えない。したがって、モバイル電源ユニットに統合された充電装置が、蓄積器の充電に提供される。示される例示的な実施形態では、充電装置は、蓄積器を誘導的に充電する受信コイル装置を備える。
【0390】
接触により電源ユニットのエネルギー貯蔵器を充電することができることを考えることもできる。例として、モバイル電源ユニットは静止電源ユニットの、モバイル電源ユニットのために提供された挿入スロットに挿入することができ、電源ユニットのエネルギー貯蔵器は接触により充電することができる。充電デバイスが挿入スロットを有することを考えることもでき、エネルギー貯蔵器と充電デバイスの電源との間に電気接触を確立するために、挿入スロットに電源ユニットを挿入することができる。
【0391】
図8Eは、統合された受信コイル装置140と、モバイル電源ユニット110’’が挿入された挿入スロット130とを有するプラズマアプリケータを示す。モバイル電源ユニット110’’が挿入された挿入スロット130は、処置表面から離れる方に面するプラズマアプリケータの側に配置される。処置表面から離れる方に面するプラズマアプリケータの側に面するモバイル電源ユニット側において、モバイル電源ユニットは送信コイル装置150を備え、送信コイル装置150は、モバイル電源ユニット110’’に統合されたエネルギー貯蔵器(図示せず)により提供された電気エネルギーをプラズマアプリケータの受信コイル装置140に誘導結合により転送する。したがって、モバイル電源ユニット110’’は、誘導結合により送信コイル装置150から受信コイル装置140に転送されるエネルギーを提供するエネルギー貯蔵器(図示せず)を有する。
【0392】
電源ユニット110’’がモバイル電源ユニットではなく、エネルギー貯蔵器を有さないことを考えることもできる。例として、そのような電源ユニットはケーブルに接続することができ、ケーブルは他端部において静止電源ユニットに接続される。この場合、電力は静止電源ユニットにより提供され、上記電力は誘導結合により送信コイル装置150から受信コイル装置140に転送される。
【0393】
電子技術コア50は、処置表面に面するプラズマアプリケータの側に配置され、接点により、上に配置された平坦な受信コイル装置140に電気的に接続される。受信コイル装置140は、処置表面から離れる方に面するプラズマアプリケータの側に配置され、プラズマアプリケータのエンクロージャ45により完全に覆われる。例として、プラズマアプリケータのエンクロージャ45は、射出成形法を使用して生産することができる。
【0394】
有利なことには、示される実施形態のプラズマアプリケータは、エンクロージャ45により完全にオーバーモールドすることができる。特に、露出した電気接点はない。したがって、プラズマアプリケータの清掃、消毒、及び/又は滅菌が容易である。
【0395】
図8Fは、エネルギー貯蔵器を有する統合電源ユニット120’’を有するプラズマアプリケータを示し、エネルギー貯蔵器は同様に統合された誘導充電装置160により充電することができる。
【0396】
示される実施形態では、電子技術コア50は、処置表面に面するプラズマアプリケータの側に配置され、プラズマアプリケータに統合された再充電可能なエネルギー貯蔵器に接点112により電気的に接続される。例として、再充電可能なエネルギー貯蔵器は蓄積器又はキャパシタであることができる。
【0397】
上側において、エネルギー貯蔵器は2つの別個の接点114を有し、接点114は、エネルギー貯蔵器、特に受信コイル装置を充電装置160に電気的に接続する。誘導結合は、エネルギー貯蔵器を充電するために、電気エネルギーを市販の充電ステーションから充電装置160に送信できるようにする。電気回路はエネルギー貯蔵器に統合され、エネルギー貯蔵器により提供されたDC電圧信号をプラズマの点火に十分な電圧信号に変換するように実施される。次に、変換された電圧信号は電気接点112により電子技術コア50における少なくとも1つの電極構造に送信される。
【0398】
図9は、1回使用を保証する特徴の変形及びモバイル電源について説明された変形と組み合わせることができる、電子技術コア50を有するプラズマアプリケータを示す。電子技術コア50は、特に、第1の絶縁層、続けて第1の接地電極構造、続けて第2の絶縁層、続けて動作中に駆動される第2の電極構造、続けて第3の絶縁層、続けて第3の接地電極構造を備えることができ、したがって、それ自体、接触保護を既に保証することができる。
【0399】
示されるプラズマアプリケータはスケーラブルなスペーサ構造122’を備える。スケーラブルなスペーサ構造122’は、例えば、シリコーン、プラスチック、又は織物からなることができ、処置表面と処置表面に面するプラズマアプリケータの側との間に定義された距離を確立するために、創傷カバー910の支持機能を有する。スケーラブルなスペーサ構造の結果として、プラズマアプリケータは、例えば、スペーサ構造を引き裂き、又は切断することにより異なる創傷サイズに適合することができる。原理上、クリニック又は外来診療で利用可能な全ての機械的な分離ツール及び分離方法が、スペーサ構造のサイズを創傷サイズに適合させるのに使用可能である。プラズマアプリケータ自体は、スケーリングプロセスで手つかずのままである。示される実施形態では、スペーサ構造はガス透過性であり、可撓性を有する。スペーサ構造のサイズは、切断又はユーザによる代替プロセスにより最終形に適合させる。
【0400】
任意選択的に、プラズマアプリケータは、定義された接続、クランプ若しくは接着剤、又はスペーサ構造の表面に提供される接着スポットによりスペーサ構造に留めることができる。スペーサ構造は、好ましくは、メッシュ形実施形態を有し、電子技術コアが配置されるか、又は電子技術コアを留めることができる領域を中央に有する。好ましくは、より多数のメッシュ構造が、プラズマアプリケータがスペーサ構造に十分にしっかりと保持されるようにこの領域に提供される。例えば絆創膏、接着薄膜、防水性絆創膏(shower plaster)、ガーゼ包帯、又は他の包帯材料により、プラズマアプリケータに接続され、創傷サイズに適合されたスペーサ構造は、封止されたガス空間がプラズマアプリケータ及びスペーサ構造の周囲で、処置表面と創傷カバー910との間に生じるように創傷にわたり又は創傷上に固定することができる。
【0401】
図10Aは、同時に誘電バリア放電(DBD)であるスペーサ構造200を示す。スペーサ構造は複数の隣接した蜂の巣の形状を有する。スペーサ構造の蜂の巣のセクション210に関連して示したように、点火されたプラズマ220(斜線領域で示される)は、蜂の巣210の縁部に伝播する。例として、スペーサ構造は二芯リボンケーブルから作ることができる。
図10Bはスペーサ構造200の断面を示す。ここで、被駆動電極構造230及び通常、基準電位である対電極240は見える。次に、プラズマはそれぞれケーブルの左右に又は蜂の巣の内外で燃焼する。
【0402】
図11は、二芯ケーブルを備えた閉回路300を示す。閉回路300は接続点310を有し、接続点310は、例えば、接着点、溶接点、はんだ点であることができる。2本のケーブルの外装は、接続点310において互いにしっかりと接続される。
図7に示される電気回路300は、スペーサ構造のスペーサをリボンケーブルからいかに構築することができるかを表す。ここで、ケーブルセクションは直立であり、したがって、プラズマは
図10Bに示されるようにケーブルの左右に燃焼する。ケーブルセクションは波状であり、閉回路300は、異なるケーブルによりそれぞれ形成された他の閉回路、例えば300’及び300’’から完全に独立する。全てのケーブルは、ケーブルにより形成された電極構造の長手側において互いに電気的に接触する。形状は、僅かな製造費用で可能な限り容易に生産可能なように選ばれる。
【0403】
図12は、処置表面に面し、絶縁層20を有する電子技術コア50の側の平面図を示し、絶縁層20は被駆動電極構造10と対電極10’との間に配置される。導体トラック79、79’は被駆動電極構造10及び対電極10’にそれぞれ電気的に接続され、導体トラック79、79’はチップカード形プラグイン装置の導体トラックである。
【0404】
図13は、処置表面から離れる方に面し、絶縁層20を有する
図12に示される電子技術コア50の側の平面図を示し、絶縁層20は、電圧信号により駆動される電極構造10と対電極10’との間に配置される。導体トラック79、79’の1つは、被駆動電極構造10及び対電極10’にそれぞれ電気的に接続され、導体トラック79、79’はチップカード形プラグイン装置の導体トラックである。
【0405】
図14は、処置表面から離れる方に面し、被駆動電極構造10と対電極10’との間に配置された絶縁層20を有する
図13に示される電子技術コア50の側の平面図を示す。示される図では、チップカード形補強75がプラグイン装置の導体トラック79、79’に接着、積層、接着接合等される。対電極10’は処置表面に面する側に配置される。
【0406】
図15は、電圧コネクタ71及び接地コネクタ72を有する挿入装置60を示す。更に、挿入装置60はインダクタ67及び封止プラグ66を備える。挿入装置60は、複数のシールドケーブル80を介して、示されていない電源ユニットに接続される。キンク保護81が、ケーブル80を安定化させるために提供される。
図15は、電源ユニットにより提供された電圧信号を、電圧信号により駆動される電極構造(図示せず)に送信するために、プラグイン装置70が挿入装置60にいかに挿入されるかを示す。
【0407】
図16は、この場合、単にスナップイン要素により示される機械的に安全なシートをプラグイン装置70と挿入装置との間にいかに確立することができるかを示す。示される実施形態では、機械的に安全なシートは、絶縁装置の両側にボールを有するばね及びプラグイン装置70における対応する切り欠きにより実現される。ここに示されない実施形態では、適宜フィットする隆起部を有するばねアームも、そのために提供される切り欠きにラッチすることができる。
【0408】
図17は、吸収パッドに統合された電子技術コア50を示す。ここに示されない実施形態では、パッドは電子技術コアの周囲に押され、又は縫い付けられる。この場合、パッドは電子技術コアのエンクロージャを表す。好ましくは、電子技術コア50は、ガーゼ又はパッド及び/又は織物により完全に囲まれる。ここに示されない実施形態では、上側(体から離れる方に面する)は薄膜により気密で封止され、接着層が処置表面に面する側に適用される。
【0409】
図18は、例えば、包帯又は織物の既に存在するタブに挿入又は縫い付けられた電子技術コア50を示す。タブは、好ましくは、完全に挿入又は縫い込まれた状態の場合、電子技術コア50がタブ内に完全に消えるように実施される。
【0410】
図19は、電子技術コア1902を有する特に好ましいプラズマアプリケータ1900を通る断面を示す。電子技術コア1902は、平坦な実施形態を有し、互いに上下に層として積層で配置された6つの平坦な層のような構造を備える。生体適合性材料で作られた平坦な実施形態を有する第1の絶縁層1906は、使用中、人間、動物、又は技術的な表面に面する電子技術コア1902の側1904に配置される。第1の絶縁層1906は、プラズマアプリケータ1900が対応する表面に適用された場合、人間、動物、又は技術的な表面に直接接触することができる。異なる変形では、第1の絶縁層は、電気絶縁薄膜、及び/又は電気絶縁ラッカー、及び/又は電気絶縁接着層、及び/又はシリコーンを含む。
【0411】
処置表面から離れる方に向いた側の方向において、第1の絶縁層1906の後、接地電極の機能を有する第1の電極構造1908が続く。示される実施形態では、第1の電極構造1908は特定のジオメトリを有し、特定のジオメトリは、示される実施形態の異なる変形では、蛇行、螺旋形、穴を有するエリアで形成、正方形、U字形、E字形、M字形、L字形、C字形、X字形、又はO字形である。第1の電極構造1908は、好ましくは、スクリーンプリント法を使用して生産され、厚さ5μm~200μmを有する。ここに示されていない実施形態では、第1の電極構造1908は閉表面を有する平坦電極として実施される。
【0412】
接地電極1908の形態の第1の電極構造の後、全域にわたり、すなわち閉面積として形成される第2の絶縁層1910が続く。異なる変形では、第2の絶縁層1910は、例えば、電気絶縁薄膜、及び/又は電気絶縁ラッカー、及び/又は電気絶縁接着層、及び/又はシリコーンを含み、厚さ5μm~200μm、好ましくは75μm~100μmを有する。
【0413】
第2の絶縁層1910上に第2の電極構造1912が配置され、第2の電極構造1912は、使用中、プラズマを生成するために電圧信号により駆動される。使用中、電圧信号により駆動されるこの第2の電極構造1912も同様に、特定のジオメトリを有する。任意選択的に、第2の電極構造も平坦電極として実施することができる。使用中に駆動される第2の電極構造1912は、好ましくは、スクリーンプリント法を使用して生産され、厚さ5μm~200μm、好ましくは5μm~100μm、好ましくは5μm~20μmを有する。
【0414】
接地電位の第1の電極構造1908と、適用中に駆動される第2の電極構造1912との間に配置された第2の絶縁層1910は、2つの電極構造のガルバニック絶縁をもたらす。
【0415】
使用中、電圧信号により駆動される第2の電極構造1912の後、第3の絶縁層1914が続き、第3の絶縁層1914は、好ましくは、電気絶縁薄膜及び/又は電気絶縁接着層を備える。
【0416】
第3の絶縁層1914上に第3の電極構造1916が配置される。この第3の電極構造1916は、平坦電極として、好ましくは導電性薄膜として実施され、適用中、基準電位である。第3の電極構造1916は、好ましくは20μm~200μm、好ましくは20μm~100μmの厚さを有する。使用中、第3の電極構造1916は接触保護及びEMCシールドの機能を満たす。すなわち、動作中、第3の電極構造1916は、駆動される第2の電極構造1912と、電子技術コアの逆側に直接印加される基準電位との間に場がないことを保証する。
【0417】
使用中に駆動される第2の電極構造1912と第3の電極構造1916との間に配置された第3の絶縁層1914は、全域実施形態を有し、第2の電極構造1912からの第3の電極構造1916の全域電気絶縁又はガルバニック絶縁をもたらす。
【0418】
したがって、第2の接地電極1916は、示される電子技術コア1902に第1の接地電極1908に加えて提供され、上記第2の接地電極は、第3の絶縁層1914により、適用中に駆動される第2の電極構造1912からガルバニック絶縁される。その結果、動作中の接触保護は、電子技術コア1902自体により既に実現される。第3の電極構造1916は、駆動される第2の電極構造1912と電子技術コア外部の基準電位又は処置表面、人間、若しくは動物の形態の仮想基準電位との間の動作中の電気破断を阻止する。有利なことには、エンクロージャ1918はもはや、必ずしも接触保護の機能を満たす必要がないため、これにより比較的単純な構造のエンクロージャ1918が可能になる。特に、第1、第2、及び第3の射出成形層で作られた複雑なエンクロージャは、ここに記載される電子技術コアではなくすことができる。第3の絶縁層及び第3の電極構造なしの従来の電子技術コアの場合、患者から離れる方に向いた側から開始して、第1の射出成形層は生体適合性シリコーンからなり、第2の射出成形層は伝導性シリコーンからなり、動作中、接地電位であり、第3の射出成形層は生体適合性シリコーンからなるため、第1、第2、及び第3の射出成形層で作られたエンクロージャは通常、必要である。したがって、エンクロージャは、処置表面に接触する適合性を保証し、それと同時に接触保護を保証すべきである。そのようなエンクロージャは製造が比較的複雑である。
【0419】
ここで説明される電子技術コアでは、構造及び層としての第1及び第2の射出成形層の機能は、薄い膜の形態で電子技術コア自体に統合される。特に、ここで説明されるような電子技術コアは、シリコーンで作られた1つのみの射出成形層によりオーバーモールドすることができる。
【0420】
有利なことには、そのような電子技術コアはそれ自体、接触が安全であり、EMCセーフである。特に有利なことには、そのような電子技術コアはモジュールとして使用することができ、任意のプラズマアプリケータ又はエンクロージャに統合することができる。例として、ここに記載されるような電子技術コアは、アパレルにおいてパッド、超吸収体、靴底、圧迫ストッキングに統合することができる。
【0421】
そのような電子技術コアを厚さ300μm以下で生産することができることが特に有利である。そのような電子技術コアは比較的低い垂直集積を有し、例えば、薄膜積層として生産することができる。有利なことには、ここに開示されるような電子技術コアは、はるかに容易にはるかに費用効率的に生産することができるが、好ましくは、それでもなお比較的平坦で可撓性を有し、使用に関して非常に高い柔軟性を有することができる。有利なことには、ここで説明される電子技術コアは、タブの形態のプラグイン装置と同じ製造プロセスで生産することができる。
【0422】
したがって、ここで示される電子技術コア1902は6つの層を有し、6つの層の積層において、各事例で絶縁層1906、1910、1914、及び電極構造1908、1912、1916は交互になる。
図19に示されるような電子技術コア1902は、比較的低い生産費用で比較的低い生産コストで生産することができる。
【0423】
示される電子技術コア1902を生産するために、薄膜により形成された第3の絶縁層1914は、動作中に電圧信号により駆動される第2の電極構造1912に積層される。第3の絶縁層の電気絶縁効果は、特に積層に使用される接着剤により補強することができる。その場合、第3の電極構造1916は第3の絶縁層1914に適用される。第3の絶縁層を別個の薄膜としてではなく積層目的で接着剤により形成することを考えることもできる。この場合、第3の電極構造は、第3の絶縁層を表す接着剤を第2の電極構造と第3の電極構造との間に有して、第2の電極構造に直接積層することができる。
【0424】
示される図では、多層システムの個々の層の厚さは、示される電子技術コア902の積層に沿った全体厚が、通常の許容誤差内で約200μm~300μmの範囲であるように選ばれる。したがって、これは、電子技術コア1902が比較的良好に変形することが可能であり、異なる体及び/又は表面形状に比較的容易に適合することができることを保証する。
【0425】
示される例示的な実施形態では、電子技術コア1902の説明された層は積層として生産される。したがって、電子技術コア1902は薄膜積層からなる。
【0426】
示される実施形態は、生体適合性材料で作られたエンクロージャ1918を備える。例として、適した生体適合性材料1918は医療等級シリコーン、ラッカー、ガーゼ、織物、吸収材、接着剤、又は上記材料の組合せである。
【0427】
使用中に接地される第3の電極構造1916は接触保護及びEMC互換性の機能を満たすため、示される実施形態のエンクロージャ1918は、例えば、単純なシリコーンオーバーモールドにより実現することができる。したがって、示されるエンクロージャ1918は比較的単純な構造を有する。
【0428】
示される実施形態では、電子技術コア1902はエンクロージャ1918により部分的にのみ囲まれる。特に、エンクロージャ1918は、プラズマ処置中、処置表面に面する電子技術コア1902の側1904に提供することができない。エンクロージャ1918は、例えば、射出成形法、浸漬法、又はペイント法を使用して生産することができる。ここに示されていない実施形態では、電子技術コアは、例えば織物、ガーゼ、又はパッド形態のエンクロージャにより完全に囲まれる。
【0429】
ここに示されていない実施形態では、電子技術コア、特に使用中に駆動される第2の電極構造は、プラグイン装置に電気的に接続される。そのようなプラグイン装置は、好ましくは、
図2に関連して説明したようにチップカード形態で実施される。ここに示される実施形態のここに示されていない変形では、プラグイン装置又は電子技術コアは、プラズマアプリケータの1回使用を保証する少なくとも1つ特徴を有する。例として、そのような特徴は、
図6に示されるようにプラグイン装置の導体トラックのテーパにより、電子技術コアの電極構造の電極セクションのテーパにより、又は
図16に関連して説明したようにラッチ要素として実現することができる。
【0430】
ここに示されていない実施形態では、プラズマアプリケータは統合電源ユニット及びプラグイン装置を備える。
図8Bに関連して説明したように、統合電源ユニットは、プラグイン装置を介してモバイル又は静止電源に接続されて充電することができる。
【0431】
ここに示されていない更なる実施形態では、プラズマアプリケータは、エネルギー貯蔵器を有する統合電源ユニットを備えるが、プラグイン装置を備えない。
図8Cに関連して説明したように、統合電源ユニットは電子技術コアに電気的に接続されて、物理的なプラズマを点火するために、電子技術コアに給電する。
【0432】
ここに示されていない更なる実施形態では、プラズマアプリケータは、モバイル電源ユニットを受けるように実施される挿入スロットを備える。
図8Dに関連して説明したように、プラズマアプリケータは、特に、使用中に駆動される電子技術コアの電極構造をプラズマアプリケータの上側に接続する接点を有することができる。表面における接点は露出した接点エリアであり、それにより、モバイル電源ユニットがプラズマアプリケータの挿入スロットに挿入された場合、モバイル電源ユニットのエネルギー貯蔵器とのガルバニック結合を確立することが可能である。
【0433】
ここに示されていない更なる実施形態では、プラズマアプリケータは、統合された受信コイル装置と、送信コイル装置を有するモバイル電源ユニットを挿入することができる挿入スロットとを備える。
図8Eに関連して説明したように、送信コイル装置は、電力を電子技術コアに供給する目的で、したがって物理的なプラズマを点火する目的で、モバイル電源ユニットに統合されたエネルギー貯蔵器により提供された電気エネルギーを誘導結合によりプラズマアプリケータの受信コイル装置に転送するのに使用することができる。
【0434】
ここに示されていない更なる実施形態では、プラズマアプリケータは、蓄積器又はキャパシタを有する統合電源ユニットを備え、蓄積器又はキャパシタは、これも同様に統合された充電装置により充電することができる。
図8Fに関連して説明したように、電子技術コアに給電する目的で、統合電源ユニットのエネルギー貯蔵器を充電するために、誘導結合を使用して、市販の充電ステーションから電気エネルギーを充電装置に送信することができる。
【0435】
【0436】
図20は、プラズマ処置中、処置表面から離れる方に面する電子技術コア2000の側の平面図を示す。電子技術コア(court)2000は、動作中、電圧信号により駆動される第2の電極構造2002を備える。使用中に駆動される第2の電極構造2002は櫛形実施形態を有する特定のジオメトリを有する。処置側に面する側の方向において、使用中に駆動される第2の電極構造2002の後、第2の絶縁層2006が続き、この第2の絶縁層の後、接地された第1の電極構造2004が続き、これは、使用中、処置表面に面する接地電極を表す。使用中に駆動される第2の電極構造2002及び第1の電極構造2004の両方は各導体トラック2008、2010を備え、導体トラック2008、2010は、電子技術コア2000の長手側から、同じ水平面において対応する電極構造2002、2004から垂直的に離れる方に繋がる。これらの導体トラック2008、2010はプラグイン装置の導体トラックを形成する。そして、プラグイン装置の対応する導体トラックは電子技術コア2000に導電的に接続される。任意選択的に、プラグイン装置は補強を備えることができる。
【0437】
処置する表面側の方向において、示される第1の電極構造2004の後、第1の絶縁層(図示せず)が続き、第1の絶縁層は、使用中、処置表面に直接接触することができる。第1の絶縁層(図示せず)は、処置表面の方向において導体トラック2008、2010も電気的に絶縁するように実施される。
【0438】
図21は、プラズマ処置中、処置表面から離れる方に面する電子技術コア2100の側の平面図を示す。基本的に、示される電子技術コア2100の第3の絶縁2102が見え、上記絶縁層は、プラズマ処置中、処置表面から離れる方に向いた側で、動作中に駆動される第2の電極構造(図示せず)上に配置される。この第3の絶縁層2102は、動作中に駆動される第2の電極構造及び第3の絶縁層に配置された第3の電極構造(図示せず)を互いからガルバニック絶縁する機能を満たす。示される第3の絶縁層2102は全域実施形態を有し、使用中に駆動される第2の電極構造からの導体トラック及び処置表面に面する電子技術コア2100の側に配置された第1の電極構造からの導体トラックが離れて導かれるポイントで、両導体トラックを覆うタブ2104を有する。しかしながら、タブ2104は動作中に駆動される電極構造の導体トラックの2106の端部と同じ平面で終端せず、その前に終端する。その結果、導体トラックの接触面2108は露出したままであり、プラグイン装置と挿入装置の接点との間で電圧信号を伝送する接触面を表す。
【0439】
図22は、プラズマ処置中、処置表面から離れる方に面する電子技術コア2200の側の平面図を示す。基本的に、示される電子技術コア2200の第3の電極構造2202が見え、上記第3の電極構造は、処置する側から離れる方に面する側に配置され、第3の絶縁層(
図21における参照符号2102)により、使用中に駆動される第2の電極構造からガルバニック絶縁される。この第3の電極構造2002は、例えば患者又はユーザとの接触の結果として、電子技術コア2200の被駆動電極構造と、使用中、外側に直接印加される基準電位又は仮想基準電位との間の電気破断がないように、接触保護及びEMC保護の機能を満たす。示される第3の電極構造2202は、好ましくは、平坦電極として実施され、すなわち、特定のジオメトリを有さない。導体トラックが、使用中に駆動される第2の電極構造から及び処置表面に面する電子技術コア2200の側に配置された第1の電極構造から離れて導かれる電子技術コア2200の側2204で、示される第3の電極構造2202はタブ形導体トラック2206も備える。タブ形導体トラック2206は、動作中に駆動される第2の電極構造の導体トラック及び第1の電極構造(図示せず)の導体トラックの両方が配置された領域2208を完全に覆う。両導体トラックを有する領域2208を超え、動作中に駆動される第2の電極構造の導体トラックのみをなお備えた領域2210において、示される第3の電極構造2202のタブ形導体トラック2206は、第2の電極構造のシールドが保証され、接触保護が提供され、同時に、第3の電極構造と第2の電極構造との間で点火するプラズマ放電が発生しないような十分な幅を有する。間に配置された第3の絶縁層2212は、2つの電極構造のガルバニック絶縁を保証するために、動作中に駆動される第2の電極構造の導体トラックよりも大きな幅を有する。示される第3の電極構造2202のタブ形導体トラック2206は、更に、電圧信号の伝送を目的として、形成されたプラグイン装置と挿入装置の接点との間の電気接触を確立するために、動作中に駆動される第2の電極構造の導体トラックの接触面2216が露出したままであるように、示される第3の絶縁層2212のタブの端部2214の前で既に終端する。
【0440】
図23は、プラズマ処置中、処置表面から離れる方に面する電子技術コア2300の側の平面図を示す。基本的に、示される電子技術コア2300の、
図22に関して説明したようなタブ形導体トラック2304を有する第3の電極構造2302が見える。
図22に示される電子技術コア2200に加えて、ここに示される電子技術コア2300はチップカード形補強2306を備え、チップカード形補強2306は、電極構造のタブ形導体トラック、
図20、
図21、及び
図22に関連して説明した分離層、説明されていないが、電子技術コア2300に更に存在する電極構造のタブ形導体トラック、並びに絶縁層のタブを囲む。特に、チップカード形補強2306は、それにより囲まれるか、又は片面に配置されるタブ形導体トラック及びタブと同じ基本形状を有し、すなわち、動作中に駆動される第2の電極構造の導体構造及び接地電位の第3の電極構造の導体トラックの両方を含む領域2308において、チップカード形構造2306はまた、動作中に駆動される第2の電極構造の導体トラックのみがある領域2310よりも大きい幅を有する。動作中に駆動される第2の電極構造の導体トラックのみを含む領域2310において、チップカード形補強2306は
図21に示される絶縁層の端部と同じ平面で終端し、それにより、動作中に駆動される第2の電極構造の導体トラックの接触面2314は引き続き露出したままである。
【0441】
動作中に駆動される第2の電極構造の導体トラック及び第3の電極構造の導体トラックの両方を含む領域2308において、チップカード形構造2306は、第3の電極構造2302の導体トラックが配置される側で第3の電極構造2306のタブ形導体トラック2304の端部2316の前に終端し、それにより、この場合、第3の電極構造2302のタブ形導体トラック2316の形態の導体トラックの接触面2318も露出したままであるように実施される。
【0442】
図24は、相補的な実施形態を有する挿入装置2402と一緒に差し込まれたプラグイン装置2400を示す。プラグイン装置2400は3本の導体トラックを備え、1本の導体トラックは第1の電極構造の導体トラックであり、第2の導体トラックは動作中に駆動される第2の電極構造の導体トラックであり、第3の導体トラックは第3の電極構造の導体トラックであり、第3の電極構造は動作中、処置する側から離れる方に向いた側で基準電位の接触保護を行う機能を満たし、EMC保護を表す。
【0443】
3本の導体トラックが示されるプラグイン装置2400に存在するため、結合として実施される挿入装置2402は、電圧信号を動作中に駆動される第2の電極構造に送信するためのコネクタ2404と、好ましくは接地電位の第1及び第3の電極構造の2本の導体トラックを接触させる2つの更なるコネクタ2406、2408とを備える。したがって、
図2に示される挿入装置と比較して、第2の接地電極に接触するための追加のコネクタ2406が提供される。
【0444】
図25は、電子技術コア2502、エンクロージャ2504、及びアクセスポート2506を有するプラズマアプリケータ2500を示す。電子技術コア2502は、
図19に関して説明したように実施され、処置表面に面する側2507から開始して層厚方向において、第1の絶縁層2508、第1の電極構造2510、第2の絶縁層2512、第2の電極構造2514、第3の絶縁層2516、及び第3の電極構造2518を備える。動作中、第1及び第3の電極構造2510、2518は接地される。したがって、ここに示される電子技術コア2502はそれ自体、接触が安全な実施形態を既に有する。動作中、プラズマの点火に十分な電圧信号が第2の電極構造2514に印加される。ここに示されていない実施形態では、プラズマアプリケータは、一実施形態では、例えば単に第2の電極構造及び第2の絶縁層を備える、各事例で異なるように実施される電子技術コアを有する。
【0445】
示される実施形態では、アクセスポート2506は、管状スパウトとして実施され、エンクロージャ2504及び電子技術コア2502を通して処置表面に関して垂直に導かれる。このために、電子技術コア2502及びエンクロージャ2504はそれぞれ通路を有し、通路は、管状スパウトの外形に対応する直径を有する。スパウト2506は、流体媒体をスパウトに通して案内することができるように内部は中空である。使用中、スパウト2506の端部は、プラズマアプリケータ2500と処置表面との間に形成される封止されたガス空間2522に配置される。スパウト2506の他端部は、プラズマアプリケータが処置表面に配置された場合、管状スパウト2506を通して媒体又は複数の流体媒体を封止されたガス空間2522に追加することができ、又は封止されたガス空間2522から除去することができるように、処置表面から離れる方に向いた側でプラズマアプリケータ2500の外部に配置される。
【0446】
示される実施形態では、スパウト2506は、相補的なねじ切りを用いて管(図示せず)を管状スパウト2506に留めるメスソケット2524を有する。メスソケット2524に接続された管(図示せず)により、流体媒体を、封止されたガス空間2522に追加且つ/又は封止されたガス空間2522から除去することができる。例として、管(図示せず)は真空ポンプ(図示せず)に接続することができ、真空ポンプは封止されたガス空間2522に負圧を生成することができる。
【0447】
示される実施形態では、管状スパウト2506は、管状スパウト2506を通る流体媒体の流れを制御し、停止できるようにする集積弁2526を備える。そのような弁2526は手動制御可能、機械制御可能、又は電子的に制御可能であることができる。
【0448】
ここに示されていない実施形態では、プラズマアプリケータは、
図25に関して説明したようなエンクロージャ及びアクセスポート並びに
図7に関して説明したような電子技術コアを備える。ここに示されていない更なる実施形態では、プラズマアプリケータは、
図25に関して説明したようにエンクロージャ及びアクセスポート並びに1つのみの電極構造を有する電子技術コアを備え、動作中、電極構造に電圧信号が印加される。この実施形態では、処置表面は、動作中、対電極の機能を満たす。
【0449】
図26は、プラグイン装置2600及びプラグイン装置2600に相補的な実施形態を有する挿入装置2602を示す。プラグイン装置2600は、示される図に単に示される、プラズマアプリケータの電子技術コアに配置される。プラグイン装置2600は
図2A及び
図2Bに関して説明したように実施されるが、アクセスポート2604を更に備える。示される図では、アクセスポート2604は、プラグイン装置2600のタブの隣のある距離のところに案内されるが、プラグイン装置の構成要素をなす。
【0450】
挿入装置2602も同様に
図2A及び
図2Bに関して説明したように実施されるが、ソケット2608及び弁2610を有する管2606を更に備える。ここに示されていない実施形態では、
図24に関して説明したように実施されるプラグイン装置はアクセスポートを備え、
図24に関して説明したように実施される挿入装置は、ソケット及び弁を有する管を備える。
【0451】
したがって、示される実施形態では、スパウトの形態のアクセスポート2604はプラグイン装置2600の部分である。スパウト2604の相手方は相補的な挿入装置2602に配置される。したがって、スパウト2604は、流体媒体を挿入装置2602の管2602を介してプラグイン装置2600のスパウト2604に案内することができるようにソケット2608を介して管2602に接続することができる。下に示されたプラグイン装置2600及び挿入装置2602が一緒になった状態では、プラグイン装置2600及び挿入装置2602は水密且つ気密の接続を有する。
【0452】
図27は、プラグイン装置2700及びプラグイン装置2700に相補的な実施形態を有する挿入装置2702を示す。プラグイン装置2700は、示される図に単に示される、プラズマアプリケータの電子技術コアに配置される。プラグイン装置2700は
図2A及び
図2Bに関して説明したように実施されるが、弁2710を有するアクセスポート2704を更に備える。示される図では、アクセスポート2704は、プラグイン装置2700のタブの隣のある距離のところに案内されるが、プラグイン装置2700の構成要素をなす。
【0453】
挿入装置2702も同様に
図2A及び
図2Bに関して説明したように実施されるが、ソケット2708を有する管2706を更に備える。ここに示されていない実施形態では、
図24に関して説明したように実施されるプラグイン装置は、弁を有するアクセスポートを備え、
図24に関して説明したように実施される挿入装置は、ソケットを有する管を備える。
【0454】
したがって、示される実施形態では、スパウトの形態のアクセスポート2704はプラグイン装置2700の部分である。スパウト2704の相手方は相補的な挿入装置2702に配置される。したがって、スパウト2704は、流体媒体を挿入装置2702の管2706を介してプラグイン装置2700のスパウト2704に案内することができるように、対応する管の端部に取り付けられたソケット2708を介して管2706に接続することができる。下に示されたプラグイン装置2700及び挿入装置2702が一緒になった状態では、プラグイン装置2700及び挿入装置2702は水密且つ気密の接続を有する。流体媒体の通過流は、アクセスポート2704の弁を設定することにより制御又は停止することができる。
【0455】
図28は、エンクロージャ2802と、電子技術コア2804と、アクセスポート2808を有するプラグイン装置2806とを備えたプラズマアプリケータ2800を示す。使用中、封止されたガス空間2810がプラズマアプリケータ2800と処置表面との間に形成される。プラズマアプリケータの外部からアクセスポートを通して封止されたガス空間2810内に流体媒体を案内することができ、又は上記流体媒体を接続されたガス空間2810から除去することができるように、アクセスポート2808の一端部はガス空間2810内で終端し、アクセスポート2808の他端部はプラズマアプリケータ2800の外部で終端する。特に、プラグイン装置2806は相補的な挿入装置(図示せず)と一緒に差し込むことができ、挿入装置は、例えばソケットにより、又は一緒に差し込むことによりアクセスポートに接続することができる管を備える。
【0456】
図29は、センサシステムを有するプラズマアプリケータ2900を示す。プラズマアプリケータ2900は、エンクロージャ2902及び電子技術コア2904を更に備える。プラズマアプリケータは、プラズマアプリケータ2900の周縁に沿った少なくとも1つの領域に接着層2908を備える。使用中、エンクロージャ2902はプラズマアプリケータ2900と処置する体部位との間に封止されたガス空間2910を確立する。センサシステムは第1のセンサ2912及び第2のセンサ2914を備える。第1のセンサ2912は、処置する体部位からある距離においてプラズマアプリケータに取り付けられ、ガス空間2910の特徴である測定変数を捕捉し、補足された測定変数を表すデータ信号2919をデータ処理デバイス2916に送信するように実施される。使用中、第2のセンサ2914は、処置する体部位に直接接触してプラズマアプリケータに取り付けられ、使用中、プラズマアプリケータ2900により覆われた体部位の生理学的測定変数を捕捉し、捕捉された測定変数を表すデータ信号2920をデータ処理デバイス2916に送信するように実施される。
【0457】
図30Aは、第1の電極構造3004及び第2の電極構造3006を備えた、電子技術コア3002を有するプラズマアプリケータ3000を示す。プラズマアプリケータは、エンクロージャ3008及びプラグイン装置3010を更に備える。
【0458】
電子技術コア3002は、電子技術コア3002の全域にわたり配置され分布する穴又は通路3012を有する。穴又は通路3012は、処置表面に面する側から処置表面から離れた方に面するプラズマアプリケータ3000の側に又は逆方向に処置表面から離れる方に向いた側から処置表面に面するプラズマアプリケータ3000の側に電子技術コア3002を通る媒体の移送を促進することができる。電極構造3004、3006は各穴3012からある距離を有し、すなわち、通路3012を囲む電子技術コア3002の表面の部分ではない。エンクロージャ3008は媒体移送材料により形成される。
【0459】
図30Bは、枠3014により囲まれたプラズマアプリケータ3000の部分を拡大図で示す。第1の電極構造3004の電極セクションの一部及び第2の電極構造3006の電極セクションの一部がこの部分で見ることができる。更に、通路3012の1つが見える。この図から、電極セクションが通路まで到達せず、そこからある距離のところで終端することが明かである。通路3012を囲む表面は、電子技術コア3002の絶縁層3016のみにより形成される。
【0460】
図31は、電子技術コア3102及びプラグイン装置3104を有するプラズマアプリケータ3100を示す。電子技術コア3102からプラグイン装置3104への遷移部において、プラズマアプリケータ3100は穿孔3106を有する。穿孔3106の機能は、プラグイン装置3104と電子技術コア3102との間の強度低減にある。穿孔3106は意図される破断点を表す。プラズマ処置に続き、プラグイン装置3104を、この穿孔3106において電子技術コア3102から剥ぎ取るか、又は取り外すことができる。その結果、もはや必要ないプラグイン装置3104は取り外されているため、プラズマアプリケータ3100は、電源ユニットから独立して数日から数週間という比較的長期にわたり処置表面に留まることができる。
【0461】
図32はバッグ3200に留められたプラズマアプリケータ3202を示す。プラズマアプリケータはバッグ3200に固定され、バッグ3200は処置する足を囲み、したがって、接続されたガス空間3204を形成する。バッグ3200は薄い膜で作られ、ゴムバンド又はストラップ3206により足首の上に固定される。
【0462】
図33はバッグ3300に留められたプラズマアプリケータ3302を示す。プラズマアプリケータ3302は、バッグ3300が目に見えて穴3304を有し、その上にプラズマアプリケータ3302が留められるように輪郭としてのみ示されている。使用中、点火されたプラズマは穴3304を通ってバッグ3300に入ることができ、処置表面、この場合、足と相互作用することができる。したがって、これは、例えば足又は少なくとも足の下側の広域処置を促進する。
【符号の説明】
【0463】
1 大気圧冷プラズマを生成する装置
2 多層システム
3 処置表面に面する側
4 処置表面から離れる方に向いた側
10 第1の電極構造
10’ 第2の電極構造
11 第1の絶縁構造
12 第1の電極構造
13 誘電層
14 第2の電極構造
15 第2の絶縁構造
16 スペーサ構造
17 第3の絶縁構造
20 絶縁構造
30 処置領域
40 接着層
45 エンクロージャ
50 電子技術コア
60 挿入装置
61 シリコーンスパウト
63 テーパ
64 ラッチ装置
65 電磁適合性シールドを有するコネクタ
66 封止プラグ
67 インダクタ
68 挿入装置の筐体
69 挿入装置の内部
70 プラグイン装置
71 高電圧コネクタ(HVコネクタ)
72 接地コネクタ(GNDコネクタ)
75 補強
76 ラッチ機能を有するボア
77 プラグイン装置における接点
78 クランプ接点
79 導体トラック
79’ 第2の導体トラック
80 ケーブル
81 キンク保護
100 プラズマアプリケータ
110 電源ユニット
110’ 統合電源ユニット
110’’ モバイル電源ユニット
112 接点
114 2つの別個の接点
120’ 統合電源ユニット
120’’ 統合電源ユニット
122 スペーサ構造
122’ スペーサ構造
130 挿入スロット
140 受信コイル装置
150 送信コイル装置
160 誘導充電装置
200 スペーサ構造
210 蜂の巣
220 プラズマ
230 電極構造
240 対電極
300 閉回路
300’、300’’ 他の閉回路
310 接続点
910 創傷カバー
1900 プラズマアプリケータ
1902 電子技術コア
1904 電子技術コアの側
1906 第1の絶縁層
1908 第1の電極構造
1910 第2の絶縁層
1912 第2の電極構造
1914 第3の絶縁層
1916 第3の電極構造
1918 エンクロージャ
2000 電子技術コア
2002 第2の電極構造
2004 第1の電極構造
2006 第2の絶縁層
2008、2010 導体トラック
2100 電子技術コア
2102 第3の絶縁層
2104 タブ
2106 導体トラックの端部
2108 接触面
2200 電子技術コア
2202 第3の電極構造
2204 電子技術コアの側
2206 タブ形導体トラック
2208 領域
2210 領域
2212 第3の絶縁層
2214 タブの端部
2216 導体トラックの接触エリア
2300 電子技術コア
2302 第3の電極構造
2304 タブ形導体トラック
2306 チップカード形補強
2308 領域
2310 領域
2314 接触面
2316 タブ形導体トラックの端部
2318 導体トラックの接触エリア
2400 プラグイン装置
2402 挿入装置
2404 電圧信号を送信するためのコネクタ
2406、2408 更なるコネクタ
2500 プラズマアプリケータ
2502 電子技術コア
2504 エンクロージャ
2506 アクセスポート
2507 処置表面に面する側
2508 第1の絶縁層
2510 第1の電極構造
2512 第2の絶縁層
2514 第2の電極構造
2516 第3の絶縁層
2518 第3の電極構造
2522 ガス空間
2524 メスソケット
2526 集積弁
2600 プラグイン装置
2602 挿入装置
2604 アクセスポート
2606 管
2608 ソケット
2610 弁
2700 プラグイン装置
2702 挿入装置
2704 アクセスポート
2706 管
2708 ソケット
2710 弁
2800 プラズマアプリケータ
2802 エンクロージャ
2804 電子技術コア
2806 プラグイン装置
2808 アクセスポート
2810 ガス空間
2900 プラズマアプリケータ
2902 エンクロージャ
2904 電子技術コア
2908 接着層
2912 第1のセンサ
2914 第2のセンサ
2916 データ処理デバイス
2918 データ信号
2920 データ信号
B1 挿入装置の幅
B2 プラグイン装置の幅
B3 プラグイン装置の幅
H1 挿入装置の高さ
H2 プラグイン装置の高さ
K1 最小沿面距離
L1 患者側の沿面距離の最小長さ
L2 一緒に差し込まれたシステムの長さ
L3 挿入装置外部のプラグイン装置の長さ
L4 プラグイン装置の長さ
L5 プラグイン装置の全長