(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】腫瘍の進行を制御するためまたは抗腫瘍免疫を回復するための、マクロファージと、照射された白血球との共培養物から得られる上清
(51)【国際特許分類】
A61K 35/15 20150101AFI20240508BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240508BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240508BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240508BHJP
C12N 5/078 20100101ALN20240508BHJP
C12N 5/0786 20100101ALN20240508BHJP
【FI】
A61K35/15
A61K45/00
A61P35/00
A61P35/02
C12N5/078
C12N5/0786
(21)【出願番号】P 2021520460
(86)(22)【出願日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2019066406
(87)【国際公開番号】W WO2019243544
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-05-25
(32)【優先日】2018-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520501322
【氏名又は名称】メッド イン ファーマ
【氏名又は名称原語表記】MED’ INN’ PHARMA
【住所又は居所原語表記】4 chemin de Terre Rouge, 25170 Placey, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペルーシュ,シルヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ボヌフォワ,フランシス
(72)【発明者】
【氏名】クチュリエ,メラニー
【審査官】長部 喜幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第01/028573(WO,A2)
【文献】特表2018-507208(JP,A)
【文献】国際公開第2014/106666(WO,A1)
【文献】J Clin Invest,1998年,Vol. 101, No. 4,pp. 890-898
【文献】Jpn. J. Med. Mycol.,1997年,Vol. 38,pp. 209-214
【文献】Front Immunol,2017年,Vol. 8, Article 71,11 pages
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/00-35/768
A61K 45/00
C12N 5/0786
C12N 5/078
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍の進行を制御するため、または抗腫瘍免疫を回復するために使用される医薬製剤であって、マクロファージ
と照射された白血球との間の共培養液の上清を含み、
ここで、前記マクロファージは、M-CSF(マクロファージコロニー刺激因子)の存在下で培養された白血球から由来する、医薬製剤。
【請求項2】
前記マクロファージは、白血球であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記白血球は、全血から得られるバフィーコートから単離されることを特徴とする、請求項1および2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記白血球の一部は、洗浄され、所定の培地に再懸濁され、次いで、分化因子を受け取る第1のポケット内に配置され、細胞の生存能力を維持する条件下で数日間、好ましくは3日間保存され、次いで、新鮮な所定の培地を再び受け取り、次いで、数日間、好ましくは4日間そのまま放置されてマクロファージが生成されることを特徴とする、請求項3に記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記白血球の別の部分は、+10℃未満の温度で保存される第2のポケット内に配置されることを特徴とする、請求項
4に記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記第2のポケットは、照射された培地から解放された後に、その培地から解放され、次いで、細胞の生存能力を維持する条件下で、前記第2のポケットおよびその内容物を分泌培地内に配置されることを特徴とする、請求項5に記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記第2のポケットの内容物を、事前にその培地から解放された前記第1のポケットに移され、2つの前記ポケットのセットは、調整された上清が生成されるまでの期間、細胞の生存能力を維持する条件下で保存されて、白血球間の共培養物が生成されることを特徴とする、請求項6に記載の医薬製剤。
【請求項8】
前記共培養物から得られた上清は、新しいポケットに集められ、濾過され、-80℃を超えない低温で保存されることを特徴とする、請求項7に記載の医薬製剤。
【請求項9】
単独でまたは他の抗癌治療と共に、癌の治療に使用されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記癌は、特にリンパ腫、白血病、肉腫および癌腫、より正確にはT細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、メラノーマおよび結腸癌の一種であることを特徴とする、請求項9に記載の医薬製剤。
【請求項11】
請求項9または10の記載において使用される医薬製剤であって、請求項1~8のいずれか1項に従って複数の白血球源から得られた上清の混合物
を含むことを特徴とする、医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬製剤を用いて腫瘍誘発性炎症を解消するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症反応は、生物の自然な防御反応の一部である生物学的プロセスであるが、多数の病理学的反応にも関連している。
【0003】
特に、炎症は、クローン病や関節性リウマチなどの炎症性腸疾患を含む炎症性疾患を引き起こすと共に、肥満、糖尿病、およびうつ病などの神経疾患の病原体にも関与している。炎症誘発性サイトカインなどの炎症誘発性因子は、肥満、腫瘍形成および癌の進行中の炎症に関与し、それを支持している。実際、慢性炎症は、免疫系による腫瘍の治療の失敗を促し、腫瘍の発生を維持する上で重要な役割を果たしている。炎症は、依然として癌の急性危険因子である。
【0004】
慢性炎症は、炎症反応の部分的または不完全な解消に関連しており、遺伝的、環境的または感染性の因子によって促進される場合がある。特に、慢性炎症は、首の癌の危険性を増加させるヒトパピローマウイルス(HPV)に関連する炎症やB型およびC型肝炎ウイルスならびに肝細胞癌の出現に関連する炎症、またはヘリコバクターピロリに関連する炎症や腺癌またはリンパ腫の発症など、ウイルス感染によって引き起こされる癌の進行に関与している。また、クローン病や潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患の慢性炎症も、大腸癌を発症する危険性の増加に関連する。最後に、刺激物への露出または肥満によって引き起こされる炎症も、腫瘍誘発活動を促進する。
【0005】
したがって、炎症を引き起こす生物の攻撃中に、炎症の解消を引き起こすことが重要である。炎症が完全に解消されない場合、炎症が慢性化して、上述した病状につながる可能性がある。
【0006】
炎症メディエーターが、特に癌免疫編集段階で抗腫瘍サーベイランスに不可欠であり、適応した抗腫瘍免疫応答を確立できる場合、後者が腫瘍誘発の役割、特にTNF(腫瘍壊死因子)を果たすことができる。実際、腫瘍の炎症性微小環境は、腫瘍の成長、血管新生、浸潤および転移部の形成を促進する可能性がある。腫瘍の発生は、癌細胞の増殖の増加による腫瘍細胞の浸潤、ならびに腫瘍性微小環境におけるアポトーシスおよび血管新生を介したそれらの死滅に対する抵抗性の結果である。
【0007】
例えば、TNFは、腫瘍内の調節性T細胞(Treg)や骨髄由来抑制細胞(MDSC)の誘引を促進し、抗腫瘍反応をさらに弱める可能性がある。逆説的に、腫瘍細胞の免疫原性死を誘発する細胞毒性療法は、従来の抗癌治療の選択における免疫系の大きな役割を実証することが可能になった。ここでは、同じアプローチが、腫瘍の成長を刺激するこれらの治療法により死滅した細胞を介して二次的な腫瘍誘発効果と関連付けられることとして説明する。
【0008】
慢性炎症性疾患では、炎症の解消を緩和することも、炎症の自然な解消を再活性化させるため、すなわち炎症反応の停止を可能にするための任意の治療手段の1つである。現時点では、炎症性因子を中和または破壊する標的治療アプローチには限界があることが示されている。さらに、病状の結果でしかない炎症性因子を中和するだけで、クローン病などの複雑な病状を制御することができるというのは、幻想である。しかしながら、効果的な解決策を再確立して炎症を解消することで、炎症反応の核心部を治療することができる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、炎症の解消を促進し、抗癌治療によって死滅した腫瘍細胞の排除を改善することは、癌治療における主要な課題となっている。同様に、炎症の解消を目標とすることで、炎症性病変の根本原因を制御することができるようになる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、特に免疫サーベイランスおよびその発生からの腫瘍の脱出を阻害して、炎症の解消を誘発することができる解消因子(resolutome)、すなわち解消誘発性因子の組み合わせを投与すること、および効果的な抗腫瘍免疫を再確立することで、癌を予防するための方法に関する。
【0011】
欧州特許第2941257号には、病理学的免疫応答の予防または治療に使用される医薬製剤が記載されている。この医薬製剤は、食細胞とアポトーシス細胞との共培養物から得ることができる上清を含む。この特許では、医薬製剤は、例えば関節性リウマチ(RA)または慢性炎症性腸疾患(CIBD)などの自己免疫疾患の病状の治療に使用される。また、この医薬製剤は、移植片対宿主病(GVHD)の治療にも使用される。
【0012】
本発明は、異なる目的を有する。すなわち、本発明の目的は、照射されたマクロファージと白血球との共培養物によって得られた上清を用いて腫瘍誘発性炎症を解消する方法を提供することである。この上清は、欧州特許第2941257号に記載されている上清と比較して予想外の利点を多く有する。特に、本発明は、上述した特許の上清よりも多くの解消誘発因子を提供する(
図1a)。また、本発明は、上述した特許よりも生物学的優位性を有する(
図1b)。
【0013】
本発明による医薬製剤は、炎症反応の解消が失敗した場合に、炎症反応の効果的な解消を再確立し、炎症反応の停止を可能にするために使用することができる。したがって、本発明の目的は、特に、上述した医薬製剤を用いて、慢性炎症を解消すること、および腫瘍の成長を促進する炎症を解消することである。
【0014】
本発明は、まず、腫瘍誘発性炎症の解消を標的にすることで、抗腫瘍免疫応答を回復させ、慢性的な抗炎症反応を停止させることができるという事実に基づいている。
【0015】
この段階では、炎症は、腫瘍が確立し始めたときに有益であるが、その後の治療の失敗を促進するという負の効果があることに留意されたい。本発明は、それを制御することを目的としている。
【0016】
本発明による方法は、白血球から単球に由来するマクロファージを生成することによって得られた上清を使用することと、それらを以前に照射された白血球と共に保存してそれらの共培養を可能にすることと、その細胞によって生成された上清に含まれる因子を集めることと、を含む。
【0017】
炎症を解消するように意図された本発明による医薬製剤の上清は、以下の説明において「Resolvix」と呼ぶ。
【0018】
これらの因子の注入によって、複数の実験モデルにおける活性な炎症反応(関節炎、炎症性腸疾患(IBD)、大腸炎、実験的自己免疫性脳脊髄炎)を解消することができ、また、組織の修復を促進することもできる。また、興味深いことに、このアプローチによって、抗癌免疫を回復することができ、腫瘍の退縮を促進することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】従来方法と新しい方法における生物学的および活動の比較図である。
【
図3】本発明の上清による治療後の腫瘍の進展を示す図である。
【
図4】本発明の上清の存在下での癌細胞株のインビトロ細胞増殖の進展を示す図である。
【
図5】免疫不全マウスにおける固形腫瘍の、本発明の上清による治療を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明による上清(Resolvix)の製造方法を、非限定的な一例として記載する。
【0021】
白血球は、全血から密度勾配によってD0上に単離され、洗浄され、当該技術分野における当業者によって一般的に使用される、例えばRPMI1640として知られる培地のような塩、アミノ酸およびビタミン基を含む所定の培地に再懸濁され、次いで、第1のポケットに60%、第2のポケットに40%配分される。次いで、第1のポケットは、M-CSF(マクロファージコロニー刺激因子)であり得る分化因子を受け取り、細胞の生存能力を維持する条件下で、例えば37℃、5%のCO2で数日間、好ましくは3日間保存され、次いで、上述した新鮮な所定の培地を再び受け取る。次いで、第1のポケットは、細胞の生存能力を維持する条件下で、例えば37℃、5%のCO2で数日間、好ましくは4日間保存された後、そのまま放置されてマクロファージが生成される。次いで、第2のポケットは、低温、好ましくは+10℃未満、より好ましくは+5℃未満の温度で保存される。7日目に、例えばX線によって第2のポケットが照射され、次いで、第1および第2のポケットは、それぞれの培地から解放される。次いで、第2のポケットは、当業者に知られている、例えばMEMとして知られる塩、アミノ酸およびビタミン基を有する分泌培地内に配置され、第1のポケットに移され、細胞の生存能力を維持する条件下で、例えば37℃、5%のCO2で保存される。この保存期間中に共培養が実施されて、調整された上清が生成される。これには数日、好ましくは2日かかることがある。本明細書において、「調整された上清」とは、細胞に由来する因子を含む上清を意味する。この共培養期間に次いで、上清は、新しいポケットに集められ、濾過され、非常に低温、好ましくは-80℃の領域で保存される。次いで、この上清は、上述した方法に従って他の血液提供者から得られたバフィーコートから生成された他の上清と有利に混合され、次いで、この混合物は、単位用量に配分され、凍結乾燥されてから、または凍結乾燥されることなく、保存される。
【0022】
より詳細には、腫瘍の成長のインビボモデルを使用した。得られた結果を以下に説明する図に示す。
【0023】
図1は、Resolvixという名称の上清が得られた新しい製造方法における生物学的および活動の比較を示す図である。新しい製造方法によって、ELISA試験で定量化された抗炎症性サイトカインTGF-β(a)や、フィトヘマグルチニンで刺激された単球におけるTNFの生成を阻害する生物学的試験で評価された生物学的優位性(b)などの、より多くの解消誘発因子を得ることができる。従来の方法において35のサンプルからのデータおよび新しい方法において89のサンプルからのデータを、TNF生成の阻害率(%)として表し、平均±平均の標準誤差で示されている。***=p<0.001、****=p<0.0001、対応のないスチューデントのt検定である。この図において、従来の方法は、上述した欧州特許第2941257号に記載されている上清をもたらす方法に関する。
【0024】
図2は、腫瘍の成長の追跡を示す図である。白血病細胞が注入された後にD0またはD7においてResolvixで治療したまたは治療していない白血病のマウスC57B1/6において、腫瘍株EL4-Luc+(ルシフェラーゼ注入後)から放出された生物発光を定量化した(a)。グループあたり5匹の動物を用いた2つの代表的な実験から得られたデータであり、グループ平均±平均の標準誤差で示されている。*=p<0.05、****=p<0.0001、対賦形剤、2元配置ANOVA検定である。腫瘍細胞の注入から21日後に取得した、未処置のマウス5匹およびD0においてResolvixを投与したマウス5匹の生物発光(賦形剤)の代表的な画像が示されている(b)。放出された発光の強度(濃い青から黄色へ)は、増殖した腫瘍細胞の数に比例するように関連する。
【0025】
図3は、Resolvixによる治療後の腫瘍の進展を示す図である。腫瘍株B16-OVA(a)または腫瘍株EL-4(b)をマウスC57B1/6の右腹部脇腹に皮下注射して、腫瘍の体積(mm
3)を経時的に評価した。癌細胞の注入日(J0)またはその7日後(J7)に、Resolvixを注入した。グループあたり5匹の動物を用いた6つの結果を示す2つの代表的な実験(aおよびb)から得られたデータであり、平均±平均の標準誤差で示されている。*=p<0.05、**=p<0.01、***=p<0.001、対賦形剤、2元配置ANOVA検定である。
【0026】
図4は、Resolvixの存在下での癌細胞株EL-4のインビトロ細胞増殖の進展を示す図である。3日間毎日細胞の数を数えることで、細胞増殖を評価した。2つの代表的な実験から得られたデータであり、3回分の平均±平均の標準誤差で示されている。*=p<0.05、****=p<0.0001、対Resolvix、2元配置ANOVA検定である。
【0027】
図5は、免疫不全マウスにおける固形腫瘍のResolvix治療を示す図である。免疫不全マウスRAG-γ/cの右腹部脇腹に癌株EL-4を皮下注射して誘発した腫瘍の体積(mm
3)を、様々な時間で測定した。癌細胞の注入日(D0)またはその7日後(D7)に、Resolvixを注入した。グループあたり5匹の動物を用いた実験から得られたデータであり、平均±平均の標準誤差で示されている。
【0028】
上記のデータは、Tリンパ腫白血病(バイオイメージングによる腫瘍の成長の追跡を可能にする腫瘍株EL4-ルシフェラーゼ+)を保有するマウスにResolvixを注入したところ、興味深いことに、腫瘍の成長が退縮したことを示している(
図1)。
【0029】
固形腫瘍(皮下注射した腫瘍株EL-4またはB16-OVA)を用いた2つ目のモデルで同じ観察を実施した。ここで、Resolvixの注入によって、腫瘍の大きさを縮小させることができた(
図2)。
【0030】
これらの結果から、Resolvix治療は、直接的な細胞毒性効果により、インビボで腫瘍株の成長に直接影響を与える可能性があることが示された。この可能性を評価するために、インビトロでの追加実験を実施した。これらの実験から、Resolvixの存在下での腫瘍細胞EL-4の培養物が、腫瘍株の成長をむしろ促進することが示された(
図3)。これらのデータは、Resolvixによる治療後にインビボで観察された腫瘍の成長の抑制が腫瘍細胞に対する薬剤の直接的な細胞毒性効果とは関連していないことを示している。
【0031】
さらに、治療の効果が腫瘍細胞に直接作用しないという事実は、抗腫瘍免疫の回復が、上記治療によるものであることを示している。実際、免疫系が欠落している場合、すなわち腫瘍を保有する免疫不全マウスC57B1/6 RAG-γ/cにおいて、Resolvix治療は、インビボでの腫瘍の成長に影響を与えない(
図4)。
【0032】
腫瘍モデルにおけるResolvixの注入は、腫瘍細胞の移植時(D0)またはその7日後(D7)に実施される。このようにして様々な時期で炎症を制御することで、腫瘍の成長を制御することができ、抗腫瘍免疫を再確立することができる。
【0033】
上記を鑑みて、本発明によるResolvixを使用することで、抗腫瘍免疫を回復することができ、および/または腫瘍の進行を停止することができると考えられる。より一般的には、本発明による医薬製剤は、癌に関連する炎症を標的化、制御、抑制、および解消するために使用することができる。これにより、前述したように、抗腫瘍免疫を回復することができ、および/または腫瘍の進行を停止することができる。
【0034】
特に、本発明による上清は、単独でまたは他の治療法と共に、人間医学または獣医学における癌の治療に使用することができる。癌は、特にリンパ腫、白血病、肉腫および癌腫、より正確にはT細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、メラノーマおよび結腸癌に代表されるものである。