(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】顕微鏡検査方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G02B 21/34 20060101AFI20240508BHJP
G02B 21/00 20060101ALI20240508BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
G02B21/34
G02B21/00
G01N21/64 E
(21)【出願番号】P 2021530110
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(86)【国際出願番号】 IB2019060305
(87)【国際公開番号】W WO2020110069
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-09-29
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】521227252
【氏名又は名称】ラ トローブ ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アビー,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】バラウル,エウゲーニウ
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-222401(JP,A)
【文献】特開2013-142546(JP,A)
【文献】特表2015-514225(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0370290(US,A1)
【文献】特開2013-231682(JP,A)
【文献】国際公開第2017/135430(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第101470219(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0252894(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0168651(US,A1)
【文献】Seung-Woo Lee ET AL,"Highly Sensitive Biosensing Using Arrays of Plasmonic Au Nanodisks Realized by Nanoimprint Lithography",ACS NANO,2011年01月11日,VOL.5, NO.2,pages 897-904
【文献】Renilkumar Mudachathi ET AL,"Design of a colorimetric sensing platform using reflection mode plasmonic colour filters",PROCEEDINGS OF SPIE,2017年08月25日,Vol.10346,pages 103460D-1 ~103460D-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/00 - 21/36
G01N 21/00 - 21/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学顕微鏡において使用される試料保持器であって、サブミクロン構造の周期的アレイを画定するプラズモニック層を含み、
生体試料を支持するとき、前記サブミクロン構造の周期的アレイが前記生体試料に隣接するように前記生体試料を支持するように構成され、
前記サブミクロン構造の周期的アレイは、分離されたプラズモニック領域のアレイを含み、
前記プラズモニック層を分離し前記生体試料を支持する支持表面を提供するために、光学的に透明な保護層を前記プラズモニック層の上側に含み、前記光学的に透明な保護層は、前記生体試料の前記支持表面への付着を促進する極性表面を提供する、
試料保持器。
【請求項2】
前記プラズモニック領域は、プラズモニック材料のアイランドである、請求項1に記載の試料保持器。
【請求項3】
前記サブミクロン構造は、200nm~500nmの範囲における前記サブミクロン構造間の分離を有する周期的アレイで配置される、請求項1又は2に記載の試料保持器。
【請求項4】
前記周期的アレイは、1次元又は2次元アレイである、請求項1~3のいずれか一項に記載の試料保持器。
【請求項5】
前記サブミクロン構造は、50nm~300nmの範囲の最大寸法を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の試料保持器。
【請求項6】
前記サブミクロン構造は、100nm~200nmにわたるプラズモニック材料の領域である、請求項1~5のいずれか一項に記載の試料保持器。
【請求項7】
前記プラズモニック領域は、円、トーラス、楕円、十字形、長方形、正方形、線、ストリップの任意の1つ又は複数として整形される、請求項1~6のいずれか一項に記載の試料保持器。
【請求項8】
前記プラズモニック層は、Al、Ag、Au、Ni、Pt及びPdの任意の1つから選択される1つ又は複数の金属から形成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の試料保持器。
【請求項9】
前記プラズモニック層は、20nm~300nmの範囲の厚さを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の試料保持器。
【請求項10】
前記分離されたプラズモニック領域のアレイは、第1及び第2の方向において、隣接するプラズモニック領域間の等しい又は等しくない間隔を有するアレイで配置される、請求項1~9のいずれか一項に記載の試料保持器。
【請求項11】
前記第1及び第2の方向は、直交方向である、請求項10に記載の試料保持器。
【請求項12】
前記プラズモニック層のための機械的支持を提供するために、前記プラズモニック層の第1の表面の少なくとも一部分に接続される基板を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の試料保持器。
【請求項13】
前記光学的に透明な保護層は、150nm未満の厚さを有する、請求項1に記載の試料保持器。
【請求項14】
前記光学的に透明な保護層は、80nm未満の厚さを有する、請求項1に記載の試料保持器。
【請求項15】
前記光学的に透明な保護層は、酸化シリコン、窒化シリコン、透明金属酸化物及びポリマーの任意の1つ又は複数を含む、請求項1、13、14のいずれか一項に記載の試料保持器。
【請求項16】
前記生体試料を通して前記プラズモニック層に透過される光が、反射光を含む画像の生成のために前記試料保持器から反射されることを可能にするように使用中に配置される、請求項1~15のいずれか一項に記載の試料保持器。
【請求項17】
入射光は、前記生体試料及び前記試料保持器を照明し、且つ前記生体試料及び前記プラズモニック層と相互作用する、請求項16に記載の試料保持器。
【請求項18】
前記反射光は、各色が、前記試料保持器上に保持された試料の局所化誘電定数に依存する特性スペクトルを含む、請求項16又は17に記載の試料保持器。
【請求項19】
前記プラズモニック層は、前記試料保持器の領域に広がり、前記サブミクロン構造の周期的アレイは、面積で前記領域の80%以下を充填するように配置される、請求項16に記載の試料保持器。
【請求項20】
前記試料保持器の前記領域は、前記試料保持器の全領域である、請求項19に記載の試料保持器。
【請求項21】
支持される前記生体試料は、生体組織のスライスの形式の試料である、請求項1~
20のいずれか一項に記載の試料保持器。
【請求項22】
前記光学的に透明な保護層は、水素シルセスキオキサン(HSQ)又は金属酸化物のキャッピング層を含む、請求項21に記載の試料保持器。
【請求項23】
前記光学的に透明な保護層は、150nm未満の厚さを有する、請求項1~22のいずれか一項に記載の試料保持器。
【請求項24】
前記光学的に透明な保護層は、ガラス様材料である請求項1に記載の試料保持器。
【請求項25】
前記光学的に透明な保護層に支持された前記生体試料を画像にするシステムと組み合わされる請求項1に記載の試料保持器。
【請求項26】
試料を撮像することにおいて使用されるシステムであって、画像形成システムを有する反射光顕微鏡、照明システム、及び請求項1~25のいずれか一項に記載の試料保持器を含む、システム。
【請求項27】
前記試料の少なくとも1つのデジタル画像を生成するための画像捕捉システムを含む、請求項26に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の分野
本開示は、光学的顕微鏡検査の分野に関する。1つの形式では、本開示は、光学顕微鏡及び増強型試料保持器を使用するシステム及び方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
開示の背景
La Trobe Universityの名義におけるPCT/オーストラリア特許出願公開第2018/050496号(その内容全体が参照により本明細書に援用される)は、サブミクロン構造の周期的アレイを含むプラズモニック層を有する試料保持器の使用を通して増強型画像コントラストを提供する光学顕微鏡検査のシステム及び方法を開示している。この開示では、ナノスライドへの参照は、その両方の内容がすべての目的のために参照により本明細書に援用されるPCT/オーストラリア特許出願公開第2018/050496号又は2018年11月29日出願の本出願人の同時係争中の「Microscopy method and system」という名称のオーストラリア特許出願公開第2018904553号及び本出願と同じ日に出願されたオーストラリア特許出願公開第2018904553号に対する優先権を主張する国際特許出願の教示による試料保持器への参照である。このような試料保持器を使用する顕微鏡検査は、本明細書において組織学的プラズモニックス又は色コントラスト顕微鏡検査(CCMと略称される)と呼ばれる。試料は、プラズモニック層に隣接して試料保持器上に置かれる。使用中、試料及び試料保持器が照明され、試料の画像が生成される。本発明者らは、試料及びプラズモニック層と光との相互作用を介して色コントラストが観測対象画像内に呈示されることを観測した。特に、異なる誘電定数を有する試料の領域は、異なる色で画像内に出現する。強度コントラストの増加も実現される。CCMとは対照的に、非特異性染色を使用する従来の光学顕微鏡検査から取得される画像は、通常、使用される染色に対応する単一色の強度コントラストを呈示するのみである。対比染色又はバイオマーカが使用された場合でも、これらの従来技術は、特異色の画像を提供するのみである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
開示の概要
当業者に知られているように、反射光顕微鏡検査は、広い概念では、試料の画像を形成するために、試料から反射された光を使用する顕微鏡検査技術である。PCT/オーストラリア特許出願公開第2018/050496号において開示されたナノスライドの例示的実施形態は、修正なしに反射顕微鏡検査において使用され得るが、本発明者らは、このような試料保持器が、反射光顕微鏡検査におけるその使用を改善するために強化され得ると判断した。本明細書では、「画像を形成すること」は、ユーザが試料(若しくはその一部)の画像を知覚し得るように人間知覚可能画像を形成すること(例えば、光を集束することにより)又は格納、伝送、表示若しくは他の下流処理のために試料(若しくはその一部)のデジタル若しくは写真画像を生成することを含む。
【0004】
したがって、本発明の第1の態様は、光学顕微鏡において使用される試料保持器を提供し、本試料保持器は、サブミクロン構造の周期的アレイを画定するプラズモニック層を含み、
本試料保持器は、物体を支持するとき、サブミクロン構造の周期的アレイが物体に隣接するように物体を支持するように構成され、
サブミクロン構造の周期的アレイは、分離されたプラズモニック領域のアレイを含む。
【0005】
したがって、本発明の第2の態様は、光学顕微鏡において使用される試料保持器を提供し、本試料保持器は、試料保持器の領域に広がるプラズモニック層であって、サブミクロン構造の周期的アレイを画定するプラズモニック層を含み、
本試料保持器は、物体を支持するとき、サブミクロン構造の周期的アレイが物体に隣接するように物体を支持するように構成され、
その領域内では、サブミクロン構造の周期的アレイにより、プラズモニック層が面積で前記領域の80%以下を充填する。
【0006】
第2の態様のいくつかの形式では、サブミクロン構造の周期的アレイにより、プラズモニック層が面積で領域の75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%のいずれか1つ以下を充填する。領域は、試料保持器の全側面を覆い得る。
【0007】
本発明の第1の態様又は第2の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、プラズモニック領域は、プラズモニック材料のアイランドであり得る。他の実施形態では、プラズモニック領域は、分離されたプラズモニック領域の1次元アレイを形成するために、非プラズモニックストリップ又は線によって隣接する線又はストライプから分離されたプラズモニック材料の線又はストリップであり得る。
【0008】
本発明の第1の態様又は第2の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、サブミクロン構造は、200nm~500nmの範囲におけるサブミクロン構造間の分離を有する周期的アレイで配置され得る。サブミクロン構造は、50nm~300nmの範囲の最大寸法を有し得る。最も好ましくは、サブミクロン構造は、約100nm~200nmにわたるプラズモニック材料の領域である。プラズモニック領域は、円、トーラス、楕円、十字形、長方形、正方形の任意の1つ又は複数として整形され得る。
【0009】
本発明の第1の態様又は第2の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、プラズモニック層は、Al、Ag、Au、Ni、Pt及びPdの任意の1つから選択される1つ又は複数の金属から形成され得る。プラズモニック層は、20nm~300nmの範囲の厚さを有し得る。
【0010】
本発明の第1の態様又は第2の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、分離されたプラズモニック領域のアレイは、第1及び第2の方向において、隣接するプラズモニック領域間の等しい間隔を有する規則的アレイであり得る。好ましくは、第1及び第2の方向は、直交方向である。しかし、アレイは、第1の方向及び第2の方向において異なる間隔を有し得る。
【0011】
本発明の第1の態様又は第2の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、試料保持器は、プラズモニック層のための機械的支持を提供するために、プラズモニック層の第1の表面の少なくとも一部分に接続される基板を含む。いくつかの実施形態では、試料保持器は、プラズモニック層を分離するために、プラズモニック層の上側に接着された光学的に透明な保護層を含む。光学的に透明な保護層は、150nm未満の厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、光学的に透明な保護層は、80nm未満の厚さを有し得る。光学的に透明な保護層は、酸化シリコン、窒化シリコン、透明金属酸化物及びポリマーの任意の1つ又は複数を含み得る。試料保持器は、顕微鏡用スライドを含み得る。
【0012】
本発明の第1の態様又は第2の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、試料保持器は、試料を通してプラズモニック層に透過される光が、反射光を含む画像の生成のために試料保持器から反射されることを可能にする。
【0013】
本発明の第1の態様又は第2の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、使用中、入射光は、試料及び試料保持器を照明し、且つ試料及びプラズモニック層と相互作用する。反射光は、各色が試料の局所化誘電定数に依存する特性スペクトルを含む。このようにして、試料の局所化誘電定数を符号化するカラー画像が反射光から形成され得る。
【0014】
本発明者らは、本明細書又はPCT/オーストラリア特許出願公開第2018/050496号において説明されるように、ナノスライドも蛍光顕微鏡検査に有利に使用され得ることをさらに認識した。最も有利には、これは、反射光顕微鏡検査に適合された顕微鏡検査配置において行われ得る。
【0015】
したがって、本発明は、試料を撮像する方法であって、
上側表面及び下側表面を有する試料保持器を提供することであって、上側表面は、それに関連するプラズモニック層を有し、プラズモニック層は、サブミクロン構造の周期的アレイを含む、提供すること、
生体試料を試料保持器の上側表面に貼り付けること、
光が試料及び試料保持器と相互作用するように、前記光で試料を照明すること、
蛍光によって試料から発された光を受け取り、且つその画像を形成すること
を含む方法も提供する。
【0016】
本方法は、前記試料及び試料保持器との相互作用後の光を受け取り、且つ少なくとも1つのその画像を形成することをさらに含み、試料の少なくとも1つの局所化構造特性は、受け取られた光の色に基づいて画像内で可視である。このような撮像は、PCT/オーストラリア特許出願公開第2018/050496号においてより詳細に説明されている。本明細書では、この方法でそのように形成された画像は、色コントラスト画像と称される。有利には、このようにして、試料保持器上に取り付けられた試料は、色コントラスト撮像を使用することに加えて蛍光顕微鏡検査を使用することにより撮像され得る。
【0017】
蛍光によって試料から発された光から形成される画像は、第1の期間において形成され得、且つ色コントラスト画像は、第2の期間において形成され得る。いくつかの実施形態では、光が試料及び試料保持器と相互作用するように、前記光で試料を照明することは、第1の期間において第1の照明スペクトルを、且つ第2の期間において第2の照明スペクトルを使用することを含み得る。第1の照明スペクトルは、試料の蛍光特性に基づいて選択され得る。いくつかの場合、第1及び第2の照明スペクトルは、同じであり得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、蛍光によって試料から発された光を受け取ることは、前記蛍光以外の源からの受け取られる光を最小限にするために、試料及び/又は試料保持器から受け取られる光をフィルタリングする(例えば、波長又は空間的フィルタリングに基づいて)ことを含む。
【0019】
好ましい形式では、本方法は、試料保持器の、試料が置かれる側から試料を照明し、且つ蛍光によって試料から発された光と、また前記試料及び試料保持器と相互作用した後の光とを前記照明と同じ側から受け取ることを含む。
【0020】
上側表面及び下側表面という用語は、試料調製又は使用中のいずれかの試料保持器の特定の配向を指すように意図されていないことに留意すべきである。
【0021】
本発明の実施形態では、本方法は、蛍光によって試料から発された光から形成される画像と、色コントラスト画像とを空間的に相関付けることを含み得る。本方法は、蛍光によって試料から発された光から形成される画像と、色コントラスト画像とを含む合成画像を形成することを含み得る。蛍光によって試料から発された光から形成される複数の画像及び/又は複数の色コントラスト画像は、単一画像に合成され得る。合成は、光学的に(例えば、光学画像形成中)又はデジタル的に(例えば、前記画像を表すデータ値を組み合わせることにより)行われ得る。
【0022】
試料は、好ましくは、生体試料である。
【0023】
本発明の本態様の実施形態において使用される試料保持器は、PCT/オーストラリア特許出願公開第2018/050496号の実施形態による試料保持器であり得るが、最も好ましくは本発明の第1の態様の実施形態による試料保持器である。
【0024】
上に記載の方法で形成された画像は、当業者にとって明らかであり得る方法で組織学及び病理学において使用され得る。
【0025】
別の態様では、上に記載の態様の任意の1つの態様の実施形態を使用して画像を形成するためのシステムが提供される。本システムは、画像形成システムと、照明システムと、上側表面及び下側表面を有する試料保持器であって、上側表面は、それに関連するプラズモニック層を有し、プラズモニック層は、サブミクロン構造の周期的アレイを含む、試料保持器とを有する反射光顕微鏡を含み得る。本システムは、試料の少なくとも1つの画像を生成するための画像捕捉システムを含み得る。
【0026】
本発明の実施形態は、その両方の内容がすべての目的のために参照により本明細書に援用される、2018年11月29日出願の本出願人の同時係争中の「Automated method of identifying a structure」という名称のオーストラリア特許出願公開第2018904551号及び本出願と同じ日に出願されたオーストラリア特許出願公開第2018904551号に対する優先権を主張する国際特許出願に教示されるような構造を識別する自動化方法又は部分的自動化方法にかけられるデジタル画像を生成するために使用され得る。
【0027】
本開示の態様の実施形態は、2018年11月29日出願の本出願人の同時係争中の「Method of identifying a structure」という名称のオーストラリア特許出願公開第2018904550号及び本出願と同じ日に出願され、且つすべての目的のために本明細書に援用されるオーストラリア特許出願公開第2018904550号に対する優先権を主張する国際特許出願の教示の実施形態において使用され得る。
【0028】
図面の簡単な説明
本発明の例示的実施形態は、添付図面を参照して非限定的例として説明されことになる。本国際出願と共に出願された添付図面は、本発明の実施形態において使用されるカラー画像であって、その使用から生じるカラー画像を含む。色情報は、実施形態の本開示の一部を形成する。画像の白黒再生又は階調再生が発生すれば、色開示は、元々申請された文書から取得され得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1a】本開示の実施形態において使用される例示的試料保持器の詳細を示す。
【
図1b】プラズモニック層がサブミクロン開口のアレイを含む例を示す。
【
図1c】プラズモニック層がサブミクロン開口のアレイを含む例を示す。
【
図1d】プラズモニック層内のサブミクロン構造が、分離されたプラズモニック領域である例を示す。本発明は、
図1b~1iに示される特定の微細構造アレイを有する試料保持器の使用に限定されると考えるべきではない。
【
図1e】プラズモニック層内のサブミクロン構造が、分離されたプラズモニック領域である例を示す。本発明は、
図1b~1iに示される特定の微細構造アレイを有する試料保持器の使用に限定されると考えるべきではない。
【
図1f】プラズモニック層内のサブミクロン構造が、分離されたプラズモニック領域である例を示す。本発明は、
図1b~1iに示される特定の微細構造アレイを有する試料保持器の使用に限定されると考えるべきではない。
【
図1g】プラズモニック層内のサブミクロン構造が、分離されたプラズモニック領域である例を示す。本発明は、
図1b~1iに示される特定の微細構造アレイを有する試料保持器の使用に限定されると考えるべきではない。
【
図1h】プラズモニック層内のサブミクロン構造が、分離されたプラズモニック領域である例を示す。本発明は、
図1b~1iに示される特定の微細構造アレイを有する試料保持器の使用に限定されると考えるべきではない。
【
図i】プラズモニック層内のサブミクロン構造が、分離されたプラズモニック領域である例を示す。本発明は、
図1b~1iに示される特定の微細構造アレイを有する試料保持器の使用に限定されると考えるべきではない。
【
図2a】本発明の実施形態において使用される試料が置かれる、
図1aからの例示的試料保持器を示す。
【
図3A】反射光顕微鏡検査を行うために使用されるシステムの概略図である。
【
図3B】蛍光顕微鏡検査を行うために
図3Aの実施形態がどのように使用され得るかを示すシステムの概略図である。
【
図3C】蛍光及び色コントラスト顕微鏡検査が一緒に行われ得る1つの例示的システムを概略的に示す。
【
図3D】蛍光及び色コントラスト顕微鏡検査が一緒に行われ得る別の例示的システムを概略的に示す。
【
図4】CCMを反射モードで使用する(ナノスライドを使用する)ことにより捕捉された画像を示す。
【
図5】試料なし(空気)、水からなる試料、1.5の屈折率を有する材料(例えば、ポリマー)からなる試料の場合の、ナノスライドが反射モードで使用された場合の例示的受光スペクトルを示す。
【
図6】
図5の試料の模擬外観(カラーの)を示し、色コントラストが、反射モード顕微鏡検査において様々な構造特性を有する試料間で呈示されることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
実施形態の詳細な説明
図1aは、本開示の一例において使用される試料保持器の実施形態を示す。
図1aは、本発明における使用に好適な試料保持器全体に渡る断面を示す。試料保持器100は、プラズモニック層102が蒸着される基板を含む。
図1b及び1cは、作製され、且つ実施形態において使用され得るサブミクロンアレイを有する、PCT/オーストラリア特許出願公開第2018/050496号に例示されるような2つのタイプのプラズモニック層102を示す。層は、それぞれ150nmの厚さを有する銀塩フィルムであるが、他の好適な材料が使用され得る。
図1bは、六角形パターンで配置された450nm周期を有する円形状ナノ開口の形式のサブミクロンアレイを有する。
図1cは、長方形パターン上の十字形ナノ開口を有する。十字形ナノ開口は、一方向(ここでは、0°方向として定義される)に450nm周期を、且つ直交方向(90°方向として定義される)に400nm周期を有する。これらのアレイは、470~550nm範囲(電磁スペクトルの可視領域内である)内の表面プラズモンポラリトン(SPP)共振モードを有する。プラズモニック層102の表面を保護するために、ガラス様材料である水素シルセスキオキサン(HSQ)の層104(10nm±1nm)がプラズモニック層102の製作後に蒸着される。HSQによりキャッピングした後、試料保持器100は、試料が支持され得る従来の顕微鏡用スライドのものと同様の上側表面を有する。使用中、HSQ層は、組織付着力を促進する極性表面も提示する。他の実施形態では、金属酸化物キャッピング層(例えば、SiO
2)がHSQの代わりに使用され得る。
【0031】
撮像対象試料は、La Trobe Universityの名義におけるPCT/オーストラリア特許出願公開第2018/050496号又は2018年11月29日出願の本出願人の同時係争中の「Microscopy method and system」という名称のオーストラリア特許出願公開第2018904553号及び本出願と同じ日に出願されたオーストラリア特許出願公開第2018904553号に対する優先権を主張する国際特許出願の実施形態に従って作成され、試料保持器上に置かれる。本発明の好ましい実施形態において染色又はラベルに標識付けされる必要がない試料106(通常、生体組織のスライス)は、
図2aに示すようにプラズモニック層に隣接する試料保持器上に置かれる。
【0032】
図3Aは、試料保持器100が反射光顕微鏡検査において使用されるシステム300の概略図である。従来のスライドを有する反射光顕微鏡検査において使用される技術及び機器は、当業者に知られており、本発明の詳細を曖昧にすることを避けるために、公知の技術の説明は、省略されることになる。
【0033】
システム300は、試料106を照明するために入射光311を発する光源310を含む。照明は、この例では、試料保持器の、試料が置かれる側から行われる。反射光315は、色コントラスト画像の生成のために撮像システム312に後方反射される。試料保持器100は、プラズモニック層を有するナノスライドである。
【0034】
システム300が反射光顕微鏡検査において使用されると、画像を形成する反射光は、試料の局所的誘電定数に従って変動する反射スペクトルを保有するように試料保持器のプラズモニック層及び試料と相互作用した。したがって、反射光画像は、色コントラストを表示する。
【0035】
図4は、マウスの光神経の薄切片(70nm)の反射画像を示す。組織は、従来の方法で準備され、エポキシ樹脂中に埋め込まれた。70nm厚さ部分は、Leica UC7超ミクロトーム上で切断された。画像は、20×倍率を使用することにより捕捉され、且つ反射モードで撮影された。画像では、Emスペクトルの可視領域内にあり、したがって画像内に可視フリンジを生成する可視ストライプは、ナノスライドのプラズモニック層内のサブミクロン構造が約450nmの周期性を有する構造を含むという事実から発生する。より小さい周期性又は異なる形状(例えば、六角形)のアレイを使用することで、このようなアーチアファクトを避け得る。
【0036】
特別な反射スペクトルは、透過スペクトル内のピークに出現する溝を有する正規化された透過スペクトル(例えば、PCT/オーストラリア特許出願公開第2018/050496号に示すような)の反転したものとやや類似したものになる。しかし、プラズモン共振モードの様々な組が存在し得る。
図5aは、以下の3つの試料の場合のナノスライドが反射モードで使用された場合の例示的模擬受光スペクトルを示す:
R=1を有する試料(すなわち試料なしであるか又は試料が空気である)、
R=1.33を有する試料(例えば、水からなる試料)、
R=1.5を有する試料(例えば、ポリマーなどの材料)。
【0037】
模擬スペクトルは、六方格子アレイ内の第1の方向において480nmの分離を有するアレイで配置された半径90nmのプラズモニック材料の円状アイランドを有するナノスライドに基づく。
【0038】
プラズモニック層が、サブミクロン構造により提供される小さい空隙のみをその中に有するナノスライドの全領域を覆う、PCT/オーストラリア特許出願公開第2018/050496号の例示と比較して、反射顕微鏡検査において使用されると、そのサブミクロン構造の配置が、プラズモニック層により覆われる領域のより小さい領域(面積で)を充填するため、プラズモニック層領域を設けることが有利であり得ることが分かった。いくつかの場合、プラズモニック層領域は、(面積で)領域の75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%のいずれか1つ以下のみ充填され得る。充填率の低下は、入射光の反射を低減し(すなわちより多くの透過を可能にする)、その結果、反射光内のスペクトルピークが溝からより容易に見分け可能となり、受け取られた画像内の色コントラスト効果を強化するため、反射顕微鏡検査において有利になり得る。
【0039】
図5bは、このような試料からのその結果の可視色を示すこのような試料の模擬画像を示す。分かるように、
RI=1試料(左側)は、その反射スペクトル内のピークの位置に対応して青色に見え、
RI=1.33試料(中央)は、その反射スペクトル内のピークの位置に対応して橙色に見え、
RI=1.5試料(右側)は、その反射スペクトル内のピークの位置に対応して赤色に見え、
反射顕微鏡検査においてナノスライドを使用して形成された画像が、試料の屈折率に関係する試料の誘電定数に基づいて色コントラストを表示することを実証する。
【0040】
重要なことに、ナノスライドの使用は、このような色コントラストが試料を染色することなく、且つほぼ透明な試料を使用する際に取得されることを可能にする。したがって、受け取られた反射光は、試料の上側表面とは対照的に、プラズモニック層から反射された光を含む。これは、試料自体内の吸収が比較的低いことも意味する。
【0041】
顕微鏡は、ユーザにより見るための接眼レンズを有する従来の光学顕微鏡を使用したが、表示、格納又は他の後の使用のためのデジタル画像を生成するために画像捕捉システムを代替的に又は追加的に含み得る。いくつかの形式では、顕微鏡は、自動化スライドスキャナの一部分を形成し得る。システム300は、試料の捕捉されたデジタル画像の表示のためのユーザ端末及び捕捉された画像を格納するためのデータ格納システムを含み得る。
【0042】
ナノスライドを使用して反射光顕微鏡検査を行う際、本発明者らは、プラズモニック層が、いくつかの場合、どこで/いつ/なぜドットがより良好であるかの改善された結果を生成するように特化され得ることを実証した。特に、サブミクロン構造の周期的アレイは、分離されたプラズモニック領域のアレイを含み得る。プラズモニック領域は、間隙により分離されたプラズモニック材料のアイランドであり得る。プラズモニック領域は、通常、200nm~500nmの範囲におけるサブミクロン構造間の分離を有する周期的アレイで配置されることになる。各プラズモニック領域は、50nm~300nmの範囲の最大寸法を有し得る。最も好ましくは、サブミクロン構造は、約100nm~200nmにわたるプラズモニック材料の領域である。プラズモニック領域は、円、トーラス、楕円、十字形、長方形、正方形の任意の1つ又は複数として整形され得る。
【0043】
PCT/オーストラリア特許出願公開第2018/050496号に記載されるように、プラズモニック層は、Al、Ag、Au、Ni、Pt又はPdなどの1つ又は複数の金属から形成され得る。プラズモニック層は、20nm~300nmの範囲の厚さを有し得る。
【0044】
図1d~1jは、分離されたプラズモニック領域のアレイを含むサブミクロン構造のこのような周期的アレイの例を示す。
【0045】
図1dは、正方形プラズモニック領域103の規則的長方形アレイを含むプラズモニック層102を示す。第1及び第2の方向のプラズモニック領域103の間隔は、等しい。
【0046】
図1eは、第1及び第2の方向においてプラズモニック領域103の等しい間隔で配置された正方形プラズモニック領域103のアレイを含むプラズモニック層102を示すが、各行は、プラズモニック領域103の六角形アレイを形成するためにその隣からオフセットされる。第1及び第2の(x及びy)方向の領域間の分離は、同じである(図示のように)か又は異なり得る。
【0047】
図1fは、正方形プラズモニック領域103のアレイを含むプラズモニック層102を示し、ここで、第1及び第2の方向のプラズモニック領域103同士の間隔は、等しくない。PCT/オーストラリア特許出願公開第2018/050496号に記載されるように、このような例は、偏光照明の使用が、アレイの行及び列に関して、受け取られた光の相対的偏極を切り替えることにより、受け取られた光のスペクトルを変更することを可能にし得る。
【0048】
図1gは、円状プラズモニック領域103を含む例示的プラズモニック層102を示す。この例では、第1及び第2の方向のプラズモニック領域103の間隔は、等しいが、他のアレイ配置が使用される可能性がある。
【0049】
図1hは、十字形状プラズモニック領域103を含む例示的プラズモニック層102を示す。この例では、第1及び第2の方向のプラズモニック領域103の間隔は、等しくないが、他のアレイ配置が使用される可能性がある。
【0050】
図1iは、長方形状プラズモニック領域103を含む例示的プラズモニック層102を示す。しかし、他の実施形態と異なり、隣接するプラズモニック領域間の間隔は、比較的狭い。これは、プラズモニック層を生じ、ここで、プラズモニック領域は、面積で50%より大きい分率のプラズモニック層を占める。
【0051】
図1jは、非プラズモニックストリップにより分離されたストリップとして整形されたプラズモニック領域103を含む例示的プラズモニック層102であって、分離されたプラズモニック領域の1次元アレイを生成するプラズモニック層102を示す。
【0052】
分かるように、プラズモニック領域のアレイは、第1及び/又は第2の方向において、隣接するプラズモニック領域間の等しい間隔を有する規則的アレイであり得る。好ましくは、第1及び第2の方向は、直交方向である。しかし、アレイは、第1及び第2の方向の異なる間隔を有し得る。
【0053】
本発明は、蛍光顕微鏡検査の方法も提供し、本方法は、
上側表面及び下側表面を有する試料保持器を提供することであって、上側表面は、それに関連するプラズモニック層を有し、プラズモニック層は、サブミクロン構造の周期的アレイを含む、提供することと、
試料を試料保持器の上側表面に貼り付けることと、
光が試料及び試料保持器と相互作用するように、前記光で試料を照明することと、
蛍光によって試料から発された光を受け取り、且つその画像を形成することと
を含む。
【0054】
本方法は、前記試料及び試料保持器との相互作用後の光を受け取り、且つ少なくとも1つのその画像を形成することをさらに含み、試料の少なくとも1つの局所化構造特性は、受け取られた光の色に基づいて画像内で可視である。このような撮像は、PCT/オーストラリア特許出願公開第2018/050496号においてより詳細に説明されている。本明細書では、このような方法で形成される画像は、色コントラスト画像と称される。
【0055】
有利には、このようにして、試料保持器上に取り付けられた試料は、色コントラスト撮像を使用することに加えて蛍光顕微鏡検査を使用することにより撮像され得る。
【0056】
当業者に明らかなように、蛍光顕微鏡検査は、通常、試料内で誘起された蛍光が撮像される側と同じ側から試料を照明することが必要である(又は望ましい)ため、反射光顕微鏡検査配置により行われる。したがって、
図3Aの概略配置は、
図3Bに示すように、同じ試料の蛍光撮像にも使用され得る。この例では、光源310は、試料106を照明するために入射光321を発する。照明は、試料106に蛍光を発生させる。蛍光によって試料から発された光325は、試料の蛍光画像の生成を可能にする撮像システム312により捕捉される。
【0057】
当業者に知られるように、蛍光顕微鏡検査は、専門化された試料調製及び標識付け技術を必要とし得る。波長選択的照明及び画像捕捉技術も使用され得る。蛍光顕微鏡検査撮像において使用される一般的な蛍光性試料調製、照明技術又は画像捕捉技術の詳細は、本発明の詳細を曖昧にしないようにここでは述べられない。
【0058】
いくつかの実施形態では、蛍光及び色コントラスト顕微鏡検査は、同じ試料上で連続的に又は同時に行われ得る。連続的に行われる場合、蛍光によって試料から発された光から形成される画像は、第1の期間において形成され得、且つ色コントラスト画像は、第2の期間において形成され得る。
【0059】
各タイプの顕微鏡検査において特別な照明特性を使用することが必要又は有利であり得、この場合、色コントラスト撮像において使用される光は、蛍光撮像において使用されるものと異なる照明スペクトルを有し得る。これは、2つの光源を交換可能に使用すること又は各期間内に異なる方法でフィルタリングされる共通光源を使用することを必要とし得る。しかし、いくつかの場合、同じスペクトルが使用され得る。
【0060】
図3Cは、
図3A及び3Bのシステムを使用することにより、同じ試料の蛍光撮像及び色コントラスト撮像が行われる例を概略的に示す。この例では、光源310は、試料106を照明するために光321/311(同じスペクトルを有するか又は異なるスペクトルを有し得る)を発する。照明は、試料106に蛍光を発生させ、且つまた試料及び試料保持器100のプラズモニック層102と相互作用する。受け取られた光325は、蛍光によって試料から発され、及び受け取られた光315は、試料保持器100により反射される。受け取られた光315/325は、試料の蛍光画像及び色コントラスト画像の両方の生成を可能にするために撮像システム312により捕捉される。上記で指摘したように、光311及び321の放出は、同時であっても又はなくてもよい。
【0061】
図3Dは、
図3A及び3Bのシステムを使用することにより、同じ試料の蛍光撮像及び色コントラスト撮像が行われる例を概略的に示す。この例では、光源310は、試料106を照明するために光321/311(同じスペクトルを有するか又は異なるスペクトルを有し得る)を発する。照明は、試料106に蛍光を発生させ、且つまた試料及び試料保持器100のプラズモニック層102と相互作用する。受け取られた光325は、蛍光によって試料から発され、及び受け取られた光315は、試料保持器100により反射される。受け取られた光315は、色コントラスト反射画像の生成を可能にするために第1の撮像システム312により捕捉される。受け取られた光325は、同じ試料の蛍光画像の生成を可能にするために第2の撮像システム312’により捕捉される。上記で指摘したように、光311及び321の放出は、同時であっても又はなくてもよい。
図3C及び3Dに関して、場合により、試料は、望まれなければ、色コントラスト顕微鏡検査中に蛍光を発生し得る。これは、一般的に、画像形成時に蛍光波長をフィルタリングして除去することにより、又は蛍光を引き起こす波長域において試料を照明しないことにより対処され得る。蛍光は、蛍光タグ内の特定の光学遷移を介して生成されるため、非常に特別な波長において発生し、したがって、蛍光は、受け取られたスペクトル内の線(又は複数の線)として出現する。これらの特徴線は、色コントラスト画像のより滑らかな連続的背景スペクトルから分離され得る。蛍光線が色コントラスト画像内の受け取られた色スペクトル内の強い波長ピークと偶然に一致する場合、これは、異なる分離サブミクロン構造を有するナノスライドを使用することにより補正され得るか、又は使用されているナノスライドが異なる方向のサブミクロン構造間の異なる分離を有する場合、これは、色コントラスト画像の照明の偏光を変更することにより補正され得る。本出願と同じ日に出願された本出願人の同時係争中の「Automated method of identifying a structure」及び「Method of identifying a structure」という名称のオーストラリア特許出願に記載されるように、これは、蛍光画像ではなく、色コントラスト画像内の受け取られた光スペクトルを変更することになる。
【0062】
本方法により捕捉された画像は、試料に関する結論を引き出すために個々に又は一緒に使用され得る。本発明のいくつかの実施形態では、本方法は、蛍光によって試料から発された光から形成される画像と、色コントラスト画像とを空間的に相関付けることを含み得る。
【0063】
これは、色コントラスト情報及び蛍光画像の両方を示す合成画像を生成することにより行われ得る。蛍光によって試料から発された光(例えば、各蛍光波長の1つ)から形成された複数の画像及び/又は複数の色コントラスト画像(様々な偏光において捕捉された)は、単一の画像に合成され得る。
【0064】
合成は、光学的に(例えば、光学画像形成中)又はデジタル的に(例えば、前記画像を表すデータ値を組み合わせることにより)行われ得る。本明細書において開示され定義された本発明は、述べられた又は本文若しくは図面から明らかな個々の特徴の2つ以上のすべての代替組み合わせに拡張することが理解されるであろう。これらの様々な組み合わせのすべてが本発明の様々な代替態様を構成する。