(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】背圧検知による薬剤送達のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
A61M5/142 530
A61M5/142 522
(21)【出願番号】P 2021540120
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 US2020013886
(87)【国際公開番号】W WO2020154170
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2023-01-13
(32)【優先日】2019-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グロースマン,ダニエル・エデュアルド
(72)【発明者】
【氏名】ギブソン,スコット・アール
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-537844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00 - 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達システムであって、
薬剤が充填されているか充填可能なリザーバと、
前記リザーバと流体連通接続されているか流体連通接続可能であり、患者に挿入されて前記患者から後退させられるように構成されている投与部材と、
前記投与部材を介して前記薬剤を前記リザーバから前記患者まで押し出すように構成された駆動アセンブリと、
前記薬剤送達システムの使用中に少なくとも組織背圧を検出するように構成された圧力センサと、
を含み、
前記薬剤送達システムが前記患者への前記薬剤の用量の送達を完了した後および/または前記薬剤送達システムが前記患者への前記薬剤の用量の送達を完了したことに応答して、前記組織背圧を監視するように構成および/またはプログラムされている、薬剤送達システム。
【請求項2】
前記圧力センサは、薬剤送達後に前記投与部材が前記患者から後退させられるまで前記投与部材と流体連通している、請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項3】
前記圧力センサは、前記駆動アセンブリが前記薬剤を前記リザーバから前記患者まで押し出す動作の間に駆動圧力を検出するように構成されている、請求項1又は2のいずれか一項に記載の薬剤送達システム。
【請求項4】
前記圧力センサは前記投与部材の入口のすぐ上流に配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬剤送達システム。
【請求項5】
前記圧力センサと前記投与部材の前記入口との間の距離が10mm以下である、請求項4に記載の薬剤送達システム。
【請求項6】
前記圧力センサで検出可能な最小圧力が0.5psi以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の薬剤送達システム。
【請求項7】
前記圧力センサで検出可能な最大圧力が100psi以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の薬剤送達システム。
【請求項8】
前記リザーバと流体連通接続されているか流体連通接続可能な管状導管と、
前記薬剤送達システムの使用中に前記管状導管と前記投与部材との間の流体連通を提供するように構成された内部通路を有する接続ハブと、
を含み、
前記接続ハブ及び前記圧力センサはそれぞれが前記管状導管の下流に配置されている、
請求項1~7のいずれか一項に記載の薬剤送達システム。
【請求項9】
前記圧力センサの少なくとも一部分が前記接続ハブ内にマウントされている、請求項8に記載の薬剤送達システム。
【請求項10】
前記圧力センサは、第1の面及び第2の面を有する可撓なダイヤフラムを含み、前記薬剤送達システムの使用中に、前記第1の面は前記接続ハブの前記内部通路内で流体圧力に曝され、前記第2の面は周囲圧力に曝される、請求項9に記載の薬剤送達システム。
【請求項11】
前記圧力センサは、前記接続ハブの外側にマウントされており、前記接続ハブに形成されたサイドポートを介して前記接続ハブの前記内部通路と流体連通するように構成されている、請求項8に記載の薬剤送達システム。
【請求項12】
前記駆動アセンブリが前記薬剤を前記リザーバから前記患者まで押し出す動作の間に駆動圧力を検出するように構成された第2の圧力センサを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の薬剤送達システム。
【請求項13】
前記圧力センサで検出可能な最小圧力は、前記第2の圧力センサで検出可能な最小圧力より小さい、請求項12に記載の薬剤送達システム。
【請求項14】
前記第2の圧力センサで検出可能な最大圧力は、前記圧力センサで検出可能な最大圧力より大きい、請求項12又は13のいずれか一項に記載の薬剤送達システム。
【請求項15】
前記圧力センサは、0psiから100psiの第1の範囲、又は前記第1の範囲内の任意の副範囲の圧力を検出するように構成されており、前記第2の圧力センサは、10psiから少なくとも100psiの第2の範囲、又は前記第2の範囲内の任意の副範囲の圧力を検出するように構成されている、請求項12~14のいずれか一項に記載の薬剤送達システム。
【請求項16】
前記圧力センサと結合された制御装置であって、
(a)前記薬剤の用量の送達が完了しているかどうかを判定し、前記薬剤の前記用量の送達が完了している場合には、組織背圧を測定することと、
(b)(a)の後に前記組織背圧が所定値を下回るかどうかを判定することと、
を行うように構成された制御装置を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の薬剤送達システム。
【請求項17】
出力装置を含み、前記制御装置は、前記組織背圧が前記所定値を下回る場合には前記患者又は使用者に通知又はアラートを行うように前記出力装置を少なくとも1回制御するように構成されている、請求項16に記載の薬剤送達システム。
【請求項18】
ハウジングを含み、前記ハウジングは、内部空間を画定する内部表面と、外部表面とを有し、前記リザーバは前記内部空間内に配置されている、請求項1~17のいずれか一項に記載の薬剤送達システム。
【請求項19】
前記投与部材は、前記投与部材が前記ハウジングの前記内部空間内に引き込まれている格納位置と、前記投与部材の先端が、前記患者への挿入の為に、前記ハウジングの前記外部表面を越えて延びる動作位置と、を有する、請求項18に記載の薬剤送達システム。
【請求項20】
前記薬剤送達システムの使用中に、前記投与部材を前記格納位置から前記動作位置まで動かすように構成された挿入機構を含む、請求項19に記載の薬剤送達システム。
【請求項21】
薬剤送達中に前記患者又は使用者の手中で保持されるように構成されたハウジングを含み、前記リザーバの長手軸と前記投与部材の長手軸とが平行である、請求項1~17のいずれか一項に記載の薬剤送達システム。
【請求項22】
薬剤送達システムを動作させる方法であって、
最初は前記薬剤送達システムのハウジングの内部空間内に格納されている投与部材の先端を患者に自動的に挿入するステップと、
前記投与部材を介して用量の前記薬剤を前記患者に送達するようにリザーバを自動的に作動させるステップと、
前記用量の前記薬剤を前記患者に送達するように前記リザーバを作動させることを終了した後に、前記薬剤送達システムに含まれる圧力センサを使用して組織背圧を監視するステップと、
を含む方法。
【請求項23】
前記組織背圧が所定値を下回るかどうかを判定するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記組織背圧が前記所定値を下回ると判定したら、前記患者又は使用者に通知又はアラートを行うように出力装置を少なくとも1回制御するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記組織背圧が前記所定値を下回ると判定したら、前記投与部材の前記先端を自動的に後退させるように一機構を制御するステップを含む、請求項23又は24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記薬剤送達システムは、管状導管と、前記薬剤送達システムの使用中に前記管状導管と前記投与部材との間の流体連通を提供するように構成された内部通路を有する接続ハブと、を含み、前記接続ハブ及び前記圧力センサはそれぞれ前記管状導管の下流に配置されている、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記圧力センサは、前記接続ハブの中又は表面にマウントされている、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記投与部材を介して前記用量の前記薬剤を前記患者に送達するように前記リザーバを作動させている間に前記圧力センサを使用して駆動圧力を監視するステップを含む、請求項22~27のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
2019年1月24日に出願され、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第62/796,381号明細書に対する優先権が主張される。
【0002】
本開示は、全般的には薬剤送達システムに関し、特に、液体形態の薬剤の注射を容易にする薬剤送達システムに関する。
【背景技術】
【0003】
様々な薬剤の非経口送達、即ち、消化管を通す以外の手段による送達が、薬剤送達の望ましい形式になっている。胃を回避すると、薬剤中の有効成分が触媒要素によって劣化するのを防いで、必要な量の薬剤が望ましい濃度でターゲット部位に到達する可能性を高めることが可能である。更に、液体形態で注射されることが多い生物学的製剤を使用する治療が普及したことで、非経口送達はより一般的になっている。
【0004】
典型的な注射は、リザーバ及び投与部材(例えば、中空のカニューレ又は針)を有する薬剤送達装置の使用を必要とする。投与部材の尖端が患者に挿入され、リザーバが作動すると薬剤が投与部材を通って患者に送達される。そのような薬剤送達装置を、処方された体積又は用量の薬剤を患者に送達するように確実に構成することに多大な関心が払われてきた。これは、多くの治療が厳密な量の薬剤の送達を必要とし、わずかな変動さえも許容しない為である。例えば、送達量が不十分であれば、例えば、薬剤の有効性が損なわれる可能性があり、一方、送達量が過多であれば、例えば、有害な副作用のリスクが高まる可能性がある。
【0005】
薬剤送達装置による自己注射は、準最適送達という更なるリスクを引き起こす。例えば、自己注射の経験がない患者や病気の為に衰弱状態にある患者は、薬剤送達装置の操作が不適切になりがちである。更に、薬剤送達装置がその意図された使用法に従って操作されたとしても、患者の生理学的状態を含む環境条件及び/又は動作条件によっては送達が不完全になる可能性がある。
【0006】
後で詳述するように、本開示で説明する薬剤送達システム及び関連する方法は、既存のシステム及び方法に対して有利な代替案を具体化するものであり、ここで述べた課題やニーズの1つ以上に対処するとともに他の利益や利点を提供することが可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は薬剤送達システムを提供する。薬剤送達システムは、薬剤が充填されているか充填可能なリザーバと、リザーバと流体連通接続されているか流体連通接続可能である投与部材と、駆動アセンブリと、圧力センサと、を含んでよい。投与部材は、患者に挿入されて、患者から後退させられるように構成されてよい。駆動アセンブリは、投与部材を介して薬剤を患者に送達するようにリザーバを作動させるように構成されてよい。圧力センサは、薬剤送達システムの使用中に組織背圧を検出するように構成されてよい。
【0008】
本開示の別の態様は、薬剤送達システムを動作させる方法を提供する。本方法は、(a)最初は薬剤送達システムのハウジングの内部空間内に格納されている投与部材の先端を患者に自動的に挿入するステップと、(b)投与部材を介して用量の薬剤を患者に送達するようにリザーバを自動的に作動させるステップと、(c)用量の薬剤を患者に送達するようにリザーバを作動させることを終了した後に、薬剤送達システムに含まれる圧力センサを使用して組織背圧を監視するステップと、を含む。
【0009】
本開示は、この後の説明を添付図面と併せて読むことで、よりよく理解されるであろう。図面によっては、要素を選択的に省略して簡略化することで他の要素をより明確に示すようにしている場合がある。一部の図面におけるこうした要素の省略は、対応する書面による説明の中で明確に記述されている場合を除き、例示的実施形態のいずれかにおける特定要素の有無を表すものでは必ずしもない。更に、いずれの図面も必ずしも正確な縮尺で示されているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態による薬剤送達システムの外側斜視図である。
【
図2】
図1に示した薬剤送達システムの、線Z-Zに沿う概略断面図である。
【
図3】本開示の一実施形態による流体経路接続アセンブリの斜視図を示す。
【
図4】圧力センサが内部にマウントされている、
図3に示した接続ハブの断面図を示す。
【
図5】圧力センサが外部にマウントされている、本開示の一実施形態による接続ハブの断面図を示す。
【
図6】本開示の一実施形態による薬剤送達システムの概略図を示す。
【
図7】本開示の原理による薬剤送達システムの使用中の、時間に対して圧力が変化する様子を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
薬剤(本明細書では医薬品又は薬剤製品とも呼ぶ)は、様々なアプローチ、テクノロジ、及びシステムを用いて注射又は注入されてよい。例えば、薬剤は、シリンジの形態のリザーバ(又は容器)に充填されてよく、そのシリンジを使用して、患者に挿入された針を通して、手動で注射されてよい。或いは、薬剤は、シリンジ又は他の適切な一次容器(例えば、カートリッジ)の形態のリザーバに充填されてよく、その事前充填されたシリンジ又は他の容器は、そのシリンジ又は容器のボア内のプランジャを動かすこと、並びに任意選択で患者に針を挿入することを自動化するように構成された自己注射器と組み合わされてよい。例えば、自己注射器は駆動アセンブリ(例えば、モータ、ばね、プロペラントリザーバ等)を含んでよく、駆動アセンブリは、(例えば、ボタンを押下したり針ガードを後退させたりすることによって)活性化要素が操作されたときに、容器がハウジング内を動くこと、及び/又はプランジャが容器のボア内を動くことを引き起こす。更に別の代替として、薬剤はリザーバに充填されてよく、リザーバは(充填前又は充填後に)ウェアラブル装置と組み合わされてよく、ウェアラブル装置は、患者に針及び/又はカニューレを自動挿入する機構と、リザーバを自動的に作動させる駆動アセンブリ(例えば、モータ、ばね、プロペラントリザーバ等の形態であってよい)と、を有する。ウェアラブル装置は、患者の皮膚に取り外し可能に装着可能なハウジングを含んでよく、これにより、例えば、オンボディ薬剤送達システムが形成される。
【0012】
薬剤送達システムのとり得る形態がいかなるものであれ、針やカニューレ等の投与部材が患者に挿入され、薬剤をリザーバから投与部材に通して患者の組織(例えば、皮下組織、筋肉組織等)の中に押し出す為に力がかけられる。かけられる力は、薬剤送達システム内の内部抵抗、及び患者の組織からの抵抗(注射される薬剤の体積分のスペースを組織が空ける為)の両方に打ち勝つ必要がある。患者の組織からの抵抗により、組織背圧が発生する。組織背圧は、注射中と注射後のしばらくの間に存在する。組織背圧は、組織が薬剤を吸収又は収容するにつれて時間とともに徐々に減衰する。しかしながら、注射直後は組織背圧がかなり大きくなる可能性がある。その結果、組織背圧によって注射部位の皮膚から薬剤が漏れ出す可能性がある。この結果として、いわゆる注射「漏れ」が起こる。これは患者にとっては望ましからぬ経験になる。更に、より重要なことに、漏れ(逆流又は還流とも呼ばれる)の結果として、患者に送達される薬剤が意図された用量より少なくなる。結果として、薬剤の有効性が損なわれる可能性がある。
【0013】
注射漏れを抑えるか又は防ぐ1つの方法は、組織背圧が特定閾値を下回るまで投与部材を注射部位の定位置に置いたままにすることである。場合によっては、この閾値(
図7でP
bとして示されている値)、およそ(例えば、±10%で)0.5ポンド毎平方インチ(psi)に等しくてよい。投与部材を定位置に置いたままにすることにより、投与部材は、投与部材の挿入によって皮膚に形成された穴から薬剤が漏れ出すのを防ぐか又は抑える栓として働くことが可能である。組織背圧がP
bを下回るのに要する時間は、例えば、送達条件や患者の生理学的状態に応じて変わり得る。その為、患者又は薬剤送達システムが投与部材を除去することに関して一定の待機時間を設定することは、漏れ防止の方法としては信頼性に乏しい可能性がある。
【0014】
組織背圧は、注射速度が高いほど大きくなる傾向がある。これは、注射速度が高い場合に組織網に生じる機械的ひずみが大きくなって、組織網が薬剤を押し返す力が大きくなることによるものと考えられる。注射可能な生物学的製剤等の特定の薬剤は、送達体積が大きくなる傾向が見られつつある。これは、1つには、投与の回数を少なくする傾向がある為であり、それによって、どの注射においても用量を大きくして送達する必要がある為である。そして用量を大きくすると、注射時間の制限がある為に、注射速度が高くなった。従って、送達体積が大きくなる傾向と、それに伴う注射速度の上昇とにより、注射漏れが起こる可能性が高くなっている。更に、注射可能な生物学的製剤を含む特定の薬剤は、以前より粘性の高い剤型で製造されている。薬剤の粘性が高くなると、組織背圧が高くなって注射漏れの可能性が高まる傾向がある。
【0015】
本開示は、注射イベント中及び注射イベント後の両方で組織背圧を検知することが可能な薬剤送達システムに焦点を当てる。そうすることにおいて、本開示による薬剤送達システムは、注射後の注射部位における薬剤漏れの可能性を減らすように、その動作を変化させたり且つ/又は薬剤送達システムの操作を患者に指示したりすることが可能である。本開示は又、薬剤送達システム内での組織背圧及び他の圧力の測定(駆動圧力測定を含む)を容易にする、センサの構成及び配置を提供する。特定の実施形態によれば、駆動アセンブリが用量の薬剤を患者内への送達の為にリザーバから押し出す動作の間の駆動圧力と、これに加えて、薬剤送達が完了した後の組織背圧とを検出するように、単一センサが構成されてよい。代替実施形態では、駆動圧力測定と組織背圧測定とに別々のセンサを利用してよい。
【0016】
図1及び2は、患者102の組織(例えば、皮下組織、筋肉組織等)に薬剤を注射する薬剤送達システム100を示す。薬剤は、ペプチド、ペプチボディ、及び抗体を含む様々な生物学的薬剤であってよいが、これらに限定されない。薬剤は、流体又は液体の形態であってよく、剤型によっては高い粘性を有してよい。薬剤送達システム100は、タイプによっては、固定用量又は患者/操作者が設定可能な用量の薬剤をボーラス形式で、制御又は選択された時間帯に自動的に送達するように構成されてよい。更に、薬剤送達システム100は、患者による自己投与を想定されてよく、又は注射を投与する為の正式な訓練を受けた医療従事者によって操作されてよい。
【0017】
薬剤送達システム100の様々な実施態様及び構成が可能である。薬剤送達システム100は、単回使用の使い捨て注射器として構成されてよく、又は複数回使用の再利用可能注射器として構成されてよい。
図1及び2に示した実施形態では、薬剤送達システム100は、注射の継続時間にわたって患者の皮膚に取り外し可能に取り付けられるオンボディ注射器として構成されている。代替実施形態では、薬剤送達システムは、注射の継続時間にわたって患者又は使用者の手中で保持される自己注射器又はペン型注射器として構成されてよい。更に別の代替実施形態では、薬剤送達システムは、手動操作で注射を実施できるシリンジであってよいが、これとは対照的に、オンボディ注射器及び自己注射器のタイプであれば、薬剤送達システムは、自動的に投与部材を挿入すること、自動的に薬剤をリザーバから押し出すこと、及び/又は注射後に自動的に投与部材を後退させることが可能であってよく、且つ/又は他の自動化された特徴又は機能を有してよい。
【0018】
図2を参照すると、薬剤送達システム100は、幾つかの実施形態では、投与部材110、挿入/後退機構112、リザーバ114、流体経路接続アセンブリ116、駆動アセンブリ118、及び制御装置120を含み、これらのそれぞれは、主ハウジング122の内部空間内に配置されてよい。本明細書では、投与部材110、挿入/後退機構112、流体経路接続アセンブリ116、駆動アセンブリ118、主ハウジング122、及び/又は他の要素をまとめて薬剤送達装置と呼ぶことがあり、その装置を、リザーバ114、制御装置120、及び/又は他の要素と組み合わせて薬剤送達システム100を形成してよい。
【0019】
投与部材110は、中空であり、第1の端部110aを有してよく、第1の端部110aは、流体経路接続アセンブリ116を介してリザーバ114と流体連通接続されているか又は流体連通接続可能であり、第2の端部110bは、患者の組織111に挿入される。幾つかの実施形態では、投与部材110は、比較的可撓な材料で作られたカニューレの形態であり、第2の端部110bに比較的とがっていない先端を有してよく、これに対し、別の実施形態では、投与部材110は、比較的堅い材料で作られた針の形態であり、第2の端部110bにとがった先端を有してよい。投与部材110は、薬剤送達システム100の他の要素と一体化されていてよく、或いは、投与部材110は、使用直前まで薬剤送達システム100の他の要素から分離されていてよい。
【0020】
図2に示した実施形態を含む特定の実施形態によれば、薬剤送達システム100は更に、投与部材110の第2の端部110bを患者の組織111に導入するトロカール又は導入部材113を含んでよいが、これは、本開示の各実施形態によれば必須ではない。導入部材113は、実施形態によっては、薬剤送達システム100のハウジング122内に引き戻されて、投与部材110の第2の端部110bを、薬剤の皮下注射、筋肉注射等の注射の為に患者内に残してよい。そのような実施形態では、投与部材110は、比較的可撓又は軟質の材料(例えば、プラスチック又は別のポリマー)で作られたカニューレ(例えば、とがっていないカニューレ)であってよく、これに対し、導入部材113は、堅いか又は中空の針又はトロカールであってよく、比較的剛性又は硬質の材料(例えば、金属)で作られてよい。従って、投与部材110は、導入部材113より可撓な材料で作られてよい。投与部材110は、比較的可撓であることにより、痛みや有意の不快さを患者に引き起こすことなく一定時間(例えば、数分、数時間、数日等)にわたって患者の組織111内に配置されることが可能であり得る。別の実施形態(図示せず)では、導入部材113が省略されてよく、代わりに挿入/後退機構112は投与部材110だけを患者に挿入してよい。
【0021】
実施形態によっては、導入部材113は薬剤送達前に患者の組織111から後退してよいが、薬剤は、患者の組織111に注射される前に導入部材113の中を通ってよい。そのような実施形態では、導入部材113は中空の内部通路を有してよく、内部通路は、導入部材113の後退後は、投与部材110と流体連通したまま投与部材110の上流にある。従って、薬剤は、導入部材113の中を流れ、その後、投与部材110の中に流れ、最後に患者の組織111の中に流れてよい。このようにして、導入部材113は、薬剤が導入部材113から直接患者内に出ていくわけではないとしても、少なくとも少しの間は患者に挿入され、薬剤送達中はリザーバ114と流体連通接続していることから、投与部材に相当すると考えられてよい。
【0022】
引き続き
図2を参照すると、活性化部材124(例えば、ユーザ押下可能ボタン、タッチスクリーン、マイクロホン等)が、ハウジング122を貫通して突き出るか又は他の形態でハウジング122の外部表面に配置されてよく、機械的手段及び/又は(
図2に点線で示した)電気的手段によって挿入/後退機構112、流体経路接続アセンブリ116、駆動アセンブリ118、制御装置120、及び/又は他の機構及び/又は電子回路を活性化することによって薬剤送達システム100の動作を開始するように構成されてよい。活性化部材124が、使用者又は患者によって押下されるか他の方法で物理的に動かされるボタンである実施形態では、活性化部材124は、挿入/後退機構112、流体経路接続アセンブリ116、駆動アセンブリ118、制御装置120、及び/又は他の要素の活性化に必要な原動力を作用させるように構成されてよい。そのような実施形態では、活性化部材124は、挿入/後退機構112、流体経路接続アセンブリ116、駆動アセンブリ118、及び/又は他の機構と、直接又は機械的リンク機構を介して間接的に、物理的に接続されていてよく、手動押下又は他の方法で活性化部材124と相互作用することにより、これらの要素の活性化に必要な原動力が供給される。
【0023】
例えば、幾つかの実施形態では、活性化部材124を手動押下することにより、流体経路接続アセンブリ116を固定配置されたリザーバ114に向かって動かすか、或いは可動リザーバ114を固定配置された流体経路接続アセンブリ116に向かって動かして、容器アクセス針が封止部材(例えば、刺し通し可能な隔壁)を貫通してリザーバ114の薬剤収容チャンバに入るようにすることが可能である。追加又は代替として、活性化部材124は、電気信号及び/又は機械信号を制御装置120に送信する入力装置として動作してよく、その制御装置120は、挿入/後退機構112、駆動アセンブリ118、流体経路接続アセンブリ116、及び/又は他の要素の動作を制御するプログラマブル命令を実行してよい。そのような実施形態では、制御装置120は、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)と、プロセッサによって実行されるプログラマブル命令を記憶する非一時的メモリと、を含んでよい。更に、そのような実施形態では、駆動アセンブリ118は内部アクチュエータ(例えば、電気モータ、空気ポンプ又は油圧ポンプ、及び/又はプロペラントリザーバの形態の加圧ガス源又は加圧液体源)を含んでよく、内部アクチュエータは、活性化部材124とは別個であり、制御装置120から受信した電気制御信号に対する応答として、挿入/後退機構112、流体経路接続アセンブリ116、及び/又は他の要素の活性化に必要な原動力を作用させる。
【0024】
引き続き
図2を参照すると、ハウジング122は底部壁126を含んでよく、底部壁126は、患者102の皮膚表面128に取り外し可能に取り付けられる(例えば、接着剤で接着される)ように構成されており、上部壁130は、出力装置132と、リザーバ114を見る為の窓134とを含む。出力装置132は、薬剤送達システム100の動作状態又は状況についての情報を患者又は使用者に通知及び/又は提供するように制御可能である。出力装置132は、患者又は使用者に情報を伝達することに適する任意の装置であってよく、そのような装置として、ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ)、タッチスクリーン、光(例えば、発光ダイオード)、バイブレータ(例えば、電子機械的振動要素)、機械的又は色変化フラグ部材、スピーカ、アラーム、及び/又は他の任意の適切な装置、又はこれらの任意の組み合わせがある。後で詳述するように、出力装置132は、用量完了後に患者又は使用者に対して、組織背圧が特定の閾値を上回ったままなので、患者又は使用者は患者の組織111から投与部材110を除去するのを待たなければならないこと、及び/又は、組織背圧がその閾値を下回ったので、注射部位での薬剤漏れのリスクがほとんど又は全くない状態で患者の皮膚から薬剤送達装置を除去してよいことをアラート又は通知するように、制御(例えば、活性化又は不活性化)されてよい。
【0025】
底部壁126に開口部136が形成されてよく、任意選択で、使用前に滅菌バリア又は封止部材138(例えば、刺し通し可能な隔壁)が開口部136全体に広がってハウジング122の内部を封止してよい。幾つかの実施形態では、封止部材138が省略されてよく、代わりに、使用前に取り外し可能封止部材(図示せず)が開口部136を覆って封止閉鎖してよい。
【0026】
ハウジング122の底部壁126が患者の皮膚表面128に取り付けられた後、挿入/後退機構112は、投与部材110を、導入部材113と一緒に、ハウジング122内の後退位置即ち格納位置から、
図3に示したような、ハウジング122の外側に延びる配備位置即ち動作位置まで自動的に動かすように活性化されてよい。本実施形態では、これは、
図2に示したように、挿入/後退機構112によって導入部材113と導入部材113を取り囲む投与部材110とが封止部材138を貫通して患者の組織111に挿入されることを含んでよい。その直後、又はそのすぐ後に、挿入/後退機構112は、導入部材113を自動的に後退させて、投与部材110の第2の端部を、リザーバ114からの薬剤の皮下送達の為に患者内に残してよい。導入部材113は、中実であり、患者の皮膚表面128に穴を開けることを支援する為にとがった先端を有してよい。
【0027】
幾つかの実施形態では、挿入/後退機構112は、1つ以上のばね(例えば、圧縮コイルばね、引張コイルばね、ねじりコイルばね、ねじり渦巻きばね等)を含んでよく、これらのばねは、最初は付勢された状態で保持され、活性化部材124が押下されると解放されて、投与部材110及び導入部材113を患者に挿入する。更に、投与部材110及び導入部材113が患者に挿入された後に、挿入/後退機構112に含まれる別のばねが自動的に解放されることによって、導入部材113の後退が達成されてよい。更に、薬剤送達が完了した後の適切なタイミングで、挿入/後退機構112に含まれる別のばねが自動的に解放されることによって、投与部材110の、患者の組織111からハウジング122の内部空間内への後退が達成されてよい。挿入及び/又は後退用として他の動力源も可能であり、そのような動力源として、例えば、電気モータ、油圧ポンプ又は空気ポンプ、或いは、加圧ガス又は加圧液体を解放して作動エネルギを供給するキャニスタがある。
【0028】
引き続き
図2を参照すると、リザーバ114(文脈によっては一次容器と呼ぶことがある)は壁140を含んでよく、壁140は、薬剤が充填されているか充填されることが可能な内部空間又はチャンバを画定する内部表面と、外部表面とを有する。幾つかの実施形態では、リザーバ114は、ハウジング122に設置される前に薬剤製造元によって薬剤を事前充填されてよい。幾つかの実施形態では、リザーバ114は、ハウジング122に対して動けないようにハウジング122に強固に接続されてよく、一方、別の実施形態では、リザーバ114は、薬剤送達システム100の動作中にハウジング122に対して動けるようにハウジング122に摺動可能に接続されてよい。リザーバ114は、長手軸A方向に延びる、細長いバレル状又は円筒状の形状を有してよい。幾つかの実施形態では、リザーバ114の長手軸Aは、挿入/後退機構112が投与部材110を患者に挿入する方向に対して垂直又はほぼ垂直若しくは非平行であってよい。この構成により、オンボディ注射器は、ほぼ平坦な薄型形状であり、患者の肢部の動きを妨げることなく患者に装着可能であることが可能であり得る。最初は、ストッパ142又は他のプランジャ部材がリザーバ114の近位端144内に位置してよい。ストッパ142は、リザーバ114の壁140の内部表面と封止的且つ摺動可能に係合してよく、薬剤をリザーバ114から押し出す為にリザーバ114の壁140に対して可動であってよい。
【0029】
リザーバ114に収容される薬剤の体積は、およそ(例えば、±10%で)0.5~50mLの範囲の任意の体積、又はおよそ(例えば、±10%で)0.5~25mLの範囲の任意の体積、又はおよそ(例えば、±10%で)0.5~10mLの範囲の任意の体積、又はおよそ(例えば、±10%で)1~10mLの範囲の任意の体積、又はおよそ(例えば、±10%で)1~8mLの範囲の任意の体積、又はおよそ(例えば、±10%で)1~5mLの範囲の任意の体積、又はおよそ(例えば、±10%で)1~3mLの範囲の任意の体積、又はおよそ(例えば、±10%で)1~2.5の範囲の任意の体積、又はおよそ(例えば、±10%で)1mL以上の任意の体積、又はおよそ(例えば、±10%で)2.5mL以上の任意の体積、又はおよそ(例えば、±10%で)10mL以上の任意の体積、又はおよそ(例えば、±10%で)25mL以上の任意の体積、又はおよそ(例えば、±10%で)50mL以上の任意の体積であってよい。
【0030】
薬剤送達システム100の動作中、駆動アセンブリ118は、薬剤をリザーバ114から押し出す為に、ストッパ142を長手軸A方向にリザーバ114の近位端144から遠位端145まで押してよい。幾つかの実施形態では、駆動アセンブリ118は、1つ以上のばね(例えば、圧縮コイルばね、引張コイルばね、ねじりコイルばね、ねじり渦巻きばね等)を含んでよく、これらのばねは、最初は付勢された状態で保持され、活性化部材124及び/又は別の作動装置が押下されると解放される。ばねは、解放されると伸びるか又は縮み、それによってストッパ142がリザーバ114内を動いて薬剤を押し出すことが可能である。別の実施形態では、駆動アセンブリ118は電気モータを含んでよく、電気モータは、(例えば、1つ以上のスプロケットギアを含む)ギア機構を回転させて、ストッパ142の、リザーバ114内を通る軸方向移動を引き起こす。更に別の実施形態では、駆動アセンブリ118は電気モータ及びばねの両方を含んでよく、電気モータは、テザー又はプーリシステムを介してばねの伸張を調整する。更に別の実施形態では、駆動アセンブリ118はキャニスタを含んでよく、キャニスタは、加圧ガス又は加圧液体を解放して作動エネルギを供給する。
【0031】
リザーバ114の遠位端145において、壁140の遠位端面に開口部が形成されてよい。遠位端面は、壁140の外部表面の一部分を画定し得る。開口部は、薬剤送達システム100が使用されるまで、リザーバ114の遠位端145に接続されている滅菌バリア又は封止部材146(例えば、刺し通し可能な隔壁)で覆われて封止閉鎖されてよい。一般に、封止部材146は、リザーバ114の薬剤収容チャンバへのアクセスを選択的に可能にするように構成されてよい。薬剤送達システム100の動作中、封止部材146は、リザーバ114内の薬剤との流体連通を可能にする為に物理的に改変されて(例えば、穴を開けられて)よい。幾つかの実施形態では、封止部材146は、例えばゴムのような可撓又は弾性変形可能な材料で作られてよく、流体経路接続アセンブリ116の一部として含まれている容器アクセス針149のとがった端部又は先端148が封止部材146を突き抜けるか封止部材146に穴を開けることがそれぞれ可能である。
【0032】
引き続き
図2を参照すると、流体経路接続アセンブリ116は、薬剤送達システム100の使用中に滅菌流体流路を介してリザーバ114と投与部材110との間に流体連通を選択的に確立するように構成されてよい。流体経路接続アセンブリ116は、リザーバ114と流体連通接続されているか流体連通接続可能である第1の端部150、投与部材110と流体連通接続されているか流体連通接続可能である第2の端部152を含み得る。薬剤送達システム100が使用されるまで、流体経路接続アセンブリ116はリザーバ114と流体連通していなくてよい。薬剤送達システム100のセットアップ中、又は薬剤送達システム100の動作中(但し、薬剤送達前)に、使用者が手動で、又は薬剤送達システム100が自動的に、リザーバ114と投与部材110との間の流体連通を流体経路接続アセンブリ116を介して確立する為に必要な接続を有効化、接続、又は開放してよい。その後、駆動アセンブリ118がストッパ142を遠位方向に動かして、薬剤を、患者の組織111への送達の為に流体経路接続アセンブリ116の滅菌流体流路から投与部材110内に押し出してよい。
【0033】
図2を更に参照すると、流体経路接続アセンブリ116の第1の端部150は容器アクセス針149を含んでよい。流体経路接続アセンブリ116が活性化されるまで、容器アクセス針149は格納位置で保持されてよく、格納位置では、容器アクセス針149の近位端は、(
図2に見られるように)リザーバ114の薬剤収容チャンバの外側に配置されており、従って、薬剤収容チャンバと流体連通していない。流体経路接続アセンブリ116が活性化されると、容器アクセス針149は、リザーバ114に向かう方向に動いて動作位置に入ってよく、動作位置では、容器アクセス針149の近位端がリザーバ114と流体連通する。その後、駆動アセンブリ118がストッパ142を遠位方向に動かして、薬剤を、患者の組織111への注射の為に、容器アクセス針149から流体経路接続アセンブリ116の滅菌流体流路を介して投与部材110内に押し出してよい。
【0034】
図2に示すように、薬剤送達システム100は、流体経路接続アセンブリ116の第2の端部152に近接してマウントされた圧力センサ170を含んでよい。圧力センサ170は、少なくとも薬剤送達システム100の使用中に組織背圧を検出するように構成されてよい。幾つかの実施形態によれば、圧力センサ170は、(i)駆動アセンブリ118がリザーバ114から患者に用量の薬剤を送達するように動作している時間帯、並びに(ii)用量の送達が完了した後の時間帯の両方において、薬剤送達システム100の内部流体流路内の流体圧力を検出するように構成されてよい。駆動アセンブリ118の動作中に、圧力センサ170は、駆動アセンブリ118から薬剤にかかる力によって発生する圧力と、患者の組織111から薬剤にかかる力によって発生する圧力と、を検出してよい(これらの圧力を本明細書ではまとめて駆動圧力と呼ぶ)。薬剤の用量の送達が完了した後に圧力センサ170によって検出される圧力(本明細書では組織背圧と呼ぶ)は、単に又は主に、患者102の組織から薬剤にかかる力によって発生する圧力に相当し得る。組織背圧の測定が可能であり得るのは、圧力センサ170が、用量完了後も投与部材110が患者から除去されるまで、注射部位において投与部材110を介して患者の体内と流体連通したままであり得る為である。この時間帯の間に、ある体積の残留流体(例えば、体液、薬剤、又は両方の組み合わせを含む)が、薬剤送達システム100の内部流体流路内、又は少なくとも圧力センサ170と投与部材110の出口との間の流体流路内に残る場合がある。圧力センサ170は、残留流体に曝されることの結果として、組織背圧を測定することが可能である。
【0035】
前の段落で述べた圧力測定に対する追加又は代替として、圧力センサ170は、挿入/後退機構112が投与部材110を患者に挿入するように活性化されてから、駆動アセンブリ118がリザーバから薬剤を押し出すように活性化されるまでの時間帯に、薬剤送達システム100の内部流体流路内の圧力を測定するように構成されてよい。そのような測定は、投与部材110が患者の組織111に正常に挿入されたかどうかの判定を容易にし得る。投与部材110がまず患者に挿入されると、圧力センサ170は、組織背圧による圧力の増加を検出し得る。幾つかの実施形態によれば、この圧力増加は、投与部材110が正常に挿入されたことに対応するものと解釈されてよい。
【0036】
圧力センサ170は、およそ(例えば、±10%で)0~100psiの範囲、又はおよそ(例えば、±10%で)0~10psiの範囲、又はおよそ(例えば、±10%で)1~10psiの範囲、又はおよそ(例えば、±10%で)1~5psiの範囲の圧力を検出するように構成されてよい。幾つかの実施形態では、圧力センサ170で検出可能な最大圧力は、およそ(例えば、±10%で)100psi以下、又はおよそ(例えば、±10%で)10psi以下、又はおよそ(例えば、±10%で)5psi以下であってよい。更に、幾つかの実施形態では、圧力センサ170で検出可能な最小圧力は、およそ(例えば、±10%で)0.5psi以下であってよい。幾つかの実施形態では、圧力センサ170は、組織背圧を検出することに最適化されてよい。組織背圧は、駆動アセンブリ118が動作して薬剤を注射している間に発生する駆動圧力に比べて比較的低い場合がある。
【0037】
引き続き
図2を参照すると、圧力センサ170に対する追加又は代替として、薬剤送達システム100は、薬剤送達システム100の使用中に駆動圧力を検出するように構成された圧力センサ190を含んでよい。これは、実施形態によっては、駆動アセンブリ118の、用量の薬剤をリザーバ114から患者まで押し出す動作の間に、薬剤送達システム100の内部流体流路内の流体圧力を検出するように圧力センサ190を構成することによって達成可能である。幾つかの実施形態では、圧力センサ190は、
図2に示すように、圧力センサ170の上流の、流体経路接続アセンブリ116の第1の端部150に近接してマウントされてよいが、他のマウント位置も可能である。
【0038】
圧力センサ170が比較的低い組織背圧を検出することに最適化されてよいのに対し、圧力センサ190は、比較的高い駆動圧力を検出することに最適化されてよい。幾つかの実施形態では、圧力センサ190は、およそ(例えば、±10%で)10~1000psiの範囲、又はおよそ(例えば、±10%で)10~100psiの範囲、又はおよそ(例えば、±10%で)10~50psiの範囲、又は(例えば、±10%で)10psi以上、又は(例えば、±10%で)20psi以上の圧力を検出するように構成されてよい。幾つかの実施形態では、圧力センサ190で検出可能な最大圧力は、およそ(例えば、±10%で)50psi以上、又はおよそ(例えば、±10%で)100psi以上であってよい。更に、幾つかの実施形態では、圧力センサ190で検出可能な最小圧力は、およそ(例えば、±10%で)10psi以上であってよい。
【0039】
幾つかの実施形態では、圧力センサ170及び190の意図された機能に従って、圧力センサ170で検出可能な最小圧力が、圧力センサ190で検出可能な最小圧力より低くてよく、且つ/又は、圧力センサ190で検出可能な最大圧力が、圧力センサ170で検出可能な最大圧力より高くてよい。
【0040】
図2に示した実施形態では、圧力センサ170及び190をそれぞれ組織背圧及び駆動圧力の測定に利用するが、代替実施形態では、圧力センサ190を省略して、組織背圧及び駆動圧力の両方の測定を圧力センサ170だけに頼ってよい。1つのセンサで組織背圧及び駆動圧力の両方を測定すれば、場合によっては部品数が減ってコストの節約が可能である。そのような代替実施形態では、圧力センサ170は、組織背圧に関連付けられる比較的低い圧力と、駆動圧力に関連付けられる比較的高い圧力と、を分解することが可能であり得る。例えば、圧力センサ170は、およそ(例えば、±10%で)0~100psiの範囲の圧力を検出するように構成されてよく、或いは、圧力センサ170で検出可能な最小圧力がおよそ(例えば、±10%で)0.5psi以下であってよく、圧力センサ170で検出可能な最大圧力が50psi以上であってよい。
【0041】
図2を参照すると、薬剤送達システム100は、ストッパ142が用量終了位置に達したことを表す信号を出力するように構成された用量終了センサ192を含んでよい。ストッパ142は、用量終了位置では、意図された用量の薬剤をリザーバ114から押し出しきったことになる。例えば、薬剤送達システム100がボーラス注射器構成の場合には、用量終了位置は、ストッパ142がリザーバ114の遠位端145の近位側を向いた面に接触して止まることに対応してよい。特定のそのような実施形態では、用量終了センサ192は、光学的手段、電気的手段、磁気的手段、物理接触スイッチ、及び/又は他の任意の適切な検知技法により、ストッパ142の位置を直接測定してよい。特定のそのような実施形態では、
図2に示したように、用量終了センサ192は、リザーバ114の遠位端145又はその近くにマウントされてよい。代替実施形態では、用量終了センサ192は、ストッパ142の駆動に使用される要素(例えば、モータ、ばね、プランジャロッド、テザー等)の動き又は位置を監視することによって、ストッパ142の位置を間接的に測定してよい。モータが監視される一実施形態では、用量終了センサ192は、光学的手段、電気的手段、磁気的手段、物理接触スイッチ、エンコーダ、及び/又は他の任意の適切な検知技法により、モータの回転位置を測定してよい。
【0042】
次に
図3及び4を参照すると、上述の流体経路接続アセンブリの一実施形態が示されている。
図3及び4に示した流体経路接続アセンブリ及び他の要素は、機能及び/又は構造において、
図1及び2に示した流体経路接続アセンブリ116及び他の要素と同様であってよい。同様の要素には
図1及び2と同じ参照符号を割り当てているが、
図3及び4では100だけ増やしている。これらの要素の幾つかについては、簡潔さの為に説明を簡略化又は省略している。流体経路接続アセンブリ216は、例えば、
図1及び2に示した薬剤送達システム100において実施されてよい。
【0043】
図3に示すように、流体経路接続アセンブリ216の第1の即ち入口端部250が、リザーバ214に接続された第1の接続ハブ又はフィッティング260によって画定されており、流体経路接続アセンブリ216の第2の端部(出口端部)252が、投与部材210に接続された第2の接続ハブ又はフィッティング262によって画定されている。第1の接続ハブ260と第2の接続ハブ262との間に延びていて、これらをつないでいるのが管状導管264である。管状導管264は、実施形態によっては、全体又は一部が可撓チューブ又は他の中空細長構造物で形成されてよく、プラスチック等のポリマー材料で作られてよい。代替実施形態では、管状導管264の一部又は全体が、金属等の剛体材料で作られてよい。最初は管状導管264にたるみがあってよく、これは、第1の接続ハブ260及び/又は第2の接続ハブ262が薬剤送達システムのリザーバ214及び/又はハウジング(例えば、ハウジング122)に対して動くことを可能にする為である。管状導管264が可撓であることにより、標準的な充填仕上げ設備によるリザーバ充填、及び/又はハウジング内での流体経路接続アセンブリ216の設置が容易になり得る。管状導管264は、単一の一体型構造物であってよく、或いは複数の相互接続構造物で形成されてよい。
【0044】
幾つかの実施形態では、第1の接続ハブ260は、容器アクセス針(例えば、
図2の容器アクセス針149)の為の強固なマウントを提供することが可能であり、薬剤送達を含む薬剤送達システムの使用中は容器アクセス針と管状導管264との間の流体連通を提供することが可能である。幾つかの実施形態では、容器アクセス針が第1の接続ハブ260に強固又は固定的に接続されてよく、それによって、容器アクセス針と第1の接続ハブ260は、(例えば、薬剤送達システムの使用中に容器アクセス針がリザーバ214の薬剤収容チャンバにアクセスしている間)互いに対しては動かず、一体となって一緒に動く。
【0045】
図4を参照すると、第2の接続ハブ262は、投与部材210の為の強固なマウントを提供することが可能であり、薬剤送達を含む薬剤送達システムの使用中は管状導管264と投与部材210との間の流体連通を提供することが可能である。幾つかの実施形態では、投与部材210が第2の接続ハブ262に強固又は固定的に接続されてよく、それによって、投与部材210と第2の接続ハブ262は、(例えば、投与部材210が患者の組織に挿入されている間、及び/又は投与部材210が患者の組織から後退している間)互いに対しては動かず、一体となって一緒に動く。
【0046】
幾つかの実施形態によれば、第2の接続ハブ262は、第2の接続ハブ262を定義する材料の性質によるものであれ、第2の接続ハブ262の構造の性質によるものであれ、強固である。第2の接続ハブ262は、強固であることにより、管状導管264及び投与部材210の端部を、挿入及び/又は後退の動きの間、互いに対して一定の向き(例えば、垂直又はほぼ垂直な向き)で保持することが可能であり得る。幾つかの実施形態では、接続ハブ262は、管状導管264を作る材料より強固な(即ち、可撓性が低い)材料で作られてよい。
【0047】
少々脇にそれるが、特定の代替実施形態では、投与部材210が代替として、
図2に関連して説明した導入部材113に相当してよい。その代替実施形態では、投与部材210の後退後に、投与部材210は、患者の組織に挿入されている別の投与部材と流体連通したままになる。従って、薬剤は、挿入されている投与部材に向かう途中で投与部材210を通り抜けることになる。
【0048】
図4は、第2の接続ハブ262の中に内部通路266が形成されてよいことを示している。内部通路266は、薬剤送達を含む薬剤送達システムの使用中に、管状導管264の出口と投与部材210の入口268との間の直接流体連通を提供するように構成されてよい。幾つかの実施形態では、内部通路266、又は内部通路266の少なくとも一部分の内部寸法(例えば、内径)が投与部材210の入口268より大きくてよい。後で詳述するように、圧力センサ270が第2の接続ハブ262の中又は表面にマウントされてよく、これは、管状導管264の出口より下流であって投与部材210の入口268より上流である場所において圧力センサ270が第2の接続ハブ262の内部通路266と流体連通するように行われる。
【0049】
第2の接続ハブ262の別の機能は、
図4に示すように、投与部材210の出口275を覆うシールド部材272の為のマウントとして働き得ることである。シールド部材272は、薬剤送達システムの製造中及び/又は保管中の投与部材210の汚染を防ぐ滅菌バリアとして働き得る。薬剤送達システムの使用前にシールド部材272を第2の接続ハブ262から取り外して、投与部材210の出口275を露出させてよい。実施形態によっては、シールド部材272は剛性針シールド(RNS)として構成されてよい。代替実施形態では、シールド部材272は省略されてよい。
【0050】
第2の接続ハブ262は、投与部材210を挿入するか且つ/又は後退させる機構(例えば、
図2に関連して上述した挿入/後退機構112)と動作的且つ/又は構造的に一体であってよい。挿入/後退機構が動作すると、第2の接続ハブ262及びこれにマウントされたコンポーネント(あれば)が、患者に対して、且つ/又は薬剤送達システムの他の要素(例えば、ハウジング122)に対して相対的に動き得る。例えば、投与部材210が患者に挿入される間、挿入/後退機構は、第2の接続ハブ262、圧力センサ270、及び投与部材210をまとめて一緒に患者に向けて、且つハウジング122に対して相対的に、動かすことが可能である。投与部材210が患者から後退する間、挿入/後退機構は、第2の接続ハブ262、圧力センサ270、及び投与部材210をまとめて一緒に患者から遠ざかるように、且つハウジング122に対して相対的に、動かすことが可能である。
【0051】
図4に示した実施形態では、圧力センサ270は、薬剤送達システムの使用中に、流体経路接続アセンブリ216によって設けられる流体流路と一列に並ぶ配置になる。より具体的には、圧力センサ270は、第2の接続ハブ262内にマウントされて、第1の面274が内部通路266内で流体圧力に曝されるように配置される。圧力センサ270の第2の面276が、第2の接続ハブ262の壁に形成されたサイドポート278を通して周囲圧力(例えば、大気圧)又は周囲空気に曝されている。そのように構成されて、圧力センサ270は、周囲圧力を基準として内部通路266内の圧力を測定することが可能であり得る。幾つかの実施形態では、薬剤は、薬剤送達システムの使用中に圧力センサ270の第1の面274と直接接触することがあり得るが、それは必須ではない。
【0052】
幾つかの実施形態では、圧力センサ270の第1の面274及び第2の面276は、可撓なダイヤフラム又は膜の互いに対向する面によって定義されてよい。ダイヤフラムは、内部通路266内の圧力が周囲圧力と異なると弾性変形又は弾性偏向が生じることが可能である。その弾性変形は、内部通路266内の流体圧力に対応するものと解釈されてよい。このことは、ダイヤフラムが抵抗素子、静電容量素子、又は他の電気的素子とインタフェースしていることを必要とし得る。静電容量型圧力センサは、薄いダイヤフラムをキャパシタの一方のプレートとして使用することを必要とし得る。圧力がかかるとダイヤフラムが偏向してキャパシタンスが変化することが可能である。このキャパシタンスの変化は、かかった圧力に比例し得る。
【0053】
半導体ベースの一構成では、圧力センサ270は、薄いシリコン膜を含むピエゾ抵抗圧力測定セルを含んでよい。シリコン膜上には、1つ以上の(又は4つの)抵抗が、シリコン結晶格子に打ち込まれた不純物原子の形態で配置されてよい。シリコン膜に圧力がかかると、シリコン膜に対する機械的応力によって抵抗が変化する。これは一般に、ピエゾ抵抗効果と呼ばれる。抵抗同士はホイートストンブリッジの形で接続されてよく、それにより、電位が供給されると、かかっている圧力に比例する電気出力信号が生成される。別の構成の圧力センサ270も可能である。
【0054】
圧力センサ270は、圧力測定値を表す信号を、有線接続又は無線接続を介して薬剤送達システムの制御装置(例えば、制御装置120)に出力してよい。
図4では、電気的リード又はワイヤ280によって圧力センサ270は制御装置と通信結合されている。
【0055】
図4に示すように、圧力センサ270は、投与部材210の入口268のすぐ上流であって管状導管264の出口のすぐ下流に配置されてよい。圧力センサ270が投与部材210の入口268のすぐ上流に配置されていることで、圧力センサ270と投与部材210の入口268との間にまっすぐの(曲がりくねっていない)流体流路が存在し得る。幾つかの実施形態では、圧力センサ270の第1の面274と投与部材210の入口268との間の距離は、およそ(例えば、±10%で)10mm以下、又はおよそ(例えば、±10%で)5mm以下であってよい。圧力センサ270を投与部材210の入口268のすぐ上流に配置することにより、圧力センサ270が組織背圧のより正確な測定を行うことが可能になり得る。
【0056】
幾つかの実施形態では、圧力センサ270は、
図4に示すように、全体又は一部が第2の接続ハブ262の壁と一体化されるか、その壁に埋め込まれてよい。この場合、圧力センサ270は、外部注射モールディングハウジングを第2の接続ハブ262と共用してよい。そのような構成は、薬剤送達システムへの圧力センサ270の組み付けを簡略化又は合理化し得る。別の実施形態では、圧力センサ270は、第2の接続ハブ262とは別個であってよい。そのような実施形態では、圧力センサ270は、ねじ等の留め具で第2の接続ハブ262に接続されてよい。
【0057】
圧力センサ270は、(i)駆動アセンブリがリザーバから患者に用量の薬剤を送達するように動作している時間帯、並びに(ii)用量の送達が完了した後の時間帯の両方において、第2の接続ハブ262の内部通路266内の薬剤の流体圧力を検出するように使用されてよい。駆動アセンブリの動作中、圧力センサ270は、駆動圧力と組織背圧が組み合わさったものを検出することが可能である。薬剤送達が完了した後に圧力センサ270で検出される圧力は、組織背圧のみ又は主に組織背圧に相当し得る。組織背圧の測定が可能であり得るのは、圧力センサ170が、用量完了後も投与部材110が患者から除去されるまで、注射部位において投与部材110を介して患者の体内と流体連通したままであり得る為である。この時間帯では、ある体積の(例えば、体液、薬剤、又はこれらの組み合わせを含む)残留流体が、第2の接続ハブ262の内部通路266及び投与部材110内に残り得る。結果として、圧力センサ170は、残留流体に曝されるので組織背圧を測定することが可能である。
【0058】
前の段落で述べた圧力測定に対する追加又は代替として、圧力センサ270は、挿入/後退機構が投与部材を患者に挿入するように活性化されてから、駆動アセンブリがリザーバから薬剤を押し出すように活性化されるまでの時間帯に、内部通路266内の圧力を測定する為に使用されてよい。そのような測定は、投与部材が患者の組織に正常に挿入されたかどうかの判定を容易にし得る。投与部材が患者に挿入されると、圧力センサ270は、組織背圧による圧力の増加を検出し得る。この圧力増加は、投与部材が正常に挿入されたことに対応するものと解釈されてよい。
【0059】
幾つかの実施形態では、第2の接続ハブ262は、圧力センサ270に加えて、駆動圧力を検出するように構成された圧力センサが組み込まれてよい。この追加の圧力センサは、
図2に関連して上述した圧力センサ190と同様の特性を含んでよい。更に、この追加の圧力センサは、幾つかの実施形態では、圧力センサ270の上流に配置されてよい。
【0060】
図5を参照すると、圧力センサ270の一代替実施形態が示されており、ここでは、圧力センサ270は第2の接続ハブ262の外側にマウントされている。ここで、第2の接続ハブ262は、第2の接続ハブ262の外部表面と内部通路266との間を延びるサイドポート282を有する。圧力センサ270は、サイドポート282を介して内部通路266と流体連通していてよい。
図4の実施形態と同様に、圧力センサ270の第1の面274は薬剤に曝されてよく、圧力センサ270の第2の面276は周囲空気に曝されてよい。圧力センサ270を第2の接続ハブ262の外側にマウントすることにより、圧力センサ270が第2の接続ハブ262とは別個に製造される設計、又は圧力センサ270がアドオンコンポーネントとして既存の接続ハブ設計と組み合わされる設計が容易になり得る。
【0061】
圧力センサの上述の実施形態は第2の接続ハブの中又は表面にマウントされるが、代替実施形態では、圧力センサが薬剤送達システム内の別の場所にマウントされてよい。例えば、圧力センサは、投与部材、管状導管、第1の接続ハブ、又はリザーバの中又は表面にマウントされてよい。
【0062】
図6は、本開示による薬剤送達システム300の一実施形態を概略的に示すブロック図である。薬剤送達システム300は患者302に関連付けられてよく、患者302は、治療レジメンの一環として薬剤送達システム300を使用して薬剤を組織に注射又は注入してよい。薬剤送達システム300の様々な要素が、機能及び/又は構造において、
図1及び2に関連して説明した薬剤送達システム100の様々な要素と同様であってよい。同様の要素には
図1及び2と同じ参照符号を割り当てているが、
図6では200だけ増やしている。これらの要素の幾つかについては、簡潔さの為に説明を簡略化又は省略している。更に、薬剤送達システム300は、
図3~5に関連して説明したコンポーネントを必要に応じて組み込んでよい。
【0063】
薬剤送達システム100と同様に、薬剤送達システム300は、投与部材310と、投与部材310を患者302に挿入すること、及び/又は投与部材310を患者302から後退させることを自動的に行う挿入/後退機構312と、流体経路接続アセンブリ316を介して投与部材310と流体連通接続されているか流体連通接続可能なリザーバ314と、投与部材310を介して薬剤を患者302に送達するようにリザーバ314を作動させるように構成された駆動アセンブリ318と、制御装置320と、薬剤送達システム300の動作状態又は状況についての情報を患者又は使用者に通知及び/又は提供するように制御可能な出力装置332と、薬剤送達システム300の使用中に組織背圧を検出するように構成された圧力センサ370と、薬剤送達システム300の使用中に駆動圧力を検出するように構成された圧力センサ390と、用量終了センサ392と、を含む。実施形態によっては、薬剤送達システム300は更に、薬剤送達システム100の他の要素及び/又は機能性を含んでよい。代替実施形態によっては、圧力センサ390が省略されてよく、組織背圧及び駆動圧力の両方の測定が圧力センサ370で行われてよい。
【0064】
制御装置320は、薬剤送達システム300の様々なコンポーネントの動作を制御するように構成されてよく、そのようなコンポーネントとして、例えば、挿入/後退機構312、駆動アセンブリ318、及び出力装置332を含む。更に、制御装置320は、圧力センサ370、圧力センサ390、用量終了センサ392、及び/又は薬剤送達システム300の他の要素、及び/又は外部要素(スマートフォン等)からの情報、データ、信号(アナログ及び/又はデジタル)、又は他の出力を受信及び/又は処理するように構成されてよい。更に、制御装置320は、そのような各要素から受信した出力に応答してよく、特定の要素(例えば、挿入/後退機構312、駆動アセンブリ318、及び/又は出力装置332)の動作を、制御装置320のプログラミング構成又は他の構成に従って自動的に制御するように構成されてよい。
【0065】
制御装置320は、電気装置(例えば、ハードワイヤード回路、マイクロプロセッサ等)、電気装置の組み合わせ、機械装置、機械装置の組み合わせ、化学装置、化学装置の組み合わせ、又はこれらの任意の組み合わせ(例えば、電気機械装置、電気化学装置等)を含んでよく、且つ/又はそれらによって動作を実施してよい。制御装置320がマイクロプロセッサ等を含む実施形態によれば、制御装置320の構成は、制御装置320のソフトウェア又は他のプログラミングに対応してよい。幾つかの実施形態では、制御装置320は、患者又は他の最終使用者が後で構成変更できないように、製造元及び/又は医療提供者によって事前構成されてよく、これに対して、別の実施形態では、制御装置320は、任意の個人又はエンティティによって無理のない範囲で構成可能であってよい。
【0066】
幾つかの実施形態では、制御装置320は、互いに通信又は一体化している1つ以上のプロセッサ及び1つ以上のメモリを含むコンピューティング装置として設けられてよい。1つ以上のプロセッサは、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラマブルロジックコントローラ、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、中央処理ユニット、フィールドプログラマブルゲートアレイ、論理回路、アナログ回路、デジタル回路、ソフトウェアベースの処理モジュール、並びに回路及び/又は動作命令のハードコーディングに基づいて信号(アナログ及び/又はデジタル)を操作する任意の装置、又はこれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。1つ以上のメモリは、例えば、データを記憶するように構成された非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含んでよく、そのようなデータは、例えば、1つ以上のサービス、プログラム、及び/又はモジュールを構成する非一時的コンピュータ可読命令、並びにそのようなサービス、プログラム、及び/又はモジュール上で操作されるか、そのようなサービス、プログラム、及び/又はモジュールによって生成される任意のデータを含む。メモリは、揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)等)及び/又は不揮発性メモリ(例えば、ハードディスク)上にデータを記憶してよく、リムーバブルメモリであっても非リムーバブルメモリであってもよい。1つ以上のプロセッサは、薬剤送達システム300の様々な機能を実施又は実装する為に、1つ以上のメモリに記憶された命令をフェッチして実行するように構成されてよく、そのような機能として、例えば、投与レジメンに従って薬剤を患者302に送達するように駆動アセンブリ318を制御すること、投与部材310を患者に挿入すること、及び/又は投与部材310を患者から後退させることを行うように挿入/後退機構312を制御すること、及び/又は、出力装置332を制御することがある。
【0067】
幾つかの実施形態によれば、制御装置320は、挿入/後退機構312、駆動アセンブリ318、出力装置332、圧力センサ370、圧力センサ390、及び用量終了センサ392のうちの1つ以上と(例えば、有線接続又は無線接続を介して)結合されてよく、それによって、制御装置320は、挿入/後退機構312、駆動アセンブリ318、出力装置332、圧力センサ370、圧力センサ390、及び用量終了センサ392のうちの1つ以上に通信を送信したり、且つ/又はそれらから通信を受信したりできる。そのような通信は、性質として電気的且つ/又は機械的であってよく、且つ/又は、情報、データ、及び/又は信号(アナログ及び/又はデジタル)を含んでよい。
【0068】
幾つかの実施形態によれば、制御装置320は、圧力センサ370、圧力センサ390、及び/又は用量終了センサ392から受信した出力(例えば、信号、データ、情報等)を解析し、薬剤送達システム300及び/又は患者302の動作状態又は状況についての判断を下すように構成されてよい。それらの判断に基づいて、制御装置320は、制御装置320がその為に構成されているルーチン、プログラム、レジメン等に従って、薬剤送達システム300の様々な要素を制御又は操作してよい。1つのそのようなレジメンでは、制御装置320は、患者への用量の薬剤の送達が完了しているかどうかを、用量終了センサ392の出力に基づいて判定するように構成されてよい。用量の薬剤の送達が完了していると制御装置320が判定した場合には、制御装置320は、圧力センサ370の出力に基づいて組織背圧を測定し、所定値(例えば、
図7のP
b)と比較するように構成されてよい。組織背圧が所定値を下回ると制御装置320が判定した場合には、制御装置320は、出力装置332を少なくとも1回制御(例えば、活性化又は不活性化)してよい。幾つかの実施形態では、これは、制御装置320が出力装置332を制御することを含んでよく、例えば、出力装置332が、投与部材310を患者の組織から除去してよいことを患者又は使用者に知らせるテキスト指示の表示、及び/又は、点滅光又は連続光の放射を行うように、制御装置320が出力装置332を制御することを含んでよい。逆に、組織背圧が所定値を上回ると制御装置320が判定した場合には、制御装置は、注射部位における薬剤漏れの懸念から投与部材310を患者の組織から除去すべきでないことを患者302又は使用者にアラートするように出力装置332を制御(活性化又は不活性化)してよい。組織背圧が所定値を下回る場合に出力装置332を動作させることに対する追加又は代替として、制御装置320は、組織背圧が所定値を下回ると判定した場合には投与部材310を患者302から後退させるように、挿入/後退機構312を活性化又は別の方法で制御するように構成されてよい。結果として、投与部材310は、注射された用量が患者の組織に十分に吸収されるまで、患者の体内に残されて、注射部位における薬剤漏れを抑えることが可能であり得る。
【0069】
制御装置320は、組織背圧を監視することに加えて、圧力センサ390の出力に基づいて、又は圧力センサ390が省略されている場合には圧力センサ370の出力に基づいて、駆動圧力を監視するように構成されてよい。幾つかのそのような実施形態では、制御装置320は、駆動圧力が所定の範囲にあるかどうかを判定し、所定の範囲にない場合には、駆動アセンブリ318の動作を止めるか、且つ/又はエラーを表示するように出力装置332を動作させるように構成されてよい。
【0070】
薬剤送達システムの上述の実施形態については主に、薬剤送達の間は接着又は他の方法で患者の皮膚に取り付けられているオンボディ注射器の文脈で説明してきたが、本開示の範囲は、そのようなウェアラブル装置に限定されない。代替実施形態では、薬剤送達システムは、薬剤送達の間は患者又は使用者の手中で保持される自己注射器又は手動シリンジとして構成されてよい。そのような代替実施形態では、薬剤送達システムは、薬剤リザーバの長手軸と投与部材の長手軸とが平行な細長形状であってよい。
【0071】
図7は、上述の薬剤送達システムのいずれかを使用する継続時間の間に圧力がどのように変化し得るかの一例を示す。圧力は、薬剤送達システムの(例えば、流体経路接続アセンブリの中の)内部流体流経路の中の一場所、及び/又はその経路上の一場所において測定されてよい。最初、圧力は周囲圧力に等しいか又はほぼ等しくてよい。薬剤送達システムの駆動アセンブリがリザーバから用量の薬剤を押し出す為に係合すると、圧力は著しく上昇する。用量が完了すると(例えば、ストッパがその用量終了位置に達すると)、圧力は下降し始めるが、組織背圧が存在する為、ただちに周囲圧力まで戻るわけではない。組織背圧は、注射された用量の薬剤が患者の組織に吸収されるか又は他の形で収容されるにつれて徐々に減衰する。圧力がP
bを下回れば、組織背圧によって注射部位で薬剤の逆流又は漏れが発生するリスクがほとんど又は全くない状態で投与部材を患者の組織から安全に除去することが可能になる。
【0072】
当然のことながら、本開示によるシステム、装置、及び方法は、従来技術に対して1つ以上の有利な点を有することが可能であり、そのうちの任意の1つ以上が、特定の実施形態において、その実施形態に含まれる本開示の特徴に従って存在し得る。本明細書で特に挙げられていない他の利点についても同様に理解されてよい。
【0073】
薬剤情報
上記の記載では、薬剤送達装置に関連する様々な装置、アセンブリ、コンポーネント、サブシステム、及び使用方法について説明している。装置、アセンブリ、コンポーネント、サブシステム、方法、又は薬剤送達装置は、以下に特定される薬剤、並びにそれらのジェネリック及びバイオシミラー同等品を含むがこれらに限定されない薬剤を更に含み得るか又はこれらとともに使用され得る。本明細書では、薬剤という用語は、他の類似の用語と交換可能に使用でき、伝統的及び非伝統的な医薬品、栄養補助食品、サプリメント、生物学的製剤、生物学的活性剤及び組成物、大分子、バイオシミラー、生物学的同等物、治療用抗体、ポリペプチド、タンバク質、小分子、及びジェネリック医薬品を含む、任意の種類の薬剤又は治療用材料を指すために使用され得る。非治療的な注射可能材料も包含される。薬剤は、液体形態、凍結乾燥形態、又は凍結乾燥形態から再構成されたものであってもよい。以下の例示的な薬剤のリストは、網羅的又は限定的であると考えるべきではない。
【0074】
薬剤はリザーバに収容される。場合によっては、リザーバは、治療のために薬剤が充填又は事前充填される一次容器である。一次容器は、バイアル、カートリッジ、又は事前充填シリンジであってよい。
【0075】
幾つかの実施形態では、薬剤送達装置のリザーバに顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)等のコロニー刺激因子が充填されてよく、或いは、薬剤送達装置を顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)等のコロニー刺激因子とともに使用できる。このようなG-CSF剤には、Neulasta(登録商標)(ペグフィルグラスチム、PEG化フィルガストリム、PEG化G-CSF、PEG化hu-Met-G-CSF)及びNeupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G-CSF、hu-MetG-CSF)が含まれるが、これらに限定されない。
【0076】
別の実施形態では、薬剤送達装置は、液体又は凍結乾燥形態であってよい赤血球造血刺激因子製剤(ESA)を収容してよく、又はこれとともに使用されてよい。ESAは、赤血球産生を刺激する任意の分子である。幾つかの実施形態では、ESAは、赤血球産生刺激タンパク質である。本明細書では、「赤血球産生刺激タンパク質」は、(例えば、受容体に結合し、受容体の二量化を引き起こすことによって)エリスロポエチン受容体の活性化を直接的又は間接的に引き起こす任意のタンパク質を意味する。赤血球産生刺激タンパク質としては、エリスロポエチン受容体に結合し、これを活性化させるエリスロポエチン及びその変異体、類似体、若しくは誘導体、エリスロポエチン受容体に結合し、この受容体を活性化させる抗体、又はエリスロポエチン受容体に結合し、活性化させるペプチドが挙げられる。赤血球産生刺激タンパク質としては、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコールエポエチンベータ)、Hematide(登録商標)、MRK-2578、INS-22、Retacrit(登録商標)(エポエチンゼータ)、Neorecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Silapo(登録商標)(エポエチンゼータ)、Binocrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、エポエチンアルファHexal、Abseamed(登録商標)(エポエチンアルファ)、Ratioepo(登録商標)(エポエチンシータ)、Eporatio(登録商標)(エポエチンシータ)、Biopoin(登録商標)(エポエチンシータ)、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンイオタ、エポエチンオメガ、エポエチンデルタ、エポエチンゼータ、エポエチンシータ、及びエポエチンデルタ、PEG化エリスロポエチン、カルバミル化エリスロポエチン、並びにそれらの分子又は変異体又は類似体が挙げられ、これらに限定されない。
【0077】
特定の例示的なタンパク質の中には、その融合物、断片、類似体、変異体、又は誘導体を含む、以下で説明する特定のタンパク質がある。完全ヒト化及びヒトOPGL特異抗体、特に、完全ヒト化モノクローナル抗体を含む、(RANKL特異抗体、ペプチボディ等とも称される)OPGL特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等;ミオスタチン特異的ペプチボディを含む、ミオスタチン結合タンパク質、ペプチボディ、関連タンパク質等;特に、IL-4及び/又はIL-13の受容体への結合によって媒介される活動を抑制する、IL-4受容体特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;インターロイキン1-受容体1(「IL1-R1」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;Ang2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;NGF特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;CD22特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、特に、ヒト-マウスモノクローナルhLL2κ鎖に結合したヒト-マウスモノクローナルhLL2γ鎖二硫化物の二量体、例えば、エプラツズマブ(CAS登録番号501423-23-0)のヒトCD22特異完全ヒト化抗体などの、ヒトCD22特異IgG抗体を特に含むがそれに限定されない、ヒト化及び完全ヒトモノクローナル抗体を含むがそれに限定されない、ヒト化及び完全ヒト抗体等であるがそれに限定されない、ヒトCD22特異抗体;抗IGF-1R抗体を含むがそれに限定されない、IGF-1受容体特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等;B7RP特異完全ヒトモノクローナルIgG2抗体を含むがそれに限定されない、B7RP-1の最初の免疫グロブリン様ドメインのエピトープと結合する完全ヒトIgG2モノクローナル抗体を含むがそれに限定されない、B7RP-1と活性化T細胞上のB7RP-1の自然受容体であるICOSとの相互作用を抑制するものを含むがそれに限定されない、B-7関連タンパク質1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等(「B7RP-1」、B7H2、ICOSL、B7h、及びCD275とも称される);例えば146B7などの、HuMax IL-15抗体及び関連タンパク質を含むがそれらに限定されない、特にヒト化モノクローナル抗体などの、IL-15特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;ヒトIFN γ特異抗体を含むがそれに限定されない、及び完全ヒト抗IFN γ抗体を含むがそれに限定されない、IFN γ特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;TALL-1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、並びに他のTALL特異結合タンパク質;副甲状腺ホルモン(「PTH」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;トロンボポチエン受容体(「TPO-R」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;肝細胞増殖因子/分散因子(HGF/SF)を中和する完全ヒトモノクローナル抗体等のHGF/SF:cMet軸(HGF/SF:c-Met)を標的にするものを含む、肝細胞増殖因子(「HGF」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;TRAIL-R2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;アクチビンA特異抗体、ペプチボディ、タンパク質等;TGF-β特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;アミロイドβタンパク質特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;c-Kit及び/又は他の幹細胞因子受容体と結合するタンパク質を含むがそれらに限定されない、c-Kit特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;OX40L及び/又はOX40受容体の他のリガンドと結合するタンパク質を含むがそれに限定されない、OX40L特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;Activase(登録商標)(アルテプラーゼ、tPA)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ、又はエリスロポエチン)、GLP-1、Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)、Bexxar(登録商標)(トシツモマブ、抗CD22モノクローナル抗体)、Betaseron(登録商標)(インターフェロン-β)、Campath(登録商標)(アレムツズマブ、抗CD52モノクローナル抗体)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、MLN0002(抗α4β7 mAb)、MLN1202(抗CCR2ケモカイン受容体mAb)、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬)、Eprex(登録商標)(エポエチンアルファ)、Erbitux(登録商標)(セツキシマブ、抗EGFR/HER1/c-ErbB-1)、Genotropin(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ、抗HER2/neu(erbB2)受容体mAb)、Humatrope(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Humira(登録商標)(アダリムマブ)、Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xgeva(登録商標)(デノスマブ)、Prolia(登録商標)(デノスマブ)、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF-受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬)、Nplate(登録商標)(ロミプロスチム)、リロツムマブ、ガニツマブ、コナツムマブ、ブロダルマブ、溶液中のインスリン、Infergen(登録商標)(インターフェロンアルファコン-1)、Natrecor(登録商標)(ネシリチド、遺伝子組換え型ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(hBNP)、Kineret(登録商標)(アナキンラ)、Leukine(登録商標)(サルガモスチム、rhuGM-CSF)、LymphoCide(登録商標)(エプラツズマブ、抗CD22 mAb)、Benlysta(商標)(リンフォスタットB、ベリムマブ、抗BlyS mAb)、Metalyse(登録商標)(テネクテプラーゼ、t-PA類似体)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ)、Mylotarg(登録商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン)、Raptiva(登録商標)(エファリズマブ)、Cimzia(登録商標)(セルトリズマブペゴル、CDP870)、Soliris(商標)(エクリズマブ)、パキセリズマブ(抗補体C5)、Numax(登録商標)(MEDI-524)、Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ)、Panorex(登録商標)(17-1A、エドレコロマブ)、Trabio(登録商標)(レルデリムマブ)、TheraCim hR3(ニモツズマブ)、Omnitarg(ペルツズマブ、2C4)、Osidem(登録商標)(IDM-1)、OvaRex(登録商標)(B43.13)、Nuvion(登録商標)(ビジリズマブ)、カンツズマブメルタンシン(huC242-DM1)、NeoRecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Neumega(登録商標)(オプレルベキン、ヒトインターロイキン-11)、Orthoclone OKT3(登録商標)(ムロモナブ-CD3、抗CD3モノクローナル抗体)、Procrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ、抗TNFαモノクローナル抗体)、Reopro(登録商標)(アブシキシマブ、抗GP lIb/Ilia受容体モノクローナル抗体)、Actemra(登録商標)(抗IL6受容体mAb)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、HuMax-CD4(ザノリムマブ)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ、抗CD20 mAb)、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、Roferon-A(登録商標)(インターフェロンアルファ-2a)、Simulect(登録商標)(バシリキシマブ)、Prexige(登録商標)(ルミラコキシブ)、Synagis(登録商標)(パリビズマブ)、146B7-CHO(抗IL15抗体、米国特許第7,153,507号明細書を参照)、Tysabri(登録商標)(ナタリズマブ、抗α4インテグリンmAb)、Valortim(登録商標)(MDX-1303、抗炭疽菌防御抗原mAb)、ABthrax(商標)、Xolair(登録商標)(オマリズマブ)、ETI211(抗MRSA mAb)、IL-1 trap(ヒトIgG1のFc部分及び両IL-1受容体成分(I型受容体及び受容体補助タンパク質)の細胞外ドメイン)、VEGF trap(IgG1 Fcと融合したVEGFR1のIgドメイン)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ、抗IL-2Rα mAb)、Zevalin(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン)、Zetia(登録商標)(エゼチマイブ)、Orencia(登録商標)(アタシセプト、TACI-Ig)、抗CD80モノクローナル抗体(ガリキシマブ)、抗CD23 mAb(ルミリキシマブ)、BR2-Fc(huBR3/huFc融合タンパク質、可溶性BAFF拮抗薬)、CNTO148(ゴリムマブ、抗TNFα mAb)、HGS-ETR1(マパツズマブ、ヒト抗TRAIL受容体-1 mAb)、HuMax-CD20(オクレリズマブ、抗CD20ヒトmAb)、HuMax-EGFR(ザルツムマブ)、M200(ボロシキシマブ、抗α5β1インテグリンmAb)、MDX-010(イピリムマブ、抗CTLA-4 mAb、及びVEGFR-1(IMC-18F1)、抗BR3mAb、抗C.ディフィシル毒素A並びに毒素B C mAbs MDX-066(CDA-1)及びMDX-1388)、抗CD22 dsFv-PE38抱合体(CAT-3888及びCAT-8015)、抗CD25 mAb(HuMax-TAC)、抗CD3 mAb(NI-0401)、アデカツムマブ、抗CD30 mAb(MDX-060)、MDX-1333(抗IFNAR)、抗CD38 mAb(HuMax CD38)、抗CD40L mAb、抗Cripto mAb、抗CTGF特発性肺線維症第1期フィブロゲン(FG-3019)、抗CTLA4 mAb、抗エオタキシン1 mAb(CAT-213)、抗FGF8 mAb、抗ガングリオシドGD2 mAb、抗ガングリオシドGM2 mAb、抗GDF-8ヒトmAb(MYO-029)、抗GM-CSF受容体mAb(CAM-3001)、抗HepC mAb(HuMax HepC)、抗IFNα mAb(MEDI-545、MDX-1103)、抗IGF1R mAb、抗IGF-1R mAb(HuMax-Inflam)、抗IL12 mAb(ABT-874)、抗IL12/IL23 mAb(CNTO1275)、抗IL13 mAb(CAT-354)、抗IL2Ra mAb(HuMax-TAC)、抗IL5受容体mAb、抗インテグリン受容体mAb(MDX-018、CNTO95)、抗IP10潰瘍性大腸炎mAb(MDX-1100)、BMS-66513、抗マンノース受容体/hCGβ mAb(MDX-1307)、抗メソテリンdsFv-PE38抱合体(CAT-5001)、抗PD1mAb(MDX-1106(ONO-4538))、抗PDGFRα抗体(IMC-3G3)、抗TGFβ mAb(GC-1008)、抗TRAIL受容体-2ヒトmAb(HGS-ETR2)、抗TWEAK mAb、抗VEGFR/Flt-1 mAb、及び抗ZP3 mAb(HuMax-ZP3)。
【0078】
幾つかの実施形態では、薬剤送達装置は、ロモソズマブ、ブロソズマブ、又はBPS804(Novartis)などであるがそれらに限定されないスクレロスチン抗体、他の実施形態では、ヒトプロタンパク転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に結合するモノクローナル抗体(IgG)を収容してよく、又はこれらとともに使用してよい。このようなPCSK9特異抗体としては、Repatha(登録商標)(エボロクマブ)及びPraluent(登録商標)(アリロクマブ)が挙げられ、これらに限定されない。別の実施形態では、薬剤送達装置は、リロツムマブ、ビキサロマー、トレバナニブ、ガニツマブ、コナツムマブ、モテサニブ二リン酸塩、ブロダルマブ、ヴィデュピプラント、又はパニツムマブを収容してよく、又はこれらとともに使用してよい。幾つかの実施形態では、薬剤送達装置のリザーバには、OncoVEXGALV/CD;OrienX010;G207、1716;NV1020;NV12023;NV1034;及びNV1042を含むがそれらに限定されない、黒色腫又は他の癌の治療用のIMLYGIC(登録商標)(タリモジーンラハーパレプベック)又は別の腫瘍溶解性HSVが充填されてもよい、又は装置は、これらとともに使用することができる。幾つかの実施形態では、薬剤送達装置は、TIMP-3などであるがそれらに限定されないメタロプロテイナーゼの内在性組織阻害剤(TIMP)を収容してもよい又はこれとともに使用してもよい。エレヌマブ、及びCGRP受容体及び他の頭痛標的を標的とする二重特異性抗体分子などであるがそれらに限定されないヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体の拮抗的抗体も又、本開示の薬剤送達装置を用いて送達されてもよい。加えて、BLINCYTO(登録商標)(ブリナツモマブ)などであるがそれに限定されない二重特異性T細胞誘導(BiTE(登録商標))抗体を、本開示の薬剤送達装置において又はこれとともに使用することができる。幾つかの実施形態では、薬剤送達装置は、アペリン又はその類似体などであるがそれらに限定されないAPJ大分子アゴニストを収容してよく、又はこれとともに使用してよい。幾つかの実施形態では、治療的有効量の抗胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)又はTSLP受容体抗体が本開示の薬剤送達装置において又はこれとともに使用される。
【0079】
薬剤送達装置、アセンブリ、コンポーネント、サブシステム、及び方法を、例示的実施形態の観点から説明してきたが、それらは例示的実施形態に限定されるものではない。本詳細説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示の考え得るすべての実施形態を説明しているわけではない。現行の技術又は本特許の申請日以降に開発された技術のいずれかを使用して、多くの代替的な実施形態を実施することができるが、このような実施形態はなお、本明細書に開示される本発明を定義する請求項の範囲内に含まれる。
【0080】
当業者であれば理解されるように、本明細書に開示される発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく上記の実施形態に対して多種多様な修正、変更、及び組み合わせを施すことができ、そうした修正、変更、及び組み合わせは本発明の概念の範囲にあると解釈されるべきである。