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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】医療システム用の傾斜機構及び用途
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20240508BHJP
   A61G 13/04 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
A61B34/30
A61G13/04
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2021553058
(86)(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 US2020021200
(87)【国際公開番号】W WO2020185516
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-03-03
(31)【優先権主張番号】62/815,848
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518083032
【氏名又は名称】オーリス ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ルイス・クリスチャン・デ・ジェズス
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0331477(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/04
A61B 34/30―34/37
A61G 13/00―13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用プラットフォームのための傾斜機構であって、
傾斜プレートと、
前記傾斜プレートに装着され、ピボットハウジングに線形力を加えるように構成されたリニアアクチュエータと、
ジンバルに取り付けられた第1のリニアガイドであって、第1の軸に沿って延在し、前記ピボットハウジングが前記第1のリニアガイドに沿って並進するように構成されている、第1のリニアガイドと、を備え、
前記ピボットハウジングに前記線形力を加えると、前記ピボットハウジングを前記第1のリニアガイドに沿って並進させることにより、前記ジンバルに対して前記傾斜プレートが傾斜する、傾斜機構。
【請求項2】
前記ピボットハウジングは、前記ピボットハウジングが前記第1のリニアガイドに沿って並進するとき、前記第1のリニアガイドに対して枢動するように更に構成されている、請求項1に記載の傾斜機構。
【請求項3】
前記リニアアクチュエータは、第2の軸に沿った方向に前記線形力を加える、請求項1に記載の傾斜機構。
【請求項4】
前記第1の軸と前記第2の軸とは平行ではない、請求項3に記載の傾斜機構。
【請求項5】
前記リニアアクチュエータは、主ねじを回転させるように構成されているモータを備え、
前記ピボットハウジングは、前記主ねじに装着されたねじナットハウジングを含む、請求項1に記載の傾斜機構。
【請求項6】
前記傾斜プレートは、ピボット軸の周りで前記ジンバルに対して枢動するように構成され、前記ピボット軸は、前記第1の軸に沿って前記ジンバルに対して並進するように構成されている、請求項1に記載の傾斜機構。
【請求項7】
前記傾斜プレートに取り付けられた第2のリニアガイドを更に備え、
前記第1のリニアガイドは、第1組のレールを備え、
前記第2のリニアガイドは、第2組のレールを備える、請求項1に記載の傾斜機構。
【請求項8】
前記第1組のレールは、前記第2組のレールの間に配置されている、請求項7に記載の傾斜機構。
【請求項9】
前記傾斜プレートは患者プラットフォームに取り付けられ、
前記ジンバルは、前記患者プラットフォームを支持するカラムに取り付けられている、請求項1に記載の傾斜機構。
【請求項10】
ロボット医療用システムであって、
医療処置中に患者を支持するように構成された患者プラットフォームと、
前記患者プラットフォームを支持するカラムと、
前記カラムを前記患者プラットフォームに接続する傾斜機構と、を備え、前記傾斜機構は、
前記患者プラットフォームの横方向傾斜軸の周りで前記患者プラットフォームを枢動させるように構成された横方向傾斜機構であって、前記横方向傾斜機構は、
前記患者プラットフォームに取り付けられた傾斜プレートと、
前記傾斜プレートに装着され、ピボットハウジングに線形力を加えるように構成されたリニアアクチュエータと、
ジンバルに取り付けられた第1のリニアガイドであって、第1の軸に沿って延在し、前記ピボットハウジングが前記第1のリニアガイドに沿って並進するように構成されている、第1のリニアガイドと、
前記傾斜プレートに取り付けられた第2のリニアガイドであって、第2の軸に沿って延在し、前記ピボットハウジングが前記第2のリニアガイドに沿って並進するように構成されている、第2のリニアガイドと、を備え、
前記ピボットハウジングに前記線形力を加えると、前記ピボットハウジングを前記第1のリニアガイド及び前記第2のリニアガイドに沿って並進させることにより、前記ジンバルに対して前記傾斜プレートが傾斜する、横方向傾斜機構と、
前記患者プラットフォームの長手方向傾斜軸の周りで前記患者プラットフォームを枢動させるように構成された長手方向傾斜機構と、を含む、ロボット医療用システム。
【請求項11】
前記横方向傾斜機構と前記長手方向傾斜機構は、同時に作動するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記横方向傾斜機構は、前記長手方向傾斜機構の上に配置されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記リニアアクチュエータは前記線形力を前記横方向傾斜軸に垂直な方向にえて、前記患者プラットフォームを前記横方向傾斜軸の周りで枢動させるように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記リニアアクチュエータは、前記第2の軸に平行な方向に前記線形力を加える、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の軸と前記第2の軸とは平行ではない、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記リニアアクチュエータは、主ねじを回転させるように構成されているモータを備え、
前記ピボットハウジングは、前記主ねじに装着されたねじナットハウジングを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記傾斜プレートは、前記横方向傾斜軸の周りで前記ジンバルに対して枢動するように構成され、前記横方向傾斜軸は、前記第1の軸に沿って前記ジンバルに対して並進するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
前記長手方向傾斜機構は、
前記カラムと前記ジンバルとの間に延在する長手方向傾斜リンク機構と、
前記長手方向傾斜リンク機構を作動させて前記ジンバルを前記カラムに対して枢動させて、前記患者プラットフォームを前記長手方向傾斜軸の周りで傾斜させるように構成されたアクチュエータと、を備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項19】
前記アクチュエータは、前記長手方向傾斜リンク機構を作動させるために前記カラムの軸に沿って並進するように構成された長手方向リニアアクチュエータを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記横方向傾斜機構は、前記横方向傾斜軸の周りで少なくとも15度の傾斜を可能にするように構成され、
前記長手方向傾斜機構は、前記長手方向傾斜軸の周りで少なくとも30度の傾斜を可能にするように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項21】
前記横方向傾斜機構は、前記横方向傾斜軸の周りで約30度の傾斜を可能にするように構成され、
前記長手方向傾斜機構は、前記長手方向傾斜軸の周りで約45度の傾斜を可能にするように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項22】
患者プラットフォームの傾斜を制御するための方法であって、
前記患者プラットフォームを横方向傾斜軸の周りで、
リニアアクチュエータを作動させてピボットハウジングに線形力を加えることと、
第1の軸に沿った第1のリニアガイドに沿って前記ピボットハウジングを並進させることと、
第2の軸に沿った第2のリニアガイドに沿って前記ピボットハウジングを並進させることと、に基づいて、傾斜させること、を含む、方法。
【請求項23】
前記第1の軸は前記線形力に平行であり、前記第2の軸は前記第1の軸に平行ではない、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記リニアアクチュエータを作動させることは、モータで主ねじを駆動することを含み、前記ピボットハウジングは、前記主ねじに装着されたねじナットハウジングを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記モータは、前記患者プラットフォームを支持する傾斜プレートに取り付けられ、前記第1のリニアガイドは前記傾斜プレートに取り付けられている、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第2のリニアガイドはジンバルに取り付けられている、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記患者プラットフォームを支持するカラムに対して前記ジンバルを枢動させて、前記患者プラットフォームを長手方向傾斜軸の周りで傾斜させることを更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記カラムに対して前記ジンバルを枢動させることは、前記カラムの軸に沿って並進する長手方向リニアアクチュエータを用いて長手方向傾斜リンク機構を駆動することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記患者プラットフォームを前記横方向傾斜軸及び前記長手方向傾斜軸の周りで同時に傾斜させることを更に含む、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権出願)
本出願は、2019年3月8日出願の米国特許仮出願第62/815,848号の優先権を主張するものであり、その全容及びあらゆる目的について参照により本明細書に援用するものである。
【0002】
(発明の分野)
本出願は、一般に、ロボット医療用システムに関し、特に、ロボット医療用システムの患者プラットフォームのための傾斜機構に関する。
【背景技術】
【0003】
テーブル又はベッドなどの患者プラットフォームは、医療処置中に患者を支持するために使用することができる。例えば、患者プラットフォームは、多くの場合、手動医療処置、及びロボット医療処置中に使用される。一般に、そのような患者プラットフォームは水平方向に向けられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ロボットアーム及び患者プラットフォームを備えた外科又は医療ロボットシステムは、様々な外科又は医療処置を行うように構成可能である。第1の態様では、医療用プラットフォームのための傾斜機構は、傾斜プレートと、傾斜プレートに装着され、ピボットハウジングに線形力を加えるように構成されたリニアアクチュエータと、ジンバルに取り付けられた第1のリニアガイドとを含む。第1のリニアガイドは、第1の軸に沿って延在し、ピボットハウジングは、第1のリニアガイドに沿って並進するように構成され、ピボットハウジングに線形力を加えると、ピボットハウジングを第1のリニアガイドに沿って並進させることにより、ジンバルに対して傾斜プレートが傾斜する。
【0005】
傾斜機構は、以下の特徴:(a)ピボットハウジングが第1のリニアガイドに沿って並進するとき、第1のリニアガイドに対して枢動するように更に構成され、(b)リニアアクチュエータは、第2の軸に沿った方向に線形力を加え、(c)第1の軸と第2の軸とは平行ではなく、(d)リニアアクチュエータは、主ねじを回転させるように構成されているモータを備え、ピボットハウジングは、主ねじに装着されたねじナットハウジングを含み、(e)傾斜プレートは、ピボット軸の周りでジンバルに対して枢動するように構成され、ピボット軸は、第1の軸に沿ってジンバルに対して並進するように構成され、(f)傾斜プレートに取り付けられた第2のリニアガイド、ここで、第1のリニアガイドは第1組のレールを備え、第2のリニアガイドは第2組のレールを備え、(g)第1組のレールは、第2組のレールの間に配置され、及び/又は(h)傾斜プレートが患者プラットフォームに取り付けられ、ジンバルが患者プラットフォームを支持するカラムに取り付けられている、のうちの1つ以上を任意の組み合わせで含むことができる。
【0006】
別の態様では、ロボット医療用システムは、医療処置中に患者を支持するように構成された患者プラットフォームと、患者プラットフォームを支持するカラムと、カラムを患者プラットフォームに接続する傾斜機構とを含む。傾斜機構は、患者プラットフォームの横方向傾斜軸の周りで患者プラットフォームを枢動させるように構成された横方向傾斜機構と、患者プラットフォームの長手方向傾斜軸の周りで患者プラットフォームを枢動させるように構成された長手方向傾斜機構とを含む。
【0007】
システムは、以下の特徴:
(a)横方向傾斜機構と長手方向傾斜機構は、同時に作動するように構成され、(b)横方向傾斜機構は、長手方向傾斜機構の上に配置され、(c)横方向傾斜機構は、横方向傾斜軸に垂直な方向に線形力を加えて、患者プラットフォームを横方向傾斜軸の周りで枢動させるように構成されたリニアアクチュエータを備え、(d)横方向傾斜機構は、患者プラットフォームに取り付けられた傾斜プレートと、傾斜プレートに装着され、ピボットハウジングに線形力を加えるように構成されたリニアアクチュエータと、ジンバルに取り付けられた第1のリニアガイドであって、第1の軸に沿って延在し、ピボットハウジングが第1の線形ガイドに沿って並進するように構成されている、第1のリニアガイドと、傾斜プレートに取り付けられた第2のリニアガイドであって、第2の軸に沿って延在し、ピボットハウジングが第2のリニアガイドに沿って並進するように構成されている、第2のリニアガイドと、を備え、(e)ピボットハウジングに線形力を加えると、ピボットハウジングを第1のリニアガイド及び第2のリニアガイドに沿って並進させることにより、ジンバルに対して傾斜プレートが傾斜し、(f)リニアアクチュエータは、第2の軸に平行な方向に線形力を加え、(g)第1の軸と第2の軸とは平行ではなく、(h)リニアアクチュエータは、主ねじを回転させるように構成されているモータを備え、ピボットハウジングは、主ねじに装着されたねじナットハウジングを含み、(i)傾斜プレートは、横方向傾斜軸の周りでジンバルに対して枢動するように構成され、横方向傾斜軸は、第1の軸に沿ってジンバルに対して並進するように構成され、(j)長手方向傾斜機構は、カラムとジンバルとの間に延在する長手方向傾斜リンク機構と、長手方向傾斜リンク機構を作動させてジンバルをカラムに対して枢動させて、患者プラットフォームを長手方向傾斜軸の周りで傾斜させるように構成されたアクチュエータと、を備え、(k)アクチュエータは、長手方向傾斜リンク機構を作動させるためにカラムの軸に沿って並進するように構成された長手方向リニアアクチュエータを含み、(l)横方向傾斜機構は、横方向傾斜軸の周りで少なくとも15度の傾斜を可能にするように構成され、長手方向傾斜機構は、長手方向傾斜軸の周りで少なくとも30度の傾斜を可能にするように構成され、及び/又は(m)横方向傾斜機構は、横方向傾斜軸の周りで約30度の傾斜を可能にするように構成され、長手方向傾斜機構は、長手方向傾斜軸の周りで約45度の傾斜を可能にするように構成されている、のうちの1つ以上を任意の組み合わせで含むことができる。
【0008】
別の態様では、患者プラットフォームの傾斜を制御するための方法は、患者プラットフォームを横方向傾斜軸の周りで、リニアアクチュエータを作動させてピボットハウジングに線形力を加えることと、第1の軸に沿った第1のリニアガイドに沿ってピボットハウジングを並進させることと、第2の軸に沿った第2のリニアガイドに沿ってピボットハウジングを並進させることと、に基づいて、傾斜させることを含む。
【0009】
この方法は、以下の特徴:(a)第1の軸は線形力に平行であり、第2の軸は第1の軸に平行ではなく、(b)リニアアクチュエータを作動させることは、モータで主ねじを駆動することを含み、ピボットハウジングは、主ねじに装着されたねじナットハウジングを含み、(c)モータは、患者プラットフォームを支持する傾斜プレートに取り付けられ、第1のリニアガイドは傾斜プレートに取り付けられ、(d)第2のリニアガイドはジンバルに取り付けられ、(e)患者プラットフォームを支持するカラムに対してジンバルを枢動させて、患者プラットフォームを長手方向傾斜軸の周りで傾斜させ、(f)カラムに対してジンバルを枢動させることは、カラムの軸に沿って並進する長手方向リニアアクチュエータを用いて長手方向傾斜リンク機構を駆動することを含み、(g)患者プラットフォームを横方向傾斜軸及び長手方向傾斜軸の周りで同時に傾斜させ、及び/又は(h)患者プラットフォーム上に支持される患者に対してロボット医療処置を行う、のうちの1つ以上を任意の組み合わせで含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
開示される態様は、以下、添付の図面と併せて説明され、開示された態様を例示するが、限定するものではなく、同様の称号は同様の要素を示す。
図1】診断及び/又は治療用気管支鏡検査のために配置されたカートベースのロボットシステムの実施形態を示す。
図2図1のロボットシステムの更なる態様を描写する。
図3】尿管鏡検査のために配置された図1のロボットシステムの実施形態を示す。
図4】血管処置のために配置された図1のロボットシステムの実施形態を示す。
図5】気管支鏡検査処置のために配置されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
図6図5のロボットシステムの代替的な図を提供する。
図7】ロボットアーム(複数可)を収容するように構成された例示的なシステムを示す。
図8】尿管鏡検査処置のために構成されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
図9】腹腔鏡処置のために構成されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
図10】ピッチ又は傾斜調整を備えた図5図9のテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
図11図5~10のテーブルベースのロボットシステムのテーブルとカラムとの間のインターフェースの詳細な図を提供する。
図12】テーブルベースのロボットシステムの代替的実施形態を示す。
図13図12のテーブルベースのロボットシステムの端面図を示す。
図14】ロボットアームが取り付けられた、テーブルベースのロボットシステムの端面図を示す。
図15】例示的な器具ドライバを示す。
図16】ペアの器具ドライバを備えた例示的な医療用器具を示す。
図17】駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸に平行である、器具ドライバ及び器具の代替的な設計を示す。
図18】器具ベースの挿入アーキテクチャを有する器具を示す。
図19】例示的なコントローラを示す。
図20】例示的な実施形態にかかる、図16~18の器具の位置などの、図1~10のロボットシステムの1つ以上の要素の位置を推定する位置特定システムを示すブロック図を示す。
図21A】第1の構成における患者プラットフォームを含むロボット医療用システムの実施形態を示す。
図21B】第2の構成における図21Aの患者プラットフォームを含むロボット医療用システムを示す。
図22A】ロボット医療用システムの患者プラットフォームの実施形態の端面図であり、患者プラットフォームの横方向の傾斜を示す。
図22B図22Aのロボット医療用システムの患者プラットフォームの側面図であり、患者プラットフォームの長手方向の傾斜を示す。
図23】一実施形態にかかる傾斜機構を含むプラットフォームの実施形態を示す。
図24A】非傾斜状態でのロボット医療用システムの患者プラットフォーム用の横方向傾斜機構の実施形態の端面図を示す。
図24B】第1の傾斜構成における図24Aの横方向傾斜機構の端面図である。
図24C】第2の傾斜構成における図24Aの横方向傾斜機構の端面図である。
図25】リニアアクチュエータ、ピボットハウジング、及びそれらのリニアガイドを示すロボット医療用システムの患者プラットフォーム用の横方向傾斜機構の実施形態の等角図である。
図26】ねじナットハウジングを示す図25の横方向傾斜機構の等角図である。
図27図26のねじナットハウジングの等角図である。
図28A】線形力の印加を示す図25の横方向傾斜機構の等角図である。
図28B図28Aに示した線形力の成分を示す図25の横方向傾斜機構の端面図である。
図29】一実施形態にかかる横方向傾斜機構の動きを概略的に示す。
図30A】横方向傾斜機構及び長手方向傾斜機構を含むロボット医療用システムの患者プラットフォーム用の傾斜機構の実施形態の等角図である。
図30B図30Aの傾斜機構の側面図を示す。
図31】横方向及び長手方向に同時に傾斜するように構成された傾斜機構を含むロボット医療用システムの患者プラットフォームの実施形態の等角図である。
図32】ロボット医療用システムの患者プラットフォームの傾斜を制御するための方法の実施形態を示すフローチャートである。
図33A】ロボット医療用システムの患者プラットフォーム用のオーソドローム傾斜機構の実施形態の側面図を示す。
図33B】傾斜構成における図33Aのオーソドローム傾斜機構を示す。
図33C図33Aのオーソドローム傾斜機構の断面図を示す。
図33D図33Aのオーソドローム傾斜機構の上面図である。
図33E】ロボット医療用システムの患者プラットフォームに設置された図33Aのオーソドローム傾斜機構の上面等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.概論
本開示の態様は、腹腔鏡などの低侵襲性、及び内視鏡などの非侵襲性の両方の処置を含む、様々な医療処置を行うことができるロボットで使用可能な医療用システムに統合され得る。内視鏡処置のうち、システムは、気管支鏡検査、尿管鏡検査、胃鏡検査などを行うことができる。
【0012】
幅広い処置を行うことに加えて、システムは、医師を支援するための強調された撮像及び誘導などの追加の利益を提供することができる。追加的に、システムは、厄介な腕の動作及び姿勢を必要とせずに、人間工学的位置から処置を行う能力を医師に提供することができる。また更に、システムは、システムの器具のうちの1つ以上が単一のユーザーによって制御され得るように、改善された使いやすさで処置を行う能力を医師に提供することができる。
【0013】
以下、説明を目的として、図面と併せて、様々な実施形態が説明される。開示される概念の多くの他の実装態様が可能であり、開示される実装態様で様々な利点が達成され得ることを理解されたい。見出しが、参照のために本明細書に含まれ、様々なセクションの位置を特定する支援となる。これらの見出しは、それに関して説明される概念の範囲を限定することを意図するものではない。そのような概念は、本明細書全体にわたって適用可能性を有し得る。
【0014】
A.ロボットシステム-カート
ロボットで使用可能な医療用システムは、特定の処置に応じて様々な方法で構成され得る。図1は、診断及び/又は治療用気管支鏡検査処置のために配置された、ロボットで使用可能なカートベースのシステム10の実施形態を示す。気管支鏡検査の間、システム10は、気管支鏡検査のための処置専用気管支鏡であり得る操縦可能な内視鏡13などの医療用器具を、診断及び/又は治療用具を送達するための自然開口部アクセスポイント(すなわち、本実施例ではテーブル上に位置決めされている患者の口)に送達するための1つ以上のロボットアーム12を有するカート11を含むことができる。示されるように、カート11は、アクセスポイントへのアクセスを提供するために、患者の上部胴体に近接して位置決めすることができる。同様に、ロボットアーム12は、アクセスポイントに対して気管支鏡を位置決めするために作動させることができる。図1の配置はまた、胃腸管(GI)処置を、GI処置のための特殊な内視鏡である胃鏡を用いて行うときに利用することができる。図2は、カートの例示的な実施形態をより詳細に示す。
【0015】
図1を引き続き参照し、カート11が適切に位置決めされると、ロボットアーム12は、操縦可能な内視鏡13をロボットで、手動で、又はそれらの組み合わせで患者内に挿入することができる。示されるように、操縦可能な内視鏡13は、内側リーダ部分及び外側シース部分などの少なくとも2つの入れ子式部品を含んでもよく、各部分は、器具ドライバの組28から別個の器具ドライバに連結され、各器具ドライバは、個々のロボットアームの遠位端部に連結されている。リーダ部分をシース部分と同軸上に位置合わせするのを容易にする、器具ドライバ28のこの直線配置は、1つ以上のロボットアーム12を異なる角度及び/又は位置に操作することによって空間内に再位置決めされ得る「仮想レール」29を作成する。本明細書に記載される仮想レールは、破線を使用して図に示されており、したがって破線は、システムの物理的構造を示さない。仮想レール29に沿った器具ドライバ28の並進は、外側シース部分に対して内側リーダ部分を入れ子にするか、又は内視鏡13を患者から前進若しくは後退させる。仮想レール29の角度は、臨床用途又は医師の好みに基づいて調整、並進、及び枢動させられてもよい。例えば、気管支鏡検査では、示されるような仮想レール29の角度及び位置は、内視鏡13を患者の口内に曲げ入れることによる摩擦を最小限に抑えながら内視鏡13への医師のアクセスを提供する妥協を表す。
【0016】
内視鏡13は、対象の目的地又は手術部位に到達するまで、ロボットシステムからの正確なコマンドを使用して挿入後に患者の気管及び肺の下方に向けられてもよい。患者の肺網を通したナビゲーションを高め、及び/又は所望の標的に到達するために、内視鏡13を操縦して、内側リーダ部分を外側シース部分から入れ子状に延在させ、高められた関節運動及びより大きな曲げ半径を得てもよい。別個の器具ドライバ28の使用により、リーダ部分及びシース部分が互いに独立して駆動されることも可能となる。
【0017】
例えば、内視鏡13は、例えば、患者の肺内の病変又は小結節などの標的に生検針を送達するように方向付けられてもよい。針は、内視鏡の長さにわたる作業チャネルの下方に展開されて、病理医によって分析される組織サンプルを得てもよい。病理の結果に応じて、追加の生検のために追加のツールが内視鏡の作業チャネルの下方に展開されてもよい。小結節を悪性と識別した後、内視鏡13は、潜在的な癌組織を切除するために器具を内視鏡的に送達してもよい。場合によっては、診断及び治療的処置は、別々の手順で提供することができる。これらの状況において、内視鏡13はまた、標的小結節の場所を「マーク」するために基準を送達するのに使用されてもよい。他の例では、診断及び治療的処置は、同じ処置中に送達されてもよい。
【0018】
システム10はまた、カート11に支持ケーブルを介して接続されて、カート11への制御、電子機器、流体工学、光学系、センサ、及び/又は電力のためのサポートを提供し得る移動可能なタワー30を含んでもよい。タワー30内にこのような機能を置くことにより、動作を行う医師及びそのスタッフがより容易に調整及び/又は再位置決めすることができるより小さいフォームファクタのカート11が可能となる。追加的に、カート/テーブルと支持タワー30との間の機能の分割は、手術室の乱雑さを低減し、臨床ワークフローの改善を促進する。カート11は患者に近接して配置されてもよいが、タワー30は、処置中に邪魔にならないように離れた場所に格納されてもよい。
【0019】
上述のロボットシステムのサポートにおいて、タワー30は、例えば、永続的な磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内にコンピュータプログラム命令を記憶するコンピュータベースの制御システムの構成要素を含んでもよい。これらの命令の実行は、実行がタワー30内で行われるのか又はカート11で行われるのかにかかわらず、システム全体又はそのサブシステムを制御してもよい。例えば、コンピュータシステムのプロセッサによって実行されるとき、命令は、ロボットシステムの構成要素に、関連するキャリッジ及びアームマウントを作動させ、ロボットアームを作動させ、医療用器具を制御させてもよい。例えば、制御信号を受信したことに応答して、ロボットアームの関節内のモータは、アームをある特定の姿勢に位置決めしてもよい。
【0020】
タワー30は、内視鏡13を通して配備することができるシステムに、制御された灌注及び吸引機能を提供するために、ポンプ、流量計、弁制御、及び/又は流体アクセスも含むことができる。これらの構成要素はまた、タワー30のコンピュータシステムを使用して制御されてもよい。いくつかの実施形態では、灌注及び吸引能力は、別個のケーブル(複数可)を通して内視鏡13に直接送達されてもよい。
【0021】
タワー30は、フィルタリングされ、保護された電力をカート11に提供するように設計された電圧及びサージ保護具を含んでもよく、それによって、カート11内に電力変圧器及び他の補助電力構成要素を配置することが回避され、カート11はより小さく、より移動可能になる。
【0022】
タワー30は、ロボットシステム10全体に配備されたセンサのための支持機器も含んでもよい。例えば、タワー30は、ロボットシステム10全体の光センサ又はカメラから受信したデータを検出、受信、及び処理するためのオプトエレクトロニクス機器を含んでもよい。制御システムと組み合わせて、このようなオプトエレクトロニクス機器は、タワー30内を含むシステム全体に展開された任意の数のコンソール内に表示するためのリアルタイム画像を生成するために使用されてもよい。同様に、タワー30はまた、展開された電磁(EM)センサから信号を受信し、受信した信号を処理するための電子サブシステムも含んでもよい。タワー30はまた、医療用器具内又は医療用器具上のEMセンサによる検出のためにEM場発生器を収容し、位置決めするためにも使用されてもよい。
【0023】
タワー30はまた、システムの残りの部分で利用可能な他のコンソール、例えば、カートの上部上に装着されたコンソールに追加して、コンソール31を含んでもよい。コンソール31は、オペレータである医師のためのユーザーインターフェース及びタッチスクリーンなどの表示画面を含んでもよい。システム10内のコンソールは、一般に、ロボット制御、並びに内視鏡13のナビゲーション情報及び位置特定情報などの処置の術前及びリアルタイム情報の両方を提供するように設計される。コンソール31が医師に利用可能な唯一のコンソールではない場合、コンソール31は、看護師などの第2のオペレータによって使用されて、患者の健康又はバイタル、及びシステム10の動作を監視し、並びにナビゲーション及び位置特定情報などの処置固有のデータを提供してもよい。その他の実施形態では、コンソール30は、タワー30とは別個の本体内に収容される。
【0024】
タワー30は、1つ以上のケーブル又は接続部(図示せず)を介してカート11及び内視鏡13に連結されてもよい。いくつかの実施形態では、タワー30からのサポート機能は、単一ケーブルを通してカート11に提供されることにより、手術室を簡略化し、整理整頓することができる。他の実施形態では、特定の機能は、別個の配線及び接続部で連結されてもよい。例えば、単一の電力ケーブルを通してカート11に電力が供給されてもよい一方、制御、光学、流体工学、及び/又はナビゲーションのためのサポートは、別個のケーブルを通して提供されてもよい。
【0025】
図2は、図1に示されるロボットで使用可能なカートベースのシステムからのカート11の実施形態の詳細な図を提供する。カート11は、概して、細長い支持構造14(「カラム」と呼ばれることが多い)、カート基部15、及びカラム14の頂部にあるコンソール16を含む。カラム14は、1つ以上のロボットアーム12(図2には3つ示されている)の展開を支持するためのキャリッジ17(代替的に「アーム支持体」)などの1つ以上のキャリッジを含んでもよい。キャリッジ17は、患者に対してより良好に位置決めするために垂直軸に沿って回転してロボットアーム12の基部を調整する、個別に構成可能なアームマウントを含んでもよい。キャリッジ17はまた、キャリッジ17がカラム14に沿って垂直方向に並進することを可能にするキャリッジインターフェース19を含む。
【0026】
キャリッジインターフェース19は、キャリッジ17の垂直方向の並進を案内するためにカラム14の両側に位置決めされているスロット20などのスロットを通してカラム14に接続されている。スロット20は、カート基部15に対して様々な垂直方向の高さでキャリッジ17を位置決めし、保持するための垂直方向の並進インターフェースを含む。キャリッジ17の垂直方向の並進により、カート11は、様々なテーブルの高さ、患者のサイズ、及び医師の好みを満たすようにロボットアーム12のリーチを調整することが可能となる。同様に、キャリッジ17上の個別に構成可能なアームマウントにより、ロボットアーム12のロボットアーム基部21を様々な構成で角度付けすることが可能となる。
【0027】
いくつかの実施形態では、キャリッジ17が垂直方向に並進するときにカラム14の内部チャンバ及び垂直方向の並進インターフェース内に汚れ及び流体が侵入するのを防止するために、スロット20には、スロット表面と同一平面及び平行であるスロットカバーが追加されてもよい。スロットカバーは、スロット20の垂直方向の頂部及び底部付近に位置決めされているばねスプールの対を通じて展開されてもよい。カバーは、キャリッジ17が上下に垂直方向に並進するにつれてコイル状から伸縮するように展開されるまで、スプール内でコイル巻きにされている。スプールのバネ荷重は、キャリッジ17がスプールに向かって並進する場合にカバーをスプールに引き込む力を提供し、一方、キャリッジ17がスプールから離れて並進する場合にはぴったりとした封止も維持する。カバーは、キャリッジ17が並進するときにカバーが適切に伸縮するのを確実にするために、例えば、キャリッジインターフェース19内のブラケットを使用してキャリッジ17に接続されてもよい。
【0028】
カラム14は、例えば、コンソール16からの入力などのユーザー入力に応答して生成された制御信号に応答してキャリッジ17を機械的に並進させるために垂直方向に位置合わせされた主ねじを使用するように設計された、ギア及びモータなどの機構を内部に含んでもよい。
【0029】
ロボットアーム12は、一般に、一連の関節24によって接続されている一連のリンク23によって分離されたロボットアーム基部21及びエンドエフェクタ22を含んでもよく、各関節は独立したアクチュエータを含み、各アクチュエータは、独立して制御可能なモータを含む。独立して制御可能な各関節は、ロボットアーム12が利用可能な独立した自由度を表す。ロボットアーム12の各々は、7つの関節を有してもよく、したがって、7つの自由度を提供することが可能である。多数の関節は、多数の自由度をもたらし、「冗長」自由度を可能にする。冗長自由度を有することにより、ロボットアーム12は、異なるリンク位置及び関節角度を使用して空間内の特定の位置、向き、及び軌道で、それらのそれぞれのエンドエフェクタ22を位置決めすることが可能となる。これにより、システムが空間内の所望のポイントから医療用器具を位置決めし、方向付けることが可能になると同時に、医師がアーム関節を患者から離れる臨床的に有利な位置へと移動させて、アームの衝突を回避しながらよりよいアクセスを生み出すことを可能にする。
【0030】
カート基部15は、床の上のカラム14、キャリッジ17、及びロボットアーム12の重量の釣り合いをとる。したがって、カート基部15は、電子機器、モータ、電源、並びにカート11の移動及び/又は固定化のいずれかを可能にする構成要素などの、より重い部品を収容する。例えば、カート基部15は、処置前にカート11が部屋中をあちこちに容易に移動することを可能にする、転動可能なホイール形状のキャスタ25を含む。適切な位置に到達した後、キャスタ25は、処置中にカート11を所定の場所に保持するためのホイールロックを使用して静止させられてもよい。
【0031】
カラム14の垂直方向の端部に位置決めされたコンソール16は、ユーザー入力を受信するためのユーザーインターフェース及び表示画面(又は、例えば、タッチスクリーン26などの二重目的デバイス)の両方を可能にして、術前データ及び術中データの両方を医師であるユーザーに提供する。タッチスクリーン26上の潜在的な術前データは、術前計画、術前コンピュータ断層撮影(CT)スキャンから導出されたナビゲーション及びマッピングデータ、並びに/又は術前の患者への問診からのメモを含んでもよい。ディスプレイ上の術中データは、ツールから提供される光学情報、センサからのセンサ及び座標情報、並びに呼吸、心拍数、及び/又はパルスなどの不可欠な患者統計を含んでもよい。コンソール16は、医師が、キャリッジ17の反対側のカラム14側からコンソール16にアクセスすることを可能にするように位置決めされ、傾斜が付けられてもよい。この位置から、医師は、コンソール16をカート11の背後から操作しながら、コンソール16、ロボットアーム12、及び患者を見ることができる。示されるように、コンソール16はまた、カート11の操作及び安定化を支援するハンドル27を含む。
【0032】
図3は、尿管鏡検査のために配置された、ロボットで使用可能なシステム10の実施形態を示す。尿管鏡検査処置では、カート11は、患者の尿道及び尿管を横断するように設計された処置専用内視鏡である尿管鏡32を患者の下腹部領域に送達するように位置決めされてもよい。尿管鏡検査では、尿管鏡32が患者の尿道と直接位置合わせされ、領域内の敏感な解剖学的構造に対する摩擦及び力を低減することが望ましいことがある。示されるように、カート11は、ロボットアーム12が尿管鏡32を、患者の尿道に直線状に直接アクセスするために位置決めすることを可能にするように、テーブルの脚部に位置合わせされてもよい。テーブルの脚部から、ロボットアーム12は、尿道を通して患者の下腹部に直接、仮想レール33に沿って尿管鏡32を挿入してもよい。
【0033】
気管支鏡検査におけるのと同様の制御技法を使用して尿道に挿入した後、尿管鏡32は、診断及び/又は治療用途のために、膀胱、尿管、及び/又は腎臓にナビゲートされてもよい。例えば、尿管鏡32を尿管及び腎臓に方向付けて、尿管鏡32の作動チャネルの下方に配備されたレーザ又は超音波結石破砕デバイスを使用して、腎臓結石の蓄積を破砕することができる。砕石術が完了した後、結果として得られた結石片は、尿管鏡32の下方に配備されたバスケットを使用して除去されてもよい。
【0034】
図4は、血管処置のために同様に配置された、ロボットで使用可能なシステム10の実施形態を示す。血管処置において、システム10は、カート11が、操縦可能なカテーテルなどの医療用器具34を、患者の脚内の大腿動脈内のアクセスポイントに送達することができるように構成され得る。大腿動脈は、ナビゲーションのためのより大きな直径と、患者の心臓への、遠回りが比較的少ない曲がりくねった経路の両方を示し、これはナビゲーションを簡素化する。尿管鏡検査処置のように、カート11は、患者の脚及び下腹部に向かって位置決めされて、ロボットアーム12が患者の大腿/腰領域内の大腿動脈アクセスポイントへの直接的な線形アクセスで仮想レール35を提供することを可能にしてもよい。動脈内への挿入後、器具ドライバ28を並進させることによって医療用器具34が方向付けられ、挿入されてもよい。代替的には、カートは、例えば、肩及び手首付近の頸動脈及び腕動脈などの代替的な血管アクセスポイントに到達するために、患者の上腹部の周囲に位置決めされてもよい。
【0035】
B.ロボットシステム-テーブル
ロボットで使用可能な医療用システムの実施形態は、患者テーブルも組み込んでもよい。テーブルの組み込みは、カートをなくすことによって手術室内の資本設備の量を低減し、患者へのより大きなアクセスを可能にする。図5は、気管支鏡検査処置のために配置された、そのようなロボットで使用可能なシステムの実施形態を示す。システム36は、床の上にプラットフォーム38(「テーブル」又は「ベッド」として図示)を支持するための支持構造体又はカラム37を含む。カートベースのシステムと同様に、システム36のロボットアーム39のエンドエフェクタは、器具ドライバ42の線形アライメントから形成された仮想レール41を通して、又はそれに沿って、図5の気管支鏡40などの細長い医療用器具を操作するように設計された器具ドライバ42を含む。実際には、蛍光透視撮像を提供するためのCアームは、放射器及び検出器をテーブル38の周囲に置くことによって、患者の上部腹部領域の上方に位置決めされてもよい。
【0036】
図6は、説明を目的として、患者及び医療用器具なしのシステム36の代替的な図を提供する。示されるように、カラム37は、1つ以上のロボットアーム39の基部となり得る、システム36内でリング形状として図示される1つ以上のキャリッジ43を含んでもよい。キャリッジ43は、カラム37の長さにわたる垂直方向のカラムインターフェース44に沿って並進して、ロボットアーム39が患者に到達するように位置決めされ得る異なるバンテージポイントを提供してもよい。キャリッジ43は、カラム37内に位置決めされている機械的モータを使用してカラム37の周りを回転して、ロボットアーム39が、例えば、患者の両側などのテーブル38の多数の側部へのアクセスを有することを可能にしてもよい。複数のキャリッジを有する実施形態では、キャリッジはカラム上に個別に位置決めされてもよく、他のキャリッジとは独立して並進及び/又は回転してもよい。キャリッジ43はカラム37を取り囲む必要はなく、又は更には円形である必要もないが、図示されるようなリング形状は、構造的バランスを維持しながらカラム37の周りでのキャリッジ43の回転を容易にする。キャリッジ43の回転及び並進により、システム36は、内視鏡及び腹腔鏡などの医療用器具を患者の異なるアクセスポイントに位置合わせすることができる。他の実施形態(図示せず)では、システム36は、並行して延在するバー又はレールの形態の調整可能なアーム支持体を有する患者テーブル又はベッドを含むことができる。1つ以上のロボットアーム39を、(例えば、肘関節を有する肩部を介して)垂直方向に調整することができる調整可能なアーム支持体に取り付けることができる。垂直方向の調節を提供することによって、ロボットアーム39は、有利には、患者テーブル又はベッドの下にコンパクトに収容されることが可能であり、その後、処置中に引き上げられることが可能である。
【0037】
ロボットアーム39は、ロボットアーム39に追加の構成可能性を提供するために個別に回転及び/又は入れ子式に延在し得る一連の関節を含むアームマウント45の組を介してキャリッジ43に装着されてもよい。追加的に、アームマウント45は、キャリッジ43が適切に回転されると、アームマウント45がテーブル38の同じ側(図6に示すように)、テーブル38の両側(図9に示すように)、又はテーブル38の隣接する側部(図示せず)のいずれかに位置決めされ得るように、キャリッジ43上に位置決めされ得る。
【0038】
カラム37は、テーブル38の支持及びキャリッジ43の垂直方向の並進のための経路を構造的に提供する。内部に、カラム37は、キャリッジの垂直方向の並進を案内するための主ねじ、及び主ねじに基づくキャリッジ43の並進を機械化するためのモータを備えていてもよい。カラム37はまた、キャリッジ43及びその上に装着されたロボットアーム39に電力及び制御信号を伝達してもよい。
【0039】
テーブル基部46は、図2に示すカート11のカート基部15と同様の機能を果たし、テーブル/ベッド38、カラム37、キャリッジ43、及びロボットアーム39の釣り合いをとるためにより重い構成要素を収容する。テーブル基部46はまた、処置中に安定性を提供するために剛性キャスタを組み込んでもよい。テーブル基部46の底部から展開されるキャスタは、基部46の両側で反対方向に延在し、システム36を移動させる必要があるときに引き込んでもよい。
【0040】
引き続き図6を参照すると、システム36はまた、テーブルとタワーとの間でシステム36の機能を分割して、テーブルのフォームファクタ及びバルクを低減するタワー(図示せず)を含んでもよい。先に開示された実施形態と同様に、タワーは、処理、計算、及び制御能力、電力、流体工学、並びに/又は光学及びセンサ処理などの様々なサポート機能をテーブルに提供してもよい。タワーはまた、医師のアクセスを改善し、手術室を整理整頓するために、患者から離れて位置決めされるように移動可能であってもよい。追加的に、タワー内に構成要素を配置することにより、ロボットアーム39の潜在的な収容のために、テーブル基部46内により多くの保管空間を可能にする。タワーはまた、キーボード及び/又はペンダントなどのユーザー入力のためのユーザーインターフェースと、リアルタイム撮像、ナビゲーション、及び追跡情報などの術前及び術中情報のための表示画面(又はタッチスクリーン)との両方を提供するマスターコントローラ又はコンソールも含んでもよい。いくつかの実施形態では、タワーはまた、送気のために使用されるガスタンク用のホルダを含んでもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、テーブル基部は、使用されていないときにロボットアームを収容して格納してもよい。図7は、テーブルベースのシステムの実施形態におけるロボットアームを収容するシステム47を示す。システム47では、キャリッジ48は、ロボットアーム50、アームマウント51、及びキャリッジ48を基部49内に収容するために、基部49内へと垂直方向に並進させられてもよい。基部カバー52は、並進及び後退して、キャリッジ48、アームマウント51、及びロボットアーム50をカラム53の周りに展開させるように開き、使用されていないときにそれらを収容して保護するように閉じられてもよい。基部カバー52は、閉じたときに汚れ及び流体の侵入を防止するために、その開口部の縁部に沿って膜54で封止されてもよい。
【0042】
図8は、尿管鏡検査処置のために構成されたロボットで使用可能なテーブルベースシステムの実施形態を示す。尿管鏡検査では、テーブル38は、患者をカラム37及びテーブル基部46からオフアングルに位置決めするためのスイベル部分55を含んでもよい。スイベル部分55は、スイベル部分55の底部をカラム37から離すように位置決めするために、枢動点(例えば、患者の頭部の下方に配置)を中心に回転又は枢動してもよい。例えば、スイベル部分55の旋回により、Cアーム(図示せず)が、テーブル38の下のカラム(図示せず)と空間を奪い合うことなく、患者の下部腹部の上方に位置決めされることを可能にする。カラム37の周りにキャリッジ35(図示せず)を回転させることにより、ロボットアーム39は、尿道に到達するように、仮想レール57に沿って、患者の鼠径部領域に尿管鏡56を直接挿入してもよい。尿管鏡検査では、処置中に患者の脚の位置を支持し、患者の鼠径部領域への明確なアクセスを可能にするために、テーブル38のスイベル部分55にあぶみ58が固定されてもよい。
【0043】
腹腔鏡処置では、患者の腹壁内の小さな切開部を通して、低侵襲性器具を患者の解剖学的構造に挿入してもよい。いくつかの実施形態では、低侵襲性器具は、患者内の解剖学的構造にアクセスするために使用されるシャフトなどの細長い剛性部材を含む。患者の腹腔の膨張後、器具は、把持、切断、アブレーション、縫合などの外科的又は医療的タスクを実施するように方向付けられてもよい。いくつかの実施形態では、器具は、腹腔鏡などのスコープを含むことができる。図9は、腹腔鏡検査処置のために構成されたロボットで使用可能なテーブルベースのシステムの実施形態を示す。図9に示されるように、システム36のキャリッジ43は回転し、垂直方向に調整されて、器具59が患者の両側の最小切開部を通過して患者の腹腔に到達するようアームマウント45を使用して位置決めされ得るように、ロボットアーム39の対をテーブル38の両側に位置決めしてもよい。
【0044】
腹腔鏡処置に対応するために、ロボットで使用可能なテーブルシステムはまた、プラットフォームを所望の角度に傾斜させてもよい。図10は、ピッチ又は傾斜調整を有するロボットで使用可能な医療用システムの実施形態を示す。図10に示されるように、システム36は、テーブル38の傾斜に適応して、テーブルの一方の部分を他方の部分より床から離れた距離に位置決めすることができる。追加的に、アームマウント45は、ロボットアーム39がテーブル38と同じ平面関係を維持するように、傾斜に一致するように回転してもよい。より急な角度に適応するために、カラム37はまた、テーブル38が床に接触したりテーブル基部46と衝突したりするのを防ぐためにカラム37が垂直方向に延在するのを可能にする入れ子部分60を含んでもよい。
【0045】
図11は、テーブル38とカラム37との間のインターフェースの詳細な図を提供する。ピッチ回転機構61は、カラム37に対するテーブル38のピッチ角を多数の自由度で変更するように構成されてもよい。ピッチ回転機構61は、カラム-テーブルインターフェースでの直交軸1、2の位置決めによって可能にされてもよく、各軸は、電気ピッチ角コマンドに応答して別個のモータ3、4によって作動させられる。一方のねじ5に沿った回転は、一方の軸1における傾斜調整を可能にし、他方のねじ6に沿った回転は、他方の軸2に沿った傾斜調整を可能にする。いくつかの実施形態では、カラム37に対するテーブル38のピッチ角を複数の自由度で変更するために、玉継ぎ手が使用されてもよい。
【0046】
例えば、ピッチ調整は、テーブルをトレンデレンブルグ位置に位置決めしようとするときに、すなわち下腹部手術のために患者の下腹部を患者の上腹部よりも床からより高い位置に位置決めしようとするときに、特に有用である。トレンデレンブルグ位置は、重力によって患者の内臓を患者の上腹部に向かって摺動させ、低侵襲性ツールが入って腹腔鏡前立腺切除術などの下腹部の外科又は医療処置を行うために、腹腔を空にする。
【0047】
図12及び図13は、テーブルベースの外科用ロボットシステム100の別の実施形態の等角図及び端面図を示す。外科用ロボットシステム100は、テーブル101に対して1つ以上のロボットアームを支持するように構成され得る1つ以上の調節可能なアーム支持体105(例えば、図14参照)を含む。図示される実施形態では、単一の調整可能なアーム支持体105が示されているが、テーブル101の反対側に追加のアーム支持体を設けることができる。調整可能アームサポート105は、テーブル101に対して移動して、調整可能アーム支持体105及び/又はテーブル101に対してそれに装着された任意のロボットアームの位置を調節及び/又は変更できるように構成され得る。例えば、調整可能なアーム支持体105は、テーブル101に対して1つ以上の自由度で調節することができる。調整可能なアーム支持体105は、1つ以上の調整可能なアーム支持体105及びそれに取り付けられた任意のロボットアームをテーブル101の下に容易に収容する能力を含む、システム100への高い汎用性を提供する。調整可能なアーム支持体105は、収容位置からテーブル101の上面の下の位置まで上昇させることができる。他の実施形態では、調整可能なアーム支持体105は、収容位置からテーブル101の上面の上方の位置まで上昇させることができる。
【0048】
調節可能なアーム支持体105は、リフト、横方向並進、傾斜などを含む、いくつかの自由度を提供することができる。図12及び図13の図示の実施形態では、アーム支持体105は、4自由度で構成され、図12に矢印で示されている。第1の自由度は、z方向における調整可能なアーム支持体105の調節(「Zリフト」)を可能にする。例えば、調整可能なアーム支持体105は、テーブル101を支持するカラム102に沿って、又はそれに対して上下に動くように構成されたキャリッジ109を含むことができる。第2の自由度は、調整可能なアーム支持体105が傾斜することを可能にできる。例えば、調整可能なアーム支持体105は、回転接合部を含むことができ、それは、調整可能なアーム支持体105を、トレンデレンブルグ位置のベッドと位置合わせすることを可能にできる。第3の自由度は、調整可能なアーム支持体105が「上方枢動する」ことを可能にでき、それを使用して、テーブル101の側部と調整可能なアーム支持体105との間の距離を調節することができる。第4の自由度は、テーブルの長手方向の長さに沿って調整可能なアーム支持体105の並進を可能にできる。
【0049】
図12及び図13の外科用ロボットシステム100は、基部103に装着されたカラム102によって支持されるテーブルを含むことができる。基部103及びカラム102は、支持面に対してテーブル101を支持する。床軸131及び支持軸133は、図13に示される。
【0050】
調整可能なアーム支持体105は、カラム102に装着することができる。他の実施形態では、アーム支持体105は、テーブル101又は基部103に装着することができる。調整可能なアーム支持体105は、キャリッジ109、バー又はレールコネクタ111、及びバー又はレール107を含むことができる。いくつかの実施形態では、レール107に装着された1つ以上のロボットアームは、互いに対して並進及び移動することができる。
【0051】
キャリッジ109は、第1の接合部113によってカラム102に取り付けられてもよく、それにより、キャリッジ109がカラム102に対して移動することが可能になる(例えば、第1又は垂直軸123の上下など)。第1の接合部113は、調整可能なアーム支持体105に第1の自由度(「Zリフト」)を提供することができる。調整可能なアーム支持体105は、第2の自由度(傾斜)を調整可能なアーム支持体105に提供する第2の接合部115を含むことができる。調整可能なアーム支持体105は、第3の自由度(「上方枢動」)を調整可能なアーム支持体105に提供することができる第3の接合部117を含むことができる。レールコネクタ111が第3の軸127を中心にして回転させられるときにレール107の方向を維持するように第3の接合部117を機械的に拘束する、追加の接合部119(図13に示す)を設けることができる。調整可能なアーム支持体105は、第4の自由度(並進)を第4の軸129に沿って調整可能なアーム支持体105に提供することができる第4の接合部121を含むことができる。
【0052】
図14は、テーブル101の両側に装着された2つの調節可能なアーム支持体105A、105Bを有する、外科用ロボットシステム140Aの端面図を示す。第1のロボットアーム142Aは、第1の調整可能なアーム支持体105Bのバー又はレール107Aに取り付けられる。第1のロボットアーム142Aは、レール107Aに取り付けられた基部144Aを含む。第1のロボットアーム142Aの遠位端部は、1つ以上のロボット医療用器具又はツールに取り付けることができる器具駆動機構146Aを含む。同様に、第2のロボットアーム142Bは、レール107Bに取り付けられた基部144Bを含む。第2のロボットアーム142Bの遠位端部は、器具駆動機構146Bを含む。器具駆動機構146Bは、1つ以上のロボット医療用器具又はツールに取り付けるように構成され得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、ロボットアーム142A、142Bのうちの1つ以上は、7以上の自由度を有するアームを含む。いくつかの実施形態では、ロボットアーム142A、142Bのうちの1つ以上は、挿入軸(挿入を含む1自由度)、リスト(リストピッチ、ヨー及びロールを含む3自由度)、エルボ(エルボピッチを含む1自由度)、ショルダ(ショルダピッチ及びヨーを含む2自由度)、及び基部144A、144B(並進を含む1自由度)、を含む8自由度を含むことができる。いくつかの実施形態では、挿入自由度は、ロボットアーム142A、142Bによって提供することができるが、他の実施形態では、器具自体は、器具ベースの挿入アーキテクチャを介して挿入を提供する。
【0054】
C.器具ドライバ及びインターフェース
システムのロボットアームのエンドエフェクタは、(i)医療用器具を作動させるための電気機械的手段を組み込む器具ドライバ(代替的には、「器具駆動機構」又は「器具デバイスマニピュレータ」と呼ばれる)と、(ii)モータなどの任意の電気機械的構成要素を欠いていてもよい除去可能な又は取り外し可能な医療用器具と、を含み得る。この二分法は、医療処置に使用される医療用器具を滅菌する必要性、それらの複雑な機械的アセンブリ及び繊細な電子機器により、高価な資本設備を十分に滅菌することができないことを根拠とする場合がある。したがって、医療用器具は、医師又は医師のスタッフによる個々の滅菌又は廃棄のために、器具ドライバ(したがってそのシステム)から取り外され、除去され、及び交換されるように設計することができる。対照的に、器具ドライバは交換又は滅菌される必要がなく、保護のために掛け布をすることができる。
【0055】
図15は、例示的な器具ドライバを示す。ロボットアームの遠位端部に配置される器具ドライバ62は、駆動シャフト64を介して医療用器具に制御されたトルクを提供するために平行軸を伴って配置された1つ以上の駆動ユニット63を含む。各駆動ユニット63は、器具と相互作用するための個々の駆動シャフト64と、モータシャフトの回転を所望のトルクに変換するためのギアヘッド65と、駆動トルクを生成するためのモータ66と、モータシャフトの速度を測定し、制御回路にフィードバックを提供するエンコーダ67と、制御信号を受信し、駆動ユニットを作動させるための制御回路68と、を含む。各駆動ユニット63は、独立して制御され電動化され、器具ドライバ62は、複数(例えば図15に示すように4つ)の独立した駆動出力を医療器具に提供することができる。動作中、制御回路68は、制御信号を受信し、モータ66にモータ信号を送信し、エンコーダ67によって測定された結果として得られたモータ速度を所望の速度と比較し、モータ信号を変調して所望のトルクを生成する。
【0056】
無菌環境を必要とする処置のために、ロボットシステムは、器具ドライバと医療用器具との間に位置する、滅菌ドレープに接続された滅菌アダプタなどの駆動インターフェースを組み込んでもよい。滅菌アダプタの主な目的は、器具ドライバの駆動シャフトから器具の駆動入力部に角度運動を伝達する一方で、駆動シャフトと駆動入力部との間の物理的分離、したがって無菌性を維持することである。したがって、例示的な滅菌アダプタは、器具ドライバの駆動シャフトと嵌合されることが意図された一連の回転入力部及び出力部と、器具に対する駆動入力部と、を含み得る。滅菌アダプタに接続される滅菌ドレープは、透明又は半透明プラスチックなどの薄い可撓性材料で構成され、器具ドライバ、ロボットアーム、及び(カートベースのシステムにおける)カート又は(テーブルベースのシステムにおける)テーブルなどの資本設備を覆うように設計される。ドレープの使用により、滅菌を必要としない領域(すなわち、非滅菌野)に依然として位置決めされている間に、資本設備を患者に近接して配置することが可能となる。滅菌ドレープの反対側では、医療用器具は、滅菌を必要とする領域(すなわち、滅菌野)において患者とインターフェースしてもよい。
【0057】
D.医療用器具
図16は、ペアの器具ドライバを備えた例示的な医療用器具を示す。ロボットシステムと共に使用するために設計された他の器具と同様に、医療用器具70は、細長いシャフト71(又は細長い本体)及び器具基部72を含む。医師による手動相互作用が意図されているその設計により「器具ハンドル」とも呼ばれる器具基部72は、一般に、ロボットアーム76の遠位端部において器具ドライバ75上の駆動インターフェースを通って延びる駆動出力部74と嵌合するように設計された、回転可能な駆動入力部73、例えば、レセプタクル、プーリー、又はスプールを含んでもよい。物理的に接続、ラッチ、及び/又は連結される場合、器具基部72の嵌合された駆動入力部73は、器具ドライバ75における駆動出力部74と回転軸を共有して、駆動出力部74から駆動入力部73へのトルクの伝達を可能とすることができる。いくつかの実施形態では、駆動出力部74は、駆動入力部73上のレセプタクルと嵌合するように設計されたスプラインを含んでもよい。
【0058】
細長いシャフト71は、例えば、内視鏡におけるような解剖学的開口部若しくは管腔、又は腹腔鏡検査におけるような低侵襲性切開部のいずれかを通して送達されるように設計される。細長いシャフト71は、可撓性(例えば、内視鏡と同様の特性を有する)若しくは剛性(例えば、腹腔鏡と同様の特性を有する)のいずれかであってもよく、又は可撓性部分及び剛性部分の両方のカスタマイズされた組み合わせを含んでもよい。腹腔鏡検査のために設計される場合、剛性の細長いシャフトの遠位端部は、少なくとも1つの自由度を有するクレビスから形成された接合されたリストから延在するエンドエフェクタ、及び駆動入力部が器具ドライバ75の駆動出力部74から受信したトルクに応答して回転するときに、腱からの力に基づいて作動され得る、例えば、把持具又ははさみなどの外科用ツール又は医療用器具に接続することができる。内視鏡検査のために設計される場合、可撓性の細長いシャフトの遠位端部は、器具ドライバ75の駆動出力部74から受信したトルクに基づいて関節運動及び屈曲され得る操縦可能又は制御可能な屈曲部を含んでもよい。
【0059】
器具ドライバ75からのトルクは、細長いシャフト71に沿った腱を使用して細長いシャフト71の下流に伝達される。プルワイヤなどのこれらの個々の腱は、器具ハンドル72内の個々の駆動入力部73に個別に固定されてもよい。ハンドル72から、腱は、細長いシャフト71に沿って1つ以上のプルルーメン(pull lumens)の下方に向けられ、細長いシャフト71の遠位部分、又は細長いシャフトの遠位部分のリストに固定される。腹腔鏡、内視鏡、又はハイブリッド処置などの外科処置中、これらの腱は、リスト、把持具、又ははさみなどの遠位に装着されたエンドエフェクタに連結されてもよい。このような構成の下で、駆動入力部73に及ぼされるトルクは、腱に張力を伝達し、それによってエンドエフェクタを何らかの方法で作動させる。いくつかの実施形態では、外科処置中に、腱は、関節を軸の周りで回転させることができ、それによってエンドエフェクタを一方向又は別の方向に移動させる。代替的には、腱は、細長いシャフト71の遠位端部で把持具の1つ以上のジョーに接続されてもよく、腱からの張力によって把持具は閉鎖される。
【0060】
内視鏡検査では、腱は、接着剤、制御リング、又は他の機械的固定を介して、細長いシャフト71に沿って(例えば、遠位端部に)位置決めされている屈曲部又は関節運動部に連結されてもよい。屈曲部の遠位端部に固定的に取り付けられる場合、駆動入力部73に及ぼされるトルクは、腱の下流に伝達され、より軟質の屈曲部(関節運動可能部又は関節運動可能領域と呼ばれることがある)を屈曲又は関節運動させる。非屈曲部分に沿って、個々の腱を内視鏡シャフトの壁に沿って(又は内側に)向く個々のプルルーメンを螺旋状又は渦巻状にして、プルワイヤにおける張力からもたらされる半径方向の力の釣り合いをとることが有利であり得る。螺旋の角度及び/又はそれらの間の間隔は、特定の目的のために変更又は設計することができ、よりきつい螺旋は負荷力の下でより少ないシャフト圧縮を示し、一方、より少ない量の螺旋は負荷力の下でより大きなシャフト圧縮をもたらすが、屈曲を制限する。スペクトルのもう一方の端部では、プルルーメンは、細長いシャフト71の長手方向軸に平行に方向付けられて、所望の屈曲部又は関節運動可能部における制御された関節運動を可能にしてもよい。
【0061】
内視鏡検査では、細長いシャフト71は、ロボット処置を支援するいくつかの構成要素を収容する。シャフト71は、シャフト71の遠位端部における手術領域に対して外科用ツール(又は医療用器具)を展開する、灌注する、及び/又は吸引するための作業チャネルを含んでもよい。シャフト71は、遠位先端部の光学アセンブリに信号を伝送するためのワイヤ及び/又は光ファイバも収容してもよく、これは光学カメラを含んでもよい。シャフト71はまた、発光ダイオードなどの近位に位置する光源からシャフト71の遠位端部に光を搬送するための光ファイバを収容してもよい。
【0062】
器具70の遠位端部では、遠位先端部は、診断及び/又は治療、灌注、及び吸引のためにツールを手術部位に送達するための作業チャネルの開口部を含んでもよい。遠位先端部はまた、内部解剖学的空間の画像をキャプチャするために、ファイバスコープ又はデジタルカメラなどのカメラのためのポートを含んでもよい。関連して、遠位先端部はまた、カメラを使用する場合に解剖学的空間を照明するための光源用のポートを含んでもよい。
【0063】
図16の例では、駆動シャフト軸、すなわち駆動入力軸は、細長いシャフト71の軸に直交する。しかしながら、この配置は、細長いシャフト71のロール能力を複雑にする。駆動入力部73を静止させながら、細長いシャフト71をその軸に沿ってロールさせることにより、腱が駆動入力部73から延在し、細長いシャフト71内のプルルーメンに入るときに、腱の望ましくない絡まりをもたらす。そのような腱の結果としての絡まりは、内視鏡処置中の可撓性の細長いシャフト71の動きを予測することを意図した制御アルゴリズムを混乱させる可能性がある。
【0064】
図17は、駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸に平行である、器具ドライバ及び器具の代替的な設計を示す。示されるように、円形の器具ドライバ80は、ロボットアーム82の端部において平行に位置合わせされた駆動出力部81を備える4つの駆動ユニットを含む。駆動ユニット及びそれらのそれぞれの駆動出力部81は、アセンブリ83内の駆動ユニットのうちの1つによって駆動される器具ドライバ80の回転アセンブリ83内に収容される。回転駆動ユニットによって提供されるトルクに応答して、回転アセンブリ83は、回転アセンブリ83を器具ドライバ80の非回転部分84に接続する円形ベアリングに沿って回転する。電力及び制御信号は、ブラシ付きスリップリング接続(図示せず)による回転を通して維持され得る電気接点を介して、器具ドライバ80の非回転部分84から回転アセンブリ83に伝達されてもよい。他の実施形態では、回転アセンブリ83は、非回転可能部分84に一体化され、したがって他の駆動ユニットと平行ではない別個の駆動ユニットに応答してもよい。回転機構83は、器具ドライバ80が、器具ドライバ軸85周りの単一ユニットとして、駆動ユニット及びそれらのそれぞれの駆動出力部81を回転させることを可能にする。
【0065】
先に開示した実施形態と同様に、器具86は、細長いシャフト部分88と、器具ドライバ80内の駆動出力部81を受け入れるように構成された複数の駆動入力部89(レセプタクル、プーリー、及びスプールなど)を含む器具基部87(説明目的のために透明な外部スキンで示される)と、を含んでもよい。先の開示された実施形態とは異なり、器具シャフト88は、器具基部87の中心から延在し、軸は駆動入力部89の軸に実質的に平行であり、図16の設計にあるように直交してはいない。
【0066】
器具ドライバ80の回転アセンブリ83に連結されると、器具基部87及び器具シャフト88を含む医療用器具86は、器具ドライバ軸85を中心にして回転アセンブリ83と一緒に回転する。器具シャフト88は器具基部87の中心に位置決めされているため、器具シャフト88は、取り付けられたときに器具ドライバ軸85と同軸である。したがって、回転アセンブリ83の回転により、器具シャフト88は、それ自体の長手方向軸を中心に回転する。更に、器具基部87が器具シャフト88と共に回転すると、器具基部87内の駆動入力部89に接続された任意の腱は、回転中に絡まらない。したがって、駆動出力部81、駆動入力部89、及び器具シャフト88の軸の平行性は、制御腱を絡めることなくシャフト回転を可能にする。
【0067】
図18は、いくつかの実施形態による、器具ベースの挿入アーキテクチャを有する器具を示す。器具150は、上述の器具ドライバのいずれかに連結することができる。器具150は、細長いシャフト152と、シャフト152に接続されたエンドエフェクタ162と、シャフト152に連結されたハンドル170と、を含む。細長いシャフト152は、近位部分154及び遠位部分156を有する管状部材を含む。細長いシャフト152は、その外側表面に沿った1つ以上のチャネル又は溝158を含む。溝158は、1つ以上のワイヤ又はケーブル180をそれを通して受け入れるように構成されている。したがって、1つ以上のケーブル180は、細長いシャフト152の外側表面に沿って延びる。他の実施形態では、ケーブル180は、細長いシャフト152を通って延びることもできる。ケーブル180のうちの1つ以上の操作(例えば、器具ドライバを介して)により、エンドエフェクタ162の作動がもたらされる。
【0068】
器具基部とも称され得る器具ハンドル170は、一般に、器具ドライバの取り付け面上で1つ以上のトルクカプラと往復嵌合するように設計された1つ以上の機械的入力部174、例えばレセプタクル、プーリー又はスプールを有する取り付けインターフェース172を含むことができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、器具150は、細長いシャフト152がハンドル170に対して並進することを可能にする一連のプーリー又はケーブルを含む。換言すれば、器具150自体は器具の挿入に適応する器具ベースの挿入アーキテクチャを含み、それによって器具150の挿入を提供するためにロボットアームへの依存を最小化する。他の実施形態では、ロボットアームは、器具の挿入に大きく関与することができる。
【0070】
E.コントローラ
本明細書に記載の任意のロボットシステムは、ロボットアームに取り付けられた器具を操作するための入力デバイス又はコントローラを含むことができる。いくつかの実施形態では、コントローラは、器具と連結(例えば、通信的に、電子的に、電気的に、無線的に、及び/又は機械的に)することができ、それによりコントローラの操作は、例えば、マスタースレーブ制御を介して、器具の対応する操作を引き起こす。
【0071】
図19は、コントローラ182の実施形態の斜視図である。本実施形態では、コントローラ182は、インピーダンス制御及びアドミタンス制御の両方を有することができるハイブリッドコントローラを含む。他の実施形態では、コントローラ182は、インピーダンス又は受動的制御だけを利用することができる。他の実施形態では、コントローラ182は、アドミタンス制御だけを利用することができる。ハイブリッドコントローラであることにより、コントローラ182は、有利には、使用中、より低い知覚慣性を有することができる。
【0072】
図示される実施形態では、コントローラ182は、2つの医療用器具の操作を可能にするように構成され、2つのハンドル184を含む。ハンドル184の各々は、ジンバル186に接続されている。各ジンバル186は、位置決めプラットフォーム188に接続されている。
【0073】
図19に示されるように、各位置決めプラットフォーム188は、プリズム接合部196によってカラム194に連結されたSCARAアーム(selective compliance assembly robot arm)198を含む。プリズム接合部196は、(例えば、レール197に沿って)カラム194に沿って並進して、ハンドル184の各々がz方向に並進され、第1の自由度を提供するように構成されている。SCARAアーム198は、x-y平面におけるハンドル184の動作を可能にし、2つの更なる自由度を提供するように構成されている。
【0074】
いくつかの実施形態では、1つ以上のロードセルがコントローラ内に位置決めされる。例えば、いくつかの実施形態では、ロードセル(図示せず)は、ジンバル186の各々の本体内に位置決めされる。ロードセルを設けることによって、コントローラ182の一部分は、アドミタンス制御下で動作することができ、それによって、使用中にコントローラの知覚慣性を有利に低減する。いくつかの実施形態では、位置決めプラットフォーム188はアドミタンス制御用に構成され、一方、ジンバル186はインピーダンス制御用に構成されている。他の実施形態では、ジンバル186はアドミタンス制御用に構成され、位置決めプラットフォーム188はインピーダンス制御用に構成されている。したがって、いくつかの実施形態では、位置決めプラットフォーム188の並進又は位置自由度は、アドミタンス制御に依存することができ、一方、ジンバル186の回転自由度はインピーダンス制御に依存する。
【0075】
F.ナビゲーション及び制御
従来の内視鏡検査は、オペレータである医師に腔内誘導を提供するために、蛍光透視法(例えば、Cアームを通して送達され得るような)、及び他の形態の放射線ベースの撮像モダリティの使用を伴うことがある。対照的に、本開示によって企図されるロボットシステムは、放射線への医師の暴露を低減し、手術室内の機器の量を低減するために、非放射線ベースのナビゲーション及び位置特定手段を提供することができる。本明細書で使用するとき、用語「位置特定」は、基準座標系内のオブジェクトの位置を判定及び/又は監視することを指すことがある。術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイムEM追跡、及びロボットコマンドデータなどの技術は、放射線を含まない動作環境を達成するために個別に又は組み合わせて使用されてもよい。放射線ベースの撮像モダリティが依然として使用されるその他の場合、術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイムEM追跡、及びロボットコマンドデータは、放射線ベースの撮像モダリティによってのみ取得される情報を改善するために、個別に又は組み合わせて使用されてもよい。
【0076】
図20は、例示的な実施形態にかかる、器具の場所など、ロボットシステムの1つ以上の要素の場所を推定する位置特定システム90を示すブロック図である。位置特定システム90は、1つ以上の命令を実行するように構成されている1つ以上のコンピュータデバイスの組であってもよい。コンピュータデバイスは、上で考察された1つ以上の構成要素内のプロセッサ(又は複数のプロセッサ)及びコンピュータ可読メモリによって具現化されてもよい。例として、限定するものではないが、コンピュータデバイスは、図1に示されるタワー30内にあっても、図1図4に示されるカート11内にあっても、図5図14に示されるベッド内にあってもよい。
【0077】
図20に示されるように、位置特定システム90は、入力データ91~94を処理して医療用器具の遠位先端部の場所データ96を生成する位置特定モジュール95を含んでもよい。場所データ96は、基準系に対する器具の遠位端部の場所及び/又は向きを表すデータ又は論理であってもよい。基準系は、患者の解剖学的構造、又はEM場発生器(EM場発生器についての以下の考察を参照)などの既知の物体に対する基準系とすることができる。
【0078】
ここで、様々な入力データ91~94についてより詳細に説明する。術前マッピングは、低用量CTスキャンの群を使用して達成することができる。術前CTスキャンは、例えば、患者の内部解剖学的構造の断面図の「スライス」として可視化される三次元画像へと再構成される。全体として分析される場合、患者の肺網などの患者の解剖学的構造の解剖学的空腔、空間、及び構造のための画像ベースのモデルが生成され得る。中心線形状(center-line geometry)などの手法をCT画像から決定及び近似して、モデルデータ91(術前CTスキャンのみを使用して生成された場合は「術前モデルデータ」とも称される)と称される患者の解剖学的構造の三次元ボリュームを作成することができる。中心線形状の使用は、米国特許出願第14/523,760号で考察されており、その内容はその全体が本明細書に組み込まれる。ネットワーク位相モデルもまた、CT画像から導出されてもよく、気管支鏡検査に特に適している。
【0079】
いくつかの実施形態では、器具はカメラを装備して、視覚データ(又は画像データ)92を提供してもよい。位置特定モジュール95は、視覚データ92を処理して、1つ以上の視覚ベースの(又は画像ベースの)位置追跡モジュール又は機能を有効にしてもよい。例えば、術前モデルデータ91は、医療用器具(例えば、内視鏡又は内視鏡の作業チャネルを通って前進する器具)のコンピュータビジョンベースの追跡を可能にするために、視覚データ92と共に使用されてもよい。例えば、術前モデルデータ91を使用して、ロボットシステムは、内視鏡の予想される移動経路に基づいて、モデルから、予測される内視鏡画像のライブラリを生成することができ、各画像はモデル内の場所にリンクされる。手術中に、このライブラリは、カメラ(例えば、内視鏡の遠位端部でのカメラ)でキャプチャされたリアルタイム画像を画像ライブラリ内のものと比較して、位置特定を支援するために、ロボットシステムによって参照することができる。
【0080】
他のコンピュータビジョンベースの追跡技術は、追跡機能を使用して、カメラ、したがって内視鏡の動作を決定する。位置特定モジュール95のいくつかの特徴は、解剖学的管腔に対応する術前モデルデータ91内の円形幾何学形状を特定し、どの解剖学的管腔が選択されたか、並びにカメラの相対的な回転及び/又は並進運動を決定するために、それらの幾何学的形状の変化を追跡してもよい。位相マップの使用は、視覚ベースのアルゴリズム又は技術を更に向上させることがある。
【0081】
光学フロー、別のコンピュータビジョンベースの技術は、カメラの移動を推測するために、視覚データ92内のビデオシーケンス内の画像ピクセルの変位及び並進を分析してもよい。光学フロー技術の例としては、動作検出、オブジェクトセグメンテーション計算、輝度、動作補償符号化、立体視差測定などを挙げることができる。複数の反復にわたり多数のフレームを比較することにより、カメラ(及びしたがって内視鏡)の移動及び位置を判定することができる。
【0082】
位置特定モジュール95は、リアルタイムEM追跡を使用して、術前モデルによって表される患者の解剖学的構造に登録され得るグローバル座標系内に、内視鏡のリアルタイムの場所を生成することができる。EM追跡では、医療用器具(例えば、内視鏡器具)内の1つ以上の位置及び向きに埋め込まれた1つ以上のセンサコイルを含むEMセンサ(又はトラッカー)は、既知の位置に配置された1つ以上の静的EM場発生器によって生成されるEM場の変動を測定する。EMセンサによって検出された位置情報は、EMデータ93として記憶される。EM場発生器(又は送信機)は、埋め込まれたセンサが検出し得る低強度磁場を生成するために、患者に近接して配置することができる。磁場はEMセンサのセンサコイル内に小さな電流を誘導し、EMセンサとEM場発生器との間の距離及び角度を判定するためにこの電流が分析され得る。これらの距離及び向きは、患者の解剖学的構造の術前モデル内の位置と座標系内の単一の場所を位置合わせする幾何学的変換を判定するために、患者の解剖学的構造(例えば、術前モデル)に術中「登録」され得る。一旦登録されると、医療用器具の1つ以上の位置(例えば、内視鏡の遠位先端部)に埋め込まれたEMトラッカは、患者の解剖学的構造を通る医療用器具の進行のリアルタイム表示を提供することができる。
【0083】
ロボットコマンド及び運動学データ94はまた、ロボットシステムのための位置特定データ96を提供するために、位置特定モジュール95によって使用されてもよい。関節運動コマンドから生じるデバイスピッチ及びヨーは、術前較正中に判定され得る。術中、これらの較正測定値は、既知の挿入深度情報と組み合わせて使用されて、器具の位置を推定し得る。代替的には、これらの計算は、EM、視覚、及び/又は位相モデリングと組み合わせて分析して、ネットワーク内の医療用器具の位置を推定し得る。
【0084】
図20が示すように、多くの他の入力データは、位置特定モジュール95によって使用することができる。例えば、図20には示していないが、形状感知ファイバを利用する器具は、位置特定モジュール95が器具の場所及び形状を判定するために使用し得る形状データを提供することができる。
【0085】
位置特定モジュール95は、入力データ91~94を組み合わせて使用することができる。場合によっては、このような組み合わせは、位置特定モジュール95が入力データ91~94の各々から判定された場所に信頼重み(confidence weight)を割り当てる確率的アプローチを使用し得る。したがって、EMデータが信頼でき得ない場合(EM干渉が存在する場合など)、EMデータ93によって判定された場所の信頼性を低下させることになり、位置特定モジュール95は、視覚データ92並びに/又はロボットコマンド及び運動学データ94により重く依存してもよい。
【0086】
上で考察されるように、本明細書で考察されるロボットシステムは、上述の技術のうちの1つ以上の組み合わせを組み込むように設計することができる。タワー、ベッド、及び/又はカートをベースとするロボットシステムのコンピュータベースの制御システムは、例えば、永続的な磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に、コンピュータプログラム命令を記憶してもよく、コンピュータプログラム命令は、実行されると、システムに、センサデータ及びユーザーコマンドを受信及び分析させ、システム全体の制御信号を生成させ、グローバル座標系内の器具の位置、解剖学的マップなどのナビゲーション及び位置特定データを表示させる。
【0087】
2.ロボット医療用システムの患者プラットフォーム用の傾斜機構
上記のいくつかの例に示されるように、ロボット医療用システムは、患者プラットフォーム(ベッド又はテーブルとも呼ばれる)を含むことができる。患者プラットフォームは、ロボット内視鏡検査、ロボット腹腔鏡検査、開腹術などの医療処置中に患者を支持するように構成され得る(例えば、上記の図1図3図4図5図8、及び図9を参照)。一般に、患者は、処置中に患者プラットフォーム上に横たわる(又は他の方法で載置される)。そして、この処置は、患者プラットフォーム上に載置された患者へのアクセスを有する1つ以上のロボットアーム及び1つ以上のロボット制御可能な医療器具を使用して実行され得る。患者プラットフォームはまた、多くの非ロボット(すなわち、手動)医療処置でも使用されてもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、患者プラットフォームは、患者を支持するための略水平面を備える。つまり、いくつかの実施形態では、患者プラットフォームは、患者プラットフォームを支持する面(例えば、地面又は床)に略平行である、患者を支持するための面を備える。
【0089】
しかしながら、いくつかの医療処置中に、患者プラットフォームを他の位置(例えば、非水平位置)又は角度(例えば、患者プラットフォームを支持する面又は床に平行でない角度)に位置決めすることが有益である場合がある。より具体的には、いくつかの医療処置では、患者プラットフォームを水平又はデフォルト位置に対して横方向(左右)又は長手方向(頭からつま先まで)に枢動、回転、又は傾斜させることが望ましい場合がある。場合によっては、患者プラットフォームを横方向及び長手方向の両方に同時に傾斜させることが有益である場合がある。
【0090】
例えば、胆嚢摘出術中に、医師は患者のプラットフォームを横方向に傾斜させることを望む場合がある。これは、胆嚢へのアクセスを可能にするために行われ得る。
【0091】
患者プラットフォームを長手方向に傾斜させると、患者プラットフォーム上に載置された患者をトレンデレンブルグ体位(患者の足を頭より高く保つ)又は逆トレンデレンブルグ体位(患者の頭を足より高く保つ)に置くことができる。一例として、子宮摘出術中に、医師は患者のプラットフォームを長手方向に傾斜させることを望む場合がある。これは、子宮へのアクセスを可能にするために行われ得る。
【0092】
ルーワイ胃バイパス術(RYGB)中に、標的の解剖学的構造にアクセスするために、横方向及び長手方向の傾斜を同時に行うことが望ましい場合がある。ここにリストされた医療処置は、横方向及び/又は長手方向の傾斜が望ましいか又は有益である可能性がある例を提供する。このリストは網羅的なものではなく、横方向及び/又は長手方向の傾斜は、他の多くの医療処置中に有益に使用され得る。更に、提供された例はロボット医療処置への応用を示すが、横方向及び/又は長手方向の傾斜も、非ロボット又は手動の医療処置、並びに一般的に内視鏡及び/又は経皮的処置において有益に実施され得る。
【0093】
この応用は、患者プラットフォーム用の新しい傾斜機構を対象とする。傾斜機構は、横方向及び/又は長手方向の傾斜を提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、傾斜機構は、図1図20などを参照して上述したようなロボット医療用システムで使用するように構成される。これは、全ての実施形態でそうである必要はないが、本明細書に記載の患者プラットフォーム用の傾斜機構は、非ロボット又は手動の医療システムで使用するように更に構成され得る。いくつかの実施形態では、傾斜機構は、低プロファイルを有するように有利に構成される。傾斜機構の低プロファイルは、上記及び本明細書に記載される十分な可動域を提供しながら、傾斜機構を小さなフォームファクタ内に嵌合させることを可能にできる。更に、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の傾斜機構は、横方向の傾斜及び長手方向の傾斜の両方を同時に可能にするように有利に構成され得る。
【0094】
図21A及び図21Bは、患者プラットフォーム201及び傾斜機構207を含むロボット医療用システム200の実施形態を示す。この例では、患者プラットフォーム201は、基部205と患者プラットフォーム201との間に延在するカラム203によって支持されている。傾斜機構207は、患者プラットフォームがカラム203に対して枢動、回転、又は傾斜することを可能にするために、カラム203と患者プラットフォーム201との間に配置され得る。傾斜機構207は、図21A及び図21Bに詳細に示されていないが、いくつかの例示的な傾斜機構は、図24A図33Eを参照して以下、より詳細に説明される。以下に説明するように、傾斜機構207は、患者プラットフォーム201の横方向及び/又は長手方向の傾斜を可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、傾斜機構207は、患者プラットフォーム201の横方向及び長手方向の同時傾斜を可能にする。図21A及び図21Bは、非傾斜状態又は位置にある患者プラットフォーム201を示す。いくつかの実施形態では、非傾斜状態又は位置は、患者プラットフォーム201のデフォルト位置であってもよい。いくつかの実施形態では、患者プラットフォーム201のデフォルト位置は、示されるように実質的に水平な位置である。図示のように、非傾斜状態では、患者プラットフォーム201は、ロボット医療用システム200を支持する面(例えば、地面又は床)に対して水平又は平行に配置され得る。図22A及び図22Bは、それぞれ、横方向及び長手方向の傾斜の例を示し、以下で説明する。
【0095】
図21A及び図21Bを引き続き参照すると、システム200の図示された例では、患者プラットフォーム201は、剛性支持構造体又はフレーム209を備える。フレーム209は、1つ以上の面、パッド、又はクッション211を支持することができる。患者プラットフォーム201の上面は、支持面213を含むことができる。医療処置中に、患者は支持面213上に載置され得る。基部205は、システム200を支持するように構成され得る。図示される実施形態では、基部205はホイール215を含む。ホイール215は、システム200が容易に移動可能又は再配置可能であることを可能にできる。いくつかの実施形態では、ホイール215は省略され、基部205は地面又は床に直接的に置くことができる。いくつかの実施形態では、ホイール215は足で置き換えられている。
【0096】
図21A及び図21Bは、いくつかの実施形態では、システム200が1つ以上のロボットアーム217を含むことができることを示す。ロボットアーム217は、図1図20を参照して上記のロボット医療処置を行うように構成され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のロボット制御可能な器具(図21A及び図21Bに図示せず)は、上記のロボットアーム217に連結されてもよい。図21A及び図21Bに示されるように、いくつかの実施形態では、ロボットアーム217は、調整可能なアーム支持体219上に支持され得る。調整可能なアーム支持体219は、ロボット医療処置用の1つ以上のロボットアーム217を配置するように、又は収納用の1つ以上のロボットアーム217を配置するように構成され得る。図21Aは、患者プラットフォーム201の下で、かつ基部205の近位に収納された構成におけるロボットアーム217及び調整可能なアーム支持体219を示す。
【0097】
図21Bは、例えば、ロボットアーム217が患者プラットフォーム201の上方に到達する、例示的な展開構成におけるロボットアーム217及び調整可能なアーム支持体219を示す。いくつかの実施形態では、患者プラットフォーム201の下に異なる構成要素を収納することを可能にするシステム200の構成により(図21Aを参照)、ロボットアーム217及びアーム支持体219は、患者プラットフォーム201の下方の空間を占めることができる。したがって、いくつかの実施形態では、以下に説明するように、患者プラットフォーム201の下に収納可能な空間を最大化するために、傾斜機構207を低プロファイル及び/又は低容積を有するように構成することが有利であり得る。
【0098】
図21A及び図21Bは、本明細書に開示された実施形態の特定の特徴を説明するために使用される例示的なx、y、及びz座標系を示す。この座標系は例示及び説明のみを目的として提供されており、他の座標系が使用されてもよいことが理解される。図示された例では、x方向又はx軸は、患者プラットフォーム201が非傾斜状態にある場合、患者プラットフォーム201を横切って横方向に延在する。つまり、x方向は、患者プラットフォーム201が非傾斜状態にある場合、横方向の一方側(例えば、右側)から横方向の他方側(例えば、左側)まで患者プラットフォーム201を横切って延在する。y方向又はy軸は、患者プラットフォーム201が非傾斜状態にある場合、患者プラットフォーム201に沿って長手方向に延在する。つまり、y方向は、患者プラットフォーム201が非傾斜状態にある場合、一方の長手方向端部(例えば、頭側端部)から他方の長手方向端部(例えば、足側端部)まで患者プラットフォーム201に沿って延在する。非傾斜状態では、患者プラットフォーム201は、x-y平面にあるか又は平行であってもよく、床又は地面に平行であってもよい。図示された例では、z方向又はz軸は、カラム203に沿って垂直方向に延在する。図22A及び図22Bを参照して以下に説明するように、いくつかの実施形態では、傾斜機構207は、y軸に平行な横方向傾斜軸の周りで患者プラットフォーム201を回転させることにより、患者プラットフォーム201を横方向に傾斜させるように構成される。傾斜機構207は更に、x軸に平行な長手方向傾斜軸の周りで患者プラットフォーム201を回転させることにより、患者プラットフォーム201を長手方向に傾斜させるように構成され得る。
【0099】
図22Aは、患者プラットフォーム201の横方向の傾斜を示す、ロボット医療用システム200の実施形態の端面図である。前述同様に、医療システム200は、カラム203によって基部205の上方に支持されている患者プラットフォーム201を含む。傾斜機構207は、患者プラットフォーム201がカラム203に対して傾斜することを可能にするために、患者プラットフォーム201とカラム203との間に配置され得る。図22Aは、y軸がページ内に延在する端面図を示す。患者プラットフォーム201は、3つの異なる位置で示されている。患者プラットフォーム201は、非傾斜状態で実線で示されている。患者プラットフォーム201は、第1の横方向に傾斜した状態で破線で示されている。第1の横方向に傾斜した状態では、患者プラットフォーム201は、横方向傾斜角αに傾斜して示されている。いくつかの実施形態では、傾斜機構207は、非傾斜状態に対して少なくとも約5度、10度、15度、20度、25度、30度、35度、40度、45度以上の横方向傾斜角αを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、傾斜機構207は、患者プラットフォーム201が非傾斜状態から両横方向に傾斜することを可能にするように構成され得る。つまり、横方向傾斜角αは正であっても負であってもよい。負の角度αを有する第2の横方向に傾斜した状態は点線で示されている。いくつかの実施形態では、患者プラットフォーム201は、破線及び点線で示された位置の間の任意の角度に横方向に傾斜することができる。図22Aに示されるように、横方向の傾斜は、横方向傾斜軸の周りで患者プラットフォーム201を枢動又は傾斜させることを含むことができる。横方向傾斜軸は、y軸に平行であり得る。例えば、図22Aでは、横方向傾斜軸は、ページの内外に延在する。
【0100】
図22Bは、患者プラットフォーム201の長手方向の傾斜を示す、ロボット医療用システム200の実施形態の側面図である。図22Bでは、x軸はページ内に延在する。図22Bは、3つの異なる位置にある患者プラットフォーム201を示す。患者プラットフォーム201は、非傾斜状態で実線で示されている。患者プラットフォーム201は、第1の長手方向に傾斜した状態で破線で示されている。第1の長手方向に傾斜した状態では、患者プラットフォーム201は、長手方向傾斜角βに傾斜して示されている。いくつかの実施形態では、傾斜機構207は、非傾斜状態(実線で図示)に対して少なくとも約5度、10度、15度、20度、25度、30度、35度、40度、45度、50度、55度、60度以上の長手方向傾斜角βを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、傾斜機構207は、患者プラットフォーム201が非傾斜状態から両長手方向に傾斜することを可能にするように構成され得る。つまり、長手方向傾斜角βは正であっても負であってもよい。負の角度βを有する第2の長手方向に傾斜した状態は点線で示されている。いくつかの実施形態では、患者プラットフォーム201は、破線及び点線で示された位置の間の任意の角度に長手方向に傾斜することができる。図22Bに示されるように、長手方向の傾斜は、患者プラットフォーム201を長手方向傾斜軸の周りで枢動又は傾斜させることを含むことができる。長手方向傾斜軸は、x軸に平行であり得る。例えば、図22Bでは、長手方向傾斜軸は、ページの内外に延在する。
【0101】
先に述べたように、いくつかの実施形態では、傾斜機構207は、同時の横方向の傾斜(図22A)及び長手方向の傾斜(図22B)を可能にするように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、傾斜機構207は、非傾斜状態に対して少なくとも約15度、20度、25度、30度、35度、40度、45度以上の横方向傾斜角αを可能にすると共に、同時に、非傾斜状態に対して少なくとも約15度、20度、25度、30度、35度、40度、45度、50度、55度、60度以上の長手方向傾斜角βを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、横方向及び長手方向の同時傾斜を実現するために、傾斜機構207は、同時に操作可能な横方向傾斜機構及び長手方向傾斜機構を備えることが好ましい。例示的な横方向傾斜機構400を図24A図29を参照して以下に説明し、横方向傾斜機構400及び長手方向傾斜機構510を含む例示的な傾斜機構500を図30A図31を参照して説明する。横方向及び長手方向の両方の傾斜を提供するように構成された別の傾斜機構700は、図33A図33Eに示されている。
【0102】
いくつかの実施形態では、傾斜機構207は、様々なサイズの患者、及び患者プラットフォーム201自体の重量を支持するために、かなりの負荷を支持するように構成される。いくつかの実施形態では、傾斜機構207は、少なくとも300ポンド、少なくとも400ポンド、少なくとも500ポンド、少なくとも600ポンド、少なくとも700ポンド以上を収容するように構成される。
【0103】
図23は、その患者プラットフォーム301を傾斜させるための油圧傾斜機構307を含むロボットシステム300の実施形態を示す。この例では、患者プラットフォーム301は、カラム303によって基部305の上方に支持されている。油圧傾斜機構307は、患者プラットフォーム310を横方向に傾斜させるように作動可能であるように構成された横方向傾斜油圧ピストン317と、患者プラットフォーム301を長手方向に傾斜させるように作動可能であるように構成された長手方向傾斜油圧ピストン319とを備える。更に、油圧傾斜機構307は油圧ピストン317、319を使用するため、システム300はまた、油圧流体を保持する流体リザーバ321と、油圧ピストン317、319を作動させるためのポンプ323とを備える。図示のように、システム300は、患者プラットフォーム301の下に嵌合するように構成される。しかしながら、油圧傾斜機構307(油圧ピストン317、319、流体リザーバ321、及びポンプ323を含む)は、患者プラットフォーム310の下でかなりの空間を占める。特に、油圧傾斜機構307は、患者プラットフォーム301の下でかなりの「掃引」容積を占める。ここで使用されているように、「掃引」容積は、傾斜中に特定のメカニズム(例えば、油圧ピストン)が占める空間である。このような油圧傾斜機構307は、ロボットアーム及び調整可能なアーム支持体を収納構成における患者プラットフォームの下に嵌合させることを、不可能でないにしても、かなり困難にする(図21Aを参照)。したがって、より小さなフォームファクタを備えた傾斜機構が望ましい場合がある。
【0104】
図24A図29は、いくつかの実施形態では、図30A図31に示されるような長手方向傾斜機構510と共に使用できる横方向傾斜機構400の実施形態に関する。場合によっては、横方向傾斜機構400を使用する患者プラットフォームは、横方向傾斜機構400がはるかに低プロファイルで小さなフォームファクタを有するように構成されるので、図23の油圧傾斜機構307に対して多くの改善を提供することができる。これにより、患者プラットフォームの下のスペースを使用してロボットアームを収納するロボット医療用システムでの使用に適することが可能になる(図21Aを参照)。更に、以下は、横方向の傾斜用に構成された横方向傾斜機構400を説明する。同様のメカニズムを長手方向の傾斜用に構成することができる。
【0105】
図24Aは、非傾斜状態での横方向傾斜機構400の端面図を示す。図示されるように、非傾斜状態は水平状態であり得る。非傾斜状態は、横方向傾斜機構400のデフォルト位置であってもよい。図24B及び図24Cは、第1及び第2の傾斜状態での横方向傾斜機構400を示す端面図である。最初に図24Aを参照すると、横方向傾斜機構400は、ピボット又は傾斜プレート401を備える。傾斜プレート401は、略平坦な又は平面状のプレートを含み得る(例えば、図30Aを参照)。傾斜プレート401は、横方向傾斜機構400の1つ以上の追加の構成要素のための余地を提供するか又はそれらを支持する、凹部、切り欠き、又は突起などの様々な特徴を備えてもよい。これにより、傾斜プレート401は、略平坦な又は平面状のものとして説明されているが、これは、傾斜プレート401上に追加の特徴が形成されてもよいことを理解した上で、一般に形状を参照することができる。例えば、いくつかの実施形態では、傾斜プレート401は完全に平坦である必要がない。いくつかの実施形態では、傾斜プレート401は、概して平面内に延在するプレートを含む。
【0106】
図24Aに示すように、傾斜プレート401は、ジンバル450に接続することができる。ジンバル450は、カラム203の一部であるか又はそれに連結することができる。これにより、いくつかの実施形態では、ジンバル450は、カラム203と傾斜プレート401との間に配置される。ジンバル450は、傾斜プレート401がカラム203に対して枢動、回転、又は傾斜することを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、ジンバル450は、傾斜プレート401が2つ以上の方向に傾斜することを可能にするように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、ジンバル450は、傾斜プレート401が横方向及び長手方向の両方に傾斜することを可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、ジンバル450は、傾斜プレート401が横方向及び長手方向の両方に同時に傾斜することを可能にするように構成される(例えば、図31を参照)。
【0107】
図24Aに示された実施形態では、ジンバル450は、傾斜プレート401が横方向傾斜軸451の周りで横方向に傾斜することを可能にするように構成される。横方向傾斜軸451は、y軸に平行な方向に(すなわち、ページ内に)延在してもよい。傾斜プレート401は、矢印で示される横方向傾斜方向453において横方向傾斜軸451を中心に傾斜することができる。前に述べたように、図24B及び図24Cは、2つの異なる位置で横方向に傾斜した傾斜プレート401を示す。図24Aに示される実施形態のジンバル450はまた、図30A図31を参照して以下に説明されるように、長手方向の傾斜を提供するように構成され得る。
【0108】
傾斜プレート401は、患者プラットフォーム201の下側に取り付けるように構成され得る(図24Aに示されていないが、例えば、図20A図21B及び図31を参照)。したがって、いくつかの実施形態では、ジンバル450及び傾斜プレート401は、患者プラットフォーム201がカラム203に対して傾斜することを可能にするように、カラム203と患者プラットフォーム201との間に配置される。
【0109】
図24Aを引き続き参照すると、横方向傾斜機構400は、傾斜プレート401に装着されたリニアアクチュエータ403を更に含むことができる。リニアアクチュエータ403は、ピボットハウジング405に力を加えるように構成され得る。リニアアクチュエータ403は、チルトプレート401に固定して装着されることができる。リニアアクチュエータ403がピボットハウジング405に力を加えると、ピボットハウジング405は、傾斜プレート401に沿って前後に移動することができる。例えば、ピボットハウジング405は、図24Aの矢印で示される方向455に前後に移動することができる。以下でより詳細に説明するように、ピボットハウジング405が前後に移動すると、傾斜プレート401は、その横方向傾斜軸451の周りで横方向に傾斜する(図24B及び図24Cを参照)。
【0110】
図示される実施形態では、リニアアクチュエータ403は、スクリュードライブアセンブリを備える。スクリュードライブアセンブリは、モータ407、主ねじ409、及びねじナットハウジング411(ピボットハウジング405内であるが、図24Aには見えない;ねじナットハウジング411を示す図25図27を参照)を備えることができる。モータ407は、傾斜プレート401に固定的に装着することができる。モータ407は、主ねじ409を回転させるように構成され得る。主ねじ409は、非傾斜状態でx軸に沿って延在してもよい。より一般的には、主ねじ409は、傾斜プレート401の平面に沿って(例えば、傾斜プレート401のプレート内又はそれに平行に)、横方向傾斜軸451に直交する方向に延在することができる。ねじナットハウジング411は、主ねじ409に装着することができる。主ねじ409が回転すると、ねじナットハウジング411は、主ねじ409に沿って前後に移動することができる。ねじナットハウジング411は、ピボットハウジング405内に装着することができる(図25を参照)。したがって、ねじナットハウジング411に伝達された力は、ピボットハウジング405にも伝達することができ、ねじナットハウジング411が主ねじ409に沿って前後に移動すると、ピボットハウジング405は、それと共に前後に(例えば、方向455に)移動することができる。スクリュードライブアセンブリの例は、以下に説明する図25及び図26に更に詳細に示されている。図示されたリニアアクチュエータ403はスクリュードライブアセンブリであるが、他のタイプのリニアアクチュエータも使用することができる。
【0111】
図24Aに示されるように、いくつかの実施形態では、横方向傾斜機構400は、主ねじ409に平行な方向に延在する1つ以上のリニアガイド413を備えることができる。リニアガイド413は、レールを備えることができる。ピボットハウジング405は、1つ以上のリニアガイド413に装着された1つ以上のキャリッジ415を備えることができる。1つ以上のキャリッジ415は、ピボットハウジング405が方向455に前後に移動すると、1つ以上のリニアガイド413に沿って並進するように構成され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のリニアガイド413は、横方向傾斜機構400の安定性を提供する。いくつかの実施形態において、1つ以上のリニアガイド413は省略可能である。1つ以上のリニアガイド413は、1つ以上のリニアガイド413をより詳細に示す図25及び図26を参照してより詳細に説明される。
【0112】
リニアアクチュエータ403は、横方向傾斜軸451の上方に位置する位置でピボットハウジング405に線形力を加えるように構成される。例えば、図24Aに示されるように、傾斜プレート401が非傾斜状態にある場合、リニアアクチュエータ403は、横方向傾斜軸451の上方の距離Dでピボットハウジング405に線形力を加える。距離Dは、示されるように軸457に沿って測定することができる。非傾斜状態では、軸457は垂直軸又はz軸と一致する。しかしながら、より一般的には、傾斜プレート401が長手方向に傾斜する場合、軸457は、長手方向の傾斜の角度に対して垂直に延在することができる。言い換えれば、軸457は、z-y平面内の横方向傾斜軸に垂直であり得る。次の図を参照して示されるように、傾斜プレート401が横方向に傾斜すると、横方向傾斜軸451とピボットハウジング405への線形力の印加との間の距離(軸457に沿って測定)が変化する(図24AのD図24BのD及び図24CのDと比較する;図29及び対応する説明も参照)。つまり、リニアアクチュエータ403がピボットハウジング405に線形力を加えると、線形力がピボットハウジング405に加えられる点の間の距離が変化し、それにより、以下に説明するように、傾斜プレート401を横方向傾斜軸451の周りで傾斜させる。
【0113】
図24Bは、第1の傾斜状態での図24Aの横方向傾斜機構の端面図である。図示された状態では、リニアアクチュエータ403のモータ407は、方向455に沿ってモータ407から離れる方向にピボットハウジング405を駆動している。図示されるように、方向455は、ピボットプレート401の平面に平行なままである。これは、ピボットハウジング405が、ピボットプレート401に対してそれぞれ固定されている主ねじ409及びリニアレール413に沿って移動するためであり得る。(ピボットハウジング405内の)スクリューナットハウジング411が、主ねじ409に沿って移動することにより、ピボットハウジング405をリニアガイド413に沿って並進させる。このような動きにより、傾斜プレート401を図示されるように傾斜させる。図示される実施形態では、傾斜プレート401は、横方向傾斜角αで第1の方向に傾斜して示されている。いくつかの実施形態では、横方向傾斜角αの範囲は、図21Aを参照して上記のとおりであり得る。
【0114】
図24Bに示されるように、傾斜プレート24Bの傾斜の間、ピボットハウジング405は、軸457に沿って横方向傾斜軸451の上方に配置されたままである。以下に説明するように、これは、ピボットハウジングが、軸457に沿って延在するようにジンバル450に対して固定可能な追加のリニアガイド417(図25図27を参照)にも摺動自在に装着されているためである。横方向傾斜軸451とピボットハウジング405への線形力の印加との間の、軸457に沿って測定された距離D図24Bに示されている。特に、距離D図24B)は、距離D図24A)よりも大きい。これは、以下でより詳細に説明されるように、ピボットハウジング405が、傾斜プレート401が傾斜するにつれて、軸457に沿って上方に並進するためである。ピボットハウジング405の上方への並進は、傾斜機構400の固有の特徴である。リニアアクチュエータ403が傾斜プレートの平面に沿ってピボットハウジング405に線形力を加えると、リニアアクチュエータ403(例えば、モータ407)とピボットハウジング405との間の距離は、方向455に沿って増加する。前述のように、リニアアクチュエータ403は、チルトプレート401に固定することができるが、ピボットハウジング405はそうではない。ピボットハウジング405は、傾斜プレート401の平面に沿って方向455に自由に移動してもよい。更に、ピボットハウジング405は、それが常に軸457上に配置されるように拘束することができる。例えば、傾斜機構400は、軸457に沿って移動するようにピボットハウジング405を拘束する、図25図27(後述)に示されるようなリニアガイド417を含むことができる。
【0115】
図24Cは、第2の傾斜状態での図24Aの横方向傾斜機構の端面図である。図示された状態では、リニアアクチュエータ403のモータ407は、方向455に沿ってモータ407に向かう方向にピボットハウジング405を駆動している。(ピボットハウジング405内の)ねじナットハウジング411が主ねじ409に沿って移動することにより、ピボットハウジング405をリニアガイド413に沿ってモータ407に向かって並進させる。このような動きにより、傾斜プレート401を図示されるように傾斜させる。図示される実施形態では、傾斜プレート401は、横方向傾斜角αで第2の方向に傾斜して示されている。この場合も、横方向傾斜角αは、前述の範囲を有することができる。
【0116】
図24Bに示される位置と同様に、図24Cの位置において、ピボットハウジング140は、軸457に沿って横方向傾斜軸451の上方に配置されたままである。上記のように、これは、ピボットハウジング405が、軸457に沿って並進できるように、リニアガイド417によって更に拘束されるためであり得る。横方向傾斜軸451とピボットハウジング405への線形力の印加との間の、軸457に沿って測定された距離D図24Cに示されている。特に、距離D図24B)は、距離D図24A)よりも大きい。これは、傾斜プレート401が傾斜するにつれて、ピボットハウジング405が軸457に沿って上方に並進するためである。いくつかの実施形態では、図24Cの角度αが図24Bの角度αに等しい場合、距離D図24C)は、距離D図24B)に等しくなり得る。
【0117】
図25は、横方向傾斜機構400の実施形態の等角図である。図25は、一実施形態による、リニアアクチュエータ403、ピボットハウジング405、及びそれらのリニアガイド413、417を示す。図25では、ピボットハウジング405は、ピボットハウジング405の内部特徴及びピボットハウジング405の下の構成要素を見ることができるように、透明として示されている。図25は、図24Cに示される状態と同様の傾斜状態での傾斜機構400を示す。
【0118】
図25に示すように、リニアアクチュエータ403は、モータ407と、主ねじ409と、ねじナットハウジング411とを備えることができる。図示されるように、ねじナットハウジング411は、主ねじ409に装着されている(図26も参照)。モータ407が主ねじ409を回転させると、ねじナットハウジング411は、主ねじ409に沿って方向455に前後に移動する。ねじナットハウジング411は、ピボットハウジング405内に配置することができる。更に、ねじナットハウジング411は、ピボットハウジング405に接続することができる。図示される実施形態では、ねじナットハウジング411は、ピボットハウジング405にボルトで固定されているが、他の接続方法も可能である。ねじナットハウジング411はピボットハウジング405に接続されているため、ねじナットハウジング411が主ねじ409に沿って移動すると、ピボットハウジング405はそれと共に主ねじ409に沿って移動する。このようにして、リニアアクチュエータ403は、ピボットハウジング409を方向455に前後に移動させるように構成され得る。
【0119】
図25に示されるように、ピボットハウジング405は、リニアガイド413と摺動自在に係合可能なキャリッジ415を含むことができる。リニアガイド413は、傾斜プレート401に沿って方向455に延在することができる。リニアガイド413は、傾斜プレート401に取り付けられるか又はそれに対して固定され得る。図示される実施形態では、傾斜機構400は、ねじナットハウジング411の反対側に配置された一対のリニアガイド413を含む。いくつかの実施形態では、他の数のリニアガイド413を使用することができる。例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上のリニアガイド413を使用することができる。いくつかの実施形態では、リニアガイド413は、ピボットハウジング405がリニアガイド413に沿って方向455に前後に並進するときに安定性を提供する。いくつかの実施形態では、リニアガイド413は省略可能である。例えば、リニアガイド413がなくても、ピボットハウジング405は、主ねじ409に沿って方向455に前後に並進するであろう。リニアガイド413は、レールとして構成され得る。
【0120】
図25は、リニアガイド417を更に示す。上記のように、リニアガイド417は、軸457に沿って上下に並進するように、ピボットハウジング405の動きを更に拘束することができる。リニアガイド417は、ジンバル450の一部に対して取り付けられるか又は別様に固定され得る。ピボットハウジング405に接続されているキャリッジ419は、リニアガイド417に沿って並進するように構成され得る。傾斜プレート401はジンバル450に対して傾斜し、リニアガイド417はジンバル450に取り付けられているため、傾斜プレート401もリニアガイド417に対して傾斜する。それは傾斜プレート401の横方向傾斜角に関係なく、リニアガイド417は、軸457に沿って延在する。これは、ピボットハウジング405の動きを、軸457に沿って移動できるように拘束する。これはまた、ピボットハウジング405が(軸457に沿って測定される)横方向ピボット軸の上方に位置することを維持する(図24A図24B、及び図24Cを参照)。リニアガイド417は、レールとして構成され得る。
【0121】
図示される実施形態では、傾斜機構400は、ねじナットハウジング411の各側に配置された1つの横方向ガイド417を備えた一対のリニアガイド417を含む。いくつかの実施形態では、他の数のリニアガイド417を使用することができる。例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上のリニアガイド417を使用することができる。更に、図示される実施形態では、一対のリニアガイド417は、一対のリニアガイド413内に配置されている。これは、全ての実施形態でそうである必要はない。例えば、一対のリニアガイド413は、一対のリニアガイド417の内側に配置され得る。前述のように、リニアガイド413は、傾斜機構400に追加の安定性を提供することができ、いくつかの実施形態では省略可能である。
【0122】
図26は、リニアガイド417及びねじナットハウジング411のより詳細な図を示す横方向傾斜機構400の等角図である。図26では、ピボットハウジング405は、リニアガイド417及びねじナットハウジング411をよりよく示すために除去される。図示されるように、ねじナットハウジング411は、主ねじ409上に配置されている。ねじナットハウジング411はまた、キャリッジ419を介してリニアガイド417と摺動自在に係合する。ねじナットハウジング411は、ねじナットハウジング411がキャリッジ419及びリニアガイド417に対して回転することを可能にするように、キャリッジ419に接続することができる。
【0123】
図27は、ねじナットハウジング411の等角図である。図示されるように、ねじナットハウジング411は、基部構成要素又は本体421を備えることができる。図示される実施形態では、本体421は長方形であるが、本体421の他の形状が可能である。開口部425は、本体421を通って延在することができる。開口部425は、主ねじ409を受け入れるように構成され得る。いくつかの実施形態では、開口部425の内面は、主ねじ409上の対応するねじ山と係合するように螺着される。図示されるように、支柱423は、本体421から横方向に延在することができる。支柱423は、キャリッジ419上に形成された対応する凹部内に受け入れられるように構成され得る。支柱423は、対応する凹部内で回転して、ねじナットハウジング411をキャリッジ419に対して回転させることができる。
【0124】
図28A及び図28Bは、リニアアクチュエータ403からピボットハウジング405及びねじナットハウジング411への力の伝達を示す。図28Aは、線形力の印加を示す横方向傾斜機構400の等角図であり、図28Bは、線形力の成分を示す横方向傾斜機構400の端面図である。
【0125】
図28Aに示されるように、リニアアクチュエータ403は、線形力Fscrewをねじナットハウジング411(及び対応してピボットハウジング405)に加えるように構成される。力Fscrewは、主ねじ409に平行な方向に作用する。モータ407及び主ねじ409は、傾斜プレート401に対して固定して装着されているため、Fscrew及び傾斜プレート401の相対的な向きは、傾斜プレート401の横方向傾斜角に依存しない。むしろ、Fscrewの方向は、傾斜プレート401の平面に平行な方向である。
【0126】
図28Bに示されるように、力Fscrewは、成分ベクトルF及びFに分割することができる。リニアガイド413、417のそれぞれは、2つの成分力F及びFのうちの一方に反応するように構成される。例えば、リニアガイド417は、Fに反応して、垂直方向に並進するか又はピボットハウジング405の軸457(図24A図24B、及び図24Cを参照)に沿って並進するように構成され得る。前述したように、軸457に沿って並進して、傾斜プレート401を横方向傾斜軸の周りで傾斜させる。より具体的には、図示される実施形態では、モータ407が主ねじ409を駆動してねじナットハウジング411及び傾斜ハウジング405を直線運動させると、力Fは、線形ガイド417によって対抗され、それにより、キャリッジ419を固定レールに沿って上に駆動する。これにより、横方向の傾斜が発生する。
【0127】
リニアガイド413は、力Fに反応して、方向455に沿ってピボットハウジング405を並進させるように構成され得る(図24A図24B、及び図24Cを参照)。前述のように、リニアガイド413は、有利に安定性を提供してもよい。例えば、リニアガイド413は、最大偏差を超えて主ねじ409が曲がったり破損したりすることを防止することができる。
【0128】
図29は、一実施形態による横方向傾斜機構400の動きの例を概略的に示す。モータ407、主ねじ409、及びねじナットハウジング411がそれぞれ概略的に示されている。横方向傾斜機構400は、非傾斜状態では実線で、傾斜状態では破線で示されている。図示されるように、モータ407が作動されると、モータ407とねじナットハウジング411との間の距離は、Δdだけ変化する。これにより、ねじナットハウジング411は、リニアガイド413によって作成された垂直方向軌道に沿って上向きに駆動され、これにより、傾斜プレート401を傾斜させる。ねじナットハウジング411が上向きに並進すると、ねじナットハウジング411のピボット点470も垂直方向に並進する。これにより、非傾斜状態から傾斜状態まで、ねじナットハウジングのピボット点470の位置は、横方向傾斜軸451に対してΔdだけ上に移動した。
【0129】
前述したように、横方向傾斜機構400は、低プロファイル又はスモールプロファイルを含み得る。これは、横方向傾斜機構400を略平坦な又は平面状の傾斜プレート401に装着することができ、リニアアクチュエータ403が傾斜プレート401の平面に平行な方向に作用するためであり得る。横方向傾斜機構400の低プロファイルにより、いくつかの実施形態では、横方向傾斜機構400は、長手方向(又はトレンデレンブルグ)傾斜機構に連結することができる。いくつかの実施形態では、横方向傾斜機構400は、長手方向傾斜機構の上に積層することができる。このようにして、傾斜機構は、横方向及び長手方向(又はトレンデレンブルグ)の両方の傾斜を可能にするように構成され得る。
【0130】
図30A及び図30Bは、横方向傾斜機構400及び長手方向傾斜機構510を含むロボット医療用システム200の患者プラットフォーム201のための傾斜機構500の実施形態を示す。図30Aは等角図であり、図30Bは側面図である。傾斜機構500の図示される実施形態では、横方向傾斜機構400は、長手方向傾斜機構510の上に積層されている。
【0131】
図示される実施形態では、横方向傾斜機構400は、上記のように、例えば、傾斜プレート401、リニアアクチュエータ403、及びピボットハウジング405を含むように構成されている。長手方向の傾斜を可能にするために、長手方向傾斜機構510も含まれ得る。図示される実施形態では、長手方向傾斜機構510は、長手方向リンク512を備える。長手方向リンク512は、横方向傾斜プレート410に取り付けることができる(図30Aを参照)。長手方向リンク512はまた、カラム203に取り付けることができる。例えば、図示される実施形態では、長手方向リンク512は、主ねじ518に装着されたキャリッジ520を用いてカラム203に取り付けられている。モータ516は、カラム203に装着され、主ねじ518を回転させるように構成され得る。主ねじが回転すると、キャリッジ520は、カラム203に沿って上下に駆動される。キャリッジ520がカラム203に沿って上下に駆動されると、長手方向リンク512が傾斜プレート401に作用して傾斜プレート401を長手方向に傾斜させる。図30Bに示されるように、長手方向傾斜機構510は、傾斜プレート401を長手方向傾斜軸451の周りで傾斜させるように構成され得る。
【0132】
図31は、傾斜機構500が、それぞれ横方向傾斜機構400及び長手方向傾斜機構510を使用した同時の横方向及び長手方向傾斜の両方のために構成され得ることを示す。前述のように、いくつかの実施形態では、傾斜機構500は、非傾斜状態に対して少なくとも約15度、20度、25度、30度、35度、40度、45度以上の横方向傾斜角を可能にすると共に、同時に非傾斜状態に対して少なくとも約15度、20度、25度、30度、35度、40度、45度、50度、55度、60度以上の長手方向傾斜角を可能にするように構成されている。特定の例として、傾斜機構500は、図31に示されるように、全ての患者プラットフォーム201が30度の横方向の傾斜及び45度の長手方向の傾斜を有するように構成され得る。
【0133】
図32は、ロボット医療用システムの患者プラットフォームの傾斜を制御するための方法600の実施形態を示すフローチャートである。方法600は、リニアアクチュエータを作動させてピボットハウジングに線形力を加えること、第1の軸に沿った第1のリニアガイドに沿ってピボットハウジングを並進させること、及び第2の軸に沿った第2のリニアガイドに沿ってピボットハウジングを並進させることと、に基づいて、患者プラットフォームが横方向傾斜軸の上方に傾斜しているブロック602で開始してもよい。
【0134】
いくつかの実施形態では、第1のリニアガイドは、上記のリニアガイド413を備えることができ、第2のリニアガイドは、上記のリニアガイド417を備えることができる。いくつかの実施形態では、第1のリニアガイド413は、主ねじ409を備える。いくつかの実施形態では、第1の軸は線形力に平行であり、第2の軸は第1の軸に平行ではない。
【0135】
いくつかの実施形態では、リニアアクチュエータを作動させることは、モータで主ねじを駆動することを含む。いくつかの実施形態では、ピボットハウジングは、主ねじに装着されたねじナットハウジングを備える。いくつかの実施形態では、モータは、患者プラットフォームを支持する傾斜プレートに取り付けられており、第1のリニアガイドは、傾斜プレートに取り付けられている。いくつかの実施形態では、第2のリニアガイドは、ジンバル450などのジンバルに取り付けられている。
【0136】
図32に示されるように、ブロック604において、方法600は、患者プラットフォームを支持するカラムに対してジンバルを枢動させて、患者プラットフォームを長手方向傾斜軸の周りで傾斜させることを含む。いくつかの実施形態では、ジンバルをカラムに対して枢動させることは、モータ516、主ねじ518、及びキャリッジ520などの、カラムの軸に沿って並進する長手方向リニアアクチュエータを用いて、長手方向リンク512などの長手方向リンクを駆動することを含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、ブロック602及び604は、方法600が、横方向傾斜軸及び長手方向傾斜軸の周りで同時に患者プラットフォームを傾斜させることを含むように、同時に実行することができる。
【0138】
いくつかの実施形態では、方法600は、患者プラットフォーム上で支持された患者に対してロボット医療処置を行うことを更に含む。
【0139】
図33A図33Eは、横方向及び長手方向の傾斜を提供するように構成された傾斜機構700の別の実施形態を示す。図示される実施形態では、傾斜機構700は、ロボット医療用システムの患者プラットフォーム701を傾斜させるためのオーソドローム傾斜機構を備える。図33Aは、非傾斜位置にある傾斜機構700の側面図を示し、図33Bは、傾斜位置にある傾斜機構700を示す。図33Cは、傾斜機構700の断面図である。
【0140】
図33A図33Cを参照すると、傾斜機構700は、トレンデレンブルグ(例えば、長手方向傾斜)、横方向傾斜、及びそれらの間の位置又は角度の組み合わせを含む、3つの回転自由度を可能にするオーソドロームスイベルを備える。特に、傾斜機構700は、第1の回転部703及び第2の回転部705を備える。第1の回転部703及び第2の回転部705は共に略球形を有する。しかしながら、図33Aに示されるように、第1の回転部703及び第2の回転部705は、それらが取り付けられているカラムの軸に対して非直交角度で接合されている。第1の回転部703は、第2の回転部705に対して回転可能である。更に、患者プラットフォーム701は、第1の回転部703に対して回転可能である。第2の回転部705は、カラム707に連結することができる(カラム707の一部分のみが図33A図33Cに示されている)。患者プラットフォーム701、第1の回転部703、及び第2の回転部705のそれぞれを異なる位置に回転させることにより、患者プラットフォーム701の横方向及び長手方向の傾斜を実現することができる。一例では、傾斜機構700、3つの回転自由度を使用して、患者を最大52度の長手方向の傾斜、最大52度の傾斜、及びそれらの間の角度の組み合わせに配置する。
【0141】
図33Cに示されるように、傾斜機構700は、モータ751及びギアボックス750を含み得る。モータ751及びギアボックス750は、第2の回転部705に対する第1の回転部703の回転を駆動するように構成され得る。傾斜機構700はまた、図示されるように、ブレーキ752を含み得る。ブレーキ752は、患者プラットフォーム701を安定した位置に維持するために傾斜機構700が所望の位置に回転された後、患者プラットフォーム701を所定の位置に固定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、追加のモータ及びギアボックス(又は他の駆動機構)を含めて、コラム707に対する第2の回転部705の回転を駆動することができる。例えば、モータ及びギアボックスを空間754に含めて、カラム707に対する第2の回転部705の回転を駆動することができる。他の実施形態では、カラム707に対して第2の回転部705を回転させるための駆動機構は、カラム707内又は第2の回転部705内などの他の場所に配置することができる。図33D及び図33Eを参照してより詳細に説明されるように、傾斜機構700は、第1の回転部703に対する患者プラットフォーム701の回転を駆動するように構成された1つ以上のウォームドライブ711を含むことができる。いくつかの実施形態では、他の駆動機構(例えば、モータ)を使用して、第1の回転部705に対して患者プラットフォーム701を回転させることができる。傾斜機構700の様々な構成要素の相対的な回転を容易にするために、ベアリング753を含めることができる。
【0142】
図33D及び図33Eは、図33A図33Cの傾斜機構700の上面図を示す。図示されるように、傾斜機構700は、ツインウォームドライブ711を使用して上軸及び下軸を作動させると共に、中央に位置する角度付きスイベルをハーモニックドライブを介して作動させることができる。いくつかの実施形態では、単一のウォームドライブ711のみが含まれる。いくつかの実施形態では、ツインウォームドライブ711は、モータによって駆動することができる。ジョイントに接続されたあらゆる種類のモータ及びギアボックスなどの他のメカニズムも使用可能である。拍車、遊星ギア、ケーブル、又はタイミングベルトは全て、ウォームドライブ711の代替として使用することもできる。角度付きの軸と反対の方向に上軸及び下軸が協調して動くと、テーブルトップに角度が付けられる。これらの3つの軸を異なる速度で回転させることにより、角度の異なる組み合わせを実現することができる。
【0143】
傾斜機構700の利点の1つとしては、機構及び作動の多くが非常に小さなエンベロープ内に含まれることである。他の多くの設計では、横方向及び長手方向傾斜機構のいくつかの態様は、通常、カラム内、上、又はその回りに存在するが、この傾斜機構700は、関連する全ての機構及びモータをカラムの上方にきちんとパッケージ化することを可能にする。傾斜機構700は、電気機械システムであってもよい。油圧システムは、潜在的により小さなパッケージで提供することができるが、電気機械システムが同様のサイズの油圧システムのパワー及びサイズと競合することは困難である場合がある。安全係数で患者を支持するためのトルク要件を考えると、傾斜機構700は、非常に小さくて頑丈なパッケージを提供する。
【0144】
3.実装システム及び用語
本明細書に開示される実装形態は、患者プラットフォームを含むロボット医療用システムのためのシステム、方法、及びデバイスを提供する。特に、本明細書に開示される実装形態は、ロボット医療用システムの患者プラットフォーム用の横方向及び/又は長手方向傾斜機構のためのシステム、方法、及びデバイスを提供する。
【0145】
本明細書で使用するとき、用語「連結する」、「連結している」、「連結された」、又は連結という単語の他の変形は、間接的接続又は直接的接続のいずれかを示し得ることに留意されたい。例えば、第1の構成要素が第2の構成要素に「連結される」場合、第1の構成要素は、別の構成要素を介して第2の構成要素に間接的に接続される、又は第2の構成要素に直接的に接続される、のいずれかであってもよい。
【0146】
本明細書に記載される特定のコンピュータ実装プロセス及び機能を参照する語句は、プロセッサ可読媒体又はコンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令として記憶されてもよい。用語「コンピュータ可読媒体」は、コンピュータ又はプロセッサによってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体を指す。一例として、限定するものではないが、このような媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、又は他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、若しくは他の磁気記憶デバイス、又は命令若しくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスされ得る任意の他の媒体を含んでもよい。コンピュータ可読媒体は、有形であり、非一時的であってもよいことに留意されたい。本明細書で使用するとき、用語「コード」は、コンピューティング装置又はプロセッサによって実行可能であるソフトウェア、命令、コード、又はデータを指してもよい。
【0147】
本明細書に開示される方法は、記載される方法を達成するための1つ以上のステップ又は行為を含む。方法ステップ及び/又は行為は、特許請求の範囲から逸脱することなく互いに交換されてもよい。換言すれば、記載されている方法の適切な動作のために特定の順序のステップ又は行為が必要とされない限り、特許請求の範囲から逸脱することなく、特定のステップ及び/又は行為の順序及び/又は使用を修正してもよい。
【0148】
本明細書で使用するとき、用語「複数」は、2つ以上を示す。例えば、複数の構成要素は、2つ以上の構成要素を示す。用語「判定する」は、多種多様な行為を包含し、したがって、「判定する」は、計算する、演算する、処理する、算出する、調査する、ルックアップする(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造を見ること)、確認することなどを含むことができる。また、「判定する」は、受け取る(例えば、情報を受信すること)、アクセスする(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)などを含むことができる。また、「判定する」は、解決する、選択する、選出する、確立するなどを含むことができる。
【0149】
語句「基づく」は、別途明示的に指定されない限り、「のみに基づく」ことを意味しない。換言すれば、語句「基づく」は、「のみに基づく」及び「少なくとも基づく」の両方を記載する。
【0150】
開示される実装形態の前述の説明は、任意の当業者が本発明を製造すること、又は使用することを可能にするために提供される。これらの実装形態に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかになり、かつ、本明細書で規定される一般的な原理は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実装形態に適用され得る。例えば、当業者であれば、締結、装着、連結、又は係合ツール構成要素の均等の方法、特定の作動運動を生み出すための均等の機構、及び電気エネルギーを送達するための均等の機構など、多くの対応する代替的かつ均等の構造的詳細を採用することができると理解されるであろう。したがって、本発明は、本明細書に示される実装形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原則及び新規な特徴と一致する最も広い範囲が与えられるものである。
【0151】
〔実施の態様〕
(1) 医療用プラットフォームのための傾斜機構であって、
傾斜プレートと、
前記傾斜プレートに装着され、ピボットハウジングに線形力を加えるように構成されたリニアアクチュエータと、
ジンバルに取り付けられた第1のリニアガイドであって、第1の軸に沿って延在し、前記ピボットハウジングが前記第1のリニアガイドに沿って並進するように構成されている、第1のリニアガイドと、を備え、
前記ピボットハウジングに前記線形力を加えると、前記ピボットハウジングを前記第1のリニアガイドに沿って並進させることにより、前記ジンバルに対して前記傾斜プレートが傾斜する、傾斜機構。
(2) 前記ピボットハウジングは、前記ピボットハウジングが前記第1のリニアガイドに沿って並進するとき、前記第1のリニアガイドに対して枢動するように更に構成されている、実施態様1に記載の傾斜機構。
(3) 前記リニアアクチュエータは、第2の軸に沿った方向に前記線形力を加える、実施態様1に記載の傾斜機構。
(4) 前記第1の軸と前記第2の軸とは平行ではない、実施態様3に記載の傾斜機構。
(5) 前記リニアアクチュエータは、主ねじを回転させるように構成されているモータを備え、
前記ピボットハウジングは、前記主ねじに装着されたねじナットハウジングを含む、実施態様1に記載の傾斜機構。
【0152】
(6) 前記傾斜プレートは、ピボット軸の周りで前記ジンバルに対して枢動するように構成され、前記ピボット軸は、前記第1の軸に沿って前記ジンバルに対して並進するように構成されている、実施態様1に記載の傾斜機構。
(7) 前記傾斜プレートに取り付けられた第2のリニアガイドを更に備え、
前記第1のリニアガイドは、第1組のレールを備え、
前記第2のリニアガイドは、第2組のレールを備える、実施態様1に記載の傾斜機構。
(8) 前記第1組のレールは、前記第2組のレールの間に配置されている、実施態様7に記載の傾斜機構。
(9) 前記傾斜プレートは患者プラットフォームに取り付けられ、
前記ジンバルは、前記患者プラットフォームを支持するカラムに取り付けられている、実施態様1に記載の傾斜機構。
(10) ロボット医療用システムであって、
医療処置中に患者を支持するように構成された患者プラットフォームと、
前記患者プラットフォームを支持するカラムと、
前記カラムを前記患者プラットフォームに接続する傾斜機構と、を備え、前記傾斜機構は、
前記患者プラットフォームの横方向傾斜軸の周りで前記患者プラットフォームを枢動させるように構成された横方向傾斜機構と、
前記患者プラットフォームの長手方向傾斜軸の周りで前記患者プラットフォームを枢動させるように構成された長手方向傾斜機構と、を含む、ロボット医療用システム。
【0153】
(11) 前記横方向傾斜機構と前記長手方向傾斜機構は、同時に作動するように構成されている、実施態様10に記載のシステム。
(12) 前記横方向傾斜機構は、前記長手方向傾斜機構の上に配置されている、実施態様10に記載のシステム。
(13) 前記横方向傾斜機構は、前記横方向傾斜軸に垂直な方向に線形力を加えて、前記患者プラットフォームを前記横方向傾斜軸の周りで枢動させるように構成されたリニアアクチュエータを備える、実施態様10に記載のシステム。
(14) 前記横方向傾斜機構は、
前記患者プラットフォームに取り付けられた傾斜プレートと、
前記傾斜プレートに装着され、ピボットハウジングに線形力を加えるように構成されたリニアアクチュエータと、
ジンバルに取り付けられた第1のリニアガイドであって、第1の軸に沿って延在し、前記ピボットハウジングが前記第1のリニアガイドに沿って並進するように構成されている、第1のリニアガイドと、
前記傾斜プレートに取り付けられた第2のリニアガイドであって、第2の軸に沿って延在し、前記ピボットハウジングが前記第2のリニアガイドに沿って並進するように構成されている、第2のリニアガイドと、を備え、
前記ピボットハウジングに前記線形力を加えると、前記ピボットハウジングを前記第1のリニアガイド及び前記第2のリニアガイドに沿って並進させることにより、前記ジンバルに対して前記傾斜プレートが傾斜する、実施態様10に記載のシステム。
(15) 前記リニアアクチュエータは、前記第2の軸に平行な方向に前記線形力を加える、実施態様14に記載のシステム。
【0154】
(16) 前記第1の軸と前記第2の軸とは平行ではない、実施態様14に記載のシステム。
(17) 前記リニアアクチュエータは、主ねじを回転させるように構成されているモータを備え、
前記ピボットハウジングは、前記主ねじに装着されたねじナットハウジングを含む、実施態様14に記載のシステム。
(18) 前記傾斜プレートは、前記横方向傾斜軸の周りで前記ジンバルに対して枢動するように構成され、前記横方向傾斜軸は、前記第1の軸に沿って前記ジンバルに対して並進するように構成されている、実施態様14に記載のシステム。
(19) 前記長手方向傾斜機構は、
前記カラムと前記ジンバルとの間に延在する長手方向傾斜リンク機構と、
前記長手方向傾斜リンク機構を作動させて前記ジンバルを前記カラムに対して枢動させて、前記患者プラットフォームを前記長手方向傾斜軸の周りで傾斜させるように構成されたアクチュエータと、を備える、実施態様14に記載のシステム。
(20) 前記アクチュエータは、前記長手方向傾斜リンク機構を作動させるために前記カラムの軸に沿って並進するように構成された長手方向リニアアクチュエータを含む、実施態様19に記載のシステム。
【0155】
(21) 前記横方向傾斜機構は、前記横方向傾斜軸の周りで少なくとも15度の傾斜を可能にするように構成され、
前記長手方向傾斜機構は、前記長手方向傾斜軸の周りで少なくとも30度の傾斜を可能にするように構成されている、実施態様10に記載のシステム。
(22) 前記横方向傾斜機構は、前記横方向傾斜軸の周りで約30度の傾斜を可能にするように構成され、
前記長手方向傾斜機構は、前記長手方向傾斜軸の周りで約45度の傾斜を可能にするように構成されている、実施態様10に記載のシステム。
(23) 患者プラットフォームの傾斜を制御するための方法であって、
前記患者プラットフォームを横方向傾斜軸の周りで、
リニアアクチュエータを作動させてピボットハウジングに線形力を加えることと、
第1の軸に沿った第1のリニアガイドに沿って前記ピボットハウジングを並進させることと、
第2の軸に沿った第2のリニアガイドに沿って前記ピボットハウジングを並進させることと、に基づいて、傾斜させること、を含む、方法。
(24) 前記第1の軸は前記線形力に平行であり、前記第2の軸は前記第1の軸に平行ではない、実施態様23に記載の方法。
(25) 前記リニアアクチュエータを作動させることは、モータで主ねじを駆動することを含み、前記ピボットハウジングは、前記主ねじに装着されたねじナットハウジングを含む、実施態様23に記載の方法。
【0156】
(26) 前記モータは、前記患者プラットフォームを支持する傾斜プレートに取り付けられ、前記第1のリニアガイドは前記傾斜プレートに取り付けられている、実施態様25に記載の方法。
(27) 前記第2のリニアガイドはジンバルに取り付けられている、実施態様26に記載の方法。
(28) 前記患者プラットフォームを支持するカラムに対して前記ジンバルを枢動させて、前記患者プラットフォームを長手方向傾斜軸の周りで傾斜させることを更に含む、実施態様27に記載の方法。
(29) カラムに対して前記ジンバルを枢動させることは、前記カラムの軸に沿って並進する長手方向リニアアクチュエータを用いて長手方向傾斜リンク機構を駆動することを含む、実施態様28に記載の方法。
(30) 前記患者プラットフォームを前記横方向傾斜軸及び前記長手方向傾斜軸の周りで同時に傾斜させることを更に含む、実施態様29に記載の方法。
【0157】
(31) 前記患者プラットフォーム上に支持される患者に対してロボット医療処置を行うことを更に含む、実施態様30に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
図23
図24A
図24B
図24C
図25
図26
図27
図28A
図28B
図29
図30A
図30B
図31
図32
図33A
図33B
図33C
図33D
図33E