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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】巻管
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/18 20060101AFI20240508BHJP
   B65H 75/10 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B65H75/18 Z
B65H75/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021561825
(86)(22)【出願日】2020-04-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2020059765
(87)【国際公開番号】W WO2020212180
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】102019002867.8
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】307031976
【氏名又は名称】エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Leverkuser Strasse 65, D-42897 Remscheid, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ ヴァルターマン
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン コヴァルスキー
(72)【発明者】
【氏名】ライナルト フォス
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第19650458(DE,A1)
【文献】特開2011-144042(JP,A)
【文献】特開平07-237817(JP,A)
【文献】特開2002-265150(JP,A)
【文献】米国特許第08523100(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/18
B65H 75/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空円筒形の巻管ボディ(1)を備えた、糸パッケージを受容するための巻管であって、前記巻管ボディ(1)が、パッケージマンドレル(8)上に被せ嵌め可能に形成されている、巻管であって、
前記巻管ボディ(1)の少なくとも一方の端面端部(2.1)に、位置固定要素(3)が配置されており、該位置固定要素(3)が、1つのパッケージマンドレル(8)の周面において前記巻管ボディ(1)を半径方向で緊締するために弾性変形可能に形成されており、
前記巻管ボディ(1)に設けられた前記位置固定要素(3)が、パッケージマンドレル(8)上での複数の巻管ボディ(1)の軸方向移動により変形可能であり、
前記位置固定要素(3)が、前記巻管ボディ(1)の前記端面端部(2.1,2.2)に設けられた複数の弾性的な緊締舌片(9)により形成されており、該緊締舌片(9)が、前記巻管ボディ(1)の周面に沿って均等に分配されて配設されていることを特徴とする、巻管。
【請求項2】
前記巻管ボディ(1)の軸方向に張り出す前記緊締舌片(9)が、クランプ円錐部(10)の被せ嵌めのために斜面状に形成されている、請求項記載の巻管。
【請求項3】
前記巻管ボディ(1)が、反対側に位置する端面端部(2.1,2.2)に前記クランプ円錐部(10)を有しており、該クランプ円錐部(10)が、隣接する巻管ボディ(1’)の緊締舌片(9)上に被せ嵌め可能である、請求項記載の巻管。
【請求項4】
前記位置固定要素(3)が、前記巻管ボディ(1)の前記端面端部(2.1,2.2)に互いに対して所定の間隔をおいて形成された複数の緊締舌片(14)により構成されており、該緊締舌片(14)が、その間に複数のクランプ突起(15)を有しており、隣接する巻管ボディ(1)の前記クランプ突起(15)が、前記緊締舌片(14)上に被せ嵌め可能である、請求項1記載の巻管。
【請求項5】
前記巻管ボディ(1)の両端面端部(2.1,2.2)に、それぞれ複数の緊締舌片(14)および複数のクランプ突起(15)が互いにずらされて配設されている、請求項記載の巻管。
【請求項6】
前記巻管ボディ(1)の周面に、周方向に延びる半径方向の引出し溝(19)を有しており、該引出し溝(19)が、前記端面端部(2.1,2.2)のうちの一方の端面端部に配設されている、請求項1記載の巻管。
【請求項7】
前記巻管ボディ(1)が、内径面側に分配されて形成された複数の軸方向溝(18)を有しており、該軸方向溝(18)が、前記巻管ボディ(1)を完全に貫通する、請求項1記載の巻管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の、糸パッケージを収容するための巻管に関する。
【0002】
糸の製造および加工時には、糸を中間貯蔵するために巻き取って糸パッケージを形成することが一般的に知られている。このような糸パッケージの収容および搬送のためには、これらの糸パッケージは、いわゆる巻管の周面に巻き取られる。このためには、巻管は、パッケージマンドレル上またはチャック上に被せ嵌めるために、中空円筒形に構成されている。特に、溶融紡糸プロセスにおける合成糸の製造時には、通常は複数の巻管を巻管スタックとしてパッケージマンドレルの周面に保持する。この場合、巻管を、緊締手段によりパッケージマンドレルの周面に位置固定することができる。このような巻管は、たとえば独国特許出願公開第4115339号明細書から公知である。
【0003】
この公知の巻管は、中空円筒形の巻管ボディを有しており、巻管ボディは、一方の端面端部において、糸を捕捉するための捕捉要素を有している。巻管は、一貫して中空円筒形に構成されており、パッケージマンドレルの周面に緊締されている。その限りでは、パッケージマンドレルの周面に複数の巻管を位置固定するために、複数の緊締手段が必要となる。
【0004】
しかし、先行技術からは、その端面端部で巻管スタック内において軸方向の緊締により形状結合式に互いに結合されている巻管も公知である。したがって、たとえば国際公開第2010/094553号から、複数の巻管が、パッケージマンドレルの自由端に配置された1つの緊締手段による軸方向の緊締によってパッケージマンドレルの周面に位置固定されることが明らかである。複数の巻管を位置固定するために必要となる軸方向力は、巻管の個数に依存している。したがって、パッケージマンドレルの周面における巻管の個数が大きな場合、全ての巻管の確実な保持は極めて高い軸方向力に関連している。この軸方向力は、巻管の対応する高い変形性を要求する。
【0005】
したがって、本発明の課題は、冒頭で述べた形式の巻管を改良して、巻管が、相並んで配置された複数の巻管のまとまりで、軸方向力に依存せずにパッケージマンドレルの周面に確実に位置固定可能にすることにある。
【0006】
この課題は、本発明によれば、巻管ボディの少なくとも一方の端面端部に位置固定要素が配置されており、位置固定要素が、パッケージマンドレルの周面において巻管ボディを半径方向で緊締するために弾性変形可能に形成されていることによって解決される。
【0007】
本発明の有利な改良形は、各従属請求項に記載の特徴および特徴の組み合わせにより定義されている。
【0008】
本発明は、軸方向で接合された巻管スタックにおいて、巻管ボディが半径方向の緊締によりパッケージマンドレルの周面に保持されている、という特別な利点を有している。したがって、巻管ボディは、自動的に引き起こされる緊締によってパッケージマンドレルの周面に位置固定される。
【0009】
この場合、巻管ボディに設けられた位置固定要素が、パッケージマンドレル上への複数の巻管ボディの軸方向の移動により変形可能である、本発明の改良形が特に有効であることが判った。したがって、巻管ボディを、まずは著しい抵抗なしにパッケージマンドレル上に被せ嵌めることができる。隣合う巻管ボディの協働によって初めて、位置固定要素の変形が生じ、巻管ボディの自動的な半径方向の緊締が生じる。
【0010】
本発明の特に有利な改良形では、位置固定要素が、ゴムリングにより形成されており、ゴムリングが、巻管ボディの端面端部において収容凹部内に取り付けられている。これにより、軸方向の極めて小さな移動が既に、ゴムリングの材料の挙動(変形)に基づいて、巻管ボディとパッケージマンドレルとの間で作用する高い半径方向の緊締力を引き起こすことができる。
【0011】
巻管ボディの各端面端部において、半径方向の緊締を維持するためには、巻管ボディが両端面端部においてそれぞれ1つのゴムリングを有しており、ゴムリングが、負荷軽減された状態で、巻管の端面端部を越えて張り出している、本発明の改良形が好適に実施されている。したがって、既に巻管スタックにおいて巻管ボディ同士を突き合わせることを、半径方向の緊締力を引き起こすために有利に使用することができる。
【0012】
本発明の別の有利な1つの改良形によれば、位置固定手段が、巻管ボディの端面端部に設けられた弾性的な複数の緊締舌片により形成されており、緊締舌片は、巻管ボディの周面に均等に分配されて配置されていて、内側輪郭に適合して配置されている。このような緊締舌片は、好適には巻管ボディの端面端部に直接に形成される。緊締舌片の材料厚さおよび構造的な結合部に基づいて、緊締舌片が変形するための弾性に決定的な影響を与えることができる。
【0013】
巻管ボディの、パッケージマンドレルの周面にわたって均等な半径方向の緊締を引き起こすためには、さらに、巻管ボディの軸方向に張り出す緊締舌片が、斜面状に形成されており、対応するクランプ円錐部により変形可能であることが規定されている。これにより、巻管ボディの半径方向の緊締が、実質的に巻管スタックの軸方向での予荷重なしに可能である。
【0014】
クランプ円錐部は、有利には、巻管ボディの反対側に位置する端面端部に形成されるので、巻管スタック内で隣接する巻管ボディが、クランプ円錐部および緊締舌片により組み合わせ可能である。
【0015】
本発明の別の代替的な構成は、位置固定要素が、巻管ボディの端面端部において互いに対して所定の間隔で形成された複数の緊締舌片により構成されており、これらの緊締舌片が、隣接する巻管ボディの端面端部に設けられた対峙する複数のクランプ突起により緊締可能である改良形により与えられている。これにより、周面に沿って分配されて形成された複数の緊締領域が生じ、これらの緊締領域は、緊締舌片およびクランプ突起の誤差がある場合でも確実な保持を生じさせる。
【0016】
巻管ボディの両端面端部にそれぞれ複数の緊締舌片および複数のクランプ突起が互いにずらされて配設されている改良形が特に有利である。したがって、軸方向の移動時に自動的に生じる半径方向の緊締を得るために、巻管ボディの端面端部を任意に互いに組み合わせることができる。
【0017】
巻管スタックを成す巻管ボディの取出しは、巻管ボディが、周面に環状に延びる半径方向の向きの引出し溝を有しており、この引出し溝が、端面端部のうちの一方の端面に配設されている、本発明の改良形により特に改善することができる。これにより、たとえば自動操作ユニットまたはドッファを、糸パッケージを装填された巻管をパッケージマンドレルから引き出すために使用することができる。
【0018】
巻管がパッケージマンドレル上への被せ嵌め時にできるだけ予め規定された位置を占め、かつ巻管の回転を回避するように、巻管が、内径面側に分配されて形成された複数の軸方向溝を有しており、これらの軸方向溝が、有利にはパッケージマンドレルの周面に設けられた長手方向ウェブと協働する、本発明の改良形が特に有利である。これにより、巻管とパッケージマンドレルとの間の形状結合式の結合部は、既に被せ嵌め時に実現される。
【0019】
したがって、本発明に係る巻管は、パッケージマンドレルの周面において自動的に緊締されるために特に適している。巻管ボディのより大きな個数を巻管スタックとしてパッケージマンドレルの周面に確実に保持することができる。
【0020】
本発明を以下に本発明に係る巻管の幾つかの実施例につき、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1.1】本発明に係る巻管の第1の実施例を1つの視点で概略的に示す図である。
図1.2】本発明に係る巻管の第1の実施例を別の視点で概略的に示す図である。
図2.1】本発明に係る巻管の別の実施例を1つの視点で概略的に示す図である。
図2.2】本発明に係る巻管の別の実施例を別の視点で概略的に示す図である。
図3.1】本発明に係る巻管のさらに別の実施例を1つの視点で概略的に示す図である。
図3.2】本発明に係る巻管のさらに別の実施例を別の視点で概略的に示す図である。
【0022】
図1.1および図1.2には、本発明に係る巻管の第1の実施例が複数の視点で図示されている。図1.1は、横断面および側面図の組み合わせが概略的に示されており、図1.2には、図1.1に示した実施例の端面端部の部分図が緊締された状態で概略的に示されている。
【0023】
図1.1に示した実施例の巻管は、中空円筒形の巻管ボディ1を有している。巻管ボディ1は、互いに反対側に位置する2つの端面端部2.1,2.2を有している。端面端部2.1,2.2のそれぞれには、それぞれ収容凹部5.1,5.2が形成されている。端面端部2.1に設けられた収容凹部5.1は、内部において環状に延びるウェブ6.1により画定されている。対応して、端面端部2.2に設けられた収容凹部5.2は、同様に環状に延びるウェブ6.2により画定されている。この実施例では、収容凹部5.1,5.2は、同一の内径で形成されており、ウェブ6.1,6.2により規定されている切込み深さは、同様に同一となるように構成されている。
【0024】
収容凹部5.1,5.2のそれぞれのなかには、弾性変形可能な位置固定要素3が配置されている。位置固定要素3は、別個の2つのゴムリング4.1,4.2により形成されている。ゴムリング4.1,4.2は、収容凹部5.1,5.2内に配置されており、接着または加硫によって巻管ボディ1に固定的に結合されている。収容凹部5.1,5.2内に配置されたゴムリング4.1,4.2は、巻管ボディ1の端面端部2.1,2.2において張り出しているそれぞれ1つの自由端を有しているように、その軸方向の延在長さが寸法設定されている。
【0025】
巻管ボディ1は、外側輪郭において環状に延びる引出し溝19を有している。この引出し溝19は端面端部2.2に配置されている。
【0026】
端面端部2.1,2.2に設けられた位置固定要素3を説明するために、付加的に図1.2が参照される。図1.2では、巻管ボディ1の端面端部2.1が緊締された状態で図示されている。この場合、この巻管ボディ1と、別の巻管ボディ1’とは、パッケージマンドレル8の周面において軸方向の緊締によりその端面端部2.1,2.2’で接合されている。端面端部2.1,2.2’は、互いに突き合わされて接合されているので、ゴムリング4.1’,4.2’の変形が生じる。したがって、ゴムリング4.1’,4.2’は押し縮められる。ゴムリング4.1の難圧縮性に基づいて、半径方向の位置固定の極めて高い硬直性と同時に、巻管ボディ1とパッケージマンドレル8との間で半径方向に作用する緊締力が生じる。隣接する巻管ボディ1’は、ゴムリング4.2’により生じる緊締力により、同様に別個に半径方向で緊締されて保持される。
【0027】
本発明に係る巻管の、図1.1に図示された実施例は、複数個でも、唯1つでも、軸方向の緊締によりパッケージマンドレル8の周面において半径方向で固定される。したがって、たとえば、端面端部2.1または2.2のうちの一方の端面端部を、軸方向のストッパに当接可能に配置することができるので、これにより軸方向の移動時に位置固定要素3の変形が半径方向の緊締をもたらす。パッケージマンドレル8の自由端に対応配置されている端面端部2.1または2.2においては、軸方向の緊締は、たとえばパッケージマンドレル8の周面に配置された緊締リングによって引き起こすことができる。しかし、本発明に係る巻管の特別な利点は、複数の巻管ボディを巻管スタック(若しくは巻管組み体)としてそれぞれ個別に生じる自己緊締によりパッケージマンドレル8の周面に保持することができることにある。
【0028】
巻管ボディ1の周面において環状に延びるように形成された半径方向の引出し溝19によって、巻管ボディ1をパッケージマンドレル8から引き出す可能性が生じる。この工程は、巻管ボディ1に対して手動で、または自動化して実施することができる。
【0029】
図2.1では、本発明に係る巻管の別の1つの実施形態が横断面および側面図の組み合わせで、図2.2では端面端部のうちの一方の端面端部が部分図として概略的に図示されている。図2.1に図示された実施例では、弾性的な位置固定要素3が、巻管ボディ1の端面端部2.2に直接的に形成されている。位置固定要素3は、複数の個々の緊締舌片9により形成されており、これらの緊締舌片9は、巻管ボディ1の端面端部2.1において軸方向で張り出すように配置されている。緊締舌片9は、斜面状の外側輪郭を備えるように形成されており、巻管ボディ1の内側輪郭の延長部に配設されている。緊締舌片9は、中空円筒形の巻管ボディ1の周面に均等に配置されており、緊締舌片9間には、それぞれ1つの分離溝13が設けられている。巻管ボディ1に対する緊締舌片9の曲げを可能にするために、環状に延びる変形継手11が形成されている。緊張舌片9は、半径方向で内方に向かって曲げられる。
【0030】
巻管ボディ1の反対側に位置する端面端部2.1には、内側輪郭にクランプ円錐部10が形成されている。クランプ円錐部は、内方に向かって巻管ストッパ12により画定される。クランプ円錐部10は、勾配を有して形成されている。この勾配は、緊締舌片9の外側輪郭に一致する。したがって、端面端部2.1のクランプ円錐部10は、半径方向の緊締を実現するために、隣接する巻管ボディ1の緊締舌片9上に被せ嵌められる。
【0031】
図2.2には、巻管ボディ1,1’に形成されている、互いに対向する端面端部2.2,2.1’がどのように協働するかの状況が図示されている。巻管ボディ1’のクランプ円錐部10’が、隣接する巻管ボディ1の緊締舌片9上に被せ嵌められている。予め規定された嵌合により、巻管ストッパ12’への緊締舌片9の到達時に、パッケージマンドレル9の周面において巻管ボディ1と巻管ボディ1’との定義された半径方向の圧着が達成される。
【0032】
パッケージマンドレルの自由端に対応配置されている巻管ボディ1の端部を位置固定するために、対応するクランプ円錐部を備えた緊締リングを使用することができ、これにより、巻管スタックの最後の巻管は、パッケージマンドレル8において各端面端部で半径方向に緊締可能である。
【0033】
クランプ円錐部10を備えて形成された、巻管ボディ1の端面端部2.1は、好適には巻管ストッパに当接するために使用される。この巻管ストッパは、好適には同様に、クランプ円錐部10を受け止めるための斜面状の外側輪郭を有している。
【0034】
図2.1に示した図面から明らかであるように、巻管ボディの周面には、周方向に延びる半径方向の引出し溝19が設けられている。この引出し溝19は、端面端部2.2に対応配置されており、パッケージマンドレル8からの巻管1の引出しのために働く。
【0035】
巻管ボディ1においてできるだけ同一に形成された端面端部を得るために、図3.1および3.2は、本発明に係る巻管のさらに別の1つの実施例を複数の視点で概略的に図示している。図3.1には、巻管の横断面および側面図の組み合わせが、図3.2には、パッケージマンドレル8の周面において緊締された状態の端面端部2.1,2.2’が示されている。
【0036】
巻管の図3.1に示された例示的な実施例では、巻管ボディ1の端面端部2.1,2.2のそれぞれに、それぞれ1つの弾性変形可能な位置固定要素3が配置されている。位置固定要素3は、両端面端部2.1,2.2において弾性的に曲げ可能な緊締舌片14により形成されている。緊締舌片14は、互いに均等な間隔で巻管ボディ1の周面に分配されて配置されており、巻管ボディ1の端面端部2.1,2.2において直接形成されている。巻管ボディ1の端面端部2.1,2.2において、隣接する緊締舌片14間に形成された各間隔内に、それぞれ1つのクランプ突起15が形成されている。緊締舌片14は、周面においてそれぞれ1つの緊締円錐部16を有しており、この緊締円錐部16は、クランプ突起15の内側輪郭に形成されたクランプ円錐部17に対応して形成されている。その限りでは、複数の巻管ボディ1の軸方向の移動によって、クランプ突起15のそれぞれが緊締舌片14に係合され、緊締舌片14は、パッケージマンドレル8の周面に対して半径方向の圧着を引き起こす。クランプ突起15および緊締舌片14の材料厚さおよびその幾何学形状ならびに緊締円錐部16およびクランプ円錐部17の勾配の設計により、巻管ボディ1の端面端部2.1,2.2における定義された半径方向のクランプ力を引き起こすことができる。複数の巻管ボディ1を互いに組み合わせるために、端面端部2.1に設けられた緊締舌片14およびクランプ突起15は、その角度位置を、巻管ボディ1の反対側の端面端部2.2に設けられた緊締舌片14およびクランプ突起15に対して周方向でずらされて形成されている。
【0037】
図3.2には、巻管ボディ1の端面端部2.1が、巻管ボディ1’の端面端部2.2’にパッケージマンドレル8の周面において半径方向で緊締されている状況が図示されている。巻管ボディ1’のクランプ突起15’は好適には、このクランプ突起15’がその下側にある緊締舌片14をパッケージマンドレル8に対して押圧し、巻管ボディ1の半径方向の位置固定を引き起こすように、ストッパに向けて突き合わされてされている。
【0038】
図3.1の図面から明らかであるように、巻管ボディ1の内側輪郭には複数の軸方向溝18が形成されている。軸方向溝18は、端面端部2.1から端面端部2.2に至るまで巻管ボディ1を完全に貫通している。このような軸方向溝18は、好適には、パッケージマンドレル8の周面において巻管ボディ1のセンタリングを得るために、パッケージマンドレル8の周面に設けられた長手方向ウェブと嵌合することができる。これにより、巻管の回転防止が同時に達成される。
【0039】
本発明に係る巻管の、図3.1に図示した実施例では、パッケージマンドレル8における取り付けのために、クランプ突起15と緊締舌片14の形状に対応する形状を有するストッパリングが必要となる。
【0040】
半径方向の緊締を維持するために、複数の巻管を互いに対して軸方向で緊締することは必要でないので、巻管ボディ1の、パッケージマンドレル8の自由端に面した端面端部を、たとえば、半径方向に作用するクランプブロックによって位置固定することができる。巻管の巻管ボディ1を軸方向で互い向けて移動させた後では、半径方向の緊締は、緊締舌片14とクランプ突起15との間のセルフロックにより維持される。巻成されたパッケージを有する巻管スタックをパッケージマンドレル8の周面において移動させ、かつ分解するために、巻管ボディ1の周面には引出し溝19が設けられている。これにより、巻管ボディ1を、各端面端部2.1または2.2の方へパッケージマンドレル8から引き出すことができる。
【0041】
本発明に係る巻管の図示した実施例は、巻管ボディが高い再利用性を有しているという特別な利点を有している。したがって、このような巻管は、パッケージマンドレルにおいて位置固定されてパッケージを受容するために複数回使用することができる。巻管ボディ1は、好適には、プラスチックまたは軽合金から製造される。図示した位置固定要素の構造的な構成は、例示的なものである。重要であるのは、巻管ボディ1の端面端部において、位置固定要素の変形による半径方向緊締が生じることである。位置固定要素の変形は、専ら巻管ボディ1の軸方向の移動によって開始され、巻管ボディ1の軸方向運動は、補助的装置または緊締手段または隣接する巻管によって実施可能である。
図1.1】
図1.2】
図2.1】
図2.2】
図3.1】
図3.2】