(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】動力電池加熱システム、その制御方法及び制御回路
(51)【国際特許分類】
H01M 10/667 20140101AFI20240508BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20240508BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240508BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20240508BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20240508BHJP
【FI】
H01M10/667
H01M10/615
H01M10/625
H02J7/04 L
H02M7/48 E
(21)【出願番号】P 2021574312
(86)(22)【出願日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 CN2021110708
(87)【国際公開番号】W WO2023010373
(87)【国際公開日】2023-02-09
【審査請求日】2021-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】黄 孝▲鍵▼
(72)【発明者】
【氏名】但 志▲敏▼
(72)【発明者】
【氏名】高 ▲錦▼▲鳳▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 津
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112550079(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112550077(CN,A)
【文献】国際公開第2021/057340(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/667
H01M 10/615
H01M 10/625
H02J 7/04
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力電池加熱システムの制御方法であって、
前記動力電池加熱システムは6相モーター、スイッチモジュール、及び給電モジュールを含み、
前記6相モーターは3つの第1巻線及び3つの第2巻線を含み、前記スイッチモジュールは第1ブリッジアーム群及び第2ブリッジアーム群を含み、前記第1ブリッジアーム群及び前記第2ブリッジアーム群内の各ブリッジアームはそれぞれ上部ブリッジアーム及び下部ブリッジアームを含み、前記第1ブリッジアーム群内の各ブリッジアームの上部ブリッジアームと下部ブリッジアームとの接続点は前記3つの第1巻線と一対一で対応して接続され、前記第2ブリッジアーム群内の各ブリッジアームの上部ブリッジアームと下部ブリッジアームとの接続点は前記3つの第2巻線と一対一で対応して接続され、前記第1ブリッジアーム群及び前記第2ブリッジアーム群はいずれも前記給電モジュールに並列接続され、
前記制御方法は、
前記第1ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアームのオン、前記第1ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアームのオフ、前記第2ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアームのオン及び前記第2ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアームのオフを制御して、前記第1ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアーム、前記3つの第1巻線、前記3つの第2巻線、前記第2ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアーム及び前記給電モジュールの間の第1回路を形成するための第1加熱信号を前記スイッチモジュールに送信するステップと、
前記第1ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアームのオン、前記第1ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアームのオフ、前記第2ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアームのオン及び前記第2ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアームのオフを制御して、前記第1ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアーム、前記3つの第1巻線、前記3つの第2巻線、前記第2ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアーム及び前記給電モジュールの間の第2回路を形成するための第2加熱信号を前記スイッチモジュールに送信するステップと、を含み、
前記第1回路及び前記第2回路は電流に動力電池内で熱を発生させ、前記動力電池を加熱することに用いられ、前記3つの第1巻線の空間位相差は120°であり、前記3つの第2巻線の空間位相差は120°であ
り、
前記第1回路及び前記第2回路に流れる電流は交流電流であり、前記交流電流を利用して動力電池の内部抵抗により発熱することを特徴とする動力電池加熱システムの制御方法。
【請求項2】
前記スイッチモジュールに第1加熱信号及び第2加熱信号を送信する前記ステップは、
予め設定された周波数で、前記スイッチモジュールに前記第1加熱信号と前記第2加熱信号を交互に送信するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記給電モジュールは前記動力電池であり、前記スイッチモジュールに第1加熱信号及び第2加熱信号を送信する前記ステップは、
前記動力電池の荷電状態SOCを決定するステップと、
前記SOCが第1閾値よりも大きい場合、前記スイッチモジュールに前記第1加熱信号及び前記第2加熱信号を送信するステップと、を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記スイッチモジュールに第1加熱信号及び前記第2加熱信号を送信するステップは、
モーター制御ユニットが車両制御ユニットから送信された、前記動力電池を加熱することを指示するための制御信号を受信するステップと、
前記モーター制御ユニットが前記制御信号に基づいて、前記スイッチモジュールに前記第1加熱信号及び前記第2加熱信号を送信するステップと、を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項5】
前記制御方法は、
前記動力電池の温度が予め設定された温度に達し、及び/又は、前記動力電池の温度上昇が異常である場合、前記動力電池に対する加熱を停止することを指示するための加熱停止信号を前記スイッチモジュールに送信するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項6】
前記スイッチモジュールに第1加熱信号及び第2加熱信号を送信する前記ステップは、
前記6相モーターの作動状態を取得するステップと、
前記6相モーターが非駆動状態にある場合、前記スイッチモジュールに前記第1加熱信号及び前記第2加熱信号を送信するステップと、を含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項7】
前記制御方法は、
電池管理システムBMSから送信された、前記動力電池が加熱条件を満たすことを指示するための加熱要求を受信するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項8】
動力電池加熱システムであって、前記動力電池加熱システムは6相モーター、スイッチモジュール、制御モジュール及び給電モジュールを含み、
前記6相モーターは3つの第1巻線及び3つの第2巻線を含み、前記スイッチモジュールは第1ブリッジアーム群及び第2ブリッジアーム群を含み、前記第1ブリッジアーム群及び前記第2ブリッジアーム群内の各ブリッジアームはそれぞれ上部ブリッジアーム及び下部ブリッジアームを含み、前記第1ブリッジアーム群内の各ブリッジアームの上部ブリッジアームと下部ブリッジアームとの接続点は前記3つの第1巻線と一対一で対応して接続され、前記第2ブリッジアーム群内の各ブリッジアームの上部ブリッジアームと下部ブリッジアームとの接続点は前記3つの第2巻線と一対一で対応して接続され、前記第1ブリッジアーム群及び前記第2ブリッジアーム群はいずれも前記給電モジュールに並列接続され、
前記制御モジュールは、
前記第1ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアームのオン、前記第1ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアームのオフ、前記第2ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアームのオン及び前記第2ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアームのオフを制御して、前記第1ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアーム、前記3つの第1巻線、前記3つの第2巻線、前記第2ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアーム及び前記給電モジュールの間の第1回路を形成するための第1加熱信号を前記スイッチモジュールに送信すること、及び、
前記第1ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアームのオン、前記第1ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアームのオフ、前記第2ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアームのオン及び前記第2ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアームのオフを制御して、前記第1ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアーム、前記3つの第1巻線、前記3つの第2巻線、前記第2ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアーム及び前記給電モジュールの間の第2回路を形成するための第2加熱信号を前記スイッチモジュールに送信することに用いられ、
前記第1回路及び前記第2回路は電流に動力電池内で熱を発生させ、前記動力電池を加熱することに用いられ、前記3つの第1巻線の空間位相差は120°であり、前記3つの第2巻線の空間位相差は120°であ
り、
前記第1回路及び前記第2回路に流れる電流は交流電流であり、前記交流電流を利用して動力電池の内部抵抗により発熱することを特徴とする動力電池加熱システム。
【請求項9】
前記制御モジュールは、
予め設定された周波数で、前記スイッチモジュールに前記第1加熱信号と前記第2加熱信号を交互に送信することに用いられることを特徴とする請求項8に記載の動力電池加熱システム。
【請求項10】
前記給電モジュールは前記動力電池であり、前記制御モジュールは、
前記動力電池の荷電状態SOCを決定すること、及び
前記SOCが第1閾値よりも大きい場合、前記スイッチモジュールに前記第1加熱信号及び前記第2加熱信号を送信することに用いられることを特徴とする請求項8又は9に記載の動力電池加熱システム。
【請求項11】
前記制御モジュールは、
モーター制御ユニットが車両制御ユニットから送信された、前記動力電池を加熱することを指示するための制御信号を受信すること、及び
前記モーター制御ユニットが前記制御信号に基づいて、前記スイッチモジュールに前記第1加熱信号及び前記第2加熱信号を送信することに用いられることを特徴とする請求項8~10のいずれか1項に記載の動力電池加熱システム。
【請求項12】
前記制御モジュールはさらに、
前記動力電池の温度が予め設定された温度に達し、及び/又は、前記動力電池の温度上昇が異常である場合、前記動力電池に対する加熱を停止することを指示するための加熱停止信号を前記スイッチモジュールに送信することに用いられることを特徴とする請求項8~11のいずれか1項に記載の動力電池加熱システム。
【請求項13】
前記制御モジュールは、
前記6相モーターの作動状態を取得すること、及び
前記6相モーターが非駆動状態にある場合、前記スイッチモジュールに前記第1加熱信号及び前記第2加熱信号を送信することに用いられることを特徴とする請求項8~12のいずれか1項に記載の動力電池加熱システム。
【請求項14】
動力電池加熱システムの制御回路であって、請求項1~7のいずれか1項に記載の制御方法を実行するためのプロセッサを含むことを特徴とする動力電池加熱システムの制御回路。
【請求項15】
動力装置であって、動力電池及び請求項8~13のいずれか1項に記載の動力電池加熱システムを含み、前記動力電池加熱システムは前記動力電池を加熱することに用いられ、前記動力電池は前記動力装置に電源を供給することに用いられることを特徴とする動力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電池技術分野に関し、特に動力電池加熱システム、その制御方法及び制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー密度が高く、循環充電が可能で、安全で環境にやさしい等の利点を有するため、動力電池は新エネルギー自動車、家庭用電化製品、エネルギー貯蔵システム等の分野に幅広く応用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、低温環境での動力電池の使用は一定の程度で制限されている。具体的には、低温環境での動力電池の放電容量が著しく低下することや、低温環境で電池を充電できなくなることである。従って、動力電池を正常に使用できるために、低温環境で動力電池を加熱する必要がある。従来の動力電池加熱技術はモーター回路を利用して動力電池を加熱する過程で、モーターの振動ノイズが大きすぎるという問題をもたらすおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の実施例は動力電池加熱システム、その制御方法及び制御回路を提供し、モーター回路を利用して電池を加熱する際のモーターの振動ノイズを効果的に抑制することができる。
【0005】
第1態様では、動力電池加熱システムの制御方法を提供し、該動力電池加熱システムは6相モーター、スイッチモジュール及び給電モジュールを含み、該6相モーターは3つの第1巻線及び3つの第2巻線を含み、該スイッチモジュールは第1ブリッジアーム群及び第2ブリッジアーム群を含み、該第1ブリッジアーム群及び該第2ブリッジアーム群内の各ブリッジアームはそれぞれ上部ブリッジアーム及び下部ブリッジアームを含み、該第1ブリッジアーム群内の各ブリッジアームの上部ブリッジアームと下部ブリッジアームとの接続点は該3つの第1巻線と一対一で対応して接続され、該第2ブリッジアーム群内の各ブリッジアームの上部ブリッジアームと下部ブリッジアームとの接続点は該3つの第2巻線と一対一で対応して接続され、該第1ブリッジアーム群及び該第2ブリッジアーム群はいずれも該給電モジュールに並列接続され、該制御方法は、該第1ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアームのオン、該第1ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアームのオフ、該第2ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアームのオン及び該第2ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアームのオフを制御して、該第1ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアーム、該3つの第1巻線、該3つの第2巻線、該第2ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアーム及び該給電モジュールの間の第1回路を形成するための第1加熱信号を該スイッチモジュールに送信するステップと、該第1ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアームのオン、該第1ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアームのオフ、該第2ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアームのオン及び該第2ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアームのオフを制御して、該第1ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアーム、該3つの第1巻線、該3つの第2巻線、該第2ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアーム及び該給電モジュールの間の第2回路を形成するための第2加熱信号を該スイッチモジュールに送信するステップと、を含み、該第1回路及び該第2回路は電流に動力電池内で熱を発生させ、該動力電池を加熱することに用いられ、該3つの第1巻線の空間位相差は120°であり、該3つの第2巻線の空間位相差は120°である。
【0006】
電流が6相モーターの3つの第1巻線の間に流入する空間位相差を120°に制御し、かつ電流が6相モーターの他の3つの第2巻線の間から流出する空間位相差を120°に制御することにより、該6相モーターの回路を利用して動力電池を加熱するとき、モーターの振動ノイズを効果的に抑制することができる。また、本願に係る動力電池加熱システムは、モーターを作動させることがないため、モーターの回転子の発熱問題を解決でき、それにより、電池の自己加熱の使用時間を延長させる。
【0007】
可能な実施形態では、該スイッチモジュールに第1加熱信号及び第2加熱信号を送信するステップは、予め設定された周波数で、該スイッチモジュールに該第1加熱信号と該第2加熱信号を交互に送信するステップを含む。
【0008】
可能な実施形態では、該給電モジュールは動力電池であり、該スイッチモジュールに第1加熱信号及び第2加熱信号を送信するステップは、該動力電池の荷電状態SOCを決定するステップと、該SOCが第1閾値よりも大きい場合、該スイッチモジュールに該第1加熱信号及び該第2加熱信号を送信するステップと、を含む。
【0009】
動力電池のSOCが第1閾値よりも大きく、すなわち動力電池の電気量が十分であるとき、スイッチモジュールに第1加熱信号と第2加熱信号を交互に送信することで電流方向の異なる交流電流を形成し、かつ動力電池の内部抵抗を利用して発熱し、それにより、動力電池を加熱し、加熱効率を向上させることができる。
【0010】
可能な実施形態では、該スイッチモジュールに第1加熱信号及び該第2加熱信号を送信するステップは、モーター制御ユニットが車両制御ユニットから送信された、該動力電池を加熱することを指示するための制御信号を受信するステップと、該モーター制御ユニットが該制御信号に基づいて、該スイッチモジュールに該第1加熱信号及び該第2加熱信号を送信するステップと、を含む。
【0011】
可能な実施形態では、該制御方法は、該動力電池の温度が予め設定された温度に達し、及び/又は、該動力電池の温度上昇が異常である場合、該動力電池に対する加熱を停止することを指示するための加熱停止信号を該スイッチモジュールに送信するステップをさらに含む。
【0012】
可能な実施形態では、該スイッチモジュールに第1加熱信号及び第2加熱信号を送信する該ステップは、該6相モーターの作動状態を取得するステップと、該6相モーターが非作動状態にあるとき、該スイッチモジュールに該第1加熱信号及び該第2加熱信号を送信するステップと、を含む。
【0013】
モーターの作動状態を判断することにより、モーターが駆動状態にあるときに動力電池を加熱し、さらに車両等の動力装置の性能に影響を与えることを回避する。
【0014】
可能な実施形態では、該制御方法はさらに、電池管理システム(Battery Management System、BMS)から送信された、該動力電池が加熱条件を満たすことを指示するための加熱要求を受信するステップを含む。
【0015】
BMSから送信された加熱要求を受信することにより、制御モジュールは動力電池をタイムリーに加熱することができ、車両等の動力装置の使用に影響を与えることを回避する。
【0016】
第2態様では、動力電池加熱システムを提供し、該動力電池加熱システムは6相モーター、スイッチモジュール、制御モジュール及び給電モジュールを含み、該6相モーターは3つの第1巻線及び3つの第2巻線を含み、該スイッチモジュールは第1ブリッジアーム群及び第2ブリッジアーム群を含み、該第1ブリッジアーム群及び該第2ブリッジアーム群内の各ブリッジアームはそれぞれ上部ブリッジアーム及び下部ブリッジアームを含み、該第1ブリッジアーム群内の各ブリッジアームの上部ブリッジアームと下部ブリッジアームとの接続点は該3つの第1巻線と一対一で対応して接続され、該第2ブリッジアーム群内の各ブリッジアームの上部ブリッジアームと下部ブリッジアームとの接続点は該3つの第2巻線と一対一で対応して接続され、該第1ブリッジアーム群及び該第2ブリッジアーム群はいずれも該給電モジュールに並列接続され、該制御モジュールは、該第1ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアームのオン、該第1ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアームのオフ、該第2ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアームのオン及び該第2ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアームのオフを制御して、該第1ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアーム、該3つの第1巻線、該3つの第2巻線、該第2ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアーム及び該給電モジュールの間の第1回路を形成するための第1加熱信号を該スイッチモジュールに送信すること、及び該第1ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアームのオン、該第1ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアームのオフ、該第2ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアームのオン及び該第2ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアームのオフを制御して、該第1ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアーム、該3つの第1巻線、該3つの第2巻線、該第2ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアーム及び該給電モジュールの間の第2回路を形成するための第2加熱信号を該スイッチモジュールに送信することに用いられ、該第1回路及び該第2回路は電流に動力電池内で熱を発生させ、該動力電池を加熱することに用いられ、該3つの第1巻線の空間位相差は120°であり、該3つの第2巻線の空間位相差は120°である。
【0017】
第3態様では、動力電池加熱システムの制御回路を提供し、第1態様及びいずれかの可能な実施形態の制御方法を実行するためのプロセッサを含む。
【0018】
第4態様では、動力装置を提供し、動力電池及び第2態様の動力電池加熱システムを含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下、本願の実施例に使用される必要がある図面を簡単に説明し、明らかに、以下に説明される図面は本願のいつくかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を必要とせずに、それらの図面に基づいて他の図面を取得することもできる。
【
図1】従来の動力電池加熱システムの回路図である。
【
図2】本願の実施例に係る動力電池加熱システムの模式的なブロック図である。
【
図3】本願の実施例に係る動力電池加熱システムの放電回路模式図及び充電回路模式図である。
【
図4】本願の実施例に係る動力電池加熱システムの放電回路模式図及び充電回路模式図である。
【
図5】本願の実施例に係る動力電池加熱システムの制御方法の模式的なブロック図である。
【
図6】本願の実施例に係る動力電池加熱システムの制御方法の模式的なフローチャートである。
【
図7】本願の実施例に係る動力電池加熱システムの制御回路の模式的な構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面及び実施例を参照しながら、本願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例の詳細な説明及び図面は本願の原理を例示的に説明するためのものであるが、本願の範囲を制限するためのものではなく、すなわち本願は説明される実施例に限定されない。
【0021】
なお、本願の説明では、別途説明しない限り、「複数」の意味は2つ以上であり、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」等の用語が示す方位又は位置関係は、本願の説明を容易にし、説明を簡素化するためのものに過ぎず、装置又は素子が特定の方位にあり、特定の方位で構造され、操作される必要があることを明示又は暗示することではなく、従って、本願に対する制限と理解されてはならない。また、「第1」、「第2」、「第3」等の用語は説明ためのものに過ぎず、相対的な重要性を明示又は暗示するものと理解されてはならない。「垂直」は厳密な意味での垂直ではなく、許容誤差範囲内のものである。「平行」は厳密な意味での平行ではなく、許容誤差範囲内のものである。
【0022】
以下の説明に現れる方位詞はいずれも図面に示される方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。なお、本願の説明では、明確な規定や限定がない限り、「取り付け」、「連結」、「接続」という用語は広く理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、直接接続であってもよく、中間媒体を介した間接接続であってもよい。当業者にとって、具体的な場合により上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0023】
時代の発展に伴い、新エネルギー自動車は、環境にやさしく、ノイズが低く、使用コストが低い等の利点のため、市場での将来性が高く、かつ省エネルギー及び排出削減を効果的に促進することができ、社会の発展及び進歩に有利である。
【0024】
動力電池の電気化学特性により、低温環境で、動力電池の充放電能力が大幅に制限され、利用者が冬に自動車を使用する際の体験に深刻な影響を与える。従って、動力電池を正常に使用できるために、低温環境で動力電池を加熱する必要がある。
【0025】
本願の実施例の動力電池は、リチウムイオン電池、リチウム金属電池、鉛酸電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウム硫黄電池、リチウム空気電池又はナトリウムイオン電池等であってもよいが、ここで限定しない。規模から言えば、本願の実施例の電池は単セルであってもよく、電池モジュール又は電池パックであってもよいが、ここで限定しない。適用シーンから言えば、電池は自動車、汽船等の動力装置に適用できる。例えば、動力自動車に適用でき、動力自動車のモーターに給電し、電気自動車の動力源とする。電池は、電気自動車内の他の電気機器、例えば、車内エアコン、車載プレーヤー等に給電することもできる。
【0026】
説明の便宜上、以下、動力電池が新エネルギー自動車(動力自動車)に適用されることを実施例として説明する。
【0027】
駆動モーター及びその制御システムは新エネルギー自動車のコア部材の1つであり、その駆動特性は自動車走行の主な性能指標を決める。新エネルギー自動車のモーター駆動システムは主に電動機(すなわちモーター)、電力変換器、モーター制御ユニット(例えば、インバーター)、様々な検出センサ及び電源等の部分で構成される。モーターは、電磁誘導原理を応用して作動する回転電磁機械であり、電気エネルギーから機械的エネルギーへの変換を実現することに用いられる。作動中、電気システムから電力を吸収し、機械システムに機械的電力を出力する。
【0028】
動力電池を加熱するときに不要なコストを増加させることを回避するために、モーター回路を利用して動力電池を加熱してもよい。
【0029】
図1は従来の動力電池加熱システムの回路図を示す。
図1に示すように、該動力電池加熱システム100は給電モジュール110、給電モジュール110に接続されるスイッチモジュール120及びスイッチモジュール120に接続されるモーター巻線130を含んでもよい。
給電モジュール110については、動力電池自体で実現されるだけでなく、充電ポスト等の外部給電モジュールで実現されてもよい。該外部給電モジュールが提供する加熱エネルギーは、例えば外部直流充電器によって出力されてもよく、又は外部交流充電器によって整流された後に出力されてもよいが、ここで具体的に制限しない。
【0030】
スイッチモジュール120については、様々なタイプのスイッチで実現されてもよい。例えば、該スイッチモジュール120はモーター駆動システムにおけるインバーターによって実現されてもよく、該インバーターは絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、IGBT)のブリッジアームスイッチで実現されてもよい。具体的に、該インバーターのブリッジアームの数はモーター巻線130の巻線の数と同じである。例えば、該モーター巻線130が3相巻線を含む場合、該インバーターは3相ブリッジアームを含み、すなわち、U相ブリッジアーム、V相ブリッジアーム及びW相ブリッジアームを含む。該3相ブリッジアーム内の各相ブリッジアームはいずれも上部ブリッジアーム及び下部ブリッジアームを含み、上部ブリッジアーム及び下部ブリッジアームにはそれぞれスイッチユニットが設置され、すなわち、スイッチモジュール120はそれぞれU相ブリッジアームの上部ブリッジアームスイッチ121と下部ブリッジアームスイッチ122、V相ブリッジアームの上部ブリッジアームスイッチ123と下部ブリッジアームスイッチ124、及びW相ブリッジアームの上部ブリッジアームスイッチ125と下部ブリッジアームスイッチ126を含む。
【0031】
モーター巻線130については、具体的に、U相ブリッジアームに接続される巻線131、V相ブリッジアームに接続される巻線132及びW相ブリッジアームに接続される巻線133を含んでもよい。巻線131の一端はU相ブリッジアームの上部ブリッジアームと下部ブリッジアームとの接続点に接続され、巻線132の一端はV相ブリッジアームの上部ブリッジアームと下部ブリッジアームとの接続点に接続され、巻線133の一端はW相ブリッジアームの上部ブリッジアームと下部ブリッジアームとの接続点に接続される。巻線131の他端、巻線132の他端及び巻線133の他端は一体に接続される。
【0032】
なお、該モーター巻線130は3相モーターに限定されず、6相モーター等であってもよく、対応して、該スイッチモジュール120は6相ブリッジアームを含んでもよい。
【0033】
いくつかの実施例では、スイッチモジュール120におけるスイッチの周期的なオンオフを制御することにより電流を変調させることができる。例えば、インバーターにおける対象上部ブリッジアームスイッチ及び対象下部ブリッジアームスイッチの周期的なオンオフを制御することにより電流を変調させる。一例では、対象上部ブリッジアームスイッチが上部ブリッジアームスイッチ121である場合、対象下部ブリッジアームスイッチは下部ブリッジアームスイッチ124及び/又は下部ブリッジアームスイッチ126である。別の例では、対象上部ブリッジアームスイッチが上部ブリッジアームスイッチ123である場合、対象下部ブリッジアームスイッチは下部ブリッジアームスイッチ122及び/又は下部ブリッジアームスイッチ126である。別の例では、対象上部ブリッジアームスイッチが上部ブリッジアームスイッチ125である場合、対象下部ブリッジアームスイッチは122及び/又は下部ブリッジアームスイッチ124である。
【0034】
なお、周期的にオン及びオフにされる各周期の対象上部ブリッジアームスイッチ及び対象下部ブリッジアームスイッチは同じであってもよく、異なってもよいが、ここで限定しない。例えば、各周期にいずれも上部ブリッジアームスイッチ121及び下部ブリッジアームスイッチ124のオン及びオフを制御する。また例えば、第1の周期に、上部ブリッジアームスイッチ121及び下部ブリッジアームスイッチ124のオン及びオフを制御し、第2の周期に、上部ブリッジアームスイッチ123及び下部ブリッジアームスイッチ122のオン及びオフを制御し、第3の周期に、上部ブリッジアームスイッチ121、下部ブリッジアームスイッチ124及び下部ブリッジアームスイッチ126のオン及びオフを制御し、すなわち、異なる周期に制御される対象上部ブリッジアームスイッチ及び下部ブリッジアームスイッチは異なってもよい。
【0035】
対象上部ブリッジアームスイッチ及び対象下部ブリッジアームスイッチの周期的なオン及びオフを制御することにより、給電モジュール、対象上部ブリッジアームスイッチ、対象下部ブリッジアームスイッチ及びモーター巻線の間に形成される異なる回路の電流方向が異なり、それにより交流電流が生じ、すなわち給電モジュールは充電と放電とを交互に行う。
【0036】
対象オンスイッチは、少なくとも1つの上部ブリッジアームスイッチ及び少なくとも1つの下部ブリッジアームスイッチを含み、少なくとも1つの上部ブリッジアームスイッチ及び少なくとも1つの下部ブリッジアームスイッチは異なるブリッジアームに位置する。
【0037】
図1に示される動力電池加熱システムを使用し、モーター巻線を流れる3相電流が対称ではなく、かつ電流周波数が高いため、モーター回路を利用して動力電池を加熱する過程で、モーターの振動ノイズが大きすぎるという問題が存在する。
【0038】
本願の実施例は動力電池加熱システムの制御方法を提供し、スイッチモジュールを制御することにより、給電モジュール、スイッチモジュール及びモーター巻線の間に回路を形成させ、かつモーター巻線に流入する電流の合成磁界を0~0.5Tに制御し、それにより、モーター回路を利用して動力電池を加熱する過程で、モーターの振動ノイズが大きすぎるという問題を効果的に低減させることができる。
【0039】
図2は本願の実施例に係る動力電池加熱システム200の模式的なブロック図を示す。
図2に示すように、該動力電池加熱システム200は、複数の第1巻線210、複数の第2巻線220、第1スイッチ群230、第2スイッチ群240、給電モジュール250及び制御モジュール260を含む。
該第1スイッチ群230は該複数の第1巻線210に接続され、該第2スイッチ群240は該複数の第2巻線220に接続される。理解されるように、該「接続」は物理的に直接接続されてもよく、他のデバイスを介して接続されてもよい。
【0040】
該複数の第1巻線210及び該複数の第2巻線220の数はいずれも3の倍数であり、かつ該複数の第1巻線210及び該複数の第2巻線220はいずれも第1モーターの巻線であってもよい。例えば、該第1モーターは6相モーターであり、該複数の第1巻線210は該6相モーターの3つの巻線であり、該複数の第2巻線220は該6相モーターの他の3つの巻線である。また例えば、該第1モーターは12相モーターであり、該複数の第1巻線210は12相モーターの6つの巻線であり、該複数の第2巻線220は12相モーターの他の6つの巻線である。
【0041】
該第1スイッチ群230及び該第2スイッチ群240はスイッチモジュールと総称されてもよく、つまり、スイッチモジュールは該第1スイッチ群230及び該第2スイッチ群240を含む。
【0042】
該制御モジュール260は、該第1スイッチ群230及び該第2スイッチ群240のスイッチ状態を制御し、該第1スイッチ群230、該複数の第1巻線210、該複数の第2巻線220、該第2スイッチ群240及び該給電モジュール250の間の回路を形成し、電流に動力電池内で熱を発生させ、該動力電池を加熱することに用いられる。
【0043】
該複数の第1巻線210及び該複数の第2巻線220を流れる電流の合成磁界はいずれも0~0.5Tである。
【0044】
図1の制御方式と同様に、制御モジュール260は第1スイッチ群230及び第2スイッチ群240内のスイッチの周期的なオン及びオフを制御することにより、給電モジュール250、第1スイッチ群230、第2スイッチ群240、複数の第1巻線210及び複数の第2巻線220の間に形成される回路に交流電流を生じさせる。例えば、第1の周期内に、制御モジュール260は第1スイッチ群230及び第2スイッチ群240内のスイッチを制御して電流を給電モジュールの正方向から負方向へ流入し、すなわち第1回路を形成し、放電回路とも呼ばれ、第2の周期内に、制御モジュール260は第1スイッチ群230及び第2スイッチ群240内のスイッチを制御して電流を給電モジュールの負方向から正方向へ流入し、すなわち第2回路を形成し、充電回路とも呼ばれ、該第1回路及び該第2回路は電流に動力電池内で熱を発生させ、それにより動力電池を加熱することに用いられる。
また、第1スイッチ群230及び第2スイッチ群240内のスイッチを周期的にオン及びオフにすることは、つまり、予め設定された周波数で第1スイッチ群230及び第2スイッチ群240内のスイッチを交互にオン及びオフにすることを指す。
【0045】
単方向巻線の起磁力は、空間に段階的に分布し、時間に伴って電流変化の法則に従って変化する脈動起磁力である。3相モーターの3つの単相巻線の起磁力を重ね合わせると、3相巻線の合成磁界になる。通常、加熱過程で3相モーターの3相巻線に流入する電流は、大きさが完全に同じではなく、その2相の巻線を流れる電流は、位相差が180°であり、位相差のない2相の電流の大きさは同じである。モーター巻線を流れる3相電流は相互に対称ではなくなり、かつ電流周波数が高いため、動力電池の加熱過程でモーターの振動ノイズが大きいという問題をもたらす。本願では、同一モーターに属する複数の第1巻線210及び複数の第2巻線220に流入する電流の合成磁界を所定の範囲内、例えば、0~0.5Tに制御することにより、モーター回路を利用して動力電池を加熱するときに生じた振動ノイズを効果的に抑制する。また、同一モーターに属する複数の第1巻線210及び複数の第2巻線220に流入する電流の合成磁界をいずれも0~0.5Tに制御することにより、モーターを作動させることがなく、モーターの回転子の発熱問題をさらに解決でき、それにより電池の自己加熱の使用時間を延長させる。
【0046】
選択可能に、本願の実施例では、該動力電池加熱システム200は6相モーター、スイッチモジュール、制御モジュール260及び給電モジュール250を含み、該6相モーターは3つの第1巻線210及び3つの第2巻線220を含み、該スイッチモジュールの第1スイッチ群230は第1ブリッジアーム群であり、該スイッチモジュールの第2スイッチ群240は第2ブリッジアーム群であり、該第1ブリッジアーム群及び該第2ブリッジアーム群内の各ブリッジアームはそれぞれ上部ブリッジアーム及び下部ブリッジアームを含み、該第1ブリッジアーム群内の各ブリッジアームの上部ブリッジアームと下部ブリッジアームとの接続点は3つの第1巻線と一対一で対応して接続され、該第2ブリッジアーム群内の各ブリッジアームの上部ブリッジアームと下部ブリッジアームとの接続点は3つの第2巻線と一対一で対応して接続され、該第1ブリッジアーム群及び該第2ブリッジアーム群はいずれも給電モジュールに並列接続される。
【0047】
該制御モジュール260は、該第1ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアームのオン、該第1ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアームのオフ、該第2ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアームのオン及び該第2ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアームのオフを制御して、該第1ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアーム、該3つの第1巻線、該3つの第2巻線、該第2ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアーム及び該給電モジュールの間の第1回路を形成するための第1加熱信号を該スイッチモジュールに送信すること、及び該第1ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアームのオン、該第1ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアームのオフ、該第2ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアームのオン及び該第2ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアームのオフを制御して、該第1ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアーム、該3つの第1巻線、該3つの第2巻線、該第2ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアーム及び該給電モジュールの間の第2回路を形成するための第2加熱信号を該スイッチモジュールに送信することに用いられ、該第1回路及び該第2回路は電流に動力電池内で熱を発生させ、該動力電池を加熱することに用いられる。
【0048】
該3つの第1巻線210の空間位相差は120°であり、該3つの第2巻線220の空間位相差は120°である。
【0049】
電流が6相モーターの3つの第1巻線の間に流入する空間位相差を120°に制御し、かつ電流が6相モーターの他の3つの第2巻線の間から流出する空間位相差を120°に制御することにより、該6相モーターの回路を利用して動力電池を加熱するとき、モーターの振動ノイズを効果的に抑制することができる。また、本願に係る動力電池加熱システムは、モーターを作動させることがないため、モーターの回転子の発熱問題を解決でき、それにより、電池の自己加熱の使用時間を延長させる。
以下、
図3及び
図4を参照しながら、本願の実施例に係る動力電池加熱システム400の回路図を詳細に説明する。
【0050】
図3及び
図4に示すように、第1モーターは6相モーターであり、該複数の第1巻線はそれぞれ6相モーターの巻線311、巻線312及び巻線313であり、該複数の第2巻線はそれぞれ6相モーターの巻線314、巻線315及び巻線316である。該第1ブリッジアーム群はスイッチモジュールのブリッジアーム331、ブリッジアーム332及びブリッジアーム333である。該第2ブリッジアーム群はスイッチモジュールのブリッジアーム334、ブリッジアーム335及びブリッジアーム336である。
【0051】
具体的に、ブリッジアーム331の上部ブリッジアーム3311と下部ブリッジアーム3312との接続点は巻線311の一端に接続され、ブリッジアーム332の上部ブリッジアーム3321と下部ブリッジアーム3322との接続点は巻線312の一端に接続され、ブリッジアーム333の上部ブリッジアーム3331と下部ブリッジアーム3332との接続点は巻線313の一端に接続され、ブリッジアーム334の上部ブリッジアーム3341と下部ブリッジアーム3342との接続点は巻線314の一端に接続され、ブリッジアーム335の上部ブリッジアーム3351と下部ブリッジアーム3352との接続点は巻線315の一端に接続され、ブリッジアーム336の上部ブリッジアーム3361と下部ブリッジアーム3362との接続点は巻線316の一端に接続される。
【0052】
図3に示すように、給電モジュール350、上部ブリッジアーム3311~3331、巻線311~313、巻線314~316及び下部ブリッジアーム3342~3362は共に放電回路を形成し、同様に、
図4に示すように、給電モジュール350、下部ブリッジアーム3312~3332、巻線311~313、巻線314~316及び上部ブリッジアーム3341~3361は共に充電回路を形成する。制御モジュール(図示せず)の制御により、充電回路及び放電回路は周期的で交互にオンにされる。
【0053】
図3及び
図4に示される実施例では、電流が巻線311~313の3つの巻線の間に流入する空間位相差を120°に制御し、かつ電流が巻線314~316の3つの巻線の間から流出する空間位相差を120°に制御することにより、該6相モーターの回路を利用して動力電池を加熱するとき、モーターの振動ノイズを効果的に抑制することができる。かつ本願の実施例に係る動力電池加熱システムはモーターを作動させることがないため、モーターの回転子の発熱問題を解決でき、それにより電池の自己加熱の使用時間を延長させる。
【0054】
巻線311~313を入力巻線としてもよく、巻線314~316を出力巻線としてもよい。代替的に、巻線311~313を出力巻線としてもよく、巻線314~316を入力巻線としてもよい。巻線311~313に接続される3相ブリッジアームの上部ブリッジアームと巻線314~316に接続される3相ブリッジアームの下部ブリッジアームとが同時にスイッチのオン又はオフを維持し、巻線311~313に接続される3相ブリッジアームの下部ブリッジアームと巻線314~316に接続される上部ブリッジアームとが同時にスイッチのオン又はオフを維持することを確保すれば、
図3に示される放電回路及び
図4に示される充電回路を実現できる。
【0055】
選択可能に、本願の実施例では、複数の第1巻線の空間位相差は360°とMの比であってもよく、複数の第2巻線の空間位相差は360°とNの比であってもよく、ここで、Mは複数の第1巻線の数であり、Nは複数の第2巻線の数であり、(M+N)は第1モーターの巻線の数である。例えば、該第1モーターが12相モーターであり、該複数の第1巻線が12相モーターの6つの巻線であり、該複数の第2巻線が12相モーターの他の6つの巻線である場合、該6つの第1巻線の空間位相差は60°であり、6つの第2巻線の空間位相差は60°である。
【0056】
選択可能に、制御モジュールは、予め設定された周波数で、スイッチモジュールに第1加熱信号及び第2加熱信号を交互に送信することに用いられる。つまり、制御モジュールはスイッチモジュールに第1加熱信号を送信するときにタイミングを開始し、所定時間後にスイッチモジュールに第2加熱信号を送信する。次に、制御モジュールはスイッチモジュールに第2加熱信号を送信するときにタイミングを開始し、所定時間後にスイッチモジュールに第1加熱信号を再び送信し、このように繰り返して順にスイッチモジュールに第1加熱信号及び第2加熱信号を送信する。
【0057】
選択可能に、本願の実施例では、該給電モジュールは動力電池であり、該制御モジュールはさらに、該動力電池の荷電状態SOCを決定すること、該SOCが第1閾値よりも大きい場合、スイッチモジュールに第1加熱信号及び第2加熱信号を送信し、言い換えれば、該回路を流れる電流を交流電流に変調させること、及び、該SOCが該第1閾値以下である場合、スイッチモジュールのスイッチの閉じ又はオフを制御するための第3加熱信号をスイッチモジュールに送信することにより、回路の電流方向を一定にし、すなわち、該回路を流れる電流を直流電流に変調させ、それにより、該第1モーターに生じた熱を車両の冷却システムを介して動力電池に伝達し、動力電池を加熱することに用いられる。
【0058】
荷電状態(State Of Charge、SOC)とは、電池の所定の放電率で、残量と同一条件での定格容量との比である。SOCは電池管理システムの重要なパラメータの1つであり、自動車全体の充放電制御戦略及び電池バランス作動の根拠でもある。しかし、リチウム電池そのものの構造の複雑さにより、その荷電状態を直接測定することにより得ることができず、電池のある外部特性、例えば電池の内部抵抗、温度、電流等の関連パラメータに基づいて、関連する特性曲線又は計算式でSOCに対する推算を完了することしかできない。
【0059】
本願の実施例は温度が低い動力電池を加熱するシーンに適用できる。例えば、動力電池を加熱することにより、動力電池の温度を、電池パックが正常に使用できる温度に達するまで上昇させるという具体的なシーンに適用できる。具体的に、本願の実施例では、動力電池のSOCが第1閾値よりも大きいとき、回路を流れる電流を交流電流に変調させることができ、交流電流を利用して動力電池の内部抵抗によって発熱し、それにより動力電池を加熱し、加熱効率を向上させることができ、電池SOCが第1閾値以下であるとき、すなわち、電池の電気量が不十分であるとき、直流電流を利用して巻線に熱を発生させて動力電池を加熱し、電気量消耗を低減させ、動力電池の加熱システムの柔軟性を向上させることができる。
【0060】
選択可能に、制御モジュールは、最初に、モーター回路を流れる電流を直流電流にするように第1スイッチ群及び第2スイッチ群を制御し、動力電池のSOCを周期的に決定し、動力電池のSOCが第1閾値よりも大きいと決定すると、モーター回路を流れる電流を交流電流にするように第1スイッチ群及び第2スイッチ群を制御し、交流電流を利用して動力電池の内部抵抗によって発熱して動力電池を加熱し、それにより加熱効率を向上させることができる。
【0061】
いくつかの実施例では、空間ベクトルパルス幅変調Space Vector Pulse Width Modulation、SVPWM)アルゴリズムでモーター巻線の電流を直流電流又は交流電流に変調させてもよい。
【0062】
なお、モーター巻線に直流電流が流れるとき、モーターの半径方向電磁力を減少させ、モーター回転子の渦電流損失を低減させ、それにより、回転子の発熱量を低減させる。従って、モーター巻線に直流電流が流れるとき、モーター回転子の発熱量及び電磁振動ノイズを低減させる。
【0063】
選択可能に、本願の実施例では、該制御モジュールは具体的に、該第1モーターの作動状態を取得すること、及び該第1モーターが非駆動状態にあるとき、該スイッチモジュールに第1加熱信号及び第2加熱信号を送信することに用いられる。
【0064】
モーターの作動状態を判断することにより、モーターが駆動状態にあるときに動力電池を加熱し、さらに車両等の動力装置の性能に影響を与えることを回避する。
【0065】
さらに、該制御モジュールは具体的に、第1モーターが非駆動状態にありかつ動力電池加熱システムに故障がないとき、該スイッチモジュールに第1加熱信号及び第2加熱信号を送信する。
【0066】
なお、本願の実施例では、電池加熱システムに故障があることとは、第1モーター、モーター制御ユニット、スイッチモジュール及び熱伝達回路等のいずれかに故障が発生することを指す。熱伝達回路に故障が発生することは、連通バルブが破損され、熱伝達回路内の媒体が不十分であるなどの問題を含むが、それらに限定されない。
【0067】
選択可能に、レンジ情報及びモーターの回転数情報を取得し、かつこれに基づいて第1モーターが駆動状態にあるか非駆動状態にあるかを判断してもよい。具体的に、現在のレンジがPレンジでありかつ車速が0であると判定したとき、第1モーターが非駆動状態にあると示し、現在のレンジがPレンジではなく又は車速が0ではないと判定したとき、第1モーターが駆動状態にあると示す。
【0068】
レンジ情報及びモーターの回転数情報によって判断し、いずれかの条件を満たさないとき、第1モーターに加熱信号を送信せず、車両が正常に走行する状態で動力電池を加熱し、さらに車両性能に影響を与えることを回避する。
【0069】
選択可能に、本願の実施例では、該制御モジュールはさらに、電池管理システムBMSから送信された、該動力電池が加熱条件を満たすことを指示するための加熱要求を受信することに用いられる。
BMSから送信された加熱要求を受信することにより、制御モジュールは動力電池をタイムリーに加熱することができ、車両等の動力装置の使用に影響を与えることを回避する。
【0070】
選択可能に、本願の実施例では、該制御モジュールはさらに、該動力電池の温度が予め設定された温度に達し、又は、該動力電池の温度上昇が異常である場合、該スイッチモジュールに加熱停止信号を送信することに用いられ、該加熱停止信号は、スイッチモジュールを制御して、給電モジュール、スイッチモジュール、3つの第1巻線及び3つの第2巻線の間に回路を構成しないことにより、動力電池に対する加熱を停止する。
【0071】
選択可能に、本願の実施例では、制御モジュールは車両制御ユニット(Vehicle control unit、VCU)及び/又はモーター制御ユニットを含んでもよい。
【0072】
選択可能に、車両制御ユニットはBMSから送信された加熱要求を受信するとき、車両制御ユニットはモーター制御ユニットに制御信号を送信してもよく、該制御信号は動力電池を加熱することを指示することに用いられ、すなわち、該制御信号はスイッチモジュールに加熱信号を送信することをモーター制御ユニットに指示することに用いられる。例えば、モーター制御ユニットは車両制御ユニットから送信された制御信号を受信すると、スイッチモジュールに第1加熱信号を送信してもよく、該第1加熱信号は、スイッチモジュールを制御して、給電モジュール、スイッチモジュール、3つの第1巻線及び3つの第2巻線の間に第1回路を形成することに用いられ、所定時間後、モーター制御ユニットはスイッチモジュールに第2加熱信号を送信し、該第2加熱信号は、スイッチモジュールを制御して、給電モジュール、スイッチモジュール、3つの第1巻線及び3つの第2巻線の間に第2回路を形成することに用いられ、該第1回路及び第2回路における電流方向は逆であり、電流は順に3つの第1巻線から流入し、そして3つの第2巻線から流出する。
【0073】
選択可能に、
図3及び
図4に示される動力電池加熱システムは給電モジュールに並列接続されるコンデンサCをさらに含み、主に圧力安定化及びクラッタ濾過等の役割を果たす。
【0074】
以上、本願の実施例の動力電池加熱システムを詳細に説明しており、以下、
図5及び
図6を参照しながら本願の実施例の動力電池加熱システムの制御方法を詳細に説明する。装置の実施例に説明される技術的特徴は以下の方法の実施例に適用できる。
【0075】
図5は本願の実施例の動力電池加熱システムの制御方法500の模式的なブロック図を示し、該動力電池加熱システムは上記説明されたいずれかの動力電池加熱システムである。該制御方法500は動力電池加熱システムの制御モジュール、例えば、車両制御ユニット及び/又はモーター制御ユニットによって実行されてもよく、該制御方法500は、
第1ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアームのオン、第1ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアームのオフ、第2ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアームのオン及び第2ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアームのオフを制御して、第1ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアーム、3つの第1巻線、3つの第2巻線、第2ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアーム及び給電モジュールの間の第1回路を形成するための第1加熱信号をスイッチモジュールに送信するステップS510と、
第1ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアームのオン、第1ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアームのオフ、第2ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアームのオン及び第2ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアームのオフを制御して、第1ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアーム、3つの第1巻線、3つの第2巻線、第2ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアーム及び給電モジュールの間の第2回路を形成するための第2加熱信号をスイッチモジュールに送信するステップS520と、を含み、
該第1回路及び該第2回路は電流に動力電池内で熱を発生させ、該動力電池を加熱することに用いられ、該3つの第1巻線の空間位相差は120°であり、該3つの第2巻線の空間位相差は120°である。
【0076】
具体的に、本願の実施例では、車両制御ユニットは動力電池が加熱条件を満たすと判断した場合、動力電池を加熱することを指示するための制御信号をモーター制御ユニットに送信することができ、さらに、モーター制御ユニットはスイッチモジュールに第1加熱信号を送信し、該第1加熱信号は第1ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアーム、3つの第1巻線、3つの第2巻線、第2ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアーム及び給電モジュールの間に第1回路を形成するように制御し、モーター制御ユニットは第1加熱信号を送信した後の所定時間にスイッチモジュールに第2加熱信号を送信し、該第2加熱信号は第1ブリッジアーム群のすべての下部ブリッジアーム、3つの第1巻線、3つの第2巻線、第2ブリッジアーム群のすべての上部ブリッジアーム及び給電モジュールの間に第2回路を形成するように制御する。
【0077】
選択可能に、本願の実施例では、該スイッチモジュールに第1加熱信号及び第2加熱信号を送信するステップは、予め設定された周波数で、該スイッチモジュールに該第1加熱信号と該第2加熱信号を交互に送信するステップを含む。すなわち、該第1回路と該第2回路は交互に形成される。
選択可能に、本願の実施例では、該給電モジュールは動力電池であり、該スイッチモジュールに第1加熱信号及び第2加熱信号を送信するステップは、該動力電池の荷電状態SOCを決定するステップと、該SOCが第1閾値よりも大きい場合、該スイッチモジュールに該第1加熱信号及び該第2加熱信号を送信するステップと、を含む。
【0078】
選択可能に、本願の実施例では、該スイッチモジュールに第1加熱信号及び第2加熱信号を送信するステップは、6相モーターの作動状態を取得するステップと、該6相モーターが非駆動状態にある場合、該スイッチモジュールに該第1加熱信号及び該第2加熱信号を送信するステップと、を含む。
選択可能に、本願の実施例では、該制御方法は、動力電池の温度が予め設定された温度に達し、又は、該動力電池の温度上昇が異常である場合、該スイッチモジュールに加熱停止信号を送信するステップをさらに含む。
【0079】
以下、それぞれ
図3及び
図4に示される動力電池加熱システム300を例として本願の実施例の動力電池加熱システムの制御方法を詳細に説明し、
図6は制御方法600の模式的なフローチャートを示し、
図6に示すように、該制御方法600は、ステップS601~S607を含む。
S601、BMSは電池パックの温度、SOC、電圧信号及び電流信号等の電池パラメータを収集する。
【0080】
S602、BMSは電池の各項のパラメータに基づいて加熱条件を満たすか否かを判断し、満たす場合、SOC状態に基づいて対応する加熱要求をVCUに送信し、例えば、予め設定された温度に加熱されるのに必要な電力をVCUに送信する。
S603、BMS又はVCUは電池SOCが第1閾値よりも大きいか否かを判断する。
S604、SOCが第1閾値よりも大きい場合、モーター回路を流れる交流電流により生じた熱で動力電池を加熱する。
【0081】
S605、SOCが第1閾値以下である場合、モーター回路を流れる直流電流により生じた熱で動力電池を加熱する。
【0082】
S604の後、VCUは第1モーターの現在の作動状態を読み取る。例えば、第1モーターが駆動状態(すなわち作動状態)にある場合、VCUは駆動信号をモーター制御ユニットに送信する。このとき、モーター制御ユニットは、スイッチモジュールに周期駆動信号を送信し、ブリッジアーム331~336の上部ブリッジアーム及び下部ブリッジアームがモーター制御ユニットから送信された周期駆動信号に基づいてスイッチのオンの切り替えを行うように制御し、電池電流の反転制御を実現する。第1モーターが非駆動状態にある場合、VCUは制御信号をモーター制御ユニットに送信する。このとき、モーター制御ユニットは、スイッチモジュールに第1加熱信号及び第2加熱信号を送信し、ブリッジアーム331~333の上部ブリッジアーム及びブリッジアーム334~336の下部ブリッジアーム、ブリッジアーム331~333の下部ブリッジアーム及びブリッジアーム334~336の上部ブリッジアームが同時にスイッチのオン及びオフを維持するように交互に制御する。
【0083】
具体的に、ブリッジアーム331~333の上部ブリッジアーム3311、3321及び3331と、ブリッジアーム334~336の下部ブリッジアーム3342、3352、3362とがオンになり、ブリッジアーム331~333の下部ブリッジアーム3312、3322及び3332と、ブリッジアーム334~336の上部ブリッジアーム3341、3351、3361とがオフになるとき、電池350は放電し、放電回路は、350(+)→(3311/3321/3331)→(311/312/313)→(314/315/316)→(3342/3352/3362)→350(-)であり、電流状態は
図3に示される。ブリッジアーム331~333の下部ブリッジアーム3312、3322及び3332と、ブリッジアーム334~336の上部ブリッジアーム3341、3351、3361とがオンになり、ブリッジアーム331~333の上部ブリッジアーム3311、3321及び3331と、ブリッジアーム334~336の下部ブリッジアーム3342、3352、3362とがオフになるとき、電池350は充電し、充電回路は、350(-)→(3312/3322/3332)→(311/312/313)→(314/315/316)→(3341/3351/3361)→350(+)であり、電流状態は
図4に示される。
【0084】
S606、BMSは電池パックの温度に異常があるか否かを判断し、ある場合、温度上昇異常情報をVCUに送信し、VCUは温度上昇異常情報をモーター制御ユニットに転送し、加熱を停止する。
S607、S606で温度上昇に異常がないと判断した場合、BMSは電池パックの温度が要件を満たすか否かを判断し、要件を満たす場合、VCUは停止加熱情報をモーター制御ユニットに転送し、加熱を停止し、そうでない場合、S604/S605及びS606を繰り返す。
【0085】
図7は本願の実施例の動力電池加熱システムの制御回路700の模式的なブロック図を示す。
図7に示すように、制御回路700はプロセッサ720を含み、選択可能に、該制御回路700はメモリ710をさらに含み、メモリ710は命令を記憶することに用いられ、プロセッサ720は該命令を読み取って該命令に基づいて上記本願の様々な実施例の方法を実行することに用いられる。
選択可能に、該プロセッサ720は上記いずれかの動力電池加熱システムの制御モジュールに対応する。
【0086】
選択可能に、本願の実施例は動力装置をさらに提供し、該動力装置は動力電池及び上記いずれかの該動力電池加熱システムを含み、該動力電池加熱システムは該動力電池を加熱することに用いられ、該動力電池は該動力装置に電源を提供する。
【0087】
選択可能に、該動力装置は動力自動車である。
【0088】
本願の実施例はコンピュータプログラムを記憶するための可読記憶媒体をさらに提供し、該コンピュータプログラムは上記本願の様々な実施例の方法を実行することに用いられる。
【0089】
当業者であれば、本明細書に開示される実施例を参照して説明した各例示的なユニット及びアルゴリズムステップは、電子ハードウェア又はコンピュータソフトウェアと電子ハードウェアとの組み合わせで実現できることを理解できる。これらの機能は、ハードウェア方式で実行されるか、ソフトウェア方式で実行されるかは、技術案の特定の応用及び設計制約条件に決められる。当業者は、各特定の応用に対して異なる方法を使用して、説明された機能を実現することができるが、この実現は本願の範囲を超えると認められるべきではない。
【0090】
当業者が明確に理解できるように、説明を容易かつ簡単にするために、上記説明されたシステム、装置及びユニットの具体的な作動過程は、上記方法の実施例における対応する過程を参照すればよい。ここで詳細な説明は省略する。
【0091】
本願が提供するいくつかの実施例では、開示されるシステム、装置及び方法は、他の方式によって実現されてもよいと理解されるべきである。例えば、上記説明された装置の実施例は、例示的なものに過ぎず、例えば、前記ユニットの分割は、論理的機能上の分割に過ぎず、実際に実現するとき、他の分割方式があってもよく、例えば、複数のユニット又はコンポーネントは組み合わせされてもよく、又は別のシステムに集積されてもよく、又はいくつかの特徴が無視されてもよく、又は実行されなくてもよい。一方、表示又は検討される相互間の結合又は直接結合又は通信接続は、いくつかのインターフェース、装置又はユニットを介した間接結合又は通信接続であってもよく、電気的、機械的又は他の形態のものであってもよい。
【0092】
別々の部材として説明される前記ユニットは物理的に分離されてもよいし、物理的に分離されなくてもよく、ユニットとして示される部材は物理ユニットであってもよいし、物理ユニットでなくてもよく、すなわち、1つの場所に位置してもよいし、複数のネットワークユニットに分布してもよい。実際の必要に応じて、その一部又は全部のユニットを選択して本実施例の技術案の目的を実現することができる。
【0093】
また、本願の各実施例の各機能ユニットは1つの処理ユニットに集積されてもよく、各ユニットは単独で物理的に存在してもよく、2つ又は2つ以上のユニットは1つのユニットに集積されてもよい。
【0094】
前記機能はソフトウェア機能ユニットの形態で実現され、且つ独立した製品として販売又は使用されるとき、1つのコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。このような理解に基づき、本願の技術案、又は従来技術に寄与する部分、又は該技術案の一部はソフトウェア製品の形態で具現されてもよく、該コンピュータソフトウェア製品は1つの記憶媒体に記憶され、1台のコンピュータ装置(パーソナルコンピュータ、サーバ又はネットワーク装置等であってもよい)に本願の各実施例に記載の方法の全部又は一部のステップを実行させるための複数の命令を含む。上記記憶媒体はUディスク、モバイルハードディスク、読み出し専用メモリ(Read-Only Memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)、磁気ディスク又は光ディスク等のプログラムコードを記憶できる様々な媒体を含む。
【0095】
以上は本願の具体的な実施形態に過ぎないが、本願の保護範囲はこれに制限されず、当業者が本願に開示される技術的範囲内に容易に想到し得る変更や置換は、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。従って、本願の保護範囲は特許請求の範囲に準じるべきである。
【符号の説明】
【0096】
200 動力電池加熱システム
210 複数の第1巻線
220 複数の第2巻線
230 第1スイッチ群
240 第2スイッチ群
250 給電モジュール
260 制御モジュール