(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】組織開口部を閉塞するための医療装置及びシステム及びその方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/12 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
A61B17/12
(21)【出願番号】P 2021574968
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(86)【国際出願番号】 IB2020055329
(87)【国際公開番号】W WO2020254907
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-04-21
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509031165
【氏名又は名称】コヒーレックス メディカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】COHEREX MEDICAL,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】イ・スン・ケイ
【審査官】近藤 裕之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0338767(US,A1)
【文献】特表2014-524775(JP,A)
【文献】特表2014-524309(JP,A)
【文献】特表2003-529384(JP,A)
【文献】特表2008-519659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓の左心耳を閉塞するための医療装置であって、
ハブ及びカバーを有するカバー部分であって、前記カバーは前記ハブから径方向に延びており、前記カバー部分は、前記左心耳の小孔の近位側に沿って配置されるように寸法決めされ構成されている、カバー部分と、
可撓性部材によって前記カバー部分に連結された発泡体アンカー部分であって、前記発泡体アンカー部分は、近位端と遠位端との間に延在して、長さと、前記発泡体アンカー部分の前記長さに沿って画定される軸とを規定し、前記発泡体アンカー部分は、前記発泡体アンカー部分の前記近位端と前記遠位端との間に延在するように前記軸に対して径方向に広がる曲面外側表面を画定し、前記発泡体アンカー部分は、前記曲面外側表面の円周方向の表面領域が前記左心耳の組織に対して付勢するように、自己膨張して前記曲面外側表面から外向きの付勢力を提供するように構成されている、発泡体アンカー部分と、を含む、医療装置。
【請求項2】
前記曲面外側表面が、全表面領域を画定し、前記曲面外側表面の前記全表面領域の少なくとも半分が、前記左心耳内の組織を掴みかつ組織と接触するように寸法決めされ構成されている、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記発泡体アンカー部分の前記曲面外側表面が、前記外向きの付勢力によって前記左心耳内の組織を掴みかつ組織と接触するように寸法決めされ構成された微小突起を含む、請求項1に記載の医療装置。
【請求項4】
前記発泡体アンカー部分の前記曲面外側表面が、前記外向きの付勢力によって組織を掴むように寸法決めされ構成された隆起グリッドパターンを含む、請求項1に記載の医療装置。
【請求項5】
前記発泡体アンカー部分の前記曲面外側表面が、前記外向きの付勢力によって組織を掴みかつ組織に係留するように寸法決めされ構成された複数の突起を画定している、請求項1に記載の医療装置。
【請求項6】
前記発泡体アンカー部分の前記曲面外側表面が、内部に複数の凹部を画定しており、前記複数の凹部は、前記発泡体アンカー部分の前記曲面外側表面の隆起部分によって画定されている、請求項1に記載の医療装置。
【請求項7】
前記発泡体アンカー部分の前記曲面外側表面が、複数のリング形状構造体を画定している、請求項1に記載の医療装置。
【請求項8】
前記発泡体アンカー部分が、切頭円錐構造及び円筒構造の少なくとも一方と類似した形状に膨張する、請求項1に記載の医療装置。
【請求項9】
前記発泡体アンカー部分が、前記発泡体アンカー部分の近位端部分と遠位端部分との間に可変膨張性を含み、前記遠位端部分は、前記近位端部分よりも高い発泡体膨張性を有する、請求項1に記載の医療装置。
【請求項10】
前記カバー部分が、凹状構造を有する近位対向面を有して延在し、前記近位対向面は、前記医療装置の遠位端から離れる方向に面している、請求項1に記載の医療装置。
【請求項11】
前記カバー部分及び前記発泡体アンカー部分が展開されると、前記可撓性部材が、前記発泡体アンカー部
分の前記軸に対してある角度で伸長可能である、請求項1に記載の医療装置。
【請求項12】
心臓の左心耳を閉塞するための医療装置システムであって、
ハンドルと、近位端と遠位端との間に延在するカテーテルと、を有する送達装置であって、前記近位端は前記ハンドルに連結されており、前記カテーテルは、前記カテーテルの前記近位端と前記遠位端との間で前記カテーテルを通って長手方向に延在する管腔を画定する、送達装置と、
前記ハンドルに動作可能に連結された医療装置であって、収縮状態において前記医療装置が前記カテーテルの遠位端部分内にあり、拡張状態において前記医療装置が前記カテーテルから前進されるように、前記収縮状態と前記拡張状態との間で移動されるように寸法決めされ構成されている、医療装置と、を含み、前記医療装置は、
ハブ及びカバーを有するカバー部分であって、前記カバーは前記ハブから径方向に延びており、前記カバー部分は、前記左心耳の小孔の近位側に沿って配置されるように寸法決めされ構成されている、カバー部分と、
可撓性部材によって前記カバー部分に連結された発泡体アンカー部分であって、前記発泡体アンカー部分は、
前記発泡体アンカー部分の近位端と遠位端との間に延在して、長さと、前記発泡体アンカー部分の前記長さに沿って画定される軸とを規定し、前記発泡体アンカー部分は、前記発泡体アンカー部分の前記近位端と前記遠位端との間に延在するように前記軸に対して径方向に広がる曲面外側表面を画定し、前記発泡体アンカー部分は、前記曲面外側表面の円周方向の表面領域が前記左心耳の組織に対して付勢するように、自己膨張して前記曲面外側表面から外向きの付勢力を提供するように構成されている、発泡体アンカー部分と、を含む、医療装置システム。
【請求項13】
前記曲面外側表面が、全表面領域を画定し、前記曲面外側表面の前記表面領域の少なくとも半分が、前記外向きの付勢力によって前記左心耳内の組織を掴みかつ組織と接触するように寸法決めされ構成されている、請求項12に記載の医療装置
システム。
【請求項14】
前記発泡体アンカー部分の前記曲面外側表面が、前記外向きの付勢力によって前記左心耳内の組織を掴みかつ組織と接触するように寸法決めされ構成された微小突起を含む、請求項12に記載の医療装置
システム。
【請求項15】
前記カバー部分及び前記発泡体アンカー部分が展開されると、前記可撓性部材が、前記発泡体アンカー部
分の前記軸に対してある角度で伸長可能である、請求項12に記載の医療装置
システム。
【請求項16】
前記発泡体アンカー部分の前記近位端は、第1の半径を画定するように延び、前記発泡体アンカー部分の前記遠位端は、第2の半径を画定するように延び、前記第2の半径は、前記遠位端と前記近位端との間の前記曲面外側表面が、前記遠位端と前記近位端との間の前記長さの全体に沿って切頭円錐形状で延びるように、前記第1の半径よりも大きい、請求項1に記載の医療装置。
【請求項17】
前記発泡体アンカー部分は、隆起グリッドパターンを画定するように延在する、請求項16に記載の医療装置。
【請求項18】
前記発泡体アンカー部分の前記近位端は、第1の半径を画定するように延び、前記発泡体アンカー部分の前記遠位端は、第2の半径を画定するように延び、前記第2の半径は、前記発泡体アンカー部分の前記遠位端と前記近位端との間の前記曲面外側表面が、前記発泡体アンカー部分の前記遠位端と前記近位端との間の前記長さの全体に沿って切頭円錐形状で延びるように、前記第1の半径よりも大きい、請求項12に記載の医療装置システム。
【請求項19】
前記発泡体アンカー部分は、隆起グリッドパターンを画定するように延在する、請求項18に記載の医療装置システム。
【請求項20】
前記発泡体アンカー部分の前記曲面外側表面が、前記隆起グリッドパターンを有して延在し、前記外向きの付勢力によって組織を掴むように寸法決めされ構成されている、請求項19に記載の医療装置システム。
【請求項21】
前記発泡体アンカー部分の前記曲面外側表面が、内部に複数の凹部を画定しており、前記複数の凹部は、前記発泡体アンカー部分の前記隆起グリッドパターンによって画定されている、請求項19に記載の医療装置システム。
【請求項22】
前記発泡体アンカー部分が、前記発泡体アンカー部分の近位端部分と遠位端部分との間に可変膨張性を含み、前記遠位端部分は、前記近位端部分よりも高い発泡体膨張性を有する、請求項19に記載の医療装置システム。
【請求項23】
前記カバー部分が、凹状構造を有する近位対向面を有して延在し、前記近位対向面は、前記医療装置の遠位端から離れる方向に面している、請求項19に記載の医療装置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、組織開口部又は心耳の閉塞に関し、より具体的には、例えば、そのような開口部及び左心耳などの心耳を閉塞するか、又は別の方法で構造的に改変するための装置、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓の上方の室である心房の各々には、心耳が付いている。例えば、左心耳は、全てのヒトの心臓の一形体である。そのような心耳の生理学的機能は完全には理解されていないが、心臓が正常に拍動している間、充填槽としての機能を果たすことは確かである。心耳は、典型的には、心房から突出して心房の外側部分を覆っている。心耳は、互いに実質的に異なる。例えば、ある心耳が先細の突起として構成され得る一方で、別の心耳は、内側に凹んだ靴下状の孔として構成され得る。心耳の内側表面は、従来通りに、1つ又は複数の葉(lobe)と共にその表面を横断する心筋組織の索で肉柱化される。
【0003】
心臓が正常に機能している間は、血液が心耳を通って送り出されるが、心耳は不活性であるように見える。換言すれば、心臓が正常に機能している間、心耳は、それらを通って送り出される血液に顕著な影響を及ぼしているようには見えない。しかしながら、心房細動の場合、心房が不整脈になると、心耳の内側で血液が鬱血して血栓症を引き起こす可能性がある。とりわけ、これが左心耳に起こった場合に、脳卒中の危険性をもたらし得、不整脈事象後に正常洞調律が回復すると、血栓が心臓から送り出されて頭蓋の循環系に入り得るためである。
【0004】
歴史的に、心房細動によって引き起こされる危険性を低減するために、時には心耳に外科的な修正が施されてきた。近年では、左心耳に経皮的に送達され得る装置が導入されている。これらの装置の基本機能は、埋め込み物で心耳内の容積を排除することにより、心耳内の血液が、安全に血栓を形成し、その後、心臓組織内に徐々に取り込まれるのを可能にすることである。このプロセスでは、装置の面を覆う内皮の成長と相まって、心耳が位置する表面を滑らかな内皮化状態にしておくことが可能である。経皮的に埋め込まれる装置は、左心耳に関連する問題に対処する手段として、外科的処置と比較して侵襲性が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、左心耳の心門のサイズ及び容積のばらつきが大きいことから、現在の埋め込み可能な装置は従来、そのようなばらつきに対応することができない構造を含み、結果として、多くの左心耳の解剖学的構造には不適切な装置になっている。更に、そのような埋め込み可能な装置は、それらがうまく配備され得る配向によって実質的に制限される。また更に、現在の埋め込み可能な装置の多くに関連する別の問題は、それらが、多くの場合、患者に灌流リスクをもたらすサイズ及び長さのフックで係留されることである。したがって、左心耳の修正の成功率を高めるために、例えば、埋め込み物の向き、左心耳のサイズ及び形状の多様性、又はこれら全ての問題に対処するための経皮システム、方法、及び/又は装置を提供することが有利である。
【0006】
様々な特徴及び利益は、後述する様々な実施形態の説明を読むことで、当業者に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、身体組織内の開口部を閉塞するための様々な装置、システム、及び方法を対象とする。例えば、一実施形態では、心臓の左心耳を閉塞するための医療装置が提供される。本医療装置は、カバー部分及び発泡体アンカー部分を含む。カバー部分は、ハブ及びカバーを含み、カバーはハブから径方向に延びており、カバー部分は、左心耳の小孔の近位側に沿って配置されるように寸法決めされ構成されている。発泡体アンカー部分は、可撓性部材によってカバー部分に連結されている。発泡体アンカー部分は、近位端と遠位端との間に延在して、長さと、発泡体アンカー部分の当該長さに沿って画定される軸とを画定する。発泡体アンカー部分は、発泡体アンカー部分の近位端と遠位端との間に延在するように、軸に対して径方向に延在する曲面外側表面を画定する。更に、発泡体アンカー部分は、自己膨張して曲面外側表面から外向きの付勢力を提供するように構成されており、これにより、曲面外側表面の円周方向の表面領域が左心耳の組織に対して付勢するようになっている。
【0008】
別の実施形態では、曲面外側表面は、全表面領域を規定し、曲面外側表面の全表面領域の少なくとも半分は、左心耳内の組織を掴みかつ組織と接触するように寸法決めされ構成されている。別の実施形態では、発泡体アンカー部分の曲面外側表面は、外向きの付勢力によって左心耳内の組織を掴みかつ組織と接触するように寸法決めされ構成された微小突起を含む。
【0009】
別の実施形態では、発泡体アンカー部分の曲面外側表面は、外向きの付勢力によって組織を掴むように寸法決めされ構成された隆起グリッドパターンを含む。更に別の実施形態では、発泡体アンカー部分の曲面外側表面は、外向きの付勢力によって組織を掴みかつ組織に係留するように寸法決めされ構成された複数の突起を画定する。更に別の実施形態では、発泡体アンカー部分の曲面外側表面は、内部に複数の凹部を画定しており、複数の凹部は、発泡体アンカー部分の曲面外側表面の隆起部分によって画定されている。別の実施形態では、発泡体アンカー部分の曲面外側表面は、複数のリング形状構造体を画定する。
【0010】
別の実施形態では、発泡体アンカー部分は、切頭円錐構造及び円筒構造の少なくとも一方と類似した形状に膨張する。更に別の実施形態では、発泡体アンカー部分は、発泡体アンカー部分の近位端部分と遠位端部分との間に可変発泡体密度で延在し、遠位端部分は、近位端部分よりも高い発泡体密度を有する。別の実施形態では、発泡体アンカー部分は、発泡体アンカー部分の近位端部分と遠位端部分との間に可変膨張性を含み、遠位端部分は、近位端部分よりも高い発泡体膨張性を有する。
【0011】
別の実施形態では、カバー部分は、凹状構造を有する近位対向面を有して延在し、近位対向面は、医療装置の遠位端から離れる方向に面している。別の実施形態では、カバー部分及び発泡体アンカー部分が展開されると、可撓性部材は、発泡体アンカー部材の軸に対してある角度で伸長可能である。
【0012】
本発明の別の実施形態に従って、心臓の左心耳を閉塞するための医療装置システムが提供される。医療装置システムは、送達装置及び医療装置を含む。送達装置は、ハンドルと、近位端と遠位端との間に延在するカテーテルとを有し、近位端はハンドルに連結されており、カテーテルは、カテーテルの近位端と遠位端との間でカテーテルを通って長手方向に延在する管腔を画定する。医療装置は、ハンドルに動作可能に連結されている。更に、医療装置は、収縮状態において医療装置がカテーテルの遠位端部分内にあり、拡張状態において医療装置がカテーテルから前進されるように、収縮状態と拡張状態との間で移動されるように寸法決めされ構成されている。医療装置は、カバー部分及び発泡体アンカー部分を含む。カバー部分はハブ及びカバーを含み、カバーはハブから径方向に延在する。カバー部分は、左心耳の小孔の近位側に沿って位置付けられるように寸法決めされ構成されている。発泡体アンカー部分は、可撓性部材によってカバー部分に連結されている。更に、発泡体アンカー部分は、近位端と遠位端との間に延在して、長さと、発泡体アンカー部分の当該長さに沿って画定される軸とを画定する。発泡体アンカー部分は、発泡体アンカー部分の近位端と遠位端との間に延在するように、軸に対して径方向に延在する曲面外側表面を画定する。発泡体アンカー部分は、曲面外側表面の円周方向の表面領域が左心耳の組織に対して付勢するように、自己膨張して曲面外側表面に沿って外向きの付勢力を提供するように構成されている。
【0013】
別の実施形態では、曲面外側表面は、全表面領域を規定し、曲面外側表面の表面領域の少なくとも半分は、外向きの付勢力によって左心耳内の組織を掴みかつ組織と接触するように寸法決めされ構成されている。別の実施形態では、発泡体アンカー部分の曲面外側表面は、外向きの付勢力によって左心耳内の組織を掴みかつ組織と接触するように寸法決めされ構成された微小突起を含む。別の実施形態では、カバー部分及び発泡体アンカー部分が展開されると、可撓性部材は、発泡体アンカー部材の軸に対してある角度で伸長可能である。
【0014】
本発明の別の実施形態に従って、心臓の左心耳を閉塞するための方法が提供される。本方法は、送達システムのカテーテルを用いて医療装置を脈管構造を通して心臓の左心耳内へと前進させる工程であって、医療装置は、収縮状態でカテーテルの遠位端部分内に位置付けられ、医療装置は、カバー部分及び発泡体アンカー部分を含み、可撓性部材がこれらの間に連結されており、発泡体アンカー部分は、近位端と遠位端との間に延びる長さを有し、発泡体アンカー部分は、長さに沿って軸方向に延びる軸を画定する、前進させる工程と;発泡体アンカー部分の曲面外側表面の円周方向の表面領域が、外向きの付勢力によって左心耳内の組織と接触しかつ組織に対して留まるように、カテーテルの遠位端部分から医療装置のアンカー部分を展開して自己膨張させる工程と;カバー部分が拡張状態へと自己拡張するように、医療装置のカバー部分をカテーテルの遠位端部分から展開する工程と;医療装置のカバー部分を左心耳の小孔に対して緊締して、発泡体アンカー部分とカバー部分との間に連結された可撓性部材の長さを短くする工程と、を含む。
【0015】
別の実施形態では、緊締する方法工程は、可撓性部材が発泡体アンカー部分の軸に対してある角度で延在するように、可撓性部材を発泡体アンカー部分からピンと張って伸長させる工程を含む。別の実施形態では、アンカー部分を展開する方法工程は、曲面外側表面の円周方向の胴締め領域と、発泡体アンカー部分の曲面外側表面に沿って画定された微小突起とを用いて、発泡体アンカー部分を係留させることを含む。更に別の実施形態では、カバー部分を展開する方法工程は、カバー部分のハブから径方向に延びるスポークによってカバー部分を拡張させることを含む。別の実施形態では、本方法は、医療装置からカテーテルを解放することと、送達システムを心臓から抜去して、医療装置を左心耳内に恒久的に残すことと、を更に含む。
【0016】
本発明の別の実施形態に従って、心臓の左心耳を閉塞するための医療装置が提供される。医療装置は、発泡体アンカーであって、近位端と遠位端との間に延在して、長さと、発泡体アンカーの長さに沿って画定される軸とを規定し、発泡体アンカーの近位端と遠位端との間に延在するように軸に対して径方向に広がる曲面外側表面を画定し、曲面外側表面の円周方向の表面領域が左心耳の組織に対して付勢するように、自己膨張して曲面外側表面から外向きの付勢力を提供するように構成されている、発泡体アンカー、を含む。
【0017】
別の実施形態では、発泡体アンカーは、近位端と遠位端との間に延在し、切頭円錐構造及び円筒構造のうちの少なくとも一方を呈する。別の実施形態では、曲面外側表面は、全表面領域を規定し、曲面外側表面の全表面領域の少なくとも半分は、左心耳内の組織を掴みかつ組織と接触するように寸法決めされ構成されている。別の実施形態では、発泡体アンカー部分の曲面外側表面は、外向きの付勢力によって左心耳内の組織を掴みかつ組織と接触するように寸法決めされ構成された微小突起を含む。
【0018】
別の実施形態では、発泡体アンカー部分の曲面外側表面は、外向きの付勢力によって組織を掴むように寸法決めされ構成された隆起グリッドパターンを含む。更に別の実施形態では、発泡体アンカー部分の曲面外側表面は、外向きの付勢力によって組織を掴みかつ組織に係留するように寸法決めされ構成された複数の突起を画定する。更に別の実施形態では、発泡体アンカー部分の曲面外側表面は、内部に複数の凹部を画定しており、複数の凹部は、発泡体アンカー部分の曲面外側表面の隆起部分によって画定されている。別の実施形態では、発泡体アンカー部分の曲面外側表面は、複数のリング形状構造体を画定する。
【0019】
更に別の実施形態では、発泡体アンカー部分は、発泡体アンカー部分の近位端部分と遠位端部分との間に可変発泡体密度を含み、遠位端部分は、近位端部分よりも高い発泡体密度を有する。別の実施形態では、発泡体アンカー部分は、発泡体アンカー部分の近位端部分と遠位端部分との間に可変膨張性を含み、遠位端部分は、近位端部分よりも高い発泡体膨張性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の前述及び他の利益は、以下の詳細説明を読み、図面を参照することにより明らかになるであろう。
【
図1】本発明の一実施形態による、医療装置の後面斜視図である。
【
図2】本発明の別の実施形態による、医療装置の正面斜視図である。
【
図3】本発明の別の実施形態による、医療装置の側面図である。
【
図4】本発明の別の実施形態による、医療装置のための送達システムの斜視図である。
【
図5】本発明の別の実施形態による、心臓の左心耳に隣接する送達システムの遠位部分を示す、送達システムの遠位部分の側面図である。
【
図6】本発明の別の実施形態による、医療装置が送達システムの遠位部分から左心耳内に部分的に前進しているところを示す、送達システムの遠位部分の側面図である。
【
図7】本発明の別の実施形態による、医療装置のアンカー部分が左心耳内で膨張状態にあるところを示す、送達システムの遠位部分の側面図である。
【
図8】医療装置のカバー部分が送達システムの遠位部分から部分的に前進して左心耳に隣接しているところを示す、送達システムの遠位部分の側面図である。
【
図9】本発明の別の実施形態による、送達システムが可撓性部材によって医療装置に連結された状態でカバー部分が完全に拡張されているところを示す、送達システム及び医療装置の遠位部分の側面図である。
【
図10】本発明の別の実施形態による、送達システムの遠位部分がカバー部分を可撓性部材によって左心耳に対して緊締しているところを示す、送達システム及び医療装置の遠位部分の側面図である。
【
図11】本発明の別の実施形態による、カバー部分が左心耳の小孔の上に配置された状態でアンカー部分が医療装置を左心耳内に係留しているところを示す、送達システム及び医療装置の遠位部分の側面図である。
【
図12】本発明による、アンカー部分の外側表面に画定された複数の凹部を有する切頭円錐構造のアンカー部分を示す、医療装置の別の実施形態の斜視図である。
【
図13】本発明の別の実施形態による、
図12の医療装置の側面図である。
【
図14】本発明による、円筒構造体を有するアンカー部分と、円盤状構造で延在するカバー部分とを示す、医療装置の別の実施形態の斜視図である。
【
図15】本発明の別の実施形態による、
図14の医療装置の側面図である。
【
図16】本発明による、アンカー部分の外側表面に沿って突起した突起を有する円筒構造体を有するアンカー部分を示す、医療装置の別の実施形態の斜視図である。
【
図17】本発明の別の実施形態による、
図16の医療装置の側面図である。
【
図18】本発明による、アンカー部分の外側表面上にリング構成を有する円筒構造体を有するアンカー部分を示す、医療装置の別の実施形態の斜視図である。
【
図19】本発明の別の実施形態による、
図18の医療装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1、
図2及び
図3を参照すると、心臓血管系を通して送達システム80(
図4)を用いて経皮的に送達されるように寸法決めされ構成された医療装置10が提供される。医療装置10及び送達システム80は、例えば、心臓(図示せず)の内部の左心耳(「LAA」)などの開口部又は空洞を経皮的に閉鎖又は閉塞するための介入手技において用いられ得る。一実施形態では、医療装置は、カバー部分14及びアンカー部分16を含んでもよく、可撓性部材18がこれらの間に連結されている。医療装置10のアンカー部分16は、普通であれば左心耳内に係留することから生じ得るはずの潅流を最小限に抑えるために、フック又は歯を用いずに非侵襲的な方法で左心耳内に留まるように、自己膨張するように寸法決めされてもよい。医療装置10のこのような非侵襲的な係留は、アンカー部分16の外向きの付勢力と共に使用されてもよく、それにより、アンカー部分の外側表面34は、アンカー部分16の対向する外側表面34に沿って、左心耳内の組織との接触を維持する。このようにして、医療装置10のアンカー部分16の本体及び外面34は、それ自体を左心耳内の組織に対して非侵襲的に留めるために、自己膨張付勢力17(
図7)を提供するように寸法決めされてもよい。
【0022】
前述したように、医療装置10は、カバー部分14及びアンカー部分16を含んでもよく、可撓性部材18がこれらの間に延在している。医療装置10は、医療装置10の長さ24に沿って近位端20と遠位端22との間に延在してもよく、また、医療装置を通り、かつ医療装置10の長さ24に沿ってカバー部分14及びアンカー部分16のそれぞれを通って長手方向に延びる軸26を画定してもよい。医療装置10は、例えば、カテーテル82の遠位端部分84内での収縮状態(
図4及び
図5参照)から拡張状態(例えば、
図1)へと自己拡張する構造部品を含んでもよい。
【0023】
例えば、一実施形態では、アンカー部分16は、医療装置10のアンカー近位端36と遠位端22との間に延びる発泡材料から形成されてもよい。膨張状態では、発泡体材料は、広がって台形円筒形又は切頭円錐形の構造体などとなるように寸法決めされてもよい。このような構造体は、アンカー部分16が遠位端22に向かって径方向により大きく広がるように方向付けられてもよい。更に、アンカー部分16の外側表面34は、アンカー部分16の長さに沿って、アンカー近位端36と遠位端22との間の軸26に対して径方向に延在してもよく、又は湾曲した若しくは弓状の表面を有して延在してもよい。一実施形態では、アンカー部分16の遠位端22は、長手方向軸26に対して遠位端半径40を画定するように円形周辺部38まで延在する概ね平坦な表面であってもよい。同様に、アンカー近位端36は、長手方向軸26に対して近位端半径42を画定するように円形周辺部まで延在する概ね平坦な表面であってもよい。別の実施形態では、アンカー部分16の遠位側面44及び/又は近位側面46は、長手方向軸26に対して径方向に延在する凸面又は凹面を有して延在してもよい。
【0024】
前述のように、アンカー部分16は、発泡材料から形成されてもよい。発泡体は、カテーテル82(
図4)の管腔内などで寸法が収縮されて最小化されることができ、カテーテル82から前進すると、発泡体が即座に自己膨張することができる構造特徴のものであってもよい。一実施形態では、アンカー部分16の発泡体は、等方的に自己膨張してもよい。別の実施形態では、発泡体は、異方的に自己膨張してもよい。別の実施形態では、発泡体は、アンカー近位端36に向かうよりもアンカー部分16の遠位端22に向かって、より大きな程度に膨張してもよい。別の実施形態では、発泡体は、アンカー部分16のより近位の部分の膨張力よりも高い膨張力で、アンカー部分16の遠位部分に沿って膨張してもよい。別の実施形態では、発泡体は、内部に孔又は多孔性サイズを画定し得る。アンカー部分16の発泡体の多孔性サイズは、約300~600マイクロメートルの範囲、好ましくは約500マイクロメートルであってもよい。
【0025】
更に別の実施形態では、発泡体材料の密度は概ね均一であってもよい。別の実施形態では、発泡体材料は、その長さに沿って可変密度を有してもよい。例えば、可変密度は、アンカー近位端36からアンカー部分16の遠位端22に向かって漸進的に密度が高くなっていってもよい。別の実施形態では、可変密度は、遠位端22からアンカー近位端36に向かって漸進的に密度が高くなっていってもよい。別の実施形態では、アンカー部分16の発泡体材料の密度は、アンカー部分16の一部が異なる密度を呈し得るという点で可変であり得る。例えば、アンカー部分16の2つの部分又は3つの部分において、発泡体材料の密度がこのように異なっていてもよい。例えば、可変密度発泡体材料は、近位アンカー部分及び遠位アンカー部分で分割され、遠位アンカー部分が近位アンカー部分よりも高密度であってもよい。代替実施形態では、可変密度発泡体材料は、近位アンカー部分、中間アンカー部分、及び遠位アンカー部分で分割され、中間アンカー部分及び遠位アンカー部分が近位アンカー部分よりも高密度であり、遠位アンカー部分が中間アンカー部分よりも高密度であってもよい。別の実施形態では、アンカー部分16の近位部分は、中間アンカー部分又は遠位アンカー部分よりも高密度であってもよい。このようにして、アンカー部分16の長さに沿って可変密度を呈する発泡材料については、複数の実施形態が存在する。
【0026】
更に、別の実施形態では、外側表面34が外側表面34の周囲に沿って微小突起35を画定することができ、微小突起35が外側表面34の周囲部分に対してわずかに隆起することができるように、アンカー部分16及び発泡材料の外側表面34は、非平滑であっても、又は多少変化し、一貫していなくてもよい。一実施形態では、微小突起35が左心耳内の組織上を掴むのを補助することができるように、微小突起35は、発泡材料の外側表面34のランダムで固有の特徴であり得る。別の実施形態では、微小突起35は、発泡体の外側表面34上で互いに対して所定の距離で形成され、離間配置されてもよい。別の実施形態では、微小突起35は、微小突起35が組織を掴むように寸法決めされ構成された効果的な微小歯を呈するように、硬化先端部を含んでもよい。
【0027】
アンカー部分16の発泡材料は、ポリマー発泡材料から形成されてもよい。ポリマー発泡材料は、ポリウレタン発泡材料、又はポリカプロラクトン-亜鉛-酸化物などのポリウレタン配合物などの任意の他の好適な発泡材料であってもよい。別の実施形態では、ポリマー発泡体は親水性であってもよい。別の実施形態では、発泡体は、網目状発泡体であってもよい。別の実施形態では、発泡体は、非網目状発泡体であってもよい。別の実施形態では、アンカー部分は、ePTFE及び/又はシリコーンなどの他のポリマー材料を含んでもよい。
【0028】
更に、別の実施形態では、ポリマー発泡体は、内部に埋め込まれた複数のマーカー(図示せず)を含んでもよい。このようなマーカーを発泡材料の内部に配置して、当該技術分野において既知のように、撮像技術を採用することによって医師が左心耳内のアンカー部分16を適切に方向付ける及び位置付けるのを補助することができる。マーカーは、白金、金、タンタル、又はそれらの合金などの放射線不透過性材料、あるいは生体適合性の他の任意の好適な放射線不透過性材料から製造され得る。
【0029】
医療装置10のカバー部分14は、フレーム構造体48及びカバー50を含んでもよい。カバー部分14のフレーム構造体48は、ハブ52、スポーク54及びリップ部56を含んでもよい。フレーム構造体48は、ニチノール及び/又はポリマー材料などの超弾性材料から形成されてもよい。スポーク54は、ハブ52からリップ部56まで径方向に延在してもよい。フレーム構造体48は、カバー50がフレーム構造体48の少なくとも近位側57に沿って延在し得るようにカバー50を支持することができる。カバー部分14は、カバー部分14の近位側57及び遠位側58を画定するために円盤状構造で延在することができる。近位側57は、凹状構造で延在してもよい。遠位側58は、概して凸状構造で延在してもよい。カバー部分14の近位側57のそのような凹状構造は、フレーム構造体48のスポーク54と共に少なくとも部分的に形成されてもよい。スポーク54は、径方向に、かつスポーク先端部分60に対してわずかに近位に延在するように、ハブ52から延在してもよい。スポーク先端部分60において、スポーク54は、スポーク54が湾曲してスポーク端部64までより近位に延在するように、屈曲部部分又は湾曲部分62を含んでもよい。スポーク54のそのようなスポーク先端部分60及び/又は湾曲部分62は、カバー部分14の近位側57の凹状構造を少なくとも部分的に形成してもよく、更に、スポーク先端部分60は、カバー部分14のリップ部56を少なくとも部分的に形成してもよい。リップ部56は、外側リップ66及び内側リップ68を画定し得る。外側リップ66は、リング構造で径方向に延在してもよく、内側リップ68よりも近位に位置付けられてもよい。内側リップ68が外側リップ66より小さく延在し得るように、又はより小さい半径を有し得るように、内側リップ68は外側リップ66よりも遠位に径方向に延在してもよく、これにより、外側リップ66の外形は、外側リップ66及び医療装置10の軸26に対して内側に遠位段差を呈する。スポーク先端部分60は、内側リップ68の外側表面に沿って延在してもよく、スポーク端部64は、リップ部56の外側リップ66内又は外側リップ66に隣接して位置付けられる。このようにして、フレーム構造体48のスポーク54は、カバー部分14のリップ部56及びカバー50を支持してもよい。
【0030】
カバー部分14のフレーム構造体48は、収縮状態から拡張状態へと自己拡張するように寸法決めされ構成されてもよい。カバー部分14は、フレーム構造体48のスポーク54がハブ52から近位に延在しかつ近位方向に折り畳まれるように、カテーテル82の遠位端部分104内で収縮されてもよい。この位置では、スポーク54は、カテーテル82内で概ね平行に延在してもよい。カテーテル82の遠位端部分84から前進すると、スポーク54は付勢されて径方向に延在する拡張位置へと自己拡張することができ、これにより、カバー部分14は、リップ部56及びカバー50を拡張させることができる。更に、一実施形態では、スポーク54は、ハブ52の隣接部分及びカバー50又はリップ部56を介する場合以外はスポーク54が互いに対して相互に接続しないように、互いに対して独立して拡張するように設計されてもよい。スポーク54のそのような独立した拡張は、左心耳の多種多様な小孔形状にスポークが付勢により適合するのをより容易にすることができる。別の実施形態では、スポーク54は、所与のスポークの長さに沿った1つ又は2つ以上の位置で、隣接して延在するスポーク54と相互接続してもよい。このような相互接続は、上述のように、カバー部分が拡張位置と収縮位置との間で移動する際に、任意の1つのスポークが別のスポークと絡まるのを防ぐことができる。
【0031】
カバー部分14のカバー50は、その内部及びカバー50の上に組織の内方成長を誘導するように寸法決めされ構成された材料であってもよい。前述したように、カバー50は、少なくともフレーム構造体48及びカバー部分14の近位側57に沿って延在してもよい。一実施形態では、カバーは、ゴアテックス(expanded polytetrafluoroethylene、ePTFE)などの高分子型の材料、又は組織成長を誘導するように構成された任意の他の好適なポリマー材料で形成されてもよい。例えば、カバー50は、ePTFEなどのポリマー材料の複数の層(例えば、2~6層以上など)を含んでもよい。カバーの複数の層は、接着剤及び/若しくは熱結合熱プロセス、又は当該技術分野において既知の他の適切なプロセスなどで層を共に結合することによって形成されてもよい。更に、カバー50は、フレーム構造体48の近位側57に接着剤で取り付けられてもよく、又はカバー50は、熱結合技法を用いるなど、フレーム構造体48に取り付けるための任意の他の好適な技術又は手段でフレーム構造体48に取り付けられてもよい。別の実施形態では、カバー50の材料は、その中に孔又は多孔性を画定してもよく、孔は、約50マイクロメートル~約200マイクロメートルの範囲内に寸法決めされる。
【0032】
更に、カバー50がスポーク先端部分60に接着剤で取り付けられて内側リップ部68を形成することができるように、カバー50は、スポーク先端部分60と共に延在して内側リップ68を形成してもよい。外側リップ66は、カバー50の内側リップ68に接着剤で取り付けられてもよく、フレーム構造体48のスポーク端部64で支持されかつカバー50と隣接するように、リング状構造で径方向に延在してもよい。リップ部56の外側リップ66は、発泡体若しくはePTFEなどの弾性ポリマー材料、又は任意の他の好適なポリマー材料であってもよい。別の実施形態では、外側リップ66は、カバー50の連続的な延長部であってもよい。この構成では、リップ部56は、左心耳の小孔の周囲の外側又は前側に柔らかく適合するように入れ子になるように寸法決めされ構成されてもよい。一実施形態では、リップ部56は、リング形状構造に自己拡張するように付勢されてもよい。別の実施形態では、リップ部56は、フレーム構造体48が径方向に拡張された位置に移動可能でありかつ付勢されることにより、リング形状構造に拡張してもよい。更に、リップ部56は、カテーテル82(
図4)内に容易に収まるために、カバー部分全体と一緒に最小化される方法で折り畳み可能であるように寸法決めされ構成されてもよい。更に、アンカー部分16と同様に、カバー部分14はマーカーを含んでもよい。マーカーは、リップ部56に沿って、及び/又はカバー部分14のスポーク54に沿って位置付けられてもよい。このようなマーカーは、白金、金、タンタル、又はその合金などの放射線不透過性材料、あるいは任意の他の好適な放射線不透過性材料で形成されてもよく、これにより、医師は、当該技術分野において既知の様々な撮像技術を用いることによって、左心耳に対するカバー部分14及び医療装置10の向き及び位置決めを容易に見ることができる。
【0033】
前述したように、可撓性部材18は、医療装置10のカバー部分14とアンカー部分16との間に延在してもよい。可撓性部材18は、医療装置10のアンカー部分16をカバー部分14に連結する細長い可撓性フィラメント型構造体であってもよい。図では、可撓性部材18は張力状態で示されており、一実施形態では、可撓性部材18は、感知できるほどの圧縮力を提供しないタイプであってもよく、張力状態ではない場合、可撓性部材18は弛緩した(limp)位置に移動する。可撓性部材18の可撓性は、例えば、医療装置10が所与の左心耳の特定の解剖学的構造に適合することができるようにカバー部分14をアンカー部分16に対して方向付けるのを容易にし得る。
【0034】
一実施形態では、可撓性部材18は、可撓性部材18の一部分がカバー部分14のハブ52に連結され得るようにカバー部分14のアンカーハブ70とハブ52との間に延在してもよい。医療装置10が送達システム80に対して解放される前の位置にある可撓性部材18は、ハブ52から近位方向に続いていて、送達システム80のハンドル108に動作可能に連結されていてもよい。アンカーハブ70において、可撓性部材18は、アンカーハブ70をアンカー部分16に対して維持するための連結構造体72をアンカーハブ70が含むことができるようにアンカーハブ70に連結されていてもよい。このような連結構造体72は、軸26に対して横方向に延在する延長部74を含んでもよい。別の実施形態では、可撓性部材18は、可撓性部材18から直接延出する構造体を含んでもよく、この構造体は、可撓性部材18をアンカー部分16に対して保持するためにアンカー部分16の長手方向軸26に対して横方向に延在するようにアンカー部分16内で延在する。
【0035】
図3及び
図4を参照すると、医療装置10(
図4の輪郭で示される)を、例えば、左心耳に送達するための送達システム80が提供される。前述したように、医療装置10は、可撓性部材18又は別の可撓性要素によって送達システム82に連結されてもよい。加えて、収縮状態にある医療装置10は、送達システム80のカテーテル82の遠位端部分84内に干渉型の嵌め合いで維持されてもよい。送達システム80の主要構成要素は、ハンドル86に固定的に連結されたカテーテル82を含んでもよい。更に、送達システム80は、シースシステム90と協働するように寸法決めされ構成されてもよい。シースシステム90は、心臓血管系を通ってガイドワイヤ(図示せず)の上を前進するように寸法決めされ構成された標準的なシースシステムであってもよい。一実施形態では、シースシステム90は、シースハブ92及びシース94を含んでもよく、シースハブ92は、シース94の近位端に位置付けられ、この近位端に連結される。シースシステム90はまた、シース94の管腔に流体を供給するように寸法決めされ構成されたシース流体ポート96を含んでもよい。シース94のそのような管腔は、シース94が心臓の左心耳などの心臓血管系内の所望の位置まで前進させられると、送達システム80のカテーテル82を受容して前進させるように寸法決めされ構成されてもよい。
【0036】
カテーテル82は、カテーテルの長さに沿って延在し、かつハンドル86に連結された近位端102と遠位端104との間にカテーテルの長手方向軸98に沿って延在する管腔を画定し得る。ハンドル86は、スイッチ106と、ハンドル86の近位端から延在するプッシュロッド108とを含んでもよい。プッシュロッド108は、プッシュロッド108の近位端にノブ112を、プッシュロッド108の遠位端に遠位押し部110(
図5)を含んでもよい。更に、プッシュロッド108の一部は、カテーテル82の管腔内をプッシュロッド108の遠位押し部110まで延在する管状コイル(図示せず)であってもよく、管状コイルは、可撓性部材18(
図1)の一部分を保持するように寸法決めされ構成された管腔を画定する。ノブ112は、プッシュロッド108の近位端に固定されてもよく、医師がプッシュロッドを容易に把持し、双方向矢印114によって示されるように双方向に直線的に(bi-linearly)移動させるように寸法決めされ構成されてもよい、及び/又はノブ112は、回転矢印116によって示されるように回転可能に移動可能であってもよい。例えば、プッシュロッド108は、カテーテル82の遠位端部分84から医療装置10を展開するために遠位に移動されてもよく、また、プッシュロッド108は、医療装置10をカテーテル82の遠位端部分84内に再捕捉するために近位に移動されてもよい。更に、ノブ112は、例えば、医療装置10を送達システム80から解放するために回転可能であってもよい。別の実施形態では、スイッチ106は、例えば、医療装置10を配備している間又は医療装置10を再捕捉している間、プッシュロッド108の変位を制御するために、複数の位置に移動されてもよい。加えて、送達システム80は、流体をカテーテル82の管腔に前進させるための、ハンドル86と関連付けられた流体ポート118を含んでもよい。送達システム80の様々な構成要素の更なる詳細及び機能は、医療装置10を送達システム80によって左心耳内に送達することに関する説明と併せて記載される。
【0037】
ここで、
図4~
図11を参照し、送達システム80を用いて医療装置10を心臓の左心耳5に送達するための一実施形態について説明する。
図4及び
図5を参照すると、医療装置10は、カテーテル82の遠位端部分84内に位置決めするために予め位置付けられてもよく、又は準備されてもよい。医療装置10がカテーテル82の遠位端部分84に隣接して配置されたら、医師は、左心耳5に隣接してシース94の遠位端120を位置決めするための準備をすることができる。こうした準備は、当該技術分野において既知のように、例えば、ガイドワイヤ及びシースを使用する典型的なインターベンション技術を使用することによって採用されてもよい。シース94を適切に前進させて左心耳5に隣接させたら、送達システム80のカテーテル82をシース94を通して前進させることによって、カテーテル82の遠位端部分84を左心耳5に隣接して位置付ける。位置付けた後、カテーテル82の遠位端部分84からシース94を完全に又はわずかに抜去して、
図5に示されるように、遠位端部分84を左心耳5内に位置付けることができる。
【0038】
図4~
図7を参照すると、医師がカテーテル82の遠位端部分84の位置に満足したら、医師は、ハンドル86で作動可能なプッシュロッド108を用いて、アンカー部分16を左心耳5内に前進させてもよい。プッシュロッド108は、ノブ112から延び、カテーテル82のハンドル及び管腔を通り、カテーテル82の遠位端部分84において医療装置10の直近位に隣接するまで遠位に延在し続けていてもよい。医師は、双方向矢印114によって示されるように、ノブ112を遠位に移動させることによってプッシュロッド108を第1のハードストップ(hard stop)まで遠位に移動させて、医療装置10のアンカー部分16を展開させることができる。ノブ112及びプッシュロッド108が遠位に移動すると、プッシュ部材108の遠位押し部110がカテーテル82の遠位端104から医療装置10を押し、これにより、アンカー部分16がカテーテル82から前進する。アンカー部分16がカテーテル82から進むと、アンカー部分16の構造特性は、
図6及び
図7に示されるように、自己膨張するように即座に膨張することができる。
【0039】
アンカー部分は、左心耳5よりも大きくなるように寸法決めされ構成されているので、アンカー部分16の外側表面34の大部分は、自己膨張して、左心耳5内で外向きの付勢力17によって組織7に対して付勢し、その結果、外側表面34の周囲に沿った対向する表面又は側面は、左心耳5内の組織との接触を維持するようになっている。更に、曲面外側表面34は、
図7に示されるように、アンカー部分16の周囲又は外周の周りに延在し得る胴締め長さ(banded length)75によって画定される、アンカー部分の円周方向の表面領域に沿って、外向きの付勢力17によって組織に対して付勢することができる。左心耳5内の組織7と付勢接触しているアンカー部分16の胴締め長さ75は、アンカー部分16の対向する表面が左心耳5を塞ぐように組織7と付勢接触している、アンカー部分16の外側表面34の胴締め部分又は円周方向の表面領域を規定する。アンカー部分16又は左心耳5の寸法に応じて、胴締め長さ75は、アンカー部分16の全長77のように更に延在してもよく、又は図示の長さよりも短い長さに延在してもよい。したがって、胴締め長さ75は、アンカー部分16の長さ77に沿った任意の長さであってもよいが、好ましくは、胴締め長さ75は、アンカー部分16の長さ77の半分よりも大きい。更に、アンカー部分16の外側表面34が左心耳5内の組織7に対して付勢されるのと併せて、アンカー部分16の外側表面34は、アンカー部分16を左側心耳5内に保持するために組織を効果的に係合して掴むのを補助し得る微小突起35(
図1)又は他の構造体を画定してもよい。このようにして、アンカー部分16はカテーテル82から前進し、カバー部分14がカテーテル82の遠位端部分84内でまだ収縮している状態で、左心耳5内に留まることができる。
【0040】
図7~
図9を参照すると、アンカー部分16が左心耳5内に配置され固定されると、医師は、例えば、スイッチ106を移動させ又は押下し、次いで、カバー部分14をカテーテル82の遠位端部分84から前進させるために、押し部材108を第2のハードストップまで遠位に移動させることができる。
図8に示すように、カバー部分14は、カテーテル82の遠位端104から部分的に前進しているものとして示されている。
図9に示されるように、カバー部分14がカテーテル82から完全に前進すると、医療装置10のカバー部分14は直ちに自己拡張して、描写されるように、左心耳5の小孔9に対して配置されるか、又は近位方向に離間して配置されるかのいずれかとなる。前述のように、カバー部分は、例えば、カバー部材のスポーク54又は外側リップ66の拡張特性によって自己拡張することができる。
【0041】
図4、
図9、
図10及び
図11を参照すると、カバー部分14が小孔9から離間した距離にある場合、医師は、例えば、可撓性部材18に関連付けられた引き結び122を用いて、左心耳5の小孔9によって画定される組織7に対してカバー部分14を緊締することができる。医師は、双方向矢印114で示されるように、ハンドル86上のスイッチ106を作動させ、押し部材108を近位に引くことができる。医師が押し部材108を近位に移動させると、医療装置10のカバー部分14は、左心耳5の小孔9に対して緊締されることができる。このプロセスにより、カテーテル82の遠位端104もまた、カバー部分14が左心耳5の外側に、又は左心耳5の小孔9の近位側に位置付けられるようにカバー部分14を小孔9に対して押すことができる。医師が医療装置10のカバー部分14を、小孔9に対して幾分封止するように十分に緊締させたら、スイッチ106を作動させ、押し部材108のノブ112を回転矢印116によって示されるように回転させて、送達システム80から医療装置10を解放することができる。例えば、ノブ112を回転させると、切断又はスライス機構(図示せず)が作動して、
図11に示すように、カバー部分14のハブ52(
図2)に隣接するカバー部分14の近位の点で可撓性部材18を切断することができる。次いで、医師は、カテーテル82を心臓及び患者から引き抜くことができる。
【0042】
このようにして、送達システム80は、心臓の左心耳5内で医療装置10を解放することができ、これによりアンカー部分16は、左心耳5の小孔9を封止しかつ覆うように寸法決めされ構成されたカバー部分14を用いて、医療装置10を左心耳5内に留めることができる。このようなカバー部分14は、左心耳5内の組織に対するアンカー部分14の外向きの付勢力17によって、左心耳5の小孔9に対して維持されてもよく、これにより、アンカー部分14は、アンカー部分16が左心耳5内に係留されたままとなるように、アンカー部分の外側表面34の周囲に沿った対向する面に沿って、組織に対する接触を維持する。更に、可撓性部材18の可撓性特性により、カバー部分14は、可撓性部材18がアンカー部分16の軸26に対して角度78でピンと張って延びるように、左心耳5の小孔9に対して様々な位置に方向付けられてもよい。この構成により、アンカー部分が左心耳5内にフック又は歯を用いずに固定されていることにより、医療装置10は左心耳5の開口部を非侵襲的な方法で塞ぎ、それによって、普通であれば生じ得る潅流を防止することができる。
【0043】
図12及び
図13を参照すると、医療装置130の別の実施形態が提供される。医療装置130のこの実施形態は、前述した医療装置の類似の構造特徴を含んでもよく、前述のように、送達システム80(
図4)を用いて同様の方法で使用されてもよい。医療装置130は、先の実施形態と同様に、アンカー部分132及びカバー部分134を含んでもよく、可撓性部材136がこれらの間に連結されている。アンカー部分132は切頭円錐構造で延在し得るが、但し、この実施形態では、アンカー部分132の外側表面138は隆起グリッドパターン140を有して延在し得る点が異なっている。隆起グリッドパターン140は、医療装置130の近位アンカー端142と遠位端144との間の切頭円錐構造の湾曲部分の上に延在してもよい。このような隆起グリッドパターン140は、アンカー部分132の発泡材料と一体的に形成されてもよい。一実施形態では、隆起グリッドパターン140は、発泡材料の連続体であってもよい。別の実施形態では、隆起グリッドパターン140は、アンカー部分132の発泡材料の下張り又はコア部分に結合された別のポリマー材料であってもよい。先の実施形態と同様に、アンカー部分132の発泡材料は、アンカー部分132の外側表面138に沿って、例えば隆起グリッドパターン140に沿って、微小突起を含んでいてもよい。アンカー部分132の隆起グリッドパターン140は、左心耳内に係留されたときに外側表面138の掴み部が左心耳の組織と接触するのを隆起グリッドパターン140が容易にし得るように延在してもよい。このようにして、先の実施形態と同様に、隆起したグリッドパターン140を有するアンカー部分132は、アンカー部分132が左心耳内に効果的に係留され得るように適合可能かつ弾性的であってもよい。
【0044】
図14及び
図15を参照すると、医療装置150の別の実施形態が提供される。先の実施形態と同様に、医療装置150は、アンカー部分154及びカバー部分156によって軸152を画定し、可撓性部材158がアンカー部分154とカバー部分156との間に延在している。可撓性部材158は、先の実施形態に記載されたものと同様の構造特徴を含んでもよい。
【0045】
この実施形態では、アンカー部分154は、先の実施形態と同様に左心耳内に係留されるように寸法決めされ構成された円筒構造体であってもよい。このような円筒構造体は、発泡材料で形成されてもよい。円筒構造体は、近位アンカー端162と遠位端164との間に延在する長さ160を含んでもよい。円筒構造体は、アンカー部分の半径166を長さ160に沿って規定するように近位アンカー端162と遠位端164との間に径方向に延在する外側表面165を画定してもよい。先の実施形態と同様に、アンカー部分154の発泡材料は、アンカー部分が組織を掴み、発泡材料の外向きの付勢力によって左側心耳内に留まるのを補助するために、アンカー部分132の外側表面165に沿って微小突起を含んでもよい。
【0046】
この実施形態のカバー部分156は、カバー部分の半径168を規定する円盤状構造体であってもよい。カバー部分の半径168は、アンカー部分の半径166と等しいか又はそれよりも大きくてもよい。カバー部分156は、ハブ170、カバー172、及びリップ174を含んでもよい。ハブ170は、カバー172がハブ170から径方向に延在する状態で可撓性部材158と位置合わせされてもよい。リップ174は、リング形状構造で延在してもよく、カバー172の外縁周囲176に沿って延在してもよい。リップ174及びカバー172は、先の実施形態で説明したものと同様の材料を含んでもよい。リップ174は、図示のように収縮状態から拡張状態へと自己拡張するように寸法決めされ構成されてもよい。別の実施形態では、カバー部分156は、ハブ170から延びるスポークを含んでもよく、スポークは、ハブ170からカバー部分156のリップ174まで径方向に延在し得る。スポークは、先の実施形態に記載されたものと同様に動作して、構造的支持及び自己拡張特性を提供することができる。
【0047】
ここで、
図16及び
図17を参照すると、左心耳などの開口部を閉塞するように寸法決めされ構成された医療装置180の別の実施形態。この実施形態の医療装置180は、先の実施形態と同様であり、アンカー部分182及びカバー部分184を含み、可撓性部材186がこれらの間に延在している。この実施形態では、アンカー部分182は、円筒様構造体を画定する発泡材料を含んでもよく、複数のリング形状構造体189を有する外側表面188が円筒構造体上に延在している。円筒構造体及びリング形状構造体の発泡材料は、先の実施形態と同様に、例えば、左心耳内の組織を掴むのを支援するための微小突起を、発泡材料の外側表面188に沿って含んでもよい。リング形状構造体189は、円筒構造体の周囲に等間隔で延在してもよい。別の実施形態では、リング形状構造体189は、互いに隣接して並んで円筒構造の周囲に延在してもよい。別の実施形態では、リング形状構造体189は、リング形状構造体189のそれぞれの間に間隙又は間隔を有して延在してもよい。このようなリング形状構造体189もまた、発泡材料の外向きの付勢力によって組織を掴むのを助けることができる。カバー部分184及び可撓性部材186は、先の実施形態に記載されたものと同様の構造特徴を呈してもよい。
【0048】
図18及び
図19を参照すると、医療装置190の別の実施形態が提供される。この実施形態では、医療装置190は、先の実施形態と実質的に同様であり得、アンカー部分192及びカバー部分194を含み、可撓性部材196がこれらの間に延在している。先の実施形態と同様に、アンカー部分192は、自己膨張して、左心耳内の組織に対して外向きの付勢力を提供し得る発泡材料で形成されてもよい。アンカー部分192は、円筒構造体を含んでもよいが、リング形状構造体の代わりに、円筒構造体の外側表面198は、その上に複数の突起199又は突起を含んでもよい。突起199は、アンカー部分192の外向きの付勢力によって組織を掴むように寸法決めされ構成されてもよい。更に、突起、及びアンカー部分の、突起を取り囲む部分は、先の実施形態に記載されているように、組織を掴むのを支援するための微小突起を含んでもよい。突起199は、円筒構造体の長手方向の長さに沿って延在する列などの、整列された様式で配置されてもよい。別の実施形態では、突起199は、円筒構造体からランダムに又は千鳥状に延出してもよい。
【0049】
別の実施形態では、本明細書に記載される医療装置の様々な実施形態のアンカー部分は、医療装置が左心耳の開口部を塞ぐための独立型プラグとして機能し得るように、カバー部分を用いずに使用されてもよい。この実施形態では、アンカー部分は、本明細書の様々な実施形態のアンカー部分に関して記載したものと同様の構造特徴を含んでもよい。更に、アンカー部分又は左心房室に面する表面の近位表面は、平滑であってもよく、近位表面が左心耳の小孔に隣接して着座するように小孔を塞ぐように寸法決めされ設計されてもよい。
【0050】
本発明には様々な修正及び代替的形態が考えられるが、特定の実施形態が図面に例として示されており、本明細書に詳細に記載されている。しかしながら、本発明は、開示された特定の形態に限定されることを意図したものではないことを理解されたい。寧ろ、本発明は、一実施形態の任意の部分と、別の実施形態、本発明の趣旨及び範囲に包含される全ての修正、均等物、及び代替物を組み合わせることを含む。
【0051】
〔実施の態様〕
(1) 心臓の左心耳を閉塞するための医療装置であって、
ハブ及びカバーを有するカバー部分であって、前記カバーは前記ハブから径方向に延びており、前記カバー部分は、前記左心耳の小孔の近位側に沿って配置されるように寸法決めされ構成されている、カバー部分と、
可撓性部材によって前記カバー部分に連結された発泡体アンカー部分であって、前記発泡体アンカー部分は、近位端と遠位端との間に延在して、長さと、前記発泡体アンカー部分の前記長さに沿って画定される軸とを規定し、前記発泡体アンカー部分は、前記発泡体アンカー部分の前記近位端と前記遠位端との間に延在するように前記軸に対して径方向に広がる曲面外側表面を画定し、前記発泡体アンカー部分は、前記曲面外側表面の円周方向の表面領域が前記左心耳の組織に対して付勢するように、自己膨張して前記曲面外側表面から外向きの付勢力を提供するように構成されている、発泡体アンカー部分と、を含む、医療装置。
(2) 前記曲面外側表面が、全表面領域を画定し、前記曲面外側表面の前記全表面領域の少なくとも半分が、前記左心耳内の組織を掴みかつ組織と接触するように寸法決めされ構成されている、実施態様1に記載の医療装置。
(3) 前記発泡体アンカー部分の前記曲面外側表面が、前記外向きの付勢力によって前記左心耳内の組織を掴みかつ組織と接触するように寸法決めされ構成された微小突起を含む、実施態様1に記載の医療装置。
(4) 前記発泡体アンカー部分の前記曲面外側表面が、前記外向きの付勢力によって組織を掴むように寸法決めされ構成された隆起グリッドパターンを含む、実施態様1に記載の医療装置。
(5) 前記発泡体アンカー部分の前記曲面外側表面が、前記外向きの付勢力によって組織を掴みかつ組織に係留するように寸法決めされ構成された複数の突起を画定している、実施態様1に記載の医療装置。
【0052】
(6) 前記発泡体アンカー部分の前記曲面外側表面が、内部に複数の凹部を画定しており、前記複数の凹部は、前記発泡体アンカー部分の前記曲面外側表面の隆起部分によって画定されている、実施態様1に記載の医療装置。
(7) 前記発泡体アンカー部分の前記曲面外側表面が、複数のリング形状構造体を画定している、実施態様1に記載の医療装置。
(8) 前記発泡体アンカー部分が、切頭円錐構造及び円筒構造の少なくとも一方と類似した形状に膨張する、実施態様1に記載の医療装置。
(9) 前記発泡体アンカー部分が、前記発泡体アンカー部分の近位端部分と遠位端部分との間に可変膨張性を含み、前記遠位端部分は、前記近位端部分よりも高い発泡体膨張性を有する、実施態様1に記載の医療装置。
(10) 前記カバー部分が、凹状構造を有する近位対向面を有して延在し、前記近位対向面は、前記医療装置の遠位端から離れる方向に面している、実施態様1に記載の医療装置。
【0053】
(11) 前記カバー部分及び前記発泡体アンカー部分が展開されると、前記可撓性部材が、前記発泡体アンカー部材の前記軸に対してある角度で伸長可能である、実施態様1に記載の医療装置。
(12) 心臓の左心耳を閉塞するための医療装置システムであって、
ハンドルと、近位端と遠位端との間に延在するカテーテルと、を有する送達装置であって、前記近位端は前記ハンドルに連結されており、前記カテーテルは、前記カテーテルの前記近位端と前記遠位端との間で前記カテーテルを通って長手方向に延在する管腔を画定する、送達装置と、
前記ハンドルに動作可能に連結された医療装置であって、収縮状態において前記医療装置が前記カテーテルの遠位端部分内にあり、拡張状態において前記医療装置が前記カテーテルから前進されるように、前記収縮状態と前記拡張状態との間で移動されるように寸法決めされ構成されている、医療装置と、を含み、前記医療装置は、
ハブ及びカバーを有するカバー部分であって、前記カバーは前記ハブから径方向に延びており、前記カバー部分は、前記左心耳の小孔の近位側に沿って配置されるように寸法決めされ構成されている、カバー部分と、
可撓性部材によって前記カバー部分に連結された発泡体アンカー部分であって、前記発泡体アンカー部分は、近位端と遠位端との間に延在して、長さと、前記発泡体アンカー部分の前記長さに沿って画定される軸とを規定し、前記発泡体アンカー部分は、前記発泡体アンカー部分の前記近位端と前記遠位端との間に延在するように前記軸に対して径方向に広がる曲面外側表面を画定し、前記発泡体アンカー部分は、前記曲面外側表面の円周方向の表面領域が前記左心耳の組織に対して付勢するように、自己膨張して前記曲面外側表面から外向きの付勢力を提供するように構成されている、発泡体アンカー部分と、を含む、医療装置システム。
(13) 前記曲面外側表面が、全表面領域を画定し、前記曲面外側表面の前記表面領域の少なくとも半分が、前記外向きの付勢力によって前記左心耳内の組織を掴みかつ組織と接触するように寸法決めされ構成されている、実施態様12に記載の医療装置。
(14) 前記発泡体アンカー部分の前記曲面外側表面が、前記外向きの付勢力によって前記左心耳内の組織を掴みかつ組織と接触するように寸法決めされ構成された微小突起を含む、実施態様12に記載の医療装置。
(15) 前記カバー部分及び前記発泡体アンカー部分が展開されると、前記可撓性部材が、前記発泡体アンカー部材の前記軸に対してある角度で伸長可能である、実施態様12に記載の医療装置。
【0054】
(16) 心臓の左心耳を閉塞するための方法であって、
送達システムのカテーテルを用いて医療装置を脈管構造を通して前記心臓の前記左心耳内へと前進させることであって、前記医療装置は、収縮状態で前記カテーテルの遠位端部分内に位置付けられ、前記医療装置は、カバー部分及び発泡体アンカー部分を含み、可撓性部材がこれらの間に連結されており、前記発泡体アンカー部分は、近位端と遠位端との間に延びる長さを有し、前記発泡体アンカー部分は、前記長さに沿って軸方向に延びる軸を画定する、前進させることと、
前記発泡体アンカー部分の曲面外側表面の円周方向の表面領域が、外向きの付勢力によって前記左心耳内の組織と接触しかつ組織に対して留まるように、前記カテーテルの前記遠位端部分から前記医療装置の前記アンカー部分を展開して自己膨張させることと、
前記カバー部分が拡張状態へと自己拡張するように、前記医療装置の前記カバー部分を前記カテーテルの前記遠位端部分から展開することと、
前記医療装置の前記カバー部分を前記左心耳の小孔に対して緊締して、前記発泡体アンカー部分と前記カバー部分との間に連結された前記可撓性部材の長さを短くすることと、を含む、方法。
(17) 前記緊締することが、前記可撓性部材が前記発泡体アンカー部分の前記軸に対してある角度で延在するように、前記可撓性部材を前記発泡体アンカー部分からピンと張って伸長させることを含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記アンカー部分を展開することが、前記曲面外側表面の円周方向の胴締め領域と、前記発泡体アンカー部分の前記曲面外側表面に沿って画定された微小突起とを用いて、前記発泡体アンカー部分を係留させることを含む、実施態様16に記載の方法。
(19) 前記カバー部分を展開することが、前記カバー部分のハブから径方向に延びるスポークによって前記カバー部分を拡張させることを含む、実施態様16に記載の方法。
(20) 前記医療装置から前記カテーテルを解放することと、前記送達システムを前記心臓から抜去して、前記医療装置を前記左心耳内に恒久的に残すこととを更に含む、実施態様16に記載の方法。