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▶ キヤノン株式会社の特許一覧

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  • 特許-光学フィルタ装置および撮像装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】光学フィルタ装置および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 11/00 20210101AFI20240508BHJP
【FI】
G03B11/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022017127
(22)【出願日】2022-02-07
(65)【公開番号】P2023114679
(43)【公開日】2023-08-18
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】木村 泰典
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-134889(JP,A)
【文献】特開2019-66801(JP,A)
【文献】国際公開第2014/119277(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 11/00
G03B 17/12
H04N 23/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光学フィルタ部と、
前記第1光学フィルタ部を保持する第1保持枠と、
前記第1保持枠を摺動可能に支持する第1ガイドバーおよび第2ガイドバーと、
前記第1光学フィルタ部に平行に配置される第2光学フィルタ部と、
前記第2光学フィルタ部を保持する第2保持枠と、
前記第2保持枠を摺動可能に支持する第3ガイドバーおよび第4ガイドバーと、
前記第1保持枠を覆う第1筐体と、
前記第2保持枠を覆う第2筐体と、を有し、
前記第1保持枠は、前記第1筐体と、前記第1ガイドバーまたは前記第2ガイドバーに挟持されて摺動し、
前記第2保持枠は、前記第2筐体と、前記第3ガイドバーまたは前記第4ガイドバーに挟持されて摺動することを特徴とする光学フィルタ装置。
【請求項2】
前記第1保持枠は、前記第1光学フィルタ部に対して前記第1ガイドバーの反対側に位置する第1側部を有し、前記第1側部において、前記第1筐体と前記第2ガイドバーとに挟持されて摺動し、
前記第2保持枠は、前記第2光学フィルタ部に対して前記第3ガイドバーの反対側に位置する第2側部を有し、前記第2側部において前記第2筐体と前記第4ガイドバーとに挟持されて摺動することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルタ装置。
【請求項3】
前記第1筐体は、第1筐体凸部を有し、
前記第1保持枠は、前記第1側部において、前記第1筐体凸部と摺動する第1凸部を有し、
前記第2筐体は、第2筐体凸部を有し、
前記第2保持枠は、前記第2側部において、前記第2筐体凸部と摺動する第2凸部を有することを特徴とする請求項2に記載の光学フィルタ装置。
【請求項4】
前記第1保持枠は、前記第1側部において、前記第2ガイドバーと対向する第3凸部を有し、
前記第2保持枠は、前記第2側部において、前記第4ガイドバーと対向する第4凸部を有することを特徴とする請求項2または3に記載の光学フィルタ装置。
【請求項5】
前記第1ガイドバーは、前記第1保持枠に対して前記第4ガイドバーの外側に配置され、
前記第3ガイドバーは、前記第2保持枠に対して前記第2ガイドバーの外側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光学フィルタ装置。
【請求項6】
前記第1保持枠は、前記第1ガイドバーの全周を挟み込むように支持され、
前記第2保持枠は、前記第3ガイドバーの全周を挟み込むように支持されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光学フィルタ装置。
【請求項7】
前記第1筐体は、前記第2ガイドバーと対向する第1筐体凸部を有し、
前記第2筐体は、前記第4ガイドバーと対向する第2筐体凸部を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光学フィルタ装置。
【請求項8】
前記第1光学フィルタ部は、第1光学フィルタおよび第2光学フィルタを有し、
前記第2光学フィルタ部は、第3光学フィルタおよび第4光学フィルタを有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光学フィルタ装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の光学フィルタ装置と、
撮像光学系および前記光学フィルタ装置を通過した光を受光する撮像素子と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
前記第1ガイドバー、前記第2ガイドバー、前記第3ガイドバー、および前記第4ガイドバーは、前記撮像光学系の光軸方向において一致する位置に配置されていることを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第1保持枠および前記第2保持枠を駆動する駆動部を更に有し、
前記駆動部は、
前記第1保持枠を前記第1ガイドバーに沿って摺動することで、前記第1光学フィルタ部を前記撮像光学系の光軸に対して挿入または退避し、
前記第2保持枠を前記第3ガイドバーに沿って摺動することで、前記第2光学フィルタ部を前記光軸に対して挿入または退避することを特徴とする請求項9または10に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルタ装置および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フランジバックの距離が短いカメラマウントを搭載した撮像装置では、マウント面とセンサとの間に配置される光学フィルタ装置の光軸方向の厚みを薄くする必要がある。複数の光学フィルタを備えた光学フィルタ装置では、特に薄型化が必要である。
【0003】
特許文献1には、光軸方向の厚みを薄くするため、光学フィルタの枠を保持するガイドバーの位置をずらした光学フィルタ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-134889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている光学フィルタ装置では、光軸方向の薄型化が実現されているが、撮像装置の構造によっては不十分である。
【0006】
そこで本発明は、光軸方向の厚みがより薄い光学フィルタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としての光学フィルタ装置は、第1光学フィルタ部と、前記第1光学フィルタ部を保持する第1保持枠と、前記第1保持枠を摺動可能に支持する第1ガイドバーおよび第2ガイドバーと、前記第1光学フィルタ部に平行に配置される第2光学フィルタ部と、前記第2光学フィルタ部を保持する第2保持枠と、前記第2保持枠を摺動可能に支持する第3ガイドバーおよび第4ガイドバーと、前記第1保持枠を覆う第1筐体と、前記第2保持枠を覆う第2筐体とを有し、前記第1保持枠は、前記第1筐体と、前記第1ガイドバーまたは前記第2ガイドバーに挟持されて摺動し、前記第2保持枠は、前記第2筐体と、前記第3ガイドバーまたは前記第4ガイドバーに挟持されて摺動する。
【0008】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施形態において説明される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光軸方向の厚みがより薄い光学フィルタ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態における撮像装置の外観斜視図である。
図2】本実施形態における撮像装置のブロック図である。
図3】本実施形態における光学フィルタ装置の外観斜視図である。
図4】本実施形態における光学フィルタ装置の分解斜視図である。
図5】本実施形態における光学フィルタ装置の断面図である。
図6】本実施形態における光学フィルタ装置の第2ガイドバーの周囲の断面図である。
図7】本実施形態における光学フィルタ装置の第4ガイドバーの周囲の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
まず、図1および図2を参照して、本実施形態における光学フィルタ装置を備えた撮像装置について説明する。図1は、撮像装置Aの外観斜視図である。撮像装置Aは、被写体側から像側へ順に、交換レンズ(レンズ装置)を着脱可能なマウント部B、光学フィルタ装置1、および撮像素子Cを備える。光学フィルタ装置1は、撮像素子Cに入射する光を調整する機能を有し、マウント部Bと撮像素子Cとの間に配置されている。マウント部Bは、交換レンズを撮像装置Aに着脱可能にするための機械的な構造を有する。またマウント部Bは、電気的な接点を有し、交換レンズと電気的に接続される。
【0013】
図2は、撮像装置Aのブロック図である。撮像装置Aは、マウント部B、光学フィルタ装置1、撮像素子C、システム制御部D、および記録部Eを備える。撮像素子Cは、CCDセンサやCMOSセンサなどの光電変換素子であり、交換レンズ(撮像光学系)および光学フィルタ装置1を通過した光を撮像(受光)して、撮像画像(画像データ)をシステム制御部Dに出力する。システム制御部Dは、CPUなどのマイクロプロセッサなどにより構成され、撮像装置Aの動作命令に応じて撮像装置Aを制御する。記録部Eは、SRAM、DRAM、SSDなどのフラッシュメモリなどにより構成され、システム制御部Dが撮像素子Cなど撮像装置Aの各部を制御するのに必要なプログラムなどを保存する。撮像装置Aにおいて、マウント部Bから撮像素子Cまでの距離、すなわちフランジバックが短い。このため、マウント部Bと撮像素子Cとの間に配置される光学フィルタ装置1の薄型化が求められている。
【0014】
次に、図3乃至図7を参照して、光学フィルタ装置1について説明する。図3は、光学フィルタ装置1の外観斜視図である。図4は、光学フィルタ装置1の分解斜視図である。
【0015】
図3および図4に示されるように、光学フィルタ装置1は、第1筐体10、第1ユニット20、第2ユニット30、および第2筐体40を備えている。第1筐体10と第2筐体40は、不図示のビスなどの固定手段により固定される。第1ユニット20と第2ユニット30は、互いに平行に隣接して並んで配置され、第1筐体10と第2筐体40に覆われている。第1ユニット20は、第1光学フィルタ202および第2光学フィルタ203を備えている。第1光学フィルタ202および第2光学フィルタ203は、第1光学フィルタ部を構成する。第2ユニット30は、第3光学フィルタ302および第4光学フィルタ303を備えている。第3光学フィルタ302および第4光学フィルタ303は、第2光学フィルタ部を構成する。
【0016】
第1光学フィルタ202と第2光学フィルタ203は、第1保持枠201に保持されている。第1保持枠201は、撮像素子Cの光軸Xに垂直に配置された第1ガイドバー204および第2ガイドバー205に沿って、第1光学フィルタ202と第2光学フィルタ203とが切り替わるように摺動可能である。第3光学フィルタ302と第4光学フィルタ303は、第2保持枠301に保持されている。第2保持枠301は、撮像素子Cの光軸Xに垂直に配置された第3ガイドバー304および第4ガイドバー305に沿って、第3光学フィルタ302と第4光学フィルタ303とが切り替わるように摺動可能である。
【0017】
第1保持枠201は、第1ガイドバー204の全周を挟み込むように支持される。第2保持枠301は、第3ガイドバー304の全周を挟み込むように支持される。第1ガイドバー204は、第1筐体10の第1凸部101および第2凸部102と第2筐体40の第1凹部401および第2凹部402により支持される。第2ガイドバー205は、第1筐体10の凸部103、104と第2筐体40の凹部403、404により支持される。第3ガイドバー304は、第1筐体10の凸部105、106と第2筐体40の凹部405、406により支持される。第4ガイドバー305は、第1筐体10の凸部107、108と第2筐体40の凹部407、凹部408により支持される。
【0018】
第1保持枠201の側部(第1側部)201aは、第2ガイドバー205と第1筐体10に挟持される。第2保持枠301の側部(第2側部)301aは、第4ガイドバー305と第2筐体40に挟持される。また、第1ガイドバー204、第2ガイドバー205、第3ガイドバー304、および第4ガイドバー305は、光軸方向(X方向)において互いに略一致する位置に配置される。第1ガイドバー204は、第1保持枠201に対して第4ガイドバー305の外側に配置される。第3ガイドバー304は、第2保持枠301に対して第2ガイドバー205の外側に配置される。これにより、光学フィルタ装置1は、光軸方向(X方向)の薄型化が可能となる。
【0019】
第1筐体10および第2筐体40の内部には、駆動部50(図2参照)が設けられている。駆動部50は、第1保持枠201および第2保持枠301を駆動する。駆動部50は、第1保持枠201を第1ガイドバー204に沿って摺動することで、第1光学フィルタ部を光軸に対して挿入または退避する。また駆動部50は、第2保持枠301を第3ガイドバー304に沿って摺動することで、第2光学フィルタ部を光軸に対して挿入または退避する。このように、第1保持枠201を駆動することで、第1光学フィルタ202と第2光学フィルタ203とが切り替えられる。また、第2保持枠301を駆動することで、第3光学フィルタ302と第4光学フィルタ303とが切り替えられる。
【0020】
図5は、光学フィルタ装置1の断面図である。図6は、第2ガイドバー205の周囲の断面図である。図7は、第4ガイドバー305の周囲の断面図である。
【0021】
第1筐体10は、第2ガイドバー205と対向する凸部(第1筐体凸部)109を有する。第1保持枠201は、側部201aにおいて、凸部(第1凸部)201bおよび凸部(第3凸部)201cを有する。凸部201cは、第2ガイドバー205と対向している。第1保持枠201が駆動する際に、第1筐体10の凸部109と第1保持枠201の凸部201b、および、第1保持枠201の凸部201cと第2ガイドバー205がそれぞれ摺動する。第2筐体40は、第4ガイドバー305と対向する凸部(第2筐体凸部)409を有する。第2保持枠301は、側部301aにおいて、凸部(第4凸部)301bおよび凸部(第2凸部)301cを有する。凸部301bは、第4ガイドバー305と対向している。第2保持枠301が駆動する際に、第2筐体40の凸部409と第2保持枠301の凸部301c、および、第2保持枠301の凸部301bと第4ガイドバー305がそれぞれ摺動する。
【0022】
以上のように、光学フィルタ装置1は、第1保持枠201は第1筐体10と、第1ガイドバー204または第2ガイドバー205とに挟持されて摺動し、第2保持枠301は第2筐体40と第3ガイドバー304または第4ガイドバー305に挟持されて摺動する。好ましくは、第1保持枠201は、第1光学フィルタ部に対して第1ガイドバー204の反対側に位置する第1側部(側部201a)を有し、第1側部において、第1筐体10と第2ガイドバー205とに挟持されて摺動する。第2保持枠301は、第2光学フィルタ部に対して第3ガイドバー304の反対側に位置する第2側部(側部301a)を有し、第2側部において第2筐体40と第4ガイドバー305とに挟持されて摺動する。
【0023】
本実施形態によれば、複数の光学フィルタを切替可能な光学フィルタ装置において、光軸方向(X方向)の厚みの薄型化が可能となる。本実施形態において、光学フィルタは、例えば、減光フィルタ、赤外線(IR)カットフィルタ、偏光フィルタ、ダミーガラスなどであるが、これらに限定されるものではない。また本実施形態において、複数の光学フィルタの数や光学フィルタの種類の組み合わせは、任意に設定可能である。また本実施形態において、光学フィルタ装置の各部の材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所などは、適宜変更可能である。本実施形態によれば、光軸方向の厚みがより薄い光学フィルタ装置および撮像装置を提供することができる。
【0024】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 光学フィルタ装置
10 第1筐体
20 第2筐体
201 第1保持枠
201a 側部(第1側部)
202 第1光学フィルタ(第1光学フィルタ部)
203 第2光学フィルタ(第1光学フィルタ部)
204 第1ガイドバー
205 第2ガイドバー
301 第2保持枠
301a 側部(第2側部)
302 第3光学フィルタ(第2光学フィルタ部)
303 第4光学フィルタ(第2光学フィルタ部)
304 第3ガイドバー
305 第4ガイドバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7