(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 76/23 20180101AFI20240508BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20240508BHJP
H04W 92/18 20090101ALI20240508BHJP
H04W 76/14 20180101ALI20240508BHJP
【FI】
H04W76/23
H04W84/12
H04W92/18
H04W76/14
(21)【出願番号】P 2022078497
(22)【出願日】2022-05-11
(62)【分割の表示】P 2017201418の分割
【原出願日】2017-10-17
【審査請求日】2022-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】長原 隆司
【審査官】青木 健
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-023440(JP,A)
【文献】特開2013-214803(JP,A)
【文献】特開2016-178686(JP,A)
【文献】特開2016-100712(JP,A)
【文献】特開2017-108341(JP,A)
【文献】データ通信,Optimus X IS11LG 取扱説明書(詳細版),KDDI株式会社 インターネット<URL:http://www.au.kddi.com/support/mobile/guide/manual/terms/dp/is11lg/>,2012年04月30日,256~268頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
無線ネットワークインタフェースと、
前記無線ネットワークインタフェースを使用して他の装置を介さずに外部装置とダイレクト無線通信するダイレクト無線通信機能に関する動作モードを、
IEEE802.11に準拠するダイレクト無線通信を行う第1モードと、
前記第1モードと異なり、かつ前記IEEE802.11に準拠するダイレクト無線通信を行う第2モードと、
前記第1モードと前記第2モードとは異なり、かつ前記IEEE802.11に準拠するダイレクト無線通信を行う第3モードと、を含む複数の選択肢から設定する設定手段と、
前記第1モードで前記ダイレクト無線通信機能を起動している場合、前記情報処理装置と外部装置とのどちらがグループオーナーとして動作するかを決定するネゴシエーション処理を実行して、前記情報処理装置がWi-Fi Direct(登録商標)規格に準拠したグループオーナーが決定されるよう制御し、前記第2モードで前記ダイレクト無線通信機能を起動している場合、前記ネゴシエーション処理を実行せずに前記Wi-Fi Direct規格に準拠したグループオーナーとして動作するように制御し、前記第3モードで前記ダイレクト無線通信機能を起動している場合、前記Wi-Fi Direct規格に準拠せず、アクセスポイントとして動作するように制御する制御手段と、
外部装置と前記情報処理装置との間でダイレクト無線通信接続を確立するための接続情報を、前記無線ネットワークインタフェースを使用する無線通信とは異なる方法で外部装置に提供する提供手段と、を有
する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1モードは、Wi-Fi Direct(登録商標)に準拠するダイレクト無線通信を行うモードであることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2モードは、Wi-Fi Direct(登録商標)のグループオーナ
ーとして前記情報処理装置を動作させるAutonomous Goモードであることを特徴とする請求項1
または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記提供手段は、前記第2モードでダイレクト無線通信機能を起動している場合、前記情報処理装置のアクセスポイントの識別情報と接続に要するネットワークキーと、前記情報処理装置に割り当てられたIPアドレスを含む接続情報を前記異なる方法で提供し、
前記第1モードで前記ダイレクト無線通信機能を起動している場合、Wi-Fi Direct(登録商標)に準拠するダイレクト無線通信で前記情報処理装置を識別するための情報を前記異なる方法で提供するよう制御する請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記提供手段は、前記無線ネットワークインタフェースを使用するネットワーク通信とは異なる近距離無線通信で前記接続情報を外部装置に提供することを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記近距離無線通信には、ISO/IEC21481又はISO/IEC18092に準拠するNFC通信、又はBluetooth(登録商標) Low Energyに準拠するBluetooth LE通信の少なくとも1つが含まれていることを特徴とする請求項
5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記提供手段は、前記設定手段によってダイレクト無線通信機能に関する動作モードの設定が変更された場合、当該変更された設定に基づいて、前記Bluetooth LE通信で使用するGATTサーバのキャラクタリスティックを書き換え、前記Bluetooth LE通信を介して前記外部装置に提供する接続情報を更新することを特徴とする請求項
6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
NFCインタフェースを更に備え、
前記提供手段は、前記設定手段によってダイレクト無線通信機能に関する動作モードの設定が変更された場合、当該変更された設定に基づいて、前記NFCインタフェースを介したNFC通信で前記外部装置に提供する接続情報を更新することを特徴とする請求項
6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記NFCインタフェースは、NFCタグであり、
前記提供手段は、前記動作モードの設定が変更された場合、前記NFCタグに格納されるタグデータ内の接続情報を更新し、
前記NFCタグに格納されるタグデータには、前記接続情報に加えて、外部装置が起動すべきアプリケーションを識別する識別情報が含まれることを特徴とする請求項
8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
操作部を更に備え、
前記提供手段は、更に、前記操作部上に前記接続情報を含む二次元コードを前記操作部上に表示し、前記二次元コードを外部装置に読み取らせることで、前記接続情報を外部装置に提供することを特徴とする請求項1乃至
9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記情報処理装置は、印刷装置であることを特徴とする請求項1乃至1
0のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記提供手段で提供される、前記情報処理装置に割り当てられた前記IPアドレスは、前記ダイレクト無線通信機能を使用して構築されるピアツーピアネットワークとは異なるローカルエリアネットワークを経由して外部装置とデータ通信を行うために前記情報処理装置に割り当てられたIPアドレスであることを特徴とする請求項
4乃至
9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記設定をユーザから受け付けるための設定画面を表示する表示制御手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至1
2のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
情報処理装置の制御方法であって、
無線ネットワークインタフェースと、
前記無線ネットワークインタフェースを使用して他の装置を介さずに外部装置とダイレクト無線通信するダイレクト無線通信機能に関する動作モードを、IEEE802.11に準拠するダイレクト無線通信を行う第1モードと、
前記第1モードと異なり、かつ前記IEEE802.11に準拠するダイレクト無線通信を行う第2モードと、
前記第1モードと前記第2モードとは異なり、かつ前記IEEE802.11に準拠するダイレクト無線通信を行う第3モードと、を含む複数の選択肢から設定する第1の設定ステップと、
前記第1モードで前記ダイレクト無線通信機能を起動している場合、前記情報処理装置と外部装置とのどちらがグループオーナーとして動作するかを決定するネゴシエーション処理を実行して、前記情報処理装置がWi-Fi Direct(登録商標)規格に準拠したグループオーナーが決定されるよう制御し、前記第2モードで前記ダイレクト無線通信機能を起動している場合、前記ネゴシエーション処理を実行せずに前記Wi-Fi Direct規格に準拠したグループオーナーとして動作するように制御し、前記第3モードで前記ダイレクト無線通信機能を起動している場合、前記Wi-Fi Direct規格に準拠せず、アクセスポイントとして動作するように制御する制御ステップと、
外部装置と前記情報処理装置との間で無線通信接続を確立するための接続情報を、前記無線ネットワークインタフェースを使用する無線通信とは異なる方法で外部装置に提供する提供ステップと、を有する
ことを特徴とする制御方法。
【請求項15】
請求項1乃至1
3のいずれか一項に記載の情報処理装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部端末と通信可能な情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の情報処理装置は、IEEE802.11に準拠する無線通信機能を備えるものが増えている。IEEE802.11に準拠する無線通信機能を備える情報処理装置は、アクセスポイントを介してPCやモバイル端末等の外部装置からデータを受信し、受信したデータに基づく処理を実行する。
【0003】
また情報処理装置の中には、外部のアクセスポイントなどの中継装置を介さずに外部装置との間で無線通信を行う(以下、ダイレクト無線通信と呼ぶ)ことができるものも存在する。
【0004】
また、情報処理装置において、NFC(Near Field Communication)のような近距離無線機能を備えるものがある。近距離無線通信は、IEEE802.11に準拠する無線通信へハンドオーバする目的で使用されることがある(特許文献1)。特許文献1の情報処理装置は、Wi-Fi Direct(登録商標)ネットワークで使用されるべき設定(SSIDや暗号化方式、パスワードなど)を外部端末に送信する。接続設定を受信した外部端末は、情報処理装置との間でダイレクト無線通信を確立し、情報処理装置にダイレクト無線通信を使用してデータを送信できる状態に遷移する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、情報処理装置と外部端末との間でダイレクト無線通信を確立する際に、複数の方式のうちのいずれか1つを採用することが考えられる。情報処理装置がソフトウェアアクセスポイントとして動作し、外部端末が当該ソフトウェアアクセスポイントに接続することでダイレクト無線通信を確立する方法がある。また、Wi-Fi Directに準拠するダイレクト無線通信を確立する方法もある。Wi-Fi Directでは、1つのグループを構成する複数台の無線通信装置のなかの1台をアクセスポイントとして動作させ、他の無線通信装置はアクセスポイントとP2Pで無線通信を行う。アクセスポイントとして動作させる無線通信装置は、グループオーナー(GO)と呼ばれ、他の無線通信装置はクライアントと呼ばれる。GOは、グループオーナーネゴシエーションにより決定される。また、情報処理装置に対して安定して複数の通信端末を接続できるよう、情報処理装置が必ずGOとなるよう振る舞わせることも考えられる。これらの、いずれの方式を採用するかを、情報処理装置の設定や動作モードによって異ならせることが考えられる。
【0007】
また、外部端末にNFCやBluetooth(登録商標) LEのような近距離無線通信でダイレクト無線通信を確立するために使用する接続情報を送信し、ダイレクト無線通信へのハンドオーバを行う場合がある。また、接続情報を含むQRコード(登録商標)を情報処理装置の操作部に表示し、当該QRコードを外部端末に読み込ませることでダイレクト無線通信を確立するために使用する接続情報を送信する場合がある。
【0008】
しかしながら、従来、情報処理装置の設定や動作モードに応じてNFCやBleetooth LEのような近距離無線通信で通信端末に送信する接続情報を適切に書き換えるといった制御については考えられていなかった。従って、外部端末が近距離無線通信で取得した接続情報を使用してダイレクト無線通信を確立しようとする際に、情報処理装置のダイレクト無線通信の動作モードによっては、通信端末から送信される接続要求を正しく処理できない恐れがあった。
【0009】
本発明は、上記の問題点の少なくとも1つを鑑みなされたものである。本発明は、外部端末と無線通信によるデータのやりとりを行う場合における、ユーザの利便性を高めるための仕組みを提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明の別の目的は、情報処理装置の無線通信に関する設定やステータスに基づき、近距離無線通信を使用して外部端末に提供する接続情報を適切に異ならせる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の少なくとも1つの目的を達成するために本発明の1つの側面としての情報処理装置は、無線ネットワークインタフェースと、前記無線ネットワークインタフェースを使用して他の装置を介さずに外部装置とダイレクト無線通信するダイレクト無線通信機能に関する動作モードを、IEEE802.11に準拠するダイレクト無線通信を行う第1モードと、前記第1モードと異なり、かつ前記IEEE802.11に準拠するダイレクト無線通信を行う第2モードと、前記第1モードと前記第2モードとは異なり、かつ前記IEEE802.11に準拠するダイレクト無線通信を行う第3モードと、を含む複数の選択肢から設定する設定手段と、前記第1モードで前記ダイレクト無線通信機能を起動している場合、前記情報処理装置と外部装置とのどちらがグループオーナーとして動作するかを決定するネゴシエーション処理を実行して、前記情報処理装置がWi-Fi Direct(登録商標)規格に準拠したグループオーナーが決定されるよう制御し、前記第2モードで前記ダイレクト無線通信機能を起動している場合、前記ネゴシエーション処理を実行せずに前記Wi-Fi Direct規格に準拠したグループオーナーとして動作するように制御し、前記第3モードで前記ダイレクト無線通信機能を起動している場合、前記Wi-Fi Direct規格に準拠せず、アクセスポイントとして動作するように制御する制御手段と、外部装置と前記情報処理装置との間でダイレクト無線通信接続を確立するための接続情報を、前記無線ネットワークインタフェースを使用する無線通信とは異なる方法で外部装置に提供する提供手段と、を有することを特徴とする情報処理装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、外部端末と無線通信によるデータのやりとりを行う場合における、ユーザの利便性を高めるための仕組みを提供することができる。
【0013】
また、本発明の1つの側面としては、情報処理装置の無線通信に関する設定やステータスに基づき、近距離無線通信を使用して外部端末に提供する接続情報を適切に異ならせる仕組みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】MFP101のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】通信端末102のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】MFP101の操作部に表示される画面の一例を説明する図である。
【
図5】MFP101のネットワーク設定の一例を説明する図である。
【
図6】MFP101の操作部に表示される画面の一例を説明する図である。
【
図7】MFP101の制御を示すフローチャートの一例である。
【
図8】MFP101の制御を示すフローチャートの一例である。
【
図9】Bluetooth LEを使用したデータ通信を説明するための図である。
【
図10】MFP101の制御を示すフローチャートの一例である。
【
図11】MFP101の制御を示すフローチャートの一例である。
【
図12】MFP101の制御を示すフローチャートの一例である。
【
図13】MFP101の操作部に表示される画面の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0016】
<第1の実施形態>
まず
図1を用いて、本発明に係る通信システムの構成を説明する。本実施形態に係る通信システムは、通信端末102、MFP(Multi Function Peripheral)101を含む。
【0017】
通信端末102は、IEEE802.11規格に準拠する無線クライアントとして機能し、外部のアクセスポイントを介した無線通信を実行可能である。また、通信端末102は、Wi-Fi Direct(登録商標)に準拠するダイレクト無線通信を実行することもできる。
【0018】
MFP101は、ネットワークを介して印刷データを受信して印刷を行う印刷機能や、スキャンして得られたデータをネットワーク上の通信端末に送信する送信機能を有する情報処理装置である。MFP101は、LAN100上の外部装置と通信することができる。また、MFP101は、周辺の通信端末(例えば、通信端末102)とダイレクト無線通信を確立することもできる。MFP101は、Wi-Fi Directに準拠するダイレクト無線通信を行うことができる。また、MFP101は、Wi-Fi Directに準拠しないダイレクト無線通信を行うこともできる。この場合、MFP101がソフトウェアアクセスポイント(以降、ソフトウェアAPと呼ぶ)として動作し、周辺の通信端末がMFP101の提供するソフトウェアAPに接続することにより装置間のダイレクト無線通信を実現する。
【0019】
なお、本実施形態においてダイレクト無線通信で使用する無線ネットワークは、IEEE802.11に準拠するWPAN(Wireless Pesonal Area Network)であるものとする。即ち、ダイレクト無線通信はLAN100やインターネットには相互接続していない閉じた無線通信である。
【0020】
また、MFP101は、外部のAP103を介してLAN100に接続されている。MFP101は、LAN100上の外部装置(メールサーバやファイルサーバ、PCなど)に画像データや情報を送信したり、LAN100上の外部装置から印刷データや情報を受信したりする。本実施形態においては、LAN100などの組織や企業のイントラネットワークを介した接続形態をインフラ接続と呼ぶ。
【0021】
また、本実施形態の通信システムは、通信端末102とMFP101とが連携することにより、ユーザに機能を提供するモバイル連携機能を備えている。例えば、MFP101と通信端末102とが連携して紙原稿をスキャンし、送信や保存を行うスキャン連携機能を実行することができる。また、MFP101は、通信端末102から印刷データを受信し、当該印刷データに基づいてシートに画像を印刷する印刷機能を実行することもできる。
【0022】
これらの連携は、通信端末102とMFP101とがIEEE802.11に準拠する無線通信の通信リンクを確立したのちに行われる。または、これらの連携は、通信端末102とMFP101との間でLAN100を経由する通信を確立した後に行われる。
【0023】
なお、本実施形態では、通信端末の一例としてスマートフォンやタブレットPC(Personal Computer)を想定しているがこれに限定されるものではない。スマートフォンやタブレットPCは近距離無線通信を実行可能な通信端末の一例であり、ウェアラブルデバイスなど他の通信端末であってもよい。
【0024】
また、本実施形態では、通信端末と連携する情報処理装置の一例としてMFPを例示しているがこれに限定されるものではない。例えば、単機能のスキャナ、プリンタ、3Dプリンタなどの情報処理装置であってもよい。また、例えば、遠隔会議システムのターミナルや、カーナビゲーション装置、インタラクティブホワイトボード、デジタルサイネージや、コンテンツ配送端末、その他の家電装置などにも適用することもできる。
【0025】
<MFP>
次に
図2を用いて、MFP101について説明する。
図2は、MFP101のハードウェア構成を示すブロック図である。MFP101は画像を読み取る読取機能、シートに画像を印刷する印刷機能を有する。
【0026】
CPU(Central Processing Unit)111を含む制御部110は、MFP101全体の動作を制御する。CPU111は、ROM(Read Only Memory)112又はストレージ114に記憶された制御プログラムを読み出して、印刷制御や読取制御などの各種制御を行う。ROM112は、CPU111で実行可能な制御プログラムを格納する。RAM(Random Access Memory)113は、CPU111の主記憶メモリであり、ワークエリア又は各種制御プログラムの命令を展開するための一時記憶領域として用いられる。ストレージ114は、印刷データ、画像データ、各種プログラム、及び各種設定情報を記憶する。CPU111、RAM113、ROM112、ストレージ114といった制御部110の各要素はコンピュータとして動作する。
【0027】
なお、本実施形態のMFP101では、1つのCPU111が1つのメモリ(RAM113)を用いて後述するフローチャートに示す各処理を実行するものとするが、他の様態であっても構わない。例えば複数のプロセッサ、RAM、ROM、及びストレージを協働させて後述するフローチャートに示す各処理を実行することもできる。また、処理の一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアによって実現することもできる。
【0028】
操作部I/F(インタフェース)115は、操作部116と制御部110を接続する。操作部116には、タッチパネル機能を有する液晶表示部や各種ハードキーなどが備えられ、情報を表示する表示部やユーザの指示を受け付ける受付部として機能する。
【0029】
スキャナI/F117は、スキャナ118と制御部110を接続する。スキャナ118は原稿を読み取って、読取画像を生成する。生成された読取画像は外部装置に送信されたり、印刷に用いられたりする。
【0030】
プリンタI/F119は、プリンタ120と制御部110を接続する。プリンタ120は外部から受信した印刷データに基づいてシートに画像を印刷する。
【0031】
また、制御部110は、有線LAN I/F121を介してLAN100などのネットワークに接続することもできる。
【0032】
更に、制御部110は、無線LAN I/F122を備えている。無線LAN I/F122は、IEEE802.11に準拠する無線通信を行うための無線ネットワークインタフェースである。CPU111は、無線LAN I/F122と協働し、外部のAP(例えばAP103)に接続して無線通信を行うための無線クライアントの機能を提供する。また、CPU111は、無線LAN I/F122と協働し、周囲の通信端末(例えば、通信端末102)と外部のAPなどいった中継装置を介さずに無線通信を実現するダイレクト無線通信機能を提供する。本実施形態では、MFP101は、Wi-Fi Directに準拠するダイレクト無線通信モードと、Wi-Fi Directに準拠しないダイレクト無線通信モードのいずれかで動作できるものとする。以降、Wi-Fi Directに準拠するダイレクト無線通信モードをWi-Fi Directモードと呼び、Wi-Fi Directに準拠しないダイレクト無線通信モードをアクセスポイントモードと呼ぶものとする。
【0033】
Bluetooth I/F123は、各種周辺機器と近距離無線通信でデータの送受信を行うためのインタフェースである。本実施形態のMFP101は、Bluetooth Low Energy(以降Bluetooth LEと呼ぶ)に準拠した近距離無線通信を使用して、通信端末102と通信を行うことができる。本実施形態では、Bluetooth LE通信を確立した外部端末に対してBluetooth LE通信を介して、IEEE802.11に準拠する無線通信にハンドオーバするための接続情報を通知することができるものとする。また、MFP101は、外部端末に対してBluetooth LE通信を介して、MFP101のステータス情報などを通知することもできるものとする。
【0034】
NFC(Near Field Communication) I/F124は、NFCタグ125と制御部110を接続する。NFCタグ125は、ISO/IEC21481またはISO/IEC18092の国際標準規格に基づいて、NFCリーダ/ライタを有する通信端末との間で、近距離無線通信を行うことができる。NFCタグ125は不揮発性メモリを備え、不揮発性メモリには通信端末に読み取らせるためのタグデータが記憶される。不揮発性メモリには、IEEE802.11に準拠する無線通信にハンドオーバするための接続情報のレコードや、連携アプリケーションを起動するための起動情報のレコードなどを含むタグデータが書き込まれている。制御部110は、NFC I/F124を介してNFCタグ125内に記憶させるタグデータを書き換えることができる。
【0035】
<通信端末>
次に
図3を用いて、通信端末102のハードウェア構成を説明する。制御部130に含まれるCPU131は、ROM132又はストレージ134に記憶された制御プログラムを読み出して、通信端末102を制御する。
【0036】
制御部130は、バスに接続されたCPU131、ROM132、RAM133、ストレージ134、操作部I/F135、カメラI/F137を含む。また、制御部130は、外部装置と通信するための通信インタフェースとして、無線LAN I/F142、Bluetooth I/F143、NFC I/F144を有している。
【0037】
CPU131は制御部130全体の動作を制御する中央演算装置(プロセッサ)である。RAM133は揮発性メモリであり、ワークエリア、ROM132及びストレージ134に格納された各種制御プログラムを展開するための一時記憶領域として用いられる。
【0038】
ROM132は不揮発性メモリであり、通信端末102のブートプログラムなどが格納されている。ストレージ134はRAM133と比較して大容量な不揮発性のフラッシュメモリである。ストレージ134には、通信端末102の制御用プログラムが格納されている。また、OS(Operating System)や連携アプリケーションもストレージ134に格納されている。
【0039】
CPU131は通信端末の起動時、ROM132に格納されているブートプログラムを実行する。このブートプログラムは、ストレージ134に格納されているOSのプログラムを読み出し、RAM133上に展開するためのものである。CPU131はブートプログラムを実行すると、続けてRAM133上に展開したOSのプログラムを実行し、通信端末102の制御を行う。また、CPU131は制御用プログラムによる動作に用いるデータもRAM133上に格納して読み書きを行う。
【0040】
なお、通信端末102は、1つのCPU131が後述する制御を実行するものとするが、他の態様であっても構わない。例えば、複数のプロセッサが協働して後述する制御を実行するようにすることもできる。
【0041】
操作部I/F135は、操作部136と制御部130を接続する。操作部136は、ユーザのタッチ操作を検出可能なタッチパネルと、各種画面を表示する表示パネルを備えている。操作部136は、情報を表示する表示部やユーザの指示を受け付ける受付部として機能する。操作部136には、連携アプリケーションやOSが提供する各種画面が表示される。
【0042】
カメラI/F137は、制御部130とカメラ138を接続する。カメラ138はユーザの撮像指示に応じて撮像する。カメラ138によって撮像された写真は、ストレージ134に記憶される。
【0043】
無線LAN I/F142は、IEEE802.11規格に準拠する無線通信を行うための無線クライアントの機能を提供する。また、無線LAN I/F142は、外部のAPに接続してIEEE802.11規格に準拠する無線通信を実行する。外部のAPは、アクセスポイントモードで動作するMFP101であってもよいし、AP103であってもよい。
【0044】
また、CPU131は、無線LAN I/F142と協働してWi-Fi Directに準拠するダイレクト無線通信で周囲の通信端末(例えば、MFP101)と通信を確立することができる。
【0045】
Bluetooth I/F143は、各種周辺機器と近距離無線通信でデータの送受信を行うためのインタフェースである。本実施形態では、Bluetooth LE通信を使用して、外部装置とデータの送受信を行うことができるものとする。
【0046】
NFC I/F144は、各種周辺機器と近距離無線通信でデータの送受信を行うためのインタフェースであり、NFCリーダライタとして動作する。例えば、通信端末102は、MFP101のNFCタグ125に記憶されたタグデータを読み出すことができる。通信端末102は、ユーザにより通信端末102がNFCタグ125に近づけられ、NFC通信の通信範囲内となると、NFCタグ125からタグデータを読み出す。これにより、通信端末102は、IEEE802.11に準拠する無線通信にハンドオーバするための接続情報や、連携アプリケーションを起動するための起動情報を取得することができる。
【0047】
<ダイレクト無線通信のモード>
続けて、MFP101におけるダイレクト無線通信のモードについて説明する。本実施形態では、MFP101は、周囲の通信端末の間でダイレクト無線通信を利用するにあたり、複数の方式を使用できるようにする。具体的には、
図1で説明したWi-Fi Directモード又はアクセスポイントモードのいずれかのモードで動作させることができるようにする。
【0048】
また、Wi-Fi Directモードで動作する場合、更にWi-Fi Directモードの動作設定を行うことができるようにする。具体的には、MFP101がWi-Fi Directのグループオーナ(GO)として優先的に動作する、Autonomous GoモードをONにするか否かを設定することができるようにする。Autonomous GoモードがONの場合、MFP101はWi-Fi DirectのGOとなり、ソフトウェアAPを起動する。Autonomous GOモードで動作しているMFP101を見つけた通信端末は、クライアントとなり、当該ソフトウェアAPに接続要求を送信してダイレクト無線通信を確立する。一方、Autonomous GoモードがOFFに設定されている場合、MFP101と周囲の通信端末のどちらがAPとしてふるまうかは、グループオーナーネゴシエーションにより決定される。
【0049】
なお、本実施形態では、MFP101がWi-Fi DirectのAutonomous Goモードと、ネゴシエーションモードの両方に対応している場合を例示しているがこれに限定されない。例えば、Wi-Fi Directのいずれかのモードのみに対応するMFP101に適用することもできる。この場合、アクセスポイントモードの場合と、Wi-Fi Directモードの場合とで、近距離無線通信やQRコードを使用して外部端末に提供する接続情報を異ならせるようにすればよい。
【0050】
ここで、通信端末102などの外部端末にNFCやBluetooth LEのような近距離無線通信でダイレクト無線通信を確立するために使用する接続情報を送信し、ダイレクト無線通信へのハンドオーバを行う場合がある。また、接続情報を含むQRコード(登録商標)などの二次元コードをMFP101の操作部116に表示し、当該QRコードを外部端末に読み込ませることでダイレクト無線通信を確立するために使用する接続情報を送信する場合がある。
【0051】
しかしながら、従来は、MFP101の設定やモードに応じてNFCやBleetooth LEのような近距離無線通信で使用する接続情報を適切に書き換えるといった制御についても考えられていなかった。従って、外部端末が近距離無線通信で取得した接続情報を使用してダイレクト無線通信を確立しようとする際に、情報処理装置のダイレクト無線通信の動作モードによっては、通信端末から送信される接続要求を正しく処理できない恐れがあった。即ち、近距離無線通信で送信される接続情報と、ダイレクト無線通信を確立方式とが一致せず、正しく無線ダイレクト接続が確立できないといった懸念があった。
【0052】
本実施形態では、上述の少なくとも1つの懸念を鑑み、外部端末と無線通信によるデータのやりとりを行う場合における、ユーザの利便性を高めるための仕組みを提供する。また、MFP101のIEEE802.11に準拠する無線通信に関する設定や動作モードに基づき、近距離無線通信を使用して外部端末に提供する接続情報を適切に異ならせる仕組みを提供する。
【0053】
まず、MFP101のネットワーク設定について、
図4及び
図5を用いて説明する。ユーザは、MFP101の動作を制御する設定の一項目として、ネットワークに関する設定を行うことができる。
図4(a)、(b)は、MFP101の操作部116に表示される画面の一例を示しており、MFPのネットワーク設定を行うための画面を例示している。また、
図5は、MFP101の動作を制御する設定である、ネットワーク設定を説明するための図である。管理者などのユーザは、MFP101の操作部116に表示される設定画面を介して
図5に示す各設定を変更することができる。これらのネットワーク設定はストレージ114などの不揮発性の記憶領域に格納され、後述するフローチャートにおける制御などで適宜参照される。
【0054】
図4の説明に戻り、
図4(a)の画面400は、ダイレクト無線通信のモードを設定するための画面の一例を示している。管理者などのユーザは、ダイレクト無線通信のモードとして、アクセスポイントモードキー401又はWi-Fi Directモードキー402のいずれかを選択することができる。
【0055】
本実施形態では、キー401及びキー402は排他設定であり、いずれか一方のキーをONにすることが可能である。また、キー401及びキー402の両方をOFFにすることが可能である。キー401及びキー402の両方がOFFに設定されると、MFP101は、ダイレクト無線通信を禁止するモードとなる。一方、キー401又はキー402のいずれかがONに設定されると、MFP101は、ダイレクト無線通信を許可するモードになる。
【0056】
MFP101は、キー402が選択されたことを検知すると、Wi-Fi Directモードにおける動作モードを設定するための画面に遷移する。
図4(b)の画面410は、Wi-Fi Directモードの動作モードを設定するための画面の一例である。
【0057】
管理者などのユーザは、Autonomous GOモードをONにするか否かを設定することができる。キー411及びキー412は排他設定であり、いずれか一方のキーをONにすることが可能である。OKキー413が選択されたことを検知すると、MFP101は、画面410を介して設定されたWi-Fi Directの動作モードに関する設定をネットワーク設定として記憶し、操作部116に表示する画面を画面400に戻す。
【0058】
キー411を介してAutonomous GOモードがONに変更されると、Wi-Fi Directモードの動作モードとして、Autonomous GOモードが設定される。また、キー412によりAutonomous GOモードがOFFに変更されると、Wi-Fi Directモードの動作モードとして、ネゴシエーションモードが設定される。
【0059】
図4(a)の説明に戻り、キャンセルキー403は、画面400を介してなされた設定を破棄し設定を終了する場合に使用するキーである。OKキー404は、画面400を介してなされた設定を適用する場合に使用するキーである。OKキー404が選択されたことを検知すると、MFP101は、画面400を介して設定されたダイレクト無線通信のモードに関する設定をネットワーク設定として記憶し、操作部116に表示する画面を一つ上の階層の画面に遷移させる。1つ上の階層の画面は、例えば、図示省略のネットワーク設定画面である。
【0060】
図4(a)、(b)の画面を介してなされたネットワーク設定はストレージ114などの不揮発性の記憶領域に格納され、後述するフローチャートにおける制御などで適宜参照される。また、その他のネットワーク設定も操作部116を介して管理者などが設定することができるものとする。
【0061】
続けて本実施形態に係るネットワーク設定について
図5を用いて説明する。
図5に示すように、MFP101で設定変更が行える項目には、無線クライアントとしての設定501がある。本実施形態では、無線LAN I/F122がONに設定され、外部のAPに接続するための接続情報(SSID(Service Set Identifier)、パスワード、IPアドレスなど)が設定されているものとして説明する。また
図4(a)、(b)を介してなされた設定は、設定502として記憶される。更に、本実施形態では、管理者がダイレクト無線通信に関する設定として電源投入時の動作設定である設定503を設定することもできるものとする。設定503としてダイレクト無線通信をONにすることが設定されている場合、CPU111は、ダイレクト無線通信機能をONの状態でMFP101を起動するよう制御する。一方、設定503としてダイレクト無線通信がOFFにすることが設定されている場合、CPU111は、ダイレクト無線通信機能をOFFの状態でMFP101を起動するよう制御する。
【0062】
また、設定504には、NFCによる外部連携を使用するか否かが設定され。設定505には、Bluetooth LEによる外部連携を使用するか否かが設定される。
【0063】
続いて、ダイレクト無線通信の開始又は停止について、
図6を用いて説明する。
図6はMFP101の操作部116に表示される画面及び画面の遷移の一例を示している。
【0064】
MFP101を使用するユーザは、操作部116に表示される図示省略のメインメニュー画面を介してMFP101が備えるコピー機能や、スキャン機能を使用するためのキー(表示アイテム)を選択することで、MFPの有する各機能を使用することができる。メインメニューには、スマートフォンやタブレット端末などの通信端末102と連携する場合に使用するモバイル連携キーが用意されている。MFP101は、ユーザによってモバイル連携キーを選択されたことに従って、操作部116に表示する画面を
図6に示すモバイルポータル画面に遷移させる。
【0065】
ユーザは、モバイルポータル画面を介して、通信端末102と、MFP101とがダイレクト無線通信で接続する際の情報を確認することができる。また、CPU111は、操作部116を介したユーザ操作に基づき、ダイレクト無線通信を停止している状態から実行中の状態にMFP101を遷移させたり、実行中の状態から停止している状態にMFP101を遷移させたりする。
【0066】
図6の画面600はダイレクト無線通信を停止している状態において操作部116に表示されるモバイルポータル画面の一例を示している。ダイレクト無線通信を停止している場合は、ダイレクト無線通信を行うことはできないが、MFP101が接続しているLAN100経由での通信を行うことができる。画面600には、LAN100経由の通信で使用する接続情報として情報601が表示されている。また、画面600には、LAN100上からMFP101にアクセスするためのIPアドレスなどの接続情報を含むQRコード603が表示される。通信端末102にインストールされた連携アプリケーションは、通信端末102が有するカメラ138を用いてQRコード603を読み取り、接続情報を取得する。連携アプリケーションは、取得した当該接続情報を使用して、LAN100を経由してMFP101と通信することができる。また、ダイレクト無線通信を停止している状態では、MFP101はNFCやBluetooth LEで外部端末に提供する接続情報についても、LAN100上からMFP101にアクセスするためのIPアドレスを含む接続情報となるよう制御する。この処理により、MFP101は、通信端末102にLAN100経由でMFP101にアクセスするための接続情報を、近距離無線通信を使用して適切に通知できるようになる。
【0067】
開始キー602は、ダイレクト無線通信を実行中の状態に切り替える場合に使用するキーである。なお、MFP101は、ネットワーク設定に基づき、開始キーをグレーアウトで表示し、開始キーを無効にすることもできる。具体的には、CPU111は、ストレージ114に記憶された設定502を参照し、ダイレクト接続の使用が禁止されている場合に、開始キー602をグレーアウトで表示する。CPU111は、グレーアウトで表示している開始キー602が選択されたことを検知すると、「現在の設定ではダイレクト無線通信を使用することはできません。管理者に連絡してください」などのポップアップを表示する。
【0068】
一方、開始キー602が有効の場合、CPU111は、ユーザにより開始キー602が選択されたことに基づいて、
図5で説明したネットワーク設定に基づき、ダイレクト無線通信に関する制御を開始する。ダイレクト無線通信のモードが「アクセスポイントモード」に設定されている場合、MFP101は、無線LAN I/F122を制御して、ダイレクト無線通信用のソフトウェアAPを起動する。また、操作部116に表示する画面をアクセスポイントモード用の確認画面に遷移させる。画面610はアクセスポイントモード用の確認画面を例示している。画面610には、現在起動しているソフトウェアAPに関する情報611が表示される。また、画面610には、SSID、ネットワークキー、IPアドレスなどの接続情報を含むQRコード613が表示される。終了キー612は、ソフトウェアAPを停止する際に使用するキーである。MFP101は、ユーザにより終了キー612が選択されたことに基づいて、起動中のソフトウェアAPを停止し、ダイレクト無線通信を停止している状態に遷移する。停止処理が完了すると、MFP101は、操作部116に表示する画面を画面600に遷移させる。
【0069】
通信端末102にインストールされた連携アプリケーションは、通信端末102が有するカメラ138を用いてQRコード613を読み取り、接続情報を取得する。連携アプリケーションは、取得した当該接続情報を使用して、ソフトウェアAPに接続し、ソフトウェアAPが提供する無線ネットワークに参加する。また、連携アプリケーションは、ユーザにSSIDやネットワークキーを入力させることで、ソフトウェアAPに接続することもできる。ユーザは、情報611を見てプリントアプリケーションに入力すべき接続情報を把握することができる。また、CPU111は、アクセスポイントモードの開始に伴い、NFCの接続情報やBluetooth LEの接続情報についても、MFP101が起動しているダイレクト無線通信用のソフトウェアAPに接続するための情報に書き換える。この処理により、MFP101は、通信端末102に各種近接無線通信でダイレクト無線通信のための接続情報を適切に通知できるようになる。
【0070】
また、ダイレクト無線通信のモードが「Wi-Fi Directモード」に設定されている場合、MFP101は、更にWi-Fi Directの動作モードにより、制御を異ならせる。具体的には、「Wi-Fi Directモード」に設定され、尚且つ、Wi-Fi Directの動作モードが「ネゴシエーションモード」に設定されている場合、MFP101は、操作部116に表示する画面を画面620に遷移する。また、MFP101は、外部装置からのWi-Fi Directの接続要求を待ち受けたり、操作部116を介して周辺のWi-Fi Direct対応デバイスを探索したりする動作モードに遷移する。
【0071】
ここで、動作モードが「ネゴシエーションモード」に設定されている場合、MFP101がGOとなるか、外部装置がGOとなるかは、グループオーナーネゴシエーションを行った後に決定される。従って、画面620に遷移したタイミングでは、MFP101は、ソフトウェアAPを立ち上げない。従って、画面620に表示される接続情報としては、Wi-Fi Directでデバイスを識別するためのダイレクト名称を示す情報621のみが表示される。本実施形態では、デバイスを識別するためのダイレクト名称を、デバイス名称とも呼ぶものとする。また、画面620には、WiFi Directに対応するデバイスから接続の開始操作を行えること、及び、検索キーを押下することでMFP101から周辺の対応デバイスの検索を行えることを示す情報624が表示される。ダイレクト検索キー623は、MFP101から周辺のWi-Fi Direct対応デバイスを検索する場合に使用するキーである。外部端末(例えば通信端末102)からWi-Fi Directの接続要求を受け付けると、MFP101は、グループオーナーネゴシエーションに進み、外部端末とWi-Fi Directに準拠する無線通信の通信リンクを確立する。また、検索により見つかった外部端末に対してMFP101からWi-Fi Directの接続要求を送信し、無線通信を確立することもできる。
【0072】
また、CPU111は、ネゴシエーションモードの開始に伴い、NFCの接続情報やBluetooth LEの接続情報についても、ダイレクト名称を示す情報に書き換える。この処理により、MFP101は、通信端末102に各種近接無線通信でダイレクト無線通信のための接続情報を適切に通知できるようになる。
【0073】
また、終了キー622は、Wi-Fi Directに準拠するダイレクト無線通信を停止する際に使用するキーである。MFP101は、ユーザにより終了キー622が選択されたことに基づいて、Wi-Fi Direcctの待ち受けを停止しダイレクト無線通信を停止している状態に遷移する。
【0074】
最後に、「Wi-Fi Directモード」に設定され、尚且つ、Wi-Fi Directの動作モードが「Autonomous GOモード」に設定されている場合、MFP101は、操作部116に表示する画面を画面630に遷移する。また、MFP101は、外部装置からのWi-Fi Directの接続要求を待ち受けるモードに遷移するとともに、Wi-Fi Directで使用するアクセスポイントを起動する。
【0075】
また、画面630には、現在起動しているソフトウェアAPへの接続情報と、Wi-Fi Directでデバイスを識別するためのダイレクト名称を示す情報とを含む情報631が表示される。また、画面630には、SSID、ネットワークキー、ダイレクト名称などの接続情報を含むQRコード633が表示される。また、終了キー632は、Wi-Fi Directに準拠するダイレクト無線通信を停止する際に使用するキーである。
【0076】
通信端末102のOSは、通信端末102が有するカメラ138を用いてQRコード633を読み取り、Wi-Fi Directに準拠する無線通信の接続情報を取得する。OSは、取得した当該接続情報を使用して、ソフトウェアAPに接続し、ソフトウェアAPが提供する無線ネットワークに参加する。また、OSは、検索で見つかったWi-FiDirectのソフトウェアAPをユーザに選択させることで、検索で見つかったソフトウェアAPとの無線通信を確立することもできる。ユーザは、情報631を見て選択すべきソフトウェアAPを把握することができる。また、CPU111は、GOモードの開始に伴い、NFCの接続情報やBluetooth LEの接続情報についても、Wi-Fi DirectのソフトウェアAPに接続するための接続情報、及びダイレクト名称を含む情報に書き換える。この処理により、MFP101は、通信端末102に各種近接無線通信でダイレクト無線通信のための接続情報を適切に通知できるようになる。
【0077】
近距離無線通信を使用して外部端末に提供する接続情報を適切に異ならせる具体的な制御方法について、
図7~
図8及び
図10~
図11のフローチャートを用いて説明する。
【0078】
図7~
図8及び
図10~
図11は、MFP101の制御を示すフローチャートである。
図7~
図8及び
図10~
図11のフローチャートに示す各動作(ステップ)は、CPU111がROM112又はストレージ114に記憶された各制御モジュールを実現するためのプログラムをRAM113に読み出し、実行することにより実現される。なお、一部の処理は、無線LAN I/F122、Bluetooth I/F123、NFC I/F 124等のインタフェースと協働して実現されるものとする。
【0079】
図7は、MFP101に電源が供給され、MFP101が起動する場合に実行されるMFP101の動作を示すフローチャートである。
【0080】
S701において、CPU111は、起動処理を実行する。スキャナ118やプリンタ120の起動処理が進み、ネットワーク設定を行う段階まで起動処理が進むと、CPU111は、処理をS702に進める。S702において、CPU111は、電源投入時にダイレクト無線通信をONにする設定がなされているか否かを参照する。CPU111はストレージ114に記憶された設定502を参照し、電源投入時の動作設定としてダイレクト無線通信をONにする設定がなされている場合は、処理をS705に進める。一方、電源投入時の動作設定としてダイレクト無線通信をONにする設定がなされている場合は、処理をS703に進める。
【0081】
S703において、CPU111は、インフラ無線通信用に連携情報の設定処理を行う。具体的な処理について
図8のフローチャートを用いて説明する。
【0082】
S801において、CPU111は、インフラ接続の接続情報を取得する。具体的にはCPU111は、ストレージ114に記憶された無線クライアントとしての設定501を参照し、MFP101がインフラ接続に使用する接続情報としてIPアドレスを取得する。なお、本実施形態では、一例として無線LAN I/F122の無線クライアント機能を利用して、外部のAP経由でLAN100に接続されている場合を例示しているがこれに限定されるものではない。例えば、有線LAN I/F121を経由してLAN100に接続されている場合に適用することもできる。この場合、CPU111は、図示省略の有線LANの設定として記憶されている、MFP101のIPアドレスを接続情報として取得するものとする。
【0083】
S802において、CPU111は、NFCを使用する設定がなされているか否かを判断する。具体的にはCPU111は、ストレージ114に記憶されたNFCによる外部連携を使用するか否かの設定504を参照する。設定504がONに設定されている場合は、処理をS803に進め、設定504がOFFに設定されている場合は、処理をS804に進める。
【0084】
S803において、CPU111は、S801で取得したインフラ接続の接続情報に基づいてNFCタグ125にタグデータを書き込む。CPU111は、無線通信にハンドオーバするための接続情報のレコードに、インフラ接続の接続情報を書き込む。なお、ここで書き込まれるタグデータには、連携アプリケーションを起動するための識別情報のレコードなども含まれているものとする。
【0085】
S804において、CPU111は、ブランクデータをNFCタグに書き込む。この処理は、NFCによる外部連携を使用しない設定がなされた場合の例外処理である。
【0086】
S805において、CPU111は、Bluetooth LEを使用する設定がなされているか否かを判断する。具体的には、CPU111は、ストレージ114に記憶されたBluetooth LEによる外部連携を使用するか否かの設定505を参照する。設定505がONに設定されている場合は、処理をS806に進め、設定505がOFFに設定されている場合は、処理をS808に進める。
【0087】
続いて、S806において、CPU111は、インフラ接続の接続情報に基づいてBluetooth LEのGATT(Generic Attributes)通信で使用するキャラクタリスティックを設定する。
【0088】
ここで、GATT通信について説明する。本実施形態のMFP101は、外部端末とBluetooth LEでデータを送受信するためのGATTプロファイルが定義されたGATTサーバを備えている。
図9は、GATT通信を説明するための図であり、MFP101が公開するGATTサーバの一例を示している。GATTサーバには、ステータス通知サービス910、Wi-Fi接続情報通知サービス911が公開されている。
【0089】
各サービスは、GATTプロファイルで定義したキャラクタリスティックを備えている。GATTにおける、プロファイルとキャラクタリスティックとは、オブジェクト指向のクラスとメンバ変数のような関係である。ステータス通知サービス910は、MFPの状態を通知するサービスである。CPU111はMFP101のステータスに変化があると、キャラクタリスティックであるStatusの値にステータスを書き込む。例えば、キャラクタリスティックには、MFPがスリープ状態であるか、通常モードであるかなどの状態が書き込まれる。通信端末102は、StatusのキャラクタリスティックをReadして、MFP101のステータスを取得することができる。
【0090】
また、Wi-Fi接続情報通知サービス911は、MFPへの接続情報を通信端末へ通知するためのサービスである。これらのサービスは、装置間で使用する無線通信をBlutooth LE通信からIEEE802.11に準拠する無線通信にハンドオーバする場合に適宜使用される。
【0091】
図8の説明に戻り、S806の処理においてCPU111は、GATTサーバのWi-Fi接続情報通知サービス911のキャラクタリスティックを適宜書き換える。具体的には、IPアドレスのキャラクタリスティックに、インフラ接続のIPアドレスを設定し、その他のキャラクタリスティックにNULLを設定する。この処理により通信端末102がBluetooth LE通信で取得できる接続情報をインフラ接続のIPアドレスに設定することができる。
【0092】
続けて、S807において、CPU111は、Bluetooth I/F123と協働してBluetooth LEのアドバタイジングパケットの送信を開始する。アドバタイジングパケットは、例えば、数十msecの間隔で送出されるものとする。
【0093】
通信端末102は、アドバタイジングパケットを受信すると、当該アドバタイジングパケットに含まれる情報に基づいて、MFP101にBluetooth LEの接続要求を送信する。当該接続要求の処理については、
図11のフローチャートにて後述する。接続要求により Bluetooth LE通信が確立すると、通信端末102から
図10で説明したGATTサーバのキャラクタリスティックを読み書きできるようになる。アドバタイジングパケットの送信を開始すると、CPU111は、処理をS808に進める。
【0094】
S808において、CPU111は、S801で取得した接続情報に基づきインフラ接続で使用するQRコードを生成する。生成したQRコードは、例えば、
図6で例示した画面600に表示される。QRコードの生成処理が完了すると、処理を
図7のS704に進める。
図8で説明した一連の処理により、ダイレクト無線通信を使用しない状況下においては、インフラ接続のIPアドレスを各種近距離無線通信のハンドオーバ情報として設定することができる。
【0095】
図7の説明に戻り、S704において、CPU111は、ユーザによるダイレクト無線通信の開始指示を受け付けたか否かを判断する。ユーザによるダイレクト無線通信の開始指示を受け付けた場合は、処理をS705に進め、ユーザによるダイレクト無線通信の開始指示を受け付けていない場合は、処理をS708に進める。なお、ユーザによるダイレクト無線通信の開始指示は、例えば、画面600のダイレクト接続開始キー602の押下である。
【0096】
S705において、CPU111は、ダイレクト無線通信用の連携情報の設定処理を行う。具体的な処理について
図10のフローチャートを用いて説明する。S1001において、CPU111は、ダイレクト無線通信のモードの種別を判断する。具体的には、ストレージ114に記憶されているダイレクト無線通信の設定502を参照し、ダイレクト無線通信のモードとしてアクセスポイントモードが設定されている場合は、処理をS1002に進める。一方、ダイレクト無線通信のモードとしてWi-Fi Directモードが設定されている場合は、処理をS1003に進める。
【0097】
S1002において、CPU111は、アクセスポイントモードで使用するソフトウェアAPのSSID、ネットワークキー及び、MFP101に接続するためのIPアドレスを含む接続情報を生成し、処理をS1006に進める。
【0098】
一方、S1003において、CPU111は、Wi-Fi Directのモードの種別を判断する。具体的には、ストレージ114に記憶されているダイレクト無線通信の設定502を参照し、Wi-Fi Directのモードとしてネゴシエーションモードが設定されている場合は、処理をS1004に進める。一方、Wi-Fi DirectのモードとしてAutonomous GOモードが設定されている場合は、処理をS1005に進める。
【0099】
S1004において、CPU111は、ダイレクト名称を含み、SSIDやネットワークキーを含まない接続情報を生成する。ネゴシエーションモードで動作する場合、MFP101と周辺端末のいずれがWi-Fi Directのアクセスポイントとなるかが決定していないため、接続情報としてSSIDやネットワークキーを含めないようにしている。
【0100】
S1005において、CPU111は、SSID、ネットワークキー、ダイレクト名称を含む接続情報を生成する。Autonomous GOモードで動作する場合、MFP101はWi-FiダイレクトのグループオーナーとしてソフトウェアAPを起動する。従って、当該ソフトウェアAPに接続するためのSSID、ネットワークキー、ダイレクト名称を含めるようにしている。
【0101】
S1006において、CPU111は、NFCを使用する設定がなされているか否かを判断する。具体的にはCPU111は、ストレージ114に記憶されたNFCによる外部連携を使用するか否かの設定504を参照する。設定504がONに設定されている場合は、処理をS1007に進め、設定504がOFFに設定されている場合は、処理をS1008に進める。
【0102】
S1007において、CPU111は、生成した接続情報に基づいてNFCタグにタグデータを書き込む。CPU111は、無線通信にハンドオーバするための接続情報のレコードに、生成した接続情報を書き込む。なお、ここで書き込まれるタグデータには、連携アプリケーションを起動するための起動情報のレコードなども含まれているものとする。
【0103】
一方、S1008において、CPU111は、ブランクデータをNFCタグに書き込む。この処理は、NFCによる外部連携を使用しない設定がなされた場合の例外処理である。
【0104】
続いて、S1009において、CPU111は、Bluetooth LEを使用する設定がなされているか否かを判断する。具体的には、CPU111は、ストレージ114に記憶されたBluetooth LEによる外部連携を使用するか否かの設定505を参照する。設定505がONに設定されている場合は、処理をS1010に進め、設定505がOFFに設定されている場合は、処理をS1012に進める。
【0105】
S1010において、CPU111は、生成された接続情報に基づいてBluetooth LEのGATT通信で使用するキャラクタリスティックを設定する。
【0106】
例えば、アクセスポイントモードのときは、S1002で生成した接続情報に基づきSSID、KEY、Direct IP Addressのキャラクタリスティックを設定し、その他のキャラクタリスティックをNULLに設定する。また、例えば、Autonomous GOモードのときは、S1005で生成した接続情報に基づき、SSID、KEY、ダイレクト名称のキャラクタリスティックを設定し、その他のキャラクタリスティックをNULLに設定する。また、例えば、ネゴシエーションモードのときは、S1004で生成した接続情報に基づき、ダイレクト名称のキャラクタリスティックを設定し、その他のキャラクタリスティックをNULLに設定する。S1010の処理により、ダイレクト無線接続の動作モードや設定に応じて、適切な接続情報を提供することができる。
【0107】
図10の説明に戻り、S1011において、CPU111は、Bluetooth I/F123と協働してBluetooth LEのアドバタイジングパケットの送信を開始する。
【0108】
S1012において、CPU111は、生成した接続情報に基づきQRコードを生成する。生成したQRコードは、例えば、
図6で例示した画面に表示される。
図10の処理によって、ダイレクト無線通信を使用する状況下においては、当該ダイレクト無線通信の設定や動作モードに応じて適切な接続情報を提供することができる。QRコードの生成が完了すると、CPU111は、処理を
図7のS706に進める。
【0109】
図7の説明に戻り、S706において、CPU111は、ユーザ操作によりダイレクト無線通信の開始指示がなされたかどうか判断する。ユーザ操作によりダイレクト無線通信の開始指示がなされた場合は、処理をS707に進める。一方、ユーザ操作によりダイレクト無線通信の開始指示がなされていない場合(例えば、起動時の処理でS705へ進んだ場合)は、S707の処理をスキップし、S704に進む。
【0110】
S707において、CPU111は、ダイレクト無線通信の設定に基づいて、接続確認画面を表示する。例えば、アクセスポイントモードの場合は、
図6で説明した画面610の画面を表示する。また、Autonomous GOモードの場合は、
図6で説明した画面630を表示する。また、ネゴシエーションモードの場合は、
図6で説明した画面620を表示する。表示処理が完了すると、CPU111は、処理をS704に進める。
【0111】
一方、S708において、CPU111は、ダイレクト無線通信の終了指示を受け付けたか否かを判断する。ダイレクト無線通信の終了指示を受け付けた場合は、処理をS703に進め、ダイレクト無線通信の終了指示を受け付けていない場合は、処理をS709に進める。S708の判断処理により、ダイレクト無線通信を停止するケースにおいては、NFCやBluetooth LEで使用する接続情報についてもインフラ接続用に適切に切り替えることができるようになる。
【0112】
S709において、CPU111は、通信端末から無線通信の接続要求を受け付けたか否かを判断する。外部端末から無線通信の接続要求を受け付けた場合は、処理をS710に進め、外部端末から無線通信の接続要求を受け付けていない場合は、処理をS711に進める。
【0113】
S710において、CPU111は、通信端末からの接続要求に基づく接続確立処理を実行する。具体的な制御について
図11のフローチャートを用いて説明する。
【0114】
S1101において、CPU111は、外部端末からBluetooh LEの接続要求を受け付けたか否かを判断する。なお、通信端末(例えば通信端末102)は、アドバタイジングパケットを送出するMFP101に近づいた(近接した)と判定すると、MFP101に対してBluetooth LEの接続要求を送信する。CPU111は、外部端末からBluetooth LEの接続要求を受信した場合は、処理をS1102に進め、外部端末からBluetooth LEの接続要求を受信していない場合は、処理をS1105に進める。
【0115】
S1102において、CPU111は、通信端末とBluetooth LE通信を確立する。MFP101とBletooth LE通信を確立した通信端末は、
図9で説明したGATTサーバのキャラクタリスティックを適宜読み書きできるようになる。
【0116】
S1103において、CPU111は、通信端末から無線LANの接続情報の要求を受信したか否かを判断する。具体的には、CPU111は、通信端末からGATT通信でWi-Fi接続情報通知サービスの各キャラクタリスティックを取得する要求を受信した場合、処理をS1104に進める。一方、通信端末からGATT通信でWi-Fi接続情報通知サービスの各キャラクタリスティックを取得する要求を受信していない場合は、通信端末からの要求を待つ。
【0117】
S1104において、CPU111は、S1103で受信した要求の応答としてGATT通信を用いて接続情報を通知する。接続情報を受信した通信端末(例えば通信端末102)は、当該受信した接続情報に基づき無線LAN(IEEE802.11に準拠する無線通信)へのハンドオーバを試みる。
【0118】
続けて、ダイレクト無線通信の接続要求について説明する。S1105において、CPU111は、通信端末からダイレクト無線通信を確立するための接続要求を受信したか否かを判断する。通信端末からダイレクト無線通信を確立するための接続要求を受信した場合は、処理をS1106に進め、通信端末からダイレクト無線通信を確立するための接続要求を受信していない場合は、一連の確立処理を終了し、
図7のS704の処理に戻る。
【0119】
S1106において、CPU111は、ダイレクト無線通信のモードの種別を判定する。ダイレクト無線通信のモードがアクセスポイントモードの場合は、処理をS1108に進め、ダイレクト無線通信のモードがWi-Fi Directモードの場合は、処理をS1109に進める。
【0120】
S1108において、CPU111は、接続要求を送信した通信端末とのダイレクト無線通信を確立し、当該通信端末に対してIPアドレスを割り当てる。割り当てが完了すると一連の接続確立処理を終了し、S704の処理に戻る。
【0121】
S1109において、CPU111は、Wi-Fi Directのモードの種別を判断する。具体的には、ストレージ114に記憶されているダイレクト無線通信の設定502を参照し、Wi-Fi Directのモードとしてネゴシエーションモードが設定されている場合は、処理をS1110に進める。一方、Wi-Fi DirectのモードとしてAutonomous GOモードが設定されている場合は、処理をS1112に進める。
【0122】
S1110において、CPU111は、受信したダイレクト無線通信を確立するための接続要求に基づき、接続要求を受信した通信端末とグループオーナーネゴシエーションを行い、どちらがGOとして動作するか決定する。MFP101がGOとして動作すると決定した場合、CPU111は、ソフトウェアAPを起動する。一方、通信端末(例えば通信端末102)がGOとして動作すると決定した場合、CPU111は通信端末へ接続情報を送信する。
【0123】
S1111において、CPU111は、通信端末との間でWi-Fi Directによるダイレクト無線通信を確立する。MFP101がGOとして動作する場合、通信端末との通信を確立し、通信端末にIPアドレスを割り当てる。一方、通信端末がGOとして動作する場合、CPU111は、通信端末から受信した接続情報に基づき通信端末に接続要求を送信する。接続要求を受信した通信端末は、MFP101とのダイレクト無線通信を確立し、MFP101にIPアドレスを割り当てる。MFP101と通信端末との間でダイレクト無線通信が確立すると一連の接続確立処理を終了し、S704の処理に戻る。
【0124】
S1112において、CPU111は、通信端末との間でWi-Fi Directによるダイレクト無線通信を確立し、通信端末にIPアドレスを割り当てる。割り当てが完了すると一連の接続確立処理を終了し、S704の処理に戻る。
【0125】
図7の説明に戻り、S711において、CPU111は、その他の指示、データを受け付けたか否かを判断する。その他の指示、データを受け付けた場合は処理をS712に進め、その他の指示、データを受け付けていない場合は処理をS713に進める。
【0126】
S712において、CPU111は、その他の指示、データに基づく処理を実行する。例えば、原稿を読み取って得られた画像をシートに印刷するコピー機能の処理などを実行する。また、印刷データを受け付けた場合は、当該印刷データに基づきシートに画像を印刷する印刷を実行する。なお、その他の処理は操作部116を介したユーザ操作に基づき行われたり、連携アプリケーションなどから受信した指示に基づき行われたりする。その他の処理が完了すると、S704に戻る。
【0127】
S713において、CPU111は、電源をOFFにする指示を受け付けたか否かを判断する。電源をOFFにする指示を受け付けた場合は、処理をS714に進め、電源をOFFにする指示を受け付けていない場合は、S704の処理に戻る。S714において、CPU111は、MFP101のシャットダウン処理を行い、一連の処理を終了する。
【0128】
以上説明したように本実施形態では、MFP101の無線通信に関する設定やステータスに基づき、近距離無線通信を使用して外部端末に提供する接続情報を適切に異ならせることができる。
【0129】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、MFP101の無線通信に関する設定や動作モードに基づき、近距離無線通信を使用して外部端末に提供する接続情報を適切に異ならせることについて説明した。第2の実施形態では、第1の実施形態に加えてMFP101がWi Fi Directモードで動作中の場合は、近距離無線通信を使用して外部装置に提供する接続情報を、インフラ接続の接続情報とすることを説明する。
【0130】
Wi-Fi Directモードにおいてダイレクト無線通信を確立する場合、MFP101の操作部116又は通信端末102の操作部136にダイレクト接続を許可するか否か選択する画面が表示されることがある。これらの画面から許可を行うことがユーザにとって煩わしいケースがある。また、当該画面でユーザが間違って接続拒否を選択したり、タイムアウトにより接続ができなかったりした場合には再度接続要求をやり直けれればならず手間がかかる。これを鑑みて、本実施形態ではWi-Fi Directモードで動作中の場合は、近距離無線通信を使用して外部装置に提供する接続情報を、インフラ接続の接続情報とする。これにより、通信端末102などがLAN100にアクセスできる状態であれば、近距離無線通信で接続情報を受信し、LAN100を介してMFP101と通信を行うことができるようになる。
【0131】
なお、第2の実施形態において、前提となる装置のハードウェア構成は第1の実施形態と同様である。第1の実施形態と同様の構成については、詳細な説明は省略する。
【0132】
CPU111は、第1の実施形態の
図7のS705の処理に代えて、
図12のフローチャートを実行する。S1201~S1203、及びS1205の処理は、
図10のS1001~S1003、及びS1005の処理と同様であるため説明を省略する。
【0133】
Wi-Fi Directのモードがネゴシエーションモードの場合、S1204において、CPU111は、インフラ接続のIPアドレスを含む接続情報を生成し、処理を
図10のS1006に進める。なお、S1006以降の制御については第1の実施形態と同様の処理であるため説明を省略する。
【0134】
この処理により、ネゴシエーションモードの場合は、近距離無線通信を使用して外部装置に提供する接続情報を、インフラ接続の接続情報とすることができるようになる。これにより、通信端末102などがLAN100にアクセスできる状態であれば、近距離無線通信で接続情報を受信し、LAN100を介してMFP101と通信を行うことができるようになる。
【0135】
図13は、第2の実施形態に置いて、第1の実施形態で説明した
図6の画面620及び画面630に代えて、操作部116に表示する画面の一例を示すものである。
図13(a)の画面1320は、ネゴシエーションモードの接続情報を表示する画面620に代えて表示する画面の一例を示している。また、
図13(b)の画面1330は、Autonomous Goモードの接続情報を表示する画面620に代えて表示する画面の一例を示している。
【0136】
画面1320には、画面620の各表示項目に加えて、同一ネットワークに参加するデバイスの場合に、NFC、Bluetooth LEを利用してMFP101と接続できることを示す情報1325が表示される。また、インフラ接続に関する接続情報としてMFP101へLAN100を経由してアクセスするためのIPアドレスを示す情報1326が表示される。また、画面1330にも、情報1325と同様の情報である情報1335と、情報1326と同様の情報1336が表示される。これらの表示により、Wi-Fi DirectoモードでMFP101が動作している時に、近距離無線通信によるハンドオーバを行うには、通信端末102が同一ネットワークに参加している必要があることをユーザに適切に通知することができる。
【0137】
<変形例>
第2の実施形態では、Wi-Fi Directモードの場合に、近距離無線通信でインフラ接続の接続情報を提供する場合を例示したがこれに限定されるものではない。例えば、Wi-Fi DirectのAutonomous GOモードで動作する場合にもソフトウェアAPにアクセスするための接続情報(SSID、キー)を含み、ダイレクト名称を含まない近距離無線通信で提供するようにしてもよい。これは、Wi-Fi Directのために起動したソフトウェアAPに、Wi-Fiダイレクトの接続手順を使用することなく接続することができることに着目している。通信端末102は、MFP101が起動しているソフトウェアAPに接続するためのSSID及びキーを知ることができれば、通常のアクセスポイントに接続する手順でWi-Fi Directnoアクセスポイントにも接続できる。この場合、CPU111は、Wi-Fi ダイレクトモードで動作している場合であっても、Autonomous GOモードで動作する場合は、S1202と同様の接続情報を近距離無線通信で外部端末に提供するようにすればよい。具体的には、S1203でAutonomous GOモードであると判断した場合に、S1202の処理に進むようにすればよい。また、この場合、画面1330の情報1335に代えて「NFC,Bluetooth LEを使用してMFP101に直接接続することができます。」などの情報を表示する。また情報1336に示すインフラ接続情報は、MFP101のソフトウェアAPに接続するためには不要な情報であるため表示を行わない。
【0138】
また、上述の実施形態では、外部端末にBluetooth LEを使用して接続情報を通知する方法としてGATT通信を例示したがこれに限定されるものではない。例えば、Bluetooth LEのアドバタイジングパケットにハンドオーバのための接続情報を含めるようにすることもできる。
【0139】
<その他の実施形態>
本実施形態では、ダイレクト無線通信のモードの一例としてアクセスポイントモードと、Wi-Fi Directモードを例示したがこれに限定されるものではない。例えば、MFP101がWi-Fi Aware(登録商標)に準拠するダイレクト無線通信のもモード(説明のためWi-Fi Awareモードとする)に対応している場合を考える。この場合、当該Wi-Fi AwareモードでMFP101が動作している場合、当該Wi-Fi Awareモードにおける接続に必要な接続情報を近距離無線通信で通知する接続情報として設定するようにすればよい。
【0140】
本発明は、上述の各実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASICやFPGA)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0141】
101 MFP
102 通信端末
111 CPU
114 ストレージ
123 Bluetooth I/F
124 NFC I/F