(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】化学療法計画中の免疫応答の保護
(51)【国際特許分類】
A61K 31/519 20060101AFI20240508BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20240508BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240508BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240508BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240508BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20240508BHJP
A61K 31/282 20060101ALI20240508BHJP
A61K 33/243 20190101ALI20240508BHJP
A61K 31/513 20060101ALI20240508BHJP
A61K 31/7072 20060101ALI20240508BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20240508BHJP
A61K 31/407 20060101ALI20240508BHJP
A61K 31/64 20060101ALI20240508BHJP
A61K 31/4164 20060101ALI20240508BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20240508BHJP
A61K 47/62 20170101ALI20240508BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20240508BHJP
A61K 31/4188 20060101ALI20240508BHJP
A61K 31/7048 20060101ALI20240508BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20240508BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
A61K31/519
A61K45/06
A61K39/395 T
A61K39/395 U
A61P35/00
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61K31/5377
A61K31/282
A61K33/243
A61K31/513
A61K31/7072
A61K31/7068
A61K31/407
A61K31/64
A61K31/4164
A61K31/337
A61K47/62
A61K31/4745
A61K31/4188
A61K31/7048
A61K31/675
A61P11/00
A61P43/00 107
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022091214
(22)【出願日】2022-06-03
(62)【分割の表示】P 2019530011の分割
【原出願日】2017-12-05
【審査請求日】2022-07-04
(32)【優先日】2016-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513102268
【氏名又は名称】ジー1、セラピューティクス、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】G1 THERAPEUTICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】ジェシカ、エイ.ソレンティノ
(72)【発明者】
【氏名】アンヌ、ワイ.ライ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ、シー.ストラム
(72)【発明者】
【氏名】パトリック、ジョセフ、ロバーツ
【審査官】渡邉 潤也
(56)【参考文献】
【文献】Annals of Oncology, 2016.10, Vol.27, No.Supple.6, p.vi496,<https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0923753419450497?via%3Dihub>
【文献】Lancet Oncol,2016年11月,Vol.17,1497-1508
【文献】Mol Cancer Ther,2016年05月,15(5),783-793
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトにおける癌を治療するための医薬組成物であって、前記医薬組成物は、a)誘導期とb)維持期とを含んでなる治療計画により投与され、
a)誘導期は、
i)
有効量の下記構造
の選択的サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害剤化合物:
【化1】
またはその薬学的に許容可能な塩を投与すること、
ii)有効量の化学療法薬を投与すること、および
iii)有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与すること
を含んでなり、
ここで、前記CDK4/6阻害剤は、前記誘導期において化学療法薬の投与前24時間以内だけに投与され、かつ、
b)維持期は、
i)有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与すること
を含んでなり、
前記維持期の投与は、前記誘導期の休止後に行われる、医薬組成物。
【請求項2】
前記維持期が、有効量の
下記構造のCDK4/6阻害剤
化合物:
【化2】
またはその薬学的に許容可能な塩を投与することをさらに含んでなる、請求
項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
ヒトにおける癌を治療するための医薬組成物であって、前記医薬組成物は、a)誘導期
とb)維持期とを含んでなる治療計画により投与され、
a)誘導期は、
i)
有効量の下記構造
の選択的サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害剤化合物:
【化3】
またはその薬学的に許容可能な塩を投与すること、
ii)有効量の化学療法薬を投与すること、および
を含んでなり、
ここで、前記CDK4/6阻害剤
化合物は、前記誘導期において化学療法薬の投与前24時間
以内だけに投与され、かつ、
b)維持期は、
i)有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与すること、および
ii)有効量の
下記構造のCDK4/6阻害剤
化合物:
【化4】
またはその薬学的に許容可能な塩を投与すること
を含んでなり、
前記維持期の投与は、前記誘導期の休止後に行われる、医薬組成物。
【請求項4】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、プログラム細胞死-1(PD-1)阻害剤、プログラム細胞死-リガンド1(PD-L1)阻害剤または細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)阻害剤から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の医
薬組成物。
【請求項5】
前記免疫チェックポイント阻害剤がPD-1阻害剤である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記PD-1阻害剤がニボルマブ、ピディリズマブまたはペンブロリズマブから選択される、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記免疫チェックポイント阻害剤がPD-L1阻害剤である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記PD-L1阻害剤がアテゾリズマブ、アベルマブまたはデュルバルマブから選択される、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記免疫チェックポイント阻害剤がCTLA-4阻害剤である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記CTLA-4阻害剤がイピリムマブまたはトレメリムマブから選択され
る、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記化学療法薬が、タンパク質合成阻害剤、DNA損傷化学療法薬、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤、RNA合成阻害剤、DNA複合体結合剤、チオラートアルキル化剤、グアニンアルキル化剤、チューブリン結合剤、DNAポリメラーゼ阻害剤、抗癌酵素、RAC1阻害剤、チミジル酸シンターゼ阻害剤、オキシアゾホスホリン化合物、インテグリン阻害剤、葉酸拮抗剤、葉酸代謝拮抗剤またはそれらの組合せから選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記化学療法薬が、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、カペシタビン、ゲムシタビン、マイトマイシン、シクロホスファミド、デカルバジン、アブラキサン、イフォスファミド、トポテカン、イリノテカン、ドセタキセル、テモゾロミド、パクリタキセル、エトポシド、ペメトレキセドまたはそれらの組合せから選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記CDK4/6阻害剤
化合物が、化学療法薬の投与前4時間以内に投与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記CDK4/6阻害剤
化合物が、化学療法薬の投与前30分以内に投与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記癌が、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、トリプルネガティブ乳癌、大腸癌、卵巣癌、膵臓癌、膀胱癌、胃食道癌、胆管癌、子宮頸癌および軟組織肉腫からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記癌が膀胱癌である、請求項15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記化学療法薬が、ゲムシタビン、カルボプラチン、シスプラチンまたはそれらの組合せから選択される、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記免疫チェックポイント阻害剤がPD-L1阻害剤である、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記PD-L1阻害剤がアテゾリズマブ、アベルマブまたはデュルバルマブから選択される、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記PD-L1阻害剤がアベルマブである、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記癌がトリプルネガティブ乳癌である、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記化学療法薬が、シクロホスファミド、ドキソルビシン、パクリタキセル、カルボプラチンおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記PD-1阻害剤が、ニボルマブ、ペンブロリズマブまたはピディリズマブから選択される、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記PD-1阻害剤がペンブロリズマブである、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記癌が非小細胞肺癌である、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記PD-1阻害剤が、ニボルマブ、ペンブロリズマブまたはピディリズマブから選択される、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記PD-1阻害剤がペンブロリズマブである、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
ヒトにおける尿路上皮癌を治療するための医薬組成物であって、前記医薬組成物は、a
)誘導期とb)維持期とを含んでなる治療計画により投与され、
a)誘導期は、
i)
有効量の下記構造
の選択的サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害剤化合物:
【化5】
またはその薬学的に許容可能な塩を投与すること、
ii)シスプラチン、カルボプラチン、ゲムシタビンまたはそれらの組合せから選択される、有効量の化学療法薬を投与すること、および
ここで、前記CDK4/6阻害剤
化合物は、前記誘導期において化学療法薬の投与前24時間以内だけに投与され、かつ、
b)維持期は、
i)有効量のアベルマブを投与すること、および
ii)有効量のCDK4/6阻害剤
化合物:
【化6】
またはその薬学的に許容可能な塩を投与すること
を含んでなり、
前記維持期の投与は、前記誘導期の休止後に行われる、医薬組成物。
【請求項29】
前記CDK4/6阻害剤
化合物が、化学療法薬の投与前4時間以内に投与される、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記誘導期が、1回以上の21日周期を含んでなる、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記誘導期が、前記21日周期が4回以上繰り返される、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
ヒトにおけるトリプルネガティブ乳癌を治療するための医薬組成物であって、前記医薬組成物は、
i)
有効量の下記構造
の選択的サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害剤化合物:
【化7】
またはその薬学的に許容可能な塩を投与すること、
ii)ドキソルビシン、シクロホスファミド、パクリタキセル、カルボプラチンおよびそれらの組合せからなる群から選択される、有効量の化学療法薬を投与すること、および
iii)有効量のペンブロリズマブを投与すること
を含んでなる治療計画により投与され、
ここで、前記CDK4/6阻害剤
化合物は、化学療法薬の投与前24時間以内に投与される、
医薬組成物。
【請求項33】
前記CDK4/6阻害剤
化合物が、化学療法薬の投与前4時間以内に投与される、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
ヒトにおける転移性非扁平上皮小細胞肺癌を治療するための医薬組成物であって、前記医薬組成物は、a)誘導期とb)維持期とを含んでなる治療計画により投与され、
a)誘導期は、
i)
有効量の下記構造
の選択的サイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害剤化合物:
【化8】
またはその薬学的に許容可能な塩を21日周期の1日目に投与すること、
ii)有効量のカルボプラチンを21日周期の1日目に投与すること、
iii)有効量のペメトレキセドを21日周期の1日目に投与すること、および
iv)有効量のペンブロリズマブを21日周期の1日目に投与すること
を含んでなり、
ここで、前記
化合物は、前記誘導期においてカルボプラチンおよび/またはペメトレキセドの投与前24時間以内だけに投与され、
前記化学療法薬は、免疫エフェクター細胞に対して細胞傷害性があり、かつ、
b)維持期は、
i)有効量のペンブロリズマブを21日周期の1日目に投与すること
を含んでなり、
前記維持期の投与は前記誘導期の休止後に行われる、医薬組成物。
【請求項35】
前記CDK4/6阻害剤
化合物が、化学療法薬の投与前4時間以内に投与される、請求項34に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
関連出願の陳述
本願は、2016年12月5日出願の米国仮出願第62/430,302号、および2017年3月31日出願の米国仮出願第62/479,605号の利益を主張するものであり、これらの全内容は、目的を問わず本明細書の開示の一部とされる。
【0002】
技術分野
本発明は、炎症誘発性微小環境を促進するように腫瘍微小環境を変更する抗癌および抗腫瘍治療計画の改善の分野にある。
【0003】
背景
癌免疫療法は、免疫系をより活発かつ明敏に働くように刺激することによって癌または腫瘍と闘うために宿主の自然免疫系を用いる。免疫系の重要な部分は、外来細胞から正常細胞を識別する能力である。これを行うために、免疫系は、応答を開始するために活性化(または不活化)されなければならない特定の細胞上の分子である「チェックポイント」を用いる。癌および腫瘍は、免疫系による攻撃を回避するためにこれらのチェックポイントをどう使用するかを見出すことができる。「オフスイッチ」の例が、タンパク質PD-1、PDL-1およびCTLA-4である。癌治療の最近の進展には、このオフスイッチを不活化し、宿主の免疫系が罹患細胞に対するその能力を増すことを可能とするための、これらのチェックポイント「オフスイッチ」に対する抗体の投与が含まれる。
【0004】
いくつかの免疫チェックポイント阻害剤が米国食品医薬品局(FDA)により承認されている。進行黒色腫の治療に関して承認を受けた最初のこのような薬物イピリムマブ (ヤーボイ(Yervoy)(商標)、Bristol-Myers Squibb)は、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(cytotoxic T-lymphocyte-associated protein 4)(CTLA-4)、すなわち、細胞傷害性Tリンパ球と呼ばれる活性化免疫細胞の表面に発現されるチェックポイントタンパク質の活性を遮断する。CTLA-4は、これらのT細胞を不活化し、それにより免疫応答の強度を弱める「スイッチ」として働くが、イピリムマブはCTLA-4に結合し、それがその阻害シグナルを送らないようにする。
【0005】
他の2つのFDA承認チェックポイント阻害剤、ニボルマブ(オプジーボ(Opdivo)(商標)、Bristol-Myers Squibb)およびペンブロリズマブ(キートルーダ(Keytrud)(商標)、Merck)も同様に働くが、活性化T細胞上の異なるチェックポイントタンパク質、プログラム細胞死タンパク質1(programmed cell death protein 1)(PD-1)を標的とする。ニボルマブは、進行黒色腫または進行肺癌を有する一部の患者を治療するために承認され、ペンブロリズマブは、進行黒色腫を有する一部の患者を治療するために承認されている。現在開発中のさらなるPD-1標的阻害剤として、ピドゥリズマブ(pidulizumab)(Medivation)、MGA012(MacroGenics)、およびBGB-A317(BeiGene)がある。PD-1阻害剤は、Novartis AGによっても米国特許第9,683,048号、および同第9,683,048号に記載されている。また、PD-1と、PD-1の活性を下方調節するPD-L1およびPD-L2として知られる癌細胞の表面上のそのリガンドとの相互作用を乱すチェックポイント阻害剤、すなわち、デュルバルマブ(イミフィンジ(Imfinzi)(商標)、Astrazeneca)、アベルマブ(バベンチオ(Bavencio)(商標)、Pfizer)およびアテゾリズマブ(テセントリク(ecentriq)(商標)、Genentech/Roche))も開発されている。現在開発中のさらなるPD-L1標的阻害剤としては、Ca-170(Curis)およびLY3300054(Eli Lilly)がある。PD-L1阻害剤は、Novartis AGによってもUS2017/0296659およびWO2016/040892に記載されている。
【0006】
いくつかの免疫チェックポイント阻害剤が種々の癌を有する患者において有効であり、恒久的な奏効をもたらすことが示されているが、少数の患者が奏効するに過ぎない。さらに、いくつかのチェックポイント免疫阻害剤、例えば、抗PD-L1化合物BMS-936559は、奏効率が低いためにそれ以上の開発がなされていない。免疫チェックポイント阻害剤の奏効率を高めるためのアプローチは、免疫原性細胞の死滅を促進し、免疫系を「プライムする」ために、それらを化学療法と組み合わせることである。しかしながら、化学療法はそれ自体、造血幹細胞・前駆細胞(hematopoietic stem and progenitor cells)(HSPC)およびTリンパ球などの免疫エフェクター細胞を含む免疫系の種々の細胞種に損傷を引き起こし、化学療法/チェックポイント阻害剤の組合せの有効性を低下させる可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、短期的および/または長期的に罹患細胞を破壊するために固有の免疫機構を用いる身体の能力を増強するように、化学療法中および/または化学療法後に宿主の自然免疫系の保護を高める、癌または腫瘍を有する宿主を治療するための治療アプローチを提供することである。
【発明の概要】
【0008】
驚くことに、また予期しないことに、化学療法とチェックポイント阻害剤の組合せに極めて特殊な投与計画で選択的、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤を付加すると腫瘍または癌の治療により優れた結果がもたらされることが見出された。この三重併用療法の化学療法部分の各投与前のCDK4/6阻害剤の特定時限の投与が癌の微小環境において免疫細胞に顕著な効果を有することは予期しない知見である。この結果は、本明細書に記載されるようなCDK4/6阻害剤の投与が、(i)免疫腫瘍細胞浸潤物の損傷保護、(ii)より高頻度の腫瘍特異的記憶T細胞による免疫応答の持続期間の増大、(iii)免疫抑制因子である腫瘍内Treg細胞のより大幅な減少;および/または(iv)炎症誘発性因子の遺伝子発現の変化のうち1以上を提供するという点で顕著である。リンパ球の活性化および炎症誘発性サイトカインであるインターフェロン-γの上方調節のために機能的に富化された遺伝子の発現が有意に増強される。並行して、免疫抑制反応性酸素種代謝プロセスに関与するいくつかの遺伝子が下方調節される。これらの所見は、CDK4/6阻害剤の投与の時機が遺伝子発現の変調をもたらし、チェックポイント阻害剤活性の有効性を高めつつ化学療法の有害な影響を小さくするのに有利な炎症誘発性腫瘍微小環境を生じることを示す。この改善は癌治療の技術の現状に著しい進展をもたらす。
【0009】
腫瘍の微小環境に対するこの効果の正味の結果は、宿主の自然免疫応答の、癌または腫瘍と効果的に闘う能力を改善し、短期奏効(およそ1、2、3、4、5、または6か月まで)、長期奏効(7、8、9、10、11もしくは12か月までまたはそれを超える)または完全奏功を達成する能力を高めることである。
【0010】
これに対して、化学療法薬、チェックポイント阻害剤およびCDK4/6阻害剤の三重併用療法におけるこの特定の投与計画の顕著な利益は、免疫エフェクター細胞の連続的なCDK4/6阻害をもたらす連続的または実質的に連続的な様式でCDK4/6阻害剤が投与される場合には達成されないことが見出され、この場合には、腫瘍微小環境の免疫エフェクター細胞は、罹患細胞を破壊する能力が著しく低下されるような十分な時間、抑制された状態のままとなる。
【0011】
この療法の特定の利益としては、下記のうちの1以上が含まれる:
・短期腫瘍内免疫細胞種(CD4+T、CD8+T、Treg、NK、およびMDSCサブセット)は、増殖性およびCDK4/6阻害に対する感受性が高く、骨髄中の造血系前駆細胞と同様に、化学療法による損傷から免疫浸潤物を保護するCDK4/6阻害剤による一時的細胞周期停止を可能とする。本発明による特定時限の投与をもってすれば、例えば、これらの細胞種の1以上の増殖がおよそ6~24時間で約50、60、70、75もしくは80%またはそれを超えるまでに最大限阻害され、ほぼ約30、40、45、48、50または60時間以内に回復し得る。
【0012】
・化学療法/チェックポイント阻害剤の組合せに付加した場合のCDK4/6阻害剤のと特定時限の投与による腫瘍内免疫細胞の保護は、治療奏効の持続期間の増大をもたらす。より高頻度の腫瘍特異的記憶T細胞を見出すことができる。いくつかの例では、処置後50日目の中央値頻度は、特定時限のCDK4/6阻害剤/化学療法/チェックポイント阻害剤計画では、化学療法/チェックポイント阻害剤計画だけの場合の少なくともおよそ1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、もしくは2.6倍またはそれより高い倍率であり得る。記憶T細胞のより長い持続期間は、宿主に罹患細胞からの長期保護を提供する。
【0013】
・化学療法/チェックポイント阻害剤の組合せ計画へのCDK4/6阻害剤の特定時限の投与の付加は、腫瘍内Treg集団のより大きな減少をもたらす。特定の実施形態では、この改善された計画を用いた場合のCD4+T細胞集団中の腫瘍内Tregの割合は、処置の少なくとも7、8、9、10もしくは15日後またはそれ以降に、化学療法/チェックポイント阻害剤療法だけの場合に比べて最大約10、20、25、30、35、40または50%減少し得る。特定の実施形態では、Treg増殖の阻害動態はCD8+T細胞に比べて遅延し、このことはCD8+T細胞がより良好に保護されることを示す。
【0014】
一つの限定されない実施形態では、CDK4/6阻害剤の特定時限の投与には、選択的、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤化合物I(下記参照)、免疫エフェクター細胞に対して細胞傷害性の化学療法薬、例えば、オキサリプラチン、およびPD1、PD-L1またはCTLA4に対する抗体が含まれる。別の実施形態では、CDK4/6阻害剤の特定時限の投与には、化合物I、カルボプラチンおよびPD1、PD-L1またはCTLA4に対する抗体が含まれる。本発明の一つの側面において、癌は小細胞肺癌(SCLC)である。さらに別の実施形態では、CDK4/6阻害剤の特定時限の投与には、化合物I、エトポシドおよびPD1、PD-L1またはCTLA4に対する抗体が含まれる。これらの実施形態の一つの側面において、癌は小細胞肺癌である。別の側面においては、カルボプラチンおよびエトポシドが併用される。
【0015】
本発明の実施形態の概要を以下にさらに詳細に説明する。
【0016】
複数の側面において、本発明は、CDK4/6阻害剤、例えば、選択的、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤の特定時限の投与を、化学療法薬、例えば、免疫エフェクター細胞に対して細胞傷害性がある化学療法薬および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて含んでなる計画された治療プロトコールの使用によって炎症誘発性微小環境を増強することによって、対象における癌または腫瘍を治療するための方法を提供する。化学療法薬/免疫チェックポイント阻害剤併用療法計画中にCDK4/6阻害剤を使用することにより、CDK4/6阻害剤を使用しない場合よりも有意に改善された抗癌免疫応答および抗癌効果のプライミングおよび活性化を提供する様式で、Tリンパ球などの免疫エフェクター細胞は化学療法薬毒性から保護され、化学療法により誘導される免疫原性細胞の死滅の存在下で一時的細胞周期停止から開放されることが見出された。また、化学療法薬/免疫チェックポイント阻害剤療法計画中にCDK4/6阻害剤を使用することにより、細胞周期非依存性および依存性機構によって、腫瘍内Treg集団の選択的低減、腫瘍浸潤性リンパ球などの炎症誘発性免疫エフェクター細胞の保護、および治療奏効の持続期間の延長を含め、抗腫瘍活性が増強されることも見出された。本明細書に記載されるような化学療法薬および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせたCDK4/6阻害剤、例えば、選択的、短半減期のCDK4/6阻害剤によるCDK4/6の制御された阻害は、化学療法薬および免疫チェックポイント阻害剤だけの投与、または免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせた毎日投与される、より長期作用型のCDK4/6を含め、阻害剤CDK4/6阻害剤によるCDK4/6の連続的阻害に比べて、抗腫瘍効果に有意な増強を提供する。
【0017】
多くの化学療法薬、例えば、限定されるものではないが、タンパク質合成阻害またはDNA損傷化学療法薬は、非特異的である傾向があり、免疫エフェクター細胞を含む正常な急速分裂細胞に毒性があり、骨髄抑制などの血液毒性は、化学療法薬治療の一般的な副作用である。免疫エフェクター細胞は一般に、増殖のためにCDK4/6の活性を必要とし、すなわち、免疫エフェクター細胞はCDK4/6複製依存性である(Roberts et al. Multiple Roles of Cyclin-Dependent Kinase 4/6 Inhibitors in Cancer Therapy. JNCI 2012;104(6):476-487参照)。総ての主要な腫瘍内免疫細胞種、例えば、CD4+T細胞、CD8+T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、および骨髄由来抑制細胞(MDSC)がCDK4/6阻害に感受性である。化学療法処置中に選択的、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤を使用することにより、増殖中に化学療法薬の傷害作用に感受性のある免疫エフェクター細胞は、細胞周期のG0/G1期に一時的に停止する。これらの細胞を化学療法薬の傷害作用から保護することにより、CDK4/6阻害剤の特定時限の投与の使用は免疫機能を保護し、T細胞の活性化を増強し、免疫チェックポイント阻害剤の有効性を高めて、抗癌免疫応答を有意に改善する。
【0018】
限定されない例示的実施形態において、例5および9、
図10、11、19、20により、化学療法薬および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせたCDK4/6阻害剤の特定時限の投与は、CD4+/CD25+ Treg細胞などの抗炎症性浸潤物の腫瘍内集団を選択的に低減させつつ炎症誘発性腫瘍内免疫細胞浸潤物を選択的に保護することが確認される。このことは、CDK4/6経路の制御された阻害がTreg細胞の抑制機能の低下をもたらし、それらのT細胞増殖阻害能を変化させることを示す。ここでもまた、例示的実施形態として、例5、
図11は、特定時限のCDK4/6阻害剤/化学療法薬/免疫チェックポイント阻害剤の組合せを受容した動物では、CDK4/6阻害剤の特定時限の投与を行わずに化学療法薬および免疫チェックポイント阻害剤を受容した動物に比べて、腫瘍内Treg細胞の割合が40%低かったことを示す。よって、本明細書に記載されるように選択的、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤の特定時限の投与を組み込むと、所望でないTreg細胞を除去し、炎症誘発性免疫エフェクター細胞浸潤物を増加させる標的アプローチが提供される。
【0019】
CDK4/6阻害剤の特定時限の投与は免疫細胞増殖の有意な初期低減をもたらすが(例10参照、低減は75%を超える)、動物モデルにおいて有益なT細胞の増殖は、一般に少なくとも1.5、2、2.5または3日後までに完全に回復する。さらに、リンパ球の活性化および炎症誘発性サイトカインであるインターフェロンγの上方調節に関連する遺伝子の総発現が有意に増加する(限定されない例示的例12および13、
図25~31参照)。比較していえば、免疫抑制酸素種代謝プロセスに関連する遺伝子は下方調節され、このことは、腫瘍免疫浸潤物における一時的細胞周期停止が遺伝子発現の変調をもたらし、免疫チェックポイント阻害剤活性の増強に有利な炎症誘発性腫瘍微小環境を生じ得ることを示す(限定されない例示的例14、
図32~37参照)。
【0020】
重要なこととしては、化学療法薬および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせた選択的、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤の特定時限の投与は、治療奏効の持続期間の延長をもたらす。限定されない実例は、例11、
図23および24に示され、これにより、この実例において化学療法薬/免疫チェックポイント阻害剤併用療法にCDK4/6阻害剤が付加された場合に腫瘍モデルでより高頻度の腫瘍特異的記憶T細胞が見られ、腫瘍特異的記憶T細胞の集団がCDK4/6阻害剤を用いない化学療法薬/免疫チェックポイント阻害剤併用処置の場合の2倍となることが確認される。加えて、腫瘍進行の遅延も、CDK4/6阻害剤を用いない化学療法薬および免疫チェックポイント阻害剤の処置、または免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて毎日投与されるCDK4/6阻害剤によるCDK4/6連続的阻害に比べ、化学療法薬および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせた選択的、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤の特定時限の投与を用いた場合に有意に向上する(例7および16、
図14、15、および38参照)。
【0021】
よって、本発明の一つの側面において、本発明は、化学療法薬、および免疫チェックポイント阻害剤の治療計画と組み合わせた選択的CDK4/6阻害剤の特定時限の投与を対象に提供することを含む、癌または腫瘍を有する宿主、例えば、ヒトを治療する改善された方法を提供する。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤に投与は、化学療法薬投与の前または投与時に特定時限でなされる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化学療法薬の投与前または投与時にだけ投与される。一つの実施形態では、処置は、誘導期および維持期を含んでなる複数日治療周期を含み、ここで、誘導期は、選択的CDK4/6阻害剤、化学療法薬、およびチェックポイント阻害剤の特定時限の投与を含み、選択的CDK4/6阻害剤は、並行して、または化学療法薬投与の、例えば、約8時間未満、約7時間未満、約6、時間未満、約5時間未満、約4時間未満、約3時間未満、約2時間未満、約1時間未満、または約30分前にのみ投与され;維持期は、チェックポイント阻害剤単独の投与を含み、ここで、維持期は1以上の誘導期の後に存在する。一つの実施形態では、維持期は、1回以上の免疫チェックポイント阻害剤の投与を含む。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、選択的、即効性、短半減期の阻害剤であり、免疫エフェクター細胞の一時的保護を提供し、免疫エフェクター細胞が細胞周期に急速に戻ることを可能とし、誘導期中の化学療法効果の消滅の後に活性化および増殖を可能とする。一つの実施形態では、化学療法薬は、免疫エフェクター細胞に対して細胞傷害性または細胞増殖抑制性である薬剤、例えば、限定されるものではないが、タンパク質合成阻害剤、DNA損傷化学療法薬、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤、RNA合成阻害剤、DNA複合体結合剤、チオラートアルキル化剤、グアニンアルキル化剤、チューブリン結合剤、DNAポリメラーゼ阻害剤、抗癌酵素、RAC1阻害剤、チミジル酸シンターゼ阻害剤、オキシアゾホスホリン(oxazophosphorine)化合物、シレンジチド、カンプトテシンもしくはホモカンプトテシンなどのインテグリン阻害剤、葉酸拮抗剤もしくは葉酸代謝拮抗剤、またはそれらの組合せである。
【0022】
本発明の別の側面において、本発明は、癌または腫瘍を有する対象において腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団を増加させる方法であって、本明細書に記載されるような化学療法薬、および免疫チェックポイント阻害剤による治療コースにおける、対象、例えば、ヒトに対する、有効量の選択的CDK4/6阻害剤の特定時限の投与を含んでなる方法を提供する。一つの実施形態では、炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団は、選択的CDK4/6阻害剤の特定時限の投与を行わない腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団に比べて、最大10%、20%、30%、40%、50%またはそれを超えて増加する。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0023】
本発明の別の側面において、本発明は、癌または腫瘍を有する対象において腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中のT細胞の活性化を増強する方法であって、対象に有効量の本明細書に記載されるような選択的CDK4/6阻害剤、化学療法薬、および免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなる方法を提供する。一つの実施形態では、活性化T細胞は、CD4+T細胞である。一つの実施形態では、活性化T細胞は、CD8+T細胞である。一つの実施形態では、活性化T細胞は、インターフェロンγを産生する。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の活性化T細胞のパーセントは、約5%、10%、15%、20%であるかまたはそれを超える。一つの実施形態では、インターフェロンγの産生は、INFG遺伝子の上方調節のために増加する。一つの実施形態では、インターフェロンγの産生は、IL2遺伝子の上方調節のために増加する。一つの実施形態では、インターフェロンγの産生は、IL18遺伝子の上方調節のために増加する。一つの実施形態では、インターフェロンγの産生は、LTA遺伝子の上方調節にために増加する。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0024】
本発明の一つの側面において、癌に罹患している対象において腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の制御性T細胞(Treg)集団を低減する方法であって、対象に有効量の本明細書に記載されるようなCDK4/6阻害剤、化学療法薬、および免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなる方法が本明細書において提供される。一つの実施形態では、Tregは、CD4+CD25+Tregである。一つの実施形態では、腫瘍内細胞浸潤物集団中の制御性T細胞集団は、本明細書に記載されるような治療計画においてCDK4/6阻害剤、化学療法薬、および免疫チェックポイント阻害剤を受容していない対象からの腫瘍内細胞浸潤物集団に比べて、約10%、20%、30%、40%またはそれを超えて低減される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0025】
本発明の一つの側面において、本発明は、癌または腫瘍を有する対象において腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の制御性T細胞の免疫抑制機能を阻害する方法であって、対象に有効量の本明細書に記載されるような選択的CDK4/6阻害剤、化学療法薬、および免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなる方法を提供する。一つの実施形態では、Tregは、CD4+CD25+Tregである。一つの実施形態では、制御性T細胞の免疫抑制機能の低下は、Phospho-Rbの減少によって測定される。一つの実施形態では、制御性T細胞のPhospho-Rbのレベルは、非処置制御性T細胞に比べて少なくともおよそ5%、10%、15%、20%またはそれを超えて低減される。一つの実施形態では、制御性T細胞の免疫抑制機能の低下は、本明細書に記載されるような治療計画において特定時限の、選択的CDK4/6阻害剤、化学療法薬、および免疫チェックポイント阻害剤を受容していない対象からの腫瘍内細胞浸潤物集団に比べて、例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%またはそれを超えるCD8+T細胞の増殖増加をもたらす。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0026】
本発明の一つの側面において、本発明は、癌または腫瘍を有する対象において腫瘍特異的記憶T細胞の生成を増大させる方法であって、対象に有効量の特定時限の本明細書に記載されるような選択的CDK4/6阻害剤、化学療法薬、および免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなる方法を提供する。一つの実施形態では、対象の脾臓に見られる腫瘍特異的記憶T細胞のパーセンテージは、全T細胞集団に対して少なくともおよそ0.25%、0.5%、0.75%、1%またはそれを超えて増加する。一つの実施形態では、対象の血中に見られる腫瘍特異的記憶T細胞のパーセンテージは、全T細胞集団に対して少なくともおよそ0.5%、1%、1.5%またはそれを超えて増加する。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0027】
本発明の一つの側面において、本発明は、癌または腫瘍を有する対象において腫瘍内免疫細胞を化学療法から保護する方法であって、対象に有効量の特定時限の本明細書に記載されるような選択的CDK4/6阻害剤、化学療法薬、および免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなる方法を提供する。化学療法の毒性からの腫瘍内免疫細胞の保護は、抗腫瘍免疫応答の増強をもたらす。一つの実施形態では、保護される腫瘍内免疫細胞は、CD8+T細胞、CD4+T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球系骨髄由来抑制性細胞(mMDSC)、および顆粒球系骨髄由来抑制性細胞(gMDSC)から選択される。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖パーセントは、脾臓に見られる免疫細胞の増殖よりも少なくともおよそ5%、10%、15%、20%、25%、または30%高い。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0028】
この治療計画に使用されるCDK4/6阻害剤は、所望の目的を達成する任意の選択的CDK4/6阻害剤、例えば、限定されるものではないが、トリラシクリブ(G1 Therapeutics,Ic.)、リボシクリブ(Novartis)、パルボシクリブ(Pfizer)、またはアベマシクリブ(Eli Lily)であり得る。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、選択的、即効性、短半減期、維持的CDK4/6阻害剤、例えば、本明細書に記載されるような化合物I(トリラシクリブ)、II、III、もしくはIV、またはその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類似体、もしくはプロドラッグから選択される。
【化1】
【0029】
一つの実施形態では、選択的、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤は、化合物I(トリラシクリブ)、またはその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類似体、もしくはプロドラッグである。
【0030】
本明細書で提供されるように、選択的CDK4/6阻害剤は、化学療法薬および免疫チェックポイント阻害剤を用いる特定時限の治療計画で投与される。化学療法薬は、癌、腫瘍、または異常な細胞増殖を治療するために効果的または有用な任意の化学療法薬であり得る。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、免疫エフェクター細胞が化学療法薬の治療域で停止して、免疫エフェクター細胞に対する化学療法薬の毒性作用を軽減または除去するように、化学療法薬の投与前にまたは投与と並行して投与される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、対象に化学療法薬による処置前約24時間、約20時間、約16時間、約12時間、約8時間、約4時間、約2.5時間、約2時間、約1時間未満、約1/2時間以内に投与される。特定の実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、化学療法薬の投与の約1/2時間以前に投与される。一般に、選択的CDK4/6阻害剤は、対象に、CDK4/6阻害剤が化学療法薬による処置前または処置中に最高血清濃度に到達し、免疫エフェクター細胞の増殖の阻害を可能とし、従って、それらを化学療法の有害な作用から保護するように、化学療法薬による処置前に投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化学療法薬暴露と並行して、またはそれと近接して投与される。あるいは、本明細書に記載のCDK4/6阻害剤は、化学療法薬暴露に関連する免疫エフェクター細胞の損傷を緩和することが所望されれば、化学療法薬暴露の後に投与することができる。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0031】
本明細書で企図されるように、本明細書に記載されるような選択的、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤の特定時限の投与は、いずれの化学療法薬/免疫チェックポイント阻害剤併用療法プロトコールに投与することもできる。例えば、選択的、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤は、CDK4/6複製依存性HSPCおよび免疫エフェクター細胞が化学療法薬暴露中にG1期で停止されるように投与することができ、この場合、本明細書に記載の選択的、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤のG1停止効果の急速な消失のために、有意な数の免疫エフェクター細胞が細胞周期に戻り、化学療法薬暴露のしばらく後に化学療法薬により誘導される癌細胞の死滅および腫瘍抗原暴露が最高になった際に複製および活性化可能となる。特定の実施形態では、選択的、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤は、化学療法薬の投与前にまたは投与と並行して投与され、ここで、化学療法薬は、例えば、21日毎の1~3日目;28日毎の1~3日目;3週間毎の1日目;28日毎の1日目、8日目、および15日目、28日毎の1日目および8日目;21日毎の1日目および8日目;21日毎の1~5日目;6~8週間、毎週1日目;1日目、22日目、および43日目;毎週1日目および2日目;1~4日目および22~25日目;1~4日目;22~25日目、および43~46日目に;ならびに類似の種類の化学療法薬計画で投与される。一つの実施形態では、選択的、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤は、化学療法薬治療計画において化学療法薬の少なくとも1回の投与の前にまたは投与と並行して投与される。一つの実施形態では、選択的、即効性、短半減期のCDK4/6は、化学療法薬治療計画において化学療法薬の1回以上の投与の前にまたは投与と並行して投与される。一つの実施形態では、選択的、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤は、化学療法薬治療計画において化学療法薬の各投与前にまたは各投与と並行して投与される。
【0032】
本発明は、免疫チェックポイント阻害剤の投与を含む。免疫チェックポイント阻害剤は当技術分野で公知であり、例えば、限定されるものではないが、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、およびCTLA-4阻害剤、ならびに本明細書に記載されるようなその他のものを含み、ここで、阻害剤は、小分子、抗体、その他のタンパク質、または生物性製剤であり得る。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CDK4/6阻害剤および化学療法薬の投与と並行して投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CDK4/6阻害剤および化学療法薬の投与と並行して投与され、次に、その後は免疫チェックポイント阻害剤の効果を維持するために、一定の間隔で、例えば、週1回、週2回、週3回またはそれを超えて投与される。他の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、所定の治療周期、例えば、21日周期の1日目、21日周期の1日目、8日目、および15日目などに従って投与するとができる。
【0033】
本発明の一つの側面では、対象において癌を治療する方法であって、対象にCDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせた化学療法薬の投与を含む投与計画を投与することを含んでなる方法を提供する。CDK4/6阻害剤は、化学療法薬の投与の前にまたは投与と並行して特定時限様式で投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、化学療法薬の各投与の前にまたは各投与と並行して投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、化学療法薬およびCDK4/6阻害剤の少なくとも1回の投与の前にまたは投与と並行して投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、化学療法薬の各投与の前にまたは各投与と並行して投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は対象に、初期誘導期において化学療法薬およびCDK4/6阻害剤と組み合わせて1回以上投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は対象に、誘導期において化学療法薬およびCDK4/6阻害剤と組み合わせて1回以上、維持期において単独で、例えば、化学療法薬およびCDK4/6阻害剤の並行投与を行わずに、1回以上投与される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0034】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、例えば21日周期などの標準的化学療法薬プロトコールにおいて、化学療法薬の各投与の間にまたは投与と並行して投与され、チェックポイント阻害剤は1日目に投与される。標準的化学療法薬プロトコールの休止の後、免疫チェックポイント阻害剤は単独で維持量でさらに投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16週間、またはそれより長期間、週に1回、2回、3回またはそれより多くさらに投与される。一つの実施形態では、チェックポイント阻害剤は21日毎に1回投与される。一つの実施形態では、誘導期および維持期の両方が少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回またはそれより多く反復される。一つの実施形態では、誘導期は少なくとも4回反復され、維持期は4回以上、例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12回またはそれより多くの回数が反復される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0035】
本明細書で企図されるように、本明細書に記載されるような特定時限のCDK4/6阻害剤、例えば、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤は、化学療法薬および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤、PD-1阻害剤、またはCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、化学療法薬の投与と並行して投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CDK4/6阻害剤および化学療法薬の投与に続いて投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、化学療法薬周期において1回、2回、3回、またはそれより多く投与される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0036】
また、本明細書では、PD-L1阻害剤、PD-1阻害剤、またはCTLA-4阻害剤などの免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせたCDK4/6阻害剤の特定時限の投与も企図され、ここで、CDK4/6阻害剤/免疫チェックポイント阻害剤の組合せは、CDK4/6阻害剤/化学療法薬/免疫チェックポイント阻害剤治療計画の終了後に免疫エフェクター細胞応答を維持するために投与される。例えば、CDK4/6阻害剤/化学療法薬/免疫チェックポイント阻害剤治療計画(すなわち、誘導期)の完了後に、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせたCDK4/6阻害剤を、免疫エフェクター細胞応答の維持のために(すなわち、維持期)周期的間隔で対象に投与することができる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤/免疫チェックポイント阻害剤の組合せの維持計画が、元の治療計画の休止後に少なくとも1回以上投与される。一つの実施形態では、維持計画は、週1回、月2回、月1回、6週間に1回、または必要に応じて随時投与される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0037】
特定の側面では、CDK4/6阻害剤/化学療法薬/免疫チェックポイント阻害剤治療計画(すなわち、誘導期)の完了後に、免疫チェックポイント阻害剤単独を、免疫エフェクター細胞応答の維持のために(すなわち、維持期)周期的間隔で対象に投与することができる。
【0038】
本明細書で企図されるように、対象は、任意の種類の癌、腫瘍、または異常な細胞増殖を有し得る。一つの実施形態では、対象は、CDK4/6複製非依存性癌を有する。CDK4/6複製非依存性癌は、限定されるものではないが、小細胞肺癌、トリプルネガティブ乳癌、HPV陽性頭頸部癌、網膜芽細胞腫、Rb陰性膀胱癌、Rb陰性前立腺癌、骨肉腫、または子宮頸癌の一つであり得る。一つの実施形態では、対象は、小細胞肺癌を有する。
【0039】
一つの実施形態では、対象は、CDK4/6複製依存性癌を有する。CDK4/6複製依存性癌は、限定されるものではないが、非小細胞肺癌、Rb陽性乳癌、結腸癌、卵巣癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、および膠芽腫の一つであり得る。一つの実施形態では、CDK4/6複製依存性癌は、Rb陽性乳癌である。一つの実施形態では、CDK4/6複製依存性癌は、非小細胞肺癌である。
【0040】
一つの実施形態では、対象は、PD-L1を発現する癌を有する。一つの実施形態では、PD-L1発現癌は、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膀胱癌、腎細胞癌、胃癌、頭頸部癌、中皮腫、メルケル細胞癌、卵巣癌、黒色腫、またはその他の固形腫瘍から選択される。
【0041】
一つの実施形態では、対象は、膀胱癌、胃食道癌、軟組織肉腫、胆管/胆嚢癌、卵巣癌、または子宮頸癌を有する。
【0042】
一つの実施形態では、対象は、小細胞肺癌を有し、カルボプラチン、シスプラチン、エトポシド、およびトポテカンからなる群から選択される化学療法薬、またはそれらの組合せが、CDK4/6阻害剤およびまた免疫チェックポイント阻害剤の特定時限の投与と組み合わせて投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤、PD-1阻害剤、またはCTLA-4阻害剤から選択される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、エトポシドである。一つの実施形態では、化学療法薬は、カルボプラチンである。一つの実施形態では、化学療法薬は、カルボプラチンおよびエトポシドを含んでなる併用治療計画である。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチンである。一つの実施形態では、化学療法薬は、トポテカンである。
【0043】
一つの実施形態では、対象は黒色腫を有し、ダカルバジン、テモゾロミド、nab-パクリタキセル、パクリタキセル、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、ビンブラスチンからなる群から選択される化学療法薬、またはそれらの組合せが、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤、PD-1阻害剤、またはCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、ダカルバジンである。一つの実施形態では、化学療法薬は、テモゾロミドである。一つの実施形態では、化学療法薬は、nab-パクリタキセルである。一つの実施形態では、化学療法薬は、パクリタキセルである。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチンである。一つの実施形態では、化学療法薬は、カルボプラチンである。一つの実施形態では、化学療法薬は、ビンブラスチンである。一つの実施形態では、化学療法薬は、白金薬である。
【0044】
一つの実施形態では、対象は腎細胞癌を有し、ビンブラスチン、フロクスウリジン、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン、およびゲムシタビンからなる群から選択される化学療法薬、またはそれらの組合せが、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤、PD-1阻害剤、およびCTLA-4阻害剤から選択される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、ビンブラスチンである。一つの実施形態では、化学療法薬は、フロクスウリジンである。一つの実施形態では、化学療法薬は、5-フルオロウラシルである。一つの実施形態では、化学療法薬は、カペシタビンである。一つの実施形態では、化学療法薬は、ゲムシタビンである。
【0045】
一つの実施形態では、対象は膀胱癌を有し、カルボプラチン、オキサリプラチン、シスプラチン、フルオロウラシル、マイトマイシン、メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、パクリタキセルからなる群から選択される化学療法薬、またはそれらの組合せが、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1、PD-1阻害剤、およびCTLA-4阻害剤から選択される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチンである。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチンおよび5-フルオロウラシルを含んでなる併用治療計画である。一つの実施形態では、化学療法薬は、マイトマイシンおよび5-フルオロウラシルを含んでなる併用治療計画である。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチンおよびゲムシタビンを含んでなる併用治療計画である。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチン、メトトレキサート、ビンブラスチンおよびドキソルビシンを含んでなる併用治療計画である。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチン、メトトレキサート、およびビンブラスチンを含んでなる併用治療計画である。一つの実施形態では、化学療法薬は、カルボプラチンおよびパクリタキセルを含んでなる併用治療計画である。一つの実施形態では、化学療法薬は、オキサリプラチンである。
【0046】
一つの実施形態では、対象は尿路上皮癌を有し、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、フルオロウラシル、マイトマイシン、メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、パクリタキセルからなる群から選択される化学療法薬、またはそれらの組合せが、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤、PD-1阻害剤、またはCTLA-4阻害剤から選択される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチンである。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチンおよび5-フルオロウラシルを含んでなる併用治療計画である。一つの実施形態では、化学療法薬は、マイトマイシンおよび5-フルオロウラシルを含んでなる併用治療計画である。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチンおよびゲムシタビンを含んでなる併用治療計画である。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチン、メトトレキサート、ビンブラスチンおよびドキソルビシンを含んでなる併用治療計画である。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチン、メトトレキサート、およびビンブラスチンを含んでなる併用治療計画である。一つの実施形態では、化学療法薬は、カルボプラチンおよびパクリタキセルを含んでなる併用治療計画である。一つの実施形態では、化学療法薬は、オキサリプラチンである。
【0047】
一つの実施形態では、対象は乳癌を有し、カルボプラチン、オキサリプラチン、シスプラチン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、パクリタキセル、シクロホスファミド、ゲムシタビンからなる群から選択される化学療法薬またはそれらの組合せが、CDK4/6阻害剤およびチェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤、PD-1阻害剤、またはCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、カルボプラチンである。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチンである。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチンおよび5-フルオロウラシルを含んでなる併用治療計画である。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチンおよびゲムシタビンを含んでなる併用治療計画である。一つの実施形態では、化学療法薬は、ドキソルビシンである。一つの実施形態では、化学療法薬は、シクロホスファミドである。一つの実施形態では、化学療法薬は、パクリタキセルである。一つの実施形態では、化学療法薬は、オキサリプラチンである。
【0048】
一つの実施形態では、対象は大腸癌を有し、5-フルオロウラシル、カペシタビン、イリノテカン、オキサリプラチン、トリフルリジン、およびチピラシルからなる群から選択される化学療法薬、またはそれらの組合せが、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤、PD-1阻害剤、またはCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、5-フルオロウラシルである。一つの実施形態では、化学療法薬は、カペシタビンである。一つの実施形態では、化学療法薬は、トリフルリジンおよびチピラシルを含んでなる併用治療計画である。一つの実施形態では、化学療法薬は、イリノテカンである。一つの実施形態では、化学療法薬は、オキサリプラチンである。
【0049】
一つの実施形態では、対象は去勢抵抗性前立腺癌を有し、ドセタキセル、カバジタキセル、ミトキサントロン、およびエストラムスチンからなる群から選択される化学療法薬、またはそれらの組合せが、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤、PD-1阻害剤、またはCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、ドセタキセルである。一つの実施形態では、化学療法薬は、カバジタキセルである。一つの実施形態では、化学療法薬は、ミトキサントロンである。一つの実施形態では、化学療法薬は、エストラムスチンである。
【0050】
一つの実施形態では、対象はPD-L1発現腫瘍を有し、カルボプラチン、シスプラチン、ゲムシタビン、エトポシド、5-フルオロウラシル、パクリタキセル、オキサリプラチン、およびトポテカンからなる群から選択される化学療法薬、またはそれらの組合せが、化合物Iおよびアテゾリズマブと組み合わせて投与される。一つの実施形態では、化学療法薬は、エトポシドである。一つの実施形態では、化学療法薬は、カルボプラチンである。一つの実施形態では、化学療法薬は、カルボプラチンおよびエトポシドを含んでなる併用治療計画である。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチンである。一つの実施形態では、化学療法薬は、トポテカンである。一つの実施形態では、化学療法薬は、オキサリプラチンである。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチンおよび5-フルオロウラシルを含んでなる併用治療計画である。一つの実施形態では、化学療法薬は、ドキソルビシンである。
【0051】
本発明の一つの側面では、癌を有する対象を治療する方法であって、前記対象に、誘導期および維持期を含んでなる治療計画により投与することを含んでなり、前記誘導期は、前記対象に有効量の選択的CDK4/6阻害剤を投与すること、前記対象に有効量の化学療法薬を投与すること、および前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり;前記CDK4/6阻害剤は、化学療法薬の投与前にまたは投与と並行して投与され;かつ、前記化学療法薬は、免疫エフェクター細胞に対して細胞傷害性があり;かつ、前記維持期は、前記対象に少なくとも1用量の有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり、前記維持期は前記誘導期の休止後に投与される方法が提供される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0052】
一つの実施形態では、小細胞肺癌を有する対象を治療する方法であって、前記対象に21日の誘導期および21日の維持期を含んでなる治療計画により投与することを含んでなり、前記誘導期は、21日周期の1日目に前記対象に有効量のカルボプラチンを投与すること;21日周期の1日目、2日目、および3日目に前記対象に有効量のエトポシドを投与すること;21日周期の1日目、2日目、および3日目に前記対象に有効量の選択的CDK4/6阻害剤を投与すること;および21日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり;かつ、前記維持期は、21日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり、前記維持期は、前記誘導期の休止後に投与される方法が提供される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0053】
一つの実施形態では、小細胞肺癌を有する対象を治療する方法であって、前記対象に21日の誘導期および21日の維持期を含んでなる治療計画により投与することを含んでなり、前記誘導期は、21日周期の2日目に前記対象に有効量のカルボプラチンを投与すること;21日周期の2日目、3日目、および4日目に前記対象に有効量のエトポシドを投与すること;21日周期の1~4日目に前記対象に有効量の選択的CDK4/6阻害剤を投与すること;および21日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり;かつ、前記維持期は、21日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり、前記維持期は、前記誘導期の休止後に投与される方法が提供される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0054】
一つの実施形態では、小細胞肺癌を有する対象を治療する方法であって、前記対象に21日の誘導期および21日の維持期を含んでなる治療計画により投与することを含んでなり、前記誘導期は、21日周期の1~5日目に前記対象に有効量のトポテカンを投与すること;21日周期の1~5日目に前記対象に有効量の選択的CDK4/6阻害剤を投与すること;および21日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり;かつ、前記維持期は、21日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり、前記維持期は誘導期の休止後に投与される方法が提供される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0055】
一つの実施形態では、小細胞肺癌を有する対象を治療する方法であって、前記対象に21日の誘導期および21日の維持期を含んでなる治療計画により投与することを含んでなり、前記誘導期は、21日周期の2~6日目に前記対象に有効量のトポテカンを投与すること;21日周期の1~6日目に前記対象に有効量のCDK4/6阻害剤を投与すること;および21日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり;かつ、前記維持期は、21日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり、前記維持期は誘導期の休止後に投与される方法が提供される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。
【0056】
一つの実施形態では、病期IVトリプルネガティブ乳癌を有する対象を治療する方法であって、前記対象に21日の誘導期および21日の維持期を含んでなる治療計画により投与することを含んでなり、前記誘導期は、21日周期の1日目および8日目に前記対象に有効量のカルボプラチンを投与すること;21日周期の1日目および8日目に前記対象に有効量のゲムシタビンを投与すること;ならびに21日周期の1日目および8日目に前記対象に有効量の選択的CDK4/6阻害剤を投与することを含んでなり;および前記維持期は、21日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり、前記維持期は誘導期の休止後に投与される方法が提供される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0057】
一つの実施形態では、病期IVトリプルネガティブ乳癌を有する対象を治療する方法であって、前記対象に21日の誘導期および21日の維持期を含んでなる治療計画により投与することを含んでなり、前記誘導期は、21日周期の2日目および9日目に前記対象に有効量のカルボプラチンを投与すること;21日周期の2日目および9日目に前記対象に有効量のゲムシタビンを投与すること;ならびに21日周期の1日目、2日目、8日目および9日目に前記対象に有効量のCDK4/6阻害剤を投与することを含んでなり;かつ、前記維持期は、21日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり、前記維持期は誘導期の休止後に投与される方法が提供される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0058】
一つの実施形態では、小細胞肺癌を有する対象を治療する方法であって、前記対象に21日の誘導期および21日の維持期を含んでなる治療計画により投与することを含んでなり、前記誘導期は4回まで反復してよく、前記誘導期は、各21日周期の1日目に前記対象に有効量のカルボプラチンを投与すること;各21日周期の1日目、2日目、および3日目に前記対象に有効量のエトポシドを投与すること;各21日周期の1日目にアテゾリズマブを投与すること;ならびに各21日周期の1日目、2日目、および3日目にCDK4/6阻害剤を投与することを含んでなり;かつ、前記維持期は、21日周期の1日目にアテゾリズマブを投与することを含んでなり、前記維持期は最終誘導期の休止後に投与される方法が提供される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0059】
一つの実施形態では、小細胞肺癌を有する対象を治療する方法であって、前記対象に21日の誘導期および21日の維持期を含んでなる治療計画により投与することを含んでなり、前記誘導期は4回まで反復してよく、前記誘導期は、各21日周期の2日目に前記対象に有効量のカルボプラチンを投与すること;各21日周期の2日目、3日目、および4日目に前記対象に有効量のエトポシドを投与すること;各21日周期の1日目にアテゾリズマブを投与すること;および各21日周期の1~4日目にCDK4/6阻害剤を投与することを含んでなり;かつ、前記維持期は、21日周期の1日目にアテゾリズマブを投与することを含んでなり、前記維持期は最終誘導期の休止後に投与される方法が提供される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0060】
一つの実施形態では、進行または転移性非扁平上皮小細胞肺癌を有する対象を治療する方法であって、前記対象に21日の誘導期および21日の維持期を含んでなる治療計画により投与することを含んでなり、前記誘導期は4回まで反復してよく、前記誘導期は、各21日周期の1日目に前記対象に有効量のカルボプラチンを投与すること;各21日周期の1日目に前記対象に有効量のペメトレキセドを投与すること;各21日周期の1日目に前記対象に有効量のペンブロリズマブを投与すること;および各21日周期の1日目に前記対象に有効量のCDK4/6阻害剤を投与することを含んでなり;かつ、前記維持期は、各21日周期の1日目に前記対象に有効量のペンブロリズマブを投与することを含んでなり、前記維持期は最終誘導期の休止後に投与される方法が提供される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0061】
一つの実施形態では、標的化可能なEGFRまたはALK遺伝子異常を持たない病期IIIBまたは病期IV非扁平上皮小細胞肺癌を有する対象を治療する方法であって、前記対象に21日の誘導期および21日の維持期を含んでなる治療計画により投与することを含んでなり、前記誘導期は4回まで反復してよく、前記誘導期は、各21日周期の2日目に前記対象に有効量のカルボプラチンを投与すること;各21日周期の2日目に前記対象に有効量のペメトレキセドを投与すること;各21日周期の1日目に前記対象に有効量のペンブロリズマブを投与すること;ならびに各21日周期の1日目および2日目に前記対象に有効量のCDK4/6阻害剤を投与することを含んでなり;かつ、前記維持期は、各21日周期の1日目に前記対象に有効量のペンブロリズマブを投与することを含んでなり、前記維持期は最終誘導期の休止後に投与される方法が提供される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0062】
一つの実施形態では、転移性再発または難治性大腸癌を有する対象を治療する方法であって、前記対象に21日の誘導期および21日の維持期を含んでなる治療計画により投与することを含んでなり、前記誘導期は、21日周期の1日目に前記対象に有効量のイリノテカンを投与すること;21日周期の1日目に前記対象に有効量のCDK4/6阻害剤を投与すること;および21日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり;かつ、前記維持期は、21日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり、前記維持期は誘導期の休止後に投与される方法が提供される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0063】
一つの実施形態では、転移性再発または難治性大腸癌を有する対象を治療する方法であって、前記対象に21日の誘導期および21日の維持期を含んでなる治療計画により投与することを含んでなり、前記誘導期は、21日周期の2日目に前記対象に有効量のイリノテカンを投与すること;21日周期の1日目および2日目に前記対象に有効量のCDK4/6阻害剤を投与すること;および21日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり;かつ、前記維持期は、21日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり、前記維持期は誘導期の休止後に投与される方法が提供される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0064】
一つの実施形態では、転移性再発または難治性大腸癌を有する対象を治療する方法であって、前記対象に6週間の誘導期および6週間の維持期を含んでなる治療計画により投与することを含んでなり、前記誘導期は、6週周期の1日目、8日目、15日目、および22日目に前記対象に有効量のイリノテカンを投与すること;6週周期の1日目、8日目、15日目および22日目に前記対象に有効量のCDK4/6阻害剤を投与すること;ならびに6週周期の1日目および22日目に免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり、かつ、前記維持期は、6週周期の1日目および22日目に有効量のチェックポイントを投与することを含んでなり、前記維持期は誘導期の休止後に投与される方法が提供される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0065】
一つの実施形態では、転移性再発または難治性大腸癌を有する対象を治療する方法であって、前記対象に6週間の誘導期および6週間の維持期を含んでなる治療計画により投与することを含んでなり、前記誘導期は、6週周期の2日目、9日目、16日目、および23日目に前記対象に有効量のイリノテカンを投与すること;6週周期の1日目、2日目、8日目、9日目、15日目、16日目、22日目および23日目に前記対象に有効量のCDK4/6阻害剤を投与すること;ならびに6週周期の1日目および22日目に免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり、かつ、前記維持期は、6週周期の1日目および22日目に有効量のチェックポイントを投与することを含んでなり、前記維持期は誘導期の休止後に投与される方法が提供される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0066】
一つの実施形態では、再発性白金感受性卵巣癌を有する対象を治療する方法であって、前記対象に21日の誘導期および21日の維持期を含んでなる治療計画により投与することを含んでなり、前記誘導期は6回まで反復してよく、前記誘導期は、各21日周期の1日目に前記対象に有効量のカルボプラチンを投与すること;各21日周期の1日目に前記対象に有効量のドセタキセルを投与すること;各21日周期の1日目に前記対象に有効量のCDK4/6阻害剤を投与すること;および各21日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり;かつ、前記維持期は、21日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり、前記維持期は最終誘導期の休止後に投与される方法が提供される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0067】
一つの実施形態では、再発性白金感受性卵巣癌を有する対象を治療する方法であって、前記対象に21日の誘導期および21日の維持期を含んでなる治療計画により投与することを含んでなり、前記誘導期は6回まで反復してよく、前記誘導期は、各21日周期の2日目に前記対象に有効量のカルボプラチンを投与すること;各21日周期の2日目に前記対象に有効量のドセタキセルを投与すること;各21日周期の1日目および2日目に前記対象に有効量のCDK4/6阻害剤を投与すること;および各21日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり;かつ、前記維持期は、21日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり、前記維持期は最終誘導期の休止後に投与される方法が提供される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0068】
一つの実施形態では、転移性膵臓癌を有する対象を治療する方法であって、前記対象に14日の誘導期および14日の維持期を含んでなる治療計画により投与することを含んでなり、前記誘導期は、14日周期の1日目および2日目に前記対象に有効量の5-FUとロイコボリンの組合せを投与すること;14日周期の1日目に前記対象に有効量のオキサリプラチンを投与すること;14日周期の1日目に前記対象に有効量のイリノテカンを投与すること;14日周期の1日目および2日目に前記対象に有効量のCDK4/6阻害剤を投与すること;および14日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり;かつ、前記維持期は、14日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり、前記維持期は誘導期の休止後に投与される方法が提供される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0069】
一つの実施形態では、転移性膵臓癌を有する対象を治療する方法であって、前記対象に14日の誘導期および14日の維持期を含んでなる治療計画により投与することを含んでなり、前記誘導期は、14日周期の2日目および3日目に前記対象に有効量の5-FUとロイコボリンの組合せを投与すること;14日周期の2日目に前記対象に有効量のオキサリプラチンを投与すること;14日周期の2日目に前記対象に有効量のイリノテカンを投与すること;14日周期の1~3日目に前記対象に有効量のCDK4/6阻害剤を投与すること;および14日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり;かつ、前記維持期は、14日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり、前記維持期は誘導期の休止後に投与される方法が提供される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0070】
一つの実施形態では、転移性膵臓癌を有する対象を治療する方法であって、前記対象に28日の誘導期および28日の維持期を含んでなる治療計画により投与することを含んでなり、前記誘導期は、28日周期の1日目、8日目、および15日目に前記対象に有効量のゲムシタビンを投与すること;28日周期の1日目、8日目、および15日目に前記対象に有効量のアブラキサンを投与すること;28日周期の1日目、8日目、および15日目に前記対象に有効量のCDK4/6阻害剤を投与すること;および28日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり;かつ、前記維持期は、28日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり、前記維持期は誘導期の休止後に投与される方法が提供される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0071】
一つの実施形態では、転移性膵臓癌を有する対象を治療する方法であって、前記対象に28日の誘導期および28日の維持期を含んでなる治療計画により投与することを含んでなり、前記誘導期は、28日周期の2日目、9日目、および16日目に前記対象に有効量のゲムシタビンを投与すること;28日周期の2日目、9日目、および16日目に前記対象に有効量のアブラキサンを投与すること;28日周期の1日目、2日目、8日目、9日目、15日目および16日目に前記対象に有効量のCDK4/6阻害剤を投与すること;および28日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり;かつ、前記維持期は、28日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり、前記維持期は誘導期の休止後に投与される方法が提供される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0072】
一つの実施形態では、軟組織肉腫を有する対象を治療する方法であって、前記対象に21日の誘導期および21日の維持期を含んでなる治療計画により投与することを含んでなり、前記誘導期は、21日周期の1日目に前記対象に有効量のドキソルビシンを投与すること;21日周期の1~4日目に前記対象に有効量のイフォスファミドを投与すること;21日周期の1~4日目に前記対象に有効量のCDK4/6阻害剤を投与すること;および21日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり;かつ、前記維持期は、21日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり、前記維持期は誘導期の休止後に投与される方法が提供される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。
【0073】
一つの実施形態では、軟組織肉腫を有する対象を治療する方法であって、前記対象に21日の誘導期および21日の維持期を含んでなる治療計画により投与することを含んでなり、前記誘導期は、21日周期の2日目に前記対象に有効量のドキソルビシンを投与すること;21日周期の2~5日目に前記対象に有効量のイフォスファミドを投与すること;21日周期の1~5日目に前記対象に有効量のCDK4/6阻害剤を投与すること;および21日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり;かつ、前記維持期は、21日周期の1日目に前記対象に有効量の免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含んでなり、前記維持期は誘導期の休止後に投与される方法が提供される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。
【0074】
一つの実施形態では、本明細書に記載されるように投与される選択的、即効性、短半減期CDK4/6阻害剤は、単一の投与形において免疫チェックポイント阻害剤と合わされる。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。
【0075】
一つの実施形態では、選択的、即効性、短半減期CDK4/6阻害剤は、単一の投与形においてCTLA-4阻害剤と合わされる。一つの実施形態では、CTLA-4阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))である。
【0076】
一つの実施形態では、選択的、即効性、短半減期CDK4/6阻害剤は、単一の投与形においてPD-1阻害剤と合わされる。一つの実施形態では、PD-1阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))である。一つの実施形態では、PD-1阻害剤は、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))である。
【0077】
一つの実施形態では、対象または宿主は、ヒトを含む哺乳動物である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【
図1】
図1は、同系MC38マウス腫瘍モデルにおける、(1)ビヒクル、(2)化合物I(100mg/kg)、(3)オキサリプラチン、(4)抗マウスPD-L1、(5)化合物I+オキサリプラチン、(6)オキサリプラチン(1日目、8日目、および15日目に投与)および抗マウスPD-L1(1日目、4日目、8日目、および11日目に投与)、ならびに(7)化合物I+オキサリプラチン(1日目、8日目、15日目に投与)+抗マウスPD-L1(1日目、4日目、8日目、および11日目に投与)による処置後100日にわたる腫瘍成長率を表す。x軸は日数を尺度とする試験の長さを表し、y軸はmm
3を尺度とする腫瘍体積を表す。
【
図2】
図2は、同系MC38マウス腫瘍モデルにおける(1)ビヒクル、(2)化合物I(100mg/kg)、(3)オキサリプラチン、(4)抗マウスPD-L1、(5)化合物I+オキサリプラチン、(6)オキサリプラチン(1日目、8日目、および15日目に投与)および抗マウスPD-L1(1日目、4日目、8日目、および11日目に投与)、ならびに(7)化合物I+オキサリプラチン(1日目、8日目、15日目に投与)+抗マウスPD-L1(1日目、4日目、8日目、および11日目に投与)による処置後100日にわたる全生存率を表す。x軸は日数を尺度とする試験の長さを表し、y軸は生存率パーセントを表す。
【
図3】
図3は、例2および例3に記載されるような異種移植試験に関する投与スケジュールを表す。マウスに、化合物Iとともにまたは伴わずに化学療法/チェックポイント阻害剤の投与スケジュールのうち一つを施した。具体的には、チェックポイント阻害剤は、化学療法処置中のみ(I)、化学療法処置後のみ(M)または化学療法処置中と処置後(IM)に完全奏功もしくは動物の死亡まで与えた。試験コホートにおいて、化合物Iは化学療法処置の30分前に与えた。
【
図4】
図4は、例2に記載されるように、同系MC38マウス腫瘍モデルにおける、(1)ビヒクル、(2)(IM)投与スケジュール中のオキサリプラチン+マウス抗PD-LI、(3)(IM)投与スケジュール中の化合物I+オキサリプラチン+マウス抗PD-LI、(4)(M)投与スケジュール中のオキサリプラチン+マウス抗PD-LI、(5)(M)投与スケジュール中の化合物I+オキサリプラチン+マウス抗PD-LI、(6)(I)投与スケジュール中のオキサリプラチン+マウス抗PD-LI、および(7)(I)投与スケジュール中の化合物I+オキサリプラチン+マウス抗PD-LIによる処置後100日にわたる腫瘍成長率を表す。x軸は日数を尺度とする試験の長さを表し、y軸はmm
3を尺度とする腫瘍体積を表す。
【
図5】
図5は、例2に記載されるように、同系MC38マウス腫瘍モデルにおける、(1)ビヒクル、(2)(IM)投与スケジュール中のオキサリプラチン+マウス抗PD-LI、(3)(IM)投与スケジュール中の化合物I+オキサリプラチン+マウス抗PD-LI、(4)(M)投与スケジュール中のオキサリプラチン+マウス抗PD-LI、(5)(M)投与スケジュール中の化合物I+オキサリプラチン+マウス抗PD-LI、(6)(I)投与スケジュール中のオキサリプラチン+マウス抗PD-LI、および(7)(I)投与スケジュール中の化合物I+オキサリプラチン+マウス抗PD-LIによる処置後100日にわたる全生存率を表す。x軸は日数を尺度とする試験の長さを表し、y軸は生存率パーセントを表す。
*は、p≦0.05に相当する。
【
図6】
図6は、例3に記載されるように、同系MC38マウス腫瘍モデルにおける、(1)ビヒクル、(2)(IM)投与スケジュール中のオキサリプラチン+マウス抗PD-I、および(3)(IM)投与スケジュール中の化合物I+オキサリプラチン+マウス抗PD-Iによる処置後60日にわたる腫瘍成長率を表す。x軸は日数を尺度とする試験の長さを表し、y軸はmm
3を尺度とする腫瘍体積を表す。
【
図7】
図7は、例3に記載されるように、同系MC38マウス腫瘍モデルにおける、(1)ビヒクル、(2)(IM)投与スケジュール中のオキサリプラチン+マウス抗PD-I、および(3)(IM)投与スケジュール中の化合物I+オキサリプラチン+マウス抗PD-Ibによる処置後60日の全生存率を表す。x軸は日数を尺度とする試験の長さを表し、y軸は生存率パーセントを表す。
【
図8】
図8は、同系MC38マウス腫瘍モデルにおける、例4に記載されるように、(1)ビヒクル、(2)(IM)投与スケジュール中の5-FU+マウス抗PD-LI、(3)投与スケジュール中の化合物I+5-FU+マウス抗PD-LI(IM)、(4)(M)投与スケジュール中の5-FU+マウス抗PD-LI、(5)(M)投与スケジュール中の化合物I+5-FU+マウス抗PD-LI、(6)(I)投与スケジュール中の5-FU+マウス抗PD-LI、および(7)(I)投与スケジュール中の化合物I+5-FU+マウス抗PD-LIによる処置後30日にわたる腫瘍成長率を表す。x軸は日数を尺度とする試験の長さを表し、y軸はmm
3を尺度とする腫瘍体積を表す。
【
図9】
図9は、例4に記載されるように、同系MC38マウス腫瘍モデルにおける、(1)ビヒクル、(2)(IM)投与スケジュール中の5-FU+マウス抗PD-LI、(3)(IM)投与スケジュール中の化合物I+5-FU+マウス抗PD-LI、(4)(M)投与スケジュール中の5-FU+マウス抗PD-LI、(5)(M)投与スケジュール中の化合物I+5-FU+マウス抗PD-LI、(6)(I)投与スケジュール中の5-FU+マウス抗PD-LI、および(7)(I)投与スケジュール中の化合物I+5-FU+マウス抗PD-LIによる処置後30日の全生存率を表す。x軸は日数を尺度とする試験の長さを表し、y軸は生存率パーセントを表す。
【
図10】
図10は、フローサイトメトリー分析により分析された、MC38担癌マウスがビヒクル、オキサリプラチン+抗PPD-L1、またはオキサリプラチン+マウス抗PD-L1+化合物Iで処置された場合のCD4+T細胞のパーセントを表す。例5に記載されるように、腫瘍は最終処置の5日後に免疫細胞浸潤物中で分析用に採取した。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表し、統計値は一元配置ANOVAを用いて評価した(
**p<0.01および
****p<0.0001)。x軸は処置条件を表し、y軸はパーセンテージとして評価されるCD4+T細胞を表す。
【
図11】
図11は、フローサイトメトリー分析により分析された、MC38担癌マウスがビヒクル、オキサリプラチン+マウス抗PPD-L1、またはオキサリプラチン+マウス抗PD-L1+化合物Iで処置された場合のCD4+T細胞のパーセントを表す。例5に記載されるように、腫瘍は最終処置の9日後に免疫細胞浸潤物中で分析用に採取した。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表し、統計値は一元配置ANOVAを用いて評価した(
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001)。x軸は処置条件を表し、y軸はパーセンテージとして評価されるCD4+T細胞を表す。
【
図12】
図12は、例6に記載されるように、C57BL/6マウスにおけるex-vivo脾細胞刺激後のIL-2濃度を表す。マウスに3回の一日IP用量のビヒクル、5-FU、または5-FU+化合物Iを投与し、最終処置の2日後および7日後に、マウスを安楽死させ、脾臓を採取した。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表し、統計値は二元配置ANOVAを用いて評価した(
*p<0.05)。x軸は処置条件を表し、y軸はpg/mLで評価されるIL-2濃度を表す。
【
図13】
図13は、例6に記載されるように、C57BL/6マウスにおけるex-vivo脾細胞刺激後のIFNγの濃度を表す。マウスに3回の一日IP用量のビヒクル、5-FU、または5-FU+化合物Iを投与し、最終処置の2日後および7日後にマウスを安楽死させ、脾臓を採取した。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表し、統計値は二元配置ANOVAを用いて評価した(
*p<0.05および
**p<0.01)。x軸は処置条件を表し、y軸はpg/mLを尺度とするIFNγ濃度を表す。
【
図14】
図14は、例7に記載されるように、マウスにおけるCT26腫瘍の成長を表す。マウスを化合物I(IP、100mg/kg、週3回)、抗PD-L1(IP、5mg/動物、終了まで週2回)、および/またはオキサリプラチン(IP、10mg/kg、週3回)で処置し、腫瘍を評価した。x軸は試験の長さを日数で表し、y軸は腫瘍体積をmm
3で表す。
【
図15】
図15は、例7に記載されるように、マウスにおけるCT26腫瘍の成長を表す。マウスを化合物I(IP、100mg/kg、週3回)、抗PD-L1(IP、5mg/動物、終了まで週2回)、および/またはオキサリプラチン(IP、10mg/kg、週3回)で処置し、腫瘍を評価した。x軸は試験の長さを日数で表し、y軸は腫瘍体積をmm
3で表す。
【
図16】
図16は、例8に記載されるように、MC38担癌C5BL/6マウスにおけるCD4+T細胞の活性化を表す。マウスを(1)化合物I(100mg/kg、IP)とともに(TOP)または(2)化合物Iを伴わずに(OP)、4日間、オキサリプラチン(10mg/kg、IP)およびマウス抗PD-L1(クローン10F.9G2、100μg/マウス、IP)で処置した。最終投与から24時間後にマウスを安楽死させ、それらの脾臓を採取した。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表す。x軸は処置条件を表し、y軸はパーセンテージとして評価される活性化CD4+T細胞を表す。
【
図17】
図17は、例8に記載されるように、MC38担癌C5BL/6マウスにおけるCD8+T細胞の活性化を表す。マウスを、(1)化合物I(100mg/kg、IP)とともに(TOP)または(2)化合物Iを伴わずに(OP)、4日間、オキサリプラチン(10mg/kg、IP)およびマウス抗PD-L1(クローン10F.9G2、100μg/マウス、IP)で処置した。最終投与から24時間後にマウスを安楽死させ、それらの脾臓を採取した。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表す。x軸は処置条件を表し、y軸はパーセンテージとして評価される活性化CD8+T細胞を表す。
【
図18】
図18は、例8に記載されるように、Tregの存在下または不在下でのCD8+T細胞の増殖パーセントを表す。マウスを、(1)化合物I(100mg/kg、IP)とともに(TOP)または(2)化合物Iを伴わずに(OP)、4日間、オキサリプラチン(10mg/kg、IP)およびマウス抗PD-L1(クローン10F.9G2、100μg/マウス、IP)で処置した。最終投与から24時間後に、マウスを安楽死させ、それらの脾臓を採取した。脾細胞をex vivoにて抗CD3/CD28抗体で72時間刺激した後、フローサイトメトリー分析のためにIL-2抗体で染色した。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表す。x軸は処置条件を表し、y軸はパーセンテージとして評価されるIl-2発現細胞を表す。
【
図19】
図19は、例9に記載されるように、C57BL/6マウスから単離されたTregにおけるRbのex vivoリン酸化を表す。CD4+CD25+Tregを、総ての非CD4+細胞の二段階磁性ビーズ分離法-除去を用いて脾臓から精製した後、CD25+細胞の陽性選択を行った。精製したTregをex vivoにて、0、250、または1000nmの化合物Iを伴う抗CD3/CD8抗体およびIL-2とともに48時間培養した。次に、培養したTregをフローサイトメトリー分析のためにCD4、Foxp3、およびphosphor-Rb抗体で染色した。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表す。x軸は化合物Iのナノモル濃度を表し、y軸はパーセンテージとして評価されるphospho-Rb
+細胞を表す。
【
図20】
図20は、例9に記載されるように、化合物Iで処理したTregの存在下でのCD8+T細胞のex vivo増殖を表す。マウスを、(1)化合物I(100mg/kg、IP)とともに(TOP)または(2)化合物Iを伴わずに(OP)、4日間、オキサリプラチン(10mg/kg、IP)およびマウス抗PD-L1(クローン10F.9G2、100μg/マウス、IP)で処置した。最終投与から24時間後にマウスを安楽死させ、それらの脾臓を採取した。細胞を抗CD4抗体およびCD8抗体で染色し、T細胞増殖をフローサイトメトリー分析により、CD4-CD8+T細胞におけるCFSEの平均蛍光強度の薄弱化によって評価した。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表す。x軸は化合物Iのナノモル濃度を表し、y軸はパーセンテージとして評価されるCD8+T細胞の増殖を表す。
【
図21】
図21は、例10に記載されるように、MC38担癌C57Bl/6マウスにおける腫瘍内免疫細胞の増殖の一時的阻害を表す。マウスを一用量の化合物I(100mg/kg、IP)で処置した後、化合物Iによる処置の6~48時間後にEdU(200μg/マウス、IP)の組み込みを行った。マウスを安楽死させ、分析のために腫瘍を採取した。免疫細胞に対し、以下の免疫細胞集団:(1)CD8+T細胞;(2)CD4+T細胞;(3)Treg;(4)NK;(5)単球系骨髄由来抑制性細胞(mMDSC);(6)顆粒球系骨髄由来抑制性細胞(gMDSC);および(7)マクロファージに関して抗体標識を行った。EdUの組み込みをクリックケミストリーにより検出した後、フローサイトメトリー分析を行った。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表す。x軸は処置時間を時間で表し、y軸はパーセンテージとして評価されるEdU
+細胞を表す。
【
図22】
図22は、例10に記載されるように、MC38担癌C57Bl/6マウスにおける腫瘍内免疫細胞の増殖の一時的阻害を表す。マウスを一用量の化合物I(100mg/kg、IP)で処置した後、化合物Iによる処置の6~48時間後にEdU(200μg/マウス、IP)の組み込みを行った。マウスを安楽死させ、分析のために腫瘍を採取した。免疫細胞に対し、以下の免疫細胞集団:(1)CD8+T細胞;(2)CD4+T細胞;(3)Treg;(4)NK;(5)単球系骨髄由来抑制性細胞(mMDSC);(6)顆粒球系骨髄由来抑制性細胞(gMDSC);および(7)マクロファージに関して抗体標識を行った。EdUの組み込みをクリックケミストリーにより検出した後、フローサイトメトリー分析を行った。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表す。x軸は処置時間を時間で表し、y軸はパーセンテージとして評価されるEdU
+細胞を表す。
【
図23】
図23は、例11に記載されるように、MC38担癌C57BL/6マウスにおける腫瘍特異的T細胞の生成の増強を表す。マウスを、
図3に示されるIMスケジュールに従い、58日間、化合物I(100mg/kg、IP)とともに(TOP)または伴わずに(OP)、オキサリプラチン(10mg/kg、IP)およびマウス抗PD-L1(クローン10F.9G2、100μg/マウス、IP)で処置した。マウスを安楽死させ、分析のためにそれらの脾臓(
図23)および末梢血(
図24)を採取した。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表す。x軸は処置条件を表し、y軸はパーセンテージとして評価される腫瘍特異的T細胞を表す。
【
図24】
図24は、例11に記載されるように、MC38担癌C57BL/6マウスにおける腫瘍特異的T細胞の生成の増強を表す。マウスを、
図3に示されるIMスケジュールに従い、58日間、化合物I(100mg/kg、IP)とともに(TOP)または伴わずに(OP)、オキサリプラチン(10mg/kg、IP)およびマウス抗PD-L1(クローン10F.9G2、100μg/マウス、IP)で処置した。マウスを安楽死させ、分析のためにそれらの脾臓(
図23)および末梢血(
図24)を採取した。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表す。x軸は処置条件を表し、y軸はパーセンテージとして評価される腫瘍特異的T細胞を表す。
【
図25】
図25は、例12に記載されるように、MC38担癌C57BL/6マウスにおける、インターフェロン-γ発現に正の調節を行う遺伝子の上方調節を表す。マウスを毎週2用量の化合物I(100mg/kg、IP)で処置した。最終投与の1日後にマウスを安楽死させ、分析のために腫瘍を採取した。PanCancer Immune Profiling Panelを用い、腫瘍全体に対してIl2(
図25)、Il18(
図26)、およびLtaに関する遺伝子発現分析(
図27)を行った。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表す。x軸は処置条件を表し、y軸は選択された遺伝子の正規化およびLog2変換を行った発現値を表す。
【
図26】
図26は、例12に記載されるように、MC38担癌C57BL/6マウスにおける、インターフェロン-γ発現に正の調節を行う遺伝子の上方調節を表す。マウスを毎週2用量の化合物I(100mg/kg、IP)で処置した。最終投与の1日後にマウスを安楽死させ、分析のために腫瘍を採取した。PanCancer Immune Profiling Panelを用い、腫瘍全体に対してIl2(
図25)、Il18(
図26)、およびLtaに関する遺伝子発現分析(
図27)を行った。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表す。x軸は処置条件を表し、y軸は選択された遺伝子の正規化およびLog2変換を行った発現値を表す。
【
図27】
図27は、例12に記載されるように、MC38担癌C57BL/6マウスにおける、インターフェロン-γ発現に正の調節を行う遺伝子の上方調節を表す。マウスを毎週2用量の化合物I(100mg/kg、IP)で処置した。最終投与の1日後にマウスを安楽死させ、分析のために腫瘍を採取した。PanCancer Immune Profiling Panelを用い、腫瘍全体に対してIl2(
図25)、Il18(
図26)、およびLtaに関する遺伝子発現分析(
図27)を行った。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表す。x軸は処置条件を表し、y軸は選択された遺伝子の正規化およびLog2変換を行った発現値を表す。
【
図28】
図28は、例13に記載されるように、MC38担癌C57BL/6マウスにおけるインターフェロン-γ遺伝子発現の上方調節を表す。マウスを8日間、化合物I(100mg/kg、IP)(
図28);化合物I(100mg/kg、IP)を伴う(TO)または伴わない(O)オキサリプラチン(100mg/kg、IP)(
図29);化合物I(100mg/kg、IP)を伴う(TP)または伴わない(P)抗PD-L1(クローン10F.9G2、100μg/マウス、IP)(
図30);および化合物I(100mg/kg、IP)を伴う(TOP)または伴わない(OP)オキサリプラチン(100mg/kg、IP)と抗PD-L1(クローン10F.9G2、100μg/マウス、IP)の両方(
図31)で処置した。最終投与から24時間後にマウスを安楽死させ、分析のために腫瘍を採取した。遺伝子発現分析は、PanCancer Immune Profiling Panelを用い、腫瘍全体に対して行った。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表す。x軸は処置条件を表し、y軸はIfngの正規化およびLog2変換を行った発現値を表す。
【
図29】
図29は、例13に記載されるように、MC38担癌C57BL/6マウスにおけるインターフェロン-γ遺伝子発現の上方調節を表す。マウスを8日間、化合物I(100mg/kg、IP)(
図28);化合物I(100mg/kg、IP)を伴う(TO)または伴わない(O)オキサリプラチン(100mg/kg、IP)(
図29);化合物I(100mg/kg、IP)を伴う(TP)または伴わない(P)抗PD-L1(クローン10F.9G2、100μg/マウス、IP)(
図30);および化合物I(100mg/kg、IP)を伴う(TOP)または伴わない(OP)オキサリプラチン(100mg/kg、IP)と抗PD-L1(クローン10F.9G2、100μg/マウス、IP)の両方(
図31)で処置した。最終投与から24時間後にマウスを安楽死させ、分析のために腫瘍を採取した。遺伝子発現分析は、PanCancer Immune Profiling Panelを用い、腫瘍全体に対して行った。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表す。x軸は処置条件を表し、y軸はIfngの正規化およびLog2変換を行った発現値を表す。
【
図30】
図30は、例13に記載されるように、MC38担癌C57BL/6マウスにおけるインターフェロン-γ遺伝子発現の上方調節を表す。マウスを8日間、化合物I(100mg/kg、IP)(
図28);化合物I(100mg/kg、IP)を伴う(TO)または伴わない(O)オキサリプラチン(100mg/kg、IP)(
図29);化合物I(100mg/kg、IP)を伴う(TP)または伴わない(P)抗PD-L1(クローン10F.9G2、100μg/マウス、IP)(
図30);および化合物I(100mg/kg、IP)を伴う(TOP)または伴わない(OP)オキサリプラチン(100mg/kg、IP)と抗PD-L1(クローン10F.9G2、100μg/マウス、IP)の両方(
図31)で処置した。最終投与から24時間後にマウスを安楽死させ、分析のために腫瘍を採取した。遺伝子発現分析は、PanCancer Immune Profiling Panelを用い、腫瘍全体に対して行った。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表す。x軸は処置条件を表し、y軸はIfngの正規化およびLog2変換を行った発現値を表す。
【
図31】
図31は、例13に記載されるように、MC38担癌C57BL/6マウスにおけるインターフェロン-γ遺伝子発現の上方調節を表す。マウスを8日間、化合物I(100mg/kg、IP)(
図28);化合物I(100mg/kg、IP)を伴う(TO)または伴わない(O)オキサリプラチン(100mg/kg、IP)(
図29);化合物I(100mg/kg、IP)を伴う(TP)または伴わない(P)抗PD-L1(クローン10F.9G2、100μg/マウス、IP)(
図30);および化合物I(100mg/kg、IP)を伴う(TOP)または伴わない(OP)オキサリプラチン(100mg/kg、IP)と抗PD-L1(クローン10F.9G2、100μg/マウス、IP)の両方(
図31)で処置した。最終投与から24時間後にマウスを安楽死させ、分析のために腫瘍を採取した。遺伝子発現分析は、PanCancer Immune Profiling Panelを用い、腫瘍全体に対して行った。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表す。x軸は処置条件を表し、y軸はIfngの正規化およびLog2変換を行った発現値を表す。
【
図32】
図32は、例14に記載されるように、MC38担癌C57BL/6マウスにおける反応性酸素種代謝に関連する遺伝子の下方調節を表す。マウスを毎週2用量の化合物I(100mg/kg、IP)で処置した。最終投与の1日後にマウスを安楽死させ、分析のために腫瘍を採取した。Cdku1a(
図32)、Cxcl1(
図33)、Il6(
図34)、Il10(
図35)、Il19(
図36)、およびPtgs2(
図37)に関する遺伝子発現分析を、PanCancer Immune Profiling Panelを用い、腫瘍全体に対して行った。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表す。x軸は処置条件を表し、y軸は選択された遺伝子の正規化およびLog2変換を行った発現値を表す。
【
図33】
図33は、例14に記載されるように、MC38担癌C57BL/6マウスにおける反応性酸素種代謝に関連する遺伝子の下方調節を表す。マウスを毎週2用量の化合物I(100mg/kg、IP)で処置した。最終投与の1日後にマウスを安楽死させ、分析のために腫瘍を採取した。Cdku1a(
図32)、Cxcl1(
図33)、Il6(
図34)、Il10(
図35)、Il19(
図36)、およびPtgs2(
図37)に関する遺伝子発現分析を、PanCancer Immune Profiling Panelを用い、腫瘍全体に対して行った。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表す。x軸は処置条件を表し、y軸は選択された遺伝子の正規化およびLog2変換を行った発現値を表す。
【
図34】
図34は、例14に記載されるように、MC38担癌C57BL/6マウスにおける反応性酸素種代謝に関連する遺伝子の下方調節を表す。マウスを毎週2用量の化合物I(100mg/kg、IP)で処置した。最終投与の1日後にマウスを安楽死させ、分析のために腫瘍を採取した。Cdku1a(
図32)、Cxcl1(
図33)、Il6(
図34)、Il10(
図35)、Il19(
図36)、およびPtgs2(
図37)に関する遺伝子発現分析を、PanCancer Immune Profiling Panelを用い、腫瘍全体に対して行った。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表す。x軸は処置条件を表し、y軸は選択された遺伝子の正規化およびLog2変換を行った発現値を表す。
【
図35】
図35は、例14に記載されるように、MC38担癌C57BL/6マウスにおける反応性酸素種代謝に関連する遺伝子の下方調節を表す。マウスを毎週2用量の化合物I(100mg/kg、IP)で処置した。最終投与の1日後にマウスを安楽死させ、分析のために腫瘍を採取した。Cdku1a(
図32)、Cxcl1(
図33)、Il6(
図34)、Il10(
図35)、Il19(
図36)、およびPtgs2(
図37)に関する遺伝子発現分析を、PanCancer Immune Profiling Panelを用い、腫瘍全体に対して行った。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表す。x軸は処置条件を表し、y軸は選択された遺伝子の正規化およびLog2変換を行った発現値を表す。
【
図36】
図36は、例14に記載されるように、MC38担癌C57BL/6マウスにおける反応性酸素種代謝に関連する遺伝子の下方調節を表す。マウスを毎週2用量の化合物I(100mg/kg、IP)で処置した。最終投与の1日後にマウスを安楽死させ、分析のために腫瘍を採取した。Cdku1a(
図32)、Cxcl1(
図33)、Il6(
図34)、Il10(
図35)、Il19(
図36)、およびPtgs2(
図37)に関する遺伝子発現分析を、PanCancer Immune Profiling Panelを用い、腫瘍全体に対して行った。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表す。x軸は処置条件を表し、y軸は選択された遺伝子の正規化およびLog2変換を行った発現値を表す。
【
図37】
図37は、例14に記載されるように、MC38担癌C57BL/6マウスにおける反応性酸素種代謝に関連する遺伝子の下方調節を表す。マウスを毎週2用量の化合物I(100mg/kg、IP)で処置した。最終投与の1日後にマウスを安楽死させ、分析のために腫瘍を採取した。Cdku1a(
図32)、Cxcl1(
図33)、Il6(
図34)、Il10(
図35)、Il19(
図36)、およびPtgs2(
図37)に関する遺伝子発現分析を、PanCancer Immune Profiling Panelを用い、腫瘍全体に対して行った。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表す。x軸は処置条件を表し、y軸は選択された遺伝子の正規化およびLog2変換を行った発現値を表す。
【
図38】
図38は、抗PD-L1(週2回を2回)とともにまたは伴わずに化合物I(毎日を28回)で連続処置したマウスのMC38腫瘍の成長を表す。x軸は試験の長さを日数で表し、y軸は腫瘍体積をmm
3で表す。
【
図39】
図39は、例15に記載されるように、化合物Iで処置したMC38担癌C57BL/6マウスの腫瘍内免疫細胞増殖を表す。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表す。x軸は腫瘍内免疫細胞種を表し、y軸はパーセンテージとして評価される増殖を表す。
【
図40】
図40は、例15に記載されるように、化合物Iで処置したMC38担癌C57BL/6マウスの腫瘍内免疫細胞増殖を表す。エラーバーはSEM(平均の標準誤差)を表す。x軸は腫瘍内免疫細胞種を表し、y軸はパーセンテージとして評価される増殖を表す。
【
図41】
図41は、例17で概略を示した臨床試験の組織構造の概要を示す流れ図を表す。臨床試験は、最大4回反復することができる誘導期および維持期の二期に組織化される。化合物Iまたはプラセボを、誘導期においてエトポシド/カルボプラチン/アテゾリズマブ(E/P/A)療法と併用する。維持期にはアテゾリズマブだけが投与される。
【0079】
詳細な説明
驚くことに、また予期しないことに、化学療法とチェックポイント阻害剤の組合せに極めて特殊な投与計画でCDK4/6阻害剤を付加すると、腫瘍または癌の治療により優れた結果をもたらすことが見出された。この三重併用療法の化学療法部分の投与中の選択的CDK4/6阻害剤の特定時限の投与が癌の微小環境において免疫細胞に顕著な効果を有することは予期しない知見である。この結果は、選択的、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤の極めて特殊な時限投与が、免疫腫瘍細胞浸潤物の損傷保護、より高頻度の腫瘍特異的記憶T細胞による免疫応答の持続期間の増大、免疫抑制因子である腫瘍内Treg細胞のより大幅な減少;および/または炎症誘発性因子の遺伝子発現の変化のうち1以上を提供するという点で顕著である。リンパ球の活性化および炎症誘発性サイトカインであるインターフェロン-γの上方調節のために機能的に富化された遺伝子の発現が有意に増強される。並行して、免疫抑制反応性酸素種代謝プロセスに関与するいくつかの遺伝子が下方調節される。これらの所見は、CDK4/6阻害剤、例えば、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤の特定時限の投与が遺伝子発現の変調をもたらし、チェックポイント阻害剤活性を高めるのに有利な炎症誘発性腫瘍微小環境を生じることを示す。この改善は癌治療の技術の現状に著しい進展をもたらす。
【0080】
本明細書において使用が企図されるCDK4/6阻害剤の限定されない例は、例えば、限定されるものではないが、化合物I、II、III、およびIVであり、これらは、HSPCおよび免疫エフェクター細胞のG0/G1細胞周期の停止を一時的に生じる極めて強力な選択的、可逆的、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤である。これらの細胞は増殖をCDK4/6に依存し、例えば、化合物Iに曝された際に細胞周期のG0/G1期で停止する。HSPCSおよびその他の免疫エフェクター細胞はG0/G1で一時的に停止し、それらは化学療法のDNA傷害作用に対して耐性を増し、従って、その後の免疫細胞毒性を軽減する。さらに、癌治療のためのCDK4/6阻害剤と化学療法薬および免疫チェックポイント阻害剤の併用は抗癌免疫応答を増強することも見出された。CDK4/6阻害剤の特定の投与時機により、免疫エフェクター細胞は化学療法薬の傷害から保護され、化学療法薬のDNA傷害作用が消失したしばらく後に細胞複製に戻ることが可能であり、CDK4/6の完全な恒久的阻害をもたらす毎日の様式で投与されるCDK4/6阻害剤を用いる戦略に比べて、免疫反応性の向上をもたらす。
【0081】
免疫療法の最初の試みは、化学療法とサイトカインの併用、いわゆる「化学免疫療法」に焦点を当てた。しかしながら、このアプローチは、生存転帰に有意な改善なく、毒性の割合が高いために阻まれた(Atzpodien, J.; Kirchner, H.; Rebmann, U.; Soder, M.; Gertenbach, U.; Siebels, M.; Roigas, J.; Raschke, R.; Salm, S.; Schwindi, B.; et al. Interleukin-2/interferon-alpha2a/13-retinoic acid-based chemoimmunotherapy in advanced renal cell carcinoma: Results of a prospectively randomised trial of the German Cooperative Renal Carcinoma Chemoimmunotherapy Group (DGCIN). Br. J. Cancer 2006, 95, 463-469)。興味深いことに、サイトカイン療法は、一部の患者、ほとんどは自己免疫の臨床的または血清学的証拠を示した患者にのみロバストな利益を与えた(Gogas, H.; Ioannovich, J.; Dafni, U.; Stavropoulou-Giokas, C.; Frangia, K.; Tsoutsos, D.; Panagiotou, P.; Polyzos, A.; Papadopoulos, O.; Stratigios, A.; et al. Prognostic significance of autoimmunity during treatment of melanoma with interferon. N. Engl. J. Med. 2006, 354, 709-718)。他の免疫調節薬も投与されたが、結果は混合型であった。例えば、駆虫薬であるレバミゾールは免疫増強特性を有することが判明し、5-フルオロウラシル(5-FU)の補助として大腸癌で承認されたが、その後の研究では利益を示さないと思われた(Wolmark, N.; Rockette, H.; Mamounas, E.; Jones, J.; Wieand, S.; Wickerham, D.L.; Bear, H.D.; Atkins, J.N.; Dimitrov, N.V.; Glass, A.G.; et al. Clinical trial to assess the relative efficacy of fluorouracil and leucovorin, fluorouracil and levamisole, and fluorouracil, leucovorin, and levamisole in patients with Dukes' B and C Carcinoma of the colon: Results from National Surgical Adjuvant Breast and Bowel Project C-04. J. Clin. Oncol. 1999, 17, 3553-3559)。カルメット・ゲラン菌(Bacillus Calmette-Guerin)(BCG)は、結核に対するワクチンとして開発されたが、膀胱癌において膀胱腔内に与えた場合にロバストな抗癌応答を提供し、1990年にこの適応に最初に承認されて以来、表在性浸潤性膀胱の標準治療となり続けている(Mungan, N.A.; Witjes, J.A. Bacille Calmette-Guerin in superficial transitional cell carcinoma. Br. J. Urol. 1998, 82, 213-223; Sylvester, R.J.; van der Meijden, A.P.; Witjes, J.A.; Kurth, K. Bacillus calmette-guerin versus chemotherapy for the intravesical treatment of patients with carcinoma in situ of the bladder: A meta-analysis of the published results of randomized clinical trials. J. Urol. 2005, 174, 86-91)。
【0082】
より最近のアプローチは、免疫チェックポイントタンパク質と呼ばれるある種のタンパク質の、免疫応の強度および持続期間を限定する能力を遮断することに着目されている。これらのタンパク質は通常、正常細胞ならびに異常細胞を傷害し得る過度に強力な応答を避けることにより免疫応答を抑制するが、これらのタンパク質を発現する癌は免疫応答を抑制することができる(Menon, S.; Shin, S.; Dy, G.; Advances in Cancer Immunotherapy in Solid Tumors, Cancers 2016, 8(12), 106参照)。免疫チェックポイントタンパク質の活性を遮断すると、免疫エフェクター細胞の癌細胞を破壊する能力が高まる。
【0083】
技術用語
化合物は標準的命名規則を用いて記載される。そうではないことが定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の熟練者によって共通に理解されているものと同じ意味を有する。
【0084】
用語「一つの(a and an)」は量の限定を表さず、当該項目のうち少なくとも一つの存在を表す。用語「または」は「および/または」を意味する。値の範囲の列挙は、本明細書において特に断りのない限り、単にその範囲内に入る各個の値に個々に言及する簡略法として用いることが意図されるに過ぎず、各個の値はそれが本明細書に個々の列挙されていた場合と同様に本明細書に組み入れられる。総ての範囲の終点はその範囲内に含まれ、独立に組み合わせることができる。本明細書に記載の方法は総て、本明細書において特に断りのない限りまたはそうでなければ文脈が明らかに矛盾しない限り、好適な順序で行うことができる。例または例示言語(例えば「など」)は、単に本発明をより良く説明することが意図されるに過ぎず、そうではないことが主張されない限り、本発明の範囲に限定を課さない。そうではないことが定義されない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の熟練者によって共通に理解されているものと同じ意味を有する。
【0085】
限定されない実施形態において、CDK4/6阻害剤、例えば、限定されるものではないが、化合物I、化合物II、化合物III、または化合物IV、化学療法、またはチェックポイント阻害剤は、原子の少なくとも一つの所望の同位体置換を有する形態で、同位体の自然存在量を超える、すなわち、富化された量で使用することができる。同位体は、原子番号は同じであるが質量数が異なる、すなわち、陽子の数は同じであるが中性子の数が異なる原子である。
【0086】
本発明において使用するためのCDK4/6阻害剤、化学療法、またはチェックポイント阻害剤に組み込み得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素およびヨウ素の同位体、例えば、それぞれ2H、3H、11C、13C、14C、15N、18F 31P、32P、35S、36CI、および125Iが挙げられる。一つの限定されない実施形態では、同位体標識化合物は、薬物または基質組織分布アッセイを含む、ポジトロン放射断層撮影法(PET)もしくは単光子放射コンピューター断層撮影法(SPECT)などの代謝試験(14Cを用いる)、反応動態試験(例えば、2Hまたは3Hを用いる)、検出もしくはイメージング技術、または患者の放射線治療で使用可能である。特に、18F標識化合物はPETまたはSPECT試験に特に望ましいものであり得る。本発明の同位体標識化合物およびそれらのプロドラッグは一般に、スキームまたは実施例に開示されている手順および非同位体標識試薬を容易に入手可能な同位体標識試薬に置き換えることにより下記の製法を実施することによって製造することができる。
【0087】
限定無く、一般例で、水素の同位体、例えば、重水素(2H)およびトリチウム(3H)は、所望の結果を達成する記載の構造内のいずれの場所で使用してもよい。その代わりに、またはそれに加えて、炭素の同位体、例えば、13Cおよび14Cも使用可能である。
【0088】
同位体置換、例えば、重水素置換は、部分的でもまたは完全でもよい。部分的重水素置換とは、少なくとも1個の水素が重水素で置換されることを意味する。特定の実施形態では、同位体は、対象とするいずれかの場所で同位体が90、95または99%またはそれを超えて富化される。一つの限定されない実施形態では、重水素は、所望の場所で90、95または99%富化される。
【0089】
本発明において使用するためのCDK4/6阻害剤は、溶媒(水を含む)と溶媒和物を形成し得る。よって、一つの限定されない実施形態では、本発明は、化合物の溶媒和物形態を含む。用語「溶媒和物」は、本発明の化合物(その塩を含む)と1以上の溶媒分子との分子複合体を指す。溶媒の限定されない例は、水、エタノール、ジメチルスルホキシド、アセトンおよびその他の一般有機溶媒である。用語「水和物」は、本発明の化合物と水を含んでなる分子複合体を指す。本発明による薬学的に許容可能な溶媒和物は、溶媒が同位体置換されていてよい溶媒和物、例えば、D2O、d6-アセトン、d6-DMSOを含む。溶媒和物は液体または固体形態であり得る。
【0090】
本明細書で一般に企図されるように、造血幹細胞および前駆細胞(HSPC)という用語には、限定されるものではないが、長期造血幹細胞(LT-HSC)、短期造血幹細胞(ST-HSC)、造血前駆細胞(HPC)、多能性前駆細胞(MPP)、乏突起神経膠細胞前駆細胞(OPP、単球前駆細胞、顆粒球前駆細胞、骨髄球性共通前駆細胞(CMP)、リンパ系共通前駆細胞(CLP)、顆粒球単球前駆細胞(GMP)、顆粒球前駆細胞、単球前駆細胞、および赤芽球系前駆細胞(MEP)、巨核球前駆細胞、赤血球前駆細胞、HSC/MPP(CD45dim/CD34+/CD38-)、OPP(CD45dim/CD34+/CD38+)、単球前駆細胞(CD45+/CD14+/CD11b+)、顆粒球前駆細胞(CD45+/CD14-/CD11b+)、赤血球前駆細胞(CD45-/CD71+)、および巨核球前駆細胞(CD45+/CD61+)が含まれる。
【0091】
用語「免疫エフェクター細胞」は一般に、1以上の特定の機能を遂行する免疫細胞を指す。免疫エフェクター細胞は当技術分野で公知であり、例えば、限定されるものではないが、ナイーブT細胞、記憶T細胞、活性化T細胞(Tヘルパー(CD4+)および細胞傷害性T細胞(CD8+))、TH1活性化T細胞、TH2活性化T細胞、TH17活性化T細胞を含むT細胞、ナイーブB細胞、記憶B細胞、血漿芽細胞、樹状細胞、単球、骨髄由来抑制性細胞(MDSC)、およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。
【0092】
用語「選択的CDK4/6阻害剤」としては、本明細書に記載される化合物に関して使用する場合、標準的リン酸化アッセイにおいて同程度のCDK2活性に阻害するのに必要なIC50モル濃度の多くとも約50、100、200、300、400、500、1000、1500、1800、2000、5000または10,000分の1のIC50モル濃度で、CDK4活性、CDK6活性、またはCDK4活性とCDK6活性の両方を阻害する化合物が含まれる。
【0093】
用語「即効性CDK4/6阻害剤」は、化合物の投与時の生物活性の急速な開始および短時間でCmaxに達することを指す。例えば、即効性CDK4/6阻害剤は、投与の開始後、約2時間、約1時間、約30分未満、または約15分以下のTmaxを有し得る。
【0094】
用語「短半減期CDK4/6阻害剤」は、例えば、約16時間、15時間、14時間、13時間、12時間、11時間、10時間、9時間、または約8時間未満の半減期を有する化合物を指す。医学用語において、薬物の半減期は、薬物の血漿濃度がその元の濃度の半分に達するのにかかる時間である。
【0095】
処置される対象は一般にヒト対象であるが、本明細書に記載の方法は哺乳動物種および脊椎動物種などの他の動物に対しても有効であると理解されるべきである。より詳しくは、対象という用語には、限定されるものではないが、マウス、ラット、サル、イヌ、ブタおよびウサギを含む前臨床試験で使用されるものなどの、アッセイで使用される動物、ならびに飼育ブタ類(ブタおよび去勢ブタ)、反芻動物、ウマ、家禽、ネコ、ウシ、ネズミ、およびイヌなどが含まれる。
【0096】
いくつかの実施形態では、用語「CDK4/6複製非依存性癌」は、複製にCDK4/6の活性を有意に必要としない癌を指す。このような種類の癌は、常にではないが多くの場合、CDK2活性のレベルの上昇またはretinoblastoma腫瘍抑制因子タンパク質またはretinoblastomaファミリーメンバータンパク質、例えば、限定されるものではないが、p107およびp130の発現の低下を特徴とする(例えばそれを示す細胞を有する)。CDK2活性のレベルの上昇またはretinoblastoma腫瘍抑制因子タンパク質もしくはretinoblastomaファミリーメンバータンパク質の発現の低下もしくは欠損は、例えば、正常細胞に比べて上昇または低下していてよい。いくつかの実施形態では、CDK2活性のレベルの上昇は、MYC癌原遺伝子の増幅または過剰発現と関連し得る(例えば、増幅もしくは過剰発現から生じ得るか、または増幅もしくは過剰発現とともに見られる)。いくつかの実施形態では、CDK2活性のレベルの上昇は、サイクリンE1、サイクリンE2、またはサイクリンAの過剰発現に関連付けることができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、用語「CDK4/6複製依存性癌」は、複製もしくは増殖にCDK4/6の活性を必要とする、または選択的CDK4/6阻害剤の活性によって阻害される成長であり得る癌を指す。このような種類の癌および障害は、機能的retinoblastomaタンパク質の存在を特徴とし得る(例えば、その存在を示す細胞を有する)。このような癌および障害は、Rb陽性として分類される。Rb陽性異常細胞増殖障害、およびこの用語の変形は、本明細書で使用する場合、機能的retinoblastomaタンパク質を特徴とする制御されないまたは異常な細胞分裂によって引き起こされる障害または疾患を指し、これには癌を含み得る。
【0098】
CDK4/6阻害剤
本発明は、癌を有する対象を治療するための化学療法薬および免疫チェックポイント阻害剤、例えば、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、またはCTLA-4阻害剤と組み合わせたCDK4/6特異的阻害剤の特定時限の投与の使用を対象とする。
【0099】
細胞周期の調節は、厳格に時限的様式で主としてリン酸化/脱リン酸化プロセスを介して活性化および脱活性化される特定のタンパク質によって支配および制御される。
細胞周期プログラムの開始、進行、および完了を調整する重要なタンパク質は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)である。サイクリン依存性キナーゼは、セリン-トレオニンタンパク質キナーゼファミリーに属す。CDKは、触媒キナーゼサブユニットと調節サイクリンサブユニットから構成されるヘテロ二量複合体である。CDK活性は、それらの対応する調節サブユニット(サイクリン)およびCDK阻害剤タンパク質との会合(Cip & Kipタンパク質、INK4)、それらのリン酸化状態、およびユビキチン媒介タンパク質分解によって制御される(D.G. Johnson, C.L. Walker, Annu. Rev. Pharmacol. Toxicol 39 (1999) 295-312; D.O. Morgan, Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 13 (1997) 261-291; C.J. Sherr, Science 274 (1996) 1672-1677; T. Shimamura et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 16 (2006) 3751-3754参照)。
【0100】
細胞増殖に有意に関与する4つのCDKが存在する:主としてG2期からM期への移行を調節するCDK1、ならびにG1期からS期への移行を調節するCDK2、CDK4、およびCDK6(Malumbres M, Barbacid M. Cell cycle, CDKs and cancer: a changing paradigm. Nat. Rev. Cancer 2009;9(3):153-166)。G1中期の始めに、細胞に有糸分裂促進刺激への応答性があれば、CDK4-サイクリンDおよびCDK6-サイクリンDの活性化がretinoblastomaタンパク質のリン酸化(pRb)を誘導する。pRbのリン酸化は転写因子E2Fを遊離させ、これが核に入って、細胞周期のさらなる進行を促進する他のサイクリンの転写を活性化する(J.A. Diehl, Cancer Biol. Ther. 1 (2002) 226-231; C.J. Sherr, Cell 73 (1993) 1059-1065参照)。CDK4とCDK6は、生化学的特性が基本的に識別できない近縁タンパク質である(M. Malumbres, M. Barbacid, Trends Biochem. Sci. 30 (2005) 630-641参照)。
【0101】
種々のピリミジン系薬剤が過増殖性疾患の治療のために開発されている。TavaresおよびStrumにより出願され、G1 Therapeuticsに譲渡された、米国特許第8,822,683号;同第8,598,197号;同第8,598,186号、同第8,691,830号、同第8,829,102号、同第9,102,683号、および同第9,260,442号、ならびに対応するWO2012/061156には、式(変数は本明細書に定義される通り)のものを含むN-(ヘテロアリール)-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-アミン種のサイクリン依存性キナーゼ阻害剤が記載されている。
【化2】
【0102】
「ラクタムキナーゼ阻害剤」という名称のWO2013/148748(U.S.S.N.61/617,657)、「ラクタムの合成」という名称のWO2013/163239(U.S.S.N.61/638,491)およびTavaresにより出願され、これもまたG1 Therapeuticsに譲渡されたWO2015/061407には、N-(ヘテロアリール)-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2-アミンの合成およびラクタムキナーゼ阻害剤としてのそれらの使用が記載されている。
【0103】
他の公報としては、次のものが挙げられる:Strumらにより出願され、G1 Therapeuticsに譲渡されたWO2014/144326には、化学療法中にピリミジン系CDK4/6阻害剤を用いて正常細胞を保護するための化合物および方法が記載され;Strumらにより出願され、G1 Therapeuticsに譲渡されたWO2014/144596には、ピリミジン系CDK4/6阻害剤を用いて電磁放射線から造血幹細胞および前駆細胞を保護するための化合物および方法が記載され;Strumらにより出願され、G1 Therapeuticsに譲渡されたWO2014/144847には、ピリミジン系CDK4/6阻害剤を用いた異常な細胞増殖のHSPC寛容処置が記載され;Strumらにより出願され、G1 Therapeuticsに譲渡されたWO2014/144740には、活性の高い抗新生物および抗増殖性ピリミジン系CDK4/6阻害剤が記載され;Strumらにより出願され、G1 Therapeuticsに譲渡されたWO2015/161285には、放射線保護において使用するための三環式ピリミジン系CDK阻害剤が記載され;Strumらにより出願され、G1 Therapeuticsに譲渡されたWO2015/161287には、化学療法中における細胞の保護のための類似の三環式ピリミジン系CDK阻害剤が記載され;Strumらにより出願され、G1 Therapeuticsに譲渡されたWO2015/161283には、RB陽性の異常な細胞増殖のSPC寛容処置において使用するための類似の三環式ピリミジン系CDK阻害剤が記載され;Strumらにより出願され、G1 Therapeuticsに譲渡されたWO2015/161288には、抗新生物および抗増殖薬として使用するための類似の三環式ピリミジン系CDK阻害剤が記載され;Strumらにより出願され、G1 Therapeuticsに譲渡されたWO2016/040858には、ピリミジン系CDK4/6阻害剤と他の抗新生物薬との組合せの使用が記載され;Strumらにより出願され、G1 Therapeuticsに譲渡されたWO2016/040848には、CDK4/6阻害剤およびトポイソメラーゼ阻害剤でRb陰性癌を治療するための化合物および方法が記載され;Strumらにより出願され、G1 Therapeuticsに譲渡されたWO2016/126889には、CDK4/6阻害剤による癌の治療のための特殊な処方物が記載されている。
【0104】
WO2003/062236には、6-アセチル-8-シクロペンチル-5-メチル-2-(5-ピペラジン-1-イル-ピリジン-2-イルアミノ(ylammino))-8H-ピリド-[2,3-d]-ピリミジン-7-オン(PD0332991)を含む、CDK4/6に選択性を示すRb陽性癌の治療のための一連の2-(ピリジン-2-イルアミノ-ピリド[2,3]ピリミジン-7-オンが特定され、これはFDAにより迅速承認を受け、転移性乳癌の治療のためにPfizerによりイブランス(Ibrance)(商標)(パルボシクリブ)として現在販売されている。
【化3】
【0105】
VanderWelらは、強力かつ選択的CDK4阻害剤としてのヨウ素含有ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-オン(CKIA)を記載している(VanderWel et al., J. Med. Chem. 48 (2005) 2371-2387参照)。
【0106】
Novartis AGにより出願されたWO2010/020675には、CDK阻害剤としてのピロロピリミジン化合物が記載されている。これもまたNovartisにより出願されたWO2011/101409には、CDK4/6阻害活性を有するピロロピリミジンに記載されている。Novartis AGおよびAstex Therapeutics Limitedにより出願された米国特許第8,324,225号;同第8,415,355号;同第8,685,980号;同第9,962,630号;同第9,193,732号;および同第9,416,136号には、転移性乳癌の治療のためにFDAにより承認され、キスカリ(Kisqali)(商標)(リボシクリブ)として現在販売されている7-シクロペンチル-N,N-ジメチル-2-((5-(ピペリジン-4-イル)ピリジン-2-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-カルボキサミドを含む、CDK阻害剤としてのピロロピリミジン化合物が記載されている。
【化4】
【0107】
米国特許第7,855,211号には、ある種の乳癌の治療のためにFDAにより承認され、現在Eli Lilly and Companyによりベージニオ(Verzenio)(商標)(アベマシクリブ)として販売されているN-(5-((4-エチルピペラジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)-5-フルオロ-4-(4-フルオロ-1-イソプロピル-2-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)ピリミジン-2-アミンを含むCDK4/6阻害剤として有用であるベンズイミダゾール化合物が記載されている。
【化5】
【0108】
Johnsonらは、CDK4/6阻害剤6-アセチル-8-シクロペンチル-5-メチル-2-(5-ピペラジン-1-イル-ピリジン-2-イルアミノ(ylammino))-8H-ピリド-[2,3-d]-ピリミジン-7-オン(PD0332991)および2-ブロモ-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4]カルバゾール-5,6-ジオン(2BrIC)を用いたCDK4/6の薬理学的阻害がCDK4/6依存性細胞株においてIR保護特徴を示したことを報告している(Johnson et al. Mitigation of hematological radiation toxicity in mice through pharmacological quiescence induced by CDK4/6 inhibition. J Clin. Invest. 2010; 120(7): 2528-2536)。
【0109】
化合物I、II、III、およびIVは、全内容が本明細書の開示の一部とされるWO2014/144326に従前に記載されているように製造することができる。
【0110】
特定の実施例では、本明細書で企図されるように、CDK4/6阻害剤は、任意の既知のCDK4/6阻害剤、例えば、トリラシクリブ、パルボシクリブ、アベマシクリブ、およびリボシクリブから選択される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。一つの実施形態では、即効性、短半減期CDK4/6阻害剤は、化合物I(トリラシクリブ)、化合物II、化合物III、もしくは化合物IV、またはその薬学的に許容可能な組成物、塩、同位体類似体、またはプロドラッグから選択される。特定の実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。特定の実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物IIである。特定の実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物IIIである。特定の実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物IVである。
【0111】
免疫チェックポイント阻害剤
本明細書に記載の方法において使用するための免疫チェックポイント阻害剤としては、限定されるものではないが、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、PD-L2阻害剤、CTLA-4阻害剤、LAG-3阻害剤、TIM-3阻害剤、およびV-domain Ig suppressor of T-cell activation(VISTA)阻害剤、またはそれらの組合せが含まれる。
【0112】
一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1受容体の結合によってPD-1とPD-L1の相互作用を遮断し、その後免疫抑制を阻害するPD-1阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、ピディリズマブ、AMP-224(AstraZenecaおよびMedImmune)、PF-06801591(Pfizer)、MEDI0680(AstraZeneca)、PDR001(Novartis)、REGN2810(Regeneron)、MGA012(MacroGenics)、BGB-A317(BeiGene)SHR-12-1(Jiangsu Hengrui Medicine CompanyおよびIncyte Corporation)、TSR-042(Tesaro)、およびPD-L1/VISTA阻害剤CA-170(Curis Inc.)から選択されるPD-1免疫チェックポイント阻害剤である。一つの実施形態では、PD-1阻害剤は、化合物Iまたは化合物IIから選択されるCDK4/6阻害剤と併用される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。
【0113】
一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ホジキンリンパ腫、黒色腫、非小細胞肺癌、肝細胞癌、または卵巣癌の治療のために有効量で投与されるPD-1免疫チェックポイント阻害剤ニボルマブ(オプジーボ(商標))である。ニボルマブは、転移性黒色腫、非小細胞肺癌、および腎細胞癌のための使用に関してFDA承認を受けている。この実施形態の別の側面において、免疫チェックポイント阻害剤は、黒色腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、頭頸部癌、または尿路上皮癌の治療のために有効な量で投与されるPD-1免疫チェックポイント阻害剤ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))である。この実施形態のさらなる態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)または転移性黒色腫のために有効な量で投与されるPD-1免疫チェックポイント阻害剤ピディリズマブ(Medivation)である。
【0114】
一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1受容体への結合によりPD-1とPD-L1の相互作用を遮断し、その後、免疫抑制を阻害するPD-L1阻害剤である。PD-L1阻害剤としては、限定されるものではないが、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、KN035CA-170(Curis Inc.)、およびLY3300054(Eli Lilly)が含まれる。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、化合物Iまたは化合物IIから選択されるCDK4/6阻害剤と併用される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、PD-L1とCD80の間の相互作用を遮断して免疫抑制を阻害する。
【0115】
一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、転移性膀胱癌、転移性黒色腫、転移性非小細胞肺癌、または転移性腎細胞癌の治療のために有効な量で投与されるPD-L1免疫チェックポイント阻害剤アテゾリズマブ(テセントリク(商標))である。lこの実施形態の別の側面において、免疫チェックポイント阻害剤は、非小細胞肺癌または膀胱癌の治療のために有効な量で投与されるデュルバルマブ(AstraZenecaおよびMedImmune)である。この実施形態のさらに別の側面では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1陽性固形腫瘍の治療のために有効な量で投与されるKN035(Alphamab)である。PD-L1免疫チェックポイント阻害剤のさらなる例としてBMS-936559(Bristol-Myers Squibb)があるが、この阻害剤での臨床試験は、2015年については保留されている。
【0116】
この実施形態の一つの側面において、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4と結合し免疫抑制を阻害するCTLA-4免疫チェックポイント阻害剤である。CTLA-4阻害剤としては、限定されるものではないが、イピリムマブ、トレメリムマブ(AstraZeneca and MedImmune)、AGEN1884およびAGEN2041(Agenus)が含まれる。一つの実施形態では、CTLA-4阻害剤は、化合物Iまたは化合物IIから選択されるCDK4/6阻害剤と併用される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。
【0117】
一つの実施形態では、CTLA-4免疫チェックポイント阻害剤は、転移性黒色腫、アジュバントメラノーマ(adjuvant melanoma)、または非小細胞肺癌の治療のために有効な量で投与されるイピリムマブ(ヤーボイ(商標))である。一つの実施形態では、CTLA-4阻害剤は、化合物Iまたは化合物IIから選択されるCDK4/6阻害剤と併用される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。
【0118】
別の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、LAG-3免疫チェックポイント阻害剤である。LAG-3免疫チェックポイント阻害剤の例としては、限定されるものではないが、BMS-986016(Bristol-Myers Squibb)、GSK2831781(GlaxoSmithKline)、IMP321(Prima BioMed)、LAG525(Novartis)、およびPD-1およびLAG-3二重阻害剤MGD013(MacroGenics)が含まれる。この実施形態のさらに別の側面では、免疫チェックポイント阻害剤は、TIM-3免疫チェックポイント阻害剤である。特定のTIM-3阻害剤としては、限定されるものではないが、TSR-022(Tesaro)が含まれる。
【0119】
本明細書に記載の本発明において使用するためのその他の免疫チェックポイント阻害剤としては、限定されるものではないが、MGA217などのB7-H3/CD276免疫チェックポイント阻害剤、インドキシモドおよびINCB024360などのインドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)免疫チェックポイント阻害剤、リリルマブ(BMS-986015)などのキラー免疫グロブリン様受容体(KIR)免疫チェックポイント阻害剤、癌胎児性抗原細胞接着分子(CEACAM)阻害剤(例えば、CEACAM-1、-3および/または-5)が含まれる。例示的抗CEACAM-1抗体は、WO2010/125571、WO2013/082366およびWO2014/022332に記載されており、例えば、モノクローナル抗体34B1、26H7、および5F4;例えばUS2004/0047858号、米国特許第7,132,255号およびWO99/052552に記載されるようなまたはそれらの組換え型がある。他の実施形態では、抗CEACAM抗体は、例えば、Zheng et al. PLoS One. 2010 September 2; 5(9). pii: e12529 (DOI:10:1371/journal.pone.0021146)に記載されるようにCEACAM-5と結合するか、または例えばWO2013/054331およびUS2014/0271618に記載されるようにCEACAM-1およびCEACAM-5と交差反応する。さらに他のチェックポイント阻害剤は、例えば、Zhang et al., Monoclonal antibodies to B and T lymphocyte attenuator (BTLA) have no effect on in vitro B cell proliferation and act to inhibit in vitro T cell proliferation when presented in a cis, but not trans, format relative to the activating stimulus, Clin Exp Immunol. 2011 Jan; 163(1): 77-8に記載されるように、B and T lymphocyte attenuator(BTLA)に対する分子であり得る。
【0120】
化学療法薬
本明細書で企図されるように、選択的、即効性、短半減期CDK4/6阻害剤の特定時限の投与は、いずれの標準的化学療法薬治療法と組み合わせ、さらに免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせることもできる。
【0121】
一つの実施形態では、化学療法薬は、免疫エフェクター細胞に毒性がある。一つの実施形態では、化学療法薬は細胞成長を阻害する。一つの実施形態では、投与される細胞傷害性化学療法薬は、DNA損傷化学療法薬である。一つの実施形態では、化学療法薬は、タンパク質合成阻害剤、DNA損傷化学療法薬、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤、RNA合成阻害剤、DNA複合体結合剤、チオラートアルキル化剤、グアニンアルキル化剤、チューブリン結合剤、DNAポリメラーゼ阻害剤、抗癌酵素、RAC1阻害剤、チミジル酸シンターゼ阻害剤、オキシアゾホスホリン化合物、インテグリン阻害剤(例えば、シレンジチド、カンプトテシンもしくはホモカンプトテシン)、葉酸拮抗剤または葉酸代謝拮抗剤である。
【0122】
細胞傷害性化学療法薬
細胞傷害性DNA損傷化学療法薬は非特異的である傾向があり、特に、高用量では、HSPCおよび免疫エフェクター細胞などの正常な急速に分裂する細胞に対して毒性がある。本明細書で使用する場合、用語「DNA損傷」化学療法または化学療法薬は、望ましくない細胞、例えば、癌細胞の成長または増殖を低減または抑制するための細胞増殖抑制剤または細胞傷害性薬剤(すなわち、化合物)による処置を指し、薬剤の細胞傷害作用は、核酸のインターカレーションもしくは結合、DNAもしくはRNAのアルキル化、RNAもしくたはDNA合成の阻害、別の核酸関連活性(例えば、タンパク質合成)の阻害、または他のいずれかの細胞傷害作用のうち1以上の結果であり得る。このような化合物としては、限定されるものではないが、細胞を死滅させることができるDNA損傷化合物が含まれる。「DNA損傷」化学療法薬としては、限定されるものではないが、アルキル化剤、DNAインターカレーター、タンパク質合成阻害剤、DNAまたはRNAの合成阻害剤、DNA塩基類似体、トポイソメラーゼ阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、およびテロメアDNA 結合化合物が含まれる。例えば、アルキル化剤としては、ブスルファン、インプロスルファン、およびピポスルファンなどのスルホン酸アルキル;ベンゾジゼパ、カルボコン、メツレデパ、およびウレデパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、およびトリメチロールメラミンなどのエチレンイミンおよびメチルメラミン;クロラムブシル、クロルナファジン、シクロホスファミド、エストラムスチン、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、およびウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;ならびにカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチンなどのニトロソ尿素が含まれる。他のDNA損傷化学療法薬としては、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、およびストレプトゾシンが含まれる。化学療法用代謝拮抗物質としては、ゲムシタビン、メルカプトプリン、チオグアニン、クラドリビン、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル(5-FU)、フロクスウリジン、シタラビン、ペントスタチン、メトトレキサート、アザチオプリン、アシクロビル、アデニンβ-1-D-アラビノシド、アメトプテリン、アミノプテリン、2-アミノプリン、アフィジコリン、8-アザグアニン、アザセリン、6-アザウラシル、2’-アジド-2’-デオキシヌクレオシド、5-ブロモデオキシシチジン、シトシンβ-1-D-アラビノシド、ジアゾオキシノルロイシン、ジデオキシヌクレオシド、5-フルオロデオキシシチジン、5-フルオロデオキシウリジン、およびヒドロキシ尿素が含まれる。
【0123】
化学療法薬用タンパク質合成阻害剤としては、アブリン、アウリントリカルボン酸、クロラムフェニコール、コリシンE3、シクロヘキシミド、ジフテリア毒素、エデインA、エメチン、エリスロマイシン、エチオニン、フルオリド、5-フルオロトリプトファン、フシジン酸、グアニリルメチレン二ホスホン酸およびグアニリルイミド二リン酸、カナマイシン、カスガマイシン、キロマイシン、およびO-メチルトレオニンが含まれる。さらなるタンパク質合成阻害剤としては、モデクシン、ネオマイシン、ノルバリン、パクタマイシン、パロモマイシン、ピューロマイシン、リシン、志賀毒素、ショードマイシン、スパルソマイシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、テトラサイクリン、チオストレプトン、およびトリメトプリムが含まれる。
【0124】
DNA合成の阻害剤としては、硫酸ジメチル、窒素および硫黄マスタードなどのアルキル化剤;アクリジン色素、アクチノマイシン、アントラセン、ベンゾピレン、臭化エチジウム、二ヨウ化プロピジウムインターツウィニング(propidium diiodide-intertwining)などのインターカレート剤;ならびにジスタマイシンおよびネトロプシンなどの他の薬剤が含まれる。イリノテカン、テニポシド、クメルマイシン、ナリジクス酸、ノボビオシン、およびオキソリン酸などのトポイソメラーゼ阻害剤;コルセミド、ミトキサントロン、コルヒチン、ビンブラスチン、およびビンクリスチンを含む細胞分裂阻害剤;ならびにアクチノマイシンD、α-アマニチンおよびその他の真菌アマトキシン、コルジセピン(3’-デオキシアデノシン)、ジクロロリボフラノシルベンズイミダゾール、リファンピシン、ストレプトバリシン、およびストレプトリジギンを含むRNA合成阻害剤もDNA損傷化合物として使用可能である。
【0125】
一つの実施形態では、化学療法薬は、カンプトテシン、またはエトポシドなどのDNA複合体結合剤;ニトロソ尿素、BCNU、CCNU、ACNU、またはフォテムスチンなどのチオラートアルキル化剤;テモゾロミドなどのグアニンアルキル化剤;ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビンフルニン、クリプトフィシン52、ハリコンドリン(例えば、ハリコンドリンB)、ドラスタチン(例えば、ドラスタチン10およびドラスタチン15)、ヘミアスタリン(例えば、ヘミアスタリンAおよびヘミアスタリンB)、コルヒチン、コンブレスタチン、2-メトキシエストラジオール、E7010、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロン、ディスコデルモリドなどのチューブリン結合剤;シタラビンなどのDNAポリメラーゼ阻害剤;アスパラギナーゼなどの抗癌酵素;6-チオグアニンなどのRac1阻害剤;カペシタビンまたは5-FUなどのチミジル酸シンターゼ阻害剤;サイトキサンなどのオキシアゾホスホリン化合物;シレンジチドなどのインテグリン阻害剤;プララトレキサートなどの葉酸拮抗剤;ペメトレキセドなどの葉酸代謝拮抗剤;またはカンプトテシンもしくはホモカンプトテシン、例えば、ジフロモテカンである。
【0126】
一つの実施形態では、トポイソメラーゼ阻害剤は、I型阻害剤である。別の実施形態では、トポイソメラーゼ阻害剤は、II型阻害剤である。
【0127】
毒性作用が今回開示されている選択的CDK4/6阻害剤によって緩和され得る他のDNA損傷化学療法薬としては、限定されるものではないが、シスプラチン、過酸化水素、カルボプラチン、プロカルバジン、イフォスファミド、ブレオマイシン、プリカマイシン、タキソール、トランスプラチナ、チオテパ、およびオキサリプラチンなど、ならびに同様の作用型の薬剤が含まれる。一つの実施形態では、DNA損傷化学療法薬は、シスプラチン、カルボプラチン、カンプトテシン、およびエトポシドからなる群から選択される。
【0128】
他の好適な化学療法薬としては、限定されるものではないが、放射性分子、毒素(細胞毒素または細胞傷害性薬剤とも呼ばれ、これには、細胞の生存力に有害ないずれかの薬剤、複数の薬剤、および化学療法化合物を含有するリポソームまたはその他の小胞が含まれる)が含まれる。一般的な抗癌医薬剤としては、ビンクリスチン(オンコビン(Oncovin)(商標))、リポソームビンクリスチン(マルキボ(Marqibo)(商標))、ドキソルビシン(アドリアマイシン(Adriamycin)(商標))、シタラビン(シトシンアラビノシド、ara-C、またはシトサール(Cytosar)(商標))、L-アスパラギナーゼ(エルスパール(Elspar)(商標))またはPEG-L-アスパラギナーゼ(ペグアスパラガーゼまたはオンキャスパー(Oncaspar)(商標))、エトポシド(VP-16)、テニポシド(ブモン(Vumon)(商標))、6-メルカプトプリン(6-MPまたはプリントール(Purinethol)(商標))、プレドニゾン、およびデキサメタゾン(デカドロン(Decadron))が含まれる。さらなる好適な化学療法薬の例としては、限定されるものではないが、5-フルオロウラシル、ダカルバジン、アルキル化剤、アントラマイシン(AMC))、有糸分裂阻害剤、シス-ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、ジアミノジクロロ白金、アントラサイクリン、抗生物質、代謝拮抗物質、アスパラギナーゼ、BCG生菌(膀胱腔内)、硫酸ブレオマイシン、カリケアマイシン、サイトカラシンB、ダクチノマイシン(旧称アクチノマイシン)、ダウノルビシンHCl、クエン酸ダウノルビシン、デニロイキンディフチトクス、ジヒドロキシアントラシンジオン、ドセタキセル、ドキソルビシンHCl、大腸菌L-アスパラギナーゼ、エルウィニアL-アスパラギナーゼ、エトポシドシトロボラム因子、エリン酸トポシド、ゲムシタビンHCl、イダルビシンHCl、インターフェロンα-2b、イリノテカンHCl、メイタンシノイド、メクロレタミンHCl、メルファランHCl、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトタン、パクリタキセル、カルムスチンインプラントを伴うポリフェプロザン20、プロカルバジンHCl、ストレプトゾトシン、テニポシド、チオテパ、トポテカンHCl、バルルビシン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、および酒石酸ビノレルビンが含まれる。
【0129】
本発明とともに使用するためのさらなる細胞傷害性化学療法薬としては、エピルビシン、アブラキサン、タキソテール、エポチロン、タフルポシド、ビスモデギブ、アザシチジン、ドキシフルリジン、ビンデシン、およびビノレルビンが挙げられる。
【0130】
一つの実施形態では、化学療法薬は、アロマターゼ阻害剤ではない。一つの実施形態では、化学療法薬は、ステロイドではない。一つの実施形態では、化学療法薬は、BCR-ABL阻害剤ではない。
【0131】
一つの実施形態では、化学療法薬は、DNA複合体結合剤である。一つの実施形態では、化学療法薬は、チューブリン結合剤である。一つの実施形態では、化学療法薬は、アルキル化剤である。一つの実施形態では、化学療法薬は、チオラートアルキル化剤である。
【0132】
追加の化学療法薬
本明細書に記載されるように使用可能な追加の化学療法薬には、2-メトキシエストラジオールまたは2ME2、フィナスネート(finasunate)、エタラシズマブ(MEジ-522)、HLL1、huN901-DM1、アチプリモド、メシル酸サキナビル、リトナビル、メシル酸ネルフィナビル、硫酸インジナビル、プリチデプシン、P276-00、チピファルニブ、レナリドマイド、サリドマイド、ポマリドミド、シンバスタチン、およびセレコキシブを含み得る。本発明において有用な化学療法薬としては、限定されるものではないが、トラスツズマブ(ハーセプチン(Herceptin))(商標))、ペルツズマブ(パージェタ(Perjeta)(商標))、ラパチニブ(タイケルブ(Tykerb)(商標))、ゲフィチニブ(イレッサ(Iressa)(商標))、エルロチニブ(タルセバ(Tarceva)(商標))、セツキシマブ(エルビタックス(Erbitux)(商標))、パニツムマブ(ベクティビックス(Vectibix)(商標))、バンデタニブ(カプレルサ(Caprelsa)(商標))、ベムラフェニブ(ゼルボラフ(Zelboraf)(商標))、ボリノスタット(ゾリンザ(Zolinza)(商標))、ロミデプシン(イストダックス(Istodax)(商標))、ベキサロテン(ターグレチン(Targretin)(商標))、アリトレチノイン(パンレチン(Panretin)(商標))、トレチノイン(ベサノイド(Vesanoid)(商標))、カルフィルゾミブ(カイプロリス(Kyprolis)(商標))、プララトレキサート(フォロチン(Folotyn)(商標))、ベバシズマブ(アバスチン(Avastin)(商標))、Ziv-アフリバーセプト(ザルトラップ(Zaltrap)(商標))、ソラフェニブ(ネクサバール(Nexavar)(商標))、スニチニブ(スーテント(Sutent)(商標))、パゾパニブ(ボトリエント(Votrient)(商標))、レゴラフェニブ(スチバーガ(Stivarga)(商標))、およびカボザンチニブ(コメトリク(Cometriq)(商標))が含まれる。
【0133】
企図されるさらなる化学療法薬としては、限定されるものではないが、カルシニュリン阻害剤、例えば、シクロスポリンまたはアスコマイシン、例えば、シクロスポリンA(ネオーラル(Neoral)(商標))、FK506(タクロリムス)、ピメクロリムス、mTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはその誘導体、例えば、シロリムス(ラパミューン(Rapamune)(商標))、エベロリムス(サーティカン(Certican)(商標))、テムシロリムス、ゾタロリムス、バイオリムス-7、バイオリムス-9、ラパログ、例えば、リダフォロリムス、キャンパス1H、S1P受容体調整剤、二重mTORC1・mTORC2阻害剤、例えば、ビスツセルチブ(Vistusertib)(AZD2014)、例えば、フィンゴリモドまたはその類似体、抗IL-8抗体、ミコフェノール酸またはその塩、例えば、ナトリウム塩、またはそのプロドラッグ、例えば、ミコフェノール酸モフェチル(セルセプト(CellCept)(商標))、OKT3(オルソクローンOKT3(商標))、プレドニゾン、ATGAM(商標)、サイモグロブリン(商標)、ブレキナルナトリウム、OKT4、T10B9.A-3A、33B3.1、15-デオキシスペルグアリン、トレスペリムス(tresperimus)、レフルノミドアラバ(Leflunomide Arava)(商標)、抗CD25、抗IL2R、バシリキシマブ(Basiliximab)(シムレクト(Simulect)(商標))、ダクリズマブ(ゼナパックス(Zenapax)(商標))、ミゾリビン、デキサメタゾン、ISAtx-247、SDZ ASM 981(ピメクロリムス、エリデル(Elidel)(商標))、アバタセプト、ベラタセプト、LFA3lg、エタネルセプト(ImmuneXciteによりエンブレル(Enbrel)(商標)として販売)、アダリムマブ(ヒュミラ(Humira)(商標))、インフリキシマブ(レミケード(Remicade)(商標))、抗LFA-1抗体、ナタリズマブ(アンテグレン(Antegren)(商標))、エンリモマブ(Enlimomab)、ガビリモマブ、ゴリムマブ、抗胸腺細胞免疫グロブリン、シプリズマブ、アレファセプト、エファリズマブ、ペンタサ(Pentasa)、メサラジン、アサコール、リン酸コデイン、ベノリレート、フェンブフェン、ナプロシン、ジクロフェナク、エトドラク、インドメタシン、ダサチニブ(スプリセル(Sprycel)(商標))ニロチニブ(タシグナ(Tasigna)(商標))、ボスチニブ(ボシュリフ(Bosulif)(商標))、メシル酸イマチニブ(グリベック(Gleevec)(商標))およびポナチニブ(アイクルシグ(Iclusig)(商標))アミフォスチン、メシル酸ドラセトロン、ドロナビノール、エポエチン-α、エチドロネート、フィルグラスチム、フルコナゾール、酢酸ゴセレリン、グラミシジンD、グラニセトロン、ロイコボリンカルシウム、リドカイン、メスナ、オンダンセトロンHCl、ピロカルピンHCl、ポルフィマーナトリウム、バタラニブ、1-デヒドロテストステロン、アロプリノールナトリウム、ベタメタゾン、リン酸ナトリウムおよび酢酸ベタメタゾン、カルシウムロイコボリン、結合型エストロゲン、デクスラゾキサン、ジブロモマンニトール、エステル化エストロゲン、エストラジオール、リン酸エストラムスチンナトリウム、エチニルエストラジオール、フルタミド、フォリン酸、グルココルチコイド、酢酸ロイプロリド、レバミゾールHCl、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メチルテストステロン、ニルタミド、酢酸オクトレオチド、パミドロン酸二ナトリウム、プロカイン、プロプラノロール、テストラクトン、テトラカイン、クエン酸トレミフェン、およびサルグラモスチムが含まれる。
【0134】
一つの実施形態では、化学療法薬は、タモキシフェン、ラロキシフェン、フルベストラント、アノルドリン、バゼドキシフェン、ブロパルエストリオール(broparestriol)、クロロトリアニセン、クエン酸クロミフェン、シクロフェニル、ラソフォキシフェン、オルメロキシフェン、もしくはトレミフェンなどのエストロゲン受容体リガンド;ビカルタミド、エンザルタミド、アパルタミド、酢酸シプロテロン、酢酸クロルマジノン、スピロノラクトン、カンレノン、ドロスピレノン、ケトコナゾール、トピルタミド、酢酸アビラテロン、もしくはシメチジンなどのアンドロゲン受容体リガンド;レトロゾール、アナストロゾール、もしくはエキセメスタンなどのアロマターゼ阻害剤;プレドニゾンなどの抗炎症薬;アロプリノールなどのオキシダーゼ阻害剤;抗癌抗体;抗癌モノクローナル抗体;ルカツムマブもしくはダセツズマブなどのCD40に対する抗体;リツキシマブなどのCD20に対する抗体;アレムツズマブなどのCD52結合抗体;ボロシキシマブもしくはナタリズマブなどのインテグリン結合抗体;トシリズマブなどのインターロイキン-6受容体に対する抗体;アルデスロイキンなどのインターロイキン-2模倣薬;フィギツムマブなどのIGF1標的抗体;マパツムマブなどのDR4標的抗体;レクサツムマブもしくはドゥラネルミンなどのTRAIL-R2標的抗体;アタシセプトなどの融合タンパク質;アタシセプトなどのB細胞阻害剤;カルフィルゾミブ、ボルテゾミブ、もしくはマリゾミブなどのプロテアソーム阻害剤;タネスピマイシンなどのHSP90阻害剤;ボリノスタット、ベリノスタットもしくはパノビスタットなどのHDAC阻害剤;タルマピモドなどのMAPKリガンド;エンザスタウリンなどのPKC阻害剤;トラスツズマブ、ラパチニブ、もしくはペルツズマブなどのHER2受容体リガンド;ゲフィチニブ、エルロチニブ、セツキシマブ、パニツムマブ、もしくはバンデタニブなどのEGFR阻害剤;ロミデプシンなどの天然物;ベキサロテン、トレチノイン、もしくはアリトレチノインなどのレチノイド;スニチニブ、レゴラフェニブ、もしくはパゾパニブなどの受容体チロシンキナーゼ(RTK)阻害剤;またはziv-アフリバーセプト、ベバシズマブもしくはドビチニブなどのVEGF阻害剤である。
【0135】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤、化学療法薬、および免疫チェックポイント阻害剤の組合せを、限定されるものではないが、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF、例えば、ニューポゲン(Neupogen)(商標)(フィルグラスチム)、ニューラスタ(Neulasta)(商標)(ペグフィルグラスチム)、またはレノグラスチムとして販売)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF、例えば、モルグラモスチムおよびサルグラモスチム(ロイキン(Leukine)(商標))として販売)、M-CSF(マクロファージコロニー刺激因子)、トロンボポエチン(巨核球成長発達因子(megakaryocyte growth development factor)(MGDF)、例えば、ロミプロスチム(Romiplostim)(商標)およびエルトロンボパグ(Eltrombopag)(商標)として販売)、インターロイキン(IL)-12、インターロイキン-3、インターロイキン-11(脂肪生成阻害因子またはオプレルベキン)、SCF(幹細胞因子、steel因子、kit-リガンド、またはKL)およびエリスロポエチン(EPO)、およびそれらの誘導体(例えば、ダルベポエチン(Darbepoetin)、エポセプト(Epocept)、ナノカイン(Nanokine)、エポフィット(Epofit)、エポジェン(Epogen)、エポプレックス(Eprex)、およびプロクリット(Procrit)などのエポエチン-αとして販売);エポエチン-β(例えば、ネオレコルモン(NeoRecormon)、レコルモン(Recormon)およびミセラ(Micera)として販売)、エポエチン-δ(例えば、ダイネポ(Dynepo)として販売)、エポエチン-ω(例えば、エポマックス(Epomax)として販売)、エポエチンζ(例えば、シラポ(Silapo)およびレタクリット(Retacrit)として販売)ならびに例えば、エポセプト(Epocept)、エポトラスト(Epotrust)、エリプロセーフ(Erypro Safe)、レポイチン(Repoitin)、ヴィントール(Vintor)、エポフィット(Epofit)、エリキン(Erykine)、ウェポックス(Wepox)、エスポゲン(Espogen)、レリポエチン(Relipoietin)、シャン
ポエチン(Shanpoietin)、ジロップ(Zyrop)およびEPIAO)を含む造血成長因子の使用とさらに組み合わせる。一つの実施形態では、化合物I、化合物II、化合物III、または化合物IVは、造血成長因子の投与前に投与される。一つの実施形態では、造血成長因子の投与は、HSPCに対するCDK4/6阻害剤の作用が消失したような時機とする。一つの実施形態では、成長因子は、CDK4/6阻害剤の投与の少なくとも20時間後に投与される。
【0136】
本明細書において、特に、乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、または子宮癌などの雌性の生殖系の異常組織の処置において企図される追加の化学療法薬としては、限定されるものではないが、SERM(選択的エストロゲン受容体調整剤)、SERD(選択的エストロゲン受容体分解剤)、完全エストロゲン受容体分解剤、または別の形態の部分的もしくは完全エストロゲン拮抗剤を含むエストロゲン阻害剤が含まれる。ラロキシフェンおよびタモキシフェンのような部分的抗エストロゲン作用薬は、子宮成長のエストロゲン様刺激、また、場合によっては、実際に腫瘍成長を刺激する乳癌進行中のエストロゲン様作用を含むいくつかのエストロゲン様作用を保持する。これに対し、完全抗エストロゲン作用薬であるフルベストラントは、子宮に対するエストロゲン様作用は無く、タモキシフェン耐性腫瘍に有効である。抗エストロゲン化合物の限定されない例は、Astra Zenecaに譲渡されたWO2014/19176、Olema Pharmaceuticalsに譲渡されたWO2013/090921、WO2014/203129、WO2014/203132、およびUS2013/0178445、ならびに米国特許第9,078,871号、同第8,853,423号、および同第8,703,810号、ならびにUS2015/0005286、WO2014/205136、およびWO2014/205138に示されている。抗エストロゲン化合物のさらなる限定されない例としては、アノルドリン、バゼドキシフェン、ブロパルエストリオール(broparestriol)、クエン酸クロミフェン、シクロフェニル、ラソフォキシフェン、オルメロキシフェン、ラロキシフェン、タモキシフェン、トレミフェン、およびフルベストラントなどのSERMS;アミノグルテチミド、テストラクトン、アナストロゾール、エキセメスタン、ファドロゾール、フォルメスタン、およびレトロゾールなどのアロマターゼ阻害剤;ならびにロイプロレリン、セトロレリクス、アリルエストレノール、酢酸クロロマジノン、酢酸デルマジノン、ジドロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸ノメゲストロール、酢酸ノルエチステロン、プロゲステロン、およびスピロノラクトンなどの抗ゴナドトロピンが挙げられる。
【0137】
本明細書において、特に、前立腺癌または精巣癌などの雄性生殖系の異常組織の処置において企図されるさらなる化学療法薬としては、限定されるものではないが、限定されるものではないが、選択的アンドロゲン受容体調整剤、選択的アンドロゲン受容体分解剤、完全アンドロゲン受容体分解剤、または別の形態の部分的もしくは完全アンドロゲン拮抗剤を含むアンドロゲン(例えば、テストステロン)阻害剤が含まれる。一つの実施形態では、前立腺癌または精巣癌は、アンドロゲン耐性である。抗アンドロゲン化合物の限定されない例は、WO2011/156518および米国特許第8,455,534号および同第8,299,112号に示されている。抗アンドロゲン化合物のさらなる限定されない例としては、酢酸クロルマジノン、スピロノラクトン、カンレノン、ドロスピレノン、ケトコナゾール、トピルタミド、酢酸アビラテロン、およびシメチジンが含まれる。
【0138】
化学療法薬には、限定されるものではないが、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害剤、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤、または脾臓チロシンキナーゼ(Syk)阻害剤、またはそれらの組合せを含むキナーゼ阻害剤を含み得る。
【0139】
PI3k阻害剤は周知である。PI3キナーゼ阻害剤の例としては、限定されるものではないが、ワートマニン、デメトキシビリジン、ペリフォシン、イデラリシブ、ピクチリシブ、パロミド529、ZSTK474、PWT33597、CUDC-907、およびAEZS-136、デュベリシブ、GS-9820、GDC-0032(2-[4-[2-(2-イソプロピル-5-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-d][1,4]ベンゾキシアゼピン-9-イル]ピラゾール-1-イル]-2-メチルプロパンアミド)、MLN-1117((2R)-1-フェノキシ-2-ブタニル水素(S)-メチルホスホナート;またはメチル(オキソ){[(2R)-l-フェノキシ-2-ブタニル]オキシ}ホスホニウム))、BYL-719((2S)-N1-[4-メチル-5-[2-(2,2,2-トリフルオロ-1,1-ジメチルエチル)-4-ピリジニル]-2-チアゾリル]-1,2-ピロリジンジカルボキサミド)、GSK2126458(2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド)、TGX-221((±)-7-メチル-2-(モルホリン-4-イル)-9-(l-フェニルアミノエチル)-ピリド[l,2-a]-ピリミジン-4-オン)、GSK2636771(2-メチル-1-(2-メチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-モルホリノ-lH-ベンゾ[d]イミダゾール-4-カルボン酸二塩酸)、KIN-193((R)-2-((l-(7-メチル-2-モルホリノ-4-オキソ-4H-ピリド[1,2-a]ピリミジン-9-イル)エチル)アミノ)安息香酸)、TGR-1202/RP5264、GS-9820((S)-l-(4-((2-(2-アミノピリミジン-5-イル)-7-メチル-4-モヒドロキシプロパン(mohydroxypropan)-1-オン)、GS-1101(5-フルオロ-3-フェニル-2-([S)]-1-[9H-プリン-6-イルアミノ]-プロピル)-3H-キナゾリン-4-オン)、AMG-319、GSK-2269557、SAR245409(N-(4-(N-(3-((3,5-ジメトキシフェニル)アミノ)キノキサリン-2-イル)スルファモイル)フェニル)-3-メトキシ-4メチルベンズアミド)、BAY80-6946(2-アミノ-N-(7-メトキシ-8-(3-モルホリノプロポキシ)-2,3-ジヒドロイミダゾ[l,2-c]キナズ)、AS 252424(5-[l-[5-(4-フルオロ-2-ヒドロキシ-フェニル)-フラン-2-イル]-メト-(Z)-イリデン]-チアゾリジン-2,4-ジオン)、CZ 24832(5-(2-アミノ-8-フルオロ-[l,2,4]トリアゾロ[l,5-a]ピリジン-6-イル)-N-tert-ブチルピリジン-3-スルホンアミド)、ブパルリシブ(5-[2,6-ジ(4-モルホリニル)-4-ピリミジニル]-4-(トリフルオロメチル)-2-ピリジンアミン)、GDC-0941(2-(lH-インダゾール-4-イル)-6-[[4-(メチルスルホニル)-l-ピペラジニル]メチル]-4-(4-モルホリニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン)、GDC-0980((S)-1-(4-((2-(2-アミノピリミジン-5-イル)-7-メチル-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6イル)メチル)ピペラジン-l-イル)-2-ヒドロキシプロパン-l-オン(RG7422としても知られる))、SF1126((8S,14S,17S)-14-(カルボキシメチル)-8-(3-グアニジノプロピル)-17-(ヒドロキシメチル)-3,6,9,12,15-ペンタオキソ-1-(4-(4-オキソ-8-フェニル-4H-クロメン-2-イル)モルホリノ-4-イウム)-2-オキサ-7,10,13,16-テトラアザオクタデカン-18-オアート)、PF-05212384(N-[4-[[4-(ジメチルアミノ)-1-ピペリジニル]カルボニル]フェニル]-N’-[4-(4,6-ジ-4-モルホリニル-l,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]尿素)、LY3023414、BEZ235(2-メチル-2-{4-[3-メチル-2-オキソ-8-(キノリン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-lH-イミダゾ[4,5-c]キノリン-l-イル]フェニル}プロパンニトリル)、XL-765(N-(3-(N-(3-(3,5-ジメトキシフェニルアミノ)キノキサリン-2-イル)スルファモイル)フェニル)-3-メトキシ-4-メチルベンズアミド)、およびGSK1059615(5-[[4-(4-ピリジニル)-6-キノリニル]メチレン]-2,4-チアゾリデンジオン)、PX886([(3aR,6E,9S,9aR,10R,11aS)-6-[[ビス(プロパ-2-エニル)アミノ]メチリデン]-5-ヒドロキシ-9-(メトキシメチル)-9a,11a-ジメチル-l,4,7-トリオキソ-2,3,3a,9,10,ll-ヘキサヒドロインデノ[4,5h]イソクロメン-10-イル]アセタート(ソノリシブとしても知られる))、および式を有するWO2014/071109に記載の構造が挙げられる。
【0140】
BTK阻害剤は周知である。BTK阻害剤の例としては、イブルチニブ(PCI-32765としても知られる)(イムブルビカ(Imbruvica)(商標))(1-[(3R)-3-[4-アミノ-3-(4-フェノキシ-フェニル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]ピペリジン-1-イル]プロパ-2-エン-1-オン)、ジアニリノピリミジン系阻害剤{例えば、AVL-101およびAVL-291/292(N-(3-((5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)アミノ)フェニル)アクリルアミド)(Avila Therapeutics)(全内容が本明細書の一部とされる米国特許出願公開第2011/0117073号参照)}、ダサチニブ([N-(2-クロロ-6-メチルフェニル)-2-(6-(4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル)-2-メチルピリミジン-4-イルアミノ)チアゾール-5-カルボキサミド]、LFM-A13(α-シアノ-β-ヒドロキシ-β-メチル-N-(2,5-iブロモフェニル(ibromophenyl))プロパンアミド)、GDC-0834([R-N-(3-(6-(4-(1,4-ジメチル-3-オキソピペラジン-2-イル)フェニルアミノ)-4-メチル-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラジン-2-イル)-2-メチルフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキサミド]、CGI-560 4-(tert-ブチル)-N-(3-(8-(フェニルアミノ)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-イル)フェニル)ベンズアミド、CGI-1746(4-(tert-ブチル)-N-(2-メチル-3-(4-メチル-6-((4-(モルホリン-4-カルボニル)フェニル)アミノ)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラジン-2-イル)フェニル)ベンズアミド)、CNX-774(4-(4-((4-((3-アクリルアミドフェニル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-2-イル)アミノ)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミド)、CTA056(7-ベンジル-1-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(4-(ピリジン-4-イル)フェニル)-1H-イミダゾ[4,5-g]キノキサリン-6(5H)-オン)、GDC-0834((R)-N-(3-(6-((4-(1,4-ジメチル-3-オキソピペラジン-2-イル)フェニル)アミノ)-4-メチル-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラジン-2-イル)-2-メチルフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキサミド)、GDC-0837((R)-N-(3-(6-((4-(1,4-ジメチル-3-オキソピペラジン-2-イル)フェニル)アミノ)-4-メチル-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラジン-2-イル)-2-メチルフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキサミド)、HM-71224、ACP-196、ONO-4059(Ono Pharmaceuticals)、PRT062607(4-((3-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル)アミノ)-2-(((1R,2S)-2-アミノシクロヘキシル)アミノ)ピリミジン-5-カルボキサミド塩酸塩)、QL-47(1-(1-アクリロイルインドリン-6-イル)-9-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ベンゾ[h][1,6]ナフチリジン-2(1H)-オン)、およびRN486(6-シクロプロピル-8-フルオロ-2-(2-ヒドロキシメチル-3-{1-メチル-5-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-ピリジン-2-イルアミノ]-6-オキソ-1,6-ジヒドロ-ピリジン-3-イル}-フェニル)-2H-イソキノリン-1-オン)、およびBTK活性を阻害し得るその他の分子、例えば、全内容が引用することにより本明細書の一部とされるAkinleye et ah, Journal of Hematology & Oncology, 2013, 6:59に開示されているBTK阻害剤が挙げられる。
【0141】
Syk阻害剤は周知であり、例えば、セルデュラチニブ(4-(シクロプロピルアミノ)-2-((4-(4-(エチルスルホニル)ピペラジン-1-イル)フェニル)アミノ)ピリミジン-5-カルボキサミド)、エントスプレチニブ(6-(1H-インダゾール-6-イル)-N-(4-モルホリノフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-アミン)、フォスタマチニブ([6-({5-フルオロ-2-[(3,4,5-トリメトキシフェニル)アミノ]-4-ピリミジニル}アミノ)-2,2-ジメチル-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-4H-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-4-イル]メチル二水素リン酸塩)、フォスタマチニブ二ナトリウム塩(ナトリウム(6-((5-フルオロ-2-((3,4,5-トリメトキシフェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)アミノ)-2,2-ジメチル-3-オキソ-2H-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-4(3H)-イル)メチルリン酸塩)、BAY 61-3606(2-(7-(3,4-ジメトキシフェニル)-イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イルアミノ)-ニコチンアミドHCl)、RO9021(6-[(1R,2S)-2-アミノ-シクロヘキシルアミノ]-4-(5,6-ジメチル-ピリジン-2-イルアミノ)-ピリダジン-3-カルボン酸アミド)、イマチニブ(グリベック(Gleevec);4-[(4-メチルピペラジン-1-イル)メチル]-N-(4-メチル-3-{[4-(ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)ベンズアミド)、スタウロスポリン、GSK143(2-(((3R,4R)-3-アミノテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-4-(p-トリルアミノ)ピリミジン-5-カルボキサミド)、PP2(1-(tert-ブチル)-3-(4-クロロフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン)、PRT-060318(2-(((1R,2S)-2-アミノシクロヘキシル)アミノ)-4-(m-トリルアミノ)ピリミジン-5-カルボキサミド)、PRT-062607(4-((3-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル)アミノ)-2-(((1R,2S)-2-アミノシクロヘキシル)アミノ)ピリミジン-5-カルボキサミド塩酸塩)、R112(3,3’-((5-フルオロピリミジン-2,4-ジイル)ビス(アザンジイル))ジフェノール)、R348(3-エチル-4-メチルピリジン)、R406(6-((5-フルオロ-2-((3,4,5-トリメトキシフェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)アミノ)-2,2-ジメチル-2H-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-3(4H)-オン)、YM193306(Singh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643参照)、7-アザインドール、ピセアタンノール、ER-27319(全内容が本明細書の一部とされるSingh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643参照)、化合物D(全内容が本明細書の一部とされるSingh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643参照)、PRT060318(全内容が本明細書の一部とされるSingh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643参照)、ルテオリン(全内容が本明細書の一部とされるSingh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643参照)、アピゲニン(全内容が本明細書の一部とされるSingh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643参照)、ケルセチン(全内容が本明細書の一部とされるSingh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643参照)、フィセチン(全内容が本明細書の一部とされるSingh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643参照)、ミリセチン(全内容が本明細書の一部とされるSingh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643参照)、モリン(全内容が本明細書の一部とされるSingh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643参照)が挙げられる。
【0142】
化学療法薬はまた、B細胞リンパ腫2(Bcl-2)タンパク質阻害剤であり得る。BCL-2阻害剤は当技術分野で公知であり、例えば、ABT-199(4-[4-[[2-(4-クロロフェニル)-4,4-ジメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル]メチル]ピペラジン-l-イル]-N-[[3-ニトロ-4-[[(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル]アミノ]フェニル]スルホニル]-2-[(lH-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)オキシ]ベンズアミド)、ABT-737(4-[4-[[2-(4-クロロフェニル)フェニル]メチル]ピペラジン-1-イル]-N-[4-[[(2R)-4-(ジメチルアミノ)-1-フェニルスルファニルブタン-2-イル]アミノ]-3-ニトロフェニル]スルホニルベンズアミド)、ABT-263((R)-4-(4-((4’-クロロ-4,4-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-[l,l’-ビフェニル]-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-N-((4-((4-モルホリノ-1-(フェニルチオ)ブタン-2-イル)アミノ)-3((トリフルオロメチル)スルホニル)フェニル)スルホニル)ベンズアミド)、GX15-070(メシル酸オバトクラックス、(2Z)-2-[(5Z)-5-[(3,5-ジメチル-lH-ピロール-2-イル)メチリデン]-4-メトキシピロール-2-イリデン]インドール;メタンスルホン酸)))、2-メトキシ-アンチマイシンA3、YC137(4-(4,9-ジオキソ-4,9-ジヒドロナフト[2,3-d]チアゾール-2-イルアミノ)-フェニルエステル)、ポゴシン、2-アミノ-6-ブロモ-4-(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチル)-4H-クロメン-3-カルボン酸エチル、ニロチニブ-d3、TW-37(N-[4-[[2-(1,1-ジメチルエチル)フェニル]スルホニル]フェニル]-2,3,4-トリヒドロキシ-5-[[2-(1-メチルエチル)フェニル]メチル]ベンズアミド)、アポゴシポロン(ApoG2)、またはG3139(オブリメルセン(Oblimersen))が挙げられる。
【0143】
本明細書において企図される方法で使用するためのさらなる化学療法薬としては、限定されるものではないが、ミダゾラム、MEK阻害剤、RAS阻害剤、ERK阻害剤、ALK阻害剤、HSP阻害剤(例えば、HSP70およびHSP90阻害剤、またはそれらの組合せ)、RAF阻害剤、アポトーシス化合物、トポイソメラーゼ阻害剤、AKT阻害剤(限定されるものではないが、MK-2206、GSK690693、ペリフォシン、(KRX-0401)、GDC-0068、トリシリビン、AZD5363、ホノキオール(Honokiol)、PF-04691502、およびミルテホシン(Miltefosine)を含む)、またはFLT-3阻害剤(限定されるものではないが、P406、ドビチニブ(Dovitinib)、キザルチニブ(Quizartinib)(AC220)、アムバチニブ(Amuvatinib)(MP-470)、タンデュチニブ(Tandutinib)(MLN518)、ENMD-2076、およびKW-2449を含む)、またはそれらの組合せが挙げられる。MEK阻害剤の例としては、限定されるものではないが、トラメチニブ/GSKl120212(N-(3-{3-シクロプロピル-5-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-6,8-ジメチル-2,4,7-トリオキソ-3,4,6,7-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-l(2H-イル}フェニル)アセトアミド)、セルメチニブ(6-(4-ブロモ-2-クロロアニリノ)-7-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルベンズイミダゾール-5-カルボキサミド)、ピマセルチブ/AS703026/MSC1935369((S)-N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-3-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)イソニコチンアミド)、XL-518/GDC-0973(l-({3,4-ジフルオロ-2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]フェニル}カルボニル)-3-[(2S)-ピペリジン-2-イル]アゼチジン-3-オール)、ラファメチニブ/BAY869766/RDEAl19(N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド)、PD-0325901(N-[(2R)-2,3-ジヒドロキシプロポキシ]-3,4-ジフルオロ-2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-ベンズアミド)、TAK733((R)-3-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-6-フルオロ-5-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-8-メチルピリド[2,3d]ピリミジン-4,7(3H,8H)-ジオン)、MEK162/ARRY438162(5-[(4-ブロモ-2-フルオロフェニル)アミノ]-4-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-6カルボキサミド)、R05126766(3-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)-4-ピリジル]メチル]-4-メチル-7-ピリミジン-2-イルオキシクロメン-2-オン)、WX-554、R04987655/CH4987655(3,4-ジフルオロ-2-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-((3-オキソ-l,2-オキサジナン-2イル)メチル)ベンズアミド)、またはAZD8330(2-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1,5-ジメチル-6-オキソ-l,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド)が挙げられる。RAS阻害剤の例としては、限定されるものではないが、レオリシンおよびsiG12D LODERが挙げられる。ALK阻害剤の例としては、限定されるものではないが、クリゾチニブ、AP26113、およびLDK378が挙げられる。HSP阻害剤には、限定されるものではないが、ゲルダナマイシンまたは17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン(17AAG)、およびラディシコールが含まれる。
【0144】
既知のERK阻害剤としては、SCH772984(Merck/Schering-Plough)、VTX-11e(Vertex)、DEL-22379、ウリキセルチニブ(Ulixertinib)(BVD-523、VRT752271)、GDC-0994、FR180204、XMD8-92、およびERK5-IN-1が挙げられる。
【0145】
Raf阻害剤は周知であり、例えば、ベムラフェニブ(Vemurafinib)(N-[3-[[5-(4-クロロフェニル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル]カルボニル]-2,4-ジフルオロフェニル]-1-プロパンスルホンアミド)、トシル酸ソラフェニブ(4-[4-[[4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]カルバモイルアミノ]フェノキシ]-N-メチルピリジン-2-カルボキサミド;4-メチルベンゼンスルホナート)、AZ628(3-(2-シアノプロパン-2-イル)-N-(4-メチル-3-(3-メチル-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-イルアミノ)フェニル)ベンズアミド)、NVP-BHG712(4-メチル-3-(1-メチル-6-(ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イルアミノ)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド)、RAF-265(1-メチル-5-[2-[5-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール-2-イル]ピリジン-4-イル]オキシ-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズイミダゾール-2-アミン)、2-ブロモアルジシン(2-ブロモ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピロロ[2,3-c]アゼピン-4,8-ジオン)、Rafキナーゼ阻害剤IV(2-クロロ-5-(2-フェニル-5-(ピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)フェノール)、およびソラフェニブN-オキシド(4-[4-[[[[4-クロロ-3(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]フェノキシ]-N-メチル-2ピリジンカルボキサミド1-オキシド)が挙げられる。
【0146】
本発明において有用な既知のトポイソメラーゼI阻害剤としては、(S)-10-[(ジメチルアミノ)メチル]-4-エチル-4,9-ジヒドロキシ-1H-ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-3,14(4H,12H)-ジオン一塩酸塩(トポテカン)、(S)-4-エチル-4-ヒドロキシ-1H-ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-3,14-(4H,12H)-ジオン(カンプトテシン)、(1S,9S)-1-アミノ-9-エチル-5-フルオロ-1,2,3,9,12,15-ヘキサヒドロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10H,13H-ベンゾ(de)ピラノ(3’,4’:6,7)インドリジノ(1,2-b)キノリン-10,13-ジオン(エキサテカン)、(7-(4-メチルピペラジノメチレン)-10,11-エチレンジオキシ-20(S)-カンプトテシン(ルルトテカン)、または(S)-4,11-ジエチル-3,4,12,14-テトラヒドロ-4-ヒドロキシ-3,14-ジオキソ1H-ピラノ[3’,4’:6,7]-インドリジノ[1,2-b]キノリン-9-イル-[1,4’ビピペリジン]-1’-カルボキシラート(イリノテカン)、(R)-5-エチル-9,10-ジフルオロ-5-ヒドロキシ-4,5-ジヒドロオキセピノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-3,15(1H,13H)-ジオン(ジフロモテカン)、(4S)-11-((E)-((1,1-ジメチルエトキシ)イミノ)メチル)-4-エチル-4-ヒドロキシ-1,12-ジヒドロ-14H-ピラノ(3’,4’:6,7)インドリジノ(1,2-b)キノリン-3,14(4H)-ジオン(ギマテカン)、(S)-8-エチル-8-ヒドロキシ-15-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)-11,14-ジヒドロ-2H-[1,4]ジオキシノ[2,3-g]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-9,12(3H,8H)-ジオン(ルルトテカン)、(4S)-4-エチル-4-ヒドロキシ-11-[2-[(1-メチルエチル)アミノ]エチル]-1H-ピラノ[3?,4?:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-3,14(4H,12H)-ジオン(ベロテカン)、6-((1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-2,10-ジヒドロキシ-12-((2R,3R,4S,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-12,13-ジヒドロ-5H-インドロ[2,3-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール-5,7(6H)-ジオン(エドテカリン)、8,9-ジメトキシ-5-(2-N,N-ジメチルアミノエチル)-2,3-メチレンジオキシ-5H-ジベンゾ(c,h)(1,6)ナフチリジン-6-オン(トポバール)、ベンゾ[6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-11(13H)-オン(ロセッタシン(rosettacin))、(S)-4-エチル-4-ヒドロキシ-11-(2-(トリメチルシリル)エチル)-1H-ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-3,14(4H,12H)-ジオン(コシテカン)、テトラキス{(4S)-9-[([1,4’-ビピペリジニル]-1’-カルボニル)オキシ]-4,11-ジエチル-3,14-ジオキソ-3,4,12,14-テトラヒドロ-1H-ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-4-イル}N,N’,N’’,N’’’-{メタンテトライルテトラキス[メチレンポリ(オキシエチレン)オキシ(1-オキソエチレン)]}四グリシン酸四塩酸塩(エチリノテカンペゴール)、10-ヒドロキシ-カンプトテシン(HOCPT)、9-ニトロカンプトテシン(ルビテカン)、SN38(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)、および10-ヒドロキシ-9-ニトロカンプトテシン(CPT109)、(R)-9-クロロ-5-エチル-5-ヒドロキシ-10-メチル-12-((4-メチルピペリジン-1-イル)メチル)-4,5-ジヒドロオキセピノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-3,15(1H,13H)-ジオン(エルモテカン)が挙げられる。
【0147】
一つの実施形態では、化学療法薬は、アロマターゼ阻害剤ではない。一つの実施形態では、化学療法薬は、エストロゲンまたはアンドロゲン受容体作動剤または拮抗剤ではない。
【0148】
成長因子
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤、化学療法薬、およびチェックポイント阻害剤の組合せを、限定されるものではないが、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF、例えば、ニューポゲン(Neupogen)(フィルグラスチム)、ニューラスタ(Neulasta)(ペグフィルグラスチム)、またはレノグラスチムとして販売)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF、例えば、モルグラモスチムおよびサルグラモスチム(Leukine)として販売)、M-CSF(マクロファージコロニー刺激因子)、トロンボポエチン(巨核球成長発達因子(MGDF)、例えば、ロミプロスチム(Romiplostim)およびエルトロンボパグ(Eltrombopag)として販売)インターロイキン(IL)-12、インターロイキン-3、インターロイキン-11(脂肪生成阻害因子またはオプレルベキン)、SCF(幹細胞因子、steel因子、kit-リガンド、またはKL)およびエリスロポエチン(EPO)、およびそれらの誘導体(例えば、ダルベポエチン(Darbepoetin)、エポセプト(Epocept)、ナノカイン(Nanokine)、エポフィット(Epofit)、エポジェン(Epogen)、エポプレックス(Eprex)、およびプロクリット(Procrit)などのエポエチン-αとして販売);エポエチン-β(例えば、ネオレコルモン(NeoRecormon)、レコルモン(Recormon)およびミセラ(Micera)として販売)、エポエチン-δ(例えば、ダイネポ(Dynepo)として販売)、エポエチン-ω(例えば、エポマックス(Epomax)として販売)、エポエチンゼータ(例えば、シラポ(Silapo)およびレタクリット(Retacrit)として販売)ならびに例えば、エポセプト(Epocept)、エポトラスト(Epotrust)、エリプロセーフ(Erypro Safe)、レポイチン(Repoitin)、ヴィントール(Vintor)、エポフィット(Epofit)、エリキン(Erykine)、ウェポックス(Wepox)、エスポゲン(Espogen)、レリポエチン(Relipoietin)、シャンポエチン(Shanpoietin)、ジロップ(Zyrop)およびEPIAO)を含む造血成長因子の使用とさらに組み合わせる。一つの実施形態
では、化合物I、化合物II、化合物III、または化合物IVは、造血成長因子の投与前に投与される。一つの実施形態では、造血成長因子の投与は、HSPCに対するCDK4/6阻害剤の作用が消失したような時機とする。一つの実施形態では、成長因子は、CDK4/6阻害剤の投与の少なくとも20時間後に投与される。
【0149】
癌または腫瘍種
本明細書で企図されるように、化学療法薬および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせたCDK4/6阻害剤の特定時限の使用は、癌または腫瘍を有する対象の治療において使用可能である。一つの実施形態では、癌または腫瘍は、CDK4/6複製依存性癌または腫瘍である。一つの実施形態では、癌または腫瘍は、CDK4/6複製非依存性癌または腫瘍である。一つの実施形態では、癌は、固形の癌または腫瘍である。一つの実施形態では、癌または腫瘍は、非固形の癌または腫瘍である。一つの実施形態では、固形腫瘍は、PD-L1を発現する。一つの実施形態では、癌は、血液癌である。特定の側面において、癌は、白血病、リンパ腫、または多発性骨髄腫である。
【0150】
特に、本明細書に記載の方法は、Rb陽性癌またはその他のRb陽性の異常細胞増殖性疾患を有する対象を治療するために使用することができる。いくつかの実施形態では、癌または細胞増殖疾患は、CDK4/6複製依存性癌または細胞増殖疾患であり、これは、複製もしくは増殖にCDK4/6の活性を必要とするか、またはCDK4/6阻害剤の活性を介して成長が阻害され得る癌または細胞増殖疾患を指す。この種の癌および疾患は、機能的Retinoblastomaタンパク質の存在によって特徴付けることがきる(例えば、その存在を示す細胞を有する)。このような癌および疾患は、Rb陽性として分類される。Rb陽性の異常細胞増殖疾患、およびこの用語の変形は、本明細書において使用する場合、機能的Retinoblastomaタンパク質の存在により特徴付けられる、制御されないまたは異常な細胞分裂により引き起こされる障害または疾患を指し、癌を含み得る。本発明の一つの側面において、本明細書に記載の付加的治療薬および方法と組み合わせたCDK4/6阻害剤の使用は、非癌性Rb陽性異常細胞増殖疾患を治療するために使用することができる。このような疾患の例には、非悪性リンパ増殖、非悪性乳房新生物、乾癬、関節炎、皮膚炎、前癌結腸病変または軟塊、血管新生障害、免疫介在および非免疫介在炎症性疾患、関節炎、加齢黄斑変性、糖尿病、およびその他の非癌性または良性細胞増殖疾患を含み得る。
【0151】
本明細書に記載の化合物の投与に好適な標的癌は、Rb陽性:エストロゲン受容体陽性癌、HER2陰性進行乳癌、後期転移性乳癌、脂肪肉腫、非小細胞肺癌、肝臓癌、卵巣癌、膠芽腫、難治性固形腫瘍、Retinoblastoma陽性乳癌ならびにRetinoblastoma陽性子宮内膜・膣・卵巣癌および肺・気管支癌、結腸腺癌、直腸腺癌、中枢神経系生殖細胞腫瘍、奇形腫、エストロゲン受容体陰性乳癌、エストロゲン受容体陽性乳癌、家族性精巣生殖細胞腫瘍、HER2陰性乳癌、HER2陽性乳癌、男性乳癌、卵巣未熟奇形腫、卵巣成熟奇形腫、単胚葉性および高度限定型奇形腫、プロゲステロン受容体陰性乳癌、プロゲステロン受容体陽性乳癌、再発性乳癌、再発性結腸癌、再発性性腺外胚細胞腫瘍、再発性性腺外非セミノーマ胚細胞腫瘍、再発性性腺外セミノーマ、再発性悪性精巣胚細胞腫瘍、再発性黒色腫、再発性卵巣胚細胞腫瘍、再発性直腸癌、病期III性腺外非セミノーマ胚細胞腫瘍、病期III性腺外セミノーマ、病期III悪性精巣胚細胞腫瘍、病期III卵巣胚細胞腫瘍、病期IV乳癌、病期IV結腸癌、病期IV性腺外非セミノーマ胚細胞腫瘍、病期IV性腺外セミノーマ、病期IV黒色腫、病期IV卵巣胚細胞腫瘍、病期IV直腸癌、精巣未熟奇形腫、精巣成熟奇形腫を含み得る。特定の実施例では、標的癌としては、エストロゲン受容体陽性、HER2陰性進行乳癌、後期転移性乳癌、脂肪肉腫、非小細胞肺癌、肝臓癌、卵巣癌、膠芽腫、難治性固形腫瘍、網膜芽細胞腫陽性乳癌ならびに網膜芽細胞腫陽性子宮内膜・膣・卵巣癌および肺・気管支癌、転移性大腸癌、CDK4突然変異もしくは増幅を有する転移性黒色腫、またはシスプラチン不応性切除不能胚細胞腫瘍が含まれる。
【0152】
一つの実施形態では、対象は、膀胱癌、胃食道癌、軟組織肉腫、胆管/胆嚢癌、卵巣癌、または子宮頸癌を有する。
【0153】
一つの実施形態では、Rb陽性癌は、限定されるものではないが、肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部または頸部の癌、皮膚または眼内黒色、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、結腸癌、乳癌、子宮癌、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頸の癌腫、膣の癌腫、外陰の癌腫、食道の癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、膀胱の癌、腎臓または尿管の癌、腎細胞癌、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹膠腫、下垂体腺腫、または以上の癌の1以上の組合せを含むRb陽性癌腫、肉腫から選択される。
【0154】
一つの実施形態では、Rb陽性癌は、Rb陽性:線維肉腫、粘液肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、悪性線維性組織球腫、血管肉腫(hemangiosarcoma)、血管肉腫(angiosarcoma)、リンパ管肉腫、中皮腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、扁平上皮癌;類表皮腫、悪性皮膚付属器腫瘍、腺癌、肝細胞腫、肝細胞癌、腎細胞癌、副腎腫、胆管癌、移行上皮癌、絨毛癌、セミノーマ、胚細胞癌、退形成性神経膠腫;多形性膠芽腫、神経芽腫、髄芽細胞腫、悪性髄膜腫、悪性神経鞘腫、神経線維肉腫、副甲状腺癌、甲状腺髄様癌、気管支カルチノイド、クロム親和性細胞腫、膵島細胞癌、悪性カルチノイド、悪性傍神経節腫、黒色腫、メルケル細胞新生物、葉状嚢胞性肉腫、唾液腺癌、胸腺癌、膀胱癌、およびビルムス腫瘍からなる群から選択される。
【0155】
さらなる実施形態では、Rb陽性癌または障害には、限定されるものではないが、とりわけ、骨髄系障害、リンパ系障害、白血病、リンパ腫、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性疾患(MPD)、肥満細胞障害、および骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫)を含む血液障害または血液性悪性腫瘍が含まれる。T細胞、B細胞、および/またはNK細胞の異常増殖は、癌、増殖性障害および炎症性/免疫疾患などの広範囲の疾患を生じ得る。これらの障害のいずれかに罹患した宿主、例えば、ヒトは、症状の軽減(待期的薬剤)または基礎疾患の軽減(疾患修飾性薬剤)を達成するために、本明細書に記載されるような有効量の組合せで処置することができる。
【0156】
例としては、T細胞またはNK細胞リンパ腫、例えば、限定されるものではないが、末梢性T細胞リンパ腫;未分化大細胞型リンパ腫、例えば、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)陽性、ALK陰性未分化大細胞型リンパ腫、または原発性皮膚未分化大細胞型リンパ腫;血管免疫芽球性リンパ腫;皮膚T細胞リンパ腫、例えば、菌状息肉腫、セザリー症候群、原発性皮膚未分化大細胞型リンパ腫、原発性皮膚CD30+T細胞リンパ増殖性疾患;原発性皮膚急速進行性表皮向性CD8+細胞傷害性T細胞リンパ腫;原発性皮膚γ-δT細胞リンパ腫;原発性皮膚小/中細胞型CD4+T細胞リンパ腫、およびリンパ腫様丘疹症;成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL);芽球性NK細胞リンパ腫;腸症型T細胞リンパ腫;肝脾γ-δT細胞リンパ腫;リンパ芽球性リンパ腫;鼻性NK/T細胞リンパ腫;治療関連T細胞リンパ腫;例えば、実質臓器または骨髄移植後に見られるリンパ腫;T細胞性前リンパ球性白血病;T細胞大顆粒リンパ球性白血病;NK細胞の慢性リンパ増殖性疾患;急速進行性NK細胞白血病;小児全身性EBV+T細胞リンパ増殖性疾患(慢性活動性EBV感染に関連);種痘様水疱様リンパ腫;成人T細胞白血病/リンパ腫;腸管症関連T細胞リンパ腫;肝脾T細胞リンパ腫;または皮下脂肪組織炎様T細胞リンパ腫が挙げられる。
【0157】
一つの実施形態では、本明細書に記載の方法は、リンパ腫またはリンパ球性もしくは骨髄球性増殖疾患もしくは異常を有する宿主、例えば、ヒトを治療するために使用することができる。例えば、本明細書に記載されるような方法は、ホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫を有する宿主に投与することができる。例えば、宿主は、限定されるものではないが、AIDS関連リンパ腫;未分化大細胞型リンパ腫;血管免疫芽球性リンパ腫;芽球性NK細胞リンパ腫;バーキットリンパ腫;バーキット様リンパ腫(小型非切れ込み核細胞性リンパ腫);慢性リンパ性白血病/小細胞型リンパ球性リンパ腫;皮膚T細胞リンパ腫;びまん性大細胞型B細胞リンパ腫;腸管症型T細胞リンパ腫;濾胞性リンパ腫;肝脾γ-δT細胞リンパ腫;リンパ芽球性リンパ腫;マントル細胞リンパ腫;辺縁帯リンパ腫;鼻性T細胞リンパ腫;小児リンパ腫;末梢性T細胞リンパ腫;原発性中枢神経系リンパ腫;T細胞白血病;悪性移行リンパ腫;治療関連T細胞リンパ腫;またはワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症などの非ホジキンリンパ腫を有し得る。
【0158】
あるいは、本明細書に記載の方法は、限定されるものではないが、結節硬化型古典型ホジキンリンパ腫(CHL);混合細胞型CHL;リンパ球減少型CHL;リンパ球豊富型CHL;リンパ球優位型ホジキンリンパ腫;または結節性リンパ球優位型HLなどのホジキンリンパ腫を有する対象、例えば、ヒトを治療するために使用することができる。
【0159】
あるいは、本明細書に記載の方法は、限定されるものではないが、多発性骨髄腫;びまん性大B細胞リンパ腫;濾胞性リンパ腫;粘膜関連リンパ織リンパ腫(MALT);小細胞リンパ球性リンパ腫;縦隔大B細胞リンパ腫;節性辺縁帯B細胞リンパ腫(NMZL);脾辺縁帯リンパ腫(SMZL);血管内大B細胞リンパ腫;原発性滲出液リンパ腫;またはリンパ様肉芽腫症;B細胞性前リンパ球性白血病;有毛細胞白血病;分類不能脾リンパ腫/白血病;脾びまん性赤脾髄小型B細胞リンパ腫;有毛細胞白血病変種;リンパ形質細胞性リンパ腫;H鎖病、例えば、アルファ重鎖病、ガンマ重鎖病、ミュー重鎖病;形質細胞性骨髄腫;骨の孤立性形質細胞腫;骨外性形質細胞腫;原発性皮膚濾胞中心リンパ腫;T細胞/組織豊富型大細胞型B細胞リンパ腫;慢性炎症関連DLBCL;高齢者のエプスタイン-バーウイルス(EBV)+DLBCL;原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫;原発性下肢型皮膚DLBCL;ALK+大細胞型B細胞リンパ腫;血漿芽球性リンパ腫;HHV8関連多中心性に発生する大細胞型B細胞リンパ腫;キャッスルマン病;びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の中間的特徴を伴う分類不能B細胞リンパ腫;またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の中間的特徴を伴う分類不能B細胞リンパ腫、および古典型ホジキンリンパ腫などの特定のB細胞リンパ腫または増殖性疾患を治療するために使用することができる。
【0160】
一つの実施形態では、本明細書に記載の方法は、白血病を治療するために使用することができる。例えば、対象は、限定されるものではないが、急性リンパ芽球性白血病(ALL);急性骨髄性白血病(AML);慢性リンパ性白血病(CLL);慢性骨髄性白血病(CML);若年性骨髄単球性白血病(JMML);有毛細胞白血病(HCL);急性前骨髄球性白血病(AMLの亜種);大顆粒リンパ球性白血病;または成人T細胞慢性白血病などのリンパまたは骨髄起源の急性または慢性白血病に罹患していてよい。一つの実施形態では、患者は、急性骨髄性白血病、例えば、未分化AML(M0);骨髄芽球性白血病(M1;最末細胞成熟を伴う/伴わない);骨髄芽球性白血病(M2;細胞成熟を伴う);前骨髄球性白血病(M3またはM3突然変異[M3V]);骨髄単球性白血病(好酸球増加を伴うM4またはM4突然変異[M4E]);単球系白血病(M5);赤白血病(M6);または巨核芽球性白血病(M7)を有する。
【0161】
いくつかの実施形態では、治療される癌は、エストロゲン受容体陽性、HER2陰性進行乳癌、後期転移性乳癌、脂肪肉腫、非小細胞肺癌、肝臓癌、卵巣癌、膠芽腫、難治性固形腫瘍、網膜芽細胞腫陽性乳癌ならびにretinoblastoma陽性子宮内膜・膣・卵巣癌および肺・気管支癌から選択される。
【0162】
例えばある種の癌に見られるようなCDK4/6複製非依存性細胞増殖疾患は、サイクリン依存性キナーゼ1(CDK1)の活性の増強、サイクリン依存性キナーゼ2(CDK2)の活性の増強、retinoblastoma腫瘍抑制因子タンパク質(Rb)の低下、欠損、または不在(Rb-null)、高レベルのMYC発現、サイクリンE1、E2の増加、およびサイクリンAの増加の一つまたは組合せを特徴とし得る。癌は、retinoblastoma腫瘍抑制因子タンパク質または1もしくは複数のretinoblastomaファミリーメンバータンパク質(例えば、限定されるものではないが、p107およびp130)の発現の低減を特徴とし得る。一つの実施形態では、対象は、限定されるものではないが、小細胞肺癌、トリプルネガティブ乳癌、HPV陽性頭頸部癌、網膜芽細胞腫、Rb陰性膀胱癌、Rb陰性前立腺癌、骨肉腫、または子宮頸癌を含むRb-nullまたはRb欠損癌を有する。
【0163】
CDK4/6複製依存性癌は、腫瘍種および標準的技術を用いる分子遺伝学に基づいて導出でき、限定されるものではないが、CDK1またはCDK2の活性の増強、retinoblastoma腫瘍抑制因子タンパク質(Rb)の低下、欠損、もしくは不在、高レベルのMYC発現、サイクリンE(例えば、E1もしくはE2)の増加およびサイクリンAの増加、またはRb不活化タンパク質(例えば、HPVコードE7)の発現を含む群のうち1以上を特徴とし得る。このような癌は、限定されるものではないが、小細胞肺癌、網膜芽細胞腫、子宮頸癌および特定の頭頸部癌のようなHPV陽性悪性腫瘍、バーキットリンパ腫およびトリプルネガティブ乳癌などのMYC増幅腫瘍;ある種の肉腫、ある種の非小細胞肺癌、ある種の黒色腫、ある種の膵臓癌、ある種の白血病、ある種のリンパ腫、ある種の脳癌、ある種の結腸癌、ある種の前立腺癌、ある種の卵巣癌、ある種の子宮癌、ある種の甲状腺癌およびその他の内分泌組織癌、ある種の唾液腺癌、ある種の胸腺癌、ある種の腎臓癌、ある種の膀胱癌、およびある種の精巣癌を含み得る。
【0164】
いくつかの実施形態では、癌は、ほぼ常に不活性化されたretinoblastoma腫瘍抑制因子タンパク質(Rb)を有し、従って、増殖にCDK4/6活性を必要としない小細胞肺癌、網膜芽細胞腫、およびトリプルネガティブ(ER/PR/Her2陰性)または「基底細胞様」乳癌から選択される。トリプルネガティブ(基底細胞様)乳癌はまた、ほぼ常に、一般にまたは機能的にRb-nullである。また、ある種のウイルスにより誘発される癌(例えば、子宮頸癌および一部の頭頸部癌)は、Rbを不活化してこれらの腫瘍を機能的にRb-nullとするウイルスタンパク質(E7)を発現する。一部の肺癌はまた、HPVにより引き起こされると考えられている。一つの特定の実施形態では、癌は、小細胞肺癌であり、患者は、エトポシド、カルボプラチン、およびシスプラチン、またはそれらの組合せからなる群から選択されるDNA損傷剤で処置される。
【0165】
retinoblastoma(Rb)腫瘍抑制因子タンパク質(Rb陽性)の存在または不在は、限定されるものではないが、ウエスタンブロット、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、IHC(免疫組織化学)、およびFACS(蛍光活性化細胞選別)を含む当業者に既知の標準的アッセイのいずれかによって決定することができる。アッセイの選択は、例えば使用される組織、細胞株またはサロゲート組織サンプルによって異なり、例えば、ウエスタンブロットおよびELISAは、ありとあらゆる種類の組織、細胞株またはサロゲート組織とともに使用可能であり、一方、IHC法は、本発明の方法において使用される組織が腫瘍生検であった場合により適当であろう。FAC分析は、細胞株および単離された末梢血単核細胞などの単細胞懸濁液であったサンプルに適用可能性が最も大きいであろう。例えば、US20070212736“Functional Immunohistochemical Cell Cycle Analysis as a Prognostic Indicator for Cancer”参照。あるいは、retinoblastoma遺伝子の状態の決定のために分子遺伝学的試験を使用してもよい。retinoblastomaに関する分子遺学的試験としては、Lohmann and Gallie “Retinoblastoma. Gene Reviews” (2010): “A comprehensive, sensitive and economical approach for the detection of mutations in the RB1 gene in retinoblastoma” Journal of Genetics, 88(4), 517-527 (2009)に記載されるようなものが含まれる。
【0166】
一つの実施形態では、対象は、PD-L1を発現する癌を有する。PD-L1の発現は、当技術分野で公知の方法によって決定することができる。例えば、PD-L1の発現は、ペンブロリズマブによる処置の付随試験としてDako and Bristol-Meyers Squibbにより開発されたFDA承認済みのin vitro診断免疫組織化学(IHC)試験であるPD-L1 IHC 22C3 pharmDxを用いて検出することができる。これは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)ヒト非小細胞肺癌組織においてPD-L1を検出するために、Autostainer Lin 48にてモノクローナルマウス抗PD-L1であるクローン22C3 PD-L1とEnVision FLEX可視化システムを用いる定性的アッセイである。発現レベルは、部分的または完全な膜染色を示す生存力のある腫瘍細胞のパーセンテージを測定するthe tumor proportion score(TPS)を用いて測定することができる。染色は、1%~100%のPD-L1発現を示し得る。
【0167】
PD-L1の発現はまた、ニボルマブによる処置の付随試験としてDako and Merckにより開発されたFDA承認済みのin vitro診断免疫組織化学(IHC)試験であるPD-L1 IHC 28-8 pharmDxを用いて検出することもできる。この定性的アッセイでは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)ヒト非小細胞肺癌組織においてPD-L1を検出するために、Autostainer Lin 48にてモノクローナルウサギ抗PD-L1であるクローン28-8とEnVision FLEX可視化システムを使用する。
【0168】
PD-L1検出のための他の市販の試験としては、モノクローナルウサギ抗PD-L1であるクローンSP263を使用するVentana SP263アッセイ(VentanaがAstraZenecaと共同で開発)およびウサギモノクローナル抗PD-L1であるクローンSP142を使用するVentana SP142アッセイ(VentanaがGenentech/Rocheと共同で開発)が含まれる。
【0169】
一つの実施形態では、PD-L1発現癌は、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膀胱癌、腎細胞癌、胃癌、頭頸部癌、中皮腫、メルケル細胞癌、卵巣癌、黒色腫、膵臓癌、またはその他の固形腫瘍から選択される。
【0170】
治療計画
本明細書で企図されるように、化学療法薬、例えば、DNA損傷化学療法薬、および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせたCDK4/6阻害剤の、投与は、CDK4/6阻害剤により誘導されるG0/G1停止が短期間かつ実質的に一過性となるように、本明細書に記載の用量で特定の時限とされる。細胞周期のG1期で停止している細胞は、増殖中の細胞よりも化学療法薬の損傷作用に耐性が大きくなる。
【0171】
本明細書に記載されるように、CDK4/6阻害剤は、化学療法薬による処置の前、化学療法薬による処置中、化学療法薬暴露後、またはそれらの組合せで前記対象に投与することができる。本明細書で企図されるように、CDK4/6阻害剤は一般に、例えば、静脈内(IV)注射によるなど、薬物を血流に容易に接近させる方式で投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、前記対象に、化学療法薬により処置前約24時間、20時間、16時間、12時間、8時間、または4時間、2.5時間、2時間、1時間未満、1/2時間以内に投与される。別の実施形態では、化合物は、前記対象に、化学療法薬による処置前約48時間、40時間、36時間未満、または32時間以内に投与される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。
【0172】
一般に、CDK4/6阻害剤は、化学療法薬による処置前または処置中に化合物が最高血清濃度に到達するように、化学療法薬による処置前に前記対象に投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化学療法薬の投与の約30分前に前記対象に投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、前記対象に約30分にわたって投与され、次いで、前記対象に化学療法薬を投与する。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化学療法薬と並行して、または近接して投与される。所望であれば、特に化学療法薬が長期にわたって投与されるか、または長い半減期を有する場合には、阻害を最大にするために、化合物を化学療法薬処置中に複数回投与することができる。別の実施形態では、CDK4/6阻害剤は、所望であれば、化学療法薬暴露に関連する健常細胞の損傷を緩和するために、化学療法薬暴露の後に投与することができる。特定の実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化学療法薬暴露後約1/2時間までに、約1時間までに、約2時間までに、約4時間までに、約8時間までに、約10時間までに、約12時間までに、約14時間までに、約16時間までに、または約20時間までにまたはそれを超えて投与される。特定の実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化学療法薬暴露後約12時間~20時間までに投与される。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。
【0173】
一つの側面において、CDK4/6阻害剤は、標準的化学療法薬投与スケジュールまたは投与計画を含む誘導投与スケジュールで、複数日周期の間、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与することができる。一つの実施形態では、複数日周期は21日である。さらなる実施形態では、21日周期は、1、2、3、4、または5回またはそれを超えて反復される。例えば、CDK4/6阻害剤は、CDK4/6複製依存性HSPCおよび免疫エフェクター細胞が化学療法薬暴露中にG1期で停止されるように投与することができ、この期間に、化合物のG1停止作用の急速な消失のために、有意な数の健常細胞が細胞周期に戻り、化学療法薬暴露のしばらく後に、例えば、約24、30、40、または約48時間未満に活性化され、かつ/または複製し得る。一つの実施形態では、限定されるものではないが、化学療法薬が21日毎の1~3日目に;28日毎の1~3日目に;3週間毎の1日目に;28日毎の1日目、8日目、および51日目に、28日毎の1日目および8日目に;21日毎の1日目および8日目に;21日毎の1~5日目に;6~8週間、毎週1日目に;1日目、22日目、および43日目に;毎週1日目および2日目に;1~4日目および22~25日目に;1~4日目、22~25日目、および43~46日目に;ならびに同様のタイプの投与計画で投与され、CDK4/6複製依存性細胞が化学療法薬暴露中にG1期で停止される治療計画を含め、CDK4/6阻害剤が化学療法薬および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。さらなる実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、毎日、1日おきに、3日毎、週1回、または週2回投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1、PD-L1、またはCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、カルボプラチンおよびエトポシドである。一つの実施形態では、化学療法薬は、トポテカンである。
【0174】
一つの側面において、CDK4/6阻害剤は、標準的化学療法薬投与スケジュールまたは投与計画および免疫チェックポイント阻害剤を用いる維持投与スケジュールで投与することができ、ここで、CDK4/6阻害剤および化学療法薬は複数日周期の間、それだけで投与され、複数日周期が完了したところで、免疫チェックポイント阻害剤が投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤および化学療法薬は21日周期の間投与され、22日目に始めて、免疫チェックポイント阻害剤は、少なくとも21日間、少なくとも42日間、少なくとも63日間、少なくとも84日間、または少なくとも105日間投与される。一つの実施形態では、21日周期のCDK4/6阻害剤および化学療法投与が、免疫チェックポイント阻害剤が投与される前に1、2、3、4、または5回反復される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、毎日1回投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、1日おきに投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、3日毎に投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、週1回投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、またはCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブであり、かつ、化学療法薬はカルボプラチンおよびエトポシドである。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、免疫チェックポイント阻害剤はアテゾリズマブであり、かつ化学療法薬はトポテカンである。
【0175】
一つの側面において、CDK4/6阻害剤は、標準的化学療法薬投与スケジュールまたは投与計画および免疫チェックポイント阻害剤を用いる誘導および維持投与スケジュールで投与することができ、ここで、CDK4/6阻害剤、化学療法薬、および免疫チェックポイント阻害剤は、誘導期において複数日周期の間投与され、複数日周期が完了したところで、維持期において免疫チェックポイント阻害剤がさらに投与される。一つの実施形態では、誘導期は21日周期である。さらなる実施形態では、21日の誘導期は、1、2、3、4、または5回まで反復される。一つの実施形態では、維持期は、少なくとも21日、少なくとも42日、少なくとも63日、少なくとも84日、または少なくとも105日である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、毎日1回投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、1日おきに投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、3日毎に投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、週1回投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、またはCTLA-4阻害剤から選択される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブであり、かつ、化学療法薬はカルボプラチンおよびエトポシドである。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、免疫チェックポイント阻害剤はアテゾリズマブであり、かつ化学療法薬はトポテカンである。
【0176】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤および化学療法薬と組み合わせて、癌または腫瘍を有する対象における腫瘍内免疫浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団を増加させるために使用することができる。一つの実施形態では、炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団は、CDK4/6阻害剤の特定時限の投与を行わない腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団に比べて、最大10%、20%、30%、40%、50%またはそれを超えて増加する。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団は、CDK4/6阻害剤の特定時限の投与を行わない腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団に比べて約10%増加する。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団は、CDK4/6阻害剤の特定時限の投与を行わない腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団に比べて約20%増加する。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団は、CDK4/6阻害剤の特定時限の投与を行わない腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団に比べて約30%増加する。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団は、CDK4/6阻害剤の特定時限の投与を行わない腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団に比べて約40%増加する。一つの実施形態ではでは、腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団は、CDK4/6阻害剤の特定時限の投与を行わない腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団に比べて約50%増加する。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0177】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤および化学療法薬と組み合わせて、癌または腫瘍を有する対象の腫瘍内免疫細胞浸潤物集団におけるT細胞の活性化を増強するために使用することができる。一つの実施形態では、活性化T細胞は、CD4+T細胞である。一つの実施形態では、活性化T細胞は、CD8+T細胞である。一つの実施形態では、活性化T細胞は、インターフェロンγを産生する。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の活性化T細胞のパーセントは、約5%、10%、15%、20%であるかまたはそれを超える。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の活性化T細胞のパーセントは約5%である。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の活性化T細胞のパーセントは約10%である。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の活性化T細胞のパーセントは約15%である。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の活性化T細胞のパーセントは約20%である。一つの実施形態では、インターフェロンγの産生は、IL2遺伝子、IL18遺伝子、またはLTA遺伝子の上方調節のために増加する。一つの実施形態では、インターフェロンγの産生は、IL2遺伝子の上方調節のために増加する。一つの実施形態では、インターフェロンγの産生は、IL18遺伝子の上方調節のために増加する。一つの実施形態では、インターフェロンγの産生は、LTA遺伝子の上方調節のために増加する。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0178】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤および化学療法薬と組み合わせて、癌または腫瘍に罹患している対象における腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の制御性T細胞(Treg)の集団を低減するために使用することができる。一つの実施形態では、Tregは、CD4+CD25+Tregである。一つの実施形態では、腫瘍内細胞浸潤物集団中の制御性T細胞の集団は、CDK4/6阻害剤を受容していない対象に由来する腫瘍内細胞浸潤物集団に比べて約10%、20%、30%、40%またはそれを超えて低減される。一つの実施形態では、腫瘍内細胞浸潤物集団中の制御性T細胞の集団は、CDK4/6阻害剤を受容していない対象に由来する腫瘍内細胞浸潤物集団に比べて約10%低減される。一つの実施形態では、腫瘍内細胞浸潤物集団中の制御性T細胞の集団は、CDK4/6阻害剤を受容していない対象に由来する腫瘍内細胞浸潤物集団に比べて約20%低減される。一つの実施形態では、腫瘍内細胞浸潤物集団中の制御性T細胞の集団は、CDK4/6阻害剤を受容していない対象に由来する腫瘍内細胞浸潤物集団に比べて約30%低減される。一つの実施形態では、腫瘍内細胞浸潤物集団中の制御性T細胞の集団は、CDK4/6阻害剤を受容していない対象に由来する腫瘍内細胞浸潤物集団に比べて約40%低減される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。
【0179】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤および化学療法薬と組み合わせて、癌または腫瘍を有する対象における腫瘍内細胞浸潤物集団中の制御性T細胞の免疫抑制機能を阻害するために使用することができる。一つの実施形態では、Tregは、CD4+CD25+Tregである。一つの実施形態では、CD4+T細胞集団中の腫瘍内Tregの割合は、処置の少なくとも7、8、9、10もしくは15日後またはそれ以降に、化学療法薬/チェックポイント阻害剤だけの場合に比べて、10、20、25、30、35、40または50%低くなる。一つの実施形態では、制御性T細胞の免疫抑制機能は、Phospho-Rbの減少によって測定される。一つの実施形態では、制御性T細胞中のPhospho-Rbのレベルは、CDK4/6阻害剤を受容していない対象に由来する腫瘍内免疫細胞浸潤物集団に比べて、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%またはそれを超えて低減される。一つの実施形態では、制御性T細胞中のPhospho-Rbのレベルは、CDK4/6阻害剤を受容していない対象に由来する腫瘍内免疫細胞浸潤物集団に比べて、約10%低減される。一つの実施形態では、制御性T細胞中のPhospho-Rbのレベルは、CDK4/6阻害剤を受容していない対象に由来する腫瘍内免疫細胞浸潤物集団に比べて、約20%低減される。一つの実施形態では、制御性T細胞中のPhospho-Rbのレベルは、CDK4/6阻害剤を受容していない対象に由来する腫瘍内免疫細胞浸潤物集団に比べて、約30%低減される。一つの実施形態では、制御性T細胞中のPhospho-Rbのレベルは、CDK4/6阻害剤を受容していない対象に由来する腫瘍内免疫細胞浸潤物集団に比べて、約40%低減される。一つの実施形態では、制御性T細胞中のPhospho-Rbのレベルは、CDK4/6阻害剤を受容していない対象に由来する腫瘍内免疫細胞浸潤物集団に比べて、約50%低減される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。
【0180】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤および化学療法薬と組み合わせて、癌または腫瘍を有する対において腫瘍特異的記憶T細胞の生成を増強するために使用することができる。一つの実施形態では、対象の脾臓に見られる腫瘍特異的記憶T細胞のパーセンテージは、全T細胞集団に対して少なくともおよそ0.25%、0.5%、0.75%、1%またはそれを超えて増加する。一つの実施形態では、対象の脾臓に見られる腫瘍特異的記憶T細胞のパーセンテージは、全T細胞集団に対して約0.25%増加する。一つの実施形態では、対象の脾臓に見られる腫瘍特異的記憶T細胞のパーセンテージは、全T細胞集団に対して約0.5%増加する。一つの実施形態では、対象の脾臓に見られる腫瘍特異的記憶T細胞のパーセンテージは、全T細胞集団に対して約0.75%増加する。一つの実施形態では、対象の脾臓に見られる腫瘍特異的記憶T細胞のパーセンテーは、全T細胞集団に対して約1%増加する。一つの実施形態では、対象の血中に見られる腫瘍特異的記憶T細胞のパーセンテージは、全T細胞集団に対して少なくともおよそ0.5%、1%、1.5%、またはそれを超えて増加する。一つの実施形態では、対象の血中に見られる腫瘍特異的記憶T細胞のパーセンテージは、全T細胞集団に対して約0.5%増加する。一つの実施形態では、対象の血中に見られる腫瘍特異的記憶T細胞のパーセンテージは、全T細胞集団に対して約1%増加する。一つの実施形態では、対象の血中に見られる腫瘍特異的記憶T細胞のパーセンテージは、全T細胞集団に対して約1.5%増加する。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。
【0181】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤および化学療法薬と組み合わせて、癌または腫瘍を有する対象において腫瘍内免疫細胞を化学療法から保護するために使用することができる。一つの実施形態では、化学療法の毒性からの腫瘍内免疫細胞の保護は、抗腫瘍免疫応答の増強をもたらす。一つの実施形態では、保護される腫瘍内免疫細胞は、CD8+T細胞、CD4+T細胞、ナチュラルキラー細胞、単球系骨髄由来抑制性細胞(mMDSC)、および顆粒球系骨髄由来抑制性細胞(gMDSC)から選択される。一つの実施形態では、保護される腫瘍内免疫細胞は、CD8+T細胞である。一つの実施形態では、保護される腫瘍内免疫細胞は、CD4+T細胞である。一つの実施形態では、保護される腫瘍内免疫細胞は、ナチュラルキラー細胞である。一つの実施形態では、保護される腫瘍内免疫細胞は、mMDSCである。一つの実施形態では、保護される腫瘍内免疫細胞は、gMDSCである。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖パーセントは、脾臓に見られる免疫細胞の増殖よりも少なくともおよそ5%、10%、15%、20%、25%、または30%高い。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖パーセントは、脾臓に見られる免疫細胞の増殖よりも約5%高い。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖パーセントは、脾臓に見られる免疫細胞の増殖よりも約10%高い。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖パーセントは、脾臓に見られる免疫細胞の増殖よりも約15%高い。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖パーセントは、脾臓に見られる免疫細胞の増殖よりも約20%高い。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖パーセントは、脾臓に見られる免疫細胞の増殖よりも約25%高い。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖パーセントは、脾臓に見られる免疫細胞の増殖よりも約30%高い。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖は、およそ6~24時間で最大およそ50%、60%、70%、75%、80%またはそれを超えて阻害され得る。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖は、およそ6~24時間で約50%阻害され得る。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖は、およそ6~24時間で約60%阻害され得る。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖は、およそ6~24時間で約70%阻害され得る。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖は、およそ6~24時間で約75%阻害され得る。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖は、およそ6~24時間で約80%阻害され得る。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞は、およそ30、40、45、48、50、または60時間以内に回復し得る。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞は、約30時間で回復する。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞は、約40時間で回復する。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞は、約45時間で回復する。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞は、約48時間で回復する。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞は、約50時間で回復する。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞は、約60時間で回復する。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。
【0182】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤および化学療法薬と組み合わせて、癌または腫瘍を有する対象における腫瘍内免疫浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団を増加させるために使用することができる。一つの実施形態では、炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団は、選択的、即効性、短半減期CDK4/6阻害剤の特定時限の投与を行わない腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団に比べて、最大10%、20%、30%、40%、50%またはそれを超えて増加する。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団は、CDK4/6阻害剤の特定時限の投与を行わない腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団に比べて、約10%増加する。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団は、CDK4/6阻害剤の特定時限の投与を行わない腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団に比べて、約20%増加する。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団は、CDK4/6阻害剤の特定時限の投与を行わない腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団に比べて、約30%増加する。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団は、CDK4/6阻害剤の特定時限の投与を行わない腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団に比べて、約40%増加する。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団は、CDK4/6阻害剤の特定時限の投与を行わない腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の炎症誘発性免疫エフェクター細胞集団に比べて、約50%増加する。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。一つの実施形態では、選択的CDK4/6阻害剤は、即効性、短半減期のCDK4/6阻害剤である。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。
【0183】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤および化学療法薬と組み合わせて、癌または腫瘍を有する対象の腫瘍内免疫細胞浸潤物集団におけるT細胞の活性化を増強するために使用することができる。一つの実施形態では、活性化T細胞は、CD4+T細胞である。一つの実施形態では、活性化T細胞は、CD8+T細胞である。一つの実施形態では、活性化T細胞は、インターフェロンγを産生する。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の活性化T細胞のパーセントは、約5%、10%、15%、20%であるかまたはそれを超える。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の活性化T細胞のパーセントは、約5%である。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の活性化T細胞のパーセントは、約10%である。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の活性化T細胞のパーセントは、約15%である。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の活性化T細胞のパーセントは、約20%である。一つの実施形態では、インターフェロンγの産生は、IL2遺伝子、IL18遺伝子、またはLTA遺伝子の上方調節のために増加する。一つの実施形態では、インターフェロンγの産生は、IL2遺伝子の上方調節のために増加する。一つの実施形態では、インターフェロンγの産生は、IL18遺伝子の上方調節のために増加する。一つの実施形態では、インターフェロンγの産生は、LTA遺伝子の上方調節のために増加する。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0184】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤および化学療法薬と組み合わせて、癌または腫瘍に罹患している対象における腫瘍内免疫細胞浸潤物集団中の制御性T細胞(Treg)の集団を低減するために使用することができる。一つの実施形態では、Tregは、CD4+CD25+Tregである。一つの実施形態では、腫瘍内細胞浸潤物集団中の制御性T細胞の集団は、選択的、即効性、短半減期CDK4/6阻害剤を受容していない対象に由来する腫瘍内細胞浸潤物集団に比べて、約10%、20%、30%、40%またはそれを超えて低減される。一つの実施形態では、腫瘍内細胞浸潤物集団中の制御性T細胞の集団は、選択的、即効性、短半減期CDK4/6阻害剤を受容していない対象に由来する腫瘍内細胞浸潤物集団に比べて、約10%低減される。一つの実施形態では、腫瘍内細胞浸潤物集団中の制御性T細胞の集団は、選択的、即効性、短半減期CDK4/6阻害剤を受容していない対象に由来する腫瘍内細胞浸潤物集団に比べて、約20%低減される。一つの実施形態では、腫瘍内細胞浸潤物集団中の制御性T細胞の集団は、選択的、即効性、短半減期CDK4/6阻害剤を受容していない対象に由来する腫瘍内細胞浸潤物集団に比べて、約30%低減される。一つの実施形態では、腫瘍内細胞浸潤物集団中の制御性T細胞の集団は、CDK4/6阻害剤を受容していない対象に由来する腫瘍内細胞浸潤物集団に比べて、約40%低減される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0185】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤および化学療法薬と組み合わせて、癌または腫瘍を有する対象における腫瘍内細胞浸潤物集団中の制御性T細胞の免疫抑制機能を阻害するために使用することができる。一つの実施形態では、Tregは、CD4+CD25+Tregである。一つの実施形態では、CD4+T細胞集団中の腫瘍内Tregの割合は、処置の少なくとも7、8、9、10もしくは15日後またはそれ以降に、化学療法薬/チェックポイント阻害剤だけの場合に比べて、最大10、20、25、30、35、40または50%低くなる。一つの実施形態では、制御性T細胞の免疫抑制機能は、Phospho-Rbの減少によって測定される。一つの実施形態では、制御性T細胞中のPhospho-Rbのレベルは、CDK4/6阻害剤を受容していない対象に由来する腫瘍内免疫細胞浸潤物集団に比べて、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%またはそれを超えて低減される。一つの実施形態では、制御性T細胞中のPhospho-Rbのレベルは、CDK4/6阻害剤を受容していない対象に由来する腫瘍内免疫細胞浸潤物集団に比べて、約10%低減される。一つの実施形態では、制御性T細胞中のPhospho-Rbのレベルは、CDK4/6阻害剤を受容していない対象に由来する腫瘍内免疫細胞浸潤物集団に比べて、約20%低減される。一つの実施形態では、制御性T細胞中のPhospho-Rbのレベルは、CDK4/6阻害剤を受容していない対象に由来する腫瘍内免疫細胞浸潤物集団に比べて、約30%低減される。一つの実施形態では、制御性T細胞中のPhospho-Rbのレベルは、CDK4/6阻害剤を受容していない対象に由来する腫瘍内免疫細胞浸潤物集団に比べて、約40%低減される。一つの実施形態では、制御性T細胞中のPhospho-Rbのレベルは、CDK4/6阻害剤を受容していない対象に由来する腫瘍内免疫細胞浸潤物集団に比べて、約50%低減される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0186】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤および化学療法薬と組み合わせて、癌または腫瘍を有する対象において腫瘍特異的記憶T細胞の生成を増強するために使用することができる。一つの実施形態では、対象の脾臓に見られる腫瘍特異的記憶T細胞のパーセンテージは、全T細胞集団に対して少なくともおよそ0.25%、0.5%、0.75%、1%またはそれを超えて増加する。一つの実施形態では、対象の脾臓に見られる腫瘍特異的記憶T細胞のパーセンテージは、全T細胞集団に対して約0.25%増加する。一つの実施形態では、対象の脾臓に見られる腫瘍特異的記憶T細胞のパーセンテージは、全T細胞集団に対して約0.5%増加する。一つの実施形態では、対象の脾臓に見られる腫瘍特異的記憶T細胞のパーセンテージは、全T細胞集団に対して約0.75%増加する。一つの実施形態では、対象の脾臓に見られる腫瘍特異的記憶T細胞のパーセンテージは、全T細胞集団に対して約1%増加される。一つの実施形態では、対象の血中に見られる腫瘍特異的記憶T細胞のパーセンテージは、全T細胞集団に対して少なくともおよそ0.5%、1%、1.5%またはそれを超えて増加する。一つの実施形態では、対象の血中に見られる腫瘍特異的記憶T細胞のパーセンテージは、全T細胞集団に対して約0.5%増加する。一つの実施形態では、対象の血中に見られる腫瘍特異的記憶T細胞のパーセンテージは、全T細胞集団に対して約1%増加する。一つの実施形態では、対象の血中に見られる腫瘍特異的記憶T細胞のパーセンテージは、全T細胞集団に対して約1.5%増加する。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0187】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤および化学療法薬と組み合わせて、癌または腫瘍を有する対象において腫瘍内免疫細胞を化学療法から保護するために使用することができる。一つの実施形態では、化学療法の毒性からの腫瘍内免疫細胞の保護は、抗腫瘍免疫応答の増強をもたらす。一つの実施形態では、保護される腫瘍内免疫細胞は、CD8+T細胞、CD4+T細胞、ナチュラルキラー細胞、単球系骨髄由来抑制性細胞(mMDSC)、および顆粒球系骨髄由来抑制性細胞(gMDSC)から選択される。一つの実施形態では、保護される腫瘍内免疫細胞は、CD8+T細胞である。一つの実施形態では、保護される腫瘍内免疫細胞は、CD4+T細胞である。一つの実施形態では、保護される腫瘍内免疫細胞は、ナチュラルキラー細胞である。一つの実施形態では、保護される腫瘍内免疫細胞は、mMDSCである。一つの実施形態では、保護される腫瘍内免疫細胞は、gMDSCである。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖パーセントは、脾臓に見られる免疫細胞の増殖よりも少なくともおよそ5%、10%、15%、20%、25%、または30%高い。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖パーセントは、脾臓に見られる免疫細胞の増殖よりも約5%高い。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖パーセントは、脾臓に見られる免疫細胞の増殖よりも約10%高い。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖パーセントは、脾臓に見られる免疫細胞の増殖よりも約15%高い。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖パーセントは、脾臓に見られる免疫細胞の増殖よりも約20%高い。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖パーセントは、脾臓に見られる免疫細胞の増殖よりも約25%高い。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖パーセントは、脾臓に見られる免疫細胞の増殖よりも約30%高い。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖は、およそ6~24時間で最大およそ50%、60%、70%、75%、80%またはそれを超えて阻害され得る。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖は、およそ6~24時間で約50%阻害され得る。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖は、およそ6~24時間で約60%阻害され得る。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖は、およそ6~24時間で約70%阻害され得る。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖は、およそ6~24時間で約75%阻害され得る。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞の増殖は、およそ6~24時間で約80%阻害され得る。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞は、およそ30、40、45、48、50、または60時間以内に回復し得る。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞は、約30時間で回復する。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞は、約40時間で回復する。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞は、約45時間で回復する。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞は、約48時間で回復する。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞は、約50時間で回復する。一つの実施形態では、腫瘍内免疫細胞は、約60時間で回復する。
【0188】
一つの実施形態では、対象は小細胞肺癌を有し、CDK4/6阻害剤化合物Iは、21日治療周期において、1日目にエトポシドまたはカルボプラチンのいずれかを、および2日目と3日目にエトポシドを投与する約30分前に、約30分にわたって静脈内に投与され、ここで、対象は、21日周期の第一選択治療プロトコールにおいて、1日目にエトポシドおよびカルボプラチンの両方を、2日目と3日目にエトポシドを投与され、対象にはさらに免疫チェックポイント阻害剤が投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1、CTLA-4阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、アテゾリズマブなどのPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0189】
一つの実施形態では、対象は小細胞肺癌を有し、CDK4/6阻害剤化合物Iは、21日治療周期において、トポテカンの投与約30分前に、約30分にわたって静脈内に投与され、ここで、対象は、21日周期の第二または第三選択治療プロトコールにおいて1日目、2日目、3日目、4日目、および5日目にトポテカンを投与され、対象にはさらに免疫チェックポイント阻害剤が投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、アテゾリズマブなどのPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0190】
一つの実施形態では、対象は小細胞肺癌を有し、CDK4/6阻害剤化合物Iは、21日治療周期において、トポテカンの投与の約30分前に、約30分にわたって静脈内に投与され、ここで、対象は、21日周期の第二または第三選択治療プロトコールにおいて1日目、2日目、および3日目にトポテカンを投与され、対象にはさらに免疫チェックポイント阻害剤が投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、アテゾリズマブなどのPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0191】
一つの実施形態では、対象は小細胞肺癌を有し、CDK4/6阻害剤化合物Iは、誘導および維持投与スケジュールで投与され、ここで、化合物Iは、カルボプラチン、エトポシド、および免疫チェックポイント阻害剤の投与の約30分前に、約30分にわたって静脈内に投与され、カルボプラチンは、21日の誘導期化学療法薬周期の1日目に投与され。エトポシドは1日目、2日目および3日目に投与され、21日周期は、1、2、3、4、または5回反復され、対象にはさらに、誘導期が完了した際に始まる維持期において免疫チェックポイント阻害剤が単独で投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はさらに、維持期において少なくとも21日間、少なくとも42日間、少なくとも63日間、少なくとも84日間、または少なくとも105日間投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、毎日1回投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、1日おきに投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、3日毎に投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、週1回投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、アテゾリズマブである。
【0192】
一つの実施形態では、対象は小細胞肺癌を有し、CDK4/6阻害剤化合物Iは、誘導および維持投与スケジュールにおいて投与され、ここで、化合物Iは、21日の誘導期化学療法薬周期の1日目、2日目、3日目、4日目、および5日目のそれぞれに、トポテカンおよび免疫チェックポイント阻害剤の投与の約30分前に、約30分にわたって静脈内に投与され、21日周期は4回反復され、対象にはさらに、誘導期が完了した際に始まる維持期において免疫チェックポイント阻害剤が単独で投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はさらに、維持期において少なくとも21日間、少なくとも42日間、少なくとも63日間、少なくとも84日間、または少なくとも105日間投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、毎日1回投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、1日おきに投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、3日毎に投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、週1回投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、アテゾリズマブである。
【0193】
本明細書で企図されるように、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、いくつかの標準治療化学療法治療計画、例えば、限定されるものではないが、小細胞肺癌療法プロトコール、例えば、限定されるものではないが、4周期の間21日毎に1日目にシスプラチン60mg/m2 IVと 1~3日目にエトポシド120mg/m2 IV;4周期の間28日毎に1日目にシスプラチン80mg/m2 IVと1~3日目にエトポシド100mg/m2 IV;21~28日毎に1日目にシスプラチン60~80mg/m2 IVと1~3日目にエトポシド80~120mg/m2 IV(最大4周期);28日毎に1日目にカルボプラチンAUC5~6分*mg/mL IVと1~3日目にエトポシド80~100mg/m2 IV(最大4周期);21~28日毎に1日目にシスプラチン60~80mg/m2 IVと1~3日目にエトポシド80~120mg/m2;28日毎に1日目にカルボプラチンAUC5~6分*mg/mL IVと1~3日目にエトポシド80~100mg/m2 IV(最大6周期);28日毎に1日目にシスプラチン60mg/m2 IVと1日目、8日目、および15日目にイリノテカン60mg/m2 IV(最大6周期);21日毎に1日目および8日目にシスプラチン30mg/m2 IVまたは1日目に80mg/m2 IVと1日目および8日目にイリノテカン65mg/m2 IV(最大6周期);28日毎に1日目にカルボプラチンAUC5分*mg/mL IVと1日目、8日目、および15日目にイリノテカン50mg/m2 IV(最大6周期);21日毎に1日目にカルボプラチンAUC4~5分*mg/mL IVと1日目にイリノテカン150~200mg/m2 IV(最大6周期);21~28日毎に1日目にシクロホスファミド800~1000mg/m2 IVと1日目にドキソルビシン40~50mg/m2 IVと1日目にビンクリスチン1~1.4mg/m2 IV(最大6周期);4週間毎に3週間毎日エトポシド50mg/m2 PO;21日毎に1~5日目にトポテカン2.3mg/m2 PO;21日毎に1~5日目にトポテカン1.5mg/m2 IV;28日毎に1日目にカルボプラチンAUC5分*mg/mL IVと1日目、8日目、および15日目にイリノテカン50mg/m2 IV;21日毎に1日目にカルボプラチンAUC4~5IVと1日目にイリノテカン150~200mg/m2 IV;28日毎に1日目、8日目、および15日目にシスプラチン30mg/m2 IVと1日目、8日目、および15日目にイリノテカン60mg/m2 IV;28日毎に1日目にシスプラチン60mg/m2 IVと1日目、8日目、および15日目にイリノテカン60mg/m2 IV;21日毎に1日目および8日目にシスプラチン30mg/m2 IVまたは1日目に80mg/m2 IVと1日目および8日目にイリノテカン65mg/m2 IV;8週間毎に6週間毎週パクリタキセル80mg/m2 IV;3週間毎に1日目にパクリタキセル175mg/m2 IV;4週間毎に3週間毎日エトポシド50mg/m2 PO;21日毎に1~5日目にトポテカン2.3mg/m2 PO;21日毎に1~5日目にトポテカン1.5mg/m2 IV;28日毎に1日目にカルボプラチンAUC5分*mg/mL IVと1日目、8日目、および15日目にイリノテカン50mg/m2 IV;21日毎に1日目にカルボプラチンAUC4~5*mg/mL IVと1日目にイリノテカン150~200mg/m2 IV;28日毎に1日目、8日目、および15日目にシスプラチン30mg/m2 IVと1日目、8日目、および15日目にイリノテカン60mg/m2 IV;28日毎に1日目シスプラチン60mg/m2 IVと1日目、8日目、および15日目にイリノテカン60mg/m2 IV;21日毎に1日目および8日目にシスプラチン30mg/m2 IVまたは1日目に80mg/m2 IVと1日目および8日目にイリノテカン65mg/m2 IV;8週間毎に6週間毎週パクリタキセル80mg/m2 IV;ならびに3週間毎に1日目にパクリタキセル175mg/m2 IVと併用することができる。別の実施形態では、化合物Iは、限定されるものではないが、21日毎に1~5日目にトポテカン2.0mg/m2 PO;21日毎に1~5日目にトポテカン1.5~2.3mg/m2 PO;1~3日目にエトポシド100mg/m2静脈内(IV)と1日目および2日目にシスプラチン50mg/m2 IV(治療周期は最大6周期まで3週間ごとに投与);1~3日目にエトポシド100mg/m2静脈内(IV)と1日目にカルボプラチン300mg/m2 IV(治療周期は最大6周期まで3週間毎に投与);カルボプラチン(1日目に300mg/m2 IV)および1~3日目に80mg/m2 IVで開始する漸増用量のエトポシド;3日間投与されるカルボプラチン125mg/m2/日とエトポシド200mg/m2/日の組合せ;1~3日目にエトポシド80~200mg/m2静脈内(IV)と1日目にカルボプラチン125~450mg/m2 IV(治療周期は21~28日毎に投与);28日毎に1日目にカルボプラチンAUC5~6分*mg/mL IVと1~3日目にエトポシド80~200mg/m2 IV(最大4周期)などの小細胞肺癌療法プロトコールで化学保護を提供するために投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0194】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤が、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、いくつかの標準治療化学療法治療計画、例えば、限定されるものではないが、CDK4/6複製非依存性頭頸部癌治療プロトコール、例えば、限定されるものではないが、6~7週間、毎週、1日目、22日目、および43日目にシスプラチン100mg/m2 IVまたは40~50mg/m2 IV;放射線療法の開始1週間前に負荷用量セツキシマブ400mg/m2 IV、次いで、毎週、250mg/m2(デキサメタゾン、ジフェンヒドラミン、およびラニチジンを前投与);7週間まで毎週2日目にシスプラチン20mg/m2 IVと7週間まで毎週1日目にパクリタキセル30mg/m2 IV;1~4日目および22~25日目にシスプラチン20mg/m2/日 IVと1~4日目および22~25日目に持続的IV注入により5-FU 1000mg/m2/日;1~5日目に、放射線照射当日に投与される持続的IV注入による5-FU 800mg/m2とヒドロキシ尿素1g PO q12h(各周期11用量);合計13週間、隔週に投与される化学療法および放射線照射;1~4日目、22~25日目、および43~46日目にカルボプラチン70mg/m2/日 IVと1~4日目、22~25日目、および43~46日目に持続的IV注入による5-FU 600mg/m2/日;毎週1日目にカルボプラチンAUC 1.5 IVと毎週1日目にパクリタキセル45mg/m2 IV;6~7週間、1日目、22日目、および43日目にシスプラチン100mg/m2 IVまたは毎週40~50mg/m2 IV;3周期の間、3週間毎に1日目にドセタキセル75mg/m2 IVと1日目シスプラチン100mg/m2 IVと1~4日目に持続的IV注入による5-FU 100mg/m2/日、その後、3~8週後に、放射線療法中、7週間まで毎週カルボプラチンAUC 1.5 IV;4周期の間、3週間毎に1日目にドセタキセル75mg/m2 IVと1日目にシスプラチン75mg/m2 IVと1~4日目に持続的IV注入による5-FU 750mg/m2/日;6周期の間、3週間毎に1日目にシスプラチン100mg/m2 IVと6周期の間、3週間毎に1~4日目に持続的IV注入による5-FU 1000mg/m2/日と1日目にセツキシマブ400mg/m2 IV負荷用量、その後、疾患進行まで毎週250mg/m2 IV(デキサメタゾン、ジフェンヒドラミン、およびラニチジンを前投与);6周期の間、3週間毎に1日目にカルボプラチンAUC 5分*mg/mL IVと6周期の間、3週間毎に1~4日目に持続的IV注入による5-FU 1000mg/m2/日と1日目にセツキシマブ400mg/m2 IV負荷用量、その後、疾病進行まで毎週250mg/m2 IV(デキサメタゾン、ジフェンヒドラミン、およびラニチジンを前投与);3週間毎に1日目にシスプラチン75mg/m2 IVと1日目にドセタキセル75mg/m2 IV;3週間毎に1日目にシスプラチン75mg/m2 IVと1日目にパクリタキセル175mg/m2 IV;3週間毎に1日目にカルボプラチンAUC 6 IVと1日目にドセタキセル65mg/m2 IV;3週間毎に1日目にカルボプラチンAUC 6 IVと1日目にパクリタキセル200mg/m2 IV;3~4週間毎に1日目にシスプラチン75~100mg/m2 IVと1日目にセツキシマブ400mg/m2 IV負荷用量、その後、毎週250mg/m2 IV(デキサメタゾン、ジフェンヒドラミン、およびラニチジンを前投与);3週間毎に1日目にシスプラチン100mg/m2 IVと1~4日目に持続的IV注入による5-FU 1000mg/m2/日;毎週メトトレキサート40mg/m2 IV(3週間が1周期に相当);3週間毎にパクリタキセル200mg/m2 IV;3週間毎にドセタキセル75mg/m2 IV;1日目にセツキシマブ400mg/m2 IV負荷用量、その後、疾病進行まで毎週250mg/m2 IV(デキサメタゾン、ジフェンヒドラミン、およびラニチジンを前投与);6周期の間、3週間毎に1日目にシスプラチン100mg/m2 IVと6周期の間、3週間毎に1~4日目に持続的IV注入による5-FU 1000mg/m2/日と1日目にセツキシマブ400mg/m2 IV負荷用量、その後、毎週250mg/m2 IV(デキサメタゾン、ジフェンヒドラミン、およびラニチジンを前投与);6周期の間、3週間毎に1日目にカルボプラチンAUC 5分*mg/mL IVと6周期の間、3週間毎に1~4日目に持続的IV注入による5-FU 1000mg/m2/日と1日目にセツキシマブ400mg/m2 IV負荷用量、次いで、毎週250mg/m2 IV(デキサメタゾン、ジフェンヒドラミン、およびラニチジンを前投与);3週間毎に1日目にシスプラチン75mg/m2 IVと1日目にドセタキセル75mg/m2 IV;3週間毎に1日目にシスプラチン75mg/m2 IVと1日目にパクリタキセル175mg/m2 IV;3週間毎に1日目にカルボプラチンAUC 6 IVと1日目にドセタキセル65mg/m2 IV;3週間毎に1日目にカルボプラチンAUC 6 IVと1日目にパクリタキセル200mg/m2 IV;3~4週間毎に1日目にシスプラチン75~100mg/m2 IVと1日目にセツキシマブ400mg/m2 IV負荷用量、その後、毎週250mg/m2 IV(デキサメタゾン、ジフェンヒドラミン、およびラニチジンを前投与);3週間毎に1日目にシスプラチン100mg/m2 IVと1~4日目に持続的IV注入による5-FU 1000mg/m2/日;毎週メトトレキサート40mg/m2 IV(3週間が1周期に相当);3週間毎にパクリタキセル200mg/m2 IV;3週間毎にドセタキセル75mg/m2 IV;1日目にセツキシマブ400mg/m2 IV負荷用量、その後、疾病進行まで毎週250mg/m2 IV(デキサメタゾン、ジフェンヒドラミン、およびラニチジンを前投与);3周期の間、4週間毎に1日目、22日目、および43日目に放射線照射とともにシスプラチン100mg/m2 IV、その後、1日目にシスプラチン80mg/m2 IVと1~4日目に持続的IV注入による5-FU 1000mg/m2/日;3週間毎に1日目にシスプラチン75mg/m2 IVと1日目にドセタキセル75mg/m2 IV;3週間毎に1日目にシスプラチン75mg/m2 IVと1日目にパクリタキセル175mg/m2 IV;3週間毎に1日目にカルボプラチンAUC 6 IVと1日目にドセタキセル65mg/m2 IV;3週間毎に1日目にカルボプラチンAUC 6 IVと1日目にパクリタキセル200mg/m2 IV;3週間毎に1日目にシスプラチン100mg/m2 IVと1~4日目に持続的IV注入による5-FU 1000mg/m2/日;4週間毎に1日目にシスプラチン50~70mg/m2 IVと1日目、8日目、および15日目にゲムシタビン1000mg/m2 IV;4週間毎に1日目、8日目、および15日目にゲムシタビン1000mg/m2 IVまたは3週間毎に1日目および8日目にゲムシタビン1250mg/m2 IV;毎週メトトレキサート40mg/m2 IV(3週間が1周期に相当);3週間毎にパクリタキセル200mg/m2 IV;3週間毎にドセタキセル75mg/m2 IV;3週間毎に1日目にシスプラチン75mg/m2 IVと1日目にドセタキセル75mg/m2 IV;3週間毎に1日目にシスプラチン75mg/m2 IVと1日目にパクリタキセル175mg/m2 IV;3週間毎に1日目にカルボプラチンAUC 6 IVと1日目にドセタキセル65mg/m2 IV;3週間毎に1日目にカルボプラチンAUC 6 IVと1日目にパクリタキセル200mg/m2 IV;3週間毎に1日目にシスプラチン100mg/m2 IVと1~4日目に持続的IV注入による5-FU 1000mg/m2/日;4週間毎に1日目にシスプラチン50~70mg/m2 IVと1日目、8日目、および15日目にゲムシタビン1000mg/m2 IV;4週間毎に1日目、8日目、および15日目にゲムシタビン1000mg/m2 IVまたは3週間毎に1日目および8日目にゲムシタビン1250mg/m2 IV;毎週メトトレキサート40mg/m2 IV(3週間が1周期に相当);3週間毎にパクリタキセル200mg/m2 IV;ならびに3週間毎にドセタキセル75mg/m2 IVと併用することができる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0195】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、いくつかの標準治療化学療法治療計画、例えば、限定されるものではないが、CDK4/6複製非依存性トリプルネガティブ乳癌治療プロトコール、例えば、限定されるものではないが、4周期の間、2週間毎にドーズデンスドキソルビシン(アドリアマイシン)およびシクロホスファミド(サイトキサン)、次いで、4周期の間、2週間毎にドーズデンスパクリタキセル(タキソール(商標));合計4周期の間3週間毎にアドリアマイシン/パクリタキセル/シクロホスファミド;合計4周期の間2週間毎にアドリアマイシン/パクリタキセル/シクロホスファミド;それぞれ4周期の間、3週間毎にアドリアマイシン/シクロホスファミド、次いで、パクリタキセル(タキソール(商標));ならびにそれぞれ4周期の間、2週間毎にアドリアマイシン/シクロホスファミド、次いで、パクリタキセル(タキソール(商標))と併用することができる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0196】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、いくつかの標準治療化学療法治療計画、例えば、限定されるものではないが、CDK4/6複製非依存性膀胱癌治療プロトコール、例えば、限定されるものではないが、非筋肉浸潤性膀胱癌の術後補助膀胱腔内化学療法、筋肉浸潤性膀胱癌の第一選択化学療法、および筋肉浸潤性膀胱癌の第二選択化学療法と併用することができる。膀胱癌の術後化学療の限定されない例としては、一用量またはマイトマイシン(40mg)、エピルビシン(80mg)、チオテパ(30mg)、またはドキソルビシン(50mg)が挙げられる。膀胱癌の第一選択化学療法の限定されない例としては、合計4周期の間、28日毎に、1日目、8日目、および15日目にゲムシタビン1000mg/m2と1日目または2日目にシスプラチン70mg/m2を2反復周期;合計3周期の間、28日毎に、1日目、15日目、および22日目にメトトレキサート30mg/m2 IVと2日目、15日目、および22日目にビンブラスチン3mg/m2 IVと2日目にドキソルビシン30mg/m2 IVと2日目にシスプラチン70mg/m2 IVの投与の反復周期;ならびに成長因子刺激剤とともに投与される上記のドーズデンス計画が挙げられる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0197】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、いくつかの標準治療化学療法治療計画、例えば、限定されるものではないが、CDK4/6複製非依存性網膜芽細胞腫治療プロトコール、例えば、限定されるものではないが、手術、放射線療法、寒冷療法、温熱療法、または他の局所療法技術を伴うカルボプラチン、ビンクリスチン、またはエトポシドの投与と併用することができる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0198】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、いくつかの標準治療化学療法治療計画、例えば、限定されるものではないが、CDK4/6複製非依存性子宮頸癌治療プロトコール、例えば、限定されるものではないが、毎週、シスプラチン40mg/m2 IV;1日目にシスプラチン50~75mg/m2 IVと2~5日目および30~33日目に5-フルオロウラシル(5-FU)1000mg/m2の持続的IV注入;3~4周期の間、3週間毎に、1日目にシスプラチン50~75mg/m2 IVと1~4日目に24時間にわたる5-FU 1000mg/m2のIV注入;3週間毎に、30~90分にわたるベバシズマブ15mg/kg IVと1日目または2日目にシスプラチンと1日目にパクリタキセル;3週間毎に1日目にベバシズマブおよびパクリタキセルと、1~3日目にトポテカン;3週間毎に1日目にパクリタキセル、次いで、シスプラチン;3週間毎に1~3日目にトポテカン、次いで、1日目にシスプラチン;ならびに、および3週間毎に1日目にパクリタキセルの投与と併用することができる。別の実施形態では、子宮頸癌療法プロトコールは、上記のように放射線照射、手術、または別の手法に加えて行われる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0199】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)のいくつかの標準治療化学療法治療計画と併用することができる。TNBCは、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、およびHER2/neuの染色がないことと定義される。TNBCは、トラスツズマブなどのHER2標的療法(HER2-directed therapy)およびタモキシフェンまたはアロマターゼ阻害剤などの内分泌療法を含む乳癌治療に利用可能な最も有効な療法の一部に不感受性である。ドーズデンスまたはメトロノミックスケジュールで当業者とされる併用細胞傷害性化学療法は、依然として初期TNBCの標準療法となっている。術前補助療法におけるパクリタキセルおよびアドリアマイシンとシクロホスファミド化学療法に加えてのカルボプラチンによるTNBCの治療に注目される薬物として最近、白金剤が登場した。ニラパリブ(Tesaro)を含むポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤は、TNBC治療の有望な治療薬として開発中である。PARPは、DNA修復を含む複数の細胞プロセスに関与する酵素ファミリーである。一つの実施形態では、TNBC療法を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせる。一つの実施形態では、TNBC療法は、PARP阻害剤ニラパリブである。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0200】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、AMLのいくつかの標準治療化学療法治療計画と併用することができる。AML治療には、シタラビン(シトシンアラビノシドまたはara-C)およびアントラサイクリン薬(例えば、ダウノルビシン/ダウノマイシン、イダルビシン、およびミトキサントロン)が含まれる。AMLを治療するために使用可能な他の化学療法薬としては、クラドリビン(ロイスタチン(Leustatin)(商標)、2-CdA)、フルダラビン(フルダラ(Fludara)(商標))、トポテカン、エトポシド(VP-16)、6-チオグアニン(6-TG)、ヒドロキシ尿素(ヒドレア(Hydrea)(商標))、コルチコステロイド薬、例えば、プレドニゾンまたはデキサメタゾン(デカドロン(商標))、メトトレキサート(MTX)、6-メルカプトプリン(6-MP)、アザシチジン(ビダーザ(Vidaza)(商標))、デシタビン(ダコジェン(Dacogen)(商標))が含まれる。一つの実施形態では、AML療法を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と合わせる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0201】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、CLLおよびその他のリンパ腫のいくつかの標準治療化学療法治療計画と併用することができる。CLL治療には、フルダラビン(フルダラ(商標))、ペントスタチン(ニペント(Nipent)(商標))、およびクラドリビン(2-CdA、ロイスタチン(商標))などのプリン類似体、ならびにクロラムブシル(ロイケラン(Leukeran)(商標))およびシクロホスファミド(サイトキサン(Cytoxan)(商標))およびベンダムスチン(トレアンダ(Treanda)(商標))を含むアルキル化剤が含まれる。CLLに使用されることがある他の薬物としては、ドキソルビシン(アドリアマイシン(Adriamycin)(商標))、メトトレキサート、オキサリプラチン、ビンクリスチン(オンコビン(Oncovin)(商標))、エトポシド(VP-16)、およびシタラビン(ara-C)が含まれる。その他の薬物としては、リツキシマブ(リツキサン(Rituxan)(商標))、オビヌツズマブ(ガザイバ(Gazyva)(商標))、オファツムマブ(アルゼラ(Arzerra)(商標))、アレムツズマブ(キャンパス(Campath)(商標))およびイブルチニブ(イムルビカ(Imbruvica)(商標))が含まれる。一つの実施形態では、CLL療法を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0202】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、CMLのいくつかの標準治療化学療法治療計画と併用することができる。CML治療には、インターフェロン、イマチニブ(グリベック(Gleevec)(商標))、化学療法薬ヒドロキシ尿素(ヒドレア(商標))、シタラビン(Ara-C)、ブスルファン、シクロホスファミド(サイトキサン(商標))、およびビンクリスチン(オンコビン(商標))が含まれる。オマセタキシン(シンリボ(Synribo)(商標))は、現行使用下のTKIの一部に耐性のあるCMLを治療するために承認された化学療法薬である。一つの実施形態では、CML療法を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0203】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、CMMLのいくつかの標準治療化学療法治療計画と併用することができる。CMML治療には、デフェラシロクス(エクスジェイド(Exjade)(商標))、シタラビンとイダルビシン、シタラビンとトポテカン、およびシタラビンとフルダラビン、ヒドロキシ尿素(ヒドロキシカルバマート、ヒドレア(商標))、アザシチジン(ビダーザ(商標))およびデシタビン(ダコジェン(商標))が含まれる。一つの実施形態では、CMML療法を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0204】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤を、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、多発性骨髄腫のいくつかの標準治療化学療法治療計画と併用することができる。多発性骨髄腫治療には、ポマリドミド(ポマリスト(Pomalyst)(商標))、カルフィルゾミブ(キプロリス(Kyprolis)(商標))、エベロリムス(アフィニトール(Afinitor)(商標))、デキサメタゾン(デカドロン(商標))、プレドニゾンおよびメチルプレドニゾロン(ソルメドロール(Solu-medrol)(商標))およびヒドロコルチゾンが含まれる。一つの実施形態では、多発性骨髄腫療法を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0205】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、ホジキン病のいくつかの標準治療化学療法治療計画と併用することができる。ホジキン病治療には、ブレンツキシマブ ベドチン(アドセトリス(Adcetris)(商標)):抗CD-30、リツキシマブ、アドリアマイシン(商標)(ドキソルビシン)、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン(DTIC)が含まれる。一つの実施形態では、ホジキン病療法を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0206】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、非ホジキン病のいくつかの標準治療化学療法治療計画と併用することができる。非ホジキン病治療には、リツキシマブ(リツキサン(商標))、イブリツモマブ(ゼヴァリン(商標))、トシツモマブ(ベキサール(Bexxar)(商標))、アレムツズマブ(キャンパス(商標))(CD52抗原)、オファツムマブ(アルゼラ(商標))、ブレンツキシマブ ベドチン(アドセトリス(商標))およびレナリドマイド(レブリミド(Revlimid)(商標))が含まれる。一つの実施形態では、非ホジキン病療法を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0207】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)のいくつかの標準治療化学療法治療計画と併用することができる。DLBCL治療には、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾン)とモノクローナル抗体リツキシマブ(リツキサン(商標))が含まれる。R-CHOPとして知られるこの計画は、通常、約6か月間投与される。一つの実施形態では、DLBCL療法を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0208】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、原発性縦隔B細胞リンパ腫のいくつかの標準治療化学療法治療計画と併用することができる。原発性縦隔B細胞リンパ腫治療には、R-CHOPが含まれる。一つの実施形態では、原発性縦隔B細胞リンパ腫療法を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0209】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、濾胞性リンパ腫のいくつかの標準治療化学療法治療計画と併用することができる。濾胞性リンパ腫治療には、単剤化学療法薬(例えば、ベンダムスチンもしくはフルダラビン)またはCHOPもしくはCVP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン)計画などの薬物の組合せを用いる、化学療法併用のリツキシマブ(リツキサン(商標))が含まれる。放射性モノクローナル抗体、イブリツモマブ(ゼヴァリン(商標))およびトシツモマブ(ベキサール(商標))も可能性のある治療選択肢である。より強力な化学療法計画であるリツキシマブ単剤を忍容し得ない患者には、より温和な化学療法薬(例えば、クロラムブシルまたはシクロホスファミド)。一つの実施形態では、濾胞性リンパ腫療法を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0210】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、慢性リンパ性白血病/小細胞型リンパ球性リンパ腫のいくつかの標準治療化学療法治療計画と併用することができる。慢性リンパ性白血病/小細胞型リンパ球性リンパ腫治療には、R-CHOPが含まれる。一つの実施形態では、慢性リンパ性白血病/小細胞型リンパ球性リンパ腫療法を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0211】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、マントル細胞リンパ腫のいくつかの標準治療化学療法治療計画と併用することができる。マントル細胞リンパ腫治療には、フルダラビン、クラドリビン、またはペントスタチン;ボルテゾミブ(ベルケード(Velcade)商標))およびレナリドマイド(レブリミド(商標))およびイブルチニブ(イムブルビカ(商標))が含まれる。一つの実施形態では、マントル細胞リンパ腫療法を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0212】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、粘膜関連リンパ組織型節外性辺縁帯B細胞リンパ腫(MALT)のいくつかの標準治療化学療法治療計画と併用することができる。粘膜関連リンパ組織型節外性辺縁帯B細胞リンパ腫(MALT)治療には、リツキシマブ;クロラムブシルもしくはフルダラビンまたは多くの場合リツキシマブを伴うCVPなどの組合せが含まれる。一つの実施形態では、粘膜関連リンパ組織型節外性辺縁帯B細胞リンパ腫(MALT)療法を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0213】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、節性辺縁帯B細胞リンパ腫のいくつかの標準治療化学療法治療計画と併用することができる。節性辺縁帯B細胞リンパ腫治療には、単剤化学療法薬(例えば、ベンダムスチンもしくはフルダラビン)またはCHOPもしくはCVP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン)計画などの薬物の組合せを用いる、化学療法併用のリツキシマブ(リツキサン(商標))が含まれる。放射性モノクローナル抗体であるイブリツモマブ(ゼヴァリン(商標))およびトシツモマブ(ベキサール(商標))もまた可能性のある治療選択肢である。より強力な化学療法計画であるリツキシマブ単剤を忍容し得ない患者には、より温和な化学療法薬(例えば、クロラムブシルまたはシクロホスファミド)。一つの実施形態では、節性辺縁帯B細胞リンパ腫療法を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0214】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、脾辺縁帯B細胞リンパ腫のいくつかの標準治療化学療法治療計画と併用することができる。脾辺縁帯B細胞リンパ腫治療には、リツキシマブが含まれる。一つの実施形態では、脾辺縁帯B細胞リンパ腫療法を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0215】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、バーキットリンパ腫のいくつかの標準治療化学療法治療計画と併用することができる。バーキットリンパ腫治療には、メトトレキサート;hyper-CVAD-シクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン(アドリアマイシン(商標)としても知られる)、およびデキサメタゾンが含まれる。コースBは、メトトレキサートおよびシタラビンからなり;CODOX-M-シクロホスファミド、ドキソルビシン、高用量メトトレキサート/イフォスファミド、エトポシド、および高用量シタラビン;エトポシド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、およびプレドニゾン(EPOCH)が含まれる。一つの実施形態では、バーキットリンパ腫療法を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0216】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、リンパ形質細胞性リンパ腫のいくつかの標準治療化学療法治療計画と併用することができる。リンパ形質細胞性リンパ腫治療には、リツキシマブが含まれる。一つの実施形態では、リンパ形質細胞性リンパ腫療法を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0217】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、有毛細胞白血病のいくつかの標準治療化学療法治療計画と併用することができる。有毛細胞白血病治療には、クラドリビン(2-CdA)またはペントスタチン;リツキシマブ;インターフェロン-αが含まれる。一つの実施形態では、有毛細胞白血病療法を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0218】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病のいくつかの標準治療化学療法治療計画と併用することができる。前駆Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病治療には、シクロホスファミド、ドキソルビシン(アドリアマイシン(商標))、ビンクリスチン、L-アスパラギナーゼ、メトトレキサート、プレドニゾン、および場合によってはシタラビン(ara-C)が含まれる。脳および脊髄へ拡散するリスクのために、メトトレキサートなどの化学療法薬はまた髄液にも投与される。一つの実施形態では、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病療法を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0219】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、皮膚リンパ腫のいくつかの標準治療化学療法治療計画と併用することができる。皮膚リンパ腫治療には、ゲムシタビン、リポソームドキソルビシン(ドキシル(Doxil)(商標));メトトレキサート;クロラムブシル;シクロホスファミド;ペントスタチン;エトポシド;テモゾロミド;プララトレキサート;R-CHOPが含まれる。一つの実施形態では、皮膚リンパ腫療法を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0220】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫のいくつかの標準治療化学療法治療計画と併用することができる。血管免疫芽球性T細胞リンパ腫治療には、プレドニゾンまたはデキサメタゾンが含まれる。一つの実施形態では、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫療法を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0221】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、節外性ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、鼻型のいくつかの標準治療化学療法治療計画と併用することができる。節外性ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、鼻型の治療には、CHOPが含まれる。一つの実施形態では、節外性ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、鼻型療法を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0222】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、未分化大細胞リンパ腫のいくつかの標準治療化学療法治療計画と併用することができる。未分化大細胞リンパ腫治療には、CHOP;プララトレキサート(フォロチン(Folotyn)(商標))、標的化薬、例えば、ボルテゾミブ(ベルケード(商標))もしくはロミデプシン(イストダックス(Istodax))、または免疫療法薬、例えば、アレムツズマブ(キャンパス(商標))およびデニロイキンディフチトクス(オンタック(Ontak)(商標))が含まれる。一つの実施形態では、未分化大細胞リンパ腫療法を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0223】
一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫のいくつかの標準治療化学療法治療計画と併用することができる。原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫治療には、メトトレキサート;リツキシマブが含まれる。一つの実施形態では、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫療法を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0224】
一つの実施形態では、対象は小細胞肺癌を有し、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、エトポシド、およびトポテカン、またはそれらの組合せからなる群から選択される化学療法薬を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iまたは化合物IIである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、デュルバルマブ、アベルマブ、およびアテゾリズマブから選択されるPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。
【0225】
一つの実施形態では、化学療法薬はエトポシドであり、CDK4/6阻害剤は化合物であり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はカルボプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、カルボプラチンおよびエトポシドを含んでなる併用治療計画であり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はシスプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はトポテカンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はオキサリプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。
【0226】
一つの実施形態では、対象は黒色腫を有し、ダカルバジン、テモゾロミド、nab-パクリタキセル、パクリタキセル、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、ビンブラスチン、またはそれらの組合せからなる群から選択される化学療法薬を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iまたは化合物IIである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、デュルバルマブ、アベルマブ、およびアテゾリズマブから選択されるPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。一つの実施形態では、化学療法薬はダカルバジンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はテモゾロミドであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はnab-パクリタキセルであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はパクリタキセルであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はシスプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はカルボプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はビンブラスチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はオキサリプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。
【0227】
一つの実施形態では、対象は腎細胞癌を有し、ビンブラスチン、フロクスウリジン、5-フルオロウラシル、カペシタビン、およびゲムシタビン、またはそれらの組合せからなる群から選択される化学療法薬を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iまたは化合物IIである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、デュルバルマブ、アベルマブ、およびアテゾリズマブから選択されるPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。一つの実施形態では、化学療法薬はビンブラスチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はフロクスウリジンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は5-フルオロウラシルであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はカペシタビンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はゲムシタビンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。
【0228】
一つの実施形態では、対象は膀胱癌を有し、カルボプラチン、オキサリプラチン、シスプラチン、フルオロウラシル、マイトマイシン、メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、パクリタキセル、またはそれらの組合せからなる群から選択される化学療法薬を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iまたは化合物IIである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、デュルバルマブ、アベルマブ、およびアテゾリズマブから選択されるPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。一つの実施形態では、化学療法薬はシスプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチンおよび5-フルオロウラシルを含んでなる併用治療計画であり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、マイトマイシンおよび5-フルオロウラシルを含んでなる併用治療計画であり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチンおよびゲムシタビンを含んでなる併用治療計画であり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチン、メトトレキサート、ビンブラスチンおよびドキソルビシンを含んでなる併用治療計画であり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチン、メトトレキサート、およびビンブラスチンを含んでなる併用治療計画であり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、カルボプラチンおよびパクリタキセルを含んでなる併用治療計画であり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はオキサリプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。
【0229】
一つの実施形態では、対象は尿路上皮癌を有し、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、フルオロウラシル、マイトマイシン、メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、パクリタキセル、またはそれらの組合せからなる群から選択される化学療法薬を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iまたは化合物IIである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、デュルバルマブ、アベルマブ、およびアテゾリズマブから選択されるPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。一つの実施形態では、化学療法薬はシスプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチンおよび5-フルオロウラシルを含んでなる併用治療計画であり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、マイトマイシンおよび5-フルオロウラシルを含んでなる併用治療計画であり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチンおよびゲムシタビンを含んでなる併用治療計画であり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチン、メトトレキサート、ビンブラスチンおよびドキソルビシンを含んでなる併用治療計画であり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチン、メトトレキサート、およびビンブラスチンを含んでなる併用治療計画であり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、カルボプラチンおよびパクリタキセルを含んでなる併用治療計画であり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はオキサリプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。
【0230】
一つの実施形態では、対象は乳癌を有し、カルボプラチン、オキサリプラチン、シスプラチン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、パクリタキセル、シクロホスファミド、ゲムシタビン、またはそれらの組合せからなる群から選択される化学療法薬を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iまたは化合物IIである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、デュルバルマブ、アベルマブ、およびアテゾリズマブから選択されるPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はカルボプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。一つの実施形態では、化学療法薬はシスプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチンおよび5-フルオロウラシルを含んでなる併用治療計画であり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチンおよびゲムシタビンを含んでなる併用治療計画であり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はドキソルビシンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はシクロホスファミドであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はパクリタキセルであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はオキサリプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。
【0231】
一つの実施形態では、対象は大腸癌を有し、5-フルオロウラシル、カペシタビン、イリノテカン、オキサリプラチン、トリフルリジン、オキサリプラチン、およびチピラシル、またはそれらの組合せからなる群から選択される化学療法薬を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iまたは化合物IIである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、デュルバルマブ、アベルマブ、およびアテゾリズマブから選択されるPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は5-フルオロウラシルであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。一つの実施形態では、化学療法薬はカペシタビンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、トリフルリジンおよびチピラシルを含んでなる併用治療計画であり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はイリノテカンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はオキサリプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。
【0232】
一つの実施形態では、対象は去勢抵抗性前立腺癌を有し、ドセタキセル、カバジタキセル、ミトキサントロン、およびエストラムスチン、またはそれらの組合せからなる群から選択される化学療法薬を、化合物Iおよびアテゾリズマブと組み合わせて投与される。一つの実施形態では、化学療法薬は、ドセタキセルである。一つの実施形態では、化学療法薬は、カバジタキセルである。一つの実施形態では、化学療法薬は、ミトキサントロンである。一つの実施形態では、化学療法薬は、エストラムスチンである。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iまたは化合物IIである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、デュルバルマブ、アベルマブ、およびアテゾリズマブから選択されるPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。一つの実施形態では、化学療法薬はドセタキセルであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はカバジタキセルであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はミトキサントロンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はエストラムスチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。
【0233】
一つの実施形態では、対象はPD-L1発現腫瘍を有し、カルボプラチン、シスプラチン、ゲムシタビン、エトポシド、5-フルオロウラシル、パクリタキセル、オキサリプラチン、およびトポテカン、またはそれらの組合せからなる群から選択される化学療法薬を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iまたは化合物IIである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、デュルバルマブ、アベルマブ、およびアテゾリズマブから選択されるPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はエトポシドであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。一つの実施形態では、化学療法薬はカルボプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、カルボプラチンおよびエトポシドを含んでなる併用治療計画であり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はシスプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はトポテカンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はオキサリプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチンおよび5-フルオロウラシルを含んでなる併用治療計画であり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はドキソルビシンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。
【0234】
一つの実施形態では、対象は胃癌を有し、5-フルオロウラシル、カペシタビン、カルボプラチン、シスプラチン、ドセタキセル、エピルビシン、イリノテカン、オキサリプラチン、パクリタキセル、またはそれらの組合せからなる群から選択される化学療法薬を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iまたは化合物IIである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、デュルバルマブ、アベルマブ、およびアテゾリズマブから選択されるPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は5-フルオロウラシルであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。一つの実施形態では、化学療法薬はカペシタビンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、エピルビシン、シスプラチンおよび5-フルオロウラシルを含んでなる併用治療計画であり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はカルボプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はシスプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はドセタキセルであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はエピルビシンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、カルボプラチンおよびパクリタキセルを含んでなる併用治療計画であり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はイリノテカンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はオキサリプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はパクリタキセルであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。
【0235】
一つの実施形態では、対象は中皮腫を有し、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、ゲムシタビン、アリムタ、オンコナーゼおよびナベルビン、またはそれらの組合せからなる群から選択される化学療法薬を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iまたは化合物IIである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、デュルバルマブ、アベルマブ、およびアテゾリズマブから選択されるPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はカルボプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はシスプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はゲムシタビンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はアリムタであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチンおよびアリムタを含んでなる併用治療計画であり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はオンコナーゼであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はナベルビンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はオキサリプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。
【0236】
一つの実施形態では、対象は卵巣癌を有し、カルボプラチン、オキサリプラチン、シスプラチン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、パクリタキセル、シクロホスファミド、ゲムシタビンまたはそれらの組合せからなる群から選択される化学療法薬を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iまたは化合物IIである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、デュルバルマブ、アベルマブ、およびアテゾリズマブから選択されるPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。一つの実施形態では、化学療法薬はカルボプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はシスプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチンおよび5-フルオロウラシルを含んでなる併用治療計画であり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は、シスプラチンおよびゲムシタビンを含んでなる併用治療計画であり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はドキソルビシンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はシクロホスファミドであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はパクリタキセルであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はオキサリプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。
【0237】
一つの実施形態では、対象は頭頸部癌を有し、カルボプラチン、オキサリプラチン、シスプラチン、5-フルオロウラシル、ゲムシタビン、およびドセタキセル、またはそれらの組合せからなる群から選択される化学療法薬を、CDK4/6阻害剤および免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は、化合物Iまたは化合物IIである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、デュルバルマブ、アベルマブ、およびアテゾリズマブから選択されるPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ(ヤーボイ(商標))、トレメリムマブ、AGEN1884、およびAGEN2041からなる群から選択されるCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(オプジーボ(商標))、ペンブロリズマブ(キートルーダ(商標))、およびピディリズマブからなる群から選択されるPD-1阻害剤である。一つの実施形態では、化学療法薬はカルボプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はシスプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬は5-フルオロウラシルであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はゲムシタビンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はオキサリプラチンであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、化学療法薬はドセタキセルであり、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。
【0238】
本明細書ではまた、免疫チェックポイント阻害剤、例えば、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤、またはPD-L1阻害剤と組み合わせたCDK4/6阻害剤の投与も企図され、この場合、CDK4/6阻害剤/チェックポイント阻害剤の組合せは、CDK4/6阻害剤/化学療法薬/免疫チェックポイント阻害剤治療計画の終了後に免疫エフェクター細胞応答を維持するために投与される。例えば、CDK4/6阻害剤/化学療法薬/免疫チェックポイント阻害剤治療計画の完了後に、CDK4/6阻害剤を免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、免疫エフェクター細胞応答の維持のために周期的間隔で前記対象に投与することができる。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤/免疫チェックポイント阻害剤の維持計画は、元の治療計画の休止後に少なくとも1回以上投与される。一つの実施形態では、維持計画は、週1回、月2回、月1回、6週間に1回、または必要に応じて随時投与される。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、免疫チェックポイント阻害剤は、デュルバルマブ、アベルマブ、およびアテゾリズマブから選択されるPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブである。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、免疫チェックポイント阻害剤はCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、免疫チェックポイント阻害剤はPD-1阻害剤である。
【0239】
本発明ではさらに、免疫チェックポイント阻害剤、例えば、PD-L1阻害剤の投与が企図され、ここで、免疫チェックポイント阻害剤は、CDK4/6阻害剤/化学療法薬/免疫チェックポイント阻害剤治療計画の終了後に免疫エフェクター細胞応答を維持するために投与される。例えば、CDK4/6阻害剤/化学療法薬/免疫チェックポイント阻害剤治療計画の完了後に、免疫チェックポイント阻害剤は、免疫エフェクター細胞応答の維持のために周期的間隔で前記対象に投与することができる。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤の維持計画は、元の治療計画の休止後に少なくとも1回以上投与される。一つの実施形態では、維持計画は、週1回、月2回、月1回、6週間に1回、または随時投与される。一つの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、デュルバルマブ、アベルマブ、およびアテゾリズマブから選択されるPD-L1阻害剤である。一つの実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブである。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、免疫チェックポイント阻害剤はCTLA-4阻害剤である。一つの実施形態では、CDK4/6阻害剤は化合物Iであり、かつ、免疫チェックポイント阻害剤はPD-1阻害剤である。
【0240】
医薬組成物および投与形
本明細書に記載の方法において使用するための本明細書に記載の有効化合物、またはそれらの塩、同位体類似体、またはプロドラッグは、所望の治療結果を達成する任意の好適なアプローチを用いて対象に有効量で投与することができる。投与する有効化合物の量および時機は、当然のことながら、治療される対象、管理医療専門家の指示、暴露の経時的推移、投与様式、特定の有効化合物の薬物動態特性、および処方医師の判断によって決まる。よって、宿主ごとの変動のために、以下に示される用量は指針であって、医師は、医師がその宿主に適当であると考える治療を達成するために有効化合物の用量を調整することができる。所望の治療の程度を考慮して、医師は、宿主の年齢および体重、既往疾患の存在、ならびに他の疾患の存在などの様々な要因のバランスをとることができる。化合物IなどのCDK4/6阻害剤の一般投与量は、全内容が本明細書の開示の一部とされるWO2016/126889に従前に記載されている。
【0241】
医薬組成物は、いずれの薬学的に有用な形態として、例えば、エアロゾル、クリーム、ゲル、丸剤、注射液または輸液、カプセル剤、錠剤、シロップ、経皮パッチ、皮下パッチ、ドライパウダー、吸入処方物、医療器具、坐剤、口内、または舌下処方物、非経口処方物、または点眼剤として処方してもよい。錠剤およびカプセル剤などのいくつかの投与形は、適当な量、、例えば、所望の目的を達成するために有効な量の有効成分を含有する好適なサイズの単位用量に細分割される。
【0242】
本明細書に記載の有効化合物の治療上有効な用量は、医療従事者により、患者の状態、大きさおよび年齢、ならびに送達経路に応じて決定される。一つの限定されない実施形態では、約0.1~約200mg/kgの用量に治療効力があり、ここで、総ての用量は、塩が使用される場合を含め、有効化合物の重量に基づいて計算される。いくつかの実施形態では、用量は、最大約10nM、50nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1μM、5μM、10μM、20μM、30μM、または40μMという有効化合物の血清濃度を得るために必要とされる化合物の量であり得る。
【0243】
特定の実施形態では、医薬組成物は、単位投与形中に約0.1mg~約2000mg、約10mg~約1000mg、約100mg~約800mg、または約200mg~約600mgの有効化合物と所望により約0.1mg~約2000mg、約10mg~約1000mg、約100mg~約800mg、または約200mg~約600mgの付加的有効薬剤を含有する投与形である。少なくとも5、10、15、20、25、50、100、200、250、300、400、500、600、700、または750mgの有効化合物、またはその塩を含む投与形の例。医薬組成物は、あるモル比の有効化合物と付加的有効薬剤を所望の結果を達成する比率で含んでもよい。
【0244】
一つの実施形態では、投与されるCDK4/6阻害剤は化合物Iであり、これは約180mg/m2~約280mg/m2の用量で投与される。一つの実施形態では、化合物Iは約180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、または約280mg/m2で投与される。一つの実施形態では、化合物Iは、約200mg/m2の用量で投与される。一つの実施形態では、化合物Iは、約240mg/m2の用量で投与される。
【0245】
一つの実施形態では、投与されるCDK4/6阻害剤は化合物IIであり、これは約180mg/m2~約280mg/m2の用量で投与される。一つの実施形態では、化合物IIは、約180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、または約280mg/m2で投与される。一つの実施形態では、化合物IIは約200mg/m2の用量で投与される。一つの実施形態では、化合物IIは約240mg/m2の用量で投与される。
【0246】
一つの実施形態では、投与されるCDK4/6阻害剤は化合物IIIであり、これは約180mg/m2~約280mg/m2の用量で投与される。一つの実施形態では、化合物IIIは、約180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、または約280mg/m2で投与される。一つの実施形態では、化合物IIIは、約200mg/m2の用量で投与される。一つの実施形態では、化合物IIIは、約240mg/m2の用量で投与される。
【0247】
一つの実施形態では、投与されるCDK4/6阻害剤は化合物IVであり、これは約180mg/m2~約280mg/m2の用量で投与される。一つの実施形態では、化合物IVは、約180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、または約280mg/m2で投与される。一つの実施形態では、化合物IVは、約200mg/m2の用量で投与される。一つの実施形態では、化合物IVは、約240mg/m2の用量で投与される。
【0248】
本明細書に開示されるまたは本明細書に記載されるように使用される化合物は、経口的に、局所的に、非経口的に、吸入もしくはスプレーにより、舌下に、眼科用インプラントを含むインプラントを介して、経皮的に、口腔内投与を介して、直腸に、点眼剤、眼内注射剤を含む注射剤として、静脈内、筋肉内、吸入、大動脈内、頭蓋内、真皮下、腹腔内、皮下、経鼻、舌下、または直腸または他の手段により、従来の薬学的に許容可能な担体を含有する投与単位処方物として投与され得る。眼内送達に関して、化合物は、所望により、例えば、硝子体内、角膜実質内、前房内、テノン嚢下、網膜下、眼球後、眼球周囲、脈絡膜上、結膜、結膜下、強膜上、眼周囲、経強膜、眼球後、後部強膜近傍、角膜周囲、もしくは涙管注射、または粘液、ムチン、もしくは粘膜関門を介して、即放性もしくは徐放性様式で、または眼科用器具を介して投与され得る。
【0249】
現在開示されている方法によれば、経口投与は、溶液、懸濁液、またはエマルションを含む、固体、ゲルまたは液体などのいずれの望ましい形態であってもよい。いくつかの実施形態では、化合物または塩は、リポソーム懸濁液として吸入により、静脈内に、または筋肉内に投与される。吸入により投与される場合、有効化合物または塩は、複数の固体粒子または任意の所望の粒径、例えば、約0.01、0.1または0.5~約5、10、20またはそれを超えるミクロン、所望により約1~約2ミクロンを有する液滴の形態であってよい。本発明に開示されるような化合物は、例えば、経口または静脈内経路によって投与される場合、良好な薬物動態特性および薬動力学特性を示した。
【0250】
医薬製剤は、任意の薬学的に許容可能な担体中に、本明細書に記載の有効化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含んでなり得る。溶液が望まれる場合には、水が水溶性化合物または塩のために選択される担体となることがある。水溶性化合物または塩に関しては、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、またはそれらの混合物などの有機ビヒクルが好適であり得る。後者の場合、有機ビヒクルは実質的な量の水を含有し得る。いずれの場合にも、その後、溶液は当業者に既知の好適な方法で、例としては、0.22ミクロンフィルターによる濾過によって除菌することができる。除菌の後、溶液を脱パイロジェンガラスバイアルなどの適当な容器に分注することができる。分注は所望により無菌的方法によって行われる。次に、バイアルに滅菌した蓋をし、所望であれば、バイアルの内容物を凍結乾燥させることができる。
【0251】
担体には、賦形剤および希釈剤が含まれ、それらを治療される患者への投与に好適なものとするのに十分に高い純度、かつ、十分に低い毒性でなければならない。担体は不活性であってよく、または担体はその固有の薬学的利益を有し得る。本化合物と併用される担体の量は、化合物の単位用量当たりに、実質的な量の材料を投与に提供するのに十分なものである。
【0252】
担体の種類としては、限定されるものではないが、結合剤、緩衝剤、着色剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、香味剤、流動化剤、滑沢剤、保存剤、安定剤、界面活性剤、打錠剤、および湿潤剤が含まれる。担体には2つ以上の種類に挙げられているものがあり、例えば、植物油は処方物によっては滑沢剤として使用されたり希釈剤として使用されたりする。例示的な薬学的に許容可能な担体としては、糖類、デンプン、セルロース、粉末トラガカントガム、麦芽、ゼラチン;タルク、および植物油が挙げられる。本発明の化合物の活性に実質的に干渉しない任意選択の有効薬剤は、医薬組成物中に含まれてよい。
【0253】
有効化合物またはそれらの塩に加え、医薬処方物は、pH調整添加剤などのその他の添加剤を含むことができる。特に、有用なpH調整剤としては、塩酸、塩基などの酸、または乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、またはグルコン酸ナトリウムなどのバッファーが挙げられる。さらに、これらの処方物は、抗菌保存剤を含有し得る。有用な抗菌保存剤としては、メチルパラベン、プロピルパラベン、およびベンジルアルコールが挙げられる。抗菌保存剤は一般に、多用量使用のために設計されたバイアルに処方物を入れる際に使用される。本明細書に記載の医薬処方物は、当技術分野で周知の技術を用いて凍結乾燥させることができる。
【0254】
経口投与に関して、医薬組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、および散剤などの形態を採り得る。クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウムなどの種々の賦形剤を含有する錠剤は、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチンおよびアラビアガムなどの結合剤とともにデンプン(例えば、バレイショまたはタピオカデンプン)およびある種の複合ケイ酸塩などの種々の崩壊剤を一緒に使用することができる。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、およびタルクなどの滑沢剤は打錠目的に極めて有用であることが多い。同様の種類の固体組成物を、充填ゼラチン軟および硬カプセルにおいて増量剤として使用してもよい。この関連の材料としてはまた、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。水性懸濁液および/またはエリキシル剤が経口投与に望まれる場合には、本開示の主題の化合物は、種々の甘味剤、香味剤、着色剤、乳化剤および/または沈殿防止剤、ならびに水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよびそれらの種々の組合せなどの希釈剤と組み合わせることができる。
【0255】
本明細書に記載の主題のさらに別の実施形態では、本明細書に記載されるような有効化合物、またはその塩を、密閉容器に単位投与形として含んでなる注射可能、安定、無菌の処方物が提供される。この化合物または塩は、宿主へのその注射に好適な液体処方物を形成するために好適な薬学的に許容可能な担体で再構成され得る凍結乾燥物の形態で提供される。化合物または塩が実質的に水不溶性である場合には、生理学的に許容可能な十分な量の乳化剤を、この化合物または塩を水性担体中に乳化させるのに十分な量で使用することができる。特に有用な乳化剤としては、ホスファチジルコリンおよびレシチンが挙げられる。
【0256】
本明細書に提供されるさらなる実施形態には、本明細書に開示される有効化合物のリポソーム処方物が含まれる。リポソーム懸濁液を形成するための技術は当技術分野で周知である。化合物が水性可溶性塩である場合、従来のリポソーム技術を用い、化合物を脂質小胞に組み込むことができる。このような場合、有効化合物の水溶性のために、その有効化合物を親水性中心またはリポソームのコア内に実質的に随伴させることができる。使用される脂質層はいずれの従来の組成物のものであってもよく、ある種のコレステロールであってもよいし、またはコレステロール不含であってもよい。対象の有効化合物が水不溶性である場合にも、従来のリポソーム形成技術を用い、その塩は、リポソームの構造を形成する疎水性脂質二重層内に実質的に随伴させることができる。いずれの場合でも、生産されるリポソームは、標準的音波処理およびホモジナイゼーション技術の使用によって大きさを縮小することができる。本明細書に開示される有効化合物を含んでなるリポソーム処方物は、凍結乾燥させて凍結乾燥物を作製することができ、これを水などの薬学的に許容可能な担体で再構成してリポソーム懸濁液を再生することができる。
【0257】
吸入によるエアロゾルとしての投与に好適な医薬処方物もまた提供される。これらの処方物は、本明細書に記載の所望の化合物もしくはその塩の溶液もしくは懸濁液、またはその化合物もしくは塩の複数の固体粒子を含んでなる。所望の処方物を小細胞型チャンバーに置き、噴霧化することできる。噴霧化は本化合物または塩を含んでなる複数の液滴または固体粒子を形成するための圧縮空気または超音波エネルギーによって達成することができる。液滴または固体粒子は例えば、約0.5~約10ミクロン、所望により、約0.5~約5ミクロンの範囲の粒径を有する。一つの実施形態では、固体粒子は、分解性ポリマーの使用によって徐放性を提供する。固体粒子は、固体化合物またはその塩を、当技術分野で公知の任意の適当な様式で、例えば、微粒子化によって処理することによって取得可能である。所望により、固体粒子または液滴の粒径は約1~約2ミクロンであり得る。これに関して、この目的を達成するために市販のネブライザーを利用可能である。化合物は、開示がその全内容において引用することにより本明細書の一部とされる米国特許第5,628,984号に示される様式で、呼吸可能な粒子のエアロゾル懸濁液によって投与することができる。
【0258】
当技術分野で公知のように、分解性ポリマーの使用によるものを含む、本明細書に記載の化合物の徐放性を提供する医薬処方物もまた提供される。
【0259】
エアロゾルとしての投与に好適な医薬処方物が液体の形態である場合、それらの処方物は、水溶性の有効化合物を、水を含んでなる担体中に含んでなり得る。界面活性剤が存在してもよく、界面活性剤は、噴霧化に供された際に所望の粒径範囲内の液滴の形成をもたらすに十分に処方物の表面張力を減じる。
【0260】
用語「薬学的に許容可能な塩」は、本明細書で使用する場合、本開示の主題の化合物の、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激作用、およびアレルギー反応などを起こすことなく宿主(例えば、ヒト宿主)との接触に使用するのに好適であり、妥当な利益/リスク比に釣り合い、かつ、意図される使用に効果的である塩、ならびに可能であれば、両性イオン形態を指す。
【0261】
よって、用語「塩」は、本開示の化合物の比較的非毒性の無機および有機酸付加塩を指す。これらの塩は、化合物の最終的な単離および精製中に作製することができるか、または遊離塩基形態の精製化合物を好適な有機酸もしくは無機酸とそれぞれ反応させ、そのようにして形成された塩を単離することによって作製することができる。塩基性化合物は、様々の無機酸および有機酸と多様な異なる塩を形成することができる。塩基性化合物の酸付加塩は、その遊離塩基形態を従来の方法で、塩を作製するために十分な量の所望の酸と接触させることによって作製される。遊離塩基形態は、塩形態を塩基と接触させ、従来の方法で遊離塩基を単離することによって再生させることができる。遊離塩基形態は、それらの各塩形態とは、極性溶媒中での溶解度などの特定の物理的特性が異なり得る。薬学的に許容可能な塩基付加塩は、金属もしくはアミンを伴って(アルカリ金属およびアルカリ土類金属水酸化物)、または有機アミンを伴って形成され得る。陽イオンとして使用される金属の例としては、限定されるものではないが、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウムなどが挙げられる。好適なアミンの例としては、限定されるものではないが、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、およびプロカインが挙げられる。酸性化合物の塩基付加塩は、その遊離酸形態を従来の方法で、塩を作製するために十分な量の所望の塩基と接触させることによって作製される。遊離酸形態は、塩形態を酸と接触させ、従来の方法で遊離酸を単離することによって再生させることができる。遊離酸形態は、それらの各塩形態とは、極性溶媒中での溶解度などの特定の物理的特性が幾分異なり得る。
【0262】
塩は無機酸である硫酸、ピロ硫酸、重硫酸、亜硫酸、重亜硫酸、硝酸、リン酸、リン酸一水素、リン酸二水素、メタリン酸、ピロリン酸、塩化物、臭化物、ヨウ化物、例えば、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、およびリンなどから作製され得る。代表的な塩としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリルホルホン酸塩およびイセチオン酸塩などが挙げられる。塩はまた、脂肪族モノおよびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸などの有機酸からも作製することができる。代表的な塩としては、酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩などが挙げられる。薬学的に許容可能な塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリおよびアルカリ土類金属、ならびに非毒性アンモニウム、第四級アンモニウム、およびアミン陽イオン(限定されるものではないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどを含む)に基づく陽イオンを含み得る。また、アルギン酸塩、グルコン酸塩、およびガラクツロン酸酸などのアミノ酸の塩も企図される。例えば、引用することにより本明細書の一部とされるBerge et al., J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19参照。
【実施例】
【0263】
例1:CDK4/6阻害剤をオキサリプラチンおよび抗PD-L1化合物と併用すると抗腫瘍応答の有効性が増す
同系MC38マウス腫瘍モデルにおいてCDK4/6阻害剤(化合物I)を化学療法薬オキサリプラチンおよび抗マウスPD-L1クローン10F.9G2(BioXCellカタログ番号BE0101)と併用する効果を検討した。試験は100日の期間にわたって行い、腫瘍成長およびマウスの全生存期間を測定した。腫瘍成長を
図1に示し、全生存期間を
図2に示す。試験区には下記を含むものであった。
1)ビヒクル
2)化合物I(100mg/kg)
3)オキサリプラチン
4)抗マウスPD-L1(クローン10F.9G2)
5)化合物I+オキサリプラチン
6)オキサリプラチン(1日目、8日目、および15日目に投与)および抗マウスPD-L1(クローン10F.9G2)(1日目、4日目、8日目、および11日目に投与) 7)化合物I+オキサリプラチン(1日目、8日目、15日目に投与)+抗マウスPD-L1(1日目、4日目、および8日目に投与)なお、化合物Iはオキサリプラチンの30分前に投与する。
【0264】
オキサリプラチンおよび抗マウスPD-L1で処置したマウス(6区)では、30%の完全奏功率が報告され、化合物I、オキサリプラチンおよび抗マウスPD-L1(7区)で処置したマウスでは、60%の完全奏功率が報告された。
【0265】
化合物I、オキサリプラチン、および抗マウスPD-L1で処置したマウス(7区)の全生存期間中央値は98日であり、オキサリプラチンおよび抗マウスPD-L1で処置したマウス(6区)の全生存期間中央値は61日であった。
【0266】
これらの結果は、化学療法薬/PD-L1阻害剤の併用処置へのCDK4/6阻害剤、この場合、化合物Iの付加が抗腫瘍活性を有意に改善することを示す。具体的には、化学療法薬/PD-L1処置に比べ、CDK4/6阻害剤/化学療法薬/PD-L1阻害剤治療計画で処置したマウスでは2倍が完全奏功(CR)を示し、それぞれ6/10 CRと3/10 CRであった。加えて、CRは恒久的であり、100日で再発の証拠は無かった。さらに、CDK4/6阻害剤/化学療法薬/PD-L1阻害剤治療計画は、化学療法薬/PD-L1阻害剤で処置したマウスに比べ、全生存期間(OS)に60%の増加を生じ、OS中央値は、化学療法薬/PD-L1阻害剤処置群の61日(HR、0.53)に比べて、CDK4/6阻害剤/化学療法薬/PD-L1阻害剤処置群では98日であった。
【0267】
考え合わせると、このことは、短期作用型のCDK4/6阻害剤の使用が化学療法中の免疫機能を保護し、化学療法/チェックポイント阻害剤併用療法の抗腫瘍活性を増強することを示す。
【0268】
例2:化合物IはオキサリプラチンおよびPD-L1と組み合わせた場合に抗腫瘍応答の有効性を高める
化合物IをPD-L1(クローン10F.9G2)およびオキサリプラチンと組み合わせた場合の抗腫瘍活性をMC38同系マウス結腸癌モデルで評価した。総ての異種移植試験で、9週齢の雌C57BL/6マウス(C57BL/6NCrl)にMC38腫瘍細胞を移植し、平均腫瘍体積がおよそ100mm
3になった際に処置を開始した。処置組合せおよびスケジュールの概要を
図3に示す。
【0269】
簡単に述べれば、化合物I(100mg/kg)およびオキサリプラチン(10mg/kg)を週1回、3用量で腹腔内(IP)投与し、チェックポイント阻害剤の投与は投与スケジュールに応じて変動させた。誘導(I)投与スケジュールでは、マウス抗PD-L1(100μg/動物、IP)を1日目に開始して15日目に終わる2週間、週2回投与した。維持(M)投与スケジュールでは、マウス抗PD-L1(100μg/動物、IP)を、15日目に開始し試験の終了まで続け、週2回投与した。誘導+維持(IM)投与スケジュールでは、マウス抗PD-L1(100μg/動物、IP)を、1日目に開始し試験の終了まで続け、週2回投与した。
【0270】
単剤、2剤、および3剤の組合せを試験し、化合物Iを化学療法処置の30分前に投与した。完全奏功(CR)および部分奏功(PR)を標準的なCharles River Laboratories(CRL;RTP、NC)判定基準を用いて計算した。体重(BW)および健康状態を監視し、週2回、腫瘍体積を測定した。各腫瘍体積エンドポイントは1000mm3または100日目のいずれか早い方とした。試験区には下記を含むものであった。
1)ビヒクル
2)化合物I+抗PD-L1(クローン10F.9G2)、IM 投与スケジュール
3)化合物I+オキサリプラチン+抗PD-L1(クローン10F.9G2)、IM 投与スケジュール
4)オキサリプラチン+抗マウスPD-L1(クローン10F.9G2)、M 投与スケジュール
5)化合物I+オキサリプラチン+抗マウスPD-L1(クローン10F.9G2)、M 投与スケジュール
6)オキサリプラチン+抗マウスPD-L1(クローン10F.9G2)、I 投与スケジュール
7)化合物I+オキサリプラチン+抗マウスPD-L1(クローン10F.9G2)、I 投与スケジュール
【0271】
化合物Iとオキサリプラチンおよびマウス抗PD-L1の組合で処置したマウスの腫瘍成長を
図4に示す。化合物I、オキサリプラチン、およびマウス抗PD-L1の組合せは、試験の総ての投与スケジュールに関して、オキサリプラチンおよびマウス抗PD-L1だけを投与した場合よりも腫瘍成長の処置に有効であった。
図5に示されるように、化合物Iとオキサリプラチンおよびマウス抗PD-L1の組合せで処置したマウスの全生存率は、生存の改善をもたらした。化合物I、オキサリプラチン、およびマウス抗PD-L1で処理したマウスの生存パーセントは、3種類の投与スケジュールの総てで、オキサリプラチンおよびマウス抗PD-L1だけで処置したマウスの対応する生存パーセントよりも有意に高かった。加えて、併用療法には十分な忍容性があり、処置中および処置後に有意な体重減少は生じなかった。
【0272】
表1は、マウスにおける腫瘍成長の試験の際の化合物Iとオキサリプラチンおよびマウス抗PD-L1の組合せの効果をまとめたものである。化合物Iとオキサリプラチンおよびマウス抗PD-L1の組合せは、試験の試験の総ての投与スケジュールに関して示される。
【0273】
【0274】
例3:化合物IはオキサリプラチンおよびPD-1と組み合わせた場合に抗腫瘍応答の有効性を高める
化合物IとPD-1(クローンRMP1-14(ラットIgG)、BioXcellカタログ番号BE0146)およびオキサリプラチンの組合せの抗腫瘍活性をMC38同系マウス結腸癌モデルで評価した。総ての異種移植試験で、9週齢の雌C57BL/6マウス(C57BL/6NCrl)にMC38腫瘍細胞を移植し、平均腫瘍体積がおよそ100mm
3になった際に処置を開始した。
図3に示される誘導および維持(IM)投与スケジュールに従い、化合物Iをオキサリプラチンおよび抗PD-1と組み合わせて投与した。
【0275】
簡単に述べれば、化合物I(100mg/kg)およびオキサリプラチン(10mg/kg)を、週1回、3用量で腹腔内(IP)投与し、マウス抗PD-1(5mg/kg、IP)を、1日目に開始し試験の終了まで続け、週2回投与した。
【0276】
単剤、2剤、および3剤の組合せを試験し、化合物Iを化学療法処置の30分前に投与した。完全奏功(CR)および部分奏功(PR)を標準的なCharles River Laboratories(CRL;RTP、NC)判定基準を用いて計算した。体重(BW)および健康状態を監視し、週2回、腫瘍体積を測定した。各腫瘍体積エンドポイントは1000mm3または100日目のいずれか早い方とした。試験区には下記を含むものであった。
1)ビヒクル
2)オキサリプラチン+抗マウスPD-1(クローンRMP1-14(ラットIgG)、BioXcellカタログ番号BE0146)、IM投与スケジュール
3)化合物I+オキサリプラチン+抗マウスPD-1(クローンRMP1-14(ラットIgG)、BioXcellカタログ番号BE0146)、IM投与スケジュール
【0277】
化合物Iとオキサリプラチンおよびマウス抗PD-1の組合せで処置したマウスの腫瘍成長を
図6に示す。試験のIM投与スケジュールに関して、化合物I、オキサリプラチン、およびマウス抗PD-1の組合せは、オキサリプラチンおよびマウス抗PD-1だけが投与された場合よりも腫瘍成長の処置において有効であった。
図7に示されるように、化合物Iとオキサリプラチンおよびマウス抗PD-1の組合せで処置したマウスの全生存率は、オキサリプラチンおよびマウス抗PD-1で処置したマウスに比べて生存率の向上をもたらした。加えて、併用療法には十分な忍容性があり、処置中および処置後に有意な体重減少は生じなかった。
【0278】
表2は、マウスにおける腫瘍成長の試験中の化合物Iとオキサリプラチンおよび抗PD-1の組合せの効果をまとめたものである。
【0279】
【0280】
例4:化合物Iは5-フルオロウラシル(5-FU)およびマウス抗PD-L1と組み合わせた場合に抗腫瘍応答の有効性を高める
化合物Iとマウス抗PD-L1(クローン10F.9G2)、および5-フルオロウラシル(5-flurouracil)(5-FU)の組合せの抗腫瘍活性をMC38同系マウス結腸癌モデルで評価した。総ての異種移植試験で、9週齢の雌C57BL/6マウス(C57BL/6NCrl)にMC38腫瘍細胞を移植し、平均腫瘍体積がおよそ100mm
3になった際に処置を開始した。処置の組合せとスケジュールを
図3に示す。
【0281】
簡単に述べれば、化合物I(100mg/kg)および5-FU(75mg/kg)を、週1回、3用量で腹腔内(IP)投与した。
図3に示されるように、チェックポイント阻害剤投与に関する投与スケジュールを変動させた。誘導(I)投与スケジュールでは、マウス抗PD-L1(100μg/動物、IP)を1日目に開始して15日目に終わる2週間、週2回投与した。維持(M)投与スケジュールでは、マウス抗PD-L1(100μg/動物、IP)を15日目に開始し試験の終了まで続け、週2回投与した。誘導+維持(IM)投与スケジュールでは、マウス抗PD-L1(100μg/動物、IP)を、1日目に開始し試験の終了まで続け、週2回投与した。
【0282】
単剤、2剤、および3剤の組合せを試験し、化合物Iを化学療法処置の30分前に投与した。完全奏功(CR)および部分奏功(PR)を標準的なCharles River Laboratories(CRL;RTP、NC)判定基準を用いて計算した。体重(BW)および健康状態を監視し、週2回、腫瘍体積を測定した。各腫瘍体積エンドポイントは1000mm3または100日目のいずれか早い方とした。試験区には下記を含むものであった。
1)ビヒクル
2)5-FU+抗PD-L1(クローン10F.9G2)、IM 投与スケジュール
3)化合物I+5-FU+抗PD-L1(クローン10F.9G2)、IM 投与スケジュール
4)5-FU+抗マウスPD-L1(クローン10F.9G2)、M 投与スケジュール
5)化合物I+5-FU+抗マウスPD-L1(クローン10F.9G2)、M 投与スケジュール
6)5-FU+抗マウスPD-L1(クローン10F.9G2)、I 投与スケジュール
7)化合物I+5-FU+抗マウスPD-L1(クローン10F.9G2)、I 投与スケジュール
【0283】
化合物Iと5-FUおよびマウス抗PD-L1の組合せで処置したマウスの腫瘍成長を
図8に示す。試験の総ての投与スケジュールに関し、化合物I、オキサリプラチン、およびマウス抗PD-L1の組合せは、5-FUおよびマウス抗PD-L1だけが投与されたた場合よりも腫瘍成長の処置において有効であった。
図9に示されるように、化合物Iと5-FUおよびマウス抗PD-L1の組合せで処置したマウスの全生存率は、5-FUおよび抗PD-L1だけで処置したマウスに比べて生存率の向上をもたらした。加えて、併用療法には十分な忍容性があり、処置中および処置後に有意な体重減少は生じなかった。
【0284】
表3は、マウスにおける腫瘍成長の試験中の化合物Iと5-FUおよびマウス抗PD-L1の組合せの効果をまとめたものである。化合物Iと5-FUおよび抗PD-L1の組合せは、試験の総ての投与スケジュールに関して示される。
【0285】
【0286】
例5:オキサリプラチンおよびマウス抗PD-L1併用療法に化合物Iを付加すると腫瘍内T
REG
集団がさらに減少する
MC38担癌C57BL/6マウスを4日間または8日間、オキサリプラチン(10mg/kg、IP)およびマウス抗PD-L1(クローン10F.9G2、100μg/マウス、IP)±化合物I(100mg/kg、IP)で処置した。最終投与の24時間後にマウスを安楽死させ、5日後および9日後に免疫細胞浸潤物中の腫瘍を採取した。次に、腫瘍を処理し、CD45、CD3、CD4、CD25、およびFOXP3の染色を行った。フローサイトメトリー分析により、CD45+CD3+CD4+集団内のCD25+FOXP3+集団を測定した。最終処置の5日後および9日後に採取したCD4+細胞の集団をそれぞれ
図10および
図11に示す。CD4+T細胞画分内の腫瘍内T
reg細胞の集団は、化合物Iとオキサリプラチンおよびマウス抗PD-L1の組合せで処置したマウスでは、オキサリプラチンおよびマウス抗PD-L1で処置したビヒクルおよびマウスに比べて有意に減少していた。
【0287】
例6:化合物Iは5-FU処置に付加した場合にリンパ球機能を保護する
C57BL/6マウスを毎日3回、50mg/kg 5-FU±100mg/kg化合物IのIP用量で処置した。最終処置の2日後および7日後にマウスを安楽死させ、脾臓を採取した。脾細胞をex vivoにて72時間、抗CD3/CD28抗体で刺激し、インターフェロンγ(IFNγ)またはインターロイキン-2(IL-2)のレベルをELISA(R&D systems)により測定した。C57BL/6マウスにおける、ex-vivo脾細胞刺激後、化合物Iは、5-FU処置後に、IL-2産生を増大させ(
図12)、IFNγ産生を保護した(
図13)。化合物Iが抗腫瘍活性を増強する潜在的機序には、化学療法からのTリンパ球機能の保護が含まれる。
【0288】
例7:化合物Iは抗PD-L1/オキサリプラチンの組合せの処置に付加した場合に抗腫瘍有効性を増強する
CT26担持マウスを化合物I(IP、100mg/kg、週3回)、抗PD-L1(IP、5mg/動物、終了まで週2回)、および/またはオキサリプラチン(IP、10mg/kg、週3回)で処置し、腫瘍を評価した。抗PD-L1/オキサリプラチン計画への化合物Iの付加は、CT26モデルにおいて抗腫瘍有効性を一貫して増強した。
【0289】
図14および15に示されるように、化合物Iと抗PD-L1およびオキサリプラチンの組合せは、単剤化合物または2剤の組合せのいずれよりも高い抗腫瘍有効性を示す。
【0290】
例8:オキサリプラチンおよび抗PD-L1併用療法に化合物Iを付加するとT細胞の活性化が増強された
MC38担癌C5BL/6マウスを4日間、化合物I(100mg/kg、IP)を伴ってまたは伴わずに、オキサリプラチン(10mg/kg、IP)およびマウス抗PD-L1(クローン10F.9G2、100μg/マウス、IP)で処置した。最終の投与の24時間後にマウスを安楽死させ、脾臓を採取し、T細胞分析のために単細胞懸濁液とする処理を行った。脾細胞をフローサイトメトリー分析のために抗CD4、CD8、およびCD69抗体で染色した。活性化CD4+T細胞のパーセンテージは、CD8-CD4+T細胞画分内のCD69+細胞の割合として定義し、一方、活性化CD8+T細胞のパーセンテージは、CD8+CD4-T細胞画分内のCD69+細胞の割合として定義し、それらの結果を
図16および17に示す。加えて、また、脾細胞をex-vivoにて抗CD3/CD28抗体で72時間刺激し、フローサイトメトリー分析のために抗CD4、CD8、およびIL-2抗体(ant-CD4, CD8, and IL-2 antibodies)で染色した。IL-2+細胞のパーセンテージをCDK4+CD8-T細胞画分内のIL-2+細胞の割合として定義し、その結果を
図18に示す。
【0291】
オキサリプラチンおよび抗PD-L1(OP)処置動物に比べて、化合物I、オキサリプラチン、および抗PD-L1(TOP)処置マウスは、活性化されたCD4+およびCD*+T細胞の割合を示し、ex-vivo活性化時には、CD4+T細胞のIL-2サイトカイン産生能を増大させた。
【0292】
例9:制御性T細胞(Treg)におけるCDK4/6-Rb経路の直接阻害は免疫抑制機能の低下およびCD8+T細胞増殖の増大をもたらす
CD4+CD25+Tregは、C57BL/6マウスの脾臓から、二段階磁性ビーズ分離プロセス-全非CD4+細胞の除去とその後のCD25+細胞の陽性選択を用いて精製した。精製したTregをex-vivoにて、抗CD3/CD8抗体およびIL-2とともに48時間、0、250、または1000nMのトリラシクリブを伴って培養した。
図Xに見られるように、培養Tregはフローサイトメトリー分析のためにCD4、Foxp3、およびphospho-Rb抗体で染色した。phospho-Rb+Tregのパーセンテージは、CD4+Foxp3+集団中のphospho-Rb+細胞として定義した。化合物Iによる処理後のTregにはphospho-Rbレベルの用量依存的下方調節が見られ、これはCDK4/6-Rb経路の阻害の指標となる。CFSE標識脾細胞をex-vivoにて、化合物Iで処理したTregの存在下または不在下で72時間、抗CD3/CD28抗体で刺激した。細胞を抗CD4およびCD8抗体で染色し、T細胞増殖を、フローサイトメトリー分析により、CD4-CD8+T細胞中のCFSEの平均蛍光強度の希薄化によって評価した。増殖パーセントを(Tregの不在下で刺激されたCD8+T細胞の平均CFSE強度)/(Tregの存在下で刺激されたCD8+T細胞の平均CFSE強度)×100として計算し、結果を
図19および
図20に示す。
【0293】
化合物Iで処理したTregの存在下のCD8+T細胞で、用量依存的な増殖増加が見られ、このことは、CDK4/6-Rb経路の直接的阻害がT細胞増殖を阻害するTregの抑制機能の低下をもたらし得ることを示す。
【0294】
例10:化合物Iによる処置後の腫瘍内免疫細胞集団における増殖の一過性の可逆的阻害 MC38担癌C57BL/6マウスを1用量の化合物I(100mg/kg、IP)で処置した後、化合物I処置の6~48時間後にin vivo EdU(5-エチニル-2’-デオキシウリジン、200μg/マウス、IP)組込みをおこなった。EdU投与の18時間後にマウスを安楽死させ、分析のために腫瘍を採取した。腫瘍に単細胞懸濁液とする処理を行い、次いで、死細胞を除去し、CD45+免疫細胞高密度を富化した後に、以下のように定義される種々のリンパ系および骨髄系免疫細胞集団に対して抗体標識を行った:CD8+T細胞(CD4-CD8+)、CD4+T細胞(CD4+CD8-Foxp3-)、Treg(CD4+CD8-Foxp3+)、NK(CD3-NK1.1+)、単球系骨髄由来抑制性細胞(mMDSC、CD11b+Ly6C+Ly6G-)、顆粒球系骨髄由来抑制性細胞(gMDSC、CD11b+Ly6C+Ly6G+)、およびマクロファージ(CD11b+Ly6C-Ly6G-)。細胞表面の染色後に、細胞サンプルを固定し、EdU組込みをクリックケミストリーとその後のフローサイトメトリー分析により検出した。増殖の阻害を、各時点の各細胞集団の(化合物I処置群の%EdU+)/(ビヒクル処置群の%EdU+)×100として表す。
図21および22に見られるように、分析した総てのリンパ系および骨髄系免疫細胞集団はCDK4/6阻害に感受性が高く、細胞増殖の一過性の可逆的阻害をもたらした。これらの結果は化学療法計画への化合物Iの付加が化学毒性から腫瘍内免疫細胞を保護する能力を有し、抗腫瘍応答の増強をもたらすことを示す。
【0295】
例11:オキサリプラチン(O)および抗PD-L1(P)併用療法への化合物I(T)の付加は腫瘍特異的記憶T細胞の生成を増強する
MC38担癌C57BL/6マウスを、化合物I(100mg/kg、IP)とともにまたは伴わずにオキサリプラチン(10mg/kg、IP)およびマウス抗PD-L1(クローン10F.9G2、100μg/マウス、IP)で58日日間処理した後、
図3に示されるようにIMスケジュールを行った。58日目に分析のために、オキサリプラチンおよび抗PD-L1(OP)処置マウス、ならびに化合物I、オキサリプラチン、および抗PD-L1(TOP)処置マウスから脾臓および末梢血を採取した。ビヒクル処置マウスは、28日目に腫瘍成長エンドポイント(腫瘍体積>1000mm
3)に達した際に分析のために安楽死させた。脾細胞および赤血球溶解末梢血サンプルをCD4、CD8、およびMC38特異的デキストラマー(H-2 Db/ASMTNMELM)で染色した。腫瘍特異的T細胞のパーセンテージをCD4-CD8+T細胞画分内のデキストラマー+細胞の割合として特定した。
図23および24に示されるように、大多数のTOP処置マウスは、OP処置群に比べて脾臓および血液中の腫瘍特異的T細胞の割合が高く、このことは、化学療法/チェックポイント阻害剤処置中の化合物Iによる腫瘍内T細胞の保護がより多数の腫瘍特異的記憶T細胞の生成をもたらし得ることを示す。
【0296】
例12:化合物Iのパルス投与は、炎症誘発性サイトカインでありかつT細胞抗腫瘍応答の重要な成分であるインターフェロンγ発現に正の調節を行う遺伝子の上方調節をもたらす
MC38担癌C57BL/6マウスを毎週2用量の化合物I(100mg/kg、IP)で処置した。最終投与の1日後にマウスを安楽死させ、分析のために腫瘍を採取した。遺伝子発現分析を、PanCacer Immune Profiling Panelを用いて腫瘍全体に対して行った。正規化およびLog2変換した発現値を、p値カットオフ<0.05および絶対変化倍率>1.3を用いて定義される差次的発現遺伝子の同定に使用した。上方調節遺伝子を「インターフェロンγ産生の正の調節」および「活性化T細胞増殖の正の調節」などのGOタームに関して富化し、これには
図25、26、および27に示されるように、Il2、Il18、およびLta遺伝子が含まれる。これらの結果は、化合物Iの短期暴露が免疫チェックポイント遮断への応答に有利な炎症誘発性腫瘍微小環境を促進する遺伝子発現変化をもたらし得ることを示す。
【0297】
例13:化合物Iのパルス投与は、オキサリプラチンまたはオキサリプラチン/抗PD-L1の組合せに付加した場合に、腫瘍におけるインターフェロンγ遺伝子発現の上方調節をもたらす
MC38担癌C57BL/6マウスを化合物I(100mg/kg、IP)、オキサリプラチン(10mg/kg、IP)±化合物I(100mg/kg、IP)、抗PD-L1(クローン10F.9G2、100μg/マウス、IP)±化合物I(100mg/kg、IP)、オキサリプラチン(10mg/kg、IP)および抗PD-L1(クローン10F.9G2、100μg/マウス、IP)±化合物I(100mg/kg、IP)で8日間処置した。最終投与の24時間後にマウスを安楽死させ、分析のために腫瘍を採取した。遺伝子発現分析を、PanCacer Immune Profiling Panelを用いて腫瘍全体に対して行った。正規化およびLog2変換したインターフェロンγ(Ifng)の発現レベルを、化合物Iを用いたまたは用いなかった処置群の各対に対してプロットした。T=化合物I、O=オキサリプラチン、P=抗PD-L1。
図28~31に示されるように、これらの結果は、化合物Iの短期暴露が免疫チェックポイント遮断への応答に有利な炎症誘発性腫瘍微小環境を促進する遺伝子発現変化をもたらし得ることを示す。
【0298】
例14:化合物Iのパルス投与は、骨髄由来抑制性細胞による免疫抑制を促進する重要な経路である反応性酸素種代謝に関連する遺伝子の下方調節をもたらす
MC38担癌C57BL/6マウスを毎週2用量の化合物I(100mg/kg、IP)で処置した。最終投与の1日後にマウスを安楽死させ、分析のために腫瘍を採取した。遺伝子発現分析を、PanCacer Immune Profiling Panelを用いて腫瘍全体に対して行った。正規化およびLog2変換した発現値をp値カットオフ<0.05および絶対変化倍率>1.3を用いて定義される差次的発現遺伝子の同定に使用した。Cdkn1a、Cxcl1、Il6、Il10、Il19、Ptgs2を含む、下方調節遺伝子を、GOターム「反応性酸素種代謝の正の調節」に関して富化した。
図32~37に示されるように、これらの結果は、化合物Iの短期暴露が、免疫抑制性の低い腫瘍微小環境に至る遺伝子発現変化変化をもたらし得ることを示す。
【0299】
例15:腫瘍内免疫細胞集団は脾臓内のそれらの相当物に比べて高レベルの増殖を示し、このことは化学療法計画への化合物Iの付加が化学療法から腫瘍内免疫細胞を保護する能力を有し、抗腫瘍応答の増強をもたらすことを示す
MC38担癌C57BL/6マウスにEdU(5-エチニル-2’-デオキシウリジン、200μg/マウス、IP)を投与した。EdU投与の18時間後にマウスを安楽死させ、分析のために腫瘍および脾臓を採取した。腫瘍および脾臓に単細胞懸濁液とする処理を行い、次いで、死細胞を除去し、CD45+免疫細胞を富化した後に、以下のように定義される種々のリンパ系および骨髄系免疫細胞集団に対して抗体標識を行った:CD8+T細胞(CD4-CD8+)、CD4+T細胞(CD4+CD8-Foxp3-)、Treg(CD4+CD8-Foxp3+)、NK(CD3-NK1.1+)、単球系骨髄由来抑制性細胞(mMDSC、CD11b+Ly6C+Ly6G-)、顆粒球系骨髄由来抑制性細胞(gMDSC、CD11b+Ly6C+Ly6G+)、およびマクロファージ(CD11b+Ly6C-Ly6G-)。細胞表面染色後、細胞サンプルを固定し、EdU組込みをクリックケミストリーとその後のフローサイトメトリー分析によって検出した。増殖のパーセンテージは、定義された各細胞集団内の%EdU+として決定した。
図39および40に示されるように、腫瘍内の総てのリンパ球サブセットおよびMDSCが高レベルの増殖を示し、化学療法計画への化合物Iの付加が化学毒性から腫瘍内免疫細胞を保護する能力を有し、抗腫瘍応答の増強をもたらすことを示す。
【0300】
例16:化合物Iとチェックポイント阻害剤の組合せの持続的投与は抗腫瘍応答の増強をもたらさなかった
MC38担癌マウスを、抗PD-L1(週2回×2週間、IP、100ug/動物)とともにまたは伴わずに化合物I(毎日×28日、IP、100mg/kg)で処置し、
腫瘍体積を評価した。
図38に見て取れるように、抗PD-L1計画に化合物Iを付加すると、抗PD-L1だけのコホートに見られる最小の効果が抑制された。これらのデータは、抗PD-L1への化合物Iの持続的処置の付加は抗腫瘍効果を増強せず、事実上いくらかの減弱を生じることを示す。
【0301】
例17:化合物Iとアテゾリズマブ、エトポシド、およびカルボプラチンの組合せを用いた小細胞肺癌を有する患者の治療に関する臨床試験プロトコール
21日の誘導期および21日の維持期を含んでなる化合物I、アテゾリズマブ、エトポシド、およびカルボプラチンの組合せを用いる小細胞肺癌の治療のために、臨床試験を計画した。患が各誘導期周期の前に以下の判定基準を満たす場合には、最大4回の誘導期周期を完了した:ANC>1.5×109/L;血小板数>100×109/L;および非血液性の薬物関連毒性(脱毛を除く)が<グレード1であるかまたはベースラインに戻らなければならない。患者が上記の判定基準を満たさなければ、最後の誘導期の直後に維持期周期が開始される。最大4回の誘導周期の完了時に、その後、21日の維持期周期が開始される。試験の完了までに忍容されれば、1回以上の付加的維持期周期が投与できる。
【0302】
誘導期において、患者は、各エトポシド/カルボプラチン/アテゾリズマブ(E/P/A)療法周期(合計最大4周期)の1~3日目に1日1回の化合物I(240mg/m2 250mL D5Wまたは0.9%塩化ナトリウム溶液に希釈)またはプラセボ(250mLのD5Wまたは0.9%塩化ナトリウム溶液)のIV投与を受容する。維持期では、患者は、21日毎にアテゾリズマブを受容する。患者は、誘導期において21日周期でE/P/A療法を受容する。カルボプラチン用量は、カルバート式[合計カルボプラチン用量(mg)=(標的AUC)×(GFR+25)]を用いて計算し、ここで、ターゲットAUC=各21日周期の1日目に30分にわたる5(最大750mg)IV、および100mg/m2エトポシドが1日目、2日目、および3日目に毎日60分にわたってIV投与される。誘導期および維持期の両方に、250mLの0.9%塩化ナトリウム溶液中、アテゾリズマブ(1200mg)が各21日周期の1日目にIV点滴として投与される。アテゾリズマブは初回投与には60分にわたって点滴し、忍容性があれば、その後の総ての点滴は30分で送達する。アテゾリズマブは化合物Iまたはプラセボ、エトポシド、およびカルボプラチンの投与の完了後に投与される。
【0303】
連続日の化合物Iまたはプラセボの投与間の間隔は28時間以内とする。所与の日の化合物Iまたはプラセボ(エトポシドまたはカルボプラチン)の投与間の間隔は4時間以内とする。化合物Iまたはプラセボは単独でエトポシド/カルボプラチン(E/P)療法とともに投与する。E/P療法の投与が保持または中断される場合、化合物Iまたはプラセボも保持または中断される。化学療法は、化合物Iまたはプラセボ点滴の完了後まで投与しない。試験の両部分において、試験薬の投与は、RECIST v.1.1に従う増悪、許容されない毒性、同意の取り消し、または治験責任医師による中断まで継続する。RECIST v1.1に従う増悪後、患者が臨床利益を引き出していると思われる場合には、治験責任医師はそれが患者の再優先事であり、患者が再同意を示していると考え、試験薬の投与は臨床利益が消失するまで継続され得る。
【0304】
本発明の実施形態に関して本明細書に記載した。本発明は、付属の実施例によって示される種々の実施形態に記載されている。しかしながら、本発明は、種々の形態で具現化することができ、本明細書に示される実施形態に限定されると解釈されるべきでない。本明細書の教示を鑑みて、当業者ならば所望の目的で本発明を改変することができ、そのような変形形態も本発明の範囲内にあると見なされる。