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特許7483815印刷可能な基材及び印刷用コーティング組成物
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  • 特許-印刷可能な基材及び印刷用コーティング組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】印刷可能な基材及び印刷用コーティング組成物
(51)【国際特許分類】
   C08J 7/04 20200101AFI20240508BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20240508BHJP
   C09D 7/40 20180101ALI20240508BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20240508BHJP
   C09D 167/00 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
C08J7/04 J CFD
B32B27/36
C09D7/40
C09D7/63
C09D167/00
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022144944
(22)【出願日】2022-09-13
(65)【公開番号】P2023098811
(43)【公開日】2023-07-11
【審査請求日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】110149266
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】501296612
【氏名又は名称】南亞塑膠工業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NAN YA PLASTICS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195017
【弁理士】
【氏名又は名称】水間 章子
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲テ▼超
(72)【発明者】
【氏名】楊 文政
(72)【発明者】
【氏名】袁 敬堯
(72)【発明者】
【氏名】謝 育淇
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-018105(JP,A)
【文献】特開平08-325399(JP,A)
【文献】特開平04-288217(JP,A)
【文献】特開平10-278419(JP,A)
【文献】国際公開第2019/013005(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
C08J 7/04-7/06
C09D 1/00-10/00
C09D 101/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷可能な基材であって、
ポリマー基材と、
前記ポリマー基材を覆うコーティング層とを含み、
前記コーティング層の厚さは、0.1μmから30μmであり、
前記ポリマー基材は、ポリエステルフィルム基材であり、
前記コーティング層は、ポリエステルコーティング層であり、
前記印刷可能な基材の最高印刷温度は、100℃から190℃であり、
前記印刷可能な基材の前記コーティング層への印刷後、前記印刷可能な基材に対する密着性試験の結果は3Bから5Bである、印刷可能な基材。
【請求項2】
記印刷可能な基材は、前記コーティング層と前記ポリマー基材とが相互に分離していない状態において一体型リサイクルに適する、請求項1に記載の印刷可能な基材。
【請求項3】
印刷用コーティング組成物であって、前記印刷用コーティング組成物の比単位の重量に基づくと、前記印刷用コーティング組成物は、
50重量%から80重量%のポリエステル樹脂と、
0.05重量%から30重量%の架橋剤と、
0.1重量%から30重量%の粒子と、
0.05重量%から10重量%の添加剤と、
表面処理剤と、
を含む、印刷用コーティング組成物。
【請求項4】
前記粒子の粒径は、0.05μmから3μmである、請求項に記載の印刷用コーティング組成物。
【請求項5】
溶媒をさらに含む、請求項に記載の印刷用コーティング組成物。
【請求項6】
ポリウレタン樹脂又は
アクリル樹脂、
を含まない、請求項に記載の印刷用コーティング組成物。
【請求項7】
印刷可能な基材であって、
ポリマー基材と、
印刷用コーティング組成物によって形成されたコーティング層とを含み、前記コーティング層は前記ポリマー基材を覆い、前記印刷用コーティング組成物の比単位の重量に基づくと、前記印刷用コーティング組成物は、
50重量%から80重量%のポリエステル樹脂と、
0.05重量%から30重量%の架橋剤と、
0.1重量%から30重量%の粒子と、
0.05重量%から10重量%の添加剤と、
表面処理剤と、
を含む、印刷可能な基材。
【請求項8】
前記粒子の粒径は、0.05μmから3μmである、請求項に記載の印刷可能な基材。
【請求項9】
溶媒をさらに含む、請求項に記載の印刷可能な基材。
【請求項10】
ポリウレタン樹脂又は
アクリル樹脂、
を含まない、請求項に記載の印刷可能な基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基材及びコーティング組成物に関し、より詳細には、印刷可能な基材及び印刷用コーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のリソグラフ印刷、デジタル印刷及び/又はインクジェット印刷は、木材パルプ紙上にパターン層を印刷するものである。しかしながら、様々な需要(例えば、耐水性、防塵性、防虫性など)に対応するため、プラスチック紙もまた必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、適切なプラスチック紙(例えば、印刷に適したプラスチック紙又はリサイクルに適したプラスチック紙)をいかに製造するかが現在の研究の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、印刷可能な基材を製造するのに適した印刷用コーティング組成物を提供する。
【0005】
本開示は、印刷に適した印刷可能な基材を提供する。
【0006】
本開示による印刷可能な基材は、ポリマー基材と、コーティング層とを含む。コーティング層は、ポリマー基材を覆う。コーティング層の厚さは、0.1μmから30μmである。コーティング層の表面インピーダンス値は、10オームから1012オームである。印刷可能な基材の最高印刷温度は、100℃から190℃である。印刷可能な基材のコーティング層への印刷後、印刷可能な基材に対する密着性試験の結果は3Bから5Bである。
【0007】
本開示の一実施形態において、コーティング層は、ポリエステルコーティング層を含む。
【0008】
本開示の一実施形態において、ポリマー基材は、ポリエステルフィルム基材を含む。
【0009】
本開示の一実施形態において、コーティング層は、ポリエステルコーティング層を含み、ポリマー基材は、ポリエステルフィルム基材であり、印刷可能な基材は、コーティング層とポリマー基材とが相互に分離されていない状態において一体型リサイクルに適する。
【0010】
本開示による印刷用コーティング組成物は、ポリエステル樹脂と、架橋剤と、粒子と、添加剤とを含む。印刷用コーティング組成物の比単位の重量に基づくと、印刷用コーティング組成物は、50重量%から80重量%のポリエステル樹脂と、0.05重量%から30重量%の架橋剤と、0.1重量%から30重量%の粒子と、0.05重量%から10重量%の添加剤とを含む。
【0011】
本開示の一実施形態において、粒子の粒径は、0.05μmから3μmである。
【0012】
本開示の一実施形態において、印刷用コーティング組成物は、表面処理剤をさらに含む。
【0013】
本開示の一実施形態において、印刷用コーティング組成物は、溶媒をさらに含む。
【0014】
本開示の一実施形態において、印刷用コーティング組成物は、ポリウレタン樹脂又はアクリル樹脂を含まない。
【0015】
本開示による印刷可能な基材は、ポリマー基材と、前述の実施形態のいずれかの印刷用コーティング組成物によって形成されたコーティング層とを含む。コーティング層は、ポリマー基材を覆う。
【発明の効果】
【0016】
上記に基づいて、印刷用コーティング組成物は、印刷可能な基材を製造するのに適し、印刷可能な基材は、印刷に適する。
【0017】
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に援用され、本明細書の一部を構成する。図面は、本開示の例示的な実施形態を示し、明細書とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の一実施形態による印刷可能な基材及びその適用を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の詳細な説明では、限定ではなく説明のために、特定の詳細を明らかにする例示的な実施形態は、本発明の様々な原理の十分な理解を提供するために記載される。しかしながら、当業者には、本開示から利益を得て、本発明が本明細書に開示された特定の詳細を逸脱する他の実施形態で実施され得ることが明らかであろう。さらに、既知の装置、方法及び材料については、本発明の様々な原理の説明を曖昧にしないために、その説明を省略する場合があり得る。
【0020】
範囲はここでは「約」特定の値から別の「約」特定の値までとして表現され得、特定の値及び/又は別の特定の値までとして直接的にも表現され得る。範囲を表現する場合、別の実施形態では、ある特定の値から及び/又は別の特定の値までを含む。同様に、ある値が先行詞「約」を用いて近似値として表現される場合、その特定の値は、別の実施形態を形成することを理解されたい。さらにまた、各範囲の端点は、明らかに別の端点に関連するか、又は独立していることも理解されるであろう。
【0021】
本明細書において、非限定的な用語(可能である、あり得る、例えば、又はその他の同様の用語など)は、必須ではない、又は任意の実装、包含、追加、若しくは存在である。
【0022】
本明細書で使用されるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、別段の定義がない限り、本発明が属する技術分野において当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。また、用語(一般的に使用される辞書に定義される用語など)は、本明細書で明示的に定義されていない限り、関連する技術的背景における意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、理想化された、又は過度に形式的な意味で解釈されるべきでないことも理解されるであろう。
【0023】
本開示による印刷用コーティング組成物は、基材の表面上に塗布されるのに適する。次に、基材の表面に印刷するためのコーティング組成物を適切な手段(例えば、加熱、光照射、静置又はこれらの組み合わせ(例えば、加熱した後に静置する))によって硬化させて、コーティング層を形成し得る。基材及び基材表面上のコーティング層は、印刷に適する。すなわち、図を参照すると、印刷可能な基材100は、上記の印刷用コーティング組成物によって形成されたコーティング層120と、上記の基材110とを含み得る。パターン層30は、レーザー印刷、UV印刷、従来のリソグラフ印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷又は他の一般的な印刷方法によって、コーティング層120上に印刷されるのに適する。
【0024】
一実施形態において、前述のコーティングは、インラインコーティング又はオフラインコーティングを含み得る。
【0025】
印刷可能な基材は、一般的な印刷に適する。例えば、印刷可能な基材は、市販のプリンター又は印刷機を用いて印刷され得る。
【0026】
本実施形態において、印刷可能な基材の最高印刷可能温度は、100℃から190℃であり得、ASTM D3359の標準試験方法によってコーティング層上に印刷されたパターン層に対して実施された密着性試験(一般的にクロスカット試験/引き剥がし試験として知られる)によれば、印刷可能な基材に対する密着性試験の結果は、3Bから5Bであり得る。言い換えると、印刷可能な基材は、一般的に紙の印刷と同様又は類似の方法で印刷され得る。
【0027】
本実施形態において、基材は、ポリマー基材であり得る。例えば、基材は、ポリエステルフィルム基材を含み得る。
【0028】
一実施形態において、基材として使用するのに適したポリエステル材料は、バージンポリエステル、リサイクルポリエステル又はこれらの組み合わせを含み得る。前者又は後者のポリエステルはまた、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート又はこれらの組み合わせでもあり得る。一実施形態において、ポリエステルは、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート又はこれらの組み合わせである。さらに、コポリマー、特に、2種以上のジカルボン酸及び/又は2種以上のジオール成分を使用することによって得られるコポリマーを使用し得る。
【0029】
本実施形態において、コーティング層の厚さは、0.1μmから30μmである。
【0030】
本実施形態において、基材の厚さは、コーティング層の厚さよりも実質的に大きい。基材の厚さは、実際のニーズに応じて調整され得、本開示に限定されない。例えば、印刷可能な基材の厚さ(すなわち、基材の厚さプラスコーティング層の厚さ)は、A4への一般的な印刷の場合、約0.01cmから0.015cmであり得る。
【0031】
本実施形態において、コーティング層の表面インピーダンス値は、10(10^7と表され得る)オーム(オーム;Ω)から1012(10^12と表され得る)オームである。したがって、連続印刷を行うときに、紙詰まりが発生し難くなる(ただし、紙詰まりが完全に回避され得るわけではない)。
【0032】
本実施形態において、コーティング層は、ポリエステルコーティング層を含み得(すなわち、使用される印刷用コーティング組成物はポリエステル樹脂を含み得る)、ポリマー基材は、ポリエステルフィルム基材である。したがって、印刷可能な基材は、コーティング層と基材とが相互に分離されていない状態において、一体型リサイクル工程に適する。
【0033】
一実施形態において、前述の「一体型リサイクル」は、例えば、以下を含む。使用済の印刷可能な基材上の物体(例えば、ラベル、ニードル、ステッカーなど)を除去する。次に、コーティング層と基材とが相互に分離されていない状態で、前述の使用済のポリエステル材料を物理的手段(例えば、切断、折り曲げ、細断又は他の適切な手段)によって処理して、細断ポリエステル材料を含む再生混合物を形成し、次いで、細断ポリエステル材料を適切な手段(例えば、浮遊)によって分離し、その後、処理済の再生ポリエステル材料を得るために、分離された細断ポリエステル材料を乾燥し得る。適切な再利用可能なポリエステル材料を形成するために、再生ポリエステル材料は、適切な方法(例えば、台湾特許出願第110113065号及び/又は米国特許出願第17/320,247号を参照)で加工され得る。
【0034】
本実施形態において、コーティング組成物の比単位の重量に基づくと、印刷用コーティング組成物は、50重量%から80重量%のポリエステル樹脂と、0.05重量%から30重量%の架橋剤と、0.1重量%から30重量%の粒子と、0.05重量%から10重量%の添加剤とを含む。
【0035】
一実施形態において、前述の「比単位」は、例えば、コーティング組成物の適切な体積又は適切な重量を取得し、それから、コーティング組成物の適切な体積又は適切な重量を、前述の成分の比の測定(例えば、スペクトル測定)に供して、前述の成分の重量比を(例えば、特定のスペクトル領域の範囲からの計算によって)得る。一実施形態において、前述の「比単位」は、例えば、コーティング組成物の適切な体積又は適切な重量を取得することと、次に、コーティング組成物の適切な体積又は適切な重量中の他の特定の成分(すなわち、ポリエステル樹脂、架橋剤、粒子又は溶媒などの添加剤以外の成分)を部分的又は完全に除去する(例えば、加熱により溶媒を部分的又は完全に除去すること)と、その後、前述の各成分の重量比を得るために、他の特定成分を除いた混合物中の前記各成分の比を測定することととによって得られる。つまり、印刷用コーティング組成物において、以下の成分は、以下の重量比、すなわち、ポリエステル樹脂:架橋剤:粒子:添加剤≒50から80:0.05から30:0.1から30:0.05から10を有する。
【0036】
一実施形態において、ポリエステル樹脂は、1つ以上の二塩基酸及び1つ以上のジオールから形成され得る。
【0037】
二塩基酸は、芳香族二塩基酸、環式脂肪族二塩基酸又はこれらの組み合わせであり得る。芳香族二塩基酸は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、イソフタル酸スルホン酸ナトリウム、及びジブロモテレフタル酸を含み得る。他の二塩基酸は、例えば、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸又はダイマー酸を含み得る。
【0038】
ジオールは、芳香族ジオール、脂肪族ジオール、環式脂肪族ジオール又はこれらの組み合わせであり得る。芳香族ジオールは、例えば、ナフタレンジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシジフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スチルベン又はハイドロキノンを含み得る。脂肪族ジオールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール又はジエチレングリコールを含み得る。環式脂肪族ジオールは、例えば、シクロヘキサンジメタノール、又はシクロヘキサンジオールを含み得る。
【0039】
一実施形態において、ポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート(PCT)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート又はこれらの組み合わせであり得る。好ましくは、ポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(PET)であり得る。
【0040】
一実施形態において、印刷用コーティング組成物は、ポリウレタン樹脂又はアクリル樹脂を含まない。基材としてポリエステルフィルム基材を使用する場合において、印刷用コーティング組成物がポリウレタン樹脂又はアクリル樹脂を含むと、リサイクルの難易度又は複雑さが増加する場合があり得る。
【0041】
一実施形態において、架橋剤は、メラミン樹脂、メラミン変性樹脂、エポキシ樹脂、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0042】
一実施形態において、粒子の粒径は、0.05μmから3μmである。粒子の粒径は、対応して形成されるコーティング層の厚さよりも実質的に小さい。粒子径が、対応して形成されるコーティング層の厚さよりも大きい場合、得られる印刷可能な基材は、平坦でないように見える場合があり得る。
【0043】
一実施形態において、粒子は、有機粒子、無機粒子、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0044】
一実施形態において、有機粒子は、以下のモノマー、すなわち、スチレン類(スチレン、ビニルベンゼン又はクロロスチレンなど)、モノオレフィン(エチレン、プロピレン、ブチレン又はイソブチレンなど)、アルケニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル又はアクリル酸ブチルなど)、アルケニルエーテル(ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル又はビニルブチルエーテルなど)、ビニルケトン(ビニルメチルケトン又はビニルヘキシルケトンなど)、ジエンモノマー(イソプレンなど)、又は前述の組み合わせから形成されるポリマー粒子又はコポリマーを含み得る。
【0045】
一実施形態において、無機粒子の材料は、マイカ、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0046】
一実施形態において、粒子は、パターン層とコーティング層との間の結合力を向上し得る。
【0047】
一実施形態において、粒子は、紙詰まりを低減し得る。
【0048】
一実施形態において、添加剤は、触媒、共溶媒、助剤又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0049】
一実施形態において、触媒は、硬化されると、印刷用コーティング組成物の反応速度を増加させ得る。触媒は、無機物質、塩、有機物質、塩基性物質、酸性物質、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0050】
一実施形態において、共溶媒は、印刷用コーティング組成物が硬化されると、液体成分の揮発速度を制御し得る。共溶媒は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、ブチルセルロース、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0051】
一実施形態において、助剤は、形成されたコーティング層の濡れ性及び/又は平坦性を向上し得る。助剤は、ケイ素助剤、フッ素助剤、ケイ素-フッ素助剤、又はこれらの組み合わせのいずれかを含み得る。ケイ素助剤は、BYK-Gardner Gmbh製の型番BYK307、BYK325、BYK331、BYK380N、若しくはBYK381、又はこれらの助剤製品の1つ以上から選択され得る。フッ素助剤は、3M製の型番FC-4430又はFC-4432、デュポン製の型番Zonyl FSN-100、ダイキン工業製の型番DSX、又は前述の助剤製品の1つ以上から選択され得る。ケイ素-フッ素助剤は、BYK-Gardner Gmbh製の型番BYK346、BYK347若しくはBYK348、又は前述の助剤製品の1つ以上から選択され得る。
【0052】
一実施形態において、印刷用コーティング組成物は、溶媒をさらに含み得る。溶媒は、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0053】
一実施形態において、印刷用コーティング組成物は、表面処理剤をさらに含み得る。表面処理剤は、ケイ素含有化合物、界面活性剤、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0054】
一実施形態において、ケイ素含有化合物は、シラン化合物、ポリシラン化合物、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0055】
一実施形態において、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0056】
一実施形態において、アニオン性界面活性剤は、中日合成化学製のメチルベンゼン硫酸アンモニウム、ポリエチレングリコールノンフェノールエーテル硫酸アンモニウム、ポリエチレングリコールノンフェノールエーテル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコールオクチルエーテルアンモニウム塩又は凝縮ポリエチレングリコール多環式ノニルフェノールエーテルメタクリレート硫酸、ユニケマ製の型番Maxemul 6106若しくは6112、又は前述の界面活性剤の1つ以上から選択され得る。
【0057】
一実施形態において、非イオン性界面活性剤は、パン・アジア・ケミカル・コーポレーション製のポリエチレングリコールノナノールエーテル若しくはポリエチレングリコールアルキルエーテル、中日合成化学製のポリエチレングリコールステアレート、ポリエチレングリコールノニルエーテル、ポリエチレングリコールオクチルエーテル、ポリエチレングリコールデシルエーテル、ポリエチレングリコールトリデシルエーテル若しくはポリエチレングリコールラウリルエーテル、ユニケマ製の型番Maxemul 5010若しくは5011、又はこれらの界面活性剤の1つ以上から選択され得る。
【0058】
結論として、本開示による印刷可能な基材は、良好な印刷適性を有する。本開示による印刷可能な基材は、リサイクルにより適する、又はリサイクルがより容易である。
【0059】
[実施例及び比較例]
以下の実施例及び比較例を示して本開示を具体的に説明するが、本開示は下記の実施例によって限定的に解釈されるべきではない。
【0060】
各実施例及び各比較例において、対応する印刷可能な基材は、上述した方法によって、対応する印刷用コーティング組成物を用いて形成し得る。それらの間での違いは、次の[表1]に示すように、各印刷用コーティング組成物中の対応する成分(樹脂、架橋剤、溶剤、表面処理剤、充填粒子又は添加剤など)の相対重量比を調整したことにある。
【0061】
[表1]において、[実施例1]から[実施例4]及び[比較例1]から[比較例4]の印刷可能な基材を評価した。評価項目は、コーティング層の外観、ポリエステルコーティング層、耐水性、印刷効果、カラーインク密着性、及び連続印刷試験を含む。
【0062】
コーティング層の外観:対応する印刷可能な基材のコーティング層の外観は、人間の視覚によって強い光環境下で観察される。視覚評価において異常がなければ、評価は良好である。
【0063】
ポリエステルコーティング層:ポリエステルコーティング層が存在するかどうかを評価する。存在ありを記号○で表し、存在なしを記号Xで表す。
【0064】
耐水性試験1:対応する印刷可能な基材をA4規格サイズに切断し、全面印刷後、24時間水に浸し、次いで前述の全面印刷と比較して、カラーインクが滲むかどうかを観察する。耐水性試験2:対応する印刷可能な基材をA4規格サイズに切断し、全面印刷後、印刷面をウェットティッシュで10回拭き取り、次いで前述の全面印刷と比較して、カラーインクが落ちるかどうかを観察する。上記耐水性試験1の試験結果においてカラーインクの滲みがないことが示され、上記耐水性試験2の試験結果においてカラーインクが落ちていないことが示されれば、評価は良とし、それ以外(つまり上記試験結果の1つを満たさない場合)であれば、評価は不良とする。
【0065】
印刷効果:市販の印刷機を使用して、対応する印刷可能な基材に全面印刷を行い、カラーインクがコーティング層を完全に覆うことができるかどうかを観察する。印刷機は、従来のリソグラフ印刷機、デジタルインクジェット印刷機HP5800、デジタル電子インク印刷機HP Indigoシリーズ、又は乾式粉末レーザープリンターHP CP1000シリーズであり得るが、これらに限定されない。カラーインクがコーティング層を完全に覆い得れば、評価は良好である。カラーインクがコーティング層を完全に覆っていなければ、評価は不良である。
【0066】
カラーインク密着性試験1:対応する印刷可能な基材に全面印刷を行った後、印刷部分に3M製スコッチテープを貼り付け、指でテープを5回押してフィルム面への密着力を強めた後、テープを素早く引き剥がし、印刷したカラーインクが落ちるかどうかを観察する。カラーインク密着性試験2:ASTM(米国材料試験協会)D3359密着性試験規格を採用して、対応する印刷可能な基材を試験する。上記カラーインク密着性試験1の試験結果が、カラーインクの脱落が全くなく、上記カラーインク密着性試験2の試験結果が3Bから5Bであることを示せば、評価は良好であり、それ以外(すなわち、上記試験結果のいずれかを満たさない場合)であれば、評価は不良である。
【0067】
連続印刷試験1:対応する印刷可能な基材を10回連続して全面印刷する。連続印刷試験2:対応する印刷可能な基材を10回連続して空白で印刷する。連続印刷試験3:対応する印刷可能な基材を全面/空白で交互に5回印刷する。上記連続印刷試験1の試験結果において紙詰まりが全く発生しないことが示され、上記連続印刷試験2の試験結果において紙詰まりが全く発生しないことが示され、かつ上記連続印刷試験3の試験結果において紙詰まりが全く発生しないことが示されれば、評価は良であり、それ以外(すなわち、上記試験結果のうちの1つを満たさない場合)であれば、不良である。
【0068】
【表1】
【0069】
上記[実施例]に示すように、本開示による印刷可能な基材は、良好な印刷性を有する。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本開示による印刷用コーティング組成物は、印刷可能な基材を製造するのに適する。さらに、本開示による印刷可能な基材は、従来のリソグラフ印刷、デジタル印刷及び/又はインクジェット印刷への適用に適する。
【符号の説明】
【0071】
30 パターン層
100 印刷可能な基材
110 基材
120 コーティング層
図1