(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】光ビームスプリッタアセンブリ、カメラヘッドおよび顕微鏡アセンブリ
(51)【国際特許分類】
G02B 5/04 20060101AFI20240508BHJP
G02B 21/36 20060101ALI20240508BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240508BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
G02B5/04 C
G02B21/36
G02B5/04 A
G02B5/20
G02B5/20 101
G01N21/64 E
(21)【出願番号】P 2022508838
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(86)【国際出願番号】 EP2020072883
(87)【国際公開番号】W WO2021028576
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-03-07
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516114695
【氏名又は名称】ライカ インストゥルメンツ (シンガポール) プライヴェット リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Leica Instruments (Singapore) Pte. Ltd.
【住所又は居所原語表記】12 Teban Gardens Crescent, Singapore 608924, Singapore
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッヒ ヴァイガー
(72)【発明者】
【氏名】マーク ホッケ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ギュンタート
【審査官】吉川 陽吾
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-275182(JP,A)
【文献】特開2011-015439(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0209050(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/04
G02B 21/36
G02B 5/20
G01N 21/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3つの異なるスペクトル部分(110,120,130)内の画像を捕捉および/または記録するための光ビームスプリッタアセンブリ(100)であって、
前記光ビームスプリッタアセンブリ(100)は、第1のビームスプリッタ(151)および第2のビームスプリッタ(152)ならびに第1の光路(171)、第2の光路(172)および第3の光路(173)を含み、
前記第1の光路(171)は、第1のスペクトル部分(110)の光を光入口部(160)から第1の光出力部(161)へガイドするように構成されており、
前記第2の光路(172)は、第2のスペクトル部分(120)の光を前記光入口部(160)から第2の光出力部(162)へガイドするように構成されており、
前記第2の光出力部(162)は、前記第1の光出力部(161)から離間して配置されており、
前記第3の光路(173)は、第3のスペクトル部分(130)の光を前記光入口部(160)から第3の光出力部(163)へガイドするように構成されており、
前記第3の光出力部(163)は、前記第1の光出力部(161)および前記第2の光出力部(162)から離間して配置されており、
前記第2の光路(172)は、前記第1のビームスプリッタ(151)を横断しており、前記第3の光路(173)は、前記第1のビームスプリッタ(151)および前記第2のビームスプリッタ(152)を横断しており、
前記光ビームスプリッタアセンブリ(100)は、前記第1の光出力部(161)、前記第2の光出力部(162)および前記第3の光出力部(163)のうちの1つでの光を検出するための3つのカメラ(181,182,183)をさらに含み、1つのカメラ(181,182)は、モノクロカメラであり、2つのカメラ(181,182,183)は、ベイヤーフィルタ(188a,188b)を含み、
前記第1の光出力部(161)および前記第2の光出力部(162)の一方に関連付けられたカメラ(181,182)は、
前記ベイヤーフィルタを含むものであって、色空間内で色画像を記録するように構成されており、前記色空間は、所定の色チャネルのセットを有し、前記第1の光路(171)の前記スペクトル部分(110)は、2つのスペクトルサブ部分(111,112)を含み、第1のサブ部分は、前記色空間の第1の色チャネルと重なっており、前記色空間の第2の色チャネルとは重ならず、第2のサブ部分は、第2の色チャネルと少なくとも重なっており、
前記第1の光出力部(161)および前記第2の光出力部(162)の他方に関連付けられた前記モノクロカメラ(181,182)によって記録された、反射された前記スペクトル部分(120)は、それぞれ、前記第1の光出力部(161)または前記第2の光出力部(162)で記録された前記2つのスペクトルサブ部分(111,112)の間にある、
光ビームスプリッタアセンブリ(100)。
【請求項2】
前記第1の光路(171)および前記第2の光路(172)によってガイドされる光の前記スペクトル部分(110,120)のうちの少なくとも1つは、互いに離間して配置されている2つのスペクトルサブ部分(111,112)を含む、
請求項1記載の光ビームスプリッタアセンブリ(100)。
【請求項3】
少なくとも1つのビームスプリッタ(151,152)は、プリズム(191,192,193)上のコーティング(195)を含む、
請求項1または2記載の光ビームスプリッタアセンブリ(100)。
【請求項4】
前記光ビームスプリッタアセンブリ(100)は、前記光入口部(160)および前記第1の光出力部(161)を含む第1のプリズム(191)、前記第2の光出力部(162)を含む第2のプリズム(192)ならびに前記第3の光出力部(163)を含む第3のプリズム(193)のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1から3までのいずれか1項記載の光ビームスプリッタアセンブリ(100)。
【請求項5】
前記光ビームスプリッタアセンブリ(100)は、ユニット式のブロック(199)を形成するために互いに接続された3つのプリズム(191,192,193)を含む、
請求項1から4までのいずれか1項記載の光ビームスプリッタアセンブリ(100)。
【請求項6】
前記第1のスペクトル部分(110)と前記第2のスペクトル部分(120)とは、重ならない、
請求項1から5までのいずれか1項記載の光ビームスプリッタアセンブリ(100)。
【請求項7】
前記光ビームスプリッタアセンブリ(100)は、フルオレセイン、ICGおよび5-ALAを組み合わせて使用するように構成されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の光ビームスプリッタアセンブリ(100)。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項記載の光ビームスプリッタアセンブリ(100)を含む、顕微鏡用のカメラヘッド(140)。
【請求項9】
請求項1から7までのいずれか1項記載の光ビームスプリッタアセンブリ(100)と、画像処理デバイス(146)と、を含む顕微鏡アセンブリ(145)であって、
前記画像処理デバイス(146)は、3つの光出力部(161,162,163)からの3つの画像から単一の画像を作成するように構成されている、
顕微鏡アセンブリ(145)。
【請求項10】
顕微鏡アセンブリ(145)であって、
請求項1から7までのいずれか1項記載の光ビームスプリッタアセンブリ(100)と、
第1の蛍光励起光(201)、第2の蛍光励起光(202)、第3の蛍光励起光(203)または広帯域光(204)のうちの少なくとも1つを制御するためのコントローラ(220)と、
を含む顕微鏡アセンブリ(145)。
【請求項11】
画像処理デバイス(146)は、カメラ(181,182,183)によって取得された画像に対してカラーバランス処理を実行して、カラーバランス処理された可視光画像を構築するように構成されている、
請求項10記載の顕微鏡アセンブリ(145)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ビームスプリッタアセンブリ、カメラヘッドおよび顕微鏡アセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ビームスプリッタアセンブリは、例えば顕微鏡内、特に外科用顕微鏡で蛍光物質を使用して特徴的な組織をマークするときに使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、有利な光ビームスプリッタアセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、少なくとも3つの異なるスペクトル部分内の画像を記録するための光ビームスプリッタアセンブリによって解決される。光ビームスプリッタアセンブリは、第1のビームスプリッタおよび第2のビームスプリッタならびに第1の光路、第2の光路および第3の光路を含み、第1の光路は、第1のスペクトル部分の光を光入口部から第1の光出力部へガイドするように構成されており、第2の光路は、第2のスペクトル部分の光を光入口部から第2の光出力部へガイドするように構成されており、第2の光出力部は、第1の光出力部から離間して配置されており、第3の光路は、第3のスペクトル部分の光を光入口部から第3の光出力部へガイドするように構成されており、第3の光出力部は、第1の光出力部および第2の光出力部から離間して配置されており、第2の光路が、第1のビームスプリッタを横断し、第3の光路が、第1のビームスプリッタおよび第2のビームスプリッタを横断している。
【0005】
これにより、少なくとも3つの異なるスペクトル部分内の画像を捕捉および/または記録することができる。
【0006】
カメラヘッドおよび顕微鏡アセンブリは、このような光ビームスプリッタアセンブリを含む。
【0007】
上記の装置は、以下に記載する特徴の1つ以上を追加することによりさらに改善することができる。以下の特徴の各々は、他の特徴とは独立して装置に追加可能である。さらに、以下に記載するように、各特徴はそれぞれ独自の有利な技術的効果を有する。
【0008】
第1のビームスプリッタは、第1の光路に沿って第1のスペクトル部分の光を反射することができる。これにより、第1の光路に沿って第1のスペクトル部分の光をガイドすることができる。
【0009】
同様に、第2のビームスプリッタは、第2の光路に沿って第2のスペクトル部分の光を反射することができる。これにより、第2の光路に沿って第2のスペクトル部分の光をガイドすることができる。
【0010】
第1のビームスプリッタは、第2のスペクトル部分の光を透過させることができる。これにより、構成を簡素化することができる。
【0011】
第2のビームスプリッタは、第1のスペクトル部分の光を透過させることができる。繰り返しになるが、これにより、構成を簡素化することができる。
【0012】
別の実施形態においては、第2のビームスプリッタは、第1のスペクトル部分を透過させないものとすることができる。特に、第2のビームスプリッタに到達する光は、第1のスペクトル部分を含まないものとすることができる。このような場合、第2のビームスプリッタは、第1のスペクトル部分の光に対していかなる特定の特性をも有する必要はない。第2のビームスプリッタは、このような光を吸収または反射するはずだからである。
【0013】
第1の光路および第2の光路のうちの少なくとも1つについて、特徴的な組織または領域の画像を記録するために、蛍光物質の発光帯域は、対応するスペクトル部分と重なりうる。
【0014】
有利な実施形態では、少なくとも1つのビームスプリッタはダイクロイックミラーである。これにより、設定を簡素化することができる。ダイクロイックミラーは、特定の波長を所定の角度で反射するものとすることができる。ダイクロイックミラーは、定義された均一な厚さの層またはコーティングを含みうる。また、ダイクロイックミラーは、2つより多い波長を選択するための2つより多い層を含みうる。
【0015】
第1の光路および第2の光路によってガイドされる光の少なくとも1つのスペクトル部分は、互いに離間して配置されている2つのスペクトルサブ部分を含むことができる。これにより、1つの光出力部での2つの個別の信号の記録を容易にすることができる。
【0016】
光ビームスプリッタアセンブリは、少なくとも2つの蛍光物質を使用するように構成することができ、2つの蛍光物質の各々が異なる蛍光発光帯域を有し、各スペクトルサブ部分に関して、蛍光物質の蛍光発光帯域は、スペクトルサブ部分と重なり、かつ/またはスペクトルサブ部分内にある。これにより、2つの蛍光物質に関連付けられた画像を記録することができる。2つの蛍光物質は、フルオレセインおよびICGであってよい。
【0017】
光ビームスプリッタアセンブリは、第1の出力部、第2の出力部および第3の出力部のうちの1つにおいて光を検出するための少なくとも1つのカメラをさらに含むことができる。カメラは、イメージセンサを含みうる。カメラおよび/またはイメージセンサは、第1の出力部、第2の出力部および第3の出力部にそれぞれ配設可能である。
【0018】
少なくとも1つのカメラは、ベイヤーフィルタを含みうる。また、このようなカメラはカラーカメラとして指定可能である。これにより、特に対応するスペクトル部分が広いとき、かつ/または異なるスペクトル部分、例えば異なる蛍光発光帯域を区別する必要があるときに、画像を記録するのに役立ちうる。
【0019】
ベイヤーフィルタは、色ごとに標準波長範囲を有する傾向がある。実際には、緑色の蛍光(例えば560nm)と赤外の蛍光とを使用した場合、緑色の蛍光は緑色のチャネルでのみ見え、赤外の蛍光の信号はベイヤーフィルタを通過して全チャネル(RGB)で検出される。こうした異なる応答により、2つの蛍光波長を識別することが可能となる。有利な実施形態では、ベイヤーフィルタのサブフィルタは、蛍光物質のうちの1つの蛍光発光帯域に一致するように選択される。これにより、信号強度が高まる。特に、サブフィルタの透過率の最大値は、蛍光発光帯域の最大値の50nm以内に位置し、好ましくは波長の20nm以内に位置しうる。例えば、1つのサブフィルタは、フルオレセインに一致する560nmに透過率の最大値を有することができる。別のサブフィルタは、ICG(インドシアニングリーン)に一致する850nmに最大値を有することができる。
【0020】
蛍光発光帯域の最大値の波長におけるサブフィルタの透過率は、80パーセントより大きく、好ましくは90パーセントより大きく、特に95パーセントより大きくすることができる。
【0021】
収率を最大化するために、蛍光物質は、その蛍光発光帯域がベイヤーフィルタのサブフィルタを透過したスペクトル部分と重なるように選択可能である。
【0022】
高い感度を実現するために、少なくとも1つのカメラはベイヤーフィルタを備えていないモノクロカメラであってよい。この場合、ベイヤーフィルタのサブフィルタが原因で起こる損失を回避することができる。モノクロカメラは、モノクロイメージセンサを含みうる。モノクロイメージセンサは、モノクロディスプレイに表示された場合にグレーの色調に相当する異なる強度を測定できることから、グレーイメージセンサとも呼ばれる。
【0023】
有利な実施形態では、光ビームスプリッタアセンブリは3つのカメラを含み、1つのカメラはベイヤーフィルタを備えていないモノクロカメラであり、2つのカメラはベイヤーフィルタを含む。ベイヤーフィルタを備えた2つのカメラが異なる波長間を区別することができるのに対して、モノクロカメラは例えば弱い信号に対して高い感度を提供することができる。
【0024】
一実施形態では、ベイヤーフィルタを備えていないモノクロカメラは、第2の光出力部に配設可能である。さらに、ベイヤーフィルタを備えたカメラは、第1の出力部および第3の出力部に配設可能である。
【0025】
別の実施形態では、モノクロイメージセンサを備え、かつベイヤーフィルタを備えていないカメラは、第1の光出力部に配設可能である。さらに、ベイヤーフィルタを備えたカメラは、第2の出力部および第3の出力部に配設可能である。
【0026】
好ましい発展形態においては、イメージセンサおよび/または第1の光出力部に関連付けられたカメラは、色空間内で色画像を記録するように構成されており、色空間は所定の色チャネルのセットを有し、第1の光路のスペクトル部分は2つのスペクトルサブ部分を含み、第1のサブ部分は、色空間の第1の色チャネルと重なっており、かつ色空間の第2の色チャネルとは重ならず、第2のサブ部分は、第2の色チャネルと少なくとも重なっている。これにより、色チャネルのうちの1つを簡易に選択することにより、信号の分離を容易に行うことができる。
【0027】
第1のサブ部分はフルオレセインに関連付け可能であり、第1の色チャネルは緑色のチャネルであってよい。緑色は、特に500~565nmの部分に関連することができる。
【0028】
第2のサブ部分はICGに関連付け可能であり、第2の色チャネルは赤色のチャネルであってよい。赤色は、特に625nmを超える部分に関連することができる。
【0029】
波長を特定する場合、これは特に真空中での波長に関連しうる。媒体中では、波長はより短くなりうる。異なる媒体における周波数を同じままとし、波長と周波数との積をその媒体内の光の速度とすることができる。
【0030】
2つの色チャネルは、別の色チャネルによって分離されうる。これにより、色チャネル間のクロストークが最小限に抑えられるため、明瞭な画像を容易に記録することができる。
【0031】
利用しやすい構成では、色チャネルは原色である。特に、色空間は、原色である赤、緑および青を有するRGB色空間でありうる。
【0032】
好ましくは、光ビームスプリッタアセンブリは、第1の波長と第2の波長とを有する2つの蛍光発光帯域の光を第1の光出力部にガイドし、第1の波長と第2の波長の間の第3の波長を有する蛍光発光帯域の光を第2の光出力部にガイドするように構成される。この結果、第1の波長および第2の波長の減衰は最小となる。
【0033】
別の実施形態においては、第2の光出力部に関連付けられたイメージセンサおよび/またはカメラは、色空間内で色画像を記録するように構成可能であり、色空間は所定の色チャネルのセットを有し、第1の光路のスペクトル部分は2つのスペクトルサブ部分を含み、第1のサブ部分は、色空間の第1の色チャネルと重なっており、かつ色空間の第2の色チャネルとは重ならず、第2のサブ部分は、第2の色チャネルと少なくとも重なっている。第1のサブ部分は前述の場合と同様にフルオレセインに関連付け可能であり、第1の色チャネルは緑色のチャネルであってよい。第2のサブ部分はICGに関連付け可能であり、第2の色チャネルは赤色のチャネルでありうる。
【0034】
光ビームスプリッタアセンブリは、第1の波長と第2の波長とを有する2つの蛍光発光帯域の光を第2の光出力部にガイドし、第1の波長と第2の波長の間の第3の波長を有する蛍光発光帯域の光を第1の光出力部にガイドするように構成可能である。これにより、蛍光発光帯域の分離を良好に行うことができる。
【0035】
第2の光出力部に関連付けられたイメージセンサおよび/またはカメラによって記録されたスペクトル部分は、第1の光出力部で記録された2つのスペクトルサブ部分間に存在することができる。これにより、その部分の分離を良好に行うことができる。
【0036】
特に、光ビームスプリッタアセンブリは、白色光を第3の出力部にガイドするように構成することができる。白色光は、第1の部分および第2の部分がフィルタリングされたときに残る光の部分でありうる。白色光は、第3の部分とすることができる。この白色光を使用して、手術が行われる領域の概要を示す画像を作成することができる。
【0037】
少なくとも1つのビームスプリッタは、プリズム上のコーティングを含みうる。これにより、コンパクトな構成が得られる。
【0038】
有利な実施形態では、光ビームスプリッタアセンブリが、光入口部および第1の光出力部を含む第1のプリズム、第2の光出力部を含む第2のプリズムならびに第3の光出力部を含む第3のプリズム、のうちの少なくとも1つを含む。これにより、光ビームスプリッタアセンブリをコンパクトにできるという効果が得られる。
【0039】
第1のビームスプリッタは、立体的な構成を実現するために、第1のプリズムと第2のプリズムとの間に配置することができる。同様に、第2のビームスプリッタは、第2のプリズムと第3のプリズムとの間に配置することができる。
【0040】
省スペースで立体的な配置をもたらす別の発展形態において、光ビームスプリッタアセンブリは、ユニット式のブロックを形成するために互いに接続された3つのプリズムを含む。当該ブロックはモノリシックとすることができる。
【0041】
有利な実施形態では、第1のスペクトル部分と第2のスペクトル部分とは重ならない。したがって、信号強度が改善される。
【0042】
同様に、有利な実施形態では、第1のスペクトル部分、第2のスペクトル部分および第3のスペクトル部分は重ならない。
【0043】
光ビームスプリッタアセンブリは、フルオレセイン、ICGおよび5-ALAを組み合わせて使用するように構成することができる。これは、例えば、第1の部分および第2の部分の第1のサブ部分および第2のサブ部分が、各々、フルオレセイン、ICGおよび5-ALAのうちの1つの蛍光発光帯域と重なり、他の蛍光物質の蛍光発光帯域とは重ならないものであるときに実現することができる。
【0044】
顕微鏡アセンブリは、画像処理デバイスをさらに含むことができ、画像処理デバイスは、3つの光出力部からの3つの画像から単一の画像を作成するように構成されている。
【0045】
ビームスプリッタの配置は、3つの蛍光波長帯域を識別して、可視配置を生成するために使用されうる。基本的に、この配置は適切な照明を同時に用いて4つの画像全てに使用されうる。
【0046】
可視画像は、蛍光(FL)イメージングに使用されていない、いずれかのカメラからの出力から構築される。カラーバランス処理は、照明光の波長分布とプリズム/ビームスプリッタの配置のフィルタ特性とを認識することで実行することができる。
【0047】
有利な顕微鏡アセンブリにおいては、ユーザは蛍光モードを選択または指示することができる。照明源による照明は、コントローラによって制御されることで、適切な励起照明(第1の蛍光照明光、第2の蛍光照明光、第3の蛍光照明光のうちの1つまたは複数)と併せて、広帯域の「白色光」照明を提供することができる。システムは、どのカメラの信号が選択された蛍光に関連しているかを認識し、カラーバランス処理された可視画像を構築するためにどのカメラを使用するかを認識することができる。その結果、1つまたは複数の画像を代替のディスプレイに出力することができる。このようなカラーバランス処理は、画像処理デバイスで実行可能である。
【0048】
画像の記録の好適性は、画像の保存を必ずしも含むものではない。本発明の解決策は、画像が捕捉され、例えば処理されて、1つまたは複数のディスプレイにライブで表示されるが、その後保存されない場合であっても使用可能である。
【0049】
次に、いくつかの実施形態を、図面にも示されているサンプルの実施形態のみを使用して、例示の方法によってさらに説明する。図面では、機能および設計の少なくとも一方に関して互いに対応する特徴には、同じ参照番号が使用されている。
【0050】
添付の実施形態に示した特徴の組み合わせは説明のみを目的としており、変更可能である。例えば、特定の用途には必要のない技術的効果を有する実施形態の特徴は、省略されてもよい。同様に、この特徴に関連付けられた技術的効果が特定の用途に必要となる場合には、実施形態の一部として示されていない特徴を追加することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】光ビームスプリッタアセンブリの一実施形態を含む顕微鏡アセンブリの一実施形態の概略図である。
【
図2】可視光および蛍光が光入口部に入射したときの第1の光出力部に到達するスペクトル部分を表すグラフの図である。
【
図3】可視光および蛍光が光入口部に入射したときの第2の光出力部に到達するスペクトル部分を表すグラフの図である。
【
図4】可視光および蛍光が光入口部に入射したときの第3の光出力部に到達するスペクトル部分を表すグラフの図である。
【
図5】光ビームスプリッタアセンブリの一実施形態を含む顕微鏡アセンブリの別の実施形態の概略図である。
【
図6】顕微鏡アセンブリの別の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1には、ビームスプリッタアセンブリ100を含む顕微鏡アセンブリ145が示されている。ビームスプリッタアセンブリ100は、手術が行われる領域の画像を撮影して記録することができる。
【0053】
異なるスペクトル部分110,120,130の画像を記録するのに適した3つのカメラ181,182,183が存在する。これにより、異なる蛍光物質からの蛍光を別々に画像化することができる。このようにして取得された画像は、次に、顕微鏡アセンブリの画像処理デバイス146に入力され、所望のように組み合わせることができる。例えば、2つまたは3つの画像を重ね合わせて、外科医が特徴的な組織を見ることができる単一の画像に組み合わせることができる。また、蛍光物質の信号の強度を所望のように調整することで、例えば、簡単に区別できるように偽色で表示する場合もある。このような画像は、ディスプレイデバイス148に表示したり、ディスプレイシステムで観察したりすることができる。
【0054】
光ビームスプリッタアセンブリ100は、第1のビームスプリッタ151と第2のビームスプリッタ152とを含む。2つのビームスプリッタ151,152は、光を第1の光路171、第2の光路172および第3の光路173に分割する役割を果たしている。
【0055】
第1の光路171は、第1のスペクトル部分110の光を、この光が光ビームスプリッタアセンブリ100に入射する光入口部160から第1の光出力部161にガイドするように構成されている。
【0056】
同様に、第2の光路172は、第2のスペクトル部分120の光を光入口部160から第2の光出力部162にガイドするように構成されており、第2の光出力部162は、第1の光出力部161から離間して配置されている。
【0057】
最後に、第3の光路173は、第3のスペクトル部分130の光を光入口部160から第3の光出力部163にガイドするように構成されており、第3の光出力部163は、第1の光出力部161および第2の光出力部162から離間して配置されている。
【0058】
第2の光路172は第1のビームスプリッタ151を横断しており、第3の光路173は第1のビームスプリッタ151および第2のビームスプリッタ152を横断している。
【0059】
ビームスプリッタ151,152は、各々ダイクロイックミラー155として具現化することができる。各ダイクロイックミラー155は、ある角度の下で所定の波長を反射する少なくとも1つの薄層を含む。他の波長は透過させられうる。
【0060】
第1のビームスプリッタ151は、第1の光路171に沿って第1のスペクトル部分110の光を反射する。第1のビームスプリッタ151は、第2のスペクトル部分120の光と、第1のスペクトル部分110の一部ではない別の波長と、を透過させる。同様に、第2のビームスプリッタ152は、第2の光路172に沿って第2のスペクトル部分120の光を反射し、例えば他の波長を透過させることができる。第1のスペクトル部分110の光は第2のビームスプリッタ152にまったく到着しないか、またはほとんど到着しない。なお、第2のビームスプリッタ152が、第1のスペクトル部分110の光を反射することもある。
【0061】
光ビームスプリッタアセンブリ100は、第1の出力部161、第2の出力部162および第3の出力部163において光を検出するための3つのイメージセンサ181a,182a,183aを有する3つのカメラ181,182,183を含む。このため、3つのイメージセンサ181a,182a,183aは、第1の出力部161、第2の出力部162および第3の出力部163にそれぞれ配置されている。任意選択的に、第1の出力部161、第2の出力部162および/または第3の出力部163にダミーガラス170を存在させ、光路長を増加させて、各カメラ181,182,183への光路長が同一であることを確実にすることができる。入射光が集束され、ダミーガラス170により、集束された画像がイメージセンサ181a,182a,183aに位置することが確実となる。
【0062】
特徴的な組織および蛍光物質から到来する信号を記録するために、第1の光路171および第2の光路172のうちの少なくとも1つについて、蛍光物質の発光帯域がスペクトル部分110,120と重なるようにする。例えば、蛍光物質としては、フルオレセイン、5-ALA、ICGのうちの少なくとも1つを使用することができる。
【0063】
図示の実施形態では、第1の光路171によってガイドされる光のスペクトル部分110は、互いに離間して配置されている2つのスペクトルサブ部分111,112を含む。これは、例えば、2つのスペクトルサブ部分を反射してこれらを第1の光出力部161に配置された第1のカメラ181の第1のイメージセンサ181aへガイドする第1のビームスプリッタ151によって実現することができる。
【0064】
各スペクトルサブ部分111,112について、蛍光物質の蛍光発光帯域は、スペクトルサブ部分111,112と重なるか、またはスペクトルサブ部分111,112内にある。特に、この例では、フルオレセインに関連付けられた第1のスペクトルサブ部分111は、540nmの典型的な蛍光発光波長の周辺に位置する。ICGに関連付けられた第2のスペクトルサブ部分112は、約750~900nmの波長を含む。
【0065】
第1のカメラ181は、ベイヤーフィルタ188aを含む。ベイヤーフィルタ188aは、赤、緑および青のうちの1つだけを選択的に各画素に透過させるための3つのサブフィルタを含む。緑色のサブフィルタの領域は、赤色のサブフィルタと青色のサブフィルタとの領域を組み合わせたものを含む。このようなベイヤーフィルタ188aを使用することで、サブフィルタのうちの1つに関する画素の情報のみを用いて、2つの蛍光物質に関する2つのサブ部分111,112を容易に分離することができる。また、2つのサブ部分111,112は、その間のクロストークが最小になるように、互いに離間して配置されている。これは、自然な帯域幅を有する蛍光信号が他方のサブ部分に非常に小さな信号強度しか有さないか、または信号強度をまったく有さないことを意味する。
【0066】
ベイヤーフィルタ188aのサブフィルタは、蛍光物質のうちの1つの蛍光発光帯域に一致するように選択されうる。特に、サブフィルタの透過率の最大値は、蛍光発光帯域の最大値の50nm以内に位置し、好ましくは20nm以内に位置しうる。蛍光発光帯域の最大値の波長においてサブフィルタの透過率は、80パーセントより大きく、好ましくは90パーセントより大きく、さらに好ましくは少なくとも95パーセントより大きくすることができる。
【0067】
有利には、蛍光物質は、蛍光発光帯域がベイヤーフィルタ188aのサブフィルタによって透過させられたスペクトル部分と重なるように選択される。
【0068】
高い感度を実現するために、第2のカメラ182はモノクロのイメージセンサ182aを含むが、ベイヤーフィルタは備えていない。これは、例えば、弱い信号または低い量子効率を有する蛍光物質が使用されるときに有用でありうる。例えば、第2の光路172は、5-ALAの蛍光発光に関するスペクトル部分120に関連付けられうる。
【0069】
第3のカメラ183は、広いスペクトル範囲を有し、かつ白色光と称されうる残光の第3のスペクトル部分130を記録するために、ベイヤーフィルタ188bおよび第3のイメージセンサ183aを含みうる。この第3のスペクトル部分130は、手術が行われる領域の全体像を示すために使用することができる。各画像の視野は、カメラ181,182,183の各々について同一とすることができる。「白色光」画像は、第3のカメラ183の出力のみからまたは第3のカメラ183からの出力と、これに加えて蛍光イメージングに使用されていないいずれかのカメラ181,182の出力と、の組み合わせから生成することができる。
【0070】
光ビームスプリッタアセンブリ100は、合計で3つのカメラ181,182,183を含み、1つのカメラ182は、モノクロイメージセンサ189を備えたモノクロカメラであり、2つのカメラ181,183は、ベイヤーフィルタ188a,188bを含む。ベイヤーフィルタ188a,188bを含む2台のカメラ181,183は、ベイヤーフィルタ188a,188bの背後にモノクロイメージセンサ189を含むこともできる。また、2つのカメラ181,183は、色情報を有する画像を撮影することができるカラーカメラでありうる。
【0071】
図示の実施形態では、モノクロカメラ182のモノクロイメージセンサ182a,189が第2の光出力部162に配設されており、ベイヤーフィルタ188a,188bを備えたカメラ181,183のイメージセンサ181a,183aが第1の光出力部161および第3の光出力部163に配設されている。他の実施形態では、第1のビームスプリッタ151によるいかなる損失も回避するために、モノクロイメージセンサ189および/またはモノクロカメラを第1の出力部161に配設することもできる。
【0072】
第1の光出力部161に関連付けられたカメラ181は、RGB色空間でカラー画像を記録するように構成されており、色空間は、所定の色チャネルのセットを有する。第1の光路171のスペクトル部分110は、2つのスペクトルサブ部分111,112を含み、第1のサブ部分111、すなわちフルオレセインに関連付けられたサブ部分は、色空間の第1の色チャネルすなわち緑色と重なるが、色空間の第2の色チャネルすなわち赤色とは重ならない。第2のサブ部分112、すなわちICGに関するものは、少なくとも第2の色チャネルすなわち赤色と重なる。
【0073】
2つの色チャネルは、別の色チャネルによって分離されうる。
【0074】
カラーチャネルの各々は、例えば赤、緑、青の原色でありうる。
【0075】
換言すると、第2の光出力部162に関連付けられた第2のイメージセンサ182aによって記録される反射されたスペクトル部分120は、第1の光出力部161で記録される2つのスペクトルサブ部分111,112の間にある。したがって、第1のスペクトル部分110と第2のスペクトル部分120とは重ならない。
【0076】
さらに、光ビームスプリッタアセンブリは、白色光または残光を第3の出力部163にガイドするように構成されている。光ビームスプリッタアセンブリ100は、第1の波長と第2の波長とを有する2つの蛍光発光帯域の光を第1の光出力部161にガイドし、第1の波長と第2の波長との間の第3の波長を有する蛍光発光帯域の光を第2の光出力部162へガイドするように構成されている。
【0077】
図2~
図4において、結果として得られるさまざまなスペクトル部分の分布を見ることができる。この場合、約900nmを下回る波長の光は、光入口部160を介して光ビームスプリッタアセンブリ100に入射する。フルオレセイン帯域とICG帯域とは、第1のビームスプリッタ151によって第1のカメラ181へ配向され、
図2では、2つのピーク間に隔たりがあるスペクトル内の2つの異なるピークとして見ることができる。
【0078】
5-ALAピークは第1のビームスプリッタ151を透過し、第2のビームスプリッタ152によって第2のカメラ182に向かってガイドされる。第2のカメラ182には(ベイヤー)フィルタがないため、この弱い信号に対して高い感度を実現することができる。これは特に有利である。
図3で見ることができるように、このピークは、第1の出力部で測定された2つのピーク間に位置している。このピークの空間的および/または非空間的な分離により、信号の良好な分離と信頼性の高い検出が可能になる。
【0079】
図4には、第3の出力部163に到達した光の部分が示されている。これは、入力部に入射する光であり、第1の出力部161に向かって偏向されることも、第2の出力部162に向かって偏向されることも、吸収されることもない。スペクトルの幅から、この部分は白色光と称することができる。
【0080】
異なる実施形態においては、第2の光出力部162に関連付けられたイメージセンサ182aおよび/またはカメラ182は、色空間内で色画像を記録するように構成可能であり、色空間は所定の色チャネルのセットを有し、第2の光路172のスペクトル部分120は2つのスペクトルサブ部分を含み、第1のサブ部分は、色空間の第1の色チャネルと重なっており、かつ色空間の第2の色チャネルとは重ならず、第2のサブ部分は、少なくとも第2の色チャネルと重なっている。
【0081】
本実施例では、光ビームスプリッタアセンブリは、第1の波長と第2の波長とを有する2つの蛍光発光帯域の光を第2の光出力部162にガイドし、第1の波長と第2の波長との間の第3の波長を有する蛍光発光帯域の光を第1の光出力部161にガイドするように構成されている。
【0082】
2つのビームスプリッタ151,152の各々は、プリズム191,192,193上のコーティング195を含む。
【0083】
さらに、光ビームスプリッタアセンブリ100は、光入口部160および第1の光出力部161を含む第1のプリズム191、第2の光出力部162を含む第2のプリズム192ならびに第3の光出力部163を含む第3のプリズム193を含む。
【0084】
第1のビームスプリッタ151は、第1のプリズム191と第2のプリズム192との間にある。さらに、第2のビームスプリッタ152は、第2のプリズム192と第3のプリズム193との間にある。
【0085】
光ビームスプリッタアセンブリ100は、ユニット式のブロック199を形成するために、互いに接続された合計で3つのプリズム191,192,193を含む。これにより、取り扱いが簡易となりうる。特に、光ビームスプリッタアセンブリ100は、顕微鏡アセンブリ145または顕微鏡のカメラヘッド140の一部とすることができる。
【0086】
光ビームスプリッタアセンブリ100は、フルオレセイン、ICGおよび5-ALAを組み合わせて使用するように構成されている。これは、第1の部分110および第2の部分120の第1のサブ部分111および第2のサブ部分112が、各々、フルオレセイン、ICGおよび5-ALAのうちの1つの蛍光発光帯域と重なり、他の蛍光物質の蛍光発光帯域とは重ならないようになっているものとして実現される。
【0087】
【0088】
繰り返しになるが、異なるスペクトル部分110,120,130の画像を記録するのに適した3つのカメラ181,182,183が存在する。これを介して、異なる蛍光物質からの蛍光を別々に画像化することができる。このようにして取得された画像は、次に、顕微鏡アセンブリの画像処理デバイス146に入力され、所望のように組み合わせることができる。
【0089】
光ビームスプリッタアセンブリ100は、第1のビームスプリッタ151と第2のビームスプリッタ152とを含む。2つのビームスプリッタ151,152は、光を第1の光路171、第2の光路172および第3の光路173に分割する役割を果たしている。
【0090】
第1のビームスプリッタ151の場合、平均反射率(Rave)は、400nm~485nm、565nm~599nm、679nm~790nmにおいて>90%、505nm~545nm、619nm~659nm、810nm~850nmにおいて<5%とすることができる。これは、平均反射率が、400nm~485nm、565nm~599nmおよび679nm~790nmの区間では90%より大きく、505nm~545nm、619nm~659nmおよび810nm~850nmの区間では5%より小さくなることを意味する。入射角はF8.0でありうる。
【0091】
第2のビームスプリッタの場合、平均反射率(Rave)は、400nm~599nm、679nm~850nmにおいて>90%、619nm~659nmにおいて<5%とすることができる。これは、平均反射率が、400nm~599nmおよび679nm~850nmの区間では90%より大きく、619nm~659nmの区間では5%より小さくなることを意味する。入射角はF8.0でありうる。
【0092】
したがって、第1のビームスプリッタ151は、フルオレセイン、5-ALAおよびICGの3つの蛍光物質の信号を全て透過させる。その他の光は、第1のベイヤーフィルタ188aを含む第1のカメラ181へと反射される。第2のビームスプリッタ152は、5-ALA信号のみを透過させ、5-ALA信号は、モノクロイメージセンサ189を含みベイヤーフィルタを備えていない第3のカメラ183に到達する。フルオレセインとICGとの信号は、ベイヤーフィルタ188bを含む第2のビームスプリッタによって、第2のカメラ182へと反射される。
【0093】
図6には、有利な顕微鏡アセンブリ145が示されている。ユーザは蛍光モードを選択または指示することができる。照明源200による照明は、コントローラ220によって制御されることで、適切な励起照明(第1の蛍光照明光201、第2の蛍光照明光202、第3の蛍光照明光203のうちの1つまたは複数)と併せて、広帯域の「白色光」照明204を提供することになる。システムは、カメラ181,182,183のうちのどの信号が選択された蛍光に関連しているかを認識し、カラーバランス処理された可視画像を構築するためにどのカメラを使用するかを認識することになる。その結果、1つまたは複数の画像を代替のディスプレイ240に出力することができる。このようなカラーバランス処理は、画像処理デバイス146で実行されうる。
【0094】
いくつかの態様を装置の文脈において説明してきたが、これらの態様が、対応する方法の説明も表していることが明らかであり、ここではブロックまたは装置がステップまたはステップの特徴に対応している。同様に、ステップの文脈において説明された態様は、対応する装置の対応するブロックまたは項目または特徴の説明も表している。ステップの一部または全部は、例えば、プロセッサ、マイクロプロセッサ、プログラマブルコンピュータまたは電子回路等のハードウェア装置(またはハードウェア装置を使用すること)によって実行されてもよい。いくつかの実施形態では、極めて重要なステップのいずれか1つまたは複数が、そのような装置によって実行されてもよい。
【0095】
一定の実装要件に応じて、本発明の実施形態は、ハードウェアまたはソフトウェアで実装されうる。この実装は、非一過性の記録媒体によって実行可能であり、非一過性の記録媒体は、各方法を実施するために、プログラマブルコンピュータシステムと協働する(または協働することが可能である)、電子的に読取可能な制御信号が格納されている、デジタル記録媒体等であり、これは例えば、フロッピーディスク、DVD、ブルーレイ、CD、ROM、PROMおよびEPROM、EEPROMまたはFLASHメモリである。したがって、デジタル記録媒体は、コンピュータ読取可能であってもよい。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法が実施されるように、プログラマブルコンピュータシステムと協働することができる、電子的に読取可能な制御信号を有するデータ担体を含んでいる。
【0097】
一般的に、本発明の実施形態は、プログラムコードを備えるコンピュータプログラム製品として実装可能であり、このプログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されるときにいずれかの方法を実施するように作動する。このプログラムコードは、例えば、機械可読担体に格納されていてもよい。
【0098】
別の実施形態は、機械可読担体に格納されている、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを含んでいる。
【0099】
したがって、換言すれば、本発明の実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0100】
したがって、本発明の別の実施形態は、プロセッサによって実行されるときに本明細書に記載のいずれかの方法を実施するために、格納されているコンピュータプログラムを含んでいる記録媒体(またはデータ担体またはコンピュータ読取可能な媒体)である。データ担体、デジタル記録媒体または被記録媒体は、典型的に、有形である、かつ/または非一過性である。本発明の別の実施形態は、プロセッサと記録媒体とを含んでいる、本明細書に記載されたような装置である。
【0101】
したがって、本発明の別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを表すデータストリームまたは信号シーケンスである。データストリームまたは信号シーケンスは、例えば、データ通信接続、例えばインターネットを介して転送されるように構成されていてもよい。
【0102】
別の実施形態は、処理手段、例えば、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するように構成または適合されているコンピュータまたはプログラマブルロジックデバイスを含んでいる。
【0103】
別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するために、インストールされたコンピュータプログラムを有しているコンピュータを含んでいる。
【0104】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを(例えば、電子的にまたは光学的に)受信機に転送するように構成されている装置またはシステムを含んでいる。受信機は、例えば、コンピュータ、モバイル機器、記憶装置等であってもよい。装置またはシステムは、例えば、コンピュータプログラムを受信機に転送するために、ファイルサーバを含んでいてもよい。
【0105】
いくつかの実施形態では、プログラマブルロジックデバイス(例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ)が、本明細書に記載された方法の機能の一部または全部を実行するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、フィールドプログラマブルゲートアレイは、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためにマイクロプロセッサと協働してもよい。一般的に、有利には、任意のハードウェア装置によって方法が実施される。
【符号の説明】
【0106】
100 ビームスプリッタアセンブリ
110 第1のスペクトル部分
111 第1のスペクトルサブ部分
112 第2のスペクトルサブ部分
120 第2のスペクトル部分
130 第3のスペクトル部分
140 カメラヘッド
145 顕微鏡アセンブリ
146 画像処理デバイス
148 ディスプレイデバイス
151 第1のビームスプリッタ
152 第2のビームスプリッタ
155 ダイクロイックミラー
160 光入口部
161 第1の光出力部
162 第2の光出力部
163 第3の光出力部
170 ダミーガラス
171 第1の光路
172 第2の光路
173 第3の光路
181 第1のカメラ
181a 第1のイメージセンサ
182 第2のカメラ
182a 第2のイメージセンサ
183 第3のカメラ
183a 第3のイメージセンサ
188a ベイヤーフィルタ
188b ベイヤーフィルタ
189 モノクロイメージセンサ
191 第1のプリズム
192 第2のプリズム
193 第3のプリズム
195 コーティング
199 ブロック
200 光源
201 第1の蛍光励起光
202 第2の蛍光励起光
203 第3の蛍光励起光
204 広帯域光
220 コントローラ
240 ディスプレイ