(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】有機発光素子封止用組成物、及びそれを含む有機発光表示装置
(51)【国際特許分類】
H10K 50/844 20230101AFI20240508BHJP
C08F 20/10 20060101ALI20240508BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240508BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240508BHJP
H10K 59/40 20230101ALI20240508BHJP
H10K 85/10 20230101ALI20240508BHJP
【FI】
H10K50/844
C08F20/10
G09F9/30 365
H10K59/10
H10K59/40
H10K85/10
(21)【出願番号】P 2022521332
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 KR2022003804
(87)【国際公開番号】W WO2022211333
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2022-06-24
(31)【優先権主張番号】10-2021-0043620
(32)【優先日】2021-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520069590
【氏名又は名称】ソリュース先端素材株式会社
【氏名又は名称原語表記】SOLUS ADVANCED MATERIALS CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シン、ファンギュ
(72)【発明者】
【氏名】ノ、スンジュ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジェフン
(72)【発明者】
【氏名】キム、チュンハン
【審査官】横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-057580(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0038631(KR,A)
【文献】国際公開第2018/051732(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/043268(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/101252(WO,A1)
【文献】国際公開第02/092718(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00-102/20
H05B 33/00-33/28
C08F 20/10
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる2以上の光硬化モノマー及び光重合開始剤を含む、100Khz~1MHz領域の周波数で誘電率が3.0以下である有機発光素子封止用組成物であって、
前記光硬化モノマーは、
イソオクタデシル(メタ)アクリレート、2-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、1,14-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、及び1,3-ジアリル-5-ドデシル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン(L-DAIC)よりなる群から1種以上選択され、
前記光重合開始剤は、トリアジン系、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系、リン系、オキシム系、及びこれらの混合物よりなる群から1種以上選択される、有機発光素子封止用組成物。
【請求項2】
前記有機発光素子封止用組成物は、粘度が10~30cPsである、請求項1に記載の有機発光素子封止用組成物。
【請求項3】
前記光硬化モノマーは、組成物の総重量に対して20~99重量%を含む、請求項1に記載の有機発光素子封止用組成物。
【請求項4】
前記光重合開始剤は、組成物の総重量に対して0.1~10重量%含む、請求項1に記載の有機発光素子封止用組成物。
【請求項5】
前記有機発光素子封止用組成物は、界面活性剤、硬化促進剤及び酸化防止剤よりなる群から1種以上選択される添加剤をさらに含む、請求項1に記載の有機発光素子封止用組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の組成物を含有する封止部を含む有機発光表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルのタッチ感度向上のために低誘電率特性を有する有機発光素子封止用組成物、及びそれを含む有機発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子を構成する有機層材料や電極などは、外部の水分や酸素によってその発光特性及び寿命が劣化するという問題がある。よって、有機材料及び電極などを保護することができる保護層が必要である。このような保護層は、外部の水分や酸素を効果的に遮断するために、通常、1つ以上の有機層と無機層が積層構造で形成される。
【0003】
最近、有機発光素子が適用された静電容量方式のタッチパネルを多く採用している。このような静電容量方式のタッチパネルは、導電体がタッチパネルに接触すると、静電容量の変化によってタッチを感知する方式である。高い誘電率材料の場合は、外部電場が与えられたとき、分極が多く発生してタッチ感度が減少するという傾向がある。よって、タッチパネルのタッチ感度に優れた低誘電率特性を有する積層構造に用いられる有機層の封止用組成物の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、外部から有機発光表示装置に流入する水分又は酸素を効果的に遮断して有機発光素子の性能及び寿命を確保することができるだけでなく、タッチパネルのタッチ感度に優れるように低誘電率特性を有する有機発光素子封止用組成物、及びそれを含む有機発光表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した問題を解決するために、本発明は、互いに異なる2以上の光硬化モノマー及び光重合開始剤を含む、100Khz~1MHz領域の周波数で誘電率が3.0以下である有機発光素子封止用組成物であって、前記光硬化モノマーは、下記化学式1で表されるモノ(メタ)アクリレート、及び下記化学式2で表されるジ(メタ)アクリレートよりなる群から選択される。
【0006】
【0007】
前記化学式1中、
R1は、置換もしくは無置換のC2-20のアルキル基、置換もしくは無置換のC6-20のアリール基、置換もしくは無置換のC2-20のアルキルオキシ基及びC6-20のアリールオキシ基よりなる群から選択され、
R2は、水素、置換もしくは無置換のC1-60のアルキル基、置換もしくは無置換のC3-30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のC2-60のアルケニル基、置換もしくは無置換のC1-60のアルコキシ基及びヒドロキシ基の中から選択されたいずれか一つであり、
前記化学式2中、
R3は、置換もしくは無置換のC10-20のアルキレン基であり、
R4及びR5は、それぞれ独立して水素、置換もしくは無置換C1-60のアルキル基、置換もしくは無置換のC3-30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のC2-60のアルケニル基、置換もしくは無置換のC1-60のアルコキシ基及びヒドロキシ基の中から選択されたいずれか一つであり、
前記有機発光素子封止用組成物は、粘度が10~30cPsであってもよい。
【0008】
前記光硬化モノマーは、組成物の総重量に対して20~99重量%を含むことができる。
【0009】
前記モノ(メタ)アクリレートは、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、4-メチル-2-プロピルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソオクタデシル(メタ)アクリレート、2-ヘプチルウンデシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アデマンチル(メタ)アクリレート、アダマンチルプロピル(メタ)アクリレート、エチルアダマンチル(メタ)アクリレート、メチルアダマンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、エチルトリシクロデシル(メタ)アクリレート、メチルトリシクロデシル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、及び2-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレートよりなる群から1種以上選択されることができる。
【0010】
前記ジ(メタ)アクリレートは、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,11-ウンデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,13-トリデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,15-ペンタデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,16-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,17-ヘプタデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,18-オクタデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,19-ノナデカンジオールジ(メタ)アクリレート、及び1,20-イコサンジオールジ(メタ)アクリレートよりなる群から1種以上選択されることができる。
【0011】
前記光重合開始剤は、トリアジン系、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系、リン系、オキシム系及びこれらの混合物よりなる群から1種以上選択されることができ、組成物の総重量に対して0.1~10重量%含むことができる。
【0012】
また、前記有機発光素子封止用組成物は、界面活性剤、硬化促進剤及び酸化防止剤よりなる群から1種以上選択される添加剤をさらに含むことができる。
【0013】
また、本発明は、前記有機発光素子封止用組成物を含有する封止部を含む有機発光表示装置を提供する。
【0014】
前記封止部は、前記組成物を含む1つ以上の有機バリア層に加えて、1つ以上の無機バリア層をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明による有機発光素子封止用組成物を用いて有機発光表示装置の封止部を形成する場合、外部から流入する水分又は酸素を効果的に遮断して有機発光素子の性能及び寿命を確保することができるだけでなく、低誘電率特性を有するので、タッチパネルのタッチ感度にも優れるという効果を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施例による有機発光表示装置の例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
各図面の構成要素に参照符号を付する際に、同一の構成要素がたとえ他の図面上に表示されても、できる限り同一の参照符号を付していることに留意すべきである。また、本発明を説明するにあたり、関連する公知の構成又は機能についての具体的な説明が本発明の要旨を不明確にするおそれがあると判断された場合には、その詳細な説明は省略する。
【0019】
ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」又は「接続」されると記載された場合、その構成要素は他の構成要素に直接連結又は接続されることもあるが、各構成要素の間に別の構成要素が「連結」、「結合」又は「接続」されることもある。また、層、膜、領域、板などの構成要素が他の構成要素の「上」又は「上方」にあるとする場合、これは他の構成要素の「真上」にある場合だけでなく、それらの間に別の構成要素がある場合も含むことができる。逆に、ある構成要素が他の部分の「真上」にあるとする場合には、それらの間に別の部分がないことを意味する。
【0020】
本明細書で使用された用語「(メタ)アクリル」は、アクリル(acryl)及び/又はメタクリル(methacryl)を意味する。
【0021】
本明細書で使用された用語「アルキル基」は、別段の記載がない限り、単結合で連結された1~60個の炭素を有し、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環族)基、アルキル置換シクロアルキル基、シクロアルキル置換アルキル基を含む飽和脂肪族官能基のラジカルを意味する。
【0022】
本明細書で使用された用語「アルキルオキシ基」は、酸素ラジカルが結合されたアルキル基を意味する。
【0023】
本明細書で使用された用語「アルキレン基」は、二重結合なしに飽和炭化水素で連結されたアルカンジイル基(alkanediyl groups)を意味し、連結基を2つ有することを意味する。
【0024】
また、明示的な説明がない限り、本明細書で使用された用語「置換もしくは無置換」における「置換」は、重水素、ハロゲン、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、C1-C20のアルキル基、C1-C20のアルコキシ基、C1-C20のアルキルアミン基、C1-C20のアルキルチオフェン基、C6-C20のアリールチオフェン基、C2-C20のアルケニル基、C2-C20のアルキニル基、C3-C20のシクロアルキル基、C6-C20のアリール基、重水素で置換されたC6-C20のアリール基、C8-C20のアリールアルケニル基、シラン基、ホウ素基、並びにO、N、S、Si、及びPよりなる群から選択された少なくとも1つのヘテロ原子を含むC2-C20の複素環基よりなる群から選択される少なくとも1つの置換基で置換され得ることを意味するが、必ずしもこれらの置換基に限定されるものではない。
【0025】
本明細書で使用された用語「誘電率」は、本発明による有機発光素子封止用組成物を含む有機層に対して電気容量法で測定された値を意味する。
【0026】
本明細書で使用された用語「粘度」は、本発明による有機発光素子封止用組成物を含む有機層に対して回転型の粘度計を用いて測定された値を意味する。
【0027】
本発明による有機発光素子封止用組成物は、(a)互いに異なる2以上の光硬化モノマー及び(b)光重合開始剤を含み、100KHz~1MHz領域の周波数で誘電率が3.0以下である特徴を有し、前記組成物の粘度は、10~30cPsであり得る。
【0028】
前記(a)互いに異なる2以上の光硬化モノマーは、下記化学式1で表されるモノ(メタ)アクリレート、及び下記化学式2で表されるジ(メタ)アクリレートを含む群から少なくとも2以上選択できる。
【0029】
【0030】
R1は、置換もしくは無置換のC2-20のアルキル基、置換もしくは無置換のC6-20のアリール基、置換もしくは無置換のC2-20のアルキルオキシ基、及びC6-20のアリールオキシ基よりなる群から選択され、
R2は、水素、置換もしくは無置換のC1-60のアルキル基、置換もしくは無置換のC3-30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のC2-60のアルケニル基、置換もしくは無置換のC1-60のアルコキシ基及びヒドロキシ基の中から選択されるいずれか一つであり、
上記化学式2中、
R3は、置換もしくは無置換のC10-20のアルキレン基であり、
R4及びR5は、それぞれ独立して水素、置換もしくは無置換のC1-60のアルキル基、置換もしくは無置換のC3-30のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のC2-60のアルケニル基、置換もしくは無置換のC1-60のアルコキシ基及びヒドロキシ基の中から選択されたいずれか一つである。
【0031】
前記(a)光硬化モノマーは、必要に応じて、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を有するモノマーをさらに含むことができる。
【0032】
前記光硬化モノマーは、前記光硬化モノマーの総重量に対して20~99重量%含むことが好ましい。
【0033】
より具体的には、前記モノ(メタ)アクリレートは、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、4-メチル-2-プロピルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソオクタデシル(メタ)アクリレート、2-ヘプチルウンデシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アダマンチルプロピル(メタ)アクリレート、エチルアダマンチル(メタ)アクリレート、メチルアダマンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、エチルトリシクロデシル(メタ)アクリレート、メチルトリシクロデシル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、及び2-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレートよりなる群から1種以上選択できるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0034】
また、前記ジ(メタ)アクリレートは、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,11-ウンデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート,1,13-トリデカンジオールジ(メタ)アクリレート,1,14-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート,1,15-ペンタデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,16-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,17-ヘプタデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,18-オクタデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,19-ノナデカンジオールジ(メタ)アクリレート、及び1,20-イコサンジオールジ(メタ)アクリレートよりなる群から1種以上選択できるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0035】
本発明による有機発光素子封止用組成物は、前記光硬化モノマーをUV照射などを介して硬化させることができる(b)光重合開始剤を含む。前記光重合開始剤は、光硬化性反応を行うことができる通常の光重合開始剤であれば特に限定されない。一例として、光重合開始剤は、トリアジン系、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系、リン系、オキシム系又はこれらの混合物を含むことができる。
【0036】
前記トリアジン系としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3’,4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル(ピペロニル)-6-トリアジン、2,4-(トリクロロメチル(4’-メトキシ)スチリル)-6-トリアジン又はこれらの混合物であり得る。
【0037】
前記アセトフェノン系としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-[0230]ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロ[0231]アセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、又はこれらの混合物であり得る。
【0038】
前記ベンゾフェノン系としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノン、又はこれらの混合物であり得る。
【0039】
前記チオキサントン系としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、又はこれらの混合物であり得る。
【0040】
前記ベンゾイン系としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、又はこれらの混合物であり得る。
【0041】
前記リン系としては、ビスベンゾイルフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、又はこれらの混合物であり得る。
【0042】
前記オキシム系としては、2-(o-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(o-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノール、又はこれらの混合物であり得る。
【0043】
前記光重合開始剤は、組成物の総重量に対して、0.1~10重量%含むことが好ましいが、これは、前記光重合開始剤が前記含有量の範囲で含まれる場合、露光の際に光重合が十分に起こり得るだけでなく、光重合後に残った未反応開始剤によりアウトガスの発生及び信頼性が低下するのを防ぐことができるからである。
【0044】
本発明による有機発光素子封止用組成物は、さらに界面活性剤、硬化促進剤及び酸化防止剤よりなる群から1種以上選択される添加剤をさらに含むことができる。特に、界面活性剤は、組成物の分散を誘導するのに有利である。
【0045】
本発明による有機発光素子封止用組成物は、100KHz~1MHz領域の周波数で誘電率が3.0以下である低誘電率特性を有するので、前記封止用組成物がタッチパネルに適用される場合、タッチ感度に非常に優れるという効果を持つ。
【0046】
また、本発明による有機発光素子封止用組成物は、粘度が10~30cPsであることが好ましいが、これは、上記の粘度範囲で組成物の工程性がより向上し得るからである。
【0047】
本発明の別の態様による有機発光表示装置は、前記有機発光素子封止用組成物を含有する封止部を含む。
【0048】
図1は本発明の一実施例による有機発光表示装置の例示図である。
図1に開示された有機発光表示装置は、基板110、基板110上に配置された有機発光素子200、及び有機発光素子200上に配置された封止部300を含む。このとき、前記封止部300は、第1封止層310及び第2封止層320からなる多重層であると開示しているが、本発明は、封止部300が2層又は4層以上である構成を全て含むことができる。封止部300が2層の多重層で構成される場合、無機バリア層と有機バリア層を含むことができる。例えば、第1封止層310が無機バリア層である場合、第2封止層320は有機バリア層であり得るが、積層順序がこれに限定されるものではない。
【0049】
前記封止部300は、有機発光表示装置の封止又はカプセル化用途として有機バリア層を形成することができ、前記有機バリア層は、本発明による有機発光素子封止用組成物を光硬化させて形成することができる。
【0050】
前記封止用組成物(有機バリア層物質)は、インクジェット、真空蒸着、スピンコート又はスリットコート法によって塗布でき、光硬化の際に開始剤を使用することができる。
【0051】
以下、本発明による有機発光素子封止用組成物に関する実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0052】
互いに異なる2以上の光硬化モノマー、及び光開始剤(BAPO)及び界面活性剤を下記表1の重量比で混合して実施例1~46及び比較例1~2の有機発光素子封止用組成物を製造した。
【0053】
その後、前記製造した組成物を12時間攪拌し、孔径(pore sizs)0.45μmのPTFEフィルターで濾過した。
【0054】
前記濾過した有機発光素子封止用組成物をスピンコート方式で5.0μm以上の厚さに形成した後、UV露光機を用いて1Jの光量を照射して封止膜を形成した。誘電率及び粘度は、次の方法で測定した。
【0055】
誘電率:有機発光素子封止用組成物を下部電極上に5.0μm以上の厚さでコーティングし、硬化させる。その後、上部電極を1,000Åの厚さに蒸着する。製作された試験片に対してKEYSIGHT社製のE4980Aで測定した後、誘電定数を計算した。
【0056】
粘度:液状の有機発光素子封止用組成物の粘度を回転型の粘度計を用いて測定した。
【0057】
その結果、本発明による実施例1~46の有機発光素子封止用組成物で形成した封止膜の誘電率はいずれも3.0F/m以下の値を得たが、比較例1~2で形成した封止膜の誘電率は3.0F/mを超えた。したがって、本発明によって製造した封止膜が適用されたタッチパネルの場合は、より優れたタッチ感度の効果を得ることができる。
【0058】
【0059】
*DDMA:1,12-ドデカンジオールジメタクリレート(72829-09-5)(1,12-Dodecanediol Dimethacrylate(72829-09-5))
*ISBA:イソボルニルアクリレート(5888-33-5)(Isobornyl Acrylate(5888-33-5))
*OPPEA:2-フェニルフェノキシエチルアクリレート(91442-24-9)(2-Phenylphenoxyethyl acrylate(91442-24-9))
*HFB-MA:2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルメタクリレート(36405-47-7)(2,2,3,4,4,4-Hexafluorobutyl methacrylate(36405-47-7)
*L-DAIC:1,3-ジアリル-5-ドデシル-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン(66747-68-0))(1,3-diallyl-5-dodecyl-1,3,5-triazinane-2,4,6-trione(66747-68-0))
*FA-513AS:オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデニルアクリレート(79637-74-4)(Octahydro-4,7-methano-1H-indenyl acrylate(79637-74-4))
*FA-513M:ジシクロペンタニルメタクリレート(34759-34-7)(Dicyclopentanyl methacrylate(34759-34-7))
*TDMA:1,14-テトラデカンジオールジメタクリレート(168473-14-1)(1,14-Tetradecanediol dimethacrylate(168473-14-1))
*ISTA:イソオクタデシルアクリレート(93841-48-6)(Isooctadecyl acrylate(93841-48-6))
*PHEA:2-フェノキシエチルアクリレート(48145-04-6)(2-Phenoxyethyl Acrylate(48145-04-6))
*U-847:2-プロペン酸、2-メチル-1,1’[(3-ヘプチル-4-ペンチル-1,2-シクロヘキサンジイル)ビス(9,1-ノナンジイルイミノカルボニルオキシ-2,1-エタンジイル)]エステル(86499-57-3)(2-Propenoic acid, 2-methyl-1,1’[(3-heptyl-4-pentyl-1,2-cyclohexanediyl)bis(9,1-nonanediyliminocarbonyloxy-2,1-ethanediyl)]ester(86499-57-3))
【0060】
以上の説明は本発明を例示的に説明したものに過ぎず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱することなく、多様な変形が可能であろう。したがって、本明細書に開示された実施例は、本発明を限定するものではなく、説明するためのものであり、これらの実施例によって本発明の思想と範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は以下の請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にある全ての技術は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0061】
100 基板
200 有機発光素子
300 封止部
310 第1封止部
320 第2封止部