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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】熱シールド構造及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/58 20060101AFI20240508BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20240508BHJP
   B32B 7/027 20190101ALI20240508BHJP
   B32B 18/00 20060101ALI20240508BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20240508BHJP
   B64C 1/12 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B64G1/58
B64C1/00 B
B32B7/027
B32B18/00 Z
B32B5/18
B64C1/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022522852
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 CN2022083265
(87)【国際公開番号】W WO2023082528
(87)【国際公開日】2023-05-19
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】202111320126.3
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504458976
【氏名又は名称】厦▲門▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】金華
(72)【発明者】
【氏名】張劭捷
(72)【発明者】
【氏名】周印佳
(72)【発明者】
【氏名】呉亜東
(72)【発明者】
【氏名】尤延▲ちぇん▼
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07281688(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0046396(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第113562202(CN,A)
【文献】特開平02-037100(JP,A)
【文献】特開2011-121476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/58
B64C 1/00
B32B 7/027
B32B 18/00
B32B 5/18
B64C 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次に設けられた断熱層と、空洞層と、スキンと、を含み、前記断熱層が飛翔体内部キャビンの外面上に設けられ、
前記スキンは、外部環境および内部の前記空洞層に放熱するために用いられ、前記空洞層は、前記スキンおよび前記断熱層によって放出された熱を受け取り、熱を熱シールド構造の外に排出するために用いられ、前記スキンは高温合金を含み、
前記断熱層は、多孔質断熱構造と、前記多孔質断熱構造中に設けられた温度感応性ハイドロゲルと、前記温度感応性ハイドロゲル中に吸着する冷却作業物質と、を含み、
前記熱シールド構造が熱シールドを行わない場合、前記温度感応性ハイドロゲルは、膨潤状態にあり、前記冷却作業物質を固相の存在形式で前記温度感応性ハイドロゲル中に吸着させ、
前記熱シールド構造が熱シールドを行う場合、前記スキンが熱を受けた後に熱は外部環境と内部の前記空洞層に同時に放熱され、前記温度感応性ハイドロゲルは、前記スキン及び前記空洞層から内部へ放射する熱を吸収し、解膨潤状態となり、前記冷却作業物質の存在形式を固相から順次に液相及び気相に転移し、気相の前記冷却作業物質を前記空洞層へ放出した後に排出させ、
前記熱シールド構造は、ネジとナットとをさらに含み、前記断熱層及び前記スキンは、前記ネジと前記ナットとの係合により飛翔体内部キャビンの外面上に固定され、
前記多孔質断熱構造は、アルミナセラミックから作製され、
前記冷却作業物質は、水を含む、
ことを特徴とする熱シールド構造。
【請求項2】
前記ネジ及び前記ナットは、いずれもアルミナセラミックから作製されることを特徴とする請求項1に記載の熱シールド構造。
【請求項3】
温度感応性ハイドロゲルと多孔質断熱構造とを冷却作業物質を含有する容器中に配置し、前記温度感応性ハイドロゲルを前記多孔質断熱構造に進入させるステップであって、前記冷却作業物質の温度が第1の所定温度であり、前記第1の所定温度下で、前記温度感応性ハイドロゲルが解膨潤状態にあるステップと、
前記冷却作業物質の温度を第2の所定温度に低下させ、前記冷却作業物質を固相の存在形式で前記温度感応性ハイドロゲル中に吸着させ、断熱層を得るステップであって、前記第2の所定温度下で、前記温度感応性ハイドロゲルが膨潤状態にあるステップと、
前記断熱層とスキンとを固定し、前記断熱層と前記スキンとの間に空洞層を設置し、熱シールド構造を形成するステップであって、前記断熱層が飛翔体内部キャビンの外面上に設けられるステップと、を含み、
前記断熱層とスキンとを固定するステップは、
ネジとナットとの係合を利用して前記断熱層とスキンとを固定すること、を含み、
前記多孔質断熱構造は、アルミナセラミックから作製され、
前記冷却作業物質は、水を含む、
ことを特徴とする熱シールド構造の製造方法。
【請求項4】
前記ネジと前記ナットは、いずれもアルミナセラミックから作製されることを特徴とする請求項3に記載の熱シールド構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱シールド技術分野に関し、特に熱シールド構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、飛翔体高速飛行技術は、人類の宇宙探査、宇宙進入、宇宙制御、宇宙利用の能力を大幅に向上させ、特別な軍事戦略意義及び重要な科学価値を有する。しかしながら、宇宙極超音速に接近する飛翔体であっても、宇宙探査ために進入又は帰還する宇宙船であっても、大気圏中で極超音速(>5マッハ)で再進入又は飛行するときに、過酷な空力加熱環境を経て、飛翔体又は宇宙船は、「新しい熱障壁」という肝心な技術難題に臨むので、熱シールドメカニズムを発展し、飛翔体の熱シールドシステムの設計及び製造を指導することは、この難題を解決するための有効なルートである。
【0003】
熱シールドメカニズムは、飛翔体熱シールド専用の特別なメカニズムであり、熱シールドメカニズム(例えば、材料属性、物理化学効果又は構造原理等に基づく)、システム構成構造及びその動作原理を含むメカニズムである。現在、現役又は試験飛行の極超音速飛翔体(例えば、X-15、X-37B、Apollo帰還船、X-43A及びSHEFEX II)が採用した熱シールドメカニズムは、熱シールドメカニズムに準じて受動型(例えば、ヒートシンク、断熱構造)、半受動型(例えば、アブレーション、ヒートパイプ)及び能動型(例えば、作業物質、冷却流)に分けられる。これら従来の熱シールドメカニズムは、共通する特徴を有し、いずれも材料又は構造自体の消耗、分散、阻止、対抗により熱シールド機能を実現する。
【0004】
しかしながら、将来、宇宙極超音速に接近する飛翔体が、高い速度領域、広い空間領域、長い飛行時間及び再利用可能な方向に向かって発展し、また、将来、月、火星、木星、太陽などの複数の重要な深宇宙探査任務が展開するにつれて、空力加熱環境がより厳しくなり、飛翔体が直面する熱障壁の問題がより目立つようになり、従来の熱シールドメカニズムのみに頼っては将来の極超音速飛翔体の熱シールドへの要求を満足できなくなる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施例は、熱シールド構造及びその製造方法を提供し、将来の極超音速飛翔体の熱シールドへの要求を満足できる熱シールド構造を提供する。
【0006】
第1の態様によれば、本発明は、
順次に設けられた断熱層と、空洞層と、スキンと、を含み、前記断熱層が飛翔体内部キャビンの外面上に設けられ、
前記断熱層は、多孔質断熱構造と、前記多孔質断熱構造中に設けられた温度感応性ハイドロゲルと、前記温度感応性ハイドロゲル中に吸着する冷却作業物質と、を含み、
前記熱シールド構造が熱シールドを行わない場合、前記温度感応性ハイドロゲルは、膨潤状態にあり、前記冷却作業物質を固相の存在形式で前記温度感応性ハイドロゲル中に吸着させ、
前記熱シールド構造が熱シールドを行う場合、前記温度感応性ハイドロゲルは、前記スキン及び前記空洞層から内部へ放射する熱を吸収し、解膨潤状態となり、前記冷却作業物質の存在形式を固相から順次に液相及び気相に転移し、気相の前記冷却作業物質を前記空洞層へ放出した後に排出する、熱シールド構造を提供する。
【0007】
本発明の目的は、次世代の極超音速飛翔体に必要な長時間、再利用可能な熱シールド構造への要求に対して、能動型と受動型とが連携して作用する熱シールドメカニズムを提供することであり、具体的に内部へ放射する放熱(受動型)と、固相から水相へ転移する放熱(能動型)との連携作用を増加した熱シールドメカニズムにより熱シールドを実現することである。
【0008】
受動型:従来の熱シールド構造は、主に外部スキン(外側)により外部へ放射して放熱を実現し、本発明は、外部放射に加えてスキンと断熱材との間に空洞層を増加することにより、スキン内側も内部へ放熱可能にし、スキン内側の表層の改質によりスキン内側の放射率を大幅に向上させることができ、最高で0.9に達することができ、これにより、従来の熱シールドに加えて1つの内部放射放熱を増加し、熱シールド構造の熱シールド効率を向上させる目的を実現する。
【0009】
能動型:水は、相転移の潜熱が最も高く、相転移による冷却にとって最適な冷却作業物質となるが、水の流動性、貯蔵性のために熱シールド構造において封止、貯蔵、耐食などの一連な複雑な補助構造を配置する必要があり、実際のプロジェクト熱シールド構造に適用することができない。本発明は、この課題を解決するために、従来の液相水のかわりに固相水を採用し、温度感応性ハイドロゲル、無機-有機装着技術により液相水を小粒子の固相水に転移して下層の無機断熱材に充填し、対比によりアルミナ多孔質断熱材を選択する。固相水粒子は、化学的グラフトにより多孔質媒体のマイクロウェル中に固定される。固相ハイドロゲルは、充填完了後に多孔質断熱材と緊密に結合することができる。放射により空洞内部の温度が上昇した後、固相水は徐放することにより液相水を形成し、液相水が熱を受けた後に直ちに水蒸気として蒸発し、さらにこのような液-気相転移により熱を奪う。
【0010】
内部放射放熱(受動型)と固相水相転移放熱(能動型)との相互連携作用により、熱シールド構造の熱シールド能力を大幅に向上させることができる。ここで、スキンと多孔質媒体との間の空洞の厚さ、多孔質媒体内部のマイクロウェルの分布及び孔径、固相水の含有量は、熱シールドへの要求に応じて設計及び調節することができる。
【0011】
本発明の熱シールドメカニズムは、能動-受動連携型熱シールドメカニズムであり、外面放射放熱を十分に発揮した上、内部放射放熱相を増加したのみならず、より重要なのは固相水の相転移放熱を増加したことであり、その放熱は、放射放熱の30~50倍となり、その熱シールド効果がセラミックベース断熱型熱シールド、トランスピレーション冷却及びフィルム冷却など、他の単一な能動型又は受動型熱シールド装置及び構造よりも優れる。
【0012】
本発明の能動型/受動連携型熱シールドメカニズムに基づく熱シールド構造は、極超音速飛翔体の翼前縁部、ノーズコーンなどの熱シールド構造に適用することができ、風当たり面の大きい面積の領域にも適用することができ、100~10MW/m、かつ30分間の熱負荷に耐えることができる。
【0013】
異なる熱負荷条件に応じて、本発明が提供する熱シールド構造の厚さが10~100mmであり、本発明が提供する熱シールド構造の裏壁の温度が100℃未満であり、本発明が提供する熱シールド構造は、熱シールド、断熱及び積載を一体化した特徴を有する。
【0014】
好ましくは、前記熱シールド構造ネジとナットとをさらに含み、前記断熱層及び前記スキンは前記ネジと前記ナットとの係合により飛翔体内部キャビンの外面上に固定されている。
【0015】
好ましくは、前記ネジと前記ナットは、いずれもアルミナセラミックから作製される。
【0016】
好ましくは、前記多孔質断熱構造は、アルミナセラミックから作製される。
【0017】
好ましくは、上記第1の態様のいずれかに記載の熱シールド構造であって、前記冷却作業物質は水を含む。
【0018】
第2の態様によれば、本発明は、熱シールド構造の製造方法を提供し、当該方法は、
温度感応性ハイドロゲルと多孔質断熱構造とを冷却作業物質を含有する容器中に配置し、前記温度感応性ハイドロゲルを前記多孔質断熱構造に進入させるステップであって、前記冷却作業物質の温度が第1の所定温度であり、前記第1の所定温度下で、前記温度感応性ハイドロゲルが解膨潤状態にあるステップと、
前記冷却作業物質の温度を第2の所定温度に低下させ、前記冷却作業物質を固相の存在形式で前記温度感応性ハイドロゲル中に吸着させ、断熱層を得るステップであって、前記第2の所定温度下で、前記温度感応性ハイドロゲルが膨潤状態にあるステップと、
前記断熱層とスキンとを固定し、前記断熱層と前記スキンとの間に空洞層を設置し、熱シールド構造を形成するステップであって、前記断熱層が飛翔体内部キャビンの外面上に設けられるステップと
を含む。
【0019】
本発明の目的は、次世代極超音速飛翔体に必要な長時間、再利用可能な熱シールド構造への要求に対して、能動型と受動型とが連携して作用する熱シールドメカニズムを提供することであり、具体的に内部へ放射する放熱(受動型)と、固相から水相へ転移する放熱(能動型)との連携作用を増加した熱シールドメカニズムにより熱シールドを実現することである。
【0020】
受動型:従来の熱シールド構造は、主に外部スキン(外側)により外部へ放射して放熱を実現し、本発明は、外部放射に加えてスキンと断熱材との間に空洞層を増加することにより、スキン内側も内部へ放熱可能にし、スキン内側の表層の改質によりスキン内側の放射率を大幅に向上させることができ、最高で0.9に達することができ、これにより、従来の熱シールドに加えて1つの内部放射放熱を増加し、熱シールド構造の熱シールド効率を向上させる目的を実現する。
【0021】
能動型:水は、相転移の潜熱が最も高く、相転移による冷却にとって最適な冷却作業物質となるが、水の流動性、貯蔵性のために熱シールド構造において封止、貯蔵、耐食などの一連な複雑な補助構造を配置する必要があり、実際のプロジェクト熱シールド構造に適用することができない。本発明は、この課題を解決するために、従来の液相水のかわりに固相水を採用し、温度感応性ハイドロゲル、無機-有機装着技術により液相水を小粒子の固相水に転移して下層の無機断熱材に充填し、比較によりアルミナ多孔質断熱材を選択する。固相水粒子は、化学的グラフトにより多孔質媒体のマイクロウェル中に固定される。固相ハイドロゲルは、充填完了後に多孔質断熱材と緊密に結合することができる。放射により空洞内部の温度が上昇した後、固相水が徐放により液相水を形成し、液相水が熱を受けた後に直ちに水蒸気に蒸発し、さらにこのような液-気相転移により熱を奪う。
【0022】
内部放射放熱(受動型)と固相水相転移放熱(能動型)との相互連携作用により、熱シールド構造の熱シールド能力を大幅に向上させることができる。ここで、スキンと多孔質媒体との間の空洞の厚さ、多孔質媒体内部のマイクロウェルの分布及び孔径、固相水の含有量は、熱シールドへの要求に応じて設計及び調節することができる。
【0023】
本発明の熱シールドメカニズムは、能動-受動連携型熱シールドメカニズムであり、外面放射放熱を十分に発揮した上、内部放射放熱相を増加したのみならず、より重要なのは固相水の相転移放熱を増加したことであり、その放熱は、放射放熱の30~50倍となり、その熱シールド効果がセラミックベース断熱型熱シールド、トランスピレーション冷却及びフィルム冷却など、他の単一な能動型又は受動型熱シールド装置及び構造よりも優れる。
【0024】
本発明の能動型/受動連携型熱シールドメカニズムに基づく熱シールド構造は、極超音速飛翔体の翼前縁部、ノーズコーンなどの熱シールド構造に適用することができ、風当たり面の大きい面積の領域にも適用することができ、100~10MW/m、かつ30分間の熱負荷に耐えることができる。
【0025】
異なる熱負荷条件に応じて、本発明が提供する熱シールド構造の厚さが10~100mmであり、本発明が提供する熱シールド構造の裏壁の温度が100℃未満であり、本発明が提供する熱シールド構造は、熱シールド、断熱及び積載を一体化した特徴を有する。
【0026】
好ましくは、前記前記断熱層とスキンとを固定するステップは、
ネジとナットとの係合により前記断熱層及びスキンを固定すること、を含む。
【0027】
好ましくは、前記ネジと前記ナットは、いずれもアルミナセラミックから作製される。
【0028】
好ましくは、前記多孔質断熱構造は、アルミナセラミックから作製される。
【0029】
好ましくは、上記第2の態様のいずれかに記載の熱シールド構造の製造方法において、前記冷却作業物質は、水を含む。
【0030】
本発明は、従来技術と比べて、少なくとも下記の有益な効果を有する。
【0031】
飛翔体内部キャビンの外面上に、断熱層と空洞層とスキンと、を含む熱シールド構造を設けることにより、優れる熱シールド性能を有させる。
【0032】
熱シールド構造におけるスキン及び空洞により、受動型熱シールド機能を有することなり、当該受動型熱シールドメカニズムは、スキンにより外部の熱を吸収して昇温した後に熱放射の方式により、吸収した熱の一部を放出することである。ここで、スキン熱放射のルートが2種類あり、1つはスキンの外部環境へ放出する外部放射であり、もう1つは空洞へ放出する内部放射である。本発明は、空洞層を設けることにより、スキンが外部へ放熱しながら、内部への熱を空洞層へ放出することもでき、これにより、従来の熱シールドに加えて1つの内部へ放射するルートを増加し、さらに受動型熱シールドの熱シールド効率を向上させた。
【0033】
熱シールド構造における断熱層は、多孔質断熱構造と、多孔質断熱構造中に設けられる温度感応性ハイドロゲルと、温度感応性ハイドロゲル中に吸着する冷却作業物質と、を含む。多孔質断熱構造における空隙は、温度感応性ハイドロゲルを収容することができ、温度感応性ハイドロゲルは、液相の冷却作業物質を吸収してそれを固相に転移することができる。
【0034】
熱シールド構造における断熱層及び空洞により、能動型熱シールド機能を有することなる。熱シールド構造が熱シールドを行う場合、温度感応性ハイドロゲルは、スキン及び空洞層から内部へ放射する熱を吸収し、解膨潤状態となり、冷却作業物質の存在形式を固相から順次に液相及び気相に転移し、気相の前記冷却作業物質を前記空洞層へ放出した後に排出する。断熱層に温度感応性ハイドロゲルを含有し、断熱層の温度が温度感応性ハイドロゲルの下限臨界溶解温度(LCST)より高い場合、その中の温度感応性ハイドロゲルが膨潤状態を呈し、冷却作業物質を吸収してそれを固相に転移し、断熱層を得、当該熱シールド構造の使用過程において、その使用環境温度が温度感応性ハイドロゲルの下限臨界溶解温度(LCST)より高く、この時、温度感応性ハイドロゲルが熱を吸収して解膨潤状態を呈し、冷却作業物質を固相から液相に転移し、その後、液相の冷却作業物質が熱を吸収し続けてさらに気相に転移して空洞へ放出されて排出され、これにより、優れた熱シールド機能を実現する。
【0035】
また、本発明が提供する熱シールド構造は繰り返して使用可能である。断熱層における温度感応性ハイドロゲルが環境温度の変化に応じて可逆的な膨潤-解膨潤を発生する特性により、熱シールド構造の繰り返し使用を実現することができる。使用後の熱シールド構造は、降温、冷却作業物質補充の方式によりその中の温度感応性ハイドロゲルを膨潤させて冷却作業物質を吸収させることにより、優れた熱シールド性能を回復する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明瞭に説明するために、以下、実施例又は従来技術についての説明に使用する必要がある図面を簡単に説明し、明らかに、以下で説明する図面は本発明の幾つかの実施例であり、当業者にとって、創造的な労働を行わない場合、さらにこれらの図面から他の図面を得ることができる。
【0037】
図1図1は、本発明の実施例が提供する熱シールド構造の原理概略図である。
図2図2は、本発明の実施例が提供する熱シールド構造製造方法のフロチャートである。
図3(a)】図3(a)は、本発明の実施例が提供する熱シールド構造の斜視図である。
図3(b)】図3(b)は、本発明の実施例が提供する熱シールド構造の局所断面図である。
図4図4は、本発明の実施例1が提供する熱シールド構造と比較例1が提供する熱シールド構造の熱シールド効果対比図である。 図中、 1:スキン、2:空洞層、3:断熱層、4:アンダープレート、5:ネジ、6:ナット。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明瞭にするために、以下、本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術的解決手段を明瞭、完全に説明し、明らかに、説明する実施例は、本発明の全ての実施例ではなく一部の実施例であり、本発明における実施例に基づき、当業者が創造的な労働を行わずに取得した全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【0039】
図1図3(a)及び図3(b)に示すように、本発明は、熱シールド構造を提供し、熱シールド構造は、順次に設けられた断熱層3と、空洞層2と、スキン1と、を含み、断熱層3がアンダープレート4上に設けられており、
断熱層3は、多孔質断熱構造と、多孔質断熱構造中に設けられた温度感応性ハイドロゲルと、温度感応性ハイドロゲル中に吸着する冷却作業物質と、を含み、
熱シールド構造が熱シールドを行わない場合、温度感応性ハイドロゲルは、膨潤状態にあり、冷却作業物質を固相の存在形式で温度感応性ハイドロゲル中に吸着させ、
熱シールド構造が熱シールドを行う場合、温度感応性ハイドロゲルは、スキン1及び空洞層2から内部へ放射する熱を吸収し、解膨潤状態となり、冷却作業物質の存在形式を固相から順次に液相及び気相に転移し、気相の冷却作業物質を空洞層2へ放出した後に排出する。
【0040】
なお、アンダープレート4は、飛翔体内部キャビンの外面の一部であり、常用材料としてアルミニウム合金が用いられる。
【0041】
本発明において、断熱層3と、空洞層2と、スキン1と、を含む熱シールド構造をアンダープレート4上に設置することにより、優れた熱シールド性能を有させる。
【0042】
熱シールド構造におけるスキン1及び空洞により、受動型熱シールド機能を有することなり、当該受動型熱シールドメカニズムは、スキン1が外部の熱を吸収して昇温した後に熱放射の方式により、吸収した熱の一部を放出することである。ここで、スキン1が熱を放射するルートは2種類あり、1つは、スキン1が外部環境へ熱を放出する外部放射であり、もう1つは、空洞へ熱を放出する内部放射である。本発明は、空洞層2を設置することにより、スキン1が外部へ放熱すると同時に、内部へ空洞層2に放熱することもでき、これにより、従来の熱シールドに加えて1つの内部へ放射するルートを増加し、さらに受動型熱シールドの熱シールド効率を向上させた。
【0043】
熱シールド構造における断熱層3は、多孔質断熱構造と、多孔質断熱構造中に設けられた温度感応性ハイドロゲルと、温度感応性ハイドロゲル中に吸着する冷却作業物質と、を含む。多孔質断熱構造における空隙は、温度感応性ハイドロゲルを収容することができ、温度感応性ハイドロゲルは、液相の冷却作業物質を吸収してそれを固相に転移することができる。
【0044】
熱シールド構造における断熱層3及び空洞により、能動型熱シールド機能を有することなる。熱シールド構造が熱シールドを行う場合、温度感応性ハイドロゲルは、スキン1及び空洞層2から内部へ放射する熱を吸収し、解膨潤状態となり、冷却作業物質の存在形式を固相から順次に液相及び気相に転移し、気相の前記冷却作業物質を前記空洞層2へ放出した後に排出する。断熱層3に温度感応性ハイドロゲルを含有し、断熱層3の温度が温度感応性ハイドロゲルの下限臨界溶解温度(LCST)より低い場合、その中の温度感応性ハイドロゲルが膨潤状態を呈し、冷却作業物質を吸収してそれを固相に転移し、断熱層3を得、当該熱シールド構造の使用過程において、その使用環境温度が温度感応性ハイドロゲルの下限臨界溶解温度(LCST)より高く、この時、温度感応性ハイドロゲルが熱を吸収して解膨潤状態を呈し、冷却作業物質を固相から液相に転移し、その後、液相の冷却作業物質が熱を吸収し続けてさらに気相に転移して空洞に放出されて排出され、これにより、優れた熱シールド機能を実現する。
【0045】
また、本発明が提供する熱シールド構造は繰り返して使用可能である。断熱層3における温度感応性ハイドロゲルが環境温度の変化に応じて可逆的膨潤-解膨潤を発生する特性により、熱シールド構造の繰り返し使用を実現することができる。使用後の熱シールド構造は、降温、冷却作業物質補充の方式によりその中の温度感応性ハイドロゲルを膨潤させて冷却作業物質を吸収させることができ、これにより、優れた熱シールド性能を回復させる。本発明において、熱シールド構造は、能動-受動連携型の熱シールドメカニズムによって優れた熱シールド性能を実現する。外面放射放熱を十分に発揮した上、内部放射放熱(受動型熱シールド)を増加し、これに加えて、さらに固相の水の相転移放熱(能動型熱シールド)を増加し、当該放熱は外面放射放熱の30~50倍である。本発明が提供する熱シールド構造は、極超音速飛翔体が空力加熱環境下で飛翔体内部キャビン外面の温度を100℃未満にすることができ、当該熱シールド効果が明らかにセラミックベース断熱型熱シールド、トランスピレーション冷却及びフィルム冷却などの他の単一な能動型又は受動型熱シールドメカニズムより優れている。
【0046】
なお、断熱層3における温度感応性ハイドロゲルの解膨潤過程において、冷却作業物質が固相、液相、気相の相転移過程により熱を吸収し続け、この時、断熱層3において固-液-気相のバランスが存在するため、固相の冷却作業物質がなくなって能動型熱シールドメカニズムの効果が消えるまで、断熱層3の温度を冷却作業物質の沸点温度以下に維持する。
【0047】
本発明において、多孔質断熱構造の孔径、孔の分布、温度感応性ハイドロゲルの水の制御放出速度及び冷却作業物質の質量により能動型熱シールドメカニズムの時間を調節することができる。
【0048】
なお、従来の能動型熱シールド構造が選択する冷却作業物質は液相であり、液相の冷却作業物質が流動性を有するため、熱シールド構造中に放置するためには封止、貯蔵及び耐食などの一連の複雑な補助構造を設置する必要があり、実際の熱シールド構造において応用されにくい。この課題を解決するために、本発明は、断熱層3に温度感応性ハイドロゲルを添加し、温度感応性ハイドロゲルは、冷却作業物質を吸収してそれを固相に転移することができるため、液相の冷却作業物質を貯蔵するための補助構造を熱シールド構造に設けることは避けられる。これに加えて、本発明の熱シールド構造において能動型熱シールドメカニズムは、完全に温度変化により自動的にトリガーされ、冷却作業物質の相転移により熱を吸収して熱シールドを実現し、全過程において何らのセンサ及び制御装置も必要とされない。
【0049】
本発明が提供する熱シールド構造は、極超音速飛翔体の翼前縁部、ノーズコーンなどの箇所に適用することができ、風当たり面の大面積の領域にも適用することができ、100kW/m~10MW/mの熱負荷を耐えることができ、かつ、ローディング時間は最大で30minに達することができる。ここで、ローディング時間は、即ち、能動型熱シールドメカニズムの有効時間である。
【0050】
幾つかの好適な実施形態によれば、熱シールド構造は、ネジ5とナット6とをさらに含み、断熱層3及びスキン1はネジ5とナット6との係合によりアンダープレート4上に固定されている。
【0051】
幾つかの好適な実施形態によれば、ネジ5及びナット6は、いずれもアルミナセラミックから作製される。
【0052】
幾つかの好適な実施形態によれば、多孔質断熱構造は、アルミナセラミックから作製される。
【0053】
図3(a)及び図3(b)に示すように、熱シールド構造は、ネジ5とナット6とを係合する方式を採用して、スキン1と断熱層3とアンダープレート4とを一体的に固定することができ、ここで、ナット6は、スキン1の両側に固定され、断熱層3とスキン1との間に空洞層2を保留する。
【0054】
本発明において、スキン1としては、高温合金板が用いられ、多孔質断熱構造、ネジ5及びナット6としては、アルミナセラミック材料が用いられ、アルミナセラミック材料は、優れた断熱性を有する。アルミナセラミック材料は、他の多孔質断熱材(例えば、ジルコニアセラミック材料)と比べて、単価がより低く、空隙分布がより均一である。
【0055】
幾つかの好適な実施形態によれば、上記第1の態様のいずれかの熱シールド構造において、冷却作業物質は水を含む。
【0056】
なお、水相の変化潜熱が最も高いので、水を相転移による冷却にとって最適な冷却作業物質として選択する。
【0057】
図2に示すように、本発明は、熱シールド構造の製造方法をさらに含み、当該方法は、
温度感応性ハイドロゲルと多孔質断熱構造とを冷却作業物質を含有する容器中に配置し、温度感応性ハイドロゲルを多孔質断熱構造中に進入させるステップであって、冷却作業物質の温度が第1の所定温度であり、第1の所定温度下で、温度感応性ハイドロゲルが解膨潤状態にあるステップと、
冷却作業物質の温度を第2の所定温度に低下させ、冷却作業物質を固相の存在形式で温度感応性ハイドロゲル中に吸着させ、断熱層を得るステップであって、第2の所定温度下で、温度感応性ハイドロゲルが膨潤状態にあるステップと、
断熱層とスキンとを固定して、断熱層とスキンとの間に空洞層を設置し、熱シールド構造を形成するステップであって、断熱層がアンダープレート上に設けられているステップと、を含む。
なお、第1の所定温度がLCST(断熱層における温度感応性ハイドロゲルの下限臨界溶解温度)より少し高く、第2の所定温度がLCSTより低い。温度感応性ハイドロゲルの温度がLCSTより高い場合、解膨潤状態を呈し、この時、その内部に水がなく、温度感応性ハイドロゲルの温度がLCSTより低い場合、膨潤状態を呈し、液相水を吸収してその内部で固相水を形成させることができる。
【0058】
本発明において、冷却作業物質が第1の所定温度である場合、容器内の温度感応性ハイドロゲルが液相解膨潤状態にあり、この時、温度感応性ハイドロゲルが多孔質断熱構造内部の空隙に進入し、温度感応性ハイドロゲル大分子がグラフトの方式により多孔質断熱構造の空隙の内壁に結合する。
【0059】
本発明において、冷却作業物質の温度が第2の所定温度に低下した場合、降温過程において多孔質断熱構造空隙における温度感応性ハイドロゲルは、膨潤状態を呈し、親水性メッシュ構造のハイポリマーにより大量の蒸留水を吸収して膨潤し、かつ、温度が低下するにつれて、膨潤速度が増加し、容器内で第2の所定温度に低下した場合、温度感応性ハイドロゲルが膨潤バランスに達し、断熱層を得る。容器内の温度を低下させ、多孔質断熱構造における温度感応性ハイドロゲルに水を吸収させて膨潤させることにより、容器内の液相水を固相水に転移し、固相水は、結合水及び自由水の形で温度感応性ハイドロゲル中に存在する。
【0060】
本発明が提供する熱シールド構造の厚さが10~100mmであり(厚さはアンダープレートの分を含む)、熱シールド、断熱及び積載を一体化した機能を有する。
【0061】
なお、本発明が提供する製造方法は、構造が簡単であり、コストが低く、装着が便利であり、かつ、設計性が強く、飛行時間及び飛行走路の熱負荷に応じて、断熱層の厚さ、マイクロ流体経路と分布、冷却作業物質の質量を設計することにより、異なる飛行任務の要求を満足することができる。
【0062】
幾つかの好適な実施形態によれば、断熱層とスキンとを固定するステップは、
ネジとナットとの係合により断熱層とスキンとを固定すること、を含む。
【0063】
幾つかの好適な実施形態によれば、ネジ及びナットは、いずれもアルミナセラミックから作製される。
【0064】
幾つかの好適な実施形態によれば、多孔質断熱構造は、アルミナセラミックから作製される。
【0065】
図3に示すように、熱シールド構造は、ネジとナットとを係合する方式を採用して、スキンと断熱層とアンダープレートとを一体的に固定することができ、ここで、ナットがスキンの両側に固定され、断熱層とスキンとの間に空洞層を保留する。
【0066】
本発明において、スキンとしては、高温合金板が用いられ、多孔質断熱構造及びネジ及びナットとしてはアルミナセラミック材料が用いられ、アルミナセラミック材料は優れた断熱性を有する。アルミナセラミック材料は、他の多孔質断熱材(例えば、ジルコニアセラミック材料)と比べて、単価がより低く、空隙分布がより均一である。
【0067】
幾つかの好適な実施形態によれば、上記のいずれかの熱シールド構造の製造方法において、冷却作業物質は水を含む。
【0068】
なお、水の相転移の潜熱が最も高いので、水を相転移による冷却にとって最適な冷却作業物質として選択する。
【0069】
本発明の技術的解決手段及び利点をより明瞭に説明するために、以下、幾つかの実施例により熱シールド構造及びその製造方法を詳しく説明する。
【0070】
実施例1
温度感応性ハイドロゲル及び100mm×100mm×8mmの多孔質アルミナセラミックプレートを、蒸留水を含有する容器中に放置し、温度感応性ハイドロゲルを多孔質アルミナセラミックプレート中に進入させ、ここで、蒸留水の温度が36℃であり、温度感応性ハイドロゲルが解膨潤状態にあり、
蒸留水の温度を25℃に低下させ、蒸留水を固相の存在形式で温度感応性ハイドロゲル中に吸着させ、断熱層を得、ここで、前記温度感応性ハイドロゲルが膨潤状態にあり、
断熱層、スキン及びアンダープレートをネジ及びナット係合の方式で固定し、熱シールド構造のアンダープレートを得る。ここで、スキンとしては100mm×100mm×5mmの高温合金板が用いられ、アンダープレート材料としては100mm×100mm×5mmのアルミニウム合金板が用いられ、ネジ及びナットとしては、M4アルミナセラミックのネジ及びナットが用いられる。ここで、ナットがスキンの両側に固定され、断熱層とスキンとの間に8mmの空洞層を保留する。
製造した熱シールド構造のアンダープレートを断熱ブランケット上に放置し、スキンの外面と断熱層の外面にそれぞれ熱電対を接着し、それを高電力石英ランプ下に放置し、高電力石英灯により熱流束を0.9MW/mに調整し、サーマルチェックテストを行い、測定したスキンの外面温度が865℃であり、断熱層の外面温度が100℃以下であり、3min(能動型熱シールドメカニズムの有効時間)維持した。
【0071】
実施例2
実施例2は、実施例1の製造方法とほぼ同じであるが、以下の点で異なる。
熱流束が0.1MW/mであり、多孔質アルミナセラミックプレートの厚さが5mmであった。
測定したスキンの外面温度が420℃であり、能動型熱シールドメカニズムの有効時間が30minであった。
【0072】
実施例3
実施例3は、実施例1の製造方法とほぼ同じであるが、以下の点で異なる。
熱シールド構造を高周波プラズマ風洞に放置し、熱流束を5MW/mに調整し、多孔質アルミナセラミックプレートの厚さが15mmである。
測定したスキンの外面温度が870℃であり、能動型熱シールドメカニズムの有効時間が15minであった。
【0073】
実施例4
実施例4は、実施例1の製造方法とほぼ同じであるが、以下の点で異なる。
熱シールド構造を高周波プラズマ風洞に放置し、熱流束を10MW/mに調整し、多孔質アルミナセラミックプレートの厚さが30mmである。
測定したスキンの外面温度が910℃であり、能動型熱シールドメカニズムの有効時間が20minであった。
【0074】
比較例1
100mm×100mm×5mmの高温合金板をスキンとして選択し、スキンの外面に熱電対を接着し、それを高電力石英灯下に放置し、高電力石英灯により熱流束を0.9MW/mに調整して、サーマルチェックテストを行い、測定したスキンの外面温度が1170℃であった。
【0075】
実施例1~4、比較例1のサーマルチェックテストデータを表1のようにまとめる。
【表1】
【0076】
実施例1~4からわかるように、本発明が提供する熱シールド構造は、最大で10W/mの熱負荷に耐えることができ、能動型熱シールドメカニズムの有効時間が30minに達することができる。
【0077】
実施例1~4から、本発明の熱シールド構造における能動型熱シールドメカニズムは、優れた熱シールド効果を有し、内部の飛翔体内部キャビンの外面温度を100℃以下に制御することができ、かつ、多孔質断熱構造の厚さ、熱流束により能動型熱シールドメカニズムの時間を調節することができることをさらに明らかにした。
【0078】
実施例1及び比較例1から(例えば、図4)、実施例1のスキンの外面温度が865℃であり、比較例1のスキンの外面温度が1170℃であることがわかり、本発明が提供する熱シールド構造は、受動型熱シールドメカニズムにおける内部放射により材料の熱シールド効果を向上させることができると証明されている。
【0079】
以上、上記実施例は、本発明の技術的解決手段を制限するものではなく、それを説明するものであり、上記実施例を参照しながら本発明を詳しく説明したが、当業者であれば理解できるように、それが依然として上記各実施例に記載の技術的解決手段を変更することができ、あるいは、その一部の構成要件を等価置換することができ、また、これらの変更又は置換により、技術的解決手段の本質が本発明の各実施例の技術的解決手段の趣旨及び範囲から逸脱することはない。
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図4