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特許7483875発電ユニット、並びに発電所における発電ユニットの運転方法
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  • 特許-発電ユニット、並びに発電所における発電ユニットの運転方法 図1
  • 特許-発電ユニット、並びに発電所における発電ユニットの運転方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】発電ユニット、並びに発電所における発電ユニットの運転方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/18 20060101AFI20240508BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20240508BHJP
   H02P 9/04 20060101ALI20240508BHJP
   H02P 101/20 20150101ALN20240508BHJP
【FI】
H02J3/18
H02J3/46
H02P9/04 E
H02P101:20
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022523936
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 EP2020078422
(87)【国際公開番号】W WO2021078537
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2022-07-13
(31)【優先権主張番号】102019216236.3
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521001582
【氏名又は名称】シーメンス エナジー グローバル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS ENERGY GLOBAL GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】エールハルト,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ピストーア,ロタール
(72)【発明者】
【氏名】ユッカー,ヴィーラント
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルツケ,ロナルト
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0364920(US,A1)
【文献】国際公開第2014/125592(WO,A1)
【文献】特開昭57-151239(JP,A)
【文献】特開昭58-133129(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0168981(US,A1)
【文献】特開平10-191699(JP,A)
【文献】特開2016-208586(JP,A)
【文献】特開2019-022358(JP,A)
【文献】特開2005-117893(JP,A)
【文献】特開2016-036238(JP,A)
【文献】特開平07-332012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/18
H02J 3/46
H02P 9/04
H02P 101/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統(2)に接続された発電所設備の構成部としての発電ユニット(1)であって、軸を介してロータが駆動タービンに接続されている第1の発電機(3)、第2の発電機(4)、及び、三巻線高電圧変圧器(5)、を備えた発電ユニット(1)において、
前記第1の発電機(3)は有効電力発電機であり、前記第2の発電機(4)は純無効電力発電機であり、前記第1および前記第2の発電機(3、4)は、前記三巻線高電圧変圧器(5)を介した別々の発電機出力線(6、7)を介して、前記電力系統(2)に接続され、
前記第1の発電機(3)は、第1の発電機出力線(6)を介して前記三巻線高電圧変圧器(5)に接続されており、前記第2の発電機(4)は、第2の発電機出力線(7)を介して前記三巻線高電圧変圧器(5)に接続され、
前記第1の発電機出力線(6)には、前記第1の発電機(3)、第1の始動コンバータ(8)、および、前記第1の発電機(3)の電圧を調整するための第1の静的励起システム(9)、が接続され、前記第2の発電機出力線(7)には、前記第2の発電機(4)、第2の始動コンバータ(10)、および、前記第2の発電機(4)の電圧を調整するための第2の静的励起システム(11)、が接続され、それにより、前記第1の発電機(3)と前記第2の発電機(4)の電圧が互いに独立して調整される、ことを特徴とする発電ユニット(1)。
【請求項2】
前記第1の発電機(3)の前記第1の発電機出力線(6)に、および、前記第2の発電機(4)の前記第2の発電機出力線(7)に、それぞれ、発電機サーキットブレーカ(12、13)が組み込まれており、当該発電機サーキットブレーカ(12、13)によって、前記発電機(3、4)は、互いに独立して、前記電力系統(2)から切り離し可能であること、を特徴とする請求項1に記載の発電ユニット(1)。
【請求項3】
前記第2の発電機(4)の出力が前記第1の発電機(3)の出力よりも低いこと、を特徴とする請求項1又は2に記載の発電ユニット(1)。
【請求項4】
電力系統(2)に接続された発電所設備の構成部としての発電ユニット(1)であって、軸を介して駆動タービンに接続されている第1の発電機(3)、第2の発電機(4)、および、三巻線高電圧変圧器(5)、を備えた発電ユニット(1)、の運転方法であり、
前記第1の発電機(3)が最大効率の電力で運転され、前記電力系統(2)に基本的に有効電力、短絡電力および慣性を提供し、前記第2の発電機(4)が純無効電力発電機として運転され、前記電力系統(2)に専ら電圧安定化を提供すし、
前記第1の発電機(3)は第1の発電機出力線(6)を介して前記三巻線高電圧変圧器(5)に接続されており、前記第2の発電機(4)は第2の発電機出力線(7)を介して前記三巻線高電圧変圧器(5)に接続されており、前記第1の発電機出力線(6)にはさらに第1の始動変換器(8)と前記第1の発電機(3)の電圧を調整するための第1の静的励起システム(9)とが接続されており、前記第2の発電機出力線(7)にはさらに第2の始動変換器(10)と前記第2の発電機(4)の電圧を調整するための第2の静的励起システム(11)が接続されており、それにより、前記第1の発電機(3)と前記第2の発電機(4)が、互いに独立して、運転され得る、かつ前記第1の発電機(3)と前記第2の発電機(4)の電圧が互いに独立して調整される、ことを特徴とする発電ユニット(1)の運転方法。
【請求項5】
前記第1の発電機(3)の前記第1の発電機出力線(6)に、および、前記第2の発電機(4)の前記第2の発電機出力線(7)に、それぞれ、発電機サーキットブレーカ(12、13)が組み込まれており、当該発電機サーキットブレーカ(12、13)によって、前記発電機(3、4)が、互いに独立して、前記電力系統(2)から切り離され得る、請求項4に記載の発電ユニット(1)の運転方法。
【請求項6】
前記第2の発電機(4)は、前記第1の発電機(3)が前記電力系統(2)内の前記電圧安定化を単独で提供できない場合にのみ、運転される、請求項4又は5に記載の発電ユニット(1)の運転方法。
【請求項7】
前記第2の発電機(4)は、系統電圧の安定化、慣性、および系統短絡電力のために運転される、請求項4から6のいずれか1項に記載の発電ユニット(1)の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電ユニット(励起ユニット)、並びに公称有効電力が500MW以上の発電所における発電ユニットの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力消費者は電力系統から電力(電流と電圧の積)を得るが、その大半が使用可能な電力、いわゆる有効電力P、に変換される。交流回路または三相回路に接続されている誘導的に動作する負荷は、電力系統から、磁場の形成に加えて、無効電力Qを受け取り、負荷は磁場の減少の際に再び電力系統に戻す。この利用不能な無効電力は、発電装置と負荷の間で往復し、電力系統全体に負荷をかける。有効電力と無効電力のベクトル和を皮相電力Sという。有効電力と無効電力の間には、位相シフトに基づき、力率cos(φ)が生じる。
【0003】
発電所設備は、有効電力の提供に加えて、いわゆる系統サービス(グリッドサービス)を提供しており、これらのサービスは、個々の系統においてグリッドコードまたは系統接続条件によって、あるいはドイツのようにVDE規格によって、規定されている。系統サービスには、短絡電力、慣性(イナーシャ)および電圧安定化の提供が含まれる。系統内での電圧の安定化のために、発電所設備は、無効電力を準備する。短絡電力は、発電機の初期過渡リアクタンス(Xd)と発電機変圧器のインピーダンスによって、主に決定される。慣性は、発電機やタービンの回転質量によって、決定される。リアクタンス値が低いと、発電機用サーキットブレーカに対する要求は非常に高くなる。
【0004】
発電ユニットでは、発電機は駆動タービンと共通の軸上にある。それらが一緒になって回転質量を形成する。発電所設備では、大型の発電ユニットを使用することは、発電機自体に、ならびに発電機出力線(位相バス)および発電機回路遮断器に、大きな要求を生じる。発電所で使用される発電機は、高速の同期発電機(ターボ発電機)である。同期発電機は、調整によっては、有効電力と同様に誘導性或いは容量性無効電力も、給電系統に供給することができる、或いは、それらをそこから受け取ることができる、という利点がある。それらの磁気励磁のレベルに応じて、同期発電機は純粋な有効電力を与えるか、または付加的に無効電力を給電系統に供給する、当該無効電力は誘導負荷および容量性負荷を補償するために必要とされるものである。発電ユニットの無効電力能力は、発電機接続端子での力率、または電力系統への高電圧インターフェースでの力率、によって規定される。
【0005】
系統内の回生発電装置の比率の増加により、系統サービスに対する需要も増加した。系統内での回生発電装置の電力寄与を安定させるために、追加の特殊移相発電機が、別個のユニットとして、通常は発電所とは別の場所に設置され、運転される。これらの別個の付加的な移相器発電機は、無効電力を提供し、電圧安定化に寄与する。これらのユニットは、発電所設備のように系統短絡電力を利用可能にする。利用可能な慣性は、主として発電機ロータの慣性に制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、発電所用の発電ユニットおよび発電ユニットを作動させる方法を示すことであり、それらによって、有効電力の発生の効率は改善され、系統サービスは、無効電力の発生、短絡電力の供給、および慣性に関して、より柔軟にされる。同時に、発電ユニットのコストは低減され得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発電機ユニットに向けられた本発明の課題は、請求項1の特徴によって解決される。本発明に係る発電ユニットは、電力系統に接続された発電所設備の構成部であり、そして、ロータが軸を介して駆動タービンに接続されている第1の発電機、第2の発電機、および、三巻線高電圧変圧器(英:three-winding high-voltage transformer、独:Dreiwicklungs-Hochspannungstransformator)、を有する。本発明によれば、第1の発電機は有効電力発電機であり、第2の発電機は純無効電力発電機であり、第1および第2の発電機は、三巻線高電圧変圧器を介した別々の発電機出力線を介して、電力系統に接続されている。
【0008】
本発明は、発電ユニットが単独の発電機からではなく、2つの発電機から構成されるという考えに基づいている。この場合、第1の発電機は有効電力発電機であり、当該有効電力発電機は基本的に有効電力を供給し、そのロータは軸を介して駆動タービンに接続されている。第2の発電機は純粋な無効電力発電機であり、当該純粋な無効電力発電機は駆動タービンに接続されておらず、無効電力のみを供給する。両方の発電機は、それぞれ、別々の発電機出力線を介して、三巻線高電圧変圧器に接続されている。
【0009】
本発明は、別々の発電機を備えた発電ユニットが、有効電力の効率に関しても、無効電力の提供の柔軟性に関しても、著しく向上できることを認識している。基本的に有効電力を供給する第1の発電機はほぼ定格電力で運転することができそして無効電力を供給する必要がないことによって、効率が向上する。発電所のオペレータが有効電力の供給とは無関係に無効電力の供給を確保できるので、柔軟性が向上する。従って、第1の有効電力発電機の停止時でも、また従って有効電力を発生させるための全プロセスが停止状態にあるときでも、第2の無効電力発電機は系統サービス電力を提供することができる。両発電機は互いに独立して運転することができる。
【0010】
その際、驚くべきことに、構成部品の総数の増加にもかかわらず、2つの発電機を備えた発電ユニットの設備投資コストは、1つの発電機を備えた発電ユニットの設備投資コストよりも低いことである。より小型の2基の発電機2分の設備投資コストが、出力が同等の大型の発電機1基分の設備投資コストよりも低いことによって、コスト削減が達成される。より低い短絡要求および運転電流要求を有するサーキットブレーカも使用され得て、それにより、2つのより小さな発電機サーキットブレーカに対する設備投資コストは、1つの大きな発電機サーキットブレーカと比較して、著しく低減できる。電力系統から見て、有効電力と無効電力が1つの発電機で供給されるか、2台の別々の発電機で供給されるかは、無関係であるので、このような発電ユニットの変更は運転上の認証義務を必要としない。
【0011】
発電設備の運転は、第1の発電機と第2の発電機の異なるインピーダンス、負荷潮流および電圧差を電力系統へ向けて変更可能であるように巻かれた三巻線高電圧変圧器の特別な設計を、必要とする。三巻線高電圧変圧器は、2つの発電機を持つ発電ユニットについての異なるインピーダンス、電圧の変換比などに関しては、電力系統における1つのユニットとして、見なされる。
【0012】
好ましくは、第1の発電機は、第1の発電機出力線を介して三巻線高電圧変圧器と接続されており、第2の発電機は、第2の発電機出力線を介して三巻線高電圧変圧器に接続されている。第1の発電機出力線には、第1の発電機、第1の始動コンバータ、および、第1の発電機械、が接続されている。第2の発電機出力線には、第2の発電機、第2の始動コンバータ、および、第2の発電機械、が接続されている。
【0013】
始動コンバータおよび発電機械は、発電機の基本的な複数の補助システムを形成する。これらの補助システムが発電機と同様に別々であることによって、第1の発電機と第2の発電機は互いに独立して運転され得る。大型発電所設備(>500MW)での2つの別個の発電機出力線は、単独の発電機出力線よりもその設備投資コストの点で全体的に経済的でもあるが、その理由は、これらがより簡潔に寸法決定及び製造され得ること及びこれらが強制冷却される必要がないこと、にある。
【0014】
好ましくは、第2の発電機の出力は、第1の発電機の出力よりも低い。これは、電力系統では有効電力が無効電力よりも多く供給されなければならないので、可能である。第2の発電機の出力は、グリッドコードの無効電力要求からもたらされるか、または類似で、負荷流計算によって決定される。
【0015】
本発明の格別な構成では、第1の発電機の第1の発電機出力線においておよび第2の発電機の第2の発電機出力線において、それぞれ、発電機サーキットブレーカが組み込まれており、このサーキットブレーカによって、両発電機は互いに独立して系統から分離可能である。発電機出力線は、有効電力運転及び無効電力運転時の発電機の分離の際には、より低い電流負荷を受けるので、2つの発電機出力線に対するコストは、1つの発電機と共に使用される1つの発電機出力線に対するコストよりも、より少ない。同様のことは、短絡遮断容量と定格運転電流に関するその要求事項がかなり低い発電機回路遮断器に対しても当てはまる。
【0016】
発電ユニットの運転方法に向けられた本発明の課題は、電力系統に接続された発電所設備の構成部である発電ユニットであって、軸を介して駆動タービンに接続されている第1の発電機、第2の発電機、および、高電圧変圧器を含む発電ユニット、によって解決される。本発明によれば、第1の発電機は、最も効率の高い電力で運転され、基本的に有効電力、短絡電力および慣性を、電力系統に供給する、また、第2の発電機は、純無効電力発電機として運転され、電力系統に専ら電圧安定化をもたらす。
【0017】
発電ユニットに向けられた本発明の利点は、発電ユニットの運転方法にも同様に当てはまる。
【0018】
本方法の好ましい構成においては、第1の発電機は、第1の発電機出力線を介して三巻線高電圧変圧器に接続されており、第2の発電機は、第2の発電機出力線を介して三巻線高電圧変圧器に接続されている。第1および第2の発電機出力線にはさらに補助システムが接続されている。このために、第1の発電機出力線には第1の始動コンバータと第1の発電機械が接続されており、第2の発電機出力線には第2の始動コンバータと第2の発電機械が接続されている。補助システムが、発電機と同様に、別々であることによって、第1の発電機と第2の発電機は、互いに独立して、運転され得る。
【0019】
発電ユニットの運転方法のさらなる有利な構成では、第1の発電機の発電機出力線に、および、第2の発電機の発電機出力線に、それぞれ、発電機遮断器が組み込まれている。これにより、複数の発電機は、互いに独立して、系統から切り離され得る。
【0020】
好ましくは、第2の発電機は、第1の発電機が電圧安定化のための無効電力発生を単独で提供することができない場合にのみ、運転される。この場合にのみ、第2の発電機は運転される。第1の発電機は有効電力及び皮相電力を供給する。これは、電力系統からの有効電力及び皮相電力に対する要求が低く、そして、第1の発電機のみによって提供することができる場合に、有利であり得る。
【0021】
好ましくは、第2の発電機は、系統電圧の安定性、慣性、および、系統短絡電力のために、運転される。第2の発電機は、系統オペレータが有効電力を要求しない場合に運転されるが、その理由は、これが回生発電によって保証されるからである。発電機は、系統電圧の安定性、慣性、および、系統短絡電力のための無効電力を、系統オペレータに提供する。これらの系統サービス電力は、回生発電装置では調達できない。
【0022】
本発明は、好適には、大型発電所で、例えば、タービンおよび有効電力発電機が共通軸上に配置されているガス発電所またはガス・蒸気併用発電所で、使用される。
【0023】
本発明は、以下において、図を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、従来技術による発電機を備えた発電ユニットの結線図を示す。
図2図2は、2つの発電機を備えた本発明による発電ユニットの結線図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、従来技術による1つの発電機300を備えた発電ユニット100の結線図を示す。発電ユニット100は、発電機300に加えて、発電機出力線600と、始動コンバータ800と、発電機用サーキットブレーカ120と、発電機械900と、二巻線高電圧変圧器500と、を含む。
【0026】
発電機300のロータが駆動タービンとの共通軸上にどのように配置されているかは、個別には示されていない。発電機300は、電力系統2に有効電力および無効電力を供給する。
【0027】
図2は、2つの分離された発電機3および4を備えた本発明による発電ユニット1の結線図を示す。発電ユニット1は、第1の発電機3と第2の発電機4とを備える。第1の発電機3は、基本的に有効電力発電機として運転される。力率cos(φ)は0.95~1の値を取る。第2の発電機4は無効電力発電機として運転され、力率cos(φ)=0で機能し、系統の要求に応じて無効電力を供給する。
【0028】
第1の発電機3は、第1の発電機出力線6に接続されており、当該第1の発電機出力線6は、第1の発電機3を三巻線高電圧変圧器5に接続する。第1の発電機出力線6では、第1の始動コンバータ8、第1の発電設備9、および、第1の発電機用サーキットブレーカ12が、それぞれ並列接続されている。
【0029】
第2の発電機4は、第2の発電機出力線7に接続されており、当該第2の発電機出力線7は、第2の発電機4を三巻線高電圧変圧器5に接続する。第2の発電機出力線7では、第2の始動コンバータ10、第2の発電機械11、および、第1の発電機用サーキットブレーカ13が、それぞれ並列接続されている。
【0030】
三巻線高電圧変圧器5は、発電ユニット1を電力系統2に接続する。
【0031】
発電機用サーキットブレーカ12、13は、発電機を電力系統2から分離することができるために、使用される。発電機3、4を始動し、次いで電力系統と同期化させるために、両方の発電機3、4は、必要な回転数へ発電機を加速するための静的周波数コンバータ8、10を有する。この周波数コンバータにより、発電機を同時に始動することもできる。
【0032】
各発電機3、4のための静的励起システム9、11は、発電機の電圧を調整するために、また系統電圧の安定化を支援するためにも、利用される。
【0033】
有効電力運転部と無効電力運転部を分離することにより、第1の発電機3は、最高の効率の有効電力で運転され得る。第2の発電機4を系統サービス電力が必要とする場合には、この第2の発電機4は無効電力運転のためにも使用することができる。例えば、第1の発電機3の有効電力が80~90%の間である場合、第1の発電機3だけで系統の要求を満たすので、第2の発電機4を作動させる必要はない。
【0034】
系統電圧の安定性を支援するために、そして、系統への短絡電力および慣性を保証するために、第2の発電機4は、同期調相機発電機としての第1の発電機3とは独立して、運転され得る。
【0035】
特に有効電力が非常に高い(P>500MW)大型発電機装置に対しては多くの利点がもたらされる。有効電力と無効電力に関して分けられた2つの発電機は、1つの大型発電機の調達コストよりも安価であり、さらにより柔軟に使用することもできる。純粋な発電所の運転が系統サービス電力から切り離すことができるので、柔軟性は増大する。
【符号の説明】
【0036】
1 発電ユニット
2 電力系統
3 第1の発電機
4 第2の発電機
5 三巻線高電圧変圧器
6 第1の発電機出力線
7 第2の発電機出力線
8 第1の始動コンバータ
9 第1の発電設備
10 第2の始動コンバータ
11 第2の発電設備
12 第1の発電機用サーキットブレーカ
13 第2の発電機用サーキットブレーカ

図1
図2