(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】スパッタ堆積装置及び方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/34 20060101AFI20240508BHJP
【FI】
C23C14/34 V
C23C14/34 C
(21)【出願番号】P 2022528190
(86)(22)【出願日】2020-11-10
(86)【国際出願番号】 GB2020052843
(87)【国際公開番号】W WO2021094726
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-07-07
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100119530
【氏名又は名称】冨田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エドワード レンダル
【審査官】山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04278528(US,A)
【文献】国際公開第2010/023878(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/225822(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパッタ堆積装置であって、
スパッタ堆積領域内で、ターゲット材料をスパッタ堆積するために、単一プラズマを供給するように配置されるプラズマ生成配列と、
運搬方向に、スパッタ堆積領域を通って、基板を運搬するように配置されるコンベアシステムと、
使用中、基板がスパッタ堆積領域を通って運搬されるときに、
基板上に第一の縞と、
基板上に第二の縞と、が堆積され、
第一の縞が、第二の縞と、異なる密度のターゲット材料又は異なる組成のターゲット材料のうち少なくとも一つを含むように、プラズマを利用して、基板上にターゲット材料のスパッタ堆積をもたらすために、スパッタ堆積領域において、一以上のターゲットを支持するように配置される一以上のターゲット支持アセンブリと、
を備え、
前記プラズマ生成配列が、
無線周波数電力を使用して駆動される、誘導結合プラズマを発生させるための、運搬方向に沿って細長い一以上の細長いアンテナを具備する、スパッタ堆積装置。
【請求項2】
コンベアシステムが、スパッタ堆積領域の第一サイドからスパッタ堆積領域の第二サイドまで、基板を運搬するように配置され、
一以上のターゲット支持アセンブリが、少なくとも第一のターゲットを支持するように配置される第一のターゲット支持アセンブリ、及び少なくとも第二のターゲットを支持するように配置される第二のターゲット支持アセンブリを備え、
第一のターゲット支持アセンブリと第二のターゲット支持アセンブリの間に、スパッタ堆積領域の第一サイドからスパッタ堆積領域の第二サイドまで延びる隙間がある、請求項1に記載のスパッタ堆積装置。
【請求項3】
隙間が運搬方向に沿って細長い、
第一のターゲット支持アセンブリが運搬方向に沿って細長い、又は
第二のターゲット支持アセンブリが運搬方向に沿って細長い、ことのうち少なくとも一つを満たす、請求項2に記載のスパッタ堆積装置。
【請求項4】
コンベアシステムが、堆積領域を通って、堆積領域の第一の位置から堆積領域の第二の位置まで、基板を運搬するように配置され、
一以上のターゲット支持アセンブリが、第一の位置において、第二の部分への堆積が、第一のターゲットによるものであって、第二のターゲットによるものでなく、第二の位置において、第二の部分への堆積が、第二のターゲットによるものであって、第一のターゲットによるものでないように、第一のターゲット及び第二のターゲットを支持するよう配置される、請求項1に記載のスパッタ堆積装置。
【請求項5】
一以上のターゲット支持アセンブリが、スパッタ堆積領域内で、実質的に運搬方向の平面内であるが、運搬方向に垂直な軸に沿って、第二のターゲットが第一のターゲットとずれるように、第一のターゲット及び第二のターゲットを支持するよう配置される、請求項1に記載のスパッタ堆積装置。
【請求項6】
一以上のターゲット支持アセンブリが、スパッタ堆積領域内で、運搬方向に沿って、第二のターゲットが第一のターゲットとずれるように、第一のターゲット及び第二のターゲットを支持するよう配置される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
一以上のターゲット支持アセンブリが、第一のターゲット及び第二のターゲットのうち少なくとも一つが、運搬方向に対して斜角となるように、第一のターゲット及び第二のターゲットを支持するよう配置される、請求項2から6のいずれか一項に記載のスパッタ堆積装置。
【請求項8】
第一のターゲットに関係する第一のターゲット磁性素子及び第二のターゲットに関係する第二のターゲット磁性素子を備える、請求項2から7のいずれか一項に記載のスパッタ堆積装置。
【請求項9】
第一のターゲットの材料のスパッタ堆積を制御する第一のターゲット磁性素子により供給される、第一の磁場、又は
第二のターゲットの材料のスパッタ堆積を制御する第二のターゲット磁性素子により供給される第二の磁場のうち少なくとも一つを制御するように配置される、コントローラーを備える、請求項8に記載のスパッタ堆積装置。
【請求項10】
一以上のターゲット支持アセンブリが、
第一のターゲット磁性素子とコンベアシステムの間の第一のターゲット、又は
第二のターゲット磁性素子とコンベアシステムの間の第二のターゲット、のうち少なくとも一つを支持するように配置される、請求項8又は9に記載のスパッタ堆積装置。
【請求項11】
第一のターゲットの材料が、第二のターゲットの材料と異なる、請求項2から10のいずれか一項に記載のスパッタ堆積装置。
【請求項12】
コンベアシステムが、湾曲経路に沿って基板を運搬するように配置され、
一以上の細長いアンテナが、湾曲経路の湾曲と同一の方向に曲げられている、請求項
1に記載のスパッタ堆積装置。
【請求項13】
ターゲット材料のスパッタ堆積をもたらすために、スパッタ堆積領域において、プラズマを実質的に閉じ込める閉じ込め磁場を供給するように配置される、閉じ込め配列を備え、
閉じ込め配列が、運搬方向に沿って細長い少なくとも一つの閉じ込め磁性素子を備える、請求項1から
12のいずれか一項に記載のスパッタ堆積装置。
【請求項14】
閉じ込め配列が、運搬方向に実質的に垂直な方向に細長い少なくとも一つのさらなる閉じ込め磁性素子を備える、請求項
13に記載のスパッタ堆積装置。
【請求項15】
一以上のターゲット支持アセンブリが、コンベアシステムによるスパッタ堆積領域を通る基板の運搬の間、一以上のターゲットと基板の間で、介在要素なしで、一以上のターゲットを支持するように配置される、請求項1から
14のいずれか一項に記載のスパッタ堆積装置。
【請求項16】
コンベアシステムが、運搬方向に基板を運搬するように配置されるローラーを備え、
運搬方向が、ローラーの回転軸に実質的に垂直である、請求項1から
15のいずれか一項に記載のスパッタ堆積装置。
【請求項17】
コンベアシステムが、湾曲部材を備え、
一以上のターゲット支持アセンブリが、湾曲部材の少なくとも一部の曲率に実質的に従う一以上のターゲットを支持するように配置される、請求項1から
16のいずれか一項に記載のスパッタ堆積装置。
【請求項18】
コンベアシステムに面する一以上のターゲットのうち少なくとも一つの表面が、湾曲している、請求項1から
17のいずれか一項に記載のスパッタ堆積装置。
【請求項19】
基板上にターゲット材料をスパッタ堆積する方法であって、該方法が、
スパッタ堆積領域内で、
無線周波数電力を使用して駆動される、運搬方向に沿って細長い一以上の細長いアンテナにより
誘導結合プラズマをもたらすことと、
基板が、スパッタ堆積領域を通って、運搬されるとき、
基板の第一の部分上に第一の縞及び
基板の第二の部分上に第二の縞が、堆積され、
第一の縞が、第二の縞と、異なる密度のターゲット材料又は異なる組成のターゲット材料のうち少なくとも一つを含むように、スパッタ堆積領域に対する一以上のターゲットの位置で、基板上にターゲット材料のスパッタ堆積をもたらすように、運搬方向に、スパッタ堆積領域を通って基板を運搬することと、を含む、基板上にターゲット材料をスパッタ堆積する方法。
【請求項20】
基板を運搬することが、
第一のターゲットに実質的に重なるスパッタ堆積領域の第一の領域内で、基板の第一の部分を運搬することと、
第一のターゲットと第二のターゲットの間の隙間に実質的に重なるスパッタ堆積領域の第二の領域内で、基板の第二の部分を運搬することと、
第二のターゲットに実質的に重なるスパッタ堆積領域の第三の領域内で、基板の第三の部分を運搬することと、を含む、請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
基板の第一の部分上に第一の縞として、第一のターゲットの材料をスパッタ堆積すること、及び基板の第二の部分上に第三の縞として、第二のターゲットの材料をスパッタ堆積することを含み、
第二の縞が、第一の縞の内部より低い密度の第一のターゲットの材料及び第三の縞の内部より低い密度の第二のターゲットの材料を含むか、
第二の縞に、第一のターゲットの材料及び第二のターゲットの材料が実質的にないか、の少なくともいずれかである、請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
基板を運搬することが、
運搬方向に沿って第一の長さを有するターゲットの第一の部分に実質的に重なるスパッタ堆積領域の第一の領域内で、基板の第一の部分を運搬することと、
運搬方向に沿って第二の長さを有するターゲットの第二の部分に実質的に重なるスパッタ堆積領域の第二の領域内で、基板の第二の部分を運搬することと、を含み、
第一の長さが第二の長さと異なる、請求項
19に記載の方法。
【請求項23】
基板を運搬することが、
第一のターゲットに実質的に重なるスパッタ堆積領域の第一の領域内で、基板の第二の部分を運搬することと、
続いて、第二のターゲットに実質的に重なるスパッタ堆積領域の第二の領域内で、基板の第二の部分を運搬することと、を含む、請求項
19に記載の方法。
【請求項24】
基板の第二の部分上に第二の縞として、第一のターゲットの材料と第二のターゲットの材料の組み合わせをスパッタ堆積することを含む、請求項
23に記載の方法。
【請求項25】
第一のターゲットが、運搬方向に沿って細長く、
方法が、プラズマの一部が運搬方向に沿って細長くなるように、プラズマの一部を実質的に閉じ込めることを含む、請求項
19から
24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
基板を運搬する間、第一のターゲットに関係する第一の磁場及び第二のターゲットに関係する第二の磁場を生成することを含み、
第一の磁場が第二の磁場と異なる、請求項
19から
25のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、堆積に関するものであり、より具体的には、基板にターゲット材料をスパッタ堆積するための方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
堆積は、基板上にターゲット材料が堆積されるプロセスである。堆積の例は、薄い層(通常、おおよそナノメートル又はナノメートルの数分の1から数マイクロメートル又は数十マイクロメートルまで)をシリコンウエハーやウェブなどの基板上に堆積する薄膜堆積である。薄膜堆積技術の例としては、凝縮相のターゲット材料を蒸発させて蒸気を生成させ、次に蒸気を基板表面上に凝縮させる物理気相成長(PVD)がある。PVDの例としては、イオンなどのエネルギー粒子による衝撃を受けて粒子がターゲットから放出されるスパッタ堆積である。スパッタ堆積の例では、アルゴンなどの不活性ガスといったスパッタガスを、低圧で真空チャンバーに導入し、プラズマを生成させるエネルギー電子を使用して、スパッタガスをイオン化させる。プラズマイオンによるターゲットへの衝撃により、ターゲット材料を放出させ、該ターゲット材料は、その後、基板表面上に堆積し得る。スパッタ堆積は、ターゲット材料を加熱せずに堆積させることができ、結果として、基板への熱によるダメージを低減、防止できる点で、蒸着などの他の薄膜堆積方法より有利である。
【0003】
場合によっては、表面全体をコーティングするよりも、基板の表面上に材料のパターンを堆積させるほうが望ましいことがある。そのようなパターンを作り出すために、マスクを使用して、コーティングされないままの表面の領域を保護することが知られている。そのような場合において、材料は、(マスクによって保護されていない)マスクされていない領域で基板上に堆積される。しかし、材料は、マスクされている領域で(基板ではなく)マスク上に堆積される。
【0004】
マスクベースの堆積は、マスク上に堆積された材料を捨てるため、無駄が多くなる可能性がある。さらに、マスクを掃除するために定期的に堆積を止める必要があり得る。これは、堆積効率を下げる可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第一の態様によると、スパッタ堆積装置が提供され、該スパッタ堆積装置は、スパッタ堆積領域内で、ターゲット材料をスパッタ堆積するために、プラズマを供給するように配置されるプラズマ生成配列と、運搬方向にスパッタ堆積領域を通って、基板を運搬するように配置されるコンベアシステムと、基板が、使用中、スパッタ堆積領域を通って運搬されるとき、基板の第一の部分上に第一の縞、基板の第二の部分上に第二の縞が堆積されるように、基板上にターゲット材料のスパッタ堆積をもたらすために、スパッタ堆積領域に対する位置で、一以上のターゲットを支持するように配置される一以上のターゲット支持アセンブリを備える。第一の縞は、第二の縞と異なる密度のターゲット材料又は異なる組成のターゲット材料のうち少なくとも一つを含む。そのような装置を使用すると、マスクなどの他の要素を使用することによらず、基板に対する一以上のターゲットの位置調整により、パターンを形成できるため、例えば基板上に特定のパターンの縞を形成する材料の縞の堆積が、より効率的に実行され得る。例えばそのような堆積は、堆積が、マスクなどの装置の部品を掃除するために中断され得る他のプロセスに比べ、連続的に又はより少ない操作の中断で実行され得る。さらに、材料が、基板に堆積され、その後取り除かれる他の方法、又は材料がないままになる基板の領域で、材料がマスクに堆積される他の方法に比べて、堆積される材料の損失量が減少し得る。
【0006】
いくつかの例において、コンベアシステムは、スパッタ堆積領域の第一サイドからスパッタ堆積領域の第二サイドまで基板を運搬するように配置され、一以上のターゲット支持アセンブリは、少なくとも第一のターゲットを支持するように配置される第一のターゲット支持アセンブリと、少なくとも第二のターゲットを支持するように配置される第二のターゲット支持アセンブリと、を備える。そのような例において、スパッタ堆積領域の第一サイドからスパッタ堆積領域の第二サイドまで延びる第一のターゲット支持アセンブリと第二のターゲットアセンブリの間の隙間が存在する。これは、例えば、堆積において、対応する隙間を基板の一部に生じさせる。これは、簡単で且つ効率的な方法で、基板上に縞模様を形成することを可能にする。
【0007】
これらの例においては、隙間が、運搬方向に沿って細長くなっていてもよく、第一のターゲット支持アセンブリが、運搬方向に沿って細長くなっていてもよく、及び/又は第二のターゲット支持アセンブリが運搬方向に細長くなっていてもよい。この配置は、例えば他のものより、基板上に堆積されるターゲット材料のより均一なパターンを形成する。
【0008】
いくつかの例において、コンベアシステムは、堆積領域を通ってそれの第一の位置からそれの第二の位置まで基板が運搬されるように配置され、一以上のターゲット支持アセンブリは、第一の位置において、第二の部分への堆積が、第一のターゲットによるものであって、第二のターゲットによるものでないように、及び第二の位置において、第二の部分への堆積が、第二のターゲットによるものであって、第一のターゲットによるものでないように、第一のターゲット及び第二のターゲットを支持するよう配置される。このようにして、異なる二つのターゲットからの材料を含む二つの縞を、基板上にクリーンで効率的な方法で堆積できる。
【0009】
いくつかの例において、一以上のターゲット支持アセンブリは、第二のターゲットが、スパッタ堆積領域内で実質的に運搬方向の平面内であるが、運搬方向に垂直な軸に沿って第一のターゲットとずれるように、第一のターゲットと第二のターゲットを支持するよう配置される。これは、例えば第一のターゲットに対する第二のターゲットのずれの程度によって、堆積されるターゲット材料の様々な異なるパターンを、基板上にもたらすことを可能にする。
【0010】
軸が第一の軸であるこれらの例において、一以上のターゲット支持アセンブリは、スパッタ堆積領域内で、運搬方向に沿って第二のターゲットが第一のターゲットからずれるように、第一のターゲットと第二のターゲットを支持するよう配置され得る。これは、例えば、所望のパターンに従って、基板上に材料の縞を堆積させるためのさらなる柔軟性をもたらす。
【0011】
いくつかの例において、一以上のターゲット支持アセンブリは、第一のターゲット及び第二のターゲットのうち少なくとも一つが、運搬方向に対して斜角となるように、第一のターゲット及び第二のターゲットを支持するよう配置される。この配置は、ターゲット材料の堆積のさらなる柔軟性をもたらす。例えば基板の一部は、ターゲットのうちの一つの部分を通過し、その後、ターゲットのうちの他の一つの部分を通過し得、第一のターゲットと第二のターゲットの材料の組み合わせが、例えば基板上に混合材料の縞として堆積され得る。
【0012】
いくつかの例において、スパッタ堆積装置は、第一のターゲットと関係する第一のターゲット磁性素子及び第二のターゲットと関係する第二のターゲット磁性素子を備える。第一のターゲット磁性素子及び第二のターゲット磁性素子は、ターゲットごとのバイアスを供給すると考えてよく、例えば第一のターゲットと第二のターゲットに隣接する領域に、それぞれプラズマを閉じ込めるために、第一のターゲット及び第二のターゲットに関係する磁場を制御することを可能にする。
【0013】
これらの例において、スパッタ堆積装置は、第一のターゲットの材料のスパッタ堆積を制御する第一のターゲット磁性素子により供給される第一の磁場、及び/又は第二のターゲットの材料のスパッタ堆積を制御する第二のターゲット磁性素子により供給される第二の磁場を制御するように配置されるコントローラーをさらに備え得る。例えばあるターゲットの材料を他より多い量で堆積させるために、異なるターゲットに関係する磁場を制御することにより、異なるターゲットの材料の堆積が、結果として制御され得る。
【0014】
そのような場合において、一以上のターゲット支持アセンブリは、第一のターゲット磁性素子とコンベアシステムの間で、第一のターゲットを支持するように、及び/又は第二のターゲット磁性素子とコンベアシステムの間で、第二のターゲットを支持するように配置され得る。このような配置を有すると、スパッタ堆積の間、プラズマ又はターゲットから放出されるターゲット材料との接触よって、磁性素子が汚れることなくターゲットごとのバイアスが供給され得る。
【0015】
第一のターゲットの材料は、第二のターゲットの材料と異なっていてもよい。これは、基板上に様々な異なる堆積パターンを形成するために、スパッタ堆積装置の使用にさらなる柔軟性をもたらす。
【0016】
プラズマ生成装置は、運搬方向に沿って細長い一以上の細長いアンテナを備えていてもよい。これは、例えば基板上にターゲット材料の所望のパターンの堆積をもたらすために、スパッタ堆積領域の十分な範囲を満たすプラズマを発生させることを可能にする。
【0017】
そのような例においては、コンベアシステムが、湾曲経路に沿って基板を運搬するように配置されていてもよく、一以上の細長いアンテナが、湾曲経路の湾曲と同一の方向に曲げられていてもよい。これは、例えば、プラズマ密度も基板とターゲット支持アセンブリの間でより均一であり得るため、基板上に堆積されるターゲット材料の均一性を向上させる。
【0018】
スパッタ堆積装置は、ターゲット材料のスパッタ堆積をもたらすために、スパッタ堆積領域において、プラズマを実質的に閉じ込める閉じ込め磁場を供給するように配置される閉じ込め配列を備えていてもよく、閉じ込め配列は、運搬方向に沿って細長い少なくとも一つの閉じ込め磁性素子を備える。これは、堆積プロセスの効率を向上させ、スパッタ堆積領域外へのプラズマの漏出又は他の移動に起因するプラズマの損失を減らす。
【0019】
これらの例において、閉じ込め配列は、運搬方向に実質的に垂直な方向に細長いさらなる少なくとも一つの閉じ込め磁性素子を備えていてもよい。これは、堆積プロセスの効率をさらに向上させ、スパッタ堆積領域内でのプラズマの閉じ込めを向上させる。
【0020】
一以上のターゲット支持アセンブリは、コンベアシステムによりスパッタ堆積領域を通って基板を運搬する間、一以上のターゲット支持アセンブリと基板の間で、介在要素なしで一以上のターゲットを支持するように配置され得る。このようにして、スパッタ堆積装置は、ターゲット材料が実質的にないままの基板の領域を含む基板上に、マスクなどの介在要素を使用しないで、ターゲット材料のパターンを堆積させるために使用され得る。それゆえ、堆積の効率が向上し得る。
【0021】
コンベアシステムは、運搬方向に基板を運搬するように配置されるローラーを備えていてもよく、運搬方向は、ローラーの回転軸に実質的に垂直である。このように、スパッタ堆積装置は、例えばバッチプロセスより効率的であるロールツーロール堆積システムの一部を形成し得る。
【0022】
コンベアシステムは、湾曲部材を備えていてもよく、一以上のターゲット支持アセンブリは、湾曲部材の少なくとも一部の曲率に実質的に従う一以上のターゲットを支持するように配置される。これは、コンベアシステムによって運搬されることにより、ターゲットと基板の間の距離がより均一になり得るため、基板上に堆積されるターゲット材料の均一性を向上させ得る。
【0023】
コンベアシステムに面する一以上のターゲットのうち少なくとも一つの表面は、湾曲していてもよい。これは、同様に、基板上に堆積されるターゲット材料の均一性を向上させ得る。
【0024】
本発明の第二の態様によると、基板上にターゲット材料をスパッタ堆積する方法が提供され、該方法は、スパッタ堆積領域内で、プラズマをもたらすこと、及び基板がスパッタ堆積領域を通って運搬されるとき、基板の第一の部分上に第一の縞が堆積され、基板の第二の部分上に第二の縞が堆積され、第一の縞が、第二の縞と異なる密度のターゲット材料又は異なる組成のターゲット材料のうち少なくとも一つを含むように、スパッタ堆積領域に対する一以上のターゲットの位置で、基板上にターゲット材料のスパッタ堆積をもたらすために、運搬方向にスパッタ堆積領域を通って基板を運搬することを含む。第一の態様に関して説明したように、これは基板上への材料の縞の堆積をより効率的に実行することを可能にする。
【0025】
基板を運搬することは、第一のターゲットに実質的に重なるスパッタ堆積領域の第一の領域内で、基板の第一の部分を運搬すること、第一のターゲットと第二のターゲットの間の隙間に実質的に重なるスパッタ堆積領域の第二の領域内で、基板の第二の部分を運搬すること、及び第二のターゲットに実質的に重なるスパッタ堆積領域の第三の領域内で、基板の第三の部分を運搬することを含む。これは、簡単且つ効率的な方法で、縞模様を基板上に形成することを可能にする。
【0026】
この方法は、基板の第一の部分上に第一の縞として、第一のターゲットの材料をスパッタ堆積すること、及び基板の第二の部分上に第三の縞として、第二のターゲットの材料をスパッタ堆積することを含み、第二の縞が、第一の縞内より低い密度の第一のターゲットの材料及び第三の縞内より低い密度の第二のターゲットの材料を含むか又は第二の縞に、第一のターゲットの材料及び第二のターゲットの材料が実質的にないかのうち少なくとも一つである。
【0027】
基板を運搬することは、運搬方向に沿って第一の長さを有するターゲットの第一の部分と実質的に重なるスパッタ堆積領域の第一の領域内で、基板の第一の部分を運搬すること、及び運搬方向に沿って第二の長さを有するターゲットの第二の部分と実質的に重なるスパッタ堆積領域の第二の領域内で、基板の第二の部分を運搬することを含んでいてもよく、第一の長さは、第二の長さと異なる。このようにして、異なる密度のターゲット材料を、基板の第一の部分及び基板の第二の部分において、例えば所望の堆積パターンに従って堆積させることができる。
【0028】
基板を運搬することは、第一のターゲットと実質的に重なるスパッタ堆積領域の第一の領域内で、基板の第二の部分を運搬すること、及び続いて、第二のターゲットと実質的に重なるスパッタ堆積領域の第二の領域内で、基板の第二の部分を運搬することを含んでいてもよい。そのような例は、基板の第二の部分に、第二の縞として第一のターゲットの材料と第二のターゲットの材料の組み合わせをスパッタ堆積することを含み得る。このようにして、第一のターゲット及び第二のターゲットの材料の組み合わせを、簡単な方法で、例えば混合物として堆積させることができる。
【0029】
第一のターゲットは、運搬方向に沿って細長くてもよい。これらの例において、方法は、プラズマの一部が運搬方向に沿って細長くなるように、プラズマの一部を実質的に閉じ込めることを含んでいてもよい。これは、例えばプラズマと第一のターゲット間の接触する領域を増やすことにより、堆積プロセスの効率を向上させる。
【0030】
例において、方法は、基板を運搬する間、第一のターゲットに関係する第一の磁場及び第二のターゲットに関係する第二の磁場を生成させることを含み、第一の磁場は、第二の磁場と異なる。例えば、あるターゲットの材料を他より多い量で堆積させるために、異なるターゲットに関係する磁場を制御することにより、異なるターゲットの材料の堆積を、結果として制御できる。
【0031】
添付の図面を参照して作成された、単に例として与えられる以下の説明からさらなる特徴が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図2】
図1の装置例の一部の平面図を示す模式図である。
【
図3】
図1及び2の装置例の一部の図を示す模式図である。
【
図4】
図1から3の装置例のさらなる一部の平面図を示す模式図である。
【
図5】さらなる例による装置の一部の平面図を示す模式図である。
【
図6】
図5の装置例のさらなる一部の平面図を示す模式図である。
【
図7】さらにもう一つの例による装置の一部の平面図を示す模式図である。
【
図8】
図7の装置例のさらなる一部の平面図を示す模式図である。
【
図9】他のさらにもう一つの例による装置の一部の平面図を示す、模式図である。
【
図10】
図9の装置例のさらなる一部の平面図を示す模式図である。
【
図11】さらなる例による装置の断面図を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
例による装置及び方法の詳細は、図を参照して、以下の説明から明らかになるだろう。この説明では、説明の目的で、特定の例の多くの具体的な詳細が示される。明細書における「例」又は類似の用語への言及は、例に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも一つの例に含まれるが、必ずしも他の例に含まれるとは限らないことを意味する。さらに、特定の例は、例の根底にある概念の説明及び理解を容易にするために、特定の特徴を省略及び/又は必然的に簡略化して概略的に記載されることに注意されたい。
【0034】
図1から4を参照すると、基板104にターゲット材料102をスパッタ堆積する装置例100が概略的に示されている。そのような装置100は、スパッタ堆積装置と称され得る。
【0035】
幅広い、多くの産業用途、例えば光学コーティング、磁気記録媒体、電子半導体デバイス、LED、薄膜太陽電池等のエネルギー発電デバイス及び薄膜電池等のエネルギー貯蔵デバイスの製造においてなどの薄膜堆積の実用性を有する用途へのプラズマベースのスパッタ堆積のために、装置100は使用され得る。したがって、本開示の背景は、エネルギー貯蔵デバイスやそれらの一部の製造に関連する場合があるが、装置100及び本明細書に記載される方法は、それらの製造に制限されないことを理解されたい。
【0036】
明確にするため図には示されていないが、装置100は、使用中、スパッタ堆積に適した低圧、例えば3×10-3torrに排気され得るハウジング内で提供され得ることを理解されたい。例えばハウジングは、ポンプシステム(図示なし)により適切な圧力(例えば、1×10-5torr未満)に排気され得、使用中、スパッタ堆積に適した圧力が達成される程度(例えば、3×10-3torr程度)まで、ガス供給システム(図示なし)を使用して、アルゴンや窒素などのプロセスガス又はスパッタガスがハウジングに導入され得る。
【0037】
図1から4までに示される例に戻ると、概観において、装置100は、プラズマ生成配列106、一以上のターゲット支持アセンブリ108(ターゲット支持システムとも称され得る)及びコンベアシステム110を具備する。
【0038】
コンベアシステム110は、スパッタ堆積領域112を通って基板104を運搬するように配置される。スパッタ堆積領域112は、ターゲット支持アセンブリ108とコンベアシステム110の間に画定される。スパッタ堆積領域104は、使用中、ターゲット材料102から基板104にスパッタ堆積が起こるコンベアシステム110とターゲット支持アセンブリ108の間の領域とみなされ得る。
図1のスパッタ堆積領域112は、左右が破線、下がターゲット支持アセンブリ108、上がコンベアシステム110により境界が定められている。しかし、これは単なる例である。
【0039】
この場合において、基板104は、基板のウェブであるが、他の場合には、基板は異なる形状であってもよい。基板のウェブは、例えば柔軟な基板又はそうでなければ曲げることができる基板若しくは曲げやすい基板である。そのような基板は、例えばロールツーロール供給システムの一部として、ローラーの周りで基板を曲げることができるくらい十分柔軟であり得る。
図1から4の例において、基板104は、湾曲経路に沿ってコンベアシステム110により運搬され、湾曲経路は、
図1において矢印Cで示される。他の場合において、基板は、比較的堅く又は柔軟性がなくてもよい。そのような場合において、基板は、コンベアシステムにより、基板を曲げないか又は基板をほとんど曲げないで運搬され得る。
【0040】
いくつかの例において、コンベアシステム110は、湾曲部材を具備し得る。
図1において、湾曲部材は、ドラム114により与えられ、ドラム114は、例えばローラーなどの実質的に円筒状のドラムであり、他の例において、湾曲部材は、異なる部品により与えられ得る。ドラム114は、基板ガイドとして機能すると考えてもよい。湾曲部材は、例えば心棒により与えられる軸116の周りを回転するように配置され得る。軸116は、湾曲部材の長手方向軸とも一致し得る。コンベアシステム110は、基板104がドラム114の曲面の少なくとも一部により運ばれるように、基板104をドラム114へ及びドラム114から供給するように配置され得る。
図1の例において、コンベアシステム110は、基板104をドラム114へ供給するように配置される第一ローラー118aと、基板104がスパッタ堆積領域112を通過した後、基板104をドラム114から供給するように配置される第二ローラー110bと、を具備する。コンベアシステム110は、「リールツーリール」プロセス配置の一部であってもよく、基板104は、(基板ウェブなどの)基板材料の第一リール又はボビンから送られ、装置100を通過した後、処理後の基板ウェブを重ねたリールを形成するために、第二リール又はボビンに送られる。
【0041】
コンベアシステム110は、
図1において矢印Dで示される運搬方向に基板104を運搬する。運搬方向Dは、装置100を通って基板104が移動する一般的な方向と一致すると考えてもよい。例えば運搬方向Dは、基板104が装置100に入るときの基板104の一部と基板104が装置100から出るときの基板104の一部との間の方向とみなしてもよい。コンベアシステム110が、ローラー(ドラム114など)を具備する場合、運搬方向Dは、ローラーの回転方向と一致し得、ローラーの最高点の接線で取られ得る。そのような場合において、コンベアシステム110は、ローラー(この場合において、ドラム114)の回転軸116に実質的に垂直な運搬方向Dに、基板104を運搬するように配置され得る。方向が軸に垂直である場合、測定公差内で軸に垂直である場合、又は5度若しくは10度以内のような数度以内で軸に垂直である場合、方向は軸に実質的に垂直であると考えてよい。
図1における運搬方向Dは水平方向であるが、これは単なる例である。
【0042】
いくつかの例において、基板104は、シリコン又はポリマーであってもよいし、或いはシリコン又はポリマーを含んでいてもよい。いくつかの例において、例えばエネルギー貯蔵デバイスを製造するために、基板104は、ニッケル箔であってもよいし、或いはニッケル箔を含んでもよいが、アルミニウム、銅若しくは鋼又はポリエチレンテレフタラート(PET)上のアルミニウムのような金属化プラスチックを含む金属化材料などの任意の適した金属をニッケルの代わりに使用できることを理解されたい。
【0043】
例えばターゲット材料102を含む一以上のターゲットを支持することにより、一以上のターゲット支持アセンブリ108は、ターゲット材料102を支持するように配置される。各一以上のターゲット支持アセンブリ108は、一以上のターゲットを支持し得る。
図1においては、一つのターゲット支持アセンブリ108のみが明らかになっているが、
図2及び3は、ターゲット支持アセンブリ108をより十分に示す。いくつかの例において、ターゲット支持アセンブリ108は、スパッタ堆積中、ターゲット材料102を所定の位置に支持又は保持する少なくとも一つのプレート又は支持構造を具備し得る。
【0044】
ターゲット材料102は、基板104にスパッタ堆積を行う素となる材料であり得る。例えばターゲット材料102は、スパッタ堆積により基板104に堆積される材料であってもよいし、又はこれを含んでいてもよい。いくつかの例において、例えばエネルギー貯蔵デバイスの製造のために、ターゲット材料102は、エネルギー貯蔵デバイスのカソード層であるリチウムイオンを貯蔵するのに適した材料、例えばコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、若しくは多硫化アルカリ金属塩などであってもよく、又はこれらを含んでいてもよいし、或いはそれらの前駆体物質であってもよく、又はそれらの前駆体物質を含んでいてもよい。加えて又は代わりに、ターゲット材料102は、エネルギー貯蔵デバイスのアノード層、例えばリチウム金属、グラファイト、シリコン、又は酸化インジウムスズなどであってもよく、又はこれらを含んでいてもよいし、或いはそれらの前駆体物質であってもよく、又はそれらの前駆体物質を含んでいてもよい。加えて又は代わりに、ターゲット材料102は、エネルギー貯蔵デバイスの電解質層であるイオン電導性であるが電気絶縁体でもある材料、例えば窒化リン酸リチウム(LiPON)であってもよく、又はこれを含んでいてもよいし、或いはその前駆体物質であってもよく、又はその前駆体物質を含んでいてもよい。例えば、ターゲット材料102は、例えばスパッタ堆積領域112で窒素ガスとの反応を経て、基板104にLiPONを堆積させるための前駆体物質としてのLiPOであってもよく、又はこれを含んでいてもよい。
【0045】
本明細書の例におけるターゲット支持アセンブリ108は、使用中、基板104がスパッタ堆積領域112を通って運搬されるときに、基板104の第一の部分上に、第一の縞が堆積され、基板104の第二の部分上に、第二の縞が堆積され、第一の縞が、第二の縞と異なる密度のターゲット材料102又は異なる組成のターゲット材料102のうち少なくとも一つを含むように、基板104上にターゲット材料102のスパッタ堆積をもたらすために、スパッタ堆積領域112に対する位置に一以上のターゲットを支持するように配置される。それゆえ、そのような例において、(コンベアシステム110により運搬される間に)第一の縞及び第二の縞の堆積をもたらすのは、マスクなどのスパッタ堆積装置100の他の特徴ではなく、基板104に対するターゲット材料102の位置調整である。このようにして、例えば基板104上に縞の特定のパターンを形成するために、材料の縞の堆積が、より効率的に実行され得る。例えばそのような堆積は、連続して又は堆積がマスクなどの装置の部品を掃除するために停止され得る他のプロセスに比べ、操作の中断が少なく実行され得る。さらに、材料が基板に堆積され、続いて取り除かれる他の方法や、材料がないままの基板の領域で、マスクに材料が堆積される他の方法に比べ、堆積される材料の損失量を減らし得る。ターゲット支持アセンブリ108の配置例及びそのような配置で形成される堆積パターンを、
図2から10を参照してより詳細に説明する。
【0046】
それらを示すいくつかの例において、装置は、プラズマ生成配列106を具備し得る。プラズマ生成配列106は、スパッタ堆積領域112内で、ターゲット支持アセンブリ108により支持されるターゲット材料102をスパッタ堆積するために、プラズマ120をもたらすように配置される。
【0047】
いくつかの例において、プラズマ生成配列106は、コンベアシステム110から離れて配置され得る。例えば、プラズマ生成配列106は、コンベアシステム110から半径方向に離れて配置されていてもよい。そうであると、プラズマ120は、コンベアシステム110及びスパッタ堆積領域112から離れて生成され得る。
【0048】
いくつかの例において、プラズマ生成配列106は、一以上のアンテナ122を具備していてもよく、該一以上のアンテナ122を通じて、プロセスガス又はスパッタガスから誘導結合プラズマ120を発生させるために、無線周波数電力供給システムにより、適切な無線周波数電力が送られる。いくつかの例において、無線周波数電流を、一以上のアンテナ122を通して、例えば1MHzから1GHzの周波数、1MHzから100MHzの周波数、10MHzから40MHzの周波数又は、おおよそ13.56MHz若しくはそれの倍数の周波数で送ることにより、プラズマ120が生成され得る。無線周波数電力は、プラズマ120を生成するプロセスガス又はスパッタガスのイオン化を引き起こす。
【0049】
プラズマ生成配列106の一以上のアンテナは、細長いアンテナ122であってもよく、細長いアンテナは、コンベアシステム110が基板104を運搬するように配置される運搬方向Dに沿って細長くてもよい。そのような場合において、細長いアンテナは、ドラム114の回転軸115に垂直な方向に延在し得る。ドラム114の回転軸116は、例えば、湾曲ドラム114の曲率半径の原点を通り、
図1において、ドラム114が取り付けられている心棒と一致する。そのような場合において、アンテナが、運搬方向D又はドラム114の回転軸に垂直な方向に細長くなるように、アンテナが、運搬方向D又はドラム114の回転軸に垂直な方向に厳密に又は正確に追従する必要はない。例えば所与の方向に平行なアンテナ122の長さが、所与の方向に垂直なアンテナ122の幅より大きい場合、アンテナ122は、所与の方向に沿って細長いと考えてよい。
【0050】
いくつかの場合には、アンテナは線形であり得るが、他の場合には、アンテナは湾曲し得る。例えばコンベアシステム110が、湾曲経路に沿って基板104を運搬するように配置される場合、例えば
図1に示されるように、一以上の細長いアンテナ122は、湾曲経路の湾曲と同じ方向に湾曲し得る。そのようなアンテナ122は、例えば断面が半月形であってもよい。
図1のアンテナ122のような湾曲したアンテナは、湾曲経路Cから半径方向及び軸方向にずれるが、湾曲経路Cに平行であり得、例えば、ドラム114のような、湾曲経路Cに沿って基板を導く湾曲部材の曲面から半径方向及び軸方向にずれるが、これに平行であり得る。湾曲したアンテナは、実質的に湾曲した形状を有するプラズマ120を生成させるために、無線周波数電力を使用して駆動され得る。
【0051】
いくつかの例において、
図2においてより明確に分かるように、プラズマ生成配列106は、誘導結合プラズマ120を生成させるために、二つのアンテナ122a、122bを備える。
図2は、
図1の平面図を示しており、明確にするため、基板104、コンベアシステム110の構成要素を省略している。アンテナ122a、122bは、実質的に互いに平行に延び得、例えばスパッタ堆積領域の両側に、互いから横方向に配置され得る。本明細書の例において、互いに平行である場合、製造公差若しくは測定公差内で互いに平行である場合、又は例えば5度若しくは10度以内の数度以内で互いに平行である場合には、二つの要素は、実質的に互いに平行であると考えてよい。そのような配置により、二つのアンテナ122a、122b間で、プラズマ120の細長い領域を正確に生成させることが可能になり得、結果として、スパッタ領域112内で、生成したプラズマ120を正確に閉じ込めることに役立ち得る。いくつかの例において、アンテナ122a、122bは、ターゲット支持アセンブリ108の長さと同様になり得る。アンテナ122a、122bは、堆積領域112を通って基板104を導く基板ガイドの幅と同様の距離で互いから離され得る。
図1において、基板ガイドは、ドラム114により提供される。このようにして、アンテナ122a、122b間の離隔は、コンベアシステム110により運搬される基板104のウェブの幅と同様になり得る。アンテナ122a、122bは、基板ガイドの長さと一致する(それゆえ、基板104のウェブの幅と一致する)長さの領域にわたって生成されるプラズマ120を供給し得、それゆえ、プラズマ120を、スパッタ堆積領域112の幅にわたって均等に又は均一に利用可能にし得る。これは、結果として、均等又は均一なスパッタ堆積をもたらすことに役立ち得る。
【0052】
図1のような例におけるスパッタ堆積装置100は、閉じ込め配列124をさらに具備してもよい。閉じ込め配列124は、使用中、基板104のウェブにターゲット材料108のスパッタ堆積をもたらすために、スパッタ堆積領域112に、プラズマ120(例えば、プラズマ生成配列106により生成されるプラズマ)を実質的に閉じ込める閉じ込め磁場を供給するように配置される、一以上の磁性素子を具備し得る。例えば、スパッタ堆積領域112の外側の領域へのプラズマ120の漏出又は他の移動が比較的小さい場合、例えば、スパッタ堆積の速度に大きな影響を及ぼさないで、スパッタ堆積プロセスを続けるのに、無視できるほど小さいか又はかなり小さい場合、プラズマ120は、スパッタ堆積領域112に実質的に閉じ込められていると考えてよい。場合によっては、閉じ込め配列124は、運搬方向Dに沿って細長い少なくとも一つの閉じ込め磁性素子を具備する。例えば閉じ込め磁性素子は、運搬方向Dに平行な方向に細長くてもよいし、測定公差内で運搬方向Dに平行な方向に細長くてもよいし、例えば5度若しくは10度以内の数度以内で運搬方向Dに平行な方向に細長くてもよいし、又は運搬方向Dに平行な閉じ込め磁性素子の長さが、運搬方向Dに垂直な閉じ込め磁性素子の幅より大きくなるように細長くてもよい。
【0053】
図1及び2において、閉じ込め配列124は、ドラム114の回転軸に平行な方向にアンテナ122から離れるが、アンテナ122に平行な二つの閉じ込め磁性素子124a、124bを具備する。それゆえ、
図1において、閉じ込め磁性素子124a、124bは、第一のアンテナ122aの後方に位置し、第一のアンテナ122aと第二のアンテナ122bの間に位置する。閉じ込め磁性素子124a、124bの位置は、
図2でより明確に示されている。
【0054】
閉じ込め配列124により生成される閉じ込め磁場は、湾曲経路Cの曲線に追従する湾曲した領域にプラズマを閉じ込めるために、少なくともスパッタ堆積領域112において、湾曲経路Cの曲線に実質的に追従するように配置される磁力線により特徴付けられ得る。いくつかの例において、閉じ込め磁場を特徴付ける磁力線は、少なくとも堆積領域において、湾曲経路Cの曲線に実質的に追従するために、各磁力線に垂直に延びかつ磁力線をつなげる仮想線が曲げられるように、配置され得る。
【0055】
図1の例において、閉じ込め配列124は、それぞれが実質的に直線状であり、ドラム114の回転軸に平行な方向に延びる閉じ込め磁力線を含む閉じ込め磁場を供給するように配置されるが、少なくとも堆積領域112において、湾曲経路Cの曲線に実質的に追従するために、各磁力線に垂直に延び且つ磁力線をつなげる仮想線が曲げられるように配置される。
【0056】
いくつかの例において、一以上の閉じ込め磁性素子124a、124bは、電磁石であり得る。スパッタ堆積装置100は、一以上の電磁石により供給される磁場の強度を制御するように配置されるコントローラー(図示なし)を備え得る。これは、閉じ込め磁場を特徴付ける磁力線の配置を制御することを可能にし得る。これにより、基板104及び/又はターゲット材料102で、プラズマ密度の調節が可能になり得、それゆえ、スパッタ堆積の制御を向上させ得る。これは、スパッタ堆積装置100の操作の柔軟性を向上させ得る。
【0057】
閉じ込め磁性素子124a、124bのうち少なくとも一つは、ソレノイドを備え得る。ソレノイドは、開口部を有し得、該開口部を通して、使用中、プラズマ120が導かれる。開口部は、湾曲していてもよく、湾曲部材の長手方向軸(回転軸)(
図1におけるドラム114の回転軸)に実質的に垂直な方向に細長くてもよい。
図1に示されるように、このような湾曲したソレノイドは、湾曲経路Cの曲線に実質的に追従し得る。例えば湾曲したソレノイドは、(
図1においてドラム114である)湾曲部材の曲面から半径方向及び軸方向にずれるが、湾曲部材の曲面に並行であり得る。これは、
図2で示されており、
図2は、第一のアンテナ122aと湾曲部材の中間に配置される(湾曲したソレノイドであり得る)第一の閉じ込め磁性素子124aを示す。
図1において、第二の閉じ込め磁性素子124bは、湾曲部材を挟んで第一の閉じ込め磁性素子124aと逆側に配置される。(湾曲したソレノイドでもある)第二の閉じ込め磁性素子124bは、第二のアンテナ122bと湾曲部材Cの間に配置される。このような湾曲したソレノイドは、磁力線が、少なくともスパッタ堆積領域112において、湾曲経路Cの曲線に実質的に追従するために、各磁力線に垂直に延びかつ磁力線をつなげる仮想線が曲げられるように配置される閉じ込め磁場を供給し得る。
【0058】
プラズマ120は、アンテナ122a、122bの長さに沿って生成され得、閉じ込め配列124は、アンテナ122a、122b及び閉じ込め磁性素子124a、124bにより拘束される領域内にプラズマ120を閉じ込め得る。プラズマ120は、閉じ込め磁性素子124a、124bにより、湾曲シート状に閉じ込められ得る。この場合において、湾曲シートの長さは、湾曲部材の長手方向(回転)軸に平行な方向に延びる。湾曲シート状のプラズマ120は、閉じ込め磁性素子124a、124bにより供給される磁場により、湾曲部材の周りに、(
図1におけるドラム114の曲線などの)湾曲部材の曲線を再現するように閉じ込められ得る。プラズマの湾曲シートの厚さは、湾曲シートの長さ及び幅に沿って実質的に一定であり得る。湾曲シート状のプラズマは、実質的に均一な密度を有し得、例えば湾曲シート状のプラズマの密度は、その長さと幅のうち一つ又はその両方で実質的に均一であり得る。湾曲シート状に閉じ込められるプラズマにより、スパッタ堆積がもたらされ得る面積を増加させることができ、それゆえ、より効率的なスパッタ堆積及び/又は例えば湾曲部材の曲線周りの方向及び基板104の幅にわたる方向の両方で、基板104のウェブでのプラズマ密度のより均一な分布が可能になり得る。これにより、結果として、例えば湾曲部材の表面周りの方向及び湾曲部材の長さにわたる方向の両方で、基板104のウェブにより均一にスパッタ堆積することが可能になり得、基板104の処理の一様性を向上させ得る。
【0059】
湾曲シート状のプラズマ120、例えば少なくともスパッタ堆積領域112において、実質的に均一な密度を有する湾曲シート状のプラズマ120を閉じ込めることで、代わりに又は加えて、例えば湾曲部材114の曲線周りの方向及び湾曲部材114の長さにわたる方向の両方において、基板104のウェブにおける、プラズマ密度のより均一な分布を可能にし得る。これは、結果として、例えば湾曲部材の表面周りの方向及び基板104の幅にわたる方向の両方で、基板104のウェブにより均一なスパッタ堆積を可能にし得る。したがって、結果として、スパッタ堆積をより一様に行うことが可能になり得る。これは、例えば処理後の基板の一様性を向上させ得、例えば品質管理の必要性を減らし得る。これは、例えば生成される磁場を特徴付ける磁力線が基板の中へ及び外へ詰まったループを描き、それゆえ、基板で均一なプラズマ密度の分布とならないマグネトロンタイプのスパッタ堆積装置と比較され得る。
【0060】
いくつかの例において、プラズマ120は、少なくともスパッタ堆積領域112において高密度プラズマであり得る。例えば(湾曲シート状又は他の形状の)プラズマ120は、少なくとも堆積領域112において、例として1011cm-3以上の密度であり得る。堆積領域112の高密度のプラズマ120により、効率的な及び/又は高速のスパッタ堆積が可能になり得る。
【0061】
図1に示される例において、ターゲット支持アセンブリ108は、実質的に湾曲している。
図1の例において、ターゲット支持アセンブリ108により支持されるターゲット材料102は、それに従い実質的に湾曲している。この場合において、湾曲したターゲット支持アセンブリ108の任意の部分は、曲線の方向に沿って、湾曲したターゲット支持アセンブリ108の任意の他の部分と鈍角を形成する。いくつかの例において、ターゲット支持アセンブリ108の異なる部分は、例えば基板104のウェブに所望の堆積の配置又は組成をもたらすために、異なるターゲット材料を支持してもよい。
【0062】
いくつかの例において、湾曲したターゲット支持アセンブリ108は、湾曲経路Cの曲線に実質的に追従し得る。例えば湾曲したターゲット支持アセンブリ108は、湾曲経路Cの湾曲形状に実質的に従い得るか又は湾曲経路Cの湾曲形状を実質的に再現し得る。例えば、湾曲したターゲット支持アセンブリ108は、湾曲経路から半径方向にずれるが、湾曲経路に実質的に平行である曲線を有し得る。例えば、湾曲したターゲット支持アセンブリ108は、湾曲経路Cと共通の曲率中心を有する曲線を有し得るが、湾曲経路Cとは異なる曲率半径を有し、示される例ではより大きい曲率半径を有する。これに応じて、湾曲したターゲット支持アセンブリ108は、結果として、使用中、湾曲部材(
図1のドラム114)の周りに実質的に閉じ込められる、湾曲したプラズマ120の曲線に実質的に追従し得る。言い換えれば、いくつかの例において、プラズマ120は、基板104の経路Cとターゲット支持アセンブリ108の間に位置する閉じ込め配列の閉じ込め磁性素子124a、124bにより、実質的に閉じ込められ得、湾曲経路Cと湾曲したターゲット支持アセンブリ108の両方の曲線に実質的に追従し得る。他の場合において、一以上のターゲット支持アセンブリ及び/又はターゲット支持アセンブリにより支持されるターゲットは、平面であってもよく、例えば湾曲していなくてもよい。
【0063】
ターゲット支持アセンブリ例108(及び、これに応じて、それにより支持されるターゲット材料102)は、例えばドラム114の長手方向軸に平行な方向に、湾曲部材(
図1のドラム114など)の全長に実質的にわたって延在し得ることを理解されたい。これは、ドラム114により運ばれ、ターゲット材料102が堆積され得る基板104のウェブの表面積を最大化し得る。
図1において、ターゲット支持アセンブリ108(及びそれにより支持されるターゲット材料102)は、ドラム114の直径のおおよそ4分の1に対応するドラム114の下部に平行に延在する。他の例において、ターゲット支持アセンブリ108及び/又はターゲット材料102は、ドラム114のより大きい範囲で平行に延在し得る。例えば、ターゲット支持アセンブリ108及び/又はターゲット材料102は、さらに上部で、
図1のドラム114の周りに延在していてもよく、例えば、
図1において、ターゲット支持アセンブリ108の少なくとも一つの端が、ドラム114が取り付けられる心棒と一致するか又はこれより上になるように延在していてもよい。
【0064】
プラズマ120は、湾曲経路Cと湾曲したターゲット支持アセンブリ108の両方の曲線に実質的に追従する閉じ込め配列124により、実質的に閉じ込められ得る。湾曲経路Cと湾曲したターゲット支持アセンブリ108の間の面積又は体積は、それに応じて、湾曲部材の周りで湾曲し得る。それゆえ、スパッタ堆積領域112は、使用中、コンベアシステム110により運ばれる基板104にターゲット材料102のスパッタ堆積が起こる湾曲した体積を表し得る。これにより、コンベアシステム110により運ばれる、常時スパッタ堆積領域112にある基板104のウェブの表面積を増加させることが可能になり得る。これにより、結果として、使用中、ターゲット材料102が堆積され得る基板104のウェブの表面積を増加させることが可能になり得る。これは、ターゲット支持アセンブリ108の空間的な取り付け面積を実質的に増やさず、且つ、ドラム114などのコンベアシステム110の部品の大きさを変えることなく、結果として、スパッタ堆積がもたらされ得る面積を増加することを可能にし得る。これにより、例えばリールツーリールタイプの装置を通して、所与の堆積度のために、より速い(より一層速い)速度で基板104のウェブを供給することが可能になり得、それゆえ、より効率的なスパッタ堆積が可能になるだけでなく、空間効率の高い方法で行うことが可能になり得る。
【0065】
図1のスパッタ堆積装置100のさらなる特徴が
図2で示されており、
図2は、明確にするために、基板104、コンベアシステム110の一部及びプラズマ120の一部を省略した
図1のスパッタ堆積装置100の平面図を示す。
【0066】
図2の例において、ターゲット支持アセンブリ108は、第一のターゲット支持アセンブリを使用して第一のターゲット102aを支持するように配置され、第二のターゲット支持アセンブリを使用して第二のターゲット102bを支持するように配置され、及び第三のターゲット支持アセンブリを使用して第三のターゲット102cを支持するように配置される。第一のターゲット支持アセンブリ、第二のターゲット支持アセンブリ及び第三のターゲット支持アセンブリは、共に、明確にするために、
図2からは省かれているが、
図3でより詳細に示されるターゲット支持アセンブリ108を形成する。しかし、他の例において、ターゲット支持アセンブリは、より多い又はより少ないターゲット支持アセンブリを具備し得る。
図2において、第一のターゲット、第二のターゲット及び第三のターゲット102a、102b、102cは、それぞれ異なる材料を含み得る。例えば、第一のターゲットの材料は、第二のターゲットの材料と異なるものであってもよい。他の場合では、第一のターゲット、第二のターゲット及び/又は第三のターゲットは、いくつか又はすべてが同一の材料を含んでいてもよい。ターゲット支持アセンブリ108が複数のターゲットを支持するように配置される、
図1から4のような例においては、ターゲットのうち少なくとも一つは、他のものより小さくなり得る。例えばターゲットを真空環境に保存する場合、より小さいターゲットは、より大きいターゲットより、操作、保存及び/又は一以上のターゲット支持アセンブリへの移動が簡単になり得る。
【0067】
図1に関して説明したように、
図2で示される第一のターゲット、第二のターゲット及び第三のターゲット102a、102b、102cは、この場合において、ドラム114の回転軸116に垂直な方向である運搬方向Dに沿ってそれぞれ細長い。第一のターゲット、第二のターゲット及び第三のターゲット102a、102b、102cは、スパッタ堆積を使用して、基板104上に第一のターゲット、第二のターゲット及び第三のターゲット102a、102b、102cの材料の堆積をもたらすために、スパッタ堆積領域112の第一サイド(
図1の左側)から、スパッタ堆積112の第二サイド(
図1の右側)まで延在する。そのような場合において、第一のターゲット支持アセンブリ、第二のターゲット支持アセンブリ及び第三のターゲット支持アセンブリは、ドラム114の回転軸116に垂直な方向に細長くもなり得る。例えば第一のターゲット支持アセンブリ、第二のターゲット支持アセンブリ及び第三のターゲット支持アセンブリは、スパッタ堆積領域112内で、基板104上に第一のターゲット、第二のターゲット及び第三のターゲット102a、102b、102cの材料を適切に堆積させるために、第一のターゲット、第二ターゲット及び第三のターゲット102a、102b、102cを支持するように、スパッタ堆積領域112の第一サイドから、スパッタ堆積112の第二サイドまで延在していてもよい。
【0068】
コンベアシステム110が、湾曲部材(ドラム114など)を具備する例において、(例えば、
図3において示される第一のターゲット支持アセンブリ、第二のターゲット支持アセンブリ及び第三のターゲット支持アセンブリなどのターゲット支持アセンブリを含む)ターゲット支持アセンブリは、湾曲部材の少なくとも一部の曲率に実質的に従うターゲットのうち少なくとも一つを支持するように配置され得る。例えば、ターゲット支持アセンブリ108は、湾曲部材の少なくとも一部の曲率に実質的に従う一以上のターゲットを支持するように配置され得る。例えば、少なくとも一つのターゲットが湾曲部材の少なくとも一部の曲率を再現する場合又はそうでなければ、少なくとも一つのターゲットが湾曲部材の少なくとも一部の曲率に従う場合、ターゲット支持アセンブリは、湾曲部材の少なくとも一部の曲率に実質的に従う少なくとも一つのターゲットを支持すると考えてよい。例えば、ターゲット支持アセンブリは、湾曲部材と共通の曲率中心を有するが、湾曲部材とは異なる、例えば湾曲部材の曲率半径より大きい曲率半径を有する湾曲経路に沿って、少なくとも一つのターゲットを支持し得る。例えば、少なくとも一つのターゲットは、湾曲部材の少なくとも一部から半径方向にずれるが、これと実質的に平行である湾曲経路に沿って配置され得る。
【0069】
少なくとも一つのターゲットは、曲面を有し得、湾曲部材の少なくとも一部の曲率に実質的に従い得る。いくつかの例において、少なくとも、コンベアシステムに面している第一のターゲット102aの第一の表面が湾曲しているか、コンベアシステムに面している第二のターゲット102bの第二の表面が湾曲しているか、又はコンベアシステムに面している第三のターゲット102cの第三の表面が湾曲している。表面が平たい平面から逸脱している場合、表面が湾曲していると考えてよい。例えば、ターゲット支持アセンブリ108は、基板104を運搬するコンベアシステム110の周りの少なくとも一部で、湾曲している表面を有する少なくとも一つのターゲットを支持するように配置され得る。そのような例は、
図1で示される。
図1において、各ターゲットのそれぞれの表面は、湾曲部材の少なくとも一部(この場合において、ドラム114の下部)の曲率に実質的に従い、これを再現するとみなされ得る、湾曲経路に追従する。他の場合において、ターゲットのうち少なくとも一つが曲面を有さなくてもよく、代わりに、例えば平面内にある平たい表面を有してもよい。
【0070】
他の場合において、曲面を有する代わりに又は加えて、ターゲット支持アセンブリ108は、湾曲部材の少なくとも一部の曲率に従って、(この場合には必要ないが)例えば端部と端部を突き合わせて、複数のターゲットを支持するように配置され得る。そのような場合において、ターゲットのうち一つの表面は、他のターゲットの表面に対して鈍角を形成する表面を画定し得る。鈍角は、ターゲットが、共に、湾曲経路Cの曲線に近似して配置されるように選択され得る。
【0071】
他の場合において、ターゲット支持アセンブリ108は、曲面ではなく平面を有する少なくとも一つのターゲットを支持するように配置され得る。代わりに又は加えて、ターゲット支持アセンブリ108は、湾曲部材の曲率に追従するのではなく、平面内、例えば、スパッタ堆積装置100に送り込まれるときの基板104に平行な(例えば、運搬方向Dと一致する)平面内で、少なくとも一つのターゲットを支持するように配置され得る。
【0072】
図1から4の例において、
図3に示されるように、第一のターゲット支持アセンブリは、第一の支持部及び第二の支持部108a’、108a”を具備する。第一の支持部108a’は、第一のターゲット102の材料の第一の部分102a’を支持するように配置され、第二の支持部108a”は、第一のターゲット102の材料の第二の部分102a”を支持するように配置される。他の例において、第一の支持部、第二の支持部108a’は、異なるターゲット材料を支持し得る。第一のターゲット支持アセンブリは、より多くの又はより少ない支持部を具備してもよく、そのそれぞれが一以上のターゲットを支持してもよい。この例において、第一のターゲット102aは、第一の支持部108a’と第二の支持部108a”の間で不連続である。つまり、第一のターゲット102aの第一の部分102a’は、第一のターゲット102aの第二の部分102a”と分離しており、又はそうでなければ、第一のターゲット102aの第二の部分102a”と別れており若しくは第一のターゲット102aの第二の部分102a”と接触していない。第一の部分、第二の部分102a’、102a”は、それにもかかわらず、同一の部分、例えば第一の部分、第二の部分102a’、102a”が同一の材料を含む第一のターゲット102a、又は第一の部分、第二の部分102a’、102a”が同一のターゲット支持アセンブリにより支持され及び/若しくは(以下でより説明する)同一のターゲット磁性素子126aと関係がある第一のターゲット102aを形成すると考えてよい。他の場合において、第一のターゲットは、第一のターゲットの中心部分が、第一の支持部、第二の支持部108a’、108a”の間の隙間と重なるようにつながっていてもよい。
【0073】
この例における第一の支持部、第二の支持部108a’、108a”は、互いに対して傾斜して配置されている。これは、
図3においてより明確に示されており、
図3は、ドラム114の回転軸116に沿って、
図2のターゲット支持アセンブリ108を示している。この場合において、第一のターゲット102の第一の部分102a’を支持するように配置される第一の支持部108a’の表面と、第一のターゲット102の第二の部分102a”を支持するように配置される第二の支持部108a”の表面との間の角は、鈍角となる。
【0074】
この配置は、基板104の第一の部分上に第一の縞を形成する第一のターゲット102の材料の堆積を促進し得る。例えば、この配置であると、コンベアシステム110による基板104の運搬の間、第一のターゲットの材料は、基板の第一の部分と重なる領域内で、よりコンパクトに配置され得る。それゆえ、これは、基板104の第一の部分上に堆積される第一のターゲット102の材料の密度を増加させ得、基板104上の他の場所への第一のターゲット102の材料の堆積を減らし得、又はそうでなければ制限し得る。
【0075】
この例において、スパッタ堆積装置100は、第一のターゲット102aと関係する第一のターゲット磁性素子126a、第二のターゲット102bと関係する第二のターゲット磁性素子126b及び第三のターゲット102cと関係する第三のターゲット磁性素子126cを具備する。他の場合において、ターゲットより、多い又は少ないターゲット磁性素子があってもよい。
【0076】
この例において、(この場合において、第一の支持部及び第二の支持部108a’、108a”を具備する)第一のターゲット支持アセンブリは、第一のターゲット磁性素子126aを備える。第一のターゲット磁性素子126aは、使用中、第一のターゲット102が、第一のターゲット磁性素子126aとプラズマ生成配列106により生成されるプラズマ120の間にあるように、第一のターゲット支持アセンブリの下に位置し得る。例えば、第一のターゲット支持アセンブリは、第一のターゲット磁性素子126aとコンベアシステム110の間で、第一のターゲット102aを支持するように配置され得る。ターゲット支持アセンブリ108は、同様に又は代わりに、第二のターゲット磁性素子126bとコンベアシステム110の間で、第二のターゲット102bを、及び/又は第三のターゲット磁性素子126cとコンベアシステム110の間で、第三のターゲット102cを支持するように配置され得る。
図3の第一の磁性素子126aは、第一のターゲット支持アセンブリの一部を形成する。さらなる場合において、第一のターゲット磁性素子126aは、分離した素子であってもよく、及び/又は第一のターゲット支持アセンブリに対して異なる場所に位置していてもよい。
【0077】
第一のターゲット磁性素子126aは、ターゲットごとのバイアスを供給すると考えてよく、第一のターゲットに関係する磁場を制御できるようにする。第一のターゲット磁性素子126aにより供給される磁場は、例えば第一のターゲット支持アセンブリにより支持される第一のターゲット102に隣接する領域で、プラズマ120を閉じ込めるために使用され得る。これは、
図3で概略的に示されており、
図3中、プラズマ120は、第一のターゲット102aの第一の部分、第二の部分102a’、102a”に向かって延在する第一の部分120aを有する。
【0078】
異なるターゲットに関係する磁場を制御することにより、結果として、異なるターゲットの材料の堆積を制御できる。例えばスパッタ堆積装置100は、第一のターゲット102aの材料のスパッタ堆積を制御する第一のターゲット磁性素子126aにより供給される第一の磁場を制御するように配置されるコントローラーを具備し得る。コントローラーは、代わりに又は加えて、第二のターゲット102bの材料のスパッタ堆積を制御する第二のターゲット磁性素子126bにより供給される、第二の磁場を制御するように配置され得る。例えば一以上のターゲット磁性素子126a、126b、126cは、電磁石であってもよく、適切なコントローラーを使用して制御可能である磁場強度を有し得る。そのようなコントローラーは、電磁石を通る電流を制御するように配置されるマイクロプロセッサなどのプロセッサを具備していてもよく、結果として、電磁石により供給される磁場強度を制御する。磁場の制御の本明細書の言及は、磁場強度を含む磁場の任意の特徴を制御することを指すと考えてよい。
【0079】
場合によっては、スパッタ堆積領域112を通って基板104を運搬する間に、第一のターゲット102aに関係する第一の磁場及び第二のターゲット102bに関係する第二の磁場が、例えば第一の磁場を生成する第一のターゲット磁性素子126aを使用して、及び第二の磁場を生成する第二のターゲット磁性素子126bを使用して、生成され得る。第一の磁場は、例えば、磁場強度又は磁力線の方向などの他の特徴で、第二の磁場と異なっていてもよい。上記で説明したように、この方法における第一のターゲット及び第二のターゲット102a、102bに関係する磁場の制御は、基板104上にスパッタ堆積される第一のターゲット及び第二のターゲット102a、102bの材料の量を制御するために使用され得る。これは、スパッタ堆積装置100の柔軟性を向上させ、例えば基板104上に堆積される異なるターゲット材料の相対的な量を、簡単な方法で制御することを可能にする。他のターゲットよりも特定のターゲットに近いターゲット磁性素子のようなターゲットに関係するターゲット磁性素子により、磁場が生成される場合、磁場は、ターゲットに関係すると考えてよい。そのような磁場の磁力線は、例えば磁場の磁場強度が、(隣接するターゲット又は近くのターゲットであり得る)他のターゲットの近くよりターゲットの近くで高くなるように、他のターゲットの近くよりもターゲットの近くで、より高い密度を有し得る。
【0080】
図2は、平面図で、プラズマの第三の部分120cを示しており、明確にするため、プラズマの他の部分は省略している。第三のターゲット支持アセンブリの下の第三のターゲット磁性素子126cにより供給される第三の磁場によって、プラズマの第三の部分120cは、第三のターゲット支持アセンブリにより支持される第三のターゲット102cの長さに沿って延びる細長い形状で実質的に閉じ込められる。これは、第三のターゲット102cのスパッタリングを促進し、それゆえ、基板104上に第三のターゲット102cの材料の堆積を促進する。それゆえ、ターゲットが、コンベアシステム110により基板104が運搬される運搬方向Dに沿って細長い
図1から4のような例において、プラズマの一部(プラズマの第三の部分120cなど)は、プラズマの一部が運搬方向Dに沿って細長くなるように実質的に閉じ込められ得る。プラズマの一部の閉じ込めは、ターゲット磁性素子及び/又は閉じ込め磁性素子を具備し得る閉じ込め配列により実行され得る。
図1から4の例において、プラズマの第一の部分、第二の部分及び第三の部分120a、120b、120cは、運搬方向Dに沿ってそれぞれ細長く、第一の部分及び第二の部分120a、120bは、例えば、平面図において、
図2で示される第三の部分120cと似た形状を有する。しかし、これは単なる例であり、他の場合において、プラズマ又はそれの一部は異なって閉じ込められてもよい。
【0081】
ターゲット磁性素子又は閉じ込め磁性素子などの磁性素子がないスパッタ堆積領域112の領域は、一般的に、例えば磁力線が低密度のより低い磁場強度を有する。これは、これらの領域における閉じ込めの影響を減らすことができ、プラズマの形状に影響を与えることができる。これは
図2で最もよくわかり、
図2中、プラズマの第三の部分120cは、(第三のターゲット磁場素子がある)中央の領域より(第三のターゲット磁場素子がない)外側の領域で広がっており、例えば、(第三のターゲット磁場素子がある)中央の領域より(第三のターゲット磁場素子がない)外側の領域で幅が大きくなっている。これは、プラズマの第三の部分120cが、平面図において実質的にドッグボーン形状となるようにする。実質的なドッグボーン形状は、例えば細長い中央部と、細長い中央部を挟んだ両側に、細長い中央部の幅より大きい幅の2つの端部を有する形状である。プラズマの形状は、ほとんどの場合、スパッタ堆積領域112内及び/又はスパッタ堆積領域112の周りの磁性素子の配置に依存し、プラズマが通常、静的ではないように、プラズマの形状は、常時変化し得る。さらに、磁性素子により供給される磁場は、常時変化し得、プラズマの形状又は他の構成をさらに変え得る。
【0082】
図1から4において、第一のターゲット支持アセンブリ、第二のターゲット支持アセンブリ及び第三のターゲット支持アセンブリは、それぞれ他のものと同一である。第一のターゲット支持アセンブリ、第二のターゲット支持アセンブリ及び第三のターゲット支持アセンブリのうちの一つの説明は、当然のように、第一のターゲット支持アセンブリ、第二のターゲット支持アセンブリ及び第三のターゲット支持アセンブリのうちの任意の他の一つに適用される。同様に、
図1から4において、第一のターゲット磁性素子、第二のターゲット磁性素子及び第三のターゲット磁性素子126a、126b、126cは、それぞれ他のものと同一である。第一のターゲット磁性素子、第二のターゲット磁性素子及び第三のターゲット磁性素子126a、126b、126cのうち一つの説明は、当然のように、第一のターゲット磁性素子、第二のターゲット磁性素子及び第三のターゲット磁性素子126a、126b、126のうち任意の他の一つに適用される。しかし、他の例において、第一のターゲット支持アセンブリ、第二のターゲット支持アセンブリ及び第三のターゲット支持アセンブリのうち少なくとも一つは、他のものと異なっていてもよく、及び/又は第一のターゲット磁性素子、第二のターゲット磁性素子及び第三のターゲット磁性素子126a、126b、126cは、他のものと異なっていてもよいことを理解されたい。
【0083】
図1でわかるように、スパッタ堆積装置100のコンベアシステム110は、スパッタ堆積領域112の第一サイド(
図1で示されるスパッタ堆積領域112の左側)からスパッタ堆積領域112の第二サイド(
図1で示されるスパッタ堆積領域112の右側)まで基板104を運搬するように配置される。例において、一以上のターゲット支持アセンブリ108は、スパッタ堆積領域112の第一サイドからスパッタ堆積領域112の第二サイドまで延びる隙間がそれぞれ間にある少なくとも2つのターゲットを支持するように配置される。例えば、一以上のターゲット支持アセンブリ108は、第一のターゲット支持アセンブリと第二のターゲット支持アセンブリの間に、スパッタ堆積領域112の第一サイドからスパッタ堆積領域112の第二サイドまで延びる隙間があるように、少なくとも第一のターゲット102aを支持するように配置される第一のターゲット支持アセンブリ、及び少なくとも第二のターゲット102bを支持するように配置される第二のターゲット支持アセンブリを備え得る。また、第一のターゲット102aと第二のターゲット102bの間にも隙間128がある。隙間128は、例えば、第一のターゲット支持アセンブリと第二のターゲット支持アセンブリの間の領域に対応し、この隙間により、第一のターゲット支持アセンブリが第二のターゲット支持アセンブリから離れている。場合によっては、ターゲット材料は、隙間128になくてもよい。隙間128は、第一のターゲット102aと第二のターゲット102bの間の他の介在する要素を欠いていてもよい。これは、例えば、スパッタ堆積領域112を通って、基板104が運搬されるとき、隙間128に対応する基板104の一部に他の材料が堆積されることを防ぐ。
【0084】
隙間128が、スパッタ堆積領域112の第一サイドから、例えば第一サイドの逆側の、スパッタ堆積領域112の第二サイドまで延びるため、スパッタ堆積領域112を通って基板104が移動する間、基板104の一部は隙間128と重なる。基板104のこの部分は、例えば基板104がスパッタ堆積領域112を横切るとき、第一のターゲット102a又は第二のターゲット102bと重ならず又は第一のターゲット102a又は第二のターゲット102bを覆わない。それゆえ、これは、堆積において、基板104のこの部分に対応する隙間を生じさせる。
【0085】
これは、
図4でより明確に示されており、
図4は、使用中の
図1から3のスパッタ堆積装置100の上面図を概略的に示している。
図4でわかるように、スパッタ堆積領域112を通過した後、基板104は、基板104の第一の部分上に第一の縞130、基板104の第二の部分上に第二の縞132、基板104の第三の部分上に第三の縞134、基板104の第四の部分上に第四の縞136及び基板104の第五の部分上に第五の縞138を有する。この例において、第一の縞130は、第一のターゲット102aの材料の縞であり、第二の縞132は、基板104の第二の部分の露出した表面であり、第三の縞134は、第二のターゲット102bの材料の縞であり、第四の縞136は、基板104の第三の部分の露出した表面であり、第五の縞138は、第三のターゲット102cの材料の縞である。このようにして、第一の縞130が、第二の縞132と異なる密度のターゲット材料及び/又は異なる組成のターゲット材料を含むように、スパッタ堆積装置100を使用して、一以上のターゲット支持アセンブリ108により支持されるターゲット材料102のスパッタ堆積をもたらすことができる。
【0086】
図1から4の例において、第一の縞130は、第二の縞132と異なる密度のターゲット材料を有する。この場合では、第一の縞130は、第二の縞132より、高い密度のターゲット材料(この場合において、第一のターゲット102a)を有する。第二の縞132は、より低い密度の第一のターゲット102aの材料及びより低い密度の第二のターゲット102bの材料を含み得る。(例えば、第一のターゲット102a及び/又は第二のターゲット102bからの)ターゲット材料が、第二の縞132に実質的に存在しないように、例えば第二の縞132に、第一のターゲット102a及び/又は第二のターゲット102bの材料が実質的になくてもよい。所与の材料が、測定公差内で存在しない場合、所与の材料が、相対的に少ないか若しくは取るに足らないほど少ないように、無視できるほどしか存在しない場合、又は基板104が、意図する目的に使用される前に、さらなる除去処理を必要としないくらい十分少ない量しか存在しない場合、第二の縞132に、所与の材料は実質的にないと考えてよい。材料の縞は、例えば材料の細長い縞又は材料の広がった縞である。縞は、長さより幅が小さくなっていてもよく、それゆえ、材料の帯に対応し得る。縞の長さに沿う、縞の反対の端は、互いにおおよそ平行であるが、これは必ずしもそうである必要はない。例えば、材料の縞の長い端は、やや不均等又は不均一であってもよく、例えば、正確な直線に従わないずれた線も含む。材料は、そうであるにもかかわらず、通常細長い形状である縞と一致すると考えてよい。
【0087】
本明細書の例において、コンベアシステム110により、スパッタ堆積領域112を通って、基板104が運搬されるときの基板104に対するターゲット材料の位置調整により、縞模様を基板104にもたらす。これにより、さらなる処理を必要としないで、スパッタ堆積装置100を通る基板104の単一パスの間に、少なくとも二つの縞のパターンを基板104上にもたらすことができる。それゆえ、パターン付けされた基板104を、他のものより効率的且つ簡単に生産できる。さらに、ターゲット材料が、他の領域(第二の縞132と一致する基板104の第二の領域など)に堆積されず、ターゲット材料が基板104の所望の領域に堆積されるため、ターゲット材料の損失量を減らし得る。それゆえ、これは、基板104の第二の領域からターゲット材料を取り除く必要をなくし、取り除かれたターゲット材料の損失を防ぐ。
【0088】
図4のような例において、第一のターゲット102aに実質的に重なる第一の領域内で、基板104の第一の部分を運搬することにより、第一のターゲット102aと第二のターゲット102bの間の隙間128に実質的に重なる第二の領域内で、基板104の第二の部分を運搬することにより、及び第二のターゲット102bに実質的に重なる第三の領域内で、基板104の第三の部分を運搬することにより、第一の縞、第二の縞及び第三の縞130、132、134を形成し得る。領域がターゲットと完全に重なる場合、又は測定公差若しくは製造公差内で重なる場合、領域は、ターゲットに実質的に重なると考えてよい。場合によっては、ターゲットの材料のスパッタ堆積により、ターゲットの材料を領域内に存在させる場合、領域は、実質的にターゲットに重なると考えてよい。例えば、スパッタ堆積の間、ターゲットの材料が広がり又は散るため、領域の範囲はコンベアシステム110に最も近いターゲットの表面より大きくなり得る。
【0089】
コンベアシステム110により、スパッタ堆積領域112を通って基板104が運搬される間、ターゲット支持アセンブリ108は、一以上のターゲットと基板104の間で、介在要素なしで、一以上のターゲットを支持するように配置され得る。このようにして、マスク又はシャッターやバッフルなどの他の妨げる要素を使用せずに、スパッタ堆積装置100によって、ターゲット材料102が、基板104上にスパッタ堆積され得る。これは、マスク上の堆積に起因するターゲット材料の損失量を減らし得る。さらに、堆積は、連続的な方法で、又は例えばマスクを使用するバッチ処理などの他の手法より、止まるまで長い時間実行され得る。それゆえ、堆積の効率が向上し得る。他の場合において、スパッタ堆積装置100による基板104の処理の間、少なくとも一つの介在要素が、ターゲット材料102と基板104の間に配置され得る。そうであるにもかかわらず、介在要素、例えばマスクなどは、他の手法より少なくなり得る。基板104の後処理も、他の手法と比較して減少し得る。例えば、コーティングしないままにされる基板の領域に堆積される材料の密度は、他より低くなり得る。そのような材料は、堆積される材料の密度がより高い他の場合より、より簡単に又はより効率的に取り除かれ得る。
【0090】
図1から4の例において、隙間128は、コンベアシステム110が基板104を運搬するように配置される運搬方向Dに沿って細長い。これは、第二の縞132などの他の縞より少ないターゲット材料を含む細長い縞を、容易な方法で基板104上にもたらすことを可能にする。
【0091】
同様に、このような例において、ターゲット支持アセンブリ108は、第一のターゲット102aが運搬方向Dに沿って細長くなるように、第一のターゲット102aを支持するよう配置され得る。ターゲット支持アセンブリ108は、加えて又は代わりに、第二のターゲット102bが運搬方向Dに沿って細長くなるように、第二のターゲット102bを支持するよう配置され、及び/又は第三のターゲット102cが運搬方向Dに沿って細長くなるように、第三のターゲット102cを支持するよう配置され得る。これは、基板104上への縞の堆積を促進する。さらに、細長いターゲットを使用することにより、所与の縞内に堆積される材料の均一性が向上され得る。
【0092】
図1から4のスパッタ堆積装置100の背後にある原理は、基板104上に材料の様々な、異なるパターンを作り出すことに広く適用され得る。
図1から4のスパッタ堆積装置100の背後にある原理を利用する他の例は、
図5から10に示されている。
【0093】
図5及び6は、平面図で、スパッタ堆積装置200のそれぞれの部分を概略的に示している。
図5及び6のスパッタ堆積装置200は、ターゲット材料202の配置及びターゲット材料202を支持するための一以上のターゲット支持アセンブリを除いて、
図1から4のスパッタ堆積装置100と同一である。
図5は、
図2で示されるスパッタ堆積装置100と同一の見方で、スパッタ堆積装置200を示しており、
図6は、
図4で示されるスパッタ堆積装置100と同一の見方で、スパッタ堆積装置200を示している。
図1から4の対応する特徴と類似の
図5及び6の特徴は、100を足しているが、同一の参照数字で表示され、対応する説明が適用される。
【0094】
図5の例において、ターゲット支持アセンブリは、運搬方向Dに実質的に垂直な軸に沿って、例えばドラムの回転軸216に沿って、様々な長さを有するターゲット202を支持するように配置される。
図5において、ターゲット202は、軸216に沿う第一の位置で第一の長さを有する第一の部分140a、及び軸216に沿う第二の位置で、第一の長さと異なる(及びこの場合において、第一の長さより小さい)第二の長さを有する、第二の部分140bを具備する。第一の長さ及び第二の長さは、運搬方向Dに沿うとみなしてもよく、例えば運搬方向Dに実質的に平行な方向であるとみなしてもよい。
【0095】
この場合において、ターゲット202は、通常、平面図においてT字形である。しかし、他の例において、そうであるにもかかわらず、ターゲット202は、運搬方向Dに実質的に垂直な軸に沿う長さが異なる、平面図で他の形状であってもよい。ターゲット支持アセンブリは、ターゲット202を支持するために、任意の適切な形状を又は配置を有し得る。例えば、この場合において、ターゲット支持アセンブリも、平面図において、通常、T字形であり得るが、他の形状も可能である。
【0096】
スパッタ堆積装置200を使用する間、基板204の第一の部分は、ターゲット202の第一の部分140aに実質的に重なる第一の領域内で運搬され得、基板204の第二の部分は、ターゲットの第二の部分140bに実質的に重なる第二の領域内で運搬され得る。この方法で、例えばスパッタ堆積領域を通って、基板204が運搬されるため、ターゲット202の材料のスパッタ堆積は、基板204の第一の部分上に第一の縞230及び基板204の第二の部分上に第二の縞232があるようにもたらされる。第一の縞230は、第二の縞232と、異なる密度のターゲット202の材料(ターゲット材料とも称され得る)又は異なる組成のターゲット材料のうち少なくとも一つを含む。この場合は、第二の部分140bの第二の長さは、ターゲット202の第一の部分140aの第一の長さより短い。それゆえ、基板204がスパッタ堆積装置200を通って運搬されるとき、ターゲット202の第一の部分140aと重なる時間より短い時間、基板204の所与の部分は、ターゲット202の第二の部分140bと重なる。これにより、(ターゲット202の第一の部分140aを通る)基板204の第一の部分上の密度より低い密度のターゲット材料が、(ターゲット202の第二の部分140bを通る)基板204の第二の部分上に堆積される。
【0097】
図5及び6のスパッタ堆積装置200は、例えばマスクなどの介在要素を使用せずに、効率的な方法で、基板204上に、それぞれ異なる密度のターゲット材料の二つの隣接する縞を堆積させるために使用され得る。
【0098】
図7及び8は、平面図で、スパッタ堆積装置300のそれぞれの部分を概略的に示している。
図7及び8のスパッタ堆積装置300は、ターゲット材料302の配置及びターゲット材料302を支持するための一以上のターゲット支持アセンブリを除いて、
図1から4のスパッタ堆積装置100と同一である。
図7は、
図2で示されるスパッタ堆積装置100と同一の見方で、スパッタ堆積装置300を示しており、
図8は、
図4で示されるスパッタ堆積装置100と同一の見方で、スパッタ堆積装置300を示している。
図1から4の対応する特徴と類似の
図7及び8の特徴は、200を足しているが、同一の参照数字で表示され、対応する説明が適用される。
【0099】
図7及び8の例において、一以上のターゲット支持アセンブリは、第二のターゲット302bが、実質的に運搬方向Dの平面内であるが、運搬方向Dに垂直な軸、例えばドラム314の回転軸316に沿ってターゲット302aからずれるように、第一のターゲット302a及び第二のターゲット302bを支持するよう配置される。このようにして、第一のターゲット及び第二のターゲットが互いからずれると、ずれが十分大きければ、(
図1から4の例のように)スパッタ堆積領域の第一サイドからスパッタ堆積領域の第二サイドまで延びる第一のターゲットと第二のターゲット間の隙間が存在し得る。しかし、
図7及び8の例において、第一のターゲット及び第二のターゲット302a、302bのずれは、そのような隙間に対して不十分である。例えば、ずれは、特定の方向、例えば運搬方向Dに垂直な軸に沿う方向における第一のターゲットに対する第二のターゲットの変位と考えてもよい。
図7及び8において、例えば、
図7における、第一のターゲット302aの上端と第二のターゲット302bの上端の間とみなされる変位は、軸316に沿う第二のターゲット302bの幅より小さい。このため、第二のターゲット302b及び続いて第一のターゲット302aの上を通過する、又は第二のターゲット302b及び続いて第一のターゲット302aに重なるスパッタ堆積領域の第一サイドからスパッタ堆積領域の第二サイドまでの経路が存在する。
【0100】
ターゲット支持アセンブリは、同様に又は代わりに、第二のターゲット302bが、運搬方向Dに沿って、例えば運搬方向Dに平行な第二の軸に沿って、第一のターゲット302aからずれるように、第一のターゲット302a及び第二のターゲット302bを支持するよう配置され得る。これは、
図7及び8の場合であり、この例において、第一のターゲット302a及び第二のターゲット302bは、互いから
図7において水平に(すなわち、運搬方向Dに沿って)、及び
図7において垂直に(すなわち、運搬方向Dに垂直に)ずれるか、又は変位する。これは、所望のパターンに従って、基板304上に材料の縞を堆積させるためのさらなる柔軟性を付与する。また、一以上のターゲット支持アセンブリは、運搬方向Dに沿って互いにずれても、及び/又は運搬方向Dに垂直に互いにずれてもよい。
【0101】
第一のターゲット及び第二のターゲット及び第二のターゲット302a、302bのこの配置によって、基板304の第一の部分上に第一の縞330、基板304の第二の部分上に第二の縞332及び基板304の第三の部分上に第三の縞334ができるように、第一のターゲット及び第二のターゲット302a、302bのターゲット材料のスパッタ堆積を提供するスパッタ堆積装置300のコンベアシステムにより、基板304が運搬され得る。この場合において、第一の縞330は、第一のターゲット302aの材料の縞であり、第三の縞334は、第二のターゲット302bの材料の縞である。この例において、第一のターゲット302aの材料は、第二のターゲット302bの材料と異なる。第二の縞332は、第一のターゲット302aの材料と第二のターゲット302bの材料を組み合わせたものである。それゆえ、この場合において、第二の縞332の組成は、第一の縞330の組成と異なる。また、第二の縞332は、第一の縞及び第三の縞330、334のうち一つ又は両方と異なる密度のターゲット材料を含んでもよく、例えばより高い密度のターゲット材料を含んでもよい。
【0102】
この場合の第二の縞332は、スパッタ堆積装置300を通って、基板304が運搬されるため、基板304に対する第一のターゲット及び第二のターゲット302a、302bの位置に起因してもたらされる。例えば、一以上のターゲット支持アセンブリは、第一の位置に基板304があると、(第二の縞332がもたらされる)基板304の第二の部分が、第二のターゲット302bに重ならずに、第一のターゲット302aに重なり、第二の位置に基板304があると、基板304の第二の部分が、第一のターゲット302aに重ならずに、第二のターゲット302bに重なるように、第一のターゲット及び第二のターゲット302a、302bを支持するよう配置され得る。このようにして、基板304がスパッタ堆積領域内の第一の位置にあると、第二の部分への堆積は、第一のターゲット302aによるものであって、第二のターゲット30bによるものでない。基板304が、スパッタ堆積領域内で第二の位置にあると、第二の部分への堆積は、第二のターゲット302bによるものであって、第一のターゲット302aによるものでない。この場合において、基板304は、基板304がスパッタ堆積領域を通って移動されるとき、第一の位置に運搬された後、第二の位置に運搬される。しかしながら、これは単なる例である。他の例において、第一のターゲット及び第二のターゲット302a、302bの位置は、
図7で示される位置と反対、例えば第二のターゲット302bが第一のターゲット302aより、スパッタ堆積領域の第一サイドに近くになり得る。
【0103】
図7及び8のスパッタ堆積装置300を使用して、基板304を運搬することにより、(第二の縞332がもたらされる)基板304の第二の部分が、実質的に第一のターゲット302aに重なるスパッタ堆積領域の第一の領域内で運搬され得る。基板304の同一の部分(この場合において、第二の縞332がもたらされる第二の部分)は、続いて、実質的に第二のターゲット302bに重なるスパッタ堆積領域の第二の領域で、実質的に運搬され得る。このようにして、第一のターゲット及び第二のターゲット302a、302bの両方の材料の組み合わせは、第二の縞332を形成するために、基板304の第二の部分に堆積され得る。
【0104】
第二の縞332の第一のターゲット302aの材料と第二のターゲット302bの材料の組み合わせは、第一のターゲット及び第二のターゲット302a、302bの材料の混合物となってもよい。それゆえ、
図7及び8のスパッタ堆積装置300は、混合組成物を簡単且つ柔軟に堆積させることができる。この場合において、第一のターゲット302aの材料の層が、基板304上に堆積され得、続いて、第二のターゲット302bの材料の層が、第一のターゲット302aの材料の層の上に堆積され得る。しかしながら、他の場合においては、第一のターゲット及び第二のターゲット302a、302bの材料を混合は、例えば材料が第一のターゲット及び第二のターゲット302a、302bから放出された後、基板304の表面に堆積される前に、堆積領域内で起こり得る。
【0105】
この例において、第一のターゲット及び第二のターゲット302a、302bは、通常、平面図において、長方形であるが、これは単なる例であり、他の形状も可能である。一以上のターゲット支持アセンブリは、第一のターゲット及び第二のターゲット302a、302bを支持する任意の適切な形状又は配置を有し得る。
【0106】
図9及び10は、平面図で、スパッタ堆積装置400のそれぞれの部分を概略的に示している。
図9及び10のスパッタ堆積装置400は、ターゲット材料402の配置及びターゲット材料402を支持するための一以上のターゲット支持アセンブリを除き、
図1から4のスパッタ堆積装置100と同一である。
図9は、
図2で示されるスパッタ堆積装置100と同一の見方で、スパッタ堆積装置400を示しており、
図10は、
図4で示されるスパッタ堆積装置100と同一の見方で、スパッタ堆積装置400を示している。
図1から4の対応する特徴と類似する
図9から10の特徴は、100を足しているが、同一の参照数字で表示され、対応する説明が適用される。
【0107】
図9及び10のスパッタ堆積装置400は、基板404の第一の部分上に、第一のターゲット402aの材料の第一の縞430をもたらすように、基板404の第二の部分上に、第一のターゲット402a及び第二のターゲット402bの材料の組み合わせの第二の縞432をもたらすように、及び基板404の第三の部分上に、第二のターゲット402bの材料の第三の縞434をもたらすように使用され得る点で、
図7及び8のスパッタ堆積装置300と同様である。しかし、
図9及び10のような例において、一以上のターゲット支持アセンブリは、第一のターゲット402a及び第二のターゲット402bのうち少なくとも一つが、運搬方向Dに対して斜角になるように、第一のターゲット402a及び第二のターゲット402bを支持するよう配置される。一以上のターゲット支持アセンブリは、それら自体が運搬方向Dに対して斜角になっていてもよい。第一のターゲット及び第二のターゲット402a、402bは、スパッタ堆積装置400に送られるときの基板404の表面の平面に平行な平面内で、運搬方向Dに対して斜角であってもよく、又は第一のターゲット又は第二のターゲット402a、402bの表面に接する平面に平行な平面内で、運搬方向Dに対して斜角であってもよい。例えば、第一のターゲット及び第二のターゲット402a、402bのうち少なくとも一つは、スパッタ堆積装置400の平面図において、運搬方向Dに対して斜角であってもよい。例えば、90度未満である場合、角は、斜めであると考えてよい。例えば、第一のターゲット及び第二のターゲット402a、402bのうち少なくとも一つと運搬方向Dが成す角は、(測定公差内で)0度より大きく、90度より小さくなり得る。
【0108】
例えば
図9及び10で示されるように、このようにして、第一のターゲット及び第二のターゲット402a、402bを配置することで、基板404の一部(この場合において、基板404の第二の部分)は、コンベアシステムにより運搬されるとき、第二のターゲット402bの一部、続いて第一のターゲット402aの一部を通過するか、又は第二のターゲット402bの一部、続いて第一のターゲット402aの一部と重なる。これは、第一のターゲット及び第二のターゲット402a、402bの材料の混合などの組み合わせを、基板404の第二の部分に第二の縞432として堆積させる。
【0109】
図9及び10の例において、第一のターゲット及び第二のターゲット402a、402bは、平面図において、それぞれ細長く、長方形である。この場合において、第一のターゲット及び第二のターゲット402a、402bは、運搬方向Dに対してそれぞれ同一の斜角となる。しかし、これは単なる例であり、他の場合において、第一のターゲット及び第二のターゲットは、異なる形状又は異なる位置を有していてもよい。例えば、第一のターゲット402aと運搬方向Dの成す角は、例えば第二の縞432として堆積される第一のターゲットと第二のターゲットの材料の相対的な量を制御するために、第二のターゲット402bと運搬方向Dの成す角と異なってもよい。一以上のターゲット支持アセンブリは、第一のターゲット及び第二のターゲット402a、402bを支持するために任意の適切な形状又は配置を有し得る。
【0110】
図11及び12は、スパッタ堆積装置500のそれぞれの部分を概略的に示している。
図11及び12のスパッタ堆積装置500は、閉じ込め磁性素子524a、524b及びアンテナ522a、522bの配置を除いて、
図1から4のスパッタ堆積装置100と同一である。
図11は、
図1で示されるスパッタ堆積装置100と同一の見方で、スパッタ堆積装置500を示しており、
図12は、
図2に示されるスパッタ堆積装置100と同一の見方で、スパッタ堆積装置500を示している。しかし、
図12においては、第一の閉じ込め磁性素子及び第二の閉じ込め磁性素子524a、524bがより明確にわかるように、第一のローラー及び第二のローラー518a、518bが、省略されている。
図1から4の対応する特徴に類似する
図11及び12の特徴は、400を足しているが、同一の参照数字で表示され、対応する説明が適用される。
【0111】
図11及び12のような場合において、スパッタ堆積装置500は、運搬方向Dに実質的に垂直な方向、例えば、運搬方向Dに垂直な方向、測定公差内で運搬方向Dに垂直な方向、又は例えば5度若しくは10度以内の数度以内で運搬方向Dに垂直な方向に細長い、少なくとも一つの閉じ込め磁性素子524a、524bを具備し得る。そのような場合における閉じ込め磁性素子524a、524bは、閉じ込め磁性素子524a、524b間で供給される比較的強い磁場強度の領域が、湾曲経路Cの曲線に実質的に追従するように配置され得る。
図11及び24で概略的に示される例において、ドラム514を挟んで、両側に位置する、二つの閉じ込め磁性素子524a、524bがあり、それぞれが、(
図11において)ドラム514の最下部より上に配置される。閉じ込め磁性素子524a、524bは、ドラム514の両側、例えば基板504のウェブがドラム514に供給される、供給側、及び基板504のウェブがドラム514から排出される、排出側で、湾曲経路Cの曲線に追従するように、プラズマ520を実質的に閉じ込める。少なくとも二つの閉じ込め磁性素子を有することにより、プラズマ520に曝される基板504の面積を(さらに)増加させ得、それゆえ、スパッタ堆積がもたらされ得る面積を増加させ得る。これにより、例えば、リールツーリールタイプの装置を通して、所与の堆積度のために、より速い(より一層速い)速度で基板504のウェブを供給することが可能になり得、それゆえ、より効率的なスパッタ堆積が可能になり得る。
図1から4の閉じ込め磁性素子124a、124bと同様に、
図11及び12の一以上の閉じ込め磁性素子524a、524bは、電磁石であってもよく、電磁石は、基板504におけるプラズマ密度を調節するために、供給される磁場の強度を制御するコントローラーを使用して制御され得る。これは、スパッタ堆積装置500の操作の柔軟性を向上させ得る。
【0112】
いくつかの例において、一以上の閉じ込め磁性素子524a、524bは、ソレノイドによって提供され得る。各ソレノイドは、使用中、プラズマ520が通るか、プラズマ520が存在する開口部を画定し得る。
図11及び12に概略的に示される例のように、二つのソレノイドがあってもよく、各ソレノイドは、ソレノイド間で供給される比較的強い磁場強度の領域が、湾曲経路Cの曲線に実質的に追従するように曲げられていてもよい。そのような方法で、
図1において示されるように、生成したプラズマ520は、第一のソレノイド(閉じ込め磁性素子524aなど)を通過し、(
図11における)ドラム514の下で、スパッタ堆積領域512に入り、上昇して、第二のソレノイド(閉じ込め磁性素子524bなど)を通過し得る。例えば、
図12で示されるように、一以上のソレノイドは、使用中、その内部で生成される磁力線の方向に実質的に垂直な方向に細長くてもよく、コンベアシステム510により基板504が運搬される、運搬方向Dに実質的に垂直な方向に細長くてもよい。
【0113】
図11及び12において、二つの閉じ込め磁性素子524a、524bのみ示されているが、さらなる閉じ込め磁性素子(図示なし)、例えば、さらにそのようなソレノイド(図示なし)が、プラズマ520の湾曲経路に沿って配置されてもよいことを理解されたい。これにより、閉じ込め磁場の強化が可能になり得、それゆえ、正確な閉じ込めが可能になり得及び/又は閉じ込め磁場の制御の自由度をより大きくし得る。
【0114】
図11及び12のような例において、スパッタ堆積装置500は、一以上のアンテナ522a、522bを具備し得る。一以上のアンテナ522a、522bは、それぞれ細長いアンテナであってもよく、湾曲部材の長手方向軸(例えば、湾曲したドラム514の曲率半径の中心を通るドラム514の回転軸516)に実質的に平行な方向に延在し得る。一以上のアンテナ522a、522bのうち少なくとも一つは、線形であってもよく、又は曲線状ではなく、おおよそ直線状に延びていてもよい。
図11及び12は、そのような例を示している。(まとめて参照数字522と示す)少なくとも一つのアンテナは、一以上のターゲット支持アセンブリ508の長さに沿って延在し得る。
図11及び12において、アンテナ522の長さは、一以上のターゲット支持アセンブリ508により支持されるターゲットを覆うように延在するプラズマ520を生成させるために、ドラム514の回転軸516に沿って、一以上のターゲット支持アセンブリ508より長い。しかしながら、他の例においては、アンテナ522は、一以上のターゲット支持アセンブリに対して異なる長さであってもよい。
【0115】
上記の例は、例示的な例として理解されたい。さらなる例が予想される。例えば、任意のこれらの例の特徴は、基板上に堆積される、より複雑な模様を作り出すために組み合わされてもよいことを理解されたい。例えば、一以上のターゲット支持アセンブリを使用して、コンベアシステムに対して、適切な位置にターゲットを配置することにより、本明細書の例によるスパッタ堆積装置は、異なる材料の縞、材料若しくは材料の欠如の組み合わせ、及び/又は様々な、異なるサイズの縞及び/若しくは別れた縞を形成するために使用され得る。
【0116】
図1から4及び11と12は、二つのアンテナ配置例を示している。しかし、プラズマを生成させるために使用される様々な他のアンテナ配置(又はプラズマ生成配列)があってもよい。例えば、
図1で示されるアンテナ112は湾曲形状を有し、おおよそ半月形と考えてもよい。しかし、他の場合において、同様のアンテナが、半月形ではなく円形で使用されてもよい。そのような場合において、円形のアンテナは、例えば湾曲部材と同一又は似た曲率半径を有し、形状は異なるが、
図2に示されるアンテナ122a、122bと同様に、ドラムの両面に配置され得る。他の場合において、二つのアンテナ(二つの円形のアンテナなど)は、ドラムの同じ側に位置していてもよく、又は二つのアンテナは、ドラムの各側に配置されてもよい。さらなる場合において、
図12で示されるアンテナ522と同様の複数の細長いアンテナがあってもよい。これらの細長いアンテナは、湾曲部材の周りで、間隔を置いて、例えば、一定の間隔で配置されてもよい。そのような場合において、細長いアンテナは、一以上のターゲット支持アセンブリとコンベアシステムの間で、例えば、ターゲット支持アセンブリにより支持されるターゲットとドラムの間で梯子状に空間を空けて配置され得る。
【0117】
任意の一つの例に関連して説明される任意の特徴は、単独で、又は説明される他の特徴と組み合わせて使用され得、他の任意の例の一以上の特徴、又は他の任意の例の任意の組み合わせと組み合わせて使用され得ることも理解されたい。さらに、上記で説明していない均等物及び改良物もまた、添付の特許請求の範囲から逸脱しないで使用され得る。