(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】半導体構造及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 12/00 20230101AFI20240508BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
H10B12/00 671A
H10B12/00 681B
H01L21/28 301S
(21)【出願番号】P 2022539197
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 CN2022072992
(87)【国際公開番号】W WO2023070963
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2022-06-24
(31)【優先権主張番号】202111243328.2
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522246670
【氏名又は名称】チャンシン メモリー テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CHANGXIN MEMORY TECHNOLOGIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ジャン セミョン
(72)【発明者】
【氏名】ムン ジュンスク
(72)【発明者】
【氏名】シャオ デユアン
(72)【発明者】
【氏名】チン ジョ-ラン
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-026382(JP,A)
【文献】特開2012-038994(JP,A)
【文献】特開2011-097001(JP,A)
【文献】特開2007-329480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 12/00
H01L 21/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体構造であって、
間隔を取るように配置されるビットラインと半導体チャネルとを含む基板であって、前記ビットラインは、第1方向に沿って伸び、前記半導体チャネルは、前記ビットラインの一部の上面に位置し、且つ前記ビットラインの上面に垂直な方向に、前記半導体チャネルは、順に配列される第1領域、第2領域及び第3領域を含む、基板と、
隣接する前記ビットラインの間に位置し、且つ前記半導体チャネルの側壁に位置する誘電層と、
前記第2領域の前記誘電層を取り囲み、且つ第2方向に沿って延びるゲート電極であって、前記第1方向と前記第2方向は異なる、ゲート電極と、
前記半導体チャネルの上面に位置する金属半導体化合物層と、
少なくとも前記金属半導体化合物層の側壁を取り囲む拡散遮断層と、
同一の前記ビットライン上での隣接する前記半導体チャネルの間に位置し、且つ隣接する前記誘電層上での前記ゲート電極と前記拡散遮断層を隔離する絶縁層と、を含
み、
前記絶縁層は、
隣接する前記半導体チャネルの前記誘電層の間と前記ゲート電極の間に位置し、且つ前記第2方向に沿って延びる第1絶縁層であって、前記第1絶縁層の上面は、前記金属半導体化合物層の上面よりも低くない、第1絶縁層と、
前記ゲート電極の上面に位置し、且つ前記第1絶縁層と前記拡散遮断層との間に位置する第2絶縁層と、を含む、半導体構造。
【請求項2】
前記金属半導体化合物層に、ドープ元素を有し、前記ドープ元素は、P型ドープ元素又はN型ドープ元素であり、
前記半導体チャネルは、前記ドープ元素を有し、且つ前記金属半導体化合物層における前記ドープ元素の濃度は、前記半導体チャネルにおける濃度よりも大きいことを特徴とする
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項3】
前記金属半導体化合物層の上面と前記拡散遮断層の上面は、面一となり、前記ビットラインの上面に垂直な方向に、前記金属半導体化合物層の長さは、前記拡散遮断層の長さ以下であることを特徴とする
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項4】
前記金属半導体化合物層の上面と前記拡散遮断層の上面に位置する電気的接続層を更に含み、且つ前記絶縁層は、隣接する前記半導体チャネルの上面に位置する隣接する前記電気的接続層を隔離することを特徴とする
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項5】
単一の前記ゲート電極は、前記第2方向に沿って伸び、且つ隣接する前記ビットライン上での隣接する前記半導体チャネルを取り囲み、単一の前記拡散遮断層は、単一の前記金属半導体化合物層のみを取り囲むことを特徴とする
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項6】
前記絶縁層の底面に面する前記ビットラインに少なくとも位置する金属ケイ化物構造を更に含み、
前記絶縁層の両側に位置する前記半導体チャネルが前記絶縁層を指向する方向に沿って、前記金属ケイ化物構造の深さは、次第に大きくなることを特徴とする
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項7】
前記半導体チャネルの側壁に平行な平面において、前記第1領域の前記半導体チャネルの断面面積は、前記第2領域の前記半導体チャネルの断面面積よりも大きいことを特徴とする
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項8】
前記誘電層は、
隣接する前記ビットラインの間に位置し、且つ隣接する前記ビットライン上での前記第1領域の前記半導体チャネルの間に位置する第1誘電層と、
前記第1領域の前記半導体チャネルの側壁と前記第1領域の前記第1誘電層の側壁に位置する第2誘電層と、
前記第2領域と前記第3領域の前記半導体チャネルの側壁を取り囲む第3誘電層と、を含み、
前記ゲート電極は、前記第1誘電層の一部の上面と前記第2誘電層の一部の上面に少なくとも位置し、前記拡散遮断層は、前記第3誘電層の上面に位置することを特徴とする
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項9】
半導体構造の製造方法であって、
基板を提供することであって、前記基板は、間隔を取るように配置されるビットラインと初期半導体チャネルとを含み、前記ビットラインは、第1方向に沿って伸び、前記初期半導体チャネルは、前記ビットラインの一部の上面に位置し、且つ前記ビットラインの上面に垂直な方向に、前記初期半導体チャネルは、順に配列される第1領域、第2領域及び初期第3領域を含む、ことと、
誘電層を形成することであって、前記誘電層は、隣接する前記ビットラインの間に位置し、且つ前記初期半導体チャネルの一部の側壁に位置する、ことと、
ゲート電極を形成することであって、前記ゲート電極は、前記第2領域の前記誘電層を取り囲み、且つ第2方向に沿って伸び、前記第1方向と前記第2方向は異なる、ことと、
拡散遮断層を形成することであって、前記拡散遮断層は、前記初期半導体チャネルの残りの側壁を取り囲み、且つ前記拡散遮断層と前記ゲート電極との間に間隔を有する、ことと、
前記初期半導体チャネルの上面に対して金属ケイ化処理を行い、前記初期第3領域の一部の前記初期半導体チャネルを金属半導体化合物層に変換し、残りの前記初期第3領域、前記第2領域、前記第
1領域で半導体チャネルを構成することと、
絶縁層を形成することであって、前記絶縁層は、同一の前記ビットライン上での隣接する前記半導体チャネルの間に位置する、ことと、を含む、半導体構造の製造方法。
【請求項10】
前記拡散遮断層を形成した後、前記金属半導体化合物層を形成する前に、前記初期半導体チャネルの上面に対してドーピング処理を行い、前記初期第3領域の一部の前記初期半導体チャネルにドープ元素を有させることであって、前記ドープ元素は、P型ドープ元素又はN型ドープ元素である、ことを更に含むことを特徴とする
請求項
9に記載の製造方法。
【請求項11】
基板を提供するステップは、
初期基板を提供することであって、前記初期基板内に、前記第1方向に沿って延びる初期第1誘電層を有する、ことと、
前記初期基板と前記初期第1誘電層をパターン化し、間隔を取るように配置される前記ビットラインと前記初期半導体チャネル、及び隣接するビットラインの間に位置する前記初期第1誘電層を形成することであって、且つ前記初期第1誘電層の上面は、前記初期半導体チャネルの上面よりも低くなく、前記初期半導体チャネルの側壁、前記初期第1誘電層の側壁及び前記ビットラインの一部の上面は、溝を囲んで形成し、前記溝は、前記第2方向に沿って延びる、ことと、を含み、
前記誘電層、前記ゲート電極、前記拡散遮断層及び前記絶縁層を形成するステップは、
隣接する前記ビットラインの間及び隣接する前記ビットライン上での前記第1領域の前記半導体チャネルの間に、第1誘電層を形成することと、
前記第1領域の前記溝の側壁に第2誘電層を形成することと、
第1絶縁層を形成することであって、前記第1絶縁層は、前記溝内に位置し、且つ隣接する前記第2誘電層を隔離し、前記第1絶縁層の上面は、前記初期半導体チャネルの上面よりも低くない、ことと、
第3誘電層と第2絶縁層を形成することであって、前記第3誘電層は、前記第2領域の前記溝の側壁と前記初期第3領域の前記溝の一部の側壁に位置し、前記第2絶縁層は、前記第1絶縁層と前記第3誘電層との間に位置する、ことと、
前記初期第3領域の前記溝の残りの側壁に、拡散遮断層を形成し、前記第1誘電層、前記第2誘電層及び前記第3誘電層で前記誘電層を構成し、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層で前記絶縁層を構成することと、を含むことを特徴とする
請求項
9に記載の製造方法。
【請求項12】
前記第1誘電層、前記第2誘電層及び前記第1絶縁層を形成するステップは、
前記溝の側壁に、初期第2誘電層を形成することであって、隣接する前記初期第2誘電層の間に第1間隔を有する、ことと、
前記第1間隔において、前記第1絶縁層を形成することと、
前記第1絶縁層をマスクとして前記初期第1誘電層と前記初期第2誘電層をエッチングし、前記第1誘電層と前記第2誘電層を形成することと、を含み、
前記第1絶縁層を形成する前に、前記初期第2誘電層を形成した後、前記初期第2誘電層から露出した前記ビットラインの一部の上面に対して金属ケイ化処理を行い、金属ケイ化物構造を形成することを特徴とする
請求項
11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記第3誘電層、前記ゲート電極及び前記第2絶縁層を形成するステップは、
前記第2領域と前記初期第3領域の前記初期半導体チャネルの側壁に、初期第3誘電層を形成することであって、前記初期第3誘電層と前記第1絶縁層との間に、第2間隔を有する、ことと、
前記第2領域の前記第2間隔において、前記ゲート電極を形成することと、
残りの前記第2間隔において、前記第2絶縁層を形成することと、
前記第2絶縁層をマスクとして前記初期第3誘電層をエッチングし、前記第3誘電層を形成することであって、前記第3誘電層、前記第2絶縁層及び前記半導体チャネルは、凹溝を囲んで形成する、ことと、
前記凹溝を満たす前記拡散遮断層を形成することと、を含むことを特徴とする
請求項
11に記載の製造方法。
【請求項14】
前記絶縁層の上面は、前記金属半導体化合物層の上面よりも高く、前記絶縁層、前記金属半導体化合物層及び前記拡散遮断層は、貫通孔を囲んで形成し、前記製造方法は、前記貫通孔を満たす電気的接続層を形成することを更に含むことを特徴とする
請求項
9に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年10月25日に提出された、出願番号が202111243328.2である中国特許出願に基づく優先権を主張し、該中国特許出願の全内容が参照として本願に組み込まれる。
【0002】
本願の実施例は、半導体分野に関し、特に半導体構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ダイナミックメモリの集積密度がより高くなっていることに伴い、ダイナミックメモリアレイ構造におけるトランジスタの配置方式及びダイナミックメモリアレイ構造における機能デバイスのサイズを如何に縮小するかを検討すると同時に、サイズが小さい機能デバイスの電気学的性能を向上させる必要もある。
【0004】
垂直型ゲートオールアラウンド(GAA:Gate-All-Around)トランジスタ構造をダイナミックメモリアクセストランジスタ(access transistor)として利用する時、それが占有する面積が4F2(F:所定のプロセス条件で取得可能な最小パターンサイズ)を達することができ、原則的には、より高い密度効率を実現できるが、隣接するトランジスタの間の間隔が小さいため、半導体チャネルに対してプロセス処理を行う時、隣接するトランジスタの間の絶縁層に影響を及ぼし、絶縁層の絶縁効果を低下させることが発生しやすく、それにより半導体構造の電気学的性能に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の実施例は、半導体構造の電気学的性能の向上の課題に少なくとも有利である半導体構造及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の実施例の一態様によれば、半導体構造を提供する。前記半導体構造は、間隔を取るように(間隔を空けて。間隔を置いて)配置されるビットラインと半導体チャネルとを含む基板であって、前記ビットラインは、第1方向に沿って伸び、前記半導体チャネルは、前記ビットラインの一部の上面に位置し、且つ前記ビットラインの上面に垂直な方向に、前記半導体チャネルは、順に配列される第1領域、第2領域及び第3領域を含む、基板と、隣接する前記ビットラインの間に位置し、且つ前記半導体チャネルの側壁に位置する誘電層と、前記第2領域の前記誘電層を取り囲み、且つ第2方向に沿って延びるゲート電極であって、前記第1方向と前記第2方向は異なる、ゲート電極と、前記半導体チャネルの上面に位置する金属半導体化合物層と、少なくとも前記金属半導体化合物層の側壁を取り囲む拡散遮断層と、同一の前記ビットライン上での隣接する前記半導体チャネルの間に位置し、且つ隣接する前記誘電層上での前記ゲート電極と前記拡散遮断層を隔離する絶縁層と、を含む。
【0007】
いくつかの実施例において、前記金属半導体化合物層に、ドープ元素を有し、前記ドープ元素は、P型ドープ元素又はN型ドープ元素である。
【0008】
いくつかの実施例において、前記半導体チャネルは、前記ドープ元素を有し、且つ前記金属半導体化合物層における前記ドープ元素の濃度は、前記半導体チャネルにおける濃度よりも大きい。
【0009】
いくつかの実施例において、前記金属半導体化合物層の上面と前記拡散遮断層の上面は、面一となり、前記ビットラインの上面に垂直な方向に、前記金属半導体化合物層の長さは、前記拡散遮断層の長さ以下である。
【0010】
いくつかの実施例において、前記半導体構造は、前記金属半導体化合物層の上面と前記拡散遮断層の上面に位置する電気的接続層を更に含み、且つ前記絶縁層は、隣接する前記半導体チャネルの上面に位置する隣接する前記電気的接続層を隔離する。
【0011】
いくつかの実施例において、単一の前記ゲート電極は、前記第2方向に沿って伸び、且つ隣接する前記ビットライン上での隣接する前記半導体チャネルを取り囲み、単一の前記拡散遮断層は、単一の前記金属半導体化合物層のみを取り囲む。
【0012】
いくつかの実施例において、前記半導体構造は、前記絶縁層の底面に面する前記ビットラインに少なくとも位置する金属ケイ化物構造を更に含む。
【0013】
いくつかの実施例において、前記絶縁層の両側に位置する前記半導体チャネルが前記絶縁層を指向する方向に沿って、前記金属ケイ化物構造の深さは、次第に大きくなる。
【0014】
いくつかの実施例において、前記半導体チャネルの側壁に平行な平面において、前記第1領域の前記半導体チャネルの断面面積は、前記第2領域の前記半導体チャネルの断面面積よりも大きい。
【0015】
いくつかの実施例において、前記誘電層は、隣接する前記ビットラインの間に位置し、且つ隣接する前記ビットライン上での前記第1領域の前記半導体チャネルの間に位置する第1誘電層と、前記第1領域の前記半導体チャネルの側壁と前記第1領域の前記第1誘電層の側壁に位置する第2誘電層と、前記第2領域と前記第3領域の前記半導体チャネルの側壁を取り囲む第3誘電層と、を含む。
【0016】
いくつかの実施例において、前記ゲート電極は、前記第1誘電層の一部の上面と前記第2誘電層の一部の上面に少なくとも位置し、前記拡散遮断層は、前記第3誘電層の上面に位置する。
【0017】
いくつかの実施例において、前記絶縁層は、隣接する前記半導体チャネルの前記誘電層の間と前記ゲート電極の間に位置し、且つ前記第2方向に沿って延びる第1絶縁層であって、前記第1絶縁層の上面は、前記金属半導体化合物層の上面よりも低くない、第1絶縁層と、前記ゲート電極の上面に位置し、且つ前記第1絶縁層と前記拡散遮断層との間に位置する第2絶縁層と、を含む。
【0018】
本願の実施例の別の態様によれば、半導体構造の製造方法を更に提供する。前記方法は、基板を提供することであって、前記基板は、間隔を取るように配置されるビットラインと初期半導体チャネルとを含み、前記ビットラインは、第1方向に沿って伸び、前記初期半導体チャネルは、前記ビットラインの一部の上面に位置し、且つ前記ビットラインの上面に垂直な方向に、前記初期半導体チャネルは、順に配列される第1領域、第2領域及び初期第3領域を含む、ことと、誘電層を形成することであって、前記誘電層は、隣接する前記ビットラインの間に位置し、且つ前記初期半導体チャネルの一部の側壁に位置する、ことと、ゲート電極を形成することであって、前記ゲート電極は、前記第2領域の前記誘電層を取り囲み、且つ第2方向に沿って伸び、前記第1方向と前記第2方向は異なる、ことと、拡散遮断層を形成することであって、前記拡散遮断層は、前記初期半導体チャネルの残りの側壁を取り囲み、且つ前記拡散遮断層と前記ゲート電極との間に間隔を有する、ことと、前記初期半導体チャネルの上面に対して金属ケイ化処理を行い、前記初期第3領域の一部の前記初期半導体チャネルを金属半導体化合物層に変換し、残りの前記初期第3領域、前記第2領域、前記第3領域で半導体チャネルを構成することと、絶縁層を形成することであって、前記絶縁層は、同一の前記ビットライン上での隣接する前記半導体チャネルの間に位置する、ことと、を含む。
【0019】
いくつかの実施例において、前記拡散遮断層を形成した後、前記金属半導体化合物層を形成する前に、前記初期半導体チャネルの上面に対してドーピング処理を行い、前記初期第3領域の一部の前記初期半導体チャネルにドープ元素を有させることであって、前記ドープ元素は、P型ドープ元素又はN型ドープ元素である、ことを更に含む。
【0020】
いくつかの実施例において、基板を提供するステップは、初期基板を提供することであって、前記初期基板内に、前記第1方向に沿って延びる初期第1誘電層を有する、ことと、前記初期基板と前記初期第1誘電層をパターン化し、間隔を取るように配置される前記ビットラインと前記初期半導体チャネル、及び隣接するビットラインの間に位置する前記初期第1誘電層を形成することであって、且つ前記初期第1誘電層の上面は、前記初期半導体チャネルの上面よりも低くなく、前記初期半導体チャネルの側壁、前記初期第1誘電層の側壁及び前記ビットラインの一部の上面により囲まれて溝を形成し、前記溝は、前記第2方向に沿って延びる、ことと、を含む。
【0021】
いくつかの実施例において、前記誘電層、前記ゲート電極、前記拡散遮断層及び前記絶縁層を形成するステップは、隣接する前記ビットラインの間及び隣接する前記ビットライン上での前記第1領域の前記半導体チャネルの間に、第1誘電層を形成することと、前記第1領域の前記溝の側壁に第2誘電層を形成することと、第1絶縁層を形成することであって、前記第1絶縁層は、前記溝内に位置し、且つ隣接する前記第2誘電層を隔離し、前記第1絶縁層の上面は、前記初期半導体チャネルの上面よりも低くない、ことと、第3誘電層と第2絶縁層を形成することであって、前記第3誘電層は、前記第2領域の前記溝の側壁と前記初期第3領域の前記溝の一部の側壁に位置し、前記第2絶縁層は、前記第1絶縁層と前記第3誘電層との間に位置する、ことと、前記初期第3領域の前記溝の残りの側壁に、拡散遮断層を形成し、前記第1誘電層、前記第2誘電層及び前記第3誘電層で前記誘電層を構成し、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層で前記絶縁層を構成することと、を含む。
【0022】
いくつかの実施例において、前記第1誘電層、前記第2誘電層及び前記第1絶縁層を形成するステップは、前記溝の側壁に、初期第2誘電層を形成することであって、隣接する前記初期第2誘電層の間に第1間隔を有する、ことと、前記第1間隔において、前記第1絶縁層を形成することと、前記第1絶縁層をマスクとして前記初期第1誘電層と前記初期第2誘電層をエッチングし、前記第1誘電層と前記第2誘電層を形成することと、を含む。
【0023】
いくつかの実施例において、前記第1絶縁層を形成する前に、前記初期第2誘電層を形成した後、前記初期第2誘電層から露出した前記ビットラインの一部の上面に対して金属ケイ化処理を行い、金属ケイ化物構造を形成する。
【0024】
いくつかの実施例において、前記第3誘電層、前記ゲート電極及び前記第2絶縁層を形成するステップは、前記第2領域と前記初期第3領域の前記初期半導体チャネルの側壁に、初期第3誘電層を形成することであって、前記初期第3誘電層と前記第1絶縁層との間に、第2間隔を有する、ことと、前記第2領域の前記第2間隔において、前記ゲート電極を形成することと、残りの前記第2間隔において、前記第2絶縁層を形成することと、前記第2絶縁層をマスクとして前記初期第3誘電層をエッチングし、前記第3誘電層を形成することと、前記第3誘電層、前記第2絶縁層及び前記半導体チャネルにより、凹溝を囲んで形成し、前記凹溝を満たす前記拡散遮断層を形成することと、を含む。
【0025】
いくつかの実施例において、前記絶縁層の上面は、前記金属半導体化合物層の上面よりも高く、前記絶縁層、前記金属半導体化合物層及び前記拡散遮断層により囲まれて貫通孔を形成し、前記製造方法は、前記貫通孔を満たす電気的接続層を形成することを更に含む。
【発明の効果】
【0026】
本願の実施例による技術案は少なくとも以下の利点を有する。
【0027】
上記技術案では、基板において、垂直型GAAトランジスタを形成し、ビットラインが、基板に埋め込まれ、且つ半導体チャネルの下方に位置するため、3Dスタック型半導体構造を構成することができ、半導体構造の集積密度の向上に有利である。そして、半導体チャネルのビットラインから離れる上面に金属半導体化合物層を有し、金属半導体化合物層が、金属化されていない半導体チャネルに比べて、相対的により小さい抵抗率を有するため、金属半導体化合物層は、遷移層として、半導体チャネルの上面と他の導電構造とのオーム接触を実現させ、半導体チャネルの上面と他の導電構造との接触抵抗を低減させ、半導体チャネルの電気学的性能を向上させることができる。なお、拡散遮断層は、少なくとも、前記金属半導体化合物層の側壁を取り囲むため、金属半導体化合物層と絶縁層とが、拡散遮断層により隔てられ、金属半導体化合物層における金属元素が絶縁層に拡散し、絶縁層の絶縁性能の低下を引き起こすことを防止することに有利である。従って、本願の実施例は、金属半導体化合物層により、半導体チャネルの上面と他の導電構造との接触抵抗を低減させると同時に、絶縁層の良好な絶縁性能を確保し、半導体構造の電気学的性能を向上させることに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本願の実施例による半導体構造の製造方法の各ステップに対応する構造概略図である。
【
図2】本願の実施例による半導体構造の製造方法の各ステップに対応する構造概略図である。
【
図3】本願の実施例による半導体構造の製造方法の各ステップに対応する構造概略図である。
【
図4】本願の実施例による半導体構造の製造方法の各ステップに対応する構造概略図である。
【
図5】本願の実施例による半導体構造の製造方法の各ステップに対応する構造概略図である。
【
図6】本願の実施例による半導体構造の製造方法の各ステップに対応する構造概略図である。
【
図7】本願の実施例による半導体構造の製造方法の各ステップに対応する構造概略図である。
【
図8】本願の実施例による半導体構造の製造方法の各ステップに対応する構造概略図である。
【
図9】本願の実施例による半導体構造の製造方法の各ステップに対応する構造概略図である。
【
図10】本願の実施例による半導体構造の製造方法の各ステップに対応する構造概略図である。
【
図11】本願の実施例による半導体構造の製造方法の各ステップに対応する構造概略図である。
【
図12】本願の実施例による半導体構造の製造方法の各ステップに対応する構造概略図である。
【
図13】本願の実施例による半導体構造の製造方法の各ステップに対応する構造概略図である。
【
図14】本願の実施例による半導体構造の製造方法の各ステップに対応する構造概略図である。
【
図15】本願の実施例による半導体構造の製造方法の各ステップに対応する構造概略図である。
【
図16】本願の実施例による半導体構造の製造方法の各ステップに対応する構造概略図である。
【
図17】本願の実施例による半導体構造の製造方法の各ステップに対応する構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
1つ又は複数の実施例は、それに対応する図面中のピクチャによって例示的に説明されるが、これらの例示的な説明は実施例の限定を構成するものではなく、特に明記がない限り、図面における図は、比例を制限するものではない。
【0030】
背景技術から分かるように、現在の半導体構造の電気学的性能が向上する必要がある。
【0031】
分析によれば、半導体チャネルと他の導電構造とのオーム接触を実現させるために、関連技術的手段を用いて、金属元素を半導体チャネルの端部にドーピングすることで、半導体チャネルの端部の抵抗率を低減させ、半導体チャネルの端部と他の導電構造とのオーム接触を実現させることが発見された。しかしながら、隣接する半導体チャネル間は、絶縁層により電気的絶縁を行う時、半導体チャネルにおける金属元素は、絶縁層に拡散し、絶縁層の絶縁効果を低下させ、それにより隣接する半導体チャネルの間の寄生容量を増大させ、半導体構造の電気学的性能を低下させる。
【0032】
本願の実施例は、半導体構造及びその製造方法を提供する。半導体構造において、半導体チャネルと他の導電構造とのオーム接触を実現させるために、半導体チャネルの上面に、遷移層とした金属半導体化合物層を有し、半導体チャネルの上面と他の導電構造とのオーム接触を実現させ、半導体チャネルの上面と他の導電構造との接触抵抗を低減させる。なお、金属半導体化合物層と絶縁層とが、拡散遮断層により隔てられ、金属半導体化合物層における金属元素が絶縁層に拡散することを防止することに有利である。従って、本願の実施例は、金属半導体化合物層により、半導体チャネルの上面と他の導電構造との接触抵抗を低減させると同時に、絶縁層の良好な絶縁性能を確保し、半導体構造の電気学的性能を向上させることに有利である。
【0033】
以下、図面を参照しながら、本願の各実施例について詳細に説明する。しかしながら、当業者であれば理解できるように、本願の各実施例において、読者が本願をよりよく理解するために多くの技術的詳細が提示されている。しかしながら、これらの技術的詳細や、以下の各実施例に基づく種々の変更や修正がなくても、本願において保護が要求される技術案を実現することができる。
【0034】
本願の実施例は、半導体構造を提供する。以下、図面を参照しながら、本願の実施例による半導体構造を詳しく説明する。
図1から
図3は、本願の実施例による半導体構造に対応する構造概略図である。ここで、
図1は、本願の実施例による半導体構造の上面図であり、
図2は、
図1に示す半導体構造の、第1断面方向AA1に沿った断面図であり、
図3は、
図1に示す半導体構造の、第2断面方向BB1に沿った断面であり、
図4は、半導体構造におけるゲート電極が半導体チャネルを取り囲むことと、拡散遮断層が金属半導体化合物層を取り囲むことと、の断面図である。
【0035】
図1から
図4に示すように、半導体構造は、間隔を取るように配置されるビットライン101と半導体チャネル102とを含む基板100であって、ビットライン101は、第1方向に沿って伸び、半導体チャネル102は、ビットライン101の一部の上面に位置し、且つビットライン101の上面に垂直な方向Zに、半導体チャネル102は、順に配列される第1領域I、第2領域II及び第3領域IIIを含む、基板100と、隣接するビットライン101の間に位置し、且つ半導体チャネル102の側壁に位置する誘電層103と、第2領域IIの誘電層103を取り囲み、且つ第2方向Yに沿って延びるゲート電極104であって、第1方向Xと前記第2方向Yは異なる、ゲート電極104と、半導体チャネル102の上面に位置する金属半導体化合物層105と、少なくとも金属半導体化合物層105の側壁を取り囲む拡散遮断層106と、同一のビットライン101上での隣接する半導体チャネル102の間に位置し、且つ隣接する誘電層103上でのゲート電極104と拡散遮断層106を隔離する絶縁層107と、を含む。
【0036】
ここで、半導体チャネル102、第2領域IIの半導体チャネル102の側壁を取り囲む誘電層103及びゲート電極104で、垂直なGAAトランジスタを構成し、基板100は、ベース110を含み、ビットライン101は、ベース110とGAAトランジスタとの間に位置するため、3Dスタック型半導体構造を構成することができ、半導体構造の集積密度の向上に有利である。
【0037】
説明すべきことは、第1領域Iと第3領域IIIは、いずれもGAAトランジスタのソース電極又はドレイン電極としてもよく、第2領域IIは、GAAトランジスタの誘電層103とゲート電極104に対応する。
【0038】
いくつかの実施例において、引き続き
図1を参照すると、第1方向Xが第2方向Yに垂直であるため、半導体チャネル102が4F2(F:所定のプロセス条件で取得可能な最小パターンサイズ)の配置方式となり、半導体構造の集積密度の向上に有利である。他の実施例において、第1方向と第2方向が交わり、両者間の夾角は、90°ではなくてもよい。
【0039】
説明すべきことは、基板100において、間隔を取るように配置される複数のビットライン101を有し、且つ各ビットライン101は、少なくとも1つの第1領域Iに接触してもよい。
図1において、4つの互いに隔てられるビットライン101、及び各ビットライン101と4つの第1領域Iとの接触を例とする。実際の応用において、実際の電気学的需要に応じて、ビットライン101の数及び各ビットライン101に接触する第1領域Iの数を合理的に設定してもよい。
【0040】
以下、
図1から
図3を参照しながら、半導体構造を更に詳しく説明する。
【0041】
いくつかの実施例において、基板100の材料のタイプは、元素半導体材料又は結晶型無機化合物半導体材料であってもよい。元素半導体材料は、シリコン又はゲルマニウムであってもよく、結晶型無機化合物半導体材料は、炭化ケイ素、ゲルマニウム化ケイ素、ヒ化ガリウム又はガリウム化インジウムなどであってもよい。
【0042】
いくつかの実施例において、基板100は、ビットライン101と半導体チャネル102とを含み、且つ基板100、ビットライン101及び半導体チャネル102は、同じ半導体元素を有してもよい。従って、半導体チャネル102とビットライン101は、同一のフィルム層構造で形成されてもよい。該フィルム層構造は、半導体元素で構成されるため、半導体チャネル102とビットライン101は、一体型構造となり、それにより、半導体チャネル102とビットライン101との界面状態の欠陥を改善し、半導体構造の電気学的性能を改善する。
【0043】
ここで、半導体元素は、シリコンと、炭素と、ゲルマニウムと、ヒ素と、ガリウムと、インジウムとのうちの少なくとも1つを含んでもよく、後続で、ビットライン101と半導体チャネル102がいずれもシリコン元素を含むことを例として例示的に説明する。
【0044】
いくつかの実施例において、半導体構造において、絶縁層107の底面に面するビットライン101中に少なくとも位置する金属ケイ化物構造111を更に含んでもよく、即ち、金属ケイ化物構造111は、第1絶縁層117の底面に面するビットライン101中に少なくとも位置する。
【0045】
金属ケイ化物構造111は、金属化されていない半導体材料に比べて、相対的に小さい抵抗率を有するため、半導体チャネル102に比べて、金属ケイ化物構造111を有するビットライン101の抵抗率はより小さく、それによりビットライン101自体の抵抗の低減に有利であり、且つビットライン101と第1領域Iの半導体チャネル102との接触抵抗を低減させ、更に、半導体構造の電気学的性能を改善する。なお、ビットライン101の抵抗率は、ベース110の抵抗率よりも小さい。
【0046】
説明すべきことは、いくつかの実施例において、第1領域Iの真下に位置するビットライン101の領域の材料は、半導体材料であってもよく、第1領域Iにより覆われていないビットライン101の一部の領域の材料は、金属ケイ化物である。理解できるように、デバイスのサイズの継続的な縮小又は製造プロセスパラメータの調整に伴い、第1領域Iの真下に位置するビットライン101の一部の領域の材料は、半導体材料であり、第1領域Iの真下に位置するビットライン101の他の領域の材料は、金属ケイ化物であってもよく、ここで、「他の領域」の位置は、「一部の領域」の外囲(外側)にある。
【0047】
例えば、
図2を参照すると、ビットライン101における複数の金属ケイ化物構造111間は互いに連通してビットライン101の一部を形成し、且つ金属ケイ化物構造111は、部分的にビットライン101中に位置し、部分的に第1領域Iの半導体チャネル102中に位置してもよい。他の実施例において、同一のビットラインにおける複数の金属ケイ化物構造間は、互いに隔てられてもよい。
【0048】
図2において、楕円形と類似度した破線枠により限定された基板100の領域を金属ケイ化物構造111とする。実際の応用において、隣接する金属ケイ化物構造111間の相互接触の領域の大きさを限定しない。他の実施例において、全ての厚さのビットラインは、金属ケイ化物構造111であってもよい。
【0049】
いくつかの実施例において、引き続き
図2を参照すると、単一の金属ケイ化物構造111にとって、絶縁層107の両側に位置する半導体チャネル102が絶縁層107を指向する方向に沿って、即ち、C1とC2方向に沿って、金属ケイ化物構造111の深さは、次第に大きくなる。
【0050】
半導体元素がシリコンであることを例として、金属ケイ化物構造111の材料は、ケイ化コバルト、ケイ化ニッケル、ケイ化モリブデン、ケイ化チタン、ケイ化タングステン、ケイ化タンタル又はケイ化プラチナのうちの少なくとも1つを含む。
【0051】
いくつかの実施例において、半導体チャネル102において、ドープ元素を有してもよい。これは、半導体チャネル102の導電性の向上に有利であり、それにより第1領域Iと第3領域IIIとの間の導通電圧の低減、即ち、GAAトランジスタにおけるソース電極とドレイン電極との間の導通電圧の低減に有利である。ここで、ドープ元素は、P型ドープ元素又はN型ドープ元素であり、具体的には、N型ドープ元素は、ヒ素元素、リン元素又はアンチモンのうちの少なくとも1つであってもよく、P型ドープ元素は、ホウ素元素、インジウム元素又はガリウム元素のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0052】
いくつかの実施例において、GAAトランジスタは、無接合トランジスタであってもよく、即ち、第1領域I、第2領域II及び第3領域IIIにおけるドープ元素のタイプは同じである。ここで、「無接合」とは、PN接合がないことであり、即ち、第1領域I、第2領域II及び第3領域IIIにおけるドープ元素のドーピング濃度が同じである。その利点は、以下を含む。一方では、第1領域Iと第3領域IIIに対して更なるドーピングを行う必要がなく、それにより第1領域Iと第3領域IIIのドーピングプロセスを制御しにくいという問題を避ける。特に、トランジスタサイズが更に小さくなることに伴い、第1領域Iと第3領域IIIに対して更なるドーピングを行うと、ドーピング濃度を更に制御しにくい。他方では、デバイスが無接合トランジスタであるため、超急峻ソースドレイン濃度勾配ドーピングプロセスを利用してナノスケール範囲内に超急峻PN接合を製作することを避けることに有利である。従って、ドーピングの突然変化による閾値電圧ドリフトとドレイン電流の増加などの問題を避けることができ、更に、ショートチャネル効果の抑制に有利であるため、半導体構造の集積密度と電気学的性能の更なる向上に寄与する。理解できるように、ここの更なるドーピングは、第1領域Iと第3領域IIIのドープ元素のタイプと第2領域IIのドープ元素のタイプを異ならせるために行われるドーピングである。
【0053】
引き続き
図2と
図3を参照すると、半導体チャネル102の側壁に垂直な平面において、第1領域Iの半導体チャネル102の断面面積は、第2領域IIの半導体チャネル102の断面面積よりも大きい。
【0054】
ここで、第2領域IIの半導体チャネル102の断面面積は、第1領域Iの半導体チャネル102の断面面積よりも小さく、第2領域IIの半導体チャネル102は、GAAトランジスタのチャネル領域としてもよく、従って、断面面積がより小さいチャネル領域の形成に有利であり、チャネル領域の側壁を取り囲むゲート電極104の、チャネル領域に対する制御能力の向上に有利であり、それによりGAAトランジスタの導通又は遮断の制御がより容易である。
【0055】
図2と
図3を参照すると、誘電層103は、隣接するビットライン101の間に位置し、且つ隣接するビットライン101上での第1領域Iの半導体チャネル102の間に位置する第1誘電層113と、第1領域区Iの半導体チャネル102の側壁と第1領域1の第1誘電層113の側壁に位置する第2誘電層123と、第2領域IIと第3領域IIIの半導体チャネル102の側壁を取り囲む第3誘電層133と、を含んでもよい。
【0056】
ここで、隣接するビットライン101の間に位置する第1誘電層113は、隣接するビットライン101の間の電気的絶縁を実現させるためのものであり、隣接するビットライン101上での第1領域Iの半導体チャネル102の間に位置する第1誘電層113、第2誘電層123及び絶縁層107は、共同で働き、第1方向Xに沿って隔てられ、及び/又は、第2方向Yに沿って隔てられる第1領域Iの半導体チャネル102の間の電気的絶縁を実現させるためのものであり、第2領域IIの半導体チャネル102の側壁を取り囲む第3誘電層133は、後続で形成されるゲート電極104と第2領域IIの半導体チャネル102との間のゲート電極誘電層としてもよく、第3領域IIIの半導体チャネル102の側壁を取り囲む第3誘電層133と絶縁層107は、共同で働き、第1方向X沿って隔てられ、及び/又は、第2方向Yに沿って隔てられる第3領域IIIの半導体チャネル102の間の電気的絶縁を実現させるためのものである。
【0057】
いくつかの実施例において、第3誘電層133は更に、第2誘電層123の一部の側壁に位置してもよく、これは、ゲート電極104と半導体チャネル102との絶縁を更に確保することに有利である。
【0058】
いくつかの実施例において、第1誘電層113の材料と第2誘電層123の材料は同じであり、更に、第1誘電層113の材料と第2誘電層123の材料はいずれもシリコン酸化物であってもよい。別のいくつかの実施例において、第3誘電層133の材料、第2誘電層123の材料及び第1誘電層113の材料はいずれも同じであってもよい。またいくつかの実施例において、第3誘電層133の材料は、第2誘電層123の材料及び第1誘電層113の材料と異なってもよく、第3誘電層133の材料、第2誘電層123の材料及び第1誘電層113の材料がいずれも絶縁効果の高い材料であることを満たせばよい。
【0059】
いくつかの実施例において、
図4を参照すると、単一のゲート電極104は、第2方向Yに沿って伸び、且つ隣接するビットライン101上での隣接する半導体チャネル102を取り囲み、単一の拡散遮断層106は、単一の金属半導体化合物層105のみを取り囲む。いくつかの実施例において、第3誘電層133の、ベース110への正投影は、拡散遮断層106の、ベース110への正投影と重なり合ってもよい。
【0060】
ここで、第2方向Yに沿って、単一のゲート電極104は、複数の半導体チャネル102を取り囲んでもよく、且つゲート電極104とこれら複数の半導体チャネル102との間に、いずれも、第3誘電層133を有し、隣接する拡散遮断層106の間は、第二絶縁層127により隔てられてもよい。
【0061】
ここで、ゲート電極104の材料は、多結晶シリコン、窒化チタン、銅又はタングステンのうちの少なくとも1つを含み、拡散遮断層106の材料は、窒化チタンであってもよい。
【0062】
いくつかの実施例において、半導体チャネル102の側壁に垂直な平面において、第1領域Iの半導体チャネル102の断面面積が第2領域IIの半導体チャネル102の断面面積よりも大きく、且つ誘電層103が第1誘電層113、第2誘電層123及び第3誘電層133を含むと、ゲート電極104は、第1誘電層113の一部の上面と第2誘電層123の一部の上面に少なくとも位置し、拡散遮断層106は、第3誘電層133の上面に位置する。
【0063】
ここで、拡散遮断層106は、金属半導体化合物層105の側壁を取り囲む。これは、金属半導体化合物層105における金属元素が絶縁層107に拡散することを防止し、絶縁層107の良好な絶縁性能を確保することに有利である。なお、拡散遮断層106は、第3誘電層133の上面に位置する。これは、更に、拡散遮断層106の上面に位置する他の導電構造における関連導電元素が第3誘電層133に拡散することを避け、第3誘電層133の良好な絶縁性能を確保することもできる。
【0064】
いくつかの実施例において、拡散遮断層106の、ベース110への正投影は、第3誘電層133の、ベース110への正投影を覆ってもよい。これは、拡散遮断層106の上面に位置する他の導電構造における関連導電元素が第3誘電層133に拡散することをより全面的に阻止することに有利である。
【0065】
他の実施例において、誘電層が第1誘電層、第2誘電層及び第3誘電層を含む時、半導体チャネルの側壁に垂直な平面において、第1領域の半導体チャネルの断面面積が第2領域の半導体チャネルの断面面積に等しければ、第3誘電層とゲート電極は、共同で第2誘電層の上面を覆う。
【0066】
なお、金属半導体化合物層105は、金属化されていない半導体材料に比べて、相対的に小さい抵抗率を有するため、半導体チャネル102に比べて、金属半導体化合物層105の抵抗率はより小さい。金属半導体化合物層105の上面に電気的接続層18を有すると、金属半導体化合物層105を遷移層として半導体チャネル102の上面と電気的接続層108との間にオーム接触を構成することに有利であり、電気的接続層108と半導体材料の直接接触によるショットキーバリア接触の形成を避ける。オーム接触は、半導体チャネル102の上面と電気的接続層108との間の接触抵抗の低減に有利であり、それにより半導体構造が作動する時のエネルギー消費を低減させ、且つRC遅延効果を改善し、半導体構造の電気学的性能を向上させることができる。ここで、金属半導体化合物層105の材料は、ケイ化コバルト、ケイ化ニッケル、ケイ化モリブデン、ケイ化チタン、ケイ化タングステン、ケイ化タンタル又はケイ化プラチナのうちの少なくとも1つを含む。
【0067】
いくつかの実施例において、金属半導体化合物層105において、ドープ元素を有してもよく、ドープ元素は、P型ドープ元素又はN型ドープ元素である。このように、金属半導体化合物層105自体の導電性を更に向上させることに有利である。
【0068】
なお、金属半導体化合物層105においてドープ元素を有する上で、半導体チャネル102において、金属半導体化合物層105におけるタイプと同じであるドープ元素を有してもよく、且つ金属半導体化合物層105におけるドープ元素の濃度は、半導体チャネル102における濃度よりも大きい。このように、半導体チャネル102自体の導電性を向上させると同時に、金属半導体化合物層105と半導体チャネル102との間の接触抵抗を更に低減することに有利である。
【0069】
いくつかの実施例において、金属半導体化合物層105の上面と拡散遮断層106の上面は、面一となってもよく、ビットライン101の上面に垂直な方向Zに、金属半導体化合物層105の長さは、拡散遮断層106の長さ以下であってもよい。このように、拡散遮断層106は、少なくとも、金属半導体化合物層105全体の側壁を含んでもよい。拡散遮断層106の、拡散防止役割を果たす総面積を増大し、金属半導体化合物層105における金属元素が絶縁層107に拡散することを防止する効果を向上させる。なお、拡散遮断層106の長さは、金属半導体化合物層105の長さよりも大きく、即ち、拡散遮断層106は、更に、一部の半導体チャネル102の側壁を取り囲む。これは、半導体チャネル102におけるドープ元素が絶縁層107に拡散することを防止することに有利である。
【0070】
ここで、ビットライン101の上面に垂直な方向Zに、金属半導体化合物層105の長さと拡散遮断層106の長さとの比は、0.8~1.2であってもよい。このように、拡散遮断層106とゲート電極104との間に適切なピッチを有することを確保することに有利であり、拡散遮断層106とゲート電極104との間に寄生容量を発生することを避ける。
【0071】
いくつかの実施例において、絶縁層107は、隣接する半導体チャネル102の誘電層103の間とゲート電極104の間に位置し、且つ第2方向Yに沿って延びる第1絶縁層117であって、第1絶縁層117の上面は、金属半導体化合物層105の上面よりも低くない、第1絶縁層117と、ゲート電極104の上面に位置し、且つ第1絶縁層117と拡散遮断層106との間に位置する第2絶縁層127と、を含む。
【0072】
ここで、第1絶縁層117と第2絶縁層127は、共同で働き、隣接する半導体チャネル102の間の電気的絶縁及び隣接するゲート電極104の間の電気的絶縁を実現させるためのものである。なお、ゲート電極104の上面に位置する第2絶縁層127は、ゲート電極104と他の導電構造との電気的絶縁を実現させることができる。
【0073】
いくつかの実施例において、半導体構造は、金属半導体化合物層105の上面と拡散遮断層106の上面に位置する電気的接続層108を更に含み、且つ絶縁層107は、隣接する半導体チャネル102の上面に位置する隣接する電気的接続層108を隔離する。
【0074】
ここで、電気的接続層108は、半導体チャネル102とコンデンサ構造(図示されず)との電気的接続を実現させるためのものであってもよい。
【0075】
要するに、金属半導体化合物層105が、金属化されていない半導体チャネル102に比べて、相対的により小さい抵抗率を有するため、金属半導体化合物層105により、半導体チャネル102の上面と他の導電構造、例えば電気的接続層108とのオーム接触を実現させ、半導体チャネル102の上面と電気的接続層108との接触抵抗を低減させ、半導体チャネル102の電気学的性能を向上させることができる。なお、金属半導体化合物層105と絶縁層107とが、拡散遮断層106により隔てられ、金属半導体化合物層105における金属元素が絶縁層107に拡散し、絶縁層107の絶縁性能の低下を引き起こすことを防止することに有利である。従って、本願の実施例は、金属半導体化合物層105により、半導体チャネル102の上面と電気的接続層108との接触抵抗を低減させると同時に、絶縁層107の良好な絶縁性能を確保し、半導体構造の電気学的性能を向上させることに有利である。
【0076】
本願の別の実施例は、上記半導体構造の形成に用いられる半導体構造の製造方法を更に提供する。
【0077】
図1から
図17は、本願の実施例による半導体構造の製造方法における各ステップに対応する断面構造概略図である。以下、図面を参照しながら、本願の実施例による半導体構造の製造方法を詳しく説明し、上記実施例と同じ又は該当する部分は、以下において詳しく説明しない。
【0078】
説明すべきことは、半導体構造の製造方法のステップの説明及び指示を容易にするために、本実施例における
図1から
図17は、いずれも、半導体構造の局所的構造概略図である。
【0079】
ここで、
図7は、
図6に示す構造の、第1断面方向AA1に沿った断面概略図と第2断面方向BB1に沿った断面概略図である。説明すべきことは、後続で、記述の必要に応じて、第1断面方向AA1に沿った断面概略図と第2断面方向BB1に沿った断面概略図とのうちの1つ又は両者を設定する。
【0080】
図5から
図7を参照すると、基板100を提供し、基板100は、間隔を取るように配置されるビットライン101と初期半導体チャネル112とを含み、ビットライン101は、第1方向Xに沿って伸び、初期半導体チャネル102は、ビットライン101の一部の上面に位置し、且つビットライン101の上面に垂直な方向Zに、初期半導体チャネル112は、順に配列される第1領域I、第2領域II及び初期第3領域IVを含み、誘電層103を形成し、誘電層103は、隣接するビットライン101の間に位置し、且つ初期半導体チャネル112の一部の側壁に位置する。
【0081】
説明すべきことは、初期半導体チャネル112の第1領域I、第2領域IIは、後続の半導体チャネルの第1領域と第2領域であり、初期半導体チャネル112の初期第3領域IVは、後続で半導体チャネルの第3領域と金属半導体化合物層を形成するために準備を行う。理解できるように、第1領域Iと後続で形成される第3領域はいずれも、後続で形成される、半導体チャネルを有するGAAトランジスタのソース電極又はドレイン電極としてもよく、第2領域IIは、後続で形成されるGAAトランジスタの誘電層とゲート電極に対応する。
【0082】
いくつかの実施例において、基板100を提供することは、以下のステップを含んでもよい。
【0083】
図5を参照すると、初期基板120を提供し、初期基板120内に、第1方向Xに沿って延びる初期第1誘電層143を有する。
図6から
図7を参照すると、初期基板120と初期第1誘電層143をパターン化し、間隔を取るように配置されるビットライン101と初期半導体チャネル112、及び隣接するビットライン101の間に位置する初期第1誘電層143を形成し、且つ初期第1誘電層143の上面は、初期半導体チャネル112の上面よりも低くなく、初期半導体チャネル112の側壁、初期第1誘電層143の側壁及びビットライン101の一部の上面は、溝109を囲んで形成し、溝109は、第2方向Yに沿って延びる。
【0084】
ここで、初期基板120の材料のタイプは、元素半導体材料又は結晶型無機化合物半導体材料であってもよい。元素半導体材料は、シリコン又はゲルマニウムであってもよく、結晶型無機化合物半導体材料は、炭化ケイ素、ゲルマニウム化ケイ素、ヒ化ガリウム又はガリウム化インジウムなどであってもよい。初期基板120は、ビットライン101と初期半導体チャネル112を形成するための基礎であり、且つ初期基板120と初期第1誘電層143をパターン化してビットライン101と初期半導体チャネル112を形成すると同時に、ベース110を更に形成する。
【0085】
ここで、初期基板120と初期第1誘電層143をパターン化する方法は、セルフアライン多重パターニング技術(SAQP:Self-Aligned Quadruple Patterning)又はセルフアライン二重パターニング技術(SADP:Self-aligned Double Patterning)を含む。
【0086】
いくつかの実施例において、初期基板120に対してドーピング処理及びアニーリング処理を行い、初期基板120内に、N型ドープ元素又はP型ドープ元素をドーピングしてもよい。これは、初期基板120を基礎として形成される初期半導体チャネル102の導電性の向上に有利であり、それにより第1領域Iと初期第3領域IIIとの間の導通電圧の低減、即ち、後続で形成されるGAAトランジスタにおけるソース電極とドレイン電極との導通電圧の低減に有利である。なお、初期基板120にN型ドープ元素又はP型ドープ元素をドーピングすることで、初期基板120を基礎として形成されるビットライン101の導電性を向上させることに有利であり、それにより第1領域Iとビットライン101との間の接触抵抗を低減させ、半導体構造の電気学的性能を向上させる。
【0087】
ここで、ドープ元素は、P型ドープ元素又はN型ドープ元素であり、具体的には、N型ドープ元素は、ヒ素元素、リン元素又はアンチモンのうちの少なくとも1つであってもよく、P型ドープ元素は、ホウ素元素、インジウム元素又はガリウム元素のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0088】
図8から
図17を参照すると、ゲート電極104を形成し、ゲート電極104は、第2領域IIの誘電層103を取り囲み、且つ第2方向Yに沿って伸び、第1方向Xと第2方向Yは異なる。拡散遮断層106を形成し、拡散遮断層106は、初期半導体チャネル112の残りの側壁を取り囲み、且つ拡散遮断層106とゲート電極104との間に間隔を有する。初期半導体チャネル112の上面に対して金属ケイ化処理を行い、初期第3領域IVの一部の初期半導体チャネル112を金属半導体化合物層105に変換し、残りの初期第3領域IV、第2領域II、
第1領域Iで半導体チャネル102を構成する。絶縁層107を形成し、絶縁層107は、同一のビットライン101上での隣接する半導体チャネル102の間に位置する。
【0089】
いくつかの実施例において、金属ケイ化処理により、金属半導体化合物層105を形成するステップは、初期半導体チャネル112の上面に第1金属層(図示されず)を形成し、第1金属層は、金属半導体化合物層105に対して金属元素を提供する。ここで、第1金属層の材料は、コバルト、ニッケル、モリブデン、チタン、タングステン、タンタル又はプラチナのうちの少なくとも1つを含む。
【0090】
いくつかの実施例において、初期半導体チャネル112側壁、初期第1誘電層143側壁及びビットライン101の一部の上面が溝109を囲んで形成する時、誘電層103、ゲート電極104、拡散遮断層106及び絶縁層107を形成することは、以下のステップを含んでもよい。
【0091】
図8から
図10を参照すると、隣接するビットライン101の間及び隣接するビットライン101上での第1領域Iの半導体チャネル102の間に、第1誘電層113を形成し、第1領域Iの溝109の側壁に第2誘電層123を形成し、第1絶縁層117を形成し、第1絶縁層117は、溝109内に位置し、且つ隣接する第2誘電層123を隔離し、第1絶縁層117の上面は、初期半導体チャネル112の上面よりも低くない。
【0092】
ここで、第1絶縁層117の上面は、初期半導体チャネル112の上面よりも低くないことは、後続で、第1絶縁層117、第2領域II及び第3領域IIIの半導体チャネル102の間に第2間隔を形成することに有利である。後続で、セルフアラインの方式で、第2間隔において、サイズが精確である(サイズ精度が高い)ゲート電極を形成することができ、エッチングプロセスを必要とせず、サイズ精度が高いゲート電極を形成することができ、ゲート電極の形成ステップを簡略化することに有利であり、且つ第2間隔のサイズを調整することで、サイズが小さいゲート電極を得ることができる。
【0093】
いくつかの実施例において、第1誘電層113、第2誘電層123及び第1絶縁層117を形成することは、以下のステップを含んでもよい。
【0094】
図8を参照すると、溝109(
図7を参照する)の側壁に、初期第2誘電層153を形成し、隣接する初期第2誘電層153の間に第1間隔119を有する。いくつかの実施例において、以下のプロセスステップを用いて初期第2誘電層153を形成してもよい。堆積プロセスを行い、半導体チャネル102の上面と露出部の全ての側壁を覆う表面を形成し、更に、初期第1誘電層143の露出部の上面と側壁に形成される。ここで、初期第2誘電層153の材料は、シリコン酸化物を含む。
【0095】
図8と
図9を参照すると、第1間隔119において第1絶縁層117を形成する。いくつかの実施例において、以下のプロセスステップを用いて第1絶縁層117を形成してもよい。初期第2誘電層153の上面を覆って第1間隔119を満たす第1絶縁膜を形成し、第1絶縁膜に対して化学機械的平坦化処理を行い、初期第2誘電層153を露出させ、残りの第1絶縁膜を第1絶縁層117とする。ここで、第1絶縁層117の材料は、窒化ケイ素を含む。
【0096】
ここで、初期第1誘電層143の材料と初期第2誘電層153の材料が同じであり、後続で同一の除去ステップによって、一部の第1誘電層143と一部の初期第2誘電層153を除去し、第2間隔を形成することに有利である。
【0097】
いくつかの実施例において、引き続き
図8を参照すると、第1絶縁層117を形成する前に、初期第2誘電層153を形成した後、初期第2誘電層153から露出したビットライン101の一部の上面に対して金属ケイ化処理を行い、金属ケイ化物構造111を形成する。
【0098】
ここで、金属ケイ化物構造111は、金属化されていない半導体材料に比べて、相対的に小さい抵抗率を有するため、半導体チャネル102に比べて、金属ケイ化物構造111を有するビットライン101の抵抗率はより小さく、それによりビットライン101自体の抵抗の低減に有利であり、且つビットライン101と第1領域Iの半導体チャネル102との接触抵抗を低減させ、更に、半導体構造の電気学的性能を改善する。
【0099】
いくつかの実施例において、初期第2誘電層153から露出したビットライン101の一部の上面に対して金属ケイ化処理を行うステップは、ビットライン101の露出した上面に第2金属層(図示されず)を形成することであって、第2金属層は、金属ケイ化物構造111に対して金属元素を提供する、ことを含んでもよい。ここで、第2金属層の材料は、コバルト、ニッケル、モリブデン、チタン、タングステン、タンタル又はプラチナのうちの少なくとも1つを含む。
【0100】
他の実施例において、ビットラインの露出した上面に対して金属ケイ化処理を行わず、ビットラインの露出した上面に第1絶縁層を直接的に形成してもよい。
【0101】
続いて、
図10を参照すると、第1絶縁層117をマスクとして初期第1誘電層143と初期第2誘電層153をエッチングし、第1誘電層113と第2誘電層123を形成する。
【0102】
ここで、初期第1誘電層143と初期第2誘電層153をエッチングするステップにおいて、半導体チャネル102の上面を更に露出させる。これは、後続で半導体チャネル102の上面に対して金属ケイ化処理を行い、金属半導体化合物層を形成することを容易にする。
【0103】
図11から
図17を参照すると、第3誘電層133と第2絶縁層127を形成し、第3誘電層133は、第2領域IIの溝109の側壁と初期第3領域IVの溝109の一部の側壁に位置し、第2絶縁層127は、第1絶縁層117と第3誘電層133との間に位置し、初期第3領域IVの溝109の残りの側壁に、拡散遮断層106を形成し、第1誘電層113、第2誘電層123及び第3誘電層133で誘電層103を構成し、第1絶縁層117と第2絶縁層127で前記絶縁層を構成する。
【0104】
いくつかの実施例において、第3誘電層133、ゲート電極104及び第2絶縁層127を形成するステップは、以下のステップを含んでもよい。
【0105】
図13を参照すると、第2領域IIと初期第3領域IVの初期半導体チャネル112の側壁に、初期第3誘電層163を形成し、初期第3誘電層163と第1絶縁層117との間に、第2間隔129を有する。いくつかの実施例において、以下のプロセスステップを用いて初期第3誘電層163を形成してもよい。露出した第2領域IIと初期第3領域IVの初期半導体チャネル112の表面に対して熱酸化処理を行い、初期第3誘電層163を形成する。ここで、初期第3誘電層163の材料は、シリコン酸化物である。他の実施例において、堆積プロセスにより、第2領域と初期第3領域の初期半導体チャネルの表面を覆う初期第3誘電層を形成してもよい。
【0106】
図12から
図13を参照すると、第2領域IIの第2間隔129(
図11を参照する)において、ゲート電極104を形成する。ここで、ゲート電極104を形成するステップは、以下を含んでもよい。
図12を参照すると、初期ゲート電極114を形成し、初期ゲート電極114は、第2間隔129を満たし、且つ初期第3誘電層163の上面に位置する。
図13を参照すると、初期第3領域IVの半導体チャネル102の側壁を取り込んで初期第3誘電層163の上面に位置する初期ゲート電極114をエッチングにより除去し、残りの初期ゲート電極114をゲート電極104とする。従って、ゲート電極104は、第2領域IIの半導体チャネル102の側壁のみを取り囲む。
【0107】
図14を参照すると、残りの第2間隔129において、第2絶縁層127を形成する。いくつかの実施例において、以下のプロセスステップを用いて第2絶縁層127を形成してもよい。堆積プロセスを行い、残りの第2間隔129(
図11を参照する)を満たし、且つ初期第3誘電層163の上面を覆う第2絶縁膜を形成し、第2絶縁膜と第1絶縁層117に対して化学機械的研磨を行い、初期第3誘電層163を露出させ、残りの第2絶縁膜を第2絶縁層127とする。ここで、第2絶縁膜の材料は、窒化ケイ素を含む。
【0108】
図15を参照すると、第2絶縁層127をマスクとして初期第3誘電層163をエッチングし、第3誘電層133を形成する。
【0109】
ここで、第3誘電層133を形成するステップにおいて、初期半導体チャネル112の上面を露出させるだけでなく、初期第3領域IVの初期半導体チャネル112の上面に近い一部の側壁も露出させることで、後続で拡散遮断層の形成のために準備を行う。
【0110】
図15と
図16を参照すると、第3誘電層133、第2絶縁層127及び初期半導体チャネル112が凹溝を取り囲んで形成し、凹溝139を満たす拡散遮断層106を形成する。いくつかの実施例において、以下のプロセスステップを用いて拡散遮断層106を形成してもよい。初期半導体チャネル112の上面を覆い、且つ凹溝139を満たす遮断膜を形成し、遮断膜に対してエッチングを行い、初期第3領域IVの初期半導体チャネル112の上面に近い一部の側壁を露出させ、残りの遮断膜を拡散遮断層106とする。ここで、拡散遮断層106の材料は、窒化チタンを含む。
【0111】
ここで、拡散遮断層106は、金属半導体化合物層105における金属元素が絶縁層107に拡散することを防止し、絶縁層107の良好な絶縁性能を確保することに有利である。なお、拡散遮断層106は、第3誘電層133の上面に位置する。これは、更に、拡散遮断層106の上面に位置する他の導電構造における関連導電元素が第3誘電層133に拡散することを避け、第3誘電層133の良好な絶縁性能を確保することもできる。
【0112】
続いて、
図16と
図17を参照すると、初期半導体チャネル112の上面に対して金属ケイ化処理を行い、初期第3領域IVの一部の初期半導体チャネル112を金属半導体化合物層105に変換し、残りの初期第3領域IV、第2領域II及び第3領域IIIで半導体チャネル102を構成する。
【0113】
ここで、半導体チャネル102に比べて、金属半導体化合物層105の抵抗率はより小さい。後続で、金属半導体化合物層105の上面に電気的接続層を形成する時、金属半導体化合物層105を遷移層として半導体チャネル102の上面と電気的接続層との間にオーム接触を構成することに有利であり、電気的接続層と半導体チャネル102の直接接触によるショットキーバリア接触の形成を避ける。オーム接触は、半導体チャネル102の上面と電気的接続層との間の接触抵抗の低減に有利であり、それにより半導体構造が作動する時のエネルギー消費を低減させ、且つRC遅延効果を改善し、半導体構造の電気学的性能を向上させることができる。
【0114】
いくつかの実施例において、拡散遮断層106を形成した後、金属半導体化合物層105を形成する前に、製造方法は、初期半導体チャネル112の上面に対してドーピング処理を行い、初期第3領域IVの一部の初期半導体チャネル112中にドープ元素を有させることであって、ドープ元素は、P型ドープ元素又はN型ドープ元素である、ことを更に含んでもよい。
【0115】
なお、半導体チャネル102において、金属半導体化合物層105におけるタイプと同じであるドープ元素を有してもよく、且つ金属半導体化合物層105におけるドープ元素の濃度は、半導体チャネル102における濃度よりも大きい。このように、半導体チャネル102自体の導電性を向上させると同時に、金属半導体化合物層105と半導体チャネル102との間の接触抵抗を更に低減することに有利である。
【0116】
いくつかの実施例において、
図17と
図2から
図3を参照すると、絶縁層107の上面が金属半導体化合物層105の上面よりも高く、絶縁層107、金属半導体化合物層105及び拡散遮断層106が貫通孔149を囲んで形成し、製造方法は、貫通孔149を満たす電気的接続層108を形成することを更に含んでもよい。ここで、電気的接続層108は、半導体チャネル102とコンデンサ構造(図示されず)との電気的接続の実現に用いられてもよい。
【0117】
要するに、第1絶縁層117、第2領域II及び第3領域IIIの半導体チャネル102の間に第2間隔129を形成することで、セルフアラインの方式で、第2間隔129においてサイズが精確である(サイズ精度が高い)ゲート電極104を形成することに有利であり、エッチングプロセスを必要とせず、サイズ精度が高いゲート電極104を形成することができ、ゲート電極104の形成ステップを簡略化することに有利であり、且つ第2間隔129のサイズを調整することで、サイズが小さいゲート電極104を得ることができる。なお、半導体チャネル102の上面に、遷移層とする金属半導体化合物層105を形成し、半導体チャネル102の上面と電気的接続層108との間のオーム接触を実現させ、半導体チャネル102の上面と電気的接続層108との間の接触抵抗を低減させる。そして、金属半導体化合物層105と絶縁層107との間に拡散遮断層106を形成し、金属半導体化合物層105における金属元素が絶縁層107に拡散することを防止することに有利であり、それにより金属半導体化合物層105により半導体チャネル102の上面と電気的接続層108との間の接触抵抗を低減させると同時に、絶縁層107の良好な絶縁性能を確保することに有利であり、それにより半導体構造の電気学的性能を向上させる。
【0118】
当業者であれば理解できるように、上記各実施形態は、本願を実現するための具体的な実施例であり、実際の応用において、本願の精神及び範囲から逸脱することなく、形式的及び詳細的に種々の変更が可能である。いかなる当業者も、本願の精神及び範囲を逸脱することなく、それぞれの変更及び修正を行うことができるので、本願の保護範囲は、請求項に規定される範囲に準ずるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本願の実施例は、半導体構造及びその製造方法を提供する。半導体構造は、間隔を取るように配置されるビットラインと半導体チャネルとを含む基板であって、ビットラインは、第1方向に沿って伸び、半導体チャネルは、ビットラインの一部の上面に位置し、且つビットラインの上面に垂直な方向に、半導体チャネルは、順に配列される第1領域、第2領域及び第3領域を含む、基板と、隣接するビットラインの間に位置し、且つ半導体チャネルの側壁に位置する誘電層と、第2領域の誘電層を取り囲み、且つ第2方向に沿って延びるゲート電極であって、第1方向と第2方向は異なる、ゲート電極と、半導体チャネルの上面に位置する金属半導体化合物層と、少なくとも金属半導体化合物層の側壁を取り囲む拡散遮断層と、同一のビットライン上での隣接する半導体チャネルの間に位置し、且つ隣接する誘電層上でのゲート電極と拡散遮断層を隔離する絶縁層と、を含む。
【0120】
上記技術案において、基板において、垂直型GAAトランジスタを形成し、ビットラインが、基板に埋め込まれ、且つ半導体チャネルの下方に位置するため、3Dスタック型半導体構造を構成することができ、半導体構造の集積密度の向上に有利である。そして、半導体チャネルのビットラインから離れる上面に金属半導体化合物層を有し、金属半導体化合物層が、金属化されていない半導体チャネルに比べて、相対的により小さい抵抗率を有するため、金属半導体化合物層は、遷移層として、半導体チャネルの上面と他の導電構造とのオーム接触を実現させ、半導体チャネルの上面と他の導電構造との接触抵抗を低減させ、半導体チャネルの電気学的性能を向上させることができる。なお、拡散遮断層は、少なくとも、前記金属半導体化合物層の側壁を取り囲むため、金属半導体化合物層と絶縁層とが、拡散遮断層により隔てられ、金属半導体化合物層における金属元素が絶縁層に拡散し、絶縁層の絶縁性能の低下を引き起こすことを防止することに有利である。従って、本願の実施例は、金属半導体化合物層により、半導体チャネルの上面と他の導電構造との接触抵抗を低減させると同時に、絶縁層の良好な絶縁性能を確保し、半導体構造の電気学的性能を向上させることに有利である。