(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】所与の個人のための光学機器の予測
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20240508BHJP
G02C 13/00 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
G06Q30/0601
G02C13/00
(21)【出願番号】P 2022548765
(86)(22)【出願日】2021-02-11
(86)【国際出願番号】 EP2021053318
(87)【国際公開番号】W WO2021160731
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-08-10
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518007555
【氏名又は名称】エシロール・アンテルナシオナル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・アンドシュ
(72)【発明者】
【氏名】エステル・ネッテ
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-041281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G02C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所与の個人に対して、複数の光学機器を含むセットの中から光学機器を判定するための方法であって、少なくとも1つのプロセッサによって実施され、
メモリに記憶されている複数のN個の参照データセットを取得することであって、
各参照データセットが、少なくとも1人の対応する参照者に関連付けられており、
各参照データセットが、前記光学機器のセットの参照サブセットを形成する少なくとも2つの光学機器の
、前記対応する参照者に従う満足レベルに関する相対的ランキングを示している、ことと、
収集ユニットから、前記所与の個人に関連付けられた所与のデータセットを収集することであって、
前記所与のデータセットが、前記光学機器のセットの所与のサブセットを形成する少なくとも2つの光学機器の
、前記所与の個人に従う満足レベルに関する相対的ランキングを示しており、
前記所与のサブセットを形成する前記光学機器の各々が、少なくとも1つの参照サブセットの一部である、ことと、
前記所与のデータセットに基づいて、前記複数のN個の参照データセットの中からR個の参照データセットのグループを選択することであって、Rが2からNまでの正の整数である、ことと、
前記選択されたR個の参照データセットのグループに基づいて、前記複数の光学機器の中から前記所与の個人のための少なくとも1つの光学機器を
判定することと、
を含
み、
前記複数のN個の参照データセットの中からR個の参照データセットのグループを選択することが、
前記所与のデータセットと前記複数のN個の参照データセットの中からの複数のR個の参照データセットとの間の相関を識別することと、
前記識別された相関に基づいて前記R個の参照データセットを選択して、前記R個の参照データセットのグループを形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
各データセットが、前記サブセットを形成する前記光学機器の各々に対して、少なくとも前記個人の前記光学機器の満足レベルを示すスコアを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各データセットが、前記サブセットを形成する光学機器の各々に対して、少なくとも1つの属性スコアを含み、
各属性スコアが、前記光学機器の光学機器属性に関連付けられており、
各スコアが、前記個人の前記光学機器属性の満足レベルを示している、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つのデータセットが、両方とも前記サブセットの一部である少なくとも第1の光学機器及び第2の光学機器を含む、光学機器のグループに関連付けられた選好レベルを含み、
前記選好レベルが、前記個人の少なくとも前記第1及び第2の光学機器の選好レベルを示している、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
参照データセットを収集すること及び/又は前記所与のデータセットを収集することが、着用者のフィードバックから又は測定値から直接、前記参照データセット及び/又は前記所与のデータセットを収集することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
参照データセットを収集すること及び/又は所与のデータセットを収集することが、
前記個人のデジタルコンテンツ/行動へのアクセスを提供することと、
個人のパラメータを抽出するために、前記個人の前記デジタル
コンテンツ/行動を分析することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、複数の光学機器を判定することと、前記判定された複数の光学機器の中から前記光学機器を選択することによって光学機器を予測することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の光学機器の中から前記所与の個人のための少なくとも1つの光学機器を
判定することが、
前記R個の参照データセットのグループの前記参照データセット間の相関を識別することと、
前記識別された相関に基づいて、前記所与の個人のための少なくとも1つの光学機器を判定することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記所与のデータセットが、前記所与のサブセットの一部である光学機器の少なくとも1つのペアに対して、前記光学機器のペアに関連付けられた所与の選好レベルであって、前記個人の前記光学機器のペアの選好レベルを示す、所与の選好レベルを含み、
前記所与のサブセットを形成する前記光学機器の各々がその一部である各参照データセットが、少なくとも前記光学機器のペアに対して、前記光学機器のペアに関連付けられた参照選好レベルであって、前記参照者の前記光学機器のペアの選好レベルを示す、参照選好レベルを含み、
前記所与のデータセットを複数の参照データセットと比較することが、
前記所与のサブセットを形成する前記光学機器の各々がその一部である参照サブセットに関連付けられた全ての前記参照データセットを選択することと、
選択された各参照サブセットに対して、前記所与の選好レベルと前記光学機器の少なくとも1つのペアの参照選好レベルとの間の比較に基づいて選好関数p
u,(i,j)を判定することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
各データセットが、前記個人によって前記光学機器の意図された用途に指定され、各データセットに対して、前記少なくとも2つの光学機器の前記相対的ランキングが、前記意図された用途に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
プロセッサに
よりアクセス可能であり、且つ前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに請求項1に記載の方法のステップを実行させる、命令の1つ以上の記憶されたシーケンスを含むコンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項
11に記載のコンピュータプログラムの命令の1つ以上の記憶されたシーケンスを記憶している記憶媒体。
【請求項13】
所定の光学機器のセットの中から光学機器を判定するためのシステムであって、
所与の個人に対して、所与のデータセットを収集するように構成された収集ユニット
であって、前記所与のデータセットが、前記光学機器のセットの所与のサブセットを形成する少なくとも2つの光学機器の、前記所与の個人に従う満足レベルに関する相対的ランキングを示している、収集ユニットと、
複数のN個の参照データセットを記憶するメモリ、及び前記収集ユニットとの通信インターフェースに動作可能に接続されたプロセッサを含む集中処理ユニットであって、
各参照データセットが、少なくとも1人の対応する参照者に関連付けられており、各参照データセットが、前記光学機器のセットの参照サブセットを形成する少なくとも2つの光学機器の、前記対応する参照者に従う満足レベルに関する相対的ランキングを示しており、前記集中処理ユニットが、
前記収集ユニットから、前記所与のデータセットを受信
することと、
前記所与のデータセットに基づいて、
前記複数のN個の参照データセットの中からR個の参照データセットのグループを選択
することであって、Nは正の整数であり、Rは2からNまでの正の整数であり、
前記選択することが、前記所与のデータセットと前記複数のN個の参照データセットの中からの複数のR個の参照データセットとの間の相関を識別することと、前記識別された相関に基づいて前記R個の参照データセットを選択して、前記R個の参照データセットのグループを形成することとによって行われる、選択することと、
前記選択されたR個の参照データセットのグループに基づいて、複数の光学機器の中から前記所与の個人のための少なくとも1つの光学機器を判定する
ことと、
を行うように構成された、集中処理ユニットと、を備える、システム。
【請求項14】
所定の光学機器のセットの中からの光学機器であって、所与の個人に対して、
収集ユニットから、所与のデータセットを受信
することであって、
前記所与のデータセットが、前記光学機器のセットの所与のサブセットを形成する少なくとも2つの光学機器の、前記所与の個人に従う満足レベルに関する相対的ランキングを示している、受信することと、
前記所与のデータセットに基づいて、複数のN個の参照データセットの中からR個の参照データセットのグループを選択
することであって、
各参照データセットが、少なくとも1人の対応する参照者に関連付けられており、各参照データセットが、前記光学機器のセットの参照サブセットを形成する少なくとも2つの光学機器の、前記対応する参照者に従う満足レベルに関する相対的ランキングを示しており、Nは正の整数であり、Rは2からNまでの正の整数であり、
前記選択することが、前記所与のデータセットと前記複数のN個の参照データセットの中からの複数のR個の参照データセットとの間の相関を識別することと、前記識別された相関に基づいて前記R個の参照データセットを選択して、前記R個の参照データセットのグループを形成することとによって行われる、選択することと、
前記選択されたR個の参照データセットのグループに基づいて、前記所定の光学機器のセットの中から前記所与の個人のための前記光学機器を判定する
ことと、
を行うように構成された集中処理ユニットによって判定される、光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、データサイエンス、特に、所与の個人のための光学機器を判定するための方法、コンピュータプログラム、コンピュータ記憶媒体、及びシステム、並びにそのように判定された光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
光学機器はますます複雑になっており、その結果、多くの属性が光学機器ごとに異なる場合がある。
【0003】
レンズ属性には、レンズ材質、ガラスコード、屈折力仕様、ソフト又はハードの累進レンズデザインなどの光学デザインなどが含まれ得る。
【0004】
レンズ属性は、レンズが屈折率分布タイプであるかどうか、レンズが波長固有フィルタ又は色合いを含むかどうか、レンズがスクラッチ防止、反射防止、雨防止、曇り防止などの所与の追加特性を呈するかどうかを更に指定することができる。
【0005】
レンズ属性には、レンズが、通常作業(BAU)、デジタル集中用途、運転、スポーツなどの、所与用途に適合できるかどうかの指標が更に含まれ得る。
【0006】
フレーム属性は、眼鏡フレーム全体、又は接眼レンズ、ブリッジ、テンプル、ヒンジなどのフレームの特定の部分に関連し得る。フレーム属性には、フレーム材料、フレーム形状、フレーム色、フレームサイズなどが含まれ得る。
【0007】
光学機器の属性の範囲は広く、更に拡大しているため、オンラインビジネス及びECPには、正しい光学機器を適切なタイミングで消費者に勧めるのに役立ついくつかの推奨エンジンが必要である。
【0008】
フレームを推奨するための既知の方法は、消費者の形態に基づく。インポートされた写真又はビデオから、ランドマーク特徴が消費者の顔上で検出され、次いで、形態的特徴が計算され、フレームと顔との間の一致スコアが決定木を使用して計算される。決定木を使用して適用され得るルールの例は、「フレームの上部の形状は、好ましくは、眉の形状に従う」である。
【0009】
フレームを推奨するための別の既知の方法は、スタイル/ライフスタイル/パーソナリティアンケートの分析に基づく。消費者は、第1に自分の好み及び習慣に関する質問を尋ねられ、次いで推奨が、決定木を使用するか又はコンテンツベースのフィルタリングを使用して実行される。
【0010】
また、消費者のライフスタイル及び職業を使用して、アレイ内のレンズのデザインを選択し、又は特定の光学デザイン、反射防止コーティングの存在、特定の色合いなどの1つ以上のレンズ特性を選択することができる。
【0011】
上記の方法により、顧客に光学機器を推奨することが可能になるが、準備ステップとして、顧客がアンケートに回答するか又は写真若しくはビデオをインポートする必要がある。これらの入力は両方とも顧客にとって時間がかかるため、実用的ではないと認識される場合がある。
【0012】
この文脈では、小売業者カタログ内の全ての利用可能な光学機器又は利用可能な光学機器の全ての異なる属性を自動的にスコアリングすることができる必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の実施形態は、所与の個人に対して、複数の光学機器を含むセットの中から光学機器を判定するための方法を提供し、方法は、
複数のN個の参照データセットを収集することであって、
各参照データセットが、少なくとも1人の対応する参照者に関連付けられており、
各参照データセットが、光学機器のセットの参照サブセットを形成する少なくとも2つの光学機器の相対的ランキングを示している、ことと、
-所与の個人に関連付けられた所与のデータセットを収集することであって、
所与のデータセットが、光学機器のセットの所与のサブセットを形成する少なくとも2つの光学機器の相対的ランキングを示しており、
所与のサブセットを形成する光学機器の各々が、少なくとも1つの参照サブセットの一部である、ことと、
所与のデータセットに基づいて、複数のN個の参照データセットの中からR個の参照データセットのグループを選択することであって、Rが2からNまでの正の整数である、ことと、
選択されたR個の参照データセットのグループに基づいて、複数の光学機器の中から所与の個人のための少なくとも1つの光学機器を予測することと、を含む。
【0014】
本発明の実施形態は、プロセッサにアクセス可能であり、且つプロセッサによって実行されると、プロセッサに上記の方法のステップを実行させる、命令の1つ以上の記憶されたシーケンスを含むコンピュータプログラムを更に提供する。
【0015】
本発明の実施形態は、上記のコンピュータプログラムの命令の1つ以上の記憶されたシーケンスを記憶する記憶媒体を更に提供する。
【0016】
本発明の実施形態は、所定の光学機器のセットの中から光学機器を判定するためのシステムを更に提供し、システムは、
所与の個人に対して、所与のデータセットを収集するように構成された収集ユニットと、
複数のN個の参照データセットを記憶するメモリ、及び収集ユニットとの通信インターフェースに動作可能に接続されたプロセッサを備える集中処理ユニットであって、
収集ユニットから、所与のデータセットを受信し、
所与のデータセットに基づいて、複数のN個の参照データセットの中からR個の参照データセットのグループを選択し、Nは正の整数であり、Rは2からNまでの正の整数であり、
選択されたR個の参照データセットのグループに基づいて、複数の光学機器の中から所与の個人のための少なくとも1つの光学機器を判定する、ように構成された、集中処理ユニットと、を備える。
【0017】
本発明の実施形態は、所定の光学機器のセットの中から光学機器を更に提供し、光学機器は、所与の個人に対して、
収集ユニットから、所与のデータセットを受信し、
所与のデータセットに基づいて、複数のN個の参照データセットの中からR個の参照データセットのグループを選択し、Nは正の整数であり、Rは2からNまでの正の整数であり、
選択されたR個の参照データセットのグループに基づいて、所定の光学機器のセットの中から所与の個人のための光学機器を判定する、ように構成された集中処理ユニット(CT)によって判定される。
【0018】
上記の方法、コンピュータプログラム、記憶媒体、及びシステムは、1つ又は複数の光学機器に関する、所与の個人、例えば顧客の満足レベルを予測して、顧客のニーズに対して光学機器をより適切に推奨することを可能にする。予測は、所与の個人に関連付けられた所与のデータセットに基づいて選択された参照データセットのグループに基づいて取得される。この予測は、アイケア施術者に提供され得る。この予測はまた、オンラインウェブサイトにおいて所与の個人に提供され得る。例として、小売業者のカタログ内の光学機器は、予測に従ってフィルタリングされ得る。
【0019】
利点は、全ての利用可能な光学機器が自動的にスコアリングされて、所与のユーザのニーズに最も適切なものを予測できることである。
【0020】
別の利点は、予測を実行するための推奨エンジンが、より多くの参照データセットを収集することにより経時的に改善され得る協働データベースに基づくことである。実際、機能的に、複数の参照データセットは、協働データベースである。参照者のコホートを考慮して、コホートの各参照者に対して、その参照者に関連付けられ、且つその参照者の選好を示す参照データセットが提供され得る。例えば、2人の参照者が同じ選好を有している場合、単一の参照データセットを両方の参照者に関連付けることができる。
【0021】
別の利点は、参照者が全ての光学機器の評価を提供するように要求されないことである。実際、各参照データセットは、参照データセットが関連付けられている参照者に対して、複数の光学機器からのサンプルが最も好ましいものから最も好ましくないものに分類され得る方法を示す。したがって、各参照データセットは、参照者による複数の光学機器の部分的ランキングを示している。参照データセットによって搬送される情報の量は比較的少ないため(複数の光学機器の部分的ランキングのみが提供される必要があるため)、したがって、多数の参照データセットを収集するのは容易である。データベースに含まれる参照データセットの数が多いほど、所与のユーザに対する予測は、平均してより正確になる。
【0022】
一実施形態では、各データセットは、サブセットを形成する光学機器の各々に対して、少なくとも個人に対するその光学機器の満足レベルを示すスコアを含む。
【0023】
スコアは定量化することができるため、個人からの主観的データを客観的な値に変換することが可能になる。
【0024】
一実施形態では、参照データセットを収集すること及び/又は所与のデータセットを収集することは、サブセットの各光学機器に対して、その光学機器に関連付けられた少なくとも1つの光学機器属性を収集することと、収集された各光学機器属性に対して、その光学機器属性に関連付けられた属性スコアを収集することと、サブセットの各光学機器に対して、収集された属性スコアに基づいて、その個人に対するその光学機器の満足レベルを示すスコアを判定することと、を含む。
【0025】
属性スコアにより、所与の個人に対する光学機器をより正確に予測するために、光学機器が全体的に他の機器よりも好まれ得る理由を細かく区別することが可能になる。
【0026】
一実施形態では、各データセットは、サブセットを形成する光学機器の各々に対して、少なくとも1つの属性スコアSi,kを含み、各属性スコアは、その光学機器の光学機器属性に関連付けられており、各スコアは、個人のその光学機器属性の満足レベルを示している。
【0027】
そのような属性スコアを含む各データセットにより、豊富で均質なデータベースを可能になる。
【0028】
一実施形態では、少なくとも光学機器属性は、光学レンズ属性、光学フィルタ属性、レンズ処理属性、フレーム属性、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)デザインの属性、アクティブレンズのタイプ及び/又は制御モードに関連する属性、のうちの1つ以上の中から選択される。
【0029】
一実施形態では、少なくとも1つのデータセットは、両方ともサブセットの一部である少なくとも第1の光学機器及び第2の光学機器を含む、光学機器のグループに関連付けられた選好レベルを含み、選好レベルは、個人の少なくともその第1及び第2の光学機器の選好のレベルを示している。
【0030】
選好レベルは、機器を互いの間で比較する直接指標である。そのような直接指標により、ドリフトのリスクなしに、多数の光学機器を確実且つ一貫して比較することが可能になる。実際、例えば、個人が多数の光学機器に1~10のスケールでの値を提供するように要求された場合、その個人は最後に評価された光学機器の影響を受け得るため、提供される値は一貫していない場合がある。このリスクは、光学機器を直接比較すると回避され得る。
【0031】
一実施形態では、参照データセットを収集すること及び/又は所与のデータセットを収集することは、サブセットの光学機器のペアに対して、第1の光学機器に関連付けられた第1の光学機器属性及び第2の光学機器に関連付けられた第2の光学機器属性を含む少なくとも光学機器属性のペアを収集することと、その光学機器属性のペアに対して、個人のその第1の光学機器属性及びその第2の光学機器属性の選好レベルを示す属性選好レベルを収集することと、収集された属性選好レベルに基づいて、サブセットの光学機器のそのペアに対して、個人のその第1及びその第2の光学機器の選好レベルを示す選好レベルを判定することと、を含む。
【0032】
一実施形態では、そのデータセットは、光学機器のそのペアに対して、第1の光学機器に関連付けられた第1の光学機器属性及び第2の光学機器に関連付けられた第2の光学機器属性を含む、少なくとも光学機器属性のペアに関連付けられた少なくとも属性選好レベルを含み、その属性選好レベルは、個人のその第1の光学機器属性及びその第2の光学機器属性の選好レベルを示している。
【0033】
属性選好レベルを収集することにより、2つの光学機器間の全体的な選好レベルを明示することが可能になる。実際、異なる参照者は、2つの特定の光学機器間で同じ全体的な選好レベルを有し得るが、その理由は異なる。どちらの参照データセットが所与のデータセットと光学機器間だけでなく属性間でも同じ選好レベルを共有するかを識別することによって、所与の個人のための光学機器をより正確に判定することが可能である。
【0034】
一実施形態では、参照データセットを収集すること及び/又は所与のデータセットを収集することは、着用者のフィードバックから又は測定値から直接、参照データセット及び/又は所与のデータセットを収集することを含む。
【0035】
フィードバック又は測定値は、個人からの明示的又は意識的な入力である。
【0036】
一実施形態では、参照データセットを収集すること及び/又は所与のデータセットを収集することは、個人のデジタル行動へのアクセスを提供することと、個人のパラメータを抽出するために個人のデジタル行動を分析することと、を含む。
【0037】
個人のデジタルコンテンツ又はデジタル行動を分析することは、個人に対してシームレスであり得る暗黙的又は無意識の評価を提供する。
【0038】
一実施形態では、抽出された個人のパラメータは、それぞれ、参照及び/又は所与のサブセットの各光学機器に関連付けられた、暗黙の満足レベル、又は暗黙の知覚品質レベル、又は暗黙の性能レベルを含む。
【0039】
一実施形態では、参照データセット及び/又は所与のデータセットは、それぞれ、参照及び/又は所与のサブセットの各光学機器に関連付けられた、明示的に表現された満足レベル、又は明示的に表現された知覚品質レベル、又は明示的に表現された性能レベルに対応する。
【0040】
一実施形態では、方法は、複数の光学機器を判定することと、判定された複数の光学機器の中からその光学機器を選択することによって光学機器を予測することと、を更に含む。
【0041】
複数の光学機器を判定することにより、複数の光学機器を広くフィルタリングすることが可能になり、判定された光学機器から光学機器を予測することにより、所与の個人のニーズに最も適切な光学機器を細かく選択することが可能になる。広くフィルタリングし、次いで細かく選択することは、所与のデータセットを各参照データセットと連続して比較しないことで、所与の個人のための最良の光学機器の予測を加速する方法である。
【0042】
一実施形態では、複数のN個の参照データセットの中からR個の参照データセットのグループを選択することは、所与のデータセットと複数のN個の参照データセットの中からの複数のR個の参照データセットとの間の相関を識別することと、識別された相関に基づいてR個の参照データセットを選択して、R個の参照データセットのグループを形成することと、を含む。
【0043】
その相関により、所与の個人の好み又はニーズに一致する参照者からの入力を信頼することによって、所与の個人に対してニーズ又は選好に適した光学機器を提供することが可能になる。
【0044】
一実施形態では、所与のデータセットと複数のR個の参照データセットとの間の相関を識別することは、N個の参照データセットの各々に対して、所与のデータセットの所与のスコアをその参照データセットの参照スコアと比較して、その比較に関連する一致ペアの数Nc及び不一致ペアの数Ndを取得することを含む。
【0045】
一致及び不一致ペアを計数することは、異なるデータセット間の相関を定量化するのに役立つ。
【0046】
一実施形態では、一致ペアは、所与のスコアと参照スコアとの間の絶対的又は相対的な差が所定の閾値を下回っていることに対応し、不一致ペアは、所与のスコアと参照スコアとの間の絶対的又は相対的な差が所定の閾値に等しいか又はそれを上回っていることに対応する。
【0047】
一実施形態では、R個の参照データセットを選択してR個の参照データセットのグループを形成することは、N個の参照データセットの各々に対して、所与のデータセットの所与のスコアとその参照データセットの参照スコアとの比較に関連する一致ペアの数Nc及び不一致ペアの数Ndに基づいて、所与のデータセットとの相関レベルを示すパラメータの値を取得することと、そのパラメータの値が最高の相関レベルを示すR個の参照データセットを選択することと、を含む。
【0048】
一実施形態では、N個の参照データセットの各々に対して、所与のデータセットとの相関レベルを示すそのパラメータの値は、
【数1】
に比例し、kは、その参照データセットの光学機器の数である。
【0049】
上記の式は、一致ペア及び不一致ペアの数を考慮し、各参照データセットで評価された光学機器の数を使用してその値を重み付けしている。いずれの場合も、一致ペアのみを有する2つのデータセットは、最高の相関を有すると見なされることになる。2つのデータセットが一致ペア及び不一致ペアを有する場合、相関はまた、各データセットで評価された光学機器の数に依存する。
【0050】
一実施形態では、複数の光学機器の中から所与の個人のための少なくとも1つの光学機器を予測すること(S4)は、R個の参照データセットのグループの参照データセット間の相関を識別することと、識別された相関に基づいて、所与の個人のための少なくとも1つの光学機器を判定することと、を含む。
【0051】
実際、識別された相関に基づいて、全てのこれらの参照者が全ての光学機器を評価した場合、所与の個人と同様に光学機器を評価するために選択されたR人の参照者のグループの中から、どちらの光学機器が最高の選好レベルを有するかを判定することが可能である。
【0052】
一実施形態では、所与のデータセットは、所与のサブセットの一部である光学機器の少なくとも1つのペアに対して、光学機器のペアに関連付けられた所与の選好レベルであって、個人の光学機器のペアの選好レベルを示す、所与の選好レベルを含み、所与のサブセットを形成する光学機器の各々がその一部である各参照データセットは、少なくとも光学機器のペアに対して、光学機器のペアに関連付けられた参照選好レベルであって、参照者の光学機器のペアの選好レベルを示す、参照選好レベルを含み、所与のデータセットを複数の参照データセットと比較することは、所与のサブセットを形成する光学機器の各々がその一部である参照サブセットに関連付けられた全ての参照データセットを選択することと、選択された各参照サブセットに対して、所与の選好レベルと光学機器の少なくとも1つのペアの参照選好レベルとの間の比較に基づいて選好関数pu,(i,j)を判定することと、を含む。
【0053】
選好機能は、機器のペアのうちのどちらの光学機器が参照者によって好まれるかを示す。光学機器の同じペアの2つのデータセット間の選好関数の結果を比較することによって、両方のデータセットで選好レベルが同じ(一致ペア)か異なる(不一致ペア)かを判定することが可能である。
【0054】
一実施形態では、少なくとも1つの光学機器のペアに対して、(所与の又は参照)ユーザuの選好関数pu,(i,j)は、ユーザuがアイテムjよりもアイテムiを好む場合、第1の値だけインクリメントされ、選好関数pu,(i,j)は、ユーザuがアイテムiよりもアイテムjを好む場合、第1の値とは反対の第2の値だけインクリメントされる。選好値pu,(i,j)は、ゼロを中心とする。
【0055】
例えば、第1の値を+1に設定し、第2の値を-1に設定することができる。選好関数の正規化により、バイアスなしで2つのデータセットを比較することが可能になる。
【0056】
一実施形態では、各データセットは、個人によって光学機器の意図された用途に指定され、各データセットに対して、少なくとも2つの光学機器の相対的ランキングが、その意図された用途に適用される。
【0057】
したがって、例えば、第1の特定の用途のために第1の光学機器を推奨し、第2の特定の用途のために第2の光学機器を推奨することが可能である。
【0058】
本明細書で提供される記載及びその利点をより詳細に理解するために、添付の図面及び詳細な説明に関連してここで以下の簡単な説明を参照し、ここで、同様の参照番号は、同様の部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】本発明の実施形態による方法を実施するように適合されたコンピュータシステムの例を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態による方法を実行するためのコンピュータプログラムの一般的なアルゴリズムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下の説明では、図面は、必ずしも縮尺通りではなく、特定の特徴は、明瞭さ及び簡潔さのために又は情報提供の目的のために、一般化された又は概略的な形式で示される場合がある。加えて、様々な実施形態の作成及び使用が以下で詳細に論じられるが、本明細書に記載されるように、多様な状況で具体化され得る多くの発明の概念が提供されることを理解されたい。本明細書で論じられる実施形態は、単に代表的なものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。また、当業者であれば、プロセスに関連して定義される全ての技術的特徴が個別に又は組み合わせてシステムに置き換えることができ、逆にシステムに関連する全ての技術的特徴が個別に又は組み合わせてプロセスに置き換えることができることが明らかであろう。
【0061】
ここで、本発明の一実施形態によるコンピュータシステムを示す、[
図1]を参照する。コンピュータシステムは、メモリ(MEM)、及び収集ユニット(COLL UNIT)との通信インターフェース(INT)に動作可能に接続されたプロセッサ(PROC)を含む集中処理ユニット(CT)を備える。収集ユニット(COLL UNIT)は、所与の個人に対して、所与のデータセットを収集するように構成されている。
【0062】
ここで、本発明の実施形態によるコンピュータプログラムの一般的なアルゴリズムを示す、[
図2]を参照する。コンピュータプログラムは、メモリ(MEM)に記憶されて、プロセッサ(PROC)によって実行され得る。
【0063】
複数の参照者の場合、参照データセットは、収集ユニット(COLL UNIT)によって収集される[参照データを収集する(S1)]。
【0064】
収集された参照データセットは、集中処理ユニット(CT)に送信されて、データベースの形式でメモリ(MEM)に記憶され得る。
【0065】
データベースは、各参照者に対して(又は参照者の各カテゴリに対して)、その参照者(又は参照者のそのカテゴリ)に関連付けられた参照データセットを含む。
【0066】
記憶された各参照データセットは、スコア又は選好値が関連付けられた少なくとも2つの異なるアイテムを示している。言い換えれば、記憶された各データセットは、少なくとも2つのアイテムの選択の中からどちらのアイテムが参照者によって最も受け入れられるかの指標を含む。
【0067】
「アイテム」は、本開示の文脈では、
-光学機器全体、又は
-例えば、特定のフレーム形状などのフレーム属性、又は特定の光学デザインなどのレンズ属性であり得る光学機器の属性、又は
-光学機器の属性のセット、のいずれかを指すものとして理解されるべきである。
【0068】
一実施形態では、データベースは、各データセットに対して、異なる光学機器間の選好値を含む。したがって、記憶された各参照データセットは、参照者が第1の光学機器を好むか又は第2の光学機器を好むかを示している。
【0069】
一実施形態では、データベースは、各データセットに対して、
-異なるフレーム材料、又は
-異なるブリッジ形状、又は
-異なる光学デザイン、又は
-異なるフィルタ、又は
-フィールド幅、最大円柱、球面などの特定の光学デザイン属性の異なる値、の間などの、異なる属性間の選好値を含む。
【0070】
少なくとも1つの光学機器属性には、光学機器の光学レンズの光学デザイン属性、光学機器の光学レンズのレンズ形状属性、光学機器のフレームのフレーム属性、及び/又は光学機器のグローバル属性が含まれ得る。
【0071】
光学レンズ属性は、光学デザイン、視野幅、円柱、球面、レンズ材料、フィルタ、色合い、勾配、クラス、及び/又はBAU、デジタル集中用途、運転、スポーツの練習などの用途に関連し得る。
【0072】
光学レンズ処理は、光学レンズによって、又はブルーカット、UVカット、偏光などの、光学レンズのレンズ処理によって提供されるフィルタリング特性に関連し得る。
【0073】
レンズ処理属性は、スクラッチ防止、反射防止、雨防止、曇り防止などの、光学レンズのレンズ処理によって提供される非フィルタリング特性に関連し得る。
【0074】
フレーム属性は、フレーム色、フレーム形状、フレーム材料、サイズ、及び/又はノーズブリッジタイプに関連し得る。
【0075】
HMDデザインの属性は、重量、重量分布、及び/又は価格に関連し得る。
【0076】
この実施形態では、記憶された各参照データセットは、参照者が一般に、第1の特定の属性を共有する光学機器(第1の光学デザインなど)を好むか、又は第2の特定の属性を共有する光学機器(第2の光学デザインなど)を好むかを示している。
【0077】
一実施形態では、光学機器は、
-デジタル集中用途に適合した光学デザインを有する光学レンズ用のEYEZEN(登録商標)、
-スクラッチ防止、反射防止、雨防止などを含む特性を追加するための表面処理の組み合わせを有する光学レンズ用のCRIZAL(登録商標)、
-現在の活動に応じて色合いが変化し得るフォトクロミック光学レンズ用のTRANSITIONS(登録商標)、などの様々なカテゴリに従ってグループ化され得る。
【0078】
各カテゴリは、そのカテゴリに属する全ての光学機器によって共有される属性のセットに更に関連付けられる。各光学機器は、任意の数のカテゴリに属し得、任意の数の属性を有し得る。
【0079】
この実施形態では、データベースは、各データセットに対して、そのような異なるカテゴリ間の選好値を含む。したがって、記憶された各参照データセットは、参照者が一般に、第1の属性セットを共有する光学機器を好むか、又は第2の属性セットを共有する光学機器を好むかを示し得る。
【0080】
もちろん、当業者であれば、例えば、記憶された各参照データセットが、参照者が第2の光学機器よりも第1の光学機器を好むこと、また、参照者が第2の光学機器の第2の属性よりも第1の光学機器の第1の属性を好むことを示すように、上記の実施形態を組み合わせることができることは明らかであろう。
【0081】
一実施形態では、データベースは、いくつかの光学機器の属性又はいくつかの光学機器に関連付けられた満足レベルを含む2D行列として表すことができる。
【0082】
そのような2D行列の一例は、任意の参照者i及び任意のアイテムjの満足レベルを含むSi,j行列である。Si,j行列は、N人の参照者のN個の参照データセットに対応するN個の行、及びR個のアイテムに対応するR個の列で表すことができる。この例では、iは1からNまでの正の整数であり、jは1からRまでの正の整数である。各行では、すなわち各データセットでは、少なくとも2つのアイテムが絶対的満足レベルに関連付けられる。行列は、スパースであり得る。満足レベルは、スコアで表され得る。スコアはバイナリ(好きである/好きではない)であり得る。スコアは、例えば1から10までの値のスケールに属し得る。絶対的満足レベルに関連付けられたデータセットごとの少なくとも2つのアイテムとして、各データセットに対して、少なくとも2つのアイテム間の階層が取得される。
【0083】
一実施形態では、データベースは、各参照者に対して、異なるアイテム間の選好レベル又はランキングを含む3D行列として表すことができる。この場合、各データセットに対して、少なくとも2つのアイテムが互いに対してランキングされる。
【0084】
そのような3D行列の一例は、任意の参照者i及び任意のアイテムj,kに対する選好レベルを含む三角Si,j,k行列である。この例では、iは1からNまでの正の整数であり、j及びkは1からRまでの正の整数である。行列は、スパースであり得る。例えば、参照者iがアイテムkよりもアイテムjを好む場合(j>k)、Si,j,kは1に設定することができ、参照者iがアイテムjよりもアイテムkを好む場合(k>j)、Si,j,kは-1に設定することができ、参照者iがアイテムkに対してアイテムjをランキングしていない場合、Si,j,kは0に設定するか又は空白のままにすることができる。
【0085】
参照者に従って、収集された満足レベル、スコア、選好レベル、又はランキングの少なくとも一部は、その参照者から明示的に要求された入力であり得る。
【0086】
一実施形態では、参照者は、属性レンダリング(色合い、光学デザイン、フィルタ、色など)のいくつかのシミュレーションを示され、自身の意見を尋ねられる。それらは、絶対的スコア又は相対的スコアを提供することができる。
【0087】
一実施形態では、参照者は、特定の光学機器を着用してどのように知覚され得るかについてのシミュレーションを示され、自身の意見を尋ねられる。それらは、絶対的スコア又は相対的スコアを提供することができる。
【0088】
一実施形態では、参照者はスマートアイウェア(エレクトロクロミックトライアル、エレクトロフォーカストライアルなど)を装備し、異なる代替属性などのいくつかの態様について自身の意見を尋ねられる。それらは、絶対的スコア又は相対的スコアを提供することができる。
【0089】
一実施形態では、参照者の以前の光学機器は、アイスキャナのようなシステムを使用して分析されて現在の処方値を取得し、過去のアイウェアの選択(例えば、付加値、フレーム形状などに関する選択)を判定し、参照者はそれについて自身の意見を与えるように求められる。
【0090】
一実施形態では、参照者は、光学機器を購入した後、書面によるフィードバックを提供する。
【0091】
一実施形態では、異なる仮想光学機器が参照者に提供される。参照者は、光学機器のセットの異なる光学機器に対してレンダリングされる属性のシミュレーションの結果を提供され得、次いで、そのように提供されたシミュレーションの結果に基づいて、参照者は、少なくとも2つの光学機器の絶対的スコア、又は少なくとも光学機器のペアの相対的選好レベルを提供するように要求される。
【0092】
例えば、異なる特定の光学デザインを選択して、参照者が比較することができる。選択された各光学デザインに対して、参照者は、その特定の光学デザインを有するレンズを通して仮想シーンのシミュレーションされた視野を示され得る。また、仮想シーンと参照者との間の相対的動作をシミュレーションして、参照者に対する光学デザインの視覚的影響を示すことができる。参照者は、例えば満足レベル又は不満レベルを示すことによって、異なる光学デザイン間の選好を表現することができる。
【0093】
別の例は、仮想試着技術を使用して、参照者に対して光学機器を仮想的に適合させることである。参照者は、光学機器のセットの異なる光学機器を着用して参照者がどのように知覚され得るかのシミュレーションの結果を提供され得、これは、例えば、顔認識ソフトウェアモジュール及び仮想試着ソフトウェアモジュールがインストールされているコンピュータシステムを使用して行うことができる。参照者の写真が提供され、顔認識ソフトウェアモジュールを使用して分析されて、参照者の顔の特徴を判定することができる。仮想試着モジュールは、判定された顔の特徴を備えた画像が提供されて、異なる光学機器のいくつかの数値モデルのバンクにアクセスすることができる。仮想試着ソフトウェアモジュールは、判定された顔の特徴を使用してユーザの顔の上に数値モデルを仮想的に適合させ、結果として得られる画像を参照者に表示することができ、そのように提供されたシミュレーションの結果に基づいて、個人は、少なくとも2つの光学機器の絶対的スコア、又は少なくとも光学機器のペアの相対的選好レベルを提供するように要求される。
【0094】
別の例は、仮想シーン、及び異なる色のフィルタのシーンへの影響をユーザに示すことによる、眼科用フィルタのシミュレーションであり得る。
【0095】
参照者に従って、収集された満足レベル、スコア、選好レベル、又はランキングの少なくとも一部は、その参照者によって暗黙的に提供され得る。
【0096】
一実施形態では、参照者のオンライン行動(クリック数、閲覧数、ページで費やされた秒数、閲覧された光学機器のリストなど)が分析され、参照者の行動からスコアが推定される。
【0097】
個人の行動データセットには、クリック数、閲覧数、表示可能な光学機器のより大きなリストの中から表示された光学機器のリスト、特定の光学機器の表示に費やされた時間などのデータが含まれ得る。
【0098】
例えば、ユーザインターフェースは、個人が光学機器のセットから表示される少なくとも1つの光学機器を選択できるように構成され得る。ユーザインターフェースは、表示された各光学機器を表示するのに費やされた時間を追跡し、その費やされた時間をその表示された光学機器に関連付けるための追跡モジュールを含み得る。したがって、
-光学機器のサブセットは、全ての表示された光学機器に対応することができ、
-表示された光学機器に対して、その表示された光学機器の表示に費やされた時間は、その表示された光学機器に関連付けられた所与のスコアを表すことができ、
-光学機器のサブセットに対して、サブセットの各光学機器を表示するのに費やされた時間の比較を実行して、サブセットの各光学機器に対する選好レベルを確立することができる。
【0099】
全ての状況では、特に参照者がスマートアイウェアをレンダリング又は使用する属性のいくつかのシミュレーションが示される場合、異なる日常の状況、例えば、山でのハイキング、階段の昇降、ゴルフのプレー、に置かれ得る。この文脈では、満足レベルに関連付けられたユースケースは、パラメータとして行列に同様に記憶され得るか、又は特定のユースケースに関連付けられた別の行列が作成され得る。別の言い方をすると、同じ着用者に対して、異なる光学機器間のスコア又は選好は、使用法/活動に依存し得る。したがって、異なる用途又は活動に対応して、データベースに別のディメンションを追加することが可能である。
【0100】
そのデータベースを使用して、任意の個人に対して、任意の光学機器属性に対する満足レベルの予測を判定し、それに応じて正しい光学機器を推奨することが提案されている。
【0101】
そのために、所与の個人に対して、所与のデータセットが収集ユニット(COLL UNIT)によって収集される[所与のデータを収集する(S2)]。収集された所与のデータセットは、集中処理ユニット(CT)に送信されて、メモリ(MEM)に記憶される。所与のデータセットは、上記の実施形態のいずれかに従って、参照データセットのように収集及び記憶され得る。
【0102】
一実施形態では、データベースは動的であり、個人が光学機器又は光学機器の属性に対していくつかの明示的又は暗黙的な満足レベルを提供するときはいつでも更新することができる。したがって、所与の個人に対して、所与のデータセットをデータベースに追加することができる。
【0103】
複数の参照データセットを記憶した後、及び所与のデータセットを記憶した後、記憶された所与のデータセットに基づいて、記憶された複数の参照データセットの中から、集中処理ユニット(CT)によって参照データセットのグループが選択される[参照データのグループを選択する(S3)]。
【0104】
選択された参照データセットのグループに基づいて、複数の光学機器の中から、集中処理ユニット(CT)によって少なくとも1つの光学機器が予測される[機器を予測する(S4)]。
【0105】
所与の個人に対して最良のアイテムを予測するために、その所与の個人の予測された満足レベルを取得することができ、評価していないアイテムに対して、次いで、所与の個人の満足レベルの予測レベルが最高を得たアイテムが予測され、所与の個人に対して推奨される。
【0106】
或いは、M個の最高の予測満足レベルを得ている複数のM個のアイテムが予測され、所与の個人に推奨され得る。
【0107】
推奨は、例えば、全ての他の光学機器をフィルタリングし、所与の個人に対して推奨される1つ又は複数の光学機器のみを表示することによって、又は複数の光学機器を注文して、推奨される1つ又は複数の光学機器をウェブページの上部に表示することによって、ウェブページ、又はいくつかの在庫管理ユニットを有する店舗において実行することができる。
【0108】
参照データセットのグループがどのように選択され、少なくとも1つの光学機器がどのように予測されるかは、データベース及び所与のデータセットの構造に依存し得る。
【0109】
データセットが異なるアイテムに対する絶対的スコアを含む一実施形態では、ユーザ間協働フィルタが使用され得る。所与の個人uに対して、アイテムiに対する所与の個人uの意見を予測する観点から、過去に同意又は不同意した参照者のグループを選択することができる。言い換えれば、参照データセットのグループを選択することは、同じアイテムの絶対的スコアが所与のデータセットの絶対的スコアと類似している参照データセットを選択することを含み得る。
【0110】
所与の個人uと参照者vの満足レベル間の類似性は、相関レベルに基づいて評価され得る。この相関レベルは、所与の個人uと参照者vのデータセット間の判断の類似性を計算することによって取得され得る。この計算は、少なくとも2つのアイテムj及びk(両方とも所与の個人uの満足レベルが予測されるアイテムiとは異なる)に対する評価の比較に基づく。
【0111】
相関は、所与のデータセット及び選択された参照データセットのグループの参照データセットの両方が、類似の指標含むものとして理解される。
【0112】
そのような指標の例は、
-機器Aは、機器Bよりも好まれ、
-特徴Cを備えた全て(又は大部分)の機器は、特徴Dを備えた全て(又は大部分)の機器よりも好まれ、
-機器AとBの両方が、機器Cよりも好まれる、などであり得る。
【0113】
相関レベルは、例えば、ピアソン相関係数、コサイン類似度係数、又はケンドールタウ相関係数であり得る。
【0114】
ピアソン相関係数の場合、評価が比較される各アイテムに対して相関レベルs
u,vは、以下の式を適用することによって判定される。
【数2】
-I
uvは、所与の個人u及び参照者vの両方が満足レベルを与えたアイテムのセットであり、
-r
u,l(それぞれr
v,l)は、アイテムlに対する所与の個人u(それぞれ参照者v)の満足レベルであり、
-r
u(それぞれr
v)は、I
uvのアイテムに対する所与の個人u(それぞれ参照者v)の満足レベルの平均である。
【0115】
コサイン類似度係数の場合、評価が比較される各アイテムに対して相関レベルs
u,vは、以下の式を適用することによって判定される。
【数3】
【0116】
ケンドールタウ相関係数の場合、所与の個人uの所与のデータセットと参照者vの参照データセットの間のグローバル相関レベルs
u,vは、以下の式を適用することによって判定される。
【数4】
-Nc及びNdは、それぞれ一致ペア(すなわち、所与の個人u及び参照者vが同じ相対的選好を有するペア)、並びに不一致ペア(すなわち、所与の個人u及び参照者vが異なる相対的選好を有するペア)の数であり、
-lは、ユーザu及びvの両方が評価したアイテムの総数である。
【0117】
上記のような所与のデータセットと参照データセットとの間の相関を判定する詳細はまた、同じ方法で、2つの参照データセット間の相関を判定することにも適用される。
【0118】
そのような相関は、所与のデータセットを収集する前に判定され得る。このようにして、以下のシーケンス、すなわち、
-グループに従って類似の参照データセットを再グループ化することと、
-類似の参照データセットの異なるグループのいくつかの参照データセットを事前に選択することと、
-所与のデータセットを取得した後、所与のデータセットと事前に選択されたいくつかの参照データセットとの間の相関を判定することと、
-判定された相関に基づいて、類似の参照データセットのグループのうちの1つを選択することと、を実施することが可能である。
【0119】
所与のデータセットに「隣接する」参照データセットのセットの選択は、相関レベルに基づいて実行され得る。
【0120】
例えば、所与のデータセットとの相関レベルが所定の閾値を超える参照データセットを全て選択して、選択された参照データセットのグループを形成することができるように、所定の閾値を提供することができる。
【0121】
アイテムiに対する所与の個人uの満足レベルr
u,iは、以下の式によって与えられ得る。
【数5】
-r
uは、所与の個人uの参照データセットの満足レベルの平均であり、
-Nuは、所与のデータセットに「隣接する」参照データセットのセットであり、参照データセットのセットの各参照データセットは、参照者vに対応しており、
-vは、1からNuまでの整数であり、
-S
u,vは、所与の個人uの所与のデータセットと参照者vの参照データセットとの満足レベル間の相関レベルであり、
-r
v,iは、アイテムiに対する参照者vの満足レベルであり、
-r
vは、参照者vの参照データセットの満足レベルの平均である。
【0122】
したがって、参照者間のスコアリングの不均一性は、各参照者vに対して、その参照者vの評価の平均rvを計算し、次いで、この計算された平均を、その参照者vによって提供される評価の各々から差し引くことによって除去される。
【0123】
データセットが異なるアイテムの絶対的スコアを含む一実施形態では、アイテム間協働フィルタが使用され得る。
【0124】
所与の個人uに対して、属性を特徴付ける同じ方法を有する参照者のグループが選択される。
【0125】
その参照者のグループが、所与の個人uが評価する光学機器と同じ属性を有すると考えられる少なくとも1つの光学機器が、所与の個人uに対して推奨される。実際、所与の個人は、すでに良好に評価されているものと高い類似性を共有する光学機器を好む可能性がある。
【0126】
アイテムiとアイテムjとの間で異なる参照者がどのように評価したかの類似性指標s
i,jは、例えば以下の式を適用することによって取得され得る。
【数6】
-com(i,j)は、アイテムi及びアイテムjを共通してスコアリングしたユーザのセットであり、
-r
u,iは、アイテムiに対する所与の個人uの満足レベルであり、
-r
u,jは、アイテムjに対する所与の個人uの満足レベルであり、
-r
uは、所与のデータセットの満足レベルの平均である。
【0127】
類似性指標の代替的な定義及び判定が適用されてもよい。既知の方法の例には、単一値分解(SVD)又は非負行列因子分解(NMF)を利用した行列因数分解が含まれる。
【0128】
アイテムiに対する所与の個人uの満足レベルr
u,iは、以下の式を適用することによって与えられ得る。
【数7】
-r
u,iは、アイテムiに対する所与の個人uの満足レベルであり、
-I
uは、アイテムiと同様に、異なる参照者によって評価されるアイテムのグループであり、
-s
i,jは、アイテムiとアイテムjとの間で異なる参照者がどのように評価したかの類似性指標である。
【0129】
各アイテムの所与のユーザに対して、満足レベル又はスコアを予測した後、満足レベル又はスコアが最高のものを選択することによって、好ましい光学機器を予測することができる。
【0130】
データセットが異なるアイテム間の相対的選好レベルを含む一実施形態では、ランキング指向のユーザ間協働フィルタが使用され得る。
【0131】
所与の個人uに対して、少なくとも1つの共通のアイテムのペアに対する相対的選好において所与の個人uと類似の選択をした参照者vのグループが選択される。別のアイテムのペアに対する所与の個人uの相対的選好が予測される。
【0132】
所与の個人uに対して、アイテムのペア(i,j)の相対的選好は、選好関数ψ
u(i,j)を用いて以下のように予測され得る。
【数8】
-S
u,vは、所与の個人uと参照者vとの間の類似度係数であり、上記で明らかなように、例えば、ピアソン相関係数、コサイン類似度係数、又はケンドールタウ相関係数によって判定され得、
-Pu(i,j)は選好関数であり、所与の個人uがアイテムjよりもアイテムiを好む場合は1に設定され、所与の個人uがアイテムiよりもアイテムjを好む場合は-1に設定される。
-Nu(i,j)は、所与の個人uが所定の閾値を超えている類似度係数に対して選択された参照者のグループである。
【0133】
代表的なプロセス及び物品が本明細書で詳細に記載されているが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲によって説明及び定義されているものの範囲から逸脱することなく、様々な置換形態及び修正形態がなされ得ることを認識するであろう。
【0134】
実際、上記の全ての実施形態は、特に、ユーザ間協働フィルタ、アイテム間協働フィルタ、又はランキング指向のユーザ間協働フィルタを使用して、追加のフィルタを含むように修正され得る。追加のフィルタは、所与の個人によって収集ユニットに提供される選択入力に基づいて適用され得る。追加のフィルタの一例は、特定の活動に適した、又は一般に特定のユースケースに適した光学機器のみを選択することであり得る。この場合、参照データセットをフィルタリングして、この特定のユースケースに適した光学機器に対して収集された全ての満足レベルを含むサブ行列を形成することができる。言い換えれば、光学機器の一部は、その特定のユースケースに適していないために除外される。
【0135】
加えて、行列は、参照データセットに対して、同じアイテムに対する複数の満足レベルを含み得、各レベルは特定のユースケースに関連付けられている。この場合、参照データセットは、参照データセットの少なくとも一部が、アイテムの少なくとも一部に対して、そのユースケースに関連付けられた満足レベルの加重平均を含み得るようにフィルタリングされ得る。
【0136】
加重平均は、消費者行動のデータ分析から静的又は動的に導き出すことができる。