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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】電池パック及び車両
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/209 20210101AFI20240508BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240508BHJP
   H01M 50/242 20210101ALI20240508BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20240508BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20240508BHJP
   H01M 50/474 20210101ALI20240508BHJP
   H01M 50/486 20210101ALI20240508BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20240508BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20240508BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20240508BHJP
   H01M 50/477 20210101ALI20240508BHJP
   H01M 50/176 20210101ALI20240508BHJP
   H01M 50/51 20210101ALI20240508BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20240508BHJP
【FI】
H01M50/209
H01M50/249
H01M50/242
H01M50/103
H01M50/119
H01M50/474
H01M50/486
H01M50/55 101
H01M50/548 101
H01M50/531
H01M50/477
H01M50/176
H01M50/51
H01M50/271 B
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022549451
(86)(22)【出願日】2021-02-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-04
(86)【国際出願番号】 CN2021075316
(87)【国際公開番号】W WO2021164568
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】202010099365.X
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼▲華▼▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】彭青波
(72)【発明者】
【氏名】胡世超
(72)【発明者】
【氏名】朱燕
(72)【発明者】
【氏名】高新
【審査官】渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209389111(CN,U)
【文献】特開2017-228391(JP,A)
【文献】特開2007-048523(JP,A)
【文献】特開2015-210892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/209
H01M 50/242
H01M 50/249
H01M 50/103
H01M 50/543-50/567
H01M 50/471-50/486
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に固定され、車両に電力を供給する電池パックであって、少なくとも1つの単電池を含む電池列を含み、
前記単電池は、電流を引き出す電極端子を含み、前記車両の前から後ろの方向は、第1の方向であり、前記電極端子の向きは、前記第1の方向と平行に配置され
前記単電池の長さは、第1の方向に沿って延び、前記単電池の厚さは、第1の方向に垂直な第2の方向に沿って延び、複数の前記単電池は、前記第2の方向に沿って配列されて前記電池列を形成し、
前記単電池の電極端子は、第1の電極端子及び第2の電極端子を含み、前記第1の電極端子及び第2の電極端子は、単電池の第1の方向の端部に位置し、
前記単電池は、金属ケースと、前記金属ケース内に封止され、第1の方向に沿って順に配列された複数の電極体セットとを含み、各前記電極体セットは、少なくとも1つの電極体を含み、複数の前記電極体セットは、電気的に接続され、パッケージフィルム内に封止され、
前記金属ケースと前記パッケージフィルムとの間の気圧は、前記金属ケース外の気圧より低く、前記パッケージフィルム内の気圧は、前記金属ケースと前記パッケージフィルムとの間の気圧より低いことを特徴とする、電池パック。
【請求項2】
前記第1の電極端子及び第2の電極端子は、前記単電池の第1の方向の同一端部に位置し、
前記第1の電極端子及び第2の電極端子は、いずれも車両の前に向かうか、又はいずれも車両の後ろに向かうことを特徴とする、請求項に記載の電池パック。
【請求項3】
前記第1の電極端子及び第2の電極端子は、それぞれ前記単電池の第1の方向の2つの端部に位置し、
前記第1の電極端子及び第2の電極端子は、それぞれ車両の前と後ろに向かうことを特徴とする、請求項に記載の電池パック。
【請求項4】
少なくとも1つの前記単電池の長さと前記車両の長さとの比率範囲は、0.2~0.8であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項5】
少なくとも1つの前記単電池の長さ範囲は、600mm~2500mmであることを特徴とする、請求項に記載の電池パック。
【請求項6】
複数の電極体セットは、直列接続され、各前記電極体セットは、電極体セット本体と、前記電極体セット本体に電気的に接続された第1の電極及び第2の電極とを含み、前記第1の電極及び前記第2の電極は、第1の方向に沿ってそれぞれ前記電極体セット本体の両側に位置し、
隣接する2つの前記電極体セットのうち、1つの前記電極体セットの第1の電極と、もう1つの前記電極体セットの第2の電極とは、電気的に接続されて直列接続を実現することを特徴とする、請求項に記載の電池パック。
【請求項7】
前記パッケージフィルムは、1つあり、複数の前記電極体セットは、同一の前記パッケージフィルム内に封止され、隣接する2つの前記電極体セットの電気的接続箇所は、前記パッケージフィルム内に位置し、
前記パッケージフィルムにおける前記第1の電極と対応する位置には、パッケージ部が形成され、或いは、前記パッケージフィルムにおける前記第2の電極と対応する位置には、パッケージ部が形成され、或いは、前記パッケージフィルムにおける前記第1の電極及び前記第2の電極と同時に対応する位置には、パッケージ部が形成され、前記パッケージ部により、隣接する2つの電極体セット本体は分離され、隣接する2つの電極体セットのうちの1つの電極体セットの第1の電極と、もう1つの電極体セットの第2の電極とのうちの少なくとも1つは、前記パッケージ部内に位置することを特徴とする、請求項に記載の電池パック。
【請求項8】
前記パッケージフィルムは、複数あり、少なくとも1つの前記電極体セットは、1つの前記パッケージフィルム内に封止されて電極体アセンブリを形成し、少なくとも1つの前記第1の電極は、前記パッケージフィルム外に延出し、或いは、少なくとも1つの前記第2の電極は、前記パッケージフィルム外に延出し、或いは、少なくとも1つの前記第1の電極及び少なくとも1つの前記第2の電極は、前記パッケージフィルム外に延出し、前記電極体アセンブリは、直列接続されることを特徴とする、請求項に記載の電池パック。
【請求項9】
直列接続された複数の電極体セットは、電極体列を形成し、前記金属ケースは、開口を有するケース本体と、カバープレートとを含み、前記カバープレートは、前記ケース本体の開口を封止するように接続されて、ケース本体とともに封止された収容キャビティを形成し、前記電極体列は、前記収容キャビティ内に位置し、
前記電極体列の両端の第1の電極及び第2の電極は、それぞれ前記カバープレートから引き出されて、それぞれ第1の電極端子及び第2の電極端子を形成し、或いは、前記第1の電極端子及び第2の電極端子は、それぞれ前記カバープレートに設けられ、前記電極体列の両端の第1の電極及び第2の電極は、それぞれ第1の電極端子及び第2の電極端子に接続されることを特徴とする、請求項に記載の電池パック。
【請求項10】
前記ケース本体は、前記第1の方向に垂直な第2の方向に沿って、対向する2つの第1の表面を含み、少なくとも1つの前記第1の表面は、前記金属ケースの内部へ窪んでいることを特徴とする、請求項に記載の電池パック。
【請求項11】
複数の前記単電池は、直列接続され、少なくとも2つの隣接する前記単電池の間に隙間が残され、前記隙間と前記単電池の前記第2の方向に沿う厚さとの比率範囲は、0.001~0.15であることを特徴とする、請求項に記載の電池パック。
【請求項12】
前記隙間は、第1の隙間を含み、前記第1の隙間は、前記2つの隣接する単電池の、同一側に位置する2つの前記カバープレートの間の最小距離であり、前記単電池の厚さは、前記カバープレートの前記第2の方向に沿う寸法であり、前記第1の隙間と前記単電池の厚さとの比率範囲は、0.005~0.1であることを特徴とする、請求項11に記載の電池パック。
【請求項13】
前記隙間は、第2の隙間を含み、前記第2の隙間は、前記2つの隣接する単電池の対向する2つの前記第1の表面の間の最小距離であり、前記単電池の厚さは、前記カバープレートの前記第2の方向に沿う寸法であり、前記単電池の使用前の第2の隙間は、使用後の第2の隙間より大きいことを特徴とする、請求項11に記載の電池パック。
【請求項14】
前記金属ケースには、空気抜き孔が形成され、前記空気抜き孔内に封止部材が設けられることを特徴とする、請求項に記載の電池パック。
【請求項15】
前記金属ケースと前記パッケージフィルムとの間の気圧値は、P1であり、P1の値の範囲は、-100Kpa~-5Kpaであることを特徴とする、請求項に記載の電池パック。
【請求項16】
前記パッケージフィルム内の気圧値は、P2であり、P2の値の範囲は、-100Kpa~-20Kpaであり、P1とP2との関係は、P1>P2を満たし、P1/P2の比率範囲は、0.05~0.85であることを特徴とする、請求項15に記載の電池パック。
【請求項17】
前記パッケージフィルムは、積層された非金属外層フィルム及び非金属内層フィルムを含み、前記内層フィルムは、前記電極体セットと外層フィルムとの間に位置し、前記外層フィルムの融点は、前記内層フィルムの融点より大きく、前記外層フィルムと内層フィルムとの融点差の範囲は、30℃~80℃であることを特徴とする、請求項に記載の電池パック。
【請求項18】
前記電池パックは、電池カバーと、前記電池カバーに係合され、サイドビームを含むトレイとを更に含み、前記電池カバーと前記トレイは、封止接続されて電池収容キャビティを形成し、前記電池列は、前記電池収容キャビティ内に位置し、前記金属ケースに支持領域が形成され、前記単電池は、前記支持領域により前記サイドビームに当接して前記サイドビームに支持されることを特徴とする、請求項に記載の電池パック。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の電池パックを含むことを特徴とする、車両。
【請求項20】
前記電池パックは、車両の底部に設けられることを特徴とする、請求項19に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、ビーワイディー カンパニー リミテッドが2020年2月18日に提出した、出願名称が「電池パック及び車両」である中国特許出願第「202010099365.X」号の優先権を主張するものである。
【0002】
本願は、車両製造の技術分野に関し、特に電池パック及び前記電池パックを含む車両に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、電気自動車に適用される動力電池パックは、一般的に、複数の単電池を含み、各単電池は、いずれも電流を引き出す電極端子を含む。単電池の車両全体における配列設計は、常に空間により制限されるため、空間利用の最大化及び電池の安全性の観点からは適性を欠いている。
【0004】
従来技術において、単電池の電極端子が電気自動車の高さ方向に向かって設けられる場合、電気自動車の車両全体の高さが限られるため、電池パックを電気自動車の底部にしか配置できず、電池の安全性を考慮すると、単電池のセルが高いほどよくなるが、車室の空間及び車両全体の重心の安定性を考慮すると、単電池にあまりに高い空間を与えることができないため、単電池の配列設計の難しさを増加させ、また、単電池の電極端子が車両の側面方向、すなわちドアの方向に向かって設けられる場合、電気自動車の車両全体の幅が限られるため、電気自動車の車体が側面方向からの衝突を受けると、単電池の電極端子が直接衝突を受けやすく、短絡などの危害性が大きい電池損傷が発生しやすい。
【発明の概要】
【0005】
本願は、少なくとも従来技術における技術的課題の1つを解決することを目的とする。このために、本願は、前記電極端子が衝突を受ける可能性を低減することができる電池パックを提供する。
【0006】
本願は、上記電池パックを使用する車両を更に提供する。
【0007】
本願の電池パックは、車両に固定され、前記車両に電力を供給し、少なくとも1つの単電池を含む電池列を含み、前記単電池は、電流を引き出す電極端子を含み、前記車両の前から後ろの方向は、第1の方向であり、前記電極端子の向きは、前記第1の方向と平行に設定される。
【0008】
本願は、単電池の電極端子の向きを車両の前から後ろの方向と平行に設定することにより、電極端子が車の前又は車の後ろに向けられ、従来の電極端子が車両の側面に向かって設けられることに比べて、単電池の電極端子と車両の車体外板との間に大きな緩衝空間を有することができ、これにより、車体の衝突時に電極端子にかかる衝突を緩和し、該電極端子が衝突を受ける可能性を低減し、電極端子が衝突を受けて短絡が発生するなどの危害性が大きい電池損傷を回避することができる。
【0009】
本願の追加の態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本願の実施により把握される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本願の上記及び/又は追加の様態及び利点は、以下の図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになって理解されやすくなる。
【0011】
図1】本願の実施例に係る電池パックが車両に固定された立体構造の概略図である。
図2】本願の実施例に係る電池パックの立体構造の概略図である。
図3】本願の実施例に係る電池列の立体構造の概略図である。
図4】本願の実施例に係る単電池の立体構造の概略図である。
図5】本願の実施例に係る単電池の断面概略図である。
図6】本願の実施例に係る電極体セットがパッケージフィルム内に封止された概略図である。
図7】本願の実施例に係る電極体セットがパッケージフィルム内に封止された別の概略図である。
図8】本願の実施例に係る金属ケースの第1の表面に凹部が形成された概略図である。
図9】従来技術における車両の底部が硬い物の衝突を受けた後に電池パック内の単電池への影響の概略図である。
図10】本願の実施例における車両の底部が硬い物の衝突を受けた後に電池パック内の単電池への影響の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、上記実施例の例は、図面に示され、全体を通して同一又は類似の符号は、同一又は類似の部品、或いは同一又は類似の機能を有する部品を示す。以下、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものであり、本願を解釈するためのものに過ぎず、本願を限定するためのものとして理解すべきではない。
【0013】
図1図5を併せて参照し、本願は、車両300に固定され、車両300に電力を供給する電池パック200を開示する。具体的には、本願の実施例において、電池パック200は、車両300の底部に固定されてもよく、或いは、他の実施例において、電池パック200は、車両の前又は後ろに設けられてもよいか、又は車の頂部さらに車室内に設けられてもよく、これを具体的に限定しない。電池パック200は、少なくとも1つの単電池100を含む電池列21を含む。電池列21は、複数の単電池100を含むことにより、電池列21の電気容量を増加させる。
【0014】
本願において、単電池100は、電流を引き出す電極端子を含む。車両300の前から後ろの方向を第1の方向Aと定義し、本願の実施例において、単電池100の電極端子の向きは、第1の方向Aと平行に設定され、すなわち、単電池100の電極端子は、車の前に向かって設けられてもよく、車の後ろに向かって設けられてもよい。
【0015】
車両300の前から後ろまでの長さ寸法は、車両300の幅寸法及び高さ寸法より大きく、本願は、単電池100の電極端子を車両300の前に向けて設けるか、又は電極端子を車両の後ろに向けて設けるか、又は少なくとも一部の電極端子を車の前に向けて設け、他の一部の電極端子を車の後ろに向けて設けることにより、単電池100の電極端子と車両300の車体外板との間に大きな緩衝空間を残すことができ、これにより、車体の衝突時に電極端子にかかる衝突を緩和することができ、該電極端子が衝突を受ける可能性を低減する。
【0016】
本願の実施例において、単電池100の長さは、第1の方向Aに沿って延び、すなわち、単電池100の長さ方向は、車両300の長さ方向と同じであり、長い単電池100を得ることに役立ち、これにより、単一の単電池100の電気容量を増加させる。また、単電池100の厚さは、第1の方向Aに垂直な第2の方向Bに沿って延び、複数の単電池100は、第2の方向Bに沿って順に配列されて電池列21を形成する。
【0017】
従来技術において、単電池の電極端子は、車両の側面方向(すなわち第1の方向Aに垂直な第2の方向B)に向かって設けられ、図9に示すように、電池パック内の複数の単電池は、車両の前から後ろの方向(すなわち第1の方向A)に沿って配列されるため、車両の走行過程において、車両の底部が硬い物Cに衝突される場合、底部の電池パック内の全ての単電池は、いずれも衝突により変形し、破裂するリスクを有する可能性があり、これにより、複数の単電池の間の短絡が発生し、車両及び乗客に損傷を与えやすい。
【0018】
従来技術と異なり、本願において、図10に示すように、複数の単電池は、車両の前から後ろの方向に垂直な第2の方向Bに沿って配列され、このような配列方式により、車両の走行過程において車両の底部が硬い物Cに衝突される場合、異物衝突の影響を受ける単電池の数を減少させ、安全性を向上させることができる。図9及び図10に示すように、100bは、衝突の影響を受ける単電池である。
【0019】
本願の実施例において、単電池100の長さは、第1の方向Aに沿って延び、単電池100の電極端子は、第1の電極端子141及び第2の電極端子142を含み、第1の電極端子141及び第2の電極端子142は、それぞれ単電池100の正極端子及び負極端子であってもよく、或いは、それぞれ負極端子と正極端子であってもよい。第1の電極端子141及び第2の電極端子142は、単電池100の第1の方向Aの端部に位置する。なお、第1の電極端子141及び第2の電極端子142の「第1」及び「第2」は、名称の区別のみに用いられ、数を限定するものではなく、例えば、第1の電極端子141及び第2の電極端子142は、いずれも1つであってもよく、複数であってもよい。
【0020】
他の実施例において、単電池100の第1、第2の電極端子は、単電池100の他の位置に設けられてもよく、例えば、単電池10の第2の方向Bの両側に設けられてもよく、単電池100の長さ方向は、車両300の長さ方向と異なってもよく、例えば、単電池100の長さ方向は、車両300の幅方向と同じであり、車両300の高さ方向と同じであってもよく、単電池100の第1の電極端子141及び第2の電極端子142の向きが車両300の前から後ろの方向と平行であることを満たせばよく、これにより、電極端子は、大きな緩衝空間を有することができる。
【0021】
本願の実施例において、第1の電極端子141及び第2の電極端子142は、単電池100の第1の方向Aの同一端部に位置し、第1の電極端子141及び第2の電極端子142は、いずれも車両300の第1の方向Aの同一側に向かう。
【0022】
例えば、いくつかの実施形態において、第1の電極端子141及び第2の電極端子142は、いずれも車両300の前に向かう。他の実施形態において、第1の電極端子141及び第2の電極端子142は、いずれも車両300の後ろに向かう。
【0023】
他の実施例において、第1の電極端子141及び第2の電極端子142は、それぞれ単電池100の第1の方向Aの2つの端部に位置し、すなわち、第1の電極端子141及び第2の電極端子142は、それぞれ車両300の前と後ろに向かう。
【0024】
図3に示すように、電池列21において、複数の単電池100は、第1の方向Aに垂直な第2の方向Bに沿って配列され、隣接する単電池100の同一側の電極端子の極性が逆であり、すなわち、電池列21において、一部の単電池100の第1の電極端子は、車の前に向かい、第2の電極端子は、車の後ろに向かい、他の一部の単電池100の第1の電極端子は、車の後ろに向かい、第2の電極端子は、車の前に向かう。
【0025】
本願の実施例において、第1の電極端子141及び第2の電極端子142は、それぞれ単電池100の第1の方向Aの2つの端部に位置し、第1の電極端子141及び第2の電極端子142は、それぞれ車の前と車の後ろに向かうことにより、単電池100の各端部の構造が簡単であり、製造し取り付けやすい。
【0026】
本願の実施例において、電極端子に十分な緩衝空間を残すために、単電池100の長さと車両300の長さとの比率は、合理的な範囲内にあるべきであり、単電池100の長さと車両300の長さとの比率範囲は、0.2~0.8であってもよい。本願の実施例において、単電池100は、ほぼ直方体であり、単電池100の長さLの範囲は、600mm~2500mm(ミリメートル)であり、例えば、800mm、1000mm又は1500mmなどであってもよく、単電池100の長さ寸法が該範囲内にある場合、単電池100の全体構造は、標準化の設計により合致し、異なる電池パック200に汎用することができ、適用範囲が広く、単電池100の厚さは、第1の方向Aに垂直な第2の方向B(すなわち車両300の幅方向)に沿って延び、単電池100の厚さDは、10mmより大きくてもよく、例えば13mm~75mmの範囲にあってもよい。
【0027】
図5図8を併せて参照し、単電池100は、金属ケース11と、金属ケース11内に封止され、第1の方向Aに沿って順に配列された複数の電極体セット12とを含む。複数の電極体セット12は、直列接続されて電極体列を形成することができ、各電極体セット12は、少なくとも1つの電極体を含む。
【0028】
電極体セット12は、電流を引き出す第1の電極121及び第2の電極122を含み、電極体セット12は、電極体セット本体123と、電極体セット本体123に電気的に接続された第1の電極121及び第2の電極122とを含み、第1の電極121及び第2の電極122は、第1の方向Aに沿ってそれぞれ電極体セット本体123の両側に位置する。隣接する2つの電極体セット12のうち、1つの電極体セット12の第1の電極121と、もう1つの電極体セット12の第2の電極122とは、電気的に接続されて直列接続を実現し、複数の電極体セット12を直列接続して、単一の単電池100により容量及び電圧の向上を実現し、製造プロセス及びコストを低減することができる。
【0029】
本実施例の直列接続方式としては、隣接する2つの電極体セット12が直列接続されてもよく、実現される具体的な方式としては、隣接する2つの電極体セット12の第1の電極121及び第2の電極122が直接的に接続されてもよく、追加の導電部材により電気的接続を実現してもよい。電極体セット12が1つの電極体のみを含む場合、第1の電極121及び第2の電極122は、それぞれ電極体の正極タブと負極タブであってもよいか、又はそれぞれ負極タブと正極タブであってもよい。複数の電極体を含む場合、第1の電極121及び第2の電極122の引出部材は、電極リード線であってもよい。第1の電極121及び第2の電極122の「第1」及び「第2」は、名称の区別のみに用いられ、数を限定するものではなく、例えば、第1の電極121及び第2の電極122は、いずれも1つであってもよく、複数であってもよい。
【0030】
金属ケース11は、開口を有するケース本体111と、カバープレート112とを含む。カバープレート112は、ケース本体11の開口に封止接続されて、ケース本体とともに封止された収容キャビティを形成し、複数の電極体セット12で直列接続されて形成された電極体列は、該収容キャビティ内に収容される。電極体列の両端は、それぞれ第1の電極及び第2の電極を含み、該電極体列の第1の電極は、該電極体列の一端に位置する電極体セット12の第1の電極121であり、該電極体列の第2の電極は、該電極体列の他端に位置する電極体セット12の第2の電極122である。
【0031】
いくつかの実施例において、電極体列の両端に位置する第1の電極及び第2の電極は、それぞれカバープレート112から引き出されて、それぞれ単電池100の第1の電極端子141及び第2の電極端子142を形成する。
【0032】
いくつかの実施形態において、ケース本体111は、両端が開口してもよく、カバープレート112の数は、2つであってもよいため、2つのカバープレート112は、それぞれケース本体111の両端の開口に封止接続されて、封止された収容キャビティを形成する。このような方式において、電極体列の両端に位置する第1の電極及び第2の電極は、それぞれ2つのカバープレート112から引き出されて、それぞれ単電池100の第1の電極端子141及び第2の電極端子142を形成することができ、この時に第1の電極端子141及び第2の電極端子142は、それぞれ単電池100の第1の方向Aの2つの端部に位置する。勿論、他の実施例において、電極体列の両端に位置する第1の電極及び第2の電極も、同一のカバープレート112から引き出されて、それぞれ単電池100の第1の電極端子141及び第2の電極端子142を形成することができ、この時に第1の電極端子141及び第2の電極端子142は、それぞれ単電池100の第1の方向Aの同一端部に位置する。
【0033】
他の実施形態において、ケース本体111には、一端のみに開口が設けられてもよく、カバープレート112の数は1つであるため、1つのカバープレート112は、ケース本体111の一端の開口に封止接続される。このような方式において、電極体列の両端に位置する第1の電極及び第2の電極は、同一のカバープレート112から引き出されて、それぞれ単電池100の第1の電極端子141及び第2の電極端子142を形成し、この時に第1の電極端子141及び第2の電極端子142は、それぞれ単電池100の同一端部に位置する。
【0034】
電極体列の両端に位置する第1の電極及び第2の電極は、カバープレート112から引き出されなくてもよく、カバープレート112に第1の電極端子141及び第2の電極端子142が設けられ、第1、第2の電極端子は、いずれも同一のカバープレート112に設けられてもよく、それぞれ2つのカバープレート112に設けられてもよく、この時に電極体列の両端に位置する第1の電極及び第2の電極は、それぞれカバープレート112上の第1の電極端子及び第2の電極端子に電気的に接続され、ここでは説明を省略する。
【0035】
複数の電極体セット12は、直列接続+並列接続の方式で接続されてもよく、例えば、複数の電極体セット12は、2つの電極体列を形成することができ、具体的には、複数の電極体セット12を2つの部分に分けることができ、各部分における電極体セット12は、直列接続されて1つの電極体列を形成し、2つの電極体列は、並列接続される。勿論、複数の電極体セット12は、3つの部分又はより多くの部分に合理的に分けられてもよく、各部分における電極体セット12は、直列接続されて電極体列を形成し、複数の電極体列は、並列接続される。
【0036】
理解されるように、単電池100における複数の電極体セット12は、複数の部分に分けられ、各部分における複数の電極体セット12は、直列接続されて電極体列を形成することにより、各電極体列は、一定の電圧を有して動作需要を満たすことができ、複数の電極体列は、並列接続の方式で接続されることにより、複数の電極体列の電気容量を重畳させることができるため、単電池100は、大きな電気容量を有し、単電池100の給電時間を長くすることに役立つ。
【0037】
本願の実施例において、金属ケース11と電極体セット12との間にパッケージフィルム13が更に設けられ、すなわち電極体セット12はパッケージフィルム13内に封止される。これにより、パッケージフィルム13と金属ケース11により電極体セット12に対する二次パッケージを実現することができ、単電池100の封止効果を向上させることに役立つ。理解されるように、パッケージフィルム13内に電解液が更に注入される。したがって、上記方式により、更に電解液と金属ケース11との接触を回避し、金属ケース11の腐食又は電解液の分解を回避することができる。
【0038】
金属ケース11とパッケージフィルム13との間の気圧は、金属ケース11外の気圧より低く、パッケージフィルム13内の気圧は、金属ケース11とパッケージフィルム13との間の気圧より低い。
【0039】
本願において、「気圧」は、大気圧の略称である。それは、単位面積当たりに作用する気体の圧力を指し、すなわち、単位面積において、大気上界まで上方に延びる垂直空気柱の重量に等しい。
【0040】
金属ケース11とパッケージフィルム13との間の気圧は、金属ケース11とパッケージフィルム13との間に位置する空間内の気圧であり、該気圧は、金属ケース11外の気圧より低く、したがって、本願の実施例において、金属ケース11とパッケージフィルム13との間が負圧状態にあるため、金属ケース11が大気圧によって窪むか又は変形すると、金属ケース11と電極体セット12との間の隙間がそれに伴って小さくなり、電極体セット12が移動するか又は互に変位する空間が小さくなり、更に電極体セット12の移動及び電極体セット12同士の相対変位を減少させ、単電池100の安定性、強度及び安全性能を向上させることができる。
【0041】
例えば、金属ケース11とパッケージフィルム13との間の空間に対して空気抜き処理を行うことにより、金属ケース11とパッケージフィルム13との間を負圧状態にすることにより、金属ケース11を内部の電極体セット12にできるだけ近接させ、内部の空隙を小さくし、電極体が金属ケース内で移動することを防止するとともに、電極体同士が相対変位することを防止し、集電体が破損し、セパレータが皺になり、活性材料が脱落するなどの状況の発生を減少させ、単電池100全体の機械的強度を向上させ、単電池100の耐用年数を長くし、単電池100の安全性能を向上させる。
【0042】
一実施形態において、金属ケース11とパッケージフィルム13との間の気圧値は、P1であり、P1の値の範囲は、-100Kpa~-5Kpaであってもよい。
【0043】
勿論、当業者は、実際の需要に応じてP1の値を設定することができ、他の実施例において、P1の値は、-75Kpa~-20Kpaであってもよい。なお、金属ケース11とパッケージフィルム13との間は、真空状態であってもよい。
【0044】
パッケージフィルム13内の気圧値は、P2であり、P2の値の範囲は、-100Kpa~-20Kpaであってもよい。
【0045】
P1とP2との関係は、P1>P2を満たし、P1/P2の範囲は、0.05~0.85である。
【0046】
P1、P2及びP1/P2を上記範囲内に限定し、本技術における電極体セット12は、二次封止のモードを使用し、まず電池電極体セット12をパッケージフィルム13内に封止し、内部の気圧が大きすぎてパッケージフィルム13が外向きに膨出することによるパッケージフィルム13の破損を回避するために、本発明者らは、金属ケース11とパッケージフィルム13との間の気圧がパッケージフィルム13内の気圧より大きいことを選択する。また、多くの実験により、P1/P2が上記範囲にある場合、単電池100の二次封止の信頼性をよく保証するとともに、単電池100の極板の間の界面を保証し、極板の間の隙間を回避し、リチウムイオンをよりよく伝導させることを検証した。
【0047】
本願の実施例において、パッケージフィルム13は、1つあり、直列接続された複数の電極体セット12は、同一のパッケージフィルム13内に封止され、直列接続された2つの電極体セット12のうちの1つの電極体セット12の第1の電極121と、もう1つの電極体セット12の第2の電極122との接続箇所は、パッケージフィルム13内に位置する。すなわち、パッケージフィルム13は、一体的に設けられ、複数の電極体セット12は、同一のパッケージフィルム13内に封止される。
【0048】
例えば、図6に示すように、まず複数の電極体セット12を直列接続し、次に1つのパッケージフィルム13を用いて直列接続された電極体セット12を包み、例えば、直列接続された電極体セット12をパッケージフィルム13の一部の領域に配置し(又はパッケージフィルム13の一部の領域に予め溝入れを行い、次に直列接続された複数の電極体セット12を該溝内に配置する)、次にパッケージフィルム13の他の一部の領域を電極体セット12の方向に向けて中折りし、その後に熱融着処理により2つの領域のパッケージフィルム13を熱融着して封止することにより、直列接続された電極体セット12を同一のパッケージフィルム13内に封止する。
【0049】
理解されるように、パッケージフィルム13における第1の電極121と対応する位置にパッケージ部131が形成されるか、又はパッケージフィルム13における第2の電極122と対応する位置にパッケージ部131が形成されるか、又はパッケージフィルム13における第1の電極121及び第2の電極122と同時に対応する位置にパッケージ部131が形成され、パッケージ部131により、隣接する2つの電極体セット本体123を分離し、隣接する2つの電極体セット12のうちの1つの電極体セット12の第1の電極121と、もう1つの電極体セット12の第2の電極122とのうちの少なくとも1つは、パッケージ部131内に位置する。パッケージ部131により複数の電極体セット本体123を分離し、複数の電極体セット12の間の電解液が互いに流通することを回避し、複数の電極体セット12は、互いに影響を与えず、複数の電極体セット12中の電解液は、電位差が大きすぎて分解することがなく、単電池100の安全性及び耐用年数を保証する。
【0050】
パッケージ部131は、様々な実施形態を有してもよく、例えば、結束バンドを使用してパッケージフィルム13を締め付けてパッケージ部131を形成してもよく、パッケージフィルム13を直接的に熱融着して接続してパッケージ部131を形成してもよい。或いは、2つの電極体セット12の間にセパレータを直接的に設けてパッケージ部131を構成し、パッケージ部131の具体的な方式は、特に限定されない。
【0051】
本願の別の実施例において、図7に示すように、パッケージフィルム13は、複数あり、少なくとも1つの電極体セット12は、1つのパッケージフィルム13内に封止されて電極体アセンブリを形成し、複数の電極体アセンブリは、直列接続される。
【0052】
パッケージフィルム13の数と電極体セット12の数は、1対1に対応し、各電極体セット12は、1つのパッケージフィルム13に単独で封止され、このような実施形態において、複数の電極体セット12の製造が完了した後、各電極体セット12の外部に1つのパッケージフィルム13を単独で嵌着し、次に複数の電極体アセンブリを直列接続することができる。
【0053】
電極体セット12の第1の電極121及び第2の電極122のうちの少なくとも1つは、パッケージフィルム13外に延出し、例えば、第1の電極121がパッケージフィルム13外に延出してもよく、第2の電極122がパッケージフィルム13外に延出してもよく、第1の電極121及び第2の電極122がいずれもパッケージフィルム13外に延出してもよい。すなわち、少なくとも1つの第1の電極121がパッケージフィルム13外に延出するか、或いは、少なくとも1つの第2の電極122がパッケージフィルム13外に延出するか、或いは、少なくとも1つの第1の電極121及び少なくとも1つの第2の電極122がパッケージフィルム13外に延出し、延出された電極により他の電極体アセンブリに直列接続することができる。
【0054】
本願の実施例において、複数の電極体セット12の配列方向は、第1の方向Aであり、電極体セット12の長さ方向は、第1の方向Aに沿って延び、単電池100の長さも第1の方向Aに沿って延び、すなわち、複数の電極体セット12は、単電池100の長さ方向に沿って順に配列され、電極体セット12の第1の電極121及び第2の電極122は、第1の方向Aに沿って電極体セット12の両側にそれぞれ位置し、すなわち、複数の電極体セット12は、「ヘッドトゥーヘッド」の配列方式を使用し、この配列方式により電極体セット12同士の2つずつの直列接続を容易に実現することができ、接続構造が簡単である。また、このような配列方式により長い単電池100を容易に製造することができ、これにより、単電池100を電池パックのケース内に取り付ける場合、横ビーム及び縦ビームなどの支持構造を設ける必要がなく、単電池100自体の金属ケース11を支持体として単電池100を電池パックのケースに直接的に取り付けることができ、これにより、電池パックの内部空間を節約し、電池パックの体積利用率を向上させることができ、電池パックの重量を低減することに役立つ。
【0055】
電極体を1つのみ設ける従来の方式に比べて、単電池100内に複数の電極体セット12を設けることにより、長い単電池100をより容易に製造することができ、従来の電池において、電池が長くなると、集電体として使用される内部の銅アルミニウム箔の長さがそれに応じて増加して、電池の内部の抵抗を大幅に大きくし、現在ますます高くなる電力及び急速充電の要件を満たすことができない。電池の長さが同じである場合、本願の実施例は、電池の内部の抵抗を大幅に小さくし、高電力出力、急速充電などの場合の電池の過熱などによる問題を回避することができる。
【0056】
図8に示すように、金属ケース11は、第1の方向Aに垂直な第2の方向Bに沿って対向する2つの第1の表面113を有し、該第1の表面113は、単電池100の最大表面で、すなわち、単電池100の「大きな表面」である。少なくとも1つの第1の表面113は、金属ケース11の内部へ窪むことにより、金属ケース11と電極体セット12をできるだけ貼り合わせることができる。
【0057】
金属ケース11は、厚さが小さく、薄いシートであるため、金属ケース11の第1の表面113上の凹部114は、例えば、金属ケース11内から空気抜きする場合に形成された凹部であってもよい。すなわち、金属ケース11とパッケージフィルム13との間の空間に対して空気抜き処理を行うことにより金属ケース11とパッケージフィルム13との間の気圧が金属ケース11外の気圧より低い場合、空気抜きの進行に伴い、金属ケース11の第1の表面113は、金属ケース11内に窪んで凹部114を形成しやすい。
【0058】
単電池100が正常に使用される過程において、材料自体の膨張、電解液のガス発生などにより、電池は、一般的に膨張し、通常、膨張変形が最大の領域が電池の大きな表面に位置する。本技術を使用して、電池の初期状態の場合に、真空引きにより大きな表面がわずかに内側に窪むように形成され、電池膨張後の電池の間の押圧を効果的に緩和し、電池及びシステム全体の耐用年数、安全性能などを向上させることができる。
【0059】
他のいくつかの実施例において、図8に示すように、金属ケース11の第1の表面113に凹部を予め形成し、次に金属ケース11内に空気抜き処理を行うことであってもよい。金属ケース11の第1の表面113上の凹部114は、複数あってもよく、例えば、第1の表面113に複数の凹部114を予め形成し、各凹部114の位置は、1つの電極体セット12の所在する位置に対応する。
【0060】
いくつかの実施形態において、金属ケース11の対向する2つの第1の表面113は、いずれも内部に窪んで、窪んだ領域により電極体セット12を挟持する。
【0061】
金属ケース11に空気抜き孔を設け、該空気抜き孔により金属ケース11とパッケージフィルム13との間の空間に対して空気抜き操作を行うことができる。該空気抜き孔を封止する必要があるため、空気抜き孔内には、空気抜き孔を封止する封止部材が更に設けられる。該封止部材は、例えば、プラグ、ゴム部材などであってもよく、これを限定しない。
【0062】
いくつかの実施形態において、金属ケース11から空気抜きする前に、電極体セット12と金属ケース11の内表面との間に隙間が設けられ、該隙間により電極体セット12を金属ケース11の内部に取り付けやすく、金属ケース11から空気抜きした後、金属ケース11が第2の方向に沿って電極体セット12の外表面に押圧されて電極体セット12を挟持することにより、電極体セット12が金属ケース11内部に移動する空間を小さくし、単電池100の安全性能を向上させる。
【0063】
本願の実施例において、金属ケース11の強度が高く、放熱効果が高く、金属ケース11は、アルミニウムケース又は鋼ケースを含むが、それらに限定されない。いくつかの実施例において、金属ケース11の厚さは、0.05mm~1mmである。
【0064】
金属ケース11の厚さが大きいと、単電池100の重量を増加させ、単電池100の容量を低下させるだけでなく、金属ケース11の厚さが厚すぎると、大気圧によって、金属ケース11が電極体セット12側に窪むか又は変形しにくく、金属ケース11と電極体セット12との間の間隔を小さくせず、更に電極体セット12を位置決めする役割を効果的に果たすことができない。それだけでなく、金属ケース11が厚すぎると、空気抜きのコストを増加させるため、製造コストを増加させる。
【0065】
本願は、金属ケース11の厚さを上記範囲内に限定することにより、金属ケース11の強度を保証するだけでなく、単電池100の容量を低下させることもなく、更に負圧の状態で、金属ケース11がより変形しやすく、金属ケース11と電極体セット12との間の間隔を小さくすることにより、電極体セット12の金属ケース11内部の移動と電極体セット12同士の相対変位とを減少させる。
【0066】
本願の実施例において、パッケージフィルム13は、積層された非金属外層フィルム及び非金属内層フィルムを含み、内層フィルムは、外層フィルムと電極体セット12との間に位置する。
【0067】
内層フィルムは、化学的安定性が高く、例えば、耐電解液腐食性を有する材料、例えば、ポリプロピレン(PP、Polypropylene)、ポリエチレン(PE、Polyethylene)、ポリエチレンテレフタレート(PET、Polyethylene terephthalate)、又は上記材料のうちの複数種の組み合わせを使用してもよい。
【0068】
外層フィルムは、保護層であり、外層フィルムを利用して空気、特に水蒸気、酸素などの浸透を阻止することができ、その材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド(PA、Polyamide)又はポリプロピレンであってもよく、上記材料の複数種の組み合わせであってもよい。
【0069】
本実施例のパッケージフィルム13において、外層フィルムの融点が内層フィルムの融点より大きいため、熱融着して封止する場合、外層フィルムが溶融されず、内層フィルムがタイムリーに溶融することにより優れた密封性を保証することができる。
【0070】
外層フィルムと内層フィルムの融点差の範囲は、30℃~80℃であり、例えば、両者の融点差は、50℃又は70℃などであってもよく、具体的な材料は、実際の需要に応じて選択することができる。
【0071】
非金属外層フィルムと非金属内層フィルムとの間は、接着剤で接着して複合される。例えば、接着して複合フィルムを形成するために、外層フィルムの材料は、PPであってもよく、内層フィルムの材料は、PETであってもよく、両者を接着する接着剤は、例えば、ポリオレフィン系接着剤であってもよい。
【0072】
本実施例は、二層非金属フィルムを使用してパッケージフィルム13を形成して電極体セット12を封止し、非金属のパッケージフィルム13を使用して、引張強度及び破断伸度がより高くなり、単電池100の厚さに対する制限を減少させることができるため、製造された単電池100は、厚さがより大きくなる。本実施例の単電池100の厚さは、拡張可能な範囲が大きく、例えば、10mmより大きく、例えば、13mm~75mmの範囲にあってもよい。
【0073】
本願のいくつかの実施形態において、パッケージフィルム13は、アルミラミネートフィルムであってもよい。
【0074】
本願の一実施例において、単電池100は、リチウムイオン電池である。
【0075】
再び図2及び図3を参照し、電池パック200は、電池列21を含み、電池列21は、1つであっても複数であってもよく、各電池列21における単電池100は、1つあっても複数であってもよく、実際の製造において、単電池100の数は、実際の需要に応じて設定することができ、電池列21の数も、実際の需要に応じて設定することができ、本願は、これを具体的に限定しない。
【0076】
本願の実施例において、単電池100の長さ方向は、第1の方向A(すなわち車両300の長さ方向)に沿って延び、その厚さ方向は、第1の方向Aに垂直な第2の方向B(すなわち車両300の幅方向)に沿って延び、複数の単電池100は、第2の方向Bに沿って順に配列されて電池列21を形成し、複数の単電池100は、接続シートにより直列接続される。理解されるように、同一の電池列21において、隣接する2つの単電池100は、第1の方向Aに沿う同一端部の電極端子の極性が逆であるため、接続シートを介して直列接続されることに役立つ。
【0077】
少なくとも2つの隣接する単電池100の間に隙間があり、該隙間と単電池100の厚さとの比率範囲は、0.001~0.15である。
【0078】
2つの隣接する電池の隙間は、電池の動作時間の増加に伴って変化するが、動作中又は動作後又は電池の出荷前であっても、電池の間の隙間と厚さとの比率範囲が本願に限定された範囲内にあれば、いずれも本願の保護範囲内にある。
【0079】
本願において、単電池100の間に残した一定の隙間は、単電池100が膨張する場合に緩衝空間とすることができる。
【0080】
単電池100の膨張は、単電池100の厚さに関連し、電池の厚さが大きいほど、単電池100が膨張しやすく、本願は、単電池100の間の隙間と単電池100の厚さの比率を0.001~0.15に限定し、電池パック200の空間を十分に利用し、電池パック200の利用率を向上させるだけでなく、単電池100の膨張に対して優れた緩衝効果を果たすことができる。
【0081】
単電池100が膨張する場合に発熱するため、単電池100の間に一定の隙間を残し、該隙間は、更に放熱通路、例えば、空気ダクトとして機能することができ、単電池100の面積の大きい表面の放熱効果がより高いため、電池パック200の放熱効率を向上させ、電池パック200の安全性能を向上させることができる。
【0082】
上記解決手段において、単電池100の間の隙間は、単電池100の間にいかなる構造部材が設けられず、単純に一定の空間を残すと理解することができ、更に、単電池100に他の構造部材が設けられることにより単電池100と単電池100とが該構造部材により隔てられると理解することができる。
【0083】
単電池100の間に構造部材が設けられる場合、単電池100の間の隙間は、該構造部材と単電池100との間の間隔ではなく、該構造部材の両側の単電池100の間の距離であると理解すべきである。
【0084】
構造部材と該構造部材の両側の単電池100との間には、一定の隙間を残してもよく、直接的に接触してもよく、構造部材が両側の単電池100と直接的に接触する場合、構造部材は、一定の可撓性を有する必要があり、単電池100が膨張する場合に緩衝作用を果たすことができる。構造部材としては、エアロゲル、熱伝導性構造用接着剤又は断熱綿を含むが、それらに限定されない。
【0085】
本願において、電池列21が複数ある場合、隙間は、異なる電池列21における隣接する2つの電池の間の間隔ではなく、同一の電池列21における隣接する2つの単電池100の間の間隔を指すべきである。また、同一の電池列21において、全ての隣接する2つの電池の間にいずれも一定の隙間を残してもよく、一部の隣接する2つの電池の間に一定の隙間を残してもよい。
【0086】
一実施形態において、2つの隣接する単電池100の間の隙間は、第1の隙間d1を含み、第1の隙間d1は、2つの隣接する単電池100の、同一側に位置する2つのカバープレート112の間の最小距離として定義され、単電池100の厚さは、カバープレート112の第2の方向Bに沿う寸法である。第1の隙間d1と単電池100の厚さとの比率範囲は、0.005~0.1である。
【0087】
上記実施形態において、カバープレート112は、強度が高いため、ケース本体111に対して、膨張しにくく、単電池100が一定の期間動作した後に、内部に化学反応が発生し、単電池100が膨張して隣接する単電池100を押圧し、第1の隙間d1が変化しても(例えば、徐々に増大する)、該変化の程度が小さく、無視することができ、或いは、変化しても、第1の隙間d1と単電池100の厚さとの比率は、依然として上記範囲を満たす。上記実施形態において、ケース本体111の両端にそれぞれカバープレート112が設けられ、単電池100が厚さ方向に沿って電池列21に配列される場合、2つの単電池100の間の隙間は、単電池100の異なる端部に位置する2つのカバープレート112の間の間隔ではなく、電池列21の同一端部に位置する2つのカバープレート112の間の最小間隔を指す。
【0088】
一実施形態において、2つの隣接する単電池100の間の隙間は、第2の隙間を含み、第2の隙間は、2つの隣接する単電池100の対向する2つの第1の表面113の間の最小距離である。単電池100の使用前の第2の隙間は、使用後の第2の隙間より大きい。
【0089】
「使用前」は、単電池100が組立完了後に出荷する前又は出荷されたが、外部に電力を供給し始める前であると理解することができ、「使用後」は、単電池100が外部に電力を供給した後であると理解することができる。例えば、電池パック200は、電気自動車に組み立てられる場合、使用前の状態は、新車の状態として理解することができ、使用後の状態は、車両が一定の距離走行した後の状態であるべきである。
【0090】
該実施形態において、第2の隙間は、2つの隣接する単電池100の対向する2つの第1の表面113の間の最小間隔を指すべきであり、該間隔は、単電池100の使用時間の増加に伴って徐々に小さくなり、主に、単電池100が膨張した後、隣接する2つの大きな表面113の間の間隔が徐々に小さくなるためである。
【0091】
図2に示すように、本願の実施例において、電池パック200は、電池カバー及びトレイ22を更に含み、図2のグラフにおいて電池カバーが示されない。電池カバーとトレイ22は、封止接続されて電池収容キャビティを形成し、電池列21は、電池収容キャビティ内に位置する。トレイ22は、サイドビーム221を有し、単電池100の金属ケース11に支持領域が形成され、単電池100は、支持領域によりサイドビーム221に当接してサイドビーム221に支持される。具体的には、単電池100は、その長さ方向に沿う両端がそれぞれサイドビーム221に支持される。
【0092】
本願の実施例の単電池100において、金属ケース11とパッケージフィルム13との間の気圧は、負圧であり、電池全体の強度を向上させることができるため、単電池100を自体の強度で支持してトレイ22に直接的に取り付けることができ、これにより、トレイ22に横ビーム又は縦ビームなどの構造を設けて単電池100を支持する必要がなく、電池パック200の内部空間の利用率を向上させることに役立ち、より多くの単電池100を取り付け、電池パック100の電気容量を更に増加させることができる。
【0093】
図1を参照し、本願は、更に上記電池パック200を含む車両300を提供し、車両300の利点は、上記電池パック200の関連技術に対する利点と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0094】
なお、本願の説明において、別に明らかな規定及び限定がない限り、用語「取付」、「連結」、「接続」は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であっても、着脱可能な接続であっても、一体的な接続であってもよく、機械的な接続であっても、電気的な接続であってもよく、直接的な連結であっても、中間媒体を介した間接的な連結であってもよく、2つの部品の内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0095】
本明細書の説明において、用語「実施例」、「具体的な実施例」、「例」などを参照する説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同一の実施例又は例に限定されるものではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ以上の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。
【0096】
本願の実施例を例示して説明したが、当業者であれば理解できるように、本願の原理及び趣旨から逸脱しない場合、これらの実施例に対して、様々な変更、修正、置換及び変形を行うことができ、本願の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物によって限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10