(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】空気冷却PETスキャナガントリ
(51)【国際特許分類】
G01T 1/161 20060101AFI20240508BHJP
G01T 1/20 20060101ALI20240508BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
G01T1/161 A
G01T1/161 E
G01T1/20 L
A61B6/03 521B
(21)【出願番号】P 2022569255
(86)(22)【出願日】2020-05-19
(86)【国際出願番号】 US2020070061
(87)【国際公開番号】W WO2021236172
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】593063105
【氏名又は名称】シーメンス メディカル ソリューションズ ユーエスエー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Siemens Medical Solutions USA,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ケラー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】コルベイユ,ジェームズ エル.
(72)【発明者】
【氏名】ブーバー,ジアード
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-061634(JP,A)
【文献】特開平10-160847(JP,A)
【文献】特開2004-283577(JP,A)
【文献】特開2007-319670(JP,A)
【文献】特開2005-161059(JP,A)
【文献】米国特許第10353084(US,B1)
【文献】特表2011-505187(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103860187(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00 - 7/12
A61B 6/00 - 6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者トンネル部分と前方ファンネル部分とを備える冷却空気送出マニホールドと、
医用画像スキャナガントリの内部に収容され、前記前方ファンネル部分の背後に配置された複数のガンマ検出器であって、
前記患者トンネル部分の入口を規定する環状内壁と、
遠隔供給源から受け入れられた加圧空気の流れを導くための環状構造を含む空気プレナムであって、前記加圧空気の流れを前記複数のガンマ検出器およびそれらに関連するエレクトロニクスコンポーネントを冷却するための高速空気の流れとして、前記加圧空気の流れを前記複数のガンマ検出器に向けるように構成された環状ノズルを含む、空気プレナムと、
を含む複数のガンマ検出と、
を備えた医用画像スキャナガントリであって、
前記環状内壁が前記空気プレナムの前記環状構造の内側に入れ子になっており、それによって、前記環状内壁と前記空気プレナムとの間に補助空気入口が形成され、それによって、高速空気の流れが環状ノズルから流出すると、周囲空気が前記補助空気入口を通って吸引され、前記環状ノズルから流出する高速空気の流れと合流し、冷却空気の流れとして前記複数のガンマ検出器に向かって流れる、
医用画像スキャナガントリ。
【請求項2】
前記空気プレナムは、前記検出器に向かって高速空気の流れを導くために、前記環状ノズルに隣接して下流に位置するエアフォイル面をさらに備える、請求項1に記載の医
用画像スキャナガントリ。
【請求項3】
前記空気プレナムを前記環状内壁に接続する複数のフィンをさらに備える、請求項1に記載の医用画像スキャナガントリ。
【請求項4】
前記複数のフィンは、前記空気プレナムと前記補助空気入口を形成する前記環状内壁との間の所望の間隔を維持する、請求項3に記載の医
用画像スキャナガントリ。
【請求項5】
前記空気プレナムを前記環状内壁に接続する複数のフィンをさらに備える、請求項2に記載の医用画像スキャナガントリ。
【請求項6】
前記複数のフィンは、前記空気プレナムと前記補助空気入口を形成する前記環状内壁との間の所望の間隔を維持する、請求項5に記載の医用画像スキャナガントリ。
【請求項7】
前記空気プレナムは、前記遠隔供給源から前記加圧空気の流れを受け入れるための空気入口を備える、請求項1に記載の医
用画像スキャナガントリ。
【請求項8】
前記空気プレナムは、前記遠隔供給源から前記加圧空気の流れを受け入れるための空気入口を備える、請求項2に記載の医
用画像スキャナガントリ。
【請求項9】
前記環状内壁が、前記患者トンネル部分の開口部に面する第1の環状面と前記空気プレナムに面する第2の環状面とを含み、前記第2の環状面上に提供され、前記環状ノズルの下流に位置する環状隆起をさらに含む、請求項1に記載の医用画像スキャナガントリ。
【請求項10】
前記空気プレナムが、
前記加圧空気の流れを導く冷却空気ダクト部分であって、前記環状ノズルを含む、前記冷却空気ダクト部分と、
排気空気の流れを受け取り、前記排気空気を前記医用画像スキャナから離れるように方向付ける排気ダクト部分であって、前記冷却空気の流れが前記複数のガンマ検出器の上を流れた後に、前記冷却空気の流れが前記排気空気の流れとなる、排気ダクト部分と、
を含む請求項1に記載の医用画像スキャナガントリ。
【請求項11】
患者トンネル部分と前方ファンネル部分とを備える冷却空気送出マニホールドと、
医用画像スキャナガントリの内部に収容され、前記前方ファンネル部分の背後に配置された複数のガンマ検出器であって、
前記患者トンネル部分の入口を規定する環状内壁と、
2つ以上の空気プレナムのアセンブリであって、前記2つ以上の空気プレナムの各々が、一緒に環状アセンブリを形成する湾曲構造を有し、前記2つ以上の空気プレナムの各々は、遠隔供給源から受け入れられた加圧空気の流れを導くための構造を含み、前記2つ以上の空気プレナムの各々は、前記加圧空気の流れを前記複数のガンマ検出器及びその関連するエレクトロニクスコンポーネントを冷却するための高速空気の流れとして、前記加圧空気の流れを前記複数のガンマ検出器に向けるように構成され湾曲したノズルを含む、
アセンブリと、
を含む複数のガン
マ検出器と、
を含む医用画像スキャナガントリであって、
前記環状内壁は、前記2つ以上の空気プレナムによって形成された前記環状アセンブリの内側に入れ子になっており、それによって、前記環状内壁と前記2つ以上の空気プレナムとの間に補助空気入口が形成され、それによって、高速空気の流れが前記湾曲したノズルから流出するとき、周囲空気が前記補助空気入口を通って吸引され、前記湾曲したノズルから流出する高速空気の流れと合流し、冷却空気の流れとして前記複数のガンマ検出器に向かって流れる、
医用画像スキャナガントリ。
【請求項12】
前記2つ以上の空気プレナムの各々が、高速空気の流れを前記検出器に向けるために、前記湾曲したノズルに隣接して下流に位置するエアフォイル面をさらに含む、請求項11に記載の医用画像スキャナガントリ。
【請求項13】
前記2つ以上の空気プレナムを前記環状内壁に接続する複数のフィンをさらに備える、請求項11に記載の医用画像スキャナガントリ。
【請求項14】
前記2つ以上の空気プレナムの各々が、
前記加圧空気の流れを導く冷却空気ダクト部分であって、前記湾曲したノズルを含む冷却空気ダクト部分と、
排気空気の流れを受け取り、前記排気空気を前記医用画像スキャナから離れた方向に向ける排気ダクト部分であって、前記冷却空気の流れが前記複数のガンマ検出器の上を流れた後に、前記排気空気の流れが前記冷却空気の流れとなる、冷却空気ダクト部分と、
を備える請求項11に記載の医用画像スキャナガントリ。
【請求項15】
患者トンネル部分と前方ファンネル部分とを備える冷却空気送出マニホールドと、
医用画像スキャナガントリの内部に収容され、前記前方ファンネル部分の背後に配置された複数のガンマ検出器であって、
前記患者トンネル部分の入口を規定する環状内壁と、
遠隔供給源から受け入れられた加圧空気の流れを導くための環状構造を含む空気プレナムであって、前記加圧空気の流れを前記複数のガンマ検出器およびそれらに関連するエレクトロニクスコンポーネントを冷却するための高速空気の流れとして、前記加圧空気の流れを前記複数のガンマ検出器に向けるように構成された環状ノズルを含む、空気プレナムと、
を含む複数のガンマ検出器と、
を備える医用画像スキャナガントリであって、
前記環状内壁が前記空気プレナムの前記環状構造の内側に入れ子になっており、それによって、前記環状内壁と前記空気プレナムとの間に補助空気入口が形成され、それによって、高速空気の流れが環状ノズルから流出すると、周囲空気が前記補助空気入口を通って吸引され、前記環状ノズルから流出する高速空気の流れと合流し、冷却空気の流れとして前記複数のガンマ検出器に向かって流れる、
医用画像スキャナガントリ
、
を備える医用画像スキャナシステム。
【請求項16】
前記空気プレナムは、前記環状ノズルに隣接して下流に位置する環状エアフォイル面を更に備える、請求項15に記載の医
用画像スキャナシステム。
【請求項17】
前記空気プレナムを前記環状内壁に接続する複数のフィンをさらに備える、請求項15に記載の医
用画像スキャナシステム。
【請求項18】
前記複数のフィンは、前記空気プレナムと前記補助空気入口を形成する前記環状内壁との間の所望の間隔を維持する、請求項17に記載の医
用画像スキャナシステム。
【請求項19】
前記空気プレナムを前記環状内壁に接続する複数のフィンをさらに備える、請求項16に記載の医
用画像スキャナシステム。
【請求項20】
前記複数のフィンは、前記空気プレナムと前記補助空気入口を形成する前記環状内壁との間の所望の間隔を維持する、請求項19に記載の医
用画像スキャナシステム。
【請求項21】
前記空気プレナムは、前記遠隔供給源から前記加圧空気の流れを受け入れるための空気入口を備える、請求項15に記載の医
用画像スキャナシステム。
【請求項22】
前記環状内壁が、前記患者トンネル部分の開口部に面する第1の環状面と、前記空気プレナムに面する第2の環状面を含み、前記第2の環状面上に提供され、前記環状ノズルの下流に位置する環状隆起をさらに含む、請求項15に記載の医用画像スキャナシステム。
【請求項23】
前記空気プレナムが、
前記加圧空気の流れを導くための冷却空気ダクト部分であって、前記環状ノズルを含む、冷却空気ダクト部分と、
排気空気の流れを受け取り、前記排気空気を前記医用画像スキャナから離れた方向に向けるための排気ダクト部分であって、前記冷却空気の流れが前記複数のガンマ検出器の上を流れた後に、前記冷却空気の流れが前記排気空気の流れとなる、冷却空気ダクト部分と、
を備える請求項15に記載の医用画像スキャナシステム。
【請求項24】
前記補助空気入口を通して吸引され、前記環状ノズルを出る高速空気の流れと合流する前記周囲空気は、付加的なノイズを発生しない、請求項15に記載の医用画像スキャナシステム。
【請求項25】
補給空気入口を通って吸引され、環状ブロックを出ている高速空気の流れと合流する前記周囲空気が、追加のファンまたはインペラの必要
がないために追加のノイズを発生しない、請求項24に記載の医用画像スキャナシステム。
【請求項26】
前記加圧空気のための前記遠隔供給源の提供が、前記医用画像スキャナシステムにおけるノイズを最小化する、請求項15に記載の医用画像スキャナシステム。
【請求項27】
前記医用画像スキャナシステムが、前記空気プレナムによって受け取られ
る前記加圧空気の流れを提供するための複数の遠隔供給源を更に含み、それによって、前記複数の遠隔供給源の提供が、前記医用画像スキャナシステムにおけるノイズを最小化する、請求項15に記載の医用画像スキャナシステム。
【請求項28】
前記遠隔供給源が前記医用画像スキャナシステムから離れていることを特徴とする請求項15に記載の医用画像スキャナシステム。
【請求項29】
前記遠隔供給源が加圧された
プラント空気、1つ以上のファンまたは1つ以上のインペラの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の医用画像スキャナシステム。
【請求項30】
少なくとも2つの供給源を含む前記遠隔供給源が、1つ以上のファンが低下した速度で動作することを可能にする、請求項29に記載の医用画像スキャナシステム。
【請求項31】
1つ以上のファンの速度
を低下
させ、ノイズ
をさらに減少
させる、請求項30に記載の医用画像スキャナシステム。
【請求項32】
前記遠隔供給源がガントリ内に位置することを特徴とする請求項15に記載の医用画像スキャナシステム。
【請求項33】
前記遠隔供給源は、ノイズを最小化するために防音機能を備える、請求項32に記載の医
用画像スキャナシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、PET検出器エレクトロニクスアセンブリの冷却を改善するPETまたはPET/CTスキャナガントリの新規構成に関する。
【背景技術】
【0002】
PETおよびPET/CTスキャナのような患者がトンネル内に位置する医用画像装置は、典型的には1つ以上の冷却媒体の適用で達成される冷却を必要とする。このような冷却媒体は、液体、ガス、またはその両方の組合せであり得る。画像体積内に患者トンネルが存在するため、PETスキャナ内のガンマ検出器などのコンポーネントの配置は、トンネル周囲の放射状配置に大きく制限される。冷却システムが患者の快適性に及ぼす操作上の影響を考慮しなければならない。例えば、既存のPET及びPET/CTスキャナシステムでは、冷却システムによって発生する雑音が望ましくないほど大きくなる可能性がある。
【0003】
しばしば、ガンマ検出器アセンブリのような個々のエレクトロニクスコンポーネントは、それら自身の冷却手段と共に使用され、および/または空間および患者の快適性における前述の制限のために非常に困難な、冷却媒体の共通の流れを共有するような方法で、一緒にまとめられる。
【0004】
ガンマ検出器アセンブリは、SiPM検出器のようなエレクトロニクスコンポーネントおよびそれらに関連するドライバを含む。これらのエレクトロニクスコンポーネントはすべて、動作中に熱を発生し、過熱はその性能に有害な影響を与える可能性があるため、最適な性能を維持するためにコンポーネントを冷却する必要がある。したがって、従来のPETおよびPET/CTスキャナシステムでは、エレクトロニクスコンポーネントは通常、独自の冷却空気源を有する。冷却空気源は、過熱状態が発生しないように、均一に分散され、信頼性のあるものでなければならない。あるいは、エレクトロニクスコンポーネントが示す加熱関連エラーを補償しなければならない。しかしながら、しばしばこれらの設計要素は互いに矛盾している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のPETまたはPET/CTスキャナでは、ガントリ内に冷却ファンまたは複数の冷却ファンがパッケージされ、ガンマ検出器およびその中の他のエレクトロニクスの性能を保証する。しかし、この保証には費用がかかる。各冷却ファンは、騒音レベルを最大しきい値に向かって押し、ガンマ検出器のアレイが一斉に作動する場合には、故障しているファンなどによって検出器が適切に作動しないと、システム全体が停止する。ファンユニットの数が多いと、信頼性の高い設計を保証するために、システム障害の統計的可能性が積み重ねられる。したがって、複数の冷却ファンを組み込んだシステムは、システムのダウンタイム、サービス、部品交換、およびノイズによる患者の不快感に関連する隠れたコストを有している。逆に、PETガントリの周囲に1個または数個のファンだけを用いて冷却気流を等しく配分することは、ガントリ体積の損失を考慮する場合、特に気流が均衡して安定していなければならないため、実現が困難な場合がある。液体冷却システムのコストはさらに高く、失敗すると破滅的な結果に至る。それゆえ、PETまたはPET/CTスキャナのための改良された冷却システムが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本開示に従った冷却空気送出マニホールドを組み込んだPETスキャナガントリが開示される。空気送出マニホールドは、患者トンネル部分、前方ファンネル部分、およびPETスキャナガントリの内部に収容され、前方ファンネル部分の後方に位置する複数のガンマ検出器を含む。前方ファンネル部分は、患者トンネル部分の入口を規定する環状内壁および遠隔供給源から受け入れられた加圧空気の流れを導くための環状構造を含む空気プレナムを含む。空気プレナムは、加圧空気の流れを複数のガンマ検出器の方へ向けるように構成された環状ノズルを備える。また、空気プレナムは、周辺空気からさらなる空気を引き出し、それを高速空気として環状ノズルから流出する一次加圧冷却空気と合流させる補助空気入口を備える。
【0007】
PETスキャナガントリを装着したPETスキャナシステムも開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書に記載される実施形態の特徴は、以下の詳細な説明の中でより完全に開示されるであろうが、これは、同様の符号を参照する添付図面とともに考慮されるべきである。すべての図面は概略図であり、構造物の実際の寸法またはそれらの寸法の相対的比率を表すことを意図したものではない。
【
図1】
図1は、本開示の冷却空気送出マニホールドを組み込んだPETスキャナガントリの断面図である。
【
図2】
図2は、
図1のPETスキャナガントリの一部の断面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示した横断面部分の詳細な斜視図である。
【
図4】
図4は、本開示による冷却空気の流れに注目した、
図2に示した断面部分の詳細な図解である。
【
図5】本開示の別の実施形態による、ガイド付き排気出口を組み込んだ冷却空気送出マニホールドの説明図である。
【
図6】
図6~
図7は、内部構造を示す、
図5の冷却空気送出マニホールドの実施形態の断面図である。
【
図7】
図6~
図7は、内部構造を示す、
図5の冷却空気送出マニホールドの実施形態の断面図である。
【
図8A】本開示による2つ以上の空気プレナムのアセンブリを含む冷却空気送出マニホールドの実施形態を示す図である。
【
図8B】本開示による2つ以上の空気プレナムのアセンブリを含む冷却空気送出マニホールドの実施形態を示す図である。
【
図8C】本開示による2つ以上の空気プレナムのアセンブリを含む冷却空気送出マニホールドの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
例示的な実施形態のこの記述は、書面による記述全体の一部と考えられる添付図面に関連して読まれることを意図している。図形は必ずしも尺度化されているわけではなく、明瞭さと簡潔さの観点から、いくつかの特徴が尺度または多少模式的な形で誇張されて示されてもよい。記載にあたっては、「水平」、「垂直」、「上」、「底部」、「上」、「底部」等の相対的な用語並びにそれらの誘導体(例えば、「水平」、「底部」、「上」等)は、次に記載されるか、又は考察中の図に示されるように、方向を参照するように解釈すること。これらの相対的な用語は記述の便宜上のものであり、通常、特定の方向性を要求することを意図したものではない。「内側」対「外側」、「長手」対「外側」等を含む用語は、互いに相対的に、または、必要に応じて、伸長の軸、または軸もしくは回転中心に対して解釈される。「連結」及び「相互連結」等の付着物、カップリング等に関する用語であって、構造が直接的又は間接的に、介在構造を通して互いに固定又は付着する関係、並びに可動又は硬い付着物又は関係の両方をいう。用語「操作的に結合される」とは、その関係のために意図されたように関連する構造を操作することを可能にするそのような付着、結合または結合である。
【0010】
ここで、冷却空気送出をPETスキャナまたはPET/CTハイブリッドスキャナのガントリのカバーセットにマニホールド化する冷却空気送出マニホールド概念が開示される。考察の目的のために、「PETスキャナ」という用語は、ここでは、PETスキャナおよびPET/CTハイブリッドスキャナの両方の実施形態を参照するものとして使用する。
【0011】
より具体的には、冷却空気送出マニホールドは、PETスキャナガントリの患者トンネルの前方ファンネル部分に同化される。冷却空気送出マニホールドは、ボアの存在によっても、他の半径方向の拘束によっても拘束されないように構成される。冷却空気送出マニホールドは、1つ以上の遠隔供給源から加圧冷却空気の供給を受け、冷却空気送出マニホールドに組み込まれたエアフォイル形状を利用してガントリ内のガンマ検出器に冷却空気を均一に送出するように構成されている。
【0012】
図1~3を参照すると、本開示に従う冷却空気送出マニホールド110を組み込んだPETスキャナガントリ100が開示される。空気送出マニホールド110は、患者トンネル部分120、前方漏斗部130、及びPETスキャナガントリ100の内部に収容され、前方漏斗部130の後ろに配置された複数のガンマ検出器50を備える。前方漏斗部130は、患者トンネル部分120の入口を規定する環状内壁132と、1つ以上の遠隔供給源(示されていない)から受け入れられた加圧空気の流れを導くための環状空洞構造を含む空気プレナム134とを備える。空気プレナム134の環状空洞構造は、加圧空気の流れを導く内部空間134’を有する。1つの実施形態における空気プレナム134の環状空洞構造は、実質的に隆起した形状を有すると記述することもできる。
図1の例証は、PETスキャナガントリ100の断面図であり、空気プレナム134の環状空洞構造の約半分を示している。
【0013】
本開示の冷却空気送出マニホールド110の1つの利点は、PETスキャナ内の患者をそのようなハードウェアのノイズから遮蔽できるように、加圧冷却空気の1つ以上の供給源、すなわち、加圧冷却空気の供給を提供するファンまたはインペラのようなハードウェアをPETスキャナシステムから離れた位置への配置を可能にすることである。
【0014】
空気プレナム134は、内部空間134’からの加圧冷却空気の流れを複数のガンマ検出器50に向けるように構成された環状ノズル135を備える。エアノズル135は、
図2および3のより詳細な図においてよりよく見ることができる。ガンマ検出器50のアレイ内の個別検出器の各々は、検出器を冷却するためにそれに取り付けられた1つまたは複数のヒートシンク52を有する。
【0015】
空気プレナム134は、環状ノズル135に隣接して下流に位置するエアフォイル面136をさらに備える。空気送出マニホールド110のいくつかの実施形態では、環状ノズル135は、空気プレナム134の環状構造に沿って一定の間隔で設けられた複数のフィン138によって、一連の非連続スロットに分割される。複数のフィン138は、
図1および3の方がよく見ることができる。複数のフィン138は患者トンネル部分120の縦軸に平行に配向され、環状ノズル135内の非連続スロットの各々を出る加圧冷却空気が検出器エレクトロニクスアセンブリ(DEA)55内のガンマ検出器50に向けられるようになっている。加えて、環状ノズル135を一連の非連続スロットに分割することは、前方漏斗部130の円周の周りの冷却空気のバランスのとれた半径方向に均一な流れを維持するのに役立つ。例示的な目的のために、1つのDEA55のみが
図1に描かれている。しかしながら、実際のPETスキャナガントリ100では、複数のそのようなDEA55が、検出器リングを形成する第1の環状面132Aの外側の周囲に円周方向に配置される。
【0016】
環状内壁132は、空気プレナム134の環状構造の内側に入れ子になっており、それによって、環状内壁132と空気プレナム134との間に補助空気入口140が形成され、それによって、加圧空気が環状ノズル135から流出すると、周囲空気が補助空気入口140を通して吸引され、環状ノズル135から流出する加圧空気と合流し、複数のガンマ検出器50に向かって流れる。この現象の詳細については、以下により詳細に考察する。
【0017】
図1から分かるように、複数のフィン138はまた、空気プレナム134を環状の内壁132に接続する。複数のフィン138は、空気プレナム134と補助空気入口140を形成する環状内壁132との間に所望の間隔を維持する。複数のフィン138の提供は、本明細書に開示されているPETスキャナガントリ100およびPETスキャナシステムの実施形態のすべてに適用可能である。
【0018】
また、複数のフィン138は、空気プレナムに構造的剛性を与えることによって、内部空間134’を満たす加圧冷却空気の高圧下で空気プレナム134を支持する機能を提供する。空気プレナム134は、環状ノズル135によって形成された切り離された側壁を有する湾曲した管であり、環状ノズル135のエッジを適所に保持し、加圧された冷却空気の圧力から外側に破裂するのを防止するフィン138のような支持構造がないので、空気プレナム134は、その形状が保持されないことがある。
【0019】
環状内壁132は、患者トンネル部分120によって定義されるトンネル空間Sに面する第1の環状面132Aと、空気プレナムに面する第2の環状面132Bから構成される。
【0020】
図4を参照すると、エアフォイル面136は、表面が環状ノズル135を出る高速圧力駆動空気の軌道Tから離れるように環状形成される。したがって、環状内壁132のエアフォイル面136と第2の環状面132Bとの間の距離dは、環状ノズル135から離れて増加する。したがって、エアフォイル面136と環状内壁132との間の空間の容積は、ガンマ検出器50に向かう方向に増加する。さらに、加圧された冷却空気が環状ノズル135から出るとき、エアフォイル面136の輪郭は、環状ノズル135から出る高速空気をエアフォイル面136に掛け、環状ノズル135から離れてガンマ検出器50に向かって流れるときにエアフォイル面136をスキムさせる。この構成の結果、高速圧力駆動の冷却空気が環状ノズル135を出てエアフォイル面136に沿ってスキムするにつれて、空気は体積膨張し、イナータンス原理のためエアフォイル面136と第2の環状面132Bとの間に低い圧力領域Lを生成する。この低圧領域Lは、補助空気入口140を通して周囲空気を吸引する吸引を生成する。補助空気入口140を通って周囲から吸引された付加的な空気は、高速冷却空気の流れに接合し、従ってガンマ検出器50に向けられる冷却空気の総量を増幅する。追加の空気を加えるこのプロセスは、ファンまたはインペラのような追加の移動ハードウェアなしに達成されるので、冷却空気流の体積を増加させながら発生する付加的なノイズはない。空気プレナム134上に提供されるエアフォイル面136の特徴は、ここに開示されるPETスキャナガントリ100およびPETスキャナシステムの実施形態の全てに適用可能である。
【0021】
冷却空気は、遠隔の供給源から空気プレナム134に供給することができる。いくつかの実施形態において、冷却空気の遠隔源は、スキャナトンネル内に配置される患者へのノイズを最小限にするために、PETスキャナからある程度離れた位置に配置することができる。いくつかの好ましい実施形態において、遠隔供給源は、患者の快適さのためにPETスキャナでの雑音を最小限にするために、PETスキャナとは複数の部屋に配置することができる。冷却空気の遠隔供給源は、時に施設空気と呼ばれる加圧されたプラント空気とすることができ、この場合、空気プレナム134は、プラント空気ダクトに接続されるだけでよい。遠隔発生源は、空気プレナム134に所望量の冷却空気を供給するように適切に構成された1つまたは複数のファンまたはインペラとすることができる。いくつかの実施形態では、冷却空気の遠隔供給源は、ガントリ構造上またはその周囲に配置された1つまたは複数のファンまたはインペラであってもよい。そのような実施形態では、冷却空気の遠隔供給源に対して適切な防音パッケージを設けて、遠隔供給源によって生成されるノイズを消音し、最小限に抑えることができる。空気プレナム134は、遠隔発生源からの加圧空気の流れを受け入れるための1つまたは複数の空気入口160を備えることができる。
図5は、例としてこのような2つの空気入口160を有する本開示のPETスキャナガントリ100の実施形態を示している。
【0022】
冷却空気送出マニホールド110のいくつかの実施形態では、加圧冷却空気供給のための複数の供給源を空気プレナム134の空気入口160に接続することができる。上述したように、加圧冷却空気供給源のいくつかの例は、ファンまたはインペラであってもよい。加圧空気のための複数の供給源を有することは、システムの改善された信頼性を提供することができる冗長性を提供する。また、加圧空気の発生源が複数ある場合には、個々の空気源のファンをより低速で作動させることができるため、発生する騒音を低減することができる。
【0023】
図1~4に関連して先に議論した実施形態では、空気プレナム134によって供給される冷却空気が、DEA55内の検出器エレクトロニクスコンポーネントの上を移動した後、ハウジング150は、現在加熱された排気を周囲に導くことができる。これを
図1および
図2に示す。
図5~7を参照すると、他のいくつかの実施形態では、空気プレナム134は、排気出口180を介してPETスキャナから離れるように加熱された排気を導くことができる導かれた排気ダクト134’-IIを組み込むように構成することができる。このような排気出口180の一例を
図5に示す。
【0024】
図6及び
図7の断面図に示すように、この実施形態では、空気プレナム134の内部空間134’は、冷却のために加圧された空気を送出するように構成された冷却空気ダクト部分134’-Iと、排気出口180を介してPETスキャナから離れるように加熱された排気の流れを導くように構成された排気空気ダクト部分134’-IIとの、2つの主要部分に分割されている。排気空気ダクト部分134’-IIは、排気の流れを受け取り、排気を医用画像スキャナから離れるように導く。このとき、加熱された排気空気の流れは、冷却空気の流れが複数のガンマ検出器の上を流れ、DEAハウジング155によって空気プレナム134に戻された後の冷却空気の流れである。
【0025】
冷却空気送出マニホールド110のいくつかの実施形態では、空気送出マニホールドは、接続されていない複数の空気プレナムのアセンブリを含むことができる。例えば、
図8Aに示すように、冷却空気送出マニホールド110は、2つの空気プレナム134Aおよび134Bから構成することができる。
図8Bに示すように、冷却空気送出マニホールド110は、3つの空気プレナム134C、134D、および134Eで構成することができる。
図8Cに示すように、冷却空気送出マニホールド110は、4つの空気プレナム134F、134G、134H、および134Iで構成することができる。これらの実施形態では、複数の空気プレナム134A、134B、・・・のそれぞれが、空気プレナム134の断表面形状および複数のガンマ検出器50に向けられる冷却空気の流れを可能にする環状ノズル135、エアフォイル面136、環状内壁132、補助空気入口140などの関連構造に関して、
図1~4に示す空気プレナム134のように構造される。
図8A-8Cに例示された実施形態では、各空気プレナム134A-134Iは、各々、少なくとも1つの空気入口160A-160Iを構成することができる。これらの複数の未接続空気プレナムは、それぞれ、
図6~
図7に示す実施形態と同様に、空気プレナムの各々の内部に冷却空気ダクトと排気ダクトの両方を有するように構成することができる。空気プレナム134A-134Iの各々は、空気入口と空気出口から成る。
【0026】
空気送出マニホールド110が1つ以上の未接続空気プレナムのアセンブリとして構成される実施形態では、各空気プレナムは、内部空間の体積を有し、各空気プレナムは、加圧冷却空気のための供給源に接続される1つ以上の空気入口Air-inを含む。特定の用途の必要に応じて、複数の空気プレナムの各々を、加圧冷却空気のための自身の供給源に接続することができるか、または加圧冷却空気のための供給源を1つ共有することができる。
【0027】
別の態様によれば、本開示に従う冷却空気送出マニホールド110を組み込んだPETスキャナガントリ100を装着するPETスキャナシステムが開示される。
【0028】
検出器リング上の関連付けられた検出器エレクトロニクスアセンブリを有するガンマ検出器のアレイがしばしば冷却ファンのアレイを備える従来のPETスキャナ検出器冷却システムと比較して、冷却空気送出マニホールド110は、ノイズが少なく、より信頼性の高いシステムを提供する。
【0029】
上述の説明は本発明の例示的な実施形態であり、本発明は示された特定の形態に限定されないことが理解されるであろう。本発明の範囲から逸脱することなく、エレメントの設計および配置に改変を加えてもよい。