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特許7483947アンテナ組立体および無線アクセスデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】アンテナ組立体および無線アクセスデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/52 20060101AFI20240508BHJP
   H01Q 9/42 20060101ALN20240508BHJP
【FI】
H01Q1/52
H01Q9/42
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022571327
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 CN2020119730
(87)【国際公開番号】W WO2021232658
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】202010444447.3
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】吉 星▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】袁 博
(72)【発明者】
【氏名】▲顔▼ 子良
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第208045678(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/52
H01Q 9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のポートと、前記第1のポートに対応する第1の放射アームおよび第1の接地点と、第2のポートと、前記第2のポートに対応する第2の放射アームおよび第2の接地点と、軸受プレートとを備えるアンテナ組立体であって、前記第1のポート、前記第1の放射アーム、前記第1の接地点、および前記軸受プレートの第1の軸受部が、第1のアンテナ部を形成し、前記第2のポート、前記第2の放射アーム、前記第2の接地点、および前記軸受プレートの第2の軸受部が、第2のアンテナ部を形成し、
前記第1の放射アームが、前記第1のポートによって受信された無線周波数信号を放射し、前記第1の放射アームによって受信された前記第2の放射アームから送信された無線周波数信号を前記第1のポートに送信するように構成されており、
前記第2の放射アームが、前記第2のポートによって受信された無線周波数信号を放射し、前記第2の放射アームによって受信された前記第1の放射アームから送信された無線周波数信号を前記第2のポートに送信するように構成されており、
前記軸受プレートを通る干渉防止パスが、前記第1のポートと前記第2のポートとの間に存在し、前記干渉防止パスが、前記第1の放射アームと前記第2の放射アームとの間の結合によって引き起こされる干渉を打ち消すように構成され、
前記第1の放射アームが前記軸受プレートの第1の側面上に配置されており、前記第1の放射アームの一部が前記軸受プレートに接続され、第1のアンテナ間隙が前記第1の放射アームと前記軸受プレートとの間に存在し、前記第1のポートが前記軸受プレートの第2の側面上に配置されており、前記第1の接地点が前記軸受プレートの第3の側面上に配置されており、
前記第2の放射アームが前記軸受プレートの前記第3の側面上に配置されており、前記第2の放射アームの一部が前記軸受プレートに接続され、第2のアンテナ間隙が前記第2の放射アームと前記軸受プレートとの間に存在し、前記第2のポートが前記軸受プレートの第4の側面の、前記第1のポートに対して反対の位置に配置されており、前記第2の接地点が前記軸受プレートの前記第1の側面上に配置されており、
前記第1の側面が前記第3の側面に対して反対側であり、前記第2の側面が前記第4の側面に対して反対側である、アンテナ組立体。
【請求項2】
前記第1のアンテナ部が、前記第1のポートに対応する第3の放射アームをさらに備え、前記第3の放射アームが前記軸受プレートの前記第2の側面上に配置されており、
前記第2のアンテナ部が、前記第2のポートに対応する第4の放射アームをさらに備え、前記第4の放射アームが前記軸受プレートの前記第4の側面上に配置されており、
前記第1の放射アームおよび前記第2の放射アームが、低周波無線周波数信号を放射するように構成され、前記第3の放射アームおよび前記第4の放射アームが、高周波無線周波数信号を放射するように構成されている、請求項に記載のアンテナ組立体。
【請求項3】
前記第1の軸受部および前記第2の軸受部が一体的に形成されて前記軸受プレートを形成し、または接続部を使用することによって、前記第1の軸受部および前記第2の軸受部が接続されて前記軸受プレートを形成し、
前記第1のポート、前記第1の放射アーム、前記第3の放射アーム、および前記第1の接地点が前記第1の軸受部上に配置されており、前記第2のポート、前記第2の放射アーム、前記第4の放射アーム、および前記第2の接地点が前記第2の軸受部上に配置されている、請求項に記載のアンテナ組立体。
【請求項4】
前記第1の放射アームが、前記軸受プレートの、前記第1のポートに近い端部上に配置されており、前記第3の放射アームが、前記軸受プレートの、前記第1の放射アームから離れた端部上に配置されており、
前記第2の放射アームが、前記軸受プレートの、前記第2のポートに近い端部上に配置されており、前記第4の放射アームが、前記軸受プレートの、前記第2の放射アームに近い端部上に配置されている、請求項に記載のアンテナ組立体。
【請求項5】
前記第1の放射アームの長さと前記第1のアンテナ間隙の幅との合計が、第1の共振周波数に対応する電磁波の波長の1/4であり、前記第1の放射アームが、前記第1の共振周波数を有する無線周波数信号を受信または放射するように構成されており、
前記第3の放射アームの長さが、第2の共振周波数に対応する電磁波の波長の1/4であり、前記第3の放射アームが、前記第2の共振周波数を有する無線周波数信号を受信または放射するように構成されている、請求項に記載のアンテナ組立体。
【請求項6】
前記第2の放射アームの長さと前記第2のアンテナ間隙の幅との合計が、前記第1の共振周波数に対応する前記電磁波の前記波長の1/4であり、前記第2の放射アームが、前記第1の共振周波数を有する前記無線周波数信号を受信または放射するように構成されており、
前記第4の放射アームの長さが、前記第2の共振周波数に対応する前記電磁波の前記波長の1/4であり、前記第4の放射アームが、前記第2の共振周波数を有する前記無線周波数信号を受信または放射するように構成されている、請求項に記載のアンテナ組立体。
【請求項7】
前記第1の放射アームの、前記第2の側面から離れた上部が円弧状構造のものであり、前記第1の放射アームの、前記第2の側面から離れた前記上部が前記第1の側面に面している、請求項に記載のアンテナ組立体。
【請求項8】
前記第2の放射アームの、前記第4の側面から離れた上部が円弧状構造のものであり、前記第2の放射アームの、前記第4の側面から離れた前記上部が前記第3の側面に面している、請求項に記載のアンテナ組立体。
【請求項9】
前記軸受プレートが導体部であり、
前記導体部が金属部または金属めっき部を含む、請求項に記載のアンテナ組立体。
【請求項10】
請求項1~のいずれか一項に記載の少なくとも1つのアンテナ組立体と、少なくとも2つの無線周波数チップセットと、メインボードとを備える無線アクセスデバイスであって、
各無線周波数チップセットの無線周波数出力端が、前記アンテナ組立体における前記第1のポートおよび前記第2のポートに接続され、前記メインボード上の給電接地端が、前記アンテナ組立体における前記第1の接地点および前記第2の接地点に接続されている、無線アクセスデバイス。
【請求項11】
前記アンテナ組立体が前記メインボードに適合し、前記アンテナ組立体が前記メインボードの縁部に近い位置に配置されている、請求項10に記載の無線アクセスデバイス。
【請求項12】
前記無線周波数チップセットが、第1の無線周波数チップセットおよび第2の無線周波数チップセットを備え、前記第1の無線周波数チップセットが、前記メインボードの第1の表面上に配置されており、前記第2の無線周波数チップセットが、前記メインボードの第2の表面上に配置されている、請求項10に記載の無線アクセスデバイス。
【請求項13】
前記無線アクセスデバイスが整合回路をさらに備え、
前記整合回路の入力端が前記無線周波数チップセットの前記出力端に接続され、前記整合回路の出力端が、前記第1のポートまたは前記第2のポートに接続されており、
前記無線周波数チップセットの前記出力端のインピーダンスが、前記第1のポートのインピーダンス、または前記第2のポートのインピーダンスと等しくなるように、前記整合回路が、前記第1のポートの前記インピーダンスまたは前記第2のポートの前記インピーダンスを調整するように構成されている、請求項10に記載の無線アクセスデバイス。
【請求項14】
前記無線アクセスデバイスが、第1のアンテナ組立体および第2のアンテナ組立体を備え、前記第1のアンテナ組立体と前記第2のアンテナ組立体との間の距離の値が、予め設定された距離の値よりも大きい、請求項10に記載の無線アクセスデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、2020年5月22日付で中国国家知識産権局に出願された、「ANTENNA ASSEMBLY AND WIRELESS ACCESS DEVICE」という名称の中国特許出願第202010444447.3号の優先権を主張する。
【0002】
本出願の実施形態は、アンテナ技術の分野、特にアンテナ組立体および無線アクセスデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
無線アクセスポイント(access point、AP)は、無線ネットワークのアクセスポイントであり、一般に「ホットスポット」と呼ばれる。無線デバイス(例えば、携帯電話、モバイルデバイス、またはラップトップコンピュータ)は、無線アクセスポイントに接続を確立して、無線アクセスポイントが無線デバイスのために無線ネットワークを提供し得るようにする場合がある。さらに、無線アクセスポイントは、無線ネットワークのサービスエリアを拡大するために、別のAPへの無線接続を確立する場合がある。
【0004】
多入力多出力(multiple input multiple output、MIMO)技術は、帯域幅または総送信電力消費量(transmit power expenditure)を増やすことなく、システムのデータスループット(throughput)および送信距離を大幅に向上させ得る。MIMOの中核概念は、複数の送信アンテナおよび複数の受信アンテナによって提供される空間的な自由度を使用して、無線通信システムのスペクトル効率を効果的に向上させて、伝送速度を向上および通信品質を向上させることである。既存のAPデバイスは、概してMIMOアンテナを使用する。APデバイスをアップグレードすると、APデバイスのサイズがより小さくなる。また、通信技術の発達に伴い、無線通信のために使用される通信周波数帯域が増加する可能性があり、その結果、APデバイスが提供し得るリンクの量(またはストリームの量と呼ばれる)も増加している。したがって、APデバイスがより多くのストリームを提供し得ることを確実にするようにするには、APデバイスのメインボード上のMIMOアンテナの量を増やす必要がある。MIMOアンテナの性能を利用するためには、MIMOアンテナが互いに独立している必要があり、すなわち、MIMOアンテナ間の間隔が予め設定された閾値より大きくなる必要があり、その結果、MIMOアンテナはアイソレーション要件を満たし得、MIMOアンテナの性能を利用し得ると理解してもよい。
【0005】
また、現在のAPデバイスでは、無線周波数チップセットはメインボードに概して配置されている。APデバイスにおけるストリームの量が増加すると、無線周波数チップセットの量も増加し、その結果、無線周波数チップセットによる面積も増加する。さらに、APデバイスにおける無線周波数チップセットはメインボード上に集中的に配置されているので、別の部分、例えば、アンテナのために残されるスペースがより小さくなる。さらに、APデバイスのサイズが小さくなるとき、APデバイスにおけるMIMOアンテナのために、メインボード上のスペースがより小さくなる。MIMOアンテナを設計することはより困難である。
【発明の概要】
【0006】
本出願は、アンテナ組立体および無線アクセスデバイスを提供する。アンテナは、アンテナ組立体を形成するために一緒に配置されてもよく、無線アクセスデバイスの小型化またはより多くのアンテナ組立体を展開するのに役立つために、アンテナの性能に影響を与えることなしにアンテナ組立体の一部を配置することによって、アイソレーション要件が軽減される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の技術的な目標を達成するために、本出願は、以下の技術的解決策を使用する。
【0008】
第1の態様によれば、本出願はアンテナ組立体を提供する。アンテナ組立体は、第1のアンテナ部および第2のアンテナ部を含んでもよい。第1のポート、第1のポートに対応する第1の放射アーム、第1のポートに対応する第1の接地点、および軸受プレートの第1の軸受部は、第1のアンテナ部を形成する。第2のポート、第2のポートに対応する第2の放射アーム、第2のポートに対応する第2の接地点、および軸受プレートの第2の軸受部は、第2のアンテナ部を形成する。
【0009】
第1のアンテナ部は、無線周波数信号を受信または放射してもよい。アンテナ組立体の第1のポートが無線周波数信号を受信するとき、第1の放射アームは、第1のポートによって受信された無線周波数信号を放射するように構成されてもよい。無線周波数信号を受信するとき、第1の放射アームは受信された無線周波数信号を第1のポートに送信してもよい。
【0010】
第2のアンテナ部は、無線周波数信号を受信または放射してもよい。アンテナ組立体における第2のポートが無線周波数信号を受信するとき、第2の放射アームは、第2のポートによって受信された無線周波数信号を放射するように構成されてもよい。無線周波数信号を受信するとき、第2の放射アームは受信された無線周波数信号を第2のポートに送信してもよい。
【0011】
軸受プレートを使用することによって、干渉防止パスが、第1のアンテナ部における第1のポートと第2のアンテナ部における第2のポートとの間に形成され、干渉防止パスが、第1の放射アームと第2の放射アームとの間の結合による干渉を打ち消すように構成されている。
【0012】
軸受プレートを使用することによって、干渉防止パスは、第1のポートと第2のポートとの間に形成されてもよい。したがって、第1のポートは、受信された無線周波数信号を、干渉防止パスを介して第2のポートに送信してもよい。代替的に、第2のポートは、受信された無線周波数信号を、干渉防止パスを介して第1のポートに送信してもよい。これにより、第1の放射アームと第2の放射アームとの間の結合によって引き起こされる信号干渉を打ち消し得る。例えば、第1の放射アームが無線周波数信号を放射するとき、第1の放射アームによって放射される無線周波数信号を第2の放射アームが受信する場合、第2のアンテナ部に干渉が引き起こされ、第2のアンテナ部の性能に影響が与えられる。代替的に、第2の放射アームが無線周波数信号を放射するとき、第2の放射アームによって放射される無線周波数信号を第1の放射アームが受信する場合、第1のアンテナ部に干渉が発生し、第1のアンテナ部の性能に影響を与える。
【0013】
第1のアンテナ部および第2のアンテナ部を一緒に配置してアンテナ組立体を形成し、アンテナ間の低アイソレーションによって引き起こされた干渉を、干渉防止パスを介して打ち消し、その結果、低アイソレーションの場合にアンテナの性能に影響を与えないようにしている。これにより、無線アクセスデバイスを小型化すること、またはより多くのアンテナを展開することに役立つ。
【0014】
第1の態様の可能な設計では、第1の放射アームが軸受プレートの第1の側面上に配置されており、第1の放射アームの一部が軸受プレートに接続され、第1のアンテナ間隙が第1の放射アームと軸受プレートとの間に存在する。第1のポートが軸受プレートの第2の側面上に配置されており、第1の接地点が軸受プレートの第3の側面上に配置されている。第2の放射アームが軸受プレートの第3の側面上に配置されており、第2の放射アームの一部が軸受プレートに接続され、第2のアンテナ間隙が第2の放射アームと軸受プレートとの間に存在する。第2のポートは軸受プレートの第の側面上に配置されており、第2の接地点は軸受プレートの第1の側面上に配置されている。
【0015】
第1の放射アームと第2の放射アームとの両方が、無線周波数信号を放射するように構成されている。第1のアンテナ間隙が第1の放射アームと軸受プレートの間に存在し、第2のアンテナ間隙が第2の放射アームと軸受プレートとの間に存在する。これは、第1の放射アームおよび第2の放射アームが無線周波数信号を放射または受信するのに役立つ。
【0016】
第1の態様の別の可能な設計では、第1のアンテナ部が、第1のポートに対応する第3の放射アームをさらに含んでもよく、第3の放射アームが、軸受プレートの第2の側面上に配置されている。第2のアンテナ部が、第2のポートに対応する第4の放射アームをさらに含んでもよく、第4の放射アームが軸受プレートの第4の側面上に配置されている。第1の放射アームおよび第2の放射アームは低周波の無線周波数信号を放射するように構成されてもよく、第3の放射アームおよび第4の放射アームは高周波の無線周波数信号を放射するように構成されてもよい。
【0017】
第1のポートが第3の放射アームに対応していると理解してもよい。言い換えれば、第1のポートは2つの無線周波数信号を受信してもよく、その結果、第1のポートに対応する第1の放射アームと第3の放射アームとの両方が無線周波数信号を放射してもよい。同様に、第2のポートは2つの無線周波数信号を受信してもよく、その結果、第2のポートに対応する第2の放射アームと第4の放射アームとの両方が無線周波数信号を放射し得る。このようにして、アンテナ組立体はより多くのリンクを提供し得る。
【0018】
第1の態様の別の可能な設計では、第1の軸受部および第2の軸受部が一体的に形成されて軸受プレートを形成し、または接続部を使用することによって、第1の軸受部および第2の軸受部が接続されて軸受プレートを形成する。
【0019】
第1のポート、第1の放射アーム、第3の放射アーム、および第1の接地点が第1の軸受部上に配置されており、第2のポート、第2の放射アーム、第4の放射アーム、および第2の接地点が第2の軸受部上に配置されている。
【0020】
第1の態様の別の可能な設計では、第1の放射アームが、軸受プレートの、第1のポートに近い端部上に配置されており、第3の放射アームが、軸受プレートの、第1の放射アームから離れた端部上に配置されている。第2の放射アームが、軸受プレートの、第2のポートに近い端部上に配置されており、第4の放射アームが、軸受プレートの、第2の放射アームに近い端部上に配置されている。
【0021】
第1の態様の別の可能な設計では、第1の放射アームの長さと第1のアンテナ間隙の幅との合計が、第1の共振周波数に対応する電磁波の波長の1/4であり、第1の放射アームが、第1の共振周波数を有する無線周波数信号を受信または放射するように構成されている。第3の放射アームの長さが、第2の共振周波数に対応する電磁波の波長の1/4であり、第3の放射アームが、第2の共振周波数を有する無線周波数信号を受信または放射するように構成されている。
【0022】
第1の放射アームの長さと第1のアンテナ間隙の幅との合計が、第1の放射アームによって放射される電磁波の周波数帯域に関する。したがって、第1の放射アームによって放射される電磁波の周波数帯域は、第1の放射アームの長さと第1のアンテナ間隙の幅とを調整することによって調整してもよい。第3の放射アームから放射される電磁波の周波数帯域は、第3の放射アームの長さを調整することで調整されてもよい。
【0023】
第1の態様の別の可能な設計では、第2の放射アームの長さと第2のアンテナ間隙の幅との合計が、第1の共振周波数に対応する電磁波の波長の1/4であり、第2の放射アームが、第1の共振周波数を有する無線周波数信号を受信または放射するように構成されている。第4の放射アームの長さが、第2の共振周波数に対応する電磁波の波長の1/4であり、第4の放射アームが、第2の共振周波数を有する無線周波数信号を受信または放射するように構成されている。
【0024】
第2の放射アームの長さと第のアンテナ間隙の幅との合計が、第1の放射アームによって放射される電磁波の周波数帯域に関連する。したがって、第1の放射アームによって放射される電磁波の周波数帯域は、第2の放射アームの長さと第のアンテナ間隙の幅とを調整することによって調整してもよい。第4の放射アームから放射される電磁波の周波数帯域は、第4の放射アームの長さを調整することで調整してもよい。
【0025】
第1の態様の別の可能な設計では、第1の放射アームの第2の側面から離れた上部が円弧状構造のものであり、第1の放射アームの第2の側面から離れた上部が第1の側面に面している。言い換えれば、第1の放射アームの終点位置は円弧状構造のものであり、円弧は第1の側面に面している。
【0026】
第1の態様の別の可能な設計では、第2の放射アームの第2の側面から離れた上部が円弧状構造のものであり、第2の放射アームの第2の側面から離れた上部が第3の側面に面している。言い換えれば、第2の放射アームの終点位置は円弧状構造のものであり、円弧は第3の側面に面している。
【0027】
第1の態様の別の可能な設計では、軸受プレートが導体部である。導体部が金属部または金属めっき部を含む。
【0028】
第1の態様の別の可能な設計では、アンテナ組立体が第1の支持部および第2の支持部をさらに含んでもよい。第1の支持部が、第1のアンテナ間隙の位置に配置されており、第1の放射アームおよび軸受プレートを支持するように構成されている。第2の支持部が、第2のアンテナ間隙の位置に配置されており、第2の放射アームおよび軸受プレートを支持するように構成されている。
【0029】
第2の態様によれば、本出願では無線アクセスデバイスをさらに提供する。無線アクセスデバイスは、第1の態様に少なくとも1つのアンテナ組立体、および第1の態様の任意の可能な設計と、少なくとも2つの無線周波数チップセットと、メインボードとを含んでもよい。各無線周波数チップセットの無線周波数出力端が、アンテナ組立体における第1のポートおよび第2のポートに接続され、メインボード上の給電接地端が、アンテナ組立体における第1の接地点および第2の接地点に接続されている。
【0030】
第2の態様の可能な設計では、アンテナ組立体が、メインボードに適合し、アンテナ組立体が、メインボードの縁部に近い位置に位置している。
【0031】
第2の態様の別の可能な設計では、無線周波数チップセットが、第1の無線周波数チップセットおよび第2の無線周波数チップセットを含む。第1の無線周波数チップセットが、メインボードの第1の表面上に配置されており、第2の無線周波数チップセットが、メインボードの第2の表面に配置されている。
【0032】
第1の無線周波数チップセットおよび第2の無線周波数チップセットが、メインボードの両側に個別に配置されている。これにより、メインボードの面積を効果的に節約され得、無線アクセスデバイスの小型化に役立つ。
【0033】
第2の態様の別の可能な設計では、無線アクセスデバイスは整合回路をさらに含む。整合回路の入力端は無線周波数チップセットの出力端に接続され、整合回路の出力端は第1のポートまたは第2のポートに接続されている。整合回路は、第1のポートまたは第2のポートによって受信される無線周波数信号を調整するように構成されている。
【0034】
第2の態様の別の可能な設計では、無線アクセスデバイスは、第1のアンテナ組立体および第2のアンテナ組立体を含んでもよい。第1のアンテナ組立体と第2のアンテナ組立体間の距離の値が、予め設定された距離の値より大きい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本出願の一実施形態による、アンテナ組立体の三次元構造の概略図である。
図2】本出願の一実施形態による、アンテナ組立体の構造の上面図である。
図3】本出願の一実施形態による、支持部を含むアンテナ組立体の構造の上面図である。
図4】本出願の一実施形態による、別のアンテナ組立体の概略構造図である。
図5】本出願の一実施形態による、アンテナ組立体の定在波比を示す図である。
図6】本出願の一実施形態による、アンテナ組立体における第1のアンテナ部と第2のアンテナ部との間のアイソレーションを示す図である。
図7】本出願の一実施形態による、無線アクセスデバイスのハードウェア構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
「第1の」および「第2の」という以下の用語は、単に説明を目的とするものであり、相対的な重要性の指示もしくは示唆、または示された技術的特徴の量の暗示的な指示として理解されるべきではない。したがって、「第1の」または「第2の」によって限定される特徴は、1つ以上の特徴を明示的または暗示的に含む場合がある。実施形態の説明では、特に明記しない限り、「複数の」は2つまたは3つ以上を意味する。
【0037】
以下では、本出願の実施形態における用語について説明する。
【0038】
結合は、2つまたは3つ以上の回路要素または電気ネットワークの入出力が密接に互いに連携して互いに影響を及ぼし、相互作用によって一方から他方へエネルギーが伝達される現象である。例えば、電磁波は、1つの放射アームから別の放射アームに送信される。
【0039】
アンテナ偏波は、アンテナが電磁波を放射するときに発生する電界強度の方向である。電界強度の方向が地面に対して垂直なとき、波は垂直偏波と呼ばれる。電界強度の方向が地面と平行なとき、水平偏波と呼ばれる。
【0040】
偏波方向とは、偏波された電磁波の電界の方向である。アンテナ偏波方向は、アンテナが電磁波を放射するときに発生する電界の方向である。具体的には、電磁波は電界および磁界を含み、アンテナが電磁波を放射するときの電磁波の電界の方向がアンテナ偏波方向である。
【0041】
概して、無線周波数チップセットは現在のAPデバイスのメインボード上に配置されている。無線周波数チップセットは、ベースバンド、および無線周波数トランシーバ等を含む。無線周波数チップセットの出力端はアンテナの無線周波数入力端に接続され、無線周波数チップセットの出力端はアンテナの無線周波数入力端に無線周波数信号を送信して、アンテナを介して無線周波数信号を放射する。無線周波数チップセットを使用した解決策により、APデバイスの統合レベルが向上される。APデバイスが提供し得るリンクの量(または、ストリームの量と呼ばれる)が増加すると、無線周波数チップセットの量も増加し、無線周波数チップセットによって占有された領域も増加する。無線周波数チップセットがアンテナに接続されており、その結果、APデバイスの無線周波数チップセットの量が増加し、アンテナの量も適応的に増加し、その結果、APデバイスはより多くのリンクを提供し得る。
【0042】
1つのケースでは、無線周波数信号を放射するためにAPデバイスでMIMOアンテナが使用される。MIMOアンテナを使用するとき、MIMOアンテナの性能を利用するために、MIMOアンテナによって放射される無線周波数信号が互いに干渉しないようにすることが確実にされる必要があると理解してもよい。MIMOアンテナは、概してAPデバイスのメインボード上に分散して配置される。MIMOアンテナ間の空間距離は、MIMOアンテナによって放射される無線周波数信号が互いに干渉しないように、MIMOアンテナ間のアイソレーションを確実にするために使用される。しかしながら、MIMOアンテナ間の空間距離を使用してアイソレーションを改善する方法は、APデバイスにおけるアンテナが比較的大きな空間を占有する原因となる。その結果、APデバイスのサイズは比較的大きく、このことは、APデバイスの小型化にはつながらない。
【0043】
別のケースでは、二重偏波アンテナをAPデバイスで使用して無線周波数信号を放射する。二重偏波アンテナのアンテナ構造は、+45°および-45°の2つの直交する方向のラジエータを組み合わせたアンテナであると理解してもよい。この構造により、二重偏波アンテナは信号の受信と送信との両方を行うことが可能になる。二重偏波アンテナは、APデバイスにおける2つのアンテナラジエータ間の距離の値を減らして、APデバイスのサイズをある程度小さくし得る。しかしながら、二重偏波アンテナを設計することは比較的困難であり、二重偏波アンテナの構造における2つのアンテナラジエータは直交している。その結果、アンテナはAPデバイス内で比較的大きなスペースを占め、APデバイスのサイズも比較的大きい。
【0044】
本出願の一実施形態は、アンテナ組立体をさらに提供する。アンテナ組立体は、第1のアンテナ部および第2のアンテナ部を含んでもよく、2つのアンテナ部は軸受プレート上に配置されている。2つのアンテナ部は独立して動作し得る。このようにして、アンテナ組立体は複数の入力無線周波数信号を受信してもよく、それぞれの周波数帯で動作してもよく、その結果、アンテナ組立体は複数のリンクを提供し得る。
【0045】
図1は、本出願の一実施形態による、アンテナ組立体の概略構造図である。図1に示すように、アンテナ組立体は第1のアンテナ部10および第2のアンテナ部20を含む。第1のアンテナ部10は、第1のポート11と、第1のポート11に対応する第1の放射アーム12および第1の接地点13とを含む。第2のアンテナ部20は、第2のポート21と、第2のポート21に対応する第2の放射アーム22および第2の接地点23とを含む。第1のアンテナ部10と第2のアンテナ部20との両方は軸受プレート30上に配置されている。第1のアンテナ部10は第1の軸受部31上に配置されており、第2のアンテナ部20は第2の軸受部32上に配置されている。
【0046】
具体的には、第1の放射アーム12が軸受プレート30の第1の側面上に配置されており、第1の放射アーム12の一部が軸受プレート30に接続され、第1のアンテナ間隙が第1の放射アーム12と軸受プレート30との間に存在する。第1のポート11は軸受プレート30の第2の側面上に配置されており、第1の接地点13は軸受プレート30の第3の側面上に配置されている。第2の放射アーム22は軸受プレート30の第3の側面上に配置されており、第2の放射アーム22の一部は軸受プレート30に接続され、第2のアンテナ間隙が第2の放射アーム22と軸受プレート30との間に存在する。第2のポート21は軸受プレート30の第4の側面上に配置されており、第2の接地点23は軸受プレート30の第の側面上に配置されている。第1の側面は第3の側面に対して反対側であり、第2の側面は第4の側面に対して反対側である。
【0047】
いくつかの実装形態では、第1のアンテナ部10における第1の放射アーム12が、第2のアンテナ部20における第2の放射アーム22に結合されている。言い換えれば、第1の放射アーム12が無線周波数信号を放射するとき、第1の放射アーム12によって放射される無線周波数信号を第2の放射アーム22が受信してもよい。代替的に、第2の放射アーム22が無線周波数信号を放射するとき、第1の放射アーム12は、第2の放射アーム22によって放射される無線周波数信号を受信してもよい。第1のアンテナ部10における第1のポート11と第2におけるアンテナ部20の第2のポート21とは、干渉防止パスを形成する。言い換えれば、第1のポート11が無線周波数信号を受信するとき、第1のポート11によって受信された無線周波数信号が第2のポート21に送信されてもよい。代替的に、第2のポート21が無線周波数信号を受信したとき、第2のポート21によって受信された無線周波数信号が第1のポート11に送信されてもよい。具体的には、第1のポート11が無線周波数信号を受信するとき、第1の放射アーム12は、第1のポート11によって受信された無線周波数信号を放射するように構成されてもよい。第1の放射アーム12が無線周波数信号を放射するとき、第2の放射アーム22が、第1の放射アーム12によって放射される無線周波数信号を受信してもよく、その結果、第1の放射アーム12によって放射される無線周波数信号が第2のアンテナ部20への干渉を引き起こす。第1のポート11によって受信された無線周波数信号は、第2のポート21に送信されてもよく、第1のポート11および第2のポート21は、軸受プレート30を使用することによって干渉防止パスを形成する。干渉防止パスは、第1の放射アーム12と第2の放射アーム22との間の結合によって引き起こされる干渉を打ち消すように構成されてもよい。言い換えれば、第1のポート11によって送信され、かつ第2のポート21によって受信される無線周波数信号が使用されて、第1の放射アーム12によって放射され、かつ第2の放射アーム22によって受信される無線周波数信号が打ち消されて、第1のアンテナ部10が動作したときに第2のアンテナ部20に引き起こされる干渉が打ち消されてもよい。
【0048】
概して、1つのデバイスに配置された2つのアンテナが独立して動作する必要がある場合、2つのアンテナはアンテナアイソレーション要件を満たす必要がある。アンテナアイソレーションは、あるアンテナによって送信される信号の電力と、別のアンテナによって送信される信号の電力との比率を表す。例えば、2つのアンテナ間の距離が120mm(ミリメートル)である場合、2つのアンテナはアンテナアイソレーション要件を満たし得る。本出願の本実施形態で提供されるアンテナ組立体では、第1のアンテナ部10と第2のアンテナ部20とを空間的に結合し、干渉防止パスを軸受プレート30上に形成し、その結果、第1のアンテナ部10と第2のアンテナ部20とを独立して動作させてもよい。図1に示すように、第1の放射アーム12は、軸受プレート30の、第1のポート11に近い端部上に、第2の放射アーム22は、軸受プレート30の、第2のポート21に近い端部上に配置されており、第1のポート11および第2のポート21は、軸受プレート30を使用することによって無線周波数信号を送信してもよい。したがって、第1のアンテナ組立体と第2のアンテナ組立体との両方が軸受プレート30上に配置されている。これにより、アンテナのサイズが効果的に小さくなる。
【0049】
アンテナ組立体における放射アームは、無線周波数信号を放射するように構成されていると理解してもよい。第1のポート11が無線周波数信号を受信するとき、第1の放射アーム12が無線周波数信号を放射してもよい。可能な設計では、第1のポート11が2つの放射アームに対応し、各放射アームが対応する無線周波数信号を放射するように構成されている場合、第1のアンテナ部10は2つの無線周波数信号を放射してもよい。例えば、第1のアンテナ部10は第3の放射アーム14をさらに含んでもよく、第3の放射アーム14は軸受プレート30の第2の側面上に配置されている。第1の放射アーム12は低周波無線周波数信号を放射するように構成されてもよく、第の放射アーム14は高周波無線周波数信号を放射するように構成されてもよい。例えば、第1のポート11は、2G無線周波数出力端および5G無線周波数出力端に接続されている。この場合、第1のポート11に対応する第1の放射アーム12は2G周波数帯上で無線周波数信号を放射し、第3の放射アーム14は5G周波数帯上で無線周波数信号を放射してもよい。
【0050】
別の可能な設計では、第2のポート21が2つの放射アームに対応し、各放射アームが、対応する無線周波数信号を放射するように構成されている場合、第2のアンテナ部20は2つの無線周波数信号を放射してもよい。例えば、第2のアンテナ部20は第4の放射アーム24をさらに含んでもよく、第4の放射アームは軸受プレート30の第4の側面上に配置されている。第2の放射アーム22は低周波無線周波数信号を放射するように構成されてもよく、第4の放射アーム24は高周波無線周波数信号を放射するように構成されてもよい。
【0051】
図2に示すように、第3の放射アーム14は軸受プレート30の第2の側面上に配置されており、第3の放射アーム14は第1の放射アーム12から離れた端部上に配置されている。第4の放射アーム24は軸受プレート30の第4の側面上に配置されており、第4の放射アーム24は第2の放射アーム22に近い端部上に配置されている。
【0052】
第1のポート11と第2のポート21との両方が2つの放射アームに対応しているとき、アンテナ組立体における放射アームの数量が増加し、その結果、アンテナ組立体はより多くのリンクを提供し得る。
【0053】
放射アームが電磁波を放射するプロセスでは、放射アームが共振を発生させ、放射アームの長さが、放射アームによって放射される無線周波数信号に対応する周波数に影響を与える。例えば、第1のポート11は、第1の無線周波数信号および第2の無線周波数信号を受信してもよい。第1の無線周波数信号は第1の共振周波数を有する電磁波に対応し、第2の無線周波数信号は第2の共振周波数を有する電磁波に対応する。第1のアンテナ部10では、第1の放射アーム12の長さと第1のアンテナ間隙の幅との合計が第1の共振周波数に対応する電磁波の波長の1/4であり、第1の放射アーム12は第1の共振周波数を有する無線周波数信号を受信または放射するように構成されている。第3の放射アーム14の長さは、第2の共振周波数に対応する電磁波の波長の1/4であり、第3の放射アーム14は、第2の共振周波数を有する無線周波数信号を受信または放射するように構成されている。第2のアンテナ部20では、第2の放射アーム22の長さと第2のアンテナ間隙の幅との合計が第1の共振周波数に対応する電磁波の波長の1/4であり、第2の放射アーム22は第1の共振周波数を有する無線周波数信号を受信または放射するように構成されている。第4の放射アーム24の長さが、第2の共振周波数に対応する電磁波の波長の1/4であり、第4の放射アーム24が、第2の共振周波数を有する無線周波数信号を受信または放射するように構成されている。
【0054】
図2に示すように、L1は第1の放射アーム12の長さを表し、W1は第1のアンテナ間隙の幅を表す。L1とW1との合計は、第1の共振周波数に対応する電磁波の波長の1/4である。L3は第3の放射アーム14の長さを表し、L3は第2の共振周波数に対応する電磁波の波長の1/4である。L2は第2の放射アーム22の長さを表し、W2は第2のアンテナ間隙の幅を表す。L2とW2との合計は、第1の共振周波数に対応する電磁波の波長の1/4である。L4は第4の放射アーム24の長さを表し、L4は第2の共振周波数に対応する電磁波の波長の1/4である。
【0055】
いくつかの可能な設計では、第1の放射アーム12の上部のために異なる構造を設計してもよい。第1の放射アーム12の上部構造のこのような調整は、第1の放射アーム12の性能に影響を与えることなく、単なる形状の変更である。図2に示すように、第1の放射アーム12の、第2の側面から離れた端部が円弧状構造のものであり、第1の放射アーム12の、第2の側面から離れた上部が第1の側面に面している。他のいくつかの可能な設計では、第2の放射アーム22の、第4の側面から離れた上部が円弧状構造であり、第2の放射アーム22の、第4の側面から離れた上部が第3の側面に面している。
【0056】
本出願の本実施形態で提供されるアンテナ組立体は、二重周波数帯および二重給電アンテナと呼ばれる場合があると理解してもよい。言い換えれば、アンテナ組立体は2つの周波数帯上で無線周波数信号を受信し、アンテナ組立体は2つの周波数帯上で無線周波数信号を供給してもよい。アンテナ組立体における各アンテナ部は1つのポートおよび2つの放射アームを含み、その結果、アンテナ部は2つの無線周波数信号を受信し、2つの放射アームを使用することによって、対応する無線周波数信号を放射してもよい。言い換えれば、アンテナ組立体は、2つの周波数帯域上で無線周波数信号を受信し、2つの周波数帯域上で無線周波数信号を放射してもよい。
【0057】
例えば、アンテナ組立体は、第1の支持部15および第2の支持部25をさらに含んでもよい。図3に示すように、第1の支持部15は、第1のアンテナ間隙の位置に配置されており、第1の放射アームおよび軸受プレート30を支持するように構成されている。第2の支持部25は、第2のアンテナ間隙の位置に配置されており、第2の放射アームおよび軸受プレート30を支持するように構成されている。具体的には、第1の支持部15の一端に隙間が設けられ、第1の放射アーム12がその隙間に配置される。第1の支持部15の他端はスナップフィット構造であり、スナップフィット構造は、第1の支持部15が第1の放射アーム12上を滑るのを防止するために、第1の軸受部31をクランプするように構成されている。第2の支持部25の構造は第1の支持部15と同じであり、詳細については改めて説明しない。第1の支持部15と第2の支持部25との両方は非導電性材料で作られている。
【0058】
本出願の実施形態で提供されるアンテナ組立体では、第1のアンテナ部10および第2のアンテナ部20がアンテナ組立体を2つに分割している。一実装形態では、軸受プレート30は完全な金属プレートまたは金属めっきプレートであってもよく、第1の軸受部31と第2の軸受部32とはそれぞれ軸受プレート30の一部である。言い換えれば、第1のアンテナ部10および第2のアンテナ部20は、機能とポートへの対応とに基づいてアンテナ組立体を第1のアンテナ部10と第2のアンテナ部20とに分割する。構造的の観点では、アンテナ組立体は、第1のポート11と、第1のポート11に対応する、第1の放射アーム12、第3の放射アーム14、および第1の接地点13とを含み、かつ第2のポート21と、第2のポート21に対応する、第2の放射アーム22、第4の放射アーム24、および第2の接地点23とを含む。アンテナ組立体は軸受プレート30をさらに含む。
【0059】
軸受プレート30は完全な金属プレートまたは金属めっきプレートであり、アンテナ組立体は一体に形成されていてもよい。例えば、完全な金属板を曲げてまたは切断して、アンテナ組立体を得てもよい。
【0060】
別の実装形態では、軸受プレート30は、複数の金属部品または金属めっき部品を組み合わせることによって形成してもよい。図4に示すように、軸受プレート30は、第1の軸受部31、第2の軸受部32、および接続部40を含む。接続部40は、第1の軸受部31と第2の軸受部32とを接続して軸受プレート30を形成するように構成されている。第1のポート11と、第1のポート11に対応する、第1の放射アーム12、第3の放射アーム14、および第1の接地点13とが第1の軸受部31に配置されて、第1のアンテナ部10を形成する。第2のポート21と、第2のポート21に対応する、第2の放射アーム22、第4の放射アーム24、および第2の接地点23とが第2の軸受プレート30上に配置されて、第2のアンテナ部20を形成する。
【0061】
本出願の実施形態で提供されるアンテナ組立体は、無線アクセスデバイスに適用されてもよく、またはアンテナ組立体はさらに電子デバイスに適用されてもよい。例えば、本出願の実施形態における無線アクセスデバイスは、ルータ、無線コントローラ、無線アクセスポイント、またはスイッチ等であってもよい。本出願の実施形態の電子デバイスは、携帯電話、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、ノートブックコンピュータ、車載デバイス、ウルトラモバイルパーソナルコンピュータ(ultra-mobile personal computer、UMPC)、ネットブック、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント(personal digital assistant、PDA)、または拡張現実(augmented reality、AR)/仮想現実(virtual reality、VR)デバイス等であってもよい。
【0062】
本出願の一実施形態は、無線アクセスデバイスをさらに提供する。無線アクセスデバイスは、少なくとも1つのアンテナ組立体、少なくとも2つの無線周波数チップセット、およびメインボードを含んでもよい。少なくとも2つの無線周波数チップセットおよび少なくとも1つのアンテナ組立体は、すべてメインボード上に配置されている。アンテナ組立体はパッチ技術を使用することによってメインボードに適合し、アンテナ組立体はメインボードの縁部に近い位置に配置される。無線アクセスデバイスは整合回路をさらに含む。整合回路の入力端は無線周波数チップセットの出力端に接続され、整合回路の出力端は第1のポート11または第2のポート21に接続されている。整合回路は、第1のポート11または第2のポート21によって受信される無線周波数信号を調整するように構成されている。
【0063】
図7は、本出願の一実施形態による、無線アクセスデバイスのハードウェア構造の概略図である。図7に示すように、無線アクセスデバイス100は、メインボード101、アンテナ組立体102、第1の無線周波数チップセット103、第2の無線周波数チップセット104、第1の整合回路105、および第2の整合回路106を含む。第1の無線周波数チップセット103の出力端は、第1の整合回路105の入力端と第2の整合回路106の入力端との両方に接続されている。第2の無線周波数チップセット104の出力端は、第1の整合回路105の入力端と第2の整合回路106の入力端との両方に接続されている。第1の整合回路105の出力端は第1のポート11に接続され、第2の整合回路106の出力端は第2のポート22に接続されている。メインボード101の給電接地端は、アンテナ組立体102において第1の接地点13および第2の接地点23(不図示)に接続されている。
【0064】
いくつかの実施形態では、整合回路(例えば、第1の整合回路105および第2の整合回路106)が、アンテナ組立体の入力端と無線周波数チップセットの出力端との間にさらに接続され、整合回路は具体的にはπ型整合回路に設定される。代替的に、抵抗要素が整合回路として使用されてもよい。整合回路の具体的な形式は本明細書では限定されない。整合回路は、第1のポートまたは第2のポートの整合されたインピーダンスを調整してもよく、第1のポートと第2のポートとの間のアイソレーションには影響しない。無線周波数チップセットの無線周波数出力端は、第1のポートまたは第2のポートに接続されている。第1のポートのインピーダンスが無線周波数チップセットの出力端のインピーダンスと一致しない場合、第1のポートによる無線周波数信号の放射が影響を受け、その結果、第1のポートと第2のポートの間とのアイソレーションが影響を受ける。第1のポートまたは第2のポートが正常に動作することを確実にし、第1のポートと第2のポートとの間のアイソレーションが影響を受けないように、第1のポートのインピーダンスが無線周波数チップセットの出力端のインピーダンスと同じになるように、整合回路は、第1のポートまたは第2のポートの整合されたインピーダンスを調整してもよい。
【0065】
本出願の本実施形態は、第1の整合回路105がπ型整合回路であり、第2の整合回路106が抵抗要素である一例を使用していると理解してもよい。
【0066】
本出願の本実施形態において提供されるアンテナ組立体102は、2つの無線周波数信号を受信し、2つの放射アームを使用することによって無線周波数信号を放射してもよい。アンテナ組立体102における第1のアンテナ部10および第2のアンテナ部20は独立して動作してもよく、その結果、無線アクセスデバイス100におけるアンテナ組立体103はより多くのリンクを提供し得る。これは、無線アクセスデバイス100を小型化するのに役立つ。本出願の実施形態で提供されているアンテナ組立体102は、無線アクセスデバイス100において使用されており、その結果、無線アクセスデバイス100はより多くのリンクを提供し得、無線アクセスデバイス100はアンテナの量が増えることに起因してサイズが比較的大きくなるという問題も解決し得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、無線周波数チップセットは、メインボード101の両側に個別に配置されており、その結果、メインボード101の両側のスペースを有効に利用し得るようにしている。例えば、無線アクセスデバイスが2G無線周波数チップセット(第1の無線周波数チップセット103)および5G無線周波数チップセット(第2の無線周波数チップセット104)を含む場合、2G無線周波数チップセットはメインボード101の第1の表面上に配置されており、5G無線周波数チップセットはメインボード10の第2の表面上に配置されている。
【0068】
無線アクセスデバイス100は、第1のアンテナ組立体および第2のアンテナ組立体を含み、第1のアンテナ組立体と第2のアンテナ組立体との間のアイソレーションを確実にするために、第1のアンテナ組立体と第2のアンテナ組立体との間の距離の値が、予め設定された距離の値よりも大きいと理解してもよい。例えば、第1のアンテナ組立体と第2のアンテナ組立体との間の距離の値は120mmである。
【0069】
無線アクセスデバイス100は、プロセッサおよびメモリのようなハードウェアをさらに含むと理解してもよい。メモリおよびプロセッサはバスを介して接続されている。バスは任意の量のインターネットバスおよびブリッジを含んでもよく、バスは1つ以上のプロセッサおよびメモリの様々な回路を接続する。バスは、周辺デバイス、定電圧デバイス、および電力管理回路のような様々な回路をさらに接続してもよい。これらは当該技術分野でよく知られているので、本明細書ではさらには説明しない。バスインタフェースは、バスとフェーズドアレイアンテナとの間のインタフェースを提供し、プロセッサで処理されたデータは、インタフェースを通じてメモリに送信される。プロセッサは、バスおよび一般的な処理を管理する役割を担い、タイミング、周辺インタフェース、電圧調整、電力管理、および別の制御機能を含む様々な機能をさらに提供してもよい。メモリは、プロセッサが演算を実行するときに使用されるデータを格納するようにさらに構成されてもよい。
【0070】
前述の実装形態において提供される無線アクセスデバイス100は、複数のリンクを提供し得る。これは、無線アクセスデバイスに配置されているアンテナの量を減少させ、無線アクセスデバイスの小型化することに役立つ。アンテナ組立体が無線アクセスデバイス100に取り付けられた後、無線アクセスシステムのリンクの量が増され得、無線アクセスデバイス100の中のアンテナ組立体における第1のアンテナ部と第2のアンテナ部との間のアイソレーションも要件を満たし得る。図5は、無線アクセスデバイスの中に取り付けられたアンテナ組立体における第1のポートと第2のポートとの定在波比を示す。曲線1は第1のポートの定在波比を表し、曲線2は第2のポートの定在波比を表す。言い換えれば、曲線1は、第1の周波数(2.4GHz~2.5GHz)および第2の周波数(5.15GHz~5.85GHz)上での第1のポートの電圧定在波比を表す。曲線2は、第1の周波数(2.4GHz~2.5GHz)および第2の周波数(5.15GHz~5.85GHz)上での第2のポートの電圧定在波比を表す。図5に示す電圧定在波比は、第1のポートと第2のポートとのインピーダンス整合度を表す。図6は、アンテナ組立体における第1のポートと第2のポートとの間のアイソレーションを示す。図6に示すように、第2のアンテナ部は無線周波数信号を放射し、第1のアンテナ部は第のアンテナ部によって放射される無線周波数信号を受信してもよい。アンテナ組立体の第1の周波数帯域(2.4GHzから2.5GHz)と第2の周波数帯域(5.15GHzから5.85GHz)上では、アンテナ組立体のアイソレーションは比較的良好である。
【0071】
前述の説明は、単なる本出願の特定の実装態様であるが、本出願の保護範囲を限定することを意図するものではない。本出願で開示されている技術的範囲内のいかなる変形または置換も、本出願の保護範囲内にあるものとする。したがって、本出願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
【符号の説明】
【0072】
10 第1のアンテナ部
11 第1のポート
12 第1の放射アーム
13 第1の接地点
14 第3の放射アーム
15 第1の支持部
20 第2のアンテナ部
21 第2のポート
22 第2の放射アーム
23 第2の接地点
24 第4の放射アーム
25 第2の支持部
30 軸受プレート
31 第1の軸受部
32 第2の軸受部
40 接続部
100 無線アクセスデバイス
101 メインボード
102 アンテナ組立体
103 第1の無線周波数チップセット
104 第2の無線周波数チップセット
105 第1の整合回路
106 第2の整合回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7