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特許7483953ハイブリッドシステムにおける電磁クラッチの制御方法及びハイブリッドシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】ハイブリッドシステムにおける電磁クラッチの制御方法及びハイブリッドシステム
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/50 20160101AFI20240508BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20240508BHJP
   B60K 6/387 20071001ALI20240508BHJP
   B60W 10/02 20060101ALI20240508BHJP
   B60W 10/26 20060101ALI20240508BHJP
   B60W 20/40 20160101ALI20240508BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20240508BHJP
   B60L 50/10 20190101ALI20240508BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240508BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20240508BHJP
【FI】
B60W20/50
H02J9/06
B60K6/387 ZHV
B60W10/02 900
B60W10/26 900
B60W20/40
B60L1/00 L
B60L50/10
B60L50/60
B60L58/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022578948
(86)(22)【出願日】2021-05-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-24
(86)【国際出願番号】 CN2021091829
(87)【国際公開番号】W WO2022193418
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2022-12-20
(31)【優先権主張番号】202110292817.0
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511268454
【氏名又は名称】ジン-ジン エレクトリック テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【弁理士】
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【弁理士】
【氏名又は名称】田端 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(72)【発明者】
【氏名】ユ、 ピン
(72)【発明者】
【氏名】リ、 ジャンウェン
(72)【発明者】
【氏名】カオ、 ヤン
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-020854(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0300428(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第112145576(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110667381(CN,A)
【文献】特開2020-114156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 20/50
H02J 9/06
B60K 6/387
B60W 10/02
B60W 10/26
B60W 20/40
B60L 1/00
B60L 15/20
B60L 50/10
B60L 50/60
B60L 58/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッドシステムにおける電磁クラッチの制御方法であって、前記ハイブリッドシステムが、エンジン、モータ、電磁クラッチ、電磁クラッチコントローラ及び電源システムを含み、前記電源システムが、低電圧バッテリ、予備電源システム及び切替回路を含み、前記低電圧バッテリが前記電磁クラッチコントローラ及び前記電磁クラッチに給電するために用いられ、前記電磁クラッチが前記モータの投入を制御するために用いられるハイブリッドシステムにおける電磁クラッチの制御方法において、具体的に、
前記低電圧バッテリの電圧が目標値よりも低いかどうかを監視して、前記低電圧バッテリの電圧が前記目標値よりも低い場合、前記低電圧バッテリが故障した判断するステップ1と、
前記低電圧バッテリが故障した場合、前記切替回路を利用して前記予備電源システムに切り替えて前記電磁クラッチ及び前記電磁クラッチコントローラに給電するステップ2と、
前記電磁クラッチコントローラを利用して前記電磁クラッチの係合又は分離状態を判断するステップ3と、
前記電磁クラッチコントローラが、前記係合又は分離状態に応じて、前記電磁クラッチをさらに制御し、給電の故障が解消されるまで電磁クラッチが係合状態にあるようにするステップ4とを含み、
前記ステップ4は、具体的に、
前記電磁クラッチが係合状態にある時、前記係合状態を保持することと、
前記電磁クラッチが分離状態にある時、車速信号に応じて、電磁クラッチを係合させるコマンドを出す必要があるかどうかを判断することとを含み、
前記車速信号に応じて、電磁クラッチを係合させるコマンドを出す必要があるかどうかを判断することは、
前記車速信号が検出できるかどうかを判断し、車速信号が検出できる場合、走行速度の大きさに応じて、電磁クラッチを係合させるコマンドを出す必要があるかどうかを判断することと、
車速信号が検出できない場合、プリセット時間後に、電磁クラッチを係合させるコマンドを出すこととを含む、ことを特徴とするハイブリッドシステムにおける電磁クラッチの制御方法。
【請求項2】
前記走行速度の大きさに応じて、電磁クラッチを係合させるコマンドを出す必要があるかどうかを判断することは、
走行速度が設定値よりも大きい場合、電磁クラッチを係合させるコマンドを出さないことと、
走行速度が設定値以下の場合、電磁クラッチを係合させるコマンドを出すこととを含むことを特徴とする請求項に記載の制御方法。
【請求項3】
監視された前記低電圧バッテリの電圧が目標値よりも低くない場合、前記切替回路が前記低電圧バッテリに切り替えて前記電磁クラッチ及び前記電磁クラッチコントローラに給電するステップ5をさらに含む、ことを特徴とする請求項1または2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記電磁クラッチが自己保持型電磁断接クラッチである、ことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項5】
前記自己保持型電磁断接クラッチが、固定部品、従動部品及び弾性部品を含み、
前記固定部品が軟磁性素子を含み、前記軟磁性素子にコイルが設けられており、
前記従動部品がアーマチュアディスクを含み、前記アーマチュアディスクには、いくつかの永久磁石鋼が設けられている、ことを特徴とする請求項に記載の制御方法。
【請求項6】
前記予備電源システムが、高電圧バッテリ、変圧回路及びコンデンサモジュールを含み、
前記高電圧バッテリが、前記変圧回路を介して前記切替回路に接続されており、前記コンデンサモジュールの一端が、前記変圧回路と前記切替回路との結線に接続され、前記コンデンサモジュールの他端が接地されており、
前記変圧回路が、高電圧から低電圧に変換するフライバックスイッチ電源回路である、ことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項7】
前記予備電源システムが充電回路をさらに含み、
前記充電回路が変圧回路の出力端に接続されており、前記コンデンサモジュールの一端が、前記充電回路と前記切替回路との結線に接続されている、ことを特徴とする請求項に記載の制御方法。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載の制御方法が用いられている、ことを特徴とするハイブリッドシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁クラッチ制御の技術分野に属し、特に、ハイブリッドシステムにおける電磁クラッチの制御方法及びハイブリッドシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁クラッチは、ハイブリッド自動車の動力源の断接用のコアコンポーネントとして、ハイブリッドシステムの動力性能及び出力能力において極めて重要な役割を果たしている。現在、多くのハイブリッドシステムの動力源断接手段には、クラッチ電圧が喪失した後の制御戦略が備えられておらず、給電バッテリ又はワイヤーハーネスが一旦に故障すると、電気エネルギーを提供する他の電源がなく、電磁クラッチコントローラが正常に作動できなくなり、その結果、車両全体の動力系の安全性及び信頼性が低下してしまい、ひいては、車両全体が走行できなくなるなどの事態に繋がる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記課題に対して、本発明には、上記問題を解消し、又は、上記問題を少なくとも部分的に解決するために、ハイブリッドシステムにおける電磁クラッチの制御方法及びハイブリッドシステムが開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明には、以下の技術案が用いられている。
【0005】
本発明の1つの局面では、ハイブリッドシステムにおける電磁クラッチの制御方法が開示されており、前記ハイブリッドシステムが、エンジン、モータ、電磁クラッチコントローラ及び電源システムをさらに含み、前記電源システムが、低電圧バッテリ、予備電源システム及び切替回路を含み、前記電磁クラッチが前記モータの投入を制御するために用いられ、前記制御方法は、具体的に、
前記低電圧バッテリの電圧が目標値よりも低いかどうかを監視して、前記低電圧バッテリが故障したかどうかを判断するステップ1と、
前記低電圧バッテリが故障した場合、前記切替回路を利用して前記予備電源システムに切り替えて前記電磁クラッチ及び前記電磁クラッチコントローラに給電するステップ2と、
前記電磁クラッチコントローラを利用して前記電磁クラッチの係合又は分離状態を判断するステップ3と、
前記電磁クラッチコントローラが、前記係合又は分離状態に応じて、前記電磁クラッチをさらに制御するステップ4とを含む。
【0006】
さらに、前記ステップ4は、具体的に、
前記電磁クラッチが係合状態にある時、前記係合状態を保持することと、
前記電磁クラッチが分離状態にある時、車速信号に応じて、電磁クラッチを係合させるコマンドを出す必要があるかどうかを判断することとを含む。
【0007】
さらに、前記車速信号に応じて、電磁クラッチを係合させるコマンドを出す必要があるかどうかを判断することは、
前記車速信号が検出できるかどうかを判断し、車速信号が検出できる場合、走行速度の大きさに応じて、電磁クラッチを係合させるコマンドを出す必要があるかどうかを判断することと、
車速信号が検出できない場合、プリセット時間後に、電磁クラッチを係合させるコマンドを出すこととを含む。
【0008】
さらに、前記走行速度の大きさに応じて、電磁クラッチを係合させるコマンドを出す必要があるかどうかを判断することは、
走行速度が設定値よりも大きい場合、電磁クラッチを係合させるコマンドを出さないことと、
走行速度が設定値以下の場合、電磁クラッチを係合させるコマンドを出すこととを含む。
【0009】
さらに、前記制御方法は、
監視された前記低電圧バッテリの電圧が目標値よりも低くない場合、前記切替回路が前記低電圧バッテリに切り替えて前記電磁クラッチ及び前記電磁クラッチコントローラに給電するステップ5をさらに含む。
【0010】
さらに、前記電磁クラッチが自己保持型電磁断接クラッチである。
【0011】
さらに、前記自己保持型電磁断接クラッチが、固定部品、従動部品及び弾性部品を含み、
前記固定部品が軟磁性素子を含み、前記軟磁性素子にコイルが設けられており、
前記従動部品がアーマチュアディスクを含み、前記アーマチュアディスクには、いくつかの永久磁石鋼が設けられている。
【0012】
さらに、前記予備電源システムが、高電圧バッテリ、変圧回路及びコンデンサモジュールを含み、
前記高電圧バッテリが、前記変圧回路を介して前記切替回路に接続されており、前記コンデンサモジュールの一端が、前記変圧回路と前記切替回路との結線に接続され、前記コンデンサモジュールの他端が接地されており、
前記変圧回路が、高電圧から低電圧に変換するフライバックスイッチ電源回路である。
【0013】
さらに、前記予備電源システムが充電回路をさらに含み、
前記充電回路が変圧回路の出力端に接続されており、前記コンデンサモジュールの一端が、前記充電回路と前記切替回路との結線に接続されている。
【0014】
本発明のもう1つの局面では、更に、ハイブリッドシステム、好ましくは車両のハイブリッドシステムが開示されており、当該車両のハイブリッドシステムには、上記のいずれか一項に記載の制御方法が用いられている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の利点及び有益な効果は、下記の通りになる。
【0016】
本発明の電磁クラッチの制御方法において、車両全体の低電圧バッテリの給電に故障が発生して、電磁クラッチコントローラ及び電磁クラッチの正常の作動が確保できない場合、切替回路によって予備電源システムに切り替えて電磁クラッチコントローラ及び電磁クラッチに給電することで、電磁クラッチの使用に保障が提供されており、また、当該制御方法において、低電圧バッテリが故障した場合、電磁クラッチが常時に係合状態にあるようにし、さらに車両をハイブリッド駆動とすることで、ハイブリッドシステムの安全性及び信頼性が保証されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明を読むことにより、様々な他の利点及びメリットが当業者にとって明らかになる。図面は、好ましい実施形態を例示するためのものだけであり、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。また、図面全体において、同じ部品には同じ参照符号が付されている。
【0018】
図1図1は、本発明の一実施例によるハイブリッドシステムにおける電磁クラッチの制御方法の実施手順図である。
図2図2は、本発明の一実施例におけるステップ4の論理判断図である。
図3図3は、本発明の一実施例における電源システムの接続構造図である。
図4図4は、本発明の一実施例における電源システムの接続構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の目的、技術案及び利点が更に明白になるように、以下、本発明の具体的な実施例及び対応する図面と併せて、本発明の技術案を明確かつ完全に説明する。明らかなことに、記載された実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて創造的な努力をすることなく当業者によって得られる他のすべての実施例は、本発明の保護範囲内に含まれる。
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の各実施例による技術案を詳しく説明する。
【0021】
本発明の一実施例には、ハイブリッドシステムにおける電磁クラッチの制御方法が開示されている。当該ハイブリッドシステムが、エンジン、モータ、電磁クラッチコントローラ及び電源システムをさらに含み、電源システムが、低電圧バッテリ、予備電源システム及び切替回路を含む。低電圧バッテリが電磁クラッチコントローラ及び電磁クラッチに給電するために用いられ、電磁クラッチがモータの投入を制御するために用いられ、車両のハイブリッド駆動が実現される。ハイブリッドシステムにおける電磁クラッチの制御方法は、具体的に、以下のステップ1~ステップ4を含む。
【0022】
ステップ1は、低電圧バッテリの電圧が目標値よりも低いかどうかをリアルタイムで監視して、低電圧バッテリが故障したかどうかを判断し、ここで、目標値が電磁クラッチコントローラ及び電磁クラッチの作動する最低電圧値であり、低電圧バッテリの電圧が目標値よりも低い場合、電磁クラッチコントローラ及び電磁クラッチが正常に作動できず、低電圧バッテリが故障したと判断する。
【0023】
ステップ2は、低電圧バッテリが故障した場合、切替回路を利用して予備電源システムに切り替えて電磁クラッチ及び電磁クラッチコントローラに給電し、電磁クラッチコントローラの正常の作動及び電磁クラッチの係合動作の完了を保証する。
【0024】
ステップ3は、電磁クラッチコントローラを利用して電磁クラッチの係合又は分離状態を判断する。
【0025】
ステップ4は、電磁クラッチコントローラが、係合又は分離状態に応じて、電磁クラッチをさらに制御し、給電の故障が解消されるまで電磁クラッチが完全に係合状態にあるようにする。
【0026】
以上をまとめて、本実施例による電磁クラッチの制御方法においては、車両全体の低電圧バッテリの給電に故障が発生して、電磁クラッチコントローラ及び電磁クラッチの正常の作動が確保できない場合、切替回路によって予備電源システムに切り替えて電磁クラッチコントローラ及び電磁クラッチに給電することで、電磁クラッチの使用に保障が提供されており、また、当該制御方法において、低電圧バッテリが故障した場合、電磁クラッチが常時に係合状態にあるようにし、さらに車両をハイブリッド駆動とすることで、ハイブリッドシステムの安全性及び信頼性が保証されている。
【0027】
一実施例において、図2に示すように、ステップ4は、具体的に、
電磁クラッチが係合状態にある時、電磁クラッチコントローラが係合コマンドを出さず、電磁クラッチが係合状態を保持することと、
電磁クラッチが分離状態にある時、車速信号に応じて、電磁クラッチコントローラが電磁クラッチを係合させるコマンドを出す必要があるかどうかを判断することとを含む。
【0028】
さらに、車速信号に応じて、電磁クラッチを係合させるコマンドを出す必要があるかどうかを判断することは、
車速信号が検出できるかどうかを判断し、車速信号が検出できる場合、走行速度の大きさに応じて、電磁クラッチコントローラが電磁クラッチを係合させるコマンドを出す必要があるかどうかを判断することを含む。
【0029】
車速信号が検出できない場合、プリセット時間後に、電磁クラッチコントローラが電磁クラッチを係合させるコマンドを出し、電磁クラッチを係合させる。ここで、プリセット時間は、動力系の作動状況及び車両全体の状況に応じて決定されたものであり、プリセット時間を設定する目的は、以下の通りである。車速信号の喪失により、車速が特定できなくなり、車速が速すぎる場合、電磁クラッチをむやみに係合させれば、動力系の損傷を引き起こす可能性があるのに対して、プリセット時間後に車速が安全な値に低下してから、電磁クラッチコントローラが電磁クラッチを係合させるコマンドを出して電磁クラッチを係合させれば、動力系の安全性及び安定性を確保することができる。
【0030】
さらに、走行速度の大きさに応じて、電磁クラッチを係合させるコマンドを出す必要があるかどうかを判断することは、
走行速度が設定値よりも大きい場合、電磁クラッチコントローラが電磁クラッチを係合させるコマンドを出さず、車速が速すぎる場合の電磁クラッチの係合による動力系の損傷を防止することと、
走行速度が設定値以下の場合、電磁クラッチコントローラが電磁クラッチを係合させるコマンドを出し、電磁クラッチを係合させ、車両のハイブリッド駆動を実現することとを含む。
【0031】
例えば、走行速度が5km/hよりも大きい場合、電磁クラッチコントローラが電磁クラッチを係合させるコマンドを出さず、電磁クラッチが分離状態を保持し、車両が単一動力で駆動され、走行速度が5km/h以下の場合、電磁クラッチコントローラが電磁クラッチを係合させるコマンドを出し、電磁クラッチを係合させる。
【0032】
一実施例において、制御方法は、さらに下記のステップ5を含む。
【0033】
ステップ5は、監視された低電圧バッテリの電圧が目標値よりも低くない場合、切替回路が低電圧バッテリに切り替えて電磁クラッチ及び電磁クラッチコントローラに給電し、電磁クラッチが正常の作動に戻る。低電圧バッテリの電圧が、例えば低温や水の浸入のような外的要因により、一時的に目標値よりも低くなるかもしれないが、一定時間後、低電圧バッテリの電圧が正常のレベルに戻る。このとき、切替回路が、予備電源システムによる電磁クラッチコントローラ及び電磁クラッチへの給電を遮断し、低電圧バッテリによる電磁クラッチコントローラ及び電磁クラッチへの給電を回復する。
【0034】
一実施例において、電磁クラッチは、自己保持型電磁断接クラッチであり、自己保持型電磁断接クラッチは、電磁クラッチが係合動作又は分離動作を実行するときにのみ通電する必要があり、係合状態及び分離状態を保持する時には、通電する必要がない。
【0035】
さらに、自己保持型電磁断接クラッチが、固定部品、従動部品及び弾性部品を含む。固定部品は、電磁クラッチの軸方向で固定位置に保持され、従動部品は、電磁クラッチが吸着位置又は分離位置にそれぞれ位置するように、少なくとも電磁クラッチの軸方向で移動可能であり、弾性部品には、固定部品を従動部品から離れた位置に保持する付勢力が付与されている。
【0036】
固定部品が軟磁性素子を含み、軟磁性素子には、通電すると磁力が発生するコイルが設けられている。
【0037】
従動部品がアーマチュアディスクを含み、アーマチュアディスクには、いくつかの永久磁石鋼が設けられている。
【0038】
前記コイルに順方向の通電を行うと、コイルが永久磁石鋼を吸着し、アーマチュアディスクが弾性部品の弾性力に打ち勝って軟磁性素子と吸着する位置に移動し、固定部品と従動部品との伝達接続が実現される。
【0039】
前記コイルに逆方向の通電を行うと、コイルが発生する電磁力により永久磁石鋼の吸引力が減少し、弾性部品の弾性力が永久磁石鋼の吸引力に打ち勝って、前記アーマチュアディスクを軟磁性素子から離れた位置に押しのけて、固定部品と従動部品とが分離する。
【0040】
一つの好ましい実施例において、図3に示すように、予備電源システムが、高電圧バッテリ、変圧回路及びコンデンサモジュールを含み、ここで、高電圧バッテリが車両の動力バッテリである。
【0041】
高電圧バッテリが、変圧回路を介して切替回路に接続されており、コンデンサモジュールの一端が、変圧回路と切替回路との結線に接続され、コンデンサモジュールの他端が接地されている。
【0042】
低電圧バッテリが故障し、切替回路が予備電源システムに切り替えて電磁クラッチ及び電磁クラッチコントローラに給電する場合、高電圧バッテリが変圧回路によって降圧された後に電磁クラッチ及び電磁クラッチコントローラに給電し、低電圧バッテリと高電圧バッテリとの両方が故障した場合、コンデンサモジュールが切替回路を介して電磁クラッチ及び電磁クラッチコントローラに給電する。この予備電源システムは、電磁クラッチ及び電磁クラッチコントローラの給電に二重の保障を提供しており、安全率がより高くなる。
【0043】
変圧回路が、高電圧から低電圧に変換するフライバックスイッチ電源回路である。このフライバックスイッチ電源回路は、入力が車両の動力バッテリであり、出力電圧が15Vで、最大電力が15Wであり、正常の作動条件下では、動力バッテリの高電圧が存在する限り、このフライバックスイッチ電源回路が作動を開始し、高電圧を低電圧に変換して15Vの定電圧を出力し、電磁クラッチ及び電磁クラッチコントローラの実際に受け取った電圧がそれらの適用電圧と一致することを保証する。
【0044】
一実施例において、コンデンサモジュールは、直列に接続されたいくつかのコンデンサ単体を含み、各々のコンデンサ単体には、一つの均圧抵抗が並列に接続されている。均圧抵抗の主な役割は、分圧の原理を利用して、各コンデンサにかかる電圧が均等になるのを保証することであり、コンデンサ単体間に差異があるため、各コンデンサ端電圧が不均等になり易く、さらにコンデンサの破壊に繋がり易くなるが、並列に接続された均圧抵抗によれば、各コンデンサ端電圧が不均等となる事態の発生を効果的に防止できる。
【0045】
好ましくは、コンデンサ単体の数が10個であり、コンデンサ単体が3V/3Fのスーパーコンデンサ単体であり、10個のコンデンサ単体が直列に接続されており、正常作動時に各々のコンデンサ単体が受ける電圧は、1.5Vである。
【0046】
一実施例において、図4に示すように、予備電源システムは、充電回路をさらに含む。
【0047】
充電回路が変圧回路の出力端に接続されており、コンデンサモジュールの一端が、充電回路と切替回路との結線に接続されている。高電圧バッテリの電気エネルギーが変圧回路を流れて降圧されてから、充電回路を介してコンデンサモジュールのコンデンサ単体に充電し、コンデンサモジュールを正常の状況では満充電状態にする。
【0048】
さらに、充電回路は、充電抵抗、P-MOSトランジスタ及び制御回路を含み、P-MOSトランジスタが充電抵抗と並列に接続され、制御回路がそれぞれP-MOSトランジスタ及びコンデンサモジュールに接続されている。充電回路の役割は、コンデンサの充電電流を制限することであり、充電回路の充電抵抗が回路内で直列に接続されれば、回路内の電流を低減することができる。
【0049】
一実施例において、予備電源システムは、電圧及び温度監視装置をさらに含む。
【0050】
電圧及び温度監視装置の信号出力端がMCUに接続されている。電圧及び温度監視装置がコンデンサモジュールの電圧及び温度を随時に監視するとともに、監視された電圧及び温度信号をMCUに伝達し、MCUによれば、コンデンサモジュールの状態情報を随時に把握し、コンデンサモジュールが正常の作動状態にあることを確保することができる。
【0051】
本発明の一実施例には、ハイブリッドシステム、好ましくは車両のハイブリッドシステムが開示されており、当該車両のハイブリッドシステムには、上記のいずれか一項の実施例に記載の制御方法が用いられている。
【0052】
上記したのは、あくまでも本発明の具体的な実施形態であり、本発明の上記教示の下で、当業者は、上記実施例に基づいて他の改良又は変形を行うことが可能である。当業者であれば、上記の具体的な記載は、本発明の目的をより良く解釈するためのものであり、本発明の保護範囲が特許請求の範囲の保護範囲に基づくものであることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4