(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】刺激装置を備えた改善された運動訓練補助具
(51)【国際特許分類】
A63B 69/00 20060101AFI20240508BHJP
A63B 26/00 20060101ALI20240508BHJP
A63B 71/06 20060101ALI20240508BHJP
A61N 1/36 20060101ALN20240508BHJP
【FI】
A63B69/00 Z
A63B26/00
A63B71/06 Z
A61N1/36
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023012142
(22)【出願日】2023-01-30
(62)【分割の表示】P 2020513589の分割
【原出願日】2017-11-28
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】518423892
【氏名又は名称】ウエスト アンド ベルグ ホールディング アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ベルグ クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ワレンベルク クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ダール フィリップ
【審査官】相川 俊
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0064157(US,A1)
【文献】国際公開第2014/038049(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0142082(US,A1)
【文献】特表2017-511501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00
A63B 71/06
A63B 26/00
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
訓練補助刺激装置(100)において、
ユーザの身体に接触させるための第1の皮膚電極(135)と、
前記ユーザの身体に接触させるための第2の皮膚電極(137)と、
キャパシタ等価物(CBODY)に前記第1の皮膚電極(135)を介して接続されるか、またはキャパシタ等価物(139)に直接接続される充電モジュール(125)と、
電荷のフィードバック放電を制御するための放電スイッチモジュール(160、161)と、
前記キャパシタ等価物(CBODY、139)の充電を、所定の第1の電圧レベルに制御するための前記充電モジュール(125)に接続されたプロセッサ(110)と、を備え、
前記プロセッサ(110)は、さらに、前記第1および第2の電極(135、137)を介して前記皮膚を介したフィードバック放電を制御するための放電スイッチモジュール(160、161)に接続され、
前記訓練補助刺激装置(100)はさらに、前記キャパシタ等価物(CBODY、139)の電荷のレベルを測定するための電圧測定モジュール(150)および前記ユーザの身体抵抗を測定するように構成された身体インピーダンス測定モジュール(155)を備え、
前記プロセッサ(110)は、前記キャパシタ等価物(CBODY、139)の充電レベルを繰り返し測定することにより、および前記キャパシタ等価物(CBODY、139)の電圧が所定の第2の電圧レベル以下であるときに前記充電モジュール(125)を起動してメンテナンス充電を提供することにより、前記訓練補助刺激装置(100)を放電可能な状態に保つように構成され、
前記訓練補助刺激装置(100)は、
第1の電圧レベルが到達されたとき、前記電圧測定モジュール(150)を切断し、所定期間待つように、
測定した電圧レベルが第2の電圧レベル以下である場合、前記電圧測定モジュール(150)を切断し、メインテナンス充電を提供した後、前記電圧測定モジュール(150)を再接続するように、構成され、
前記プロセッサ(110)は、前記測定された身体抵抗に基づいて、刺激信号の電圧を適合するように構成される、
訓練補助刺激装置(100)。
【請求項2】
前記訓練補助刺激装置(100)は、前記キャパシタ等価物(139)があたかもユーザの固有の身体キャパシタンスCBODYの主要部で構成されるかのように、前記キャパシタ等価物(139)が放電されたときに前記ユーザに知覚可能なフィードバック感覚を生じさせる電荷を前記キャパシタ等価物(139)に充電するように構成される、請求項1に記載の訓練補助刺激装置(100)。
【請求項3】
前記キャパシタ等価物(139)は、キャパシタ(139)である、請求項1に記載の訓練補助刺激装置(100)。
【請求項4】
前記放電スイッチモジュール(160、161)は、前記キャパシタ(139)と前記第1または第2の皮膚電極(135、137)との間の電気的結合に配置され、放電していないとき、前記キャパシタ(139)から前記ユーザの前記身体を効率的に絶縁する、請求項3に記載の訓練補助刺激装置(100)。
【請求項5】
前記電圧測定モジュール(150)を、接続および切断するための測定スイッチ(130)をさらに備え、前記プロセッサ(110)は、さらに、前記測定スイッチ(130)を反復的にスイッチオンおよびスイッチオフするように構成される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の訓練補助刺激装置(100)。
【請求項6】
前記訓練補助刺激装置(100)は、放電スイッチ(160、161)を一度開閉することにより1パルスを含む放電信号を提供するように構成される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の訓練補助刺激装置(100)。
【請求項7】
前記訓練補助刺激装置(100)は、放電スイッチ(160、161)を反復的に開閉することにより2以上のパルスを含む放電信号を提供するように構成される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の訓練補助刺激装置(100)。
【請求項8】
前記身体インピーダンス測定モジュール(155)は、前記充電モジュール(125)が前記ユーザの前記身体抵抗の測定のためのテスト電圧を提供するために使用することができるように、電気的に配置される、請求項1乃
至7のいずれか一項に記載の訓練補助刺激装置(100)。
【請求項9】
身体電極を介してユーザの身体にバイオフィードバック電気刺激を供給するように準備された訓練補助刺激装置(100)を自動的に維持する方法において、
キャパシタ等価物(CBODY、139)に、充電電圧を自動的に印加するステップ(210)と、
電圧測定モジュール(150)を用いて、前記キャパシタ等価物(CBODY、139)に関する電圧を自動的に測定するステップ(215)であって、前記電圧は、充電レベルに対応する、測定するステップ(215)と、
第1の電圧レベルに到達したとき、前記電圧測定モジュール(150)を自動的に切断するステップ(254)と、
自動的に所定期間待つステップ(235)と、
測定した電圧レベルが、第2の電圧レベル以下である場合、前記電圧測定モジュール(150)を自動的に切断し、メインテナンス充電を自動的に提供した後、前記電圧測定モジュール(150)を自動的に再接続するステップと、
適切なタイミングで、前記ユーザの前記身体を介して前記キャパシタ等価物(CBODY、139)を自動的に放電するステップと、
前記訓練補助刺激装置(100)を用いて、前記ユーザの身体抵抗を自動的に測定するステップと、
前記測定された身体抵抗に基づいて、刺激信号の電圧を自動的に適合するステップと、
を備える、
身体電極を介してユーザの前記身体にバイオフィードバック電気刺激を供給するように準備された訓練補助刺激装置(100)を自動的に維持する方法。
【請求項10】
身体電極を介してユーザの身体にバイオフィードバック電気刺激を自動的に供給する方法において、
充電電圧をキャパシタ等価物(CBODY、139)に自動的に印加するステップ(210)と、
電圧測定モジュール(150)を用いて、前記キャパシタ等価物(CBODY、139)に関する電圧を自動的に測定するステップ(215)であって、前記電圧は、充電レベルに対応する、測定するステップ(215)と、
第1の電圧レベルに到達すると、前記電圧測定モジュール(150)を自動的に切断するステップ(254)と、
自動的に所定の期間待つステップ(235)と、
測定した電圧レベルが、第2の電圧レベル以下である場合、前記電圧測定モジュール(150)を自動的に切断し、メインテナンス充電を自動的に提供した後、前記電圧測定モジュール(150)を自動的に再接続するステップと、
適切なタイミングで、前記ユーザの前記身体を介して前記キャパシタ等価物(CBODY、139)を自動的に放電するステップと、
訓練補助刺激装置(100)を用いて、前記ユーザの身体抵抗を自動的に測定するステップと、
前記測定された身体抵抗に基づいて、刺激信号の電圧を自動的に適合するステップと、
を備える、
身体電極を介してユーザの身体にバイオフィードバック電気刺激を自動的に供給する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、訓練補助の分野に関し、すなわち、人または動物がその人または動物のいくつかの行動をより良く実行するのを補助するデバイスに関する。特に、この発明は、運動訓練補助具、すなわち、ユーザによって実行される運動に関連する何らかの種類のフィードバックを提供するシステム、またはデバイスに関する。さらに、より具体的には、スポーツ運動の訓練補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
運動訓練補助具の一例は、WO2003024544により知られている。この文献は、ゴルフスイングのような反復運動シーケンスの態様をモニタリングする、種々のセンサおよびデバイスを備えた、反復運動フィードバックシステムを開示する。モニタリングされる態様は、ユーザにより移動された物体の動き特性、ユーザの位置特性、およびユーザの動き特性を含むことができる。モニタリングされた態様のデータを受信するデータ処理システムは、グラフィックディスプレイデバイスまたはスピーカのような、フィードバック出力デバイスに提供されるフィードバックデータを提供し、ユーザには、反復性の動きシーケンスに関するフィードバックが提供される。一つの特定の実施形態において、ユーザの性能は、従前の性能のテンプレートと比較され、差異に関するフィードバックが提供される。
【0003】
他の従来技術文献であるUS6778866は、一貫した方法で、特定の体の動きをどのように行うかを人に教えるための方法と装置を開示し、実際の体の動きの1つまたは複数のパラメータを電子的に測定し、1つまたは複数の測定したパラメータを目標の体の動きの対応するパラメータと比較し、1つまたは複数の測定したパラメータと対応する目標パラメータとの間の一致度の度合いに基づいて、ユーザに検出可能なフィードバックを提供することに基づいている。特定の実施形態において、フィードバックは、可聴である。特に、フィードバックは、(ゴルフスイングのような)特定の体の動きに特に適した(リズムのような)特定の特性を有する音楽曲である。フィードバックは、実際の身体の動きと、目標の身体の動きとの間の不一致に比例して音楽の調子を狂わせる(go off-key)電子的な形式にすることができる。
【0004】
アスリート、例えばゴルファーのエルゴノミクスの動き(ergonomic motion)を教えるためのさらなる従来のシステムと方法は、WO200518759に開示されている。システムは、好ましいゴルフスイングを実行しているゴルファーの連続画像を撮像するビデオカメラと、ゴルファーがビデオ画像の空間領域を定義可能にする閾値定義システムを含む。空間領域が侵入されると、アラームが作動し、それにより、フィードバックが提供され、ゴルファーは、次に動きを試みたときに技術を変更することができる。例えば、ゴルファーは、スイング中にクラブが平面(plane)から外れると、ティー除去システムがボールを消失させるように領域を定義することができる。このように、ゴルファーは、クラブが平面上に留まるときにしかボールを打つことができない。
【発明の概要】
【0005】
発明者達は、ある種のユーザの挙動(behavior)、または行動(action)を訓練し、完全なものにするために使用される訓練デバイスのための高速フィードバックを提供するデバイスを提供することを目的とし、この挙動または行動は、相対的に素早く起こる。そのような挙動または行動の例は、これに限定されないが、例えば、アスレチックフィールドイベント(ハイジャンプ、棒高跳び、ハンマー投げ、やり投げ等)、または体操(ジャンプ、振付、チアリーディング)、または野球、またはゴルフ(ゴルフスイング、パッティングストローク)を含む。
【0006】
発明者達は、効率の悪い動き、または「悪い」動き、または、基準の動きから逸脱する動きを示すフィードバック信号は、瞬時であることが望ましく、または少なくともユーザにより瞬時に知覚することが望ましいことを考案した(devised)。この発明の一実施形態の刺激ユニットは、非常に短い遅れ、望ましくは、50ms未満、または、より好適には、20ms未満、または最も望ましくは、10msで刺激を伝えるように構成されている。この発明達は、ユーザによる前記望ましくない動きやめさせる(discourage)ために、望ましくない動きを示し、指摘するために顕著で、すぐに知覚できるフィードバックを提供することを目的としている。
【0007】
種々の実施形態において、刺激ユニットは、充電モジュールと、放電モジュールと、身体電極を備える。充電モジュールは、人の身体に固有の「身体キャパシタンス」、または電荷保持キャパシタを備えることができるキャパシタ等価物を充電するように構成される。充電モジュールは、放電時に知覚的感覚(sensory sensation)、すなわち、電気ショック感覚または類似の感覚を、運動している人または動物に生じさせるのに十分な充電レベルに等価なキャパシタを充電するように構成される。放電は、現在の動きの位置値と所定の望ましい動きの位置値との間の不一致を検出したとき、トリガするようになっている。キャパシタ等価物の充電、または電圧のレベルが測定され、さらに、電気ショック、または類似の知覚を与えるのに十分なレベルを維持するのに必要なとき、電荷が供給される。
【0008】
従って、代替実施形態において、別個のキャパシタ結合を利用するために、またはユーザの固有の身体キャパシタンスを利用する異なるカップリングを提供することができる。また、効率的な刺激信号をユーザに提供するために、並びに信号そのものを提供するために、電気カップリングが開示される。刺激ユニットはさらに、測定モジュールを介して電荷を漏らさないことにより、エネルギをセーブするように、測定モジュールを接続および切断するための特定の回路を提供することができる。本発明の上記および他の利点、および目的が得られる方法が容易に理解されるように、上記で簡潔に説明された本発明のより具体的な説明は、添付の図面に示される、その特定の実施形態を参照することにより行われる。これらの図面は本発明の典型的な実施形態のみを示し、したがってその範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解し、添付の図面を使用することにより本発明を追加の特異性および詳細で説明および説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1a】
図1aは、この発明の一実施形態に従う刺激デバイスのブロック図を示す。
【
図1b】
図1bは、この発明の一実施形態に従う刺激デバイスのブロック図を示す。
【
図1c】
図1cは、この発明の一実施形態に従う刺激デバイスのブロック図を示す。
【
図2a】
図2aは、刺激デバイスの第1のベーシック実施形態の主要回路図を示す。
【
図2b】
図2bは、刺激デバイスの第2のベーシック実施形態の主要回路図を示す。
【
図3a】
図3aは、
図2aの刺激デバイスのより詳細な主要回路図を示す。
【
図3b】
図3bは、
図2bの刺激デバイスのより詳細な主要回路図を示すl
【
図4】
図4は、刺激フィードバックを提供する方法ステップのフローチャートを示す。
【
図5】
図5は、この発明の一実施形態に従う刺激デバイスに使用される充電プロセス中の時間の関数としての電圧を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
この発明のために、および以下のテキストにおいて、以下の用語が、以下に説明する意味で使用される。
【0011】
「運動表現(motion representation)」
「運動表現」は、通常動きの数学的表現である。運動表現は、線形および回転運動位置、運動速度、および運動加速度の表現を含み得る。例えば、動きは、ユーザの身体上の所定のポイントの現在の位置により表すことができるか、または動きは、(モーション)トラック(下記参照)により表すことができる。
【0012】
「位置」
ここで使用される「位置」という用語は、センサユニットまたは参照ポイント付近に関連する小さな物体の物理ロケーション位置であると理解され、適切な座標システムを用いて表される。典型的に、この発明のコンテキストにおいて、位置は、参照ポイントから0乃至5メートルの大きさ以内にある。
【0013】
「望ましくない動き」
「望ましくない動き」は、望ましくない動き、あるいは、ユーザの視点および/またはユーザのコーチの視点から見た、望ましくない特徴を示すのに使用される。
【0014】
「身体動きトラッカー」
ここで使用するように、「身体動きトラッカー」は、デバイスまたはシステム、または、実行されると、処理したセンサデータに基づいて、時間に対するユーザの身体の1つまたは複数の所定のポイントを追跡することができるコンピュータコードの一部を示す。
【0015】
「トラッキング」
「トラッキング」という用語は、運動中のユーザの身体の1つまたは複数の所定ポイントの連続位置を収集し記憶(記録)する行為と理解される。
【0016】
「モーショントラック」
「モーショントラック」という用語は、トラッキング動作の結果を意味し、すなわち、開始点または開始時間で始まり、終了点または終了時間で終了する、時間に対する所定身体ポイントの記憶された連続位置の収集量を意味する。
【0017】
「参照モーショントラック」
「参照モーショントラック」は、モーションの、モーション表示を比較することができるモデルを作るために使用することができる所望のモーショントラックである。
「回転角(Rotation angle)」または「回転の角度(Angle of rotation)」
二次元空間において、「回転角」は、物体が固定点を回転する量、角度の測定値である。三次元空間において、回転は、3つの座標軸について回転の角度を用いて測定され、示される。
【0018】
「事前定義された身体ポイント」
「事前定義されたポイント」は、ポイントのトラッキングを容易にする手段、例えば、センサユニットを備えたユーザの身体上のポイントを意味する。
【0019】
「姿勢(Attitude)」
この発明のコンテキストにおいて、用語「姿勢」は、空間における物体の方向(姿勢、角度位置)を示すために使用される。姿勢は、ピッチ(pitch)角、ヨー(yaw)角、ロール(roll)角によって、あるいは、姿勢ベクトルまたは軸によって、およびそのベクトルまたは軸の周りの回転角、すなわち軸角度表現(オイラーの回転定理を参照)によって表すことができる。
【0020】
「動きセンサユニット」
「動きセンサユニット」は、加速度のような、動き情報を伝えることができる、ユーザの身体に取り付け可能なユニットであることが理解される。この動き情報は、適切な基準システムにおけるセンサの姿勢と、ユーザの運動中の同じ位置における3次元位置と変化を判断することを可能にする。センサユニットは、ユーザの動きを妨げないほど十分に小さくて軽量であると考えられる。
【0021】
「制御ユニット」
この発明のコンテキストにおいて、「制御ユニット」は、デバイスを動作させるためのマン-マシンインタフェースを備えるユニットであり、通常、プロセッサおよび/または動きセンサユニットと通信する無線通信手段を備える。
【0022】
「サンプル」
この発明のコンテキストにおいて、用語「サンプル」は、時間における特定の瞬間において、動きセンサユニットの計算された状態を示すのに使用され、モーションセンサユニットからのモーションセンサデータに基づいて、及び参照フレーム、すなわち、座標システムに基づいて、線形および/または回転、モーション位置、モーション速度、モーション加速度の表示を含むことができる。サンプルに関連するものは、サンプル数および/またはサンプル時間である。
【0023】
「プロセッサ」
この発明のコンテキストにおいて、用語「プロセッサ」は、他に何も明示的に示されていない場合、1つまたは複数の論理的または物理的プロセッサを備えているかどうかに関係なく、プロセッサシステムを示すために使用される。
【0024】
「メモリ」
この発明のコンテキストにおいて、「メモリ」という用語は、他に何も明示的に示されていない場合、1つまたは複数の論理的または物理的メモリを備えているかどうかに関係なく、メモリシステムを示すために使用される。
【0025】
「刺激装置」
この発明のコンテキストにおいて、刺激装置という用語は、コマンドを受信すると、その人または動物により知覚可能な刺激を生じさせることができる、人または動物の体に取り付け可能なデバイスを示すために使用される。
【0026】
「動き」
「動き」は、人により行われる身体の動きであると理解され、複雑であろうが簡単であろうが、1つまたは複数の四肢、胴、または重心の動きであり得る。考えられる曖昧さは、用語が使用されているコンテキストによって解決される必要がある。また、用語は、センサにより検出された動きを示すためにも使用される。例示の動きは、高跳び、棒高跳び、ハンマー投げ、やり投げ、体操ジャンプ、チアリーディングの動き、野球のバッティング、野球のピッチング、ゴルフスイング、パッティングストロークの一部または全部を含む。
【0027】
刺激装置は、非情に短い遅れ、望ましくは、50ms未満で、より好ましくは、20ms未満で、最も好ましくは、10ms未満で刺激を伝えるように構成される。刺激は、また、すぐに知覚できるものでなければならない。
【0028】
刺激、すなわち放電を短期間で通知できるようにするために、
図1aに概説されているようなトレーニング補助刺激装置が提供される。
図1aのブロック図は、この発明の一実施形態に従う刺激デバイスを示す。プロセッサ110は、メモリ120に接続される。さらに、プロセッサは、充電モジュール125に充電するように命令するために、充電モジュール125に接続される。充電モジュール125は、第1の身体電極135に接続され、第1の身体電極135を介して、身体キャパシタンスに充電するために、電荷を供給する。充電モジュール125は、インピーダンス測定モジュール155を介して第1の身体電極に接続することができ、これは後で説明する。
【0029】
さらに、プロセッサ110は、測定スイッチ130に接続される。測定スイッチは、電圧測定モジュール150を、ある時間に、第1の身体電極に、接続または切断するようにプロセッサにより制御される。測定モジュールの、第1の身体電極135への接続および切断のタイミングをさらに以下に述べる。プロセッサ110は、さらに、第1の身体電極135および第2の身体電極137を介して接続された、身体キャパシタンスの放電のデリバリを制御するために、放電モジュール160に接続される。放電スイッチモジュール160は、プロセッサからそのように命令されると、身体第2電極137をグラウンドに接続するように構成され、刺激装置を用いて被験者の肌を通して効率よく放電させる。
【0030】
図1bのブロック図は、この発明の第2の実施形態に従う刺激装置を示す。プロセッサ110はメモリ120に接続される。さらに、プロセッサは、電荷保持キャパシタC1を充電するためにキャパシタ充電モジュール125に接続される。電荷保持キャパシタの第1の電極は、キャパシタ充電モジュール125に接続される。電荷保持キャパシタC1の第2の電極は、グラウンドに接続される。さらに、プロセッサ110は、測定スイッチ130に接続される。測定スイッチは、ある時間に電圧測定モジュール150を電荷保持キャパシタC1の第1の電極を、電荷保持キャパシタC1に接続および切断するようにプロセッサにより制御される。C1は、C1が放電されるとき、ユーザに、明瞭に、知覚可能なフィードバック感覚(sensation)を生じさせることができるように、十分な電荷を保持することができるように設計されている。
【0031】
電荷保持キャパシタ139の第1の電極への電圧測定モジュール150の、それぞれ接続と切断のタイミングは、さらに以下に説明される。プロセッサ110は、さらに、第2の身体電極137、ユーザの肌140、および第1の身体電極135を介して接続された、電荷保持キャパシタ139の放電の配送を制御するために、放電モジュール161にさらに接続される。放電モジュール161は、プロセッサ110から命令されると、恐らく、インピーダンス測定モジュール155を介して、電荷保持キャパシタ139の第1の電極に、身体第2電極を接続するように構成される。この実施形態において、第1身体電極135は、望ましくは、グラウンドに接続される。
【0032】
この結合の利点は、電荷保持キャパシタ139に蓄えられる電荷が、放電されるまで身体から絶縁され続けることができ、従って、生体組織に関連づけられた可能性がある漏電の危険性を回避することができる。
図1cはインピーダンス測定のコンテキストにおいて、後述する。
【0033】
図2aおよび3aは、すぐに知覚できる(distinct)バイオフィードバック(biofeedback)電気刺激をユーザの肌に供給することができる第1の回路、および第2の回路のための代替主要配線図を示す。
図2aは、ユーザの肌に接触するように考案された、第1電極135と第2電極137を備える。前記第1および第2の電極は、また、肌電極と呼ぶこともできる。低電圧は、通常変圧器デバイス138において、より高いレベルVINに昇圧されたバッテリにより供給されるDC(直流)である。種々の実施形態において、変圧器デバイス138は、DC-DCコンバータまたは電力コンバータを備える。ダイオード199は、変圧器デバイス138の後段で設けられ、接続点VINに接続される。測定スイッチ130は、VINと、分圧器の第1の抵抗R1との間に接続される。電圧器は、第1の抵抗R1と第2の抵抗R2から構成される。アナログ-デジタル変換器ADCは、抵抗R1とR2の間に接続され、これらの抵抗とともに、電圧測定モジュール150を構成すると言うことができる。測定スイッチ130は、プロセッサ110から信号MEASUREに接続されるとともに、この信号により制御される。人間の肌に取り付けられた刺激回路に関する電気モデルが考案された。モデルは、身体のキャパシタンスCBODYと、前記第1の電極135と前記第2の電極137との間の肌の抵抗RBODYを含む。
【0034】
刺激回路は、さらに、バイオフィードバック電気刺激とも呼ばれるフィードバック放電を制御する放電スイッチ161を備える。放電スイッチ161は、第2の肌電極137とアースとの間に接続されプロセッサのトリガ出力TRGからのトリガ信号によりトリガされると、放電ドレインを提供する。電圧がVSUPPLYに印加され、変圧器デバイス138で増大されると、身体のキャパシタンスCBODYは、所定レベルに充電される。実際のレベルは、信号MEASUREを印加し、ADCで分圧器の電圧信号を読むことにより測定される。アナログ対デジタル変換器は、プロセッサ110に、電圧レベルの実際の読取値を供給するために使用することができる。所定レベルに到達すると、プロセッサ110は、放電スイッチ161を開くためにTRGで、信号を供給することができる。この結果、キャパシタンスCBODYは、放電され、前記第1の電極135と第2の電極137を身に着けた人によりパルスが経験される。
【0035】
TRG信号は、特定の条件が存在するまで遅延される。第1の抵抗R1と第2の抵抗R2を介した連続放電は、測定スイッチ120を開くことにより、
図2aに示す実施形態では回避される。
図3aに示す実施形態において、測定スイッチ130のインプリメンテーションは、制御入力において、MEASURE信号を受信する第1の制御抵抗167に接続された、第1のトランジスタ165を備える。同様に、放電スイッチ161は、制御入力において、プロセッサからTRG信号を受信するために設けられた、第2の制御抵抗169に接続された、第2のトランジスタ168を備える。依然として、CBODYから多少の連続放電があるが、
図4および
図5を参照して下記に記載したメインテナンスまたはサポート充電により、この問題を回避することができる。
【0036】
メインテナンス充電(サポート充電または追加充電(top-up charging))のプロセスは、ブロック205で開始され、充電は、ブロック210で開始される。次に、プロセッサ110は、信号MEASUREを測定スイッチに印加し、第2の抵抗R2の電圧はブロック215で測定される。ブロック220において、事前定義された第1の電圧レベルに到達したか否かがチェックされる。事前定義された第1の電圧レベルが到達していない場合、ブロック210の充電が続く。事前定義された第1の電圧レベルに到達すると、プロセッサは、連続的にブロック225において、フィードバック放電の条件を待つ。放電のための条件が間近にあるとき(at hand)、ブロック230において放電モジュール160がアクティブになる。次にデバイスはブロック232で停止される。放電条件が無いとき、プロセッサは、ブロック235で所定期間待ち状態に入る。
【0037】
次にプロセッサは、ブロック240において、全プロセスが、終了したか否かをチェックする。プロセスが終了した場合、身体キャパシタンスの電荷がゆっくりと消失し、ブロック232においてデバイスが停止する。プロセスが依然として動作中(動きが継続)の場合、電圧測定モジュール150がブロック242においてアクティブとなり、ブロック245において、分圧器R1、R2の電圧は、所定の第2レベル(
図5参照)に、またはそれ以下に降下したかどうかをチェックする。電圧が、前記所定の第2レベルに、またはそれ以下に降下していない場合、測定モジュールは、ブロック246において、オフに切り替えられ、プロセスはブロック235に戻る。
【0038】
電圧が、前記所定の第2レベル、またはそれ以下のレベルに降下した場合、測定モジュールは、ブロック248でオフに切り替えられ、電荷を保存する。メインテナンス充電は、ブロック250でアクティブになる。メインテナンス充電は、所定の期間維持され、その後、ブロック252において電圧測定モジュール150がアクティブになる。ブロック254において、事前定義された第1の電圧レベルに到達したか否かがチェックされる。事前定義された第1の電圧レベルに到達していない場合、ブロック248において測定モジュールが接続され、ブロック250においてメインテナンス充電が継続する。事前定義された第1の電圧レベルに到達すると、測定モジュールは、ブロック246において切断され、プロセスは、ブロック235に戻る。
【0039】
図2bおよび3bは、放電スイッチモジュール161が、第1の電極135に電気的に近接して配置され、それにより、身体を充電電圧および電荷保持キャパシタ139、C1から効率よく絶縁する実施形態に関する対応する主要配線図を示す。
【0040】
図5の図は、
図4を参照して上述した充電プロセスおよびメインテナンス充電プロセス期間における電圧対時間の図を示す。充電ブロック210に対応するメイン充電プロセスは、時刻T1で開始される。事前定義された第1の電圧レベルに到達すると、放電プロセスが開始する。点線は、測定スイッチ130が省略されていなければ、生じるであろう放電を示す。その場合、電圧レベルは、制御された放電が、意図した方法でユーザにより検出されないレベルにすぐに到達するであろう。電圧測定モジュール150が低電圧レベルを測定する結果、電圧レベルが、第2レベルにまたはそれ以下に降下すると、代わりのサポート充電またはメインテナンス充電が、開始される。第1の電圧レベルに到達するやいなや、再び充電が停止される。第1のレベルと第2のレベルとの間の電圧降下は、フィードバック放電を損なわないレベルである。電圧レベルが、第2レベルに到達すると、サポート放電またはメインテナンス放電は、反復的に開始するであろう。
【0041】
充電モジュール
充電モジュール125およびキャパシタ充電モジュール125の内部構造は、望ましくは、数ボルトのバッテリ電圧を適切な充電電圧、恐らく数百ボルトまで昇圧するための電圧変換回路を含むことができる。
【0042】
刺激信号構造
刺激装置は、1または複数のパルスのパルス列として、刺激信号を提供するように構成される。プロセッサおよび/または放電スイッチモジュール160、161は、1パルス方式のみで放電を解放するように構成することができる。しかしながら、発明者達は、驚いたことに、1乃至10ミリ秒の長さと5乃至20ミリ秒のゼロ電圧の間にある2乃至4パルスの刺激信号がその目的に適した感覚を生成することを発見した。従って、刺激装置は、望ましくは、2V乃至450Vの間隔で、さらに望ましくは、200乃至450Vの間隔で放電電圧を提供するように構成することができる。刺激装置は、医療機器の法的要件に違反しない刺激信号を提供するように構成することができる。
【0043】
身体インピーダンス測定
2つの皮膚電極135、137間の身体インピーダンスを測定するように、身体インピーダンス測定モジュールをさらに備えることができる。身体インピーダンス測定モジュール155は、プロセッサに結合され、さらに、第1および第2の身体電極、または1つの電極およびグラウンドに結合される。好適なトポロジカル配列(topological arrangement)を
図1a、1b、1cに示す。
【0044】
図1aは、充電モジュール125と身体第1電極135との間にインピーダンス測定モジュールが電気的に配列された刺激装置のブロック図を示す。プロセッサは、充電モジュール125を制御して、測定に使用することができる、パルス化された電圧を提供するように構成される。プロセッサは、この場合、電流が流れることを可能にするために、グラウンドに接続された放電スイッチモジュール160を制御するように構成することが望ましい。
【0045】
図1bは、放電モジュール161と身体電極137との間に、インピーダンス測定モジュール155が電気的に配置された刺激装置のブロック図を示す。デバイスは、インピーダンス測定モジュールが、インピーダンスを測定可能にするために、充電モジュールが低電圧、典型的には、約5ボルトを供給するように構成される。デバイスは、電流が流れるようにするために、放電モジュールは、充電モジュールとインピーダンス測定モジュールを接続するように構成される。
【0046】
図1cは、充電モジュール125と放電モジュール161との間に、インピーダンス測定モジュール155が電気的に配置された刺激装置のブロック図を示す。この場合、刺激装置は、放電スイッチモジュール161に、インピーダンス測定モジュール155を電極137に接続させ、電流が充電モジュールと電荷保持キャパシタ139からスイッチを通って流れるとともに、身体肌部を通って身体電極137に流れ、電極135およびグラウンドに流れる。
【0047】
プロセッサは、望ましくは、身体インピーダンス測定モジュールからの身体インピーダンスの測定値に基づいて、刺激信号の電圧に適合するように構成される。例えば、より高いインピーダンス測定値をプロセッサが使用して、より低い身体インピーダンスとより低い電圧の場合と等価な刺激電流を生成するように、より高い電圧を供給するように、キャパシタ充電モジュール125を指示することができる。身体インピーダンス測定モジュールは、別個のモジュールとして実現することができ、あるいは、電圧測定モジュール150を用いて実現することができ、キャパシタ充電モジュールを介して測定信号を提供することができる。キャパシタ充電モジュール125は、そのような場合、そのような測定信号を提供するように構成される。
【0048】
本発明の特定の例示的な実施形態を特に説明したが、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、他の様々な修正が当業者には、容易に明らかになることが理解されよう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本明細書に記載の説明に限定されるものではなく、むしろ、特許請求の範囲は、本発明の当業者に明らかな本発明のすべての均等物を包含すると解釈されるものである。
説明文
100刺激装置
110プロセッサ
120メモリ
125充電モジュール
130測定スイッチ
135第1皮膚電極
137第2皮膚電極
138変圧器デバイス
139C1電荷保持キャパシタ
140身体皮膚部分
150電圧測定モジュール
152アナログデジタル変換
155インピーダンス測定モジュール
160放電モジュール
161放電スイッチモジュール
165第1トランジスタ(測定スイッチ)
167第1制御レジスタ(測定スイッチ)
168第2トランジスタ(放電スイッチ)
169第2制御抵抗器(放電スイッチ)
199ダイオード
COキャパシタ
R1、R2等抵抗