(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/447 20060101AFI20240508BHJP
B41J 2/45 20060101ALI20240508BHJP
G03G 15/04 20060101ALI20240508BHJP
H04N 1/036 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B41J2/447 101D
B41J2/447 101Q
B41J2/45
G03G15/04
H04N1/036
(21)【出願番号】P 2023059526
(22)【出願日】2023-03-31
【審査請求日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】P 2022086486
(32)【優先日】2022-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022117428
(32)【優先日】2022-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022132719
(32)【優先日】2022-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】赤木 太輔
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-030565(JP,A)
【文献】特開2020-075437(JP,A)
【文献】特開2015-150664(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0212448(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/447
B41J 2/45
G03G 15/04
H04N 1/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
感光ドラムと、
画像信号に応じて駆動電流が供給されることにより前記感光ドラムの表面を露光する光を出射する発光部と前記発光部を駆動するための駆動部とを内蔵する発光チップと、
前記発光チップに対して信号を送信することによって前記駆動部を制御する制御部であって、前記発光部の目標光量に対応するデジタル信号を前記発光チップに出力する制御部と、
を備え、
前記発光チップは、
基準電圧を出力する電圧源と、
前記基準電圧によって出力された基準電圧に基づいて、前記デジタル信号を電圧に変換するD/Aコンバータと、
前記電圧源と前記D/Aコンバータとが接続され、前記電圧源から前記基準電圧が前記D/Aコンバータに供給される第1の状態と、前記電圧源と前記D/Aコンバータとの電気的な接続を断った第2の状態と、に前記電圧源と前記D/Aコンバータの接続状態を切り替えるスイッチと、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記D/Aコンバータは抵抗を有し、前記抵抗に対して前記基準電圧を供給することによって前記デジタル信号に対応した前記電圧を生成し、
前記第1の状態は、前記電圧源と前記抵抗とが接続され、前記電圧源から前記基準電圧が前記抵抗に供給された状態であり、
前記第2の状態は、前記電圧源と前記抵抗との電気的な接続を断った状態であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、複数
のページの画像を連続し
て形成する画像形成ジョブ
を実行
する場合に、
前記複数のページに含まれる1ページ分の画像データの送信が完了したタイミングである第1のタイミングと、
前記複数のページに含まれる次のページの画像データの送信を開始するタイミングである第2のタイミングと、の間の期間における、第1の期間において前記第2の状態に前記スイッチを制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置は、
前記画像形成装置に対して前記画像形成ジョブの開始を指示するユーザーの指示に基づいて前記制御部に基準信号を送信する送信部と、
を備え、
前記制御部は前記送信部によって送信された基準信号を受け付けたことに基づいて前記画像データの送信を開始し、
前記第1のタイミングは、前記制御部が前記基準信号を受け付けてから第1の時間が経過したタイミングであることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2のタイミングは、前記制御部が前記基準信号を受け付けてから前記第1の時間より長い第2の時間が経過したタイミングであることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置は、
前記記録媒体の搬送経路上に設けられ、前記記録媒体の先端を検知する検知手段と、
を備え、
前記第1の期間の始点は、前記検知手段が前記記録媒体の先端を検知してから第3の時間が経過した第3のタイミングであることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1の期間の終点は、前記検知手段が前記記録媒体の後端を検知してから第4の時間が経過したタイミングであることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記1ページ分の画像データの送信が開始されてから、前記1ページ分の画像データの送信が終了するまでの期間である第2の期間において、前記第1の状態に前記スイッチを制御することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記発光部は有機EL膜で構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成装置は、
前記D/Aコンバータと前記スイッチを含む駆動部と、
を備え、
前記有機EL膜は前記駆動部の上部に形成さ
れていることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
画像信号に応じて駆動電流が供給されることにより光を出射する複数の発光部と、前記発光部を駆動するための駆動部とを内蔵する発光デバイスであって、
基準電圧を出力する電圧源と、
前記複数の発光部にそれぞれに対応して設けられ、前記基準電圧に基づいて、前記複数の発光部の目標光量に対応するデジタル信号を電圧に変換するD/Aコンバータと、
前記複数の発光部それぞれに対応して設けられ、前記電圧源と前記D/Aコンバータとが接続され、前記電圧源から前記基準電圧が前記D/Aコンバータに供給される第1の状態と、前記電圧源と前記D/Aコンバータとの電気的な接続を断った第2の状態と、に前記D/Aコンバータと前記電圧源との接続状態を切り替えるスイッチと、
を備えることを特徴とする発光デバイス。
【請求項12】
前記D/Aコンバータは抵抗を有し、前記抵抗に対して前記基準電圧を供給することによって前記デジタル信号に対応した前記電圧を生成し、
前記第1の状態は、前記電圧源と前記抵抗とが接続され、前記電圧源から前記基準電圧が前記抵抗に供給された状態であり、
前記第2の状態は、前記電圧源と前記抵抗との電気的な接続を断った状態であることを特徴とする請求項1
1に記載の発光デバイス。
【請求項13】
前記発光部は有機EL膜で構成されることを特徴とする請求項1
1に記載の発光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光ヘッドを用いた電子写真方式のプリンタの画像形成に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のプリンタにおいては、LEDや有機ELなどを用いた露光ヘッドを用いて感光ドラムを露光し、当該感光ドラムの表面に潜像を形成する方式が一般的に知られている。上述のような露光ヘッドにおいて、最近では、発光部と駆動回路を同一のチップに実装することで装置のサイズを小さくする技術も知られている(例えば特許文献1を参照)。特許文献1では、Si基板上に駆動用の集積回路と複数の電極を形成し、その上に有機EL膜を蒸着することで発光部と駆動回路をひとつの発光チップに内蔵させている。駆動回路には、例えば、発光部に流す電流の設定値をデジタル値として受信し、デジタル信号に応じた電流をアナログ信号として出力するDAC(Digital Analog Converter)が含まれる。DACが出力するアナログ信号は発光部に接続されていて、デジタル信号に応じて発光部に供給する電流を調整することで発光部の発光を制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に広く知られているDACでは、DACに電圧が供給された状態においてDACから熱が発生する可能性がある。
【0005】
上述のような発光部と駆動回路を一つのチップに内蔵する構成では、駆動回路に含まれるDACから発された熱が有機EL膜に伝わることで有機ELの発光特性が変化し、意図せず発光光量が変化する虞がある。
【0006】
例えば、1ページ分の画像形成が終了してから、次のページの画像の形成が開始されるまでの期間(発光部が発光しない期間)において上記の課題が顕著に生じる可能性がある。
【0007】
上記課題に鑑み、本発明では、デジタル信号を電圧に変換するD/Aコンバータからの熱の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、
記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
感光ドラムと、
画像信号に応じて駆動電流が供給されることにより前記感光ドラムの表面を露光する光を出射する発光部と前記発光部を駆動するための駆動部とを内蔵する発光チップと、
前記発光チップに対して信号を送信することによって前記駆動部を制御する制御部であって、前記発光部の目標光量に対応するデジタル信号を前記発光チップに出力する制御部と、
を備え、
前記発光チップは、
基準電圧を出力する電圧源と、
前記基準電圧によって出力された基準電圧に基づいて、前記デジタル信号を電圧に変換するD/Aコンバータと、
前記電圧源と前記D/Aコンバータとが接続され、前記電圧源から前記基準電圧が前記D/Aコンバータに供給される第1の状態と、前記電圧源と前記D/Aコンバータとの電気的な接続を断った第2の状態と、に前記電圧源と前記D/Aコンバータの接続状態を切り替えるスイッチと、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、デジタル信号を電圧に変換するD/Aコンバータからの熱の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】発光チップ内における発光素子の配置の説明図。
【
図8】発光チップに画像データを送信する際の各信号線の信号例を示す図。
【
図9】発光チップのレジスタに制御データを書き込む際の各信号線の信号例を示す図。
【
図10】発光チップのレジスタから制御データを読み出す際の各信号線の信号例を示す図。
【
図16】画像コントローラが実行する処理のフローチャート。
【
図17】画像コントローラが実行する処理のフローチャート。
【
図18】階調補正制御のためのテストパターンを示す図。
【
図19】画像コントローラが実行する処理のフローチャート。
【
図21】発光チップのレジスタから制御データを読み出す際の各信号線の信号例を示す図。
【
図23】画像データを送信する際の各信号線の信号例を示す図。
【
図24】レジスタにアクセスする際の各信号線の信号例を示す図。
【
図25】種別“無効”を示す識別ビットを送信する際の各信号線の信号例を示す図。
【
図30】発光部の温度と当該発光部に所定の電流が供給された際の光量との関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明を実施するにあたり好ましい実施の形態を、添付の図面を参照しながら説明する。ただし、本説明に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明を本説明に記載した実施の形態だけに限るものではない。
【0012】
[実施形態1]
図1は、本実施形態による画像形成装置の概略的な構成図である。読取部100は、原稿台に置かれた原稿を光学的に読み取って、読取結果を表す画像データを生成する。作像部103は、例えば、読取部100によって生成された画像データに基づき、或いは、ネットワークを介して外部装置から受信する画像データに基づき、シートに画像を形成する。
【0013】
作像部103は、画像形成部101a、101b、101c及び101dを有する。画像形成部101a、101b、101c及び101dは、それぞれ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンのトナー像を形成する。画像形成部101a、101b、101c及び101dの構成は同様であり、以下では、総称して画像形成部101とも表記する。
【0014】
画像形成部101の感光体102は、画像形成時、図の時計回り方向に回転駆動される。
【0015】
帯電器107は、感光体102を帯電させる。露光装置である露光ヘッド106は、画像データに応じて感光体102を露光し、感光体102に静電潜像を形成する。現像器108は、感光体102の静電潜像をトナーで現像する。感光体102のトナー像は、転写ベルト111上を搬送されるシートに転写される。なお、各感光体102のトナー像を重ねてシートに転写することで、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンとは異なる色を再現することができる。
【0016】
搬送部105は、シートの給送及び搬送を制御する。具体的には、搬送部105は、内部格納ユニット109a及び109bと、外部格納ユニット109cと、手差しユニット109dと、の内の指定されたユニットから画像形成装置の搬送路にシートを給送する。
【0017】
給送されたシートは、レジストレーションローラ110まで搬送される。レジストレーションローラ110は、各感光体102のトナー像がシートに転写される様に、所定タイミングでシートを転写ベルト111上に搬送する。上述した様に、転写ベルト111上を搬送されている間に、シートにはトナー像が転写される。定着部104は、トナー像が転写されたシートを加熱・加圧することによりトナー像をシートに定着させる。トナー像の定着後、シートは排出ローラ112によって画像形成装置の外部に排出される。
【0018】
図2(A)及び
図2(B)は、感光体102及び露光ヘッド106を示している。露光ヘッド106は、発光点群201と、発光点群201が実装されるプリント基板202と、ロッドレンズアレイ203と、ロッドレンズアレイ203及びプリント基板202を保持するハウジング204と、を有する。ロッドレンズアレイ203は、発光点群201から射出された光を感光体102上に集光して、感光体102に所定サイズの結像スポットを形成する。
【0019】
図3(A)及び
図3(B)は、プリント基板202を示している。なお、
図3(A)は、コネクタ305が実装されている面を示し、
図3(B)は、発光点群201が実装されている面(コネクタ305が実装されている面とは反対側の面)を示している。本実施形態において、発光点群201には、20個の発光チップ400-1~400-20が含まれる。発光チップ400-1~400-20は、主走査方向に沿って、2列の千鳥状に配列される。以下の説明において、発光チップ400-1~400-20を総称して発光チップ400とも表記する。発光チップ400は、複数の発光点(発光素子)を有する。プリント基板202の各発光チップ400は、コネクタ305を介して、制御部である画像コントローラ700(
図7)に接続される。
【0020】
図4は、発光チップ400と、発光チップ400に設けられた発光点602の配置の説明図である。1つの発光チップ400は、主走査方向に沿って配列された748個の発光点602のセットを、複数、有する。なお、複数のセットは、主走査方向とは直交する副走査方向に沿って配列される。この様に、発呼チップ400は、主走査方向と副走査方向の両方に沿って二次元状に配置される。以下の説明においては、一例として、セット数を4とする。つまり、以下の例示的な実施形態において、発光チップ400は、主走査方向に沿って配列された748個の発光点602のセットを4つ、つまり、計2992個の発光点602を有するものとする。主走査方向において隣接する発光点602のピッチは、1200dpiの解像度に対応する約21.16μmである。したがって、1セットの748個の発光点602の主走査方向の長さは約15.8mmである。また、副走査方向において隣接する発光点602のピッチ(
図4の長さP)も、1200dpiの解像度に対応する約21.16μmである。さらに、主走査方向において隣接する2つの発光チップ400の発光点602間のピッチ(
図4の長さL)も1200dpiの解像度に対応する約21.16μmである。
【0021】
図5は、発光チップ400の平面図である。発光チップ400の複数の発光点602は、例えば、シリコン基板である発光基板402の上に形成される。また、発光基板402には、複数の発光点602を制御するための回路部406が設けられる。パッド408-1~408-10には、画像コントローラ700と通信するための信号線や、電源に接続するために電源線や、グラウンドに接続するためのグラウンド線が接続される。信号線や、電源線や、グラウンド線は、例えば、金でできたワイヤである。
【0022】
図6は、
図5のA-A線での断面の一部を示している。発光基板402上には複数の下部電極504が形成される。隣接する2つの下部電極504の間には、長さdのギャップが設けられる。下部電極504の上には発光層506が設けられ、発光層506の上には上部電極508が設けられる。上部電極508は、複数の下部電極504に対する1つの共通電極である。下部電極504と上部電極508との間に所定の電圧が印加されると、下部電極504から上部電極508に電流が流れることで発光層506が発光する。したがって、1つの下部電極504の領域に対応する発光層506の領域が1つの発光点602に対応する。即ち、本実施形態では、発光基板402は複数の発光点を含む。なお、発光点は発光部と呼ばれても良い。
【0023】
発光層506には、例えば、有機EL膜を使用することができる。また、発光層506には、無機EL膜を使用することができる。上部電極508は、発光層506の発光波長を透過させる様に、例えば、酸化インジウム錫(ITO)などの透明電極で構成される。
【0024】
なお、本実施形態では、上部電極508の全体が発光層506の発光波長を透過させているが、上部電極508の全体が発光波長を透過させる必要はない。具体的には、各発光点602からの光が射出される領域が発光波長を透過させれば良い。
【0025】
なお、本実施形態では、発光層506は発光チップ400に設けられるすべての下部電極504に対して共通であるが、この限りではない。例えば、発光チップ400に設けられる複数の下部電極504のうち第1の複数の下部電極504が第1の発光層506により覆われ、発光チップ400に設けられる複数の下部電極504のうち第2の複数の下部電極504が第2の発光層506により覆われる構成でも良い。このような構成においても、1つの下部電極504の領域に対応する発光層506の領域が1つの発光点602に対応する。また、発光チップ400に設けられる複数の下部電極504のそれぞれに対して発光層506が個別に設けられても良い。このような構成においても、1つの下部電極504の領域に対応する発光層506の領域が1つの発光点602に対応する。
【0026】
図7は、発光チップ400の制御構成を示している。データ切替部705と、各発光チップ400とは、複数の信号線(ワイヤ)により接続される。具体的には、データ切替部705と、発光チップ400-n(nは1から20までの整数)は、信号線DATAnと、信号線WRITEnと、信号線READnと、により接続される。信号線DATAnは、データ切替部705が画像データを発光チップ400-nに送信するために使用される。信号線WRITEnは、データ切替部705が発光チップ400-nのレジスタに制御データを書き込んだり、発光チップ400-nに制御データの読み出しを通知したりするために使用される。信号線READnは、データ切替部705が発光チップ400-nのレジスタに格納された制御データを読み出すために使用される。
【0027】
また、データ切替部705と、総ての発光チップ400は、1つの信号線CLK、1つの信号線SYNC及び1つの信号線ENにより接続される。信号線CLKは、信号線DATAn、信号線WRITEn及び信号線READnでのデータの送受信に使用するクロック信号を送信するために使用される。データ切替部705は、クロック生成部702からの基準クロック信号に基づき生成したクロック信号を信号線CLKに出力する。信号線SYNC及び信号線ENに送信される信号については後述する。
【0028】
CPU701は、画像形成装置の全体を制御する。画像データ生成部703は、読取部100又は外部装置から受信した画像データに対して中間調処理等の各種画像処理を行って、各発光チップ400の発光点602の発光のオン・オフを制御するための画像データを生成する。画像データ生成部703は、生成した画像データをデータ切替部705に送信する。レジスタアクセス部704は、各発光チップ400内のレジスタに制御データを書き込む際、制御データをCPU701から受信してデータ切替部705に送信する。また、レジスタアクセス部704は、各発光チップ400内のレジスタから読み出した制御データをCPU701に出力する。
【0029】
図8は、各発光チップ400に画像データを送信する場合における各信号線の信号を示している。信号線SYNCには、感光体102における各ラインの露光タイミングを示す周期的なライン同期信号が出力される。感光体102の周速度を200mm/sとし、副走査方向の解像度を1200dpi(約21.16μm)とすると、ライン同期信号は、約105.8μsの周期で出力される。データ切替部705は、ライン同期信号の立ち上がりに同期して、画像データを信号線DATA1~DATA20に送信する。本実施形態において、各発光チップ400は、2992個の発光点602を有するため、約105.8μsの周期内に計2992個の発光点602それぞれの発光・非発光を示す画像データを各発光チップ400に送信する必要がある。約105.8μsの期間内に計2992個の発光点602に対する画像データを送信するため、本例では、
図8に示す様に、画像データの送信の際、データ切替部705は、信号線CLKに送信するクロック信号の周波数を30MHzに設定する。
【0030】
図9は、発光チップ400のレジスタに制御データを書き込む場合における各信号線の信号を示している。信号線ENには、通信の間、ハイレベルとなって通信中であることを示すイネーブル信号が出力される。データ切替部705は、イネーブル信号の立ち上がりに同期して、スタートビットを信号線WRITEnに送信する。続いて、データ切替部705は、書き込み動作であることを示すライト識別ビットを送信し、その後、制御データを書き込むレジスタのアドレス(本例では4ビット)と、制御データ(本例では8ビット)を送信する。スタートビット、ライト識別ビット及びアドレスは、レジスタに対して動作を指示するコマンドデータである。制御データのデータ量は、画像データのデータ量より少ないため、信号線CLKに出力するクロック信号の周波数については、画像データを送信するときより低くすることができる。本例では、制御データの読み書きの際のクロック信号の周波数を3MHzとしている。
【0031】
図10は、発光チップ400のレジスタに格納されている制御データを読み出す場合における各信号線の信号を示している。信号線ENには、通信の間、ハイレベルとなって通信中であることを示すイネーブル信号が出力される。データ切替部705は、イネーブル信号の立ち上がりに同期して、スタートビットを信号線WRITEnに送信する。続いて、データ切替部705は、識別ビットに続いて読み出し動作であることを示すリード識別ビットを送信し、その後、制御データの読み出しを行うレジスタのアドレスを送信する。
【0032】
スタートビット、リード識別ビット及びアドレスは、レジスタに対して動作を指示するコマンドデータである。発光チップ400-nは、コマンドデータに応答して、コマンドで指定されたアドレスに格納されている制御データをレジスタから読み出して、信号線READnに出力する。
【0033】
図11は、1つの発光チップ400-nの機能ブロック図である。
図5にも示す様に、発光チップ400は、10個のパッド408―1~408-10を有する。パッド408-1及びパッド408―2は、電源線により、電源電圧VCCに接続される。発光チップ400の回路部406の各回路には、この電源電圧VCCによる電力が供給される。パッド408-3及びパッド408-4は、グラウンド線により、グラウンドに接続される。
【0034】
回路部406の各回路及び上部電極508は、パッド408-3及びパッド408-4を介してグラウンドに接続される。信号線CLK、SYNC、DATAnは、パッド408-5~408-7を介して、画像データ保持部1103に接続される。なお、画像データ保持部1103と、パッド408-5~408-7は、それぞれ、信号線CLK、SYNC及びDATAnに対応する信号線で接続される。信号線EN、WRITEn及びREADnは、パッド408-8~408-10を介して、レジスタ1102に接続される。レジスタ1102と、パッド408-8~408-10は、それぞれ、信号線EN、WRITEn及びREADnに対応する信号線で接続される。なお、信号線CLKからのクロック信号は、レジスタ1102にも入力される。上述した様に、レジスタ1102には、制御情報を示す制御データが格納される。制御情報の詳細については後述する。
【0035】
画像データ保持部1103は、各発光点602に対応する画像データを受信すると、各発光点602に対応する画像データに基づき、各発光点602の発光を制御する駆動信号を生成して電流駆動部1104に出力する。
【0036】
図12は、駆動部1104の構成を示す図である。駆動部1104は各発光点に1対1で接続される。本実施形態では説明を簡略化するため、1つの発光点について説明をするが、同様の駆動部が発光点602の数だけ存在する。つまり、本実施形態においては1つの発光素子アレイチップに対して748個×4列=2992個の駆動回路が存在することになる。
【0037】
駆動部1104は基準電源1200、スイッチ1204、DAC1201、制御用の制御用MOSFET1202、スイッチング用のMOSFET1203で構成される。駆動部1104は駆動部に対応する。
【0038】
基準電源1200は、電源から供給される電圧VCCから駆動部1104で使用される基準電圧及び基準電流を出力する。即ち基準電源1200は電圧源に対応する。DAC1201は、レジスタ部1102に格納されている制御データをデジタル値として受信し、基準電圧を分圧することで当該デジタル値に応じた電圧(=アナログ値)を基準電圧に基づいて生成して出力する。すなわち、制御データはデジタル信号に対応する。
【0039】
スイッチ1204はレジスタ部1102からの指示によりON/OFFが切り替わるように構成されている。ONである場合には基準電源1200から出力される基準電圧がDAC1201に供給される。OFFである場合には基準電源1200とDAC1201との電気的な接続が断たれ、基準電流及び基準電圧がDAC1201に供給されない。すなわち、スイッチ1024がONの状態は第1の状態に対応し、スイッチ1024がOFFの状態は第2の状態に対応する。スイッチ1204のONとOFFを切り替えることで基準電原1200とスイッチ1204との接続状態を切り替えることができる。スイッチ1204がOFFである時はDAC1201で電力が消費されないため、発光チップ400の消費電力が抑制され、発光チップ400の熱発生が低減される。なお、基準電源1200、DAC1201、スイッチ1204は複数の発光点に対してそれぞれ1つの共通回路であってもよい。
【0040】
本実施形態の制御用MOSFET1202はPchのMOSFETであり、ソース端子が電源電圧VCCに接続され、ゲート端子がDAC1201の出力に接続されている。DAC1201からゲートに流れる電流が大きいほどソースからドレインに流れる電流が増大する構成となっている。
【0041】
本実施形態ではスイッチング用MOSFET1203もPchのMOSFETであり、ソース端子が制御用MOSFET1202のドレイン端子に接続され、ゲート端子には画像データ保持部1103から出力される駆動信号が入力される。駆動信号はHiレベルかLowレベルかの2値の信号であり、Hiレベルが入力されたときにスイッチング用MOSFET1203はONし、ソースからドレインに向けて制御用MOSFET1202で制御された電流が流れる。ドレイン端子は下部電極504を介して発光層506と接続されており、電流が流れると発光点が発光する。発光点602の発光強度は、発光層506を流れる電流に応じて変化し、当該電流の値は、DAC1501が出力するアナログ電圧により制御される。つまり、各発光点602の発光強度は、レジスタ1102に格納される制御データにより制御される。なお、制御データは、各発光点602に対応するDAC1201それぞれに設定するデジタル値を個別に示すものであっても、複数の発光点602のグループに設定する1つのデジタル値を示すものであっても良い。
【0042】
図13はDAC1201の回路図の一例である。DAC1201には複数の抵抗1205、抵抗1205と同数の分圧スイッチ1206、デコーダ1207が含まれる。基準電源1200によって生成された基準電流は直列につながれた複数の抵抗1205を経由してグラウンドまで流れる。各抵抗1205には分圧スイッチ1206が接続されている。
【0043】
デコーダ1207は、レジスタ部1102から受信した設定値に応じて任意の分圧スイッチ1206をONにする。この結果、ONにされた分圧スイッチ1206の位置に対応する個数の抵抗1205により基準電圧が分圧され、分圧された電圧(アナログ値)がDAC1201から出力される。即ち、DAC1201はD/Aコンバータに対応する。発光点602の発光の有無にかかわらず基準電圧がDAC1201に供給されると、電圧が各抵抗1205に供給されることに起因して各抵抗1205からジュール熱が発生する。本実施形態では、スイッチ1204がOFFになることによりDAC1201に基準電圧が供給されなくなるため、抵抗1205からジュール熱が発生することが抑制される。すなわち、DAC1201から熱が発生することが抑制される。なお、
図13に示したDAC1201は本実施形態におけるD/Aコンバータの1例である。D/Aコンバータは、抵抗を用いずに、スイッチング素子を用いて基準電圧を分圧する方式でもよい。すなわち、D/Aコンバータは、デジタル信号を受信してアナログ信号を出力するような、他の方式であってもかまわない。
【0044】
図14は、ユーザーから印刷要求があった場合の画像コントローラ部700における各信号のタイミングチャートである。
図14では簡略化のため、単色で画像が形成される場合における各信号のタイミングチャートが示されている。
【0045】
デバイスコントローラ部708は、ユーザーからの印刷要求を受け付けると、スキャナ部100、作像部103、定着部104が印刷可能な所定の条件を満たしているかを確認する。所定の条件には、例えば定着部104の温度が定着可能な所定の温度を満たしているかなどがある。デバイスコントローラ部708は、スキャナ部100、作像部103、定着部104が印刷可能な所定の条件を満たしていることを確認すると、画像コントローラ部700へitop信号を送信する。itop信号は画像形成装置に対して画像形成ジョブの開始を指示するユーザーの指示に基づいてデバイスコントローラ部708から画像コントローラ部700に送信される信号である。すなわち、デバイスコントローラ部708は送信部に対応する。
【0046】
デバイスコントローラ部708からitop信号を受け取った画像コントローラ部700は、所定の時間が経過した後に各発光チップ(400-1~400-20)に対応した画像データを送信する。各発光チップ(400―1~400-20)は受信した画像データに基づいて点灯が制御され、発光チップ400が出射した光によって感光ドラムの表面に潜像が形成される。すなわち、画像コントローラ部700はitop信号を受信したタイミングを基準にして発光チップ400に対して画像データの送信を開始する。つまり、itop信号は基準信号に対応する。また、画像データは画像信号に対応する。
【0047】
複数の記録媒体に連続して画像を形成する画像形成ジョブを実行する場合、感光ドラムの表面に画像データ1ページ分の潜像を形成した後に所定の時間をおいて次のitop信号が送信される。感光ドラムの回転速度が一定の場合、画像コントローラ部700がitop信号を受信してから所定の時間である第1の時間が経過したことに基づいて画像コントローラ部700が画像データ1ページ分の潜像の形成を終了したことを判定する。すなわち、画像コントローラ部700がitop信号を受信してから第1の時間が経過したタイミングは第1のタイミングに対応する。第1の時間は、例えば、画像コントローラ部700が発光チップ400に対して所定の数のCLK信号を発したことによって定義される。
【0048】
画像コントローラ部700は、1ページ分の画像の形成が終了したタイミングである第1のタイミングにおいて、発光チップ400内のレジスタ部1102に対してスイッチ1024をOFFにするレジスタデータを送信する。すなわち、画像コントローラ部700は制御部に対応する。画像コントローラ部700によってOFFの状態になったスイッチ1024は画像コントローラ部700によってONの状態になるまでOFFの状態が維持される。上述の処理によって画像コントローラ部700は1ページ分の画像の形成の終了を判定し、発光部の発光が不要な期間においてDAC1201に供給される電圧を遮断することができる。
【0049】
なお、画像コントローラ部700は1ページ分の画像データを副走査方向における1ラインごとに画像データ保持部1103へ送信する。1ページにおいて、副走査方向における最終ラインの画像データを、画像データ保持部1103へ送信したことをもって画像コントローラ部700が1ページ分の潜像の形成の終了を判定してもよい。すなわち、1ページにおいて、副走査方向における最終ラインの、画像データの画像データ保持部1103への送信が完了したタイミングを第1のタイミングとしてもよい。
【0050】
また、本実施形態における画像形成装置は記録媒体の搬送方向において、記録媒体の搬送経路上であるレジストレーションローラ110の直前にレジストセンサ114が設置されている。レジストセンサ114が記録媒体の先端を検知してから所定の時間である第3の時間が経過したことに基づいて1ページ分の画像形成の画像形成が終了したことを判定してもよい。すなわち、レジストセンサ114は検知手段に対応し、レジストセンサ114が記録媒体の先端を検知してから第3の時間が経過したタイミングは第3のタイミングに対応する。第3の時間は、レジストセンサ114が記録媒体の先端を検知してから当該第3の時間が経過したときに感光ドラム上に形成された潜像によって記録媒体に画像が形成されるような時間である。第3の時間は、例えば、画像コントローラ部700が発光チップ400に対して所定の数のCLK信号を発したことによって定義される。
【0051】
画像コントローラ部700はitop信号を受信してから所定の時間である第2の時間が経過したことに基づいて次のページの画像データ1ページ分の画像形成が開始されたことを判定する。すなわち、画像コントローラ部700がitop信号を受信してから第2の時間が経過したタイミングは第2のタイミングに対応する。第2の時間は第1の時間よりも長く、第2の時間は、例えば、画像コントローラ部700が発光チップ400に対して所定の数のCLK信号を発したことによって定義される。
【0052】
画像コントローラ部700は次ページの画像形成が開始するタイミングである第2のタイミングにおいて、発光チップ400内のレジスタ部1102に対してスイッチ1024をONにするレジスタデータを送信する。画像コントローラ部700によってONの状態になったスイッチ1024は画像コントローラ部700によってOFFの状態になるまでONの状態が維持される。上述の処理によって画像コントローラ部700は次のページの画像形成の開始を判定し、発光部の発光が必要な期間においてDAC1201に電流を供給することができる。
【0053】
なお、画像コントローラ部700は1ページ分の画像データを副走査方向における1ラインごとに画像データ保持部1103へ送信する。次のページにおいて、副走査方向における最初ラインの画像データを、画像データ保持部1103へ送信したことをもって画像コントローラ部700が次のページの潜像の形成の開始を判定してもよい。すなわち、次のページにおいて、副走査方向における最初のラインの、画像データの画像データ保持部1103への送信が開始されたタイミングを第2のタイミングとしてもよい。
【0054】
また、レジストセンサ114が記録媒体の先端を検知してから所定の時間である第4の時間が経過したことに基づいて1ページ分の画像形成の画像形成が終了したことを判定してもよい。すなわち、レジストセンサ114が記録媒体の先端を検知してから第4の時間が経過したタイミングは第4のタイミングに対応する。第4の時間は、例えば、画像コントローラ部700が発光チップ400に対して所定の数のCLK信号を発したことによって定義される。
【0055】
画像コントローラ部700が上記の処理を行うことで、発光チップ400が発光しない期間においてDAC1201への基準電圧の供給が遮断され、抵抗1205のジュール熱の発生が抑制されることで、DAC1201からの熱発生を抑制することができる。
【0056】
なお、本実施形態では発光チップ400内のレジスタ部1102に対してスイッチ1024をOFFにするレジスタデータを送信するタイミングを第1のタイミングとしたがこれに限らず他のタイミングとしてもよい。スイッチ1024をOFFにするタイミングは、例えば、第1のタイミングと第2のタイミングとの間の期間であればどのタイミングでもよい。
【0057】
また、本実施形態では発光チップ400内のレジスタ部1102に対してスイッチ1024をONにするレジスタデータを送信するタイミングを第2のタイミングとしたがこれに限らず他のタイミングとしてもよい。スイッチ1024をONにするタイミングは、例えば、スイッチ1024をOFFにしたタイミングと第2のタイミングとの間の期間であればどのタイミングでもよい。
【0058】
すなわち、第1の期間と第2の期間の間の期間において、スイッチ1024がOFFの状態になる期間が第1の期間に対応している。また、第1の期間の始点はレジストセンサ114が記録媒体の先端を検知してから第3の時間が経過したタイミングとしてもよい。さらに第1の期間の終点はレジストセンサ114が記録媒体の先端を検知してから第4の時間が経過したタイミングとしてもよい。
【0059】
図15はイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色で画像を形成する場合の各信号のタイミングチャートである。カラーで画像形成を行う場合、記録媒体が搬送される方向に向かってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の作像部103が並べられる。前記4つの作像ユニットは、イエローのトナー像の形成を開始してから所定時間経過後に、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を順次形成していく。
図15中のT1、T2、T3はそれぞれマゼンタ、シアン、ブラックの所定時間にあたる。イエローからT1、T2、T3が経過した後にトナー像を形成することで色ずれのないカラー画像を記録媒体に形成することができる。カラー画像を形成する場合でもイエローの画像形成が行われてからT1、T2、T3が経過した後に各色において
図15と同様の処理を行うことで駆動部からの熱発生を抑制することができる。
【0060】
図16は、ユーザーから印刷要求があった場合の画像コントローラ部700による発光チップ400内に含まれるレジスタ1002に対する制御のフローチャートである。
【0061】
ユーザーから印刷要求があると、S1301にて、画像コントローラ部700は、発光チップ400内のレジスタ部1002に対してDAC1201の設定値が含まれたレジスタデータをライトする。
【0062】
S1302にて画像コントローラ部700はitop信号を受信してからCLK信号を所定の数だけ発光チップ400へ発したことをもって印字開始タイミングであると判断して処理をS1303に進める。
【0063】
S1303では、画像コントローラ部700は印字開始前に前記発光チップ400内のレジスタ部1002に対して前記スイッチ1204をONにする設定を行う。
【0064】
S1304では、画像コントローラ部700は、ユーザーから指示された画像ファイルに基づいた画像データを20個の発光チップ400に送信する。前記画像データは1ページ分の印字が終了するまで送信し続ける。
【0065】
S1305にて、画像コントローラ部700は、itop信号を受信してから所定の期間だけCLK信号を発したことをもって1ページ分の印字が終了したと判断すると、処理をS1306に進める。
【0066】
S1306にて、画像コントローラ部700が前記発光チップ400内のレジスタ部1002に対して前記スイッチ1204をOFFにする設定を行う。
【0067】
S1307にて、レジストレーションローラ110の直前に設置されたレジストセンサ114が記録媒体の先端を検知すると、記録媒体の先端を検知したことを画像コントローラ部700に送信する。画像コントローラ部700は記録媒体の先端が検知されたことをもって次のページがあると判断する。次のページがあると判断された場合、処理はS1302に戻り、画像コントローラ部700はS1302~S1307を実行する。
【0068】
S1307にてレジストレーションローラ110の直前に設置された不図示のレジストセンサ114は所定の時間を超えても記録媒体の先端及び後端を検知しなかった場合、記録媒体の先端及び後端を検知しなかったことを画像コントローラ部700に送信する。画像コントローラ部700は所定の時間内に記録媒体の先端及び後端が検知されなかったことをもって次のページがないと判断し、印字動作を終了する。
【0069】
本実施例では発光部と駆動回路を同一チップに形成する構成において、ページとページの間のように印字をしないタイミングでは、発光チップ400の駆動回路に含まれるDAC1201への電流の供給を遮断し、露光ヘッドの駆動回路に含まれるDAC1201の熱の発生を抑制することができる。すなわち、デジタル信号を電圧に変換するD/Aコンバータからの熱の発生を抑制することができる。
【0070】
図17は、ユーザから印刷要求があった場合に画像コントローラ700が実行する制御データの書込と制御データの読出に関する処理のフローチャートである。画像コントローラ700は、S10において、信号線WRITE1~WRITE20を使用して、各発光チップ400のレジスタ1102に制御データを並行して書き込む。制御データは、各発光点602の発光強度を制御するデータを含む。画像コントローラ700は、S11において、制御データがレジスタ1102に正しく書き込まれているかを検査する。具体的には、S11において、画像コントローラ700は、信号線WRITE1~WRITE20及び信号線READ1~READ20を使用して、各発光チップ400のレジスタ1102に格納されている制御データを並行して読み出す。S10で書き込んだ制御データと、S11でレジスタ1102から読み出した制御データが一致しない場合、画像コントローラ700は、S10から処理を繰り返す(S12)。なお、S10及びS11の繰り返し回数の上限を設定しておき、繰り返し回数が上限に達すると
図17の処理を中止すると共にエラーをユーザに通知する構成とすることもできる。
【0071】
S10で書き込んだ制御データと、S11でレジスタ1102から読み出した制御データが一致した場合、画像コントローラ700は、画像形成の開始タイミングになると、S13に処理を進める。S13において、画像コントローラ700は、信号線WRITE1~WRITE20を使用して各発光チップ400に画像データを並行して送信する。画像コントローラ700は、S14において、画像形成が完了したかを判定し、画像形成が完了していない場合、S13から処理を繰り返す。一方、画像形成が完了した場合、画像コントローラ700は、
図17の処理を終了する。
【0072】
また、画像形成装置は、階調補正制御を行う。例えば、画像形成装置は、シートに階調補正制御のためのテストパターンを形成する。
図8は、本実施形態の説明に使用するテストパターンの例を示している。
図18に示す様に、テストパターンは、異なる濃度の5つのテスト画像PT1~PT5を含む。シートの搬送方向において、各テスト画像の間には間隔(パターン間隔)が設けられる。ユーザは、画像形成装置を操作して、当該テストパターンが形成されたシートを読取部100に読み取らせる。これにより、画像形成装置は、テストパターンに含まれるテスト画像PT1~PT5それぞれの濃度を検出し、テスト画像PT1~PT5それぞれの濃度が目標濃度に近づく様に濃度に関する画像形成条件を補正する。具体的には、例えば、テスト画像PT1~PT5それぞれの濃度が目標濃度に近づく様に、制御データの書き換えが画像コントローラ700によって行われる。
【0073】
図19は、テストパターンを形成する際に画像コントローラ700が実行する処理のフローチャートである。画像コントローラ700は、S20において、テスト画像のインデクスqを1に初期化する。画像コントローラ700は、S21において、信号線WRITE1~WRITE20を使用して、各発光チップ400のレジスタ1102に、テスト画像PTqを形成する際の制御データを並行して書き込む。制御データは、各発光点602の発光強度を制御するデータを含む。各発光点602の発光強度を制御するデータは、電極に印可されるべき電圧の大きさに関するデータや有機EL膜に供給されるべき電流の大きさに関するデータと呼ばれても良い。画像コントローラ700は、S22において、制御データがレジスタ1102に正しく書き込まれているかを検査する。具体的には、S22において、画像コントローラ700は、信号線WRITE1~WRITE20及び信号線READ1~READ20を使用して、各発光チップ400のレジスタ1102に格納されている制御データを並行して読み出す。S21で書き込んだ制御データと、S22でレジスタ1102から読み出した制御データが一致しない場合、画像コントローラ700は、S21から処理を繰り返す(S23)。なお、S21及びS22の繰り返し回数の上限を設定しておき、繰り返し回数が上限に達すると
図19の処理を中止すると共にエラーをユーザに通知する構成とすることもできる。
【0074】
S21で書き込んだ制御データと、S22でレジスタ1102から読み出した制御データが一致した場合、画像コントローラ700は、画像形成の開始タイミングになると、S24に処理を進める。S24において、画像コントローラ700は、信号線DATA1~DATA20にテストパターンの画像データを並行して送信し、感光体102の露光を開始する。画像コントローラ700は、S25において、テスト画像PTqの形成が完了したかを判定し、完了していない場合、S24から処理を繰り返す。一方、テスト画像PTqの形成が完了した場合、画像コントローラ700は、S26でq=5であるか否かを判定する。q=5ではない場合、テストパターンの総てのテスト画像PT1~PT5の形成が完了していないため、画像コントローラ700は、S27でqを1だけ増加させ、S21から処理を繰り返す。一方、q=5である場合、画像コントローラ700は、
図19の処理を終了する。
【0075】
本実施形態においては、S21でレジスタ1102に設定する制御データにより、形成するテスト画像PT1~PT5の濃度に応じて発光点602の発光強度を異ならせる。したがって、S24で送信するテストパターンの画像データは、形成するテスト画像PT1~PT5に拘わらず、同じとすることができる。
【0076】
以上、画像コントローラ700が、複数の発光チップ400それぞれのレジスタ1102に対して並行してアクセスできる様に、画像コントローラ700と、複数の発光チップ400それぞれとを専用の信号線WRITEn及び信号線READnを介して個別に接続する。この構成により、1つの信号線WRITE及び1つの信号線READにより順に各発光チップ400にアクセスすることと比較して、各発光チップ400への制御データの送信時間を短縮することができる。また、レジスタ1102の制御データを書き換えることで露光強度を短時間で変更でき、よって、異なる濃度の複数のテスト画像を形成する際に、シートの搬送方向におけるテスト画像の間隔を小さくすることができる。したがって、シートに形成できるテスト画像の数を多くすることができ、テストパターンを形成する際に要するシートの枚数(又はページ数)を削減することができる。
【0077】
なお、本実施例では画像コントローラ700と、複数の発光チップ400それぞれとを専用の信号線WRITEn及び信号線READnを介して個別に接続したが、接続方法は限らない。例えば、複数の発光チップ400に含まれるグループの発光チップ群が複数存在し、これら複数の発光チップ群と画像コントローラとがそれぞれ専用の信号線WRITEn及び信号線READnを介して接続される構成で合ってもよい。この時、発光チップ群の数は2つに限らず、3つ以上であってもよい。さらに発光チップ群に含まれる発光チップ400の数は発光チップ群によって異なっていてもよく、発光チップ群に含まれる発光チップの数が一つの場合を含んでいてもよい。発光チップ群内で専用の信号線WRITEn及び信号線READnを共用することで、画像コントローラ700と、複数の発光チップ400それぞれとを専用の信号線WRITEn及び信号線READnを介して個別に接続する場合と比較して信号線の数を削減することができ、露光ヘッド106の製造コストを低減することができる。
【0078】
[実施形態2]
続いて、第二実施形態について第一実施形態との相違点を中心に説明する。
図20は、本実施形態による発光チップ400の制御構成を示している。第一実施形態では、各発光チップ400-1~20に対して信号線READ1~READ20を1対1で設けていた。本実施形態では、総ての発光チップ400-1~400-20に対して共通の信号線READを使用する。より具体的には、画像コントローラ700のデータ切替部705には1つの(共通の)信号線READが接続される。プリント基板202内において、発光チップ400-1~400-20それぞれからの計20本の信号線(以下、基板内信号線READ)が、この1つの信号線READに接続される。なお、1つの信号線READは、プリント基板202内において、プルアップ抵抗1506を介して所定の第1電位にプルアップされる。
【0079】
図21は、発光チップ400-1~400-20それぞれのレジスタ1102から制御データを読み出す際のタイミングチャートを示している。画像コントローラ700は、発光チップ400-1のレジスタ1102から制御データを読み出すため、信号線ENからのイネーブル信号の立ち上がりに同期してコマンドデータを信号線WRITE1に送信する。コマンドデータのスタートビット(ハイレベル)を信号線WRITE1に送信する際、信号線WRITE2~20は、ローレベル固定される。つまり、スタートビットは、信号線WRITE1にのみ送信し、信号線WRITE2~20には送信しない。画像コントローラ700からのコマンドデータに応答して、発光チップ400-1のレジスタ1102は、コマンドデータで指定されたアドレスに格納されている制御データを読み出して信号線READに出力する。続いて、画像コントローラ700は、発光チップ400-2のレジスタ1102から制御データを読み出すため、信号線ENからのイネーブル信号の立ち上がりに同期してコマンドデータを信号線WRITE2に送信する。画像コントローラ700からのコマンドデータに応答して、発光チップ400-2のレジスタ1102は、コマンドデータで指定されたアドレスに格納されている制御データを読み出して信号線READに出力する。画像コントローラ700は、同様の処理を発光チップ400-3~400-20に対して順に繰り返す。なお、画像データの送信や、制御データの書き込みは第一実施形態と同様である。
【0080】
図22は、本実施形態による発光チップ400-nの機能ブロック図である。第一実施形態の発光チップ400-nと比較し、本実施形態の発光チップ400-nは、FET1701を有する。また、パッド408-10は、上述した基板内信号線READに接続されると共に、FET1701のドレイン端子に接続される。また、FET1701のソース端子は、プルアップ抵抗1506が接続される第1電位より小さい第2電位、本例では、グラウンドに接続される。そして、FET1701のゲート端子は、制御データを送信するレジスタ1102の端子に接続される。FET1701は、レジスタ1102からの信号のレベルに基づきオン状態又はオフ状態に切り替えられる切替部を構成する。オン状態において、基板内信号線READは第2電位に接続され、オフ状態において基板内信号線READの第2電位への接続は切断され、基板内信号線READはハイインピーダンス状態となる。レジスタ1102は、制御データを画像コントローラ700に送信していない間、FET1701をオフ状態にする。この様に、FET1701及びプルアップ抵抗1506により、基板内信号線READは、オープンドレイン出力として構成される。一方、レジスタ1102は、制御データを画像コントローラ700に送信している間、データ値に応じて、FET1701をオン状態またはオフ状態にする。オン状態の場合、信号線READには第2電位に基づくローレベルの信号が出力される。一方、オフ状態の場合、プリント基板202のプルアップ抵抗1506により、信号線READには第1電位に基づくハイレベルの信号が出力される。
【0081】
この様に、基板内信号線READをオープンドレイン出力構成にすることで、ある発光チップ400のレジスタ1102から制御データを読み出している間、他の発光チップ400のパッド408-10はハイインピーダンス状態となる。したがって、他の発光チップ400から基板内信号線READの電位は、信号線READに影響を与えず、1つの信号線READを共用することができる。
【0082】
本実施形態において、ユーザから印刷要求があった場合の処理は
図17に示す第一実施形態と同様である。但し、S11の制御データの読み出しは、発光チップ400-1~400-20に対して並行して行うことはできず、順に行うことになる。テストパターンを形成する
図19の処理についても同様である。
【0083】
以上、本実施形態では第一実施形態と比較して、発光チップ400からの制御データの読み出しには時間がかかることになる。しかしながら、各発光チップ400への制御データの送信時間については短縮することができる。また、本実施形態では、第一実施形態と比較して、信号線READの数を減らすことができ、コストを抑えることができる。
【0084】
[実施形態3]
続いて、第三実施形態について第一実施形態及び第二実施形態との相違点を中心に説明する。第一実施形態及び第二実施形態において、画像コントローラ700は、発光チップ400-nに対し、画像データを信号線DATAnで送信し、制御データを信号線WRITEnで送信していた。また、画像コントローラ700は、発光チップ400-nに画像データを送信する際、信号線SYNCにライン同期信号を送信し、発光チップ400-nのレジスタ1102にアクセスする際、信号線ENにイネーブル信号を送信していた。本実施形態において、画像コントローラ700は、発光チップ400-nに対し、画像データ及び制御データを信号線DATAnで送信し、ライン同期信号及びイネーブル信号を信号線SYNCで送信する。つまり、本実施形態では、信号線WRITEnと信号線ENを使用しない。したがって、第一実施形態及び第二実施形態では、
図5に示す様に、発光チップ400にパッド408-1~408-10の計10個のパッドを設けていたが、本実施形態において、発光チップ400には、パッド408-1~408-8の計8個のパッドを設ける。
【0085】
図23~
図25は、データ切替部705が各種別のデータを各発光チップ400に出力する場合における各信号線の信号を示している。なお、
図23~
図25においては、信号のレベルがHi(ハイ)である場合にビット値が“1”であり、信号のレベルがLo(ロー)である場合にビット値が“0”であるものとしている。
【0086】
図23は、データ種別が“画像”である場合を示している。データ種別が“画像”である場合、信号線SYNCには、感光体102における1ラインの露光タイミングを示すライン同期信号が出力される。本例では、感光体102の周速度が200mm/sであり、副走査方向の解像度を1200dpi(約21.16μm)としている。したがって、ライン同期信号は、感光体102の表面が約21.16μmだけ移動する期間である約105.8μs毎に出力される。データ切替部705は、ライン同期信号の立ち上がりに同期して、データ種別が“画像”であることを示す値“11”の識別ビットを信号線DATAnに送信し、その後、画像データを送信する。本実施形態において、各発光チップ400は、2992個の発光点602を有するため、約105.8μsの期間内に計2992個の発光点602それぞれの発光・非発光を示す画像データを送信する必要がある。約105.8μsの期間内に計2992個の発光点602に対する画像データを送信するため、本例では、
図23に示す様に、画像データの送信時、データ切替部705は、信号線CLKに送信するクロック信号の周波数を30MHzに設定する。
【0087】
図24(A)及び
図24(B)は、データ種別が“制御”である場合を示している。なお、
図24(A)は、発光チップ400のレジスタに制御データを書き込む場合を示し、
図24(B)は、発光チップ400のレジスタに格納されている制御データを読み出す場合を示している。データ種別が“制御”である場合、信号線SYNCには、通信の間、ハイレベルとなって通信中であることを示すイネーブル信号が出力される。データ切替部705は、イネーブル信号の立ち上がりに同期して、データ種別が“制御”であることを示す値“10”の識別ビットを信号線DATAnに送信する。制御データを書き込む場合、データ切替部705は、識別ビットに続いて書き込み動作であることを示すライト識別ビットを送信し、その後、制御データを書き込むレジスタのアドレス(本例では4ビット)と、制御データ(本例では8ビット)を送信する。なお、アドレスと制御データの送信順序は逆であっても良い。制御データを読み出す場合、データ切替部705は、識別ビットに続いて読み出し動作であることを示すリード識別ビットを送信し、その後、制御データの読み出しを行うレジスタのアドレスを送信する。この場合、発光チップ400-nは、指定されたアドレスに格納されている制御データをレジスタから読み出して、信号線READnに出力する。制御データのデータ量は、画像データのデータ量より少ないため、信号線CLKに出力するクロック信号の周波数については、画像データを送信するときより低くすることができる。一例として、制御データの読み書きの際のクロック信号の周波数を3MHzとすることができる。しかしながら、制御データの読み書きの際のクロック信号の周波数を、画像データの送信時と同じにする構成であっても良い。
【0088】
図25は、データ種別が“無効”である場合を示している。データ種別が“無効”である場合、信号線SYNCには、識別ビットの送信を示すトリガ信号が出力される。データ切替部705は、トリガ信号の立ち上がりに同期して、データ種別が“無効”であることを示す値“0x”の識別ビットを信号線DATAnに送信する。データ切替部705は、データ種別“無効”を送信する場合、信号線CLKに出力するクロック信号の周波数を、画像データの送信時と同じにすることができる。或いは、データ切替部705は、データ種別“無効”を送信する場合、信号線CLKに出力するクロック信号の周波数を、レジスタへのアクセス時と同じにすることができる。さらに、データ切替部705は、データ種別“無効”を送信する場合、信号線CLKに出力するクロック信号の周波数を、データ種別“無効”を送信する前の周波数と同じにすることができる。さらに、データ切替部705は、データ種別“無効”を送信する場合、信号線CLKに出力するクロック信号の周波数を、画像データの送信時及びレジスタへのアクセス時とは異なる所定値とすることができる。
【0089】
図26は、本実施形態による発光チップ400-nの機能ブロック図である。本実施形態において、回路部406内にインタフェース回路1101が設けられ、インタフェース回路1101は、パッド408-5~408-8を介して、信号線CLK、SYNC、DATAn及びREADnに接続される。
【0090】
インタフェース回路1101は、信号線SYNCで受信する信号の立ち上がりに同期して信号線DATAnで受信する識別ビットに基づき、その状態を管理する。
図27は、インタフェース回路1101の状態遷移図である。なお、電源電圧VCCにより電力が供給された際の初期状態は無効状態である。無効状態において、種別“無効”を示す識別ビットを受信した場合、インタフェース回路1101は無効状態に留まる。なお、無効状態において、インタフェース回路1101は、識別ビットを受信するのみであり、他の回路へのデータ送信等は行わない。
【0091】
無効状態において、種別“画像”を示す識別ビットを受信した場合、インタフェース回路1101は画像受信状態に遷移する。この場合、インタフェース回路1101は、当該識別ビットに続いて信号線DATAnで受信する画像データを画像データ保持部1103に送信する。なお、このとき、インタフェース回路1101は、信号線CLKで受信するクロック信号や信号線SYNCで受信するライン同期信号も画像データ保持部1103に送信する。画像受信状態において、種別“画像”を示す識別ビットを受信した場合、インタフェース回路1101の状態は遷移せず、インタフェース回路1101は、当該識別ビットに続いて信号線DATAnで受信する画像データを画像データ保持部1103に送信する。一方、画像受信状態において、種別“無効”を示す識別ビットを受信した場合、インタフェース回路1101は無効状態に遷移する。
【0092】
無効状態において、種別“制御”を示す識別ビットを受信した場合、インタフェース回路1101は制御状態に遷移する。この場合、インタフェース回路1101は、当該識別ビットに続いて信号線DATAnで受信するデータに基づきレジスタ1102への制御データの書き込みや、レジスタ1102に格納されている制御データの読み出しを行う。なお、このとき、インタフェース回路1101は、信号線CLKで受信するクロック信号や信号線SYNCで受信するイネーブル信号をレジスタ1102に送信する。制御状態において、種別“制御”を示す識別ビットを受信した場合、インタフェース回路1101の状態は遷移せず、当該識別ビットに続いて信号線DATAnで受信するデータに基づき制御データの書き込みや読出しをレジスタ1102に対して行う。一方、制御状態において、種別“無効”を示す識別ビットを受信した場合、インタフェース回路1101は無効状態に遷移する。
【0093】
一方、画像受信状態において、種別”制御”を示す識別ビットを受信した場合、インタフェース回路1101は、画像受信状態に留まり、他の状態に遷移しない。なお、この場合、インタフェース回路1101は、次の識別ビットを受信するまでに信号線DATAnで受信するデータについては、画像データでも制御データでもないと判定し、当該データを廃棄して他の回路への出力等は行わない。同様に、制御状態において、種別“画像”を示す識別ビットを受信した場合、インタフェース回路1101は、制御状態に留まり、他の状態に遷移しない。なお、この場合、インタフェース回路1101は、次の識別ビットを受信するまでに信号線DATAnで受信するデータについては、画像データでも制御データでもないと判定し、当該データを廃棄して他の回路への出力等は行わない。
【0094】
この様に、本実施形態では、画像受信状態から制御状態に直接遷移することと、制御状態から画像受信状態に直接遷移することと、を禁止している。これは、外部からのノイズや静電気等によりインタフェース回路1101が受信する識別ビットに誤りが生じてインタフェース回路1101が誤動作することを抑えるためである。つまり、本実施形態では、“画像受信状態”と“制御状態”との間の遷移を“無効状態”を介する様にし、データ種別“無効”は、インタフェース回路1101を“無効状態”に遷移させるために設けている。
【0095】
画像データ保持部1103は、ライン同期信号に基づき1ライン分の画像データを受信すると、この画像データに基づき各発光点602の発光を制御する駆動信号を生成して電流駆動部1104に出力する。
【0096】
以上、本実施形態でも、発光チップ400-1~400-20それぞれに対する専用の信号線DATA1~DATA20により制御データを並行して各発光チップ400に送信する。したがって、各発光チップ400への制御データの送信時間を短縮することができる。さらに、本実施形態では、信号線DATA1~DATA20を画像データの送信と制御データの送信に共用するため、第一実施形態と比較して信号線の数を減らすことができ、よって、コストを抑えることができる。
【0097】
なお、共用する信号線、つまり、信号線DATAに送信するデータが制御データであるか画像データであるかを発光チップ400に通知するために、データの送信に先立ち、データ種別を示す識別情報を信号線DATAで送信する。この結果、インターフェース回路1101は、画像コントローラ700から送信されてきたデータが制御データであるか画像データであるかを判別することができる。即ち、画像コントローラ700とプリント基板202とを接続する信号線の数を低減しつつ、各発光点602の点灯・消灯の制御及び各発光点602に供給される電流量(電極に印可すべき電圧)の調整を行うことができる。即ち、画像形成装置におけるコストが増大してしまうことを抑制しつつ、各発光点602の発光の制御を行うことができる。
【0098】
また、本実施形態において、画像コントローラ700は、データ種別“制御”と“画像”とを切り換える際には、まず、データ種別“無効”を送信してから他のデータ種別に切り替えを行う。この構成により、ノイズや静電気等の外乱によるデータ種別の誤検出により画像形成装置が誤動作することを低減させることができる。
【0099】
なお、上記実施形態においては、インタフェース回路1101における“画像受信状態”と“制御状態”とを”無効状態”を介して遷移させる様にしていた。このため、データ切替部705は、画像データを送信した後や、レジスタ1102のアクセスが完了した後に種別“無効”を示す識別ビットを送信していた。しかしながら、“無効状態”を設けることなく、“画像受信状態”と“制御状態”との間の直接遷移を可能とする構成であっても良い。この場合、データ切替部705は、画像データを送信する前に種別“画像”を示す識別ビットを送信し、レジスタ1102へのアクセスを行う前に種別“制御”を示す識別ビットを送信するのみとなる。その様な構成においても、画像コントローラ700とプリント基板202とを接続するための信号線の数を低減することができる。
【0100】
なお、
図26では、第一実施形態と同様に発光チップ400-1~400-20それぞれに対して専用の信号線READ1~READ20を設けていた。しかしながら、第二実施形態と同様に、各発光チップ400に共通の1つの信号線READを設ける構成とすることもできる。
【0101】
上記実施形態においては、説明のために具体的な数値を用いたが、これら具体的な数値は、例示であり、本発明は、実施形態に用いられた具体的な数値に限定されない。具体的には、1つのプリント基板202に設けられる発光チップ400の数は20に限定されず、1つ以上の任意の数とすることができる。また、各発光チップ400に含まれる発光点602の数も2992個に限定されず、他の数であっても良い。また、本実施形態において、1つの発光チップ400は、主走査方向に沿って配置された748個の発光点を4セット有していたが、セット数は1以上の任意の数とし得る。また、発光点602を主走査方向において1200dpiの解像度に対応する約21.16μmのピッチで配置していたが、発光点602の配置間隔も他の値であっても良い。
【0102】
また、上記実施形態において、画像形成装置は、転写ベルト111を搬送されるシートに各感光体102に形成されたトナー像を転写するものであった。しかしながら、画像形成装置は、中間転写体を介して、各感光体102のトナー像をシートに転写するものであっても良い。また、画像形成装置は、複数の色のトナーを用いて画像を形成するカラー画像形成装置であっても、1つの色のトナーを用いて画像を形成するモノクロ画像形成装置であっても良い。
【0103】
[実施形態4]
続いて、第四実施形態について第一実施形態乃至第三実施形態との相違点を中心に説明する。第一実施形態乃至第三実施形態における画像形成装置は、階調補正制御を行う際に、シートに階調補正制御のためのテストパターンを形成した。そして、当該テストパターンが形成されたシートを読取部100に読み取らせた。画像形成装置は、テストパターンに含まれるテスト画像PT1~PT5それぞれの濃度を検出し、テスト画像PT1~PT5それぞれの濃度が目標濃度に近づく様に濃度に関する画像形成条件を補正した。具体的には、例えば、テスト画像PT1~PT5それぞれの濃度が目標濃度に近づく様に、制御データの書き換えが画像コントローラ700によって行われた。
【0104】
図28は、本実施形態における画像形成装置120を説明する図である。なお、本実施形態の画像形成装置120が第一実施形態乃至第三実施形態の各実施形態に適用されても良い。
【0105】
画像形成部20a、20b、20c、20dは、それぞれイエロー“Y”、マゼンタ“M”、シアン“C”、ブラック“K”のトナー像を形成する。以下において同一または類似の複数の構成部品には同一の参照符号が付与される。複数の構成部品を区別する際には、参照符号の末尾にアルファベットが付与される。複数の構成部品について共通事項が説明される際には、参照符号の末尾のアルファベットが省略される。なお、以下の説明における露光ヘッド23は、第一実施形態乃至第三実施形態の各実施形態に記載の露光ヘッド106と同様の構成である。
【0106】
感光体21は、静電潜像およびトナー像を担持する像担持体である。帯電器22は、感光体21の表面を帯電させる。露光ヘッド23は、感光体21を露光して、静電潜像を形成する。現像器24は、トナーを用いて静電潜像を現像してトナー像を形成する。一次転写ローラ25は、トナー像を感光体21から中間転写ベルト27に転写する。中間転写ベルト27はトナー像を二次転写器28へ搬送する。
【0107】
給送装置1は、シート収容庫に保持されているシートPを搬送路へ給送する。搬送装置2は、シートPをレジストレーション装置3に搬送する。レジストレーション装置3は、シートPの斜行を補正して二次転写器28へシートPを搬送する。
【0108】
二次転写器28は、トナー像を中間転写ベルト27からシートPへ転写する。定着器29は、シートPに熱と圧力を加えることで、トナー像をシートP上に定着させる。排出搬送装置4は、トナー像が定着したシートPを画像形成装置120の外部へ搬送および排出する。
【0109】
本実施形態では、テストパターンに基づいて設定された制御データの値に基づく電流が各発光部に供給され、その結果、感光体21が露光される。画像形成装置120は、複数枚のシートに画像を形成する画像形成ジョブ中に、画像が形成されたシートの枚数が所定枚数に到達すると、階調補正制御のための複数のパッチ画像を中間転写ベルト27上に形成する。なお、複数のパッチ画像それぞれの濃度は、例えば、第一実施形態におけるテスト画像PT1~PT5のそれぞれの濃度に対応する。
【0110】
画像コントローラ700は、中間転写ベルト27上に形成されたパッチ画像を、中間転写ベルト27に隣接して設けられたセンサ30によって読み取らせ、それぞれのパッチ画像の濃度を検出する。画像コントローラ700は、それぞれのパッチ画像の濃度が目標濃度に近づく様に、例えば、制御データの書き換えを行う。なお、目標濃度は、テストパターン(
図18)に基づいて制御データが設定される際の目標濃度に対応する。制御データの書き込みには、第一実施形態乃至第三実施形態のいずれかの構成が適用される。
【0111】
なお、画像形成装置120は、画像が形成されたシートの枚数が所定枚数に到達すると、シートの搬送(画像形成ジョブ)を一旦停止し、テスト画像PT1~PT5のそれぞれに対応する濃度のパッチ画像を中間転写ベルト27上に複数形成してもよい。画像コントローラ700は、複数のパッチ画像をセンサ30によって読み取らせ、読取結果に基づいて制御データの書き換えを行っても良い。画像形成装置120は、制御データの書き換えが完了すると、画像形成ジョブを再開しても良い。
【0112】
また、画像形成装置120は、画像形成ジョブ中において、第1のページの静電潜像が感光体21上に形成されてから当該第1のページの次の第2のページの静電潜像が感光体21上に形成されるまでの期間にテスト画像PT1に対応する濃度のパッチ画像に対応する静電潜像を感光体21上に(即ち、パッチ画像を中間転写ベルト27上に)形成してもよい。その後、画像形成装置120は、第2のページの静電潜像が感光体21上に形成されてから当該第2のページの次の第3のページの静電潜像が感光体21に形成されるまでの期間にテスト画像PT2に対応する濃度のパッチ画像に対応する静電潜像を感光体21上に(即ち、パッチ画像を中間転写ベルト27上に)形成してもよい。このように、画像形成装置120は、1ページ分の静電潜像が感光体21上に形成されてから当該1ページの次のページの潜像が感光体21上に形成されるまでの期間にパッチ画像に対応する静電潜像を感光体21上に(即ち、パッ画像チを中間転写ベルト27上に)に形成してもよい。画像コントローラ700は、パッチ画像が形成されるごとに当該パッチ画像をセンサ30によって読み取らせ、テスト画像PT1からPT5までの読取結果が得られると、当該読取結果に基づいて制御データの書き換えを行っても良い。
【0113】
以上、画像コントローラ700が、複数の発光チップ400それぞれのレジスタ1102に対して並行してアクセスできる様に、画像コントローラ700と、複数の発光チップ400それぞれとを専用の信号線WRITEn及び信号線READnを介して個別に接続する。この構成により、1つの信号線WRITE及び1つの信号線READにより順に各発光チップ400にアクセスすることと比較して、各発光チップ400への制御データの送信時間を短縮することができる。このような構成は、1ページ分の静電潜像が感光体21上に形成されてから当該1ページの次のページの静電潜像が感光体21上に形成されるまでの期間にパッチ画像に対応する静電潜像を感光体21上に(即ち、パッチ画像を中間転写ベルト27上に)形成するといった、比較的短い期間にパッチ画像を形成する(制御データを書き換える)必要があるときに特に有効である。なお、本実施形態で説明した階調補正制御は、第一実施形態で説明したシートPの複数のテスト画像PT1~PT5の濃度を検出することに代えて、中間転写ベルト27の複数のパッチ画像の濃度を検出するものである。したがって、本実施形態の複数のパッチ画像は、第一実施形態の複数のテスト画像と見做し得るものである。
【0114】
[実施形態5]
続いて、第五実施形態について第一実施形態乃至第四実施形態との相違点を中心に説明する。本実施形態では、
図29に示すように、プリント基板202の発光点群201が実装されている面に、プリント基板202上の温度(発光チップ400の温度、発光点又は発光部602の温度)を検知する温度センサ31が設けられる。なお、温度センサ31は、プリント基板202の発光点群201が実装されている面とは反対側の面(
図3(A))に設けられても良い。
【0115】
図30は、発光部の温度と当該発光部に所定の電流が供給された際の光量との関係を示す図である。なお、
図30に示す関係は一例であり、温度と光量との関係が線形的に表されることに限らない。
【0116】
図29に示すように、所定の電流が供給された発光部から出射される光の量は、温度が大きいほど大きくなる。本実施形態では、
図30に示される温度と光量とのチップごとの関係が、例えば、画像コントローラ700に設けられたメモリに格納されている。画像コントローラ700は、温度センサ31の検知結果と当該メモリに格納されている温度と光量との関係とに基づいて、例えば温度が上昇した場合に発光部に供給される電流が少なくなるようにレジスタ1102に格納されている制御データを書き換える。
【0117】
制御データの書き換えは、例えば、複数枚のシートに画像が形成される画像形成ジョブにおいて、1ページ分の画像が中間転写ベルト27上に形成されてから当該1ページの次のページの画像が中間転写ベルト27上に形成されるまでの期間に行われる。
【0118】
以上、画像コントローラ700が、複数の発光チップ400それぞれのレジスタ1102に対して並行してアクセスできる様に、画像コントローラ700と、複数の発光チップ400それぞれとを専用の信号線WRITEn及び信号線READnを介して個別に接続する。この構成により、1つの信号線WRITE及び1つの信号線READにより順に各発光チップ400にアクセスすることと比較して、各発光チップ400への制御データの送信時間を短縮することができる。このような構成は、1ページ分の静電潜像が感光体21上に形成されてから当該1ページの次のページの静電潜像が感光体21上に形成されるまでの期間に制御データを書き換える必要があるときに特に有効である。
【0119】
上記の各実施形態においては、説明のために具体的な数値を用いたが、これら具体的な数値は、例示であり、本発明は、実施形態に用いられた具体的な数値に限定されない。具体的には、1つのプリント基板202に設けられる発光チップ400の数は20に限定されず、1つ以上の任意の数とすることができる。また、各発光チップ400に含まれる発光点602の数も2992個に限定されず、他の数であっても良い。また、本実施形態において、1つの発光チップ400は、主走査方向に沿って配置された748個の発光点を4セット有していたが、セット数は1以上の任意の数とし得る。また、発光点602を主走査方向において1200dpiの解像度に対応する約21.16μmのピッチで配置していたが、発光点602の配置間隔も他の値であっても良い。
【0120】
また、上記各実施形態において、画像形成装置は、転写ベルト111を搬送されるシートに各感光体102に形成されたトナー像を転写するものであった。しかしながら、画像形成装置は、中間転写体を介して、各感光体102のトナー像をシートに転写するものであっても良い。また、画像形成装置は、複数の色のトナーを用いて画像を形成するカラー画像形成装置であっても、1つの色のトナーを用いて画像を形成するモノクロ画像形成装置であっても良い。
【符号の説明】
【0121】
101 画像形成部
102 感光体
400 発光チップ
602 発光点
700 画像コントローラ部
705 データ切替部
1102 レジスタ部
1104 駆動部
1200 基準電源
1201 DAC
1204 スイッチ
1205 抵抗
1206 分圧スイッチ