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特許7484019マイクロコントローラーの温度の測定のためのバッテリー管理システムの構成及びその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-07
(45)【発行日】2024-05-15
(54)【発明の名称】マイクロコントローラーの温度の測定のためのバッテリー管理システムの構成及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240508BHJP
   G01K 7/24 20060101ALI20240508BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
H02J7/00 S
G01K7/24 Z
H01M10/48 301
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023515361
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 KR2022008219
(87)【国際公開番号】W WO2022265312
(87)【国際公開日】2022-12-22
【審査請求日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】10-2021-0077454
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジン・キュ・ジュン
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-244853(JP,A)
【文献】特開2008-071149(JP,A)
【文献】特開2002-100413(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0145833(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
G01K 1/00 - 19/00
H01M 10/42 - 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリー管理システム(BMS)であって、
前記BMSのブートモード及びアプリケーションモードを制御し、複数の入出力チャンネルを有しているマイクロコントローラーと、
前記BMSの一つ以上のアプリケーションの温度を測定する第1の温度測定部と、
一方の端が第1の温度測定部に接続され、他方の端が前記マイクロコントローラーの所定の指定チャンネルに接続される第1のスイッチと、
前記マイクロコントローラーの温度を測定する第2の温度測定部と、
一方の端が前記第2の温度測定部に接続され、他方の端がマイクロコントローラーの前記指定チャンネルに接続される第2のスイッチと、
を備え、
前記第1のスイッチ及び第2のスイッチのそれぞれは、前記マイクロコントローラーの制御に従って、それぞれオン/オフの状態が異なるように設定されることを特徴とするバッテリー管理システム。
【請求項2】
前記マイクロコントローラーは、
ソフトウェア更新命令がある場合、
前記第2のスイッチをオン制御し、前記第1のスイッチをオフ制御して、前記指定チャンネルにて前記第2の温度測定部において測定した温度データを受信することを特徴とする請求項1に記載のバッテリー管理システム。
【請求項3】
一方の端に前記第1のスイッチ及び第2のスイッチの他方の端が同時に接続される接続部をさらに備え、
前記接続部の他方の端は、マイクロコントローラーの前記指定チャンネルに接続されることを特徴とする請求項1または2に記載のバッテリー管理システム。
【請求項4】
前記マイクロコントローラーは、前記第1のスイッチ及び第2のスイッチにオン/オフ制御コマンドを出力する制御端子を備え、
前記制御端子は、
常時モードまたはアプリケーション動作モードにおいて、前記第1のスイッチをオン制御し、前記第2のスイッチをオフ制御する制御信号を出力することを特徴とする請求項1に記載のバッテリー管理システム。
【請求項5】
前記制御端子は、
前記第1の温度測定部及び第2の温度測定部の電源入力経路に電源入力オン/オフ制御信号を出力して、第1の温度測定部及び第2の温度測定部の電源のオン/オフを制御することを特徴とする請求項4に記載のバッテリー管理システム。
【請求項6】
バッテリー管理システム(BMS)の制御方法であって、
前記BMSのソフトウェア更新命令が入力されるソフトウェア更新命令入力ステップと、
ソフトウェア更新命令の入力に応じて、マイクロコントローラーの温度を測定するマイクロコントローラー温度測定ステップと、
前記測定したマイクロコントローラーの温度条件に応じて、ブートモードの進行有無を判断するブートモードへの切り換え判断ステップと、
前記ブートモードへの切り換え判断ステップにおいて、マイクロコントローラーの温度が所定の条件を満たす場合、ソフトウェアを更新するブートモードを開始するブートモード開始ステップと、
ソフトウェア更新が終了される場合、ブートモードを終了するブートモード終了ステップと、
を含むことを特徴とするバッテリー管理システムの制御方法。
【請求項7】
前記ブートモードへの切り換え判断ステップにおいて、
前記マイクロコントローラーの温度が所定の条件を満たす場合は、
前記測定したマイクロコントローラーの温度が所定の基準温度以下であるか否かであることを特徴とする請求項6に記載のバッテリー管理システムの制御方法。
【請求項8】
前記マイクロコントローラー温度測定ステップは、
前記マイクロコントローラーの所定の指定チャンネルにアプリケーションの温度測定値を提供する第1の温度測定部との経路を遮断制御し、前記指定チャンネルにマイクロコントローラーの測定温度を提供する第2の温度測定部との経路を接続制御することにより、前記アプリケーションの温度測定値を引き渡されるように接続された前記指定チャンネルにて前記測定したマイクロコントローラーの温度測定値を受信することを特徴とする請求項6または7に記載のバッテリー管理システムの制御方法。
【請求項9】
前記ブートモードへの切り換え判断ステップにおいて、マイクロコントローラーの温度が所定の条件を満たさない場合、待ちモードに移行し、
前記待ちモードにおいては、
所定の時間の間に前記マイクロコントローラーの温度を測定し、前記測定したマイクロコントローラーの温度が所定の条件を満たすか否かを繰り返し比較することを特徴とする請求項6に記載のバッテリー管理システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー管理システム(BMS)のソフトウェア更新に際して、マイクロコントローラーの温度を測定する方法に関する。マイクロコントローラーの温度を正確に測定しながらも、マイクロコントローラーのチャンネルの活用性を高めるシステム及び方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
BMS(Battery Management System)のマイクロコントローラー(MCU)から熱が発せられる原因としては、マイクロコントローラーと接続されている他のデバイスの焼損もしくは短絡や、マイクロコントローラーそのものの演算処理過程における計算量の増大が挙げれる。
【0003】
マイクロコントローラーの温度が上がると、演算処理能が低下する虞があるため、BMSのソフトウェア更新に際しては演算量が増えて温度がさらに上がったり、温度が高い状態で更新を行う場合に正常に更新が行えなくなったりする虞がある。
【0004】
したがって、ソフトウェア更新を行うに際して(ブートモード)、マイクロコントローラーの温度を測定しなければならず、温度値に基づいて、ソフトウェア更新を行うか否かを決めなければならない。
【0005】
ブートモードにおいてマイクロコントローラーの温度を測定するために、従来には、BMS用の他の素子の温度感知装置を用いていた。BMS用の温度感知装置にて温度を測定すると、放射された温度を測定することで、マイクロコントローラーからの発熱を正確に測定することができないという不都合があった。このような不都合を解決するために、マイクロコントローラーの温度測定用に温度センサーなどの感知装置を別途に割り当てて温度を感知していた。
【0006】
しかしながら、このような場合、マイクロコントローラーに割り当てられた温度感知装置からデータを入手するチャンネルがBMSのソフトウェア更新に際して温度感知用にしか割り当てられないため、ソフトウェアアップデーターではない場合、すなわち、通常のアプリケーション素子の動作時にチャンネルが使われずに無駄になってしまうという不都合が生じて、マイクロコントローラーの限られた数のチャンネルを有効に使えないという不都合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
マイクロコントローラーの温度チャンネルの数は限られており、バッテリーの温度及びこれ以外の電力変換装置及び複数のアプリケーション素子の温度を測定しなければならないため、数多くのマイクロコントローラーのチャンネルが必要になる。このため、ブートモード(ソフトウェア(SW)更新モード)だけのために一つの温度チャンネルを用いることは、チャンネルの活用性の低下につながる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
BMSのブートモード及びアプリケーションモードを制御し、複数の入出力チャンネルを有しているマイクロコントローラーと、BMSの一つ以上のアプリケーションの温度を測定する第1の温度測定部と、一方の端が第1の温度測定部に接続され、他方の端が前記マイクロコントローラーの所定の指定チャンネルに接続される第1のスイッチと、前記マイクロコントローラーの温度を測定する第2の温度測定部と、一方の端が前記第2の温度測定部に接続され、他方の端がマイクロコントローラーの前記指定チャンネルに接続される第2のスイッチと、を備え、前記第1のスイッチ及び第2のスイッチのそれぞれは、前記マイクロコントローラーの制御に従って、それぞれオン/オフの状態が異なるように設定されることを特徴とするバッテリー管理システムである。
【0009】
具体的には、前記マイクロコントローラーは、ソフトウェア更新命令がある場合、前記第2のスイッチをオン制御し、前記第1のスイッチをオフ制御して、前記指定チャンネルにて前記第2の温度測定部において測定した温度データを受信することを特徴とし、かつ、一方の端に前記第1のスイッチ及び第2のスイッチの他方の端が同時に接続される接続部をさらに備え、前記接続部の他方の端はマイクロコントローラーの前記指定チャンネルに接続されることを特徴とするバッテリー管理システムである。
【0010】
より具体的には、前記マイクロコントローラーは、前記第1及び第2のスイッチにオン/オフ制御コマンドを出力する制御端子を備え、前記制御端子は、常時モードまたはアプリケーション動作モードにおいて、前記第1のスイッチをオン制御し、前記第2のスイッチをオフ制御する制御信号を出力することを特徴とし、前記制御端子は、前記第1の温度測定部及び第2の温度測定部の電源入力経路に電源入力オン/オフ制御信号を出力して、第1の温度測定部及び第2の温度測定部の電源のオン/オフを制御することを特徴とするバッテリー管理システムである。
【0011】
方法においては、BMSのソフトウェア更新命令が入力されるソフトウェア更新命令入力ステップと、ソフトウェア更新命令の入力に応じて、マイクロコントローラーの温度を測定するマイクロコントローラー温度測定ステップと、前記測定したマイクロコントローラーの温度条件に応じて、ブートモードの進行有無を判断するブートモードへの切り換え判断ステップと、前記ブートモードへの切り換え判断ステップにおいて、マイクロコントローラーの温度が所定の条件を満たす場合、ソフトウェアを更新するブートモードを開始するブートモード開始ステップと、ソフトウェア更新が終了される場合、ブートモードを終了するブートモード終了ステップと、を含むことを特徴とするバッテリー管理システムの制御方法である。
【0012】
具体的には、前記ブートモードへの切り換え判断ステップにおいて、前記マイクロコントローラーの温度が所定の条件を満たす場合は、前記測定したマイクロコントローラーの温度が所定の基準温度以下であるか否かであることを特徴とし、前記マイクロコントローラー温度測定ステップは、前記マイクロコントローラーの所定の指定チャンネルにアプリケーションの温度測定値を提供する第1の温度測定部との経路を遮断制御し、前記指定チャンネルにマイクロコントローラーの測定温度を提供する第2の温度測定部との経路を接続制御することにより、前記アプリケーション測定温度値を引き渡されるように接続された前記指定チャンネルにて前記測定したマイクロコントローラーの温度測定値を受信することを特徴とするバッテリー管理システムの制御方法である。
【0013】
より具体的には、前記ブートモードへの切り換え判断ステップにおいて、マイクロコントローラーの温度が所定の条件を満たさない場合、待ちモードに移行し、前記待ちモードにおいては、所定の時間の間に前記マイクロコントローラーの温度を測定し、前記測定したマイクロコントローラーの温度が所定の条件を満たすか否かを繰り返し比較することを特徴とするバッテリー管理システムの制御方法である。
【発明の効果】
【0014】
上記のような不都合を解決するために、本発明においては、マイクロコントローラーの一つのチャンネルを介してブートモード(ソフトウェア更新モード)とアプリケーションモード(または、常時モード)を同時に進行させて、マイクロコントローラーの温度を正確に測定して安定性を確保しながらも、温度チャンネルが無駄使いされないようにする発明を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来のBMS回路図である。
図2】本発明のBMS回路図である。
図3】本発明のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、添付図面に基づいて、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施の形態について詳しく説明する。しかしながら、本発明は、種々の異なる形態に具体化可能であり、ここで説明する実施の形態に何ら限定されるものではない。なお、図中、本発明を明確に説明するために、説明とは無関係な部分は省略し、明細書の全般に亘って、類似の部分には類似の参照符号を付している。
【0017】
1.従来の技術
【0018】
BMSを制御するために構成されたマイクロコントローラー110のソフトウェア更新を行うために、マイクロコントローラー110が取り付けられている制御ボード及びアプリケーションのモードを変更することをブートモードと称する。
【0019】
マイクロコントローラー110からの発熱が原因となって、内部の演算処理過程において演算時間が長引いたり、正確な演算処理が行えなくなったりする。このため、ブートモード動作の前にマイクロコントローラー110の発熱を測定する。
【0020】
このため、マイクロコントローラー110の発熱を感知するために、BMSに取り付けられているアプリケーション用の温度センサーとして、第1の温度測定部120を用いることになり、このような第1の温度測定部120は、放射温度を測定することで、マイクロコントローラー110から発せられる熱を正確に感知することができないという不都合がある。これを改善するために、マイクロコントローラー110の温度を測定するためのマイクロコントローラー用の温度感知装置である第2の温度測定部130を用いる。これを示したのが図1である。
【0021】
図1に示すように、それぞれの温度測定部において感知した温度情報は、マイクロコントローラーに、マイクロコントローラー110のそれぞれのチャンネルを介して引き渡される。このため、図1に示すように、第1の温度測定部(アプリケーションの温度測定用に用いられる装置である。)120と第2の温度測定部(マイクロコントローラー温度測定用に用いられる装置である。)130は、それぞれのチャンネルを介して温度情報をマイクロコントローラー110に引き渡す。すなわち、第1の温度測定部120及び第2の温度測定部130は、それぞれマイクロコントローラー110のチャンネルを占める。
【0022】
BMSの安全性及び機能の向上によって、限られた数のマイクロコントローラー110のチャンネルと接続されるアプリケーションの数が増えている。これにより、第2の温度測定部130は、ソフトウェア更新時に(ブートモード動作時に)のみチャンネルを活用するが故に、アプリケーションモードにおいては用いられていないままで放置されてチャンネルの活用度が低下してしまう。
【0023】
このため、本発明においては、限られているチャンネルの活用度を高めるように、一つの温度チャンネルがブートモードとアプリケーションモードの両方において用いられるようにする回路及び方法を提供する。図1は、従来のBMS回路図であって、マイクロコントローラーの各チャンネルには、一つのアプリケーションのみが接続されている。
【0024】
2.本発明に係るマイクロコントローラーの温度測定装置
【0025】
図2は、本発明のBMS回路図である。マイクロコントローラー110の一つのチャンネルに相補動作をするスイッチ140、150を2つ取り付けて、それぞれモードに応じて動作を制御することにより、チャンネルの活用度を高める発明である。本発明に係るバッテリー管理システム(BMS)は、後述するマイクロコントローラー、第1及び第2の温度測定部、第1及び第2の温度測定部の出力をそれぞれマイクロコントローラーに接続する第1及び第2のスイッチを備え、第1及び第2のスイッチのオン/オフ動作に伴い、第1及び第2の温度測定部の測定データはマイクロコントローラーに入力される。このとき、第1及び第2の温度測定部の測定データは両方とも一つの指定チャンネル111を介してマイクロコントローラーに入力されるが、第1及び第2のスイッチは、相補的にオン/オフになるように、すなわち、一方がオンになると、他方はオフになるように制御され、それにより、前記指定チャンネル111に第1及び第2の温度測定部の測定データが同時には入力されないように第1及び第2のスイッチが制御される。
【0026】
2.1.マイクロコントローラー(MCU)110
【0027】
マイクロコントローラー(Micro Controller Unit)110は、超小型演算処理装置であって、BMSにおいてバッテリーのSOCを確認する複数のセンサーにおいて検出されたバッテリー電流、電圧、温度などのデータを受信しかつ格納し、これによる保護回路の動作、バッテリースイッチのオン/オフ(on/off)制御が行えるようにする装置である。
【0028】
このため、BMSの制御機能の向上のために、マイクロコントローラー110のソフトウェア更新を行う。
【0029】
また、マイクロコントローラー110は、BMSのソフトウェア更新のためのブートモード及びアプリケーションモードなどを制御する役割を果たす。前記アプリケーションモードは、一般に、BMSに必要なアプリケーションが動作するモードである。
【0030】
さらに、後述する第1のスイッチ140及び第2のスイッチ150を制御し、第1の温度測定部120と第2の温度測定部130において測定した温度情報を引き渡されて処理する装置である。
【0031】
マイクロコントローラー110は、複数の入出力チャンネルを備えており、チャンネルのそれぞれは、BMSの様々なアプリケーション素子ないし装置と接続されている。マイクロコントローラー110の一つのチャンネル111を介して第1及び第2の温度測定部120、130において測定した温度情報を受信する。
【0032】
2.2.第1の温度測定部120
【0033】
第1の温度測定部120は、アプリケーション用の温度測定装置であって、バッテリーセルの温度または電力変換装置などの温度、またはBMSの温度を測定する装置のことをいい、温度センサーまたはサーミスターから構成可能である。素子には特に制限はない。
【0034】
このような第1の温度測定部120は、マイクロコントローラー110がアプリケーションを制御するアプリケーションモード(または、常時モード)において動作する温度測定装置であり、このような装置として、通常、サーミスターまたは温度センサーなどが用いられるが、これに何ら限定されない。
【0035】
2.3.第1のスイッチ140
【0036】
前記第1の温度測定部120とマイクロコントローラー110のチャンネルとが接続されるようにするスイッチであって、ソフトウェア更新が完了するか、あるいは、更新を行わないアプリケーションモード(または、常時モード)において温度を測定する装置とマイクロコントローラーとが接続されるようにする装置である。
【0037】
2.4.第2の温度測定部130
【0038】
マイクロコントローラー110の温度を測定するための温度センサーまたはサーミスターから構成された装置である。第2の温度測定部において測定した温度情報は、マイクロコントローラー110のチャンネルを介してマイクロコントローラー110に入力され、ブートモード開始命令が外部から入力されるときに限って動作することができる。このような第2の温度測定部130は、BMSのソフトウェアを更新するブートモードにおいてマイクロコントローラーの温度測定を行う。
【0039】
2.5.第2のスイッチ150
【0040】
BMSのソフトウェア更新命令が外部からBMSへと印加されるときに動作するスイッチである。マイクロコントローラー110と第2の温度測定部130とが電気的に接続されるようにする装置である。第2のスイッチ150は、第1のスイッチ140と同じチャンネルに接続されている。これにより、第1のスイッチと第2のスイッチは互いに相補動作をして、同時にオンまたはオフ(onまたはoff)になることはない。
【0041】
2.6.第1のスイッチ140と第2のスイッチ150の接続部160
【0042】
第1のスイッチ140と第2のスイッチ150のそれぞれの一方の端は第1の温度測定部120と第2の温度測定部130に接続されて各温度測定データを引き渡され、第1のスイッチ140と第2のスイッチ150のそれぞれの他方の端は接続部160の一方の端に接続される。
【0043】
接続部160の他方の端は、マイクロコントローラー110の一つの指定チャンネル111に接続される。
【0044】
このような回路構成を通じて、第1のスイッチ140と第2のスイッチ150のオン/オフに伴い、第1の温度測定部120と第2の温度測定部130の測定値のうちの一方がマイクロコントローラー110の前記一つのチャンネル111に選択的に入力される。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、バッテリー管理システムの常時モードまたはアプリケーションモードにおいて前記第1のスイッチはオン制御されて、第1の温度測定部120において測定した温度データが前記指定チャンネル111に入力され、ブートモードにおいては第1のスイッチはオフ制御され、前記第2のスイッチがオン制御されて第2の温度測定部130において測定した温度データが前記指定チャンネル111に入力されるように制御される。
【0046】
2.7.制御端子170
【0047】
第1のスイッチ140と第2のスイッチ150のオン/オフを制御する制御信号を出力する端子であり、マイクロコントローラーから出力されるスイッチ制御信号を引き渡す端子である。一つの制御端子170を介して第1のスイッチと第2のスイッチを同時に制御することになる。このとき、制御端子170を介して引き渡される制御信号は、互いに相補動作ができるようにする。例えば、第1のスイッチ信号がハイ(high)であれば、第2のスイッチ信号がロウ(low)であり、第1のスイッチ信号がロウ(low)であれば、第2のスイッチ信号はハイ(high)である。
【0048】
制御端子170は、第1の温度測定部120及び第2の温度測定部130の電源接続部(図示せず)をそれぞれオン/オフにするように制御してもよい。
【0049】
このような場合、必要に応じて、第1及び第2の温度測定部が必要なときにのみ動作するように制御してもよい。例えば、第2の温度測定部130は、ブートモードにおいてマイクロコントローラーの温度の測定のためのものであるため、マイクロコントローラーがアプリケーションモードまたは常時モードにおいて動作するときに第2の温度測定部130の電源は接続されないように制御可能であるのである。
【0050】
本発明のバッテリー管理システムの回路は、バッテリー管理システムの電源と第1の温度測定部及び第2の温度測定部の駆動部(図示せず)をそれぞれ接続して電源を供給する個別の電源スイッチを備えていてもよく、制御端子170は、前記個別の電源スイッチをオンオフにするように前記個別の電源スイッチにオン/オフ制御信号を出力するように構成されてもよい。前記個別の電源スイッチに出力されるオン/オフ制御信号は、前記第1のスイッチ140及び第2のスイッチ150のオン/オフ制御信号と連動されてもよく、第1及び第2の温度測定部に電源オン信号が先に印加され、以降に電源オフ信号が印加可能なように所定のディレイを有するバッファーまたは遅延素子が経路の上に構成されてもよい。
【0051】
上述した制御端子170は、マイクロコントローラーの汎用入出力端子(GPIO:General Purpose Input Output)を指定して制御信号を出力するように使用可能であり、制御端子170は、外部からのブートモードの進行コマンドまたはソフトウェア更新コマンドを受信するように設定されてもよい。
【0052】
3.本発明に係るチャンネルの共有を通じたアプリケーションモードとブートモードにおける温度の測定方法及びそれによるブートモード実行の手順
【0053】
本発明に係るマイクロコントローラーの温度の測定のためのチャンネルの活用方法に関する。本発明において、マイクロコントローラーブートモードにおける温度の測定方法について述べる。図3は、本発明の方法の例を示す。
【0054】
ソフトウェア更新を行うためのモードをブートモードと称し、それぞれのアプリケーションが必要な状況に応じて動作するモードをアプリケーションモード(または、常時モード)と称する。
【0055】
3.1.アプリケーションモード実行ステップ(S310)
【0056】
図2の第1のスイッチ140をオンにして第1の温度測定部120によって測定する温度データがマイクロコントローラー110に入力されるステップである。
【0057】
第1の温度測定部120においてアプリケーションの温度を測定し、測定された温度データがマイクロコントローラーに入力されてそれによるアプリケーション起動を行うステップである。第2のスイッチはオフ(off)になり、第2の温度測定部において測定された温度はマイクロコントローラーに引き渡されないステップである。
【0058】
アプリケーションモード実行ステップにおいて測定したアプリケーションの温度測定データは、マイクロコントローラーの指定されたチャンネル111に入力される。
【0059】
3.2.ソフトウェア更新命令入力ステップ(S320)
【0060】
BMSのソフトウェア更新を行うようにとの命令が外部または内部から入力されるステップであり、これにより、ブートモード動作のための用意をするステップである。
【0061】
第1のスイッチ140をオフにし、第2のスイッチ150をオンにするステップである。上述したマイクロコントローラーの制御端子170を介して第1及び第2のスイッチのオン/オフを制御する。
【0062】
3.3.マイクロコントローラー温度測定ステップ(S330)
【0063】
ソフトウェア更新命令入力ステップを介して入力された命令によってマイクロコントローラーの温度を測定するステップである。マイクロコントローラーの温度測定の動作は、ソフトウェア更新命令が入力されるステップによって制御端子170を介して第1のスイッチ140がオフ(off)になるように制御し、第2のスイッチ150はオン(on)になるように制御し、これにより、マイクロコントローラーに近づいて取り付けられているか、あるいは、マイクロコントローラーに取り付けられている第2の温度測定部130において温度を測定する。第2の温度測定部130において測定された温度データは、前記アプリケーションの温度測定データが入力される指定チャンネル111と同じ指定チャンネル111を介してマイクロコントローラーに入力される。
【0064】
このようなマイクロコントローラーの温度測定ステップは、マイクロコントローラーの所定の指定チャンネルにアプリケーションの温度測定値を提供する第1の温度測定部との経路を遮断制御し、前記指定チャンネルにマイクロコントローラーの測定温度を提供する第2の温度測定部との経路を接続制御することにより、前記アプリケーション測定温度値を引き渡されるように接続された前記指定チャンネルにて前記測定したマイクロコントローラーの温度測定値が入力される。
【0065】
3.4.ブートモード実行の手順
【0066】
マイクロコントローラーは、入力された温度データを用いて、ブートモードソフトウェア更新モードの動作可能性を判断するステップである。
【0067】
3.4.1.マイクロコントローラーの温度入力ステップ(S340)
【0068】
アプリケーションモードにおいて動作した第1の温度測定部において測定した温度データではなく、マイクロコントローラーの温度を測定した第2の温度測定部において測定された温度データがマイクロコントローラーに入力される。すなわち、前記マイクロコントローラー温度測定ステップ(S330)において測定したマイクロコントローラーの温度が入力されるステップである。前記指定チャンネル111から第2のスイッチ150を介して第2の温度測定部130において測定した温度をマイクロコントローラーに引き渡す。
【0069】
3.4.2.ブートモードへの切り換え判断ステップ(S350)
【0070】
第2の温度測定部において測定された温度データが入力される前記マイクロコントローラーの温度入力ステップを経て、マイクロコントローラーに入力された温度を用いてブートモードの切り換えの要否を判断する。測定したマイクロコントローラーの温度条件に応じて、ブートモードの進行有無を判断するのである。このとき、マイクロコントローラーの温度が所定の条件を満たす場合は、前記測定したマイクロコントローラーの温度が所定の基準温度以下であるか否かである。
【0071】
判断方法としては、所定の値の基準温度を設定し(所定の基準温度(予め設定可能))、基準温度と第2の温度測定部において測定されたマイクロコントローラーの測定温度との関係に基づいてブートモードに切り換える方法が挙げられる。
【0072】
測定したマイクロコントローラーの温度が基準温度を超えるとき、アプリケーションモードを進行させるか、あるいは、マイクロコントローラーの温度を下げるためのステップを行ってもよく、ブートモードは進行させない。
【0073】
測定したマイクロコントローラーの温度が基準温度以下であるとき、ブートモードを進行させる。制御端子170を用いて、第2のスイッチはオン(on)の状態を保持し、第1のスイッチはオフ(off)の状態を保持するように制御する。第2の温度測定部において測定した温度データが接続部160を経て指定チャンネル111を介してマイクロコントローラー110に入力される。
【0074】
測定したマイクロコントローラーの温度が基準温度を超える場合、アプリケーションモードまたはマイクロコントローラーの温度を下げるための待ちステップ(図示せず)などを行う。アプリケーションモードを進行させることは、制御端子170を介して第1のスイッチ140はオン(on)になり、第2のスイッチ150はオフ(off)になるように制御することである。第1の温度測定部120において測定されたアプリケーションの温度が接続部160を経て指定チャンネル111を介してマイクロコントローラー110に入力される。次いで、アプリケーションモードを保持する。
【0075】
待ちステップを行う場合、第2のスイッチはオン(on)の状態を保持し、第1のスイッチはオフ(off)の状態を保持するように制御された状態で、所定の時間の間にソフトウェア更新待ち状態を保持する。更新待ち状態で、指定チャンネル111は第2の温度測定部において測定したマイクロコントローラーの温度が入力され、基準温度以下であるか否かを確認して、基準温度以下である場合にブートモードに移行する。
【0076】
すなわち、ブートモードへの切り換え判断ステップにおいて、マイクロコントローラーの温度が所定の条件を満たさない場合、待ちモードに移行し、待ちモードにおいては、所定の時間の間に前記マイクロコントローラーの温度を測定し、前記測定したマイクロコントローラーの温度が所定の条件を満たすか否かを繰り返し比較する手順を行ってもよい。
【0077】
前記所定の時間の間に第2の温度測定部において測定したマイクロコントローラーの温度が基準温度以下にならなければ、ソフトウェア更新の失敗を報知し、アプリケーションモードに移行するように制御されてもよい。
【0078】
3.4.3.ブートモード開始ステップ(S360)
【0079】
BMSのソフトウェア及びハードウェアがソフトウェア更新のためのモードに切り換えられるステップであって、ソフトウェア更新に必要な装置のみが動作し、不要の装置はスリープモード(または、動作オフ)に切り換えられる。次いで、BMSのソフトウェア更新を行うステップである。
【0080】
前記ブートモードへの切り換え判断ステップ(S350)において、ブートモード開始に関する情報が入力されれば、マイクロコントローラー110においては、ブートモードに合うようにモードの切り換えを指示する。制御端子170において第1のスイッチ140がオンを保持するように制御し、第2のスイッチ150はオフを保持するように制御される。これにより、第2の温度測定部130において測定されたマイクロコントローラー110の温度は、接続部160を介して指定チャンネル111に入力されてマイクロコントローラー110に入力される。ブートモードを進行させるときには、このような状態を保持する。
【0081】
3.5.ブートモード終了ステップ(S370)
【0082】
BMSのソフトウェア更新が完了したとの命令がマイクロコントローラーの内部から入力されれば(図示せず)、ブートモードを中断するステップである。
【0083】
制御端子170を介して第2のスイッチ150はオフ(off)になり、第1のスイッチ140はオン(on)になる。
【0084】
3.6.アプリケーションモード切り換えステップ(S380)
【0085】
ブートモードの終了後に、元のアプリケーションモード(または、常時モード)を開始する。このため、第2のスイッチ150はオフになり、マイクロコントローラーの前記指定温度チャンネル111は第1の温度測定部120に接続されて第1の温度測定部120の測定温度(アプリケーションの温度)を受信する。
【0086】
マイクロコントローラー110の温度の測定は中断され、第1のスイッチ140はオン(on)になって第1の温度測定部120が動作するようにする。
【0087】
一方、本発明の技術的思想は、上記の実施形態に基づいて具体的に記述されたが、上記の実施形態はその説明のためのものであり、その制限のためのものではないということに留意すべきである。なお、本発明の技術分野における当業者であれば、本発明の技術思想の範囲内において種々の実施形態が実施可能であるということが理解できる筈である。
【符号の説明】
【0088】
110 マイクロコントローラー
111 チャンネル
120 第1の温度測定部
130 第2の温度測定部
140 第1のスイッチ
150 第2のスイッチ
160 接続部
170 制御端子
図1
図2
図3