(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】AGV経路探索サーバ、AGV経路探索システム、AGV経路探索方法、プログラム、並びに記録媒体
(51)【国際特許分類】
G01C 21/20 20060101AFI20240509BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20240509BHJP
G05D 1/225 20240101ALI20240509BHJP
G05D 1/229 20240101ALI20240509BHJP
G05D 1/245 20240101ALI20240509BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240509BHJP
G05D 1/633 20240101ALI20240509BHJP
G05D 1/639 20240101ALI20240509BHJP
G05D 1/661 20240101ALI20240509BHJP
G05D 1/667 20240101ALI20240509BHJP
G05D 1/692 20240101ALI20240509BHJP
G05D 1/693 20240101ALI20240509BHJP
G05D 105/20 20240101ALN20240509BHJP
G05D 107/70 20240101ALN20240509BHJP
G05D 109/10 20240101ALN20240509BHJP
G05D 111/30 20240101ALN20240509BHJP
【FI】
G01C21/20
B65G1/00 501C
G05D1/225
G05D1/229
G05D1/245
G05D1/43
G05D1/633
G05D1/639
G05D1/661
G05D1/667
G05D1/692
G05D1/693
G05D105:20
G05D107:70
G05D109:10
G05D111:30
(21)【出願番号】P 2021011539
(22)【出願日】2021-01-27
(62)【分割の表示】P 2020024392の分割
【原出願日】2020-02-17
【審査請求日】2022-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-266349(JP,A)
【文献】特開2017-134794(JP,A)
【文献】特開2000-181539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/20
B65G 1/00
G05D 1/00-87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物流センター内で複数の自走体と前記自走体の走行の目印となる複数のグリッドを用いたAGVシステムにおいて、自走体を自走させる際に、所定の自走体の経路を検索するためのAGV経路探索サーバであって、
前記AGV経路探索サーバは、経路探索のための条件に基づき仮想的に座標を算出する演算手段と、
前記演算手段で算出した座標のデータを前記自走体と前記AGV経路探索サーバとの間でリアルタイムに送受信できる通信手段と、
前記座標に基づいて自走移動する前記自走体が障害物のある区域に到達したのを契機に前記経路探索のための条件に基づき地図番号設定、X座標の切替座標指定、Y座標の切替座標指定、角度の切替座標指定の各情報を前記自走体に送信することで前記通信手段からの座標のグリッドピッチを拡大または縮小することが可能な設定手段と、
を備えたことを特徴とするAGV経路探索サーバ。
【請求項2】
前記設定手段によって、前記座標のグリッドピッチを縮小することで前記自走体が障害物のある区域で大回りにならずに前記障害物を避けることができ、前記座標のグリッドピッチを拡大することで前記自走体が目的地までの最短経路を走行させることが可能な、請求項1に記載のAGV経路探索サーバ。
【請求項3】
前記経路探索のための条件は、走行中の前記自走体に対する障害物の出現、走行中の前記自走体の走行速度、前記自走体とは別の走行中の自走体の種類、前記別の走行中の自走体の大きさ、前記別の走行中の自走体の台数、前記別の走行中の自走体の一定面積における走行密度、棚の種類、棚の大きさ、棚の数量、棚の一定面積における数量密度、前記自走体と接続する機器との関係を条件とすることを特徴とする請求項1に記載のAGV経路探索サーバ。
【請求項4】
前記AGV経路探索サーバは、グリッド方式のコマンドを当該自走体と該AGV経路探索サーバとの間でリアルタイムで通信し、障害物の無い区域は前記自走体をグリッド方式に基づいて自走可能とし、障害物のある区域では前記自走体はグリッド方式に替えて前記座標のグリッドピッチを縮小する請求項1に記載のAGV経路探索サーバ。
【請求項5】
前記AGV経路探索サーバは、グリッド方式のコマンドを当該自走体に送信し、物品保管用ラックの大きさに応じて前記座標のグリッドピッチを拡大又は縮小する請求項1に記載のAGV経路探索サーバ。
【請求項6】
走行中の前記自走体に対する障害物の出現や走行中の前記自走体の走行速度が変わった場合、前記座標のグリッドピッチを可変にする請求項3に記載のAGV経路探索サーバ。
【請求項7】
走行中の前記自走体の種類、走行中の前記自走体の大きさ、前記別の走行中の自走体の台数、前記別の走行中の自走体の一定面積における走行密度が変わった場合において、前記別の自走体の種類や大きさが小さくなり、台数が多くなれば、前記座標のグリッドピッチの調整上間隔を狭くし、一定面積あたりの台数が多くなればそれに合わせて間隔も狭くする請求項3に記載のAGV経路探索サーバ。
【請求項8】
ラックに関し、種類や大きさ、数量、一定面積あたりの密度により前記座標のグリッドピッチの調整を行う請求項3に記載のAGV経路探索サーバ。
【請求項9】
物流センター内にコンベヤや自動倉庫
を含む他のマテハン機器がある場合、マテハン機器に近づく場合には、前記経路探索のための条件について間隔を詰めて細かく制御する請求項3に記載のAGV経路探索サーバ。
【請求項10】
ラックの大きさ、前記自走体の大きさ、倉庫内で前記自走体とラックが込み合った場合、障害物のある区域での前記座標のグリッドピッチを変更可能にしてなる請求項4に記載のAGV経路探索サーバ。
【請求項11】
物流センター内で複数の自走体と前記複数の自走体の走行の目印となる複数のグリッドを用いたAGVシステムにおいて、自走体を自走させる際に、所定の自走体の経路を検索するためのAGV経路探索サーバを備えたAGV経路探索システムであって、
前記AGV経路探索システムは、経路探索のための条件に基づき仮想的に座標を算出する演算手段と、
前記演算手段で算出した座標のデータを前記複数の自走体と前記AGV経路探索サーバとの間でリアルタイムに送受信できる通信手段と、
前記座標に基づいて自走移動する前記複数の自走体が障害物のある区域に到達したのを契機に前記経路探索のための条件に基づき地図番号設定、X座標の切替座標指定、Y座標の切替座標指定、角度の切替座標指定の各情報を前記自走体に送信することで前記通信手段からの座標のグリッドピッチを拡大または縮小することが可能な設定手段と
を備え、
前記通信手段は、前記設定手段で再度新たに算出した座標のデータを前記複数の自走体に送信することを特徴とするAGV経路探索システム。
【請求項12】
物流センター内で複数の自走体と前記複数の自走体の走行の目印となる複数のグリッドを用いたAGVシステムにおいて、自走体を自走させる際に、所定の自走体の経路を検索するためのAGV経路探索サーバを用いたAGV経路探索方法であって、
前記AGV経路探索方法は、経路探索のための条件に基づき仮想的に座標を算出するステップと、
前記算出した座標のデータを前記複数の自走体と前記AGV経路探索サーバとの間でリアルタイムに送受信するステップと、
前記座標に基づいて自走移動する前記複数の自走体が障害物のある区域に到達したのを契機に前記経路探索のための条件に基づき地図番号設定、X座標の切替座標指定、Y座標の切替座標指定、角度の切替座標指定の各情報を前記自走体に送信することで座標のグリッドピッチを拡大または縮小するステップと、を備えていることを特徴とするAGV経路探索方法。
【請求項13】
物流センター内で複数の自走体と前記自走体の走行の目印となる複数のグリッドを用いたAGVシステムにおいて、自走体を自走させる際に、所定の自走体の経路を検索するためのAGV経路探索サーバであるコンピュータを動作させるためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
経路探索のための条件に基づき仮想的に座標を算出する演算手段と、
前記演算手段で算出した座標のデータを前記自走体と前記AGV経路探索サーバとの間でリアルタイムに送受信できる通信手段と、
前記座標に基づいて自走移動する前記自走体が障害物のある区域に到達したのを契機に前記経路探索のための条件に基づき地図番号設定、X座標の切替座標指定、Y座標の切替座標指定、角度の切替座標指定の各情報を前記自走体に送信することで前記通信手段からの座標のグリッドピッチを拡大または縮小することが可能な設定手段と、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
前記設定手段は、によって、前記座標のグリッドピッチを縮小することで前記自走体が障害物のある区域で大回りにならずに前記障害物を避けることができ、前記座標のグリッドピッチを拡大することで前記自走体が目的地までの最短経路を走行させることが可能な、請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
前記経路探索のための条件は、走行中の前記自走体に対する障害物の出現、走行中の前記自走体の走行速度、前記自走体とは別の走行中の自走体の種類、前記別の走行中の自走体の大きさ、前記別の走行中の自走体の台数、前記別の走行中の自走体の一定面積における走行密度、棚の種類、棚の大きさ、棚の数量、棚の一定面積における数量密度、前記自走体と接続する機器との関係を条件とすることを特徴とする請求項13に記載のプログラム。
【請求項16】
前記AGV経路探索サーバが、グリッド方式のコマンドを当該自走体と該AGV経路探索サーバとの間でリアルタイムで通信し、障害物の無い区域は前記自走体をグリッド方式に基づいて自走可能とし、障害物のある区域では前記自走体はグリッド方式に替えて前記座標のグリッドピッチを縮小するように前記コンピュータをさらに機能させる請求項13に記載のプログラム。
【請求項17】
前記AGV経路探索サーバが、グリッド方式のコマンドを当該自走体に送信し、物品保管用ラックの大きさに応じて前記座標のグリッドピッチを拡大又は縮小するように前記コンピュータをさらに機能させる請求項13に記載のプログラム。
【請求項18】
走行中の前記自走体に対する障害物の出現や走行中の前記自走体の走行速度が変わった場合、前記座標のグリッドピッチを可変にするように前記コンピュータをさらに機能させる請求項15に記載のプログラム。
【請求項19】
走行中の前記自走体の種類、走行中の前記自走体の大きさ、前記別の走行中の自走体の台数、前記別の走行中の自走体の一定面積における走行密度が変わった場合において、前記別の自走体の種類や大きさが小さくなり、台数が多くなれば、前記座標のグリッドピッチの調整上間隔を狭くし、一定面積あたりの台数が多くなればそれに合わせて間隔も狭くするように前記コンピュータをさらに機能させる請求項15に記載のプログラム。
【請求項20】
ラックに関し、種類や大きさ、数量、一定面積あたりの密度により前記座標のグリッドピッチの調整を行うように前記コンピュータをさらに機能させる請求項15に記載のプログラム。
【請求項21】
物流センター内にコンベヤや自動倉庫
を含む他のマテハン機器がある場合、マテハン機器に近づく場合には、前記経路探索のための条件について間隔を詰めて細かく制御するように前記コンピュータをさらに機能させる請求項15に記載のプログラム。
【請求項22】
ラックの大きさ、前記自走体の大きさ、倉庫内で前記自走体とラックが込み合った場合、障害物のある区域での前記座標のグリッドピッチを変更可能にしてなるように前記コンピュータをさらに機能させる請求項16に記載のプログラム。
【請求項23】
物流センター内で複数の自走体と前記複数の自走体の走行の目印となる複数のグリッドを用いたAGVシステムにおいて、自走体を自走させる際に、所定の自走体の経路を検索するためのAGV経路探索サーバを備えたAGV経路探索システムにおけるコンピュータを動作させるためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
経路探索のための条件に基づき仮想的に座標を算出する演算手段と、
前記演算手段で算出した座標のデータを前記複数の自走体と前記AGV経路探索サーバとの間でリアルタイムに送受信できる通信手段と、
前記座標に基づいて自走移動する前記複数の自走体が障害物のある区域に到達したのを契機に前記経路探索のための条件に基づき地図番号設定、X座標の切替座標指定、Y座標の切替座標指定、角度の切替座標指定の各情報を前記自走体に送信することで前記通信手段からの座標のグリッドピッチを拡大または縮小することが可能な設定手段と
として機能させ、
前記通信手段は、前記設定手段で再度新たに算出した座標のデータを前記複数の自走体に送信することを特徴とするプログラム。
【請求項24】
請求項13~23のうちいずれか1項記載のプログラムが記録された記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最速化のパスファインディング(ダイクストラ法)を基本原理としたAGV経路探索サーバ、AGV経路探索システム、AGV経路探索方法、プログラム、並びに記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物流センターにおける荷物の搬送にはコンベアが使用されている。ただ、物流センターでは、既設の壁や柱が至る所にあるため、レイアウトがしにくく、搬送経路が遠回りになる場合がある。しかも、消防法の許可をとるのも大変で、固定設備では費用も掛かってしまう。そこで近年では、無人搬送台車(以下にAGVと称す)を使用して、既設の壁や柱を避けて、荷物を所定の場所に運ぶ方式が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来、複数の自走体を物流センターの庫内で使用する場合においては、これら複数の自走体が互いに近接すると移動が困難となり、かえってレイアウトの自由度が狭められてしまう。特にグリッド間隔を定型に設定する定型グリッドの場合には、グリッド間隔の幅が広い場合に障害物を避けて自走体の走行ルートを設定すると、大回りになり、棚の設置容積を下げなければならない。さらに自走体が衝突する前に、いったん停止した後に、時間短縮できると判断した場合には、片方が引き返すルートを選択することもあり、かえって時間が掛かってしまう。さらにまた、棚が並んでいる外周を自走体が走行するのに、今までの縮小されたグリッドピッチであると時間が大幅にかかってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、物流センター内での複数の自走体に係るレイアウトの自由度が向上し、特に目的地に最短距離(短時間)で運ぶことが容易となり、安全面において優れたものとなるAGV経路探索サーバ、AGV経路探索システム、AGV経路探索方法、プログラム、並びに記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明にあっては、物流センター内で複数の自走体と前記自走体の走行の目印となる複数のグリッドを用いたAGVシステムにおいて、自走体を自走させる際に、所定の自走体の経路を検索するためのAGV経路探索サーバであって、
該サーバは、経路探索のための条件に基づき仮想的に座標を算出する演算手段と、
該演算手段で算出した座標のデータを自走体と該サーバ間でリアルタイムに送受信できる通信手段と、
前記座標に基づいて自走移動する自走体が前記経路探索のための条件に基づき前記通信手段からの座標のデータを適宜再設定する設定手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
本構成によれば、座標に基づいて自走移動する自走体が障害物のある区域に到達したのを契機に前記通信手段からの座標のデータを適宜再設定する設定手段を備えたので、経路探索のための条件に基づき、例えば複数の自走体10が互いに近接しても、設定手段で再設定された座標データに基づいて、これをすぐに回避することができる。
【0008】
前記設定手段は、AGVが障害物のある区域で座標ピッチを可変にして再設定する。
【0009】
本構成によれば、座標ピッチを可変にして再設定するので、棚が並んでいる外周をAGVが走行する場合は、座標ピッチを大きくして、始点と終点のグリッド2つにすることで、高速化することができる。
【0010】
前記経路探索のための条件は、走行中の自走体に対する障害物の出現、走行中の自走体に対する走行速度、走行中の自走体の種類、走行中の自走体の大きさ、走行中の自走体の台数、走行中の自走体の一定面積における走行密度、棚の種類、棚の大きさ、棚の数量、棚の一定面積における数量密度、自走体と接続する機器との関係を条件とすることを特徴とする。
【0011】
本構成によれば、経路探索のための条件に基づき走行体を高速化することができ、荷物の集配効率が向上する。
【0012】
前記サーバは、グリッド方式のコマンドを当該自走体と該サーバとの間でリアルタイムで通信し、障害物の無い区域は前記自走体をグリッド方式に基づいて自走可能とし、障害物のある区域では前記自走体はグリッド方式に替えてグリッドピッチを縮小する。
【0013】
本構成によれば、障害物の無い区域では、目的地に最短距離(短時間)で運ぶことが可能となり、障害物がある区域では、グリッドピッチを縮小することで、障害物との衝突をさけつつ走行移動でき、荷物の集配効率が向上する。しかも棚の設置容積を下げる必要もなく走行でき、自走体10を高速化することができる。
【0014】
前記サーバは、グリッド方式のコマンドを当該自走体に送信し、物品保管用ラックの大きさに応じてグリッドピッチを拡大又は縮小する。
【0015】
本考案によれば、物品保管用ラックとの衝突をさけつつ走行移動でき、荷物の集配効率が向上し、よってAGVを高速化することができる。
【0016】
走行中の自走体に対する障害物の出現や走行中の自走体に対する走行速度が変わった場合、座標間隔のピッチを可変にする。
【0017】
本構成によれば、障害物に衝突することなく自走体を走行移動することができる。
【0018】
走行中の自走体の種類、走行中の自走体の大きさ、走行中の自走体の台数、走行中の自走体の一定面積における走行密度が変わった場合において、自走体の種類や大きさが小さくなり、台数が多くなれば、座標ピッチの調整上間隔を狭くし、一定面積あたりの台数が多くなればそれに合わせて間隔も狭くする。
【0019】
本構成によれば、自走体の台数が増えても互いに衝突することなく、走行移動をスムーズに行うことができる。
【0020】
ラックに関し、種類や大きさ、数量、一定面積あたりの密度により座標ピッチの間隔の調整を行う。
【0021】
本構成によれば、ラックに衝突することなく、自走体の走行移動をスムーズに行うことができる。
【0022】
物流センター内にコンベヤや自動倉庫などの他のマテハン機器がある場合、マテハン機器に近づく場合には間隔を詰めて細かく制御する。
【0023】
本考案によれば、マテハン機器に衝突することなく、自走体の走行移動をスムーズに行うことができる。
【0024】
ラックの大きさ、自走体の大きさ、倉庫内で自走体とラックが込み合った場合、障害物のある区域での前記グリッドの間隔をバリアブルに変更可能にしてなる。
【0025】
本構成によれば、グリッドの間隔をバリアブルに変更可能にすることで、自走体の緻密な走行制御が可能となり、自走体の保護を担保する。
【0026】
物流センター内で複数の自走体と前記自走体の走行の目印となる複数のグリッドを用いたAGVシステムにおいて、自走体を自走させる際に、所定の自走体の経路を検索するためのAGV経路探索システムであって、
該システムは、経路探索のための条件に基づき仮想的に座標を算出する演算手段と、
該演算手段で算出した座標のデータを自走体と該サーバ間でリアルタイムに送受信できる通信手段と、
前記座標に基づいて自走移動する自走体が前記経路探索のための条件に基づき前記通信手段からの座標のデータを適宜再設定する設定手段と
前記通信手段は、前記設定手段で再度新たに算出した座標のデータを自走体に送信することを特徴とする。
【0027】
本構成によれば、複数の自走体が互いに近接しても、設定手段で再設定された座標データに基づいて、これをすぐに回避することができ、また自走体同士の衝突を事前に回避することができ、さらに目的地に最短距離(短時間)で運ぶことが可能となり、荷物の集配効率が向上するものとしたAGV経路探索システムを容易に構築することができる。
【0028】
物流センター内で複数の自走体と前記自走体の走行の目印となる複数のグリッドを用いたAGVシステムにおいて、自走体を自走させる際に、所定の自走体の経路を検索するためのAGV経路探索方法であって、
該方法は、経路探索のための条件に基づき仮想的に座標を算出するステップと、
算出した座標のデータを自走体と該サーバ間でリアルタイムに送受信するステップと、
前記座標に基づいて自走移動する自走体が前記経路探索のための条件に基づき座標のデータを適宜再設定するステップと、を備えている。
【0029】
本構成によれば、再設定された座標データに基づいて、これをすぐに回避することができ、また自走体同士の衝突を事前に回避することができ、さらに目的地に最短距離(短時間)で運ぶことが可能となり、荷物の集配効率が向上するものとしたAGV経路探索方法を容易に構築することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、物流センター内での自走体のレイアウトの自由度が向上し、特に目的地に最短距離(短時間)で運ぶことが容易となり、安全面において優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明を実施するための一形態を示すもので、(a)はBluetooth(登録商標)通信時の自走体の斜視図、(b)は無線Wi-Fi通信時の自走体の斜視図である。
【
図4】ステータス取得コマンドのレスポンスを示す図である。
【
図5】ステータス取得コマンドのレスポンスを示す図である。
【
図6】ステータス取得コマンドのレスポンスを示す図である。
【
図7】ステータス取得コマンドのレスポンスを示す図である。
【
図8】位置同定動作制御のコマンドを示す図である。
【
図9】位置同定動作制御のコマンドのレスポンスを示す図である。
【
図11】走行基本情報設定のコマンドを示す図である。
【
図12】走行拡張情報1のコマンドを示す図である。
【
図13】走行拡張情報2のコマンドを示す図である。
【
図16】コースデータread/writeコマンドを示す図である。
【
図17】本システムのフローチャートを示す図である。
【
図19】AGVシステムのローカル座標系を示す図である。
【
図21】
図21(a)は、2次元座標・2Dコード対照表を示す図、(b)は、AGV管理ソフトウェア画面の2次元座標・2Dコードの対応を示す図である。
【
図22】異常メッセージシーケンスを示す図である。
【
図30】AGVシステム起動時の既定値を示す図である。
【
図32】AGVシステムの緊急停止・解除の動作を示す図である。
【
図34】AGVシステム起動時のメッセージシーケンスを示す図である。
【
図35】正常時のメッセージシーケンスを示す図である。
【
図36】接続断判定の応答なしのメッセージシーケンスを示す図である。
【
図37】接続断判定の要求なしのメッセージシーケンスを示す図である。
【
図38】異常発生時のメッセージシーケンスを示す図である。
【
図40】メッセージ未達シーケンスを示す図である。
【
図44】サイクル停止・解除(再開)のシーケンスを示す図である。
【
図45】サイクル停止・解除(オーダクリア)のシーケンスを示す図である。
【
図46】緊急停止・解除のシーケンスを示す図である。
【
図47】緊急停止解除のシーケンスを示す図である。
【
図48】手動操作モードのシーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明に係るAGV経路探索モデル(AGV経路探索サーバ、AGV経路探索システム、AGV経路探索方法)の実施の一形態を詳細に説明する。なお、ルートは本実施形態では片側1本道であるが、2本のすれ違いも権利上はあることとする。
【0033】
本実施形態に係るAGV経路探索モデルは、
図1に示すように、自走体10とサーバ20とからなる。自走体10とは、グリッドに基づき走行する自走式台車(自走体10)とその制御システムに関するものであり、自走体10とは、自走体10の自走式の走行台車のことである。自走体10は、自体のレーザーセンサにより走行エリア内の特徴物による地図をサーバ20の指令で作り、その地図を元に自己位置を推定しながら走行する無人搬送台車である。
【0034】
サーバ20は、AGV経路探索モデルのシステムサーバであり、システム監視用PC30に収納されている。自走体10と前記自走体10の走行の目印となる複数のグリッドを用いたAGVシステムにおいて、座標に基づいて自走移動する自走体10が前記経路探索のための条件に基づき座標のデータを適宜再設定する(設定手段)。
図1に示すように、自走体10とサーバ20との通信は、Bluetooth通信、または無線Wi-Fi通信によって行われる。本仕様は、標準自走体のファームウェアを専用ソフトへアップデートすることで対応する。すなわち、本実施形態のソフトウェア構成は、
図18に示すように、システム監視用PC30におけるAGV走行最適化ソフトウェア31とAGV管理ソフトウェア32とからなり、自走体10の自律走行制御CPU12における無線通信ソフトウェア13、グリッド間移動制御ソフトウェア14と、ベースロボット15における制御ソフトウェア16とがUSBで接続されている。そして、サーバ20であるシステム監視用PC30と自走体10間でメッセージ送受信が行われ、接続確認は定周期メッセージ送受信で行い、メッセージ到達確認は応答メッセージで行う。
【0035】
通信インターフェースの無線Wi-Fi通信は、通信規格、周波数帯、通信速度、セキュリティ、通信形態、通信周期が設定されており、Bluetooth通信と無線Wi-Fi通信は共に同一の通信フォーマットを使用する。コマンドは全てサーバ20からのコマンドに対する自走体10からのレスポンスで動作する。また、複数バイトを使用するデータフォーマットはビッグエンディアンである。
【0036】
経路探索のための条件として、走行中の自走体10に対する障害物の出現や走行中の自走体に対する走行速度が変わった場合、座標間隔のピッチを可変にし、走行中の自走体10の種類、大きさ、台数、一定面積における走行密度が変わった場合において、自走体10の種類や大きさが小さくなり、台数が多くなれば、座標ピッチの調整上間隔は狭くなり、一定面積あたりの台数が多くなればそれに合わせて間隔も狭くなる。また、棚についても種類や大きさ、数量、一定面積あたりの密度により座標ピッチの間隔の調整が出てくる。さらに物流センター内にコンベヤや自動倉庫などの他のマテハン機器がある場合に、当然これらの装置と接続する可能性があり、その場合にも座標ピッチの間隔制御が必要である。特にマテハン機器に近づく場合には間隔を詰めて細かく制御する必要がでてくる。
【0037】
図17に示すように、サーバ20は、上記経路探索のための条件に基づき仮想的に座標を算出する(ステップ10:演算手段)と、算出した座標のデータを自走体10と該サーバ間でリアルタイムに送受信できる通信手段とを有し、自走体10の受信手段に(ステップ30)に送信するサーバ20の送信手段(ステップ20)とを有する。自走体10は、算出座標データを基に走行を開始する(ステップ40)。AGVローカル座標系を以下に定義する。
【0038】
すなわち、
図19に示すように、原点:自走体10位置(直下の2Dコード位置)、U軸:自走体10走行軸で走行時に使用するものでX軸との平行軸。C軸:自走体10正面を0°とした回転軸で回転時に使用するもので、Z軸を中心とした回転軸。2d座標系を以下に定義する。すなわち、
図20、
図21(a)、
図21(b)に示すように、X,Y軸を持つ平面の直交座標系であり、座標はグリッド(床面の2Dコード)単位である。
図21(a)はAGV管理ソフトウェア32の現時点の2次元座標・2Dコード対応表であり、左端と最下位は2次元座標、その他が2Dコードである。
図21(b)は、AGV管理ソフトウェア32画面の2Dコードと2次元座標の対応である。
【0039】
前記座標に基づいて自走移動する自走体10が障害物のある区域に到達したか否かを判定する(ステップ50)。この判定が満たされていなければ、前記座標データを基に走行する。判定が満たされていれば、障害物有りの情報を自走体10(ステップ60)からサーバ20に送信(ステップ70)する。これを契機に前記送信手段からの座標のデータを適宜再設定する(ステップ80:設定手段)。すなわちグリッドピッチを縮小する。この設定データを自走体10へ送信(ステップ90)し、自走体10はこれを受信(ステップ100)する。
【0040】
また、サーバ20は、グリッド方式のコマンドを当該自走体10に送信し、物品保管用ラックの大きさに応じてグリッドピッチを拡大又は縮小する。また、サーバ20は、障害物のある区域にある場合での前記グリッドの間隔をバリアブルに変更可能にする。すなわち、グリッド方式のコマンドを当該自走体10に送信し、障害物の無い区域にある場合は前記自走体10をグリッド方式に基づいて自走可能とし、ラックの大きさが大きい場合、自走体10の大きさが大きい場合、倉庫内で自走体10とラックが込み合った場合、障害物のある区域にある場合では前記自走体10はグリッド方式に替えて縮小したグリッドに置き換えても良い。そして、障害物のある区域での前記縮小したグリッドは、座標ピッチを可変にし、またグリッド方式のサイズをバリアブルに変更可能にしても良い。
【0041】
次に、グリッド型AGVシステムのインターフェース仕様について説明する。まず、メッセージ形式について、
図23を参照して説明する。メッセージフォーマットはメッセージヘッダとメッセージボデイで構成される。すなわち、メセージヘッダは、開始コード、バージョン、メッセージ種別、メッセージID、送信者ID、受信者ID、メッセージ番号、リターンコード、メッセージ長、送信日時:年、月、日、時、分、秒、ミリ秒、そしてメッセージボデイと終了コードを備える。メッセージヘッダのリターンコードは、受信メッセージの妥当性検証の結果であり、要求/通知メッセージとACKメッセージからなる。
【0042】
異常メッセージ発生時のメッセージシーケンスについては、
図22に示すように、AGV管理ソフトウェア32から自走体10に異常メッセージが送られる。自走体10は受信メッセージの妥当性を検証する。自走体10はACKのリターンコードを送り、移動/回転が停止する。AGV管理ソフトウェア32は、自走体10操作を中止しユーザへ通知する。ACKメッセージは、
図24に示すように、開始コード、バージョン、メッセージ種別、メッセージID、送信者ID、受信者ID、メッセージ番号、リターンコード、メッセージ長、送信日時:年、月、日、時、分、秒、ミリ秒、そして終了コードを備えている。定義データ(MVCD)において、自走体10は本メッセージで通知された日時にシステム時計を合わせる。定義データ受信後、ステータスデータ(MVST)の「AGVステータス」は「定義データ設定済」とする。自走体10起動直後、自走体10内部の運用モードは、「1:自動」とする。
【0043】
次に、手動操作(MVMO)は
図25に示すように、オーダID、U方向速度(直進)、U進行方向、U方向移動グリッド数、C方向速度(回転)、C回転方向が、型、長さ、データ、説明とともに開示され、また、操作競合時、すなわち、1回の手動操作に複数の操作が含まれていた場合、自走体10は異常メッセージとみなし、操作を実行しない。その際、ACKメッセージのリターンコードは「GE」とする。
【0044】
自動運転要求(MVAO)は
図26に示すように、オーダID、U方向速度(直進)、U方向移動グリッド数、C方向速度(回転)、C回転方向、停止、再開オーダID、上位オーダIDが、型、長さ、データ、説明とともに開示されている。要求競合時において一回の自動運転要求に複数の要求(移動、回転、停止)が含まれていた場合、自走体10は異常メッセージとみなす。停止指示は実行中の手動操作、自動運転要求よりも優先して実行される。停止指示の自走体10動作は、サイクル停止、停止解除(再開)、停止解除(オーダクリア)の各指示が動作とともに開示されている。サイクル停止中、自走体10はデータ要求、停止解除以外の自動運転要求以外のメッセージを受信した場合、異常メッセージとみなし、実行しない。その際、ACKメッセージのリターンコードは「GE」とする。停止中、ステータスデータの「AGVステータス」は「サイクル停止中」とする。再開オーダIDにおいて、停止解除(再開)時、AGV管理ソフトウェア32から再開する自動運転要求のオーダIDが指定される。一時停止中のオーダIDと一致しない場合、異常メッセージとみなし、再開しない。その際、ACKメッセージのリターンコードは「GE」とする。
【0045】
自動運転要求応答(MVAR)は、
図28に示すように、オーダID、オプション、応答種別、実行ステータス、エラーステータス、上位オーダIDが、型、長さ、データ、説明とともに開示されている。エラーステータスにてエラー発生を通知した自走体10、通知を受信したAGV管理ソフトウェア32は異常時動作を実行する。データ要求(MVDR)は、生存確認、手動操作/自動運転要求の状態監視のためである。
【0046】
ステータスデータ(MVST)は、
図29に示すように、2Dコード、ANGLE、位置ずれ、距離、向き、動作モード、右側速度制御値、左側速度制御値、右側速度計測値、左側速度計測値、距離センサch1計測距離、距離センサch2計測距離、バッテリ電圧、バッテリ残量、故障コード、エラーコード、AGVステータス、実行オーダID、オーダ実行ステータス、実行上位オーダIDそれぞれが、型、長さ、データ、説明とともに開示されている。故障コード、エラーコードにてエラー発生を通知した自走体10、通知を受信したAGV管理ソフトウェア32は異常時動作を実行する。自走体10起動時のステータスデータは、
図30に示すとおりである。
【0047】
動作コマンド(MVOC)は、
図31に示すように、オーダIDと、コマンドが型、長さ、データ、説明とともに開示されている。誤差補正コマンドを受信したAGVは、定点誤差補正を実行する。AGV管理ソフトウェア32は、補正結果をステータスデータの「2Dコード」、「ANGLE」「位置ズレ」から検知する。また、緊急停止、解除時の自走体10の動作は、
図32に示されている。緊急停止中、自走体10はデータ要求、停止解除以外の動作コマンド以外のメッセージを受信した場合、異常メッセージとみなし、実行しない。その際、ACKメッセージのリターンコードは「GE」とする。停止中、ステータスデータの「AGVステータス」は「緊急停止中」とする。
【0048】
次に、通信シーケンスの概要について、
図33に基づき説明する。自走体10起動から自走体10操作まで通信の概要シーケンスを以下に示す。自走体10起動において、自走体10が起動するとそれをAGV管理ソフトウェア32が検知する。AGV管理ソフトウェア32は自走体10操作準備として、定義データを設定し、自走体10はこれを受取る。生存確認において、AGV管理ソフトウェア32は定周期の自走体10状態取得を開始する。誤差補正において、AGV管理ソフトウェア32は、自走体10の位置・方向の誤差を補正する。自走体10操作において、AGV管理ソフトウェア32は自走体10の運用モードを設定する。AGV管理ソフトウェア32は自走体10に移動と回転を指示する。AGV管理ソフトウェア32は定周期で自走体10状態を取得し、運転状態を監視する。自走体10は自動運転要求のオーダ終了時に結果を通知する(自動運転要求のみ)。自走体10は起動後、AGV管理ソフトウェア32にステータスデータを送信する。AGV管理ソフトウェア32は、受信後、定義データを送信し、該当自走体10に対し生存確認を開始する。生存確認はデータ要求とステータスデータで行う。
【0049】
正常時の生存確認メッセージシーケンスは、
図35に示す通りである。自走体10からの応答がない場合の接続断判定メッセージシーケンスは、
図36に示す通りである。AGV管理ソフトウェア32からの要求がない場合の接続断判定メッセージシーケンスは
図37に示す通りである。自走体10の異常が通知された場合のメッセージシーケンスは
図38に示す通りである。
【0050】
接続復帰のメッセージシーケンスは、
図39に示すように、まずAGV管理ソフトウェア32と自走体10の接続断において、自走体10は応答があるまでステータスデータを定周期送信する。自走体10はステータスデータをAGV管理ソフトウェア32に送り、AGV管理ソフトウェア32はACKメッセージを自走体10に受信させる。自走体10は、ステータスデータ定周期送信を停止する。この手順は接続復帰するまで繰り返される。その後、生存確認が再開される。
【0051】
次に、メッセージ未達のメッセージシーケンスについて、
図40に基づいて説明する。要求/通知メッセージ送信後、既定時間内にACKメッセージを受信しない場合、メッセージ未達と判定し、再送する。まず、AGV管理ソフトウェア32は、ACKメッセージ待ち開始から自走体10より既定時間内にACKメッセージが無い場合、既定回数のメッセージを再送する。この手順は接続復帰するまで繰り返される。その後、既定回数送信もACKメッセージ無しと、AGV管理ソフトウェア32は判断した際には接続断と判定する。
【0052】
自走体10起動後、誤差補正が必要と判断した場合、AGV管理ソフトウェア32は誤差補正を指示する。まず、生存確認において、AGV管理ソフトウェア32は自走体10にデータ要求を実行する。自走体10はステータスデータを開始する。実行ステータスが終了していないと判断した際には、AGV管理ソフトウェア32は誤差補正実行中を検知する。自走体10は誤差補正が完了すると、AGV管理ソフトウェア32は自走体10にデータ要求を再度実行する。自走体10はステータスデータを開始する。実行ステータスが終了したものと判断した際に、AGV管理ソフトウェア32は誤差補正完了を検知する。
【0053】
自動運転要求のオーダ正常終了時のシーケンスは、
図42に示す通りである。また、自動運転要求のオーダ異常終了時のシーケンスは、
図43に示す通りである。また、オーダ再開時のサイクル停止・解除のメッセージシーケンスは、
図44に示すように、まず、自走体10停止の場合、AGV管理ソフトウェア32は自動運転要求(サイクル停止)を指示する。自走体10はAGVステータスをサイクル停止中に設定し、実行中オーダを一時停止し、最寄りのグリッド上で移動/回転停止し、サイクル停止実行を終了する。AGV管理ソフトウェア32は、自動運転要求応答(サイクル停止オーダ終了通知)を自走体10に実行させる。自走体10停止解除の場合、AGV管理ソフトウェア32は、自動運転要求(停止解除)を指示する。自走体10は一時停止オーダを復活させる。AGV管理ソフトウェア32は、自動運転要求応答(停止解除オーダ終了通知)を自走体10に実行させる。自走体10は、AGVステータスのサイクル停止中を解除する。その後、オーダが再開する。
【0054】
オーダクリア時のサイクル停止・解除のメッセージシーケンスは、
図45に示すように、まず、自走体10停止解除において、AGV管理ソフトウェア32は、自動運転要求(停止解除)を指示すると、自走体10はオーダをクリアする。その後、自動運転要求(新規オーダ)がなされると、自走体10は新規オーダを実行する。緊急停止・解除のメッセージシーケンスは
図46および
図47に示す通りである。手動操作モードのメッセージシーケンスは、
図48に示す通りである。
【0055】
図46では、AGV緊急停止の場合、AGV管理ソフトウェア32は自走体10へ緊急停止の動作コマンドを要求する。自走体10はAGVステータスを緊急停止中に設定し、緊急停止が開始される。生存確認は、自走体10にデータ要求を実行し、自走体10はステータスが終了していないものとAGV管理ソフトウェア32に通知する。AGV管理ソフトウェア32は緊急停止実行中を検知する。自走体10は、その場で移動/回転を停止し、緊急停止が完了すると、AGV管理ソフトウェア32からデータ要求が自走体10に送られる。自走体10はAGV管理ソフトウェア32にステータスが終了したものと通知する。AGV管理ソフトウェア32は緊急停止完了を検知する。
【0056】
図47では、AGV緊急停止解除において、AGV管理ソフトウェア32から自走体10へ緊急停止解除の動作コマンドが通知される。自走体10は緊急停止解除を開始する。生存確認においては、AGV管理ソフトウェア32は自走体10へデータ要求を伝達し、ステータスが終了していないものと自走体10はAGV管理ソフトウェア32に送られる。AGV管理ソフトウェア32はこの緊急停止解除実行中を検知する。自走体10は、極微速度で2Dコード上まで前進し、2Dコード読取後、停止する。自走体10は緊急停止解除完了すると、AGVステータスの緊急停止中を解除する。AGV管理ソフトウェア32から自走体10へデータ要求がおくられると、自走体10はステータスが終了したものとAGV管理ソフトウェア32に伝達する。AGV管理ソフトウェア32は緊急停止解除完了を検知する。その後、自走体10は、自動運転要求(新規オーダ)がAGV管理ソフトウェア32から送られ、自走体10は、新規オーダを実行する。
【0057】
図48では、運用モードが既に手動の場合は実行せず、AGV管理ソフトウェア32は、自走体10に運用モードの設定を通知する。生存確認においては、AGV管理ソフトウェア32から自走体10へデータ要求がおくられると、ステータスが終了していないものと自走体10はAGV管理ソフトウェア32に送られる。AGV管理ソフトウェア32は手動操作実行中を検知する。自走体10は、手動操作完了する。AGV管理ソフトウェア32から自走体10へデータ要求がさらに送られる。自走体10はAGV管理ソフトウェア32へ実行ステータスが終了したものと伝達する。AGV管理ソフトウェア32は手動操作完了を検知する。
【0058】
次に、本システムの機能ブロックについて説明する。
図2に示すように、AGB11に備えた自走体10には、制御部10Aと通信インターフェースの通信部10B(受信手段)とがあり、サーバ20には、制御部20Aと通信インターフェースの通信部20B(送信手段)とにわたり、コマンド一覧としてステータス取得コマンド21、行先指示コマンド22(演算手段)、定量動作コマンド23、地図切り替えコマンド24(設定手段)、コースデータread/writeコマンド25が設定され、これらコマンドはサーバ20の送信手段である通信部20Bから自走体10の受信手段である通信部10Bへ送信される。
【0059】
先ず、
図3に示すように、サーバ20から自走体10へ向けて、シーケンス番号、自走体汎用I/O(出力)操作、条件判定フラグ等のステータス取得コマンド21が送信される。
【0060】
サーバ20からのコマンドに対して、自走体10から4つのレスポンスが返信される。
図4に示すように、目的地のX座標、Y座標、角度と条件判定フラグが返信される。
【0061】
また、
図5に示すように、エラー情報、運行設定情報、電池残量、電池電圧、Wi-Fi RSSI、測位信頼度、追加エラー情報、走行コース番号が返信される。
【0062】
また、
図6に示すように、右軸のモータ電流、左軸のモータ電流、マーカ番号、自走体汎用I/O(出力)操作、自走体汎用I/O(入力)が返信される。
【0063】
また、
図7に示すように、自走体入力情報、シーケンス番号が返信される。
【0064】
次に、サーバ20から自走体10へ向けて、行先指示コマンド22(演算手段)が送信される。このときサーバ20は、庫内のラックの位置に対応して仮想的に座標を算出する。
図8に示すように、位置同定動作制御として、位置同定制御コード、コース始点のX座標、コース始点のY座標が送信される。
【0065】
図9に示すように、自走体10からサーバ20へ向けて、実行結果、現在地図番号、許可情報が返信される。
【0066】
次に、
図10に示すように、サーバ20から自走体10へ向けて、走行制御として、制御コード、目的地のX座標、目的地のY座標、目的地の角度が送信され、自走体10からサーバ20へ向けて、実行結果が返信される。
【0067】
次に、
図11に示すように、サーバ20から自走体10へ向けて、走行基本情報設定として、台車方向、速度、円弧半径、加速時間および減速時間、走行コース番号が送信され、自走体10からサーバ20へ向けて、実行結果が返信される。
【0068】
次に、
図12に示すように、サーバ20から自走体10へ向けて、走行拡張情報1として、障害物回避方向、最小回避距離、最大回避距離、インポジション範囲(自走体が目標に到達したと判断する距離)、旋回速度、旋回加速度、旋回減速度が送信され、自走体10からサーバ20へ向けて、実行結果が返信される。
【0069】
次に、
図13に示すように、サーバ20から自走体10へ向けて、走行拡張情報2として、障害物検知設定、障害物不検出設定(後以外)、後の障害物検知設定、後の障害物不検出設定が送信され、自走体10からサーバ20へ向けて、実行結果が返信される。
【0070】
上記した位置同定動作制御、走行制御、走行基本情報設定、走行拡張情報1、走行拡張情報2の各コマンドがすべて正常に受信した後に、自走体10は自動運転を開始する。
【0071】
次に、サーバ20から自走体10へ向けて、定量動作コマンド23が送信される。すなわち、
図14に示すように、定量動作コマンド23である運行指令、後以外の障害物検知設定、後の障害物検知設定、加速時間及び減速時間、移動前後、移動旋回の情報を自走体10に送信する。自走体10からサーバ20へ向けて、実行結果が返信される。
【0072】
次に、サーバ20から自走体10へ向けて、地図切り替えコマンド24(設定手段)が送信される。すなわち、自走移動するAGVが障害物のある区域に到達したのを契機に前記サーバ20からの座標データのピッチを可変にして適宜再設定する。障害物のある区域では前記AGVはグリッド方式に替えて縮小したグリッドに置き換える。
図15に示すように、地図番号設定、X座標の切替座標指定、Y座標の切替座標指定、角度の切替座標指定を自走体10に送信する。自走体10からサーバ20へ向けて、実行結果が返信される。この結果は、コマンドを正常に受け付けたかどうかの結果である。
【0073】
次に、サーバ20から自走体10へ向けて、コースデータread/writeコマンド25が送信される。すなわち、自走体10上に保存されているコースデータをread/writeする。
【0074】
図16に示すように、読み込み/書き込みを指定するR/W、対象のコース番号を指定するコース番号、読み込み/書き換えを行うデータを指定するNUM、上段の読み込みと下段の書き込みデータ6~データ13が送信される。自走体10からサーバ20へ向けて、実行結果が返信される。この結果は、読み込み/書き込みを指定するR/W、対象のコース番号を返信するコース番号、読み込み/書き換えを行ったデータNUMを返信するNUM、上段の読み込みと下段の書き込みデータ6~データ13が返信される。なお、コースデータは1パケットですべてのデータを送受信することができないため、NUMをインクリメントして指定し、複数回送受信を行う。
【0075】
QRコード(登録商標)を庫内の各ラック位置に対応して貼り付けた場合、QRコード(登録商標)通過時にずれ量を検出し、補正しながら次のQRコード(登録商標)に対して走行する。これは相対座標系での走行制御であり、自走体10にはQRコード(登録商標)リーダが搭載される。
【0076】
QRコード(登録商標)と同様に仮想マーカが庫内の各ラック位置に対応して配置させた場合、仮想マーカ通過時にずれ量を検出し、補正しながら、次の仮想マーカに対して走行する。すなわち、絶対座標で仮想マーカに対して位置決めする。また、与えられたX座標、Y座標、角度Θに対して最短距離で移動する。人、AGV、フォークリフト、移動棚等の風景変化により、絶対座標系の精度がおちる。
【0077】
自走体10は、搬送用途であったり、ピッキング用途であったり、その用途に応じてさまざまな形態が考えられるものであり、特に、天板部分には、下記に示すように、目的に沿ったアタッチメント方式の各種装置が設けられることから、トラックの荷台のように多くのバリエーションを有する形態となる。
(1)天板が上下動する形態:例えば、天板の下にテレスコ(登録商標)ピック機構やパンタグラフ機構からなる上下動機構を設け、それにより天板を上下させることができる自走体を運用するソリューションが考えられる。例えば自走体が物流センター内に複数設けられた棚の下に潜り込んで、その棚を天板の上下動機構で持ち上げて固定し、所望の場所(例えばGTPステーション GTP:Goods to personの略)に棚ごと運ぶソリューションである。
(2)自走体の天板にクレーンを設けるタイプと、天板にバスケットを設けるタイプの2種類を用いるソリューション:クレーン自走体が棚の前に停車し、棚から物品を取り出してバスケット自走体のバスケットに物品を投入し、バスケット自走体がGTPステーションまで物品を運ぶソリューションである。
(3)天板にコンベヤ(ベルトコンベヤやローラコンベヤ)を設けた自走体を用いるソリューション:例えば物流センター内の搬送ラインに自走体が停車できる空間(物品受領口)が設けられており、搬送ラインから送られる物品を物品受領口で受け取って天板のコンベヤに移載し、GTPステーションまで運ぶソリューションである。
(4)天板が自走体の中心線を軸にバタフライバルブのように両側に傾斜できる構造の自走体を用いるソリューション:(3)のソリューションと同様に自走体が搬送ラインの物品受領口で物品を受領後、天板は水平状態でGTPステーションのような目的地まで移動する。目的地には穴が開いており、物品を穴に向けて天板を傾斜させて落とし込むソリューション。穴の下にはコンベヤライン、トラックの荷台など別の場所に搬送する手段が設けられている場合が多い。
(5)自走体が連結して搬送するソリューション:自走体は単独の走行だけでなく、自走体同士連結して搬送する場合もあってよい。自走車の長さが連結により長くなるので、可変グリッドによる細かい制御により自走車同士の衝突回避や他の物品への衝突回避に役立つ。
(6)(3)と(5)をミックスさせたソリューション:自走体天板に、走行方向と90度異なる方向にコンベヤが形成されており、この自走体が走行方向に複数連結して円状に配置されるソリューションである。このようなコンベヤ型の自走体ソリューションは、空港などで運用されているクロスベルト型ソータと同じ機能を有するものになり、しかもクロスベルト型ソータのように床に走行用の円状レールを設ける必要がないことから、簡便・早期に設置可能であり、かつ設置場所の制約も少なくなり、さらに自走体の増解結が容易なことから故障時の対応や保守対応もやりやすいという利点も多い。
(7)自走体が人の動きに追従するソリューション:(2)のソリューションの場合、クレーン自走体を利用するが、人がピッキング目的の棚にバスケット自走体を連れて移動し、ピッキングした物品をバスケットに投入し、人と一緒にバスケット自走体が移動するソリューションであってもよい。また、空港などで複数の大きな荷物を一人で移動しなければならないときなど有用である。
以上、グリッドピッチが可変できることで衝突回避などのきめの細かい制御が可能となり、安全面において優れたものとなる。
【0078】
なお、上記したステータスコマンド、行先指示コマンド、定量動作コマンド、地図切り替えコマンド、コースデータread/writeコマンド等の処理プログラムは、事前にメモリ(ROM)に記憶させるのではなく、適宜の記録媒体に記録しておいても良い。この場合、サーバ20の制御部20Aが読み取りを行って当該処理プログラムの取得を行い、取得後に制御部20Aが当該プログラムを実行する。
【0079】
なお、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0080】
10…自走体
10A…制御部
10B…通信手段(受信手段)
11…AGVシステム
12…自律走行制御CPU
13…無線通信ソフトウェア
14…グリッド間移動制御ソフトウェア
15…ベースロボット
16…制御ファームウェア
20…サーバ(サーバ)
20A…制御部
20B…通信手段(送信手段)
21…ステータス取得コマンド
22…行先指示コマンド(演算手段)
23…定量動作コマンド
24…地図切り替えコマンド(設定手段)
25…コースデータread/writeコマンド
30…システム監視用PC
31…AGV走行最適化シフトウェア
32…AGV管理ソフトウェア