(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】電磁気場を用いたパウチ形電池ケース成形装置及びこれを用いるパウチ形電池ケース成形方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/105 20210101AFI20240509BHJP
B29C 33/42 20060101ALI20240509BHJP
B65D 85/88 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
H01M50/105
B29C33/42
B65D85/88
(21)【出願番号】P 2022563857
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(86)【国際出願番号】 KR2021014087
(87)【国際公開番号】W WO2022086032
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2022-10-21
(31)【優先権主張番号】10-2020-0136880
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チ、ホ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ハン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ムーン、ジェオン オー
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジン ヨン
【審査官】儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0098581(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0051868(US,A1)
【文献】特開2000-133216(JP,A)
【文献】特開平01-122624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/105
B29C 33/42
B65D 85/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラミネートシートを加圧してパウチ形電池ケースを成形するパンチ;
前記パンチによって成形される電極組立体収納部と対応する大きさの収容部が形成されたダイ;
前記ラミネートシートの外周辺を固定するためのホルダー;
を含むパウチ形電池ケース成形装置であって、
前記パンチは、電磁気場を生成可能な手段が付加されている、パウチ形電池ケース成形装置。
【請求項2】
ラミネートシートを加圧してパウチ形電池ケースを成形するパンチ;
前記パンチによって成形される電極組立体収納部と対応する大きさの収容部が形成されたダイ;
前記ラミネートシートの外周辺を固定するためのホルダー;
を含むパウチ形電池ケース成形装置であって、
前記パンチは、電磁気場を生成可能な手段が付加され、
前記パンチのうち前記ラミネートシートを加圧する面は、中心から外側方向に延長して突出している、パウチ形電池ケース成形装置。
【請求項3】
前記延長して突出している部分の断面形状は、鋭角をなす、請求項
2に記載のパウチ形電池ケース成形装置。
【請求項4】
前記鋭角の角部位は、ラウンド処理される、請求項
3に記載のパウチ形電池ケース成形装置。
【請求項5】
前記延長して突出している部分に隣接して、電気導線を巻回して形成されたパンチコイルが付加されている、請求項
2に記載のパウチ形電池ケース成形装置。
【請求項6】
前記電磁気場を生成可能な手段は、電気導線を巻回して形成されたパンチコイル(Punch Coil)である、請求項1から5のいずれか一項に記載のパウチ形電池ケース成形装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のパウチ形電池ケース成形装置を用いるパウチ形電池ケース成形方法であって、
S1)ダイの上部にラミネートシートを配置する段階;
S2)ホルダーを用いて前記ラミネートシートを前記ダイに固定する段階;及び
S3)電磁気場を生成可能な手段が付加されたパンチを用いて前記ラミネートシートを加圧する段階;
を含むパウチ形電池ケース成形方法。
【請求項8】
ラミネートシートを加圧してパウチ形電池ケースを成形するパンチ;
前記パンチによって成形される電極組立体収納部と対応する大きさの収容部が形成されたダイ;
前記ラミネートシートの外周辺を固定するためのホルダー;
を含むパウチ形電池ケース成形装置であって、
前記パンチは、電磁気場を生成可能な手段が付加されている、パウチ形電池ケース成形装置を用いるパウチ形電池ケース成形方法であって、
S1)ダイの上部にラミネートシートを配置する段階;
S2)ホルダーを用いて前記ラミネートシートを前記ダイに固定する段階;及び
S3)電磁気場を生成可能な手段が付加されたパンチを用いて前記ラミネートシートを加圧する段階;
を含み、
前記S3)段階は、
S3-1)前記パンチを用いて前記ラミネートシートを前記ダイの湾入部の一部の深さまで圧縮する予備成形段階;
S3-2)前記湾入部に挿入された状態の前記パンチの前記電磁気場を生成可能な手段に交流電流を印加することによって発生する電磁気場によって前記ラミネートシートの金属層の振動を生成させる段階;
に取り替えられる、パウチ形電池ケース成形方法。
【請求項9】
前記電磁気場を生成可能な手段は、前記パンチが前記ラミネートシートを加圧する時に作動する、請求項7
または8に記載のパウチ形電池ケース成形方法。
【請求項10】
前記電磁気場を生成可能な手段に交流電流を印加することによって発生する電磁気場によって前記ラミネートシートの金属層と前記パンチの振動を生成させる、請求項
9に記載のパウチ形電池ケース成形方法。
【請求項11】
前記電磁気場を生成可能な手段に単電流及び高電流パルスを印加して強い電磁気衝撃を発生する段階をさらに含む、請求項7から10のいずれか一項に記載のパウチ形電池ケース成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、2020年10月21日付韓国特許出願第2020-0136880号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本願発明は、電磁気場を用いたパウチ形電池ケース成形装置及びこれを用いるパウチ形電池ケース成形方法に関する。具体的には、パウチ形電池ケースとして用いられるラミネートシートを直方体状に成形するパンチを含む装置であって、前記ラミネートシートの表面損傷を最小化するために前記ラミネートシートに高周波振動を発生させる電磁気場を利用するパウチ形電池ケース成形装置、及びこれを用いるパウチ形電池ケース成形方法に関する。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器と電気自動車などのエネルギー源として二次電池の需要が急増している。特に、高いエネルギー密度と放電電圧を有するリチウム二次電池の需要が非常に高い。
【0004】
リチウム二次電池は、形状によって、円筒形電池、角形電池、パウチ形電池などに区別できる。パウチ形電池は、高い集積度で積層されてよく、重量当たりにエネルギー密度が高く、安価で、変形させやすいという長所がある。パウチ形電池は、ラミネートシートを電池ケースとして使用し、このようなラミネートシートに形成された収納部に電極組立体と電解液が共に内蔵された構造を有する。
【0005】
パウチ形電池の収納部は、延性のラミネートシートを固定させた状態で、パンチでシートを加圧するディープドローイング(deep-drawing)方式によって形成される。パンチ加圧時に、パンチとラミネートシートとの接触による摩擦力と、ラミネートシートが有する延性の限界によって、ラミネートシートの外面にピンホール(pin-hole)又はクラック(crack)などの欠陥が発生する。ディープドローイング成形が進むにつれて、パンチエッジ(edge)末端部での摩擦力は指数関数的に増加し、これにより、パンチエッジ末端部と接触するラミネートシートに欠陥が頻繁に発生する。このような理由で、電池ケースとして用いられるラミネートシートの厚さを無条件で薄くすることはできず、結局として、単位体積当たりの容量を高める上で限界として働く。
【0006】
上記のような問題を解決するために、加圧パンチの内部にヒーターを配置する、電磁気力生成部を含む、或いは低い摩擦力係数の素材からなるパンチヘッドを備えて加工するなどの様々な試みがなされている。
【0007】
特許文献1は、二次電池のパウチ残存率の確保のための成形に関し、下部側の成形ダイと上部側の加圧パンチ、前記成形ダイと加圧パンチとの間にパウチ用成形金属が配置され、前記成形ダイと加圧パンチの側面導入部にホルダー又はローラが位置し、前記成形ダイ、加圧パンチ、及びホルダー又はローラの内部にはヒーターが配置されて成形される方法である。
【0008】
特許文献1は、パウチ成形金属を成形する時にヒーターを配置してコーナー部を加熱することにより、パウチ金属の残存率及び柔軟性を高め、電極組立体収容部の下端コーナーのクラック発生を防止する方法である。
【0009】
特許文献2は、パウチ成形装置に関し、次の構成を備える。上面から成形空間が内側に陥没形成され、前記成形空間の開放部を形成する第1角が第1曲率半径にフィレット(fillet)されるダイ;前記ダイの上方に配置され、パウチフィルムが前記ダイの上面に載置すると、下降して前記パウチフィルムを挟んで前記ダイと当接しつつ前記パウチフィルムを固定させるホルダー;及び、前記成形空間の上方に配置され、電磁気力を生成して前記成形空間に向けて前記電磁気力を印加する電磁気力生成部を含む。
【0010】
特許文献2で、電磁気力生成部は、まず、成形空間の上方に配置され、電磁気力を生成して成形空間に向けて電磁気力を印加する。前記電磁気力(反撥力、ローレンツ力)によってパウチフィルムに成形空間に沿ってカップ部が密着してドローイング成形される。
【0011】
特許文献3は、電池ケース成形装置に関し、ダイ、パンチ及びホルダーからなっている。特許文献3では、従来のパンチに比して低い0.04~0.2の範囲の摩擦力係数を有するパンチヘッドを導入し、パンチのディープドローイングによるシート状基材のクラックを防止する。
【0012】
特許文献1~特許文献3では、クラック発生を防止する構成を備えているが、本願発明で適用したパンチとラミネートシートとの摩擦力減少のための電磁気場技術構成については開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】韓国公開特許第2018-0092174号公報
【文献】韓国公開特許第2019-0098581号公報
【文献】韓国公開特許第2018-0028194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本願発明は、上記のような問題点を解決するためのものであり、パウチ形電池ケースを成形する時に、パンチとラミネートシートとの摩擦を減少させ、ラミネートシートが損傷することを防止できる電磁気場を用いたパウチ形電池ケース成形装置及びこれを用いるパウチ形電池ケース成形方法を提供することを目的とする。
【0015】
また、本願発明では、ラミネートシートの成形性が向上するパウチ形電池ケース成形方法を提供することを目的とする。
【0016】
また、本願発明では、エネルギー密度を増大させることができるパウチ形電池ケース成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記のような問題点を解決するために、本願発明は、ラミネートシートを加圧してパウチ形電池ケースを成形するパンチ;前記パンチによって成形される電極組立体収納部と対応する大きさの収容部が形成されたダイ;前記ラミネートシートの外周辺を固定するためのホルダー;を含むパウチ形電池ケース成形装置であって、前記パンチは、電磁気場を生成可能な手段が付加された、パウチ形電池ケース成形装置を提供する。
【0018】
本願発明に係るパウチ形電池ケース成形装置において、前記電磁気場を生成可能な手段は、電気導線を巻回して形成されたパンチコイル(Punch Coil)であってよい。
【0019】
本願発明に係るパウチ形電池ケース成形装置において、前記パンチのうち前記ラミネートシートを加圧する面は、中心から外側方向に延長して突出してよい。
【0020】
本願発明に係るパウチ形電池ケース成形装置において、前記延長して突出している部分の断面形状は、鋭角をなしてよい。
【0021】
本願発明に係るパウチ形電池ケース成形装置において、前記鋭角の角部位は、ラウンド処理されてよい。
【0022】
本願発明に係るパウチ形電池ケース成形装置において、前記延長して突出している部分に隣接して、電気導線を巻回して形成されたパンチコイルが付加されてよい。
【0023】
本願発明では、S1)ダイの上部にラミネートシートを配置する段階;S2)ホルダーを用いて前記ラミネートシートを前記ダイに固定する段階;及び、S3)電磁気場を生成可能な手段が付加されたパンチを用いて前記ラミネートシートを加圧する段階;を含むパウチ形電池ケース成形方法を提供することができる。
【0024】
本願発明に係るパウチ形電池ケース成形方法において、前記電磁気場を生成可能な手段は、前記パンチが前記ラミネートシートを加圧する時に作動してよい。
【0025】
本願発明に係るパウチ形電池ケース成形方法において、前記電磁気場を生成可能な手段に交流電流を印加することによって発生する電磁気場によって前記ラミネートシートの金属層及び/又は前記パンチの振動を生成させることができる。
【0026】
本願発明に係るパウチ形電池ケース成形方法において、前記S3)段階は、S3-1)パンチを用いて前記ラミネートシートを前記ダイの湾入部の一部の深さまで圧縮する予備成形段階;S3-2)前記湾入部に挿入された状態の前記パンチの前記電磁気場を生成可能な手段に交流電流を印加することによって発生する電磁気場によって前記ラミネートシートの金属層の振動を生成させる段階;に取り替えられてよい。
【0027】
また、本願発明に係るパウチ形電池ケース成形方法は、前記電磁気場を生成可能な手段に単電流及び高電流パルスを印加して強い電磁気衝撃を発生する段階をさらに含むことができる。
【0028】
また、本願発明では、前記パウチ形電池ケース成形方法によって製造されたパウチ形電池ケースを提供できる。
【0029】
また、本願発明では、前記パウチ形電池ケースを含む二次電池を提供できる。
【0030】
本願発明は、上記のような構成のうち、相反しない構成を1つ又は2つ以上選んで組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0031】
本願発明は、上記のような問題点を解決するためのものであり、パウチ形電池ケースを成形する時に、パンチに印加された電磁気場によって形成されるラミネートシートの振動によってパンチとラミネートシートとの摩擦力が減少し、ラミネートシートの損傷を防止する効果がある。
【0032】
本願発明において、パウチ形電池ケース成形装置のパンチ加圧面の縁部に形成されてパンチ突出部に電磁気場を形成してラミネートを成形することによって、パウチ形電池ケースにおいて電極組立体収納部の角部分の成形性が向上する効果がある。
【0033】
また、パウチ形電池ケースの成形性の向上によって収納部の容量が増加し、エネルギー密度が向上する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本願発明の第1実施例に係るパウチ形電池ケース成形装置の断面図である。
【
図2】本願発明の第1実施例に係るパウチ形電池ケースを製造する一連の過程を示す模式図である。
【
図3】本願発明の第1実施例に係るパウチ形電池ケースを製造する一連の過程を示す模式図である。
【
図4】本願発明の第1実施例に係るパウチ形電池ケースを製造する一連の過程を示す模式図である。
【
図5】本願発明の第1実施例に係るパウチ形電池ケースを製造する一連の過程を示す模式図である。
【
図6】本願発明の第1実施例に係るパウチ形電池ケースを製造する一連の過程を示す模式図である。
【
図7】本願発明の第2実施例に係るパンチの一部分を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が本願発明を容易に実施できる実施例を詳細に説明する。ただし、本願発明の好ましい実施例に対する動作原理を詳細に説明するとき、関連する公知機能又は構成に関する具体的な説明が本願発明の要旨を却って曖昧にし得ると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0036】
なお、図面中、類似の機能及び作用をする部分に対しては同一の図面符号を使用する。明細書全体を通じて、ある部分が他の部分と連結されているとしているとき、これは、直接に連結されている場合の他に、それらの間にさらに他の素子を介在して間接に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むということは、別に断らない限り、他の構成要素を除外する意味ではなく、他の構成要素をさらに含んてもよいことを意味する。
【0037】
また、構成要素を限定又は付加して具体化する説明は、特に制限がない限り、いかなる発明に適用されてもよく、特定の発明に限定しない。
【0038】
また、本願発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって単数で表示されたものは、特に言及されない限り、複数である場合も含む。
【0039】
また、本願発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって、「又は」は、特に言及されない限り、「及び」も含むものである。したがって、「A又はBを含む」とは、Aを含む、Bを含む、A及びBを含む、3つのいずれの場合をも意味する。
【0040】
また、全ての数値範囲は、明確に除外するとの記載がない限り、両端の値とその間における全ての中間値を含む。
【0041】
以下、本願発明に係る実施例を、図面を参照して説明する。
【0042】
図1は、本願発明の第1実施例に係るパウチ形電池ケース成形装置10の断面図である。
【0043】
図1を参照すると、本願発明の第1実施例に係る成形装置10は、ラミネートシート100に電極組立体の装着のための収納部を成形する装置であり、そのために、ダイアセンブリー200及びパンチ300を含む。
【0044】
ダイアセンブリー200は、ラミネートシート100の成形予定部位101に隣接したラミネートシート100の外周部を定位置固定させるための構成であり、収納部に対応する形状に形成されている湾入部220、及び平面視で湾入部220の両側に位置しており、その上端にラミネートシート100を装着する外周壁230を含んでいるダイ210と、外周壁230の上側部に対応する位置で押下してラミネートシート100の外周部を定位置固定させるホルダー240とを含む。
【0045】
パンチ300は、ダイアセンブリー200によって定位置固定した状態のラミネートシート100の成形予定部位101を加圧し、ディープドローイング方式によってラミネートシート100に収納部の形状を成形するための構成である。パンチヘッド310をパンチと呼ぶ場合もあるが、本願発明では、当該部分をパンチヘッド310と区別し、これを含む全体をパンチ300と呼ぶ。
【0046】
ラミネートシートのうち、湾入部220と対面する部位を加圧するパンチヘッド310の面は、中心から外側方向に延長して突出する突出部を形成し、この突出部をパンチ突出部320と呼ぶ。
【0047】
パンチ突出部320は、パンチヘッド310の加圧面が延長して形成されるパンチ突出部320の下部面(図面番号省略)と前記下部面と一定の角度をなしながらパンチヘッド310の外周面と接する上部面(図面番号省略)が、パンチヘッド310の下端周縁に結合して形成される。パンチ突出部320の上部面と下部面は鋭角をなしてよい。
【0048】
パンチ突出部320の角部分は、角張ったくさび状であってよいが、好ましくは、ラウンド状に構成される。パンチ突出部320の角部分がラウンド状であれば、ドローイング成形過程でパンチ突出部320の角部分とラミネートシート100との摩擦力を相対的に減らすことができ、ラミネートシート損傷を防止するのに有利である。
【0049】
また、パンチ突出部320とパンチヘッド310は個別に製作され、溶接などの方式で構成することも可能であり、一体に製作して構成されてもよい。
【0050】
パンチヘッド310の外周面には、電気導線を巻回してパンチコイル400を形成する。パンチコイル400に交流電流を印加すると、パンチ300の先端部に電磁気場が形成され、特に、パンチ突出部320の角部分に相対的に高い電磁気場が形成される。また、パンチコイル400に磁束(magnetic flux)の変化が発生し、隣接した位置に配置されたラミネートシート100に誘導電力が発生して電磁気場が誘導される。互いに対面するパンチ電磁気場とラミネートシートの誘導された電磁気場は相互作用し、交流電流の周波数によって微細な振動が発生する。特に、パンチ突出部320の角部分での微細振動が相対的に高く形成される。前記振動によってパンチとラミネートシートとの摩擦を減少できる効果がある。パンチコイル400に単電流及び高電流パルスを印加すればより強い電磁気場が形成され、よって、より強い振動が生成され得る。
【0051】
また、パンチ突出部320の角部分では強い電磁気場が形成され、対面するラミネートシートに、より強い誘導電力を発生させ、短い瞬間に強いローレンツ力(Lorent'z Force)を受け、角部分のラミネートシートの損傷を防止しながら精密な成形がなされ得る。
【0052】
パンチコイル400は、パンチヘッド310の外周面の全体に又は一部にのみ備えられてよく、好ましくは、パンチ突出部320からパンチヘッド310の上部側に備えられる。パンチ突出部320の近く位置するほど、ラミネートシートに電磁気場がより効果的に作用し、ラミネートシート損傷の防止と成形性の向上に有利である。
【0053】
ラミネートシート100は、固定ダイ210とホルダー240との間に位置するが、より詳細には、ラミネートシート100の成形予定部位101以外の外周部が固定ダイ210の外周壁230の上端に装着され、これに対応する上側部にはホルダー240が位置している。
【0054】
本願発明に係るラミネートシート100は、例えば、熱融着性の第1樹脂層、物質遮断性の金属層、及び外層としての第2樹脂層の積層構造であるか、又は熱融着性の樹脂層及び物質遮断性の金属層が積層された構造であってもよい。
【0055】
前記熱融着性の第1樹脂層は、電解液の侵入を抑制するために、吸湿性が低く、電解液によって膨脹又は侵食しない素材として、例えば、ポリオレフィン(polyolefin)系樹脂が使用されてよい。
【0056】
前記物質遮断性の金属層は、ガス、湿気などの異物の流入又は漏出を防止する機能の他にも電池ケースの強度を向上させることができるように、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、又はステンレス鋼が使用されてよい。
【0057】
前記第2樹脂層は、電池ケースの外層を形成する高分子樹脂層であり、外部環境に対して優れた耐性を有するように所定以上の引張強度と耐候性が要求されるので、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、延伸ナイロンなどが使用されてよい。
【0058】
前記パンチヘッド300のうち、前記ラミネートシート100と接する部分は、少なくとも低摩擦力係数(frictional coefficient)の素材からなってよく、前記低摩擦力係数の素材は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、及びナイロンからなる群から選ばれる一つであってよい。
【0059】
図2~
図6は、本願発明の第1実施例に係るパウチ形電池ケースを製造する一連の過程を示す模式図である。
【0060】
図2を参照すると、ラミネートシート100の下面はダイアセンブリー200に固定されており、ラミネートシート100の上側には、成形予定部位101を加圧するためのパンチ300が位置している。
【0061】
図1を
図2と一緒に参照すると、ラミネートシート100の下面が固定ダイ210の外周壁230の上端に装着された状態で、ラミネートシート100の上面がホルダー240によって加圧されて定位置に固定される。ラミネートシート100がダイアセンブリー200によって定位置に固定された後には、収納部形成のためのディープドローイング工程が行われる。
【0062】
図3を参照すると、ラミネートシート100に収納部を成形し始める前に、パンチ300がラミネートシート100の上面に接している様子が示されている。パンチ300は、ラミネートシート100の上側に位置した状態で矢印方向に直線移動してパンチの下端面が成形予定部位101の上面に接する。
【0063】
図4を参照すると、ラミネートシート100の成形予定部位101をパンチで加圧してラミネートシート100に収納部を成形する過程が模式的に示されている。
【0064】
パンチ300がラミネートシート100に接した状態で連続して行われる工程段階であり、矢印方向に直線移動するパンチはラミネートシート100を加圧し、パンチ300の加圧面と対面するラミネートシート100が湾入部220の内部に位置する。
【0065】
ここで、パンチ加圧面と対面するラミネートシート100が湾入部220の内部の一定位置まで加圧されると、パンチコイル400に交流電流を印加しながら、パンチ300で続けてラミネートシート100を加圧する。
【0066】
加圧初期にはラミネートシート100が延伸される角度が小さくて、パンチ300とラミネートシート100との摩擦力も小さいので、成形がある程度なされてからパンチコイル400に電流を印加することが好ましい。パンチ300の加圧面と対面するラミネートシート100が、湾入部220の全体深さに対比して、外周壁230の上端部から40%~70%の深さに位置する時に、パンチコイル400に交流電流を印加することが、電力消費節約にも有利である。
【0067】
図5及び
図6を参照すると、パンチコイル400に単電流及び高電流パルスを印加し、ラミネートシート100が湾入部220で形成した電極組立体収納部の角部分を高速成形する過程が模式的に示されている。
【0068】
パンチ300の加圧面、及び前記加圧面と対面するラミネートシート100が、湾入部220の底内面に密着した時に単電流及び高電流パルスを印加し、強い電磁気場が形成されながら、パンチ突出部320と対面する収納部の角部分の曲率半径が小さくなりながら収納部を成形する。
【0069】
本願発明は、前記成形過程で、前記ラミネートシートの上面に成形用フィルム部材を付着させて電池ケースを成形した後、前記成形用フィルム部材を脱離させる方法も提供可能である。
【0070】
前記成形用フィルム部材は、基材フィルム、及びラミネートシートに対する脱離可能な状態の付着のために前記基材フィルムの一面に形成されている接着層を含んでいてよい。このとき、前記基材フィルムは、高分子樹脂フィルム、又は金属フィルム、又はこれらの複合フィルムからなるものであってよい。前記成形用フィルム部材は、基材フィルムと接着層の単層構造、又は基材フィルムと接着層が2以上の回数で積層された多層構造を有するものであってよい。前記高分子樹脂フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、及びナイロンからなる群から選ばれる一つ以上の素材を含むことができる。前記成形用フィルム部材は、平面視で、ディープドローイングされる成形予定部位をカバーする大きさの長方形の形状を有してよい。
【0071】
図7は、本願発明の第2実施例に係るパンチに対する一部分を示す斜視図である。
【0072】
本願発明の第2実施例は、パンチ突出部320の外周辺がラウンド形状ではなく角張った角部が形成されている以外は、
図1~
図6を参照して説明した第1実施例と同一である。
【0073】
以上のように、本願発明に係るパウチ形電池ケースは二次電池に使用可能である。
【0074】
本願発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、上記の内容に基づいて本願発明の範疇内で様々な応用及び変形が可能であろう。
【符号の説明】
【0075】
10:本願発明の第1実施例に係るパウチ形電池ケース成形装置
100:ラミネートシート
101:成形予定部位
200:ダイアセンブリー
210:ダイ
220:湾入部
230:外周壁
240:ホルダー
300:パンチ
310:パンチヘッド
320:パンチ突出部
400:パンチコイル
【産業上の利用可能性】
【0076】
本願発明は、ラミネートシートを加圧してパウチ形電池ケースを成形するパンチ、前記パンチによって成形される電極組立体収納部と対応する大きさの収容部が形成されたダイ、及び前記ラミネートシートの外周辺を固定するためのホルダーを含むパウチ形電池ケース成形装置であって、前記パンチは電磁気場を生成できる手段が付加されているパウチ形電池ケース成形装置、及びこれを用いるパウチ形電池ケース成形方法に関する。したがって、本願発明は産業上に利用可能である。