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特許7484059導電性層が電池ケースの内面に形成されている二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】導電性層が電池ケースの内面に形成されている二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/124 20210101AFI20240509BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/107 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/109 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/117 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/122 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/152 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/153 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/157 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/159 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/16 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/162 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/164 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/176 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/186 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/474 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/477 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/483 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/486 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/534 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/545 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/56 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/562 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/571 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/578 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/581 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20240509BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240509BHJP
   H01M 10/0583 20100101ALI20240509BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20240509BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20240509BHJP
【FI】
H01M50/124
H01M50/103
H01M50/107
H01M50/109
H01M50/117
H01M50/119
H01M50/121
H01M50/122
H01M50/15
H01M50/152
H01M50/153
H01M50/157
H01M50/159
H01M50/16
H01M50/162
H01M50/164
H01M50/176
H01M50/184 D
H01M50/184 E
H01M50/186
H01M50/342 101
H01M50/474
H01M50/477
H01M50/483
H01M50/486
H01M50/534
H01M50/545
H01M50/548 101
H01M50/548 201
H01M50/55 101
H01M50/56
H01M50/562
H01M50/571
H01M50/578
H01M50/581
H01M10/0566
H01M10/052
H01M10/0583
H01M10/0585
H01M10/0587
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022562344
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(86)【国際出願番号】 KR2021013895
(87)【国際公開番号】W WO2022092615
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2022-10-21
(31)【優先権主張番号】10-2020-0140348
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0140607
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ヒュンウーン
(72)【発明者】
【氏名】カン、スンジョーン
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-171168(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0054327(KR,A)
【文献】特開2000-030718(JP,A)
【文献】特開2010-212130(JP,A)
【文献】特表2020-513642(JP,A)
【文献】特開2014-017118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10
H01M 50/30
H01M 50/40
H01M 50/50
H01M 10/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極、分離膜、および負極を含む電極組立体が電解液と共に電池ケースに収納されている二次電池であって、
前記電池ケースは、金属からなり、前記電池ケースが電解液と接触する内面の一部または全部には、導電性エポキシ層からなる導電性層が形成されている二次電池。
【請求項2】
正極、分離膜、および負極を含む電極組立体が電解液と共に電池ケースに収納されている二次電池であって、
前記電池ケースは、金属からなり、前記電池ケースが電解液と接触する内面の一部または全部には、導電性炭素層、導電性高分子層、および導電性エポキシ層からなる群より選択される1種からなる導電性層が形成され、
前記電極組立体は、コイン型電極組立体であり、
前記電池ケースは、前記電極組立体を収納する第1ケースと、前記第1ケースの上端部を覆う第2ケースとを含み、
前記第1ケース、第2ケースが電解液と接触する内面には、前記導電性炭素層、導電性高分子層、および導電性エポキシ層からなる群より選択される1種からなる導電性層が形成されており、
前記導電性炭素層は、グラフェンを含み、
前記導電性高分子層は、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS;poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/poly(4-styrene sulfonate)、ポリアニリン(PANI;polyaniline)、ポリピロール(PPy;polypyrrole)、ポリチオフェン(PT;polythiophene)、ポリアセチレン(PA;polyacetylene)、ポリパラ-フェニレンビニレン(PPV;poly para-phenylene vinylene)からなる群より選択される1種以上の導電性高分子を含む二次電池。
【請求項3】
前記二次電池は、前記第1ケースおよび第2ケースの内部で電極組立体を除いた内部空間を満たすスプリングおよびスペーサをさらに含み、
前記スプリング、およびスペーサは、金属からなり、
前記スプリング、およびスペーサが電解液と接触する面には、導電性炭素層、導電性高分子層、および導電性エポキシ層からなる群より選択される1種からなる導電性層が形成されており、
前記導電性炭素層は、グラフェンを含む、請求項2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記二次電池は、前記第1ケースと前記第2ケースをシーリングするガスケット、をさらに含む、請求項2または3に記載の二次電池。
【請求項5】
正極、分離膜、および負極を含む電極組立体が電解液と共に電池ケースに収納されている二次電池であって、
前記電池ケースは、金属からなり、前記電池ケースが電解液と接触する内面の一部または全部には、導電性炭素層、導電性高分子層、および導電性エポキシ層からなる群より選択される1種からなる導電性層が形成され、
前記二次電池は、円筒形二次電池であり、
前記電極組立体は、ゼリーロール型またはスタック/フォールディング型電極組立体であり、
前記電池ケースは、前記電極組立体と電解液が共に収納される収納部と、前記収納部の上部に設けられるビーディング部とを含む円筒形缶と、前記円筒形缶の開放上端部に搭載され、突出型電極端子として上端キャップを含んでいるキャップアセンブリとを含み、
前記円筒形缶の底面と前記キャップアセンブリの二次電池の内面方向への一部または全部の表面には前記導電性層が形成されている、二次電池。
【請求項6】
前記円筒形缶のビーディング部の上部にはガスケットが装着されており、
前記キャップアセンブリは、上端キャップの下部に電流遮断用安全素子(PTC素子)および内部圧力降下用安全ベントが積層されており、前記内部圧力降下用安全ベントの下端には電流遮断装置(CID)が形成されており、
前記電極組立体は、電極組立体から引出された正極タブおよび負極タブを含み、前記正極タブは、前記キャップアセンブリに連結されており、前記負極タブは、前記円筒形缶の収納部と離隔した底面に連結されており、
前記上端キャップ、円筒形缶の底面、電流遮断用安全素子、安全ベント、電流遮断装置、正極タブ、および負極タブからなる群より選択される1つ以上の部材において二次電池の内面方向への表面には前記導電性層が形成されている、請求項5に記載の二次電池。
【請求項7】
正極、分離膜、および負極を含む電極組立体が電解液と共に電池ケースに収納されている二次電池であって、
前記電池ケースは、金属からなり、前記電池ケースが電解液と接触する内面の一部または全部には、導電性炭素層、導電性高分子層、および導電性エポキシ層からなる群より選択される1種からなる導電性層が形成され、
前記二次電池は、角形二次電池であり、
前記電極組立体は、ゼリーロール型またはスタック/フォールディング型電極組立体であり、
前記電池ケースは、上端が開放されており、前記電極組立体と電解液が共に収納される長方形の缶本体と、前記缶本体の上端部に結合されて密封され、電極組立体の電極端子に連結されるキャップ端子を含むトップキャップと、を含み、
前記トップキャップのキャップ端子の二次電池の内面方向への表面には導電性層が形成されている、二次電池。
【請求項8】
前記電極組立体は、前記電極組立体から引出された正極タブおよび負極タブを含み、前記正極タブおよび負極タブは、キャップ端子にそれぞれ連結され、
前記正極タブ、および負極タブからなる群より選択される1つ以上の部材において二次電池の内面方向への表面には導電性層が形成されている、請求項7に記載の二次電池。
【請求項9】
前記金属は、アルミニウム、ニッケル、ステンレススチール(SUS)、銅、鉄、青銅、および黄銅からなる群より選択されるいずれか1つからなる、請求項1~8のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項10】
前記二次電池は、前記電極組立体の中央部に挿入される中空構造のセンターピンをさらに含む、請求項5~8のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項11】
前記導電性層は、0.01μm~100μmの厚さに形成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項12】
前記導電性炭素層は、グラフェン、およびバインダー高分子を含む、請求項~8のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項13】
前記導電性高分子層は、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS;poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/poly(4-styrene sulfonate)、ポリアニリン(PANI;polyaniline)、ポリピロール(PPy;polypyrrole)、ポリチオフェン(PT;polythiophene)、ポリアセチレン(PA;polyacetylene)、ポリパラ-フェニレンビニレン(PPV;poly para-phenylene vinylene)からなる群より選択される1種以上の導電性高分子を含む、請求項~8のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項14】
前記導電性エポキシ層は、金、白金、銀、銅、またはニッケルの金属粉末、カーボンまたはカーボン繊維、黒鉛、および複合粉末からなる群より選択される1種以上の導電性充填剤、およびエポキシ性高分子を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2020年10月27日付の韓国特許出願第10-2020-0140607号および2020年10月27日付の韓国特許出願第10-2020-0140348号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、導電性層が電池ケースの内面に形成されている二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
化石燃料使用の急激な増加によって代替エネルギーやクリーンエネルギーの使用に対する要求が増加しており、その一環として最も活発に研究されている分野が電気化学を利用した発電、蓄電分野である。
【0004】
現在、このような電気化学的エネルギーを用いる電気化学素子の代表例として二次電池が挙げられ、ますますその使用領域が拡大する傾向にある。
【0005】
最近は、携帯用コンピュータ、携帯用電話、カメラなどの携帯用機器に対する技術開発と需要が増加することによって、エネルギー源として二次電池の需要が急激に増加しており、そのような二次電池の中で、高い充放電特性と寿命特性を示し、環境にやさしいリチウム二次電池について多くの研究が行われてきており、また、商用化されて幅広く用いられている。
【0006】
一般に、リチウム二次電池は、正極と負極および多孔性分離膜からなる電極組立体に非水系電解液が含浸された状態で電池ケースに内蔵された構造を有する。
【0007】
この時、前記二次電池は、一般に、電池ケースの形態によって、電池ケースとして金属からなる缶にスタック/フォールディング型、または巻取型電極組立体を収納する円筒形、または角形二次電池、スタック型またはスタック/フォールディング型電極組立体をアルミニウムラミネートシートのパウチ型電池ケースに内蔵した構造のパウチ型電池、金属からなる上部ケースと下部ケースにコイン型の電極組立体を収納するコイン型電池に分けられる。
【0008】
ここで、円筒形、角形、またはコイン型二次電池の外装材、つまり、電池ケースは一般に金属からなり、特にステンレススチール(SUS)からなる。
【0009】
しかし、このような金属が電解質と接触する場合、腐食が発生し、特に、イミド系リチウム塩を使用する場合には、腐食が激しい問題がある。
【0010】
そこで、従来はこのような二次電池の電池ケースに腐食が発生しにくいCr、Zn、Snなどの安価な金属をコーティングする方法で腐食を抑制したが、これら金属も十分な腐食防止効果が得られないだけでなく、金属表面に褐変現象を起こす問題があった。
【0011】
したがって、このような問題を解決して、電解質の種類に関係なく、金属缶の腐食を効果的に防止できる二次電池の技術開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記の従来技術の問題点と過去から要請されてきた技術的課題を解決することを目的とする。
【0013】
具体的には、本発明の目的は、電解液との接触による二次電池ケースの腐食を効率的に抑制できる二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するための、本発明の一実施例による二次電池は、正極、分離膜、および負極を含む電極組立体が電解液と共に電池ケースに収納されている二次電池であって、
前記電池ケースは、金属からなり、前記電池ケースが電解液と接触する内面の一部または全部には、導電性炭素層、導電性高分子層、および導電性エポキシ層からなる群より選択される1種からなる導電性層が形成されていることを特徴とする。
【0015】
具体的には、二次電池の形態により、
一つの例として、前記電極組立体は、コイン型電極組立体であり、
前記電池ケースは、前記電極組立体を収納する第1ケースと、前記第1ケースの上端部を覆う第2ケースとを含み、
前記第1ケース、第2ケースが電解液と接触する内面には、前記導電性炭素層、導電性高分子層、および導電性エポキシ層からなる群より選択される1種からなる導電性層が形成されており、
前記導電性炭素層は、グラフェンを含むことができる。
【0016】
さらに、前記二次電池は、前記第1ケースおよび第2ケースの内部で電極組立体を除いた内部空間を満たすスプリングおよびスペーサをさらに含み、
前記スプリング、およびスペーサは、金属からなり、
前記スプリング、およびスペーサが電解液と接触する面には、導電性炭素層、導電性高分子層、および導電性エポキシ層からなる群より選択される1種からなる導電性層が形成されており、
前記導電性炭素層は、グラフェンを含むことができる。
【0017】
また、前記二次電池は、前記第1ケースと前記第2ケースをシーリングするガスケット、をさらに含むことができる。
【0018】
もう一つの例において、前記二次電池は、円筒形二次電池であり、
前記電極組立体は、ゼリーロール型またはスタック/フォールディング型電極組立体であり、
前記電池ケースは、前記電極組立体と電解液が共に収納される収納部と、前記収納部の上部に設けられるビーディング部とを含む円筒形缶と、前記円筒形缶の開放上端部に搭載され、突出型電極端子として上端キャップを含んでいるキャップアセンブリとを含み、
前記円筒形缶の底面と前記キャップアセンブリの二次電池の内面方向への一部または全部の表面には前記導電性層が形成されているものであってもよい。
【0019】
さらに具体的には、前記円筒形缶のビーディング部の上部にはガスケットが装着されており、
前記キャップアセンブリは、上端キャップの下部に電流遮断用安全素子(PTC素子)および内部圧力降下用安全ベントが積層されており、前記安全ベントの下端には電流遮断装置(CID)が形成されており、
前記電極組立体は、電極組立体から引出された正極タブおよび負極タブを含み、前記正極タブは、前記キャップアセンブリに連結されており、前記負極タブは、前記円筒形缶の収納部と離隔した底面に連結されており、
前記上端キャップ、円筒形缶の底面、電流遮断用安全素子、安全ベント、電流遮断装置、正極タブ、および負極タブからなる群より選択される1つ以上の部材において二次電池の内面方向への表面には前記導電性層が形成されている。
【0020】
もう一つの例において、前記二次電池は、角形二次電池であり、
前記電極組立体は、ゼリーロール型またはスタック/フォールディング型電極組立体であり、
前記電池ケースは、上端が開放されており、前記電極組立体と電解液が共に収納される長方形の缶本体と、前記缶本体の上端部に結合されて密封され、電極組立体の電極端子に連結されるキャップ端子を含むトップキャップと、を含み、
前記トップキャップのキャップ端子の二次電池の内面方向への表面には導電性層が形成されている。
【0021】
この時、前記電極組立体は、前記電極組立体から引出された正極タブおよび負極タブを含み、前記正極タブおよび負極タブは、キャップ端子にそれぞれ連結され、
前記正極タブ、および負極タブからなる群より選択される1つ以上の部材において二次電池の内面方向への表面には導電性層が形成されている。
【0022】
一方、前記いずれの例においても、前記金属は、アルミニウム、ニッケル、ステンレススチール(SUS)、銅、鉄、青銅、および黄銅からなる群より選択されるいずれか1つからなる。
【0023】
前記二次電池はまた、前記電極組立体の中央部に挿入される中空構造のセンターピンをさらに含むことができる。
【0024】
前記導電性層は、0.01μm~100μmの厚さに形成されている。
【0025】
一方、一つの具体例において、前記導電性炭素層は、グラフェンおよびバインダー高分子を含むことができる。
【0026】
前記導電性高分子層は、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS;poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/poly(4-styrene sulfonate)、ポリアニリン(PANI;polyaniline)、ポリピロール(PPy;polypyrrole)、ポリチオフェン(PT;polythiophene)、ポリアセチレン(PA;polyacetylene)、ポリパラ-フェニレンビニレン(PPV;poly para-phenylene vinylene)からなる群より選択される1種以上の導電性高分子を含むことができる。
【0027】
前記導電性エポキシ層は、金、白金、銀、銅、またはニッケルの金属粉末、カーボンまたはカーボン繊維、黒鉛、および複合粉末からなる群より選択される1種以上の導電性充填剤、およびエポキシ性高分子を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施例によるコイン型二次電池の分解斜視図である。
図2】本発明の一実施例によるコイン型二次電池の断面模式図である。
図3】本発明の他の実施例による円筒形二次電池の模式図である。
図4】本発明のさらに他の実施例による角形二次電池の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明についての理解のために、本発明をさらに詳細に説明する。
【0030】
本明細書および特許請求の範囲に使用された用語や単語は通常または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自らの発明を最も最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則り、本発明の技術的な思想に符合する意味と概念で解釈されなければならない。
【0031】
本明細書で使用される用語は単に例示的な実施例を説明するために使用されたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明らかに異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0032】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0033】
本発明の一実施例によれば、
正極、分離膜、および負極を含む電極組立体が電解液と共に電池ケースに収納されている二次電池であって、
前記電池ケースは、金属からなり、前記電池ケースが電解液と接触する内面の一部または全部には、導電性炭素層、導電性高分子層、および導電性エポキシ層からなる群より選択される1種からなる導電性層が形成されている二次電池が提供される。
【0034】
具体的には、二次電池の種類によって、前記導電性層が形成される位置において、差がありうる。
【0035】
具体的には、前記導電性層は、電解液と接触する面に形成され、さらに詳しくは、電解液と接触しながらも導電性を有するべき位置に形成される。
【0036】
一つの例において、まず、前記二次電池は、コイン型二次電池であってもよく、
前記電極組立体は、コイン型電極組立体であり、
前記電池ケースは、前記電極組立体を収納する第1ケースと、前記第1ケースの上端部を覆う第2ケースとを含み、
前記第1ケース、第2ケースが電解液と接触する内面には、前記導電性炭素層、導電性高分子層、および導電性エポキシ層からなる群より選択される1種からなる導電性層が形成されており、
前記導電性炭素層は、グラフェンを含むことができる。
【0037】
さらに具体的には、前記二次電池は、前記第1ケースおよび第2ケースの内部で電極組立体を除いた内部空間を満たすスプリングおよびスペーサをさらに含み、
前記スプリング、およびスペーサは、金属からなり、
前記スプリング、およびスペーサが電解液と接触する面には、導電性炭素層、導電性高分子層、および導電性エポキシ層からなる群より選択される1種からなる導電性層が形成されており、
前記導電性炭素層は、グラフェンを含むことができる。
【0038】
つまり、前記第1ケース、第2ケース、スプリング、およびスペーサは、金属からなり、電解液としてどのような物質を使用するかによって腐食の程度が激しくて寿命特性が低下し、それ以上使用できない程度になったり、安全性が脅かされることもある。
【0039】
そこで、本発明は、前記第1ケース、第2ケース、スプリング、およびスペーサが電解液と接触する面に導電性層を形成して、導電性を有しながらも電解液による腐食を防止することができる。
【0040】
一方、前記二次電池は、前記第1ケースと前記第2ケースをシーリングするガスケット、をさらに含むことができる。
【0041】
前記ガスケットは、一般に絶縁物質からなるので、前記導電性層が形成される必要はない。しかし、ガスケットの表面にも導電性層が形成されていてもよいし、このような構造を排除するわけではない。
【0042】
本発明では、このような導電性層が形成されたコイン型二次電池の斜視図を下記図1に示し、断面の模式図を図2に示した。
【0043】
図1および図2を併せて参照すれば、本願のコイン型二次電池100は、電極組立体110と、前記電極組立体110を収納する第1ケース120と、前記第1ケース120の上端部を覆う形態で組立てられる第2ケース130と、前記第1ケースおよび第2ケースの内部で電極組立体を除いた内部空間を満たすスプリング160およびスペーサ170とを含む。
【0044】
この時、前記電極組立体110は、正極111、負極112、および前記正極111と負極112との間に介在する分離膜113を含み、この時、前記正極111、負極112、および分離膜113は、コイン型の構造を有する。
【0045】
一方、前記第1ケース120、第2ケース130、スプリング160、およびスペーサ170は金属からなるので、電解液との反応による腐食を防止するために、電解液と接触する面に導電性炭素層、導電性高分子層、および導電性エポキシ層からなる群より選択される1種からなる導電性層151、152、153、154がそれぞれ形成されている。
【0046】
一方、コイン型二次電池100は、前記第1ケース120と前記第2ケース130をシーリングするガスケット140をさらに含むことができる。
【0047】
また、前記導電性層151、152、153、154は、コイン型二次電池の前記ケースとスプリング、スペーサが金属からなり、これら自体が電極端子の役割を果たすことを考慮すれば、導電性を有する物質を含むことが好ましい。特に、このような導電性層151、152、153、154がケースの内面に全体的に形成される場合には、腐食の防止と同じほど導電性の確保が極めて重要な問題になる。腐食を防止するとしても、導電性を十分に確保できなければ、結局、二次電池としての性能が低下するので、発明の意味が低下するしかない。
【0048】
したがって、前記導電性層151、152、153、154は、導電性炭素層、導電性高分子層、および導電性エポキシ層からなる群より選択される1種からなる。
【0049】
このような具体的な物質については、以下、再度説明する。
【0050】
一方、本発明のもう一つの例において、前記二次電池は、円筒形二次電池であり、
前記電極組立体は、ゼリーロール型またはスタック/フォールディング型電極組立体であり、
前記電池ケースは、前記電極組立体と電解液が共に収納される収納部と、前記収納部の上部に設けられるビーディング部とを含む円筒形缶と、前記円筒形缶の開放上端部に搭載され、突出型電極端子として上端キャップを含んでいるキャップアセンブリとを含み、
前記円筒形缶の底面と前記キャップアセンブリの二次電池の内面方向への一部または全部の表面には前記導電性層が形成されているものであってもよい。
【0051】
さらに具体的には、前記円筒形缶のビーディング部の上部にはガスケットが装着されており、
前記キャップアセンブリは、上端キャップの下部に電流遮断用安全素子(PTC素子)および内部圧力降下用安全ベントが積層されており、前記安全ベントの下端には電流遮断装置(CID)が形成されており、
前記電極組立体は、電極組立体から引出された正極タブおよび負極タブを含み、前記正極タブは、前記キャップアセンブリに連結されており、前記負極タブは、前記円筒形缶の収納部と離隔した底面に連結されており、
前記上端キャップ、円筒形缶の底面、電流遮断用安全素子、安全ベント、電流遮断装置、正極タブ、および負極タブからなる群より選択される1つ以上の部材において二次電池の内面方向への表面には前記導電性層が形成されている。
【0052】
つまり、前記円筒形缶の底部と、キャップアセンブリの構成要素は、金属からなり、電解液としてどのような物質を使用するかによって腐食の程度が激しくて寿命特性が低下し、それ以上使用できない程度になったり、安全性が脅かされることもある。
【0053】
また、前記構成要素は、導電性が必須として要求される。
【0054】
そこで、本発明は、前記構成要素に電解液と接触する面に導電性層を形成して、導電性を有しながらも電解液による腐食を防止することができる。
【0055】
一方、前記円筒形缶の底面を除いた収納部、ビーディング部、およびガスケットなどは、上記で説明したように、導電性が必須でないので、前記導電性層が形成される必要はない。しかし、これら構成要素の表面にも導電性層が形成されていてもよいし、このような構造を排除するわけではない。
【0056】
本発明では、このような導電性層が形成された円筒形二次電池の斜視図を下記図3に示した。
【0057】
図3を参照すれば、本発明による二次電池200は、正極、分離膜、および負極を含む電極組立体220が電解液と共に、電池ケースとして、収納部211とビーディング部212とを含む円筒形缶210に収納されており、上端キャップ231を含むキャップアセンブリ230が円筒形缶210の開放上端部に位置して円筒形缶210を密封している構造からなる。
【0058】
この時、前記電極組立体220は、限定されないが、ゼリーロール型またはスタック/フォールディング型電極組立体であってもよい。
【0059】
前記ゼリーロール型電極組立体は、シート状の正極と、シート状の負極との間にシート状の分離膜を介在し、巻取って製造される。
【0060】
前記スタック/フォールディング型電極組立体は、単位電極、両端に互いに同一の極性の電極が位置するように積層されたフルセル、両端に互いに異なる極性の電極が位置するように積層されたバイセルをシート状の分離フィルム上で巻取って製造される。
【0061】
このようなゼリーロール型電極組立体およびスタック/フォールディング型電極組立体の具体的な構成は従来公知であることから、本明細書には詳しい説明は省略する。
【0062】
さらに具体的には、本発明による二次電池200は、円筒形缶210のビーディング部212の上部に装着されたガスケット240を含み、キャップアセンブリ230が、上端キャップ231と、上端キャップ231の下部に積層されている電流遮断用安全素子(PTC素子)232および内部圧力降下用安全ベント233と、安全ベント233の下端に形成された電流遮断装置(CID)234とを含む構造からなる。
【0063】
また、電極組立体220からは正極タブ221および負極タブ222が引出されており、正極タブ221は、キャップアセンブリ230に連結されており、負極タブ222は、円筒形缶230の収納部211と離隔した底面213に連結されている構造からなる。
【0064】
ここで、電流遮断用安全素子232、安全ベント233、および電流遮断装置234はいずれも電流が通る構造物であることが好ましく、二次電池の安全性を確保するために形成される。
【0065】
その他の具体的な内容は従来公知であるので、本出願ではこれに関する説明を省略する。
【0066】
一方、上記で説明したように、電流遮断用安全素子232、安全ベント233、電流遮断装置234だけでなく、正極端子としての役割を果たす上端キャップ231、負極端子としての役割を果たす円筒形缶210の底面213、および正極タブ221と負極タブ222は導電性を有することが好ましいので、前記上端キャップ231、円筒形缶の底面213、電流遮断用安全素子232、安全ベント233、電流遮断装置234、正極タブ221、および負極タブ222の二次電池200の内面方向への表面には、導電性を維持しながらも、電解液の漏出による腐食を防止するために、導電性層270が形成されている。
【0067】
この時、導電性層270は、前記部材の二次電池の内部で露出した表面に全体的に形成されていてもよいが、それぞれの部材において電極組立体の方向への表面にのみ形成されていてもよい。
【0068】
一方、その他の円筒形缶210の底面213を除いた収納部211、ビーディング部212、ガスケット240には限定されず、腐食防止のための導電性層が形成されてもよく、または前記構成要素は導電性が必須として要求されないことから、その他の腐食防止層260が形成されてもよい。
【0069】
さらに、本発明による二次電池200は、ゼリーロール型の電極組立体220の中央部に挿入される中空構造のセンターピン250をさらに含むことができる。
【0070】
この時、センターピン250も、金属、詳しくは、アルミニウム、ニッケル、ステンレススチール(SUS)、銅、鉄、青銅、および黄銅からなる群より選択されるいずれか1つからなり、よって、電解液に対する腐食が行われる。ただし、導電性が必須として要求されない。
【0071】
そのため、図面にてセンターピン250の外面と内面を明確に示さないが、センターピン250において電解液の接触する外面にも、導電性層が形成されてもよく、その他の腐食防止層280が追加的に形成されていてもよく、さらに詳しくは、中空内面まで腐食防止層280が形成されていてもよい。
【0072】
つまり、本発明によれば、電解液と接触する可能性がある部分に導電性層270が形成され、これから電解液の接触による腐食を効果的に防止しながらも、導電性を低下させないので、さらに好ましい。
【0073】
もう一つの例において、前記二次電池は、角形二次電池であり、
前記電極組立体は、ゼリーロール型またはスタック/フォールディング型電極組立体であり、
前記電池ケースは、上端が開放されており、前記電極組立体と電解液が共に収納される長方形の缶本体と、前記缶本体の上端部に結合されて密封され、電極組立体の電極端子に連結されるキャップ端子を含むトップキャップと、を含み、
前記トップキャップのキャップ端子の二次電池の内面方向への表面には前記導電性層が形成されている。
【0074】
さらに具体的には、前記電極組立体は、前記電極組立体から引出された正極タブおよび負極タブを含み、前記正極タブおよび負極タブは、キャップ端子にそれぞれ連結され、
前記正極タブ、および負極タブからなる群より選択される1つ以上の部材において二次電池の内面方向への表面には導電性層が形成されている。
【0075】
つまり、前記トップキャップのキャップ端子の内面、および正極タブ、負極タブは、金属からなり、電解液としてどのような物質を使用するかによって腐食の程度が激しくて寿命特性が低下し、それ以上使用できない程度になったり、安全性が脅かされることもある。
【0076】
また、これらの構成要素は、導電性が必須として要求される。
【0077】
そこで、本発明は、前記構成要素に電解液と接触する面に導電性層を形成して、導電性を有しながらも電解液による腐食を防止することができる。
【0078】
一方、前記缶本体、トップキャップのキャップ端子を除いた部位と、ガスケットは、導電性が必須でないので、前記導電性層が形成される必要はない。しかし、これら構成要素の表面にも導電性層が形成されていてもよいし、このような構造を排除するわけではない。
【0079】
本発明では、このような導電性層が形成された角形二次電池の斜視図を下記図4に示した。
【0080】
図4を参照すれば、本発明による二次電池300は、上端が開放されており、電極組立体320と電解液が共に収納される長方形の缶本体310と、缶本体310の上端部に結合されて密封され、電極組立体320の電極端子321、323に連結されるキャップ端子331を含むトップキャップ330とを含む構造からなる。
【0081】
ここで、前記電極組立体320は、円筒形二次電池で説明した通りである。
【0082】
また、電極組立体320は、電極組立体320から上部に引出された正極タブ321および負極タブ323を含み、正極タブ321および負極タブ323は、それぞれ缶端子331に連結されている。
【0083】
この時、正極タブ321、負極タブ323、およびキャップ端子331は導電性を有しなければならないので、二次電池300の内面方向への表面に導電性炭素層、導電性高分子層、および導電性エポキシ層からなる群より選択される1種からなる導電性層370が形成されている。
【0084】
一方、その他の角形缶本体310およびトップキャップ330のキャップ端子331を除いた部位には限定されず、腐食防止のための導電性層が形成されてもよく、または前記構成要素は導電性が必須として要求されないことから、その他の腐食防止層350、360が形成されてもよい。
【0085】
さらに、本発明による二次電池300は、ゼリーロール型の電極組立体320の中央部に挿入される中空構造のセンターピン340をさらに含むことができる。
【0086】
この時、センターピン340も、金属、詳しくは、アルミニウム、ニッケル、ステンレススチール(SUS)、銅、鉄、青銅、および黄銅からなる群より選択されるいずれか1つからなり、よって、電解液に対する腐食が行われる。ただし、導電性が必須として要求されない。
【0087】
そのため、図面にてセンターピン340の外面と内面を明確に示さないが、センターピン340において電解液の接触する外面にも、導電性層が形成されてもよく、その他の腐食防止層380が追加的に形成されていてもよく、さらに詳しくは、中空内面まで腐食防止層380が形成されていてもよい。
【0088】
一方、いずれの場合でも、前記導電性層は、0.01μm~100μm、詳しくは0.5μm~30μm、より詳しくは1μm~10μmの厚さに形成されている。
【0089】
前記範囲を逸脱して、過度に薄い場合、十分な腐食防止効果を発揮できず、過度に厚い場合、導電性の低下または体積エネルギー密度が低下しうるので、好ましくない。
【0090】
前記構成要素をなす金属は、それぞれアルミニウム、ニッケル、ステンレススチール(SUS)、銅、鉄、青銅、および黄銅からなる群より選択されるいずれか1つからなり、詳しくは、アルミニウム、またはステンレススチール(SUS)からなり、さらに詳しくは、ステンレススチール(SUS)からなる。
【0091】
一方、前記導電性層は、先に説明したように、導電性を有しなければならないので、具体的には、導電性炭素層、導電性高分子層、および導電性エポキシ層からなる群より選択される1種からなる。
【0092】
ここで、前記導電性炭素層は、一般的な炭素材でない、炭素系物質としてグラフェンを含むことができ、さらに、バインダー高分子をさらに含むことができる。
【0093】
前記グラフェンを使用する場合、他の炭素系物質を使用する場合と比較して、優れた導電性を示すことができる。本発明によれば、コイン型二次電池は、導電性の確保が重要な要素であるので、導電性の十分な確保が必須であり、そうでない場合、二次電池の性能が低下しうることから、炭素系物質のうち最も優れた導電性を示すグラフェンを使用することが重要である。
【0094】
前記バインダー高分子は、金属からなる部材と導電性炭素層との間の結合のために使用され、一般的な結着成分を有するものであれば限定されず、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブチレンゴム、およびフッ素ゴムからなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0095】
この時、前記グラフェンとバインダー高分子は、1:99~99:1の重量比、詳しくは3:7~7:3の重量比で含まれる。
【0096】
前記範囲を逸脱して、グラフェンの含有量が小さい場合には、導電性が十分に得られず、逆に、バインダー高分子の含有量が過度に少ない場合には、導電性炭素層の十分な結着力が得られないことから、好ましくない。
【0097】
このような導電性炭素層は、当業界にて通常使用されるコーティング膜の形成方法を用いることができ、例えば、グラビア(gravure)コーティング、スロットダイ(slot die)コーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、バーコーティング、ディップコーティングのような湿式コーティング法、または熱蒸着(thermal evaporation)、電子ビーム蒸着(E-beam evaporation)、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition)、スパッタリング(sputtering)のような乾式コーティング法を用いて形成することができる。
【0098】
前記導電性高分子層は、導電性高分子として通常知られた高分子が使用可能であり、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS;poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/poly(4-styrene sulfonate)、ポリアニリン(PANI;polyaniline)、ポリピロール(PPy;polypyrrole)、ポリチオフェン(PT;polythiophene)、ポリアセチレン(PA;polyacetylene)、ポリパラ-フェニレンビニレン(PPV;poly para-phenylene vinylene)からなる群より選択される1種以上の導電性高分子を含むことができる。
【0099】
前記導電性高分子層は、導電性高分子溶融液またはこれらを溶媒に溶解した混合溶液を製造し、前記導電性炭素層のコーティング方法で説明したような多様な湿式コーティング法により形成することができる。この時、前記導電性高分子を溶媒に混合する場合、前記溶媒は、極性の有機溶媒であってもよいし、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、m-クレゾール、テトラヒドロフラン(THF)、およびジメチルホルムアミド(DMF)などが挙げられる。
【0100】
一方、前記導電性高分子は、高分子自体が結着力を発揮するので、別途の結着材などを必要としない。
【0101】
ただし、より強固な結着のために前記導電性炭素層に開示したようなバインダー高分子を追加的に含むことができ、この時、その含有量は、導電性高分子層の全体重量を基準として0.1~10重量%含まれる。
【0102】
前記導電性エポキシ層は、導電性充填剤、およびエポキシ性高分子を含むことができる。
【0103】
ここで、前記導電性充填剤は、金、白金、銀、銅、またはニッケルの金属粉末、カーボンまたはカーボン繊維、黒鉛および複合粉末からなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0104】
前記エポキシ性高分子は、導電性充填剤を結着させる成分として、限定されないが、例えば、アクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系、シリコン系、ポリイミド系、フェノール系、ポリエステル系高分子材料、複合高分子樹脂および低融点ガラスからなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0105】
一方、前記導電性エポキシ層は、どのように製造されるかによって、常温乾燥型、常温硬化型、熱硬化型、高温焼成型、UV硬化型などに区分される。
【0106】
前記常温乾燥型は、アクリル系などのエポキシ性高分子と溶剤に導電性充填剤を含み、常温で乾燥させることによって形成することができ、常温硬化型は、2液型で反応性の高い硬化剤を追加的に含み、導電性充填剤とエポキシ性高分子が含まれている溶剤を硬化させて形成することができる。
【0107】
また、熱硬化型は、エポキシ系のエポキシ性高分子を主に用いて導電性充填剤を含む溶剤に熱を加えることによって形成することができ、高温焼成型は、高温で熱処理して硬化させ、UV硬化型は、UVを照射することによって硬化させて形成することができる。
【0108】
この時、前記導電性充填剤とエポキシ性高分子は、1:99~99:1の重量比、詳しくは7:3~3:7の重量比で含まれる。
【0109】
前記範囲を逸脱して、導電性充填剤が過度に少なく含まれると、導電性が低下して抵抗が増加し、エポキシ性高分子が過度に少なく含まれると、導電性充填剤の結着力が得られないので、好ましくない。
【0110】
一方、前記導電性層は、導電性に優れていながらも長期間使用にも電解液による腐食を効果的に防止できる構成であることがさらに好ましく、詳しくは、導電性高分子層または導電性エポキシ層であってもよい。
【0111】
ただし、前記電解液は、非水系電解液とリチウム塩とを含有するが、本発明によるコイン型二次電池は、リチウム塩としてリチウムイミド系塩を使用する場合にさらに効果的である。
【0112】
前記リチウムイミド系塩は、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(Lithium bis(fluorosulfonyl)imide)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Lithium bis(trifluoromethanesulfonyl)imide)またはリチウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド(Lithium bis(perfluoroethylsulfonyl)imide)であってもよいし、好ましくは、リチウムイミド系塩は、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドまたはリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである。
【0113】
以下、本発明の好ましい実施例、これに対比する比較例、これらを評価する実験例を記載する。しかし、前記実施例は本記載を例示するものに過ぎず、本記載の範疇および技術思想の範囲内で多様な変更および修正が可能であることは当業者にとって明らかであり、このような変形および修正が添付した特許請求の範囲に属することは当然である。
【0114】
<製造例1>(導電性炭素層前駆体溶液)
導電性物質として、グラフェン10gをNMP溶媒200gに投入後、H-NBR分散剤を適用して分散させ、バインダーとしてPVdF5gを混合して、導電性炭素層前駆体溶液を製造した。
【0115】
<製造例2>(導電性炭素層前駆体溶液)
導電性物質として、天然黒鉛10gをNMP溶媒200gに投入後、H-NBR分散剤を適用して分散させ、バインダーとしてPVdF5gを混合して、導電性炭素層前駆体溶液を製造した。
【0116】
<製造例3>(導電性炭素層前駆体溶液)
導電性物質として、アセチレンブラック10gをNMP溶媒200gに投入後、H-NBR分散剤を適用して分散させ、バインダーとしてPVdF5gを混合して、導電性炭素層前駆体溶液を製造した。
【0117】
<製造例4>(導電性高分子層前駆体溶液)
導電性高分子として、ポリピロール10gを溶媒ジメチルホルムアミド(DMF)100gに混合して、マグネチックバーで48時間撹拌(40℃)して、導電性高分子層前駆体溶液を製造した。
【0118】
<製造例5>(導電性エポキシ層前駆体溶液)
MG chemicals社から8331S製品(銀が含有された2液型電気伝導性エポキシ接着剤)を用いた。
【0119】
<製造例6>(バインダー溶液)
高分子として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)7gを溶媒ジメチルホルムアミド(DMF)100gに混合して、マグネチックバーで48時間撹拌(90℃)して、バインダー溶液を製造した。
【0120】
<実施例1>
コイン型電池ケースとして、下記図1に示されたように、第1ケース、第2ケース、スプリング、およびスペーサが電解液と接触しうる面に、前記製造例1で製造された導電性炭素層前駆体溶液をコーティング(スプレーコーティング)した。正極活物質(LiNi0.6Co0.2Mn0.2)95重量%、Super-P(導電材)2.5重量%、およびPVDF(結着剤)2.5重量%の組成の正極合剤を、溶剤のNMP(N-methyl-2-pyrrolidone)に添加して正極スラリーを製造した後、アルミニウム集電基材上にコーティング(100μm)して、コイン型の正極を製造した。
【0121】
人造黒鉛95重量%、Super-P(導電材)2.5重量%、およびPVDF(結着剤)2.5重量%の組成の負極合剤を、溶剤のNMP(N-methyl-2-pyrrolidone)に添加して負極スラリーを製造した後、銅集電基材上にコーティング(100μm)して、コイン型の負極を製造した。
【0122】
前記製造された正極と負極との間にポリエチレン基材の分離膜を介在して電極組立体を製造し、前記電極組立体を前記コイン型ケースに下記図1のように内蔵し、1MのLiFSIが溶けている体積比1:1のエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)溶液を電解質として注入した後、ガスケットで密封して、コイン型二次電池を製造した。
【0123】
<実施例2>
前記実施例1において、コイン型の第1ケース、第2ケース、スプリング、およびスペーサが電解液と接触しうる面に、製造例4で製造された導電性高分子層前駆体溶液をコーティングしたことを除けば、実施例1と同様にコイン型二次電池を製造した。
【0124】
<実施例3>
前記実施例1において、コイン型の第1ケース、第2ケース、スプリング、およびスペーサが電解液と接触しうる面に、製造例5で製造された導電性エポキシ層前駆体溶液をコーティングしたことを除けば、実施例1と同様にコイン型二次電池を製造した。
【0125】
<実施例4>
前記実施例1において、コイン型の第1ケース、第2ケース、スプリング、およびスペーサが電解液と接触しうる面に、製造例2で製造された導電性炭素層前駆体溶液をコーティングしたことを除けば、実施例1と同様にコイン型二次電池を製造した。
【0126】
<実施例5>
前記実施例1において、コイン型の第1ケース、第2ケース、スプリング、およびスペーサが電解液と接触しうる面に、製造例3で製造された導電性炭素層前駆体溶液をコーティングしたことを除けば、実施例1と同様にコイン型二次電池を製造した。
【0127】
<比較例1>
前記実施例1において、コイン型の第1ケース、第2ケース、スプリング、およびスペーサが電解液と接触しうる面に、いかなるコーティング処理もしないことを除けば、実施例1と同様にコイン型二次電池を製造した。
【0128】
<実験例1>
前記実施例1~5、比較例1で製造されたコインセル電池を、下記の条件で充放電を100回実施した後、1回の放電容量対比100回の放電容量維持率を計算して、その結果を下記表1に示した。
Charge:0.3C、CC/CV、4.25V、1/20C cut-off
Discharge:0.3C、CC、3.0V、cut-off
【0129】
【表1】
【0130】
表1を参照すれば、本願発明により導電性層を形成した場合、何ら措置も取らない比較例1に比べて優れた寿命特性を示すことを確認できる。
【0131】
<実験例2>
実施例1と実施例4および5で製造されたコインセル電池を、下記の条件でレート評価を進行させた。
[1~3rd cycle充放電条件]
Charge:0.1C、CC/CV、4.25V、1/20C cut-off
Discharge:0.1C、CC、3.0V、cut-off
[4~6th cycle充放電条件]
Charge:0.1C、CC/CV、4.25V、1/20C cut-off
Discharge:2C、CC、3.0V、cut-off
【0132】
初期3回の充放電で得られた0.1C平均放電容量値対比4~6th cycleで得られた2C平均放電容量値の容量維持率を計算して、その結果を下記表2に示した。
【0133】
【表2】
【0134】
表2を参照すれば、比較例1および2によりグラフェン以外の導電性物質を含む導電性炭素層をコーティングした場合、前記実験例1で金属の腐食は防止可能で寿命特性は優れていても、グラフェンを用いた場合と比較して、コーティングによって導電性が減少して、レート特性が低下するので、好ましくないことを確認できる。
【0135】
<実施例6>
円筒形電池ケースの収納部、ビーディング部と上端キャップに、前記製造例1で製造された導電性炭素層前駆体溶液をコーティング(スプレーコーティング)した。
【0136】
正極活物質(LiNi0.6Co0.2Mn0.2)95重量%、Super-P(導電材)2.5重量%、およびPVDF(結着剤)2.5重量%の組成の正極合剤を、溶剤のNMP(N-methyl-2-pyrrolidone)に添加して正極スラリーを製造した後、アルミニウム集電基材上にコーティング(100μm)して、コイン型の正極を製造した。
【0137】
人造黒鉛95重量%、Super-P(導電材)2.5重量%、およびPVDF(結着剤)2.5重量%の組成の負極合剤を、溶剤のNMP(N-methyl-2-pyrrolidone)に添加して負極スラリーを製造した後、銅集電基材上にコーティング(100μm)して、コイン型の負極を製造した。
【0138】
前記製造された正極と負極との間にポリエチレン基材の分離膜を介在して電極組立体を製造し、前記電極組立体を前記円筒形ケースに下記図1のように内蔵し、1MのLiFSIが溶けている体積比1:1のエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)溶液を電解質として注入した後、ガスケットで密封して、円筒形二次電池を製造した。
【0139】
<実施例7>
前記実施例6において、円筒形電池ケースの収納部、ビーディング部と上端キャップに、製造例4で製造された導電性高分子層前駆体溶液をコーティングしたことを除けば、実施例6と同様に円筒形二次電池を製造した。
【0140】
<実施例8>
前記実施例6において、円筒形電池ケースの収納部、ビーディング部と上端キャップに、製造例5で製造された導電性エポキシ層前駆体溶液をコーティングしたことを除けば、実施例6と同様に円筒形二次電池を製造した。
【0141】
<実施例9>
前記実施例6において、円筒形電池ケースの収納部、ビーディング部と上端キャップに、製造例3で製造された導電性炭素層前駆体溶液をコーティングしたことを除けば、実施例6と同様に円筒形二次電池を製造した。
【0142】
<比較例2>
前記実施例6において、円筒形電池ケースの収納部、ビーディング部と上端キャップに、何らコーティング処理もしないことを除けば、実施例6と同様に円筒形二次電池を製造した。
【0143】
<比較例3>
前記実施例6において、円筒形電池ケースの収納部、ビーディング部と上端キャップに、Cr金属を電解メッキコーティング処理をしたことを除けば、実施例6と同様に円筒形二次電池を製造した。
【0144】
<比較例4>
前記実施例6において、円筒形電池ケースの収納部、およびビーディング部に、製造例6で製造されたバインダー溶液をコーティング処理をしたことを除けば、実施例6と同様に円筒形二次電池を製造した。上端キャップにもバインダー溶液をコーティング処理する場合、電流の大きい抵抗として作用して寿命特性などを評価できないので、バインダーコーティングは収納部とビーディング部にのみ形成した。
【0145】
<実験例3>
前記実施例6~9、比較例2~4で製造された円筒形二次電池を、下記の条件で充放電を100回実施した後、1回の放電容量対比50回の放電容量維持率を計算して、その結果を下記表3に示した。
Charge:0.3C、CC/CV、4.25V、1/20C cut-off
Discharge:0.3C、CC、3.0V、cut-off
【0146】
【表3】
【0147】
表3を参照すれば、本発明により導電性層を形成した場合、全く形成しない比較例2、他の金属で電解コーティングした比較例3、バインダー層を形成した比較例4と比較して、優れた寿命特性を示すことを確認できる。
【0148】
<実験例4>
実施例6と実施例9で製造された円筒形二次電池を、下記の条件でレート評価を進行させた。
[1~3rd cycle充放電条件]
Charge:0.1C、CC/CV、4.25V、1/20C cut-off
Discharge:0.1C、CC、3.0V、cut-off
[4~6th cycle充放電条件]
Charge:0.1C、CC/CV、4.25V、1/20C cut-off
Discharge:2C、CC、3.0V、cut-off
【0149】
初期3回の充放電で得られた0.1C平均放電容量値対比4~6th cycleで得られた2C平均放電容量値の容量維持率を計算して、その結果を下記表4に示した。
【0150】
【表4】
【0151】
表4を参照すれば、同一の導電性炭素層を形成しても、グラフェンを用いた場合より、優れたレート特性を示すことを確認できる。
【0152】
本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、上記の内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用および変形を行うことが可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0153】
以上説明したように、本発明の一実施例による二次電池は、電解液と接触しうる電池ケースの内面の一部または全部、そして、追加的に構成要素の外面に導電性層を形成することによって、導電性の低下なしに、電解液による腐食が可能な部分を全体的にカバーして効果的に腐食を防止することができる。
図1
図2
図3
図4