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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】二次電池およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/184 20210101AFI20240509BHJP
   H01M 50/152 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/167 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/186 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/35 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 50/367 20210101ALI20240509BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20240509BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20240509BHJP
【FI】
H01M50/184 D
H01M50/152
H01M50/167
H01M50/186
H01M50/35 101
H01M50/367
H01M10/0566
H01M10/0587
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022564356
(86)(22)【出願日】2021-05-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-08
(86)【国際出願番号】 KR2021006025
(87)【国際公開番号】W WO2021241924
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】10-2020-0064986
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユ、スン フーン
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-128121(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0070707(US,A1)
【文献】特開平11-031487(JP,A)
【文献】特開2017-224426(JP,A)
【文献】実開平05-050652(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10
H01M 50/30
H01M 10/04
H01M 10/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解液に含浸される電極組立体;
前記電極組立体と前記電解液を収納する電池ケース;
前記電池ケースと結合されるキャップ組立体;および
前記電池ケースと前記キャップ組立体との間に位置するガスケットを含み、
前記ガスケットは、内側に高さ方向に沿って形成された湾入部を含み、
前記湾入部は、前記キャップ組立体と向き合いながら、前記キャップ組立体と離隔している二次電池。
【請求項2】
前記ガスケットは、前記湾入部の一端部に位置したまま前記電池ケースと前記キャップ組立体との間を密閉する密封部を含む、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記密封部は、前記キャップ組立体と接する、請求項2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記密封部が前記キャップ組立体と接する面に凹凸部が形成された、請求項3に記載の二次電池。
【請求項5】
前記湾入部は、高さ方向に沿って一直線、斜めにまたはジグザグにつながる、請求項1から4のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項6】
前記湾入部は、一端部から他端部に行くほど幅が広くなる、請求項1から5のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項7】
前記電池ケースと前記キャップ組立体は、前記ガスケットを間に置いてクリンピング結合されて、前記電池ケースにクリンピング部が形成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項8】
電池ケースの内部に電極組立体を収納する段階;
前記電極組立体に電解液を注入する段階;
前記電極組立体の上にキャップ組立体およびガスケットを位置させる段階;および
前記電極組立体に対して充放電を実施して前記電極組立体を活性化する段階を含み、
前記ガスケットは、内側に形成された湾入部を含み、
前記湾入部は、前記キャップ組立体と向き合いながら、前記キャップ組立体と離隔しており、
前記電極組立体を活性化する段階で、発生したガスが前記湾入部に沿って外部に排出される二次電池の製造方法。
【請求項9】
前記ガスケットは、前記湾入部の一端部に位置したまま前記電池ケースと前記キャップ組立体との間を密閉する密封部を含む、請求項8に記載の二次電池の製造方法。
【請求項10】
前記ガスケットを間に置いて前記電池ケースと前記キャップ組立体をクリンピング結合する段階をさらに含み、
前記クリンピング結合する段階で、前記密封部が前記キャップ組立体と接する、請求項9に記載の二次電池の製造方法。
【請求項11】
前記密封部が前記キャップ組立体と接する面に凹凸部が形成された、請求項10に記載の二次電池の製造方法。
【請求項12】
前記キャップ組立体の上に補助リングを配置する段階をさらに含み、
前記補助リングは、前記密封部と接触して、前記湾入部が形成する経路を遮断する、請求項9に記載の二次電池の製造方法。
【請求項13】
前記補助リングを配置する段階は、前記電極組立体を活性化する段階の前に行われる、請求項12に記載の二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願(ら)との相互引用
本出願は、2020年5月29日付韓国特許出願第10-2020-0064986号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として組み含まれる。
【0002】
本発明は、二次電池およびその製造方法に関し、より具体的には、活性化工程で発生したガスの排出が可能な二次電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近来、ノートパソコン、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急激に増大し、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化することに伴い、その駆動電源として使用される二次電池に対して多くの研究が行われている。
【0004】
電池ケースに内蔵される前記電極組立体は、正極、分離膜、負極の積層構造からなる充放電が可能な発電素子として、ジェリーロール型、スタック型およびスタック/フォルディング型に分類される。ジェリーロール型は、活物質が塗布された長いシート状の正極と負極との間に分離膜を介して巻き取った形態であり、スタック型は、所定の大きさの多数の正極と負極を分離膜が介された状態で順次に積層した形態であり、スタック/フォルディング型は、ジェリーロール型とスタック型の複合構造である。そのうち、ジェリーロール型電極組立体は、製造が容易であり、重量当たりのエネルギー密度が高いという長所を有している。
【0005】
二次電池は、電池ケースの形状により、電極組立体が円筒型金属カンに内装されている円筒型電池、電極組立体が角型の金属カンに内装されている角型電池、および電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチ型ケースに内装されているパウチ型電池に分類される。そのうち円筒型電池は、相対的に容量が大きく、構造的に安定しているという長所を有する。
【0006】
一方、二次電池には、例えばニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などがある。これらのうち、リチウム二次電池は、ニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果がほとんど起こらず、充放電が自由であり、自放電率が非常に低く、作動電圧が高く、単位重量当たりのエネルギー密度が高いという長所のため、先端電子機器分野で広く使用されている。
【0007】
図1は従来の円筒型二次電池の上部の部分断面図である。
【0008】
図1を参照すれば、ジェリーロール型電極組立体50が円筒型ケース20に収納され、円筒型ケース20の開放された上部にキャップ組立体30が装着されて円筒型二次電池10が製造され得る。具体的に、キャップ組立体30と円筒形ケース20との間にガスケット(Gasket)40を位置させた後、キャップ組立体30と円筒形ケース20をクリンピング(Crimping)結合して円筒型二次電池10を製造することができる。
【0009】
キャップ組立体30は、上端キャップ31および内部圧力降下用安全ベント32を含み、上端キャップ31と内部圧力降下用安全ベント32は互いに密着した構造を形成することができる。
【0010】
安全ベント32は、電流遮断部材(Current Interrupt Device、CID)60を通じて電極組立体50と電気的に連結され得る。電流遮断部材60の周縁をCIDガスケット70が囲むことができる。
【0011】
一般的にリチウム二次電池は、製造過程で化成(formation)工程、つまり、活性化工程を行う。前記活性化工程は、電池組立後に充電と放電を行って電池を活性化する工程であり、充電時に正極から出たリチウムイオンが負極に移動して挿入され、この時、負極表面で固体電解質界面(solid electrolyte interface:SEI)膜が形成される。このような活性化工程は、一般的に一定範囲の定電流または定電圧で充放電を繰り返すことにより行われる。
【0012】
このような活性化工程において、電極被膜の形成やセル内部水分の分解により多量のガスが発生するが、活性化工程で発生したガスは量も多く、電極被膜と持続的に反応するため、これを排出させる工程が必要である。これを脱気(degas)工程という。
【0013】
しかし、図1を再び参照すれば、従来の円筒型二次電池10は、電解液注入後に密閉を維持しなければならないため、活性化工程で発生したガスを排出することが容易でない。そのため、内圧が簡単に増加し、電池性能が低下するようになる。
【0014】
そこで、活性化工程で発生したガスの排出が可能な円筒型二次電池の開発が必要であるのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明が解決しようとする課題は、活性化工程で発生したガスの排出が可能な二次電池およびその製造方法を提供することにある。
【0016】
しかし、本発明の実施形態が解決しようとする課題は、前述した課題に限定されず、本発明に含まれている技術的な思想の範囲で多様に拡張され得る。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一実施形態による二次電池は、電解液に含浸される電極組立体;前記電極組立体と前記電解液を収納する電池ケース;前記電池ケースと結合されるキャップ組立体;および前記電池ケースと前記キャップ組立体との間に位置するガスケットを含む。前記ガスケットは、内側に形成された湾入部を含み、前記湾入部は、前記キャップ組立体と向き合いながら、前記キャップ組立体と離隔している。
【0018】
前記ガスケットは、前記湾入部の一端部に位置したまま前記電池ケースと前記キャップ組立体との間を密閉する密封部を含むことができる。
【0019】
前記密封部は、前記キャップ組立体と接することができる。
【0020】
前記密封部が前記キャップ組立体と接する面に凹凸部が形成され得る。
【0021】
前記湾入部は、高さ方向に沿って一直線、斜めにまたはジグザグにつながり得る。
【0022】
前記湾入部は、一端部から他端部に行くほど幅が広くなり得る。
【0023】
前記電池ケースと前記キャップ組立体は、前記ガスケットを間に置いてクリンピング結合されて、前記電池ケースにクリンピング部が形成され得る。
【0024】
本発明の一実施形態による二次電池の製造方法は、電池ケースの内部に電極組立体を収納する段階;前記電極組立体に電解液を注入する段階;前記電極組立体の上にキャップ組立体およびガスケットを位置させる段階;および前記電極組立体に対して充放電を実施して前記電極組立体を活性化する段階を含む。前記ガスケットは、内側に形成された湾入部を含み、前記湾入部は、前記キャップ組立体と向き合いながら、前記キャップ組立体と離隔しており、前記電極組立体を活性化する段階で、発生したガスが前記湾入部に沿って外部に排出される。
【0025】
前記ガスケットは、前記湾入部の一端部に位置したまま前記電池ケースと前記キャップ組立体との間を密閉する密封部を含むことができる。
【0026】
前記二次電池の製造方法は、前記ガスケットを間に置いて前記電池ケースと前記キャップ組立体をクリンピング結合する段階をさらに含むことができ、前記クリンピング結合する段階で、前記密封部が前記キャップ組立体と接することができる。
【0027】
前記密封部が前記キャップ組立体と接する面に凹凸部が形成され得る。
【0028】
前記二次電池の製造方法は、前記キャップ組立体の上に補助リングを配置する段階をさらに含むことができ、前記補助リングは、前記密封部と接触して、前記湾入部が形成する経路を遮断することができる。
【0029】
前記補助リングを配置する段階は、前記電極組立体を活性化する段階の前に行われ得る。
【発明の効果】
【0030】
本発明の実施形態によれば、湾入部が形成されたガスケットを利用して活性化工程で発生したガスを容易に排出することができるため、二次電池の内圧増加および性能低下を防止することができる。また、ガスによる電極組立体の膨張、変形などの問題や残留ガス気泡によるリチウム析出誘発の問題を解決することができる。
【0031】
本発明の効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及されていないまた他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者に明確に理解され得るだろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】従来の円筒型二次電池の上部の部分断面図である。
図2】本発明の一実施形態による二次電池の斜視図である。
図3図2の切断線A-A'に沿って切断した断面の一部を示す部分断面図である。
図4図3の「B」部分を拡大して示す部分断面図である。
図5図3の二次電池に含まれているガスケットを示す斜視図である。
図6】本発明の変形された実施形態により凹凸構造が形成されたガスケットを説明するための部分断面図である。
図7】(a)~(c)は本発明の変形された実施形態によるガスケットを示す斜視図である。
図8】本発明の一実施形態による二次電池の製造方法を説明するための部分断面図である。
図9】本発明の一実施形態による二次電池の製造方法を説明するための部分断面図である。
図10】(a)は本発明の一実施形態による補助リングを配置する段階を説明するための部分断面図であり、(b)は本発明の一実施形態による補助リングの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付した図面を参照して本発明の多様な実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。本発明は、多様な異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0034】
本発明を明確に説明するために、説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。
【0035】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したため、本発明が必ずしも図示されたところに限定されるのではない。図面において、複数の層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0036】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるという時、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。反対に、ある部分が他の部分の「直上」にあるという時には中間にまた他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分の「上」にあるということは、基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力反対方向に向かって「上」に位置することを意味するのではない。
【0037】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除外せず、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0038】
また、明細書全体において、「平面上」という時、これは対象部分を上方から見た時を意味し、「断面上」という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を側方から見た時を意味する。
【0039】
図2は本発明の一実施形態による二次電池の斜視図であり、図3図2の切断線A-A'に沿って切断した断面の一部を示す部分断面図である。
【0040】
図2および図3を参照すれば、本発明の一実施形態による二次電池100は、電解液に含浸される電極組立体500、電極組立体500と前記電解液を収納する電池ケース200、電池ケース200と結合されるキャップ組立体300、および電池ケース200とキャップ組立体300との間に位置するガスケット400を含む。
【0041】
まず、電極組立体500は、正極510および負極520の間に分離膜530を介して巻き取ったジェリーロール形態の構造であり、その中心部にセンターピン(図示せず)が挿入され得る。センターピンは、一般的に所定の強度を付与するために金属素材からなり、板材を丸く曲げた中空型の円筒形構造からなる。このようなセンターピンは、電極組立体500を固定および支持する作用と充放電および作動時に内部反応により発生されるガスを放出する通路として作用することができる。特に、後述する活性化工程で発生したガスが移動することができる。
【0042】
キャップ組立体300は、上端キャップ310と安全ベント320を含み、このような上端キャップ310は、安全ベント320の上に位置し、安全ベント320と互いに密着した構造を形成して電気的に連結され得る。上端キャップ310は、中央が上方に突出し、正極タブ511などを通じて電極組立体500の正極510と間接的に連結されて、外部回路との接続による正極端子としての機能を行うことができる。
【0043】
電池ケース200は、円筒形状であり得、ビーディング部210およびクリンピング部220を含むことができる。
【0044】
ビーディング部210は、電池ケース200のうちの一部が電極組立体500の中心方向に湾入された部分を称すものであって、キャップ組立体300の安定した結合および電極組立体500の遊動防止のためのものである。ここで、電極組立体500の中心方向とは、ジェリーロール形態の電極組立体500の外周面からその中心への半径方向を意味し得る。
【0045】
クリンピング部220は、ビーディング部210の上部に位置して、キャップ組立体300を囲む部分を称すものであって、キャップ組立体300の安定した結合のためのものである。具体的に、ガスケット400は、クリンピング部220とビーディング部210の内面に装着されてキャップ組立体300と電池ケース200との間の密封力を増大させる。つまり、電池ケース200とキャップ組立体300との間にガスケット400を位置させ、電池ケース200の端部を曲げることによってクリンピング部220を形成する。これによって、キャップ組立体300の装着および二次電池100の密封がなされ得る。
【0046】
一方、安全ベント320の下には電流遮断部材(Current Interrupt Device、CID)600、およびCIDガスケット700が位置することができる。安全ベント320は、電流を通じる薄膜構造物であって、それぞれ深さを異にする二つの溝部321、322が形成され得る。
【0047】
電流遮断部材600は、導電性板材の部材であり、外周部610および外周部610により囲まれた遮断部620を含むことができる。また、具体的に図示していないが、ガスの排出のための多数の貫通口が形成され得る。非正常な作動状況で、二次電池100内部での圧力が上昇すれば遮断部620が外周部610と分離されて、外部回路と電極組立体500との間の電気的連結が遮断され得る。
【0048】
CIDガスケット700は、電流遮断部材600の周縁を囲む部材であり、安全ベント320が外周部610と接触することを防止することができる。
【0049】
以下、図4および図5を参照して、本実施形態により湾入部が形成されたガスケットについて詳しく説明する。
【0050】
図4図3の「B」部分を拡大して示す部分断面図であり、図5図3の二次電池に含まれているガスケットを示す斜視図である。
【0051】
図4および図5を参照すれば、本実施形態による二次電池は、電池ケース200とキャップ組立体300との間に位置するガスケット400を含むが、ガスケット400は、内側に形成された湾入部410を含み、湾入部410は、キャップ組立体300と向き合いながら、キャップ組立体300と離隔している。
【0052】
ガスケット400の内側に湾入部410が形成されることによって、活性化工程で発生したガスが移動できる通路が設けられ得る。これによって、ガスによる二次電池100の内圧増加および性能低下を防止することができる。具体的に、電極組立体の膨張、変形や残留ガス気泡によるリチウム析出誘発の問題などを防止することができる。詳細な内容は以下で図8および図9を参照して再び説明する。
【0053】
ガスケット400は、キャップ組立体300を囲むために円形のリング形態であり得、湾入部410は円形のリング形態であるガスケット400の内側に形成されて、高さ方向に沿って一直線につながり得る。ガスケット400に形成される湾入部410の個数に特別な制限はなく、複数個で構成され得る。ただし、活性化工程で発生したガスだけ排出し、それ以外の工程では大気流入を最大限抑制することが良いため、2個~4個で形成されることが好ましい。
【0054】
一方、本実施形態によるガスケット400は、湾入部410の一端部に位置したまま電池ケース200とキャップ組立体300との間を密閉する密封部420を含むことができる。このような密封部420は、キャップ組立体300と接することができ、このために密封部420は湾入部410よりも内側に突出した構造を形成することができる。ガスケット400を間に置いて電池ケース200とキャップ組立体300がクリンピング結合して電池ケース200にクリンピング部220が形成され得るが、ガスケット400の密封部420がキャップ組立体300と電池ケース200との間を密閉することができる。湾入部を通じたガス排出以降に密封部420が湾入部410を通じる排出経路を遮断することができる。
【0055】
図6は、本発明の変形された実施形態により凹凸構造が形成されたガスケットを説明するための部分断面図である。
【0056】
図6を参照すれば、本実施形態によるガスケット400の密封部420がキャップ組立体300と接する面に凹凸部421が形成され得る。凹凸部421は、凹状部分と凸状部分が反復的に形成される領域を称すものであり、キャップ組立体300と接する面にこのような凹凸部421を設けて、電池ケース200とキャップ組立体300をクリンピング結合した時、密封部420とキャップ組立体300との間の密閉程度が増大することができる。
【0057】
図7の(a)~(c)は本発明の変形された実施形態によるガスケットを示す斜視図である。
【0058】
まず、図7の(a)を参照すれば、本実施形態によるガスケット400aに形成された湾入部410aは、図5に示された一直線につながる湾入部410とは異なり、高さ方向に沿って斜めにつながり得る。
【0059】
次に、図7の(b)を参照すれば、本実施形態によるガスケット400bに形成された湾入部410bは高さ方向に沿ってジグザグにつながり得る。
【0060】
高さ方向に沿って斜めにまたはジグザグにつながる湾入部410a、410bを通じて活性化工程で発生するガスを排出すると同時に、電解液の流出や気泡発生を最小化することができる。
【0061】
次に、図7の(c)を参照すれば、本実施形態によるガスケット400に形成された湾入部410cは、一端部から他端部に行くほど幅が広くなり得る。より具体的に、湾入部410cが高さ方向に沿ってつながるが、密封部420が位置した一端部から前記一端部と対向する他端部に行くほど幅が広くなる台形を形成することができる。
【0062】
一端部から他端部に行くほど幅が広くなる湾入部410cを通じて活性化工程で発生するガスを排出すると同時に、電池ケース内部に収納された電極組立体や電解液が大気と接触することを最小化することができる。
【0063】
以下、図8および図9を参照して、本発明の一実施形態による二次電池の製造方法について詳しく説明する。
【0064】
図8および図9は本発明の一実施形態による二次電池の製造方法を説明するための部分断面図である。具体的に、図8は電池ケース200とキャップ組立体300のクリンピング結合以前の二次電池100の上部の部分断面図であり、図9は電池ケース200とキャップ組立体300のクリンピング結合以降の二次電池100の上部の部分断面図である。
【0065】
まず、図8を参照すれば、本発明の一実施形態による二次電池100の製造方法は、電池ケース200の内部に電極組立体500を収納する段階、電極組立体500に電解液を注入する段階、電極組立体500の上にキャップ組立体300およびガスケット400を位置させる段階、および電極組立体500に対して充放電を実施して電極組立体500を活性化する段階を含む。
【0066】
電池ケース200の内部に電極組立体500を収納した後、電極組立体500の上部で電池ケース200を電極組立体500の中心方向に湾入してビーディング部210を形成する段階が続いて行われ得る。
【0067】
その後、電極組立体500に対して充放電を実施して電極組立体500を活性化する段階が続いて行われ得るが、電極組立体500を活性化する段階は、化成(formation)工程、つまり、活性化工程に該当する。前記活性化工程は、二次電池に対して充電と放電を行って二次電池を活性化する工程であり、充電時に正極510から出たリチウムイオンが負極520に移動して挿入され、この時、負極520表面で固体電解質界面(solid electrolyte interface:SEI)膜が形成される。このような活性化工程は、一般的に一定範囲の定電流または定電圧で充放電を繰り返すことにより行われる。
【0068】
このような活性化工程において、電極被膜の形成やセル内部水分の分解により多量のガスが発生するが、活性化工程で発生したガスは、量も多く、電極被膜と持続的に反応するため、これを排出させる必要がある。
【0069】
この時、本実施形態によるガスケット400は、内側に形成された湾入部410を含み、湾入部410は、キャップ組立体300と向き合いながら、キャップ組立体300と離隔している。前記電極組立体500を活性化する段階で、発生したガスが湾入部410に沿って外部に排出される。より具体的には、湾入部410とキャップ組立体300との間に形成された移動通路に沿って外部に排出され得る。このように、活性化工程で発生したガスを排出することができるため、二次電池100の内圧増加および性能低下を防止することができる。より具体的には、電極組立体500の膨張、変形を防止することができ、また残留ガス気泡によるリチウム析出誘発の問題などを防止することができる。
【0070】
次に、図9を参照すれば、本実施形態によるガスケット400は、湾入部410の一端部に位置したまま電池ケース200とキャップ組立体300との間を密閉する密封部420を含むことができる。また、本実施形態による二次電池100の製造方法は、ガスケット400を間に置いて電池ケース200とキャップ組立体300をクリンピング結合する段階をさらに含むことができ、前記クリンピング結合する段階で、密封部420が前記キャップ組立体300と接して電池ケース200とキャップ組立体300との間を密閉することができる。前記活性化する段階で湾入部410を通じてガスが外部に排出された後に前記クリンピング結合する段階を通じて密封部420が湾入部410を通じた排出経路を遮断することができる。言い換えると、本実施形態では、ガスケット400に湾入部410を形成して活性化工程時にガス排出のための経路を確保し、同時に湾入部410の一端部に突出した密封部420を形成してガスケット400の密封機能を確保することができる。
【0071】
一方、図6に示されているように、密封部420がキャップ組立体300と接する面に凹凸部421が形成されて密閉程度が増大することができる。詳細な内容は前述した内容と重複するため省略する。
【0072】
図10の(a)は本発明の一実施形態による補助リングを配置する段階を説明するための部分断面図であり、図10の(b)は本発明の一実施形態による補助リングの斜視図である。
【0073】
図10の(a)および図10の(b)を参照すれば、本実施形態による二次電池100の製造方法は、キャップ組立体300の上に補助リング800を配置する段階をさらに含むことができる。補助リング800は、環形状の部材であり、密封部420と接触して、湾入部410が形成する経路を遮断することができる。
【0074】
前記補助リング800を配置する段階は、前記電極組立体500を活性化する段階の前に行われることが好ましい。具体的に、前記電解液を注入する段階と前記電極組立体500を活性化する段階との間に行われ得る。より具体的に、電極組立体500に電解液を注入し、電極組立体500の上にキャップ組立体300およびガスケット400を位置させた後、キャップ組立体300の上に補助リング800を配置することができる。補助リング800を配置することによって、電極組立体500に電解液を注入してから電極組立体500を活性化する前まで湾入部410が形成する経路を通じて電解液が外部大気と接触することを最小化することができる。前記活性化する段階が行われる前に電解液が外部大気中の水分に一定時間露出すれば二次電池の性能低下を誘発することがあるが、本実施形態による補助リング800が前記活性化する段階が行われる前までの待機時間の間に電解液と外部大気の接触経路を遮断することによって、このような問題を解決することができる。その後、補助リング800を除去してから前記活性化する段階が行われ得る。
【0075】
このような補助リング800の材質に特別な制限はなく、弾性を有する素材が含まれ得る。
【0076】
本実施形態で前、後、左、右、上、下のような方向を示す用語が使用されているが、このような用語は説明の便宜のためのものに過ぎず、対象となる事物の位置や観測者の位置などにより変わり得る。
【0077】
前述した本実施形態による一つまたはそれ以上の二次電池は、多様なデバイスに適用され得る。具体的には電気自転車、電気自動車、ハイブリッドなどの運送手段に適用され得るが、これに制限されず、二次電池を使用することができる多様なデバイスに適用可能である。
【0078】
以上で本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の範囲に属する。
【符号の説明】
【0079】
100:二次電池
200:電池ケース
300:キャップ組立体
400:ガスケット
410:湾入部
420:密封部
421:凹凸部
800:補助リング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図7(c)】
図8
図9
図10(a)】
図10(b)】