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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/36 20180101AFI20240509BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20240509BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20240509BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20240509BHJP
   F24F 11/89 20180101ALI20240509BHJP
【FI】
F24F11/36
F25B49/02 520M
F24F11/64
F24F11/74
F24F11/89
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019045397
(22)【出願日】2019-03-13
(65)【公開番号】P2020148380
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-02-28
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(72)【発明者】
【氏名】土屋 祐二
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-083083(JP,A)
【文献】国際公開第2016/157615(WO,A1)
【文献】特開2014-126253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
漏洩した冷媒を検知する冷媒センサと、
前記筐体の内部に前記筐体の内外の空気を循環させる送風ファンと、
前記冷媒センサ及び前記送風ファンの動作を制御する制御手段と、を備えた空気調和機であって、
前記制御手段は、前記空気調和機の運転停止中において、前記冷媒センサが所定以上のガス濃度を検出したとき、前記送風ファンを第1回転数によって動作させ、前記送風ファンの動作前後の単位時間当たりのガス濃度変化を比較して前記送風ファンの動作前よりも前記送風ファン動作後のガス濃度変化が大きければ外部ガスを検出したと判定し、前記送風ファンの動作前よりも前記送風ファン動作後のガス濃度変化が小さければ室内機の内部で冷媒が漏洩したと判定する1次判定を行い、前記1次判定により外部ガスを検出したと判定した場合には、安全対策を行わない、ことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記制御手段は、前記送風ファンを前記第1回転数よりも低い第2回転数によってさらに動作させ、又は、停止させ、前記送風ファンの回転数低下前後、又は、停止前後の単位時間当たりのガス濃度変化を比較して、室内機の内部で冷媒が漏洩したか否かについて判定する2次判定を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記2次判定では、前記送風ファンの回転数低下前、又は、停止前よりも前記送風ファン回転数低下後、又は、停止後のガス濃度変化が小さければ冷媒は漏洩していないと判定し、前記送風ファンの回転数低下前、又は、停止前よりも前記送風ファン回転数低下後、又は、停止後のガス濃度変化が大きければ冷媒が漏洩したと判定する、ことを特徴とする請求項に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記空気調和機は、床置き式室内機である、ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒センサを備える空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機には、冷媒として、空気より比重の重い微燃性冷媒(例えば、R32)や可燃性冷媒が使用されている。冷媒が空気調和機から漏れた場合において、使用者の安全を確保するため、漏洩した冷媒を検知するための冷媒センサが搭載されている。例えば、一般的な室内機において、通常、冷媒センサは、冷媒が漏洩するリスクが高い位置として室内熱交換器と室外機からの冷媒配管との溶接部や接続部の下に配置されることが多い。また、冷媒センサは、内部に冷媒が循環する熱交換器より低い位置に配置されて漏洩の監視を行っている。空気調和機の運転中でも、冷媒センサは、同様の位置で監視をしている。冷媒センサには安価な半導体式が使用されている例が多いが、この場合、冷媒センサは、特定の冷媒に反応するのではなく、同じ成分を含む不燃性の冷媒やLPガス、アルコール類などの他のガス(以降、外部ガスと記載する)にも反応する。
【0003】
空気調和機の運転中に冷媒が漏洩した後の安全対策としては、室内機の内部で冷媒が漏洩したと判定した際に室内ファン(以下、室外機の室外ファンと区別しない場合に、送風ファンと記載する場合がある)の制御を行い、漏洩した冷媒を攪拌することで、漏洩した冷媒を希釈して発火を防ぐ方法(例えば、特許文献1)が開示されている。この方法では、運転中に冷媒センサで冷媒ガスの漏洩を検知した場合に冷媒を攪拌する運転を行うが、運転中の監視に対しては、室内機が配置された室内の空気を室内機の吸込口から取り込んでいる。そのため、室内で外部ガスが発生したような場合、その外部ガスが取り込まれることになる。その結果、外部ガスが冷媒センサが配置された室内機の内部空間にも流入して、室内機の内部で冷媒が漏洩していないにもかかわらず冷媒が漏洩していると判定される可能性がある。
【0004】
また、室内機の内部において、室内熱交換器の下方に配置されたドレンパンの排出部の近傍に冷媒センサが設けられており、室内機の内部における冷媒の漏洩箇所と冷媒センサの取付位置、つまり、検知位置が離れているような場合の対応として、室内機の吹出口を閉鎖して、室内ファンを通常運転の最小回転数以下で回転させて、室内機の内部で漏洩した冷媒を空気流に乗せて冷媒センサまで導く方法(例えば、特許文献2)が開示されている。ここで、通常運転の最小回転数とは、室内機内部に空気を循環させることができる風速又は風量が得られる回転数のことである。しかし、室内ファンが回転することで吸込ロより室内の空気が取り込まれるため、室内機の内部に漏洩した冷媒が希釈されたり、室内機の吹出口が密閉構造でないため漏洩した冷媒が室内機の外に排気されることにより、冷媒の濃度が徐々に低下していく。その結果、実際には冷媒が漏洩しているにもかかわらず冷媒が漏洩していないと判定される可能性がある。
【0005】
このほかに、空気調和機の運転中に冷媒センサの反応があった場合に、室内ファンを停止、又は、その回転数を低下させた後、室内ファンの停止前後、又は、回転数低下前後のガス濃度の変化を比較して、冷媒センサが反応した原因が外部ガスと冷媒の漏洩のどちらであるか判定を行っている例もある。しかし、いずれの方法でも運転停止中における判定は考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-090110号公報
【文献】特開2017-015324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上述べた問題点を解決するものであって、運転停止中に冷媒が漏洩したか否かを正確に判定する空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、以下のように把握される。
(1)筐体と、漏洩した冷媒を検知する冷媒センサと、前記筐体の内部に前記筐体の内外
の空気を循環させる送風ファンと、前記冷媒センサ及び前記送風ファンの動作を制御する
制御手段と、を備えた空気調和機であって、前記制御手段は、前記空気調和機の運転停止
中において、前記冷媒センサが所定以上のガス濃度を検出したとき、前記送風ファンを第
1回転数によって動作させ、前記送風ファンの動作前後の単位時間当たりのガス濃度変化
を比較して室内機の内部で冷媒が漏洩したか外部ガスを検出したかについて判定する1次判定を行い、前記1次判定により外部ガスを検出したと判定した場合には、安全対策を行わない。
【0009】
(2)上記(1)において、前記1次判定では、前記送風ファンの動作前よりも前記送風ファン動作後のガス濃度変化が大きければ冷媒は漏洩していないと判定し、前記送風ファンの動作前よりも前記送風ファン動作後のガス濃度変化が小さければ冷媒が漏洩したと判定する。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)において、前記制御手段は、前記送風ファンを前記第1回転数よりも低い第2回転数によってさらに動作させ、又は、停止させ、前記送風ファンの回転数低下前後、又は、停止前後の単位時間当たりのガス濃度変化を比較して、室内機の内部で冷媒が漏洩したか否かについて判定する2次判定を行う。
【0011】
(4)上記(3)において、前記2次判定では、前記送風ファンの回転数低下前、又は、停止前よりも前記送風ファン回転数低下後、又は、停止後のガス濃度変化が小さければ冷媒は漏洩していないと判定し、前記送風ファンの回転数低下前、又は、停止前よりも前記送風ファン回転数低下後、又は、停止後のガス濃度変化が大きければ冷媒が漏洩したと判定する。
【0012】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つにおいて、前記空気調和機は、床置き式室内機である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、運転停止中に冷媒が漏洩したか否かを正確に判定する空気調和機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態の空気調和機を説明する図であって、(A)は冷媒回路図、(B)は空気調和機の制御手段のブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る空気調和機の室内機を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る空気調和機の室内機を示す分解斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る空気調和機の室内機の制御構成を示すブロック図である。
図5】本発明の実施形態に係る送風ファンの制御による1次判定を説明する図である。
図6】本発明の実施形態に係る送風ファンの制御による2次判定を説明する図である。
図7】本発明の実施形態に係る送風ファンの制御による判定の手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【0016】
<空気調和機の構成>
まず、図1(A)を参照して、室外機2を含む空気調和機1の冷媒回路について説明する。図1(A)に示すように、本実施形態における空気調和機1は、屋外に設置される室外機2と、室内に設置され、室外機2に液管4及びガス管5で接続された室内機3を備えている。詳細には、室外機2の液側閉鎖弁25と室内機3の液管接続部33が液管4で接続されている。また、室外機2のガス側閉鎖弁26と室内機3のガス管接続部34がガス管5で接続されている。以上により、空気調和機1の冷媒回路10が構成されている。
【0017】
<<室外機の冷媒回路>>
まずは、室外機2について説明する。室外機2は、圧縮機21と、四方弁22と、室外熱交換器23と、膨張弁24と、液管4が接続された液側閉鎖弁25と、ガス管5が接続されたガス側閉鎖弁26と、室外ファン27を備えている。そして、室外ファン27を除くこれら各要素が以下に詳述する各冷媒配管で相互に接続され、冷媒回路10の一部をなす室外機冷媒回路10aを構成している。なお、圧縮機21の冷媒吸入側には、アキュムレータ(不図示)が設けられてもよい。
【0018】
圧縮機21は、図示しないインバータにより回転数が制御されることで、運転容量を変えることができる容量可変型圧縮機である。圧縮機21の冷媒吐出側は、四方弁22のポートaと吐出管61で接続されている。また、圧縮機21の冷媒吸入側は、四方弁22のポートcと吸入管66で接続されている。
【0019】
四方弁22は、冷媒の流れる方向を切り替えるための弁であり、a、b、c、dの4つのポートを備えている。ポートaは、前述したように圧縮機21の冷媒吐出側と吐出管61で接続されている。ポートbは、室外熱交換器23の一方の冷媒出入口と冷媒配管62で接続されている。ポートcは、前述したように圧縮機21の冷媒吸入側と吸入管66で接続されている。そして、ポートdは、ガス側閉鎖弁26と室外機ガス管64で接続されている。なお、四方弁22が、本発明の流路切替手段である。
【0020】
室外熱交換器23は、冷媒と、後述する室外ファン27の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気を熱交換させるものである。室外熱交換器23の一方の冷媒出入口は、前述したように四方弁22のポートbと冷媒配管62で接続され、他方の冷媒出入口は液側閉鎖弁25と室外機液管63で接続されている。室外熱交換器23は、後述する四方弁22の切り替えによって、冷房運転時は凝縮器として機能し、暖房運転時は蒸発器として機能する。
【0021】
膨張弁24は、図示しないパルスモータにより駆動される電子膨張弁である。具体的には、パルスモータに加えられるパルス数によりその開度が調整される。膨張弁24は、暖房運転時は圧縮機21から吐出される冷媒の温度である吐出温度が所定の目標温度となるように、その開度が調整される。
【0022】
室外ファン27は樹脂材で形成されており、室外熱交換器23の近傍に配置されている。室外ファン27は、その中心部が図示しないファンモータの回転軸に接続されている。ファンモータが回転することで室外ファン27が回転する。室外ファン27の回転によって、室外機2の図示しない吸込口から室外機2の内部へ外気を取り込み、室外熱交換器23において冷媒と熱交換した外気を、室外機2の図示しない吹出口から室外機2外部へ放出する。
【0023】
以上説明した構成の他に、室外機2には各種のセンサが設けられている。図1(A)に示すように、吐出管61には、圧縮機21から吐出される冷媒の圧力を検出する吐出圧力センサ71と、圧縮機21から吐出される冷媒の温度(前述した吐出温度)を検出する吐出温度センサ73が設けられている。吸入管66には、圧縮機21に吸入される冷媒の圧力を検出する吸入圧力センサ72と、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を検出する吸入温度センサ74が設けられている。
【0024】
室外熱交換器23の図示しない冷媒パスの略中間部には、室外熱交換器23の温度である室外熱交温度を検出する熱交温度センサ75が設けられている。そして、室外機2の図示しない吸込口付近には、室外機2の内部に流入する外気の温度、すなわち外気温度を検出する外気温度センサ76が備えられている。
【0025】
また、室外機2には、室外機制御手段200が備えられている。室外機制御手段200は、室外機2の図示しない電装品箱に格納されている制御基板に搭載されている。図1(B)に示すように、室外機制御手段200は、CPU210と、記憶部220と、通信部230と、センサ入力部240を備えている。
【0026】
記憶部220は、フラッシュメモリで構成されており、室外機2の制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、圧縮機21や室外ファン27等の制御状態等を記憶している。また、図示は省略するが、記憶部220には室内機3から受信する要求能力に応じて圧縮機21の回転数を定めた回転数テーブルが予め記憶されている。
【0027】
通信部230は、室内機3との通信を行うインターフェイスである。センサ入力部240は、室外機2の各種センサでの検出結果を取り込んでCPU210に出力する。
【0028】
CPU210は、前述した室外機2の各センサでの検出結果を、センサ入力部240を介して取り込む。さらには、CPU210は、室内機3から送信される制御信号を、通信部230を介して取り込む。CPU210は、取り込んだ検出結果や制御信号等に基づいて、圧縮機21や室外ファン27の駆動制御を行う。また、CPU210は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、四方弁22の切り替え制御を行う。さらには、CPU210は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、膨張弁24の開度調整を行う。
【0029】
<<室内機の冷媒回路>>
次に、図1(A)を用いて、室内機3について説明する。室内機3は、室内熱交換器31と、室内ファン32と、液管4の他端が接続された液管接続部33と、ガス管5の他端が接続されたガス管接続部34を備えている。そして、室内ファン32を除くこれら各装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されて、冷媒回路10の一部をなす室内機冷媒回路10bを構成している。
【0030】
室内熱交換器31は、冷媒と後述する室内ファン32の回転により室内機3の図示しない吸込口から室内機3の内部に取り込まれた室内空気を熱交換させるものである。室内熱交換器31の一方の冷媒出入口は、液管接続部33と室内機液管67で接続されている。室内熱交換器31の他方の冷媒出入口は、ガス管接続部34と室内機ガス管68で接続されている。室内熱交換器31は、室内機3が冷房運転を行う場合は蒸発器として機能し、室内機3が暖房運転を行う場合は凝縮器として機能する。
【0031】
室内ファン32は樹脂材で形成されており、室内熱交換器31の近傍に配置されている。室内ファン32は、図示しないファンモータによって回転することで、室内機3の図示しない吸込口から室内機3の内部に室内空気を取り込み、室内熱交換器31において冷媒と熱交換した室内空気を室内機3の図示しない吹出口から室内へ吹き出す。
【0032】
以上説明した各要素の他に、室内機3には各種のセンサが設けられている。室内機液管67には、室内熱交換器31に流入あるいは室内熱交換器31から流出する冷媒の温度を検出する液側温度センサ77が設けられている。室内機ガス管68には、室内熱交換器31から流出あるいは室内熱交換器31に流入する冷媒の温度を検出するガス側温度センサ78が設けられている。そして、室内機3の図示しない吸込口付近には、室内機3の内部に流入する室内空気の温度、すなわち室温を検出する室温センサ79が備えられている。
【0033】
また、室内機3には、室内機制御手段300が備えられている。室内機制御手段300は、室内機3の電装品箱301(図3参照)に格納されている制御基板に搭載されている。図1(B)に示すように、室内機制御手段300は、CPU310と、記憶部320と、通信部330と、センサ入力部340を備えている(なお、本明細書では、室内機制御手段300を単に制御手段ということがある)。
【0034】
記憶部320は、フラッシュメモリで構成されており、室内機3の制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、室内ファン32等の制御状態等を記憶している。また、図示は省略するが、記憶部320には、後述する運転停止中の冷媒の漏洩を監視するための回転数を含む室内ファン32の回転数を定めた回転数テーブル等が予め記憶されている。
【0035】
通信部330は、室外機2との通信を行うインターフェイスである。センサ入力部340は、室内機3の各種センサでの検出結果を取り込んでCPU310に出力する。
【0036】
CPU310は、前述した室内機3の各センサでの検出結果を、センサ入力部340を介して取り込む。さらには、CPU310は、室外機2から送信される制御信号を、通信部330を介して取り込む。CPU310は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、後述する運転停止中の冷媒の漏洩を監視するための駆動を含む室内ファン32の駆動制御を行う。また、CPU310は、使用者が図示しないリモコンを操作して設定した設定温度と、室温センサ79で検出した室温との温度差を算出し、算出された温度差に基づいた要求能力を、通信部330を介して室外機2の室外機制御手段200に送信する。
【0037】
<空気調和機の動作>
次に、本実施形態における空気調和機1の空調運転時の冷媒回路10における冷媒の流れや各部の動作について、図1(A)を用いて説明する。以下では、図中、実線で示した冷媒の流れに基づいて、室内機3が暖房運転を行う場合について説明する。なお、破線で示した冷媒の流れが冷房運転を示している。
【0038】
室内機3が暖房運転を行う場合、CPU210は、図1(A)に示すように四方弁22を実線で示す状態、すなわち、四方弁22のポートaとポートdが連通するよう、また、ポートbとポートcが連通するよう、切り替える。これにより、冷媒回路10において実線矢印で示す方向に冷媒が循環し、室外熱交換器23が蒸発器として機能するとともに、室内熱交換器31が凝縮器として機能する暖房サイクルとなる。
【0039】
圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、吐出管61を流れて四方弁22に流入する。四方弁22のポートaに流入した冷媒は、四方弁22のポートdから室外機ガス管64を流れて、ガス側閉鎖弁26を介してガス管5に流入する。ガス管5を流れる冷媒は、ガス管接続部34を介して室内機3に流入する。
【0040】
室内機3に流入した冷媒は、室内機ガス管68を流れて室内熱交換器31に流入し、室内ファン32の回転により室内機3の内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って凝縮する。このように、室内熱交換器31が凝縮器として機能し、室内熱交換器31で冷媒と熱交換を行って暖められた室内空気が図示しない吹出口から室内に吹き出されることによって、室内機3が設置された室内の暖房が行われる。
【0041】
室内熱交換器31から流出した冷媒は、室内機液管67を流れ、液管接続部33を介して液管4に流入する。液管4を流れ、液側閉鎖弁25を介して室外機2に流入した冷媒は、室外機液管63を流れて膨張弁24を通過する際に減圧される。前述したように、暖房運転時の膨張弁24の開度は、圧縮機21の吐出温度が所定の目標温度となるように調整される。
【0042】
膨張弁24を通過して室外熱交換器23に流入した冷媒は、室外ファン27の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って蒸発する。室外熱交換器23から冷媒配管62に流出した冷媒は、四方弁22のポートb及びポートc、吸入管66を流れ、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
【0043】
<室内機の構造>
次に、本実施形態に係る室内機3として、図2及び図3を用いて、床置き式の室内機3の構造の一例を説明する。図2は、室内機3の外観を示す斜視図、図3は、室内機3の内部構造を示す分解斜視図、図4は、室内機3の制御構成を示すブロック図である。空気調和機1は、室外機2と室内機3との間を循環する冷媒(例えば、R32冷媒)と空気とを熱交換させて、室内機3から室内に向けて冷風や温風を吹き出して室内の冷房、暖房、除湿などを行う。
【0044】
図2に示すように、室内機3は、床面に設置される床置き式であり、筐体6と、筐体6の正面に設けられる吸込口36と、吸込口36の上下に設けられる上吹出口35x(吹出口35)、下吹出口35y(吹出口35)とを備えている。そして、図3に示すように、室内機3の内部には、吸込口36と2つの吹出口35とを結ぶ空気通路に熱交換器31が備えられている。なお、本実施形態では、各要素の上下の区別を符号枝番x/y(xが上、yが下)で表し、上下の区別をしないときは符号枝番x/yを付さないで説明する。
【0045】
図3に示すように、空気通路のうち上送風路37x(送風路37)には上モータ38x(モータ38)によって回転する上室内ファン32x(室内ファン32)が設けられており、上室内ファン37xは、上吹出口35xを構成する上ケーシング39x(ケーシング39)によって覆われている。同様に、下送風路37y(送風路37)には下モータ38y(モータ38)によって回転する下室内ファン32y(室内ファン32)が設けられており、下室内ファン32yは、下吹出口35yを構成する下ケーシング39y(ケーシング39)によって覆われている。なお、室内機3には、そのほかに、前述した室内機制御手段300が格納される電装品箱301や、室内機3の運転状態を表示する表示部302、室温センサ79が設けられている。
【0046】
一般的に、室内機3と室外機2の間で冷媒を循環させる空気調和機1において、室内機3側で冷媒が漏洩した場合は、漏洩した冷媒が床面付近に滞留して床面付近の冷媒濃度が上昇する。特に、可燃性冷媒又は本実施形態で使用するR32冷媒のような微燃性冷媒を用いる場合は、漏洩した冷媒の濃度が可燃濃度に達する可能性がある。しかし、本実施形態の床置き式の室内機3であれば、室内ファン32の動作によって吹き出される空気が床面付近を流れるので、漏洩した冷媒を室内に拡散させやすいという特徴がある。
【0047】
(制御部)
図4に示すように、空気調和機1には、赤外線リモコン、赤外線受光部などを有する操作部303の設定操作に応じて、室外機2や、室内機3の室内ファン32、などを制御する室内機制御手段300が設けられている。さらに、室内機制御手段300には、冷媒の漏洩を検知するセンサである冷媒センサ304と、警報音を出力する警報機305とが接続されている。その冷媒センサ304による冷媒の漏洩検知に基づき、警報機305によって使用者に冷媒の漏洩を報知したり、室内ファン32によって漏洩した冷媒を室内に拡散させたり、図示しない遮断弁によって冷媒の循環を遮断する、などの安全対策制御を行う。
【0048】
冷媒センサ304は、低濃度の冷媒を精度良く検知可能な半導体式の冷媒センサである。
【0049】
半導体式の冷媒センサ304は、加熱状態(例えば、300~400℃)において冷媒の漏洩を検知する検知部304aと、検知部304aを加熱するヒーター304bを備えている。検知部304aは、可燃性の冷媒が存在するとセンサ素子の電気抵抗が下がり、電気抵抗の低下量が冷媒濃度に依存することを利用して冷媒の漏洩を検知するものである。センサ素子は、半導体特性を有する金属酸化物(例えば、酸化スズ)の焼結体で形成される。
【0050】
このような検知部304aのセンサ素子をヒーター304bの発熱で300~400℃に加熱すると、冷媒のような還元性のガスを含まない大気中では、空気中の酸素が一定量その表面に負電荷吸着(酸素が酸化スズの電子を捉えて表面に吸着)し、抵抗値が高い状態となる。このセンサ素子の表面に冷媒のような還元性のガスが接触すると、吸着酸素と反応を起こして吸着酸素が脱離するのに伴い、捉えていた電子が解放されて抵抗値が減少する。このような抵抗値の変化に基づいて、冷媒の漏洩を検知することや漏洩した冷媒濃度を検出することが可能になる。
【0051】
<冷媒漏洩の判定>
空気調和機1は、上記のような構成の下、冷媒漏洩を以下のように判定する。なお、本実施形態に係る冷媒漏洩の判定については室外機2にも室内機3にも適用できるが、以下では、室内機3に適用した場合について説明する。
【0052】
室内機3は、前述のとおり、漏洩した冷媒の濃度を検出する冷媒センサ304と、筐体の内部に筐体の内外の空気を循環させる室内ファン32と、冷媒センサ304及び室内ファン32の動作を制御する室内機制御手段300と、を備えている。室内機制御手段300は、空気調和機1の運転停止中において、冷媒センサ304が所定以上のガス濃度を検出したとき、室内ファン32を第1回転数によって動作させ、室内ファン32の動作前後の単位時間当たりのガス濃度変化を比較して、室内機3の内部で冷媒が漏洩したか否かについて1次判定を行う。そして、室内ファン32の動作前後の単位時間当たりのガス濃度変化が、室内ファン32の動作前よりも室内ファン32動作後のガス濃度変化が大きければ検出したガス濃度は外部ガスの濃度であり、冷媒は漏洩していないと推定し、室内ファン32の動作前よりも室内ファン32動作後のガス濃度変化が小さければ冷媒が漏洩したと推定する。このようにすれば、ガス濃度上昇の原因が、室内機3の内部に外部ガスが流入したため、または、室内機3の内部で冷媒が漏洩したためかを区別して、冷媒が漏洩したか否かを正確に判定できる。
【0053】
また、室内機制御手段300は、第1回転数による動作の後、室内ファン32を第1回転数よりも低い第2回転数によってさらに動作させ(又は、停止させ)、室内ファン32の回転数が低下する前後(又は、停止前後)の単位時間当たりのガス濃度変化を比較して、室内機3の内部で冷媒が漏洩したか否かについて2次判定を行うようにしてもよい。そして、室内ファン32の回転数が低下した前後(又は、停止前後)の単位時間当たりのガス濃度変化が、室内ファン32の回転が低下した前(又は、停止前)よりも室内ファン32回転数が低下した後(又は、停止後)のガス濃度変化が大きければ検出したガス濃度は外部ガスの濃度であり、冷媒は漏洩していないと推定し、室内ファン32の回転数が低下した前(又は、停止前)よりも室内ファン32回転数が低下した後(又は、停止後)のガス濃度変化が小さければ冷媒が漏洩したと推定する。
【0054】
1次判定と2次判定について、図5から図7を用いて説明する。図5及び図6は、縦軸にガス濃度C(%)、横軸に時間T(s)を取り、室内ファン32の動作に伴ってガス濃度がどのように変化するかを示している。図7は、判定の手順を説明するフローチャートである。以下の説明において、漏洩した冷媒を「冷媒ガス」と、室内機3が設置されている部屋において他のガス源から発生するガスを「外部ガス」と、冷媒ガスと外部ガスを区別しない場合のガスを単に「ガス」と表記する。
【0055】
外部ガスとしては、室内機3が設置されている室内で一時的に散布される、例えば、殺虫剤、消臭剤、芳香剤に含まれるガスのほか、何らかの腐敗物から発生するガスなどが挙げられる。
【0056】
室内機制御手段300は、運転停止時に冷媒センサ304がガスを検出した場合であって、ガス濃度の検出値が安全対策を実行すべき設定値Cより低い閾値C(所定のガス濃度)以上となったとき、室内ファン32を第1回転数(図5及び図6において、回転数Arpm)で動作させる。そして、室内ファン32の動作前のガス濃度変化を記憶部320に記憶させておき、室内ファン32の動作の前後で、単位時間当たりのガス濃度変化を比較する。
【0057】
可燃性冷媒は、濃度が所定の範囲内であるとき引火する。この時の濃度範囲を可燃濃度範囲と呼び、この可燃濃度範囲の下限値をLFL(Lower Flammable Limit:燃焼下限値)と記載する。ここで、例えば、設定値CについてはLFLの1/2とし、閾値CについてはLFLの1/4とする。ちなみに、冷媒としてR32を用いた場合、そのLFLは14.4%であり、許容濃度規制値は、LFLに安全率(1/4)を掛けた3.6%となる。
【0058】
図5に戻り、室内ファン32が第1回転数Arpmによって動作した後のガス濃度変化ΔC/ΔTが、室内ファン32が動作する前のガス濃度変化ΔC/ΔTよりも大きくなった場合、冷媒は漏洩していないと判定(1次判定)する。すなわち、ガス濃度を上昇させた原因は外部ガスであり、室内ファン32によって室内機3に外部ガスが吸い込まれたことによって、冷媒センサ304で検出するガス濃度変化が上昇したと推定される。
【0059】
これに対し、図6に示すように、室内ファン32が第1回転数Arpmによって動作した後のガス濃度変化ΔC/ΔTが、室内ファン32が動作する前のガス濃度変化ΔC/ΔTよりも小さくなった場合(図6では、動作した後のガス濃度変化ΔC/ΔTが負となった場合を示す)、冷媒が漏洩したと判定(1次判定)する。すなわち、ガス濃度を上昇させた原因は冷媒ガスであり、室内ファン32によって室内機3から冷媒ガスが吹き出されたことによって、冷媒センサ304で検出するガス濃度変化が下降した(図6では、負となった)と推定される。
【0060】
ここで、上記の1次判定によって、ガス濃度変化ΔC/ΔTが大きくなった場合は冷媒漏洩と判定しない一方、ガス濃度変化ΔC/ΔTが小さくなった場合(例えば、負となった場合)は冷媒漏洩と判定することも可能であるが、室内機3からの冷媒漏洩と、室内の外部ガスの発生が同時に生じるような場合もあり得ることから、次のようにして、2次判定を行ってもよい。
【0061】
すなわち、室内機制御手段300は、第1回転数Arpmで室内ファン32を所定時間(例えば、30秒間)動作させた後、第1回転数Arpmよりも低い第2回転数(図5及び図6において、回転数Brpm)によってさらに所定時間(例えば、30秒間)動作させる。そして、室内ファン32の回転数低下前後の単位時間当たりのガス濃度変化を比較する。
【0062】
その結果、図5に示すように、室内ファン32が第2回転数Brpmによって動作した後のガス濃度変化ΔC/ΔTが、室内ファン32が第1回転数Arpmによって動作したときのガス濃度変化ΔC/ΔTよりも小さくなった場合、冷媒は漏洩していないとより正確に判定(2次判定)できる。すなわち、ガス濃度を上昇させた原因が外部ガスであり、室内ファン32の回転数が低くなったことに伴い室内機3に吸い込まれる外部ガスが減少したことによって、冷媒センサ304で検出するガス濃度変化が小さくなったと推定される。
【0063】
これに対し、図6に示すように、室内ファン32が第2回転数Brpmによって動作したときのガス濃度変化ΔC/ΔTが、室内ファン32が第1回転数Arpmによって動作したときのガス濃度変化ΔC/ΔTよりも大きくなった場合(図6では、ガス濃度変化ΔC/ΔTが正となった場合を示す)、冷媒が漏洩したとより正確に判定(2次判定)できる。すなわち、ガス濃度を上昇させた原因が冷媒ガスであり、室内ファン32の回転数が低くなったことによって室内機3に吸い込まれる外部ガスが減少したにもかかわらず、室内機3の内部に存在する冷媒ガスが発生しつつあることによって、冷媒センサ304で検出するガス濃度変化が大きくなったと推定される。
【0064】
図5及び図6において、室内ファン32を第1回転数Arpm又は第2回転数Brpmで動作させる時間(以下、所定時間と記載する)は、概ね30秒間とすることが好ましい。これより短すぎると、冷媒センサ304の応答時間が不足して室内機3の内部の正確なガス濃度を検出できない。また、逆にこれより長すぎると、室内機3の内部と室内のガス濃度が均一化してしまい、ガス濃度に変化が見られなくなってしまう。なお、応答時間が多少変化するものの、冷媒センサ304が半導体式以外の赤外線式又は熱伝導式である場合も同様である。
【0065】
図6に示すように、ガス濃度を上昇させた原因が冷媒ガスであると推定した場合は、室内ファン32の連続回転、攪拌、機械換気、遮断弁などの安全対策運転や、警報機305や警告灯(表示部302に配置)などの報知手段を動作させる。なお、上記の1次判定または2次判定を実行している途中でも、設定値C1にガス濃度が達した時点で安全対策を実行する。一方、ガス濃度を上昇させた原因が外部ガスであると推定した場合は、安全対策は行わない。
【0066】
以上説明した判定の手順をフローチャートに示すと、図7のとおりである。すなわち、室内機制御手段300は、室内ファン32動作前のガス濃度変化ΔC/ΔTを検出し(ステップST1)、ガス濃度Cが閾値C以上になると(ステップST2のYes)、室内ファン32を第1回転数Arpmで動作させる(ステップST3)。一方、ガス濃度Cが閾値C未満(ステップST2のNo)の場合、ガス濃度変化ΔC/ΔTの検出を続ける。ここで、ステップST1において、CPU210は、記憶手段である記憶部220から時間t0(例えば1分)前のガス濃度の検出値c0を読み出し、現在の時間t1のガス濃度の検出値c1との差から、検出値cの単位時間(ここでは、t1-t0)に対するガス濃度の検出値cの変化量ΔC/ΔT(=(c1-c0)/(t1-t0))を算出する。
【0067】
室内機制御手段300は、ステップST3の後、室内ファン32動作後30秒間のガス濃度変化ΔC/ΔTを検出し(ステップST4)、ガス濃度変化ΔC/ΔTがガス濃度変化ΔC/ΔTよりも大きい場合(ステップST5のYes)、ステップST6に進む。一方、ガス濃度変化ΔC/ΔTがガス濃度変化ΔC/ΔTよりも小さい場合は(ステップST5のNo)、ステップST10に進む。ステップST5が1次判定の判断である。
【0068】
そして、ガス濃度変化ΔC/ΔTが室内ファン32動作前のガス濃度変化ΔC/ΔTよりも大きい場合(ステップST5のYes)、室内機制御手段300は、室内ファン32を第1回転数Arpmよりも低い第2回転数Brpmで動作させる(又は、停止させる)(ステップST6)。室内機制御手段300は、室内ファン32を第2回転数Brpmで動作後(又は、停止後)30秒間のガス濃度変化ΔC/ΔTを検出し(ステップST7)、ガス濃度変化ΔC/ΔTがガス濃度変化ΔC/ΔTよりも小さい場合(ステップST8のYes)、ステップST9に進む。一方、ガス濃度変化ΔC/ΔTがガス濃度変化ΔC/ΔTよりも大きい場合は(ステップST8のNo)、ステップST10に進む。ST8が2次判定の判断である。
【0069】
ステップST9では、ガス濃度を上昇させた原因が外部ガスであると推定し、安全対策は行わない。一方、ステップST10では、ガス濃度を上昇させた原因が冷媒ガスであると推定し、室内ファン32の連続回転、攪拌、機械換気、遮断弁などの安全対策運転や、警報機305や警告灯(表示部302に配置)などの報知手段を動作させる。
【0070】
(実施形態の効果)
以上述べたように、空気よりも比重の重い可燃性、微燃性冷媒を使用した空気調和機1において、運転停止中に冷媒センサ304の検出値の変化があった場合に、室内機3内の室内ファン32の回転数を制御してガス濃度変化を検出することで、冷媒漏洩を正確に判定することができる。このようにすれば、ガス濃度上昇の原因が、室内機3の内部に外部ガスが流入したため、または、室内機3の内部で冷媒が漏洩したためかを区別して、冷媒が漏洩したか否かを正確に判定できる。
【0071】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0072】
例えば、前述した実施形態は、床置き式の室内機3を例として説明したが、本発明は壁掛け式の室内機や室外機でも実施することができる。
【0073】
また、前述の実施形態では、冷媒センサ304を室内機3の内部に配置することを想定しているが、室内機3の外部に配置してもよい。ただし、室内機3の外部に配置する場合、室内ファン32を動作させることにより、筐体の内部に筐体の内外の空気を循環できる空間に設ける必要がある。
【0074】
また、前述の実施形態では、冷媒としてR32を使用しているが、他の冷媒を使用した空気調和機であってもよい。ただし、冷媒の種類によってLFLが異なるので、冷媒の種類に応じて規格値(LFL*1/4)を変更する必要がある。例えば、R32のLFLは14.4%だが、R1234yfは6.2%、R1234zeは6.5%である。
【0075】
また、前述の実施形態では、2次判定において、室内ファン32の回転数を第1回転数Arpmよりも低い第2回転数Brpmで動作させたが、第2回転数Brpmとすることに代えて、室内ファン32を停止してガス濃度変化を検出してもよい。室内ファン32を停止した場合、筐体の内部に筐体の内外の空気が循環しないため、冷媒ガスの漏洩の判定を早めることもできる。なお、第2回転数Brpmの後に、室内ファン32を停止してガス濃度変化を検出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 空気調和機
2 室外機
3 室内機
4 液管
5 ガス管
6 筐体
10 冷媒回路
10a 室外機冷媒回路
10b 室内機冷媒回路
21 圧縮機
22 四方弁
23 室外熱交換器
24 膨張弁
25 液側閉鎖弁
26 ガス側閉鎖弁
27 室外ファン
31 室内熱交換器
32 室内ファン
33 液管接続部
34 ガス管接続部
35 吹出口
36 吸入口
37 送風路
38 モータ
39 ケーシング
61 吐出管
62 冷媒配管
63 室外機液管
64 室外機ガス管
66 吸入管
67 室内機液管
68 室内機ガス管
71 吐出圧力センサ
72 吸入圧力センサ
73 吐出温度センサ
74 吸入温度センサ
75 熱交温度センサ
76 外気温度センサ
77 液側温度センサ
78 ガス側温度センサ
79 室温センサ
200 室外機制御手段
210 CPU
220 記憶部
230 通信部
240 センサ入力部
300 室内機制御手段
301 電装品箱
302 表示部
303 操作部
304 冷媒センサ
305 警報機
310 CPU
320 記憶部
330 通信部
340 センサ入力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7