(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】電子機器およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/04886 20220101AFI20240509BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20240509BHJP
【FI】
G06F3/04886
G06F3/0481
(21)【出願番号】P 2019045517
(22)【出願日】2019-03-13
【審査請求日】2022-02-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001623
【氏名又は名称】弁理士法人真菱国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 剛
(72)【発明者】
【氏名】柴垣 安孝
(72)【発明者】
【氏名】坂井 俊文
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-215639(JP,A)
【文献】特開平09-062446(JP,A)
【文献】特開2009-025903(JP,A)
【文献】特開平11-175212(JP,A)
【文献】特開2009-048245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/048 - 3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボタンを含む操作画面を表示する表示部と、
操作具が前記ボタン内の領域であるボタン内領域に対する操作である第1操作に続いて、前記操作具が前記ボタンから離れる第2操作が行われたことに応じて、前記ボタンが操作されたものと判断し、前記第1操作に続いて、前記操作具が前記ボタンから離れる第3操作が行われたことに応じて、前記ボタンが操作されなかったものと判断する判断部と、
前記第2操作および前記第3操作の判断基準を、前記第1操作以前の操作内容に応じて決定する決定部と、を備え、
前記決定部は、
前記第1操作が、ユーザーのいる方向から、前記ボタンの周辺の周辺領域に向かって前記操作具が移動し、前記操作画面に沿って前記ボタン内領域に前記操作具が移動する操作である場合、前記操作具が前記ボタン内領域から離れる操作を、前記第2操作と決定し、
前記第1操作が、ユーザーのいる方向から、前記周辺領域の外側に向かって前記操作具が移動し、前記操作画面に沿って前記ボタン内領域に前記操作具が移動する操作である場合、前記操作具が前記ボタン内領域から離れる操作を、前記第3操作と決定することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記決定部は、
前記第1操作よりも前の操作内容に応じて、前記周辺領域の大きさを決定することを特徴とする請求項
1に記載の電子機器。
【請求項3】
ボタンを含む操作画面を表示する表示部を備えた電子機器に、
操作具が前記ボタン内の領域であるボタン内領域に対する操作である第1操作に続いて、前記操作具が前記ボタンから離れる第2操作が行われたことに応じて、前記ボタンが操作されたものと判断し、前記第1操作に続いて、前記操作具が前記ボタンから離れる第3操作が行われたことに応じて、前記ボタンが操作されなかったものと判断する判断ステップと、
前記第2操作および前記第3操作の判断基準を、前記第1操作以前の操作内容に応じて決定する決定ステップと、を実行させるためのプログラムであって、
前記決定ステップでは、
前記第1操作が、ユーザーのいる方向から、前記ボタンの周辺の周辺領域に向かって前記操作具が移動し、前記操作画面に沿って前記ボタン内領域に前記操作具が移動する操作である場合、前記操作具が前記ボタン内領域から離れる操作を、前記第2操作と決定し、
前記第1操作が、前記ユーザーのいる方向から、前記周辺領域の外側に向かって前記操作具が移動し、前記操作画面に沿って前記ボタン内領域に前記操作具が移動する操作である場合、前記操作具が前記ボタン内領域から離れる操作を、前記第3操作と決定することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ボタンに対するタッチを検出したら、ボタンの実際の表示領域よりも、ボタンがタッチされたと感知する感知領域を広げることで、ボタンの端部がタッチされた場合に、指の位置がずれることによる誤動作を防止する技術が開示されている。また、指でボタンをタッチしたあと、そのままボタンの外にずらしてから指を離すことで、ボタンの操作をキャンセルするという操作が行われることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザーの操作がボタンの操作かどうかをより適切に判断することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電子機器は、ボタンを表示する表示部と、操作具がボタンに向かう第1操作に続いて、操作具がボタンから離れる第2操作が行われたことに応じて、ボタンが操作されたものと判断し、第1操作に続いて、操作具がボタンから離れる第3操作が行われたことに応じて、ボタンが操作されなかったものと判断する判断部と、第2操作および第3操作の判断基準を、第1操作以前の操作内容に応じて決定する決定部と、を備える。
【0006】
本発明のプログラムは、ボタンを表示する表示部を備えた電子機器に、操作具がボタンに向かう第1操作に続いて、操作具がボタンから離れる第2操作が行われたことに応じて、ボタンが操作されたものと判断し、第1操作に続いて、操作具がボタンから離れる第3操作が行われたことに応じて、ボタンが操作されなかったものと判断するステップと、第2操作および第3操作の判断基準を、第1操作以前の操作内容に応じて決定するステップと、を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】印刷装置の制御構成を示すブロック図である。
【
図3】XY平面上に配置されたボタンに対する操作の一例を示す図である。
【
図4】XY平面上に配置されたボタンに対する操作の一例を示す図である。
【
図7】-Y方向から見たボタンに対する操作の一例を示す図である。
【
図8】-Y方向から見たボタンに対する操作の一例を示す図である。
【
図9】印刷装置におけるボタン操作処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】変形例1-1に係る、XY平面上に配置されたボタンに対する感知領域の設定方法を示す説明図である。
【
図11】変形例1-2に係る、XY平面上に配置されたボタンに対する感知領域の設定方法を示す説明図である。
【
図12】第2実施形態に係る、XY平面上に配置されたボタンに対する操作の一例を示す図である。
【
図13】第2実施形態に係る、-Y方向から見たボタンに対する操作の一例を示す図である。
【
図14】第2実施形態に係る、-Y方向から見たボタンに対する操作の一例を示す図である。
【
図15】第2実施形態に係る、印刷装置におけるボタン操作処理の流れを示すフローチャートである。
【
図16】第3実施形態に係る、VR装置の外観斜視図である。
【
図17】第3実施形態に係る、VR装置の制御構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、一実施形態に係る電子機器およびプログラムについて、添付図面を参照して説明する。
図1は、「電子機器」の一例である印刷装置1の外観斜視図である。印刷装置1は、略直方体状の筐体10を備えている。筐体10の+Z方向における面である上面には、+Y方向に位置する給紙カバー3と、-Y方向に位置するメンテナンスカバー4と、が開閉可能に設けられている。また、筐体10の-Y方向における面である前面には、印刷された用紙Pが排出される排出口5が設けられている。
【0009】
筐体10の上面におけるメンテナンスカバー4と、-X方向に隣り合う位置には、印刷装置1の各種の操作を行うための操作パネル12が設けられている。操作パネル12は、回動軸6を中心として回動可能に設けられ、
図1に示す傾倒姿勢と、不図示の起立姿勢と、の間で姿勢を変更可能である。以下の説明では、操作パネル12を傾倒姿勢で用いるものとする。
【0010】
次に、
図2を参照し、印刷装置1の制御構成について説明する。印刷装置1は、印刷装置制御部11と、操作パネル12と、印刷機構13と、印刷装置通信部14と、を備えている。印刷装置制御部11は、「判断部」および「決定部」の一例である。
【0011】
印刷装置制御部11は、CPU(Central Processing Unit)11a、ROM(Read Only Memory)11bおよびRAM(Random Access Memory)11cを含む。CPU11aは、ROM11bに記憶された制御プログラムをRAM11cに展開して実行することにより、印刷装置1内の各部を制御する。制御プログラムは、「プログラム」の一例である。
【0012】
なお、印刷装置制御部11は、CPU11a以外のプロセッサーを用いてもよい。プロセッサーは、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア回路で構成されてもよい。また、プロセッサーは、1以上のCPUとASIC等のハードウェア回路が協働して動作する構成でもよい。
【0013】
操作パネル12は、ディスプレー12aと、タッチパネル12bと、を組み合わせた装置である。ディスプレー12aと、タッチパネル12bと、は傾倒姿勢ではXY平面に沿うように設けられている。ディスプレー12aは、「表示部」の一例である。ディスプレー12aは、印刷装置制御部11による表示制御に基づいて、各種操作画面を表示する。タッチパネル12bは、ユーザーの操作に基づく操作信号を印刷装置制御部11に出力する。本実施形態において、印刷装置制御部11は、ボタンB(
図3等参照)を含む操作画面をディスプレー12aに表示させる。また、印刷装置制御部11は、タッチパネル12bを用いて、ユーザーのボタンBに対する操作を検出する。
【0014】
なお、タッチパネル12bの動作方式は、特に限定しないが、抵抗膜方式、静電容量方式、電磁誘導方式、赤外線方式、表面弾性波方式などを採用可能である。また、タッチパネル12bに対して操作を行うための操作具も、各動作方式に応じたものを採用すればよく、ユーザーの指やペンなど、特に限定しない。
【0015】
印刷機構13は、用紙P(
図1参照)に印刷を行うプリンターエンジンである。例えば、印刷装置1がインクジェットプリンターの場合、印刷機構13には、インクジェットヘッド、ヘッド駆動機構、印刷媒体搬送機構などが含まれる。印刷装置通信部14は、上位装置と通信し、上位装置から印刷データを受信する。印刷装置制御部11は、上位装置から受信した印刷データに基づいて、印刷機構13を制御し、用紙Pに印刷を行う。
【0016】
上記の構成により、印刷装置制御部11は、指やペン等の操作具がボタンBに向かう第1操作に続いて、操作具がボタンから離れる第2操作が行われたことに応じて、ボタンBが操作されたものと判断し、第1操作に続いて、操作具がボタンBから離れる第3操作が行われたことに応じて、ボタンBが操作されなかったものと判断する判断部と、第2操作および第3操作の判断基準を、第1操作以前の操作内容に応じて決定する決定部と、として機能する。
【0017】
ここで、第1操作は、ユーザーのいる方向(
図3等における+Z方向)から、ボタンBが配置されたXY平面に向かって操作具が移動する操作である。また、第2操作および第3操作は、XY平面から、ユーザーのいる方向に向かって操作具が移動する操作である。このうち第2操作は、ボタンB内の領域であるボタン内領域E10(
図3等参照)を含む感知領域Esから、ユーザーのいる方向に向かって操作具が移動する操作である。なお、
図3等に示すXYZ軸は、X軸、Y軸、Z軸が互いに直交するものとして説明するが、直交とは、厳密な意味での直交でなくてもよく、3軸が交差している状態であればよい。
【0018】
また、印刷装置制御部11は、第1操作以前の操作内容に応じて、感知領域Esの大きさを決定する。より具体的には、印刷装置制御部11は、第1操作が、ボタン内領域E10の中心領域であるボタン内中心領域E11に向かって操作具が移動する操作である場合より、第1操作が、ボタン内領域E10であってボタン内中心領域E11外の領域であるボタン内端部領域E12(
図3等参照)に向かって操作具が移動する操作である場合の方が、感知領域Esの大きさが大きくなるように、感知領域Esの大きさを決定する。本実施形態では、ボタン内領域E10に第2感知領域E41を付加設定することで、感知領域Esの大きさを決定する。以下、印刷装置制御部11によるボタン操作の判断方法および第2感知領域E41の設定方法について詳述する。
【0019】
図3ないし
図6は、操作パネル12のディスプレー12aに表示されたボタンBを示している。操作パネル12のディスプレー12aは、これらの図面におけるXY平面を表示するものである。
図3等に示すように、XY平面上に配置されたボタンB内の領域であるボタン内領域E10は、ボタン内領域E10の中心領域であるボタン内中心領域E11と、ボタン内中心領域E11の周辺領域であるボタン内端部領域E12と、を含む。本実施形態において、ボタン内領域E10およびボタン内中心領域E11は、矩形領域であるものとする。なお、
図3等において、破線16は、説明上、ボタン内中心領域E11とボタン内端部領域E12との境界を示したものであり、実際にディスプレー12a上に表示されなくてもよい。
【0020】
印刷装置制御部11は、
図3の矢印A1に示すように、ユーザーのボタンBに対するタッチ開始位置が、ボタン内端部領域E12の場合、第2感知領域E41を設定することにより感知領域Esを決定する。矢印A1の始点は、タッチ開始位置を示し、終点は、タッチ解除位置を示す。
図4に示す矢印A3についても同様である。なお、感知領域Esとは、印刷装置制御部11が、ボタンBがタッチされたと感知する領域である。第2感知領域E41が設定された場合、感知領域Esは、ボタン内領域E10に相当する第1感知領域と、第2感知領域E41と、を含む。
【0021】
このように、印刷装置制御部11は、ユーザーのタッチ開始位置が、ボタン内端部領域E12の場合、第2感知領域E41を設定して、感知領域Esを広げることにより、タッチ位置がぶれてしまった場合の誤動作を防止する。つまり、印刷装置制御部11は、矢印A1に示すように、ユーザーがボタンBをタッチした後、意図せずタッチ位置がボタンBの外にずれてしまった場合でも、タッチ終了位置が感知領域Esに含まれるため、ボタンBが操作されたと判断する。
【0022】
一方、
図4の矢印A3に示すように、ユーザーのタッチ開始位置が、ボタン内中心領域E11の場合、印刷装置制御部11は、第2感知領域E41を設定しない。このため、印刷装置制御部11は、矢印A3の操作が行われた場合、
図3の矢印A1の操作とタッチ解除位置は同じであるが、タッチ解除位置が感知領域Esに含まれないため、ボタンBが操作されなかったと判断する。これにより、ユーザーがボタンBをタッチした後、意図的にタッチ位置をボタンBの外にずらしてボタン操作をキャンセルしようとした場合、ユーザーの所望する操作結果を得ることができる。
【0023】
なお、印刷装置制御部11は、ユーザーのタッチ開始位置がボタン内端部領域E12の場合、タッチ開始位置に応じて、異なる位置に第2感知領域E41を設定する。
図5および
図6は、感知領域Esの設定方法を示す説明図である。本実施形態において、印刷装置制御部11は、ボタン内端部領域E12を8つの領域に区画した区画領域E12a~E12hのうち、タッチ開始位置がどの位置にあるかに応じて、異なる位置に第2感知領域E41を設定する。区画領域E12a~E12hは、ボタン内中心領域E11を構成する各辺を、ボタン内領域E10を構成する各辺まで延長することにより区画される領域である。
【0024】
図5に示すように、印刷装置制御部11は、例えば、ユーザーのタッチ開始位置が区画領域E12b内の位置P1である場合、区画領域E12bに対応する第2感知領域E41bを設定する。つまり、印刷装置制御部11は、ユーザーのタッチ開始位置が区画領域E12b、区画領域E12d、区画領域E12f、区画領域E12h、のいずれかに含まれる場合、ボタン内領域E10を構成する辺のうち、タッチ開始位置を含む区画領域を構成する辺と重なる辺を、ボタン内領域E10の外側に平行移動させたときの移動軌跡である矩形領域を、第2感知領域E41として設定する。なお、辺を平行移動させる移動長さは、固定長であるものとする。
【0025】
また、
図6に示すように、印刷装置制御部11は、例えば、ユーザーのタッチ開始位置が区画領域E12e内の位置P2である場合、区画領域E12eに対応する第2感知領域E41eを設定する。つまり、印刷装置制御部11は、ユーザーのタッチ開始位置が区画領域E12a、区画領域E12c、区画領域E12e、区画領域E12g、のいずれかに含まれる場合、ボタン内領域E10を構成する辺のうち、タッチ開始位置を含む区画領域を構成する辺と重なる2つの辺を、ボタン内領域E10の外側に平行移動させたときの移動軌跡である2つの矩形領域、その2つの矩形領域の接点を頂点とした正方形領域と、を含むL字型の領域を、第2感知領域E41として設定する。
【0026】
図7および
図8は、-Y方向から見たボタンBに対する操作の一例を示す図である。両図において、+Z方向は、「ユーザーのいる方向」の一例である。また、矢印「A*」は、ユーザーの操作、言い換えればユーザーが操作する操作具の動きを示すものである。例えば、
図7の矢印A5は、操作具がユーザーのいる方向からボタンBに向かって移動する操作、すなわちユーザーがボタンBをタッチする操作を示している。以下の説明では、操作具がユーザーのいる方向からボタンBに向かって移動する操作を、単に「タッチする」と称する。逆に、操作具がボタンBからユーザーのいる方向に向かって移動する操作を、単に「タッチを解除する」と称する。
【0027】
また、両図において、「(1)」、「(2)」および「(3)」は、それぞれ「第1操作」、「第2操作」および「第3操作」の一例を示すものである。両図では、タッチパネル12b上におけるタッチの移動は、X軸方向のみに行われたものとし、Y軸方向には行われないものとして説明する。また、
図7では、
図5に示した8つの区画領域のうち、区画領域E12hがタッチされ、ボタン内領域E10の-X側に、第2感知領域E41が設定されたものとする。
【0028】
印刷装置制御部11は、
図7の矢印A5に示すように、ボタン内端部領域E12がタッチされると、第2感知領域E41を設定する。このため、印刷装置制御部11は、矢印A5の操作に続いて、矢印A6に示すように、タッチされたままタッチ位置が第2感知領域E41まで移動された後、タッチが解除されると、ボタンBが操作されたと判断する。なお、「タッチされたままタッチ位置を移動する」とは、X方向に操作具を移動させることを意味する。これに対し、印刷装置制御部11は、
図8の矢印A11に示すように、ボタン内中心領域E11がタッチされると、第2感知領域E41を設定しない。このため、印刷装置制御部11は、矢印A11の操作に続いて、矢印A12に示すように、タッチされたままタッチ位置が矢印A6でタッチが解除された場所、すなわち第2感知領域E41が設定される可能性がある場所、まで移動された後、タッチが解除された場合、ボタンBが操作されなかったと判断する。
【0029】
このように、印刷装置制御部11は、同じ位置でタッチが解除されても、タッチする位置が異なるため、矢印A5および矢印A6の操作が行われた場合、ボタンBが操作されたと判断し、矢印A11および矢印A12の操作が行われた場合、ボタンBが操作されなかったと判断する。すなわち、印刷装置制御部11は、矢印A6と矢印A12の操作を、ボタンBが操作されたと判断する操作である「第2操作」とするか、ボタンBが操作されなかったと判断する操作である「第3操作」とするかの判断基準を、ボタンBをタッチするときの操作である「第1操作」の操作内容に応じて決定する。
【0030】
なお、印刷装置制御部11は、タッチが解除された位置によっては、タッチする位置が異なる場合でも、ボタンBが操作されたか否かについて同じ判断をする。例えば、
図7に示すように、印刷装置制御部11は、矢印A5の操作に続いて、矢印A7に示すように、タッチされたままタッチ位置が第2感知領域E41の外側の領域、すなわち感知領域Es外の領域まで移動された後、タッチが解除されると、ボタンBが操作されなかったと判断する。同様に、
図8に示すように、印刷装置制御部11は、矢印A11の操作に続いて、矢印A13に示すように、タッチされたままタッチ位置が矢印A7の操作と同じ位置まで移動された後、タッチが解除されると、ボタンBが操作されなかったと判断する。逆に、矢印A5の操作や矢印A11の操作に続いて、そのままZ方向に指が離脱した場合、ボタンBが操作されたと判断する。
【0031】
また、
図7に示すように、印刷装置制御部11は、矢印A5の操作に続いて、矢印A8に示すように、タッチされたままタッチ位置がボタン内領域E10の外側の領域まで移動された後、タッチが解除されると、ボタンBが操作されなかったと判断する。これは、タッチ位置が区画領域E12hの場合、第2感知領域E41は、ボタン内領域E10の-X側にしか設定されず、+X側には設定されないためである。同様に、
図8に示すように、印刷装置制御部11は、矢印A11の操作に続いて、矢印A14に示すように、タッチされたままタッチ位置がボタン内領域E10の外側の領域まで移動された後、タッチが解除されると、ボタンBが操作されなかったと判断する。なお、矢印A8および矢印A14の操作は、「ボタン内領域からユーザーのいる方向に対して直交する方向に操作具が移動する操作」の一例である。
【0032】
なお、特に図示しないが、印刷装置制御部11は、矢印A5または矢印A11の操作に続いて、タッチされたままタッチ位置がボタン内領域E10の任意の位置まで移動された後、タッチが解除されると、ボタンBが操作されたと判断する。また、印刷装置制御部11は、矢印A5または矢印A11の操作に続いて、タッチ位置を移動させることなくタッチが解除された場合も、ボタンBが操作されたと判断する。この場合のタッチを解除する操作は、「ボタン内領域からユーザーのいる方向に対して操作具が移動する操作」の一例である。
【0033】
図9は、印刷装置1におけるボタン操作処理の流れを示すフローチャートである。印刷装置制御部11は、タッチパネル12bに対するタッチが開始されたか否かを判断し(S01)、タッチが開始されなかったと判断すると(S01:No)、タッチが開始されるまで待機する。印刷装置制御部11は、タッチが開始されたと判断すると(S01:Yes)、タッチ開始位置がボタン内中心領域E11であるか否かを判断する(S02)。印刷装置制御部11は、タッチ開始位置がボタン内中心領域E11ではないと判断した場合(S02:No)、タッチ開始位置がボタン内端部領域E12であるか否かを判断する(S03)。
【0034】
印刷装置制御部11は、タッチ開始位置がボタン内端部領域E12ではないと判断した場合(S03:No)、ボタン操作処理を終了する。印刷装置制御部11は、タッチ開始位置がボタン内端部領域E12であると判断した場合(S03:Yes)、タッチ開始位置に応じて第2感知領域E41を設定することにより、感知領域Esを広げる(S04)。印刷装置制御部11は、S04の後、並びにタッチ開始位置がボタン内中心領域E11であると判断した場合(S02:Yes)、タッチ解除されたか否かを判断する(S05)。印刷装置制御部11は、タッチ解除されていないと判断した場合(S05:No)、タッチ解除されるまで待機する。また、印刷装置制御部11は、タッチ解除されたと判断した場合(S05:Yes)、タッチ解除位置が感知領域Esであるか否かを判断する(S06)。
【0035】
印刷装置制御部11は、タッチ解除位置が感知領域Esであると判断した場合(S06:Yes)、ボタンBが操作されたと判断し(S07)、ボタンBに割り当てられた動作を実行する(S08)。また、印刷装置制御部11は、タッチ解除位置が感知領域Esではないと判断した場合(S06:No)、ボタンBが操作されなかったと判断し(S09)、ボタンBに割り当てられた動作を実行することなくボタン操作処理を終了する。
【0036】
以上説明したとおり、第1実施形態に係る印刷装置1は、タッチ解除時の操作である第2操作および第3操作の判断基準を、タッチ開始時の操作である第1操作の操作内容に応じて決定する。より具体的には、印刷装置1は、第1操作がボタン内端部領域E12に対して行われた場合、第2感知領域E41を設定し、第1操作がボタン内中心領域E11に対して行われた場合、第2感知領域E41を設定しない。
【0037】
このため、印刷装置1は、例えば、ユーザーがボタンBの端部であるボタン内端部領域E12をタッチした後、意図せずタッチ位置がボタン内領域E10の外にずれてしまった場合でも、タッチ終了位置が感知領域Esに含まれるため、ボタンBが操作されたと適切に判断することができる。また、ボタン内中心領域E11からボタン内領域E10の外側までタッチ位置がずれることは想定しづらいため、このような場合は、第2感知領域E41を設定せず、ユーザーがボタン内中心領域E11をタッチした後、タッチ位置をボタン内領域E10の外にずらすことでボタンBの操作をキャンセルできるようにすることで、ユーザーが所望する操作結果を実現することができる。
【0038】
なお、第1実施形態では、以下の変形例を採用可能である。
[変形例1-1]
上記の実施形態において、印刷装置制御部11は、ボタン内端部領域E12を8つの領域に区画した区画領域E12a~E12hのうち、タッチ開始位置がどの位置にあるかに応じて、異なる位置に第2感知領域E41を設定したが(
図5等参照)、第2感知領域E41の設定方法はこれに限定されない。例えば、
図10に示すように、ボタン内端部領域E12を4つの領域に区画した区画領域E12j~E12mのうち、タッチ開始位置がどの位置にあるかに応じて、異なる位置に第2感知領域E41を設定してもよい。区画領域E12j~E12mは、ボタン内端部領域E12を、ボタン内領域E10を上下左右に均等に4分割したときの境界線で区画される領域である。例えば、印刷装置制御部11は、ユーザーのタッチ開始位置が区画領域E12jに含まれる位置P4である場合、ボタン内領域E10を構成する辺のうち、タッチ開始位置を含む区画領域を構成する辺と重なる2つの辺を、ボタン内領域E10の外側に平行移動させたときの移動軌跡である2つの矩形領域と、その2つの矩形領域の接点を頂点とした正方形領域と、を含むL字型の領域を、第2感知領域E41jとして設定する。
【0039】
[変形例1-2]
また、印刷装置制御部11は、タッチ開始位置がボタン内端部領域E12内のどの位置にあるかに関わらず、同じ第2感知領域E41を設定してもよい。例えば、
図11に示すように、印刷装置制御部11は、タッチ開始位置がボタン内端部領域E12内の場合、ボタン内領域E10の4つの辺を同じ量だけ平行移動させたときの移動軌跡である4つの矩形領域と、その4つの矩形領域の接点を頂点とした4つの正方形領域と、を含む四角枠領域を、第2感知領域E41として設定してもよい。この場合、ボタン内領域E10を、その中心から等倍に拡大させた拡大領域が、感知領域Esとなる。
【0040】
[変形例1-3]
上記の実施形態において、印刷装置制御部11は、タッチ開始位置がボタン内端部領域E12の場合、第2感知領域E41を設定し、タッチ開始位置がボタン内中心領域E11の場合、第2感知領域E41を設定しない構成としたが、タッチ開始位置に応じて、感知領域Esの大きさを決定してもよい。例えば、印刷装置制御部11は、タッチ開始位置がボタン内中心領域E11の場合、タッチ開始位置がボタン内端部領域E12の場合より、感知領域Esが狭く、かつ、ボタン内領域E10よりも広くなるように第2感知領域E41を設定してもよい。
【0041】
[変形例1-4]
上記の実施形態において、印刷装置制御部11は、タッチ解除時の操作である第2操作および第3操作の判断基準を、タッチ開始時の操作である第1操作の操作内容に応じて決定するものとしたが、第1操作より前に行われた操作の操作内容に応じて決定してもよい。この場合、印刷装置1内に、ユーザーの操作履歴を記憶する記憶部を設けることが好ましい。記憶部には、操作履歴として、ユーザーがボタンをタッチするたびに、タッチ位置のずれ量(タッチ開始位置とタッチ解除位置とのずれ。スカラー量である距離であってもよいし、ベクトルであってもよい。)が記憶される。例えば、印刷装置制御部11は、記憶部に記憶されたタッチ位置のずれ量の平均値が閾値よりも大きい場合、ずれ量の平均値が閾値以下の場合より、第2感知領域E41を大きく設定することが好ましい。この構成によれば、ユーザーのボタン操作時の癖を学習することで、適切な大きさの第2感知領域E41を設定することができる。
【0042】
[変形例1-5]
上記の実施形態では、印刷装置1に設けられた操作パネル12に対する操作について説明したが、印刷装置1以外の電子機器に設けられた操作パネル12に対する操作にも、上記の実施形態を適用可能である。例えば、タブレット端末、スマートフォンなどの電子機器にも、上記の実施形態を適用可能である。
【0043】
[第2実施形態]
次に、
図12ないし
図15を参照し、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、タッチ開始位置がボタン内領域E10である場合について説明したが、本実施形態では、タッチ解除位置がボタン内領域E10である場合について説明する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成部分については同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第1実施形態と同様の構成部分について適用される変形例は、本実施形態についても同様に適用される。
【0044】
図12は、第2実施形態に係る、XY平面上に配置されたボタンBに対する操作の一例を示す図である。本実施形態では、ボタン内領域E10の4つの辺を同じ量だけ平行移動させたときの移動軌跡である4つの矩形領域と、その4つの矩形領域の接点を頂点とした4つの正方形領域と、を含む四角枠領域を、第3感知領域E51とする。第3感知領域E51は、タッチ開始位置に応じて設定される領域ではなく、予め設定された領域である。本実施形態において、感知領域Esは、ボタン内領域E10に相当する第1感知領域と、第3感知領域E51と、を含む。つまり、本実施形態では、ボタン内領域E10を、その中心から等倍に拡大させた拡大領域が、感知領域Esとなる。
【0045】
本実施形態において、印刷装置制御部11は、タッチ解除位置がボタン内領域E10である場合、タッチ開始位置が感知領域Es内であればボタンBが操作されたと感知する。例えば、印刷装置制御部11は、矢印A21に示すように、第3感知領域E51がタッチされた場合、タッチ開始位置が感知領域Es内であるため、タッチ解除位置がボタン内領域E10であれば、ボタンBが操作されたと判断する。なお、同図に示す矢印A21および矢印A22の始点は、タッチ開始位置を示し、終点は、タッチ解除位置を示す。一方、印刷装置制御部11は、矢印A22に示すように、第3感知領域E51の外側がタッチされた場合、タッチ開始位置が感知領域Es外であるため、タッチ解除位置がボタン内領域E10であっても、ボタンBが操作されたと判断しない。
【0046】
図13および
図14は、-Y方向から見たボタンBに対する操作の一例を示す図である。両図において、「(1)」、「(2)」および「(3)」は、それぞれ「第1操作」、「第2操作」および「第3操作」の一例を示すものである。ここでは、タッチパネル12b上におけるタッチの移動は、X軸方向のみに行われたものとし、Y軸方向には行われないものとする。
【0047】
印刷装置制御部11は、
図13の矢印A24に示すように、第3感知領域E51がタッチされ、タッチされたままタッチ位置がボタン内領域E10まで移動された後、矢印A25に示すように、タッチが解除されると、ボタンBが操作されたと判断する。なお、矢印A25の操作は、「ボタン内領域からユーザーのいる方向に操作具が移動する操作」の一例である。
【0048】
これに対し、印刷装置制御部11は、
図14の矢印A29に示すように、第3感知領域E51の外側がタッチされ、タッチされたままタッチ位置がボタン内領域E10まで移動された後、矢印A30に示すように、タッチが解除されると、ボタンBが操作されなかったと判断する。
【0049】
このように、印刷装置制御部11は、同じ位置でタッチが解除されても、タッチする位置が異なるため、矢印A24および矢印A25の操作は、ボタンBが操作されたと判断し、矢印A29および矢印A30の操作は、ボタンBが操作されなかったと判断する。すなわち、印刷装置制御部11は、矢印A25と矢印A30の操作を、ボタンBが操作されたと判断する操作である「第2操作」とするか、ボタンBが操作されなかったと判断する操作である「第3操作」とするかの判断基準を、ボタンBをタッチするときの操作である「第1操作」の操作内容に応じて決定する。
【0050】
なお、印刷装置制御部11は、タッチ解除位置によっては、タッチ開始位置が異なる場合でも、ボタンBが操作されたか否かについて同じ判断をする。例えば、
図13に示すように、印刷装置制御部11は、矢印A24の操作に続いて、矢印A26に示すように、タッチされたままタッチ位置がボタン内領域E10の外側まで移動された後、タッチが解除されると、ボタンBが操作されなかったと判断する。同様に、
図14に示すように、印刷装置制御部11は、矢印A29の操作に続いて、矢印A31に示すように、タッチされたままタッチ位置がボタン内領域E10の外側まで移動された後、タッチが解除されると、ボタンBが操作されなかったと判断する。なお、矢印A26と矢印A31の操作は、「ボタン内領域からユーザーのいる方向に対して直交する方向に操作具が移動する操作」の一例である。
【0051】
なお、特に図示しないが、印刷装置制御部11は、矢印A24または矢印A29の操作に続いて、タッチされたままタッチ位置がボタン内領域E10の任意の位置まで移動された後、タッチが解除されると、ボタンBが操作されたと判断する。
【0052】
図15は、第2実施形態に係る、印刷装置1におけるボタン操作処理の流れを示すフローチャートである。印刷装置制御部11は、タッチパネル12bに対するタッチが開始されたか否かを判断し(S11)、タッチが開始されなかったと判断すると(S11:No)、タッチが開始されるまで待機する。印刷装置制御部11は、タッチが開始されたと判断すると(S11:Yes)、タッチ開始位置を、例えばRAM11c内の所定の記憶領域に記憶する(S12)。なお、所定の記憶領域に記憶されたタッチ開始位置は、ボタン操作処理の終了に伴って消去される。
【0053】
印刷装置制御部11は、タッチ解除されたか否かを判断し(S13)、タッチ解除されていないと判断した場合(S13:No)、タッチ解除まで待機する。また、印刷装置制御部11は、タッチ解除されたと判断した場合(S13:Yes)、タッチ解除位置がボタン内領域E10であるか否かを判断する(S14)。印刷装置制御部11は、タッチ解除位置がボタン内領域E10ではないと判断した場合(S14:No)、ボタン操作処理を終了する。また、印刷装置制御部11は、タッチ解除位置がボタン内領域E10であると判断した場合(S14:Yes)、RAM11c内の所定の記憶領域を参照し、タッチ開始位置が感知領域Esであるか否かを判断する(S15)。
【0054】
印刷装置制御部11は、タッチ開始位置が感知領域Esであると判断した場合(S15:Yes)、ボタンBが操作されたと判断し(S16)、ボタンBに割り当てられた動作を実行する(S17)。また、印刷装置制御部11は、タッチ開始位置が感知領域Esではないと判断した場合(S15:No)、ボタンBが操作されなかったと判断し(S18)、ボタンBに割り当てられた動作を実行することなくボタン操作処理を終了する。
【0055】
以上説明したとおり、第2実施形態に係る印刷装置1は、第1操作が、ユーザーのいる方向から、感知領域Esに向かって操作具が移動する操作である場合、すなわち、タッチ開始位置が感知領域Es内である場合、ボタン内領域E10からタッチ解除される操作を第2操作と決定する。一方、印刷装置1は、第1操作が、ユーザーのいる方向から、感知領域Es外の領域に向かって操作具が移動する操作である場合、すなわち、タッチ開始位置が感知領域Es内外である場合、ボタン内領域E10からタッチ解除される操作を第3操作と決定する。つまり、印刷装置1は、タッチ開始位置が感知領域Es内であり、タッチ解除位置がボタン内領域E10であれば、ボタンBが操作されたと判断する。一方、印刷装置1は、タッチ開始位置が感知領域Es外である場合は、タッチ解除位置がボタン内領域E10であっても、ボタンBが操作されなかったと判断する。
【0056】
このため、ユーザーは、ボタンBから少しずれた位置をタッチしてしまった場合でも、ボタン内領域E10にタッチ位置をずらすことで、ボタンBに割り当てられた動作を実行させることができる。
【0057】
なお、第2実施形態では、以下の変形例を採用可能である。
[変形例2-1]
上記の実施形態において、印刷装置制御部11は、タッチ解除時の操作である第2操作および第3操作の判断基準を、タッチ開始時の操作である第1操作の操作内容に応じて決定するものとしたが、第1操作より前に行われた操作の操作内容に応じて決定してもよい。この場合、印刷装置1内に、ユーザーの操作履歴を記憶する記憶部を設けることが好ましい。記憶部には、操作履歴として、ユーザーがボタンBをタッチしたときのタッチ位置のずれ量が記憶される。例えば、印刷装置制御部11は、記憶部に記憶されたタッチ位置のずれ量の平均値が閾値よりも大きい場合、ずれ量の平均値が閾値以下の場合より、第3感知領域E51を大きく設定することが好ましい。この構成によれば、ユーザーのボタン操作時の癖を学習することで、適切な大きさの第3感知領域E51を設定することができる。
【0058】
[第3実施形態]
次に、
図16および
図17を参照し、第3実施形態について説明する。上記の各実施形態では、印刷装置1に設けられた操作パネル12に対する操作について説明したが、操作対象は、必ずしも操作パネル12でなくてもよい。そこで、本実施形態では、VR(Virtual Reality)装置2において、虚像として表示された操作画面に対する操作について説明する。以下、上記の各実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、本実施形態において、上記の各実施形態と同様の構成部分については同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、上記の各実施形態と同様の構成部分について適用される変形例は、本実施形態についても同様に適用される。
【0059】
図16は、第3実施形態に係る、VR装置2の外観斜視図である。VR装置2は、「電子機器」の一例である。なお、
図16に示すXYZ軸は、VR装置2の外観構成の説明のためのものであり、第1実施形態および第2実施形態の各図面に示したXYZ軸と必ずしも一致するものではない。本実施形態に係るVR装置2は、ユーザーが虚像を視認すると同時に外景も視認可能なシースルータイプのヘッドマウントディスプレイである。VR装置2は、眼鏡形状のVR本体20を備えている。VR本体20の-Y方向側の面である前面には、-X方向側から右表示部33と、センサー37と、左表示部36と、が設けられている。右表示部33および左表示部36は、「表示部」の一例である。また、VR本体20の-X方向側には、右保持部31と、右表示駆動部32と、が設けられている。また、VR本体20の+X方向側には、左保持部34と、左表示駆動部35と、が設けられている。
【0060】
右表示部33の+X方向側の端と、左表示部36の-X方向側の端は、VR装置2の装着時におけるユーザーの眉間に対応する位置で接続されている。右表示部33の-X方向側の端からは、右保持部31が延伸している。同様に、左表示部36の+X方向側の端からは、左保持部34が延伸している。右保持部31および左保持部34は、眼鏡のテンプルのようにして、ユーザーの頭部にVR装置2を保持する。
【0061】
右表示駆動部32は、右保持部31の+X方向側、換言すれば、VR装置2の装着時におけるユーザーの頭部に対向する側であって、右表示部33の近傍に配置されている。また、左表示駆動部35は、左保持部34の-X方向側であって、左表示部36の近傍に配置されている。右表示駆動部32および左表示駆動部35は、画像を形成する透過型液晶パネルと、透過型液晶パネルを照射する光源と、透過型液晶パネルから射出された画像光を投写する投写光学系と、を含む。
【0062】
右表示部33および左表示部36は、VR装置2の装着時におけるユーザーの右および左の眼前に対応する位置に配置されている。右表示部33および左表示部36は、それぞれ右表示駆動部32および左表示駆動部35から出力された画像光を、所定の光路に沿って反射させつつユーザーの眼に導く。右表示部33および左表示部36は、画像光を用いてユーザーの眼前に虚像を形成する限りにおいて任意の方法を用いることができ、例えば、ホログラム素子などの回折格子を用いてもよいし、半透過反射膜を用いてもよい。
【0063】
センサー37は、VR装置2の装着時におけるユーザーの眉間に対応する位置に配置されている撮像装置である。センサー37は、VR装置2を装着した状態におけるユーザーの前方の外景を撮像し、ユーザーが操作する操作具を撮像する。なお、本例では、1つのセンサー37を例示しているが、複数のセンサー37が備えられていてもよい。また、本例では、センサー37として撮像装置を例示しているが、レーザーセンサーや超音波センサー等を用いてもよい。
【0064】
図17は、VR装置2の構成を示すブロック図である。VR装置2は、VR装置制御部21と、VRヘッドセット22と、VR装置通信部23と、を備えている。VR装置制御部21は、「判断部」および「決定部」の一例である。
【0065】
VR装置制御部21は、CPU21a、ROM21bおよびRAM21cを含む。CPU21aは、ROM21bに記憶された制御プログラムをRAM21cに展開して実行することにより、VR装置2内の各部を制御する。制御プログラムは、「プログラム」の一例である。
【0066】
VRヘッドセット22は、右表示駆動部32、右表示部33、左表示駆動部35、左表示部36およびセンサー37を含む。VR装置通信部23は、上位装置と通信し、上位装置から表示データを受信する。VR装置制御部21は、上位装置から取得した表示データに基づいて、右表示駆動部32および左表示駆動部35を制御し、右表示部33および左表示部36に虚像を表示させる。
【0067】
上記の構成により、VR装置制御部21は、右表示駆動部32および左表示駆動部35を制御する制御信号を生成し、虚像として表示された操作画面上にボタンBを表示する。また、VR装置制御部21は、センサー37によって撮像された映像を画像解析し、操作具の位置および動きを検出する。これにより、ユーザーは、虚像として表示された操作画面上のボタンBの操作が可能となる。つまり、本実施形態のVR装置制御部21は、センサー37を用いて、虚像として表示されたボタンBに対する操作検出を行う。また、本実施形態のVR装置制御部21は、センサー37による検出結果に基づいて、ボタンBが操作されたか否かを判断する。
【0068】
なお、本実施形態のように、虚像として表示されたボタンBに対する操作検出を行う場合、虚像として表示される操作画面がXY平面となり、操作画面に対して、ユーザーのいる方向、すなわち右表示部33および左表示部36の方向が+Z方向となる。また、この場合、ボタンBが表示される操作画面から-Z方向に操作具が移動する操作は、第3操作と判断される。つまり、VR装置制御部21は、ボタンBが表示される操作画面から所定の距離以上に-Z方向に操作具が移動する操作が行われた場合、ボタンBが操作されなかったと判断する。本実施形態では虚像を使っており、ユーザーは操作具が画面に接触している感覚を得ることが無いため、多少ボタンBを操作具が突き抜けてしまってもそれですぐにボタンBが操作されなかったと判断するべきではない。そのため、ボタンBが表示される操作画面から所定の距離以内で-Z方向に操作具が移動する操作が行われただけではボタンBが操作されなかったと判断せず続く操作を待ち、所定の距離以上に-Z方向に操作具が移動する操作が行われた場合に、ボタンBが操作されたと判断するようにしている。
【0069】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、VR装置2を用いた場合でも、上記の各実施形態と同様の作用・効果を奏することができる。
【0070】
以上、3つの実施形態を示したが、これらに示した操作パネル12やVRヘッドセット22によらず、ボタン操作を検出可能な検出装置を備えた電子機器であれば、スキャナーやパーソナルコンピューター等でも上記の各実施形態を適用可能である。
【0071】
また、上記の各実施形態および各変形例に示した印刷装置1およびVR装置2の各処理を実行する方法、印刷装置1およびVR装置2の各処理を実行するためのプログラム、またそのプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体も、発明の権利範囲に含まれる。また、各実施形態と各変形例を組み合わせた構成としてもよい。その他、印刷装置1およびVR装置2の各処理をハードウェアとソフトウェアの協働により実現するなど、発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【0072】
[付記]
以下、電子機器およびプログラムについて付記する。
印刷装置1は、ボタンBを表示するディスプレー12aと、操作具がボタンBに向かう第1操作に続いて、操作具がボタンBから離れる第2操作が行われたことに応じて、ボタンBが操作されたものと判断し、第1操作に続いて、操作具がボタンBから離れる第3操作が行われたことに応じて、ボタンBが操作されなかったものと判断する印刷装置制御部11と、を備え、印刷装置制御部11は、第2操作および第3操作の判断基準を、第1操作以前の操作内容に応じて決定する。
【0073】
プログラムは、ボタンBを表示するディスプレー12aを備えた印刷装置1に、操作具がボタンBに向かう第1操作に続いて、操作具がボタンBから離れる第2操作が行われたことに応じて、ボタンBが操作されたものと判断し、第1操作に続いて、操作具がボタンBから離れる第3操作が行われたことに応じて、ボタンBが操作されなかったものと判断するステップと、第2操作および第3操作の判断基準を、第1操作以前の操作内容に応じて決定するステップと、を実行させる。
【0074】
この構成によれば、印刷装置1は、ボタンBが操作されたと判断する第2操作と、ボタンBが操作されなかったと判断する第3操作と、の判断基準を、第1操作以前の操作内容に応じて決定するため、ユーザーのボタン操作を適切に判断することができる。
【0075】
上記の印刷装置1において、第2操作は、ボタンB内の領域であるボタン内領域E10を含む感知領域Esから、ユーザーのいる方向に向かって操作具が移動する操作であり、印刷装置制御部11は、第1操作以前の操作内容に応じて、感知領域Esの大きさを決定することが好ましい。
【0076】
この構成によれば、印刷装置1は、感知領域Esからユーザーのいる方向に向かって操作具が移動する操作が行われた場合、ボタンBが操作されたと判断することができると共に、第1操作以前の操作内容に応じて、感知領域Esを適切な大きさに決定することができる。
【0077】
上記の印刷装置1において、印刷装置制御部11は、第1操作が、ボタン内領域E10の中心領域であるボタン内中心領域E11に向かって操作具が移動する操作である場合より、第1操作が、ボタン内領域E10であってボタン内中心領域E11外の領域であるボタン内端部領域E12に向かって操作具が移動する操作である場合の方が、感知領域Esの大きさが大きくなるように、感知領域Esの大きさを決定することが好ましい。
【0078】
この構成によれば、印刷装置1は、第1操作が、ボタン内領域E10の中心領域であるボタン内中心領域E11に向かって操作具が移動する操作である場合より、第1操作が、ボタン内領域E10であってボタン内中心領域E11外の領域であるボタン内端部領域E12に向かって操作具が移動する操作である場合の方が、感知領域Esの大きさが大きくなるため、ボタン内端部領域E12からユーザーの意図に反して操作具の位置がずれた場合でも、ボタンBが操作されたと判断することができる。
【0079】
上記の印刷装置1において、第2操作と、第3操作は、操作具がボタンから離れる方向が異なる操作を含むことが好ましい。
【0080】
この構成によれば、印刷装置1は、操作具がボタンBから離れる方向に応じて、ボタンBが操作されたか否かを判断することができる。
【0081】
上記の印刷装置1において、第2操作は、ボタン内の領域であるボタン内領域から、ユーザーのいる方向に操作具が移動する操作を含み、第3操作は、ボタン内領域から、ユーザーのいる方向に対して直交する方向に操作具が移動する操作を含むことが好ましい。
【0082】
この構成によれば、印刷装置1は、操作具がボタン内領域E10から、ユーザーのいる方向に移動したか、ユーザーのいる方向に対して直交する方向に操作具が移動したか、に応じて、ボタンBが操作されたか否かを判断することができる。
【0083】
上記の印刷装置1において、印刷装置制御部11は、第1操作が、ユーザーのいる方向から、ボタンB内の領域であるボタン内領域E10を含む感知領域Esに向かって操作具が移動する操作である場合、ボタン内領域E10から、ユーザーのいる方向に向かって操作具が移動する操作を、第2操作と決定し、第1操作が、ユーザーのいる方向から、感知領域Es外の領域に向かって操作具が移動する操作である場合、ボタン内領域E10から、ユーザーのいる方向に向かって操作具が移動する操作を、第3操作と決定することが好ましい。
【0084】
この構成によれば、印刷装置1は、第1操作が、ユーザーのいる方向から感知領域Esに向かって操作具が移動する操作である場合は、ボタン内領域E10から、ユーザーのいる方向に向かって操作具が移動する操作を第2操作と決定し、第1操作が、ユーザーのいる方向から感知領域Es外の領域に向かって操作具が移動する操作である場合は、ボタン内領域E10から、ユーザーのいる方向に向かって操作具が移動する操作を第3操作と決定する。このため、ユーザーが、意図せずボタンBから少し外れた位置をタッチしてしまった場合でも、ボタン内領域E10にタッチ位置がずらされることで、ボタンBが操作されたと判断することができる。
【0085】
上記の印刷装置1において、印刷装置制御部11は、第1操作以前の操作内容に応じて、感知領域Esの大きさを決定することが好ましい。
【0086】
この構成によれば、印刷装置1は、第1操作以前の操作内容に応じて、感知領域Esを適切な大きさに決定することができる。
【符号の説明】
【0087】
1…印刷装置、11…印刷装置制御部、11a…CPU、11b…ROM、11c…RAM、12…操作パネル、12a…ディスプレー、12b…タッチパネル、13…印刷機構、14…印刷装置通信部。