(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】眼鏡枠形状測定装置及び眼鏡枠形状測定プログラム
(51)【国際特許分類】
G02C 13/00 20060101AFI20240509BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
G02C13/00
G01B11/24 A
(21)【出願番号】P 2019201835
(22)【出願日】2019-11-06
【審査請求日】2022-09-30
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】中子 裕也
(72)【発明者】
【氏名】武市 教児
(72)【発明者】
【氏名】滝井 通浩
【審査官】小西 隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/026416(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/077848(WO,A1)
【文献】米国特許第05428448(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00 ー 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡フレームの形状を測定する眼鏡枠形状測定装置であって、
前記眼鏡フレームのリムの溝に向けて光源から測定光束を照射し、前記リムの溝に第1切断面を形成する投光光学系と、
前記リムの溝の前記第1切断面にて反射された前記測定光束の反射光束を、第1検出器にて受光する受光光学系と、
前記第1検出器の検出結果に基づいて、前記リムの溝の前記第1切断面における第1断面情報を取得する取得手段と、
前記リムの溝の前記第1切断面が、前記リムの溝における所望の方向の第2切断面であって、前記第1切断面とは異なる方向の第2切断面となるように、前記第1断面情報を第2断面情報に補正する補正手段と、
前記リムの溝の前記第2切断面に対するパラメータを、前記第2断面情報に基づいて取得するパラメータ取得手段と、
を備え、
前記第1切断面と前記第2切断面は、前記リムの溝上における同一の測定位置に対する切断面であることを特徴とする眼鏡枠形状測定装置。
【請求項2】
請求項1の眼鏡枠形状測定装置において、
前記補正手段は、前記第1切断面に対する前記第2切断面のずれ角度に基づいて、前記リムの溝の前記第1切断面が、前記リムの溝における前記所望の方向の第2切断面となるように、前記第1断面情報を前記第2断面情報に補正することを特徴とする眼鏡枠形状測定装置。
【請求項3】
請求項1または2の眼鏡枠形状測定装置において、
前記リムの溝における前記所望の方向は、前記リムの溝における動径方向であって、
前記補正手段は、前記リムの溝の前記第1切断面が、前記リムの溝における前記動径方向の第2切断面となるように、前記第1断面情報を第2断面情報に補正することを特徴とする眼鏡枠形状測定装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかの眼鏡枠形状測定装置において、
前記第1切断面は、前記リムの溝における法線方向の切断面であって、
前記取得手段は、前記リムの溝における前記法線方向の前記第1切断面における前記第1断面情報を取得することを特徴とする眼鏡枠形状測定装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかの眼鏡枠形状測定装置において、
前記眼鏡フレームの前記リムの溝に押し当てられる測定子と、前記測定子の位置を検出する第2検出器であって、前記第1検出器とは異なる第2検出器と、を有する測定子ユニットと、
前記投光光学系と、前記受光光学系と、を有する光学式測定ユニットと、
を備え、
前記眼鏡フレームに対し、前記測定子ユニットと、前記光学式測定ユニットと、を一体的に移動させることを特徴とする眼鏡枠形状測定装置。
【請求項6】
眼鏡フレームの形状を測定する眼鏡枠形状測定装置にて用いる眼鏡枠形状測定プログラムであって、
前記眼鏡枠形状測定装置のプロセッサに実行されることで、
前記眼鏡フレームのリムの溝に向けて光源から測定光束を照射し、前記リムの溝に第1切断面を形成する投光ステップと、
前記リムの溝の前記第1切断面にて反射された前記測定光束の反射光束を、第1検出器にて受光する受光ステップと、
前記第1検出器の検出結果に基づいて、前記リムの溝の前記第1切断面における第1断面情報を取得する取得ステップと、
前記リムの溝の前記第1切断面が、前記リムの溝における所望の方向の第2切断面であって、前記第1切断面とは異なる第2切断面となるように、前記第1断面情報を第2断面情報に補正する補正ステップと、
前記リムの溝の前記第2切断面に対するパラメータを、前記第2断面情報に基づいて取得するパラメータ取得ステップと、
を前記眼鏡枠形状測定装置に実行させ、
前記第1切断面と前記第2切断面は、前記リムの溝上における同一の測定位置に対する切断面であることを特徴とする眼鏡枠形状測定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼鏡フレームの形状を得るための眼鏡枠形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
眼鏡フレームのリムの溝に測定光束を照射し、眼鏡フレームのリムの溝に反射された測定光束の反射光束を受光し、この反射光束に基づいて、眼鏡フレームのリムの溝の断面情報を取得する眼鏡枠形状測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、眼鏡枠形状測定装置において得られたリムの溝の断面情報は、眼鏡レンズを加工する際に必要となる加工データの作成に用いられ、眼鏡レンズ加工装置は、その加工データに基づいて眼鏡レンズの周縁を加工する。ところで、眼鏡枠形状測定装置の制御や構成を複雑化することなくリムの溝の断面情報を得る場合、リムの溝を光切断する方向が限られてしまうため、リムの溝における所望の切断面の断面情報を適切に得ることが困難であった。
【0005】
本開示は、上記従来技術に鑑み、眼鏡フレームのリムの溝における適切な断面情報を取得することができる眼鏡枠形状測定装置及び眼鏡枠形状測定プログラムを提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を備えることを特徴とする。
【0007】
本開示の第1態様に係る眼鏡枠形状測定装置は、眼鏡フレームの形状を測定する眼鏡枠形状測定装置であって、前記眼鏡フレームのリムの溝に向けて光源から測定光束を照射し、前記リムの溝に第1切断面を形成する投光光学系と、前記リムの溝の前記第1切断面にて反射された前記測定光束の反射光束を、第1検出器にて受光する受光光学系と、前記第1検出器の検出結果に基づいて、前記リムの溝の前記第1切断面における第1断面情報を取得する取得手段と、前記リムの溝の前記第1切断面が、前記リムの溝における所望の方向の第2切断面であって、前記第1切断面とは異なる方向の第2切断面となるように、前記第1断面情報を第2断面情報に補正する補正手段と、前記リムの溝の前記第2切断面に対するパラメータを、前記第2断面情報に基づいて取得するパラメータ取得手段と、を備え、前記第1切断面と前記第2切断面は、前記リムの溝上における同一の測定位置に対する切断面であることを特徴とする。
【0008】
本開示の第2態様に係る眼鏡枠形状測定プログラムは、眼鏡フレームの形状を測定する眼鏡枠形状測定装置にて用いる眼鏡枠形状測定プログラムであって、前記眼鏡枠形状測定装置のプロセッサに実行されることで、前記眼鏡フレームのリムの溝に向けて光源から測定光束を照射し、前記リムの溝に第1切断面を形成する投光ステップと、前記リムの溝の前記第1切断面にて反射された前記測定光束の反射光束を、第1検出器にて受光する受光ステップと、前記第1検出器の検出結果に基づいて、前記リムの溝の前記第1切断面における第1断面情報を取得する取得ステップと、前記リムの溝の前記第1切断面が、前記リムの溝における所望の方向の第2切断面であって、前記第1切断面とは異なる第2切断面となるように、前記第1断面情報を第2断面情報に補正する補正ステップと、前記リムの溝の前記第2切断面に対するパラメータを、前記第2断面情報に基づいて取得するパラメータ取得ステップと、を前記眼鏡枠形状測定装置に実行させ、前記第1切断面と前記第2切断面は、前記リムの溝上における同一の測定位置に対する切断面であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】眼鏡フレームを保持したフレーム保持ユニットの上面図である。
【
図3】保持ユニット及び眼鏡フレーム測定光学系の概略図である。
【
図6】Z方向移動ユニット及びY方向移動ユニットの上面斜視図である。
【
図9】リムの溝に対する測定光束の照射位置を説明する図である。
【
図10】リムの溝における法線方向からの撮像画像の一例である。
【
図11】リムの溝の第1断面形状から得られる種々のパラメータを示す図である。
【
図12】リムの溝に対する法線方向の第1切断面と、動径方向の第2切断面と、を示す図である。
【
図13】リムの溝の法線方向の第1断面形状と、動径方向の第2断面形状と、を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<概要>
本開示の実施形態に関わる眼鏡枠形状測定装置の概要を説明する。本実施形態では、眼鏡枠形状測定装置の上下方向をZ方向、左右方向をX方向、前後方向をY方向とする。言い換えると、眼鏡枠形状測定装置に保持される眼鏡フレームにおいて、装用時のリムの前後方向をZ方向、装用時のリムの左右方向(左端及び右端の方向)をX方向、装用時のリムの上下方向(上端及び下端の方向)をY方向とする。なお、以下の<>にて分類された項目は、独立または関連して利用されうる。
【0011】
<投光光学系>
本実施形態における眼鏡枠形状測定装置は、投光光学系(例えば、投光光学系30a)を備える。投光光学系は、光源(例えば、光源31)を有し、眼鏡フレームのリムの溝に向けて、光源から測定光束を照射する。これによって、眼鏡フレームのリムの溝に、眼鏡フレームのリムの溝が測定光束により光切断される第1切断面が形成される。
【0012】
投光光学系は、少なくとも1つの光源を有してもよい。例えば、1つの光源を有してもよい。また、例えば、複数の光源を有してもよい。
【0013】
投光光学系は、光学部材を有してもよい。例えば、光学部材としては、レンズ、ミラー、絞り、等の少なくともいずれかを用いてもよい。もちろん、例えば、光学部材としては、これらの光学部材とは異なる光学部材を用いてもよい。例えば、光学部材として絞りを用いることで、測定光束の焦点深度を深くすることができる。このように、投光光学系が光学部材を有する場合、光源から出射された測定光束は、各々の光学部材を介して、眼鏡フレームのリムの溝に向けて照射されてもよい。
【0014】
なお、投光光学系は、光源から出射された測定光束が、眼鏡フレームのリムの溝に向けて照射される構成であればよい。例えば、投光光学系は、少なくとも光源を有する構成であってもよい。また、投光光学系は、光源から出射された測定光束が、光学部材とは異なる部材を経由して、眼鏡フレームのリムの溝に向けて照射される構成であってもよい。
【0015】
例えば、投光光学系によって、眼鏡フレームのリムの溝に向けて照射される測定光束は、幅を有する測定光束(例えば、スリット状の測定光束)であってもよい。この場合、投光光学系は、光源からの測定光束を眼鏡フレームのリムの溝に向けて照射し、リムの溝上に光切断面を形成させてもよい。
【0016】
例えば、投光光学系が、幅を有する測定光束を照射する場合、光源として、スリット状の光束を出射する光源を用いてもよい。例えば、この場合、光源は点光源であてもよい。例えば、点光源を複数並べて配置することで、リムの厚み方向が長手となるような幅を有する測定光束を照射してもよい。また、例えば、点光源から照射されたスポット状の光束を走査することで、幅を有する測定光束を照射してもよい。また、例えば、点光源から照射されたスポット状の測定光束を光学部材で拡散させることで、幅を有する測定光束を照射してもよい。もちろん、上記の光源とは異なる種々の種類の光源を用いて、幅を有する測定光束を照射してもよい。
【0017】
本実施形態において、投光光学系による測定光束が、眼鏡フレームのリムの溝を光切断する第1切断面は、リムの溝を任意の方向から光切断した第1切断面であってもよい。例えば、第1切断面は、リムの溝を動径方向とは異なる方向から光切断した切断面であってもよい。この場合、第1切断面は、リムの溝を法線方向から光切断した切断面であってもよい。もちろん、この場合、第1切断面は、リムの溝を法線方向とは異なる方向(但し、リムの溝の動径方向を除く)から光切断した切断面であってもよい。
【0018】
<受光光学系>
本実施形態における眼鏡枠形状測定装置は、受光光学系(例えば、受光光学系30b)を備える。受光光学系は、検出器(例えば、検出器37)を有し、眼鏡フレームのリムの溝における第1切断面にて反射された測定光束の反射光束を検出器によって受光する。
【0019】
受光光学系は、光学部材を有してもよい。例えば、光学部材としては、レンズ、ミラー、絞り、等の少なくともいずれかを用いてもよい。もちろん、例えば、光学部材としては、これらの光学部材とは異なる光学部材を用いてもよい。このように、受光光学系が光学部材を有する場合、眼鏡フレームのリムの溝によって反射された測定光束の反射光束は、各々の光学部材を介して、検出器に受光されるようにしてもよい。
【0020】
なお、受光光学系は、眼鏡フレームのリムの溝によって反射された測定光束の反射光束が、検出器に受光される構成であればよい。例えば、受光光学系は、少なくとも1つの検出器を有する構成であってもよい。また、受光光学系は、眼鏡フレームのリムの溝によって反射された測定光束の反射光束が、光学部材とは異なる部材を経由して、検出器に受光される構成であってもよい。
【0021】
なお、投光光学系が、光源からの測定光束を眼鏡フレームのリムの溝に向けて照射し、リムの溝上に光切断面を形成させる場合、受光光学系は、リムの溝の光切断面での反射光束(例えば、散乱光、正反射光、等)を、検出器で受光してもよい。
【0022】
<投光光学系と受光光学系の位置関係>
本実施形態において、投光光学系と受光光学系は、眼鏡フレームのリムの溝の第1切断面において、後述の第1断面情報を取得できる位置関係にて配置されていればよい。例えば、投光光学系と受光光学系とは、シャインプルークの原理に基づく光学系の構成で配置されてもよい。もちろん、例えば、投光光学系と受光光学系は、シャインプルークの原理に基づく光学系の構成ではなく、異なる光学系の構成で配置されてもよい。一例としては、OCT光学系の構成で配置されてもよい。
【0023】
<取得手段>
本実施形態における眼鏡枠形状測定装置は、取得手段(例えば、制御部50)を備える。取得手段は、受光光学系における検出器の検出結果に基づいて、眼鏡フレームのリムの溝の第1切断面における第1断面情報を取得する。例えば、眼鏡フレームのリムの溝の第1切断面における第1断面情報とは、眼鏡フレームのリムの溝に対する任意の方向の切断面における、リムの溝の断面形状、リムの溝の斜面角度、リムの肩の斜面長さ、リムの溝の底位置、リムの溝の底までの距離、等の少なくともいずれかを含む情報であってもよい。
【0024】
取得手段は、眼鏡フレームのリムの溝における第1切断面にて反射された測定光束の反射光束を処理することによって、眼鏡フレームのリムの溝の第1断面情報を取得する。例えば、取得手段は、検出器が検出した反射光束の受光位置から、第1断面情報を取得してもよい。なお、第1断面情報は、信号(信号データ)に基づいて取得されてもよい。また、第1断面情報は、信号(信号データ)を変換することで得られる画像(画像データ)に基づいて取得されてもよい。
【0025】
例えば、本実施形態においては、眼鏡フレームのリムの溝を法線方向から光切断した第1切断面が投光光学系により形成され、リムの溝の法線方向の第1切断面にて反射された測定光束の反射光束が、受光光学系の検出器にて受光される構成であってもよい。この場合、取得手段は、眼鏡フレームのリムの溝における法線方向の第1切断面における第1断面情報を取得する。
【0026】
<補正手段>
本実施形態における眼鏡枠形状測定装置は、補正手段(例えば、制御部50)を備える。補正手段は、眼鏡フレームのリムの溝の第1切断面が、リムの溝における所望の方向の第2切断面となるように、第1断面情報を第2断面情報に補正する。例えば、リムの溝における所望の方向の第2切断面とは、リムの溝における第1切断面とは異なる切断面であればよい。一例として、第2切断面は、リムの溝における動径方向の切断面であってもよい。もちろん、第2切断面は、リムの溝における動径方向とは異なる方向の切断面であってもよい。
【0027】
また、例えば、上記の第2切断面における第2断面情報とは、眼鏡フレームのリムの溝に対する所望の方向の切断面における、リムの溝の断面形状、リムの溝の斜面角度、リムの肩の斜面長さ、リムの溝の底位置、リムの溝の底までの距離、等の少なくともいずれかを含む情報であってもよい。
【0028】
例えば、眼鏡フレームのリムの溝の第1切断面における第1断面情報が、信号(信号データ)として取得されていた場合、補正手段は、第1断面情報の信号(信号データ)を、第2断面情報の信号(信号データ)に補正してもよい。この場合、補正手段は、第2断面情報の信号(信号データ)から、さらに、第2断面情報の画像(画像データ)を得てもよい。また、例えば、眼鏡フレームのリムの溝の第1切断面における第1断面情報が、画像(画像データ)として取得されていた場合、補正手段は、第1断面情報の画像(画像データ)を、第2断面情報の画像(画像データ)に補正してもよい。なお、例えば、眼鏡フレームのリムの溝の第1切断面における第1断面情報として、信号や画像を解析した各々のパラメータ情報が取得されていた場合、補正手段は、第1断面情報における各々のパラメータ情報を、第2断面情報における各々のパラメータ情報に補正してもよい。
【0029】
例えば、補正手段は、眼鏡フレームにおけるリムの溝の第1切断面に対する第2切断面のずれ角度に基づいて、第1断面情報を第2断面情報に補正してもよい。例えば、補正手段は、第1切断面と第2切断面とのなす角度を、第1切断面に対する第2切断面のずれ角度として、第1断面情報を第2断面情報に補正してもよい。これによって、第1切断面を、所望の方向に対する第2切断面に、精度よく置換できる。
【0030】
例えば、補正手段は、リムの溝の第1切断面を回転させ、第1切断面と第2切断面とのずれ角度をなくすように、補正を行ってもよい。これによって、リムの溝の第1切断面が、ずれ角度のない仮想面である第2切断面に置換され、第1断面情報が2断面情報に補正される。すなわち、リムの溝の第1切断面が、ずれ角度をなくすことで第2切断面に一致(略一致)した状態となり、第1断面情報が2断面情報に補正される。
【0031】
例えば、本実施形態において、眼鏡フレームのリムの溝の第1切断面と、眼鏡フレームのリムの溝の第1切断面とは異なる第2切断面と、はリムの溝上の異なる測定位置に対する切断面であってもよい。この場合、補正手段は、リムの溝上の所定の測定位置における第1断面情報を、リムの溝上の所定の測定位置とは異なる測定位置における第2断面情報に補正する。一例として、補正手段は、リムの溝上の所定の測定位置に対する法線方向の第1切断面が、リムの溝上の所定の測定位置とは異なる測定位置に対する動径方向の第2切断面となるように、第1断面情報を第2断面情報に補正する。
【0032】
これによって、例えば、リムの一部で測定エラーが生じ、リムの溝の所定の測定位置における第1断面情報が取得できないことにより、第1断面情報を補正した第2断面情報を取得できない場合であっても、リムの溝の所定の測定位置の周辺にて取得された第1断面情報を、リムの溝の所定の測定位置に対する動径方向の断面情報に補正することで、リムの溝の測定位置における第2断面情報を取得することができる。
【0033】
また、例えば、本実施形態において、眼鏡フレームのリムの溝の第1切断面と、眼鏡フレームのリムの溝の第1切断面とは異なる第2切断面と、はリムの溝上における同一の測定位置に対する切断面であってもよい。この場合、補正手段は、リムの溝上の所定の測定位置における第1断面情報を、リムの溝上の所定の測定位置における第2断面情報に補正する。一例として、補正手段は、リムの溝上の所定の測定位置に対する法線方向の第1切断面が、リムの溝上の所定の測定位置に対する動径方向の第2切断面となるように、第1断面情報を第2断面情報に補正する。これによって、例えば、リムの溝上における各々の測定位置について、リムの溝における所望の方向の第2断面情報を、適切に取得することができる。
【0034】
例えば、補正手段が、リムの溝上の所定の測定位置における第1切断面を、リムの溝上の所定の測定位置とは異なる測定位置における第2切断面となるように補正する場合、第1切断面と第2切断面とのずれ角度は、第1切断面と第2切断面とが交差する交差位置を基準としたずれ角度として表されてもよい。この場合、補正手段は、第1切断面と第2切断面とが交差する交差位置の位置情報と、リムの動径平面上に位置する基準位置(例えば、リムのボクシング中心位置、等)の位置情報と、に基づいて、ずれ角度を算出してもよい。また、例えば、補正手段は、リムの溝の第1切断面を、交差位置を中心に回転させることで、第1切断面と第2切断面とのずれ角度をなくすように、補正を行ってもよい。これによって、第1断面情報が第2断面情報に補正される。
【0035】
また、例えば、補正手段が、リムの溝上の所定の測定位置における第1切断面を、リムの溝上の所定の測定位置における第2切断面となるように補正する場合、第1切断面と第2切断面とのずれ角度は、リムの溝の頂点を基準としたずれ角度として表されてもよい。この場合、補正手段は、リムの溝上の所定の測定位置におけるリムの溝の頂点の位置情報と、リムの動径平面上に位置する基準位置の位置情報と、に基づいて、ずれ角度を算出してもよい。また、例えば、補正手段は、リムの溝の第1切断面を、リムの溝の頂点を中心に回転させることで、第1切断面と第2切断面とのずれ角度をなくすように、補正を行ってもよい。これによって、第1断面情報が第2断面情報に補正される。
【0036】
なお、本実施形態における眼鏡枠形状測定装置は、眼鏡フレームのリムの溝に測定子を接触させる測定子ユニットと、前述の投光光学系及び受光光学系を有する光学式測定ユニットと、を備えてもよい。例えば、眼鏡フレームに対し、測定子ユニットと光学式測定ユニットとが、一体的に移動されてもよい。例えば、このような構成である場合には、リムの溝の切断面を置換し、第1断面情報から第2断面情報へ補正することが、特に有効となる。
【0037】
例えば、測定子ユニットにおいては、眼鏡フレームのリムの溝に測定子を接触させることによって眼鏡フレームが変形してしまう可能性があり、眼鏡フレームのリムの溝の位置を正しく取得できない。例えば、眼鏡フレームに、このような測定データを用いて加工した眼鏡レンズを枠入れすると、眼鏡フレームに眼鏡レンズが上手く嵌まらず、眼鏡の仕上がりに影響を与える。このため、眼鏡フレームのリムの溝と測定子が接触する際、リムの溝に対して測定子が付加する測定圧は、なるべく弱くすることが好ましいと考えられている。
【0038】
例えば、測定子ユニットの測定子は、一定の測定圧でリムの溝に接触される。ところが、測定子ユニットの測定子を、眼鏡フレームのリムの溝の動径方向に接触させる構成とした場合、リムの動径長が短い位置から長い位置へ差し掛かると、測定子の測定圧は部分的に強くなる。このため、眼鏡フレームが変形しやすい。しかし、例えば、測定子ユニットの測定子を、眼鏡フレームのリムの溝の法線方向に接触させる構成とした場合、リムの動径長が短い位置から長い位置へ差し掛かっても、測定子の測定圧は変化することなく付加される。このため、眼鏡フレームが変形しにくい。
【0039】
一例として、眼鏡枠形状測定装置が、測定子ユニットが測定子を眼鏡フレームのリムの溝の法線方向に接触させる構成であり、光学式測定ユニットが測定子ユニットとともに移動することで、光学式測定ユニットがリムの溝の法線方向に切断面を形成する構成であっても、本実施形態における少なくとも一部の技術を適用することで、リムの溝における法線方向の第1切断面を、リムの溝における動径方向の第2切断面に補正し、リムの溝にける動径方向の第2断面情報を、容易に取得することができる。これによって、眼鏡レンズを加工する際に必要となる加工データが、所望の切断面の断面情報に基づいて良好に作成され、眼鏡レンズが精度よく加工されるようになる。
【0040】
なお、本開示は、本実施形態に記載する装置に限定されない。例えば、上記実施形態の機能を行う端末制御ソフトウェア(プログラム)を、ネットワークまたは各種記憶媒体等を介してシステムあるいは装置に供給し、システムあるいは装置の制御装置(例えば、CPU等)がプログラムを読み出して実行することも可能である。
【0041】
<実施例>
本実施形態における眼鏡枠形状測定装置(以下、測定装置)の一実施例について説明する。
【0042】
図1は、測定装置1の外観図である。本実施例では、測定装置1の左右方向をX方向、前後方向をY方向、上下方向(鉛直方向)をZ方向として表す。言い換えると、後述するフレーム保持ユニット10に保持された眼鏡フレームFの左右方向、上下方向、及び前後方向(リムの厚み方向)が、それぞれ、測定装置1のX方向、Y方向、及びZ方向に対応する。
【0043】
例えば、測定装置1は、モニタ3、スイッチ部4、フレーム保持ユニット10、測定ユニット20、等を備える。モニタ3は、各種の情報(例えば、眼鏡フレームFのリムの溝FAにおける断面形状41、眼鏡フレームFのリムの形状、等)を表示する。モニタ3は、タッチパネルであり、モニタ3がスイッチ部4の機能を兼ねてもよい。スイッチ部4は、各種の設定(例えば、測定の開始、等)を行うために用いる。モニタ3及びスイッチ部4から入力された操作指示に応じた信号は、後述の制御部50に出力される。
【0044】
<フレーム保持ユニット>
図2は、眼鏡フレームFを保持したフレーム保持ユニット10の上面図である。フレーム保持ユニット10は、眼鏡フレームFを所期する状態に保持する。例えば、フレーム保持ユニット100は、保持部ベース101、前スライダー102、後スライダー102、開閉移動機構110、等を備える。
【0045】
例えば、保持部ベース101上には、眼鏡フレームFを水平(略水平)に保持するための前スライダー102と、後スライダー103と、が載置されている。例えば、前スライダー102と後スライダー103は、その中心線CLを中心に2つのレール111上を対向して摺動可能に配置されているとともに、バネ113により常に両者の中心線CLに向かう方向に引っ張られている。
【0046】
例えば、前スライダー102には、眼鏡フレームFのリムをその厚み方向からクランプするためのクランプピン130a,130bがそれぞれ2箇所に配置されている。例えば、後スライダー103には、眼鏡フレームFのリムをその厚み方向からクランプするためのクランプピン131a,131bがそれぞれ2箇所に配置されている。また、例えば、型板を測定するときは、前スライダー102及び後スライダー103が開放され、周知の型板保持治具が所定の取付け位置140に配置されて使用される。このフレーム保持ユニット10の構成は、例えば、特開2000-314617号公報等に記載された周知のものが使用できる。
【0047】
例えば、眼鏡フレームFは、眼鏡装用時のリムの下側が前スライダー102側に位置され、リムの上側が後スライダー103側に位置される。例えば、左右のリムのそれぞれの下側及び上側に位置するクランプピンにより、眼鏡フレームFは所定の測定状態に保持される。
【0048】
なお、本実施例においては、リムの前後方向の位置を規制する構成として、上記クランプピン130a,130b及びクランプピン131a,131bの構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。周知の機構が使用されても良い。例えば、左右リムの前後方向を固定する機構としては、V字状の溝を持つ当接部材(規制部材)を左右リム用にそれぞれ設ける構成でも良い。
【0049】
<測定ユニット>
測定ユニット20は、フレーム保持ユニット10の下部に配置される。例えば、測定ユニット20は、ベース部211、保持ユニット25、移動ユニット210、回転ユニット260、等を備える。
【0050】
ベース部211は、X方向及びY方向に伸展した方形状の枠であり、フレーム保持ユニット10の下部に設けられる。保持ユニット25は、後述のフレーム測定光学系30を保持する。移動ユニット210は、保持ユニット25をX方向、Y方向、及びZ方向に移動させることで、保持ユニット25をフレームFに対して相対的に移動させる。回転ユニット260は、保持ユニット25を、回転軸L0を中心に回転させる。
【0051】
<保持ユニット>
保持ユニット25について説明する。保持ユニット25には、開口部26が設けられる。例えば、開口部26には、開口部26を覆うような透明パネルが設けられてもよい。保持ユニット25は、その内部に、眼鏡フレーム測定光学系30を保持する。
【0052】
図3は、保持ユニット25及び眼鏡フレーム測定光学系30の概略図である。
図3(a)は、保持ユニット25を上面方向から示す図である。
図3(b)は、保持ユニット25を側面方向から示す図である。
【0053】
例えば、眼鏡フレーム測定光学系30は、投光光学系30aと、受光光学系30bと、で構成される。例えば、投光光学系30aは、眼鏡フレームFのリムの溝に向けて、光源から測定光束を照射する。投光光学系30aからの測定光束は、保持ユニット25の内部から外部へと、開口部26を介して出射し、リムの溝に向けて照射される。例えば、受光光学系30bは、眼鏡フレームFのリムの溝にて反射された測定光束の反射光束を、検出器によって受光する。眼鏡フレームFのリムの溝に反射された測定光束の反射光束は、保持ユニット25の外部から内部へと、開口部26を介して入射し、受光光学系30bに向けて導光される。
【0054】
<投光光学系>
例えば、投光光学系30aは、光源31と、レンズ32と、スリット板33と、レンズ34と、を備える。例えば、光源31から出射された測定光束は、レンズ32によって集光し、スリット板33を照明する。例えば、スリット板33を照明した測定光束は、スリット板33によって、細いスリット状に制限された測定光束となり、レンズ34を介して、眼鏡フレームFのリムの溝FAに照射される。すなわち、眼鏡フレームFのリムの溝FAにスリット光が照射される。これにより、眼鏡フレームFのリムの溝FAは、スリット光により光切断された形で照明される。
【0055】
<受光光学系>
例えば、受光光学系30bは、レンズ36と、検出器37(例えば、受光素子)と、を備える。例えば、レンズ36は、眼鏡フレームFのリムの溝FAでの反射により取得される、リムの溝FAの反射光束(例えば、リムの溝FAの散乱光、リムの溝FAの正反射光、等)を検出器37に導く。例えば、検出器37は、眼鏡フレームFのリムの溝FAと略共役な位置に配置された受光面を持っている。
【0056】
<投光光学系と受光光学系の配置>
本実施例において、投光光学系30aと受光光学系30bとはシャインプルーフの原理に基づいて配置される。例えば、眼鏡フレームFのリムの溝FAを投光光学系30aによるスリット光が光切断する切断面と、眼鏡フレームFのリムの溝FAを含むレンズ系(眼鏡フレームFのリムの溝FA及びレンズ36)と、検出器37の受光面と、がシャインプルーフの関係で配置される。
【0057】
また、本実施例において、投光光学系30aの投光光軸L1は、眼鏡フレームFのリムの溝FAにおける動径平面(XY平面)に対して、水平に配置される。つまり、投光光学系30aの投光光軸L1は、眼鏡フレームFのリムの溝FAにおける動径平面に対して、Z方向に0度の傾斜角度で配置される。
【0058】
例えば、投光光学系30aの投光光軸L1は、眼鏡フレームFのリムの溝FAに対する法線方向から、光源31によるスリット光が照射されるように配置される。すなわち、例えば、投光光学系30aの投光光軸L1は、眼鏡フレームFのリムの動径平面において、リムの溝FAに対する接線に垂直な方向から、光源31によるスリット光が照射されるように配置される。これにより、眼鏡フレームFのリムの溝FAに、スリット光による切断面が直交する。言い換えると、眼鏡フレームFのリムの溝FAにおける深さ方向と、スリット光による切断面と、が平行になる。
【0059】
また、本実施例において、受光光学系30bの撮像光軸L2は、投光光学系30aの投光光軸L1に対し、眼鏡フレームFのリムの溝FAにおける動径平面上にて、傾斜角度βで傾斜するように配置される。さらに、本実施例において、受光光学系30bの撮像光軸L2は、投光光学系30aの投光光軸L1に対し、眼鏡フレームFのZ方向に、傾斜角度γで傾斜するように配置される。すなわち、受光光学系30bの撮像光軸L2は、投光光学系30aの投光光軸L1に対し、XY方向に傾斜角度βで傾斜し、かつ、Z方向に傾斜角度γで傾斜するように配置される。
【0060】
<移動ユニット>
移動ユニット210について説明する。
図4~
図6は、測定ユニット20を説明する図である。
図4は、測定ユニット20の上面斜視図である。
図5は、測定ユニット20の下面斜視図である。
図6は、後述するZ方向移動ユニット220及びY方向移動ユニット230の上面斜視図(ベース部211とX方向移動ユニット240を取り外した状態の斜視図)である。
【0061】
例えば、移動ユニット210は、ベース部211、Z方向移動ユニット220、Y方向移動ユニット230、X方向移動ユニット240、等を備える。例えば、ベース部211は、X方向及びY方向に伸展した方形状の枠であり、フレーム保持ユニット10の下部に配置される。例えば、Z方向移動ユニット220は、保持ユニット25をZ方向へ移動させる。例えば、Y方向移動ユニット230は、保持ユニット25及びZ方向移動ユニット220を保持し、これらをY方向へ移動させる。例えば、X方向移動ユニット240は、保持ユニット25、Z方向移動ユニット220、及びY方向移動ユニット230を保持し、これらをX方向へ移動させる。
【0062】
例えば、X方向移動ユニット240は、概略的に次のように構成されている。例えば、X方向移動ユニット240は、ベース部211の下方に、X方向へ延びるガイドレール241を備える。例えば、ガイドレール241には、Y方向移動ユニット230のYベース230aが、X方向へ移動可能に取り付けられている。例えば、ベース部211には、モータ245が取り付けられている。例えば、モータ245の回転軸には、X方向に延びる送りネジ242が取り付けられている。例えば、Yベース230aに固定されたナット部246は、送りネジ242に螺合されている。これにより、モータ245が回転されると、Yベース230aがX方向に移動される。
【0063】
例えば、Y方向移動ユニット230は、概略的に次のように構成されている。例えば、Yベース230aには、Y方向に延びる図示なきガイドレールが取り付けられている。例えば、ガイドレールには、Zベース220aがY方向へ移動可能に取り付けられている。例えば、Yベース230aには、Y方向移動用のモータ235と、Y方向に延びる回転可能な送りネジ232と、が取り付けられている。例えば、モータ235の回転は、ギヤ等の回転伝達機構を介して、送りネジ232に伝達される。例えば、送りネジ232には、Zベース220aに取り付けられたナット227が螺合されている。これにより、モータ235が回転されると、Zベース220aがY方向に移動される。
【0064】
例えば、X方向移動ユニット240及びY方向移動ユニット230によって、XY方向移動ユニットが構成される。例えば、保持ユニット25のXY方向の移動位置は、後述する制御部50が、モータ245及びモータ235が駆動されるパルス数を検知することで、検出される。なお、例えば、保持ユニット25のXY方向の移動位置は、モータ245及び235に取り付けたエンコーダ等のセンサを使用して検出してもよい。
【0065】
例えば、Z方向移動ユニット220は、概略的に次のように構成されている。例えば、Zベース220aには、Z方向に延びるガイドレール221が形成され、ガイドレール221に沿って、保持ユニット25が取り付けられた移動ベース250aが、Z方向へ移動可能に保持される。例えば、Zベース220aには、Z方向移動用のパルスモータ225が取り付けられるとともに、Z方向に延びる図示なき送りネジが回転可能に取り付けられている。例えば、保持ユニット25のベース250aに取り付けられたナットに螺合されている。例えば、モータ225の回転は、ギヤ等の回転伝達機構を介して送りネジ222に伝達され、送りネジ222の回転により、保持ユニット25がZ方向に移動される。
【0066】
例えば、保持ユニット25のZ方向の移動位置は、後述する制御部50が、モータ225が駆動されるパルス数を検知することで、検出される。なお、例えば、保持ユニット25のZ方向の移動位置は、モータ225に取り付けたエンコーダ等のセンサを使用して検出してもよい。
【0067】
なお、上記のような、X方向、Y方向、及びZ方向の各移動機構は、本実施例に限定されず、周知の機構を採用することができる。例えば、保持ユニット25を直線移動させる代わりに、回転ベースの中心に対して円弧起動で移動させる構成としてもよい(例えば、特開2006-350264号公報等参照)。
【0068】
<回転ユニット>
回転ユニット260について説明する。
図7は、回転ユニット260の概略図である。例えば、回転ユニット260は、Z方向に延びる回転軸LOを中心に、保持ユニット25を回転させることで、開口部26が向くXY方向を変更する。例えば、回転ユニット260は、回転ベース261を備える。例えば、保持ユニット25は、回転ベース261に取り付けられている。例えば、回転ベース261は、Z方向に延びる回転軸LOを中心にして回転可能に保持されている。例えば、回転ベース261の下部の外周には、大径ギヤ262が形成されている。例えば、回転ユニット260は、取り付け板252を有する。例えば、取り付け板252には、モータ265が取り付けられている。例えば、モータ265の回転軸には、ピニオンギヤ266が固定され、ピニオンギヤ266の回転は、取り付け板252に回転可能に設けられたギヤ263を介して、大径ギヤ262に伝達される。したがって、モータ265の回転により、回転ベース261が回転軸LOの軸回りに回転される。例えば、モータ265の回転は、モータ265へ一体的に取り付けられたエンコーダ265aにより検出され、エンコーダ265aの出力から、回転ベース261の回転角が検知される。回転ベース261の回転の原点位置は、図示を略す原点位置センサにより検知される。なお、上記のような回転ユニット260の各移動機構は、本実施例に限定されず、周知の機構を採用することができる。
【0069】
本実施例において、回転ユニット260の回転軸LOは、投光光学系30aの光源31を通る軸として設定されている。すなわち、回転ユニット260は、投光光学系30aの光源31を中心に回転する。もちろん、回転ユニット260の回転軸LOは、異なる位置を回転軸としてもよい。例えば、回転ユニット260の回転軸LOは、受光光学系30bの検出器37を通る軸として設定してもよい。
【0070】
<制御部>
図8は、測定装置1の制御系を示す図である。例えば、制御部50には、モニタ3、スイッチ部4、光源31、検出器37、エンコーダ265a、各モータ、不揮発性メモリ52(以下、メモリ52)、等が電気的に接続されている。
【0071】
例えば、制御部50は、CPU(プロセッサ)、RAM、ROM、等を備える。例えば、CPUは、測定装置1における各部材の制御を司る。また、例えば、CPUは、各センサからの出力信号に基づくリムの溝FAの断面形状の演算等、各種の演算処理を行う演算部として機能する。例えば、RAMは、各種の情報を一時的に記憶する。例えば、ROMには、測定装置1の動作を制御するための各種プログラム、初期値、等が記憶されている。なお、制御部50は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)によって構成されてもよい。
【0072】
例えば、メモリ75は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。例えば、メモリ75としては、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、USBメモリ、等を使用することができる。
【0073】
<制御動作>
測定装置1の制御動作を説明する。
【0074】
操作者は、前スライダー102と後スライダー102との間隔を広げ、眼鏡フレームFのリムの上側と下側をクランプピンでクランプすることで、フレーム保持ユニット10にフレームを保持させる。
【0075】
続いて、操作者は、スイッチ部4を操作して、リムの溝FAの測定を開始する。本実施例では、先に、左リムFLにおける溝FAの測定が行われ、後に、右リムFRにおける溝FAの測定が行われる。もちろん、先に、右リムFRの測定を行い、後に、左リムFLの測定が行われてもよい。
【0076】
<リムの測定と撮像画像の取得>
図9は、リムの溝FAに対する測定光束の照射位置を説明する図である。
図9(a)と
図9(b)は、リムの溝FAに対する測定光束の異なる照射位置を示している。制御部50は、測定開始の信号に基づいて、X方向移動ユニット240、Y方向移動ユニット230、Z方向移動ユニット220、及び回転ユニット260、の少なくともいずれかの駆動を制御し、保持ユニット25を退避位置から初期位置へと移動させる。これにより、投光光学系30aによる測定光束の照射位置が、リムの溝FAの測定位置T1に設定される。例えば、リムの溝FAの測定位置T1は、リムの幾何学中心位置Bを基準とした所定の動径角度αの位置(本実施例では、0度の位置)に設定されている。もちろん、リムの溝FAの測定位置T1は、任意の動径角度αの位置に設定可能であってもよい。
【0077】
続いて、制御部50は、投光光学系30aの光源31を点灯させ、リムの溝FAの測定位置T1(リムの動径角度αにおける溝FAの位置)に向け、リムの溝FAの法線方向から測定光束を照射させる。光源31からのスリット光により、リムの溝FAは、リムの溝FAの測定位置T1を通過する法線方向に光切断される。すなわち、光源31からのスリット光により、リムの溝FAの測定位置T1を通過する法線方向の第1切断面45(
図12(b)参照)が形成される。また、リムの溝FAで反射された反射光束が受光光学系30bに導光され、検出器37にて受光される。制御部50は、検出器37の受光結果に基づいて、リムの溝FAの測定位置T1における法線方向からの撮像画像(言い換えると、第1切断面45の撮像画像)を取得することができる。例えば、制御部50は、保持ユニット25を測定進行方向Gに移動させ、リムの溝FAの測定位置T1、測定位置T2、測定位置T3、…、測定位置Tnを法線方向から光切断した撮像画像を取得する。
【0078】
<第1断面形状の取得>
図10は、リムの溝FAにおける法線方向からの撮像画像40の一例である。例えば、制御部50は、撮像画像40を解析し、リムの溝FAにおける法線方向の第1断面形状41を検出する。例えば、制御部50は、撮像画像40に対して走査線S1、走査線S2、走査線S3、・・・、走査線Snの順に輝度値の検出を行い、輝度分布を得る。例えば、検出器37により反射光束が検出されるため、撮像画像40上に第1断面形状41が存在する場合は、輝度値が上昇する。例えば、制御部50は、このように撮像画像40の輝度値の変化を検出することで、撮像画像40から第1断面形状41を抽出することができる。
【0079】
例えば、制御部50は、モータ225のパルス数、モータ235のパルス数、モータ245のパルス数、及びエンコーダ265aの検出結果の少なくともいずれかを用いて、撮像画像40の取得位置を演算し、リムの溝FAの第1断面形状41を対応付けて、メモリ52に記憶させる。これによって、リムの溝FAの法線方向における3次元断面形状が取得される。
【0080】
<第1断面形状から第2断面形状への補正>
図11は、リムの溝FAの第1断面形状41から得られる種々のパラメータを示す図である。本実施例においては、眼鏡フレームFのリムの溝FAにおける各々の測定位置にて、リムの溝FAの法線方向からの撮像画像40が取得され、リムの溝FAの法線方向の第1断面形状41が検出される。このため、リムの溝FAの底までの距離K1、リムの溝FAの左右の斜面角度θ1及びθ2、リムの溝FAの左右の斜面長さK2及びK3、左右のリム肩の長さK4及びK5、等のパラメータが、リムの溝FAの法線方向に対するパラメータとして取得される。
【0081】
しかし、例えば、眼鏡レンズの周縁を加工する眼鏡レンズ周縁加工装置(例えば、特開2013-178432号公報)では、眼鏡フレームFのリムの溝FAの動径方向に対する各々のパラメータを基に、眼鏡レンズを動径角度α毎に回転させながら砥石等に押し当てることで、眼鏡レンズの周縁が加工される。このため、制御部170は、リムの溝FAの法線方向における第1切断面45が、リムの溝FAの動径方向における第2切断面65(
図12(b)参照)となるように、リムの溝FAの法線方向からの撮像画像40を、リムの溝FAにおける動径方向の補正画像60(
図13参照)に補正する。これによって、リムの溝FAにおける法線方向の第1断面形状41が、リムの溝FAにおける動径方向の第2断面形状61に補正され、リムの溝FAの法線方向に対するパラメータが、リムの溝FAの動径方向に対するパラメータに変換される。
【0082】
図12は、リムの溝FAに対する法線方向の第1切断面45と、動径方向の第2切断面65と、を示す図である。
図12(a)は、リムの溝FAに対する第1切断面45と第2切断面65を、リムの厚み方向(Z方向)からみた状態である。
図12(b)は、リムの溝FAに対する第1切断面45と第2切断面65を、リムの内側からみた状態である。まず、制御部170は、リムの溝における第1切断面45と第2切断面65とのなす角度(ずれ角度ε)を算出する。
【0083】
制御部170は、リムの溝FAの測定位置Tnにおける位置座標と、リムの幾何学中心位置Bの位置座標と、に基づいて、測定位置Tnの動径角度αを算出する。例えば、測定位置Tnの位置座標は、幾何学中心位置Bの位置座標を基準(つまり、原点)として表される。例えば、制御部170は、リムの幾何学中心位置Bに対する水平線Hと、測定位置Tnと幾何学中心位置Bを結ぶ直線と、の2つの線分のなす角度を求めることで、測定位置Tnの動径角度αを算出する。
【0084】
また、制御部170は、リムの溝FAの測定位置Tnの前の測定位置である測定位置Tn-1の位置座標と、リムの溝FAの測定位置Tnの位置座標と、により、測定位置Tnの法線(すなわち、投光光軸L1)を求める。例えば、測定位置Tn-1と測定位置Tnとは近接するため、測定位置Tn-1の位置座標と、測定位置Tnの位置座標と、を結ぶ直線に対する垂線を、測定位置Tnの法線とみなすことができる。さらに、制御部170は、測定位置Tnの法線と、リムの幾何学中心位置Bに対する水平線Hと、の2つの線分のなす角度を求めることで、測定位置Tnの法線角度δを算出する。
【0085】
制御部170は、測定位置Tnの動径角度αと、測定位置Tnの法線角度δと、に基づいて、測定位置Tnの法線方向の第1切断面45に対する動径方向の第2切断面のずれ角度εを算出する。例えば、制御部170は、法線角度δから動径角度αを減算することによって、ずれ角度εを求めることができる。
【0086】
図13は、リムの溝FAの法線方向の第1切断面45における第1断面形状41と、リムの溝FAの動径方向の第2切断面65における第2断面形状61と、を示す図である。
図13(a)は、第1断面形状41におけるリムの溝FAの底までの距離K1aを示す。
図13(b)は、第2断面形状61におけるリムの溝FAの底までの距離K1bを示す。制御部170は、リムの溝における第1切断面45と第2切断面65とのなす角度(ずれ角度ε)に基づいて、測定位置Tnを中心として、第1切断面45を第2切断面65に一致(略一致)するように回転させる。これによって、リムの溝における法線方向の第1断面形状41を補正し、動径方向の第2断面形状61を取得する。
【0087】
例えば、制御部170は、リムの溝FAの測定位置Tnについて、第1断面形状41の各画素位置(座標位置)に、リムの溝FAの深さ方向(言い換えると、ヤゲンの高さ方向)の伸縮率Eを乗算することで、第1断面形状41を法線方向から動径方向に変換した第2断面形状61を取得する。また、例えば、制御部170は、このような第2断面形状61から、リムの溝FAの動径方向に対する溝FAまでの距離(距離K1b)、斜面角度、斜面長さ、リム肩の長さ、等のパラメータを取得する。なお、伸縮率Eは、リムの溝FAにおける測定位置Tnのずれ角度εを用いた以下の数式により算出することができる。
【0088】
【0089】
例えば、制御部170は、リムの溝FAの測定位置T1、測定位置T2、測定位置T3、…、測定位置Tnにて取得された撮像画像40(第1断面形状41)に対して前述の補正を行うことで、リムの全周にわたり、動径角度α毎に、撮像画像40を補正した補正画像60(第2断面形状61)を取得する。また、例えば、制御部170は、撮像画像40に基づく補正画像60の取得位置に、リムの溝FAの第2断面形状61を対応付けて、メモリ175に記憶させる。なお、本実施例では、撮像画像40の取得位置と、補正画像60の取得位置と、が同一の位置となる。これによって、リムの溝FAの動径方向における3次元断面形状が取得される。
【0090】
<眼鏡フレーム形状とリムの溝深さの取得>
例えば、制御部170は、眼鏡フレームFのリムの形状を、リムの溝FAの動径方向における3次元断面形状から取得することができる。例えば、制御部170は、リムの溝FAの複数の動径角度αについて、補正画像60における第2断面形状61から底43を検出し、検出結果に基づいて、眼鏡フレームのリムの形状を取得する。例えば、制御部170は、リムの溝FAの補正画像60を取得した取得位置と、動径角度α毎の底43の位置と、に基づいて、リムの溝FAの底43の位置情報を取得する。例えば、これによって、制御部170は、眼鏡フレームFのリムの3次元形状(rn,zn,θn)(n=1,2,3、・・・,N)を取得してもよい。
【0091】
また、例えば、制御部170は、眼鏡フレームFのリムの溝FAの深さを、リムの溝FAの動径方向における3次元断面形状から取得することができる。例えば、制御部170は、リムの溝FAの複数の動径角度αについて、補正画像60における第2断面形状61から距離K1bを検出し、検出結果に基づいて、眼鏡フレームのリムの溝FAの深さを取得する。例えば、制御部170は、リムの溝FAの補正画像60を取得した取得位置と、動径角度α毎の距離K1bと、に基づいて、リムの溝FAの深さ(言い換えると、ヤゲンの高さ)を取得する。
【0092】
なお、測定装置1を用いて取得されたリムの溝FAの第2断面形状61に基づく、眼鏡フレームFのリムの形状、リムの溝FAの深さ、等は、眼鏡レンズを加工するための眼鏡レンズ加工装置に送信されてもよい。眼鏡レンズ加工装置の制御部は、これらの情報を受信し、これらの情報に基づいて、眼鏡レンズの周縁を加工してもよい。
【0093】
以上、説明したように、例えば、本実施例における眼鏡枠形状測定装置は、眼鏡フレームのリムの溝の第1切断面における第1断面情報を取得し、リムの溝の第1切断面が、リムの溝における所望の方向の第2切断面となるように、第1断面情報を第2断面情報に補正する。これによって、リムの溝における所望の方向の第2断面情報を、適切に取得することができる。また、これによって、リムの所定の領域にて第1断面情報が得られない場合であっても、リムの所定の領域の周辺にて得られた第1断面情報に基づいて、リムの溝の所定の領域における、所望の方向の第2断面情報を取得することができる。
【0094】
また、例えば、本実施例における眼鏡枠形状測定装置は、リムの溝の第1切断面が、リムの溝における動径方向の第2切断面となるように、第1断面情報を第2断面情報に補正する。これによって、リムの溝における動径方向の第2断面情報を、適切に取得することができる。なお、例えば、眼鏡レンズの加工では、リムの溝における動径方向のデータが構築されるため、動径方向の第2断面情報を互換することなく、容易に用いることができる。
【0095】
また、例えば、本実施例における眼鏡枠形状測定装置は、眼鏡フレームのリムの溝の第1切断面に対する第2切断面のずれ角度に基づいて、リムの溝の第1切断面が、リムの溝における所望の方向に対する第2切断面となるように、第1断面情報が第2断面情報に補正される。これによって、第1切断面を所望の方向に対する第2切断面に精度よく置換し、適切な第2断面情報を得ることができる。
【0096】
また、例えば、本実施例における眼鏡枠形状測定装置は、リムの溝における法線方向の第1切断面を取得する。これによって、リムの溝における法線方向の第1切断面が、リムの溝における所望の方向(一例としては、動径方向)の第2切断面となるように、第1断面情報が第2断面情報に補正される。このため、例えば、リムの溝を法線方向から光切断する構成であっても、リムの溝における所望の方向(動径方向)の断面情報を、適切に得ることができる。
【0097】
<変容例>
なお、本実施例では、リムの溝FAにおける法線方向の撮像画像40を取得し、これを、リムの溝FAにおける動径方向の補正画像60に補正する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、リムの溝FAにおける法線方向の信号データを取得し、これを、リムの溝FAにおける動径方向の信号データに補正する構成としてもよい。この場合、制御部170は、第1断面形状41の信号データを第2断面形状61の信号データに変換し、リムの溝FAにおける動径方向の種々のパラメータを取得することができる。
【0098】
また、本実施例では、リムの溝FAにおける法線方向の撮像画像40を、動径方向の補正画像60に補正することで、リムの溝FAにおける動径方向の種々のパラメータを取得する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、リムの溝FAにおける法線方向の撮像画像40から、リムの溝FAにおける法線方向の種々のパラメータを取得し、これらのパラメータに対して伸縮率Eを考慮することで、リムの溝FAにおける動径方向の種々のパラメータを取得する構成としてもよい。
【0099】
なお、本実施例では、リムの溝FAのある測定位置について、法線方向に対する撮像画像40を、動径方向に対する補正画像60に補正する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。つまり、リムの溝FAにおける撮像画像40の取得位置と補正画像60の取得位置が同一となる構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、リムの溝FAのある測定位置にて得られた法線方向に対する撮像画像40を、リムの溝FAのある測定位置とは異なる測定位置における動径方向の補正画像60に補正することも可能である。つまり、リムの溝FAにおける撮像画像40の取得位置と、補正画像60の取得位置と、を異なる位置とすることも可能である。
【0100】
例えば、このような場合であっても、制御部170は、リムの溝FAのある測定位置に対する法線方向と、リムの溝FAのある測定位置とは異なる測定位位置に対する動径方向と、のずれ角度εを求めることによって、撮像画像40(第1断面形状41)を補正画像60(第2断面形状61)に補正することができる。これによって、例えば、リムの一部の測定位置にて撮像画像40が得られない状況であっても、その周辺の測定位置の撮像画像40を用いて補正画像60を取得することができる。
【0101】
なお、本実施例では、リムの溝FAにおける各測定位置に対し、法線方向から測定光束を照射することで、法線方向に対する撮像画像40を取得する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、リムの形状、保持ユニット25の可動域、等によっては、必ずしも測定位置に対して法線方向から測定光束を照射できず、この場合には、法線方向とは異なる方向に対する撮像画像が取得される。
【0102】
このとき、制御部170は、リムの溝FAのある測定位置に対する法線方向とは異なる方向と、リムの溝FAのある測定位置に対する法線方向と、のずれ角度を求め、リムの溝FAのある測定位置に対する法線方向とは異なる方向における撮像画像を、法線方向に補正した第1補正画像を取得してもよい。その後、リムの溝FAのある測定位置に対する法線方向と、リムの溝FAのある測定位置に対する動径方向と、のずれ角度を求め、リムの溝FAのある測定位置に対する法線方向の第1補正画像を、動径方向に補正した第2補正画像を取得してもよい。
【0103】
もちろん、制御部170は、リムの溝FAのある測定位置に対する法線方向とは異なる方向と、リムの溝FAのある測定位置に対する動径方向と、のずれ角度を求め、リムの溝FAのある測定位置に対する法線方向とは異なる方向における撮像画像を、動径方向に補正した第2補正画像を取得してもよい。
【0104】
なお、本実施例では、リムの溝FAの法線方向に対する撮像画像40を、リムの溝FAの動径方向に対する補正画像60に補正する際に、リムの溝FAの深さ方向(ヤゲンの高さ方向)の伸縮率Eを考慮する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、リムの溝FAの深さ方向の伸縮率Eに加え、リムの溝FAの厚み方向(言い換えると、ヤゲンの幅方向)の伸縮率を考慮した補正を行ってもよい。また、例えば、リムの溝FAの深さ方向の伸縮率Eに加え、リムの曲率を考慮した補正を行ってもよい。
【0105】
なお、本実施例では、眼鏡枠形状測定装置が、投光光学系と受光光学系とを有する光学式測定ユニットを備える構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、眼鏡枠形状測定装置は、リムの溝に押し当てられる測定子と、測定子の位置を検出する検出器と、を有する測定子ユニットを、光学式測定ユニットとともに、備える構成であってもよい。例えば、眼鏡フレームに対し、測定子ユニットと光学式測定ユニットは、一体的に移動されてもよい。
【0106】
例えば、測定子ユニットは、リムの溝に測定子を押し当てることで、リムを変形させる可能性があるため、その測定圧を弱くしておくことが好ましいと考えられている。一例としては、リムの溝に測定子を法線方向から押し当てるよう制御することで、測定圧を弱く一律に保つことができる。しかし、この場合、光学式測定ユニットは、投光光学系によってリムの溝に第1切断面を形成する方向が、測定子ユニットと同一(略同一)である法線方向に制限される。このため、特に、測定子ユニットと光学式測定ユニットを備えた、このような眼鏡枠形状測定装置では、第1断面情報から第2断面情報への補正が有効となる。測定子ユニットと、光学式測定ユニットと、のいずれにおいても、眼鏡レンズの加工に用いることが可能なデータが、適切に取得される。
【符号の説明】
【0107】
1 眼鏡枠形状測定装置
3 モニタ
4 スイッチ部
10 フレーム保持ユニット
20 測定ユニット
25 保持ユニット
30a 投光光学系
30b 受光光学系
50 制御部
52 メモリ
220 Z方向移動ユニット
230 Y方向移動ユニット
240 X方向移動ユニット
260 回転ユニット