(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】開閉体の係止構造及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 5/03 20060101AFI20240509BHJP
E05C 19/02 20060101ALI20240509BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
H05K5/03 D
E05C19/02 A
E05C19/02 Z
G03G21/16 133
(21)【出願番号】P 2019202183
(22)【出願日】2019-11-07
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 倫明
【審査官】石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-232296(JP,A)
【文献】特開平08-093299(JP,A)
【文献】特開2012-158976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00-5/06
E05C 1/00-21/02
B41J 29/00-29/70
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体に形成された開口を開放する開位置と前記開口を閉鎖する閉位置との間で移動可能に支持された開閉体と、
前記機器本体に配置され前記開閉体に押し込み方向に突出して設けられた係合体でラッチ体が押し込まれることにより前記開閉体を前記閉位置で係止し、前記閉位置で前記係合体がさらに押し込まれると、前記開閉体の係止を解除して前記開閉体を押し込み方向とは反対方向に押し出すプッシュラッチ装置と、
前記機器本体に配置され前記閉位置に位置する前記開閉体の押し込み方向への移動を阻止する規制体と、
を備え、
前記規制体は、前記開閉体の前記押し込み方向と交差する上下方向に移動可能な本体と、前記本体内で上方向に弾性付勢され前記上下方向に移動可能な突出体からなり、前記本体が前記開閉体の閉位置への移動に伴い前記押し込み方向へ移動する前記ラッチ体で押圧されて上方向へ移動し、
前記閉位置で前記開閉体を押し込み方向へ押しても
前記規制体と前記開閉体が接触して前記開閉体の移動が規制され前記プッシュラッチ装置は係止状態を保持する、
ことを特徴とする開閉体の係止構造。
【請求項2】
前記突出体は、前記開閉体が押し込み方向へオーバーストロークした後、閉位置へ戻る際に、前記開閉体に設けられ、前記押し込み方向に突出して設けられたリブ体の移動軌跡に対して突出して位置することで前記開閉体の押し込み方向への移動を阻止する、
ことを特徴とする請求項1に記載の開閉体の係止構造。
【請求項3】
前記本体は、上下方向と交差する水平方向に突出する突起部を有し、前記本体が前記開閉体の閉位置への移動に伴い押し込み方向へ移動する前記ラッチ体で押圧されて上方向へ移動した際に、前記突起部が前記開閉体に設けられた第2のリブ体で支持されて上方向に移動した位置で保持される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の開閉体の係止構造。
【請求項4】
前記係合体は、前記開閉体に設けられた穴に挿通される操作体と、押し込み方向に突出する係合爪からなり、押し込み方向とは反対方向に弾性付勢されて前記開閉体に対して前記押し込み方向に移動可能に配置され、前記閉位置で前記操作体を押し込むことで前記開閉体の係止を解除する、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の開閉体の係止構造。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の開閉体の係止構造を備えた、
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体の係止構造及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
機器本体に形成された開口を開放状態及び閉塞状態とすべく一端部が機器本体に回動軸を介して取り付けられると共に、回動軸で取り付けられた側と反対側である他端部の機器本体側に係合部を配置した蓋体と、機器本体に配置され蓋体の係合部が押圧されることにより蓋体と機器本体とをロック状態及びロック解除状態にするプッシュラッチ装置と、係合部がプッシュラッチ装置に係合する前に蓋体に当接して蓋体の回動を禁止する回転規制部とを備え、係合部が配置された蓋体の他端部に機器本体側に向け変形可能な弾性変形部を形成し、蓋体が回動規制部で回動が規制された状態で弾性変形部を押圧したとき変形係合部がプッシュラッチ装置を押圧し、蓋体を機器本体に対してロック状態又はロック解除状態にする蓋体の開閉装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、プッシュラッチを用いた場合であっても、操作体以外の開閉体が押されることによる不用意な係止の解除を防止することができる開閉体の係止構造及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の開閉体の係止構造は、機器本体に形成された開口を開放する開位置と前記開口を閉鎖する閉位置との間で移動可能に支持された開閉体と、前記機器本体に配置され前記開閉体に押し込み方向に突出して設けられた係合体でラッチ体が押し込まれることにより前記開閉体を前記閉位置で係止し、前記閉位置で前記係合体がさらに押し込まれると、前記開閉体の係止を解除して前記開閉体を押し込み方向とは反対方向に押し出すプッシュラッチ装置と、前記機器本体に配置され前記閉位置に位置する前記開閉体の押し込み方向への移動を阻止する規制体と、を備え、前記規制体は、前記開閉体の前記押し込み方向と交差する上下方向に移動可能な本体と、前記本体内で上方向に弾性付勢され前記上下方向に移動可能な突出体からなり、前記本体が前記開閉体の閉位置への移動に伴い前記押し込み方向へ移動する前記ラッチ体で押圧されて上方向へ移動し、
前記閉位置で前記開閉体を押し込み方向へ押しても前記規制体と前記開閉体が接触して前記開閉体の移動が規制され前記開閉体は移動せず前記プッシュラッチ装置は係止状態を保持する、ことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の係止構造は、請求項1に記載の開閉体の係止構造において、前記突出体は、前記開閉体が押し込み方向へオーバーストロークした後、閉位置へ戻る際に、前記開閉体に設けられ、前記押し込み方向に突出して設けられたリブ体の移動軌跡に対して突出して位置することで前記開閉体の押し込み方向への移動を阻止する、ことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の係止構造は、請求項1又は2に記載の係止構造において、前記本体は、上下方向と交差する水平方向に突出する突起部を有し、前記本体が前記開閉体の閉位置への移動に伴い押し込み方向へ移動する前記ラッチ体で押圧されて上方向へ移動した際に、前記突起部が前記開閉体に設けられた第2のリブ体で支持されて上方向に移動した位置で保持される、ことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の係止構造は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の係止構造において、前記係合体は、前記開閉体に設けられた穴に挿通される操作体と、押し込み方向に突出する係合爪からなり、押し込み方向とは反対方向に弾性付勢されて前記開閉体に対して前記押し込み方向に移動可能に配置され、前記閉位置で前記操作体を押し込むことで前記開閉体の係止を解除する、ことを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の電子機器は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の開閉体の係止構造を備えた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、プッシュラッチ装置のラッチ体の移動に伴って規制体を開閉体の押し込み方向への移動を阻止する位置へ移動させることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、開閉体の押し込み方向への移動を阻止することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、規制体を開閉体の押し込み方向への移動を阻止する位置で保持することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、開閉体の閉位置での係止を解除することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、プッシュラッチ装置のラッチ体の移動に伴って規制体を開閉体の押し込み方向への移動を阻止する位置へ移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に係る開閉体の係止構造が適用された画像形成装置の前面側を示す斜視図である。
【
図2】開閉体の係止構造を前面側に視点をおいて示す斜視図である。
【
図3】プッシュラッチ装置の動作を説明する図である。
【
図4】規制体の突出体の動作を説明する断面模式図である。
【
図5】開閉体の係止構造を背面側に視点をおいて示す斜視図である。
【
図6】係合体がプッシュラッチ装置に接触する前の開閉体の係止構造の作動状態を示す断面模式図である。
【
図7】係合体がプッシュラッチ装置に接触し始めるときの開閉体の係止構造の作動状態を示す断面模式図である。
【
図8】係合体がプッシュラッチ装置と係合するときの開閉体の係止構造の作動状態を示す断面模式図である。
【
図9】前カバーがプッシュラッチ装置側にオーバーストロークしたときの開閉体の係止構造の作動状態を示す断面模式図である。
【
図10】前カバーが閉位置に係止されたときの開閉体の係止構造の作動状態を示す断面模式図である。
【
図11】閉位置に係止された前カバーのプッシュラッチ装置との係合を解除する動作を説明する断面模式図である。
【
図12】前カバーのプッシュラッチ装置との係合が解除された状態を示す断面模式図である。
【
図13】規制体を備えていない比較例の開閉体の係止構造の前カバーの係合解除を説明する断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(1)開閉体の係止構造の構成
図1は本実施形態に係る開閉体の係止構造1が適用された画像形成装置100の前面側を示す斜視図、
図2は開閉体の係止構造1を前面側に視点をおいて示す斜視図、
図3はプッシュラッチ装置120の動作を説明する図、
図4は規制体140の突出体142の動作を説明する断面模式図、
図5は開閉体の係止構造1を背面側に視点をおいて示す斜視図である。
以下、図面を参照しながら、開閉体の係止構造1の構成を説明する。
【0020】
(1.1)開閉体の係止構造の全体構成
開閉体の係止構造1は、
図1に示すように、電子機器の一例としての画像形成装置100の本体筐体Fと、画像形成装置100の開口101を覆う開閉体の一例としての前カバー110とを開閉可能に連結している。
【0021】
本体筐体Fには、プッシュラッチ装置120が設けられ、前カバー110には、操作体131と係合爪132からなる係合体130が設けられている。前カバー110を閉位置に移動させると、係合体130の係合爪132がプッシュラッチ装置120に押し込まれて、前カバー110が開口101を覆う閉位置で係止されるようになっている。
【0022】
(1.2)前カバー
図1は、前カバー110が画像形成装置100の開口101を開放する開位置にある状態を示している。前カバー110は、閉位置で画像形成装置100の開口101を閉鎖するように全体が薄板状の平板部111と、本体筐体Fに対して回転可能に支持される回転支点112からなり、開脚リンク機構113で本体筐体Fに対して開位置と閉位置との間で回転移動可能に連結されている。
【0023】
平板部111には、操作体131と係合爪132からなる係合体130が平板部111に対して所定のストロークで移動可能に設けられている。操作体131は、
図2に示すように、表面131aが平板部111から外側に露出して、閉位置にある前カバー110の係合を解除する際に、操作者が操作体131を押圧することで係合が解除されるようになっている。係合爪132は操作体131の内面131bから突出して設けられ、先端には爪部132aが形成されている。
【0024】
平板部111には操作体131に隣接してリブ体114と第2のリブ体115が突出して設けられている。リブ体114は、前カバー110が閉位置で係止されている状態で押し込まれた際に、後述する規制体140の突出体142と干渉して前カバー110の押し込み方向への移動を阻止される。
第2のリブ体115は、前カバー110が閉位置に移動して、更に本体筐体F側にオーバーストロークする際に、後述する規制体140の側面141bに形成された突起部141cを下方から支持し、規制体140が上方(Z方向)に移動した状態で保持される。
【0025】
(1.3)プッシュラッチ装置
図2に示すように、本体筐体Fには、プッシュラッチ装置120と、規制体140が取り付けられている。プッシュラッチ装置120は、ラッチ本体121と、前カバー110に設けられた係合体130と係合及び係合解除可能なラッチ体122とを備えている。
【0026】
図3(a)に示すように、ラッチ体122は、係合体130に突出して設けられた係合爪132が押し込まれた位置で保持する保持位置と、
図3(b)に示すように、保持位置から更に押し込まれることで保持状態が解除されて、
図3(c)に示すように、前方(-Y方向)へ飛び出した突出位置の2位置で保持する周知の保持機構を備えている。
【0027】
プッシュラッチ装置120は、係る保持機構によって、係合体130でラッチ体122が押し込まれることにより前カバー110を閉位置で係止し、閉位置で係合体130がさらに押し込まれると、前カバー110の係止を解除して前カバー110を押し込み方向とは反対方向に押し出すように作用する。
【0028】
本実施形態に係るプッシュラッチ装置120のラッチ体122にはラッチ体122の移動方向と交差する水平方向(X方向)に突出したアーム部123が一体に設けられている。アーム部123は、ラッチ体122の移動に伴って、後述する規制体140の本体141の斜面部141aと接触して本体141を押圧し規制体140を上方向(Z方向)に移動させる。
【0029】
(1.4)規制体
規制体140は、本体141と、本体141内で上下方向に移動可能な突出体142からなり、プッシュラッチ装置120に隣接して本体筐体Fに対して上下方向(Z方向)に移動可能に設けられている。
【0030】
本体141には、
図2に示すように、プッシュラッチ装置120のラッチ体122のアーム部123に向かって傾斜した斜面部141aが形成されている。斜面部141aはラッチ体122から水平方向(X方向)に突出したアーム部123と接触して、ラッチ体122の押し込み方向(Y方向)への移動に伴って、本体141が上方(Z方向)に移動可能になっている。
【0031】
突出体142は、
図4に示すように、本体141内でバネSRで上方(Z方向)に弾性付勢され、本体141から上方に突出している。突出体142は、前カバー110が閉位置で係止された状態で、前カバー110の移動軌跡に干渉する位置まで突出して前カバー110の押し込み方向への移動を阻止する。
【0032】
本体141の側面141bには、上下方向(Z方向)と交差する水平方向(X方向)に突出する突起部141cが形成されている。
図5に示すように、突起部141cは、前カバー110が閉位置に移動して、更に本体筐体F側にオーバーストロークする際に、前カバー110の平面部111から突出する第2のリブ体115で支持され、前カバー110が閉位置に戻ると、本体141が上方(Z方向)に移動した状態で保持される。
これにより、前カバー110が閉位置に戻った状態で、規制体140が上方(Z方向)に移動した状態で保持され、本体141から上方に突出した突出体142が前カバー110の平面部111から突出するリブ体114と干渉して前カバー110の押し込み方向への移動を阻止する。
【0033】
(2)開閉体の係止構造の係合動作
図6は係合体130がプッシュラッチ装置120に接触する前の開閉体の係止構造1の作動状態を示す断面模式図、
図7は係合体130がプッシュラッチ装置120に接触し始めるときの開閉体の係止構造1の作動状態を示す断面模式図、
図8は係合体130がプッシュラッチ装置120と係合するときの開閉体の係止構造1の作動状態を示す断面模式図、
図9は前カバー110がプッシュラッチ装置120側にオーバーストロークしたときの開閉体の係止構造1の作動状態を示す断面模式図、
図10は前カバー110が閉位置に係止されたときの開閉体の係止構造1の作動状態を示す断面模式図である。
(2.1)比較例の開閉体の係止構造
図13は規制体140を備えていない比較例の開閉体の係止構造1Aの前カバー110Aの係合解除を説明する断面模式図である。
図13に示すように、本体筐体Fにプッシュラッチ装置120Aを設け、規制体140を備えていない開閉体の係止構造1Aにおいては、前カバー110Aと本体筐体F側との間には、係合体130の係合を解除する場合に前カバー110Aを移動させるだけの隙間を設けておく必要がある。
【0034】
そのため、
図13中において矢印R0で示すように、画像形成装置100Aの使用者が意図せず前カバー110Aに触れて前カバー110Aの一部を押してしまった場合、前カバー110Aとともに係合体130も移動して、プッシュラッチ装置120Aの係合体130との係合が解除されてインターロックがオープンとなり、画像形成装置100Aの動作が停止してしまう虞があった。
【0035】
(2.2)開閉体の閉位置での係止
図6に示すように、前カバー110を開位置から閉位置に移動させるように回転させ始める(図中 矢印R1参照)状態では、本体筐体Fに設けられたプッシュラッチ装置120はラッチ体122が前方(-Y方向)へ飛び出した突出位置に位置している。
この状態ではラッチ体122に一体に設けられたアーム部123は、規制体140の本体141の斜面部141aとは接触せず、規制体140は上方(Z方向)に移動しない。
【0036】
図7に示すように、前カバー110を開位置から閉位置に移動させるように回転させ(図中 矢印R1参照)、前カバー110に設けられた係合体130の係合爪132が本体筐体Fに設けられたプッシュラッチ装置120のラッチ体122に接触しても、前カバー110を更に押し込まない状態では、ラッチ体122に一体に設けられたアーム部123は、規制体140の本体141の斜面部141aとは接触せず、規制体140は上方(Z方向)に移動しない。
【0037】
図8に示すように、係合体130の係合爪132がプッシュラッチ装置120のラッチ体122に接触してから、
図8において矢印R1で示すように、前カバー110を更に押し込むと、係合体130の係合爪132はプッシュラッチ装置120のラッチ体122と係合してプッシュラッチ装置120の保持位置で保持される。
【0038】
この状態で、
図8において矢印R2で示すように、ラッチ体122に一体に設けられたアーム部123が規制体140の本体141の斜面部141aと接触して本体141を上方(Z方向)に移動させるが、突出体142は前カバー110に立設されたリブ体114の移動軌跡と干渉する位置までは移動していない。そのために、前カバー110は、更に押し込み方向にオーバーストロークするように移動可能な状態になっている。
【0039】
図9に示すように、係合爪132がプッシュラッチ装置120のラッチ体122と係合した状態から、更に前カバー110が本体筐体F側にオーバーストロークすると、
図9において矢印R2で示すように、ラッチ体122は保持位置から押し込み方向へ更に移動し、アーム部123で規制体140の本体141が上方(Z方向)に押し上げられる。
【0040】
この動作に伴って、前カバー110の平面部111から突出する第2のリブ体115が上方(Z方向)に押し上げられた規制体140の突起部141cの下面に入り込み、規制体140は上方(Z方向)に移動した状態で保持される。このとき、規制体140から上方(Z方向)に突出する突出体142は、前カバー110の平面部111から突出するリブ体114の下面114aで下方に押し下げられた状態となっている(図中 矢印R3参照)。
【0041】
図10に示すように、オーバーストロークした前カバー110がプッシュラッチ装置120により保持位置へ押し戻される(図中 矢印R4参照)と、リブ体114で押し下げられていた突出体142がリブ体114の移動軌跡と干渉する位置まで上方(Z方向)へ突出する(図中 矢印R2参照)。
【0042】
これにより、前カバー110を本体筐体F側に押しても、
図10において矢印Wで示すように、リブ体114が規制体140の突出体142と接触して前カバー110の押し込み方向への移動を阻止される。すなわち、前カバー110が閉位置にある状態で、画像形成装置100の使用者が意図せず前カバー110に触れて前カバー110の一部を押してしまった場合であっても、前カバー110は規制体140の突出体142で押し込み方向への移動が阻止され、プッシュラッチ装置120の係合体130との係合が解除されることがない。
【0043】
(2.3)開閉体の閉位置での係合解除
図11は閉位置に係止された前カバー110のプッシュラッチ装置120との係合を解除する動作を説明する断面模式図、
図12は前カバー110のプッシュラッチ装置120との係合が解除された状態を示す断面模式図である。
閉位置に係止された前カバー110とプッシュラッチ装置120との係合を解除する場合には、
図11において矢印Pで示すように、前カバー110に所定のストロークで移動可能に設けられた係合体130の操作体131を押圧することで、プッシュラッチ装置120のラッチ体122と係合爪132との係合が解除される。
【0044】
前カバー110の係合爪132との係合を解除したプッシュラッチ装置120は、
図12において矢印R4で示すように、前カバー110を押し込み方向とは反対方向に押し出すように作用する。これにより、
図12において矢印R5で示すように、前カバー110の閉位置での係止は解除され、開位置へ移動可能な状態となる。このように、本実施形態に係る開閉体の係止構造1によれば、プッシュラッチ装置120を用いた場合であっても、操作体131以外の開閉体としての前カバー110が押されることによる不用意な係止の解除を防止することができる。
【0045】
本実施形態においては、開閉体として前カバー110を備えた画像形成装置100の開閉体の係止構造1について説明したが、開閉体としては、装置本体に対して折りたたみ可能に設けられた手差し給紙トレイや、画像形成装置100の用紙搬送路に開閉可能に設けられた用紙案内ガイドであってもよい。
また、電子機器としては画像形成装置100に限らず、特に、開閉体と装置本体との開閉にインターロック機構を設けて、開閉体の閉位置での係止によって本体が動作可能になる機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1・・・開閉体の係止構造
100・・・画像形成装置
110・・・前カバー
114・・・リブ体
115・・・第2のリブ体
120・・・プッシュラッチ装置
122・・・ラッチ体
123・・・アーム部
130・・・係合体
131・・・操作体
132・・・係合爪
140・・・規制体
141・・・本体
141a・・・斜面部
141c・・・突起部
142・・・突出体